JP2014525969A - 低い灰分を有するプロピレン系ポリマーおよび方法 - Google Patents

低い灰分を有するプロピレン系ポリマーおよび方法 Download PDF

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Abstract

本開示は、誘電性フィルムとして使用するための、低い合計灰分を有する洗浄不要型プロピレン系ポリマーを製造するための方法を提供する。プロピレン系ポリマーは、置換フェニレン芳香族ジエステルを含み、電気的デバイス用の誘電性材料として適している。

Description

本開示は、低い合計灰分を有するプロピレン系ポリマー、このポリマーを製造するための方法、およびこのポリマーを含むデバイスを提供する。
触媒残留物は、誘電性ポリマーフィルムの特性に悪影響する。例えば、従来のプロピレン系ポリマーは、典型的には、触媒残渣を除去して合計灰分を低下させるために、誘電性材料としての施用の前に洗浄される。しかしながら、洗浄は高価で時間のかかるものであり、さらなる加工資源も必要とする。
当分野では、誘電体用途向けの低い合計灰分を有するプロピレン系ポリマーに対する必要性を認識している。洗浄手順を必要としないながらも許容されるほどに少ない触媒残留物を依然として示す、誘電性材料としての使用のための低い合計灰分を有するプロピレン系ポリマーが、さらに所望されている。
本開示は方法を提供する。一実施形態では、重合条件下で、プロピレンと、任意選択により1つまたは複数のコモノマーとを、置換フェニレン芳香族ジエステルを含む触媒組成物と接触させることを含む、プロピレン系ポリマーを製造するための方法が提供される。この方法は、40ppm未満または30ppm未満の合計灰分を有する洗浄不要型プロピレン系ポリマー(wash-free propylene-based polymer)を形成することを含む。
一実施形態では、本方法は、洗浄不要型プロピレン系ポリマーを二軸配向して、2ミクロンから20ミクロンまでの厚さを有するフィルムにすることを含む。二軸配向フィルムは、40ppm未満または30ppm未満の合計灰分を有する。
本開示は、フィルム、およびこのフィルムを製造するための方法を提供する。一実施形態では、本フィルムは、洗浄不要型プロピレン系ポリマーを含む。洗浄不要型プロピレン系ポリマーは、置換フェニレン芳香族ジエステルを含む。洗浄不要型プロピレン系ポリマーは、40ppm未満または30ppm未満の合計灰分を有する。
一実施形態では、本フィルムは、6.0wt%未満のキシレン可溶物含量を有する。
一実施形態では、本フィルムは、2ミクロンから20ミクロンまでの厚さ、およびDIN IEC243−2に従って測定されたときに620KV/mmから720KV/mmまでの絶縁耐力を有する。
本開示は、デバイス、およびこのデバイスを製造するための方法を提供する。一実施形態では、デバイスは、電気部品、および電気部品と動作可能に連通しているプロピレン系ポリマーを含む。プロピレン系ポリマーは、置換フェニレン芳香族ジエステルを含む。
一実施形態では、プロピレン系ポリマーは、洗浄不要型プロピレン系ポリマーである。さらなる実施形態では、洗浄不要型プロピレン系ポリマーは、40ppm未満または30ppm未満の合計灰分を含む。
一実施形態では、電気部品は、変圧器、コンデンサ、スイッチ、調整器、回路遮断器、リクローザ、流体充填式伝送線およびそれらの組合せから選択される。
本開示の一利点は、低い合計灰分を有する洗浄不要型プロピレン系ポリマーを製造するための、置換フェニレン芳香族ジエステルを含む触媒を利用する、洗浄不要の方法である。
本開示の一利点は、低い合計灰分を有する洗浄不要型プロピレン系ポリマーから製造されたフィルムである、このフィルムは有利な誘電特性、特に高い絶縁耐力を有する。
本開示の一利点は、電気部品および誘電性フィルムを有するデバイスの提供である。誘電性フィルムは、置換フェニレン芳香族ジエステルを含有する、プロピレン系ポリマーからなる。誘電性フィルムは、40ppm未満または30ppm未満の合計灰分を有する、洗浄不要型プロピレン系ポリマーからなる。
1.方法
本開示は、低い合計灰分を有するオレフィン系コポリマーを製造するための方法を提供する。「オレフィン系ポリマー」という用語は、重合された形態において、ポリマーの合計重量に基づいて多数派の重量パーセントのオレフィンを含有する、ポリマーである。オレフィン系ポリマーには非限定的な例には、エチレン系ポリマーおよびプロピレン系ポリマーが挙げられる。
一実施形態では、オレフィン系ポリマーは、プロピレン系ポリマーである。本方法は、重合条件下で、プロピレンと、任意選択により1つまたは複数のコモノマーとを、触媒組成物と接触させることを含む。触媒組成物は、置換フェニレン芳香族ジエステルを含む。本方法は、40ppm未満または30ppm未満の合計灰分を有する、洗浄不要型プロピレン系ポリマーを形成することをさらに含む。
本明細書で使用されるとき、「重合条件」は、触媒組成物とオレフィンとの間での重合を促進して、所望のポリマーを形成するのに適した重合反応器の中での温度パラメーターおよび圧力パラメーターである。重合方法は、1個または2個以上の反応器中で稼働する、気相法、スラリー法またはバルク重合法であってよい。一実施形態では、オレフィンはプロピレンであり、任意選択によりエチレンである。
本明細書で使用されるとき、「触媒組成物」とは、重合条件下でオレフィンと接触したときにオレフィン系ポリマーを形成する組成物である。触媒組成物は、プロ触媒組成物および共触媒を含む。触媒組成物は、任意選択により、外部電子供与体および/または活性制限剤を含み得る。
プロ触媒組成物は、マグネシウム部分と、チタン部分と、内部電子供与体との組合せを含む。内部電子供与体は、置換フェニレン芳香族ジエステルを含む。プロ触媒組成物は、プロ触媒前駆体および置換フェニレン芳香族ジエステル供与体を、内部電子供与体が組み込まれているマグネシウム部分とチタン部分との組合せに変換するハロゲン化法によって生成される。プロ触媒組成物を形成するプロ触媒前駆体は、マグネシウム部分の前駆体、混合されたマグネシウム/チタン前駆体またはベンゾエート含有塩化マグネシウム前駆体であってよい。
一実施形態では、マグネシウム部分は、ハロゲン化マグネシウムである。別の実施形態では、ハロゲン化マグネシウムは、塩化マグネシウムまたは塩化マグネシウムアルコール付加体である。
一実施形態では、チタン部分は、塩化チタン等のハロゲン化チタンである。別の実施形態では、チタン部分は四塩化チタンである。
一実施形態では、プロ触媒組成物は、塩化チタンが堆積されておりかつ内部電子供与体が組み込まれている、塩化マグネシウム支持体を含む。
プロ触媒組成物の内部電子供与体は、置換フェニレン芳香族ジエステルを含む。本明細書で使用されるときの「置換フェニレン芳香族ジエステル」(または「SPAD」)という用語は、置換1,2−フェニレン芳香族ジエステル、置換1,3フェニレン芳香族ジエステルまたは置換1,4フェニレン芳香族ジエステルであり得る。
一実施形態では、置換フェニレン芳香族ジエステルは、以下の構造(I)を有した1,2−フェニレン芳香族ジエステルであり、
Figure 2014525969
式中、R〜R14は同じでありまたは異なる。R〜R14のそれぞれは、水素、1個から20個までの炭素原子を有する置換ヒドロカルビル基、1個から20個までの炭素原子を有する非置換ヒドロカルビル基、1個から20個までの炭素原子を有するアルコキシ基、ヘテロ原子、およびそれらの組合せから選択される。R〜R14のうち少なくとも1つは水素ではない。
本明細書で使用されるとき、「ヒドロカルビル」および「炭化水素」という用語は、水素原子と炭素原子のみを含む置換基を指し、分岐状種もしくは非分岐状種、飽和種もしくは不飽和種、環式種、多環式種、縮合種または非環式種、およびそれらの組合せを含める。ヒドロカルビル基の非限定的な例には、アルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基、アルカジエニル基、シクロアルケニル基、シクロアルカジエニル基、アリール基、アラルキル基、アルキルアリール基およびアルキニル基が挙げられる。
本明細書で使用されるとき、「置換ヒドロカルビル」および「置換炭化水素」という用語は、1つまたは複数の非ヒドロカルビル置換基により置換されたヒドロカルビル基を指す。非ヒドロカルビル置換基の非限定的な例は、ヘテロ原子である。本明細書で使用されるとき、「ヘテロ原子」とは、炭素または水素以外の原子を指す。ヘテロ原子は、周期表のIV族、V族、VI族およびVII族の非炭素原子であり得る。ヘテロ原子の非限定的な例には、ハロゲン(F Cl、Br、I)、N、O、P、B、SおよびSiが挙げられる。置換ヒドロカルビル基はまた、ハロヒドロカルビル基およびケイ素含有ヒドロカルビル基も含む。本明細書で使用されるとき、「ハロヒドロカルビル」基という用語は、1つまたは複数のハロゲン原子により置換されたヒドロカルビル基を指す。本明細書で使用されるとき、「ケイ素含有ヒドロカルビル基」という用語は、1つまたは複数のケイ素原子により置換されたヒドロカルビル基である。ケイ素原子(複数可)は炭素鎖中にあってもよいし、なくてもよい。
一実施形態では、R〜Rのうち少なくとも1つ(または2つ、または3つ、または4つ)のR基(複数可)は、1個から20個までの炭素原子を有する置換ヒドロカルビル基、1個から20個までの炭素原子を有する非置換ヒドロカルビル基、1個から20個までの炭素原子を有するアルコキシ基、ヘテロ原子、およびそれらの組合せから選択される。
一実施形態では、SPADは、3−メチル−5−tert−ブチル−1,2−フェニレンジベンゾエートである。適切なSPADのさらなる非限定的な例は、実施例の節の中の表2において提供されている。
触媒組成物は共触媒を含む。本明細書で使用されるとき、「共触媒」とは、プロ触媒を活性重合触媒に変換できる物質である。共触媒は、アルミニウム、リチウム、亜鉛、スズ、カドミウム、ベリリウム、マグネシウムおよびそれらの組合せの水素化物、アルキルまたはアリールを含み得る。一実施形態では、共触媒は、式RAlにより表されるヒドロカルビルアルミニウム共触媒であり、式中、各Rは、アルキルラジカル、シクロアルキルラジカル、アリールラジカルまたは水素化物ラジカルであり、少なくとも1つのRは、ヒドロカルビルラジカルであり、2個または3個のRラジカルが、複素環構造を形成している環状ラジカル内に結合することができ、各Rは同じであってもよいし、または異なっていてもよく、各Rはヒドロカルビルラジカルであり、1個から20個までの炭素原子、好ましくは1個から10個までの炭素原子を有する。さらなる実施形態では、各アルキルラジカルは、直鎖状であってもよいし、または分岐鎖であってもよく、このようなヒドロカルビルラジカルは、混合されたラジカルであってよく、すなわち、このラジカルは、アルキル基、アリール基および/またはシクロアルキル基を含み得る。適切なラジカルの非限定的な例は、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、ネオペンチル基、n−ヘキシル基、2−メチルペンチル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基、イソオクチル基、2−エチルヘキシル基、5,5−ジメチルヘキシル基、n−ノニル基、n−デシル基、イソデシル基、n−ウンデシル基、n−ドデシル基である。
適切なヒドロカルビルアルミニウム化合物の非限定的な例は、下記の通りである:トリイソブチルアルミニウム、トリ−n−ヘキシルアルミニウム、ジイソブチルアルミニウム水素化物、ジ−n−ヘキシルアルミニウム水素化物、イソブチルアルミニウム二水素化物、n−ヘキシルアルミニウム二水素化物、ジイソブチルヘキシルアルミニウム、イソブチルジヘキシルアルミニウム、トリメチルアルミニウム、トリエチルアルミニウム、トリ−n−プロピルアルミニウム、トリイソプロピルアルミニウム、トリ−n−ブチルアルミニウム、トリ−n−オクチルアルミニウム、トリ−n−デシルアルミニウム、トリ−n−ドデシルアルミニウム。一実施形態では、共触媒は、トリエチルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウム、トリ−n−ヘキシルアルミニウム、ジイソブチルアルミニウム水素化物、およびジ−n−ヘキシルアルミニウム水素化物から選択される。
一実施形態では、共触媒は、式RAlX3−nにより表されるヒドロカルビルアルミニウム化合物であり、式中、n=1または2であり、Rはアルキルであり、Xはハロゲン化物またはアルコキシドである。適切な化合物の非限定的な例は、下記の通りである:メチルアルミノキサン、イソブチルアルミノキサン、ジエチルアルミニウムエトキシド、塩化ジイソブチルアルミニウム、テトラエチルジアルミノキサン、テトライソブチルジアルミノキサン、塩化ジエチルアルミニウム、二塩化エチルアルミニウム、二塩化メチルアルミニウムおよび塩化ジメチルアルミニウム。
一実施形態では、共触媒は、トリエチルアルミニウムである。アルミニウムとチタンとのモル比は、約5:1から約500:1までであり、または約10:1から約200:1までであり、または約15:1から約150:1までであり、または約20:1から約100:1である。別の実施形態では、アルミニウムとチタンとのモル比は、約45:1である。
一実施形態では、触媒組成物は、外部電子供与体を含む。本明細書で使用されるとき、「外部電子供与体」とは、プロ触媒の形成とは独立に添加されかつ一対の電子を金属原子に供与できる少なくとも1個の官能基を含む化合物である。特定の理論に拘束されはしないが、外部電子供与体は、触媒立体選択性を増強する(すなわち、フォルマントポリマー(formant polymer)中のキシレン可溶材料を減少させる)と考えられている。
一実施形態では、外部電子供与体は、下記のうちの1つまたは複数から選択することができる:アルコキシシラン、アミン、エーテル、カルボキシレート、ケトン、アミド、カルバメート、ホスフィン、ホスフェート、ホスファイト、スルホネート、スルホンおよび/またはスルホキシド。
一実施形態では、外部電子供与体は、アルコキシシランである。アルコキシシランは、SiR(OR’)4−m(I)という一般式を有し、式中、Rは、出現毎に独立して、水素であり、または、任意選択により1個または複数の14族、15族、16族または17族ヘテロ原子を含む1つまたは複数の置換基により置換されるヒドロカルビル基もしくはアミノ基であり、前記Rは、水素およびハロゲンを数えずに最大20個の原子を含み、R’はC1〜4アルキル基であり、mは0、1、2または3である。一実施形態では、Rは、C6〜12アリール、アルキルもしくはアラルキル、C3〜12シクロアルキル、C3〜12分岐状アルキル、またはC3〜12環状または非環状アミノ基であり、R’はC1〜4アルキルであり、mは1または2である。適切なシラン組成物の非限定的な例には、ジシクロペンチルジメトキシシラン、ジ−tert−ブチルジメトキシシラン、メチルシクロヘキシルジメトキシシラン、メチルシクロヘキシルジエトキシシラン、エチルシクロヘキシルジメトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、ジイソプロピルジメトキシシラン、ジ−n−プロピルジメトキシシラン、ジイソブチルジメトキシシラン、ジイソブチルジエトキシシラン、イソブチルイソプロピルジメトキシシラン、ジ−n−ブチルジメトキシシラン、シクロペンチルトリメトキシシラン、イソプロピルトリメトキシシラン、n−プロピルトリメトキシシラン、n−プロピルトリエトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、ジエチルアミノトリエトキシシラン、シクロペンチルピロリジノジメトキシシラン、ビス(ピロリジノ)ジメトキシシラン、ビス(ペルヒドロイソキノリノ)ジメトキシシラン、およびジメチルジメトキシシランが挙げられる。一実施形態では、シラン組成物は、ジシクロペンチルジメトキシシラン(DCPDMS)、メチルシクロヘキシルジメトキシシラン(MChDMS)またはn−プロピルトリメトキシシラン(NPTMS)、およびそれらの任意の組合せである。
一実施形態では、外部電子供与体は、ジシクロペンチルジメトキシシランである。別の実施形態では、外部電子供与体は、n−プロピルトリメトキシシランである。
一実施形態では、外部供与体は、少なくとも2つのアルコキシシランの混合物であり得る。さらなる実施形態では、この混合物は、ジシクロペンチルジメトキシシランとメチルシクロヘキシルジメトキシシランであってよく、ジシクロペンチルジメトキシシランとテトラエトキシシランであってよく、または、ジシクロペンチルジメトキシシランとn−プロピルトリエトキシシランであってよい。
一実施形態では、外部電子供与体は、下記のうちの1つまたは複数から選択される:ベンゾエート、スクシネートおよび/またはジオールエステル。一実施形態では、外部電子供与体は、2,2,6,6−テトラメチルピペリジンである。別の実施形態では、外部電子供与体は、ジエーテルである。
一実施形態では、触媒組成物は、活性制限剤(ALA)を含む。本明細書で使用されるとき、「活性制限剤(activity limiting agent)」(「ALA」)とは、高温(すなわち、約85℃より高い温度)において触媒活性を低下させる材料である。ALAは、重合反応器が狂ってしまうのを阻止または予防して、重合プロセスの連続性を確保する。典型的には、チーグラー−ナッタ触媒の活性は、反応器温度が上昇するにつれて増大する。チーグラー−ナッタ触媒はまた、典型的には、生成されたポリマーの融点温度の近くで高い活性を維持する。発熱重合反応により発生した熱により、ポリマー粒子が凝集物を形成し得、最終的には、ポリマー生成プロセスの連続性の途絶につながる恐れがある。ALAは、高温において触媒活性を低下させることにより、反応器が狂ってしまうのを予防し、粒子凝集を低下させて(または予防して)、重合プロセスの連続性を確保する。
活性制限剤は、カルボン酸エステル、ジエーテル、ポリ(アルケングリコール)、ジオールエステルおよびそれらの組合せであってよい。カルボン酸エステルは、脂肪族または芳香族のモノ−またはポリカルボン酸エステルであってよい。適切なモノカルボン酸エステルの非限定的な例には、エチルベンゾエートおよびメチルベンゾエート、エチルp−メトキシベンゾエート、メチルp−エトキシベンゾエート、エチルp−エトキシベンゾエート、エチルアクリレート、メチルメタクリレート、エチルアセテート、エチルp−クロロベンゾエート、ヘキシルp−アミノベンゾエート、イソプロピルナフテネート、n−アミルトルエート、エチルシクロヘキサノエートならびにプロピルピバレートが挙げられる。
適切なポリカルボン酸エステルの非限定的な例には、ジメチルフタレート、ジエチルフタレート、ジ−n−プロピルフタレート、ジイソプロピルフタレート、ジ−n−ブチルフタレート、ジイソブチルフタレート、ジ−tert−ブチルフタレート、ジイソアミルフタレート、ジ−tert−アミルフタレート、ジネオペンチルフタレート、ジ−2−エチルヘキシルフタレート、ジ−2−エチルデシルフタレート、ジエチルテレフタレート、ジオクチルテレフタレートおよびビス[4−(ビニルオキシ)ブチル]テレフタレートが挙げられる。
脂肪族カルボン酸エステルは、C〜C30脂肪族酸エステルであってよく、モノ−またはポリ−(2つ以上)エステルであってよく、直鎖状であってもよいし、または分岐状であってもよく、飽和または不飽和、およびそれらの任意の組合せであってもよい。C〜C30脂肪族酸エステルはまた、置換基を含む1個または複数の14族、15族または16族のヘテロ原子により置換されていてもよい。適切なC〜C30脂肪族酸エステルの非限定的な例には、脂肪族C4〜30モノカルボン酸のC1〜20アルキルエステル、脂肪族C8〜20モノカルボン酸のC1〜20アルキルエステル、脂肪族C4〜20モノカルボン酸およびジカルボン酸のC1〜4アリルモノ−およびジエステル、脂肪族C8〜20モノカルボン酸およびジカルボン酸のC1〜4アルキルエステル、ならびに、C2〜100(ポリ)グリコールまたはC2〜100(ポリ)グリコールエーテルのC4〜20モノ−またはポリカルボキシレート誘導体が挙げられる。さらなる実施形態では、C〜C30脂肪族酸エステルは、ミリステート、セバケート、(ポリ)(アルキレングリコール)モノ−またはジアセテート、(ポリ)(アルキレングリコール)モノ−またはジミリステート、(ポリ)(アルキレングリコール)モノ−またはジラウレート、(ポリ)(アルキレングリコール)モノ−またはジオレエート、グリセリルトリ(アセテート)、C2〜40脂肪族カルボン酸のグリセリルトリエステル、およびそれらの混合物であってよい。さらなる実施形態では、C〜C30脂肪族エステルは、イソプロピルミリステートまたはジ−n−ブチルセバケートである。
本方法は、40ppm未満または30ppm未満の合計灰分を有する、洗浄不要型プロピレン系ポリマーを形成する。本明細書で使用されるときの「洗浄不要型」または「洗浄不要型プロピレン系ポリマー」という用語は、それにより、フォルマントプロピレン系ポリマーから触媒残留物を除去するために洗浄剤が施用されなくなり、かつ/または洗浄塔が利用されなくなる、ポリマーである。重合完了のとき(すなわち急冷後)、従来のプロピレン系ポリマーは、典型的には、ポリマーから触媒残留物を除去するために、炭化水素、アルコールまたは四塩化炭素等の洗浄剤によって洗浄される(かつ/または洗浄塔を通過する)。対照的に、本洗浄不要型プロピレン系ポリマーは、重合後に(i)洗浄手順、(ii)洗浄剤または(iii)洗浄塔により処理されない。本方法は、40ppm未満、もしくは30ppm未満、もしくは0ppmの合計灰分、または、0ppm超、もしくは2ppm超、もしくは5ppm超から30ppm未満、もしくは25ppm未満、もしくは20,ppm未満、もしくは15ppm未満、もしくは10ppm未満の合計灰分を有する、洗浄不要型プロピレン系ポリマーを形成する。「合計灰分」という用語は、フォルマントプロピレン系ポリマー中に存在するAl、Ti、MgおよびClの、百万分率(ppm)における総量である。
出願人は、内部電子供与体として置換フェニレン芳香族ジエステル(SPAD)を有する触媒組成物が、予想外なことに、従来の触媒システムと比較したとき、最終的なポリマー製品中の合計灰分を低下させることを発見した。本SPAD含有触媒組成物による合計灰分の低下は、洗浄ステップが不要になるほどに劇的である。特定の理論に拘束されはしないが、触媒組成物中のSPADの存在が、触媒活性を増大させると考えられている。触媒活性の増大は、プロピレン(および任意選択によるコモノマー)を重合してプロピレン系ポリマーを形成するために必要される触媒組成物が少なくなる。必要とされる出発触媒が少なくなると、フォルマントポリマー中の触媒残留物が顕著に減少する。触媒組成物の量の低下により、フォルマントプロピレン系ポリマー中の触媒残留物の量が低下し、それにより、ポリマー中の合計灰分が低下する。このようにして、触媒組成物中へのSPADの供給は、フォルマントプロピレン系ポリマーを洗浄する必要性を回避または消滅することにより、「洗浄不要型プロピレン系ポリマー」を生じさせる。
本洗浄不要型プロピレン系ポリマーにより、従来のプロピレン系ポリマーによって実施されていた、反応器後の洗浄ステップが無くなる。したがって、本洗浄不要型プロピレン系ポリマーは、有利なことに、洗浄ステップを施される従来のプロピレン系ポリマーより、生成するために必要とされるエネルギーが少なく、費用効果があり、高い生産効率を示す。
一実施形態では、本方法は、0ppm、または0ppm超、または2ppm、または5ppmから10ppm、または8ppmまでのアルミニウムを含んだ、洗浄不要型プロピレン系ポリマーを形成することを含む。
一実施形態では、本方法は、0ppm、または0ppm超、または2ppm、または5ppmから10ppm、または8ppmまでの塩素を含んだ、洗浄不要型プロピレン系ポリマーを形成することを含む。
一実施形態では、本方法は、0ppm、または0ppm超、または2ppm、または5ppmから10ppm、または8ppmまでのマグネシウムを含んだ、洗浄不要型プロピレン系ポリマーを形成することを含む。
一実施形態では、本方法は、0ppm、または0ppm超、または2ppm、または5ppmから10ppm、または8ppmまでのチタンを含んだ、洗浄不要型プロピレン系ポリマーを形成することを含む。
アルミニウム、塩素、マグネシウムおよびチタンの総量は、40ppm未満または30ppm未満であると理解されている。
SPAD含有プロピレン系ポリマーは、洗浄することができる。洗浄されるとき、SPAD含有プロピレン系は、並外れて低い合計灰分を示し、または合計灰分を示さない。一実施形態では、本方法は、SPAD含有プロピレン系ポリマーを洗浄すること、および、10ppm未満の合計灰分、または0ppm、もしくは0ppm超、もしくは2ppm、もしくは3ppm、もしくは4ppmから10ppm未満、もしくは8ppm、もしくは5ppmまでの合計灰分を有する、プロピレン系ポリマーを形成することを含む。
一実施形態では、本方法は、2.0wt%、または2.5wt%、または3.0wt%から6.0wt%、または6.0wt%未満、または5.5wt%、または5.0wt%、または4.5wt%、または4.0wt%までのキシレン可溶物含量を有する、洗浄不要型プロピレン系ポリマーを形成することを含む。
一実施形態では、本方法は、0.5g/10分、または1.0g/10分、または1.5g/10分、または2.0g/10分、または2.5g/10分から4.0g/10分、または3.5g/10分、または3.0g/10分までのメルトフローレートにより、洗浄不要型プロピレン系ポリマーを形成することを含む。
一実施形態では、本方法は、重合条件下でSPAD含有触媒をプロピレンモノマーと接触させること、および洗浄不要型プロピレンホモポリマーを形成することを含む。
一実施形態では、本方法は、重合条件下でプロピレンとエチレンとを、SPADを含有する触媒組成物と接触させること、および、40ppm未満または30ppm未満の合計灰分を有する洗浄不要型プロピレン/エチレンコポリマーを形成することを含む。プロピレン/エチレンコポリマーは、プロピレン系ポリマーについて上記の合計灰分および/または触媒残留物含量を有する。
一実施形態では、洗浄不要型プロピレン/エチレンコポリマーは、0.1wt%または0.5wt%から1.0wt%までのエチレン含量を有する。
一実施形態では、本方法は、プロピレン系ポリマーを二軸配向すること、および、2ミクロンまたは4ミクロンから20ミクロン、または10ミクロン、または8ミクロン、または6ミクロンまでの厚さを有するフィルムを形成することを含む。二軸配向フィルムは、0ppm、または0ppm超、または2ppm、または5ppmから40ppm未満、または30ppm未満、または20ppm未満、または15ppm未満、または10ppm未満までの合計灰分を有する。
本プロピレン系ポリマーは、本明細書で開示されている2つ以上の実施形態を含み得る。
2.フィルム
本方法は、洗浄不要型プロピレン系ポリマーを有するフィルムを形成することを含む。一実施形態では、フィルムは、置換フェニレン芳香族ジエステルを含有する本洗浄不要型プロピレン系ポリマー、および40ppm未満または30ppm未満の合計灰分を含む。フィルムは、2ミクロンまたは4ミクロンから20ミクロン、または10ミクロン、または8ミクロン、または6ミクロンまでの厚さを有する。フィルムは、40ppm未満または30ppm未満の合計灰分を有する。一実施形態では、フィルムは、0ppmから、または0ppm超、または2ppm、または5ppmから30ppm未満、または25ppm、または20,ppm、または15ppm、または10ppmまでの合計灰分を有する。
「フィルム」という用語は、長さ寸法および幅寸法を有しかつある厚さをそれらの間に有した2つの主要面を有する、シート、層もしくはウェブ等であり、またはそれらの組合せである。フィルムは、(ただ1つの層を有する)単層フィルムまたは(2つ以上の層を有する)多層フィルムであってよい。一実施形態では、フィルムは、2ミクロンから20ミクロンまでの厚さを有した、単層フィルムである。
フィルム成形プロセスは、下記の手法のうちの1つまたは複数を含み得る:押出、共押出、キャスト押出、ブローンフィルム成形、ダブルバブルフィルム成形(double bubble film formation)、テンターフレーム法(tenter frame technique)、カレンダー法、コーティング、浸漬コーティング、スプレーコーティング、ラミネート法、二軸配向、射出成形、熱成形、圧縮成形および前記の任意の組合せ。
一実施形態では、本方法は、多層フィルムを形成することを含む。「多層フィルム」という用語は、2つ以上の層を有するフィルムである。多層フィルムの層どうしは、下記の非限定的なプロセスの1つまたは複数によって接合される:共押出、押出コーティング、気相蒸着コーティング、溶媒コーティング、エマルションコーティングまたは懸濁液コーティング。
一実施形態では、フィルムは、押出フィルムを形成することを含む。「押出」および「押出する」および同様の用語は、溶融した可塑性材料がダイの中を通るように仕向け、任意選択により冷却または化学的硬化が後続する、連続的形状を形成するためのプロセスである。ダイの中を通る押出の直前に、比較的高い粘度のポリマー材料が回転スクリューの中に供給され、この回転スクリューにより、ポリマー材料がダイの中を通るように仕向けられる。押出機は、単軸スクリュー押出機、多軸スクリュー押出機、ディスク押出機またはラム押出機であってよい。ダイは、フィルムダイ、ブローンフィルムダイ、シートダイ、パイプダイ、チュービングダイまたは異形押出ダイであってよい。押出品の非限定的な例には、パイプ、フィルムおよび/または繊維が挙げられる。
一実施形態では、プロセスは、共押出フィルムを形成することを含む。「共押出」および同様の用語は、押出物が合流または密着して積層構造になるように配設された2個以上の開口部を有した単一のダイの中を通して、2つ以上の材料を押出するためのプロセスである。共押出された層の少なくとも1つは、本洗浄不要型プロピレン系ポリマーを含む。共押出は、その他のプロセスの一態様として、例えば、フィルムブローイングプロセス、フィルムキャスティングプロセスおよび押出コーティングプロセス中に用いることもできる。
一実施形態では、プロセスは、ブローンフィルムを形成することを含む。「ブローンフィルム」および同様の用語は、ポリマーフィルムを延伸するために、空気または別のガスで満たされた気泡を形成するようにポリマーまたはコポリマーが押出されるプロセスによって製造されるフィルムである。次いで、気泡が崩壊して、フラットフィルム形態において収集される。
一実施形態では、フィルムは4ミクロン未満の厚さを有し、合計灰分は、15ppm未満であり、または、0ppm超、もしくは2ppm、もしくは5ppmから15ppm未満、もしくは10ppm、もしくは8ppmまでである。
一実施形態では、本方法は、二軸配向フィルムを形成することを含む。「二軸配向フィルム」とは、縦方向と横方向の両方に延伸されたフィルムである。二軸配向フィルムは、2ミクロンまたは4ミクロンから20ミクロン、または10ミクロン、または8ミクロン、または6ミクロンまでの厚さを有する。二軸配向フィルムは、40ppm未満の合計灰分、または30ppm未満の合計灰分、または、0ppm超、もしくは2ppm、もしくは5ppmから30ppm未満、もしくは25ppm、もしくは20,ppm、もしくは15ppm、もしくは10ppm、もしくは8ppmまでの合計灰分を有する。
一実施形態では、フィルムは二軸配向されており、2ミクロンから20ミクロンまでの厚さ、および620KV/mmから720KV/mmまでの絶縁耐力を有する。
本フィルムは、本明細書で開示されている2つ以上の実施形態を含み得る。
3.デバイス(Device)
本開示は、デバイス、およびこのデバイスを製造するための方法を提供する。デバイスは、電気部品、およびこの電気部品と動作可能に連通しているプロピレン系ポリマーを含む。プロピレン系ポリマーは、置換フェニレン芳香族ジエステルを含む。一実施形態では、プロピレン系ポリマーは、上記で開示されているように、30ppm未満の合計灰分を有する。
適切な電気部品の非限定的な例には、変圧器、コンデンサ、スイッチギア、送電部品、配電部品、スイッチ、調整器、回路遮断器、自動式リクローザ、もしくは同様の構成要素、流体充填式伝送線、および/またはそれらの組合せが挙げられる。
一実施形態では、本方法は、電気部品と動作可能に連通している洗浄不要型プロピレン系ポリマーを配置することを含む。本明細書で使用されるとき、「動作可能に連通している」とは、プロピレン系ポリマーを電気部品と接触できるようにしている構成および/または空間的関係である。それによる動作可能な連通は、下記の構成による洗浄不要型プロピレン系ポリマーと電気部品との間での直接的接触および/または間接的接触を含める:電気部品の中にあり、電気部品の上にあり、電気部品の周囲にあり、電気部品に隣接しており、電気部品に接触しており、(全体的または部分的に)取り囲んでおり 電気部品の中を通っており、かつ/または、電気部品に近接している洗浄不要型プロピレン系ポリマー。
一実施形態では、洗浄不要型プロピレン系ポリマーと電気部品との間での動作可能な連通は、洗浄不要型プロピレン系ポリマーで電気部品を被覆することにより得られる。電気部品は、洗浄不要型プロピレン系ポリマーで、全体的に被覆でき(完全に包み込むことができ)、または部分的に被覆できる(部分的にカバーすることができる)。
洗浄不要型プロピレン系ポリマーは、本明細書中で先に開示された任意のプロピレン系ポリマーである。洗浄不要型プロピレン系ポリマーは、置換フェニレン芳香族ジエステルを含有する。さらなる実施形態では、置換フェニレン芳香族ジエステルは、3−メチル−5−tert−ブチル−1,2−フェニレンジベンゾエートである。
一実施形態では、電気部品上に被覆された洗浄不要型プロピレン系ポリマーは、30ppm未満の合計灰分を有する。
一実施形態では、上記デバイスは、本洗浄不要型プロピレン系ポリマーがコンデンサ上にフィルムとして活用された、金属化ポリプロピレンフィルムコンデンサである。
一実施形態では、本方法は、電気部品上にフィルムを形成することを含む。フィルムは、電気部品と動作可能に連通している。フィルムは、洗浄不要型プロピレン系ポリマー、SPAD、および40ppm未満または30ppm未満の合計灰分を含む前記フィルムのいずれであってもよい。
フィルムと電気部品との間での動作可能な連通のための非限定的な構成には、(1)フィルムが電気部品の中(コンデンサの中等)の1つまたは複数の誘電性層(複数可)であり得ること、または、(2)フィルムが電気部品上のコーティングであり得ることが挙げられる。
一実施形態では、本方法は、電気部品すなわちコンデンサの上に、洗浄不要型プロピレン系ポリマーからなるフィルムを、このフィルムがコンデンサと動作可能に連通するように形成することを含む。フィルムは、2ミクロンから20ミクロンまでの厚さ、および40ppm未満または30ppm未満の合計灰分を有する。言い換えると、フィルムは、コンデンサの1つまたは複数の誘電性層(複数可)として活用されて、コンデンサの構成要素になっている。
一実施形態では、上記デバイスは、(i)電気部品、(ii)フィルムの形態の洗浄不要型プロピレン系ポリマー、および(iii)誘電性流体を備える。「誘電性流体」は、ASTM D1816(VDE電極、1mmギャップ)に従って測定されたときに20kVより大きい絶縁破壊、および/または、ASTM D924(60Hz、25℃)に従って測定されたときに0.2%未満かつ100℃(ASTM D924、60Hz)において4未満の誘電正接を有する、非導電性流体である。誘電性流体は、電気部品と動作可能に連通したとき、冷媒性および/または絶縁性を提供する。
一実施形態では、フィルムは、誘電性流体と接触する。したがって、フィルムと電気部品との間での動作可能な連通の非限定的な構成には、フィルムが、1つまたは複数の誘電性層(複数可)であり得ること、または、流体充填式または流体含漬式の電気的デバイス(コンデンサまたは変圧器等)のためのバリヤ層(複数可)であり得ることが挙げられる。
一実施形態では、誘電性流体は、植物油(トウモロコシ、大豆)、種子油(ヒマシ、ヒマワリ、菜種)、藻類油、微生物油(任意選択により遺伝子改変される)およびそれらの組合せであってよい。
一実施形態では、誘電性流体は、ハロゲン不含誘電性流体である。ハロゲン不含誘電性流体は、SPAD含有フィルムと接触している。
本デバイスは、本明細書で開示されている2つ以上の実施形態を含み得る。
定義
逆の記載がない限り、文脈から示唆されない限り、または当分野において慣例でない限り、すべての部およびパーセントは重量に基づいており、すべての試験方法は、本開示の出願日のときに現行のものである。米国特許の実務のために、参照した特許、特許出願または特許公報のいずれの内容も、特に、(本開示において具体的に提供されたいずれの定義とも矛盾しない程度の)定義の開示および当分野における一般的知識に関して、参照によりそれらの全体が組み込まれている(または、その等価な米国版が参照によりそのように組み込まれている)。
本開示における数値範囲は概算であり、したがって、そうでないと示されていない限り、範囲の外側の値を含み得る。数値範囲は、任意の下限値と任意の上限値との間に少なくとも2単位の間隔があることを条件にして、1単位の増加において、下限値と上限値を含む上限値から上限値までのすべての値を含む。一例として、組成的特性、物理的特性、または、例えば分子量等のようなその他の特性が100から1,000までであるならば、100、101、102等、および100から144まで、155から170まで、197から200まで等のような部分範囲といった、すべての個々の値が、明示的に列挙されている。1未満の値または1より大きい分数(例えば、1.1、1.5等)を含む値を包含する範囲に関しては、1単位は適宜、0.0001、0.001、0.01または0.1であるとみなされる。10未満の1桁の数(例えば、1から5まで)を含む範囲に関しては、1単位は、一般的に0.1であるとみなされる。これらは、具体的に意図されているものの例にすぎず、列挙された下限値から上限値の間の数値に関してあり得るすべての組合せは、本開示において明示的に記載されたとみなすべきである。数値範囲は、本開示の中では、とりわけ組成物のパーセントに関して提供されている。
「組成物」、「製剤」および同様の用語は、2つ以上の構成要素の混合物またはブレンドである。ケーブル用シースまたはその他の製造物品を製作する材料の混合物またはブレンドについての文脈において、組成物は、混合物のすべての構成要素、例えば、ポリプロピレン、ポリエチレンコポリマー、金属水和物、および、硬化触媒、抗酸化剤、難燃剤等のような任意のその他の添加剤を含める。
「備える」、「含む」、「有する」および同様の用語は、あらゆるさらなる構成要素、ステップまたは手順の存在を、それらが具体的に開示されているか否かに関わらず、排除することを意図されていない。いかなる疑義も避けるために、「備える」という用語の使用により請求されたすべてのプロセスは、逆の記載がない限り、1つもしくは複数のさらなるステップ、設備もしくは構成部品、および/または材料を含み得る。対照的に、「から本質的になる」という用語は、後続するいかなる列挙の範囲からも、実現可能性に関して本質的でないものを除いて、その他のあらゆる構成要素、ステップまたは手順を除外する。「からなる」という用語は、具体的に記述または列挙されていない、あらゆる構成要素、ステップまたは手順を排除する。逆の記載がない限り、「または」という用語は、列挙された構成員について個別ならびに任意の組合せにおいて言及する。
本明細書で使用されるときの「エチレン系ポリマー」という用語は、(ポリマー性モノマーの合計量に基づいて)多数派の重量パーセントの重合されたエチレンモノマーを含み、任意選択により、少なくとも1つの重合されたコモノマーも含み得るインターポリマーである。
「インターポリマー」とは、少なくとも2つの異なる種類のモノマーの重合により調製されたポリマーである。この普遍的用語は、2つの異なる種類のモノマーから調製されるポリマーであるコポリマー、および2つ以上の異なる種類のモノマーから調製されるポリマー、例えばターポリマー、テトラポリマー等を含む。
「ポリマー」は、同じ種類か異なる種類かに関わらず、モノマーの重合により調製されたポリマー化合物である。したがって、ポリマーという普遍的用語は、ただ1種類のモノマーから調製されたポリマーであるホモポリマーという用語、および、以下で規定されているインターポリマーという用語を包摂する。
「ポリオレフィン」、「PO」および同様の用語は、単純なオレフィンに由来したポリマーである。多数のポリオレフィンは熱可塑性物質であり、本開示の目的に関してはゴム相を含み得る。代表的なポリオレフィンには、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン、ポリイソプレンおよびそれらの様々なインターポリマーが挙げられる。
本明細書で使用されるときの「プロピレン系ポリマー」という用語は、(重合性モノマーの合計量に基づいて)多数派の重量パーセントの重合されたプロピレンモノマーを含み、任意選択により少なくとも1つの重合されたコモノマーを含む、インターポリマーである。
本明細書で使用されるときの「プロピレン/エチレンコポリマー」という用語は、(重合性モノマーの合計量に基づいて)多数派の重量パーセントの重合されたプロピレンモノマーを含み、重合されたエチレンを含む、インターポリマーである。
試験方法
13C NMR特性決定(エチレン含量、ケーニッヒB値、トライアド分布、トライアド立体規則性、エチレンおよびプロピレンに関した数平均配列長(すなわち、それぞれleおよびlp)が、下記のようにして実施される。
試料調製
試料は、0.025MのCr(AcAc)を含有するテトラクロロエタン−d/オルトジクロロベンゼンの約2.7gの50/50混合物を、Norell 1001−7 10mmNMRチューブ中の0.20gの試料に加えることによって調製される。試料は、加熱ブロックおよびヒートガンを使用して、チューブおよびその内容物を150℃に加熱することによって溶解され、均質化される。各試料は、均質性を確保するために目視により検査される。
データ取得パラメーター
データは、Bruker Dual DUL高温用CryoProbeを備えた、Bruker400MHz分光計を使用して収集される。データは、データファイル1個当たり1280個のトランジェント、6秒のパルス繰り返し遅延、90度のフリップ角、および、120℃の試料温度を用いた逆ゲートデカップリングを使用して取得される。すべての測定は、ロックモードにおいて非回転試料について行われる。試料は、データ取得前に7分間、熱平衡するままにしておく
絶縁耐力は、絶縁材料がその絶縁特性の減退を被ることなく耐えきることができる、電界強度の尺度である。絶縁耐力は、DIN IEC243−2に従って測定される
ポリプロピレンのためのゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)分析法。ポリマーは、屈折率検出器および4個のPLgel Mixed−A(20μm)カラム(Polymer Laboratory Inc.)を備えた、PL−220シリーズ高温ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)装置によって分析される。オーブン温度は150℃に設定され、オートサンプラーのホットゾーンおよびウォームゾーンの温度は、それぞれ135℃および130℃である。溶媒は、約200ppmの2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール(BHT)を含有する、窒素パージした1,2,4−トリクロロベンゼン(TCB)である。流量は1.0mL/分であり、注入量は200μlだった。2mg/mLの試料濃縮物が、Nパージして予備加熱されたTCB(200ppmのBHTを含有する)中に試料を、160℃において穏やかに撹拌しながら2.5時間かけて溶解させることによって調製される。
GPCカラムセットは、分子量分布が狭い20種のポリスチレン標準物質を流すことによって較正される。これらの標準物質の分子量(MW)は、580g/molから8,400,000g/molまでの範囲であり、これらの標準物質は、6種の「カクテル状」混合物の中に含まれていた。各標準物質混合物は、個々の分子量の間に少なくとも10の間隔がある。ポリスチレン標準物質は、1,000,000g/mol以上の分子量に関しては、20mLの溶媒中で0.005gにおいて調製され、1,000,000g/mol未満の分子量に関しては、20mLの溶媒中で0.001gにおいて調製される。ポリスチレン標準物質は、撹拌しながら150℃において30分かけて溶解される。上記の狭い標準物質の混合物を最初に、かつ最大分子量の構成要素から減少していく順序で流して、分解作用を最小化する。対数的分子量較正は、溶離液体積の関数として四次の多項式当てはめを用いて行われる。等価なポリプロピレン分子量が、ポリプロピレンに関して報告されたマルク−ホウインク係数(Th.G. Scholte, N.L.J. Meijerink, H.M. Schoffeleers, and A.M.G. Brands, J. Appl. Polym. Sci., 29, 3763 - 3782 (1984))およびポリスチレン(E. P. Otocka, R. J. Roe, N. Y. Hellman, P. M. Muglia, Macromolecules, 4, 507 (1971))を含んだ下記式の使用によって計算され、
Figure 2014525969
式中、MppはPPと等価なMWであり、MPSはPSと等価なMWであり、PPおよびPSに関したマルク−ホウインク係数のlog Kおよびaの値は、以下の表1に列挙されている。
Figure 2014525969
イソタチシティーは、Bruker Dual DUL高温用CryoProbeを備えた、Bruker400MHz分光計を使用して測定される。データは、データファイル1個当たり320個のトランジェント、6秒のパルス繰り返し遅延(4.7sの遅延+1.3sの取得時間)、90度のフリップ角、および、120℃の試料温度を用いた逆ゲートデカップリングを使用して取得される。すべての測定は、ロックモードにおいて非回転試料について行われる。試料は、加熱された(125℃)NMR試料交換器内への挿入の直前に均質化され、データ取得前に7分間、プローブ内で熱平衡するままにしておかれる。13C NMR化学シフトは、21.90ppmにおいて、mmmmイソタクチックペンタドを内部基準とする。
アイゾット衝撃強さは、ASTM D256に従って測定される。
Liso(イソタクチックブロック長さ)は、下記式により規定されている:
(2mmmm/mmrr)+3。
メルトフローレート(MFR)は、プロピレン系ポリマーに関しては2.16kgの重りを用いて、ASTM D1238の試験方法に従って230℃において測定される。
分子量(Mn、MwおよびMz)およびMWD(Mw/MnおよびMz/Mw)は、GPCによって測定される。ポリスチレン標準物質が較正のために使用される。
オリゴマー含量は、室温において12時間かけて、5gのクロロホルムにより0.5gのポリマーを抽出することによって測定される。抽出物は、水素炎イオン化検出器(Agilent Technologies,Inc.、Wilmington、DE)付きのAgilent6890Gas Chromatographer内に注入される。カラムは、30m×0.25mmのi.d.の溶融シリカキャピラリー、0.25μMの膜厚のメチルシリコン(DB−1)である。オーブンは、50℃の初期温度において4分間稼働し、10℃/分において340℃になるようプログラムして30分間保たれる。オリゴマーの定量は、内部ヘキサデカン標準物質との比較により行われた。
多分散指数(PDI)は、180℃において稼働するTA Instruments製のRheometrics800円錐平板型レオメータを使用して、Ziechner and Patel、(1981) 「A Comprehensive Study of Polypropylene Melt Rheology」 Proc. of the 2nd World Congress of Chemical Eng.、Montreal、Canadaの方法を用いて測定される。この方法により、クロスオーバー弾性率(cross-over modulus)が測定され、PDIは、(パスカルにおいて)100,000/クロスオーバー弾性率と規定される。
合計灰分および残留元素含量は、ASTM D6247に従ったX線蛍光分光法によって測定される。
キシレン可溶物(XS)は、下記手法に従って測定される。0.4gのポリマーを、130℃における30分の撹拌により、20mlのキシレン中に溶解する。この溶液を次いで25℃に冷却し、30分後、不溶性ポリマー画分をろ別する。得られたろ液は、1.0ml/分において流れるTHF移動相を有するViscotek ViscoGEL H−100−3078カラムを使用して、フローインジェクションポリマー分析によって分析する。45℃において稼働する光散乱式検出器、粘度計式検出器および屈折率検出器を有する、Viscotek Model302 Triple Detector Arrayにカラムを連結する。機器較正は、Viscotek PolyCAL(商標)ポリスチレン標準物質によって維持された。
次に、いくつかの本開示の実施形態を、下記実施例において詳細に記述する。
1.置換フェニレン芳香族ジエステル
適切な置換フェニレン芳香族ジエステルの非限定的な例は、以下の表2において提供されている。
Figure 2014525969
Figure 2014525969
実施例1〜6プロ触媒
実施例1〜6は、チタン、マグネシウム、および内部電子供与体の3−メチル−5−tert−ブチル−1,2−フェニレンジベンゾエートからなるSPAD含有チーグラー−ナッタプロ触媒組成物によって製造される。
比較試料1(CS1)プロ触媒
CS1は、チタンマグネシウムおよび内部電子供与体のジ−イソブチルフタレートからなるチーグラー−ナッタプロ触媒組成物、SHAC(商標)310によって製造される。
2.重合
重合は、別個の注入を用いて、1ガロンオートクレーブ内の液体プロピレン中で実施される。外部電子供与体は、n−プロピルトリメトキシシラン(NPTMS)およびイソプロピルミリステートである。調質後、反応器には、1375gのプロピレン(実施例5〜6はプロピレンおよびエチレンを利用する)および所望の量の水素を装入して、62℃にする。外部電子供与体、0.27Mのトリエチルアルミニウムのイソオクタン溶液、および、(以下のデータ表において示されている)鉱物油中の適量の5.0wt%触媒スラリーを、室温において20分かけて同じバイアル中で予備混合し、次いで反応器中に装入し、続いて、高圧触媒注入ポンプを使用してイソオクタンによりフラッシングして、重合を開始する。発熱後、温度を67℃に制御する。運転時間は1時間である。
実施例1〜4は、SPAD含有チーグラー−ナッタプロ触媒組成物によって製造された、洗浄不要型プロピレンホモポリマーである。実施例5〜6は、SPAD含有プロ触媒組成物によって製造された、洗浄不要型プロピレン/エチレンコポリマーである。
CS1は、SHAC(商標)301プロ触媒組成物によって製造された、未洗浄のプロピレンホモポリマーである。
CS2は、Borealisから入手可能でBorclean HC318BFの商標で販売されている、洗浄済みプロピレンホモポリマーである。
実施例1〜6およびCS1〜2は、6〜8ミクロンの厚さを有する二軸配向フィルムに形成される。これらのフィルムは、実験室用延伸機により、155℃において二軸延伸を用いて製造される。
実施例および比較試料のすべては、600ppmのIrganox1010、1200ppmのIrgafos168および250ppmのDHT−4Aからなる、同じ添加剤パッケージを有する。
X線分析は、実施例における合計灰分を測定するために用いられる。
Figure 2014525969
表3は、未洗浄のCS1と比較したとき、洗浄不要な実施例1〜6が著しく低い合計灰分を有することを実証している。
洗浄不要な実施例1〜6は、洗浄されるプロピレンホモポリマーであるCS2と比較したとき、同等の合計灰分を有する。
ポリマー中のキシレン可溶物の減少は、合計灰分の上昇を起こす傾向がある。予想外なことに、実施例3および4は、低いキシレン可溶物含量(4.0wt%未満)を有しながらも、CS1において見受けられる合計灰分の20%しか示さない。
驚くべきことに、実施例E2およびE5は、CS1および/またはCS2のいずれかより高い絶縁耐力を有する。同様の合計灰分においては、実施例E2およびE5は洗浄不要であり、予想外なことに、洗浄されたプロピレンホモポリマーであるCS2より大きな絶縁耐力を有する。
本開示は、本明細書の中に含まれている実施形態および例示に限定されないが、下記請求項の範囲に含まれるような、それらの実施形態の一部および異なる実施形態の要素の組合せを含む実施形態の修正形態を包含することを特に意図されている。

Claims (11)

  1. 重合条件下でプロピレンと、任意選択により1つまたは複数のコモノマーとを、置換フェニレン芳香族ジエステルを含む触媒組成物と接触させること、および、
    30ppm未満の合計灰分を有する洗浄不要型プロピレン系ポリマーを形成することを含む、方法。
  2. 0ppmから10ppmまでのアルミニウム、0ppmから10ppmまでの塩素、0ppmから10ppmまでのマグネシウム、0ppmから10ppmまでのチタン、およびそれらの組合せからなる群より選択される特性を有する、洗浄不要型プロピレン系ポリマーを形成することを含む、請求項1に記載の方法。
  3. 6.0wt%未満のキシレン可溶物含量を有するプロピレン系ポリマーを形成することを含む、請求項1に記載の方法。
  4. プロピレンを、3−メチル−5−tert−ブチル−1,2−フェニレンジベンゾエートである置換フェニレン芳香族ジエステルを含む触媒組成物と接触させること、およびプロピレンホモポリマーを形成することを含む、請求項1に記載の方法。
  5. プロピレンとエチレンとを、3−メチル−5−tert−ブチル−1,2−フェニレンジベンゾエートである置換フェニレン芳香族ジエステルを含む触媒組成物と接触させること、およびプロピレン/エチレンコポリマーを形成することを含む、請求項1に記載の方法。
  6. プロピレン系ポリマーを二軸配向すること、および、2ミクロンから20ミクロンまでの厚さを有するフィルムを形成することを含む、請求項1に記載の方法。
  7. 2ミクロンから20ミクロンまでの厚さ、およびDIN IEC243−2に従って測定されたときに620KV/mmから720KV/mmまでの絶縁耐力を有するフィルムを形成することを含む、請求項1に記載の方法。
  8. 洗浄不要型プロピレン系ポリマーで電気部品を被覆することを含む、請求項1に記載の方法。
  9. 変圧器、コンデンサ、スイッチ、調整器、回路遮断器、リクローザ、流体充填式伝送線およびそれらの組合せからなる群より選択される電気部品を、洗浄不要型プロピレン系ポリマーで被覆することを含む、請求項1に記載の方法。
  10. 洗浄不要型プロピレン系ポリマーを含むフィルムを、電気部品上に形成することを含む、請求項1に記載の方法。
  11. 洗浄不要型プロピレン系ポリマーを含み、30ppm未満の合計灰分を有し、2ミクロンから20ミクロンまでの厚さを有するフィルムを、コンデンサ上に形成することを含む、請求項1に記載の方法。
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