JP2014209094A - テラヘルツ波を用いて試料の情報を取得する情報取得装置および情報取得方法 - Google Patents

テラヘルツ波を用いて試料の情報を取得する情報取得装置および情報取得方法 Download PDF

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Abstract

【課題】 試料の情報を取得する情報取得装置において、厚みが均一ではない透過部材を用いた場合でも、試料の情報を精度よく取得できる技術を提供する。【解決手段】 本発明の情報取得装置は、試料204の情報を取得する情報取得装置であって、試料と接している透過部材203を介して、テラヘルツ波を試料の照射位置に照射する照射部220と、透過部材で反射したテラヘルツ波と試料で反射したテラヘルツ波を検出する検出部207と、検出部の検出結果を用いて透過部材で反射したテラヘルツ波の時間波形と試料で反射したテラヘルツ波の時間波形とを取得する波形取得部212と、透過部材で反射したテラヘルツ波の時間波形と試料で反射したテラヘルツ波の時間波形と照射位置における透過部材の厚みに関する情報とを用いて試料の情報を取得する情報取得部213と、を有する。【選択図】 図2

Description

本発明は、テラヘルツ波を用いて試料の情報を取得する情報取得装置および情報取得方法に関する。
近年、周波数が30GHz以上30THz以下の範囲の電磁波、いわゆるテラヘルツ波を用いた様々な検査技術が開発されている。特許文献1には、テラヘルツ波の透過性を利用して非破壊検査を行うための測定方法が記載されている。この方法は、試料にテラヘルツ波の超短パルスを照射し、その試料からの反射波を検出して得られた時間波形から、試料各層の構成や状態を調べるものである。
非特許文献1が示すように、時間波形のピーク波形を詳細に調べることで、そのピーク波形に対応する界面近傍の複素屈折率スペクトルを求めることも可能である。多くの材料にテラヘルツ波の周波数帯中に特有の吸収があることが知られており、材料分析の新たな方法として期待されている。また、特許文献2ではテラヘルツ波に対する生体試料表面の屈折率分布を測定し、結果を可視化する技術を開示している。このようなテラヘルツ波を用いた検査技術は、生体組織の屈折率や反射率が部位や状態(正常細胞または腫瘍細胞など)によって異なることを利用した病理診断等、医用面への応用が期待できる。
反射系の測定では、試料で反射したテラヘルツ波の他に、鏡で反射したテラヘルツ波を別途測定して、これらの時間波形を用いて試料の情報を取得する。しかし、試料表面と鏡表面との位置が同じでない場合や測定毎にテラヘルツ波の強度が異なる場合には、正確な比較を行うことができないため、測定精度が低下することがあった。そこで、テラヘルツ波を透過する板状の透過部材を用いて測定を行う方法が用いられている。これは、透過部材と試料とが接している状態で、透過部材を介してテラヘルツ波を試料に照射する方法である。
特登録4046158 特開2011−112548
P.U.Jepsen et al.,Optics Letters,(2007),15,14717.
従来は、透過部材の面内での厚みは均一であるとみなして各種測定を行っていた。しかし、面内での厚みが均一な透過部材を製造することは容易ではなく、想定した厚みと実際に測定した位置における厚みとに差があったり、テラヘルツ波の照射位置ごとに透過部材の厚みが異なったりすることがある。そのため、現在期待される精度を常に満たすことは容易ではない。
本発明は、かかる課題に鑑みてなされたものである。その目的は、厚みが均一ではない透過部材を用いた場合でも、試料の情報を精度よく取得できる技術を提供することである。
本発明の一側面としての情報取得装置は、試料の情報を取得する情報取得装置であって、前記試料と接している透過部材を介して、テラヘルツ波を前記試料の照射位置に照射する照射部と、前記透過部材で反射したテラヘルツ波と前記試料で反射したテラヘルツ波を検出する検出部と、前記検出部の検出結果を用いて前記透過部材で反射したテラヘルツ波の時間波形と前記試料で反射したテラヘルツ波の時間波形とを取得する波形取得部と、前記透過部材で反射したテラヘルツ波の時間波形と前記試料で反射したテラヘルツ波の時間波形と前記照射位置における前記透過部材の厚みに関する情報とを用いて前記試料の情報を取得する情報取得部と、を有することを特徴とする。
本発明の一側面としての情報取得装置によれば、厚みが均一ではない透過部材を用いた場合でも、試料の情報を精度よく取得できる。
実施形態の測定時におけるテラヘルツ波の経路を説明する図 実施例1の情報取得装置の構成を説明する図 実施例1の試料と透過部材の配置を説明する図 実施例1の測定時におけるテラヘルツ波の時間波形を説明する図 実施例1の測定手順の一例を説明するフローチャート 実施例1の窓厚み補正の効果を説明する図 実施例3の情報取得装置を説明する図 実施例4の測定手順を説明するフローチャート 実施例4の測定時における窓厚み誤差の分布と平均化を説明する図 実施例5の測定手順を説明するフローチャート 実施例6の情報取得装置の構成を説明する図 実施例3の情報取得装置の構成の一部を説明する図 実施例2の情報取得装置で取得したスペクトル
以下、図面を参照しつつ本発明の実施形態を説明する。
本実施形態では、テラヘルツ波を良く透過する透過部材と試料とを接触させた上でテラヘルツ波を透過部材越しに試料に照射する。透過部材は、複素屈折率が既知の板状部材で、試料と接触させることで試料を平坦化するとともに、透過部材の表面で反射したテラヘルツ波の時間波形からテラヘルツ波の強度変動の標準化等を行う。本実施形態の情報取得装置は、透過部材の表面および試料の表面で反射したテラヘルツ波を検出して、時間領域分光法(Time−Domain Spectroscopy:TDS)によって時間波形を取得する。
得られた時間波形を解析することで、試料の反射率や複素屈折率スペクトル等の物性や試料の形状等を含む試料の情報を取得することが可能である。具体的には、透過部材の表面からの反射波に対応する時間波形および試料の表面(透過部材の裏面と試料との界面)からの反射波に対応する時間波形を用いる。なお、本明細書では、「透過部材の表面」は、照射部から照射されたテラヘルツ波が最初に到達する面のことであり、その反対側の面は「透過部材の裏面」であると定義する。
また、本明細書では、「試料の情報」は、試料の「物性」及び「形状」の少なくとも一方を含むと定義する。具体的には、試料の「物性」は、試料の複素振幅反射率、複素屈折率、複素誘電率、反射率、屈折率、吸収係数、誘電率、電気伝導率を含むと定義する。
また、本明細書における試料の「形状」は、試料の外形と、試料中の物体の形状と、試料中の所定の物性を有する領域の形状と、試料中の層の厚さを含むと定義する。試料中の物体の形状及び試料中の層の厚さは、試料中のある界面で反射したテラヘルツ波の時間波形が検出された時刻と透過部材又は別の界面で反射したテラヘルツ波の時間波形が検出された時刻との差を用いて取得できる。
また、試料中の所定の物性を有する領域の形状は、試料の物性を取得して、試料の物性値が同じ又は所定の範囲内となる領域の形状のことを言う。例えば、試料の物性として複素屈折率を取得した場合、複素屈折率が所定の数値になる領域とその他の領域とを、それぞれ異なる色で表示するなど、表示方法を変更すれば所定の物性を有する領域の形状を取得できる。取得する試料の情報の種類は、ユーザが適宜選択できる。
測定に用いる透過部材は、表面および裏面が平坦で、且つ、表面と裏面とが互いに平行で面内での厚みが均一であることが望ましい。試料の物性または形状に関する情報を求めるにあたっては、テラヘルツ波が透過部材を通過することによって生じる影響を正確に把握することが必要であり、その影響は透過部材の厚みによって変化するためである。
しかし、従来の測定方法では、現在期待される精度を常に満たすことは容易ではない。そこで、面内での厚みが均一ではない透過部材を用いても、試料の情報を精度よく求めることができる技術が求められる。また、透過部材ごとに厚みが異なっている場合でも同様に、試料の情報を精度よく取得できる技術が求められる。
本実施形態では、照射位置における透過部材の厚みに関する情報を取得し、試料の情報の取得に用いる。これによって、測定に用いた透過部材の厚みが均一ではなかった場合でも、精度の高い測定結果を得ることができる。
図1は、測定時における透過部材と試料およびテラヘルツ波の位置関係を表す断面図である。図1を参照して、本実施形態の概要を説明する。
図1の透過部材101は試料を配置するための測定用の窓である。透過部材の材質としてはテラヘルツ波を良く透過し、特性が安定で既知なものがよい。また、ある程度の硬度を有していることが望ましい。具体的には、石英基板や単結晶のSi板等が挙げられる。これらの複素屈折率スペクトルは、透過系のテラヘルツ時間領域分光測定等で容易に測定できるほか、代表的な値が文献中に与えられている。
透過部材101の裏面は試料102と接触している。この時、透過部材101と試料102とが、隙間なく密着していることが望ましい。
また、鏡103を透過部材101表面の一部に設けても良い。鏡103は金属薄膜の蒸着等の方法で形成する。鏡103は、参照光を得るために用いられる。詳細は後述する。また、鏡103は、得られた測定結果と、実際の試料102や異なる測定方法で得られた測定結果とを比較する際に、位置を対応させるためのマーカーとして使用する。なお、ここでは例として、試料102の複素屈折率の測定について説明しているが、本発明はこれに限られるものではない。
試料102を装置に適切に設置したのち、鏡103上の位置A0にテラヘルツ波パルスの入射波104(Ei_0)を照射して、反射波105(Eo_0)を測定する。この反射波105(Eo_0)は入射波104(Ei_0)を良く反映しており、発生したテラヘルツ波の波形を予め知るための参照波である。また、前述したように、照射位置を把握するためのマーカーとしても用いることができる。なお、この参照波の測定は、装置構成等によっては必要ない場合もあるため、測定者が必要であると判断した時のみ行えば良い。
透過部材101の裏面に試料102が配されていない透過部材101のみの領域にある位置A1にテラヘルツ波パルスの入射波106(Ei_1)を照射し、反射波109(Eo_1)を測定する。反射波109は、透過部材101表面からの反射波107(Eo_11)と透過部材101裏面を一度反射して戻ってきた反射波108(Eo_12)、さらに不図示だが同様に透過部材101裏面を二度以上反射して戻ってきた反射波群を含む。このような透過部材101のみの領域を測定して得られたデータを基準データとする。
基準データは、透過部材101を往復したことによってテラヘルツ波に与えられた影響を調べるためのものである。そのため、反射波107と反射波108との時間波形に限らず、位置B1における透過部材101の厚み、又は、得られた時間波形をフーリエ変換して得られた周波数スペクトルを含んでも良い。
また、基準データは、測定に用いた透過部材101と同じ複素屈折率を有する部材について測定して得られたデータであっても良い。また、透過部材101に試料102を接触させる前に、透過部材101のみを単体で測定して基準データを取得してもよい。
照射点A1において、入射波106は透過部材101表面に入射角θiで入射し、屈折角θtで透過部材101内を進む。照射点A1における透過部材101の厚みはdw_1である。図1において反射波107(Eo_11)は大気中をA1→C1と進むのに対し、反射波108(Eo_12)は透過部材101中をA1→B1→D1と進むため、反射波107(Eo_11)と108(Eo_12)との間には位相差が生じる。
この位相差は、時間波形に時間差として現れる。この時間差をΔt_A1とする。時間差Δt_A1は、入射角θiや透過部材101の厚みdw_1、透過部材101の屈折率nに依存し、下記の(1)式で与えられる。
(1)式より、任意の照射点における透過部材101の厚さdwは(2)式で表わされる。なお、Δtは透過部材101の表面および裏面で反射波に対応した2つの時間波形の時間差である。(2)式より、照射点A1における透過部材101の厚みdw_1を時間差Δt_A1から求めることができる。
次に、試料102が透過部材101の裏面に接している領域内のある点、例えばA2にテラヘルツ波110(Ei_2)を照射し、反射波113(Eo_2)を測定する。その時間波形から反射波111(Eo_21)と反射波112(Eo_22)に由来する部分をそれぞれ切り出して比較し、照射点B2(以降、照射位置と呼ぶことがある)付近での、透過部材101から試料102への複素振幅反射率rws_B2を求める。本明細書において、式中の「r」や後述する式に記載の「n」は、複素数であることを意味する。
その際、反射波109の測定結果を用いて、透過部材101越しに測定したことによって生じる影響を取り除く。具体的には、反射波112(Eo_22)が厚さdw_2の透過部材101内を往復したことで生じる反射波111(Eo_21)との位相差や、反射波111が検出部に入射する位置と反射波112が検出部に入射する位置のずれ等がある。そこで、周波数ごとに(3)式のように比を取る。
右辺のrwaは透過部材101から大気に向かう際の複素振幅反射率であり、透過部材101の複素屈折率nwから、(4)式より与えられる。
F[E]は、時間波形Eのフーリエ変換を表す。例えば、F[E_o22]は、反射波113から切り出した透過部材101裏面からの反射波の時間波形E_o22のフーリエ変換の信号のことである。
また、Δdw(dw_1,dw_2)は、照射点A1とA2における透過部材101の厚みの差に由来する、往復分の位相ずれを補正するための項で、(5)式で表わされる。
こうして求めた透過部材101から試料102への複素振幅反射率rwsと透過部材101の複素屈折率nwとから、試料102自体の複素屈折率nsが求まる。
取得した複素屈折率nsは、試料102の情報として出力しても良いし、各照射位置で取得した複素屈折率nsのうち所定の値又は所定の範囲内となる領域の形状を取得しても良い。また、試料102の情報として、試料102中の物質又は試料102中の任意の層の屈折率が既知であれば、その物質又は層の位置を把握することができ、試料102中の物質の形状や層の厚みを取得できる。
具体的には、試料102中の界面で反射したテラヘルツ波パルスの時間波形を検出した時刻と、透過部材101の表面で反射したテラヘルツ波パルスの時間波形を検出した時刻との時間差を求めて、(2)式を用いれば界面の位置を求めることができる。この際、透過部材101の厚みが異なると界面の位置を正しく取得できないため、上述の方法を用いて透過部材101の面内の厚み誤差を補正すればよい。
試料102の複素屈折率nsを求めるにあたり、透過部材101の厚みの差(dw_1−dw_2)の精度は重要である。すなわち、試料102の複素屈折率nsを求めるにあたり、透過部材101の厚みの差の精度を向上することにより、高周波側での位相ずれΔdwを抑制し、算出するスペクトルへの影響を低減できる。
上述したように本実施形態は、試料102の情報を求める際に、透過部材101のみについてのデータを基準データとして用いている。この基準データから得られる透過部材101の厚みを基準として、その他の照射位置における透過部材101の厚みとの差を考慮した補正を照射位置毎に個別に行うことにより、試料102の情報を精度良く求めることができる。具体的には、測定によって取得した時間波形と照射位置における透過部材101の厚みに関する情報を用いて、試料102の情報を取得する。
本明細書では、「照射位置における透過部材の厚みに関する情報」は、照射位置における透過部材101の厚み、基準データから得られる透過部材101の厚みと照射位置における透過部材101の厚みとの差を含むと定義する。さらに、時間波形において透過部材101の表面で反射したテラヘルツ波が検出された時刻と試料102で反射したテラヘルツ波が検出された時刻との時間差を含むと定義する。
本実施形態にかかる情報取得装置は、動物や人等の生体の一部(皮膚や内臓の表面等)を生体が生きている状態(in−vivo)で測定することも可能である。したがって、本明細書では、「試料」は生体サンプル等の物体だけでなく生体(の一部)も含むと定義する。
(実施例1)
ついで、第1の実施例について、図面を用いて詳細に説明する。本実施例では、テラヘルツ波の照射位置を適宜変更しながら複数点測定することで、縦10mm、横12mmの領域における、試料表面の屈折率を求めて、その平面分布を作成する。代表的な装置構成や試料構成について述べたあと、測定される波形とその処理手順、およびその効果について説明する。図2に本実施例における情報取得装置の一例を示した。
本実施例の情報取得装置は、超短パルスレーザー201、ハーフミラー211、照射部220、試料ステージ205、光遅延部206、検出部207、ロックインアンプ208、波形取得部212、制御部215、PC213、試料ホルダ214、を備える。
まず、情報取得装置の照射部220について説明する。本実施例における照射部220は、テラヘルツ波発生用の光伝導素子(発生部)202と、発生したテラヘルツ波パルスを試料204に導くための光学系とを有する。超短パルスレーザー201で発生してハーフミラー211を経由した光が発生部202に入射すると、テラヘルツ波パルスが発生する。発生したテラヘルツ波パルスは、光学系を介して試料204に導かれる。
超短パルスレーザー201はフェムト秒オーダーの超短パルスレーザー光を出力する。出力された超短パルスレーザー光は、ハーフミラー211で分岐される。分岐された超短パルスレーザー光の一方は、発生用の光伝導素子202に照射される。もう一方の超短パルスレーザー光は、後述する光遅延部206を通って、検出用の光伝導素子207に照射される。超短パルスレーザー光が発生用の光伝導素子202に照射されると、テラヘルツ波パルスが発生する。その強度は、電源210より印加されるバイアス電圧に略比例する。
光伝導素子202の表面側から取り出したテラヘルツ波パルスは集光された後、透過部材(以下、「窓」と呼ぶ)203越しに試料204に照射される。窓203はテラヘルツ波を良く透過する平坦な板状部材で、詳細は後述する。
次に検出部207について説明する。本実施例における検出部207は、検出用の光伝導素子である。検出用の光伝導素子(検出部)207は、テラヘルツ波パルスの電界強度を検出する部分である。窓203の表面や試料204の表面(窓203の裏面)等で反射されたテラヘルツ波パルスは、テラヘルツ波パルスを光伝導素子207に導くための光学系により集光されて、検出部207の表面に入射する。
一方、ハーフミラー211で分岐されて、調整部としての光遅延部206に導かれた超短パルスレーザー光は、光遅延部206を経由して検出部207の裏面に入射する。光遅延部206は、超短パルスレーザー光の光路長を調整して、テラヘルツ波が検出されるタイミングを調整する調整部である。検出部207は、裏側に超短パルスレーザー光が入射している間だけ、入射したテラヘルツ波パルスの振幅強度に比例した電流を出力する。制御部215は、光遅延部206を制御して超短パルスレーザー光の光路長を変えることで、テラヘルツ波パルスの検出タイミングを制御する。
続いて、ロックインアンプ208は、光伝導素子207で検出された信号を位相敏感検波して、波形取得部212に出力信号を送る。
発振器209は、電源210およびロックインアンプ208につながっており、光伝導素子202のバイアス電圧を変調する機能と、電源210とロックインアンプ208に周期信号を供給する機能を有する。
なお、テラヘルツ波の光学系(送受や伝播する空間を含む)は、乾燥空気や窒素等で満たされている筐体230内に格納されている。測定の際にテラヘルツ波が水蒸気によって吸収されることを防ぐためである。
波形取得部212は、ロックインアンプ208からの検出部207における検出結果である出力信号を取り込み、試料204で反射されたテラヘルツ波パルスの時間波形を取得する。
制御部215は、光遅延部206の制御を行う。また、照射位置を変更する位置変更部である試料ステージ205の制御も行う。本実施例では、試料ステージ205に対して試料ホルダ214が着脱可能な構成となっている。測定の際には、窓203と試料204とを試料ホルダ214に保持したうえで試料ステージ205に固定する。試料ステージ205は、制御部215からの信号にもとづいて試料ホルダ214、ひいては試料204を移動させ、テラヘルツ波パルスの照射位置を変更する位置変更部である。
コンピュータ(PC)213は、波形取得部212及び制御部215に接続されており、測定条件の設定や結果の表示といった測定者とのインタフェースを担当する。また、測定で得た一連の時間波形を、先に説明した原理をもとに後述する手順に従い解析し、試料の物性または形状に関する情報を取得する情報取得部である。PC213は、窓203の複素屈折率のスペクトルのデータや、一連の分布測定のデータの管理や記憶を担当する記憶部216も有している。
本実施例では、制御部215とPC213とが分かれているが、制御部215の機能とPC213の機能とを、同一のコンピュータ等が担っていてもよい。また、波形取得部212の機能とPC213の機能とを、同一のコンピュータ等が担っていてもよい。本実施例の情報取得装置で求められた試料204の情報は、周波数スペクトルや表面分布等の形で、PC等の表示部(不図示)に表示される。
図3に測定時の試料構成の一例を示す。図3(a)は窓203を表面から見た図で、図3(b)は窓203及び試料204の斜視図である。
窓203は、z−cutの単結晶石英板で、厚さは約1mm、表裏ともに平坦に加工されている。その表面粗さRaは0.1um以下、望ましくは1nm以下である。このような石英板は測定用の窓として好適な特徴を有している。つまり、十分な硬度を有し、表面では不要な散乱が無く、テラヘルツ帯での吸収が比較的小さい。また、屈折率がほぼ一定で、光軸と垂直方向に結晶を切り出す(z−cut)ことにより光学異方性が小さい。
窓203の表面の一部には金薄膜を蒸着し、鏡面302を形成する。鏡面302の面積は、テラヘルツ波パルスのビームスポットの大きさを十分上回るよう広めに確保しておく。少なくともスポットの直径の5倍以上の縦横の長さを持つことが望ましい。これは、ビームスポットの外側にも低周波数帯の成分が弱いながらも広がっているからである。
一方、試料204は表面(測定したい面)が平坦に仕上げられており、窓203の裏面と互いに接触するように形成されている。照射点付近に気泡等による隙間がある場合、算出される複素屈折率は隙間(大気)の値であって、試料204表面の複素屈折率の値とかけ離れていることが多い。このため、少なくとも測定範囲内については試料204と窓203との界面が密着していることが望ましい。どうしても隙間ができる場合は、得られた複素屈折率分布の結果から当該照射位置のデータを除外する。
また、試料204ないし窓203と近い複素屈折率を持つマッチング液を、試料204の表面にあらかじめ塗布しておくことで、窓203との密着性を改善することができる。試料204が固定切片である場合、試料204の複素屈折率は1.5付近であると予想できるため、同程度の値を有するものをマッチング液として用いれば良い。また、マッチング液の層の厚さはテラヘルツ波の波長に対して十分に薄いことが求められ、波長の10分の1以下であることが望ましい。本明細書では、窓と試料の間にマッチング液を塗布した場合でも、窓と試料が接触していることと定義する。
さらに、表面が鏡面でなく、且つ裏面には試料204が接していない“窓203のみ”の領域も十分に確保しておく。こうして、窓203表面には鏡面302、窓のみの領域、試料204と重なっている領域の3つの領域が設定される。図1におけるA0(304)、A1(305)、A2(306)は、各領域におけるテラヘルツ波パルスの照射点の例である。
このような窓203は、試料ホルダ214へ容易に着脱可能な形状に加工したうえ、測定者に提供される。多数の試料がある場合は、効率よく測定するために、同一の規格(形状、材質)で複数枚用意しておくとよい。試料によっては、ここで説明した石英とは違う材質の窓を使用することが適切な場合がある。テラヘルツ波を良く透過し、屈折率が石英よりも低いポリテトラフルオロエチレン等の樹脂はその例である。
いずれの窓の材質についても、事前にテラヘルツ帯での複素屈折率スペクトルnwを得ておく。そのデータは窓とともに測定者に提供され、PC213内の記憶部216に格納される。測定者は、使用する窓に合わせた複素屈折率のデータを適宜選択し、試料の測定を行う。また、測定者自身で窓を用意して使用することも可能である。その際には、測定者自身が文献や透過系での事前測定などで窓の複素屈折率のデータを入手する必要がある。
図4に、各照射点にテラヘルツ波パルスを照射した際に得られる代表的な時間波形を示した。横軸はテラヘルツ波パルスの波形が検出器に至る経過時間、縦軸は検出した波形の振幅を示している。
図4(a)は鏡面302上の照射点304にテラヘルツ波パルスを照射した際の時間波形で、図1の反射波105(Eo_0)に対応する。光伝導素子が発するテラヘルツ波パルスを良く反映していることから、参照用の波形として用いられる。反射波105に対応する時間波形は時刻t_a0にて検出された。ピーク位置や間隔を正確に算出する方法には様々なものが知られており、例えば特表2010−533300号公報に詳しい。
代表的な方法としてデコンボルーションや、回帰による波形のあてはめ、ピーク波形にフーリエ変換を施したのち位相の時間変化を調べる等があり、場合に応じて適切な手法を選択する。ここでは、単純に全波形中での最大値を探しその時刻をt_a0とした。
図4(b)は窓203のみの面上の照射点A1(305)にテラヘルツ波パルスを照射した際の時間波形であり、図1の反射波109(Eo_1)に対応する。窓203表面での反射波107(Eo_11)の最大振幅が時刻t_b0に検出され、窓203裏面での反射波108(Eo_12)の最小振幅が同様に時刻t_b1に検出されている。両者の時間間隔Δt_b01からは、(2)式を用いて照射点A1(305)近傍での窓203の厚さdw_1を求めることができる。
また、図4(b)の反射波109(Eo_1)の全波形から203表面での反射波107(Eo_11)に対応する時間波形の切り出しは次のように行う。まず、反射波107(Eo_11)に対応する時間波形の主要部分をほぼ含み、最長でパルス間隔Δt_b01以下であるような時間間隔Δtbを予め定めておく。
ついで、例えば最大振幅の時刻t_b0以前にΔtb/3、以後に2Δtb/3の時間間隔を取ると決めて、全波形109(Eo_1)から反射波107(Eo_11)に対応する時間波形を切り出す。窓203裏面での反射波108(Eo_12)に対応する時間波形の切り出しも、最小振幅の時刻t_b1の前後に時間間隔を取るものとして同様に行う。
最後の図4(c)は、試料204が配置されている。試料204直上の照射点A2(306)にテラヘルツ波パルスを照射した際の時間波形である。図1では反射波113(Eo_2)に対応し、窓203表面での反射波111(Eo_21)の後に、試料204表面(かつ窓203裏面との界面)で反射された反射波112(Eo_22)が検出されている。両反射波に対応する部分の切り出しと、互いのピーク間隔Δt_c01からの照射点A2(306)近傍の窓の厚さdw_2の見積もりを、先の(b)の場合と同様に行う。
ここで、窓203基板表面が試料ステージ205に対して平坦でなければ、図4(a)〜図4(c)に示した各時間波形において窓203表面での反射波が最大振幅を取る時刻が異なることになる(Δt_ab0≒0、Δt_ac0≒0)。また、照射点A1とA2での窓203の厚みの違いは、ピーク間隔の差(Δt_b01≠Δt_c01)として時間波形にあらわれる。なお、(b)の時刻t_b2や(c)の時刻t_c2におけるピークは、窓203内を再度往復したパルスを表している。本実施例では使用しないため、図1からは対応する光線(波形)を省略している。
図5は、本実施例における試料測定時の基本的な処理手順を示している。
ステップS101では、測定者が用意した試料204と窓203とを隙間が生じないように接触させる。ついで、一体となった試料204と窓203を、試料ステージ205上にセットする。
ステップS102からS105は窓203に関する測定を行い、基準データを取得する。まずステップS102で制御部215が試料ステージを動かし、テラヘルツ波パルスの照射点を窓203のみの位置である照射点A1(305)へと移動する。
ステップS103では窓203を対象に測定を行い、後の基準となる反射波(Eo_1)の時間波形109を得る。続くステップS104で、PC213は、反射波(Eo_1)の時間波形109から窓203の表および裏で反射されたパルスEo_11とEo_12を切り出す。さらに、ステップS105においてPC213は両パルスのピーク間隔から照射位置における窓203の厚みdw_1を算出する。
ステップS111からS117は試料204に関する測定である。所定の範囲について、照射点を移動しては測定することを繰り返すループになっている。ステップS111でPC213はループのカウンタiを進め、終了するかどうかの判断を行う。ステップS112では制御部215が試料ステージ205を動かして任意の位置へと照射位置を変更する。ステップS113で窓203越しに試料204にテラヘルツ波パルスを照射し、反射波(Eo_2)の時間波形113を得る。
以降の算出や表示はどれもPC213が主体で行う。ステップS114で、反射波(Eo_2)の時間波形113から窓203の表および裏での反射波Eo_21とEo_22をそれぞれ切り出す。さらに、ステップS115において両反射波のピーク間隔からi番目の照射点の近傍における窓203の厚みdw_iを算出する。
ステップS116で窓203の厚み誤差、つまり現照射点近傍の窓203の厚みdw_iと基準となる窓203の厚みdw_1との差Δdw_iを算出する。ステップS117で、切り出した時間波形Eo_11、Eo_12、Eo_21、Eo_22、および窓203の厚み誤差Δdw_iをもとに、(3)式や(6)式を用いて試料204の複素屈折率nsを求める。
なお、本実施例では、窓203の厚みdの値および窓203の厚み誤差Δdの値を求めているが、窓203の厚みの違いを考慮して試料204の情報を求めるためには、切り出した2つの波形の時間差Δtが分かっていればよい。
ループを抜けた後のステップS121では、照射位置毎に求めた複素屈折率の実数部を取りだして、屈折率の表面分布をPC213に表示する。
図6は、実際の試料204の屈折率分布測定における、本実施例の厚み誤差補正の効果を示した図である。試料204には、生体組織(ヒトの大腸)をホルマリン固定後にパラフィンで包埋したものの一部を用いた。表面を鋭利な刃で平坦に削り、温めながら窓203として使う厚さ約1mmの石英板に接触させた。ついで、この試料204の縦10mm、横12mmの領域を250um間隔で窓越しに測定し、試料204表面の屈折率の分布を求める。
図6(a)は、その際に得られた窓203の厚み誤差Δdwの分布である。窓203のみの領域で得た基準の厚みdw_1と、各照射点iで得た窓203の厚みdw_iとの差を濃淡の分布で示した。図6(a)を見ると、本実施例で使用した窓203には、約30umの厚みの差があることが分かる。
図6(b)は、試料204がパラフィンである領域を測定して得た屈折率スペクトルの例である。窓203の厚みの違いによる誤差を考慮して算出した屈折率スペクトルを実線で示し、窓203の厚みを全面にわたってdw_1であるとして算出した屈折率スペクトルを点線で示した。なお、このパラフィンの屈折率は、周波数依存性がほとんど無くどの周波数でも約1.5を示すことが別の測定から分かっている。このスペクトルでは、照射位置毎に窓203の厚みが異なると、周波数が高いほど屈折率が本来の値である1.5からずれていっており、窓203の厚みが測定精度に影響を与えていることが分かる。
図6(c)と図6(d)は、照射テラヘルツ波の強度が最大であったf=0.8THz付近での試料204の屈折率分布である。前者には厚みの誤差の補正を行っていない場合の屈折率の分布図、後者は補正を行った場合の屈折率の分布図である。本例のように、厚みの誤差が10umのオーダーともなると、算出する屈折率値への影響が無視できないことが分かる。
本実施例の情報取得装置は、取得した時間波形と窓203の厚みに関する情報とを用いて試料204の情報を精度良く取得できる。具体的には、窓203の基準データから得られる窓203の厚みを基準として、その他の照射位置における窓203の厚みとの差を考慮した補正を照射位置毎に個別に行うことにより、試料204の情報を精度良く求めることができる。
(実施例2)
第2の実施例の情報取得装置の構成について、図12を用いて説明する。本実施例の情報取得装置は、テラヘルツ波を試料に照射するための構成が一部異なるが、取得した時間波形を用いて試料の情報を取得する方法は実施例1と同様である。具体的には、実施例1は、テラヘルツ波を上方から照射する構成であったのに対し、本実施例は、テラヘルツ波を下方から透過部材及び試料に対して照射する構成である。以降、実施例1と共通する部分は説明を省略し、構成や動作の差異に着目して説明する。
図12(a)に、本実施例における試料と透過部材の配置を示し、図12(b)に本実施例の情報取得装置の主要部の構成を示した。図12(a)に示した通り、本実施例では試料を配置する試料ホルダ1201は、透過部材(窓)1202とカバー1203とを有し、これらが一体となっている。
窓1202は、テラヘルツ波を良く透過する材料を用いて、その表面及び裏面はどちらも高い平面度及び平行度となるように加工されている。窓1202の表面及び裏面の平面度及び平行度は、補正手段があるとはいえ高い方が望ましい。材質にもよるが、基板状のものなら測定範囲内で平面度1um以下、平行度10um以下を目標としても良い。
本実施例では、z−cutの石英を約1mmの厚さに切りだしたものを窓1202として用いた。測定に関わる20mm×50mmの範囲において、平面度は両面ともPV値で約5um、平行度(厚み誤差)は約1umである。平坦かつ平行度の高い基板を用いたものの、追加工により発生したわずかな反りが平面度及び平行度に影響を与えている。
試料1204は、測定したい側の表面と窓1202とが接触するように設置する。ここでは、試料1204として厚み1mm弱の薄い生の豚の組織片を用意した。水分を多く含むこともあり、薄片化した試料1204の表面と窓1202との密着性は良好であった。
この試料1204を、試料ホルダ1201に配置する。具体的には、空洞を設けたカバー1203と窓1202との間に挟みこむように配置する。カバー1203は、試料1204の乾燥を防止し、測定中の試料1204の特性変化を抑える効果がある。同時に、試料1204から出た水分が情報取得装置へ漏れることも防ぐ。
図12(b)は、本実施例の情報取得装置の匡体内の構成を示す断面図である。匡体内の構成以外は実施例1と共通なため省略した。
測定中、匡体1205の内部は乾燥空気等で満たしておく。超短パルスレーザーは、実施例1と同様にハーフミラーで2つに分岐され、それぞれ、匡体1205の表面に設けた孔から匡体1205の内部に導かれる。2つの超短パルスレーザーは、一方は照射部1210の発生部1206に照射され、他方は検出部1208に照射される。なお、本実施例の発生部1206及び検出部1208は、どちらも光伝導素子である。照射部1210は、発生部1206と放物面鏡1207とを有する。
発生部1206から発生したテラヘルツ波パルスは、放物面鏡1207で集光されたのち、上方へと進行する。匡体1205の上面は平坦であって、表面に試料観察用の穴が設けられている。集光したテラヘルツ波パルスは、この穴を通って試料ホルダ1201内部の試料1204に照射される。具体的には、匡体1205の表面に設けられた試料観察用の穴を通ったテラヘルツ波パルスは、窓1202を介して試料1204に照射される。試料1204で反射したテラヘルツ波パルスは、別の放物面鏡で集光して、検出部1208で検出する。
試料ホルダ1201は、裏面が匡体上面と摺動するようにXYステージ1209に取り付けられている。XYステージ1209は、不図示の制御部が適宜制御することで、テラヘルツ波パルスを試料1204の所望の位置に照射できる。
本実施例の情報取得装置で、試料1204を測定し、実施例1と同様に取得した時間波形と窓1202の厚みに関する情報とを用いて試料1204の情報を取得した。ここでは、試料1204の情報として、図13(a)にテラヘルツ波帯での屈折率スペクトルを示す。また、図13(b)に、テラヘルツ波帯での吸収係数α(cm−1)スペクトルを示す。
図13(a)の屈折率スペクトルは、低周波数側で屈折率が高く、図13(b)の吸収係数スペクトルは、高周波数側で吸収係数が高い傾向をそれぞれ示している。この傾向は、水の傾向と類似しており、試料1204が比較的水分を多く含むことを反映していると考えられる。すなわち、本実施例の情報取得装置によってテラヘルツ波を用いた測定を行った場合でも、試料1204の情報を求める際に、取得した時間波形と窓1202の厚みに関する情報とを用いることにより、試料1204の情報を精度良く取得できたと言える。
各スペクトルは、S.Y.Huang et al.,Physics in Medicine and Biology,(2009),54,149−160.に記載のラット臓器の生切片のテラヘルツ波で測定して取得した測定結果とも類似している。また、生体組織を測定した他の文献での結果とも類似しており、試料として生体組織を用いた場合でも、試料の特性を反映した情報を取得可能であると考えられる。
また、本実施例の情報取得装置は、試料1204に対するテラヘルツ波パルスの照射位置の再現性が良いという利点がある。これは、テラヘルツ波パルスを上方に照射する構成と匡体上面を利用した面出しによるところが大きい。すなわち、窓1202と接触する試料1204表面の高さ位置や、窓1202及び試料1204表面と試料1204に入射するテラヘルツ波パルスとがなす角の角度が、試料によらず安定であることが、再現性に寄与していると言える。
(実施例3)
第3の実施例について、図7を用いて説明する。先の実施例1ではテラヘルツ波パルスを窓203および試料204に対して斜方から照射していたが、本実施例では、テラヘルツ波パルスを透過部材としての窓703および試料704と垂直に照射する構成とした。以後、共通な部分の説明は極力省き、構成や動作の差異に着目して説明する。
本実施例では、照射部720に含まれる発生部としての光伝導素子702で発生したテラヘルツ波パルスは、レンズ713で集光される。その後、ハーフミラー714を通過して、窓703を介して試料704に垂直に照射される。レンズ713には、テラヘルツ波を良く透過する樹脂や単結晶シリコン(Si)を加工したもの等が使われる。窓703や試料704で反射されたテラヘルツ波パルスは、入射波と同軸上を逆向きに戻り、ハーフミラー714で分岐される。分岐されたテラヘルツ波パルスはまた別のレンズ715で集光されたのち、検出部707としての光伝導素子の表面に入射する。
実施例1と同様に、テラヘルツ波パルスの光学系は乾燥空気等で満たされた筐体730の内部に格納されている。本実施例では、筐体730の一部にはテラヘルツ波パルスを通過させるための観察孔が設けられている。窓703と試料704を保持する試料ホルダ717は、窓703が観察孔に対向するように、観察孔の周囲の面718と接しており、匡体を密閉している。
なお、面718と試料ホルダ717は接していなくても良く、匡体は密閉する構成であれば良い。試料ホルダ717は試料ステージ705に取り付けられており、試料ステージ705を制御部722で制御すると、一体となって移動して匡体との間を摺動する。本実施例では、このように試料704への照射位置を変更する。
検出部707の検出結果は、ロックインアンプ708を介して波形取得部712に送られ、波形取得部712がテラヘルツ波パルスの時間波形を取得する。このようにして取得した時間波形と窓703の厚みに関する情報とを用いて、上述の実施形態と同様の方法で試料704の情報を取得する。この時、PC716の記憶部721に格納された基準データも用いる。
本実施例の情報取得装置で求めた試料704の情報は、スペクトルや表面分布等の形で、PC716等の表示部に表示される。本実施例の構成によれば、試料704の情報を求める際に、テラヘルツ波の照射位置における窓703の厚みに関する情報を用いることで、測定精度が向上する。
また、本実施例の利点は、テラヘルツ波の光学系を小型化することができ、かつ垂直入射(図1でθi=0)する点である。光学系が小型化することで装置全体のサイズを抑えることができるため可搬性が増す。また、テラヘルツ波が試料704に対して垂直入射する構成は、算出する試料704の情報の精度向上に寄与する。
なぜなら、本実施例においては、垂直に入射する構成とすることで光軸が一致するからである。そのため、斜方からテラヘルツ波が入射する場合には、窓の表面での反射波と裏面での反射波が、それぞれ光伝導素子707に集光される位置がわずかではあるが異なるのに対し、本実施例においては、このような位置ずれの影響を小さくすることができる。もちろん、前述の実施例1においても実用上十分な測定精度を得ることができるが、本実施例によれば、さらなる測定精度の向上の実現できる。
(実施例4)
上述した3つの実施例では照射位置ごとに窓(透過部材)の厚みの差を求めて窓の厚みの誤差の補正を行った。本実施例では、複数の照射位置における窓の厚みをもとに、滑らかな仮想の厚み分布を求める。この仮想の厚み分布は、測定やピーク位置の推定で生じる数um程度の誤差をならしたものと考えられる。
前述したように、市販されている板状の透過部材(窓)は、滑らかな平面が微小な傾きを持って相対したものと近似できる。そのため、窓の厚みは先の仮想の厚み分布に従うと考えられる。以後の屈折率推定には、この仮想の厚み分布を用いて窓の厚みによって生じる誤差の補正を行う。
図8に本実施例における試料測定時の処理手順を示した。大部分は先の実施例での処理手順(図5)と共通で、違いは一連の領域測定(ループ)を終えてからの処理にある。先の実施例では、PC213がステップS116で窓の厚みの基準からの差Δdw_iを求めた直後にステップS117で反射率等を求める。
一方、本実施例ではループ(ステップS211〜S216)を終えた後のステップS221において、PC213が窓の厚みの差Δdw_iの分布を解析し、いわば平均化した誤差分布である仮想平面を算出する。続くステップS222では、同じくPC213がこの仮想平面上の窓厚み誤差Δdw’_iを用いて、屈折率を求める。求めた屈折率は、表面分布や周波数スペクトル等の形で、PC716に表示される(S223)。
図9に、窓厚み誤差の実測値(黒点)と、この分布を解析して得た仮想平面(直線で構成した平面)を示す。X軸、Y軸は照射点のステップ(各250um刻み)、Z軸は各照射点で第1・第2ピーク間隔から求めた窓の厚みdw_iの基準値dw_1からの誤差Δdwである。
実測値がYの増加に伴い減少しているのは、用いた窓の厚みがY方向に徐々に薄くなっていることを示唆している。一方、隣接する照射点でΔdwが数umから10um程度違うことがあるが、これは大部分が測定の際のノイズや、ピーク位置を求める際の誤差によるものと考えられる。実際、平面粗さ計など他の手法で評価した窓の表面は、傾きを除けばum以下のオーダーであった。
これら実測値の分布を最も良く近似した仮想的な平面は、実測値の主成分分析を行うことで求められる。試料領域内の測定点i(x_i,y_i,Δdw_i)のデータを主成分分析し、得られた第1および第2主成分の固有ベクトルが張る平面が、この仮想的な平面に他ならない。各照射位置(x_i,y_i)における仮想平面の高さを、窓の厚みの差の推定値Δdw’_iとして用いることができる。
本実施例によれば、ノイズ等の影響を低減した窓の厚みの差を求めることができるため、算出する複素屈折率の精度を向上させることができる。
ここまで、各測定点での情報を参考に窓厚み誤差を求める方法を説明した。別のより簡易的な方法として、窓のみの領域で3箇所以上を測定した結果から、窓の厚みの差の仮想平面を作成しても良い。図3に示したように、測定領域の外側に広がる窓のみの領域を利用すれば好都合である。照射位置(x_i,y_i)は予め定めておき、測定した窓厚み誤差Δdw_iを加えた測定点(x_i,y_i,Δdw_i)から仮想の平面を求める。
本実施例の構成によれば、試料の情報を求める際に、テラヘルツ波の照射位置における透過部材(窓)の厚みに関する情報を用いることで、測定精度が向上する。
この方法は、計算が容易であるほか、測定領域における界面の乱れに影響されにくいという利点がある。窓の裏面と試料表面との密着性が悪く、気泡が多く含まれるような状況では、各測定点で求めた窓厚み誤差が本来の値からずれてしまうことが増えてくる。このような場合には、窓のみの領域から得た厚みの情報だけで仮想の平面を求めた方が良好な結果が得られる。本実施例の情報取得装置で求めた試料の情報は、スペクトルや表面分布等の形で、PC等の表示部に表示される。
(実施例5)
第5の実施例について説明する。前述した実施例1から4では、一連の測定にあたって、まず透過部材(窓)のみの領域の任意の位置について測定を行い、得られた情報を基準として試料の情報を取得している。本実施例では、窓として用いる材料について、板状の部材を用いて取得したデータを予め記憶しておき、同一の複素屈折率を有する窓を使用する場合にはそれを基準データとして使用する。以後、共通な部分の説明は極力省き、構成や動作の差異に着目して説明する。
本実施例における情報取得装置の構成は実施例1と同様である。異なる点は、図2のPC213の記憶部216に、窓203についてのデータ(基準データ)が予め記憶されていることである。
窓203についてのデータ(基準データ)としては、本実施例の情報取得装置を用いて窓203の測定を行って得られた時間波形、又は、時間波形から求めることができる窓203の厚みに関する情報や周波数スペクトル等がある。またこれらの情報はPC213の記憶部216から取得するのではなく、PC716に接続されたSDカード等のその他の外部メモリに記憶したものを取得する方法や、ネットワークを利用して取得する方法を用いても良い。
本実施例における測定手順を、図10を参照して説明する。まずステップS301で、一体となった試料204と窓203とを、試料ステージ205にセットする。本実施例では、図3に示した構成の試料を用いる。
次に、ステップS302からS308は試料204の測定に関する。所定の範囲について、照射点を移動しては測定することを繰り返すループになっている。ステップS302でPC213はループのカウンタiを進め、終了するかどうかの判断を行う。ステップS303では制御部215が試料ステージ205を動かして任意の位置へと照射位置を変更する。ステップS304で窓203越しに試料204にテラヘルツ波パルスを照射し、検出部207で反射波(Eo_2)を検出して時間波形113を得る。
以降の算出や表示はどれもPC213が主体で行う。ステップS305で反射波(Eo_2)時間波形113から窓203の表面および裏面で反射されたパルスEo_21とEo_22を切り出す。さらに、ステップS306において両パルスのピーク間隔からi番目の照射点の近傍における窓203の厚みdw_iを算出する。
ステップS307で窓203の厚み誤差、つまり現照射点近傍の窓203の厚みdw_iと基準となる窓203の厚みdw_1との差Δdw_iを算出する。この時、基準となる窓203の厚みdw_1を、PC213に記憶しておいた基準データから取得する。
ステップS308で、「S305で切り出したパルス波形Eo_21、Eo_22」および「PC213に記憶しておいた基準データから得られるパルス波形Eo_11、Eo_12」、「S1007で求めた窓203の厚み誤差Δdw_i」を用いる。具体的には、パルス波形Eo_21、Eo_22、Eo_11、Eo_12、および、窓203の厚み誤差Δdw_iを用いて、(3)式や(6)式から試料204の複素屈折率nsを算出する。
本実施例の構成によれば、試料204の情報を求める際に、テラヘルツ波の照射位置における窓203の厚みに関する情報を用いることで、測定精度が向上する。また、上述した実施例では図2に示したように、まず窓203のみの領域の測定を行って窓203の厚みを求めているが、本実施例ではその工程をなくすことができる。代わりに、PC213等のメモリに記憶されている基準データを用いて、窓203の厚み誤差を考慮して試料204の情報を求める。また、本実施例のように予め記憶しておいた基準データを用いる方法は、上述した実施例にも適用できる。
本実施例においては、基準位置に関する情報を取得する工程をなくすことができるため、測定に要する時間を短縮できる。
(実施例6)
第6の実施例について、図面を参照しながら説明する。
ここまでの実施例では、窓と試料が固定されている試料ステージを位置変更手段としていた。テラヘルツ波の照射位置を変える際には、試料ステージを制御して試料および窓を動かすことで対応する。本実施例では、試料は動かさず、テラヘルツ波を動かすことで照射点の位置を変え、分布測定を行う。
図11は、本実施例主要部の断面図である。プローブ1103は、測定を容易とするために試料1101と接する部分の可搬性を上げた、反射系のテラヘルツ時間領域分光を用いた情報取得装置の一部分である。筐体内はテラヘルツ波パルス1105の通り道となっており、その雰囲気1104は水蒸気を極力排した構成となっている。窓1102はテラヘルツ波を良く透過する平坦な板状の透過部材であって、プローブ1103の筐体に取り付けられ、筐体内部の雰囲気1104と外気を隔てている。
試料1101を測定する際には、窓1102を試料1101の表面に押し当てて、試料1101の表面が平坦になるようにする。テラヘルツ波パルスは、不図示の光源から発せられ、集光された後、筐体内を導かれ、窓1102越しに試料1101に照射される。窓1102の表面や試料1101から反射された反射波は再び筐体内を戻り、不図示の検出部によって時間波形が測定される。試料1101へのテラヘルツ波パルスの照射位置は、テラヘルツ波パルス1105の位置を変えることで対応する。走査のための構成は、不図示だがプローブ1103の奥に設けられている。
窓1102はプローブ1103から着脱でき、交換可能であることが望ましい。多様な試料1101に対応し、表面の傷や汚れの影響を防ぐためである。測定にあたり、窓1102の材質に応じて複素屈折率のデータを適宜選ぶ必要があることは、先に説明した通りである。
本実施例の構成では、測定の際に試料1101を試料ホルダに設置する必要がない。プローブを試料1101に近づけて測定したい面に窓を接触させれば良いため、試料1101の選択性が向上するという利点がある。たとえば、動物やヒトの皮膚、さらには内視鏡として内臓の表面等の組織を、生きた状態(in−vivo)で測定する場合に好適である。
本実施例の構成においても、上述の実施形態と同様の方法で試料1101の情報を取得できる。試料1101の情報を求める際に、テラヘルツ波の照射位置における窓1102の厚みに関する情報を用いることで、測定精度が向上する。
(実施例7)
第7の実施例について説明する。ここまでに述べた実施例は、いずれもテラヘルツ波パルスの反射波形から透過部材(窓)の厚みや平面分布を求めていた。本実施例では、より波長の短い光を用いて透過部材の厚みを求める。
具体的には、テラヘルツ波に対して透明な透過部材の場合は、可視ないし赤外光を用いる光学的な測定装置を用いて透過部材の厚みを取得できる。表面での反射角の微小な変化を検出する三角測距方式の変位計を例に取ると、100nm以下の精度で表面位置や窓の厚みを求めることが可能である。
テラヘルツ波による試料測定の前後、より好ましくは試料測定と同時に、その照射位置における窓の厚みをこうした変位計で測定し、試料の情報の取得に使用する。窓として使用する透過部材の厚みを全面にわたり予め測定しておき、テラヘルツ波での測定結果と対応づけてもよいし、実施例4で説明したように3箇所以上での厚みから窓の厚み分布を推定してもよい。
本実施例の構成では、照射点における窓の厚みをより精密に求めることができる利点がある。
以上、本発明の好ましい実施形態について説明したが、本発明はこれらの実施形態に限定されず、その要旨の範囲内で種々の変形および変更が可能である。
例えば、上述した実施例では複数の位置を測定して物性の表面分布を測定しているが、試料の1点のみの測定を行う場合でも本発明を適用できる。この場合、基準データを取得した際の透過部材の厚みと、試料の照射位置における透過部材の厚みが異なる場合でも、精度の良い測定が可能となる。また、透過部材と接している複数の試料について各々1点のみの測定を行う場合にも、本発明を適用できる。その際、基準データを取得するための透過部材を含め、各透過部材の厚みが等しいことが望ましいが、違いがあっても本発明を適用することで精度の良い測定が可能となる。
透過部材の厚みは、上述した実施例のようにテラヘルツ波や、テラヘルツ波より波長の短い光を用いた光学的な手法で測定する以外に、形状測定装置等を用いた機械的な手法で測定しても良い。
203 透過部材
204 試料
207 検出部
212 波形取得部
213 情報取得部
220 照射部

Claims (19)

  1. 試料の情報を取得する情報取得装置であって、
    前記試料と接している透過部材を介して、テラヘルツ波を前記試料の照射位置に照射する照射部と、
    前記透過部材で反射したテラヘルツ波と前記試料で反射したテラヘルツ波を検出する検出部と、
    前記検出部の検出結果を用いて前記透過部材で反射したテラヘルツ波の時間波形と前記試料で反射したテラヘルツ波の時間波形とを取得する波形取得部と、
    前記透過部材で反射したテラヘルツ波の時間波形と前記試料で反射したテラヘルツ波の時間波形と前記照射位置における前記透過部材の厚みに関する情報とを用いて前記試料の情報を取得する情報取得部と、
    を有する
    ことを特徴とする情報取得装置。
  2. 前記情報取得部は、前記時間波形と、前記照射位置における透過部材の厚みに関する情報と、前記透過部材または前記透過部材と同じ屈折率を有する部材にテラヘルツ波を照射して、前記透過部材または前記部材で反射したテラヘルツ波の時間波形および前記透過部材または前記部材の裏面で反射したテラヘルツ波の時間波形から得られた基準データとを用いて前記試料の情報を取得する
    ことを特徴とする請求項1に記載の情報取得装置。
  3. 前記透過部材で反射したテラヘルツ波は、前記透過部材の表面で反射したテラヘルツ波である
    ことを特徴とする請求項1または2に記載の情報取得装置。
  4. 前記基準データは、前記透過部材と前記試料とが接していない領域にテラヘルツ波を照射して、前記透過部材の表面で反射したテラヘルツ波の時間波形と前記透過部材の裏面で反射した前記テラヘルツ波の時間波形とを取得することで得られたデータである
    ことを特徴とする請求項2乃至3のいずれか一項に記載の情報取得装置。
  5. 前記基準データは、前記試料と接触させる前の前記透過部材または前記部材の表面で反射した前記テラヘルツ波の時間波形と前記試料と接触させる前の透過部材または前記部材の裏面で反射した前記テラヘルツ波の時間波形とを取得することで得られたデータである
    ことを特徴とする請求項2に記載の情報取得装置。
  6. 前記情報取得部は、前記照射位置における透過部材の厚みに関する情報を、前記透過部材で反射したテラヘルツ波の時間波形と前記試料で反射したテラヘルツ波の時間波形とを用いて取得する
    ことを特徴とする請求項1に記載の情報取得装置。
  7. 前記テラヘルツ波の照射位置を変更する位置変更部をさらに有し、
    前記情報取得部は、前記位置変更部によって変更した前記照射位置毎に、前記照射位置における透過部材の厚みに関する情報を用いて前記試料の情報を取得する
    ことを特徴とする請求項1乃至6のいずれか一項に記載の情報取得装置。
  8. 前記透過部材は、厚みが均一でない
    ことを特徴とする請求項1乃至7のいずれか一項に記載の情報取得装置。
  9. 前記情報取得部は、前記照射位置における透過部材の厚みに関する情報を用いて、前記透過部材の厚みが均一でないことによって生じる誤差を補正して、前記試料の情報を取得する
    ことを特徴とする請求項1乃至8のいずれか一項に記載の情報取得装置。
  10. テラヘルツ波はパルス波である
    ことを特徴とする請求項1乃至9のいずれか一項に記載の情報取得装置。
  11. 前記透過部材は、既知の屈折率を有する
    ことを特徴とする請求項1乃至10のいずれか一項に記載の情報取得装置。
  12. 前記照射部はテラヘルツ波を発生させる発生部を有しており、
    前記発生部でテラヘルツ波を発生するタイミング、又は、前記検出部でテラヘルツ波を検出するタイミングを調整する調整部を有する
    ことを特徴とする請求項1乃至11のいずれか一項に記載の情報取得装置。
  13. 前記情報取得部は、前記透過部材で反射したテラヘルツ波の時間波形が検出された時刻と前記試料で反射したテラヘルツ波の時間波形が検出された時刻との差を前記照射位置における透過部材の厚みに関する情報として用いて、前記試料の物性または形状の情報を取得する
    ことを特徴とする請求項1に記載の情報取得装置。
  14. 前記情報取得部は、前記照射位置における透過部材の厚みと、前記基準データを用いて取得された透過部材の厚みの差を前記照射位置における透過部材の厚みに関する情報として用いて、前記試料の情報を取得する
    ことを特徴とする請求項2に記載の情報取得装置。
  15. 前記情報取得部は、前記透過部材で反射したテラヘルツ波と前記試料で反射したテラヘルツ波との間に生じる位相差を前記照射位置における透過部材の厚みに関する情報として用いて、前記試料の情報を取得する
    ことを特徴とする請求項2に記載の情報取得装置。
  16. 前記基準データは、前記透過部材または前記部材の表面で反射したテラヘルツ波の時間波形および前記透過部材または前記部材の裏面で反射したテラヘルツ波の時間波形と、該時間波形を用いて取得した周波数スペクトルと、前記透過部材または前記部材の厚みと、の少なくとも1つ含むデータである
    ことを特徴とする請求項2に記載の情報取得装置。
  17. 前記基準データを記憶する記憶部をさらに有する
    ことを特徴とする請求項2に記載の情報取得装置。
  18. 前記情報取得部は、前記試料の複素屈折率を取得する
    ことを特徴とする請求項1乃至17のいずれか一項に情報取得装置。
  19. 試料の情報を取得する情報取得方法であって、
    前記試料と接している透過部材を介して、テラヘルツ波を前記試料の照射位置に照射する照射ステップと、
    前記透過部材で反射したテラヘルツ波と前記試料で反射したテラヘルツ波とを検出する検出ステップと、
    前記検出ステップの検出結果を用いて取得した前記透過部材で反射したテラヘルツ波の時間波形と前記試料で反射したテラヘルツ波の時間波形とを取得する波形取得ステップと、
    を有し、
    前記検出ステップの検出結果を用いて取得した前記透過部材で反射したテラヘルツ波の時間波形と前記試料で反射したテラヘルツ波の時間波形と前記照射位置における透過部材の厚みに関する情報とを用いて前記試料の情報を取得する
    ことを特徴とする情報取得方法。
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