改良された緊急安全システムがここに開示され、該システムは、受動的な運転の利点を有し、例えば洪水、地震、敵の急襲等、外部の影響による危うさを受け難くする。
図1を参照して、加圧水型原子炉(PWR)型の例示の原子炉10は、圧力容器12を含む。圧力容器12は、例示の実施形態において、円筒垂直配置容器である。原子炉炉心14は、圧力容器12の下方部分に配置される。(図式的な図1において、炉心14は、圧力容器12の切り取り16により見えるようにされていることに留意されたい。)炉心14は、適切なマトリクス材において多量の核***性物質、例えば核***性235Uアイソトープに富化された酸化ウラン(UO2)含有物質を含む。典型的な構成において、核***性物質は、炉心バスケットに配置された「燃料棒」として配列される。圧力容器12は、サブクール状態の一次冷却水(重水すなわちD2Oも企図されるが、一般に軽水すなわちH2O)を収容する。
PWR10は、当業界に知られた図示しない他の構成要素を含む。これは、例えば、圧力容器12内に炉心14を支持する「バスケット」又は他の構造、核連鎖反応を制御するために制御棒駆動機構(CRDM)により炉心14内に選択的に挿入される中性子吸収制御棒、圧力容器12内に一次冷却材循環路を規定する中央上昇管、一次冷却材ポンプ等である。これらの種々の構成要素は、圧力容器の内部又は外部に様々配置され得る。例えば、CRDMは、従来のケースのように外部にあり得、又は、次の文献に記述されるように圧力容器内部に配置され得る。該文献は、Stambaugh等の2010年12月16日付け公開の米国公開第2010/0316177A1号、「Control Rod Drive Mechanism for Nuclear Reactor(原子炉用制御棒駆動機構)」及びStambaugh等の2010年12月16日付け公開の国際公開第WO2010/144563A1号、「Control Rod Drive Mechanism for Nuclear Reactor(原子炉用制御棒駆動機構)」であり、これらの文献は全体として参照によりここに組み込まれる。反応器冷却材ポンプは、内部でも外部でもよく、ある実施形態では、完全に省かれ得、この場合、炉心14により生じた熱が一次冷却材流れを自然循環で駆動する。
例示のPWR10は、一体型PWR設計であり、これは、内部蒸気発生器が圧力容器12内に配置されることを意味する。据え付けられた蒸気発生器は図示しない。しかしながら、図1は、隔たった内部蒸気発生器20を図式的に示す。該内部蒸気発生器20は、保守のために圧力容器12から移されたか、又は圧力容器12内への据え付けの前に図示のように位置付けられたか、又はその他である。付加的な慣用構成部品は図示されない。例えば、圧力容器12を開放すべく上方圧力容器区域を持ち上げるため、及び蒸気発生器20を移動するためのクレーン;作業員、種々の付属装置、及び電子装置の移動のための種々の足場、通路等である。
PWR10は、格納構造22に収容される。格納構造22は、一般に、構造強度及び高い熱伝導率(ここに開示した熱除去技術を助長するため)を提供するために鋼構造である。付加的に、又は代替的に、格納構造22の一部又は全部は、熱伝導率を高めるため、鋼強化コンクリート、ナノ粒子が埋め込まれた鋼ホスト等の複合材料からなり得る。
例示の格納構造22は、一般に円筒状であり、下方防水壁24及び上方ドーム26を更に含む。下方防水壁は、炉心14を含む圧力容器12の下方部分を含む。この防水壁は、ある緊急事態で炉心14の冷却を支援するため、下方領域が水浸しにされることを可能にする。ここに開示したように、上方ドーム26は、高められた構造強度を提供し、ある緊急事態で蒸気凝縮表面としての役割を果たす。格納構造22は、PWR10を収容し、かつ据え付け及び/又は保守中に蒸気発生器20を移動するような操作のための空間を付加的に提供するのに十分な大きさである。
格納構造22は地下にあり、これは、格納構造22が地下にあること、すなわち地表面30より下方にあること(ことによると、上方ドーム26の最上端を除く)を意味する。二次格納構造32は、(一次)格納構造22を収容する。二次格納構造32は、一般に、コンクリート、鋼強化コンクリート、又は別の適切な頑強な建築材料からなる。ここに開示した実施形態において、二次格納構造32は熱経路ではなく、そのため二次格納構造32を構成する材料の熱伝導率は設計上考慮する点ではない(従って、コンクリートを一つの適切な材料とする)。二次格納構造32は、地下一次格納構造22を「収容」するため、ほとんどが地下にある。しかしながら、二次格納構造32の上方「屋根」34は地上にある。
格納構造22の地下構造並びにその比較的大きい寸法は、格納構造22の上方ドーム26と熱的に連通する地面(すなわち地表面レベル)最終ヒートシンク(UHS)プール40を備える受動緊急冷却システムの使用を助長する。上方ドーム26は、UHSプール40の「底部」の少なくとも一部として機能する外側面42と、UHSプール40により冷却される凝縮表面として機能する内側面44とを有する。UHSプール40は、プール40の「底部」の少なくとも一部を規定する上方ドーム26と、側壁46及び例示の実施形態の付加的な底部部分48とにより囲まれる。底部部分48は、上方ドーム26に溶接(又は他の方法で連結)される。ある実施形態において、付加的な底部部分48は省かれ、その代わりに側壁が上方ドーム26に直接溶接(又は他の方法で直接、封止連結)され得る。
「地面」又は「地表面レベル」は、UHSプール40内の水のほとんど又は全体が地表面レベル未満となり、水の表面が、UHSプール40がその最大容量にある場合にほぼ地表面レベルにあることを意味する。水の表面は、地表面レベルよりわずかに下であり得るが、地震、爆発、他の混乱が周囲の地面をUHSプール40内へと陥没させてプールを壊滅させることできるほど地表面レベルから下方にあるべきではない。同様に、水の表面は、地表面レベルよりもわずかに上であり得るが(例えば、側壁を地表面上方へと延長させるように構成することにより)、地表面上への漏洩がUHSプールを空にするほど地表面レベルから上方にあるべきではない。
二次格納構造32の上方部分(すなわち屋根34)は随意的に省かれ得る。屋根34を含めることは、UHSプール40の組成(例えば化学的性質)に対するより良い制御を可能にし、破片がUHSプール40内に落下することを防ぐ。ある実施形態において、UHSプールには、二次格納構造とは別個のカバーが設けられる。他方、ある実施形態において、UHSプールの側壁46及び付随的な底部部分48は、二次格納構造の一部を形成し得る。より一般的には、UHSプール40の壁及び底部と他方の二次格納32との間の一体化及び/又は分離について種々のレベル及び程度が企図される。二次格納構造32を全体的に省くことも、このような省略が安全性を損なわず、かつ該当する原子力規制基準に違反しない場合、企図される。
UHSプール40は、以下のように受動熱除去を提供する。(制御されていないLOCA、又はヒートシンク喪失イベントで実行され得るような制御された態様のいずれかにおいて)圧力容器12から解放された一次冷却材は、自然に上昇し、ドーム26の内側面44に接触する。ドーム26の外側面42に接触するUHSプール40は、ドーム26を外部周囲温度に保つ(又は、より正確には、ほぼUHSプール40の水の温度であり、この温度は外部周囲温度であるか又はこれに近い)。ドーム26の鋼(又は他の適切に選択された材料)の高い熱伝導率は、外側及び内側面42、44がほぼ同じ温度にあることを保証する。そのため、内側面44は、蒸気(100℃以上)に比べて冷たい(例えば、ほとんどの気候に対し40℃以下)。次いで、一次冷却材蒸気は、ドーム26の内側面44に対して凝縮し、その潜熱及びいかなる追加の運動エネルギーも(高い熱伝導率の)ドーム26を通じてUHSプール40へと移される。
凝縮した一次冷却材は、ドーム26の内側面44に付着する水(もしくは水滴)の形態である。ある実施形態において、この水は、重力の影響下で該面に沿って単に落下する又は下方に流れることが許容される。有利には、これは、防水壁24を溢れさせるのに貢献するように防水壁24へと流れる凝縮水のかなりの部分をもたらし得る。あるいは、バッフル50は、凝縮水の流れを案内するために設けられる。例示の実施形態において、バッフル50は、燃料交換用水貯蔵タンク(RWST)52内に凝縮水を案内するように構成される。燃料交換用水貯蔵タンク52は、ある緊急事態(例えば、あるLOCAイベント等)において圧力容器12に水を補充するために使用される。
ある実施形態において、UHSプール40はまた、格納構造22内部に配置された凝縮器60用の冷却水源として使用される。凝縮器60は、一次冷却材蒸気を凝縮するための追加の機構を提供する。ある実施形態では、ある緊急事態において、凝縮器60入口は、格納構造22内へと解放された一次冷却材蒸気を凝縮するために格納構造22の内部に直接接続される。ある実施形態では、ある緊急事態において、凝縮器60は、圧力容器12に接続され得(接続は図示されない)、これは圧力容器12内部で一次冷却材蒸気を凝縮するためである。この後者のアプローチは、例えば、圧力容器12のシーリングの完全性は損なわれていないが、ヒートシンクの喪失のため圧力容器12内部の圧力が上昇している(及び、一次冷却材が蒸気に転換している)ヒートシンク喪失イベントのケースで、有益であり得る。凝縮器60は、ホット流路及びコールド流路(図1に図式的に表される)を含む熱交換器61を備える。一次冷却材蒸気はホット流路を流れ、他方、冷却水はコールド流路を流れる。ホット及びコールド流路は互いに流体絶縁状態であるが、互いに熱伝達状態である。例えば、凝縮器60は、マニホルドに(複数の)管を含み得、ここで、該管は、一方の流路を形成し、マニホルドが他方の流路を形成する。別の企図される構成において、ホット流路及びコールド流路は、二つの密接に結び付いている管であり得る。
冷却水は、UHSプール40から入口管62を介して凝縮器60へと流れ、加熱された冷却水(以前として水であり得、又は蒸気であり得、又はある混合蒸気/水相であり得る)が出口管64を介して流れ、UHSプール40に戻る。例示の管62、64は、UHSプール40と流体連通する開放端部を有する。あるいは、これらの端部は、冷却水が一次冷却材蒸気及びUHSプール40の両方から流体絶縁状態となるようにUHSプール40内に配置された熱交換器コイル66(図1に想像線で示される)と連結し得る。
図1の実施形態は凝縮器60を含み、凝縮器60は、地下格納構造22内部に配置されたホット流路及びコールド流路を含む熱交換器61を備え、冷却水ライン62、64が凝縮器60をUHSプール40に動作可能に接続する。単一の凝縮器60が例示されるが、一つ、二つ、三つ、四つ、又はより多くの凝縮器60が、適切な接続冷却水ライン62、64を有する地下格納構造22内に配置され得ることが理解されるべきである。複数の凝縮器60の使用は、冗長性を提供することができ、また、該当する原子力規制規則により要求され得る。更には、複数の凝縮器60が設けられる場合、ホット流路は異なる位置で接続され得る。例えば、一つ又は複数の凝縮器が、圧力容器12内部に収容された一次冷却材蒸気に凝縮動作を与えるために圧力容器12に接続され得、また、一つ又は複数の凝縮器が、LOCA中に圧力容器12から逃げる一次冷却材蒸気のために凝縮動作を与えるため、地下格納構造22の内部容積(内部空間)に対して動作するように配置され得る。
ある実施形態において、凝縮器は省かれ得ること、又はそれらのコールド流路がUHSプール40ではなく冷却水源に接続され得ることが理解されるべきである。そのようなある実施形態において、地下格納構造22の内部からUHSプール40への唯一の熱伝達路は、格納構造22の上方ドーム26を介するものである。
図示の上方ドーム26のような格納構造22の上方部分の構成は、ある利点を有する。上方ドーム26がUHSプール40の底部の少なくとも一部としての役割を果たすので、ドーム形状は、UHSプール40の重量を支持するのに有利な構造強度を有する。ドーム形状はまた、平坦な屋根に比べて大きな表面積を提供する。それでもなお、UHSプールを支持する格納構造の上方部分が、平坦屋根、角度付き屋根等のドーム形状以外の形状を有することも考えられる。
図2〜4を手短に参照して、例示の上方ドーム26は、附随的に溝又は波のような起伏70を含み、これが凝縮のための表面積を拡大する。図2は、上方ドーム26の上から見た図を提供し、凝縮が流れると予測されるおおよその方向に沿って前記溝又は起伏が「下方」に走る有利な構成を例示する。図3及び4は、溝又は起伏70のための二つの適切な形態を示す。図3及び4は、上方ドーム26の小さい部分を通る区画を示し、区画する面が溝又は起伏70の方向を横断するように配向される。図3の実施形態において、溝又は起伏70は、上方ドーム26の外側面42及び内側面44の両方に形成される。この形態は、上方ドーム26の厚さが(起伏し又は溝を含むにもかかわらず)一定となる点で製造上の利点を有することができる。図4の実施形態において、溝又は起伏70は、上方ドーム26の内側面44にのみ形成される(そのため、図2の上から見た図では実際には見えないであろう)。この形態は、実行可能である限り大きくされることとなる凝縮に関連する表面積が内側面44であり、他方、上方面42はより小さい面積であり得る点を認める。図4の形態は、外側面42に溝又は起伏を含めないことにより保たれる追加の材料のため、改善した構造上の剛性及び頑強さを与える。
図1に戻り、LOCA中、一次冷却材蒸気は、地下格納構造22内へと解放される。一次冷却材蒸気は、上方ドーム26の内側面44で凝縮し、その潜熱及びいかなる追加の運動エネルギーも、(高い熱伝導率の)ドーム26を通じてUHSプール40に移される。これは、UHSプール40を構成する水の温度を上げ、UHSプール40の表面からの蒸発を増加させる。熱伝達が十分なレート及び大きさである場合、UHSプール40を構成する水は、実際は沸騰して蒸気を作り出し、これはUHSプール40の表面から発する。地下格納構造22及びUHSプール40を収容する二次格納構造32は、UHSプール40から蒸発したか又は沸騰した水が二次格納構造32から脱出することを可能にするように構成されたベント80を有する。UHSプール40は、ある原子力規制規則パラダイムに従って、UHSプール40のいかなる補充をも伴わずに設計時間の間、例えば少なくとも三日間、又はあるより積極的な規制規則パラダイムでは14日間まで、冷却を維持するのに十分な水を有するべきである。ある実施形態において、UHSプール40は、数十万ガロン又はそれ以上の水を含み得ることが企図される。しかしながら、ある一定の運転期間に対して十分な水の量は、例えば火力、設計圧力その他の種々の要因に依存することが予測される。そのため、これは、単なる実例であると理解されるべきである。
より一般的には、格納構造22の内部からUHSプール40への熱伝達は、地下格納構造22の上方部分26によって規定される(そのため上方部分26に接する)UHSプール40の底部部分の面積を介する。ぬれ面積及びタンク容積は、炉心14に生じる崩壊熱を除去し、これにより、格納構造22内を適切に低い圧力及び温度状態に維持するのに十分であるべきである。格納22からUHSプール40への熱伝達qは、q=U・A
wet・ΔΤによって与えられる。ここで、A
wetはぬれ面積を示し、Uは、格納22からUHSプール40への熱伝達に対する熱通過率を示し、また、ΔTは、格納22とUHSプール40との間の温度差を示す。十分な冷却を提供するため、q≧Q
decay heatを保つべきである。ここで、Q
decay heatは、原子炉停止後の核***生成物崩壊のために炉心14により生じた熱を示す。ぬれ面積A
wetに対して(すなわち、地下格納構造22の上方部分26によって規定される、従って上方部分26に接するUHSプール40の底部部分の面積に対して)U・A
wet・ΔΤ≧Q
decay heatを解くことにより、次をもたらす。
上記基準(1)において、A
wetはぬれ面積を示し、T
maxは、格納内部の最大許容温度示し、T
UHSは、UHSプール40の最大許容温度を示し、Q
decay heatは、反応器停止後の核***生成物崩壊のために炉心14により生じる熱の最高仮定値を示し、更にUは、格納22からUHSプール40への熱伝達(熱移動)に対する熱通過率を示す。更に詳しくは、熱通過率Uに貢献する要素は、格納22の内部から格納22の上方部分26の内側面への凝縮及び対流による熱伝達;格納シェルを通じての熱伝導;及び、UHSプール40の水の沸騰及び/又は対流による格納22の上方部分26の外側面からUHSプール40内への熱伝達を含む。発生した崩壊熱Q
decay heatは、反応器停止後の時間と共に低減し、反応器運転出力履歴(すなわち、停止前の時間の関数としての運転出力(動作電力)の履歴)に依存する。基準(1)により示されるように、最小許容ぬれ面積は、放散される崩壊熱の量により拡大縮小する。控え目には、UHSプール40は、想定しているいかなるアクシデントシナリオに対しても仮定されるQ
decay heatの最大値に対して設計されるべきである。最大許容温度T
maxは、格納22に対して望まれる最大長期温度である。冷却材喪失アクシデント(LOCA)からもたらされる最初のエネルギー解放は、格納22内部の温度がT
maxを一時的に超える短時間温度過渡を引き起こし得る。最大温度T
maxは、電線、弁作動装置、器具類、及び格納22内部の他の重要な機器が動作し続けることを保証する程度に低く保たれるべきである。温度T
UHSは、UHSプール40の水の最大許容温度である。UHSプール40の水の温度は、反応器停止後、熱が地下格納22の上方部分26を通じてUHSプール40内へと移るにつれ、時間と共に変わることが予測される。制限T
UHS≦100℃は、大気圧での水の沸点により課される。UHSプール40の温度T
UHSの上昇により熱伝達が低下するので、控え目な値はT
UHS=100℃である。更に別の設計上の考慮すべき点は、反応器停止後に、水がUHSプール40から沸騰又は蒸発するにつれ、ぬれ面積A
wetが低減し得ることである。あるケースでは、この問題は次の事実により未然に防がれ得る。すなわち、崩壊熱出力が反応器停止直後に最高であり、この時、UHSプール40の水位はまだ枯渇していないという事実である。また、LOCAでは、エネルギー放出直後に圧力及び温度を低下させるため、格納22内の設備の熱キャパシタンスの作用及び格納構造22自体の作用に対する功が認められ得る。
UHSプール40は、基準(1)が満たされるならば、格納22内の圧力を低減し又は安定させることができる。基準(1)に従う設計で用いられるパラメータAwet、U、Qdecay heat、Tmax、及びTUHSに対する値は、種々のやり方で評価され得る。一つのアプローチでは、Qdecay heatは、その初期の最高値(すなわち、LOCA又は他の停止イベントに付随するいかなる短時間過渡直後での値)に設定される。最大許容温度Tmaxは、控え目に低い値に設定されるべきである(Tmaxのより低い値は最小許容ぬれ面積をより大きくすることに留意されたい)。同様に、TUHSの控え目に高い値が用いられるべきである(より高い値はΔTを低減し、そのため、最小許容ぬれ面積を大きくする)。保守的なアプローチは、TUHS=100℃を設定することである。熱通過率Uは、格納22の上方部分26の壁厚等のパラメータを制御することにより、ある程度調整され得る(しかし、その壁はUHSプール40、重量に耐え、これが壁がいかに薄くされ得るか制限する)。同様に、ぬれ面積Awetは全体的構造設計形態又はレイアウトに基づいて調整可能である。基準(1)の代替的定式化はU・Awet・ΔΤmin≧Qdecay heatであることに留意さたい。ここで、ΔTminは、想定しているいかなるアクシデントシナリオ中でも起こること仮定される格納22とUHSプール40との間の最小温度差を示す。
図示はしないが、破片により目詰まりする可能性を低減するため、ベント80がスクリーン、湾曲、又は他の機能を含むことが企図される。ベント80の一つ又は複数が一つ又は複数の組合せ煙突の形態を採る一方、他の開口は、二次格納構造32の屋根34とUHSプール40の表面との間に定義された体積内にドラフトを設定するために、空気入口としての役割を果たすことも企図される。
図1に示す例示の安全システムの動作は以下の通りである。LOCAにおいて、圧力容器12の圧力バウンダリの裂け目は、一次冷却水を容器から脱出させる。反応器冷却システム(RCS)は、一つ又は複数の凝縮器60、及びUHSプール40によるドーム26の冷却によって与えられる付加的な凝縮を用いて、圧力容器12及び格納22を減圧することにより応答する。一度減圧が圧力を十分に低いレベルまで下げると、格納22内部に配置された燃料交換用水貯蔵タンク(RWST)52から追加の水が圧力容器12内に注入される。炉心14からの崩壊熱がこの水を沸騰させ、アクティブ・システム(図示せず)が通常の冷却を与えるようにオンラインで動かされるまで、沸騰した水を格納22へと解放し続ける。受動冷却システム26、40、60は、格納内部の過剰な圧力を防ぐため、(米国の原子力規制委員会、NRCの規則に従い)少なくとも72時間、このエネルギーの大部分を除去するように設計される。格納ドーム26上のUHSプール40に貯蔵された水は、鋼格納表面に直接接触しており、熱伝達のための大きな面を与える。格納22内部のエネルギーは、UHSプール40の水を沸騰させるように、UHSプール40の水を、ことよると沸騰温度まで加熱する。発生した蒸気は、ベント80から大気へと逃がされる。このガス抜きは、UHSプール40の水が汚染されていないので、いかなる放射能も解放しない。
ヒートシンク喪失イベントにおいて、RCSが加圧し、緊急炉心冷却システム(ECCS)緊急凝縮器60を起動する。一次冷却蒸気は、凝縮器60の入口へと逃がされ、凝縮水が反応炉圧力容器12に戻される(配管は図示されない)。凝縮器60は、UHSタンク40からの低圧水によって冷却される。
例示の安全システムは多くの利点を有する。地面レベルでのUHSプール40の配置は、高められた最終ヒートシンクプール(例えば、従来型反応器建屋の頂上に据え付けられた)と比較して損傷の可能性を低減する。更に、たとえUHSプール40の格納構造26、46、48が破られても、その影響は、UHSプール40を構成する水が(上方ドーム26の破れの場合)(一次)格納構造22内へ、又は(側壁46又は付加的な底部部分48の破れの場合)二次格納構造32内へと下方に流れるというものであろう。前者の場合、水は防水壁24を満たすのに寄与するであろうし、後者の場合、水は一次格納構造22を囲み続け、そのため、(少なくともある程度)凝縮機構として活動し続けるであろう。
別の利点は、UHSプール40は、補充水を地表面30上方に持ち上げることなく、補充可能である点である。図1は、二次格納構造32及び側壁46を貫通する例示の補充入口82を示す。これらの入口82は、種々の補充水供給部と接続可能である。例えば、該原子力施設の地表面30よりも高所の自然湖又は人口湖が、自動システムを介して又は手動により補充ラインを開放可能な適切な平行手動/電子弁により、入口82へと配管され得る(例えば、電力が長期間失われた場合)。例えば、入口82を樋(好ましくは、破片による目詰まりを回避するために適切なスクリーニング等を含む)のように構成することにより、実際、UHSプール40は雨水、洪水の水又は他の自然発生地表水によってでさえも補充され得る。
地下格納構造22と格納22上に配置され格納22により支持されるUHSプール40との組合せは、敵対行為による損傷を実質的に受け難くするという更なる利点を有する。格納22の地下構造は、攻撃に対する実質的な障壁であり、UHSプール40は、発射体、爆発物又は他の攻撃機構から格納構造22(及び収容される原子炉10)を保護する追加の表面障壁を与える。
UHSプール40により、地下格納構造22に対するこの低減したアクセスは、燃料補給等の保守操作中、いくつかの困難を提起し得る。例示の実施形態において、これは、ドーム26の上部がUHSプール40によって囲まれるアイランドを規定するように、地下格納構造22の上方ドーム26を、UHSプール40の表面の上方へと突き出る程度に十分な高さを持って構成することにより、解決される。ハッチ又は他のアクセスは、新しい燃料又は他の構成要素を供給するため、この「アイランド」に設けることができる。あるいは、上方ドームの上部がUHSプールの水位より下にある場合、ドームの上部を露出させて保守のためのアクセスを提供するために、UHSプールは一部が排水され得る。
例示の原子炉10は、一体型蒸気発生器(一体型PWR)を有する加圧水型原子炉(PWR)である。しかしながら、開示した安全システムは、外部蒸気発生器を有するPWR、又は沸騰水型原子炉(BMR)等の他のタイプの反応器にも適用可能である。BMRの場合、BMRは、PWR設計に使用される格納構造よりも小型の格納構造に従来から収容されており、該従来の小型BMR格納は、UHSプールと格納構造との間の接触に対して十分な表面積を与えないかもしれない。これは、BMR反応器に対してより大きい格納構造を使用することにより、及び/又は、BWR格納のドームに、表面積を高める溝又は起伏70を含めることにより改善可能である。
好ましい実施形態が例示及び記述された。自明のように、上記の詳細な説明を読み理解すれば、他の物には変更及び変形が見い出される。本発明は、すべてのそのような変更及び変形を、これらが本発明の特許請求の範囲又は均等の範囲内にある限り、含むように解釈されることが企図される。