以下、図面により実施の形態について説明する。なお、以下に示す実施形態はあくまでも例示に過ぎず、以下の実施形態で明示しない種々の変形や技術の適用を排除する意図はない。
[1.全体構成]
図2に示すように、本実施形態の運転支援装置は、アクセルペダル2aに反力Fを与えることができるアクチュエータ2bが設けられた、いわゆるアクティブペダルを備えている。アクチュエータ2bがアクセルペダル2aに与える反力Fの大きさは、車両ECU(電子制御装置)10によって制御される。本運転支援装置は、車両1の車速が目標値である目標車速VTに滑らかに到達するように、アクセルペダル2aに適切な反力Fを付加する。なおここでは、車両1はエンジン8を駆動源とした一般的な自動車とする。
まず、図2を用いて車両ECU10の入力側及び出力側にそれぞれ接続される装置を順に説明する。車両ECU10の入力側には、車速センサ3,カメラ4,レーダ5,車速設定スイッチ6及びアクセルポジションセンサ(APS)7が接続される。一方、車両ECU10の出力側には、アクチュエータ2bが接続される。また、車両ECU10は、エンジン8を制御するエンジンECU20と情報伝達可能に接続されている。
車速センサ(車速検出手段)3は、車両1の車速を検出するものであり、例えば駆動輪の回転速度に応じた車速信号(車速情報)を出力する。以下、車速センサ3で検出された車速を実車速Vという。車速センサ3で検出された車速情報は、随時車両ECU10に伝達される。
カメラ4は、例えば車両1の前部中央に設置されたCCDカメラやCMOSカメラ等であって、車両1の前方の画像を撮像するものである。カメラ4によって撮像される画像は、例えば車両1の前方の道路標識や路面上の道路標示等であり、少なくとも速度規制の標識,標示を含む。カメラ4によって撮像された画像(静止画像)は、随時車両ECU10に画像データとして送信され、車両ECU10において各画像データに対して画像処理される。
レーダ5は、例えば車両1の前端部中央に設置されたレーザレーダやミリ波レーダ等であって、車両1の前方にレーザ波等を送出し、その反射波を受信することで、車両1の前方を走行する先行車の情報を検出するものである。ここで検出される先行車の情報は、例えば先行車の有無情報や、先行車までの距離(車間距離),角度(相対位置)や速度(相対速度)等の情報である。レーダ5により検出された各情報は、随時車両ECU10に伝達される。
車速設定スイッチ6は、例えば図示しないハンドルのスポークなど、ドライバがハンドルを握ったときに用意に操作できる位置に設けられた操作スイッチであり、目標値としての目標車速VTを設定するものである。この車速設定スイッチ6は、従来周知のクルーズコントロール装置やACC装置の一部として設けられた車速設定スイッチを併用してもよいし、これら装置とは別体で設けられたものでもよい。これらカメラ4,レーダ5及び車速設定スイッチ6は、目標車速VTを設定するために用いられるものである。
アクセルポジションセンサ7は、アクセルペダル2aの開度(アクセル開度)を検出するものであり、例えばアクセルペダル2aの操作量に応じた開度信号(開度情報)を出力する。アクセルポジションセンサ7で検出されたアクセル開度情報は、随時車両ECU10に伝達される。以下、アクセルポジションセンサ7で検出されたアクセル開度を実アクセル開度Aという。
アクチュエータ2bは、アクセルペダル2aに対して、ドライバによる踏み込み操作を押し戻す方向(すなわち、ドライバによるアクセルペダル2aの踏み込み方向とは逆方向)に反力Fを与えるものである。アクチュエータ2bは、後述する制御部17によりその反力Fの大きさや反力Fの与え方が制御される。
車両ECU10及びエンジンECU20は、各種演算処理を実行するCPU、その制御に必要なプログラムやデータの記憶されたROM、CPUでの演算結果等が一時的に記憶されるRAM、外部との間で信号を入出力するための入出力ポート、時間をカウントするタイマー等を備えたコンピュータである。
エンジンECU20は、エンジン8に関する点火系,燃料系及び吸排気系といった広汎なシステムを制御するものであり、少なくともその制御対象にはインジェクタ(図示略)から噴射される燃料量Qが含まれる。ここでは、エンジンECU20により制御される燃料量Qの情報が車両ECU10へ伝達される。
[2.制御構成]
本実施形態に係る車両ECU10は、目標車速VTが設定された場合に、アクセルペダル2aに適切な反力Fを与えることで、ドライバが意識的にアクセルペダル2aの操作をしなくても目標車速VTで定速走行させる支援制御を実施する。このような支援制御を実施するために、図1に示すように、車両ECU10には目標車速設定部11,目標アクセル開度設定部12,補正部13,モード設定部14,判定部15,初期反力値取得部16及び制御部17が設けられる。
これらの各要素は電子回路(ハードウェア)によって実現してもよく、ソフトウェアとしてプログラミングされたものとしてもよいし、あるいはこれらの機能のうちの一部をハードウェアとして設け、他部をソフトウェアとしたものであってもよい。なお、ここでは一つの車両ECU10に全ての要素が設けられている場合を例示しているが、これらの要素が複数の制御装置に分けて設けられ、各制御装置が情報伝達可能に構成されていてもよい。
目標車速設定部(目標車速設定手段)11は、カメラ4,レーダ5及び車速設定スイッチ6の少なくとも何れか一つの情報を用いて、車両1の目標車速VTを設定するものである。目標車速VTの設定手法は手動設定と自動設定とに大別される。ここでは、手動設定は車速設定スイッチ6を用いて行われ、自動設定はカメラ4及びレーダ5の少なくとも一つを用いて行われる。
目標車速設定部11は、ドライバによる車速設定スイッチ6の操作を検出した場合は、この操作に基づいて目標車速VTを設定する。例えば、高速道路のような定速走行できる場所を走行しているときに、ドライバによって手動で目標車速VTが設定される。
また、目標車速設定部11は、車両1にISA(Intelligent Speed Adaptation)が備えられている場合、カメラ4により撮像された速度規制の標識の画像から、標識の速度(制限速度)を目標車速VTとして自動的に設定する。ISAには、車両が制限速度を認識した場合にその情報を車内に表示し、ドライバが速度違反すると警告を発するものや、走行速度の上限値を制限速度に抑制するものがある。なお、ISAの具体的な構成は省略する。
また、目標車速設定部11は、車両1にACC(Adaptive Cruise Control)が備えられている場合、レーダ5により検出された先行車との車間距離を一定に保つように、先行車の車速を目標車速VTとして自動的に設定する。ACCは、先行車との車間距離を安全に保ちながら自動的に追従走行する車間距離制御付きクルーズコントロールシステムである。なお、ACCの具体的な構成もここでは省略する。目標車速設定部11で設定された目標車速VTは、目標アクセル開度設定部12及び補正部13に伝達される。
目標アクセル開度設定部(目標アクセル開度設定手段)12は、例えば図3のマップを用いて、目標車速設定部11で設定された目標車速VTに対応するアクセル開度を目標アクセル開度ATとして設定するものである。ここで設定される目標アクセル開度ATは、反力Fの大きさを制御する際の基準となるものであり、言い換えるとアクセルペダル2aに与えられる反力Fの大きさを左右するものである。
目標アクセル開度ATは、設定された目標車速VTで走行可能なアクセル開度、すなわち平坦な道路でアクセルペダル2aを踏み続けながら走行したと仮定した場合に、実車速Vが目標車速VTに収束するようなアクセルペダル2aの踏み込み量を意味する。目標アクセル開度ATは、目標車速VTに応じた値が予め実験等により求められており、図3に示すようなマップとして車両ECU10に予め記憶されている。目標アクセル開度設定部12は、目標車速設定部11から伝達された目標車速VTをこのマップに適用し、目標アクセル開度ATを取得して設定する。目標アクセル開度設定部12で設定された目標アクセル開度ATは、補正部13及びモード設定部14に伝達される。
補正部(補正手段)13は、目標車速VTに対する実車速Vのずれを解消するために、所定の補正条件が成立した場合に、目標アクセル開度設定部12で設定された目標アクセル開度ATを補正するものである。所定の補正条件とは、実車速Vが目標車速VTに収束する前に、すなわち実車速Vと目標車速VTとがずれた状態で、定速走行が開始されたことである。
最初に、補正条件の成否の判定方法について説明する。まず補正部13は、目標車速設定部11から伝達された目標車速VTと車速センサ3で検出された実車速Vとから、実車速Vと目標車速VTとがずれた状態であるか否かを判定する。この判定は、例えば目標車速VTと実車速Vとの差ΔV(=VT−V)の絶対値(以下、単にずれ量|ΔV|ともいう)を算出し、このずれ量|ΔV|が所定値VTH以上であるか否かを判定することで行われる。すなわち補正部13は、以下の式(1)の関係を満たすか否かを判定する。
|VT−V|≧VTH ・・・(1)
ここで所定値VTHは、目標車速VTと実車速Vとのずれ量|ΔV|が許容され得る大きさか否かを判定するための閾値であり、例えば1km/hに設定されている。なお、所定値VTHは予め設定された一定値であってもよく、設定された目標車速VTに応じてその都度設定されてもよい。例えば、目標車速VTが高速の場合と低速の場合とで所定値VTHの値を変化させてもよい。所定値VTHが小さい値に設定されているほど、目標車速VTに近い車速で定速走行を実現することが可能である。
補正部13は、実車速Vと目標車速VTとがずれた状態である、すなわち上記の式(1)の関係を満たすと判定した場合は、続いて定速走行が開始されたか否かを判定する。この判定は、例えば以下の第一条件及び第二条件を満たすか否かを判定することで行われる。これら第一条件及び第二条件は、ドライバによるアクセル操作量(すなわち、実アクセル開度A)が略一定の状態となったか否かを判定するためのものであり、これにより定速走行へ移行したか否かを判定する。ここでは補正部13は、二つの条件を共に満たした状態が所定時間tTH継続したときに、定速走行へ移行したと判定し、同時に補正条件が成立したと判定する。
第一条件:燃料量Qの変化が所定範囲内である。
第二条件:実アクセル開度Aの変化が所定範囲内である。
第一条件は、例えばインジェクタから噴射される単位時間(単位噴射回数)あたりの燃料量Qが一定の幅に収まっている場合や、燃料量Qの変化量や変化率が所定値以下である場合に成立したと判定される。また、第二条件は、例えば実アクセル開度Aの変化量や変化率が所定値以下である場合に成立したと判定される。
一方、補正部13は、実車速Vと目標車速VTとがずれた状態ではない、すなわち上記の式(1)の関係を満たさないと判定した場合は、上記の第一条件及び第二条件の判定を行うまでもなく、補正条件は不成立であると判定する。また、上記の式(1)の関係を満たしたとしても、第一条件及び第二条件が成立した時から所定時間tTHが経過する前に、式(1)の関係,第一条件及び第二条件の何れか一つでも不成立となった場合も、補正条件は不成立であると判定する。補正部13は、補正条件が成立したと判定した場合は、補正条件成立時に目標アクセル開度ATの補正を実施し、補正条件が不成立であると判定した場合は目標アクセル開度ATの補正を実施しない。
次に、補正部13が行う補正の内容について説明する。補正部13は、補正条件が成立したと判定した場合は、補正条件が成立した時点(すなわち定速走行へ移行した時点)での目標車速VTと実車速Vとの差ΔVに応じて、目標アクセル開度ATの補正量ΔATを取得する。ここでは、補正部13は、図4(a)のマップを用いて、差ΔVの絶対値であるずれ量|ΔV|に応じた大きさの補正量ΔATを取得する。
図4(a)は、ずれ量|ΔV|が上記の所定値VTHから離れるほど補正量ΔATが大きくなるように設定されたマップであり、予め車両ECU10に記憶されている。補正部13は、補正条件成立時のずれ量|ΔV|を算出し、このずれ量|ΔV|を図4(a)のマップに適用して補正量ΔATを取得する。つまりここでは、補正部13は、定速走行へ移行した時点でのずれ量|ΔV|が大きいほど、大きな補正量ΔATを取得する。
補正部13は、取得した補正量ΔATを、目標アクセル開度ATに加減算して目標アクセル開度ATを補正する。具体的には、補正部13は、まず補正条件成立時の実車速Vと目標車速VTとの大小関係を比較する。そして、図12(a)に示すように、補正条件成立時の実車速Vが目標車速VTよりも低い場合(ΔV>0のとき)は、図12(b)に示すように、取得した補正量ΔATを目標アクセル開度設定部12で設定された目標アクセル開度ATに加算して、設定された目標アクセル開度ATを大きくする方向(増大方向)に補正する。
反対に、図13(a)に示すように、実車速Vが目標車速VTよりも高い場合(ΔV<0のとき)は、図13(b)に示すように、取得した補正量ΔATを目標アクセル開度設定部12で設定された目標アクセル開度ATから減算して、設定された目標アクセル開度ATを小さくする方向(減少方向)に補正する。つまり、補正部13は、補正条件成立時の実車速Vと目標車速VTとのずれの大きさ(ずれ量|ΔV|)とずれの方向(ΔVの符号)とに応じて、目標アクセル開度ATを補正する。
補正部13は、補正条件成立時から所定の補正時間taが経過するまでの間、補正条件成立時に補正した目標アクセル開度AT′(以下、補正目標アクセル開度AT′ともいう)を保持し、補正時間taが経過した時点から一定の割合で補正目標アクセル開度AT′を目標アクセル開度ATに近づけるように増減させる。そして、補正目標アクセル開度AT′が目標アクセル開度ATと略一致したら、補正を終了する。
言い換えると、補正部13は、補正条件成立時から補正時間taが経過するまでの間、目標アクセル開度ATを補正目標アクセル開度AT′に設定する補正を実施する。そして、補正時間taが経過した時点で徐々に補正前の目標アクセル開度AT(すなわち目標アクセル開度設定部12で設定された目標アクセル開度AT)に戻す。なお、ここでは補正時間taは予め設定された一定値とする。
補正部13で補正された目標アクセル開度AT′は、モード設定部14に伝達される。また、補正部13での補正情報は判定部15に伝達される。ここでいう補正情報は、目標アクセル開度ATが補正されているか否かの情報と、目標アクセル開度ATの補正方向の情報、すなわち目標アクセル開度ATを小さくする方向に補正しているか、大きくする方向に補正しているかの情報である。
モード設定部(モード設定手段)14は、目標アクセル開度設定部12で設定された目標アクセル開度AT又は補正部13で補正された目標アクセル開度AT′に対する実アクセル開度Aの大小関係に基づいて、アクセルペダル2aに与える反力Fの制御モードを設定するものである。ここで設定されるモードは、反力Fを増加させる増加モードと、反力Fを維持する維持モードと、反力Fを減少させる減少モードの三つのモードのうちの何れか一つである。
図5は、目標アクセル開度AT又は補正目標アクセル開度AT′を基準として決められる三つの領域を示す模式図である。実アクセル開度Aは、図中に破線で示すように、操作されていないアクセルペダル2aの踏面2cの位置を0(基準)とし、この状態からアクセルペダル2aの踏み込み量が増大するに連れて増大する。なお、図5中のD,K,Iは、それぞれ減少モードとなる領域,維持モードとなる領域,増加モードとなる領域に対応する。
モード設定部14は、目標アクセル開度AT又は補正目標アクセル開度AT′の前後(例えば数%まで)の範囲を維持モードの領域Kとする。モード設定部14は、実アクセル開度Aが維持モードの領域K内にある場合、反力Fの制御モードを「維持モード」に設定する。つまり、維持モードは、目標アクセル開度ATよりも所定開度だけ小さい位置A1から目標アクセル開度ATよりも所定開度だけ大きい位置A2までの範囲(例えば、AT±1%の範囲)内に実アクセル開度Aが含まれる場合に設定される。
モード設定部14は、維持モードの領域Kよりもアクセルペダル2aの踏み込み側の範囲を増加モードの領域Iとする。モード設定部14は、実アクセル開度Aが増加モードの領域I内にある場合、反力Fの制御モードを「増加モード」に設定する。つまり、増加モードは、目標アクセル開度ATよりも所定開度だけ大きい位置A2から実アクセル開度Aの最大値A3までの範囲内に実アクセル開度Aが含まれる場合に設定される。
また、モード設定部14は、維持モードの領域Kよりも実アクセル開度Aが小さい方の範囲を減少モードの領域Dとする。モード設定部14は、実アクセル開度Aが減少モードの領域D内にある場合、反力Fの制御モードを「減少モード」に設定する。つまり、減少モードは、実アクセル開度Aの基準位置から目標アクセル開度ATよりも所定開度だけ小さい位置A1までの範囲内に実アクセル開度Aが含まれる場合に設定される。
なお、モード設定部14により設定されるモードは、目標アクセル開度ATが補正部13により補正されることで図5中のD,K,Iの領域が変化するため、実アクセル開度Aが変化していなくても変化することがある。例えば、図5に示す目標アクセル開度ATの位置が踏み込み側に補正された場合、図5中のA1及びA2の位置も踏み込み側に変わるため、維持モードの領域Kの位置が増加モードの領域I側へずれる。これにより、増加モードの領域Iは小さくなり、減少モードの領域Dは大きくなるため、実アクセル開度Aが同じ位置であってもモードは変化し得る。モード設定部14で設定されたモードは、制御部17に伝達される。
判定部15は、以下の条件A又は条件Bが成立するか否かを判定し、条件成立時には、成立した条件に対応した制御指令を制御部17に送るものである。具体的には、判定部15は、条件Aが成立すると判定した場合は、制御部17に対して、モード設定部14で設定されたモードが減少モードであっても反力Fを維持するように指令を送る。また、判定部15は、条件Bが成立すると判定した場合、制御部17に対して、モード設定部14で設定されたモードが増加モードであっても反力Fを維持するように指令を送る。つまり、条件Aの成立時の減少モードは、維持モードと同等のモードとなる。同様に、条件Bの成立時の増加モードは、維持モードと同等のモードとなる。
条件A:目標アクセル開度ATが減少方向に補正されている(AT>AT′)。
条件B:目標アクセル開度ATが増大方向に補正されている(AT<AT′)。
これは、詳細は後述するが、実車速Vが目標アクセル開度ATの補正前の速度付近に逆戻りすることを防ぎ、速やかに目標車速VTに収束させるためである。
判定部15は、上記の条件A又は条件Bが成立すると判定した場合は、制御部17にそれぞれ対応する指令を送る。
初期反力値取得部16は、図6のマップを用いて、アクチュエータ2bで発生させる反力Fの初期値(以下、初期反力値とF0いう)を取得するものである。ここで、初期反力値F0とは、ドライバに反力Fが発生したことを気付かせるための最初の反力値であり、実アクセル開度Aに応じた値が予め実験等により求められており、図6に示すようなマップとして車両ECU10に記憶されている。初期反力値取得部16は、目標車速VTの設定時の実アクセル開度A(すなわち初期アクセル開度A0)をこのマップに適用して初期反力値F0を取得する。初期反力値取得部16で取得された初期反力値F0は、制御部17に伝達される。
制御部(制御手段)17は、モード設定部14により設定されたモードに応じてアクチュエータ2bを制御し、適切な反力Fをアクセルペダル2aに与えるものである。制御部17は、設定されたモードが減少モードである場合は、反力Fを減らすようにアクチュエータ2bを制御する。つまり、減少モードのときは実アクセル開度Aが目標アクセル開度ATに対して小さい(アクセルペダル2aの操作量が足りない)状態であるため、反力Fを減少させることでアクセルペダル2aを踏み込みやすくし、維持モードへと変化させる。
また、制御部17は、設定されたモードが維持モードである場合は、反力Fを維持するようにアクチュエータ2bを制御する。つまり、維持モードのときはアクセルペダル2aの操作量が適切であるため、反力Fを維持することで、そのときの操作量を保持する。
さらに、制御部17は、設定されたモードが増加モードである場合は、反力Fを増やすようにアクチュエータ2bを制御する。つまり、増加モードのときは実アクセル開度Aが目標アクセル開度ATに対して大きい状態(踏み込みすぎ)であるため、反力Fを増大させることで、ドライバの足を押し戻し、維持モードへとに変化させる。
以上の内容について、図7(a)及び(b)を用いてさらに具体的に説明する。図7(a)は、減少モード又は維持モードにおける反力Fの変化を例示したグラフであり、図7(b)は、各モードにおける反力Fの変化を例示したグラフである。なお、図7(a)及び(b)中のD,K,Iは設定されているモードを示し、それぞれ減少モード,維持モード,増加モードに対応する。
図7(a)において、モード設定部14によりモードが設定された時刻をt0とする。時刻t0において設定されたモードが減少モードの場合は、制御部17は反力Fを0とする。これにより、ドライバはアクセルペダル2aを踏み込みやすくなる。時刻t1において、設定されたモードが減少モードから維持モードに変化すると、制御部17は反力Fを素早く階段状に増加させ、初期反力値取得部16から伝達された初期反力値F0に達したところでその値を維持する(すなわち、F=F0とする)。
このように、維持モードに変化した段階で、反力Fを素早く初期反力値F0まで階段状に増加させることで、ドライバに反力Fが発生したことを気付かせることができ、過剰なアクセル操作となることを抑制することができる。また、反力Fを維持することにより、ドライバが意識的にアクセルペダル2aを操作しなくても、制御部17の制御に従うことで、実アクセル開度Aを目標アクセル開度AT付近に留めることができる。
図7(a)に示すように、時刻t2において、設定されたモードが維持モードから減少モードに変化すると、制御部17は反力Fを初期反力値F0からリニアに減少させる。これは、反力Fを減らす場合は、あえてドライバに気付かせる必要もなく、リニアに減少させることで徐々にアクセルペダル2aを踏み込みやすくすることができるためである。減少モードにおいて反力Fが0に到達したら、反力0の状態を維持する。
そして、時刻t3において、再び減少モードから維持モードに変化すると、制御部17は時刻t1からの維持モードと同様、反力Fを素早く初期反力値F0まで階段状に増加させ、初期反力値F0に達したところでその値を維持する。その後、時刻t4において、再び維持モードから減少モードに変化すると、制御部17は時刻t2からの減少モードと同様、反力Fを初期反力値F0からリニアに減少させる。
ここで、反力Fが0に到達する前の時刻t5において、設定されたモードが減少モードから維持モードに変化した場合は、時刻t5における反力Fから素早く初期反力値F0まで階段状に増加させ、初期反力値F0を維持する。このように、制御部17は、モード設定部14により設定されたモードが減少モード又は維持モードの場合は、反力Fを0以上かつ初期反力値F0以下(0≦F≦F0)となるように、アクチュエータ2bを制御する。
また、図7(b)において、モード設定部14によりモードが設定された時刻をt6とする。時刻t6において設定されたモードが維持モードの場合は、制御部17は反力Fを素早く階段状に増加させ、初期反力値取得部16から伝達された初期反力値F0に達したところでその値を維持する(すなわち、F=F0とする)。そして、時刻t7において、維持モードから増加モードに変化すると、制御部17は反力Fを初期反力値F0から階段状に増加させる。なお、このときの反力Fの増加速度は、維持モードでの反力Fの増加速度よりも遅い。これは、少しずつ反力Fを増加させることで、ドライバの足を徐々に押し戻し、維持モードへと変化させるためである。
制御部17は、増加モードでは反力Fを増大させ続け、最大反力値FMAXに到達した後は最大反力値FMAXを維持する。その後、時刻t8において、設定されたモードが増加モードから維持モードに変化すると、制御部17は時刻t8における反力Fを維持する。なお、反力Fが最大反力値FMAXに到達する前に増加モードから維持モードに変化した場合は、制御部17はモードが変化した時点での反力Fを維持する。この場合の反力Fは、初期反力値F0よりも大きく、最大反力値FMAXよりも小さい(F0<F<FMAX)。
時刻t9において維持モードから減少モードに変化すると、制御部17は、モードが変化した時点における反力Fから所定反力値FDだけ減少させた後、リニアに減少させる。このように、モード変化時に反力Fを一気に減らすことで、アクセルペダル2aを踏み込んでいいタイミングをわかりやすくすることができる。特に、反力Fが最大反力値FMAX程度まで大きくなっている場合は、維持モードから減少モードに変化したときに一気に反力Fを減らすことで、反力Fを早めに初期反力値F0程度まで減少させることができ、アクセルペダル2aの踏み込みやすさを素早く確保することができる。
なお、制御部17は、減少モードに変化した時点での反力Fが初期反力値F0よりも大きい場合は、モード変化時に反力Fを一気に減少させる。このときに減少させる所定反力値FDは、予め設定された一定値であってもよいし、減少モードに変化する前の反力Fの大きさに応じて設定される値であってもよい。
制御部17は、減少モードで反力Fを減らしているときに、反力Fが初期反力値F0に到達する前の時刻t10において減少モードから維持モードに変化した場合は、時刻t10における反力Fを維持する。なお、制御部17は、反力Fが初期反力値F0よりも小さくなったところで維持モードに変化した場合は、図7(a)の時刻t5と同様、反力Fを初期反力値F0まで素早く階段状に増加させ、初期反力値F0を維持する。このように、制御部17は、モード設定部14により設定されるモードが減少モード,維持モード及び増加モードにおいて変化する場合は、反力Fを0以上かつ最大反力値FMAX以下(0≦F≦FMAX)となるように、アクチュエータ2bを制御する。
ただし、制御部17は、判定部15から指令が送られてきた場合は、判定部15からの指令を優先させる。具体的には、制御部17は、判定部15から送られてきた指令が、「モード設定部14で設定されたモードが減少モードであっても反力Fを維持する」という内容であった場合は、この指令に従ってアクチュエータ2bを制御する。つまり、制御部17は、目標アクセル開度設定部12で設定された目標アクセル開度ATが補正部13により減少方向に補正されている間は、モード設定部14により設定されたモードが減少モード及び維持モードであれば反力Fを維持し、増加モードであれば反力Fを増大させる。
このように目標アクセル開度ATが減少方向に補正されているということは、実車速Vが目標車速VTよりも高い状態で定速走行へ移行した場合である。このとき、モード設定部14により減少モードが設定され、制御部17が通常通り反力Fを減少させたとすると、アクセルペダル2aが踏み込みやすくなり、実車速Vが再び上昇して目標車速VTから離れてしまうおそれがある。そのため、制御部17は、判定部15から上記の指令を受けた場合は、モード設定部14により減少モードが設定された場合であっても反力Fを維持することで、実車速Vが目標アクセル開度ATの補正前の速度付近に逆戻りすることを防ぎ、速やかに目標車速VTに収束させる。
同様に、制御部17は、判定部15から送られてきた指令が、「モード設定部14で設定されたモードが増加モードであっても反力Fを維持する」という内容であった場合も、この指令に従ってアクチュエータ2bを制御する。つまり、制御部17は、目標アクセル開度設定部12で設定された目標アクセル開度ATが補正部13により増大方向に補正されている間は、モード設定部14により設定されたモードが増加モード及び維持モードであれば反力Fを維持し、減少モードであれば反力Fを減少させる。
このように目標アクセル開度ATが増大方向に補正されているということは、実車速Vが目標車速VTよりも低い状態で定速走行へ移行した場合である。このとき、モード設定部14により増加モードが設定され、制御部17が通常通り反力Fを増大させたとすると、ドライバの足が押し戻され、実車速Vが再び減少して目標車速VTから離れてしまうおそれがある。そのため、制御部17は、判定部15から上記の指令を受けた場合は、モード設定部14により増加モードが設定された場合であっても反力Fを維持することで、実車速Vが目標アクセル開度ATの補正前の速度付近に逆戻りすることを防ぎ、速やかに目標車速VTに収束させる。
[3.フローチャート]
次に、図8〜図11のフローチャートを用いて、車両ECU10で実行される制御の手順の例を説明する。図8は、目標アクセル開度ATの設定手順及び補正手順を示したフローチャートであり、図9(a)及び(b)は図8のサブフローチャートである。また、図10は車両ECU10による反力Fの制御手順を例示するフローチャートであり、図11(a)〜(c)は図10のサブフローチャートである。これらのフローチャートは、車両のイグニッションスイッチがオンの状態にされると、所定の制御周期で実行される。
まず、目標車速設定部11及び補正部13で実行されるフローチャートについて説明する。図8に示すように、ステップS10において、目標車速設定部11により目標車速VTが設定されているか否かが判定される。目標車速VTが設定されていない場合や目標車速VTの設定が解除された場合は、このフローをリターンする。つまり、以下の処理は、目標車速VTが設定されている場合にのみ実行される。
目標車速VTが設定中の場合は、ステップS20において、目標車速VTが新規であるか否かが判定される。目標車速VTが新規なもの、すなわち初めて目標車速VTが設定された場合や目標車速VTの設定が更新された場合はステップS30へ進み、目標車速VTが前回周期と同一であればステップS40へ進む。ステップS30では、目標アクセル開度設定部12により目標車速VTに応じた目標アクセル開度AFTが設定され、ステップS40へ進む。つまり、ステップS30の処理は、目標車速VTが新規な場合に一度だけ実施される。
ステップS40では、フラグDが0であるか否かが判定される。ここで、フラグDは、補正部13による目標アクセル開度ATの補正が実施されているか否かを判定するためのものであり、フラグD=1は補正中に対応し、フラグD=0は補正が実施されていない状態に対応する。このフラグ情報は、制御部17で実行される図10のフローチャートに伝達される。ステップS40においてフラグDがD=0である場合は、ステップS50に進み、車速センサ3により実車速Vが検出される。続くステップS60では、設定されている目標車速VTとステップS50で検出された実車速Vとの差ΔVの絶対値(すなわち、ずれ量|ΔV|)が、所定値VTH以上であるか否かが判定される。当該判定は、上記の式(1)の関係を満たすか否かの判定である。
ステップS60において、目標車速VTと実車速Vとの差ΔVの絶対値が所定値VTH未満の場合はこのフローをリターンする。つまり、ずれ量|ΔV|が所定値VTH未満であれば、目標アクセル開度ATの補正は実施されない。一方、目標車速VTと実車速Vとの差ΔVの絶対値が所定値VTH以上の場合はステップS70へ進み、図9(a)に示す定速走行判定フローが実施される。
図9(a)に示すように、定速走行判定では、ステップS71において、エンジンECU20からエンジン8において噴射された燃料量Qの情報が取得される。続くステップS72では、ステップS71で取得された燃料量Qと前回周期で取得した燃料量Q′との差の絶対値が所定値Qp未満であるか否かが判定される。当該判定は、上記の第一条件を満たすか否かの判定である。燃料量Qの変化が所定範囲内である場合は、ステップS73へ進み、ステップS71で取得された燃料量Qを前回値Q′として記憶して、ステップS75へ進む。一方、燃料量Qの変化が所定範囲内でない場合は、ステップS74へ進み、ステップS71で取得された燃料量Qを前回値Q′として記憶して、ステップS85へ進む。
ステップS75では、アクセルポジションセンサ7により実アクセル開度Aが検出され、続くステップS76では、この実アクセル開度Aと前回周期で検出された実アクセル開度A′との差の絶対値が所定値Ap未満であるか否かが判定される。当該判定は、上記の第二条件を満たすか否かの判定である。実アクセル開度Aの変化が所定範囲内である場合は、ステップS77へ進み、ステップS75で検出された実アクセル開度Aを前回値A′として記憶して、ステップS80へ進む。一方、実アクセル開度Aの変化が所定範囲内でない場合は、ステップS78へ進み、ステップS75で検出された実アクセル開度Aを前回値A′として記憶して、ステップS85へ進む。
ステップS80では、カウント値Cに1を加算したものが新たなカウント値Cに設定され、このフローを終了する。一方、ステップS85では、カウント値Cが0に設定され、このフローを終了する。ここで、カウント値Cは、第一条件及び第二条件が成立した状態が所定時間tTH継続したか否かを判定するためのものであり、第一条件及び第二条件を共に満たす場合はカウント値Cが加算されていき、第一条件及び第二条件の少なくとも一方を満たさない状態になったら、カウント値Cが0にリセットされる。
図8に示すように、ステップS70の定速走行判定のサブフローチャートが終了されると、ステップS90へ進み、カウント値Cが所定値CTH以上であるか否かが判定される。所定値CTHは、上記の所定時間tTHに対応する値であり、図9(a)のステップS80においてカウント値Cが加算され続け、カウント値Cが所定値CTH以上になるまでの時間が所定時間tTHとなるような値に設定されている。カウント値Cが所定値CTHに達するまではこのフローをリターンし、カウント値Cが所定値CTH以上になったら、上記の補正条件が成立したためステップS100へ進む。
ステップS100では、カウント値Cが0にリセットされ、続くステップS110ではフラグDがD=1に設定されるとともにタイマによる計測がスタートされる。このタイマは補正時間taを計測するものである。そして、ステップS120において、図9(b)に示す補正処理のフローが実施される。
図9(b)に示すように、ステップS122では、目標車速VTとこの制御周期のステップS50で検出された実車速Vとのずれ量|ΔV|を用いて補正量ΔATが取得されるとともに、所定の補正時間taが取得される。そして、ステップS124において、目標車速VTと実車速Vの大小関係を比較し、実車速Vが目標車速VTよりも低い場合はステップS126に進み、実車速Vが目標車速VTよりも高い場合はステップS128に進む。
ステップS126では、ステップS30において設定された目標アクセル開度ATに、ステップS122で取得された補正量ΔATが加算されたものが補正目標アクセル開度AT′とされ、続くステップS127においてフラグZがZ=0に設定され、このフローを終了する。また、ステップS128では、ステップS30において設定された目標アクセル開度ATに、ステップS122で取得された補正量ΔATが減算されたものが補正目標アクセル開度AT′とされ、続くステップS129においてフラグZがZ=1に設定され、このフローを終了する。ここで、フラグZは、補正部13により目標アクセル開度ATが増大方向へ補正されたか、減少方向へ補正されたかを判定するためのものであり、フラグZ=0は増大方向へ補正された場合に対応し、フラグZ=1は減少方向へ補正された場合に対応する。
図8に示すように、ステップS120の補正処理のサブフローチャートが終了されると、ステップS130へ進み、ステップS110でスタートしたタイマの値が補正時間ta以上になったか否かが判定される。タイマ値が補正時間ta未満の場合はこのフローをリターンする。次の制御周期において、目標車速VTが前回周期のまま設定されていれば、ステップS20からステップS40へ進む。ここで、フラグDは前回周期のステップS110においてD=1に設定されているため、ステップS130へ進み、再びタイマ値が補正時間ta以上であるか否かが判定される。
このようにフローが繰り返し実行された結果、タイマ値が補正時間ta以上になると、ステップS130からステップS132へ進み、フラグZがZ=0であるか否かが判定される。このフラグZは、ステップS127又はステップS129で設定されたものである。つまりステップS132では、目標アクセル開度ATの補正方向が判定される。フラグZがZ=0の場合は、ステップS134において、ステップS126で設定された補正目標アクセル開度AT′から所定値Bが減算されたものが新たな補正目標アクセル開度AT′に設定される。
一方、フラグZがZ=1の場合は、ステップS136において、ステップS128で設定された補正目標アクセル開度AT′に所定値Bが加算されたものが新たな補正目標アクセル開度AT′に設定される。ここで、所定値Bは、図12(b)のグラフの時刻t13からの勾配及び図13(b)のグラフの時刻t16からの勾配に対応し、単位時間(単位制御周期)当たりの変化量(定数)に設定されている。
次いで、ステップS138では、ステップS134又はステップS136において設定された補正目標アクセル開度AT′がステップS30で設定された目標アクセル開度ATと略一致したか否かが判定される。補正目標アクセル開度AT′と目標アクセル開度ATとが略一致するまで、ステップS134又はステップS136の処理が繰り返し実施される。そして、補正目標アクセル開度AT′と目標アクセル開度ATとが略一致したら、ステップS140に進む。
なお、ステップS138の条件、すなわち補正を終了するための条件はこれに限られず、例えばステップS134又はステップS136の実施回数や時間をチェックしてもよいし、実車速Vが目標車速VTに一致したら終了する、というような条件にしてもよい。ステップS140では目標アクセル開度ATの補正が終了されて、ステップS30で設定された当初の目標アクセル開度ATに戻される。そして、ステップS150においてフラグDがD=0にリセットされるとともにタイマが停止されてリセットされ、このフローをリターンする。
次に、反力Fの制御に関するフローチャートについて説明する。図10に示すように、ステップY10において、目標車速設定部11により目標車速VTが設定されているか否かが判定される。目標車速VTが設定されていない場合や目標車速VTの設定が解除された場合は、ステップY160へ進み、アクチュエータ2bの制御を特に行わず、ステップY170において反力Fを0に設定し、このフローをリターンする。つまり、以下の処理は、目標車速VTが設定されている場合にのみ実行される。
目標車速VTが設定中の場合は、ステップY20において、目標車速VTが新規であるか否かが判定される。目標車速VTが新規なもの、すなわち初めて目標車速VTが設定された場合や目標車速VTの設定が更新された場合はステップY30へ進み、目標車速VTが前回周期と同一であればステップY50へ進む。ステップY30では、アクセルポジションセンサ7により実アクセル開度Aが検出されるとともに、この実アクセル開度Aが初期アクセル開度A0に設定される。ステップY40では、初期反力値取得部16によりステップY30で設定された初期アクセル開度A0から初期反力値F0が取得される。これらステップY30及びY40は、目標車速VTが新規な時に一度だけ実施される。
ステップY50では、目標アクセル開度設定部12により設定された目標アクセル開度AT又は補正部13により補正された目標アクセル開度AT′が取得される。ステップY60では、アクセルポジションセンサ7により実アクセル開度Aが検出されるとともに、車速センサ3により実車速Vが検出される。続くステップY70では、ステップY50で取得された目標アクセル開度AT又は補正部13により補正された目標アクセル開度AT′と、ステップY60で検出された実アクセル開度Aとに基づいて、モード設定部14によりモードが設定される。そして、ステップY80〜Y140において、設定されたモードに応じて反力Fが制御される。
まず、ステップY80において、ステップY70で設定されたモードが減少モードであるか否かが判定され、減少モードである場合はステップY85へ進み、フラグDがD=0であるか否かが判定される。このフラグDは、図8のフローチャートで用いたフラグDと同一である。つまりステップY85では、目標アクセル開度ATが補正中であるか否かが判定される。フラグDがD=0、すなわち補正中ではない場合はステップY90に進み、図11(a)の減少モードのサブフローチャートが実行され、フラグDがD=1、すなわち補正中である場合はステップY110に進む。
一方、ステップY80において減少モードでないと判定された場合は、ステップY100へ進み、ステップY70で設定されたモードが維持モードであるか否かが判定される。維持モードである場合は、ステップY110へ進み、ステップY110では、図11(b)の維持モードのサブフローチャートが実行される。
また、ステップY100において維持モードでないと判定された場合は、ステップY70で設定されたモードは増加モードであることになる。この場合、ステップY130において、フラグDがD=0であるか否かが判定される。このフラグDも、図8のフローチャートで用いたフラグDと同一である。つまりステップY130では、ステップY85と同様、目標アクセル開度ATが補正中であるか否かが判定される。フラグDがD=0、すなわち補正中ではない場合はステップY140に進み、図11(c)の増加モードのサブフローチャートが実行され、フラグDがD=1、すなわち補正中である場合はステップY110に進む。
図11(a)〜(c)のサブフローチャートでは、アクセルペダル2aに与える反力Fがそれぞれ設定される。つまり、ステップY90,Y110又はY140において、図11(a)〜(c)の何れかのサブフローチャートが実行されると、アクチュエータ2bで発生させるべき反力Fが決定する。そして、ステップY150において、それぞれのモードで設定された変動パターンで反力Fを発生させるようにアクチュエータ2bが制御され、このフローをリターンする。
図11(a)に示すように、減少モードでは、まずステップY91において反力Fが0よりも大きいか否かが判定される。目標車速VTが新規な場合に最初に減少モードに進んだときは、未だ反力Fが与えられていない(アクチュエータ2bが制御されていない)ため、反力Fは0である。また、目標車速VTが新規でない場合でも減少モードにおいて反力Fが減少されて反力Fが0のときもある。このような場合は、このフローを終了する。つまり、減少モードでは、反力Fが0の場合はそのままの値(すなわち、反力F=0)が維持される。
一方、実アクセル開度Aが減少モードになる以前に、維持モードや増加モードに進み、反力Fが与えられている場合(F>0の場合)は、ステップY92において反力Fが初期反力値F0よりも大きいか否かが判定される。反力Fが初期反力値F0以下の場合は、ステップY95へ進み、反力Fから所定値Gが減算されたものが新たな反力Fに設定され、このフローを終了する。つまり、減少モードでは、反力Fが初期反力値F0以下の場合は、反力Fは初期反力値F0から徐々に小さい値にされる。
また、反力Fが初期反力値F0よりも大きい場合は、ステップY93において、前回周期も減少モードであったか否かが判定される。前回周期が減少モードでない場合、すなわち維持モードから減少モードへモードが変化した時は、ステップY94において反力Fから所定反力値FDが減算されたものが新たな反力Fに設定され、このフローを終了する。次の制御周期において、再びステップY93へ進んだときは、前回周期でも減少モードであったため、ステップY95に進み、反力Fから所定値Gが減算されたものが新たな反力Fに設定され、このフローを終了する。
つまり、減少モードでは、反力Fが初期反力値F0よりも大きい場合は、モードが変化した時点で反力Fは所定反力値FDだけ一気に減少され、その後は徐々に小さな値にされる。なお、反力Fから減算する所定値Gは、図7(a)のグラフの減少モードでの(例えば時刻t2からの)傾きに相当し、単位時間(単位制御周期)当たりの変化量(定数)に設定されている。
図11(b)に示すように、維持モードでは、ステップY111において反力Fが初期反力値F0よりも小さいか否かが判定される。反力Fが初期反力値F0よりも小さい場合は、ステップY112へ進み、反力Fに所定値Hが加算されたものが新たな反力Fに設定され、このフローを終了する。なお、所定値Hは、図7(a)のグラフの維持モードに入った直後(例えば時刻t1直後)の段差高さに相当し、予め設定された一定値である。これにより、制御周期毎に所定値Hだけ反力Fを増加させることができるため、初期反力値F0まで素早く階段状に増加させることができる。一方、反力Fが初期反力値F0以上の場合は、このフローを終了する。つまり、反力Fが初期反力値F0未満では、反力Fを階段状に増加させ、反力Fが初期反力値F0以上であれば、そのときの反力Fの値が維持される。
図11(c)に示すように、増加モードでは、ステップY141において、反力Fが初期反力値F0よりも小さいか否かが判定される。反力Fが初期反力値F0よりも小さい場合は、ステップY142において反力Fが初期反力値F0に設定されて、このフローを終了する。つまり、増加モードでは、反力Fは初期反力値F0以上に設定される。
ステップY141において、反力Fが初期反力値F0以上の場合はステップY143へ進み、カウント値Xが所定値XTH以上であるか否かが判定される。ここで、カウント値Xは、反力Fを階段状に増加させる際の増加のタイミングを決定するためのものであり、所定値XTH以上になるまではステップY145に進み、カウント値Xに1が加算されたものが新たなカウント値Xとされる。なお、所定値XTHは予め設定された定数であり、カウント値Xが所定値XTHになるまでにかかる時間が、反力Fを階段状に増加させる際の反力一定の時間と等しくなるような値に設定されている。つまり、所定値XTHは、図7(b)のグラフの時刻t7から階段状に増加する反力Fの一定状態の時間に対応する。
ステップY145において、カウント値Xは制御周期毎に1ずつ加算される。続くステップY147では、反力Fが最大反力値FMAX未満であるか否かが判定され、反力Fが最大反力値FMAX未満のときはこのフローを終了する。そして、再び増加モードのサブフローチャートが実行された場合は、ステップY141からステップY143へ進んで同様の判定が実施され、カウント値Xが所定値XTH以上になるまではステップY145へ進み、カウント値Xが加算され続ける。
カウント値Xが所定値XTH以上になった場合は、ステップY144へ進み、カウント値Xが0にリセットされ、ステップY146において反力Fに所定値Jが加算されたものが新たな反力Fに設定される。なお所定値Jは、図7(b)のグラフの時刻t7から階段状に増加する反力Fの増加量(段差高さ)に相当し、予め設定された一定値である。そして、ステップY147の判定が実施される。つまり、増加モードでは、カウント値Xが所定値XTH以上になるまでの時間(すなわち反力一定の時間)が経過した時点で、反力Fに所定値Jが加算されて、反力Fが階段状に増加される。
したがって、図7(b)に示すように、増加モードで反力Fを階段状に増加させるときの速さは、維持モードにおいて反力Fを初期反力値F0まで階段状に増加させるときの速さよりも遅くなる。なお、ここでは、維持モードでは反力Fが制御周期毎に所定値Hだけ増加する場合を例示しているが、維持モードにおいても増加モードと同様、所定の制御周期毎に所定値Hが反力Fに加算されるような構成としてもよい。
ステップY147において、反力Fが最大反力値FMAX以上になると、ステップY148において反力Fが最大反力値FMAXに設定されて、このフローを終了する。このように増加モードでは、反力Fは初期反力値F0から一定の速さで階段状に増大され、最大反力値FMAX以上になると最大反力値FMAXが維持される。
[4.作用]
次に、図12(a),(b)及び図13(a),(b)を用いて、本運転支援装置によって実施される目標アクセル開度ATの補正とこれに伴う車速の変化の例を説明する。図12(a)及び(b)は実車速Vが目標車速VTよりも低い状態で定速走行に移行した場合における車速及びアクセル開度のタイムチャートを示し、図13(a)及び(b)は実車速Vが目標車速VTよりも高い状態で定速走行に移行した場合における車速及びアクセル開度のタイムチャートを示す。
図12(a)及び(b)に示すように、時刻t11において目標車速VTが設定されると、この目標車速VTに応じた目標アクセル開度ATが設定される。そして、この目標アクセル開度ATとアクセルポジションセンサ7で検出された実アクセル開度Aとの大小関係からモードが設定され、モードに応じた反力Fがアクセルペダル2aに与えられる。これにより、実車速Vは徐々に増大し、目標車速VTに近付いていく。
ここで、時刻t12′において実車速Vが目標車速VTよりも低く、目標車速VTから所定値VTH以上離れた状態で上記の第一条件及び第二条件を共に満たした場合、この時刻t12′から所定時間tTHが経過した時刻t12において定速走行へ移行したと判断される。そして、この時刻t12の時点でのずれ量|ΔV|が算出され、このずれ量|ΔV|に応じた補正量ΔATが目標アクセル開度ATに加算される。言い換えると、時刻t12において目標アクセル開度ATが補正量ΔATの分だけ大きくなる。
そして、補正を開始した時刻t12から補正時間taが経過した時刻t13まで、補正された目標アクセル開度AT′が保持され、時刻t13からは、補正目標アクセル開度AT′が一定の割合で減少され、時刻t13′において目標アクセル開度ATに略一致すると補正を終了する。また、目標アクセル開度ATが補正されている期間(時刻t12から時刻t13′まで)は、モード設定部14により設定されたモードが増加モードであっても反力Fが維持される。これにより、実車速Vは、徐々に目標車速VTに接近し、目標車速VT付近での定速走行となる。
また、図13(a)及び(b)に示すように、時刻t14において目標車速VTが設定されると、この目標車速VTに応じた目標アクセル開度ATが設定される。そして、この目標アクセル開度ATとアクセルポジションセンサ7で検出された実アクセル開度Aとの大小関係からモードが設定され、モードに応じた反力Fがアクセルペダル2aに与えられる。これにより、実車速Vは徐々に増大して目標車速VTに近付いていく。
ここで、時刻t15′において実車速Vが目標車速VTよりも高く、目標車速VTから所定値VTH以上離れた状態で上記の第一条件及び第二条件を共に満たした場合、この時刻t15′から所定時間tTHが経過した時刻t15において定速走行へ移行したと判断される。そして、この時刻t15の時点でのずれ量|ΔV|が算出され、このずれ量|ΔV|に応じた補正量ΔATが目標アクセル開度ATから減算される。言い換えると、時刻t15において目標アクセル開度ATが補正量ΔATの分だけ小さくなる。
そして、補正を開始した時刻t15から補正時間taが経過した時刻t16まで、補正された目標アクセル開度AT′が保持され、時刻t16からは、補正目標アクセル開度AT′が一定の割合で増大され、時刻t16′において目標アクセル開度ATに略一致すると補正を終了する。また、目標アクセル開度ATが補正されている期間(時刻t15から時刻t16′まで)は、モード設定部14により設定されたモードが減少モードであっても反力Fが維持される。これにより、実車速Vは、徐々に目標車速VTに接近し、目標車速VT付近での定速走行となる。なお、ここでは何れも加速時を例示しているが、目標車速VTが実車速Vよりも低い車速に設定された減速時の場合も、目標車速VTと実車速Vとの差ΔVの絶対値が所定値VTH以上の状態で定速走行へ移行した場合は、同様の補正がなされる。
[5.効果]
したがって、本実施形態に係る運転支援装置によれば、目標車速設定部11により設定された目標車速VTと実車速Vとの差ΔVの絶対値が所定値VTH以上の状態で定速走行へ移行した場合に、補正部13により目標アクセル開度設定部12により設定された目標アクセル開度ATが補正される。この補正は、目標車速VTよりも実車速Vが高い場合は目標アクセル開度ATが減少され、反対に目標車速VTよりも実車速Vが低い場合は目標アクセル開度ATが増大される。
つまり、目標車速VTと実車速Vとの大小関係に基づいて、反力Fの大きさを制御する際の基準となる目標アクセル開度ATが補正されるため、適切な反力Fをアクセルペダル2aに与えることができる。これにより、ドライバが意識的にアクセル操作をしなくても、アクセルペダル2aに加わる反力Fに任せることで車速調整を行うことができ、目標車速VTでの定速走行を実現することができる。
また、補正部13は、エンジン8で噴射される燃料量Qの変化が所定範囲内であるという第一条件と、実アクセル開度Aの変化が所定範囲内であるという第二条件とを用いて定速走行へ移行したか否かを判定するため、ドライバによるアクセル操作が一定になったか否かを適切に判定することができる。特に本実施形態では、補正部13は、第一条件及び第二条件を共に満たすか否かを判定するため、より正確にドライバに定速走行の意思があるか否かを判定することができる。さらに、第一条件及び第二条件を共に満たした状態が所定時間tTH継続したら定速走行へ移行したと判定することで、判定精度を高めることができる。
また、設定された目標アクセル開度AT又は補正された目標アクセル開度AT′に対する実アクセル開度Aの大小関係に基づいて、増加モード,維持モード,減少モードの何れか一つのモードが設定され、このモードに応じてアクチュエータ2bが制御される。具体的には、アクセルペダル2aに付与される反力Fの変動パターンがモード毎に、そのモードに適した形で設定される。そのため、ドライバによる積極的なアクセル操作を要せず、アクセルペダル2aの操作量を目標アクセル開度ATに近づけることができる。
また、制御部17は、基本的にはモード設定部14により設定されたモードに応じてアクチュエータ2bを制御するが、判定部15から指令が送られてきた場合は、指令に従って制御する。すなわち、補正部13により目標アクセル開度ATが減少方向(減少側)に補正されている場合は、モードが減少モードであっても反力Fを維持し、補正部13により目標アクセル開度ATが増大方向(増大側)に補正されている場合は、モードが増加モードであっても反力Fを維持する。これにより、実車速Vが目標アクセル開度ATの補正前の車速に逆戻りすることを防止することができる。
また、補正部13は、定速走行へ移行した時点における目標車速VTと実車速Vとの差ΔVに応じて目標アクセル開度ATの補正量ΔATを設定するため、目標アクセル開度ATを適切に補正することができる。特に本実施形態では、補正部13は、定速走行へ移行した時点における目標車速VTと実車速Vとの差ΔVの絶対値(ずれ量|ΔV|)が大きいほど補正量ΔATを大きく設定するため、所定の補正時間taの間に目標車速VTと実車速Vとのずれ量|ΔV|を解消することができる。
なお、本実施形態では、制御部17は、設定されたモードが減少モードから維持モードに変化した時点での反力Fが初期反力値F0未満の場合、反力Fを初期反力値F0まで階段状に増加させる。これにより、アクセルペダル2aに足を置いているドライバに反力Fが発生したことを気付かせることができ、過剰なアクセル操作となることを抑制することができる。また、維持モードでは反力Fを維持するため、ドライバが意識的にアクセルペダル2aを操作しなくても、制御部17による制御に従うことで、実アクセル開度Aを目標アクセル開度AT付近に留めることができ、目標車速VTでの定速走行を実現することができる。
また、制御部17は、設定されたモードが維持モードから減少モードに変化した時点での反力Fが初期反力値F0よりも大きい場合、モードが変化した時点で反力Fを所定反力値FDだけ減少させる。これにより、アクセルペダル2aを踏み込んでいいタイミングをわかりやすくすることができる。特に、反力Fが最大反力値FMAX程度まで大きくなっている場合は、モードが減少モードに変化した時点で一気に反力Fを減らすことで、反力Fを早めに初期反力値F0程度まで減少させることができ、アクセルペダル2aの踏み込みやすさを素早く確保することができる。
なお、本運転支援装置は、アクセルペダル2aに反力Fを与えるアクチュエータ2bを制御して、目標車速VTで定速走行するものであるため、アクチュエータ2bとこれを制御する車両ECU10とを追加すれば、既存のアクセルペダル2aにも採用することができる。
また、本運転支援装置は、あくまでもドライバによるアクセルペダル2aの操作を支援するものであり、実アクセル開度Aや実車速Vが自動的に変更されるものではないため、ドライバは制御部17の制御に反してアクセル操作を行うこともできる。例えば、目標車速VTを設定して定速走行しているときに、前方に他車両が割り込んできたような場合、ドライバは自らの意思でアクセルペダル2aの踏み込みを中止したり、ブレーキ操作を行ったりすることができるため、安全性を損なうことがない。
[6.その他]
以上、本発明の実施形態を説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変形することが可能である。
上記実施形態では、補正部13は、第一条件及び第二条件を共に満たした状態が所定時間tTH継続したときに定速走行へ移行したと判定しているが、定速走行へ移行したか否かの判定手法はこれに限られない。例えば、第一条件及び第二条件を共に満たした時点で定速走行へ移行したと判定してもよいし、第一条件及び第二条件の少なくとも一方を満たした時点で定速走行へ移行したと判定してもよい。或いは、第一条件及び第二条件の少なくとも一方を満たした状態が所定時間tTH継続したときに定速走行へ移行したと判定してもよい。なお、第一条件及び第二条件を満たすか否かの判定手法は図9(a)のフローチャートで説明した方法に限られない。
また、補正部13による目標アクセル開度ATの補正内容は上記実施形態のものに限られない。例えば、補正量ΔATを予め設定された一定値とし、定速走行へ移行した時点でのずれ量|ΔV|に応じて補正時間taを設定してもよい。この場合、補正部13は、定速走行へ移行した時点でのずれ量|ΔV|を算出し、このずれ量|ΔV|を例えば図4(b)に示すようなマップに適用して補正時間taを取得する。なお、図4(b)はずれ量|ΔV|に対する補正時間taが設定されたマップであり、ずれ量|ΔV|が上記の所定値VTHから離れるほど補正時間taが長くなるように設定されている。
このように、補正部13により、定速走行へ移行した時点における目標車速VTと実車速Vとの差ΔVに応じて目標アクセル開度ATを補正する補正時間taを設定することで、目標アクセル開度ATを適切に補正することができる。特に、定速走行へ移行した時点における目標車速VTと実車速Vとの差ΔVの絶対値(ずれ量|ΔV|)が大きいほど補正時間taを長く設定することで、補正量ΔATを小さくして滑らかに目標車速VTと実車速Vとのずれ量|ΔV|を解消することができる。
この他にも、定速走行へ移行した時点でのずれ量|ΔV|に応じて、補正量ΔAT及び補正時間taを設定してもよい。例えば、ずれ量|ΔV|が大きいほど補正量ΔATを大きな値に設定するとともに補正時間taを短く設定した場合は、目標車速VTと実車速Vとのずれを早期に解消することができる。反対に、ずれ量|ΔV|が大きいほど補正量ΔATを小さな値に設定するとともに補正時間taを長く設定した場合は、目標車速VTと実車速Vとのずれを滑らかに解消することができる。
また、補正部13は、補正時間taに代えて、補正中の実車速Vを検出し、実車速Vと目標車速VTとの差ΔVが所定の範囲内に収まったら補正を終了するようにしてもよい。このように常に実車速Vをモニタリングすることで、走行状態に応じた適切な補正が可能となる。
また、上記実施形態では、目標アクセル開度ATが減少側に補正されている場合は、モード設定部14で設定されたモードが減少モードであっても反力Fを維持し、目標アクセル開度ATが減少側に補正されている場合は、モード設定部14で設定されたモードが増加モードであっても反力Fを維持するようにアクチュエータ2bを制御しているが、このような場合においても通常と同様の制御を実施してもよい。これにより、判定部15の処理を省略することができるため、制御構成を簡素化することができる。
上記実施形態では、補正開始から補正時間taが経過した時点から徐々に補正目標アクセル開度AT′を目標アクセル開度ATに近づけるようにしているが、補正時間taが経過した時点で補正を終了し、目標アクセル開度ATに戻してもよい。
また、実車速Vを検出する手段は車速センサ3に限られず、例えば車速センサ3の代わりに加速度センサを設け、加速度センサで検出された加速度を車両ECU10において積分し、実車速Vを取得してもよい。
また、カメラ4やレーダ5の位置は特に限られず、車速設定スイッチ6の構成や配置も上記したものに限られない。さらに、目標車速VTの設定手法として手動設定のみを採用してもよい。この場合、カメラ4及びレーダ5は装備されていなくてもよい。なお、ISAを利用して目標車速VTを設定する場合は、カメラ4による情報に代えてGPSや車載システムに記録されている速度地図データベース等を用いてもよい。
なお、上記実施形態では、車両1がエンジン8を駆動源とした一般的な自動車として説明したが、車両1はエンジン車に限られず、ハイブリッド車や電気自動車のような電動車両であってもよい。