以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。
(実施形態1)
図1は、本発明の一実施形態に係る太陽光発電システムの概略構成を示す図である。
この実施形態の太陽光発電システム1は、太陽電池アレイ2と、太陽電池アレイ2の日照状態に応じて、太陽電池アレイ2を構成する太陽電池パネルと接続箱4と間の配線接続を切替える配線切替箱3と、太陽電池アレイ2からの直流電力を交流電力に変換すると共に、系統6に連系するパワーコンディショナ5とを備えている。
図2は、図1の太陽電池アレイ2の構成を示す図である。この実施形態では、約3kWのシステム構成の例を示しており、太陽電池アレイ2は、第1〜第4太陽電池パネル群(以下「第1〜第4パネル群」という)81〜84を備えている。各パネル群81〜84は、約200Wの太陽電池パネル7の4つを直列にそれぞれ接続して構成される。各パネル群81〜84には、その日照状態を監視するための太陽電池セルからなる第1〜第4モニタセル91〜94が、それぞれ近接して配置されている。
各モニタセル91〜94は、各パネル群81〜84の日照の状態を監視できるように、例えば、図3に示すように、各パネル群81〜84を構成する直列接続された4つの太陽電池パネル7の内の中間位置に接続される2つの太陽電池パネル7の近傍に配置される。
この実施形態では、各モニタセル91〜94を、各パネル群81〜84の太陽電池パネル7とは個別の構成とし、それらを組合せているが、本発明の他の実施形態として、例えば、図4に示すように、太陽電池パネル7aの複数の太陽電池セルの内の一つの太陽電池セルをモニタセル9aとして構成する、すなわち、太陽電池パネル7a自体が、一つのモニタセル9aを備える構成としてもよい。
この構成を、本実施形態に適用すると、例えば、図5に示すように、各パネル群81〜84をそれぞれ構成する4つの太陽電池パネル7の内、中間位置に接続される二つの太陽電池パネル7の一方を、モニタセル9a1〜9a4を備える太陽電池パネル7a1〜7a4にそれぞれ置き換えればよい。
この実施形態では、図2に示すように、太陽電池アレイ2は、各パネル群81〜84を図1の配線切替箱3内の後述のリレー装置のリレー接点に接続するための第1〜第8端子T1〜T8を備えている。第1,第2端子T1,T2は、第3パネル群83の負極側及び正極側にそれぞれ接続され、第3,第4端子T3,T4は、第1パネル群81の負極側及び正極側にそれぞれ接続され、第5,第6端子T5,T6は、第4パネル群84の負極側及び正極側にそれぞれ接続され、第7,第8端子T7,T8は、第2パネル群82の負極側及び正極側にそれぞれ接続される。
太陽電池アレイ2は、第1〜第4パネル群81〜84の日照状態をそれぞれ監視するための第1〜第4モニタセル91〜94を、図1の配線切替箱3内のリレー装置のコイルに接続するための第9〜第16端子T9〜T16を備えている。第9,第10端子T9,T10は、第1モニタセル91の正極側及び負極側にそれぞれ接続され、第11,第12端子T11,T12は、第2モニタセル92の正極側及び負極側にそれぞれ接続され、第13,第14端子T13,T14は、第3モニタセル93の正極側及び負極側にそれぞれ接続され、第15,第16端子T15,T16は、第4モニタセル94の正極側及び負極側にそれぞれ接続される。
この実施形態では、太陽電池アレイ2を設置したときの周囲の障害物、例えば建物や木立などによって太陽電池アレイ2にかかる陰の状態を予め把握しており、陰がかかったときの出力の低下を、コンピュータを利用することなく、低コストの構成で抑制するものである。
図6は、太陽電池アレイ2に、最も陰のかかった状態を概略的に示す図である。この実施形態の太陽電池アレイ2が設置されている箇所の西側(図では右側)には建物が存在し、東側(図では左側)から昇った太陽によって、午前中は、全てのパネル群81〜84に太陽光が照射されるが、午後に太陽が傾くと、建物の陰S1が、太陽電池アレイ2に徐々にかかり始め、図6では、最も陰S1がかかった状態を示している。
この実施形態では、東南側の第1パネル群81には、陰S1がかからず、第2〜第4パネル群82〜84に、略三角形に陰S1がかかることが予め把握されていることが前提であり、この陰S1がかかった場合に、その出力の低下を抑制するものである。
具体的には、各パネル群81〜84の日照状態を監視する第1〜第4モニタセル91〜94の出力に基づいて、図1の配線切替箱3内に設置したリレー装置によって、日照状態を検出して太陽電池アレイ2の各パネル群81〜84と接続箱4との間の配線接続を切替え、出力の低下を抑制するものである。
図1に示される配線切替箱3には、本発明の一実施形態に係るリレー装置が設置されており、この実施形態のリレー装置10は、図7に示すように、共通のコア(鉄芯)14にそれぞれ巻回された4つの第1〜第4リレーコイル(以下「第1〜第4コイル」という)111〜114と、連動する3組のリレー接点121〜123とを備えている。なお、図7では、1組のリレー接点のみを代表的に示している。各組のリレー接点121〜123は、a接点121a〜123aと、b接点121b〜123bと、c接点121c〜123cとを備えている。各コイル111〜114の巻き数や巻き方向等の構成は、全て同じである。3組のリレー接点121〜123は、コア14及び第1〜第4コイル111〜114からなる電磁石によって、可動接点であるc接点121c〜123cが、b接点121b〜123b側からa接点121a〜123a側に切替わる。
リレー装置10の第1〜第4コイル111〜114は、図2の第1〜第4モニタセル91〜94にそれぞれ接続される。この実施形態では、第1〜第4コイル111〜114の内、第1パネル群81の日照状態を監視する第1コイル91は、第2〜第4パネル群82〜84の日照状態を監視する第2〜第4コイル92〜94とは、その接続の向きを逆としている。したがって、第1コイル111には、他の第2〜第4コイル112〜114とは逆向きの電流が流れる。
図8は、配線切替箱3内に設置されたリレー装置10の接続構成を示す図であり、図9は、配線切替箱3とパワーコンディショナ5とを接続する接続箱4の概略構成を示す図である。
図8はリレー装置10の復帰状態を示しており、この図8では、リレー装置10の第1〜第4コイル111〜114にそれぞれ接続される図2の太陽電池アレイ2の第1〜第4モニタセル91〜94の各端子T9〜T16、及び、リレー装置10の3組のリレー接点121〜123にそれぞれ接続される図2の太陽電池アレイ2の第1〜第4パネル群81〜84の各端子T1〜T8並びに図9の接続箱4の接続端子C1〜C3を示している。
この図8に示すように、リレー装置10の第1〜第4コイル111〜114は、第1〜第4モニタセル91〜94にそれぞれ接続される。その際、第1コイル111は、図2の第1モニタセル91の第10,第9端子T10,T9に接続され、第2〜第4コイル112〜114は、第2〜第4モニタセル92〜94の第11,第12;第13,第14;第15,第16端子T11,T12;T13,T14;T15,T16に接続される。すなわち、第1コイル111は、第2〜第4コイル112〜114とは、モニタセル91の極性が逆となるように接続される。
リレー装置10の3組のリレー接点121〜123の内、第1組のリレー接点121のc接点121cは、図2に示される太陽電池アレイ2の第2パネル群82の正極側である第8端子T8に接続され、a接点121aは、図9に示される接続箱4の第2逆流防止ダイオード132のアノード(正極)側の第2接続端子C2に接続され、b接点121bは、第1パネル群81の負極側である第3端子T3と第3パネル群83の正極側である第2端子T2とに共通に接続されると共に、第3組のリレー接点123のb接点123bに接続される。
第2組のリレー接点122のc接点122cは、第2パネル群82の負極側である第7端子T7に接続され、a接点122aは、第3組のリレー接点123のa接点123aに接続され、b接点122bは、第3パネル群83の負極側である第1端子T1と第4パネル群84の負極側である第5端子T5とに共通に接続されると共に、図9に示される接続箱4の負極側の第3接続端子C3に接続される。
第3組のリレー接点123のc接点123cは、第4パネル群84の正極側である第6端子T6に接続され、a接点123aは、上記にように第2組のリレー接点122のa接点122aに接続され、b接点123bは、上記のように第1組のリレー接点121のb接点121bに接続されると共に、第1パネル群81の負極側である第3端子T3と第3パネル群83の正極側である第2端子T2とに共通に接続される。
また、図2に示される第1パネル群81の正極側である第4端子T4は、配線切替箱3を介して図9に示される接続箱4の第1逆流防止ダイオード131のアノード(正極)側の第1接続端子C1に接続される。
図9に示す接続箱4では、第1,第2逆流防止ダイオード131,132のカソード(負極)側が接続されて正極側の接続端子となる。なお、第1,第2逆流防止ダイオード131,132に代えて、逆流防止リレーを用いてもよい。
この実施形態に係るリレー装置10は、太陽電池アレイ2の第1〜第4パネル群81〜84の日照状態を監視して太陽電池アレイ2と接続箱4との配線の接続状態を切替えるものであって、そのための処理を、第1〜第4コイル111〜114の磁束の重ね合わせによって行うものである。第1〜第4コイル111〜114に流す電流の加算や減算を、第1〜第4コイル111〜114に流す電流の向きを選択することによって行うようにしている。
この実施形態では、上記のように、第1〜第4パネル群81〜84の日照状態をそれぞれ監視する第1〜第4モニタセル91〜94にそれぞれ接続される第1〜第4コイルの111〜114内、第1コイル111のみ、電流を流す向きを、第2〜第4コイル112〜114とは逆向きとしている。
ここで、第1〜第4コイル111〜114に流れる電流を、coil1〜coil4とすると、第1コイル111に流れる電流coil1と、他の第2〜第4コイル112〜114に流れる電流coil2〜coil4の合計電流との電流差が閾値電流を超えると、すなわち、下記のようになると、
|coil1−(coil2+coil3+coil4)|>閾値電流
リレー装置10が動作して3組のリレー接点121〜123が切替わる。
また、第1コイル111に流れる電流coil1と、他の第2〜第4コイル112〜114に流れる電流coil2〜coil4の合計電流との電流差が閾値電流以下になると、リレー装置10が復帰して3組のリレー接点121〜123が元の状態に切替る。なお、リレーのヒステリシス特性によって、リレー装置10が復帰する復帰電流は、前記閾値電流とは異なり、以下の説明では、リレー装置10が復帰する電流を復帰電流という。
この実施形態では、後述のように、太陽が昇って第1〜第4パネル群81〜84、したがって、第1〜第4モニタセル91〜94に太陽光が照射されて発電を開始すると、前記閾値電流を超えてリレー装置10が動作し、午後になって第2〜第4パネル群82〜84、したがって、第2〜第4モニタセル91〜94に、図6に示すように陰S1がかかると、復帰電流を下回ってリレー装置10が復帰するように構成されている。
ここで、リレー装置10の基本的な原理について、更に説明する。
リレー装置10を動作させるための判定計算を、第1〜第4コイル111〜114の磁束の重ね合わせで行う原理は、「アンペアの周回積分の法則」と「磁気的吸引力」である。
「アンペアの周回積分の法則」は、「電流の作る磁界中を一定方向に一周したとき、磁界の強さと磁界に沿った長さの積の和は、その一周した閉曲線の中に含まれる電流の和に等しい」と表すことができる(例えば、「電気基礎(上)」川上純一ら共著、東京電機大学出版局,p102)。
図10に示すように、電流Ia,Ib,Icがあり、この周囲に図の矢印の方向にAB間がH1〔A/m〕、BC間がH2〔A/m〕、CD間がH3〔A/m〕、DA間がH4〔A/m〕の磁界が生じていて、その長さがそれぞれl1,l2,l3,l4〔m〕のとき、ABCDAと磁界を一周してアンペアの周回路の法則を適用すると、磁界の強さと長さの積の和は、
H1l1+H2l2+(−H3l3)+H4l4
となり、この閉曲線の中の電流の和は、右ねじの関係の方向の電流を正とすれば、
Ia+Ib+(−Ic)
となる。したがって、この場合、アンペアの周回積分の法則は、次のように表せる。
H1l1+H2l2+(−H3l3)+H4l4=Ia+Ib+(−Ic)
すなわち、磁界強度Hが、磁気回路中で一定だと見なせれば、電流Iの和(向きを考慮)が磁界Hに比例するという意味になる。
「磁気的吸引力」は、下記式で示される(「電気基礎(上)」川上純一ら共著、東京電機大学出版局,p150)。
F=(B2/2μ0)×S 〔N〕
磁気的吸引力Fは、磁束密度Bの2乗に比例し、磁束密度Bは、磁界強度Hに比例する。したがって、磁気的吸引力Fは、磁界強度Hの2乗に比例することが分かる。
この二つの原理から、向きを考慮した電流の和の2乗が磁気的吸引力になる。したがって、リレー装置10の磁気的吸引力が、復帰バネの力を超えたとき、リレー接点121〜123が切替る。つまり、リレーの動作条件を、リレーコイル111〜114に流れる電流の加減算の結果で規定することができる。これは、判定計算を、リレーコイル111〜114の磁束の重ね合わせで行わせていることになる。
図11(a),(b)は、リレー装置10が復帰状態及び動作状態のときの、太陽電池アレイ2の各パネル群81〜84と、接続箱4の各逆流防止ダイオード131,132等との接続構成をそれぞれ示す図である。
リレー装置10の復帰状態では、同図(a)に示すように、リレー装置10の3組のリレー接点121〜123の各c接点121c〜123cは、各b接点121b〜123b側にある。
第1組のリレー接点121によって、第2パネル群82の正極側は、第1パネル群81の負極側と第3パネル群83の正極側との接続部に接続され、第2組のリレー接点122によって、第2パネル群82の負極側は、第3パネル群83の負極側と第4パネル群84の負極側との接続部に接続される。第3組のリレー接点123によって、第4パネル群84の正極側は、第2パネル群82の正極側と同様に、第1パネル群81の負極側と第3パネル群83の正極側との接続部に接続される。
したがって、この復帰状態では、第1パネル群81に対して、並列接続した3つの第2〜第4パネル群82〜84が、直列に接続されることになる。以下、この接続状態を、「3並列」という場合がある。
リレー装置10の動作状態では、同図(b)に示すように、リレー装置10の3組のリレー接点121〜123の各c接点121c〜123cは、各a接点121a〜123a側に切替わる。第1組のリレー接点121によって、第2パネル群82の正極側は、第2逆流防止ダイオード132のアノード(正極)側に接続され、第2組のリレー接点122によって、第2パネル群82の負極側は、第3組のリレー接点123のa接点123aに接続される。第3組のリレー接点123によって、第4パネル群84の正極側は、第2パネル群82の負極側に接続される。
したがって、この動作状態では、図12に示される従来例と同様に、直列接続された第1,第3パネル群81,83と、直列接続された第2,第4パネル群82,84とが、並列に接続される。以下、この接続状態を、「2直2並列」という場合がある。
次に、この実施形態の一日の日照状態の変化に応じた動作を説明する。
先ず、早朝の太陽光が太陽電池アレイ2に照射されていない状態では、リレー装置10は、図11(a)の復帰状態(3並列の状態)にある。
日が昇り、太陽光が太陽電池アレイ2に照射されると、各パネル群81〜84が発電を開始すると共に、各モニタセル91〜94も発電を開始し、リレー装置10の第2〜第4コイル112〜114に流れる合計電流と、第1コイル111に流れる電流との電流差が、閾値電流を超えてリレー装置10が動作し、3組のリレー接点121〜123の各c接点121c〜123cが、各a接点121a〜123a側に切替わり、図11(b)の接続状態、すなわち、図12の従来と同様の接続状態となり、直列接続された第1,第3パネル群81,83と、直列接続された第2,第4パネル群82,84とが、並列に接続された状態(2直2並列の状態)で発電を継続する。
正午を過ぎて、建物の陰が、太陽電池アレイ2にかかり、図6に示すように、三角形の陰S1がかかると、陰S1がかかった第2〜第4パネル群82〜84の発電電流が小さくなり、同時に、第2〜第4モニタセル92〜94の発電電流も小さくなる。第2〜第4モニタセル92〜94の発電電流が小さくなって、リレー装置10の第2〜第4コイル112〜114に流れる合計電流と、第1コイル111に流れる電流との電流差が、復帰電流を下回ると、リレー装置10が復帰し、図11(a)の復帰状態(3並列の状態)、すなわち、第1パネル群81に対して、並列接続された3つの第2〜第4パネル群82〜84が、直列に接続される。
図11(b)に示される従来と同様の接続状態、すなわち、直列接続された第1,第3パネル群81,83と、直列接続された第2,第4パネル群82,84とが、並列に接続された状態(2直2並列の状態)で、第2〜第4パネル群82〜84に、三角形の陰がかかると、陰のかかっていない日向の太陽電池パネル7で生成される電流値が、陰のかかった日陰の太陽電池パネル7で生成される電流値に引っ張られて低下してしまう。
これに対して、図11(a)に示されるように、第1パネル群81に対して、並列接続された3つの第2〜第4パネル群82〜84を、直列に接続すると、並列接続された日陰にある第2〜第4パネル群82〜84の電流が足されて、日向にある第1パネル群81の電流に略近似した電流とすることができる。
この図11(a)に示される復帰状態が、翌日の朝の日照まで継続される。
以上のように本実施形態によれば、図6に示すように、太陽電池アレイ2に建物などによる陰S1がかかると、日陰となっている第2〜第4パネル群82〜84を並列に接続して、日向にある第1パネル群81と直列に接続するので、第1,第3パネル群81,83及び第2,第4パネル群82,84をそれぞれ直列接続している状態に比べて、出力の低下を抑制することが可能となる。
しかも、単一のリレー装置10の第1〜第4コイル81〜84に流れる電流による磁束の重ね合わせに基づく磁気的吸引力によって、リレー接点121〜123を切替えて第2〜第4パネル群82〜84の接続状態を切替えるので、従来例のように、複数のセンサで電流値をそれぞれ計測し、その計測値に基づいて、コンピュータで演算処理を行なって複数のスイッチの切替制御を行う必要がない。したがって、コンピュータ及び複数のセンサやスイッチを設ける必要がなく、簡単な構成で、かつ、低いコストで陰による出力の低下を抑制することができる。
更に、コンピュータ及びセンサを利用する従来例では、停電時に動作が困難となるので、バックアップ電源が必要となるが、本実施形態では、リレー装置10で電流の加減算を行ってリレー接点121〜123を切替えるので、電源を必要としない。
この実施形態では、3組のリレー接点121〜123を備えるリレー装置10を用いたけれども、上述の図11(a)に対応する図13に示すように、1組のリレー接点を省略し、2組のリレー接点121,122を備えるリレー装置10を用いてもよい。この図13では、図11(a)の第2パネル群82の負極側のリレー接点122に代えて、バイパスダイオード133を設けたものである。 なお、電力損失や発熱を低減するために、バイパスダイオード133に代えて、逆流防止リレーを代用してもよい。
この実施形態では、図6に示すように、第2〜第4パネル群82〜84にそれぞれ対応する第2〜第4モニタセル92〜94を用いたけれども、直列接続されるパネル群である、第2,第4パネル群82,84については、濃い陰がかかる方の第4パネル群84による発電電流の制限の方が、第2パネル群82に比べて大きい。そこで、本発明の他の実施形態として、第2パネル群82に対応する第2モニタセル92を省略し、第1コイル111に流れる電流coil1と、他の第3,第4コイル113,114に流れる電流coil3,coil4の合計電流との電流差が閾値電流を超えると、すなわち、下記のようになると、
|coil1−(coil3+coil4)|>閾値電流
リレー装置10を動作させるようにしてもよい。
この場合、第1コイル111に流れる電流coil1と、第3,第4コイル113,114に流れる電流coil3,coil4の合計電流との電流差が、復帰電流を下回ると、リレー装置10が復帰する。
(実施形態2)
図14は、本発明の他の実施形態の図6に対応する図である。上述の実施形態では、図6に示すように、建物などによる陰S1が、太陽電池アレイ2に略三角形にかかる場合に、その出力の低下を抑制するものであった。これに対して、この実施形態では、図14に示すように、木立や電柱などによる帯状の陰S2が、太陽電池アレイ2の第2,第3パネル群82,83にかかることが予め分かっており、この帯状の陰S2がかかった場合に、その出力の低下を抑制するものである。
図15は、この実施形態の配線切替箱3内に設置されたリレー装置10の接続構成を示す図であり、上述の実施形態の図8に対応する図である。
この実施形態では、リレー装置10の2組のリレー接点121,122を利用する。
また、リレー装置10の第1〜第4コイル111〜114と、太陽電池アレイ2の第1〜第4モニタセル91〜94との接続において、第1,第4コイル111,114と、第2,第3コイル112,113とでは、モニタセル91,94;92,93の極性が逆となるように接続される。すなわち、第1,第4コイル111,114と、第2,第3コイル112,113とでは、電流を流す向きを、逆向きとしている。
リレー装置10の第1組のリレー接点121のc接点121cは、図14に示される太陽電池アレイ2の第3パネル群83の正極側である第2端子T2に接続され、a接点121aは、太陽電池アレイ2の第2パネル群82の負極側である第7端子T7に接続されると共に、第2組のリレー接点122のb接点122bに接続される。リレー接点121のb接点121bは、第1パネル群81の負極側である第3端子T3に接続されると共に、第2組のリレー接点122のa接点122aに接続される。
また、リレー装置10の第2組のリレー接点122のc接点122cは、第4パネル群84の正極側である第6端子T6に接続され、a接点122aは、第1パネル群81の負極側である第3端子T3に接続されると共に、第1組のリレー接点121のb接点121bに接続される。リレー接点122のb接点122bは、第2パネル群82の負極側である第7端子T7に接続されると共に、第1組のリレー接点121のa接点121aに接続される。
また、図14に示される第1パネル群81の正極側である第4端子T4は、配線切替箱3を介して図9に示される接続箱4の第1逆流防止ダイオード131のアノード(正極)側の第1接続端子C1に接続され、第2パネル群82の正極側である第4端子T8は、配線切替箱3を介して図9に示される接続箱4の第2逆流防止ダイオード132のアノード(正極)側の第2接続端子C2に接続される。
更に、第3パネル群83の負極側である第1端子T1と第4パネル群84の負極側である第5端子T5とが共通に接続されると共に、図9に示される接続箱4の負極側の第3接続端子C3に接続される。
図16(a),(b)は、リレー装置10が復帰状態及び動作状態のときの、太陽電池アレイ2の各パネル群81〜84と、図9の接続箱4の各逆流防止ダイオード131,132等との接続構成をそれぞれ示す図であり、上述の実施形態の図11(a),(b)に対応する図である。
リレー装置10の復帰状態では、同図(a)に示すように、リレー装置の2組のリレー接点121,122の各c接点121c,122cは、各b接点121b,122b側にある。
第1組のリレー接点121によって、第1パネル群81の負極側と、第3パネル群83の正極側とが接続され、第2組のリレー接点122によって、第2パネル群82の負極側と第4パネル群84の正極側とが接続される。
したがって、この復帰状態では、図12に示される従来例と同様に、直列接続された第1,第3パネル群81,83と、直列接続された第2,第4パネル群82,84とが、並列に接続される。
リレー装置10の動作状態では、同図(b)に示すように、リレー装置10の2組のリレー接点121,122の各c接点121c,122cは、各a接点121a,122a側に切替わる。第1組のリレー接点121によって、第1パネル群81の負極側は、第4パネル群84の正極側に接続され、第2組のリレー接点122によって、第2パネル群82の負極側は、第3パネル群83の正極側に接続される。
したがって、この動作状態では、直列接続された第1,第4パネル群81,84と、直列接続された第2,第3パネル群82,83とが、並列に接続される、すなわち、同図(a)の復帰状態における第3,第4パネル群83,84を入れ替えた状態となる。
次に、この実施形態の一日の日照状態の変化に応じた動作を説明する。
先ず、早朝の太陽光が太陽電池アレイに照射されていない状態では、リレー装置10は、図16(a)の復帰状態にある。
日が昇り、太陽光が太陽電池アレイ2に照射されると、各パネル群81〜84が発電を開始すると共に、各モニタセル91〜94も発電を開始し、リレー装置10の第1,第4コイル111,114に流れる合計電流と、第2,第3コイル112,113に流れる合計電流との電流差が略等しくなり、閾値電流を超えることなく、復帰状態を維持し、図12の従来と同様の接続状態、すなわち、直列接続された第1,第3パネル群81,83と、直列接続された第2,第4パネル群82,84とが、並列に接続された状態で発電を継続する。
正午を過ぎて、電柱の陰S2が、図14に示すように、太陽電池アレイ2にかかり、陰がかかった第2,第3パネル群82,83の発電電流が小さくなり、同時に、第2,第3モニタセル92,93の発電電流も小さくなる。第2,第3モニタセル92,93の発電電流が小さくなって、リレー装置10の第1,第4コイル111,114に流れる合計電流と、第2,第3コイル112,113に流れる合計電流との電流差が、閾値電流を超えると、リレー装置10が動作し、2組のリレー接点121,122の各c接点121c,122cが、各a接点121a,122a側に切替わり、図16(b)の接続状態、すなわち、直列接続された第1,第4パネル群81,84と、直列接続された第2,第3パネル群82,83とが、並列に接続された状態となる。
図16(a)に示される従来と同様の接続状態、すなわち、直列接続された第1,第3パネル群81,83と、直列接続された第2,第4パネル群82,84とが、並列に接続された状態で、図17に示されるように、第2,第3パネル群82,83に陰S2がかかると、陰S2のかかっていない日向の第4,第1パネル群84,81で生成される電流値が、日陰の第2,第3パネル群82,83で生成される電流値に引っ張られて低下してしまう。
これに対して、図16(b)に示されるように、第3,第4パネル群83,84を入れ替えて、陰S2のかかっていない日向の第1,第4パネル群81,84を直列に接続すると共に、日陰の第2,第3パネル群82,83を直列接続することによって、日向の第1,第4パネル群81,84が、日陰の第2,第3パネル群82,83で引っ張られて電流値が低下するのを防止することができる。
日照がなくなると、リレー装置10は、図16(a)に示される復帰状態となる。
(実施形態3)
上述の各実施形態では、モニタセル91〜94の発電電流を用いてリレー装置10の動作を制御したけれども、本発明の他の実施形態として、モニタセル91〜94を省略し、各パネル群81〜84の発電電流を用いてリレー装置10の動作を制御してもよい。
図18は、上記実施形態1に対応するものであって、リレー装置10の各コイル111〜114と、太陽電池アレイ2の各パネル群81〜84との接続構成を示す図であり、上述の図11(a)に対応する図である。
リレー装置10の各コイル111〜114は、この実施形態では、各パネル群81〜84の正極側に挿入され、第1コイル111のみ、電流を流す向きを、第2〜第4コイル112〜114とは逆向きになるように接続している。
これによって、上述の実施形態1と同様に、太陽光が太陽電池アレイ2に照射されると、各パネル群81〜84が発電を開始し、リレー装置10の第2〜第4コイル112〜114に流れる合計電流と、第1コイル111に流れる電流との電流差が、閾値電流を超えてリレー装置10が動作し、3組のリレー接点121〜123の各c接点121c〜123cが、各a接点121a〜123a側に切替わり、図12の従来と同様の接続状態となり、直列接続された第1,第3パネル群81,83と、直列接続された第2,第4パネル群82,84とが、並列に接続された状態(2直2並列の状態)で発電を継続する。
太陽電池アレイ2に、上述の実施形態1と同様に略三角形の陰S1がかかると、陰がかかった第2〜第4パネル群82〜84の発電電流が小さくなり、リレー装置10の第2〜第4コイル112〜114に流れる合計電流と、第1コイル111に流れる電流との電流差が、復帰電流を下回ると、リレー装置10が復帰し、第1パネル群81に対して、並列接続された3つの第2〜第4パネル群82〜84が、直列に接続された復帰状態(3並列の状態)に戻る。
これによって、略三角形の陰S1がかかった状態では、並列接続された日陰にある第2〜第4パネル群82〜84の電流を、日向にある第1パネル群81の電流に略近似した電流とすることができ、出力の低下を抑制することができる。
(実施形態4)
上記図18の実施形態3では、日向の第1パネル群81に流れる電流と、日陰になる第2〜第4パネル群82〜84に流れる電流とに基づいて、リレー接点121〜123を切替えるように構成したけれども、本発明の他の実施形態として、日陰になる第2〜第4パネル群82〜84に流れる電流のみに基づいて、リレー接点121〜123を切替えるようにしてもよい。
図19は、日陰となる二つのパネル群である第3,第4パネル群83,84に流れる電流に基づいて、リレー接点121〜123を切替えるものであり、リレー装置の復帰状態である3並列の状態を示している。
この実施形態では、第3,第4パネル群83,84に流れる電流に基づいて、リレー接点121〜123を切替えるので、リレー装置には、第3,第4パネル群83,84に対応する第3,第4コイル113,114のみが、共通のコア(鉄芯)に巻回されており、上記第1,第2コイル111,112は巻回されておらず、第3,第4コイル113,114に流れる電流による磁束の重ね合わせに基づく磁気的吸引力によって、リレー接点121〜123を切替えて第2〜第4パネル群82〜84の接続状態を切替えるものである。このため、第3,第4コイル113,114は、逆向きの電流が流れるように接続される。
この実施形態では、第3,第4コイル113,114及びリレー接点121〜123を有する本発明に係るリレー装置を備えると共に、このリレー装置が不所望に動作するのを規制する規制手段としての従来のリレー28を備えている。
このリレー28は、コイル26及びa接点27を有し、この実施形態では、第4パネル群84の負極側に、直列に接続される。
リレー装置の第4コイル114は、リレー28のa接点27に並列に接続され、第3コイル113は、第3パネル群83の負極側に挿入される。
図19は、リレー装置が復帰した状態を示しており、リレー28のa接点27はオフしており、第1パネル群81に対して、並列接続された3つの第2〜第4パネル群82〜84が、直列に接続された状態(3並列の状態)となっている。
この復帰状態において、日が昇り、太陽光が太陽電池アレイ2に照射されると、各パネル群81〜84が発電を開始し、リレー28のコイル26に流れる電流が、例えば、5Aになると、a接点27がオンして第4コイル114の接続が、直列から並列に切替わり、第3コイル113と第4コイル114とに流れる電流差が大きくなって、その電流差が閾値電流、例えば2Aを超えると、リレー装置が動作してリレー接点121〜123が切替わり、図20に示すように、直列接続された第1,第3パネル群81,83と、直列接続された第2,第4パネル群82,84とが、並列に接続された動作状態(2直2並列の状態)となり、この動作状態で発電を継続する。
正午を過ぎて、略三角形の陰が、太陽電池アレイ2にかかり始め、先ず、第4パネル群84に陰がかかると、リレー28のコイル26に流れる電流が小さくなって、リレー28のa接点27がオフする。
a接点27がオフしても、第3パネル群83には、未だ陰がかかっていないので、第3パネル群83の第3コイル113に流れる電流と、第4パネル群84の第4コイル114に流れる電流との電流差は、大きいままなので、図20に示す直列接続された第1,第3パネル群81,83と、直列接続された第2,第4パネル群82,84とが、並列に接続された動作状態(2直2並列の状態)のままで発電を継続する。
そして、第3パネル群83にも陰がかかると、第3コイル113に流れる電流も小さくなって、第3コイル113に流れる電流と第4コイル114に流れる電流との電流差も小さくなって復帰電流を下回ると、リレー装置は、復帰してリレー接点121〜123が切替わり、図19の復帰状態(3並列の状態)に戻る。
これによって、略三角形の陰S1がかかった状態では、並列接続された日陰にある第2〜第4パネル群82〜84の電流を、日向にある第1パネル群81の電流に略近似した電流とすることができ、出力の低下を抑制することができる。
この実施形態では、リレー28は、図20に示されるリレー装置の動作状態(2直2並列の状態)において、第3,第4パネル群83,84に陰がかかっていないにもかかわらず、すなわち、日向の状態であるにもかかわらず、リレー装置が不所望に復帰動作して、第1パネル群81に対して、並列接続された3つの第2〜第4パネル群82〜84が、直列に接続された状態(3並列の状態)に戻らないように規制するものである。
すなわち、日向の第3パネル群83と日向の第4パネル群84とが、共に発電しており、各パネル群83,84に、例えば、10A程度の大きな電流が流れて、両パネル群83,84に対応する第3,第4コイル113,114にそれぞれ流れる電流の電流差が小さくなっても、復帰動作させないためである。
仮にリレー28がなければ、第3パネル群83と第4パネル群84とに陰がかかっておらず、大きな発電電流が流れているにもかかわらず、その電流差が小さいと、復帰動作することになるが、リレー28のa接点27がオンしていることによって、第3コイル113と第4コイル114とに流れる電流差が大きくなるので、陰のかかっていない状態で復帰状態(3並列の状態)に戻るのを規制することができる。
なお、他の実施形態として、第4パネル群84に代えて第2パネル群82に流れる電流を利用してもよい。
(実施形態5)
上記実施形態1,3,4では、リレー装置10の復帰状態で、第1パネル群81に対して、並列接続された3つの第2〜第4パネル群82〜84が直列に接続され(3並列)、リレー装置10の動作状態で、直列接続された第1,第3パネル群81,83と、直列接続された第2,第4パネル群82,84とが、並列に接続され(2直2並列)たけれども、本発明の他の実施形態として、リレー装置10の復帰状態で、直列接続された第1,第3パネル群81,83と、直列接続された第2,第4パネル群82,84とが、並列に接続され(2直2並列)、リレー装置10の動作状態で、第1パネル群81に対して、並列接続された3つの第2〜第4パネル群82〜84が直列に接続される(3並列)ようにしてもよい。
図21は、上記実施形態1,3,4とは、リレー装置の復帰状態及び動作状態における各パネル群81〜84の接続状態を逆にした実施形態の構成図であり、この実施形態は、上記実施形態3,4と同様にモニタセル91〜94を使用しない実施形態である。
この実施形態は、各パネル群81〜84を構成する直列接続された太陽電池セル群と、それに並列なバイパスダイオードとに流れる電流に着目してリレー装置のリレー接点121〜123を切替えるものである。
1枚の太陽電池パネル7は、例えば、図22に示すように、複数の太陽電池セル23が直列接続された一連の太陽電池セル(以下「クラスタ」という)21毎に、バイパスダイオード22が並列にそれぞれ接続されて構成されている。
図21では、説明の便宜上、上記第1〜第4パネル群81〜84は、それぞれ、直列接続された複数のクラスタ21からなる1枚の太陽電池パネルを示す第1〜第4パネル81〜84とし、また、各クラスタ21に並列接続される複数のバイパスダイオード22を、それぞれ1個の第1〜第4バイパスダイオード221〜224として代表的に示している。
この実施形態は、上記実施形態1,3,4と同様に、第2〜第4パネル81〜84に、略三角形の陰S1がかかるものであり、図21に示されるリレー装置の復帰状態(2直2並列の状態)において、直列接続されている第1,第3パネル81,83の第3パネル83に陰がかかったときに、第3パネル83のバイバスダイオード223に、日向の第1パネル81を構成する複数のクラスタに流れる電流と、第3パネル83を構成する複数のクラスタに流れる電流との差の電流が流れることを利用して、リレー装置のリレー接点121〜123の切替え動作を行うものである。
このため、この実施形態では、例えば、第1パネル81の正極側と、第3パネル83の正極側とに、リレー装置の第1,第3コイル111,113が挿入される。具体的には、第1パネル81を構成する複数のクラスタの正極側と、該正極側と第1バイパスダイオード221のカソード側との接続点との間に、第1コイル111が接続され、第3パネル83を構成する複数のクラスタの正極側と、該正極側と第3バイパスダイオード223のカソード側との接続点との間に、第3コイル113が接続される。この場合、第1,第3コイル111,113には、互いに逆向きの電流が流れるように接続される。
更に、リレー装置の3組のリレー接点121〜123は、図21に示す復帰状態において、直列接続された第1,第3パネル81,83と、直列接続された第2,第4パネル82,84とが、並列に接続されるように、すなわち、2直2並列となるように、各パネル81〜84に接続される。
この実施形態のリレー装置は、共通のコア(鉄芯)には、第1,第3コイル111,113のみが巻回されており、上記第2,第4コイル112,114は巻回されておらず、第1,第3コイル111,113に流れる電流による磁束の重ね合わせに基づく磁気的吸引力によって、リレー接点121〜123を切替えて第2〜第4パネル82〜84の接続状態を切替えるものである。
ここで、直列接続されている第1,第3パネル81,83の第3パネル83に陰がかかったときに、第3パネル83のバイバスダイオード223に、第1パネル81を構成する複数のクラスタに流れる電流と、第3パネル83を構成する複数のクラスタに流れる電流の差の電流が流れることについて説明する。
第1パネル81が日向の状態で、第3パネル83に陰がかかると、直列接続されたパネル全体の電流電圧特性は、図23(a)に示すように、階段状となる。そのため、その電力電圧特性は、図23(b)に示すような2山形状の特性となる。これらの特性は、各パネル81,83を構成する複数のクラスタ及びそれに並列な各バイバスダイオード221,223を合わせた特性を示しており、また、a,bは、電力が極大、aが最大となる動作点を示しており、I1,I3は、各パネル81,83に対応する電流をそれぞれ示している。
図23(a)は、日向の第1パネル81の電流電圧特性と、日陰の第3パネル83の電流電圧特性とを合わせたパネル全体の電流電圧特性であり、図24に示すように、各パネル81,83の電流電圧特性に分解することができる。
すなわち、図24(a)は、図23(a)と同じであって、パネル全体の電流電圧特性を示しており、この電流電圧特性を、電流値を揃えて直列接続されている日向の第1パネル81の電流電圧特性と、日陰の第3パネル83の電流電圧特性とに分解すると、図24(b)及び図24(c)に示される特性となる。
そして、図24(c)に示される日陰の第3パネル83の電流電圧特性を、図25に示すように、第3パネル83を構成する複数のクラスタの電流電圧特性と、複数のクラスタに並列なバイバスダイオード223の電流電圧特性とに分解することができる。
すなわち、図25(a)は、図24(c)と同じであって、日陰の第3パネル83の電流電圧特性を示しており、この電流電圧特性を、電圧値を揃えて、複数のクラスタの電流電圧(Is−V)特性と、複数のクラスタに対して並列接続されているバイバスダイオード223の電流電圧(ID−V)特性とに分解すると、図25(b)及び図25(c)に示される特性となる。
この図25(b)に示されるように、動作点aでは、第3パネル83を構成する複数のクラスタには、電流I3が流れ、図25(c)に示すように、第3バイパスダイオード223には、電流が流れず、動作点bでは、図25(b)に示されるように、第3パネル83を構成する複数のクラスタには、電流I3が流れ、図25(c)に示すように、第3バイパスダイオード223には、電流(I1−I3)、すなわち、第1パネル81の複数のクラスタに流れる電流I1と、第3パネル83の複数のクラスタに流れる電流I3との差の電流が流れる。
通常、パワーコンディショナ5は、最大電力点追従制御によって、動作点bとすることができ、陰のかかった第3パネル83を構成する複数のクラスタと第3バイパスダイオード223とには、その合計電流が、日向の第1パネル81を構成する複数のクラスタに流れる電流と等しくなるように流れる。なお、動作点aのときでも、パワーコンディショナ5によって、定期的に動作点を移動させれば、動作点bとすることができる。
このように陰のかかった第3パネル83を構成する複数のクラスタと、第3バイパスダイオード223には、その合計電流が日向の第1パネル81を構成する複数のクラスタに流れる電流と等しくなるように、電流がそれぞれ流れる。
したがって、図21に示されるリレー装置の復帰状態(2直2並列の状態)において、第2〜第4パネル82〜84に、略三角形に陰S1がかかる、すなわち、第3パネル83に陰S1がかかると、第1パネル81の正極側の第1コイル111と、第3パネル83の正極側の第3コイル113とに流れる電流には、電流差が生じ、閾値電流を超えると、リレー装置が動作してリレー接点121〜123が切替わり、図26に示すように、第1パネル81に対して、並列接続した3つの第2〜第4パネル82〜84が直列に接続される。
この図26に示されるリレー装置の動作状態(3並列の状態)では、第2〜第4パネル82〜84を構成する複数のクラスタには、それぞれ、第1パネル81のクラスタに流れる電流の1/3ずつの電流が流れることになり、第3パネル83の第3バイパスダイオード223には、電流が流れなくなるが、第1パネル81の正極側の第1コイル111と、第3パネル83の正極側の第3コイル113とに流れる電流には、日照に応じた電流差が生じており、動作状態(3並列の状態)が継続される。
次に、リレー装置の動作状態からの復帰動作について説明する。
第1パネル81が日向で、第2〜第4パネル82〜84に三角形の陰S1がかかって、リレー装置が動作した図26の動作状態(3並列の状態)から、第3パネル83が日向になると、図27に示されるように、第3パネル83の電流、つまり、第3コイル113の電流が増加し、並列接続された3つの第2〜第4パネル82〜84の合計電流が、第1パネル81を構成する複数のクラスタを流れる電流を超えたとしても、第1パネル81に並列な第1バイパスダイオード221に電流が流れるので、第1パネル81の第1コイル111に流れる電流と、第3パネル83の第3コイル113に流れる電流とが、略等しくなって電流差が小さくなる。その結果、復帰電流を下回り、リレー装置が復帰し、直列接続された第1,第3パネル81,83と、直列接続された第2,第4パネル82,84とが、並列に接続された図21の状態(2直2並列の状態)に復帰する。
この実施形態では、第1,第3パネル81,83をそれぞれ構成する複数のクラスタに流れる電流を取り出してリレー装置の第1,第3コイル111,113に流す必要がある。
図28は、各パネル81,83をそれぞれ構成する複数のクラスタ21と、リレー装置の第1,第3コイル111,113の接続の一例を示す図であり、第3パネル83は、図示を簡略化しているが、第1パネル81と同じ構成である。
この図28では、上記図22と同様に、各パネル81,83は、3つのクラスタ21と、各クラスタ21に並列な3つの対応するバイパスダイオード22とを備えており、上記図21,26,27では、複数のクラスタ21を第1,第3パネル81,83として、複数のバイパスダイオード22を1つのバイパスダイオード221,223として簡略化して示している。
この図28では、3つのクラスタ21の内の一つのクラスタ21について、コイル接続用の接続端子T17,T18を設けている。この例では、接続端子T17,T18は、クラスタ21の負極側と、バイパスダイオード21のアノード側との間に設けている。この一つのクラスタ21は、陰がかかる場合には、3つのクラスタの中で、最初に陰がかかるクラスタ21とするのが好ましい。
第1,第3パネル81,83と、リレー装置10の第1,第3コイル111,113との接続は、流れる電流が互いに逆向きとなるように接続される。
次に、この実施形態の一日の日照状態の変化に応じた動作を説明する。
先ず、早朝の太陽光が太陽電池アレイ2に照射されていない状態では、リレー装置10は、図21に示される復帰状態、すなわち、直列接続された第1,第4パネル81,84と、直列接続された第2,第3パネル82,83とが、並列に接続された状態(2直2並列の状態)にある。
日が昇り、太陽光が太陽電池アレイ2に照射されると、各パネル81〜84が発電を開始しても、リレー装置10の第1コイル111に流れる電流と、第3コイル113に流れる電流とは等しく、電流差がないために、閾値電流を超えることはなく、復帰状態が維持される。
正午を過ぎて、建物の陰が、太陽電池アレイ2にかかり、図21に示すように、略三角形の陰S1がかかると、陰S1がかかった第2〜第4パネル82〜84の発電電流が小さくなり、同時に、上記のように第3パネル83の第3バイバスダイオード223に電流が流れ、第1パネル81を構成するクラスタに流れる電流と、第3パネル83を構成するクラスタに流れる電流との電流差が大きくなる。その結果、閾値電流を超えて、リレー装置10が動作し、3組のリレー接点121〜123の各c接点121c〜123cが、各a接点121a〜123a側に切替わり、図26の接続状態、すなわち、日陰となっている第2〜第4パネル82〜84を並列に接続して、日向にある第1パネル81と直列に接続した状態(3並列の状態)となり、第1,第3パネル81,83及び第2,第4パネル82,84をそれぞれ直列接続している状態に比べて、出力の低下を抑制することが可能となる。
その後、第3パネル83が日向になると、図27に示すように、第3パネル83の正極側の第3コイル113の電流が増加し、並列接続された第2〜第4パネル82〜84の合計電流が、第1パネル81を構成するクラスタを流れる電流を超えたとしても、第1パネル81に並列な第1バイパスダイオード221に流れるので、第1パネル81の正極側の第1コイル111に流れる電流と、第3パネル83の正極側の第3コイル113に流れる電流とが、等しくなって電流差がなくなる。その結果、復帰電流を下回り、リレー装置10が復帰し、直列接続された第1,第3パネル81,83と、直列接続された第2,第4パネル82,84とが、並列に接続された図21の状態(2直2並列の状態)に復帰する。
なお、図26の状態から第3パネル83が日向になることなく、日が沈んでも全てのパネル81〜84の日照がなくなり、第1パネル81の正極側の第1コイル111に流れる電流と、第3パネル83の正極側の第3コイル113に流れる電流とが、等しくなって図21の状態に復帰する。
以上のように本実施形態によれば、太陽電池アレイ2に建物などによる陰S1がかかると、図26に示すように、日陰となっている第2〜第4パネル82〜84を並列に接続して、日向にある第1パネル81と直列に接続するので、第1,第3パネル81,83及び第2,第4パネル82,84をそれぞれ直列接続している状態に比べて、出力の低下を抑制することが可能となる。
しかも、上記実施形態1のように、太陽電池パネル81〜84とは別に、日照状態を監視するモニタセル91〜94を必要とせず、その煩わしい接続作業等も不要となり、コストを低減することができる。
なお、この実施形態では、各パネルを構成する複数のクラスタの内の一つのクラスタに流れる電流のみを用いたけれども、リレー装置のコイルの数を増やして、複数のクラスタに流れる電流を用いるようにしてもよい。
また、この実施形態では、1枚の太陽電池パネルからなる第1〜第4パネル81〜84に適用して説明したけれども、複数の太陽電池パネルが直列接続されてなる太陽電池パネル群に適用することもできる。この場合、リレー装置のコイルの数及び接点の数を増やしてもよいし、リレー装置自体の数を増やしてもよい。
この実施形態では、リレー装置の第1,第3コイル111,113を、第1,第3パネル81,83に接続して、第1パネル81を構成する複数のクラスタに流れる電流と、第3パネル83を構成する複数のクラスタに流れる電流とに基づいて、リレー接点121〜123を切替えたけれども、各パネル81,83を構成する複数のクラスタに並列な第1,第3バイバスダイオード221,223に流れる電流に基づいて、リレー接点121〜123を切替えるようにしてもよい。
図29は、第1,第3バイバスダイオード221,223に流れる電流に基づいて、リレー接点121〜123を切替える構成を示す図であり、上記図21に対応する図である。
この例では、上記各実施形態のリレー装置を用いることなく、従来のラッチングリレーを用いるものであって、このラッチングリレーは、セットコイル24S及びリセットコイル24Rを有すると共に、リレー接点121〜123を有しており、リレー接点121〜123の接続は、図21の実施形態と同様である。
この例では、ラッチングリレーのセットコイル24Sを第3バイバスダイオード223のカソード側に接続する一方、リセットコイル24Rを第1バイバスダイオード221のカソード側に接続する。
この図29に示されるラッチングリレーの復帰状態(2直2並列の状態)において、第2〜第4パネル82〜84に、略三角形に陰S1がかかる、すなわち、第3パネル83に陰S1がかかると、上記のように、第3パネル83のバイバスダイオード223に、日向の第1パネル81を構成する複数のクラスタに流れる電流と、第3パネル83を構成する複数のクラスタに流れる電流の差の電流が流れるので、ラッチングリレーのセットコイル24Sに電流が流れ、ラッチングリレーが動作してリレー接点121〜123が切替わり、図30に示すように、第1パネル81に対して、並列接続した3つの第2〜第4パネル82〜84が直列に接続される3並列の状態に切替わる。
この図30に示される動作状態では、第2〜第4パネル82〜84を構成する複数のクラスタには、それぞれ、第1パネル81のクラスタに流れる電流の1/3ずつの電流が流れることになり、第3パネル83の第3バイパスダイオード223には、電流が流れなくなるが、上記リレー装置とは異なり、半硬質磁性材料からなるラッチングリレーによって、動作状態が保持される。
次に、ラッチングリレーの動作状態からの復帰動作について説明する。
第1パネル81が日向で、第2〜第4パネル82〜84に三角形の陰S1がかかって、ラッチングリレーが動作した図30の状態から、第3パネル83が日向になると、図31に示されるように、第3パネル83の電流が増加し、並列接続された第2〜第4パネル82〜84の合計電流が、第1パネル81を構成する複数のクラスタを流れる電流を超えると、第1パネル81に並列な第1バイパスダイオード221に電流が流れるので、ラッチングリレーのリセットコイル24Rに電流が流れ、ラッチングリレーが復帰してリレー接点121〜123が切替わり、図29に示すように、直列接続された第1,第3パネル81,83と、直列接続された第2,第4パネル82,84とが、並列に接続された状態(2直2並列の状態)に復帰する。
この例では、第1,第3パネル81,83をそれぞれ構成する複数のクラスタに並列な第1,第3バイバスダイオード221,223に流れる電流を取り出してラッチングリレーのコイル24S,24Rに流す必要がある。
図32は、各パネル81,83をそれぞれ構成する複数のクラスタ21と、ラッチングリレー25の各コイル24S,24Rの接続例を示す図であり、第3パネル83は、図示を簡略化しているが、第1パネル81と同じ構成である。
この図32では、3つのバイバスダイオード22の内の一つのバイバスダイオード22のアノード側に、コイル接続用の接続端子T19,T20を設けている。3つのクラスタ21に陰がかかる場合には、一つのバイバスダイオード22は、対応するクラスタ21が、3つのクラスタ21の中で、最初に陰がかかるクラスタ21であるのが好ましい。
第1パネル81の接続端子T19,T20は、ラッチングリレー25のリセットコイル24Rに接続され、第3パネル83の接続端子T19,T20は、ラッチングリレー25のセットコイル24Sに接続される。
(実施形態6)
本発明は、複数の太陽電池パネル群に限らず、複数の太陽電池セルがそれぞれ直列接続されてなる複数の太陽電池セル群にも同様に適用できるものである。
例えば、図33は、第1〜第4太陽電池セル群(第1〜第4セル群)201〜204に適用した例を示すものであり、この図33は、上記実施形態1に対応するものであって、上述の図11(a)に対応する図であり、対応する部分には、同一の参照符号を付す。
太陽電池パネル71,72の各太陽電池セル群201〜204は、複数の太陽電池セルが直列接続されてそれぞれ構成され、上記実施形態1の第1〜第4パネル群81〜84にそれぞれ対応する。
各太陽電池セル群201〜204の近傍には、図示しないモニタセルがそれぞれ配置されており、各モニタセルが、リレー装置の各リレーコイルに接続され、上記実施形態1と同様にリレー装置が動作して、各リレー接点121〜123を上記実施形態1と同様に切替える。
(実施形態7)
上述の各実施形態では、第1,第3パネル群81,83と、第2,第4パネル群82,84との2つの並列接続を切替えるものであったが、本発明は、3つ以上の並列接続の切替えを行うようにしてもよい。
図34は、第1,第3パネル群81,83と、第2,第4パネル群82,84と、第5,第6パネル群85,86との3つの並列接続を切替えるものであり、上記実施形態1の図11(a)に対応する図であり、対応する部分には、同一の参照符号を付す。
この例では、2つのリレー装置10を用いるものであり、2つのリレー装置10の内、一方のリレー装置10では、上記実施形態1と同様に、第1,第3パネル群81,83と、第2,第4パネル群82,84との接続を切替え、他方のリレー装置10では、第1,第3パネル群81,83と、第5,第6パネル群82,84との接続を切替える。
他方のリレー装置10の第1〜第4コイル111〜114に接続するために、第1,第3パネル群81,83には、モニタセルが追加され、第5,第6パネル群85,86は、第2,第4パネル群82,84と同様にモニタセルが設けられている。その他の構成及び動作は、上記実施形態1と同様である。
(その他の実施形態)
本発明に係る太陽光発電システムでは、単一のリレー装置に限らず、複数のリレー装置を用いて太陽光発電システムも構成してもよい。
また、上述の実施形態では、リレー装置10は、配線切替箱3内に配置したけれども、本発明の他の実施形態として、リレー装置10は、太陽電池アレイ2側に組み込んでもよいし、あるいは、接続箱4内に配置してもよい。
上述の実施形態では、リレー装置10の各コイル111〜114の巻き方向を同じとし、第1〜第4モニタセル91〜94等との接続によって、電流の向きを異ならせたけれども、本発明の他の実施形態として、例えば、リレー装置10の第1コイル111のみ、第2〜第4コイル112〜114と巻き方向を異ならせ、第1〜第4モニタセル91〜94との接続は、同じとしてもよい。
上述の各実施形態では、リレー装置10の各コイル111〜114の巻き数は、全て同じとしたけれども、本発明の他の実施形態として、第1コイル111の巻き数と、第2〜第4コイル112〜114の巻き数とを異ならせてもよい。このようにコイルの巻き数を異ならせることによって、リレー装置10の動作のタイミングを調整することができ、例えば、陰の濃淡やモニタセル91〜94の配置位置などの種々の要因に応じて、発電量が最大となるようなタイミングでリレー装置10を動作させることが可能となる。例えば、第1コイル111の巻き数を、第2〜第4コイル112〜114の巻き数に比べて、多くしたリレー装置、少なくしたリレー装置の複数を予め準備し、それらリレー装置を付け替えて、動作のタイミングを観察して、発電量が最大となるリレー装置を用いるようにしてもよい。