JP2014236863A - カテーテル - Google Patents
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Abstract
【課題】シャフト内に挿通させる医療デバイスをスムーズに進退移動させることが可能であるとともに、シャフトの柔軟性を容易に調整することが可能なカテーテルを提供する。
【解決手段】カテーテル10のシャフト12は、内層20と、内層20の外側に設けられた外層22とを有する。内層20の少なくとも一部には、シャフト12の内方に向かって突出する複数の突出部28と、内層20と異なる材質が露出するとともに複数の突出部28を取り囲む凹部30と、を有する凹凸構造部26が設けられる。
【選択図】図2
【解決手段】カテーテル10のシャフト12は、内層20と、内層20の外側に設けられた外層22とを有する。内層20の少なくとも一部には、シャフト12の内方に向かって突出する複数の突出部28と、内層20と異なる材質が露出するとともに複数の突出部28を取り囲む凹部30と、を有する凹凸構造部26が設けられる。
【選択図】図2
Description
本発明は、チューブ状のシャフトを有するカテーテルに関する。
カテーテルは、血管内や体腔内に挿入して、例えば、治療用の薬剤注入や診断用の造影剤注入を行うため、あるいは治療デバイス(バルーンカテーテル、ステント等)を血管内や体腔内の目的位置まで案内するために使用される。
従来のカテーテルにおいては、カテーテル本体を構成するチューブ状のシャフトとして、低摩擦材料(例えば、PTFE)からなる内層と、この内層の外側に設けられた外層とを有するものが知られている(例えば、下記特許文献1参照)。また、内層がなく補強層と外層とを有するカテーテルも知られている(例えば、下記特許文献2参照)。
ところで、カテーテルのシャフトは、カテーテルに求められる血管追従性や押込み特性を向上させるため、軸方向の位置によって柔軟性が異なることが好ましい。しかしながら、低摩擦材料からなる内層と、その外側の外層とを有するカテーテルの場合、外層の柔軟性を軸方向の位置で異ならせることによりある程度の調整は可能であるものの、低摩擦材料で構成される内層については柔軟性を持たせにくい。このため、シャフトの柔軟性の調整が容易でない場合がある。
内層がなく補強層と外層とを有するカテーテルの場合、内層がない分、シャフトの柔軟性の調整が容易であるものの、カテーテルの内腔に他の治療デバイスを挿通させる際の摺動抵抗が増大し、当該治療デバイスをスムーズに進退移動させることが困難となる。
このような課題を考慮し、本発明は、シャフト内に挿通させる医療デバイスをスムーズに進退移動させることが可能であるとともに、シャフトの柔軟性を容易に調整することが可能なカテーテルを提供することを目的とする。
上記の目的を達成するため、本発明は、チューブ状のシャフトを備えるカテーテルであって、前記シャフトは、内層と、前記内層の外側に設けられた外層とを有し、前記内層の少なくとも一部には、前記シャフトの内方に向かって突出する複数の突出部と、前記内層と異なる材質が露出するとともに前記複数の突出部を取り囲む凹部と、を有する凹凸構造部が設けられることを特徴とする。
上記の構成によれば、カテーテルに他の医療デバイスが挿通された状態において、凹凸構造部が設けられた部分では、シャフトの内周部と、当該医療デバイスとの接触面積が少ないため、内層が連続的に形成された部分と比較して、摩擦抵抗(摺動抵抗)を低減できる。従って、カテーテルに挿通させる医療デバイスをカテーテルに対してスムーズに進退移動させることができ、操作性を向上することができる。また、凹凸構造部は、内層のそれ以外の部分と比較して柔軟性が高いため、凹凸構造部の配置を選択することによってシャフトの柔軟性を容易に調整することができる。
上記のカテーテルにおいて、複数の前記突出部は互いに離間してもよい。この構成によれば、凹凸構造部における凹凸形状の高低差を効果的に大きくできる。従って、カテーテルに他の医療デバイスが挿通された状態において、凹凸構造部が設けられた部分でのシャフトの内周部と、当該デバイスとの接触面積を好適に低減できる。
上記のカテーテルにおいて、前記凹凸構造部は、前記シャフトの軸方向又は周方向に離間して複数設けられてもよい。この構成によれば、カテーテルに挿通させる医療デバイスの操作性を一層向上できるとともに、シャフトの柔軟性をより細かく調整することができる。
上記のカテーテルにおいて、前記凹凸構造部は、前記シャフトの全長に亘って存在してもよい。この構成によれば、シャフトの全長に亘って凹凸構造部による摩擦低減効果が得られることから、カテーテルに挿通させる医療デバイスを一層スムーズに進退移動させることができる。
上記のカテーテルにおいて、複数の前記突出部は、前記シャフトの内方に向かって丸みを帯びて膨出してもよい。この構成によれば、突出部と、カテーテルに挿通される医療デバイスとの接触が、点接触に近くなるため、カテーテルと当該医療デバイスとの摩擦抵抗を一層効果的に低減することができる。
上記のカテーテルにおいて、複数の前記突出部は、長軸と短軸とを有し、前記長軸が前記シャフトの軸方向又は周方向に沿ってもよい。
上記のカテーテルにおいて、前記シャフトは、前記外層と前記内層との間に補強層を有してもよい。この構成により、押込み特性とトルク伝達性に優れるとともに、キンクや潰れが生じにくいカテーテルが得られる。
上記のカテーテルにおいて、複数の前記突出部は、前記補強層の内側に形成されてもよい。
上記のカテーテルにおいて、前記補強層は、線材を有し、複数の前記突出部の少なくとも一部に、前記線材が埋設されてもよい。
上記のカテーテルにおいて、前記補強層は、線材を有し、複数の前記突出部の間に前記線材が配設されてもよい。
上記のカテーテルにおいて、複数の前記突出部の各々は、一部が前記外層に埋設されてもよい。
上記のカテーテルにおいて、前記シャフトの先端に設けられ前記シャフトよりも柔軟なソフトチップをさらに備え、前記凹凸構造部は前記ソフトチップの内側にも存在してよい。
本発明のカテーテルによれば、シャフト内に挿通させる医療デバイスをスムーズに進退移動させることが可能であるとともに、シャフトの柔軟性を容易に調整することができる。
以下、本発明に係るカテーテルについて好適な実施形態を挙げ、添付の図面を参照しながら説明する。
図1は、本発明の実施形態に係るカテーテル10の構成を示す一部省略側面図である。カテーテル10は、血管内や体腔内に挿入し、例えば、治療用の薬剤注入や診断用の造影剤注入を行うため、あるいは治療デバイス(バルーンカテーテル、ステント等)を血管内や体腔内の目的位置まで案内するために使用される。従って、カテーテル10は、例えば、診断用カテーテル、ガイディングカテーテル、マイクロカテーテル等として構成され得る。またカテーテル10は、例えば、脳内治療用、心臓治療用、末梢治療用として構成され得る。
カテーテル10は、細径で長尺なシャフト12と、シャフト12の先端に設けられたソフトチップ14と、シャフト12の基端に接続されたハブ16と、シャフト12のハブ16への接続部に設けられたストレインリリーフ18とを備える。なお、以下の説明において、シャフト12に関し、ハブ16側を基端側とも呼び、ハブ16が接続された側とは反対側を先端側とも呼び、他の各図においても同様とする。
シャフト12は、血管等の生体管腔内に挿入されるカテーテル10本体を構成するものであって、先端から基端まで連通する内腔13(図2も参照)が形成された可撓性を有する長尺で中空の細径のチューブ状部材である。シャフト12の内腔には、他の医療デバイス、例えば、ガイドワイヤ、ガイディングカテーテル、マイクロカテーテル、バルーンカテーテル、ステント等が挿通可能である。
シャフト12の長さは、500mm〜2000mm程度、好ましくは、1000mm〜1500mm程度である。図1において、シャフト12は直線状に形成されているが、シャフト12の先端部は、予め湾曲又は屈曲した特定の形状(例えば、ジャドキンス形状)が付けられていてもよい。なお、シャフト12の構造の詳細については後述する。
ソフトチップ14は、シャフト12の先端に接続された中空状(図例では中空円筒状)の部材である。ソフトチップ14は、柔軟性に富む材料で構成されており、その先端が好ましくは丸みを帯びた形状をなしている。ソフトチップ14の長さは、特に限定されないが、例えば、0.1mm〜10mm程度、好ましくは0.5mm〜2mm程度に設定される。ソフトチップ14が設けられることにより、湾曲、屈曲、分岐した血管内でも、円滑且つ安全にカテーテル10を走行させることができる。
ソフトチップ14の構成材料としては、例えば、天然ゴム、イソプレンゴム、ブタジエンゴム、クロロプレンゴム、シリコーンゴム、フッ素ゴム、スチレン−ブタジエンゴム等の各種ゴム材料や、スチレン系、ポリオレフィン系、ポリウレタン系、ポリエステル系、ポリアミド系、ポリブタジエン系、トランスポリイソプレン系、フッ素ゴム系、塩素化ポリエチレン系等の各種熱可塑性エラストマーが挙げられる。
ハブ16は、その先端にてシャフト12の基端を保持するものであり、基端にはシリンジ等の他の器具が接続可能となっている。ハブ16は、例えば、ポリカーボネート、ポリエチレン、ポリプロピレン、ナイロン等の硬質の樹脂等により構成され得る。
ストレインリリーフ18は、シャフト12のハブ16への接続部での屈曲(キンク)を防止するためのものであり、例えば先細りのチューブ状に形成された適度の可撓性及び剛性を有する樹脂製の部材である。ストレインリリーフ18は、シャフト12の構成材料と同様の材料で構成され得る。
図2は、カテーテル10の軸方向の一部の縦断面図である。図2に示すように、シャフト12は、内腔13が形成された内層20と、内層20の半径方向外側に形成された外層22とを有する。
シャフト12の内径(内層20の内径)は、シャフト12の全長に亘って一定でもよく、途中で変化してもよい。シャフト12の内径は、先端方向に向かって小さくなってもよい。シャフト12の内径は、例えば、0.2mm〜10mm程度に設定され、好ましくは、0.5mm〜2.8mm程度に設定される。
内層20の少なくとも一部には、凹凸構造部26が設けられる。本実施形態において具体的には、内層20は、周方向及び軸方向に連続した管状部24と、管状部24から離間して設けられた凹凸構造部26とを有する。
管状部24は、シャフト12の軸方向に沿って連続的に延在する部分である。管状部24は、その全長に亘って、同一材料で継ぎ目なく連続的に形成されてもよく、あるいは、硬度が異なる複数の領域が軸方向に連結されて形成されたものであってもよい。
凹凸構造部26は、シャフト12の内方に向かって突出する複数の突出部28と、内層20と異なる材質が露出するとともに複数の突出部28を取り囲む凹部30とを有する。内方とは、外層22から内腔13に向かう方向である。外層22から内腔13に向かう方向は周方向に沿った方向(シャフト12の長軸に対して垂直である方向)であってもよいし、周方向に対してある角度を形成する方向(シャフト12の長軸に対してある角度を形成する方向)であってもよい。また、外層22から内腔13に向かいつつ、シャフト12の長軸とシャフト12の長さにおいて交わらない方向(シャフト12の長さにおいて角度を形成しない方向)であってもよい。この場合、シャフト12の長軸に対して形成されるある角度とは、5°から175°の範囲、好ましくは30°から150°の範囲、より好ましくは60°から120°の範囲が好ましい。複数の突出部28は、互いに離間している。複数の突出部28は、周方向及び軸方向に互いに間隔をおいて独立して配置される。本実施形態では、凹部30において外層22の内周面が露出している。このように、凹凸構造部26では、複数の突出部28が凹部30に対して島状に配置される。
複数の突出部28の周方向の各間隔は、同じでもよく、一部に異なる間隔があってもよい。複数の突出部28の軸方向の間隔は、同じでもよく、一部に異なる間隔があってもよい。
複数の突出部28の大きさは、すべて同じでもよく、一部に異なる大きさがあってもよい。例えば、シャフト12の先端方向に向かうにつれて、突出部28の大きさが徐々に小さくなってもよい。あるいは、シャフト12の先端方向に向かうにつれて、突出部28の大きさが徐々に大きくなってもよい。
各突出部28は、シャフト12の内方に向かって丸みを帯びて膨出する。すなわち、シャフト12の横断面及び縦断面において、各突出部28の表面形状は弧状に湾曲している(曲面を形成している)。このように、各突出部28が、シャフト12の内方に向かって丸みを帯びて膨出する形状であると、突出部28と、シャフト12に挿通される医療デバイスとの接触状態が点接触に近くなる。このため、シャフト12に挿通される他の医療デバイスとの接触面積を小さくでき、摩擦抵抗(摺動抵抗)を低減できる。なお、各突出部28の内面(内端)は、略平坦でもよい。
図2に示すように、各突出部28は、長軸aと短軸bを有してもよい。本図示例において、各突出部28は、長軸aがシャフト12の長手方向に沿っている。なお、変形例として、各突出部28は、長軸aがシャフト12の周方向に沿ってもよく、あるいは、長軸aがシャフト12の軸方向及び周方向に傾斜する方向に沿ってもよい。各突出部28は、シャフト12の内側から見た形状が、円形でもよく、あるいは多角形でもよい。複数の突出部28は、すべて同じ形状であってもよく、上記に例示した各形状あるいはその他の形状の組合せであってもよい。
シャフト12の軸方向に沿った突出部28の長さL(本図示例では長軸aの長さ)は、例えば、0.001mm〜0.5mmに設定され、好ましくは0.007mm〜0.1mmに設定される。シャフト12の周方向に沿った突出部28の幅W(本図示例では短軸bの長さ)は、例えば、0.001mm〜0.5mmに設定され、好ましくは0.001mm〜0.1mmに設定される。
凹凸構造部26は、シャフト12の軸方向の所定範囲に1つ設けられてもよく、軸方向に間隔をおいて複数設けられてもよい。シャフト12において、凹凸構造部26は、軸方向の任意の箇所に任意の範囲で設けられてよい。凹凸構造部26は、シャフト12の全長に亘って設けられてもよい。この場合、管状部24が存在しなくてもよい。
凹凸構造部26は、シャフト12の周方向の全周、すなわち360°の範囲に設けられてもよく、あるいは周方向に部分的に設けられてもよい。凹凸構造部26が周方向に部分的に設けられる場合、周方向に間隔をおいて複数設けられてもよい。
上述した凹凸構造部26は、ソフトチップ14の内側に設けられてもよい。また、凹凸構造部26は、ソフトチップ14の内側とシャフト12の内側に連続してまたがって設けられてもよい。
内層20は、例えば、適度な柔軟性を有する合成樹脂により構成され得る。内層20は、低摩擦材料により構成されてもよい。そのような低摩擦材料としては、ポリアミド、ポリエーテルポリアミド、ポリエステルポリアミド、ポリエステル(ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等)、ポリウレタン、軟質ポリ塩化ビニル、ABS樹脂、AS樹脂、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)等のフッ素系樹脂等の各種樹脂材料が挙げられる。なお、管状部24と突出部28とは、同じ材料で構成されてもよく、異なる材料で構成されてもよい。
外層22は長尺管状体である。外層22は、その全長に亘って、同一材料で継ぎ目なく連続的に形成されてもよく、あるいは、硬度が異なる複数の領域が軸方向に連結されて形成されたものであってもよい。硬度が異なる複数の領域は、先端方向に向かうに従って硬度が低下する(柔軟性が増す)ように配置されてもよい。
シャフト12の外径(外層22の外径)は、シャフト12の全長に亘って一定でもよく、途中で変化してもよい。シャフト12の外径は、先端方向に向かって小さくなってもよい。シャフト12の外径は、例えば、1mm〜10mm程度に設定され、好ましくは、1mm〜3mm程度に設定される。
外層22は、適度な柔軟性を有する合成樹脂により構成され得る。外層22の構成材料としては、例えば、ポリオレフィン(例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、アイオノマー、あるいはこれら二種以上の混合物等)、ポリ塩化ビニル、ポリアミド、ポリエステル、ポリエステルエラストマー、ポリアミドエラストマー、ポリウレタン、ポリウレタンエラストマー、ポリイミド、フッ素系樹脂等の高分子材料あるいはこれらの混合物が挙げられる。
内層20及び外層22は、上記に例示した以外の他の材料により構成されてもよい。自然状態(外力が付加されていない状態)での内層20及び外層22の断面形状は、略円形である。
カテーテル10の体内への挿入は、X線透視下でその位置を確認しつつ行われるため、シャフト12(内層20、外層22の一方又は両方)の構成材料中には、X線(放射線)不透過材料が配合されてもよい。X線不透過材料としては、例えば、硫酸バリウム、酸化ビスマス、タングステン等が挙げられる。上述したソフトチップ14を構成する材料中に、X線不透過材料が配合されてもよい。なお、X線不透過材料により構成され又はX線不透過材料を含むマーカが、シャフト12の先端部に設けられてもよい。
図2に示すように、本実施形態では、シャフト12はさらに、内層20と外層22との間に補強層32を有する。補強層32は、シャフト12を補強する単数又は複数の線材34で構成された補強材33を有している。補強材33としては、例えば、線材34をらせん状や網状にしたものが挙げられる。具体的には、シャフト12の径方向の肉厚が薄くなるように、ステンレス鋼の線を平板状(帯状)に潰し加工し、それをらせん状にしたものや、編んだもの(編組体)等が挙げられる。線材34の構成材料としては、金属、ポリマー、金属とポリマーの複合体、金属合金(例えば、ステンレス)又はそれらの組み合わせが挙げられる。
このような補強層32を有することにより、シャフト12の壁厚を増大することなく、すなわち内腔13の直径を比較的大きくとりつつ、十分な剛性と強度を確保することができる。その結果、押込み特性及びトルク伝達性に優れ、キンクや潰れが生じ難いカテーテル10が得られる。
本実施形態では、図2に示すように、複数の突出部28は、補強層32の内側に形成される。具体的には、補強層32の線材34が外層22に埋設されており、その外層22の内側に複数の突出部28が設けられている。
本実施形態に係るカテーテル10は、基本的には以上のように構成されるものであり、以下、その作用及び効果について説明する。
本実施形態に係るカテーテル10によれば、カテーテル10に他の医療デバイスが挿通された状態において、凹凸構造部26が設けられた部分では、シャフト12の内周部と、当該医療デバイスとの接触面積が少ないため、内層20が連続的に形成された部分(管状部24)と比較して、摩擦抵抗(摺動抵抗)を低減できる。従って、カテーテル10に挿通させる医療デバイスをカテーテル10に対してスムーズに進退移動させることができ、操作性を向上することができる。また、凹凸構造部26は、内層20のそれ以外の部分(管状部24)と比較して柔軟性が高いため、凹凸構造部26の配置を選択することによってシャフト12の柔軟性を容易に調整することができる。さらに、凹凸構造部26の厚みや寸法を変化させることにより、凹凸構造部26の柔軟性を変化させることもできる。
本実施形態の場合、複数の突出部28は互いに離間しているため、凹凸構造部26における凹凸形状の高低差を効果的に大きくできる。従って、カテーテル10に医療デバイスが挿通された状態において、凹凸構造部26が設けられた部分でのシャフト12の内周部と、当該医療デバイスとの接触面積を好適に低減できる。
凹凸構造部26がシャフト12の軸方向又は周方向に離間して複数設けられる場合、カテーテル10に挿通させる医療デバイスの操作性を一層向上できるとともに、シャフト12の柔軟性をより細かく調整することができる。
凹凸構造部26がシャフト12の全長に亘って設けられる場合、シャフト12の全長に亘って凹凸構造部26による摩擦低減効果が得られる。従って、カテーテル10に挿通させる医療デバイスを一層スムーズに進退移動させることができる。
本実施形態の場合、突出部28は、シャフト12の内方に向かって丸みを帯びて膨出するため、突出部28と、カテーテル10に挿通される他の医療デバイスとの接触状態が点接触に近くなる。このため、カテーテル10と他の医療デバイスとの摩擦抵抗を一層効果的に低減することができる。
図3は、凹凸構造部26の配置例を示す模式的縦断面図である。図3において、カテーテル10のシャフト12は、硬度の異なる複数の領域22A〜22Dを有する。複数の領域22A〜22Dは、先端方向に向かうに従って硬度が低下する。すなわち、外層22は基端側から先端側に向かって徐々に柔軟性が増す構造となっている。凹凸構造部26は、シャフト12の先端部に設けられる。具体的には、領域22B〜22Dの内側には内層20の管状部24が設けられ、最先端側の領域22Aの内側に内層20の凹凸構造部26が設けられる。
ところで、仮に、領域22A〜22Dの内側に内層20の管状部24が設けられる場合、領域22Aの硬度を低く設定しても、シャフト12の先端部の柔軟性は、その部分の内層20の硬度も影響するため、当該先端部の柔軟性を高めることが難しい。
これに対し、図3の構成によれば、凹凸構造部26は管状部24よりも柔軟性が高いため、シャフト12の先端部において高い柔軟性が得られる。すなわち、シャフト12の先端部に凹凸構造部26を設けることにより、先端部の柔軟性を容易に調整することができる。
図4Aに示す第1変形例に係るシャフト12aのように、補強層32を構成する線材34の一部が、突出部28に埋設されてもよい。具体的には、図4Aの構成では、図2の構成と異なり、補強層32は外層22の内側に設けられ、当該補強層32を構成する線材34を部分的に覆うように複数の突出部28が設けられている。この構成によっても、シャフト12aの内周部と、シャフト12aの内腔13に挿通される医療デバイスとの摩擦抵抗を低減できるとともに、シャフト12aの柔軟性を容易に調整することができる。
なお、図4Aの構成に対する変形例として、図4Bに示す第2変形例に係るシャフト12bのように、複数の突出部28の各々は、一部(径方向外側部分)が外層22に埋設されてもよい。
図5Aに示す第3変形例に係るシャフト12cのように、編組として構成された補強層32の網目部分(補強材33の線材34に囲まれた線材34が存在しない領域)に、1つ又は複数の突出部28が存在してもよい。具体的には、図5Aの構成では、図2の構成と異なり、補強層32は、外層22の内側に設けられ、当該補強層32の線材34が、複数の突出部28の間の部分(凹部30)に配設されている。この構成によっても、シャフト12cの内周部と、シャフト12cの内腔13に挿通される医療デバイスとの摩擦抵抗を低減できるとともに、シャフト12cの柔軟性を容易に調整することができる。
なお、図5Aの構成に対する変形例として、図5Bに示す第4変形例に係るシャフト12dのように、複数の突出部28の各々は、一部(径方向外側部分)が外層22に埋設されてもよい。
上記において、本発明について好適な実施形態を挙げて説明したが、本発明は前記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、種々の改変が可能なことは言うまでもない。
10…カテーテル 12、12a〜12d…シャフト
20…内層 22…外層
26…凹凸構造部 28…突出部
30…凹部 32…補強層
20…内層 22…外層
26…凹凸構造部 28…突出部
30…凹部 32…補強層
Claims (12)
- チューブ状のシャフトを備えるカテーテルであって、
前記シャフトは、内層と、前記内層の外側に設けられた外層とを有し、
前記内層の少なくとも一部には、前記シャフトの内方に向かって突出する複数の突出部と、前記内層と異なる材質が露出するとともに前記複数の突出部を取り囲む凹部と、を有する凹凸構造部が設けられる、
ことを特徴とするカテーテル。 - 請求項1記載のカテーテルにおいて、
複数の前記突出部は互いに離間している、
ことを特徴とするカテーテル。 - 請求項1又は2記載のカテーテルにおいて、
前記凹凸構造部は、前記シャフトの軸方向又は周方向に離間して複数設けられる、
ことを特徴とするカテーテル。 - 請求項1又は2記載のカテーテルにおいて、
前記凹凸構造部は、前記シャフトの全長に亘って存在する、
ことを特徴とするカテーテル。 - 請求項1〜4のいずれか1項に記載のカテーテルにおいて、
複数の前記突出部は、前記シャフトの内方に向かって丸みを帯びて膨出する、
ことを特徴とするカテーテル。 - 請求項1〜5のいずれか1項に記載のカテーテルにおいて、
複数の前記突出部は、長軸と短軸とを有し、前記長軸が前記シャフトの軸方向又は周方向に沿う、
ことを特徴とするカテーテル。 - 請求項1〜6のいずれか1項に記載のカテーテルにおいて、
前記シャフトは、前記外層と前記内層との間に補強層を有する、
ことを特徴とするカテーテル。 - 請求項7記載のカテーテルにおいて、
複数の前記突出部は、前記補強層の内側に形成される、
ことを特徴とするカテーテル。 - 請求項7記載のカテーテルにおいて、
前記補強層は、線材を有し、
複数の前記突出部の少なくとも一部に、前記線材が埋設される、
ことを特徴とするカテーテル。 - 請求項7記載のカテーテルにおいて、
前記補強層は、線材を有し、
複数の前記突出部の間に前記線材が配設される、
ことを特徴とするカテーテル。 - 請求項9又は10記載のカテーテルにおいて、
複数の前記突出部の各々は、一部が前記外層に埋設される、
ことを特徴とするカテーテル。 - 請求項1〜11のいずれか1項に記載のカテーテルにおいて、
前記シャフトの先端に設けられ前記シャフトよりも柔軟なソフトチップをさらに備え、
前記凹凸構造部は前記ソフトチップの内側にも存在する、
ことを特徴とするカテーテル。
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