JP2014203923A - 樹脂モールドコイル及びモールド変圧器 - Google Patents

樹脂モールドコイル及びモールド変圧器 Download PDF

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宏隆 華表
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Abstract

【課題】モールド材中の空隙欠陥の残存が少なく、長期信頼性に優れた樹脂モールドコイル及びモールド変圧器を提供する。
【解決手段】樹脂モールドコイル1は、絶縁性を有する保護フィルムを円筒状に形成した芯部2と、導体3を芯部2の外周に複数層をなすように巻き付けてなるコイルと、コイルの各層間にそれぞれ介装された筒状の層間絶縁材4と、導体3の周囲を覆うモールド材5と、を備えている。モールド材5は、液状の熱硬化性樹脂を熱硬化した硬化樹脂である。層間絶縁材4は、円筒状に形成した絶縁シートで構成されていて、コイルの各層間を絶縁している。軸方向に隣接する導体3と層間絶縁材4との間には、導体3に沿って螺旋状に連続し連続方向直角断面が略三角形状である空隙部が、導体3と層間絶縁材4とに囲まれて形成されるが、層間絶縁材4は、該空隙部に液状の熱硬化性樹脂を注入するための貫通孔を複数有している。
【選択図】図1

Description

本発明は、モールド変圧器、計器用変圧器(PT:Potential Transformer )、計器用変流器(CT:Current Transformer )等に用いられる樹脂モールドコイルに関する。また、本発明は、樹脂モールドコイルを備えるモールド変圧器に関する。
大電力を変換するためのモールド変圧器においては、エポキシ樹脂等の熱硬化性樹脂によるモールド注型が用いられている。このモールドにより、高電圧となるコイルの導体の周囲を高い絶縁耐力を持つエポキシ樹脂等の固体絶縁物で封止しているが、実際には導体の周囲に空隙欠陥が存在しないように完全に封止することは困難であり、ある程度の量の空隙欠陥が残存している。
空隙欠陥が残存する原因としては、主に以下の3点が挙げられる。
(1)高電圧・大容量となる電力機器は寸法が大きくなり、樹脂を注型させる体積も大きくなる。樹脂注型体積が大きくなれば、内部に残存するガスや水分の量が多くなり、モールド時にそれらが一箇所に凝集して空隙欠陥として残存し易くなる。
(2)大きな電位差を持つ導体間や高圧導体と接地面との間では、物理的な距離を離した状態でモールドを行う必要がある。この絶縁距離を確保するためには高圧部位を絶縁材で物理的に保持する必要があり、この絶縁材が樹脂の含浸を妨げる。
(3)導通面積を確保する目的で導体の断面形状は円形とするため、隣接する導体と絶縁材との間には、螺旋状に連続し連続方向直角断面が略三角形状である空隙部が生じる。導体は絶縁材に対して締め付けて巻き回されているため、この空隙部は殆ど密閉された状態となる上、この空隙部は樹脂注型体積に対して非常に小さい領域であるため、未含浸部として残存し易い。
空隙部内が常圧の空気であるとすれば、その絶縁特性は、ギャップ長1cmに対する絶縁破壊電圧が約30kVである。これに対して、エポキシ樹脂のバルク絶縁破壊電圧は、ギャップ長1cmに対して約400kVである。さらに、硬化したエポキシ樹脂の内部に空隙欠陥が存在すると、誘電率が小さい空隙欠陥内に電界集中が生じて、数kVでも部分放電が発生する可能性がある。部分放電が発生すると、放電による化学反応でエポキシ樹脂等の絶縁物の劣化が進行し、電気機器の長期信頼性が低下する。
このように、固体絶縁機器の絶縁信頼性確保には部分放電を発生させないことが重要であり、そのためには空隙欠陥が生じないように樹脂モールドを行うことが機器製造の要点となる。特に、モールド変圧器の場合には、変圧器の高圧導体が樹脂内に埋め込まれる構造であるため、この導体の周囲への樹脂の含浸を充分に行うことが重要となる。
一般的なモールド変圧器は、樹脂モールドコイルと鉄心とを備えている。この樹脂モールドコイルは、図8に示すように、保護フィルムを円筒状に形成した芯部102と、導体103を芯部102の外周に複数層をなすように巻き付けてなるコイルと、コイルの各層間にそれぞれ介装された筒状の層間絶縁材104と、を備えている。この層間絶縁材104は、円筒状に形成した絶縁シートで構成されている。そして、導体103の周囲がエポキシ樹脂等の熱硬化性樹脂により覆われてモールドされた構造となっている。
このような樹脂モールドコイルを製造する場合は、まず、円柱状に形成された内金型の外周面に保護フィルムを円筒状に巻き付けて芯部102を形成した後、芯部102の外周に導体103を複数層(図8の例では4層)をなすように巻き付けてコイルとする。このとき、コイルの各層間には、円筒状に形成した絶縁シートを層間絶縁材104としてそれぞれ介在させる。
その後、内金型を外金型の内側に装着し、外金型に形成された樹脂注入口から外金型内に液状(未硬化)の熱硬化性樹脂を注入する。このとき、外金型内に注入された熱硬化性樹脂は、芯部102と導体103に囲まれて形成される空隙部及び導体103と層間絶縁材104に囲まれて形成される空隙部にそれぞれ流入して、導体103の周囲に配される。そして、熱硬化性樹脂を熱硬化させて、導体103の周囲を硬化樹脂105によりモールドする。
このような方法で製造される樹脂モールドコイルは、通常、図8に示す巻き方で芯部102の外周に巻き付けられる。すなわち、図8の導体103の内部に付した数字の順に導体103を螺旋状に且つ複数層をなすように巻き付けていく巻き方である。商用周波数電圧においては、導体103の各ターンの分担電圧は均一であり、隣接するターン間で殆ど電位差は生じない。しかしながら、図8に示すような通常の巻き方では、導体103は径方向に層を有する構造となるため、折返し部分の層間(レアー間)では2層分のターン数だけ電位差を持つことになる。よって、この電位差を絶縁するために、各層の間に層間絶縁材104を介在させている。
また、導体103は、導通面積を確保するために、一般的に円形断面のものが使用される。このため、隣接する導体103と芯部102との間、及び、隣接する導体103と層間絶縁材104との間には、螺旋状に連続し連続方向直角断面が略三角形状である空隙部が生じる。液状(未硬化)の熱硬化性樹脂を注入した際に、これらの空隙部の隅部にまで熱硬化性樹脂を含浸させることは容易ではないため、熱硬化性樹脂の硬化後に空隙欠陥が残存することとなる。その結果、空隙欠陥で部分放電が発生して、層間の絶縁材を侵食していき、絶縁劣化を進行させるため、樹脂モールドコイル及びこれを用いたモールド変圧器等の電気機器の長期信頼性が低下するという問題が生じるおそれがあった。
部分放電の発生を抑制する方法としては、図9〜12に示す方法がある。図9の導体103の内部に付した数字の順に導体103を芯部102の外周に巻き付ければ、層が形成されず、隣り合う導体103の間のターン数差が小さいため、導体103の間に発生する電位差をパッシェン電圧以下に抑えることができる。よって、導体103の層間を絶縁する層間絶縁材が不要となるとともに、上記部分放電が発生することを抑制することが可能である。
また、図10に示すように、コイルの軸方向に複数のセクションを設けて、各セクション毎に複数層(図10の例では3層)を形成するように導体103を巻き付ければ、各セクションにおける一層のターン数が少なくなるため、層間に発生する電位差をパッシェン電圧以下に抑えることができる。よって、導体103の層間を絶縁する層間絶縁材が不要となるとともに、上記部分放電が発生することを抑制することが可能である。
さらに、図11に示すように、箔状の導体103をコイルの径方向に積み重ねて巻きつけることにより、近接する導体103の間にはターン間電圧しかかからない。ターン間にはシート状の絶縁材が必要になるが、層間には電位差が生じないので層間絶縁材は不要になる。
しかしながら、これら図9〜11に示す方法によれば、コイルの層間を絶縁する層間絶縁材が不要となり、上記部分放電の発生を抑制することが可能であるものの、専用の巻線機や巻線治具が必要となるため、図8に示した通常の巻き方に比べて巻線工程に時間がかかるという問題があった。
一方、図12に示すような断面角形の導体103を、図12の導体103の内部に付した数字の順に芯部102の外周に巻き付けて、樹脂モールドコイルを製造する方法がある。この方法によれば、芯部102と導体103に囲まれて形成される空隙部及び導体103と層間絶縁材104に囲まれて形成される空隙部を極めて小さくすることができる。よって、空隙欠陥の残存が抑えられ、前記部分放電の発生を抑制することが可能である。
しかしながら、図12に示す方法は、空隙部を小さくすることはできるものの、空隙欠陥の残存を完全になくすことは困難である。また、専用の巻線機が必要であることに加えて、断面角形の導体は断面円形の導体に比べて導通面積が小さいという問題もあった。
他方、導体と層間絶縁材に囲まれて形成される空隙部への液状の熱硬化性樹脂の含浸性を向上させる技術が、特許文献1に提案されている。すなわち、導体の周囲に樹脂を注入するための間隙を層間絶縁材と導体との間に形成する複数の突条が、層間絶縁材に設けられていることにより、導体と層間絶縁材の間の前記空隙部が大きく形成されるため、熱硬化性樹脂がコイルの軸方向端部から内部に向かって軸方向に含浸しやすくなっている。
このような構成により、断面円形の導体を用い、且つ、図8に示すような一般的な巻き方を採用しても(図9〜11に示すような特殊な巻き方を採用しなくても)、空隙欠陥の残存を抑えつつ樹脂モールドを行うことができる。
特開平10−233329号公報 特開平9−74027号公報
しかしながら、導体のターン数は100前後である場合もあるため、粘性の高い熱硬化性樹脂を軸方向に含浸させることにより軸方向中央部の前記空隙部に空隙欠陥が生じないように含浸させることは、容易ではなかった。また、導線を巻き付ける際の締め付け力等によって突条が変形して、熱硬化性樹脂の含浸性が低下するおそれがあった。
また、特許文献2には、樹脂モールドコイルの内外周の少なくとも一方にガラスネットを配置することにより、液状の熱硬化性樹脂の流動経路を確保して含浸性を向上させる技術が開示されている。しかしながら、この技術は、コイルの表面に気泡が残るなどの外観、美観の問題を解決するための技術であって、コイル内部の空隙部への樹脂の含浸性を向上させる技術ではない。
そこで、本発明は、上記のような従来技術が有する問題点を解決し、モールド材中の空隙欠陥の残存が少なく、長期信頼性に優れた樹脂モールドコイル及びモールド変圧器を提供することを課題とする。
前記課題を解決するため、本発明の態様は、次のような構成からなる。すなわち、本発明の一態様に係る樹脂モールドコイルは、筒状の芯部と、絶縁物で被覆された導体を前記芯部の外周に複数層をなすように巻き付けてなるコイルと、前記コイルの各層間にそれぞれ介装された筒状の層間絶縁材と、前記導体の周囲を覆うモールド材と、を備え、前記モールド材は、前記導体の周囲に配された液状の熱硬化性樹脂を熱硬化した硬化樹脂からなり、前記層間絶縁材は、前記層間絶縁材と前記導体とに囲まれて形成される空隙部に前記液状の熱硬化性樹脂を注入するための貫通孔を複数有することを特徴とする。
このような樹脂モールドコイルにおいては、前記層間絶縁材は、表裏両面を貫通する貫通孔を複数有する樹脂シートで構成してもよいし、繊維状材料を編むことにより形成され且つ表裏両面を貫通する貫通孔を複数有する網状物で構成してもよい。また、前記層間絶縁材における前記貫通孔の開口率を50%以上としてもよい。
さらに、本発明の他の態様に係るモールド変圧器は、上記樹脂モールドコイルと、前記芯部に挿通された鉄心と、を備えることを特徴とする。
本発明に係る樹脂モールドコイル及びモールド変圧器は、層間絶縁材が、層間絶縁材と導体とに囲まれて形成される空隙部に液状の熱硬化性樹脂を注入するための貫通孔を複数有しているので、モールド材中の空隙欠陥の残存が少なく、絶縁特性に優れている。
本発明に係る樹脂モールドコイルの一実施形態を示す断面図である。 樹脂モールドコイルの製造方法を説明する断面図である。 樹脂モールドコイルの製造方法を説明する断面図である。 図3の要部を拡大して示した拡大断面図である。 層間絶縁材の一例を示す図である。 層間絶縁材の他の例を示す図である。 本発明の一実施形態に係るモールド変圧器の構成例を示す一部破砕正面図である。 従来の一般的な導体の巻き方を説明する模式図である。 従来の特殊な導体の巻き方の第一例を説明する模式図である。 従来の特殊な導体の巻き方の第二例を説明する模式図である。 従来の特殊な導体の巻き方の第三例を説明する模式図である。 断面角形の導体を使用した従来例を説明する模式図である。
本発明に係る樹脂モールドコイル及びモールド変圧器の実施の形態を、図面を参照しながら詳細に説明する。図1は、本発明に係る樹脂モールドコイルの一実施形態を示す断面図である。また、図2〜4は、図1の樹脂モールドコイルの製造方法を説明する断面図である。いずれの図も、樹脂モールドコイルの軸方向に沿う平面で切断した場合の断面図である。
図1の樹脂モールドコイル1は、絶縁性を有する保護フィルムを円筒状に形成した芯部2と、導体3を芯部2の外周に複数層(図1の例では3層)をなすように巻き付けてなるコイルと、コイルの各層間にそれぞれ介装された筒状の層間絶縁材4と、導体3の周囲を覆うモールド材5と、を備えている。
この導体3は、断面円形であり、エナメル等の絶縁物の被膜3aで表面が被覆されている。また、導体3の巻き方は、図8に示す従来の一般的な巻き方と同様である。さらに、モールド材5は、エポキシ樹脂等の液状の熱硬化性樹脂を熱硬化した硬化樹脂である。
さらに、層間絶縁材4は、円筒状に形成した絶縁シートで構成されていて、コイルの各層間を絶縁している。そして、軸方向に隣接する導体3と層間絶縁材4との間には、導体3に沿って螺旋状に連続し連続方向直角断面が略三角形状である空隙部10が、導体3と層間絶縁材4とに囲まれて形成されるが、層間絶縁材4は、該空隙部10に液状の熱硬化性樹脂を注入するための貫通孔20を複数有している。空隙部10や貫通孔20については、後に詳述する。
次に、図1に示す樹脂モールドコイル1の製造方法を、図2〜4を参照しながら説明する。まず、円柱状に形成された内金型6の外周面に保護フィルムを円筒状に巻き付けて芯部2を形成した後、導体3を芯部2の外周に複数層(図2,3の例では3層)をなすように巻き付けてコイルとする。このとき、コイルの各層間には、円筒状に形成した絶縁シートを層間絶縁材4としてそれぞれ介在させる。また、導体3の巻き方は、図8に示す従来の一般的な巻き方と同様である。
各層間に層間絶縁材4を介装しつつ導体3を芯部2の外周に複数層をなすように巻き付けてコイルを形成すると、軸方向に隣接する導体3と層間絶縁材4との間に空隙部10が形成されるとともに、軸方向に隣接する導体3と芯部2との間に空隙部9が形成される。いずれの空隙部9,10も、導体3に沿って螺旋状に連続し、連続方向直角断面は略三角形状である。
次に、図3に示すように、内金型6を外金型7の内側に装着し、外金型7に形成された樹脂注入口8から外金型7内に液状(未硬化)の熱硬化性樹脂11を注入する。このとき、内金型6は、コイルの軸方向を水平にして外金型7内に装着されており、また、熱硬化性樹脂11は、コイルの上方(コイルの径方向外方)からコイルの外周面に向かって注入される。
よって、コイルの上側の外周面に落下した熱硬化性樹脂11は、図3,4において破線矢印で示すように、最外側の層間絶縁材4の貫通孔20を通ってコイルの内部に浸入し、さらに、内部各層の層間絶縁材4の貫通孔20を順次通ってコイルの径方向内側へ径方向に含浸していき、各層の空隙部10に流入する。そして、径方向最内側に至った熱硬化性樹脂11は、空隙部9に流入することとなる。
また、コイルの外周面を伝って外金型7の下部に落下した熱硬化性樹脂11は、コイルの下側の外周面に接するので、図3,4において破線矢印で示すように、最外側の層間絶縁材4の貫通孔20を通ってコイルの内部に浸入し、さらに、内部各層の層間絶縁材4の貫通孔20を順次通ってコイルの径方向内側へ径方向に含浸していき、各層の空隙部10に流入する。そして、径方向最内側に至った熱硬化性樹脂11は、空隙部9に流入することとなる。すなわち、熱硬化性樹脂11は、コイルの下側に形成されている貫通孔20を通って上方に上がっていき、コイルの径方向内側へと含浸していく。
さらに、熱硬化性樹脂11は、図3において実線矢印で示すように、コイルの軸方向端部の開口部からコイルの内部に浸入し、コイルの軸方向中央側へ軸方向に含浸していき、各層の空隙部9,10に流入する。
ただし、導体3は層間絶縁材4に対して締め付けて巻き回されており、その結果、空隙部9,10は殆ど密閉された状態となっているため、熱硬化性樹脂11は径方向に比べて軸方向には含浸しにくい。また、コイルにおける導体3の層数は3〜5程度であるのに対して、一層のターン数は100前後である場合もあるため、軸方向の含浸により熱硬化性樹脂11が軸方向中央部の空隙部9,10に至るのは容易ではない。このような理由から、多くの空隙部9,10は、貫通孔20を介した径方向の含浸によって熱硬化性樹脂11が充填される。
このように、断面円形の導体3を用い、且つ、図8に示すような一般的な巻き方を採用したとしても(図9〜11に示すような特殊な巻き方を採用しなくても)、貫通孔20を介した径方向の含浸により、導体3の周囲に液状の熱硬化性樹脂11が配され、多くの空隙部9,10において熱硬化性樹脂11が殆ど隙間なく充填された状態となる。
次に、加熱処理を行うことにより熱硬化性樹脂11を熱硬化させて、導体3の周囲をモールドする。すなわち、硬化樹脂からなるモールド材5で導体3の周囲が覆われた状態となる。このとき、上記含浸によって、多くの空隙部9,10は熱硬化性樹脂11が殆ど隙間なく充填された状態となっているので、モールド材5中に存在する空隙欠陥の量は極少量に抑えられ、ほぼ完全に封止されている。よって、部分放電の発生量が少ないので、本実施形態の樹脂モールドコイル1は長期信頼性に優れている。
この樹脂モールドコイル1は、モールド変圧器、計器用変圧器、計器用変流器等の電気機器に好適に用いることができる。特に、一次コイル側の電圧が3.3kV以上の高電圧機器に好適である。例えば、一次コイル及び二次コイルを本実施形態の樹脂モールドコイル1で構成し、それぞれのコイルの芯部2に鉄心を挿通すれば、長期信頼性に優れたモールド変圧器を得ることができる。
図7は、本発明の一実施形態に係るモールド変圧器の構成例を示す一部破砕正面図である。図7の右側の破砕部は断面図である。図7に示されるように、本発明の一実施形態に係るモールド変圧器31においては、鋼板が積層されてなる鉄心32に、樹脂モールドされた高圧導体33A及び低圧導体33Bが互いに同軸状に巻回されている。高圧導体33A及び低圧導体33Bは、絶縁性のコイル受け34を介して上フレーム35と下フレーム36とによって挟持されている。高圧導体33Aと低圧導体33Bとで構成される導体33は、3相分並べて配されている。なお、高圧導体33Aと低圧導体33Bとの間に絶縁性のスペーサ37が介装されているとともに、低圧導体33Bと鉄心32の主脚との間に絶縁性の間隙材38が介装されている。
このようなモールド変圧器31における高圧導体33A及び低圧導体33Bのうち、特に高圧導体33Aとして本実施形態の樹脂モールドコイル1を用いることにより、コイル導体の周囲で部分放電が発生することが十分に抑制されたモールド変圧器を実現することができる。
なお、層間絶縁材4を構成する絶縁シートは、以下のようにして製造してもよい。すなわち、液状の熱硬化性樹脂11を透過しない樹脂シートに、金型を用いる方法等により、表裏両面を貫通する貫通孔20を複数形成する加工を施す(図5を参照)。このような方法であれば、特殊な絶縁材を用いることなく、安価に層間絶縁材4を製造することができる。
この樹脂シートは、絶縁性を有するものであれば特に限定されるものではないが、例えば、ポリエチレンテレフタレート製のシートや、デュポン株式会社製のデュポンノーメックス紙(登録商標)を用いることができる。
また、絶縁性を有する繊維状材料22を編むことにより形成された網状物を、絶縁シートとして用いてもよい(図6を参照)。例えば、ナイロンやポリプロピレン等で構成された繊維状材料を格子状に編んだ網状物を用いてもよい。網状物の網目が「表裏両面を貫通する貫通孔」に相当するので、層間絶縁材4を構成する絶縁シートとして好適に使用することができる。網状物を用いれば、開口率は高いものの樹脂モールドコイル1の機械強度が低下することはない。
層間絶縁材4における貫通孔20の開口率は、50%以上とすることが好ましい。絶縁シートを円筒状に形成して層間絶縁材4とする際には、絶縁シートを丸め端部同士を重ねて接合する必要があるが、重なった部分において貫通孔20が閉塞して熱硬化性樹脂11の含浸性が低下しないようにするためには、開口率を50%以上とすることが好ましいからである。
さらに、液状の熱硬化性樹脂11には、充填材を添加してもよい。例えば、球状又は粉末状のシリカ等の補強材を添加すれば、モールド材5の強度を向上させることができる。充填材を添加した場合には、貫通孔20の直径は、充填材が通過可能なサイズとする必要がある。
〔実施例〕
絶縁物で被覆された導体として直径1.0mmのエナメル線を使用するとともに、絶縁シート(層間絶縁材)として厚さ188μmのポリエチレンテレフタレート製のシートを使用して、樹脂モールドコイルを作製した。2枚の絶縁シートを使用し、2層をなすように導体を巻き付けた構造のコイルとした。また、絶縁シートには、穴空け加工を施していないものと、穴空け加工を施して、開口率が50%となるように複数の貫通孔を設けたものをそれぞれ使用した。
これらの樹脂モールドコイルの放電消滅電圧を測定したところ、絶縁シートに穴空け加工を施していない方は0.6kVrmsであったのに対し、絶縁シートに穴空け加工を施してある方は1.7kVrmsであった。この結果から、後者の方が部分放電の発生量が少ないことが分かった。
また、樹脂モールドコイルを切断して、軸方向に隣接するエナメル線と絶縁シートとの間に形成される空隙部を観察したところ、空隙部の隅部まで熱硬化性樹脂が含浸していることが確認された。
1 樹脂モールドコイル
2 芯部
3 導体
3a 被膜
4 層間絶縁材
5 モールド材
9 空隙部
10 空隙部
11 熱硬化性樹脂
20 貫通孔
22 繊維状材料
31 モールド変圧器

Claims (5)

  1. 筒状の芯部と、絶縁物で被覆された導体を前記芯部の外周に複数層をなすように巻き付けてなるコイルと、前記コイルの各層間にそれぞれ介装された筒状の層間絶縁材と、前記導体の周囲を覆うモールド材と、を備え、
    前記モールド材は、前記導体の周囲に配された液状の熱硬化性樹脂を熱硬化した硬化樹脂からなり、
    前記層間絶縁材は、前記層間絶縁材と前記導体とに囲まれて形成される空隙部に前記液状の熱硬化性樹脂を注入するための貫通孔を複数有することを特徴とする樹脂モールドコイル。
  2. 前記層間絶縁材は、表裏両面を貫通する貫通孔を複数有する樹脂シートで構成されていることを特徴とする請求項1に記載の樹脂モールドコイル。
  3. 前記層間絶縁材は、繊維状材料を編むことにより形成され且つ表裏両面を貫通する貫通孔を複数有する網状物で構成されていることを特徴とする請求項1に記載の樹脂モールドコイル。
  4. 前記層間絶縁材における前記貫通孔の開口率が50%以上であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の樹脂モールドコイル。
  5. 請求項1〜4のいずれか一項に記載の樹脂モールドコイルと、前記芯部に挿通された鉄心と、を備えることを特徴とするモールド変圧器。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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