JP2014516946A - エザチオスタットとの賦形剤適合性 - Google Patents
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Abstract
本発明は、マンニトールが、不純物の増加を阻害し、エザチオスタット塩酸塩製剤の保存可能期間を増大させるという、驚くべき、そして予期しない知見を開示する。
Description
関連出願の相互参照
本出願は、2011年5月3日に出願された米国仮出願第61/482,143号の、合衆国法典第35巻第119条(e)の下での利益を主張し、その開示全体が参照により本明細書中に援用される。
本出願は、2011年5月3日に出願された米国仮出願第61/482,143号の、合衆国法典第35巻第119条(e)の下での利益を主張し、その開示全体が参照により本明細書中に援用される。
本発明は、製剤化目的のための、広く様々な、薬学的に許容できる賦形剤との、エザチオスタット塩酸塩の適合性試験に関する。
エザチオスタットおよびその塩は、米国特許第5,763,570号に開示されている。エザチオスタットは、エチル(2S)−2−アミノ−5−[[(2R)−3−ベンジルスルファニル−1−[[(1R)−2−エトキシ−2−オキソ−1−フェニルエチル]アミノ]−1−オキソプロパン−2−イル]アミノ]−5−オキソペンタノエートのIUPAC化学名を有する。
エザチオスタットの塩、および、特に、その塩酸塩は、フォームDと呼ばれる結晶性非溶媒和物(ansolvate)として形成され得ることが見出され、それは米国特許出願公開公報US−2011−0301088−A1に開示され、その内容はその全体で参照により本明細書中に援用される。
エザチオスタット塩酸塩(USAN)は、分子量566.1であり、Telintra(登録商標)の登録商標であり、CAS登録番号286942−97−0である。エザチオスタット塩酸塩は、リポソーム製剤を用いた第I相〜第IIa相試験(米国特許第7,029,695号)において、米国血液学会の2005年次総会(要約#2250)およびRazaらによるJournal of Hematology&Oncology,2:20(2009年5月13日オンライン公表)で報告されるように、;および、錠剤製剤を用いた第I相試験において、米国血液学会の2007年次総会(要約#1454)およびRazaらによるBlood,113:6533−6540(2009年4月27日に事前オンライン公表)で報告されるように、および、単一の患者の症例報告においてQuddusらによるJournal of Hematology&Oncology,3:16(2010年4月23日オンライン公表)で報告されるように、骨髄異形成症候群(MDS)の治療に関して評価されている。本出願で言及されるそれぞれの特許および公表の開示全体は、参照により本出願中に援用される。
MDSの治療のための、エザチオスタット塩酸塩の臨床用製剤に関して、様々な、薬学的に許容できる賦形剤が試験された。驚くことに、そして予期しないことに、一つのそのような薬学的に許容できる賦形剤、すなわち、マンニトールが、エザチオスタット塩酸塩製剤中の不純物の増加を阻害することを見出した。
本発明は、薬学的に許容できる賦形剤であるマンニトールが、エザチオスタット塩酸塩製剤中の分解産物の形成を阻害したという、驚くべき、そして予期しない知見に関する。
したがって、一実施態様では、本発明は、少なくとも1の薬学的に許容できる賦形剤としての有効量のマンニトールとともに、エザチオスタット塩酸塩を製剤化することにより、エザチオスタット塩酸塩の保存可能期間を増大させるための方法に関する。
別の実施態様では、本発明は、少なくとも1の薬学的に許容できる賦形剤としての有効量のマンニトールとともに、エザチオスタット塩酸塩を製剤化することによる、エザチオスタット塩酸塩製剤中の分解産物の形成を阻害するための方法に関する。
以下の実施例に示されるように、驚くことに、薬学的に許容できる賦形剤であるマンニトールは、分解産物の形成を阻害し、エザチオスタット塩酸塩製剤の保存可能期間を増大させることが見出された。
本発明は、エザチオスタット塩酸塩とともに、薬学的に許容できる様々な賦形剤の安定性試験に関する。しかしながら、本発明をより詳細に説明する前に、以下の用語がまず定義される。
本明細書において用いられる用語「含んでいる(comprising)」または「含む(comprises)」は、その組成物および方法は、挙げられた要素を含むが他を排除しないことを意味することを意図する。「から実質的になる(Consisting essentially of)」は、組成物および方法を定義するために用いる場合、言及される目的のための組み合わせに対する、任意の本質的な意義を有する他の要素を排除することを意味するものとする。このように、本明細書中で定義される要素から実質的になる組成物は、特許請求の範囲に記載された発明の、基本的および新規の特徴(単数または複数)に実質的に影響を及ぼさない他の材料またはステップを排除しない。「からなる(Consisting of)」は、微量要素を超える他の成分および実質的な方法ステップを排除することを意味するものとする。これらの移行用語のそれぞれにより定義される実施態様は、本発明の範囲内である。
用語「約」は、数字表示、例えば、温度、時間、量、および濃度の前に用いられる場合、範囲を含み、(+)または(−)の15%、10%、5%または1%で変化し得る近似値を示す。
「a」「an」および「the」などの単数形は、文脈が明らかに別段の指示をしない限り、複数形の指示対象を含む。このように、例えば、「化合物(a compound)」との言及は、単一の化合物および複数の異なる化合物の両方を含む。
「室温」とは、(22±5)℃を指す。
「有効量」のマンニトールとは、分解産物の形成を阻害するエザチオスタット塩酸塩製剤のために用いられる、マンニトールの量を指す。好ましくは、その量は、製剤の約13重量%〜約50重量%である。
用語「保存可能期間」とは、製剤中の不純物レベルを許容できるレベル内に維持しながら、医薬製剤を所要の条件下で保存することができる、時間の長さを指す。典型的に、不純物は、製剤中の活性成分の分解により生じる。したがって、そのような場合は、保存可能期間の減少は、製剤中の活性量が所望レベルに維持される期間がより短いことと相関する。
用語「保存可能期間を増大させる」とは、これらの製剤が、周囲条件下での保管中に、不純物の量を仕様書の範囲内に維持する時間の長さを、同様の製剤と比較して延長することを指す。
多くの場合、保存可能期間は、より高い温度および/または湿度のような加速条件下で決定される。それから、その結果が、公知の相関表を用いて周囲条件に関連付けられる。
方法
本発明は、エザチオスタット塩酸塩の保存可能期間を増大させるための方法、および、エザチオスタット塩酸塩製剤中の分解産物の形成を阻害するための方法を提供する。
本発明は、エザチオスタット塩酸塩の保存可能期間を増大させるための方法、および、エザチオスタット塩酸塩製剤中の分解産物の形成を阻害するための方法を提供する。
一実施態様では、本発明は、少なくとも1の薬学的に許容できる賦形剤としての有効量のマンニトールとともに、エザチオスタット塩酸塩を製剤化することによる、エザチオスタット塩酸塩の保存可能期間を増大させるための方法を提供する。さらなる実施態様では、保存可能期間の増大は、40℃において少なくとも8週間である。別の実施態様では、マンニトールおよびエザチオスタット塩酸塩は、約1:1〜約1:6の重量比である。さらなる実施態様では、マンニトールおよびエザチオスタット塩酸塩は、約1:1の比である。さらなる実施態様では、マンニトールおよびエザチオスタット塩酸塩は、約1:5.7の比である。さらなる実施態様では、その方法は、微結晶セルロース、クロスカルメロースナトリウム、クロスポビドン、ポビドンK−29/32、HPMC E5プレミアム、コロイド状二酸化ケイ素、およびステアリン酸マグネシウムからなる群から選択される1または複数の薬学的に許容できる賦形剤をさらに含む。好ましい実施態様では、薬学的に許容できる賦形剤は、コロイド状二酸化ケイ素、およびステアリン酸マグネシウムである。さらなる実施態様では、その方法は、エザチオスタット塩酸塩を、薬学的に許容できる賦形剤に対して3.3:1の比で含む。
別の実施態様では、本発明は、少なくとも1の薬学的に許容できる賦形剤としての有効量のマンニトールとともに、エザチオスタット塩酸塩を製剤化することによる、エザチオスタット塩酸塩製剤中の分解産物の形成を阻害するための方法を提供する。さらなる実施態様では、分解産物の形成は、少なくとも8週間阻害される。別の実施態様では、マンニトールおよびエザチオスタット塩酸塩は、約1:1〜約1:6の重量比である。さらなる実施態様では、マンニトールおよびエザチオスタット塩酸塩は、約1:1の比である。さらなる実施態様では、マンニトールおよびエザチオスタット塩酸塩は、約1:5.7の比である。さらなる実施態様では、その方法は、微結晶セルロース、クロスカルメロースナトリウム、クロスポビドン、ポビドンK−29/32、HPMC E5プレミアム、コロイド状二酸化ケイ素、およびステアリン酸マグネシウムからなる群から選択される1または複数の薬学的に許容できる賦形剤をさらに含む。好ましい実施態様では、薬学的に許容できる賦形剤は、コロイド状二酸化ケイ素、およびステアリン酸マグネシウムである。さらなる実施態様では、その方法は、エザチオスタット塩酸塩を、薬学的に許容できる賦形剤に対して3.3:1の比で含む。
以下の実施例は、エザチオスタット塩酸塩に関する、賦形剤適合性試験を示す。特に記載のない限り、全ての温度は摂氏度(℃)であり、以下の略語は、以下の定義を有する:
HPMC=ヒドロキシプロピルメチルセルロース
RH=相対湿度
RSD=相対標準偏差
RRT=相対保持時間
HPMC=ヒドロキシプロピルメチルセルロース
RH=相対湿度
RSD=相対標準偏差
RRT=相対保持時間
(実施例1)エザチオスタット塩酸塩製剤
エザチオスタット塩酸塩を含む2つの異なる製剤が、エザチオスタット塩酸塩を、賦形剤混合物1および2のそれぞれと、3.3:1の比で混合することにより調製された。表1は、賦形剤混合物1および2で用いられた異なる成分を示す。
エザチオスタット塩酸塩を含む2つの異なる製剤が、エザチオスタット塩酸塩を、賦形剤混合物1および2のそれぞれと、3.3:1の比で混合することにより調製された。表1は、賦形剤混合物1および2で用いられた異なる成分を示す。
表2は、前記の2つの異なる製剤の調製に用いられた賦形剤混合物の実際の量を示す。具体的には、表2に示すように、製剤1は、75mgの賦形剤混合物1を250mgのエザチオスタット塩酸塩と混合することにより調製され、一方、製剤2は、75mgの賦形剤混合物2を250mgのエザチオスタット塩酸塩と混合することにより調製された。
(実施例2)様々な賦形剤との、エザチオスタット塩酸塩の2成分混合物
さらに、エザチオスタット塩酸塩は、表3に示される賦形剤のそれぞれと混合された。用いる賦形剤の量は、結果として生じる製剤の所望の特性により決定された。これらの混合物は、シンチレーションバイアル中で調製され、スクリューテフロンのキャップがされて、40℃および75%RHにて保管された。これらの2成分混合物の結果を、以下の表3に示す。
さらに、エザチオスタット塩酸塩は、表3に示される賦形剤のそれぞれと混合された。用いる賦形剤の量は、結果として生じる製剤の所望の特性により決定された。これらの混合物は、シンチレーションバイアル中で調製され、スクリューテフロンのキャップがされて、40℃および75%RHにて保管された。これらの2成分混合物の結果を、以下の表3に示す。
(実施例3)2成分混合物およびエザチオスタット塩酸塩製剤の、効力試験
40℃および75%RHで保管された、表3の2成分混合物中のエザチオスタット塩酸塩、表2の製剤1および2、およびエザチオスタット塩酸塩単独の効力結果を、表4に示す。
40℃および75%RHで保管された、表3の2成分混合物中のエザチオスタット塩酸塩、表2の製剤1および2、およびエザチオスタット塩酸塩単独の効力結果を、表4に示す。
効力アッセイデータは、製剤1および2およびエザチオスタット塩酸塩に関して、40℃および75%RHの保管条件下で、8週にわたってほとんど変化を示さない。全ての2成分混合物に関する効力アッセイ結果は、40℃および75%RHの保管条件で8週にわたり許容できたが、ポビドンK−29/32およびHPM CE5プレミアムは、他の賦形剤と比較して、比較的より大きい効力変化を示した。結論として、エザチオスタット塩酸塩は、上記で試験された全ての賦形剤と適合性がある。
(実施例4)2成分混合物およびエザチオスタット塩酸塩製剤の、分解試験
分解産物は、それぞれのサンプルに関して、初期、4週、および8週の期間でHPLCを用いて試験された。初期および4週のサンプルに関しては、HPLCオートサンプラーの温度は周囲温度に設定されたが、8週で試験されるサンプルに関しては、5℃に設定された。オートサンプラーの温度は、それぞれの不純物がHPLC稼働中に増加することが観察されたので、低くした。分解データを表5に示す。
分解産物は、それぞれのサンプルに関して、初期、4週、および8週の期間でHPLCを用いて試験された。初期および4週のサンプルに関しては、HPLCオートサンプラーの温度は周囲温度に設定されたが、8週で試験されるサンプルに関しては、5℃に設定された。オートサンプラーの温度は、それぞれの不純物がHPLC稼働中に増加することが観察されたので、低くした。分解データを表5に示す。
表5中のデータから見られるように、マンニトールを含む2成分混合物中の、RRT 0.88での8週における不純物は0.27%であり、マンニトールを含む製剤2中の、RRT 0.88での8週における不純物は0.26%であり、一方で、RRT 0.88での8週におけるエザチオスタット塩酸塩中の不純物は0.51%であった。このように、RRT 0.88で、マンニトールを含む製剤で見られる不純物の%エリアは、エザチオスタット塩酸塩単独で見られるものの半分であった。一方で、ポビドンK−29/32の2成分混合物では、RRT 0.88での8週における不純物は0.74%であり、エザチオスタット塩酸塩単独での不純物よりもさらに多かった。全体の不純物に関しては、その結果は、RRT 0.88でのそれぞれの不純物で見られた傾向と同様であり、全体の不純物に関する%エリアは、エザチオスタット塩酸塩単独におけるよりも、マンニトールを含む2成分混合物および製剤2において低かった。このように、マンニトールは、エザチオスタット塩酸塩製剤中の分解産物の形成を阻害した。
Claims (10)
- エザチオスタット塩酸塩の保存可能期間を増大させるための方法であって、
少なくとも1の薬学的に許容できる賦形剤としての有効量のマンニトールとともに、エザチオスタット塩酸塩を製剤化することによる、
方法。 - エザチオスタット塩酸塩製剤中の分解産物の形成を阻害するための方法であって、
少なくとも1の薬学的に許容できる賦形剤としての有効量のマンニトールとともに、エザチオスタット塩酸塩を製剤化することによる、
方法。 - 請求項1に記載の方法であって、
保存可能期間の増大が、少なくとも8週間であることを特徴とする、
方法。 - 請求項2に記載の方法であって、
前記の分解産物の形成が、少なくとも8週間、阻害されることを特徴とする、
方法。 - 請求項1または2に記載の方法であって、
マンニトールおよびエザチオスタット塩酸塩は、約1:1〜約1:6の比であることを特徴とする、
方法。 - 請求項5に記載の方法であって、
マンニトールおよびエザチオスタット塩酸塩は、約1:1の比であることを特徴とする、
方法。 - 請求項5に記載の方法であって、
マンニトールおよびエザチオスタット塩酸塩は、約1:5.7の比であることを特徴とする、
方法。 - 請求項1から7のいずれか一項に記載の方法であって、
エザチオスタット塩酸塩は、さらに、微結晶セルロース、クロスカルメロースナトリウムナトリウム、クロスポビドン、ポビドンK−29/32、HPMC E5プレミアム、コロイド状二酸化ケイ素、およびステアリン酸マグネシウムからなる群から選択される、1または複数の薬学的に許容できる賦形剤とともに製剤化されることを特徴とする、
方法。 - 請求項8に記載の方法であって、
前記の薬学的に許容できる賦形剤が、クロスポビドン、ポビドンK−29/32、コロイド状二酸化ケイ素、およびステアリン酸マグネシウムであることを特徴とする、
方法。 - 請求項9に記載の方法であって、
前記方法は、エザチオスタット塩酸塩を、薬学的に許容できる賦形剤に対して3.3:1の比で含むことを特徴とする、
方法。
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