JP2014209089A - 磁気センサおよび磁気センサシステム - Google Patents

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Abstract

【課題】スピンバルブ型のMR素子を用いた磁気センサにおいて、自由層に印加される層間結合磁界による影響を低減する。
【解決手段】磁気センサ1は、MR素子10とバイアス磁界発生部20を備えている。MR素子10は、X方向に平行な方向に磁化が固定された磁化固定層と、外部磁界のX方向の成分に応じて磁化が変化する自由層と、磁化固定層と自由層の間に配置された非磁性層を有している。磁化固定層、非磁性層および自由層は、Y方向に並ぶように積層されている。自由層には、磁化固定層に起因して、X方向に平行な方向の層間結合磁界Hinが印加されている。バイアス磁界発生部20は、自由層に対してバイアス磁界Hbを印加する。バイアス磁界Hbは、層間結合磁界Hinの方向とは反対方向の第1の磁界成分Hb1と、Z方向の第2の磁界成分Hb2とを有している。
【選択図】図2

Description

本発明は、磁気抵抗効果素子を有する磁気センサ、ならびにこの磁気センサとスケールとを備えた磁気センサシステムに関する。
近年、種々の用途で、動作体の回転動作や直線的動作に関連する物理量を検出する磁気センサシステムが用いられている。一般的に、磁気センサシステムは、スケールと磁気センサとを備え、磁気センサによって、スケールと磁気センサとの相対的位置関係に関連する信号を生成するようになっている。このような磁気センサシステムは、例えば特許文献1ないし4に記載されている。
動作体が回転動作をするものである場合に用いられる磁気センサシステムのスケールは、一般的には、動作体に連動する回転体である。この回転体は、例えば、円周方向に交互に配列された複数組のN極とS極を有する多極着磁磁石や、磁性材料によって構成された複数の歯を有する歯車である。この場合、磁気センサシステムは、前記物理量として、回転体の回転位置や回転速度等を検出する。
動作体が直線的動作をするものである場合に用いられる磁気センサシステムのスケールは、例えば、交互に直線状に配列された複数組のN極とS極を有するリニアスケールである。この場合、リニアスケールと磁気センサの一方が動作体に連動し、磁気センサシステムは、前記物理量として、磁気センサに対するリニアスケールの相対的な位置や速度を検出する。
磁気センサは、感磁素子を含んでいる。特許文献1ないし3には、感磁素子として、いわゆるスピンバルブ型の磁気抵抗効果素子(以下、MR素子とも記す。)を用いた磁気センサが記載されている。スピンバルブ型のMR素子は、磁化が固定された磁化固定層と、外部磁界に応じて磁化の方向および大きさが変化する自由層と、磁化固定層と自由層の間に配置された非磁性層とを有している。スピンバルブ型のMR素子には、非磁性層がトンネルバリア層であるTMR素子と、非磁性層が非磁性導電層であるGMR素子とが含まれる。
特開2008−151759号公報 国際公開第2008/072610号 特開2003−215145号公報 特開平8−122095号公報
特許文献1に記載されているように、スピンバルブ型のMR素子を用いた磁気センサでは、磁化固定層に起因して自由層に層間結合磁界が印加される場合がある。層間結合磁界の方向は、磁化固定層の磁化の方向と同じか反対方向である。自由層に層間結合磁界が印加されていると、外部磁界の方向によって外部磁界の大きさの変化に対するMR素子の抵抗値の変化量が異なったり、外部磁界の大きさの変化に対するMR素子の抵抗値の変化量が小さくなったりするという問題が生じる。
特許文献1には、層間結合磁界をゼロにすると磁気センサの出力波形が不安定になることが記載されている。また、特許文献1には、永久磁石を用いて、自由層に対して、磁化固定層の磁化の方向に直交する方向にバイアス磁界を印加することによって、磁気センサの出力波形を安定化する技術が記載されている。しかし、この技術では、層間結合磁界がゼロではない場合には、層間結合磁界による上述の問題を解決することはできない。
特許文献2には、MR素子の側方に軟磁性体を設けることによって、自由層に層間結合磁界が印加されていても、見かけ上、磁気センサの磁気検出感度を向上させる技術が記載されている。しかし、この技術は、層間結合磁界による影響を直接低減する訳ではない。
特許文献3,4には、MR素子にバイアス磁界を印加する技術が記載されている。しかし、特許文献3,4では、層間結合磁界による影響は考慮されていない。
本発明はかかる問題点に鑑みてなされたもので、その目的は、スピンバルブ型の磁気抵抗効果素子を用いた磁気センサおよび磁気センサシステムであって、自由層に印加される層間結合磁界による影響を低減できるようにした磁気センサおよび磁気センサシステムを提供することにある。
本発明の第1の態様の磁気センサは、外部磁界の第1の方向の成分を検出するものである。この磁気センサは、磁気抵抗効果素子と、バイアス磁界発生部とを備えている。磁気抵抗効果素子は、第1の方向に平行な方向に磁化が固定された磁化固定層と、外部磁界の第1の方向の成分に応じて磁化が変化する自由層と、磁化固定層と自由層の間に配置された非磁性層とを有している。磁化固定層、非磁性層および自由層は、第1の方向に直交する第2の方向に並ぶように積層されている。自由層には、磁化固定層に起因して、第1の方向に平行な方向の層間結合磁界が印加されている。バイアス磁界発生部は、自由層に対してバイアス磁界を印加する。バイアス磁界は、層間結合磁界の方向とは反対方向の第1の磁界成分と、第1および第2の方向に直交する第3の方向の第2の磁界成分とを有している。
本発明の第1の態様の磁気センサにおいて、バイアス磁界発生部は、少なくとも1つの磁石を有していてもよい。少なくとも1つの磁石は、磁気抵抗効果素子を挟むように配置された一対の磁石であってもよい。また、少なくとも1つの磁石は、磁気抵抗効果素子に対して間隔を置いて配置されていてもよい。
また、磁気抵抗効果素子と少なくとも1つの磁石は、第1の方向と第3の方向の両方に対して傾いた第4の方向に並んでいてもよい。この場合、少なくとも1つの磁石の磁化の方向は、第4の方向に平行であってもよいし、第3の方向に平行であってもよい。
本発明の第1の態様の磁気センサシステムは、本発明の第1の態様の磁気センサと、磁気センサに対する相対的位置が第1の方向に変化し得るスケールとを備え、磁気センサに対するスケールの相対的位置が変化することによって、外部磁界の第1の方向の成分が変化するものである。
本発明の第2の態様の磁気センサは、外部磁界の第1の方向の成分を検出するものである。この磁気センサは、少なくとも1組の第1の磁気抵抗効果素子、第2の磁気抵抗効果素子、第1のバイアス磁界発生部および第2のバイアス磁界発生部を備えている。第1の磁気抵抗効果素子と第2の磁気抵抗効果素子は、直列に接続されている。
第1の磁気抵抗効果素子は、第1の方向に平行な方向に磁化が固定された第1の磁化固定層と、外部磁界の第1の方向の成分に応じて磁化が変化する第1の自由層と、第1の磁化固定層と第1の自由層の間に配置された第1の非磁性層とを有している。第1の磁化固定層、第1の非磁性層および第1の自由層は、第1の方向に直交する第2の方向に並ぶように積層されている。第1の自由層には、第1の磁化固定層に起因して、第1の方向に平行な方向の第1の層間結合磁界が印加されている。第1のバイアス磁界発生部は、第1の自由層に対して第1のバイアス磁界を印加する。第1のバイアス磁界は、第1の層間結合磁界の方向とは反対方向の第1の磁界成分と、第1および第2の方向に直交する第3の方向の第2の磁界成分とを有している。
第2の磁気抵抗効果素子は、第1の磁化固定層の磁化の方向とは反対方向の第5の方向に磁化が固定された第2の磁化固定層と、外部磁界の第1の方向の成分に応じて磁化が変化する第2の自由層と、第2の磁化固定層と第2の自由層の間に配置された第2の非磁性層とを有している。第2の磁化固定層、第2の非磁性層および第2の自由層は、第2の方向に並ぶように積層されている。第2の自由層には、第2の磁化固定層に起因して、第1の層間結合磁界の方向とは反対方向の第2の層間結合磁界が印加されている。第2のバイアス磁界発生部は、第2の自由層に対して第2のバイアス磁界を印加する。第2のバイアス磁界は、第2の層間結合磁界の方向とは反対方向の第3の磁界成分と、第3の方向の第4の磁界成分とを有している。
本発明の第2の態様の磁気センサにおいて、第1のバイアス磁界発生部は、少なくとも1つの第1の磁石を有していてもよい。第1の磁気抵抗効果素子と少なくとも1つの第1の磁石は、第1の方向と第3の方向の両方に対して傾いた第6の方向に並んでいてもよい。第2のバイアス磁界発生部は、少なくとも1つの第2の磁石を有していてもよい。第2の磁気抵抗効果素子と少なくとも1つの第2の磁石は、第1の方向と第3の方向の両方に対して傾いた第7の方向に並んでいてもよい。第6の方向と第7の方向は、第3の方向に対して互いに反対方向に傾いている。少なくとも1つの第1の磁石の磁化の方向と少なくとも1つの第2の磁石の磁化の方向は、第3の方向に平行な同じ方向である。
また、本発明の第2の態様の磁気センサにおいて、少なくとも1組の第1の磁気抵抗効果素子、第2の磁気抵抗効果素子、第1のバイアス磁界発生部および第2のバイアス磁界発生部は、2組の第1の磁気抵抗効果素子、第2の磁気抵抗効果素子、第1のバイアス磁界発生部および第2のバイアス磁界発生部であってもよい。2組における第1および第2の磁気抵抗効果素子は、ホイートストンブリッジ回路を構成していてもよい。
本発明の第2の態様の磁気センサシステムは、本発明の第2の態様の磁気センサと、磁気センサに対する相対的位置が第1の方向に変化し得るスケールとを備え、磁気センサに対するスケールの相対的位置が変化することによって、外部磁界の第1の方向の成分が変化するものである。
本発明の第1の態様の磁気センサおよび磁気センサシステムでは、バイアス磁界発生部によって自由層に印加されるバイアス磁界は、層間結合磁界の方向とは反対方向の第1の磁界成分と、第1および第2の方向に直交する第3の方向の第2の磁界成分とを有している。第1の磁界成分は、層間結合磁界を相殺するように作用する。第2の磁界成分は、外部磁界の第1の方向の成分がゼロであるときの自由層の磁化の方向を安定化させるように作用する。これらのことから、本発明の第1の態様によれば、スピンバルブ型の磁気抵抗効果素子を用いた磁気センサおよび磁気センサシステムにおいて、自由層に印加される層間結合磁界による影響を低減することができるという効果を奏する。
本発明の第2の態様の磁気センサおよび磁気センサシステムでは、第1のバイアス磁界発生部によって第1の自由層に印加される第1のバイアス磁界は、第1の層間結合磁界の方向とは反対方向の第1の磁界成分と、第1および第2の方向に直交する第3の方向の第2の磁界成分とを有している。第1の磁界成分は、第1の層間結合磁界を相殺するように作用する。第2の磁界成分は、外部磁界の第1の方向の成分がゼロであるときの第1の自由層の磁化の方向を安定化させるように作用する。また、第2のバイアス磁界発生部によって第2の自由層に印加される第2のバイアス磁界は、第2の層間結合磁界の方向とは反対方向の第3の磁界成分と、第3の方向の第4の磁界成分とを有している。第3の磁界成分は、第2の層間結合磁界を相殺するように作用する。第4の磁界成分は、外部磁界の第1の方向の成分がゼロであるときの第2の自由層の磁化の方向を安定化させるように作用する。これらのことから、本発明の第2の態様によれば、スピンバルブ型の第1および第2の磁気抵抗効果素子を用いた磁気センサおよび磁気センサシステムにおいて、第1の自由層に印加される第1の層間結合磁界による影響と第2の自由層に印加される第2の層間結合磁界による影響とを低減することができるという効果を奏する。
本発明の第1の実施の形態に係る磁気センサシステムの概略の構成を示す斜視図である。 本発明の第1の実施の形態に係る磁気センサの平面図である。 図2に示したMR素子の構成の一例を示す側面図である。 外部磁界のX方向の成分とMR素子の抵抗値との関係の一例を示す特性図である。 バイアス磁界の第1の磁界成分の作用を示す特性図である。 図2に示した一対の磁石間の距離とバイアス磁界強度との関係を示す特性図である。 図2に示した磁石の傾き角度とバイアス磁界の第1および第2の磁界成分との関係を示す特性図である。 本発明の第2の実施の形態に係る磁気センサの平面図である。 本発明の第3の実施の形態に係る磁気センサの平面図である。 本発明の第4の実施の形態に係る磁気センサシステムの概略の構成を示す斜視図である。 本発明の第4の実施の形態に係る磁気センサの平面図である。 図11における12−12線で示す位置の断面を示す断面図である。 本発明の第4の実施の形態に係る磁気センサの回路図である。 本発明の第4の実施の形態に係る磁気センサにおける第1の磁気抵抗効果素子と第1のバイアス磁界発生部を示す平面図である。 本発明の第4の実施の形態に係る磁気センサにおける第2の磁気抵抗効果素子と第2のバイアス磁界発生部を示す平面図である。 比較例の磁気センサにおけるMR素子とバイアス磁界発生部を示す平面図である。 比較例の磁気センサにおける外部磁界のX方向の成分と2つのMR素子の抵抗値との関係の一例を示す特性図である。 本発明の第4の実施の形態に係る磁気センサにおける外部磁界のX方向の成分と2つのMR素子の抵抗値との関係の一例を示す特性図である。 本発明の第5の実施の形態に係る磁気センサの平面図である。 本発明の第5の実施の形態に係る磁気センサの回路図である。
[第1の実施の形態]
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。始めに、図1を参照して、本発明の第1の実施の形態に係る磁気センサシステムの概略の構成について説明する。図1は、本実施の形態に係る磁気センサシステムの概略の構成を示す斜視図である。図1に示したように、本実施の形態に係る磁気センサシステムは、本実施の形態に係る磁気センサ1と、この磁気センサ1に対する相対的位置が第1の方向に変化し得るスケール30とを備えている。以下、第1の方向をX方向と言う。本実施の形態では特に、スケール30は、X方向に沿って交互に直線状に配列された複数組のN極とS極を有するリニアスケールである。スケール30は、X方向に平行な側面30aを有している。磁気センサ1は、側面30aに対向する位置に配置されている。磁気センサ1とスケール30の一方は、図示しない動作体に連動してX方向に移動する。これにより、磁気センサ1に対するスケール30の相対的位置がX方向に変化する。図1において、曲線の矢印は、スケール30が発生する磁束を表している。磁気センサ1は、外部磁界のX方向の成分を検出するものである。以下、外部磁界のX方向の成分を、記号Hxで表す。外部磁界は、スケール30によって発生される。磁気センサ1に対するスケール30の相対的位置が変化すると、外部磁界のX方向の成分Hxが変化する。
次に、図1および図2を参照して、磁気センサ1について説明する。図2は、磁気センサ1の平面図である。磁気センサ1は、基板2と、この基板2上に配置されたスピンバルブ型の磁気抵抗効果素子(以下、MR素子と記す。)10と、バイアス磁界発生部20とを備えている。MR素子10は、TMR素子でもよいし、GMR素子でもよい。バイアス磁界発生部20は、少なくとも1つの磁石を有している。少なくとも1つの磁石は、MR素子10に対して間隔を置いて配置されていてもよい。本実施の形態では特に、少なくとも1つの磁石は、MR素子10を挟むように配置された一対の磁石21,22である。磁石21,22は、いずれも、MR素子10に対して間隔を置いて、基板2上に配置されている。磁石21,22は、それぞれ、例えば直方体形状を有している。また、図1および図2には、MR素子10の形状が円柱形状である例を示している。しかし、MR素子10の形状は、直方体形状等の他の形状であってもよい。
次に、図3を参照して、MR素子10について説明する。図3は、MR素子10の構成の一例を示す側面図である。MR素子10は、少なくとも、X方向に平行な方向に磁化が固定された磁化固定層13と、外部磁界のX方向の成分Hxに応じて磁化が変化する自由層15と、磁化固定層13と自由層15の間に配置された非磁性層14とを有している。
図3に示した例では、MR素子10は、更に、下地層11、反強磁性層12および保護層16を有している。この例では、基板2の上に、下地層11、反強磁性層12、磁化固定層13、非磁性層14、自由層15および保護層16が、この順に積層されている。下地層11と保護層16は、導電性を有している。下地層11は、基板2の結晶軸の影響を排除し、下地層11の上に形成される各層の結晶性や配向性を向上させるために用いられる。下地層11の材料としては、例えばTaやRuが用いられる。反強磁性層12は、磁化固定層13との交換結合により、磁化固定層13における磁化の方向を固定する層である。反強磁性層12は、IrMn、PtMn等の反強磁性材料によって形成されている。
磁化固定層13では、反強磁性層12との界面における交換結合により、磁化の方向が固定されている。図3に示した例では、磁化固定層13は、反強磁性層12の上に順に積層されたアウター層131、非磁性中間層132およびインナー層133を有し、いわゆるシンセティック固定層になっている。アウター層131とインナー層133は、例えば、CoFe、CoFeB、CoNiFe等の軟磁性材料によって形成されている。アウター層131は、反強磁性層12との交換結合により、磁化の方向が固定されている。アウター層131とインナー層133は、反強磁性的に結合し、磁化の方向が互いに逆方向に固定されている。非磁性中間層132は、アウター層131とインナー層133の間に反強磁***換結合を生じさせ、アウター層131の磁化の方向とインナー層133の磁化の方向を互いに逆方向に固定する。非磁性中間層132は、Ru等の非磁性材料によって形成されている。磁化固定層13がアウター層131、非磁性中間層132およびインナー層133を有する場合には、磁化固定層13の磁化の方向とは、インナー層133の磁化の方向を指す。図3では、磁化固定層13の磁化を、記号Mpinを付した矢印で表している。この矢印が示す方向が、磁化固定層13の磁化の方向である。
MR素子10がTMR素子である場合には、非磁性層14はトンネルバリア層である。トンネルバリア層は、例えば、マグネシウム層の一部または全体を酸化させて形成したものであってもよい。MR素子10がGMR素子である場合には、非磁性層14は非磁性導電層である。自由層15は、例えば、CoFe、CoFeB、NiFe、CoNiFe等の軟磁性材料によって形成されている。保護層16は、その下の各層を保護するための層である。保護層16の材料としては、Ta、Ru、W、Ti等が用いられる。
磁化固定層13、非磁性層14および自由層15は、X方向に直交する第2の方向に並ぶように積層されている。以下、第2の方向をY方向と言う。本実施の形態では、Y方向は、スケール30の側面30aに垂直な方向である。
MR素子10では、自由層15に印加される磁界に応じて、自由層15の磁化が変化する。より詳しく説明すると、自由層15に印加される磁界の方向および大きさに応じて、自由層15の磁化の方向および大きさが変化する。MR素子10の抵抗値は、自由層15の磁化の方向および大きさによって変化する。例えば、自由層15の磁化の大きさが一定の場合には、自由層15の磁化の方向が磁化固定層13の磁化の方向と同じであるときに、MR素子10の抵抗値は最小値となり、自由層15の磁化の方向が磁化固定層13の磁化の方向とは反対方向であるときに、MR素子10の抵抗値は最大値となる。
MR素子10がGMR素子である場合には、MR素子10は、MR素子10を構成する各層の面と交差する方向、例えばMR素子10を構成する各層の面に対して垂直な方向に電流を流すCPP(Current Perpendicular to Plane)タイプでもよいし、MR素子10を構成する各層の面に対してほぼ平行な方向に電流を流すCIP(Current In Plane)タイプでもよい。MR素子10がTMR素子である場合には、MR素子10は、CPPタイプになる。
MR素子10がCPPタイプである場合には、例えば、下地層11と保護層16に、それぞれ図示しない電極が接続され、これらの電極によって、磁気センサ1がMR素子10の抵抗値に対応した信号を生成するための電流が、MR素子10に供給される。この電流は、MR素子10を構成する各層の面と交差する方向、例えばMR素子10を構成する各層の面に対して垂直な方向に流れる。例えば、MR素子10に一定値の電流を供給する場合には、MR素子10の両端間の電位差によって、MR素子10の抵抗値に対応した信号を生成することができる。MR素子10がCIPタイプである場合には、例えば、保護層16における互いに離れた2つの位置に図示しない2つの電極が接続され、これらの電極によって上記の電流がMR素子10に供給される。この電流は、MR素子10を構成する各層の面に対してほぼ平行な方向に流れる。この場合も、上記と同様にしてMR素子10の抵抗値に対応した信号を生成することができる。
本実施の形態では、自由層15と磁化固定層13の間では、非磁性層14を介した磁気的層間結合が生じる。これにより、自由層15には、磁化固定層13に起因して、X方向に平行な方向の層間結合磁界Hinが印加されている。層間結合磁界Hinの方向は、磁化固定層13の磁化の方向と同じか反対方向である。図3では、層間結合磁界Hinを、記号Hinを付した矢印で表している。この矢印が示す方向が、層間結合磁界Hinの方向である。図3には、層間結合磁界Hinの方向が、磁化固定層13の磁化Mpinの方向と同じである例を示している。
図2に示したように、バイアス磁界発生部20、すなわち一対の磁石21,22は、自由層15に対してバイアス磁界Hbを印加する。バイアス磁界Hbは、層間結合磁界Hinの方向とは反対方向の第1の磁界成分Hb1と、X方向およびY方向に直交する第3の方向の第2の磁界成分Hb2とを有している。以下、第3の方向をZ方向と言う。
なお、本出願において用いるX方向、Y方向、Z方向は、いずれも、図1において双方向の矢印で示したように、特定の一方向とその反対方向とを含むものとして定義される。一方、磁界の方向や磁化の方向は、特定の一方向のみを表すものとして定義される。
MR素子10と、一対の磁石21,22は、X方向とZ方向の両方に対して傾いた第4の方向D4に並んでいる。より詳しく説明すると、図2に示したように、Y方向から見たときに、MR素子10と磁石21,22のそれぞれの中心は、第4の方向D4に延びる同一直線L上に位置している。
本実施の形態では、磁石21,22の磁化の方向は、第4の方向D4に平行であり、且つ同一方向である。X方向、Y方向、Z方向と同様に、第4の方向D4も、特定の一方向とその反対方向とを含むものとして定義される。図2では、磁石21の磁化を、記号M21を付した矢印で表している。この矢印が示す方向が、磁石21の磁化の方向である。また、図2では、磁石22の磁化を、記号M22を付した矢印で表している。この矢印が示す方向が、磁石22の磁化の方向である。
磁石21は、MR素子10に向いた端面21aを有している。磁石22は、MR素子10に向いた端面22aを有している。これら端面21a,22aは、第4の方向D4に垂直である。図2に示した例では、端面21aに磁石21のN極が現れ、端面22aに磁石22のS極が現れている。本実施の形態では、バイアス磁界Hbの方向は、第4の方向D4に平行である。
磁石21,22間の距離、すなわち端面21a,22a間の距離を、記号Gで表す。また、第4の方向D4がZ方向に対してなす角度を、磁石21,22の傾き角度と定義し、記号θで表す。第1の磁界成分Hb1と第2の磁界成分Hb2は、距離Gと角度θによって調整することができる。これについては、後で詳しく説明する。
次に、本実施の形態に係る磁気センサ1および磁気センサシステムの作用および効果について説明する。本実施の形態に係る磁気センサシステムでは、スケール30によって、磁気センサ1が検出する外部磁界が発生される。磁気センサ1に対するスケール30の相対的位置が変化すると、外部磁界のX方向の成分Hxが変化する。より詳しく説明すると、磁気センサ1に対するスケール30の相対的位置が変化すると、磁気センサ1から見て、外部磁界は、その方向がZ方向の軸を中心として回転するように変化する。その結果、外部磁界のX方向の成分Hxが変化する。成分Hxは、磁化固定層13の磁化Mpinの方向と同じ方向に向いているときと、磁化Mpinの方向とは反対方向に向いているときがある。以下、成分Hxが磁化Mpinの方向とは反対方向に向いているときの成分Hxの大きさを正の値で表し、成分Hxが磁化Mpinの方向と同じ方向に向いているときの成分Hxの大きさを負の値で表す。
磁気センサ1は、スピンバルブ型のMR素子10を備えている。MR素子10の抵抗値は、外部磁界のX方向の成分Hxに応じて変化する。磁気センサ1は、MR素子10の抵抗値に対応した信号を生成する。この信号によって、動作体の直線的動作に関連する物理量、例えば、磁気センサ1に対するスケール30の相対的な位置や速度を検出することが可能になる。
MR素子10では、磁化固定層13に起因して、自由層15に、X方向に平行な方向の層間結合磁界Hinが印加されている。ここで、本実施の形態におけるバイアス磁界発生部20が設けられていない場合について考える。この場合には、外部磁界のX方向の成分Hxの方向によって成分Hxの大きさの変化に対するMR素子10の抵抗値の変化量が異なったり、成分Hxの大きさの変化に対するMR素子10の抵抗値の変化量が小さくなってMR素子10の感度が低くなったりするという問題が生じる。以下、これについて、図4を参照して詳しく説明する。
図4は、外部磁界のX方向の成分HxとMR素子10の抵抗値との関係の一例を示す特性図である。図4において、横軸は外部磁界のX方向の成分Hxを示し、縦軸はMR素子10の抵抗値を示している。横軸の単位はOe(1Oe=79.6A/m)であり、縦軸の単位はオームである。図4に示したように、MR素子10の抵抗値の最大値をRmaxとし、MR素子10の抵抗値の最小値をRminとし、RmaxとRminの中央の値(Rmax+Rmin)/2をRcとする。成分HxがゼロのときにMR素子10の抵抗値がRcであれば、成分Hxの方向によって成分Hxの大きさの変化に対するMR素子10の抵抗値の変化量が異ならず、また、成分Hxがゼロの近傍において成分Hxの大きさの変化に対するMR素子10の抵抗値の変化量が大きくなってMR素子10の感度が高くなる。しかし、自由層15に層間結合磁界Hinが印加されていると、MR素子10の抵抗値がRcとなるときの成分Hxの値が、層間結合磁界Hinの分だけゼロからずれる。その結果、成分Hxの方向によって成分Hxの大きさの変化に対するMR素子10の抵抗値の変化量が異なり、また、成分Hxがゼロの近傍において成分Hxの大きさの変化に対するMR素子10の抵抗値の変化量が小さくなってMR素子10の感度が低くなる。
なお、本実施の形態において、バイアス磁界発生部20を設けていない状態で、図4に示したような成分HxとMR素子10の抵抗値との関係を求め、更に、MR素子10の抵抗値がRcとなるときの成分Hxの値を求めることにより、自由層15に印加されている層間結合磁界Hinの方向と大きさを求めることが可能である。
図2に示したように、本実施の形態に係る磁気センサ1は、自由層15に対してバイアス磁界Hbを印加するバイアス磁界発生部20を備えている。バイアス磁界Hbは、層間結合磁界Hinの方向とは反対方向の第1の磁界成分Hb1と、Z方向の第2の磁界成分Hb2とを有している。第1の磁界成分Hb1は、層間結合磁界Hinを相殺するように作用する。
ここで、第1の磁界成分Hb1の上記の作用を確認した実験の結果を示す。実験では、バイアス磁界発生部20(磁石21,22)を設けていない状態と、バイアス磁界発生部20を設けた状態とについて、外部磁界のX方向の成分HxとMR素子10の抵抗値との関係を求めた。図5は、その結果を示している。図5おける横軸と縦軸は、図4と同様である。図5において、破線は、バイアス磁界発生部20を設けていない状態における成分HxとMR素子10の抵抗値との関係を示し、実線は、バイアス磁界発生部20を設けた状態における成分HxとMR素子10の抵抗値との関係を示している。図5に示したように、バイアス磁界発生部20を設けた状態では、成分Hxの大きさの変化に対するMR素子10の抵抗値の変化量が、成分Hxが正の値の領域と成分Hxが負の値の領域とで、ほぼ等しくなっている。また、バイアス磁界発生部20を設けていない状態に比べて、バイアス磁界発生部20を設けた状態では、成分Hxがゼロの近傍において成分Hxの大きさの変化に対するMR素子10の抵抗値の変化量が大きくなってMR素子10の感度が高くなっている。
また、バイアス磁界Hbの第2の磁界成分Hb2は、外部磁界のX方向の成分Hxがゼロであるときの自由層15の磁化の方向を安定化させるように作用する。これにより、第1の磁界成分Hb1によって層間結合磁界Hinが相殺されたことによって磁気センサ1の出力信号の波形が不安定になることを防止することができる。
以上のことから、本実施の形態によれば、スピンバルブ型のMR素子10を用いた磁気センサ1および磁気センサシステムにおいて、自由層15に印加される層間結合磁界Hinによる影響を低減することができる。
第1の磁界成分Hb1と第2の磁界成分Hb2は、図2に示した磁石21,22間の距離Gと、磁石21,22の傾き角度θによって調整することができる。以下、これについて、図6および図7を参照して詳しく説明する。
図6は、第1のシミュレーションによって求めた磁石21,22間の距離Gとバイアス磁界Hbの強度との関係を示す特性図である。第1のシミュレーションでは、磁石21,22の表面磁束密度を1.04Tとした。図6において、横軸は距離Gを示し、縦軸はバイアス磁界Hbの強度を示している。横軸の単位はμmである。縦軸の単位は、磁束密度の大きさを表すmTである。バイアス磁界Hbの強度は、Y方向から見たときの自由層15の中心における値で示している。図6から、距離Gが大きくなるほどバイアス磁界Hbの強度が小さくなることが分かる。
図7は、第2のシミュレーションによって求めた磁石21,22の傾き角度θと磁界成分Hb1,Hb2との関係を示す特性図である。図7において、横軸は角度θを示し、縦軸は磁界成分Hb1,Hb2の強度を示している。横軸の単位は度(deg)である。縦軸の単位はmTである。第2のシミュレーションでは、磁石21,22の表面磁束密度を1.04Tとし、磁石21,22間の距離Gを4μmとした。図7から、角度θが0度から45度の範囲内で、角度θが大きくなるほど、磁界成分Hb1の強度は大きくなり、磁界成分Hb2の強度は小さくなることが分かる。すなわち、図7から、角度θによって、磁界成分Hb1,Hb2の強度の比を調整できることが分かる。更に、図6に示した結果から、角度θを一定にした状態で距離Gを変えることにより、磁界成分Hb1,Hb2の強度の比を一定にしたままで、磁界成分Hb1,Hb2の強度を変えることができることは明らかである。
図6および図7に示した結果から、磁界成分Hb1,Hb2は、距離Gと角度θによって調整ができることが分かる。なお、磁石21,22の表面磁束密度を変えた場合には、バイアス磁界Hbと磁界成分Hb1,Hb2のそれぞれの強度は変わるが、図6および図7に示した傾向は変わらないことは明らかである。磁石21,22の表面磁束密度は、磁石21,22の材料、形状、大きさ等の磁石21,22の設計によって調整することができる。従って、磁界成分Hb1,Hb2は、距離Gと角度θに加えて、磁石21,22の設計によっても調整することができる。これらのことから、本実施の形態では、磁界成分Hb1の大きさを層間結合磁界Hinを相殺できる値に調整し、且つ磁界成分Hb2の大きさを、成分Hxがゼロであるときの自由層15の磁化の方向を安定化させるのに適した任意の値に調整することが可能である。
[第2の実施の形態]
次に、図8を参照して、本発明の第2の実施の形態について説明する。図8は、本実施の形態に係る磁気センサ1の平面図である。本実施の形態では、第1の実施の形態と同様に、MR素子10と磁石21,22は、第4の方向D4に並んでいる。また、磁石21の磁化の方向M21と磁石22の磁化の方向M22は、第4の方向D4に平行であり、且つ同一方向である。ただし、本実施の形態では、磁石21の端面21aと、磁石21の端面22aは、Z方向に垂直である。従って、磁石21の磁化の方向M21は、端面21aに垂直なZ方向に対して傾いており、磁石22の磁化の方向M22は、端面22aに垂直なZ方向に対して傾いている。本実施の形態においても、第1の実施の形態と同様に、磁石21,22によって、第1の磁界成分Hb1と第2の磁界成分Hb2とを有するバイアス磁界Hbを、自由層15に対して印加することができる。ただし、本実施の形態では、バイアス磁界Hbの方向は、第4の方向D4に平行になるとは限らない。
本実施の形態におけるその他の構成、作用および効果は、第1の実施の形態と同様である。
[第3の実施の形態]
次に、図9を参照して、本発明の第3の実施の形態について説明する。図9は、本実施の形態に係る磁気センサ1の平面図である。本実施の形態では、第2の実施の形態と同様に、MR素子10と磁石21,22は第4の方向D4に並び、磁石21の端面21aと磁石21の端面22aはZ方向に垂直である。ただし、本実施の形態では、磁石21の磁化の方向M21と磁石22の磁化の方向M22は、Z方向に平行であり、且つ同一方向である。
本実施の形態では、磁石21,22によって発生されて自由層15を通過する磁束は、X方向とZ方向の両方に対して傾いた方向に流れる。これにより、本実施の形態においても、第1の実施の形態と同様に、磁石21,22によって、第1の磁界成分Hb1と第2の磁界成分Hb2とを有するバイアス磁界Hbを、自由層15に対して印加することができる。ただし、本実施の形態では、バイアス磁界Hbの方向は、第4の方向D4に平行になるとは限らない。
本実施の形態におけるその他の構成、作用および効果は、第1の実施の形態と同様である。
[第4の実施の形態]
次に、本発明の第4の実施の形態について説明する。図10は、本実施の形態に係る磁気センサシステムの概略の構成を示す斜視図である。図10に示したように、本実施の形態に係る磁気センサシステムは、本実施の形態に係る磁気センサ101と、この磁気センサ101に対する相対的位置がX方向(第1の方向)に変化し得るスケール30とを備えている。本実施の形態におけるスケール30は、第1の実施の形態におけるスケール30と同じである。磁気センサ101とスケール30の一方は、図示しない動作体に連動してX方向に移動する。これにより、磁気センサ101に対するスケール30の相対的位置がX方向に変化する。図10において、曲線の矢印は、スケール30が発生する磁束を表している。磁気センサ101は、外部磁界のX方向の成分Hxを検出するものである。外部磁界は、スケール30によって発生される。磁気センサ101に対するスケール30の相対的位置が変化すると、外部磁界のX方向の成分Hxが変化する。
図11は、磁気センサ101の平面図である。図12は、図11における12−12線で示す位置の断面を示す断面図である。磁気センサ101は、4つのスピンバルブ型のMR素子10A,10B,10C,10Dと、4つのバイアス磁界発生部20A,20B,20C,20Dと、基板102と、2つの下部電極111,112と、2つの上部電極121,122とを備えている。なお、図11では、基板102を省略している。
下部電極111,112は、基板102の上に配置されている。磁気センサ101は、更に、基板102の上であって下部電極111,112の周囲に配置された絶縁層141(図12参照)を備えている。MR素子10A,10Bは下部電極111の上に配置され、MR素子10C,10Dは下部電極112の上に配置されている。磁気センサ101は、更に、下部電極111,112および絶縁層141の上であってMR素子10A,10B,10C,10Dの周囲に配置された絶縁層142(図12参照)を備えている。バイアス磁界発生部20A,20B,20C,20Dは、下部電極111,112およびMR素子10A,10B,10C,10Dに接触しないように、絶縁層142に埋め込まれている。MR素子10A,10B,10C,10D、バイアス磁界発生部20A,20B,20C,20Dおよび絶縁層142の上面は平坦化されて、1つの平面を形成している。上部電極121,122は、この1つの平面の上に配置されている。上部電極121は、MR素子10A,10Dの上面に接触している。上部電極122は、MR素子10B,10Cの上面に接触している。磁気センサ101は、更に、上部電極121,122を覆う絶縁層143(図12参照)を備えている。
図11に示したように、上部電極121は、電源ポートVを含んでいる。上部電極122は、グランドポートGを含んでいる。下部電極111は、第1の出力ポートE1を含んでいる。下部電極112は、第2の出力ポートE2を含んでいる。
MR素子10A,10B,10C,10Dの構成は、磁化固定層13の磁化の方向を除いて、第1の実施の形態におけるMR素子10と同じである。すなわち、MR素子10A,10B,10C,10Dの各々は、下から順に配置された下地層11、反強磁性層12、磁化固定層13、非磁性層14、自由層15および保護層16を有している。磁化固定層13、非磁性層14および自由層15は、X方向に直交するY方向(第2の方向)に並ぶように積層されている。MR素子10A,10B,10C,10Dの各々の自由層15の磁化は、外部磁界のX方向(第1の方向)の成分Hxに応じて変化する。なお、MR素子10A,10B,10C,10Dは、いずれもCPPタイプである。
バイアス磁界発生部20A,20B,20C,20Dは、それぞれ、MR素子10A,10B,10C,10Dの自由層15に対してバイアス磁界を印加する。バイアス磁界発生部20A,20B,20C,20Dの各々は、少なくとも1つの磁石を有している。各バイアス磁界発生部における少なくとも1つの磁石は、それぞれ、MR素子に対して間隔を置いて配置されていてもよい。本実施の形態では特に、バイアス磁界発生部20Aにおける少なくとも1つの磁石は、MR素子10Aに対して間隔を置いてMR素子10Aを挟むように配置された一対の磁石21A,22Aである。また、バイアス磁界発生部20Bにおける少なくとも1つの磁石は、MR素子10Bに対して間隔を置いてMR素子10Bを挟むように配置された一対の磁石21B,22Bである。また、バイアス磁界発生部20Cにおける少なくとも1つの磁石は、MR素子10Cに対して間隔を置いてMR素子10Cを挟むように配置された一対の磁石21C,22Cである。また、バイアス磁界発生部20Dにおける少なくとも1つの磁石は、MR素子10Dに対して間隔を置いてMR素子10Dを挟むように配置された一対の磁石21D,22Dである。
MR素子10AとMR素子10Bは、下部電極111を介して直列に接続されている。MR素子10CとMR素子10Dは、下部電極112を介して直列に接続されている。MR素子10A,10Cの各々は、本発明における第1の磁気抵抗効果素子に対応する。MR素子10B,10Dの各々は、本発明における第2の磁気抵抗効果素子に対応する。バイアス磁界発生部20A,20Cの各々は、本発明における第1のバイアス磁界発生部に対応する。バイアス磁界発生部20B,20Dの各々は、本発明における第2のバイアス磁界発生部に対応する。従って、磁気センサ101は、2組の第1の磁気抵抗効果素子、第2の磁気抵抗効果素子、第1のバイアス磁界発生部および第2のバイアス磁界発生部を備えている。
MR素子10A,10Cの各々の磁化固定層13は、本発明における第1の磁化固定層に対応する。MR素子10A,10Cの各々の非磁性層14は、本発明における第1の非磁性層に対応する。MR素子10A,10Cの各々の自由層15は、本発明における第1の自由層に対応する。MR素子10B,10Dの各々の磁化固定層13は、本発明における第2の磁化固定層に対応する。MR素子10B,10Dの各々の非磁性層14は、本発明における第2の非磁性層に対応する。MR素子10B,10Dの各々の自由層15は、本発明における第2の自由層に対応する。
後で詳しく説明するが、MR素子10A,10Cの磁化固定層13の磁化は、X方向(第1の方向)に平行な同一方向に固定されている。MR素子10B,10Dの磁化固定層13の磁化は、MR素子10A,10Cの磁化固定層13の磁化の方向とは反対方向の第5の方向に固定されている。
磁石21A,22Aは、本発明における第1の磁石に対応する。磁石21B,22Bは、本発明における第2の磁石に対応する。磁石21C,22Cは、本発明における第1の磁石に対応する。磁石21D,22Dは、本発明における第2の磁石に対応する。
図13は、磁気センサ101の回路図である。図13に示したように、MR素子10Aの一端は、電源ポートVに接続されている。MR素子10Aの他端は、第1の出力ポートE1に接続されている。MR素子10Bの一端は、第1の出力ポートE1に接続されている。MR素子10Bの他端は、グランドポートGに接続されている。MR素子10A,10Bは、ハーフブリッジ回路を構成している。MR素子10Cの一端は、第2の出力ポートE2に接続されている。MR素子10Cの他端は、グランドポートGに接続されている。MR素子10Dの一端は、電源ポートVに接続されている。MR素子10Dの他端は、第2の出力ポートE2に接続されている。MR素子10C,10Dは、ハーフブリッジ回路を構成している。MR素子10A,10B,10C,10Dは、ホイートストンブリッジ回路を構成している。
電源ポートVには、所定の大きさの電源電圧が印加される。グランドポートGはグランドに接続される。MR素子10A,10B,10C,10Dの各々の抵抗値は、外部磁界のX方向の成分Hxに応じて変化する。MR素子10A,10Cの抵抗値は、同じ位相で変化する。MR素子10B,10Dの抵抗値は、MR素子10A,10Cの抵抗値とは180°異なる位相で変化する。第1の出力ポートE1は、MR素子10A,10Bの接続点の電位に対応した第1の検出信号を出力する。第2の出力ポートE2は、MR素子10D,10Cの接続点の電位に対応した第2の検出信号を出力する。第1および第2の検出信号は、外部磁界のX方向の成分Hxに応じて変化する。第2の検出信号は、第1の検出信号とは位相が180°異なる。磁気センサ101の出力信号は、第1の検出信号と第2の検出信号の差を求めることを含む演算によって生成される。例えば、磁気センサ101の出力信号は、第1の検出信号から第2の検出信号を引いて得られる信号に所定のオフセット電圧を加えることによって生成される。この磁気センサ101の出力信号は、外部磁界のX方向の成分Hxに応じて変化する。
以下、図14および図15を参照して、磁気センサ101の特徴について詳しく説明する。図14は、第1の磁気抵抗効果素子であるMR素子10Aと第1のバイアス磁界発生部であるバイアス磁界発生部20Aを示す平面図である。MR素子10Aの磁化固定層13の磁化MApinは、X方向(第1の方向)に平行な方向に固定されている。MR素子10Aの自由層15には、MR素子10Aの磁化固定層13に起因して、X方向(第1の方向)に平行な方向の層間結合磁界HAinが印加されている。層間結合磁界HAinは、本発明における第1の層間結合磁界に対応する。層間結合磁界HAinの方向は、MR素子10Aの磁化固定層13の磁化MApinの方向と同じか反対方向である。図14において、白抜きの矢印は、磁化MApinの方向と層間結合磁界HAinの方向を表している。図14には、層間結合磁界HAinの方向が磁化MApinの方向と同じである例を示している。
バイアス磁界発生部20A、すなわち一対の磁石21A,22Aは、MR素子10Aの自由層15に対してバイアス磁界HAbを印加する。バイアス磁界HAbは、層間結合磁界HAinの方向とは反対方向の第1の磁界成分HAb1と、X方向およびY方向に直交するZ方向(第3の方向)の第2の磁界成分HAb2とを有している。
MR素子10Aと一対の磁石21A,22Aは、X方向とZ方向の両方に対して傾いた第6の方向D6に並んでいる。より詳しく説明すると、図14に示したように、Y方向から見たときに、MR素子10Aと磁石21A,22Aのそれぞれの中心は、第6の方向D6に延びる同一直線LA上に位置している。本実施の形態では、磁石21A,22Aのそれぞれの磁化MA21,MA22の方向は、Z方向(第3の方向)に平行な同一方向である。
磁石21A,22Aは、それぞれ、例えば直方体形状を有している。磁石21Aは、MR素子10Aに向いた端面21Aaを有している。磁石22Aは、MR素子10Aに向いた端面22Aaを有している。これら端面21Aa,22Aaは、第6の方向D6に垂直である。図14に示した例では、端面21Aaに磁石21AのN極が現れ、端面22Aaに磁石22AのS極が現れている。磁石21A,22Aによって発生されてMR素子10Aの自由層15を通過する磁束は、X方向とZ方向の両方に対して傾いた方向に流れる。これにより、磁石21A,22Aによって、第1の磁界成分HAb1と第2の磁界成分HAb2とを有するバイアス磁界HAbを、MR素子10Aの自由層15に対して印加することができる。ただし、バイアス磁界HAbの方向は、第6の方向D6に平行になるとは限らない。第1の磁界成分HAb1と第2の磁界成分HAb2は、磁石21A,22A間の距離と、第6の方向D6がZ方向に対してなす角度によって調整することができる。
図示しないが、バイアス磁界発生部20C(磁石21C,22C)とMR素子10Cの位置関係は、バイアス磁界発生部20A(磁石21A,22A)とMR素子10Aの位置関係と同じである。磁石21C,22Cのそれぞれの磁化の方向は、図14に示した磁化MA21,MA22の方向と同じである。MR素子10Cの磁化固定層13の磁化MCpinは、MR素子10Aの磁化固定層13の磁化MApinと同じ方向に固定されている。MR素子10Cの自由層15には、MR素子10Cの磁化固定層13に起因して、X方向(第1の方向)に平行な方向の層間結合磁界HCinが印加されている。層間結合磁界HCinは、本発明における第1の層間結合磁界に対応する。
バイアス磁界発生部20C、すなわち一対の磁石21C,22Cは、MR素子10Cの自由層15に対してバイアス磁界HCbを印加する。バイアス磁界HCbは、層間結合磁界HCinの方向とは反対方向の第1の磁界成分HCb1と、X方向およびY方向に直交するZ方向(第3の方向)の第2の磁界成分HCb2とを有している。層間結合磁界HCin、バイアス磁界HCb、第1の磁界成分HCb1および第2の磁界成分HCb2の方向は、それぞれ層間結合磁界HAin、バイアス磁界HAb、第1の磁界成分HAb1および第2の磁界成分HAb2の方向と同じである。
図15は、第2の磁気抵抗効果素子であるMR素子10Bと第2のバイアス磁界発生部であるバイアス磁界発生部20Bを示す平面図である。前述の通り、MR素子10Bの磁化固定層13の磁化MBpinは、MR素子10A,10Cの磁化固定層13の磁化の方向とは反対方向の第5の方向に固定されている。MR素子10Bの自由層15には、MR素子10Bの磁化固定層13に起因して、層間結合磁界HAin,HCinの方向とは反対方向の層間結合磁界HBinが印加されている。層間結合磁界HBinは、本発明における第2の層間結合磁界に対応する。層間結合磁界HBinの方向は、MR素子10Bの磁化固定層13の磁化MBpinの方向と同じか反対方向である。図15において、白抜きの矢印は、磁化MBpinの方向と層間結合磁界HBinの方向を表している。図15には、層間結合磁界HBinの方向が磁化MBpinの方向と同じである例を示している。
バイアス磁界発生部20B、すなわち一対の磁石21B,22Bは、MR素子10Bの自由層15に対してバイアス磁界HBbを印加する。バイアス磁界HBbは、層間結合磁界HBinの方向とは反対方向の第3の磁界成分HBb1と、Z方向(第3の方向)の第4の磁界成分HBb2とを有している。
MR素子10Bと一対の磁石21B,22Bは、X方向とZ方向の両方に対して傾いた第7の方向D7に並んでいる。より詳しく説明すると、図15に示したように、Y方向から見たときに、MR素子10Bと磁石21B,22Bのそれぞれの中心は、第7の方向D7に延びる同一直線LB上に位置している。本実施の形態では、磁石21B,22Bのそれぞれの磁化MB21,MB22の方向は、Z方向(第3の方向)に平行な同一方向である。また、磁化MB21,MB22の方向は、図14に示した磁化MA21,MA22の方向と同じである。
磁石21B,22Bは、それぞれ、例えば直方体形状を有している。磁石21Bは、MR素子10Bに向いた端面21Baを有している。磁石22Bは、MR素子10Bに向いた端面22Baを有している。これら端面21Ba,22Baは、第7の方向D7に垂直である。図15に示した例では、端面21Baに磁石21BのN極が現れ、端面22Baに磁石22BのS極が現れている。磁石21B,22Bによって発生されてMR素子10Bの自由層15を通過する磁束は、X方向とZ方向の両方に対して傾いた方向に流れる。これにより、磁石21B,22Bによって、第3の磁界成分HBb1と第4の磁界成分HBb2とを有するバイアス磁界HBbを、MR素子10Bの自由層15に対して印加することができる。ただし、バイアス磁界HBbの方向は、第7の方向D7に平行になるとは限らない。第3の磁界成分HBb1と第4の磁界成分HBb2は、磁石21B,22B間の距離と、第7の方向D7がZ方向に対してなす角度によって調整することができる。
図14および図15に示したように、第6の方向D6と第7の方向D7は、Z方向(第3の方向)に対して互いに反対方向に傾いている。同様に、バイアス磁界HAbとバイアス磁界HBbも、Z方向(第3の方向)に対して互いに反対方向に傾いている。
図示しないが、バイアス磁界発生部20D(磁石21D,22D)とMR素子10Dの位置関係は、バイアス磁界発生部20B(磁石21B,22B)とMR素子10Bの位置関係と同じである。磁石21D,22Dのそれぞれの磁化の方向は、図14に示した磁化MA21,MA22の方向ならびに図15に示した磁化MB21,MB22の方向と同じである。MR素子10Dの磁化固定層13の磁化MDpinは、MR素子10Bの磁化固定層13の磁化MBpinと同じ方向に固定されている。MR素子10Dの自由層15には、MR素子10Dの磁化固定層13に起因して、層間結合磁界HAin,HCinの方向とは反対方向の層間結合磁界HDinが印加されている。層間結合磁界HDinは、本発明における第2の層間結合磁界に対応する。
バイアス磁界発生部20D、すなわち一対の磁石21D,22Dは、MR素子10Dの自由層15に対してバイアス磁界HDbを印加する。バイアス磁界HDbは、層間結合磁界HDinの方向とは反対方向の第3の磁界成分HDb1と、Z方向(第3の方向)の第4の磁界成分HDb2とを有している。層間結合磁界HDin、バイアス磁界HDb、第3の磁界成分HDb1および第4の磁界成分HDb2の方向は、それぞれ層間結合磁界HBin、バイアス磁界HBb、第3の磁界成分HBb1および第4の磁界成分HBb2の方向と同じである。
次に、本実施の形態に係る磁気センサ101および磁気センサシステムの作用および効果について説明する。本実施の形態に係る磁気センサシステムでは、第1の実施の形態と同様に、スケール30によって、磁気センサ101が検出する外部磁界が発生される。磁気センサ101に対するスケール30の相対的位置が変化すると、外部磁界のX方向の成分Hxが変化する。磁気センサ101の出力信号は、外部磁界のX方向の成分Hxに応じて変化する。この磁気センサ101の出力信号によって、動作体の直線的動作に関連する物理量、例えば、磁気センサ101に対するスケール30の相対的な位置や速度を検出することが可能になる。
本実施の形態において、磁界成分HAb1,HBb1,HCb1,HDb1は、それぞれ層間結合磁界HAin,HBin,HCin,HDinを相殺するように作用する。これにより、MR素子10A,10B,10C,10Dのそれぞれの自由層15に印加される層間結合磁界HAin,HBin,HCin,HDinによる影響を低減することができる。
また、磁界成分HAb2,HBb2,HCb2,HDb2は、それぞれ、外部磁界のX方向の成分HxがゼロであるときのMR素子10A,10B,10C,10Dの自由層15の磁化の方向を安定化させるように作用する。これにより、磁界成分HAb1,HBb1,HCb1,HDb1によって層間結合磁界HAin,HBin,HCin,HDinが相殺されたことによって磁気センサ101の出力信号の波形が不安定になることを防止することができる。
ここで、比較例の磁気センサと比較しながら、本実施の形態に係る磁気センサ101における磁界成分HAb1,HBb1,HCb1,HDb1による効果について詳しく説明する。始めに、図16を参照して、比較例の磁気センサの構成について説明する。図16は、比較例の磁気センサにおけるMR素子とバイアス磁界発生部を示す平面図である。比較例の磁気センサは、磁気センサ101におけるバイアス磁界発生部20A,20B,20C,20Dの代わりに、4つのバイアス磁界発生部220を備えている。4つのバイアス磁界発生部220は、それぞれ、MR素子10A,10B,10C,10Dの自由層15に対してバイアス磁界を印加する。図16には、MR素子10Aと、MR素子10Aの自由層15に対してバイアス磁界を印加する1つのバイアス磁界発生部220とを示している。
図16に示したバイアス磁界発生部220は、MR素子10Aに対して間隔を置いてMR素子10Aを挟むように配置された一対の磁石221,222を有している。MR素子10Aと、一対の磁石221,222は、Z方向に並んでいる。また、磁石221,222のそれぞれの磁化M221,M222の方向は、Z方向に平行な同一方向である。一対の磁石221,222は、MR素子10Aの自由層15に対してバイアス磁界を印加する。このバイアス磁界は、Z方向に向いている。
図示しないが、比較例の磁気センサにおいて、MR素子10B,10C,10Dのそれぞれの自由層15に対してバイアス磁界を印加する他の3つのバイアス磁界発生部220の構成は、図16に示したバイアス磁界発生部220と同様である。
比較例の磁気センサでは、4つのバイアス磁界発生部220がMR素子10A,10B,10C,10Dの自由層15に対して印加する4つのバイアス磁界は、それぞれ層間結合磁界HAin,HBin,HCin,HDinを相殺する成分を有していない。そのため、比較例の磁気センサでは、MR素子10A,10B,10C,10Dのそれぞれの自由層15に印加される層間結合磁界HAin,HBin,HCin,HDinによる影響を低減することができない。
図17は、比較例の磁気センサにおける外部磁界のX方向の成分Hxと2つのMR素子の抵抗値との関係の一例を示す特性図である。図17において、横軸は外部磁界のX方向の成分Hxを示し、縦軸はMR素子の抵抗値を示している。横軸の単位はOe(1Oe=79.6A/m)であり、縦軸の単位はオームである。図17において、記号RAで示した曲線は、成分Hxの変化に対するMR素子10Aの抵抗値の変化を示し、記号RBで示した曲線は、成分Hxの変化に対するMR素子10Bの抵抗値の変化を示している。図17では、成分Hxが磁化MApinの方向とは反対方向に向いているときの成分Hxの大きさを正の値で表し、成分Hxが磁化MApinの方向と同じ方向に向いているときの成分Hxの大きさを負の値で表している。成分Hxの変化に対するMR素子10Cの抵抗値の変化は、成分Hxの変化に対するMR素子10Aの抵抗値の変化と同様である。成分Hxの変化に対するMR素子10Dの抵抗値の変化は、成分Hxの変化に対するMR素子10Bの抵抗値の変化と同様である。
図17に示したように、比較例の磁気センサでは、MR素子10A,10B,10C,10Dのそれぞれの自由層15に印加される層間結合磁界HAin,HBin,HCin,HDinによる影響によって、成分Hxの方向によって成分Hxの大きさの変化に対するMR素子10A,10B,10C,10Dのそれぞれの抵抗値の変化量が異なっている。また、比較例の磁気センサでは、上記層間結合磁界HAin,HBin,HCin,HDinによる影響によって、成分Hxがゼロの近傍において成分Hxの大きさの変化に対するMR素子10A,10B,10C,10Dのそれぞれの抵抗値の変化量が小さくなっている。そのため、比較例の磁気センサでは、出力信号の感度が低くなる。
図18は、本実施の形態に係る磁気センサ101における外部磁界のX方向の成分Hxと2つのMR素子の抵抗値との関係の一例を示す特性図である。図18における横軸と縦軸は、図17と同様である。図18において、記号RAで示した曲線は、成分Hxの変化に対するMR素子10Aの抵抗値の変化を示し、記号RBで示した曲線は、成分Hxの変化に対するMR素子10Bの抵抗値の変化を示している。図18では、成分Hxが磁化MApinの方向とは反対方向に向いているときの成分Hxの大きさを正の値で表し、成分Hxが磁化MApinの方向と同じ方向に向いているときの成分Hxの大きさを負の値で表している。成分Hxの変化に対するMR素子10Cの抵抗値の変化は、成分Hxの変化に対するMR素子10Aの抵抗値の変化と同様である。成分Hxの変化に対するMR素子10Dの抵抗値の変化は、成分Hxの変化に対するMR素子10Bの抵抗値の変化と同様である。
磁気センサ101では、MR素子10A,10B,10C,10Dのそれぞれの自由層15に印加される層間結合磁界HAin,HBin,HCin,HDinによる影響が低減される。そのため、図18に示したように、成分Hxの大きさの変化に対するMR素子10A,10B,10C,10Dのそれぞれの抵抗値の変化量が、成分Hxが正の値の領域と成分Hxが負の値の領域とで、ほぼ等しくなっている。また、磁気センサ101では、比較例の磁気センサに比べて、成分Hxがゼロの近傍において成分Hxの大きさの変化に対するMR素子10A,10B,10C,10Dのそれぞれの抵抗値の変化量が大きくなっている。そのため、磁気センサ101では、比較例の磁気センサに比べて、出力信号の感度が高くなる。
以上説明したように、本実施の形態によれば、スピンバルブ型のMR素子10A,10B,10C,10Dを用いた磁気センサ101および磁気センサシステムにおいて、MR素子10A,10B,10C,10Dのそれぞれの自由層15に印加される層間結合磁界HAin,HBin,HCin,HDinによる影響を低減することができる。
また、本実施の形態に係る磁気センサ101では、MR素子10A,10B,10C,10Dは、図13に示したようにホイートストンブリッジ回路を構成している。この磁気センサ101では、第1の出力ポートE1から出力される第1の検出信号は、第1の実施の形態における1つのMR素子10の抵抗値に対応した磁気センサ1の出力信号に比べて、感度が2倍になる。同様に、第2の出力ポートE2から出力される第2の検出信号も、磁気センサ1の出力信号に比べて、感度が2倍になる。そして、第1の検出信号と第2の検出信号の差を求めることを含む演算によって生成される磁気センサ101の出力信号は、磁気センサ1の出力信号に比べて、感度が4倍になる。このように、本実施の形態によれば、第1の実施の形態に比べて、磁気センサ101の出力信号の感度を高くすることができる。
従って、本実施の形態によれば、本来的に出力信号の感度が高いホイートストンブリッジ回路構成の磁気センサ101であって、層間結合磁界HAin,HBin,HCin,HDinによる影響を低減することによって、出力信号の感度をより高めた磁気センサ101を実現することができる。
ところで、本実施の形態において、MR素子10A,10Cの各々の磁化固定層13の磁化の方向と、MR素子10B,10Dの各々の磁化固定層13の磁化の方向は、互いに反対方向である。その結果、層間結合磁界HAin,HCinの方向と、層間結合磁界HBin,HDinの方向も、互いに反対方向である。そのため、本実施の形態において、層間結合磁界HAin,HBin,HCin,HDinによる影響を低減するためには、バイアス磁界HAb,HCbの方向とバイアス磁界HBb,HDbの方向を、互いに異ならせる必要がある。本実施の形態では、磁石21A,22A,21B,22B,21C,22C,21D,22Dのそれぞれの磁化の方向を全て同じにしながら、バイアス磁界HAb,HCbの方向とバイアス磁界HBb,HDbの方向を互いに異ならせている。これは、図14および図15に示したように、第6の方向D6と第7の方向D7を、Z方向(第3の方向)に対して互いに反対方向に傾けることによって実現できる。第6の方向D6は、MR素子10Aと磁石21A,22Aが並ぶ方向であると共に、MR素子10Cと磁石21C,22Cが並ぶ方向である。第7の方向D7は、MR素子10Bと磁石21B,22Bが並ぶ方向であると共に、MR素子10Dと磁石21D,22Dが並ぶ方向である。
本実施の形態によれば、磁石21A,22A,21B,22B,21C,22C,21D,22Dを、同一方向の磁界を用いて同時に着磁することができる。そのため、本実施の形態によれば、前述のように出力信号の感度が高い磁気センサ101を容易に製造することができる。
なお、本実施の形態において、MR素子10Aに向いた磁石21A,22Aの端面、MR素子10Bに向いた磁石21B,22Bの端面、MR素子10Cに向いた磁石21C,22Cの端面、ならびにMR素子10Dに向いた磁石21D,22Dの端面は、Z方向に垂直であってもよい。
また、磁気センサ101は、MR素子10Aとバイアス磁界発生部20Aの組、MR素子10Bとバイアス磁界発生部20Bの組、MR素子10Cとバイアス磁界発生部20Cの組、ならびにMR素子10Dとバイアス磁界発生部20Dの組を、それぞれ複数備えていてもよい。この場合には、複数のMR素子10Aは直列に接続されて第1のMR素子列を構成し、複数のMR素子10Bは直列に接続されて第2のMR素子列を構成し、複数のMR素子10Cは直列に接続されて第3のMR素子列を構成し、複数のMR素子10Dは直列に接続されて第4のMR素子列を構成する。そして、第1ないし第4のMR素子列がホイートストンブリッジ回路を構成する。
本実施の形態におけるその他の構成、作用および効果は、第1の実施の形態と同様である。
[第5の実施の形態]
次に、図19および図20を参照して、本発明の第5の実施の形態について説明する。本実施の形態に係る磁気センサシステムは、第4の実施の形態に係る磁気センサ101の代わりに、本実施の形態に係る磁気センサ301を備えている。図19は、磁気センサ301の平面図である。図20は、磁気センサ301の回路図である。
以下、磁気センサ301が第4の実施の形態に係る磁気センサ101と異なる点について説明する。図19に示したように、磁気センサ301は、MR素子10A,10Bとバイアス磁界発生部20A,20Bを備えているが、MR素子10C,10Dとバイアス磁界発生部20C,20Dを備えていない。また、磁気センサ301は、磁気センサ101における2つの下部電極111,112の代わりに1つの下部電極311を備え、2つの上部電極121,122の代わりに2つの上部電極321,322を備えている。
MR素子10A,10Bは、下部電極311の上に配置されている。上部電極321は、MR素子10Aの上面に接触している。上部電極322は、MR素子10Bの上面に接触している。上部電極321は、電源ポートVを含んでいる。上部電極322は、グランドポートGを含んでいる。下部電極311は、出力ポートEを含んでいる。
MR素子10A,10Bおよびバイアス磁界発生部20A,20Bの構成と配置は、第4の実施の形態と同様である。MR素子10AとMR素子10Bは、下部電極311を介して直列に接続されている。MR素子10Aは、本発明における第1の磁気抵抗効果素子に対応する。MR素子10Bは、本発明における第2の磁気抵抗効果素子に対応する。バイアス磁界発生部20Aは、本発明における第1のバイアス磁界発生部に対応する。バイアス磁界発生部20Bは、本発明における第2のバイアス磁界発生部に対応する。従って、磁気センサ301は、1組の第1の磁気抵抗効果素子、第2の磁気抵抗効果素子、第1のバイアス磁界発生部および第2のバイアス磁界発生部を備えている。
MR素子10Aの磁化固定層13、非磁性層14、自由層15は、それぞれ本発明における第1の磁化固定層、第1の非磁性層、第1の自由層に対応する。MR素子10Bの磁化固定層13、非磁性層14、自由層15は、それぞれ本発明における第2の磁化固定層、第2の非磁性層、第2の自由層に対応する。また、磁石21A,22Aは、本発明における第1の磁石に対応する。磁石21B,22Bは、本発明における第2の磁石に対応する。
図20に示したように、MR素子10Aの一端は、電源ポートVに接続されている。MR素子10Aの他端は、出力ポートEに接続されている。MR素子10Bの一端は、出力ポートEに接続されている。MR素子10Bの他端は、グランドポートGに接続されている。MR素子10A,10Bは、ハーフブリッジ回路を構成している。
電源ポートVには、所定の大きさの電源電圧が印加される。グランドポートGはグランドに接続される。MR素子10A,10Bの各々の抵抗値は、外部磁界のX方向の成分Hxに応じて変化する。MR素子10Bの抵抗値は、MR素子10Aの抵抗値とは180°異なる位相で変化する。出力ポートEは、MR素子10A,10Bの接続点の電位に対応した信号を出力する。この信号は、外部磁界のX方向の成分Hxに応じて変化する。磁気センサ301では、出力ポートEから出力される信号は、第1の実施の形態における1つのMR素子10の抵抗値に対応した磁気センサ1の出力信号に比べて、感度が2倍になる。
バイアス磁界発生部20Aが発生するバイアス磁界HAbとバイアス磁界発生部20Bが発生するバイアス磁界HBbは、第4の実施の形態と同様である。従って、本実施の形態によれば、本来的に出力信号の感度が高いハーフブリッジ回路構成の磁気センサ301であって、層間結合磁界HAin,HBinによる影響を低減することによって、出力信号の感度をより高めた磁気センサ301を実現することができる。また、本実施の形態によれば、磁石21A,22A,21B,22Bを、同一方向の磁界を用いて同時に着磁することができる。そのため、本実施の形態によれば、前述のように出力信号の感度が高い磁気センサ301を容易に製造することができる。
なお、本実施の形態において、MR素子10Aに向いた磁石21A,22Aの端面ならびにMR素子10Bに向いた磁石21B,22Bの端面は、Z方向に垂直であってもよい。また、磁気センサ301は、MR素子10Aとバイアス磁界発生部20Aの組、ならびにMR素子10Bとバイアス磁界発生部20Bの組を、それぞれ複数備えていてもよい。この場合には、複数のMR素子10Aは直列に接続されて第1のMR素子列を構成し、複数のMR素子10Bは直列に接続されて第2のMR素子列を構成する。そして、第1および第2のMR素子列がハーフブリッジ回路を構成する。
本実施の形態におけるその他の構成、作用および効果は、第4の実施の形態と同様である。
なお、本発明は、上記各実施の形態に限定されず、種々の変更が可能である。例えば、第1ないし第3の実施の形態において、バイアス磁界発生部20は、1つの磁石によって構成されていてもよい。この場合でも、1つの磁石によって、第1の磁界成分Hb1と第2の磁界成分Hb2とを有するバイアス磁界Hbを、自由層15に対して印加することが可能である。同様に、第4および第5の実施の形態においても、複数のバイアス磁界発生部は、それぞれ1つの磁石によって構成されていてもよい。
また、スケールは、リニアスケールに限らず、円周方向に交互に配列された複数組のN極とS極を有する多極着磁磁石や、磁性材料によって構成された複数の歯を有する歯車等の回転体であってもよい。この場合には、第1の方向は、回転体の回転中心軸に垂直な断面において、回転体の外周に対する接線の方向である。
また、MR素子は、下から、下地層11、自由層15、非磁性層14、磁化固定層13、反強磁性層12および保護層16の順に積層されて構成されていてもよい。
1…磁気センサ、10…MR素子、13…磁化固定層、14…非磁性層、15…自由層、20…バイアス磁界発生部、21,22…磁石、30…スケール。
[第2の実施の形態]
次に、図8を参照して、本発明の第2の実施の形態について説明する。図8は、本実施の形態に係る磁気センサ1の平面図である。本実施の形態では、第1の実施の形態と同様に、MR素子10と磁石21,22は、第4の方向D4に並んでいる。また、磁石21の磁化M21の方向と磁石22の磁化M22の方向は、第4の方向D4に平行であり、且つ同一方向である。ただし、本実施の形態では、磁石21の端面21aと、磁石22の端面22aは、Z方向に垂直である。従って、磁石21の磁化M21の方向は、端面21aに垂直なZ方向に対して傾いており、磁石22の磁化M22の方向は、端面22aに垂直なZ方向に対して傾いている。本実施の形態においても、第1の実施の形態と同様に、磁石21,22によって、第1の磁界成分Hb1と第2の磁界成分Hb2とを有するバイアス磁界Hbを、自由層15に対して印加することができる。ただし、本実施の形態では、バイアス磁界Hbの方向は、第4の方向D4に平行になるとは限らない。
[第3の実施の形態]
次に、図9を参照して、本発明の第3の実施の形態について説明する。図9は、本実施の形態に係る磁気センサ1の平面図である。本実施の形態では、第2の実施の形態と同様に、MR素子10と磁石21,22は第4の方向D4に並び、磁石21の端面21aと磁石22の端面22aはZ方向に垂直である。ただし、本実施の形態では、磁石21の磁化M21の方向と磁石22の磁化M22の方向は、Z方向に平行であり、且つ同一方向である。

Claims (12)

  1. 外部磁界の第1の方向の成分を検出する磁気センサであって、
    磁気抵抗効果素子と、バイアス磁界発生部とを備え、
    前記磁気抵抗効果素子は、前記第1の方向に平行な方向に磁化が固定された磁化固定層と、前記外部磁界の第1の方向の成分に応じて磁化が変化する自由層と、前記磁化固定層と前記自由層の間に配置された非磁性層とを有し、
    前記磁化固定層、前記非磁性層および前記自由層は、前記第1の方向に直交する第2の方向に並ぶように積層され、
    前記自由層には、前記磁化固定層に起因して、前記第1の方向に平行な方向の層間結合磁界が印加され、
    前記バイアス磁界発生部は、前記自由層に対してバイアス磁界を印加し、
    前記バイアス磁界は、前記層間結合磁界の方向とは反対方向の第1の磁界成分と、前記第1および第2の方向に直交する第3の方向の第2の磁界成分とを有することを特徴とする磁気センサ。
  2. 前記バイアス磁界発生部は、少なくとも1つの磁石を有することを特徴とする請求項1記載の磁気センサ。
  3. 前記少なくとも1つの磁石は、前記磁気抵抗効果素子を挟むように配置された一対の磁石であることを特徴とする請求項2記載の磁気センサ。
  4. 前記少なくとも1つの磁石は、前記磁気抵抗効果素子に対して間隔を置いて配置されていることを特徴とする請求項2または3記載の磁気センサ。
  5. 前記磁気抵抗効果素子と前記少なくとも1つの磁石は、前記第1の方向と前記第3の方向の両方に対して傾いた第4の方向に並んでいることを特徴とする請求項2ないし4のいずれかに記載の磁気センサ。
  6. 前記少なくとも1つの磁石の磁化の方向は、前記第4の方向に平行であることを特徴とする請求項5記載の磁気センサ。
  7. 前記少なくとも1つの磁石の磁化の方向は、前記第3の方向に平行であることを特徴とする請求項5記載の磁気センサ。
  8. 請求項1ないし7のいずれかに記載の磁気センサと、
    前記磁気センサに対する相対的位置が前記第1の方向に変化し得るスケールとを備え、
    前記磁気センサに対する前記スケールの相対的位置が変化することによって、前記外部磁界の第1の方向の成分が変化することを特徴とする磁気センサシステム。
  9. 外部磁界の第1の方向の成分を検出する磁気センサであって、
    少なくとも1組の第1の磁気抵抗効果素子、第2の磁気抵抗効果素子、第1のバイアス磁界発生部および第2のバイアス磁界発生部を備え、
    前記第1の磁気抵抗効果素子と前記第2の磁気抵抗効果素子は、直列に接続され、
    前記第1の磁気抵抗効果素子は、前記第1の方向に平行な方向に磁化が固定された第1の磁化固定層と、前記外部磁界の第1の方向の成分に応じて磁化が変化する第1の自由層と、前記第1の磁化固定層と前記第1の自由層の間に配置された第1の非磁性層とを有し、
    前記第1の磁化固定層、前記第1の非磁性層および前記第1の自由層は、前記第1の方向に直交する第2の方向に並ぶように積層され、
    前記第1の自由層には、前記第1の磁化固定層に起因して、前記第1の方向に平行な方向の第1の層間結合磁界が印加され、
    前記第1のバイアス磁界発生部は、前記第1の自由層に対して第1のバイアス磁界を印加し、
    前記第1のバイアス磁界は、前記第1の層間結合磁界の方向とは反対方向の第1の磁界成分と、前記第1および第2の方向に直交する第3の方向の第2の磁界成分とを有し、
    前記第2の磁気抵抗効果素子は、前記第1の磁化固定層の磁化の方向とは反対方向の第5の方向に磁化が固定された第2の磁化固定層と、前記外部磁界の第1の方向の成分に応じて磁化が変化する第2の自由層と、前記第2の磁化固定層と前記第2の自由層の間に配置された第2の非磁性層とを有し、
    前記第2の磁化固定層、前記第2の非磁性層および前記第2の自由層は、前記第2の方向に並ぶように積層され、
    前記第2の自由層には、前記第2の磁化固定層に起因して、前記第1の層間結合磁界の方向とは反対方向の第2の層間結合磁界が印加され、
    前記第2のバイアス磁界発生部は、前記第2の自由層に対して第2のバイアス磁界を印加し、
    前記第2のバイアス磁界は、前記第2の層間結合磁界の方向とは反対方向の第3の磁界成分と、前記第3の方向の第4の磁界成分とを有することを特徴とする磁気センサ。
  10. 前記第1のバイアス磁界発生部は、少なくとも1つの第1の磁石を有し、
    前記第1の磁気抵抗効果素子と前記少なくとも1つの第1の磁石は、前記第1の方向と前記第3の方向の両方に対して傾いた第6の方向に並び、
    前記第2のバイアス磁界発生部は、少なくとも1つの第2の磁石を有し、
    前記第2の磁気抵抗効果素子と前記少なくとも1つの第2の磁石は、前記第1の方向と前記第3の方向の両方に対して傾いた第7の方向に並び、
    前記第6の方向と前記第7の方向は、前記第3の方向に対して互いに反対方向に傾き、
    前記少なくとも1つの第1の磁石の磁化の方向と前記少なくとも1つの第2の磁石の磁化の方向は、前記第3の方向に平行な同じ方向であることを特徴とする請求項9記載の磁気センサ。
  11. 前記少なくとも1組の第1の磁気抵抗効果素子、第2の磁気抵抗効果素子、第1のバイアス磁界発生部および第2のバイアス磁界発生部は、2組の第1の磁気抵抗効果素子、第2の磁気抵抗効果素子、第1のバイアス磁界発生部および第2のバイアス磁界発生部であり、
    前記2組における前記第1および第2の磁気抵抗効果素子は、ホイートストンブリッジ回路を構成していることを特徴とする請求項9または10記載の磁気センサ。
  12. 請求項9ないし11のいずれかに記載の磁気センサと、
    前記磁気センサに対する相対的位置が前記第1の方向に変化し得るスケールとを備え、
    前記磁気センサに対する前記スケールの相対的位置が変化することによって、前記外部磁界の第1の方向の成分が変化することを特徴とする磁気センサシステム。
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