そのため、本発明の課題は、操縦桿を用いたステアリングシステムにおける乗り心地を改善すること、及び、運転者の手の疲労現象を予防すること、である。
この課題は、請求項1に従う操作装置と、請求項6に従う車両のステアリングシステムのための方法と、によって解決される。更なる有利な実施の形態は、従属請求項に提案されている。更に、本発明にとって重要な特徴が、以下の説明及び図面において判明する。前記特徴は、単独の状態においても、様々な組み合わせにおいても、再度詳細に示されることなく、本発明にとって重要であり得る。制御要素を追加で設けることによって、及び、ステアリングシステムにとって決定可能なステアリング角が操縦桿の状態に従って、及び、当該制御要素の状態に従って決定されることによって、横方向走行は、もはや操縦桿の状態のみに依存するのではなく、当該制御要素の状態も考慮される。その結果、ステアリングシステムのためのステアリング角に影響を及ぼすための運転者のための追加の可能性が生じる。このことにより、操縦桿の操作のための選択の可能性がもたらされ、運転者の手の疲労が予防される。
前記操作装置の有利な実施の形態では、制御要素が操縦桿上に配置されている。運転者の手は、制御要素を操作する際に操縦桿上に留まるので、操縦桿の操作は有利に改善される。このことによって、安全性が高められ、同時に、操作の快適性が高められる。なぜなら、操縦桿は零点位置に存在し得て、車両の直進運転の際のわずかな修正を行うために、操縦桿は手の1本の指のみで操作される。このことにより、操縦桿の全体が動かされる必要はない。
前記操作装置の更なる別の実施の形態では、制御要素は、操縦桿の範囲のコンソール上に配置されている。この場合、(運転者の)手は操縦桿の範囲に当接してまたは当該範囲内にあり、制御要素は、手が置かれている場合、例えば1本の指で操作され得る。前述の実施の形態の場合と同じ利点が、操作の快適性と操作の安全性とに関して生じる。
更なる有利な実施の形態では、前記制御要素は、単一の自由度を有している。このことにより、制御要素の簡単な操作が有利に生じて、ステアリングシステムのためのステアリング角は、誤りなく、運転者によって予め決定され得る。
更なる有利な実施の形態では、制御要素には復帰機構が割り当てられている。前記復帰機構は、制御要素が当該制御要素のステアリング状態に対応する変位位置から零点位置に移動して戻るように、形成されている。制御要素が、運転者によって操作され、すなわち、変位位置にもたらされ、ひいてはステアリング状態にもたらされると、この状態がステアリング角に作用し、それがステアリングシステムに予め設定される。制御要素が操作されない場合、すなわち、運転者による力の作用がない場合、制御装置が零点位置に移動して戻ることによって、運転者は、制御要素の操作が直進走行の修正のみを結果として生じさせるということを運転者に伝える、力覚的な反応を得る。
前記方法の有利な実施の形態では、操縦桿は、基本的に零点位置にあり、制御要素は、基本的にステアリング位置にある。この場合、予め設定可能なステアリング角に対応する第3信号が、基本的に、制御要素のステアリング位置に従って形成される第2信号から決定される。前記操縦桿は、基本的に零点位置にあるので、前記操縦桿の状態に従って決定される第1信号は、この関連において、ステアリング角にとっては重要ではない。このことにより、有利には、前記制御要素のみが、予め設定されるステアリング角の修正のために移動されれば足り、前記操縦桿自身は零点位置に留まり得る。この実施の形態が、操作装置の第1作動方式に対応する。
前記操作装置の第2作動方式に対応する前記方法の更なる実施の形態では、前記操縦桿も前記制御要素もステアリング状態にある。この場合、第3信号は、基本的に、第1信号と第2信号とから決定される。その結果、好適には、前記操縦桿のステアリング状態と前記制御要素のステアリング状態とが重畳される。前記制御要素は、前記操縦桿によって予め設定されるステアリング角の修正のために設置され得て、それによって、操作装置の操作の快適性が高められる。
前記方法の有利な実施の形態では、第2信号の上り勾配の量(程度)、すなわち、時間当たりの第2信号の変化は、変化の閾値によって制限される。これにより、有利には、例えば前記操縦桿によって始動され得るようなより大きなステアリングプロセスが、前記制御要素によって当該ステアリングシステムによって実行されることが阻止される。
更なる有利な実施の形態では、前記第2信号は、閾値によって制限される。前述したように、前記制御要素は予め設定されるステアリング角の修正を実行するためだけに利用され得る、という利点が明らかである。
本発明の更なる特徴、適用可能性、及び利点は、図面の各図に示されている本発明の実施の形態についての後述の説明から明らかである。この場合に、全ての記述される特徴あるいは全ての図示される特徴は、特許請求の範囲やその遡及適用物の要旨に依存することなく、また、説明ないし図面内の表現ないし図に依存することなく、単独で、あるいは、任意の組み合わせで、本発明の対象を形成する。全ての図において、異なった実施の形態においても、同等機能のために同じ参照符号が利用される。
以下、本発明の例示的な実施の形態が、図面を参照して説明される。
図1は、操作装置4とステアリングシステム6とを有する概略ブロック2を示している。操作装置4とステアリングシステム6との間には、制御装置8がある。操作装置4は、ステアリングシステム6と制御システム8とを介して、車両、特には自動車の、ステアリングシステムに役立つ。操作装置4は、操縦桿10と制御要素12とを有する。
操縦桿10の状態に従って、第1信号14が決定される。制御要素12の状態に従って、第2信号16が決定される。操縦桿10の状態と制御要素12の状態とは、その時々の参照に関して、その時々の操縦桿10の位置ないしは制御要素12の位置に対応する。第1信号14と第2信号16とは、制御装置8の機能ブロック18にもたらされる。第3信号20は、第1信号14に従って、及び、第2信号16に従って、決定される。以下の図5では参照符号αで描かれるステアリング角は、機能ブロック18ないしは制御装置8を介して、第3信号20を用いて、ステアリングシステム6にもたらされ得る、ないしは、予め設定可能である。ステアリングシステム6は、図示されていない形態で、少なくとも一つのアクチュエータを有している。前記アクチュエータは、第3信号20に依存しており、その結果、予め設定されたステアリング角αに依存して、車両の少なくとも一つの車輪のステアリング位置を調整する。
操作装置4は、車両の運転手によって操作される。運転手は、例えば、操縦桿10の状態ないしは制御要素12の状態に影響を及ぼすことができる。操縦桿10の状態は、説明したように、例えば軸周りの旋回のような操縦桿10の位置に関する。制御要素12の状態は、例えば制御要素12の位置に対応する。操縦桿10の状態ないし位置に依存して、第1信号14が生成される。制御要素12の状態ないし位置に依存して、第2信号16が生成される。機能ブロック18は、第1信号14と第2信号16とから、第3信号20を決定する。
機能ブロック18には、不図示の形態で、更なる信号がもたらされ得る。例えば、第1信号14ないし第2信号16は、走行安全機能の意味で更なる信号によって重畳され得るが、一時的に、例えば危機的な走行状態では、考慮され得ない。第3信号20は、更なる機能ブロックあるいは前記機能ブロック18によって、第1信号14あるいは第2信号16から独立して生成される。別の実施の形態では、制御要素12は、制御要素12の状態が、制御要素12の位置に関連するのではなく、例えばタッチセンサの状態に関連する、というように実装され得る。信号14と信号16は、当然のことながら、制御装置8の機能ブロック18の代わりに、例えばアナログ回路によって、他の性質を持つ形態で、再結合され組み合わされ得る。
図2は、操縦桿10の概略側面図を示している。操縦桿10は、軸22に沿って延びている。操縦桿10は、人の手で操作するために設けられている。操縦桿10は、自由端34の方に、第1ボタン36、第2ボタン38及び制御要素12を有している。前記軸22は、更なる軸24、26と共に、三次元デカルト座標系を形成している。前記軸22の方向とは逆の線28の下方で、操縦桿10は、図示されていない割り当てられた軸受手段によって支持されており、少なくとも1自由度を有している。この自由度は、例えば、軸24の周りの旋回可能性に関係し得る。当然のことながら、当該自由度は、軸22あるいは軸26に関する旋回可能性にも関係し得る。当然のことながら、操縦桿10のための更なる運動モデルもまた、考慮可能である。操縦桿10は、複数の自由度も有し得る。操縦桿10の旋回のために、及び、操縦桿10の操作のために、領域30が設けられている。領域30には、操縦桿10の操作のために、人の手が方向32で導かれ、操縦桿10は、その手で握られる。
制御要素12は、図2では、回転ノブ(Drehrad)として構成されている。回転ノブとして構成された制御要素12は、両方向矢印42に従って回転軸40の周りを回転可能に支持されている。回転ノブとして構成された制御要素12は、更なる図示されていない復帰機構(応答機能)を有しており、当該図示されていない復帰機構(応答機能)は、回転ノブとして構成された制御要素12が例えば人の手の親指で変位した後で、常に基本的に零点位置に移動して戻る、というように形成されている。前記復帰機構(応答機能)は、例えば、一つあるいは複数のバネ要素によって構成され得る。あるいは、前記復帰機構(応答機能)は、例えばモータのようなアクティブな制御駆動部によって構成される。これにより、制御要素12に復帰機構(応答機能)が割り当てられ、復帰機構(応答機能)は、制御要素12が変位位置から零点位置に移動して戻る、というように形成される。制御要素12は、単一の自由度を有している。前記自由度は、両方向矢印42に従う回転軸40の周りの回転自由度である。制御要素12は、操縦桿10の自由端34の方に、操縦桿10の側方に配置されている。別の態様として、制御要素12は、操縦桿10の他の位置にも配置され得る。例えば軸22とは逆の自由端34上に配置され得る。
操縦桿10上に制御要素12が配置される代わりに、制御要素12は、操縦桿10のある範囲内、すなわち、コンソール上の操縦桿10の近くに配置され得る。この場合、制御要素12は、例えば休んでいる手の1本の指で届き得る操縦桿10のある範囲内に配置される。例えば、前記手は操縦桿10に方向32で導かれるので、図2及び図3に関して、制御要素12は、操縦桿10に関して、方向26とは逆の操縦桿10の側に、例えば人差し指で操作されるために配置され得る。操縦桿10に関係して方向24とは逆の制御要素12の配置の追加のアライメントの際、前記手は、操縦桿10を少なくとも部分的に包み込み得る。これにより、操縦桿10の素早く確実な操作が、対応するステアリング需要ないし対応する走行状況において、可能とされる。
図3は、更なる実施の形態における操縦桿10の概略側面図を示している。図3は、本質的に、制御要素12の実施の形態によってのみ、図2と異なっている。そのため、図2に関する実施の形態が、図3に本質的に転用可能である。図3における制御要素12は、操作部44を有しており、当該操作部44を介して制御要素12の位置が両方向矢印46に従って変化され得る。図3の制御要素12は、図4において詳細に説明される。
図4は、図3による制御要素12の実施の形態を示している。両矢印48に従って、制御要素12は、操作部44の操作を介して、回転軸50の周りを回転可能である。回転軸50は、図3に従う実施の形態では、操縦桿10のハウジングの内側にある。操縦桿10のハウジングの壁は、参照符号52で描かれている。そのため、図4に従う制御要素12は、単一の回転自由度を有している。
単一の回転自由度の代わりに、制御要素12は、単一の並進自由度を有していてもよい。制御要素12のこの代替的(選択的)な実施の形態では、例えば図3の側面図に示されるように、操作部44を有し得て、当該操作部44によって並進的にある軸に沿って、特には制御要素12の長手方向軸に沿って、移動され得る。この代替的(選択的)な実施の形態においては、制御要素12は、滑り要素としても表され得る。
図5は、参照符号αで示されたステアリング角の推移56に関する概略時系列図54を示している。時間軸tに沿って、時点58、60、62及び64が適用されている。ステアリング角αの軸に沿って、ステアリング角αは、基本的に車両の直線走行に対応する0度に適用されている。
ステアリング角αの推移56は、時点58までは、0度にとどまっている。この場合、操縦桿10は零点位置にあり、制御要素12も同様に零点位置にある。図1を参照して、第1信号14は、基本的に直線走行を示し、第2信号16も、同様に基本的に直線走行を示す。これに対応して、機能ブロック18が第3信号20を生成し、当該第3信号20は、基本的に時点58まで推移56に対応する。
推移56は、時点58から時点60まで上昇し、基本的に時点62まで一定のレベルにとどまり、時点62から時点64まで下降してステアリング角αが0度を通過する。時点58と時点60との間の範囲における推移56の上り勾配値(勾配の量(程度))は、基本的に、時点62と時点64との間の範囲における推移56の値(勾配の量(程度))に対応する。操縦桿10は、時点64まではそれまでと同じように零点位置にあるので、図1に基づく第1信号14は、基本的に0度のステアリング角αに対応する。その結果、操縦桿10の状態は、基本的に車両の直線走行に対応する。それに対して、制御要素12は、あるステアリング位置にあるので、図1に基づく第2信号は、基本的に0度ではないステアリング角に対応する。その結果、制御要素12は、少なくとも一時的に、あるステアリング状態にある。すなわち、図1に基づく第3信号20は、基本的に前記第2信号16から決定される、ないしは、基本的に前記第2信号16に従って決定される。
図1に従う前記第2信号16の上り勾配値(勾配の量(程度))、すなわち、時間当たりの前記第2信号16の変化、特には時間当たりの角変化、は、ある変化の閾値によって制限される。代替的(選択的)に、あるいは追加的に、図1に従う第2信号16の値は、ある閾値によって制限され得る。第1信号14には、前述の閾値より大きな値ないしは絶対値が採用され得る。第1信号14の上り勾配の値ないしは絶対値には、第2信号16に関する変化の閾値より大きな値が採用され得る。その結果、制御要素12は、特にステアリングシステム6に所与のステアリング角αに関する小さな修正を伝達するのに好適である。これに対して、ステアリング角αの大きな修正は、操縦桿10で与えられなければならない。
推移56は、時点64から、時点62と時点64との間の領域の推移の上り勾配値より大きな上り勾配値で、時点65まで下降する。時点65の後で、推移56は、基本的に一定値にとどまる。時点64までは、制御要素12のみが、あるステアリング状態にある。ここで、操縦桿10は、零点位置にとどまり、ステアリング状態にはない。これに対して時点64と時点65との間の領域では、操縦桿10はステアリング状態にあり、その結果、図1に従う第1信号14は、基本的に0度ではないステアリング角αのある値に対応する。時点64と時点65との間の領域では、制御要素12もステアリング状態にあり、その結果、図1に従う第2信号16は、基本的に0度ではないステアリング角に対応する。図1に従う機能ブロック18は、第1信号14と第2信号16とが重畳されて時点64と時点65との間の推移56が生ずる、ということを保証する。操縦桿10は、時点64と時点65との間の領域では、ステアリング状態になければならない。なぜなら、制御要素12のステアリング状態は、操縦桿10のステアリング状態と比べて、限定された影響のみをステアリング角αに与えるからである。特にはステアリング角αの推移の勾配あるいはステアリング角αの値は、制御要素12の状態に依存して制限される。制御要素12のみの操作では、時点62と時点64との間では、コーナリングに関する走行状況にもはや適さないので、時点64の後では、同様に操縦桿10が操作され、そのステアリング位置に移行されなければならない。
説明された内容の代わりに、時点64と時点65との間で制御要素12が零点位置にあり得る、及び/または、第2信号16が時点64と時点65との間で第3信号20の決定の際に考慮されないかもしれない。この代替的な実施の形態によれば、操縦桿10のステアリング状態での制御要素12の状態は、考慮されない。
図1に従う信号16の決定に関しては、とりわけ、二つの可能性がある。以下では、操縦桿10が零点位置にある、という結果がもたらされる。運転者が制御要素12をステアリング状態に移行すると、制御要素12の変位が対応され、その結果、第2信号16に依存して第3信号20が決定される。第3信号20の決定のための第1の可能性では、制御要素12が変位の後で開放されて復帰機構によって自動的に零点位置に戻る時に、第3信号20は制御要素12の変位の前の状態に戻ることができる。第2信号16ないし第3信号20の実施の形態の第2の可能性では、第3信号20は、制御要素12の開放と零点位置へのその戻りの後、ある値、つまり、制御要素12の変位と制御要素12の変位の期間とから明らかになる値、にとどまる。
操作装置4は、時点58と時点60との間と、時点62と時点64との間とで、第1作動方式(の状態)にある。前記操作装置4は、時点64と時点65との間では、第2作動方式(の状態)にある。
前述の方法は、デジタルコンピュータのためのコンピュータプログラムとして実装され得る。前記デジタルコンピュータは、前述の方法がコンピュータプログラムとして実装されるのに好適である。操作装置4は、特には車両のために設けられ、ステアリングシステム6と共に制御装置8に割り当てられる。制御装置8は、デジタルコンピュータ、特にはマイクロプロセッサ、を有している。制御装置8は、コンピュータプログラムが記憶されている記憶媒体を有している。