JP2015010920A - 屈折率計測方法、屈折率計測装置および光学素子の製造方法 - Google Patents

屈折率計測方法、屈折率計測装置および光学素子の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】 被検物の位相屈折率を高精度に計測すること。
【解決手段】 光源10からの光を被検光と参照光に分割し、被検物80を透過した被検光と参照光を干渉させて得られる干渉信号を用いて被検物80の位相屈折率を計測する。基準被検物の位相屈折率を取得し、被検物80の位相屈折率の関数である第1の物理量を算出し、第1の物理量と基準被検物の位相屈折率を用いて被検物80の位相屈折率を算出し、算出された被検物80の位相屈折率の関数である第2の物理量を算出する。第1の物理量と第2の物理量の差分が小さくなるように基準被検物の位相屈折率を変更し、変更された基準被検物の位相屈折率を用いて被検物80の位相屈折率を再算出する。
【選択図】 図2

Description

本発明は、屈折率計測方法および屈折率計測装置に関し、特に、モールド成型により製造される光学素子の屈折率計測に有用である。
モールドレンズの屈折率は成型条件によって変化する。成型後のレンズの屈折率は、一般的に、プリズム形状に加工した後、最小偏角法やVブロック法で計測される。この加工作業は、手間とコストがかかる。さらに、成型後のレンズの屈折率は、加工時の応力解放によって変化する。したがって、成型後のレンズの屈折率を非破壊で計測する技術が必要である。
屈折率には、光の等位相面の移動速度である位相速度に関する位相屈折率と、光のエネルギーの移動速度(波束の移動速度)に関する群屈折率がある。
非特許文献1は、スペクトル領域の干渉信号を波長の関数を用いてフィッティングすることにより、位相屈折率を算出する方法を提案している。非特許文献2は、多数のガラスの屈折率に関する統計データを用いて、群屈折率を位相屈折率に変換する方法を提案している。
H.Delbarre,C.Przygodzki,M.Tassou,D.Boucher,"High−precision index measurement in anisotropic crystals using white−light spectral interferometry."Applied Physics B,2000,vol.70,p.45−51. J.R.Rogers,M.D.Hopler,"Conversion of group refractive index to phase refractive index."J.Opt.Soc.Am.A,1988,Vol.5,No.10,p.1595−1600.
非特許文献1に開示された方法では、干渉信号の位相のオフセット項(2πの整数倍の項)が未知数であるため、フィッティング精度が低くなる。非特許文献2に開示された方法では、群屈折率を位相屈折率に変換する際に使用する屈折率補正項が、被検物の屈折率補正項と異なるため、位相屈折率への変換誤差が発生する。
本発明は、被検物の位相屈折率を高精度に計測することができる屈折率計測方法および屈折率計測装置を提供することを例示的な目的とする。
本発明の屈折率計測方法は、光源からの光を被検光と参照光に分割し、前記被検光を被検物に入射させ、前記被検物を透過した被検光と前記参照光を干渉させて得られる干渉信号を用いて前記被検物の位相屈折率を計測する屈折率計測方法であって、基準被検物の位相屈折率を取得する取得ステップと、前記干渉信号を用いて前記被検物の位相屈折率の関数である第1の物理量を算出する第1算出ステップと、前記第1の物理量と前記基準被検物の位相屈折率を用いて前記被検物の位相屈折率を算出する第2算出ステップと、前記第2算出ステップにおいて算出された前記被検物の位相屈折率の関数である第2の物理量を算出する第3算出ステップと、前記第1の物理量と前記第2の物理量の差分が小さくなるように前記基準被検物の位相屈折率を変更し、変更された前記基準被検物の位相屈折率を用いて前記被検物の位相屈折率を再算出する再算出ステップと、を有することを特徴とする。
本発明の光学素子の製造方法は、光学素子をモールド成型するステップと、上記の屈折率計測方法を用いて前記光学素子の屈折率を計測することによって、成型された光学素子を評価するステップと、を有することを特徴としている。
本発明の屈折率計測装置は、光源と、前記光源からの光を被検光と参照光に分割し、前記被検光を被検物に入射させ、前記被検物を透過した前記被検光と前記参照光を干渉させる干渉光学系と、前記参照光と前記被検光の干渉光を検出する検出手段と、前記検出手段から出力される干渉信号を用いて前記被検物の位相屈折率を演算する演算手段を備える屈折率計測装置であって、前記演算手段は、基準被検物の位相屈折率を取得し、前記干渉信号を用いて前記被検物の位相屈折率の関数である第1の物理量を算出し、前記第1の物理量と前記基準被検物の位相屈折率を用いて前記被検物の位相屈折率を算出し、算出された前記被検物の位相屈折率の関数である第2の物理量を算出し、前記第1の物理量と前記第2の物理量の差分が小さくなるように前記基準被検物の位相屈折率を変更し、変更された前記基準被検物の位相屈折率を用いて前記被検物の位相屈折率を再算出することを特徴としている。
本発明によれば、被検物の位相屈折率を高精度に計測することができる屈折率計測方法および屈折率計測装置を提供することができる。
本発明の実施例1の屈折率計測装置のブロック図である。 本発明の実施例1の屈折率計測装置における被検物の位相屈折率の算出手順を示すフローチャートである。 本発明の実施例1の屈折率計測装置の検出器で得られる干渉信号を示す図である。 本発明の実施例1の第1の物理量と第2の物理量の比較を示す図である。 本発明の実施例2の屈折率計測装置のブロック図である。 本発明の実施例3の屈折率計測装置のブロック図である。 本発明の実施例4の光学素子の製造方法の製造工程を示す図である。
以下、添付図面を参照して、本発明の実施例について説明する。
図1は、実施例1の屈折率計測装置のブロック図である。本実施例の屈折率計測装置は、マッハ・ツェンダー干渉計で構成されている。本実施例では、被検物は負の屈折力(焦点距離の逆数)をもつレンズである。屈折率計測装置は被検物の屈折率を計測するものであるから、被検物はレンズでも平板でもよく、屈折型光学素子であればよい。
屈折率計測装置は、光源10、干渉光学系、媒質70と被検物80を収容可能な容器60、検出器90、コンピュータ100を有し、被検物80の屈折率を計測する。
光源10は、波長帯域の広い光源(例えば、スーパーコンティニューム光源)である。干渉光学系は、光源10からの光を、被検物を透過する光(被検光)と被検物を透過しない光(参照光)とに分割し、被検光と参照光を重ね合わせて干渉させ、その干渉光を検出器90に導光する。実施例1の干渉光学系は、複数のビームスプリッタ20、21と複数のミラー30、31、40、41、50、51を有する。
ビームスプリッタ20、21は、例えば、キューブビームスプリッタで構成される。ビームスプリッタ20は、2つの直角プリズムの接合面20aにおいて、光源10からの光の一部を透過すると同時に残りを反射する。接合面20aを透過した光が参照光であり、接合面20aで反射した光が被検光である。ビームスプリッタ21は、直角プリズムの接合面21aにおいて、参照光の一部を反射し、被検光の一部を透過する。この結果、参照光と被検光が干渉して干渉光を形成し、干渉光は検出部90に射出される。
容器60は、媒質70(例えば、水やオイル)と被検物80を収容している。容器内における参照光の光路長と被検光の光路長は、被検物80が容器内に配置されていない状態で、一致するのが好ましい。したがって、容器60の側面(例えば、ガラス)は厚みおよび屈折率が均一で、かつ、容器60の両側面が平行であるのが望ましい。尚、媒質70が空気の場合、容器60は無くてもよい。
媒質70の屈折率は、不図示の媒質屈折率算出手段によって算出される。媒質屈折率算出手段とは、例えば、媒質の温度を計測する温度計測手段と、計測した温度を媒質屈折率に換算するコンピュータから構成される。もしくは、媒質屈折率算出手段は、屈折率および形状が既知のガラスプリズムと、媒質中に配置されたガラスプリズムの透過波面を計測する波面計測センサ(波面計測手段)と、透過波面と形状から媒質の屈折率を算出するコンピュータから構成されてもよい。
ミラー40、41は、例えば、プリズム型ミラーである。ミラー50、51は、例えば、コーナーキューブリフレクターである。ミラー51は、図1の矢印の方向の駆動機構を有する。ミラー51の駆動機構は、例えば、駆動レンジの大きいステージと駆動分解能の高いピエゾ素子から構成されている。ミラー51の駆動量は、不図示の測長器(例えば、レーザ測長器やエンコーダ)によって計測される。ミラー51の駆動は、コンピュータ100によって制御されている。被検光と参照光の光路長差は、ミラー51の駆動機構によって調整することができる。
検出器90は、ビームスプリッタ21からの干渉光を分光し、干渉光強度を波長(周波数)の関数として検出して干渉信号を出力する検出手段であり、分光器などから構成されている。
コンピュータ100は、検出器90が出力する干渉信号から被検物の屈折率を算出する演算手段として機能すると共に、ミラー51の駆動量を制御する制御手段としても機能し、CPUなどから構成されている。ただし、検出器90が出力する干渉信号から被検物の屈折率を算出する演算手段と、ミラー51の駆動量や媒質70の温度を制御する制御手段を、互いに異なるコンピュータによって構成することもできる。
干渉光学系は、被検物80が容器内に配置されていない状態で、被検光と参照光の光路長が等しくなるように調整されている。調整方法は次のとおりである。
図1の屈折率計測装置において、被検物80が被検光の光路上に配置されない状態で参照光と被検光の干渉信号が取得される。このとき、参照光と被検光の位相差φ(λ)および干渉強度I(λ)は数式1で表される。
Figure 2015010920
ただし、λは空気中の波長、Δは被検光と参照光の光路長の差、Iは被検光の強度と参照光の強度の和、γは可視度(ビジビリティ)である。数式1より、Δがゼロではないときは、干渉強度I(λ)は振動関数となる。したがって、被検光と参照光の光路長を等しくするためには、干渉信号が振動関数とならない位置にミラー51を駆動すればよい。このとき、Δがゼロになる。
ここでは、被検光と参照光の光路長が等しくなるように調整される場合(Δ=0)について説明したが、現在のミラー51の位置がΔ=0からどれだけシフトしているかが分かれば、被検光と参照光の光路長を等しくする必要はない。被検光と参照光の光路長が等しくなる位置(Δ=0)からのミラー51の駆動量は不図示の測長器(例えば、レーザ測長器やエンコーダ)によって測定することができる。
図2は、被検物80の位相屈折率を算出する手順を示すフローチャートであり、「S」はStep(ステップ)の略である。
まず、基準被検物の位相屈折率が取得される(取得ステップS10)。基準被検物とは、検出器90で計測する波長範囲において位相屈折率が既知の被検物を意味する。取得される位相屈折率は、各波長に対応した位相屈折率の離散データでもよいし、分散式(例えば、セルマイヤーの分散式やコーシーの分散式)の係数でもよい。
基準被検物は、被検物の屈折率と近い屈折率を有する硝材(例えば、基準被検物と被検物の差は、屈折率の差分が0.05未満、アッベ数の差分が5%未満)が望ましい。基準被検物として、例えば、被検物の母材となった硝材が選択されればよい。そのとき、基準被検物の位相屈折率として、硝材製造元が提供する母材の位相屈折率の値を用いることができる。
基準被検物の位相屈折率は、例えば、コンピュータ100に記憶されており、硝材名を入力するだけで取得できるようになっている。このとき、コンピュータ100が基準被検物の位相屈折率を取得する取得手段となる。
被検物の硝材が不明の場合、基準被検物の位相屈折率として、被検物と同一硝材で製作された試料の位相屈折率を用いることができる。その試料の位相屈折率は、加工計測(プリズム形状に加工し、最小偏角法やVブロック法で計測)で計測すればよい。加工時の応力解放による屈折率の変化量は小さいため、加工後の試料の位相屈折率でも、基準被検物の位相屈折率として使用できる。加工後の試料の位相屈折率は、同一硝材で製作された被検物であれば、すべての被検物の基準被検物の位相屈折率となりうる。加工計測は手間がかかるが、最初の1回だけ行えば良い。
次に、被検物を透過した被検光と参照光の干渉信号から、被検物の位相屈折率の関数である第1の物理量が算出される(第1算出ステップS20)。第1の物理量とは、被検物の位相屈折率の関数であれば任意の物理量でよい。例えば、被検光と参照光の位相差や、被検光と参照光の位相差の波長に関する傾き(位相差の微分)や、被検物の群屈折率などは、すべて第1の物理量になりうる。本実施例では、第1の物理量として被検光と参照光の位相差φ(λ)を選択している。
被検物が被検光の光路上に配置されているとき、図1の検出器90で計測されるスペクトル領域の干渉信号は図3のようになる。被検光と参照光の位相差φ(λ)は数式2で表される。
Figure 2015010920
ただし、nsample(λ)は被検物の位相屈折率であり、nmedium(λ)は媒質の位相屈折率であり、Lは被検物の幾何学厚みである。図3のλは、位相差φ(λ)が極値をとる波長を示している。λ付近の波長では干渉信号の周期が長くなるため、干渉信号が計測しやすい。逆に、λから離れた波長では干渉信号の周期が短くなるため、干渉信号が密になりすぎて分解できない可能性がある。もし、λが計測範囲から外れている場合は、ミラー51を駆動させてΔを調整すればよい。
位相差φ(λ)は、例えば、次のような位相シフト法を用いて算出することができる。ミラー51を微小量ずつ駆動させながら干渉信号が取得される。ミラー51の位相シフト量(=駆動量×2π/λ)がδ(k=0,1,・・・,M−1)のときの干渉強度I(λ)は数式3で表される。
Figure 2015010920
第1の物理量である位相差φ(λ)は、位相シフト量δ、干渉強度I(λ)を用いて数式4で算出される。位相差φ(λ)の算出精度を高めるためには、位相シフト量δをできるだけ小さくし、駆動ステップ数Mをできるだけ大きくすれば良い。算出された位相差φ(λ)は2πで畳み込まれている。したがって、2πの位相とびをつなぎ合わせる作業(アンラッピング)が必要である。
Figure 2015010920
次に、第1の物理量と基準被検物の位相屈折率を用いて被検物80の位相屈折率が算出される(第2算出ステップS30)。被検物80の位相屈折率の算出方法は、次のとおりである。
位相シフト法で得られた位相差φ(λ)(第1の物理量)は、2πの整数倍の任意性(未知のオフセット項)がある。この任意性を除去するために、位相差の波長に関する傾きdφ(λ)/dλが算出される。位相差の波長に関する傾きとは、位相差の波長に関する1次微分量に相当する。位相差φ(λ)は離散データなので、実際には、各波長データ間における変化の割合が算出される。位相差の波長に関する傾きdφ(λ)/dλは、数式5で表される。
Figure 2015010920
ただし、n sample(λ)は被検物の群屈折率、n medium(λ)は媒質の群屈折率である。一般的に、データの微分量を算出する作業は、ノイズの影響を増幅する。ノイズの影響を低減するためには、元データをスムージングしてから微分量が算出されればよい。もしくは、微分データ自身がスムージングされればよい。
次に、基準被検物の群屈折率N(λ)が、基準被検物の位相屈折率N(λ)から数式6を用いて算出される。本実施例では、基準被検物の位相屈折率として、コーシーの分散式を用いている。C(k=1,2,・・・,6)は、コーシーの分散式の係数である。
Figure 2015010920
そして、群屈折率と位相屈折率の関係が算出される。群屈折率と位相屈折率の関係とは、一方が分かると他方が分かる関係のことであり、例えば、群屈折率N(λ)と位相屈折率N(λ)の差分の関係や、群屈折率N(λ)と位相屈折率N(λ)の比の関係などである。
基準被検物の群屈折率と位相屈折率の関係を算出する理由は、群屈折率から位相屈折率を一意に算出できないためである。数式7は、群屈折率から位相屈折率を算出する式である。数式7に示すように、位相屈折率は積分定数Cの任意性がある。
Figure 2015010920
数式5で表される位相差の波長に関する傾きdφ(λ)/dλは群屈折率n sample(λ)の関数である。dφ(λ)/dλから位相屈折率nsample(λ)を算出する場合、群屈折率n sample(λ)が算出過程で介在するため、積分定数Cの任意性により、位相屈折率は一意に算出されない。そこで、基準被検物の群屈折率と位相屈折率の関係を用いて、被検物の位相屈折率nsample(λ)を算出する。例えば、基準被検物の群屈折率N(λ)と位相屈折率N(λ)の差分の関係を用いると、数式5は数式8のように変形される。
Figure 2015010920
数式8のうち、被検物の位相屈折率nsample(λ)以外は既知である。そこで、位相屈折率nsample(λ)の分散式(例えば、数式9のようなセルマイヤーの分散式)を仮定して数式8をフィッティングすれば、係数A,A,A,B,B,Bが算出される。つまり、位相屈折率nsample(λ)の分散式が求まる。被検物の幾何学厚みLが未知であれば、幾何学厚みLもパラメータとしてフィッティングすればよい。または、被検物の幾何学厚みLとして、例えば被検物設計値を用いればよい。
Figure 2015010920
以上のようにして、第1の物理量(位相差φ(λ))と基準被検物の位相屈折率を用いて、被検物の位相屈折率が算出される(第2算出ステップS30)。
第2算出ステップS30で算出された被検物の位相屈折率は、基準被検物の群屈折率と位相屈折率の関係が、被検物の群屈折率と位相屈折率の関係と等しいという仮定の下で算出している。しかしながら、実際には、基準被検物の群屈折率と位相屈折率の関係は、被検物の群屈折率と位相屈折率の関係と異なるため、算出された被検物の位相屈折率は誤差(以下、分散誤差と表記)を含む。そこで、次のような分散誤差を低減する作業が必要である。
第2算出ステップS30で算出された被検物の位相屈折率nsample(λ)の関数である第2の物理量φ(λ)が算出される(第3算出ステップS40)。第2の物理量φ(λ)は、第1の物理量φ(λ)に相当する同一次元の物理量(本実施例では位相差)である。第2の物理量φ(λ)は、基準被検物の群屈折率と位相屈折率の関係を用いずに、第2算出ステップS30で算出された被検物の位相屈折率nsample(λ)と数式2を用いて計算される。第1の物理量φ(λ)は2πの整数倍のオフセットを含むので、第2の物理量φ(λ)も同量の2πの整数倍のオフセットを含む必要がある。第2の物理量のオフセットは、例えば、極値の値を第1の物理量と比較し、2πの整数倍の値を加算または減算することによって調整できる。
次に、第1の物理量φ(λ)と第2の物理量φ(λ)を比較する(S50)。図4は、第1の物理量と第2の物理量を比較した図である。もし、分散誤差がゼロであれば、第1の物理量と第2の物理量は一致する。分散誤差が大きければ大きいほど、第1の物理量と第2の物理量の差分は大きくなる。図2の位相屈折率の算出フローは、この差分が小さければ終了し、差分が大きければステップS60に進む。
第1の物理量と第2の物理量の差分が大きいか小さいかを決める境界値は、求めたい屈折率の精度に依存する。例えば、被検物の位相屈折率が1.9、媒質の位相屈折率が1.6、被検物の幾何学厚みが1mm、波長が633nmの条件で、被検物の位相屈折率を0.0001以下の精度で求めたい場合、境界値は1radになる。
第1の物理量と第2の物理量の差分が大きい場合は、その差分が小さくなるように、基準被検物の位相屈折率が変更される(S60)。基準被検物の位相屈折率の変更方法としては、例えば、次のような方法がある。
数式6の位相屈折率の係数Cだけを微小量δC変化させて、ステップS30からS40を行う。微小量δCの変化によるφ(λ)の変化量Δφ C1(λ)が算出される。係数C、C、C、C、Cに関しても係数Cと同様の作業が行われ、それぞれのφ(λ)の変化量Δφ C2(λ)、Δφ C3(λ)、Δφ C4(λ)、Δφ C5(λ)、Δφ C6(λ)が算出される。数式10を最もよく満たすような係数χ、χ、χ、χ、χ、χが求まる。係数χ(k=1,2,・・・,6)の算出は、例えば、最小二乗法を使用すればよい。数式11のように、基準被検物の位相屈折率N(λ)が変更される。
Figure 2015010920
Figure 2015010920
数式10は、各係数CからCがそれぞれどれだけ変化すれば、第1の物理量と第2の物理量の差分が小さくなるかを計算する式である。数式11は、数式10の結果をもとに、数式6の基準被検物の位相屈折率を変更する式である。基準被検物の位相屈折率の変更に伴い、基準被検物の群屈折率と位相屈折率の関係も変化する。
その後のフローは、第1の物理量と数式11を用いて、被検物の位相屈折率を再算出し、(S30)、再算出した位相屈折率の関数である第2の物理量φ(λ)を再算出し(S40)、φ(λ)とφ(λ)の差が小さいことを確認(S50)して終了する。もし、ステップS50において差が大きい場合には、フローは再度ステップS60に進む。以上のように、第1の物理量と第2の物理量の差分が小さくなるように基準被検物の位相屈折率を変更し、変更された基準被検物の位相屈折率を用いて被検物80の位相屈折率が再算出される(再算出ステップ)。
第2算出ステップS30における被検物の位相屈折率の算出方法は、数式8、数式9を用いた分散式のフィッティング方法の代わりに、次のような方法が用いられてもよい。
被検物の群屈折率n sample(λ)は、数式5を変形すれば算出されるため、位相屈折率nsample(λ)は、数式12のように算出することもできる。数式12では、基準被検物の群屈折率と位相屈折率の関係として、比の関係を用いて表記している。
Figure 2015010920
第2算出ステップS30における被検物の位相屈折率の算出方法は、次の方法でもよい。
被検物と同一厚みLを有する基準被検物が被検物の代わりに計測されていると仮定すると、基準被検物に関する位相差の波長に関する傾きdΦ(λ)/dλは数式13を用いて算出できる。dΦ(λ)/dλは、数式13を用いて算出する代わりに、本実施例の屈折率計測装置を用いて実際に計測することも可能である。
Figure 2015010920
位相差の波長に関する傾きdΦ(λ)/dλと位相屈折率N(λ)の関係(差の関係や比の関係など)を用いて、位相屈折率nsample(λ)は数式14のように算出できる。
Figure 2015010920
この方法は、基準被検物の群屈折率と位相屈折率の関係の代わりに、群屈折率の関数であるdΦ(λ)/dλと位相屈折率の関係を用いている。このように、位相屈折率と結びつける関係は、群屈折率の関数(群屈折率そのものも含む)であれば、dΦ(λ)/dλ以外でもよい。例えば、数式13から式変形で得られる光路長差(N(λ)−n medium(λ))L−Δ0や群屈折率差N(λ)−n medium(λ)でもよい。
本明細書における物理量は、分散誤差の大小を比較するための量を示している。本実施例では、物理量として位相差を用いているが、必ずしも位相差を用いる必要はなく、被検物の位相屈折率の関数であればよい。
例えば、物理量は、数式5で表される位相差の波長に関する傾きでも比較できる。第1の物理量φ(λ)の代わりがdφ/dλであり、第2の物理量φ(λ)の代わりが第2算出ステップS30で得られた位相屈折率nsample(λ)の関数であるdφ/dλである。
物理量は、位相差の代わりに、群屈折率そのものでもよい。第1の物理量φ(λ)の代わりが、数式12で算出される被検物の群屈折率n sample(λ)であり、第2の物理量φ(λ)の代わりが、第2算出ステップS30で得られた位相屈折率nsample(λ)から一意に算出される群屈折率である。
第1の物理量は、計測データから一意に算出できる量であれば、位相差の代用が可能である。例えば、数式5から変形して得られる数式15のような量も、本発明における物理量となりうる。
Figure 2015010920
ステップS60では、数式10、数式11のように、分散式の係数を調整して基準被検物の位相屈折率を変更したが、分散式の係数を調整する代わりに、位相屈折率分散曲線の離散データそのものを調整してもよい。簡単な調整方法は、例えば、オフセット成分や線形成分の加減算である。
本実施例では、被検物80をオイル等の媒質70(空気の位相屈折率より高い位相屈折率を有する媒質)中に配置している。本発明の屈折率計測方法は、媒質70が空気でも成り立つ。しかし、被検物80と媒質70の屈折率差を小さくすることには利点がある。
屈折率差を小さくする利点は主に2つある。利点の1つは、レンズの屈折の影響を低減できることである。もう1つの利点は、被検物の幾何学厚み誤差の影響を低減できることである。数式2や数式5を見るとわかるとおり、屈折率差が小さい場合、被検物厚みに乗算される係数が小さくなる。そのため、被検物幾何学厚みの誤差の影響も小さくなる。
特に、被検物の群屈折率n sample(λ)と媒質の群屈折率n medium(λ)が等しくなる特定の波長において、被検物の幾何学厚みの誤差の影響はゼロになる。そのため、幾何学厚みが未知の被検物を計測する場合に使用する媒質は、計測する波長範囲の特定の波長で被検物の群屈折率と等しくなる群屈折率を有する媒質が好ましい。
媒質70の温度分布によって、媒質70の屈折率分布が生じるため、算出される被検物の屈折率に誤差が生じる。したがって、媒質70の温度分布が発生しないように温度調整機構(温度調整手段)で制御するのが望ましい。また、媒質70の屈折率分布による誤差は、屈折率分布の量がわかれば補正できるため、媒質70の屈折率分布を計測するための波面計測装置(波面計測手段)を有することが望ましい。
被検物と媒質の群屈折率をマッチングする代わりに、2種類の温度条件または2種類の媒質条件で計測すれば、被検物の幾何学厚みの誤差を除去できる。
2種類の温度条件による幾何学厚み誤差の除去方法は次のとおりである。
被検物の温度が第1の温度T、第2の温度Tであるときにそれぞれ計測された位相差がφ1A(λ)、φ1B(λ)のとき、2種類の温度条件のそれぞれの光路長差は、数式16で表される。
Figure 2015010920
ただし、dN/dTは被検物の屈折率の温度係数、Tは基準温度、ngA medium(λ)は温度Tにおける媒質の群屈折率、ngB medium(λ)は温度Tにおける媒質の群屈折率、αは被検物の線膨張係数であり、すべて既知の値である。dN/dTは、群屈折率の温度係数であり、位相屈折率の温度係数から算出される。数式16から被検物の幾何学厚みLを除去すると、数式17が得られる。
Figure 2015010920
数式17は、被検物の幾何学厚みLを含まないため厚み誤差の影響を受けない。数式17で得られる被検物の群屈折率n sample(λ)を数式12で得られるn sample(λ)の代わりに用いれば、厚み誤差の影響を除去できる。このとき、数式17で得られる被検物の群屈折率n sample(λ)を第1の物理量として使用できる。尚、数式17で得られる被検物の群屈折率n sample(λ)は、基準温度Tにおける値である。
数式17を用いた被検物の群屈折率n sample(λ)の算出精度は、右辺の分母が大きくなるほど高くなる。言い換えると、群屈折率n sample(λ)算出精度は、温度TとTの差が大きいほど高い。したがって、温度TとTは差が大きい条件が好ましい。
屈折率の温度係数dN/dTと線膨張係数αは既知であることを前提としており、例えば、硝材製造元が提供する母材の値である。厳密に言うと、被検物80のdN/dTとαは母材の値と異なるが、母材の値と等しいと仮定しても問題はない。この理由は次の通りである。
理由は、硝材の屈折率が多少変化しても温度係数と線膨張係数はほとんど変化せず、かつ、数式17の群屈折率n sample(λ)は温度係数と線膨張係数の変化に対して鈍感だからである。したがって、被検物と屈折率の近い硝材の温度係数と線膨張係数が1組既知であればよい。尚、線膨張係数が数式17で算出される群屈折率へ与える影響は特に小さいため、被検物80の膨張は未考慮(つまり、線膨張係数がゼロ)でもよい。
また、屈折率が互いに異なる第1の媒質中と第2の媒質中に被検物を配置する2種類の媒質条件を用いることによっても、被検物の幾何学厚みの誤差の影響を除去できる。2種類の媒質条件による幾何学厚み誤差除去の式は、数式17においてdN/dT=0、α=0とおいた式で表される。ただし、第1の媒質の群屈折率がngA medium(λ)、第2の媒質の群屈折率がngB medium(λ)、それぞれの媒質で計測された位相差がφ1A(λ)、φ1B(λ)である。
2種類の温度条件による幾何学厚み誤差の除去方法と同様に、数式17の右辺の分母が大きくなるほど、群屈折率n sample(λ)算出精度が高くなる。したがって、第1の媒質の屈折率と第2の媒質の屈折率の差が大きい条件が望ましい。
本実施例では、ミラー51による機械的な位相シフトと検出器90による分光の組み合わせで位相差φ(λ)を計測した。その代わりに、ヘテロダイン干渉法を用いてもよい。ヘテロダイン干渉法を用いる場合、その干渉計は、例えば、光源直後に分光器を配置して疑似単色光を射出し、音響光学素子で参照光と被検光の間に周波数差を発生させ、干渉信号をフォトダイオード等の検出器で計測する。そして、分光器で波長を走査しながら各波長で位相差φ(λ)を算出する。
本実施例では、波長帯域の広い光源10として、スーパーコンティニューム光源を用いた。その代わりに、スーパールミネッセントダイオード(SLD)やハロゲンランプ、短パルスレーザー等が使われてもよい。波長を走査する場合には、広帯域光源と分光器の組み合わせの代わりに、波長掃引光源が使用されてもよい。
本実施例では、マッハ・ツェンダー干渉計の構成を用いているが、代わりにマイケルソン干渉計の構成を用いてもよい。また、本実施例では、屈折率や位相差を波長の関数として算出しているが、代わりに周波数の関数として算出してもよい。
図5は、本発明の実施例2の屈折率計測装置のブロック図である。媒質70の屈折率を計測する干渉計が実施例1の屈折率計測装置に追加されている。被検物は、正の屈折力をもつレンズである。本実施例では、計測する波長範囲の特定の波長において被検物の群屈折率と等しい群屈折率を有する媒質(例えば、オイル)中に被検物を配置している。実施例1と同様の構成については、同一の符号を付して説明する。
光源10から射出された光は、ビームスプリッタ22で透過光と反射光に分割される。透過光は、被検物80の屈折率を計測するための干渉光学系へ進み、反射光は、媒質70の屈折率を計測するための干渉光学系へと導かれる。反射光は、ビームスプリッタ23でさらに透過光(媒質参照光)と反射光(媒質被検光)に分割される。
ビームスプリッタ23で反射した媒質被検光は、ミラー42、52で反射した後に、容器60の側面および媒質70を透過し、ミラー33で反射されてビームスプリッタ24に至る。ビームスプリッタ23を透過した媒質参照光は、ミラー32、43、53で反射した後に、補償板61を透過してビームスプリッタ24へ至る。ビームスプリッタ24へ至った媒質参照光と媒質被検光は、干渉して干渉光を形成し、分光器等で構成される検出部91で検出される。検出器91で検出された信号は、コンピュータ100に送られる。
補償板61は、容器60の側面による屈折率分散の影響を補正する役割を担い、容器60の側面と同一材料かつ同一厚み(=容器60の側面の厚み×2)で構成される。補償板61は、容器60内が空のとき、媒質被検光と媒質参照光の各波長それぞれの光路長差を等しくする効果を有する。
ミラー53は、ミラー51と同様の駆動機構を有しており、図5の矢印の方向に駆動する。ミラー53の駆動は、コンピュータ100で制御される。容器60は、不図示の温度調整機構を備えており、媒質の温度の昇降、媒質の温度分布の制御等を行うことができる。媒質温度も、コンピュータ100で制御される。
媒質70は、特定の波長で被検物と等しい群屈折率を有する。一般に、オイルの紫外吸収帯は硝材の紫外吸収帯よりも可視光に近いため、オイルの可視光領域の屈折率の傾き(屈折率分散)は、硝材の傾きよりも急である。実用的な位相屈折率マッチングオイルが存在しない高屈折率の領域においても、群屈折率をマッチングできるオイルが存在する。
本実施例の被検物80の位相屈折率算出手順は、次のとおりである。
まず、基準被検物の位相屈折率が取得され(取得ステップS10)、第1の物理量が算出される(第1算出ステップS20)。
被検光と参照光の位相差は数式2で表され、位相差の波長に関する傾きは数式5で表される。被検光と参照光の干渉信号は図3のようになる。図3のλは、位相差の極値の波長である。言い換えると、λは、位相差の波長に関する傾きがゼロとなる波長である。Δがゼロのとき、dφ(λ)/dλがゼロとなる波長は、被検物の群屈折率n sample(λ)と媒質の群屈折率n medium(λ)が等しい波長(特定の波長)である。したがって、位相差が極値をとる波長を計測すれば、その波長における媒質70の群屈折率が被検物80の群屈折率に相当する。
媒質被検光と媒質参照光の位相差φmedium(λ)と位相差φmedium(λ)の波長に関する傾きdφmedium(λ)/dλは、数式18で表される。
Figure 2015010920
ただし、Ltankは容器60の側面間の距離(媒質被検光の媒質70内の経路長)であり、既知の量である。λは空気中の波長なので、空気の屈折率は波長に組み込まれている。ここでは、空気の位相屈折率は空気の群屈折率と等しいと仮定している。
ミラー53の駆動を用いた位相シフト法により、媒質被検光と媒質参照光の位相差φmedium(λ)が計測される。数式18を式変形すると媒質の群屈折率n medium(λ)が求まる。図3の干渉信号から、被検光と参照光の位相差の極値をとる特定の波長λを決定し、数式19より、波長λにおける被検物の群屈折率が算出される。
Figure 2015010920
媒質70及び被検物80の温度が変化すると、特定の波長λが変化する。したがって、多数の温度で上記計測を繰り返すと、ある波長範囲における被検物の群屈折率n sample(λ)が算出される。本実施例では、被検物の群屈折率n sample(λ)を第1の物理量として使用できる(第1算出ステップS20)。
次に、第1の物理量(被検物の群屈折率)と基準被検物の位相屈折率を用いて被検物80の位相屈折率が算出される(第2算出ステップS30)。そして、第2算出ステップで算出された被検物80の位相屈折率の関数である第2の物理量(群屈折率)が一意に算出される(第3算出ステップS40)。さらに、第2の物理量が、第1の物理量と比較される(S50)。
第1の物理量と第2の物理量の差分が大きい場合には、その差分が小さくなるように基準被検物の位相屈折率が変更される(S60)。その差分が小さくなったときの位相屈折率が求める被検物の位相屈折率となる(再算出ステップ)。
図6は、本発明の実施例3の屈折率計測装置のブロック図である。波面が2次元センサを用いて計測される。媒質の屈折率を計測するために、屈折率および形状が既知のガラスプリズムが被検光束の光路上に配置されている。実施例1、実施例2と同様の構成については、同一の符号を付して説明する。
光源10から射出された光は、分光器95で分光され、疑似単色光となってピンホール110に入射する。ピンホール110へ入射させる疑似単色光の波長は、コンピュータ100で制御される。ピンホール110を透過して発散光となった光は、コリメータレンズ120で平行光にコリメートされる。コリメート光は、ビームスプリッタ25で透過光(参照光)と反射光(被検光)に分割される。
ビームスプリッタ25を透過した参照光は、容器60内の媒質70を透過した後、ミラー31で反射してビームスプリッタ26へ至る。ミラー31は、図6の矢印方向の駆動機構を有し、コンピュータ100で制御される。
ビームスプリッタ25で反射された被検光は、ミラー30で反射して、媒質70と被検物80とガラスプリズム130を収納している容器60に入射する。被検光の一部の光は媒質70および被検物80を透過する。被検光の一部の光は媒質70およびガラスプリズム130を透過する。被検光の残りの光は媒質70のみを透過する。容器60を透過したそれぞれの光は、ビームスプリッタ26において参照光と干渉して干渉光を形成し、結像レンズ121を介して検出器92(例えば、CCDやCMOSセンサ)で検出される。検出器92で検出された干渉信号は、コンピュータ100に送られる。
検出器92は、被検物80およびガラスプリズム130の位置と共役位置に配置されている。被検物80と媒質70の位相屈折率が異なると、被検物80を透過した光は発散光や収束光になる。その発散光(収束光)が被検物80以外を透過した光と交差する場合は、被検物80の後方(検出器92側)にアパーチャ等を配置して、迷光をカットすればよい。ガラスプリズム130を透過した光と参照光の干渉縞が密になりすぎないように、ガラスプリズムは、媒質70の位相屈折率とほぼ等しい位相屈折率を有するものが好ましい。被検光と参照光の光路長は、被検物80およびガラスプリズム130が被検光路上に配置されていない状態で、等しくなるように調整されている。
本実施例の被検物80の位相屈折率算出手順は、次のとおりである。本実施例では、物理量として位相差の波長に関する傾きを用いている。
まず、基準被検物の位相屈折率が取得される(取得ステップS10)。分光器95による波長走査と、ミラー31の駆動機構を用いた位相シフト法により、被検物を透過した被検光と参照光の位相差および媒質70の屈折率が計測される。
第1の物理量である位相差の波長に関する傾きdφ(λ)/dλが算出される(第1算出ステップS20)。第1の物理量と基準被検物の位相屈折率を用いて被検物80の位相屈折率が算出される(第2算出ステップS30)。第2算出ステップで算出された位相屈折率の関数である第2の物理量dφ(λ)/dλが算出され(第3算出ステップS40)、第1の物理量と第2の物理量が比較される(S50)。第1の物理量と第2の物理量が小さくなるように基準被検物の群屈折率と位相屈折率の関係が変更され(S60)、位相屈折率が再算出される(再算出ステップ)。
実施例1〜3にて説明した装置および方法を用いて計測された結果をレンズ等の光学素子の製造方法にフィードバックすることも可能である。
図7には、モールド成型を利用した光学素子の製造工程の例を示している。
光学素子は、光学素子の設計工程、金型の設計工程および該金型を用いた光学素子のモールド成型工程を経て製造される。成型された光学素子は、その形状精度が評価され、精度不足である場合は金型を補正して再度モールド成型を行う。形状精度が良好であれば、該光学素子の光学性能が評価される。この光学性能の評価工程に、本発明の屈折率計測方法を組み込むことで、モールド成型される光学素子を精度良く量産することができる。
なお、光学性能が低い場合は、光学面を補正した光学素子を設計し直す。
以上説明した各実施例は代表的な例にすぎず、本発明の実施に際しては、各実施例に対して種々の変形や変更が可能である。
10 光源
60 容器
70 媒質
80 被検物
90 検出器
100 コンピュータ

Claims (17)

  1. 光源からの光を被検光と参照光に分割し、前記被検光を被検物に入射させ、前記被検物を透過した被検光と前記参照光を干渉させて得られる干渉信号を用いて前記被検物の位相屈折率を計測する屈折率計測方法であって、
    基準被検物の位相屈折率を取得する取得ステップと、
    前記干渉信号を用いて前記被検物の位相屈折率の関数である第1の物理量を算出する第1算出ステップと、
    前記第1の物理量と前記基準被検物の位相屈折率を用いて前記被検物の位相屈折率を算出する第2算出ステップと、
    前記第2算出ステップにおいて算出された前記被検物の位相屈折率の関数である第2の物理量を算出する第3算出ステップと、
    前記第1の物理量と前記第2の物理量の差分が小さくなるように前記基準被検物の位相屈折率を変更し、変更された前記基準被検物の位相屈折率を用いて前記被検物の位相屈折率を再算出する再算出ステップと、
    を有することを特徴とする屈折率計測方法。
  2. 前記第1の物理量と前記第2の物理量は、前記被検光と前記参照光の位相差であることを特徴とする請求項1に記載の屈折率計測方法。
  3. 前記第1の物理量と前記第2の物理量は、前記被検光と前記参照光の位相差の波長に関する傾きであることを特徴とする請求項1に記載の屈折率計測方法。
  4. 前記第1の物理量と前記第2の物理量は、前記被検物の群屈折率であることを特徴とする請求項1に記載の屈折率計測方法。
  5. 前記被検物を空気の位相屈折率より高い位相屈折率を有する媒質中に配置した状態で得られる干渉信号を用いて前記被検物の位相屈折率を計測することを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の屈折率計測方法。
  6. 前記被検物を特定の波長において前記被検物の群屈折率と等しい群屈折率を有する媒質中に配置した状態で得られる干渉信号を用いて前記被検物の位相屈折率を計測することを特徴とする請求項1に記載の屈折率計測方法。
  7. 前記第1算出ステップにおいて、
    前記被検物の温度が第1の温度であるときに得られる干渉信号から算出される前記被検光と前記参照光の位相差と、前記被検物の温度が前記第1の温度とは異なる第2の温度であるときに得られる干渉信号から算出される前記被検光と前記参照光の位相差と、前記被検物の屈折率の温度係数とを用いて、前記被検物の厚みの影響が除去された前記第1の物理量を算出することを特徴とする請求項1に記載の屈折率計測方法。
  8. 前記第1算出ステップにおいて、
    前記被検物を第1の媒質中に配置した状態で得られる干渉信号から算出される前記被検光と前記参照光の位相差と、前記被検物を前記第1の媒質の屈折率とは異なる屈折率を有する第2の媒質中に配置した状態で得られる干渉信号から算出される前記被検光と前記参照光の位相差とを用いて、前記被検物の厚みの影響が除去された前記第1の物理量を算出することを特徴とする請求項1に記載の屈折率計測方法。
  9. 光学素子をモールド成型するステップと、
    請求項1乃至8のいずれか1項に記載の屈折率計測方法を用いて前記光学素子の屈折率を計測することによって、成型された光学素子を評価するステップと、を有することを特徴とする光学素子の製造方法。
  10. 光源と、
    前記光源からの光を被検光と参照光に分割し、前記被検光を被検物に入射させ、前記被検物を透過した前記被検光と前記参照光を干渉させる干渉光学系と、
    前記被検光と前記参照光の干渉光を検出する検出手段と、
    前記検出手段から出力される干渉信号を用いて前記被検物の位相屈折率を演算する演算手段を備える屈折率計測装置であって、
    前記演算手段は、基準被検物の位相屈折率を取得し、前記干渉信号を用いて前記被検物の位相屈折率の関数である第1の物理量を算出し、前記第1の物理量と前記基準被検物の位相屈折率を用いて前記被検物の位相屈折率を算出し、算出された前記被検物の位相屈折率の関数である第2の物理量を算出し、前記第1の物理量と前記第2の物理量の差分が小さくなるように前記基準被検物の位相屈折率を変更し、変更された前記基準被検物の位相屈折率を用いて前記被検物の位相屈折率を再算出することを特徴とする屈折率計測装置。
  11. 前記第1の物理量と前記第2の物理量は、前記被検光と前記参照光の位相差であることを特徴とする請求項10に記載の屈折率計測装置。
  12. 前記第1の物理量と前記第2の物理量は、前記被検光と前記参照光の位相差の波長に関する傾きであることを特徴とする請求項10に記載の屈折率計測装置。
  13. 前記第1の物理量と前記第2の物理量は、前記被検物の群屈折率であることを特徴とする請求項10に記載の屈折率計測装置。
  14. 前記被検物と空気の位相屈折率より高い位相屈折率を有する媒質とを収容する容器を有し、
    前記被検物を空気の位相屈折率より高い位相屈折率を有する媒質中に配置した状態で得られる干渉信号を用いて前記被検物の位相屈折率を計測することを特徴とする請求項10から13のいずれか1項に記載の屈折率計測装置。
  15. 前記被検物と空気の位相屈折率より高い位相屈折率を有する媒質とを収容する容器を有し、
    前記被検物を特定の波長において前記被検物の群屈折率と等しい群屈折率を有する媒質中に配置した状態で得られる干渉信号を用いて前記被検物の位相屈折率を計測することを特徴とする請求項10に記載の屈折率計測装置。
  16. 前記演算手段は、前記被検物の温度が第1の温度であるときに得られる干渉信号から算出される前記被検光と前記参照光の位相差と、前記被検物の温度が前記第1の温度とは異なる第2の温度であるときに得られる干渉信号から算出される前記被検光と前記参照光の位相差と、前記被検物の屈折率の温度係数とを用いて、前記被検物の厚みの影響が除去された前記第1の物理量を算出することを特徴とする請求項10に記載の屈折率計測装置。
  17. 前記被検物と空気の位相屈折率より高い位相屈折率を有する媒質とを収容する容器を有し、
    前記演算手段は、前記被検物を第1の媒質中に配置した状態で得られる干渉信号から算出される前記被検光と前記参照光の位相差と、前記被検物を前記第1の媒質の屈折率とは異なる屈折率を有する第2の媒質中に配置した状態で得られる干渉信号から算出される前記被検光と前記参照光の位相差とを用いて、前記被検物の厚みの影響が除去された前記第1の物理量を算出することを特徴とする請求項10に記載の屈折率計測装置。
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