JP2014234467A - シート - Google Patents

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盛昭 新崎
山内 英幸
Hideyuki Yamauchi
英幸 山内
坂本 純
Jun Sakamoto
純 坂本
洋一 石田
Yoichi Ishida
洋一 石田
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Abstract

【課題】 耐熱性・透明性・耐衝撃性に優れたシートを提供すること。
【解決手段】 ポリ乳酸樹脂とアクリル系ブロック共重合体を含むシートであり、
前記アクリル系ブロック共重合体は、メタクリル酸メチルからなるセグメント及びアクリル酸エステルからなるセグメントを有する重合体、又は、メタクリル酸メチルからなるセグメント及びメタクリル酸エステルからなるセグメントを有する重合体であり、
前記ポリ乳酸樹脂は、融点が190℃以上230℃未満であることを特徴とする、シート。
【選択図】なし

Description

本発明は耐熱性・透明性・耐衝撃性に優れたシートを提供することを目的とする。
ポリ乳酸は、透明性に優れた溶融成形可能な高分子であり、生分解性の特徴を有することから使用した後は自然環境中で分解して炭酸ガスや水として放出される生分解性プラスチックとしての開発が進められてきた。一方、近年では、ポリ乳酸自身が二酸化炭素や水を起源とする再生可能資源(バイオマス)を原料としているため、使用後に二酸化炭素が放出されたとしても地球環境中における二酸化炭素は増減しないというカーボンニュートラルの性質が注目され、環境低負荷材料としての利用が期待されている。さらに、ポリ乳酸のモノマーである乳酸は微生物を利用した発酵法により安価に製造されつつあり、石油系プラスチック製の汎用ポリマーの代替素材としても検討されるようになってきており、包装材料、雑貨などへと実用化が進むとともに、食品用の成形容器、飲料用カップ蓋としても使用されるようになってきた。しかしながら、ポリ乳酸は、一般的に食品用の成形容器として使用されているポリプロピレンや二軸延伸ポリスチレンと比較すると耐熱性が低いため、耐熱性が要求されない容器に限定されているのが現状である。
このような問題点を解決する手段の一つとして、ステレオコンプレックスを形成するポリ乳酸樹脂の利用が注目されている。ステレオコンプレックスを形成するポリ乳酸樹脂は光学活性なポリ−L−乳酸とポリ−D−乳酸を混合することにより形成され、通常のポリ乳酸樹脂と比較して非常に高い融点と結晶化速度を有する。ステレオコンプレックス結晶を含むポリ乳酸樹脂は高温下でも高い剛性を示すため、耐熱性を要求される容器への展開が期待される。またステレオコンプレックス結晶を有したポリ乳酸樹脂は結晶化しているにも関わらず非常に高い透明性を示すことが知られており、透明性が非常に重視される食品容器等の用途に適した材料であると言える。このような背景から特許文献1や特許文献2のようなポリ−L−乳酸とポリ−D−乳酸の混合体からなる成形体に関する出願が行われている。しかしながら、ポリ乳酸樹脂は元来耐衝撃性が低いため上記のような成形容器等に用いる場合、実用性に劣るという問題あった。
特開2007−90550号公報 特開2008−63502号公報
本発明は、上記のような問題を解決するために耐熱性・透明性・耐衝撃性に優れたポリ乳酸樹脂を含むシートを提供することを目的としたものである。
本発明は、上記課題を解決するため、次の構成を有する。すなわち、以下である。
(1) ポリ乳酸樹脂とアクリル系ブロック共重合体を含むシートであり、
前記アクリル系ブロック共重合体は、メタクリル酸メチルからなるセグメント及びアクリル酸エステルからなるセグメントを有する重合体、又は、メタクリル酸メチルからなるセグメント及びメタクリル酸エステルからなるセグメントを有する重合体であり、
前記ポリ乳酸樹脂は、融点が190℃以上230℃未満であることを特徴とする、シート。
(2) 前記アクリル酸エステルからなるセグメントのガラス転移温度が20℃以下であり、該セグメントとポリ乳酸樹脂の屈折率の差の絶対値が0.03以下、又は、前記メタクリル酸エステルからなるセグメントのガラス転移温度が20℃以下であり、該セグメントとポリ乳酸樹脂の屈折率の差の絶対値が0.03以下であることを特徴とする(1)に記載のシート。
(3) 前記ポリ乳酸樹脂のステレオ化率が80%以上100%以下であることを特徴とする、(1)又は(2)に記載のシート。
本発明によれば、耐熱性・透明性・耐衝撃性に優れたポリ乳酸樹脂を含むシートを提供することが可能となる。
本発明は、ポリ乳酸樹脂とアクリル系ブロック共重合体を含むシートであり、前記アクリル系ブロック共重合体は、メタクリル酸メチルからなるセグメント及びアクリル酸エステルからなるセグメントを有する重合体、又は、メタクリル酸メチルからなるセグメント及びメタクリル酸エステルからなるセグメントを有する重合体であり、前記ポリ乳酸樹脂は、融点が190℃以上230℃以下であることを特徴とする、シートである。

本発明に用いるポリ乳酸樹脂は、乳酸成分が、ポリ乳酸樹脂を構成する全ての単量体成分100モル%において70モル%以上100モル%以下のものを意味する。
そして、ポリ乳酸樹脂は、本発明の性能を損なわない範囲で、乳酸成分(L−乳酸成分またはD−乳酸成分)以外の他の成分を含んでいてもよい。他の成分としては、多価カルボン酸、多価アルコール、ヒドロキシカルボン酸、ラクトンなどが挙げられ、具体的には、コハク酸、アジピン酸、セバシン酸、フマル酸、テレフタル酸、イソフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、5−ナトリウムスルホイソフタル酸、5−テトラブチルホスホニウムスルホイソフタル酸などの多価カルボン酸類またはそれらの誘導体、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール、ペンタンジオール、ヘキサンジオール、オクタンジオール、ネオペンチルグリコール、グリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、トリメチロールプロパンまたはペンタエリスリトールにエチレンオキシドまたはプロピレンオキシドを付加した多価アルコール、ビスフェノールにエチレンオキシドを付加反応させた芳香族多価アルコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコールなどの多価アルコール類またはそれらの誘導体、グリコール酸、3−ヒドロキシ酪酸、4−ヒドロキシ酪酸、4−ヒドロキシ吉草酸、6−ヒドロキシカプロン酸などのヒドロキシカルボン酸類、およびグリコリド、ε−カプロラクトングリコリド、ε−カプロラクトン、β−プロピオラクトン、δ−ブチロラクトン、β−またはγ−ブチロラクトン、ピバロラクトン、δ−バレロラクトンなどのラクトン類などが挙げられる。
本発明におけるシートの耐熱性を考慮すると、本発明のポリ乳酸樹脂は、融点が190℃以上230℃未満であることが重要である。なお、ここでいうポリ乳酸樹脂の融点は、ポリ乳酸樹脂の原料から求めた値である。ポリ乳酸樹脂の融点は、200℃以上230℃未満であることが好ましく、205℃以上230℃未満であることがさらに好ましく、210℃以上230℃未満であることが特に好ましい。
また、ポリ乳酸樹脂は、融点が190℃以上230℃未満であると同時に、150℃以上185℃未満の範囲でポリ−L−乳酸に由来する単独結晶およびポリ−D−乳酸に由来する単独結晶に基づく融点を有する場合もある。そして、ポリ乳酸樹脂Aの190℃以上230℃未満にピークを持つ吸熱曲線の融解エンタルピー(△Hsc)および150℃以上185℃未満のピークを持つ吸熱曲線の融解エンタルピー(△Hhomo)を用いて算出されるステレオ化率(Sc率)が80%以上100%以下であることが、透明性の点で好ましい。Sc率は85%以上100%以下がさらに好ましく、90%以上100%以下が特に好ましい。また本発明におけるポリ乳酸樹脂Aは耐熱性の面から、190℃以上230℃未満に存在する融解ピークの融解エンタルピーが20J/g以上であることが好ましい。
上記の通りポリ乳酸樹脂は融点が190℃以上230℃未満であってSc率が80%以上100%以下であることが重要であり、融点およびSc率を該範囲に制御する方法は特に限定されないものの、ポリ乳酸樹脂として、例えば、以下のA)又はB)とする方法が好ましい。
A)ポリ乳酸樹脂Aとして、ポリ−L−乳酸とポリ−D−乳酸の混合物を用いる。
B)ポリ乳酸樹脂Aとして、ポリ−L−乳酸からなるセグメントとポリ−D−乳酸からなるセグメントから構成されるポリ乳酸ブロック共重合体を用いる。
ポリ乳酸樹脂Aの融点を190℃以上230℃未満にするという観点からは、A)及びB)のいずれの方法も好適であるが、Sc率を80%以上100%以下とするとともにシートとした際に優れた透明性、耐熱性が得られるという点で、B)の方法、つまりポリ乳酸樹脂Aとしてポリ乳酸ブロック共重合体を用いることが特に好ましい。
ここでポリ−L−乳酸とは、ポリ乳酸樹脂を構成する全ての単量体成分100モル%において、L−乳酸成分を70モル%以上100モル%以下含むポリ乳酸樹脂を意味する。またポリ−D−乳酸とは、ポリ乳酸樹脂を構成する全ての単量体成分100モル%において、D−乳酸成分を70モル%以上100モル%以下含むポリ乳酸樹脂を意味する。なおポリ−L−乳酸としては、ポリ乳酸樹脂中の乳酸成分を100モル%として、さらにL−乳酸成分を90モル%以上100モル%以下含有していることがより好ましく、95モル%以上100モル%以下含有していることがさらに好ましく、98モル%以上100モル%以下含有していることが特に好ましい。また、ポリ−D−乳酸としては、ポリ乳酸樹脂中の乳酸成分を100モル%として、さらにD−乳酸成分を90モル%以上100モル%以下含有していることがより好ましく、95モル%以上100モル%以下含有していることがさらに好ましく、98モル%以上100モル%以下含有していることが特に好ましい。
本発明におけるポリ乳酸ブロック共重合体とは、ポリ−L−乳酸からなるセグメント及びポリ−D−乳酸からなるセグメントから構成されるポリ乳酸ブロック共重合体をいう。ここでいうポリ−L−乳酸、ポリ−D−乳酸の意味は、前述の通りである。
本発明におけるポリ乳酸樹脂Aとして、ポリ乳酸ブロック共重合体を用いる場合のポリ乳酸ブロック共重合体の重量平均分子量は、特に限定されるものではないが、10万以上50万以下の範囲であることが、成形性および機械物性の点で好ましい。より好ましくは12万以上40万以下の範囲であり、さらに好ましくは13万以上35万以下の範囲であることを好ましい。
本発明におけるポリ乳酸樹脂として、ポリ乳酸ブロック共重合体を用いることが好ましく、この場合、ポリ−L−乳酸からなるセグメント及びポリ−D−乳酸からなるセグメントの重量平均分子量は、特に限定されるものではないが、ポリ乳酸ブロック共重合体中のポリ−L−乳酸からなるセグメントまたはポリ−D−乳酸からなるセグメントのうち、いずれか一方のセグメントの重量平均分子量が6万以上30万以下であり、他方のセグメントの重量平均分子量が1万以上10万以下であることが好ましい。ポリ乳酸ブロック共重合体中のポリ−L−乳酸からなるセグメントまたはポリ−D−乳酸からなるセグメントについて、さらに好ましくは、一方のセグメントの重量平均分子量が10万以上27万以下、他方のセグメントの重量平均分子量が2万以上8万以下であり、特に好ましくは、一方のセグメントの重量平均分子量が15万以上24万以下、他方のセグメントの重量平均分子量が3万以上6万以下である。
本発明におけるポリ乳酸樹脂において、ポリ乳酸樹脂全体におけるL−乳酸単位とD−乳酸単位の質量比は、80:20〜20:80であることが好ましく、75:25〜25:75であることがより好ましく、さらには70:30〜30:70であることが好ましい。L−乳酸単位とD−乳酸単位のそれぞれの質量比が、80:20〜20:80の範囲であると、ポリ乳酸樹脂がステレオコンプレックス結晶を形成しやすく、その結果、ポリ乳酸樹脂Aの融点が190℃以上230℃未満となるとともにSc率が80%〜100%となる。
本発明におけるポリ乳酸樹脂においてポリ乳酸ブロック共重合体を用いる場合、その製造方法は、特に限定されるものではなく、一般のポリ乳酸の製造方法を利用することができる。具体的には、ポリ−L−乳酸とポリ−D−乳酸を二軸押出機中で混合することで混合物を製造し、該混合物を固相重合することによって前記ポリ乳酸ブロック共重合体を製造する方法、原料の乳酸成分から生成した環状2量体のL−ラクチドまたはD−ラクチドのいずれか一方を触媒存在下で開環重合させ、さらに該ポリ乳酸の光学異性体であるラクチドを添加して開環重合させることで、ポリ乳酸ブロック共重合体を製造するラクチド法、ポリ−L−乳酸とポリ−D−乳酸を融点の高い方の成分の融解終了温度以上で長時間溶融混練を行うことで、L−乳酸成分のセグメントとD−乳酸成分のセグメントをエステル交換反応させてポリ乳酸ブロック共重合体を製造する方法、多官能性化合物をポリ−L−乳酸およびポリ−D−乳酸に混合して反応させることで、ポリ−L−乳酸とポリ−D−乳酸を多官能性化合物で共有結合させ、ポリ乳酸ブロック共重合体を製造する方法などがある。ポリ乳酸ブロック共重合体の製造方法についてはいずれの方法を利用してもよいが、ポリ−L−乳酸とポリ−D−乳酸を二軸押出機中で混合することで混合物を製造する工程、該混合物を固相重合することによって前記ポリ乳酸ブロック共重合体を製造する工程、及び、該ポリ乳酸ブロック共重合体を用いて本発明のシートを製造する工程を有する方法を用いることにより、得られるシートが耐熱性や透明性に優れたものになる点で好ましい。
本発明において、ポリ乳酸樹脂の含有量は本発明のシート全成分を100質量%とした際に50質量%以上99.9質量%以下であることが好ましい。50質量%より少ないとポリ乳酸の特徴である植物度に劣り99.9%より多いと耐衝撃性に劣る。より好ましい含有量は、70質量%以上99.5質量%以下であり、さらに好ましくは80質量%以上99質量%以下である。
さらに本発明におけるシートは耐熱性を付与する点で、所定の温度にて熱処理を施しポリ乳酸樹脂を結晶化させた場合のポリ乳酸樹脂の成形体の結晶化度は10%以上であることが好ましく、13%以上であることがより好ましい。成形体の結晶化度が10%未満では高温下にて自重により激しい変形が起こってしまい実用性に劣る。またステレオコンプレックス結晶がポリ−L−乳酸セグメントおよびポリ−D−乳酸セグメントの割合が1:1で形成されることを考慮すると結晶化度の上限は50%である。
本発明におけるシートは、耐衝撃性を付与する意味でアクリル系ブロック共重合体を含有する。そして本発明におけるアクリル系ブロック共重合体は、メタクリル酸メチルからなるセグメント及びアクリル酸エステルからなるセグメントを有する重合体、又は、メタクリル酸メチルからなるセグメント及びメタクリル酸エステルからなるセグメントを有する重合体であることが重要である。
本発明のシートは、アクリル酸エステルからなるセグメントのガラス転移温度が20℃以下であり、該セグメントとポリ乳酸樹脂の屈折率の差の絶対値が0.03以下、又は、前記メタクリル酸エステルからなるセグメントのガラス転移温度が20℃以下であり、該セグメントとポリ乳酸樹脂の屈折率の差の絶対値が0.03以下であることが好ましい。これについて以下詳細に説明する。
上記、アクリル酸エステルからなるユニットとしては、アクリル酸と脂肪族アルコールからなるエステルや、アクリル酸と末端ヒドロキシル基を有するポリアルキレングリコールからなるエステル等のアクリル酸とヒドロキシル基を有する化合物からなるエステルが挙げられる。これらの中でも、上記ユニットよりなるセグメントとしてガラス転移温度が20℃以下であり、ポリ乳酸の屈折率の差の絶対値が0.03以下となるものが耐衝撃性と透明性を付与する点で特に重要である。ここでアクリル酸エステルからなるセグメントの屈折率およびガラス転移温度とは上記アクリル酸エステルの単独重合体と同じ値であり、これらの単独重合体の屈折率およびガラス転移温度は「POLYMER HANDBOOK THIRD EDITION 」(Wiley-Interscience)に記載されている。上記特性を満たすアクリル酸エステルとしては、アクリル酸エチル(ガラス転移温度:−24℃、屈折率:1.4685)、アクリル酸ブチル(ガラス転移温度:−54℃、屈折率1.463)、アクリル酸3−メトキシプロピル(ガラス転移温度:−75℃、屈折率1.471)等や、ラウリルアクリレート(共栄社化学株式会社製「ライトアクリレートL−A」 ガラス転移温度:−3℃、屈折率:1.4427)、エトキシ-ジエチレングリコールアクリレート(共栄社化学株式会社製「ライトアクリレートEC−A」 ガラス転移温度:−70℃、屈折率:1.4370)、メトキシ-トリエチレングルコールアクリレート(共栄社化学株式会社製「ライトアクリレートMTG−A」 ガラス転移温度:−50℃、屈折率:1.4452)、2−ヒドロキシエチルアクリレート(共栄社化学株式会社製「ライトアクリレートHOA(N)」 ガラス転移温度:−15℃、屈折率:1.448)、2-アクリロイロキシエチル-コハク酸(共栄社化学株式会社製「HOA−MS(N)」 ガラス転移温度:−40℃、屈折率:1.4642)、メトキシポリエチレングリコールアクリレート(新中村化学社製「AM−90G」ガラス転移温度:−71℃、屈折率:1.46)、等が挙げられる。
また上記、メタクリル酸エステルからなるユニットとしては、メタクリル酸と脂肪族アルコールからなるエステルや、アクリル酸と末端ヒドロキシル基を有するポリアルキレングリコールからなるエステル等のアクリル酸とヒドロキシル基を有する化合物からなるエステルが挙げられる。
これらの中でも、上記ユニットよりなるセグメントとしてガラス転移温度が20℃以下であり、ポリ乳酸の屈折率の差の絶対値が0.03以下となるものが耐衝撃性と透明性を付与する点で特に重要であり、上記ユニットよりなるセグメントの屈折率およびガラス転移温度は上記メタアクリル酸エステルの単独重合体と同じ値であり、これらの単独重合体の屈折率およびガラス転移温度は「POLYMER HANDBOOK THIRD EDITION 」(Wiley-Interscience)に記載されている。上記特性を満たすメタアクリル酸としては、メタクリル酸ドデシル(ガラス転移温度:−65℃、屈折率:1.474)、メタクリル酸等や2-エチルヘキシルメタクリレート(共栄社化学株式会社製「ライトエステルEH」 ガラス転移温度:−10℃、屈折率:1.4398)、イソデシルメタクリレート(共栄社化学株式会社製「ライトエステルID」 ガラス転移温度:−41℃、屈折率:1.4424)、n−ラウリルメタクリレート(共栄社化学株式会社製「ライトエステルID」 ガラス転移温度:−65℃、屈折率:1.4440)、メトキシポリエチレングリコールメタクリレート(新中村化学社製「M−90G」ガラス転移温度:−69℃、屈折率:1.458)等が挙げられる。
本発明におけるアクリル系ブロック共重合体において、メタクリル酸メチルからなるセグメントの含有量は、該アクリル系ブロック共重合体の全成分を100質量%とした際に20%以上80%以下であることが好ましい。30%未満ではポリ乳酸とアクリル系ブロック共重合体の相溶性に劣るため透明性の高いシートが得られない。また80%より多いと、十分な耐衝撃性改良効果が得られなくなる。
本発明におけるアクリル系ブロック共重合体において、メタクリル酸メチルからなるセグメントの重量平均分子量は1000以上、50000以下であることが好ましく、3000以上40000以下であることがより好ましい。また本発明におけるアクリル系ブロック共重合体において、アクリル酸エステルからなるセグメントまたはメタクリル酸エステルからなるセグメントの重量平均分子量は、5000以上500000以下であることが好ましく、10000以上400000以下であることがより好ましい。
本発明におけるアクリル系ブロック共重合体において、アクリル酸エステルからなるセグメントまたはメタクリル酸エステルからなるセグメントの含有量は、該アクリル系ブロック共重合体の全成分を100質量%とした際に20質量%以上80質量%以下であることが好ましい。30質量%未満では十分な耐衝撃性改良効果が得られなくなり、80質量%より多いと透明性に劣る。
本発明におけるアクリル系ブロック共重合体は、上記メタクリル酸メチルからなるセグメントと、メタクリル酸メチルからなるセグメントまたはアクリル酸メチルからなるセグメントを有していればよくジブロック共重合体、トリブロック共重合体、マルチブロック共重合体のいずれのブロック構造をとっていても構わない。
さらに本発明におけるアクリル系ブロック共重合体の重量平均分子量は50000以上700000以下であることが好ましく、100000以上400000以下であることがより好ましい。
上記のような性質を満たすアクリル系ブロック共重合体の例として、メタクリル酸メチルとアクリル酸ブチルのブロック共重合体構造を有する株式会社クラレ製の「クラリティ LA2140e」、「クラリティ LA2250」、「クラリティ LA4285」、アルケマ社製の「Nanostrength MAM」等が挙げられる。
本発明において、アクリル系ブロック共重合体の含有量は本発明のシート全成分を100質量%とした際に0.1質量%以上30質量%以下であることが好ましい。0.1質量%より少ないと耐衝撃性に劣り、30質量%より多いとポリ乳酸の特徴である植物度に劣る。より好ましい含有量は、0.5質量%以上20質量%以下であり、さらに好ましくは1質量%以上10質量%以下である。

本発明のシートは、必要に応じて本発明の目的を損なわない範囲でその他の添加剤、例えば、難燃剤、熱安定剤、結晶核剤、可塑剤、粒子、光安定剤、酸化防止剤、着色防止剤、紫外線吸収剤、帯電防止剤、可塑剤、粘着性付与剤、脂肪酸エステル、ワックスなどの有機滑剤またはポリシロキサンなどの消泡剤、顔料、染料などの着色剤を適量配合することができる。また、本発明のシートは、ポリ乳酸樹脂およびアクリル系ブロック共重合体以外の樹脂を含んでも良い。
本発明のシートは、ブロッキング防止、帯電防止、離型性付与、耐傷付き性改良などの目的で、表面に機能層を設けてもよい。さらに本発明のシートに意匠性を付与するために、目的に応じて、表層に、印刷層を形成することができる。

本発明のシートの厚みは、特に制限はないが、50μm以上2000μm以下であることが好ましく、より好ましくは100〜1500μm、さらに好ましくは、200〜750μmである。

また本発明のシートは、本発明のシートとは異なる構成を有する層との積層構成をとっていても構わない。
本発明におけるシートは、ヘイズが5%以下であることが食品容器等の透明性が重視される用途において展開するうえで好ましい。ここで言うヘイズとは、シートの厚みを考慮した値であり、250μm基準に換算した値をいう。ヘイズは低ければ低いほど良いが、シート自体の光の吸収や表面の荒れによる散乱等から現実的な下限値は0.1%である。シートのヘイズは、より好ましくは4%以下であり、さらに好ましくは3%以下である。
本発明におけるシートは、本発明におけるシートを予熱する工程(以下、予熱工程という)及び予熱したシートを成形する工程を有する製造方法を経て成形体とすることができる。成形体の形状としては、上記製造方法により得られるものであれば特に限定されないが、底面部に多角形の形状を有する角型容器または円筒型容器等が挙げられ、トレー、カップ、ケースおよび、それらの蓋材の形状を有するものが挙げられる。また本発明の成形体としては特に形状に限定はないが、商品の展示包装用に用いられているブリスターパックなどの保形具類等、飲料自動販売機のディスプレイ用ボトル、その他各種包装用の成形体、および表面材などの各種工業材料を好ましく挙げることができる。

このような上記のような製造方法としては、真空成形法、真空圧空成形法、プラグアシスト成形法、ストレート成形法、フリードローイング成形法、プラグアンドリング成形法、スケルトン成形法などの熱成形と呼ばれる各種成形法を適用することができる。各種成形法において前述の予熱工程は、間接加熱方式と熱板直接加熱方式があり、間接加熱方式はシートから離れた位置に設置された加熱装置によってシートを予熱する方式であり、熱板直接加熱方式はシートと熱板が接触することによってシートを予熱する方式であるが、本発明の成形体の製造方法における予熱工程としては、いずれの方法も好ましく用いることができる。

以下に、本発明のシートの製造方法について述べる。
押出機に原料である樹脂組成物を溶融押出し、それぞれ金網メッシュによる異物除去、ギアポンプによる流量適性化を行った後、マニホールド口金に供給し、口金よりシート状に押出す。当該シートは、エアナイフ、または静電印加等の方式により、キャスティングドラムに密着させ、冷却固化せしめて未延伸シートとする。
ここで、ゲルや熱劣化物等の異物の混入による表面荒れを防ぐために、50〜400meshの金網メッシュを使用することが好ましい。
本発明のシートは、ステレオコンプレックス結晶を有する耐熱シートとするために、70℃以上の温度で熱処理を施す工程を有する製造方法によって製造することが好ましい。シートの耐熱性を向上させるため、熱処理を施す工程の温度は、70℃以上210℃以下が好ましく、より好ましくは75℃以下180℃以下、さらに好ましくは80℃以上150℃以下である。熱処理を施す工程の時間は、結晶化を進行させるために、5秒〜10分間が好ましく、5秒〜5分間がより好ましい。熱処理を施す方法としては特に限定しないが、加熱オーブンによる方法や加熱ロールによる方法が好ましい。加熱オーブンによる方法では、加熱方法として、熱風による方法や遠赤外ヒーターによる方法、これらの組み合わせによる方法等が好ましく採用できる。
本発明のシート、透明性、耐熱性に優れており、加えて環境負荷が低減されたものであることから、包装容器、各種電子・電気機器、OA 機器、車両部品、機械部品、その他農業資材、漁業資材、搬送容器、遊戯具および雑貨などの各種用途の使用に有用である。その中でも特に好ましくは食品用の成形容器、飲料用カップ蓋などの成形性、透明性、耐熱性の要求される用途に好ましく用いることができる。

〔物性の測定方法および効果の評価方法〕
本発明における物性の測定方法および効果の評価方法は下記の通りである。
1.シート厚み
ダイヤルゲージ式厚み計(JIS B7503(1997)、PEACOCK製UPRIGHT DIAL GAUGE(0.001×2mm)、No.25、測定子5mmφ平型)を用いて、シートのMD方向およびTD方向に10cm間隔で10点ずつ測定し、その平均値を当該シートのシート厚み(μm)とした。
2.引張弾性率測定
引張弾性率(MPa)
恒温槽を備えたオリエンテック社製TENSILON UCT−100を用いて、80℃における応力−歪み測定を行い、垂直方向に長さ150mm、幅10mmのMD方向を垂直方向とした短冊状にサンプルを切り出し、80℃に調整された恒温槽の中で、初期引張チャック間距離50mm、引張速度200mm/分で、JIS K−7127(1999)に規定された方法にしたがって測定を行い、応力−歪み曲線の最初の直線部分を用いて、直線上の2点間の応力の差を同じ2点間の歪みの差で除し、引張弾性率を計算した。測定は計10回行い、その平均値を採用した。この弾性率は高温下における剛性の指標となることから、高い値を示すほど高い耐熱性を有すると解釈でき、100MPa以上であれば実用化に耐えうる耐熱性を有すると判断した。
3.透明性:ヘイズ値(%)
ヘイズメーターHGM−2DP型(スガ試験機社製)を用いて、シートのヘイズ値を測定した。測定は1サンプルにつき5回行い、5回の測定の平均値から求めた。
4.分子量
ポリ乳酸樹脂の重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により測定した標準ポリメチルメタクリレート換算の値である。GPCの測定は、検出器にWATERS社示差屈折計WATERS410を用い、ポンプにWATERS社MODEL510を用い、カラムにShodex GPC HFIP−806MとShodex GPC HFIP−LGを直列に接続したものを用いて行った。測定条件は、流速0.5mL/minとし、溶媒にヘキサフルオロイソプロパノールを用い、試料濃度1mg/mLの溶液を0.1mL注入した。
5.融点、ステレオ化率(Sc率)
ポリ乳酸樹脂の融点は、パーキンエルマー社示差走査型熱量計(DSC)により測定した。測定条件は、試料5mg、窒素雰囲気下、昇温速度が20℃/分である。ここで、融点とは、結晶融解ピークにおけるピークトップの温度のことを指す。
ここで示す融点とは、1回目の測定(1stRUN)で昇温速度20℃/分で30℃から250℃まで昇温した後、降温速度999℃/分で30℃まで冷却し、さらに2回目の測定(2ndRUN)で昇温速度20℃/分で30℃から250℃まで昇温したときに測定される融点のことである。
また、ポリ乳酸樹脂のSc率は、上記融点の測定方法において測定される190℃以上230℃未満にピークを有する吸熱曲線の融解エンタルピー(△Hsc)および150℃以上185℃未満にピークを有する吸熱曲線の融解エンタルピー(△Hhomo)を用いて式(1)より算出される値を指す。
Sc率 = 100 × △Hsc/(△Hsc+△Hhomo) ・・・・・式(1)
6.ガラス転移温度
アクリル系ブロック共重合体におけるアクリル酸エステルまたはメタクリル酸エステルからなるセグメントのガラス転移温度は「POLYMER HANDBOOK THIRD EDITION 」(Wiley-Interscience)に記載の値を用いた。また上記文献に記載のないものについては、その単独重合体を作成し上記融点の測定方法と同じ装置を用いて測定を行った。測定条件としては試料5mg、窒素雰囲気下とし、1回目の測定(1stRUN)で昇温速度20℃/分で−100℃から200℃まで昇温した後、降温速度999℃/分で−100℃まで冷却し、さらに2回目の測定(2ndRUN)で昇温速度20℃/分で−100℃から200℃まで昇温した。ここでガラス転移温度は2ndRUNにおいて−100℃から250℃まで昇温したときに測定されるDSC曲線のベースラインが吸熱方向にシグモイド型に変化する領域において、シグモイド型に変化する領域より低温側のベースラインの延長線と、シグモイドにおける変曲点の接線の交点を指す。

7.屈折率
ポリ乳酸樹脂については予めポリ乳酸樹脂のみよりなるシートを作成した後、アタゴ製アッベ屈折計によってシートのMD方向、TD方向、厚み方向の屈折率(それぞれNx、Ny、Nz)を25℃にて測定し、次式にて平均屈折率(N)を算出した。
N =(Nx+Ny+Nz)/3
アクリル系ブロック共重合体におけるアクリル酸エステルまたはメタクリル酸エステルからなるセグメントの屈折率は「POLYMER HANDBOOK THIRD EDITION 」(Wiley-Interscience)に記載の値を用いた。また上記文献に記載のないものについては、その単独重合体を作成しポリ乳酸と同様にアッベ屈折計を用いて測定を行った。
8.耐衝撃性:インパクト値(N・m/mm)
フィルムインパクトテスター(東洋精機製作所製)により、直径1/2インチの半球状衝撃頭を用い、温度23℃、湿度65%RHの雰囲気下においてインパクト値の測定を行った。100mm×100mmにシートサンプルを作製し、測定は1サンプルにつき5回行った。さらに、1回毎のインパクト値を測定サンプル厚みで割り返し、単位厚みあたりのインパクト値とし、5回の測定の平均値から求めた。サンプル厚みは、デジタル式マイクロメーターで測定した。
9.結晶化度(広角X線測定)
X線回折装置(Bruker AXS社製 D8 ADVANCE)にて広角X線回折法(2θ−θスキャン法)により得られた回折ピークについて、非晶部分に伴う回折曲線をベースラインとして2θが10〜30度の総面積(Stotal)を100%とし、ステレオ結晶に基づく12度近辺、21度近辺、24度近辺の回折ピーク面積の和(Ssc)を求め、式(2)により結晶化度を求めた。
結晶化度 = Stotal/(Stotal+非晶部分に伴う回折曲線の面積)×100
・・・(式2)
測定条件
X線源:CuKα線
出力:40kV、40mA
スリット径:DS=SS=1度、RS=0.6mm、RSm=1mm
検出器:シンチレーションカウンター
測定範囲:5〜80度
ステップ幅(2θ):0.05度
スキャン速度:1度/min
本発明の製造例、実施例、比較例で用いた原料は下記の通りである。なお、製造例、実施例、比較例では下記の略称で表記することがある。

ポリ乳酸樹脂A:製造例1(ポリ−L−乳酸からなるセグメント及びポリ−D−乳酸からなるセグメントから構成されるポリ乳酸ブロック共重合体 重量平均分子量=16.6万、融点=213℃、Sc率=88%、25℃での屈折率:1.464)
ポリ乳酸樹脂B:製造例2(ポリ−L−乳酸とポリ−D−乳酸の混合物 重量平均分子量=19.5万、融点=211℃、Sc率=65%、25℃での屈折率:1.464)
ポリ乳酸樹脂C:回転式真空乾燥機にて50℃で8時間乾燥したポリ乳酸樹脂(Nature Works製“Ingeo” 4043D;D体量=4mol%、融点=150℃、Sc率=0%:1.461)
アクリル系ブロック共重合体A:製造例3(メタクリル酸メチルからなるセグメント及びメトキシポリエチレングリコールメタクリレートからなるセグメントを有するアクリル系ブロック共重合体;メトキシポリエチレングリコールメタクリレートからなるセグメントのガラス転移温度=−69℃ メトキシポリエチレングリコールメタクリレートからなるセグメントの25℃での屈折率:1.458、メチルメタクリレートからなるセグメントの重量平均分子量:9800、ブロック共重合体の重量平均分子量:10.1万)
アクリル系ブロック共重合体B:製造例4(メタクリル酸メチルからなるセグメント及びアクリル酸イソアミルからなるセグメントを有するアクリル系ブロック共重合体;アクリル酸イソアミルからなるセグメントのガラス転移温度=−45℃ アクリル酸イソアミルからなるセグメントの25℃での屈折率:1.4201、アクリル酸イソアミルからなるセグメントの重量平均分子量:、ブロック共重合体の重量平均分子量:8.0万)
アクリル系ブロック共重合体B:製造例4(メチルメタアクリレートからなるセグメント及びメタクリル酸プロピルからなるセグメントを有するアクリル系ブロック共重合体;メタクリル酸プロピルからなるセグメントのガラス転移温度=25℃ メトキシポリエチレングリコールメタクリレートからなるセグメントの25℃での屈折率:1.484、メチルメタクリレートからなるセグメントの重量平均分子量:9800、ブロック共重合体の重量平均分子量:10.1万)

[製造例1](ポリ乳酸樹脂Aの製造例)
撹拌装置と還流装置を備えた反応容器中に、90質量%L−乳酸水溶液を50質量%入れ、温度を150℃にした後、徐々に減圧して水を留去しながら3.5時間反応した。その後、窒素雰囲気下で常圧にし、酢酸スズ(II)0.02質量%を添加した後、170℃にて13Paになるまで徐々に減圧しながら7時間重合反応を行い、ポリ−L−乳酸(PLLA1)を得た。PLLA1の重量平均分子量は1.8万、融点は149℃、融解終了温度は163℃であった。
得られたPLLA1を、窒素雰囲気下110℃で1時間結晶化処理を行った後、60Paの圧力下、140℃で3時間、150℃で3時間、160℃で18時間固相重合を行い、ポリ−L−乳酸(PLLA2)を得た。PLLA2の重量平均分子量は20.3万、融点は170℃であった。
次に、撹拌装置と還流装置を備えた反応容器中に、90質量%D−乳酸水溶液を50質量%入れ、温度を150℃にした後、徐々に減圧して水を留去しながら3.5時間反応した。その後、窒素雰囲気下で常圧にし、酢酸スズ(II)0.02質量%を添加した後、170℃にて13Paになるまで徐々に減圧しながら7時間重合反応を行い、ポリ−D−乳酸(PDLA1)を得た。PDLA1の重量平均分子量は1.7万、融点は148℃、融解終了温度は161℃であった。
得られたPDLA1を、窒素雰囲気下110℃で1時間結晶化処理を行った後、60Paの圧力下、140℃で3時間、150℃で3時間、160℃で6時間固相重合を行い、ポリ−D−乳酸(PDLA3)を得た。PDLA2の重量平均分子量は4.2万、融点は158℃であった。
PLLA2とPDLA2を、あらかじめ窒素雰囲気下で温度110℃、2時間結晶化処理を行っておき、PLLA2をTEX30α二軸押出機(日本製鋼所製)の樹脂供給口より添加し、PDLA2をL/D=30の部分に設けたサイド供給口より添加し溶融混練を行った。二軸押出機は、樹脂供給口よりL/D=10の部分に温度180℃に設定した可塑化部分を設け、L/D=30の部分にはニーディングディスクを備えてせん断付与できるスクリューとしてせん断付与下で混合できる構造をしており、PLLA2とPDLA2の混合はせん断付与下、混合温度200℃で行った。ダイスから吐出されたストランドを冷却バス内で冷却した後、ストランドカッターにてペレット化することで、ペレット状のポリ乳酸溶融混練樹脂を得た。得られたポリ乳酸溶融混練樹脂を真空乾燥機中、110℃にて圧力13.3Paで2時間乾燥後、140℃にて圧力13.3Paで4時間固相重合を行い、次いで150℃に昇温して4時間、さらに160℃に昇温して10時間固相重合を行い、ポリ乳酸ブロック共重合体を得た。次いで、触媒失活剤(アデカ製、‘’アデカスタブ‘’AX−71)を得られたポリ乳酸ブロック共重合体100質量%に対し0.5質量%をドライブレンドした後、シリンダー温度を240℃、スクリュー回転数を100rpmに設定した、2ヶ所のニーディングブロック部を有するPCM30二軸押出機で溶融混練し、ダイスから吐出されたストランドを冷却バス内で冷却した後、ストランドカッターにてペレット化することで、ペレット状のポリ乳酸樹脂Aを得た。
[製造例2](ポリ乳酸樹脂Bの製造例)
製造製1においてPDLA1を、窒素雰囲気下110℃で1時間結晶化処理を行った後、60Paの圧力下、140℃で3時間、150℃で3時間、160℃で18時間固相重合を行い、ポリ−D−乳酸(PDLA3)を得た。PDLA5の重量平均分子量は20.1万、融点は170℃であった。このPDLA3とPLLA2を用いて製造例1と同様の方法で溶融混合することでポリ乳酸樹脂Bを得た。
[製造例3](アクリル系ブロック共重合体Aの製造例)
2リットルの三口フラスコを窒素雰囲気下とした後、トルエン800ml、N,N,N’,N'',N''−ペンタメチルジエチレントリアミン2.5ml、0.6mol/リットルのイソブチルビス(2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノキシ)アルミニウムのトルエン溶液を34ml、さらに、1.3mol/リットルのsec−ブチルリチウム3.5mlを添加、さらにメタクリル酸メチル32mlを加え、室温で3時間反応させた。引き続き、重合液の内部温度を−20℃に冷却し、メトキシポリエチレングリコールメタクリレート(新中村化学社製「M−90G」)260mlを7時間かけて滴下した。続いて反応液を室温に昇温して、約5時間攪拌した。この反応液を大量のメタノール中に注ぎ、析出した沈殿物を回収し、アクリル系ブロック共重合体Aを得た。
[製造例4](アクリル系ブロック共重合体Bの製造例)
2リットルの三口フラスコを窒素雰囲気下とした後、トルエン800ml、N,N,N’,N'',N''−ペンタメチルジエチレントリアミン2.5ml、0.6mol/リットルのイソブチルビス(2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノキシ)アルミニウムのトルエン溶液を34ml、さらに、1.3mol/リットルのsec−ブチルリチウム3.5mlを添加、さらにメタクリル酸メチル32mlを加え、室温で3時間反応させた。引き続き、重合液の内部温度を−20℃に冷却し、アクリル酸イソアミル(共栄社化学株式会社製「ライトアクリレートIAA」)95mlを7時間かけて滴下した。続いて反応液を室温に昇温して、約5時間攪拌した。この反応液を大量のメタノール中に注ぎ、析出した沈殿物を回収し、アクリル系ブロック共重合体Bを得た。
(実施例1)
ベント式押出機(A)に、A層の樹脂組成物として、ポリ乳酸樹脂A 99質量%およびアクリル系ブロック共重合体としてクラレ株式会社製「クラリティ LA4285」 1質量%のペレット混合物 を230℃で真空ベント部を脱気しながら溶融混練しながら押出し、100meshの金網メッシュにてポリマーを濾過させ、マニホールド口金に供給し、口金温度を230℃に設定したTダイ口金よりシート状に押出し、互いに接する方向に回転し40℃に冷却した一対のキャスティングドラムとポリッシングロール間に吐出してキャスティングドラムに密着させ冷却固化し、未延伸状態のシートを作製した後に、ワインダーにて該シートを巻き取った。
得られたシートは250μmであった。次いで、熱風オーブンにて熱処理温度150℃で180秒間熱処理を施した。また得られたシートは[物性の測定方法および効果の評価方法]の成形体作製部分に記載の方法にて成形体を作製した。
得られたシートの特性値は表1に示した通りであり、透明性、耐熱性、耐衝撃性に優れていた。

実施例2、実施例3、比較例1〜4は、シートの組成を表のとおりに変更した以外は、実施例1と同様にしてシートを得た。得られたシートの物性を表1、2に示した。
Figure 2014234467
Figure 2014234467
本発明は、透明性、耐熱性・耐衝撃性に優れたシートに関するものであり、食品などに用いられる各種包装材料、および各種工業材料などに好ましく用いることができる。

Claims (3)

  1. ポリ乳酸樹脂とアクリル系ブロック共重合体を含むシートであり、
    前記アクリル系ブロック共重合体は、メタクリル酸メチルからなるセグメント及びアクリル酸エステルからなるセグメントを有する重合体、又は、メタクリル酸メチルからなるセグメント及びメタクリル酸エステルからなるセグメントを有する重合体であり、
    前記ポリ乳酸樹脂は、融点が190℃以上230℃未満であることを特徴とする、シート。
  2. 前記アクリル酸エステルからなるセグメントのガラス転移温度が20℃以下であり、該セグメントとポリ乳酸樹脂の屈折率の差の絶対値が0.03以下、又は、前記メタクリル酸エステルからなるセグメントのガラス転移温度が20℃以下であり、該セグメントとポリ乳酸樹脂の屈折率の差の絶対値が0.03以下であることを特徴とする請求項1に記載のシート。
  3. 前記ポリ乳酸樹脂のステレオ化率が80%以上100%以下であることを特徴とする、請求項1又は2に記載のシート。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2018102668A (ja) * 2016-12-27 2018-07-05 クラレファスニング株式会社 雄型成形面ファスナーおよびそれを用いた固定用ベルト
JP2018126875A (ja) * 2017-02-06 2018-08-16 クラレファスニング株式会社 貼り絵

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