JP2014198794A - アクリル系樹脂発泡体とその製造方法 - Google Patents

アクリル系樹脂発泡体とその製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】 見かけ密度の大きさの割に、一の方向からの外圧による寸法変化が生じ難いアクリル系樹脂発泡体を製造しうるアクリル系樹脂発泡体の製造方法を提供することにある。【解決手段】 アクリル系モノマーを含む重合性モノマーが重合された重合物中に熱分解型発泡剤を含む発泡剤が分散されてなる発泡性重合体と、直方体状の内部空間を有する成形型と、を用い、前記成形型内に収容させた前記発泡性重合体を前記熱分解型発泡剤の熱分解温度以上に加熱することによりアクリル系樹脂発泡体を形成させる工程を備えており、前記工程では、前記成形型内に前記アクリル系樹脂発泡体を略充満させて直方体状のアクリル系樹脂発泡体を作製するアクリル系樹脂発泡体の製造方法であって、該成形型に収容させる前記発泡性重合体を、前記成形型との間で所定の関係を満たす直方体状とすることを特徴とするアクリル系樹脂発泡体の製造方法を提供する。【選択図】 なし

Description

本発明は、アクリル系樹脂発泡体とその製造方法に関する。
従来、アクリル系樹脂発泡体(以下、「発泡体」ともいう。)は、強度に優れるとともに軽量性、断熱性に優れていることから、表面に繊維強化プラスチックス(FRP)(炭素繊維強化プラスチック(CFRP)等)シートを積層させて、自動車のボディー、小型ボートの船体、貨物車両の保冷室の壁材、風力発電の羽、X線を透過させるためのレントゲン写真機用台などを構成するための部材として利用されている。
このようなアクリル系樹脂発泡体は、通常、下記特許文献1に示されているように、アクリル系モノマーに発泡剤となる尿素とラジカル重合開始剤とを混合した重合性溶液を作製し、該重合性溶液を型枠に流し入れ、該型枠ごと加熱して前記アクリル系モノマーを重合させた後、得られた発泡性重合体を成形型内でさらに高温に加熱することによって尿素を分解させてガス発泡させるような方法が採用されて作製されている。
特開2006−045256号公報
ところで、芯材をアクリル系樹脂発泡体とし、表面材をFRPシートとしたボードには、厚み方向において優れた強度を発揮することが要望されており、外圧による寸法変化が生じ難いことが要望されている。
このような要望に対し、アクリル系樹脂発泡体の発泡倍率を低下させて芯材の厚み方向における強度を向上させることが考えられるが、その場合にはボードの軽量性や断熱性が損なわれるおそれを有する。
なお、アクリル系樹脂発泡体は、前記のように種々の用途に利用されており、外圧による寸法変化を抑制させることが求められているのは前記芯材に限られるものではない。
また、アクリル系樹脂発泡体は、ボード状以外にも各種形状で利用されており、外圧が加えられるのは、必ずしも厚み方向に限られるものではない。
即ち、一の方向から加わる外力に対する寸法変化を抑制させる手法として見掛け密度を増大させる手法以外に特に有効な方法が確立されていないという問題は全てのアクリル系樹脂発泡体に共通する問題である。
本発明は、上記問題点に鑑み、見かけ密度の大きさの割に、一の方向からの外圧による寸法変化が生じ難いアクリル系樹脂発泡体を製造しうるアクリル系樹脂発泡体の製造方法を提供することを一の課題とし、見かけ密度の大きさの割に、一の方向からの外圧による寸法変化が生じ難いアクリル系樹脂発泡体を提供することを二の課題とする。
本発明は、アクリル系モノマーを含む重合性モノマーが重合された重合物中に熱分解型発泡剤を含む発泡剤が分散されてなる発泡性重合体と、
直方体状の内部空間を有する成形型と、を用い、
前記成形型内に収容させた前記発泡性重合体を前記熱分解型発泡剤の熱分解温度以上に加熱することによりアクリル系樹脂発泡体を形成させる工程を備えており、
前記工程では、前記成形型内に前記アクリル系樹脂発泡体を略充満させて直方体状のアクリル系樹脂発泡体を作製するアクリル系樹脂発泡体の製造方法であって、
前記成形型の縦方向、横方向、高さ方向における内寸をそれぞれBx、By、Bzとした際に、該成形型に収容させる前記発泡性重合体を下記関係式(1)及び(2)を満たす直方体状とすることを特徴とするアクリル系樹脂発泡体の製造方法にある。
(Bz/Az)/(Bx/Ax)>1.00 (1)
(Bz/Az)/(By/Ay)>1.00 (2)
(ただし、式中の「Ax」は発泡性重合体の縦方向の寸法を表し、式中の「Ay」は発泡性重合体の横方向の寸法を表し、式中の「Az」は発泡性重合体の高さ方向の寸法を表している。)
斯かるアクリル系樹脂発泡体の製造方法は、該成形型に収容させる前記発泡性重合体を上記関係式(1)及び(2)を満たす直方体状とすることにより、得られるアクリル系樹脂発泡体について、一の方向の気泡径を他の方向の気泡径に比べて大きくさせやすくなり、その結果、見かけ密度の大きさの割に、一の方向からの外圧による寸法変化が生じ難いアクリル系樹脂発泡体を製造し得るという利点を有する。
また、本発明は、一の方向における平均気泡径をHzとし、該一の方向に直交し、且つ、互いに直交しあう二つの方向のそれぞれの平均気泡径をHx、Hyとしたときに、
Hz/Hxが1.10以上であり、且つ、Hz/Hyが1.10以上であることを特徴とするアクリル系樹脂発泡体にある。
斯かるアクリル系樹脂発泡体は、Hz/Hxが1.10以上であり、且つ、Hz/Hyが1.10以上であることにより、見かけ密度の大きさの割に、一の方向からの外圧による寸法変化が生じ難いものとなるという利点を有する。
本発明によれば、一の方向からの外圧による寸法変化が生じ難いアクリル系樹脂発泡体を提供することができる。
以下、本発明の実施の形態について説明する。
まず、本実施形態のアクリル系樹脂発泡体の製造方法について説明する。
本実施形態のアクリル系樹脂発泡体の製造方法は、アクリル系モノマーを含む重合性モノマーと、熱分解型発泡剤を含む発泡剤と、重合開始剤とを含有する重合性溶液を作製する。
次に、該重合性溶液を加熱することによって前記重合性モノマーを重合させて発泡性重合体を作製する。そして、該発泡性重合体を発泡させてアクリル系樹脂発泡体(以下、「発泡体」ともいう。)を作製する。
以下、重合性溶液の構成成分について説明する。
(アクリル系モノマー)
前記アクリル系モノマーとしては、無水マレイン酸、メタクリルアミド、(メタ)アクリル酸、メタクリル酸メチル、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、無水イタコン酸、クロトン酸、アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸ラウリル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸ベンジル、アクリルアミド、マレイン酸アミド、マレイン酸イミドなどが挙げられる。
なお、本明細書における“(メタ)アクリル”との用語は、“メタクリル”と“アクリル”の何れかを意味している。
また、後述する発泡剤として尿素を用いる場合に、前記アクリル系モノマーには、尿素に対する優れた溶解性を示すことから水溶性のアクリル系モノマーを含有させることが好ましく、(メタ)アクリル酸を含有させることが好ましい。
さらに、前記アクリル系モノマーには、該アクリル系モノマーの発泡性重合体を発泡させるのに際して優れた発泡性を発揮させ得る点においてメタクリル酸メチルを含有させることが好ましい。
また、前記アクリル系モノマーとしては、得られるアクリル系樹脂発泡体に高い耐熱性を付与し得る点において、無水マレイン酸及びメタクリルアミドを含有させることが好ましい。
(アクリル系モノマー以外の重合性モノマー)
なお、上記アクリル系モノマー以外の重合性モノマーとして、上記アクリル系モノマーと共重合可能なモノマーをアクリル系樹脂発泡体の改質などを目的として重合性溶液に少量含有させることも可能である。
特に、発泡性の向上に有効となるスチレンモノマーを重合性溶液に含有させることが好ましい。
ただし、スチレンモノマーを過剰に含有させると、硬質さを損なうおそれを有することから重合性モノマーに占めるスチレンモノマーの含有量は30質量%以下とすることが好ましい。
より具体的には、本実施形態における重合性溶液は、含有される重合性モノマーの内の50〜70質量%がメタクリル酸メチルで、14〜27質量%が(メタ)アクリル酸で、10〜30質量%がスチレンであることが好ましい。
斯かる重合性溶液を用いて作製されるアクリル系樹脂発泡体は、圧縮強度に優れたものとなるという利点がある。
なお、14〜27質量%の割合で含有される(メタ)アクリル酸の内、全てをメタクリル酸としても、全てをアクリル酸としても良く、メタクリル酸とアクリル酸との両方を併せて14〜27質量%となるように重合性溶液に含有させてもよい。
ただし、後述する発泡剤として尿素を用いる場合、尿素に対する溶解性の観点からは、メタクリル酸を多く含有させることが好ましい。
また、本実施形態における重合性溶液は、無水マレイン酸及びメタクリルアミドを含有する場合には、含有される重合性モノマーの内の35〜60質量%がメタクリル酸メチルで、14〜35質量%が(メタ)アクリル酸で、10〜20質量%がスチレンで、1.0〜10質量%が無水マレイン酸で、1.0〜10質量%がメタクリルアミドであることが好ましい。無水マレイン酸及びメタクリルアミドは、少ないと耐熱性の向上効果が少なく、多いと発泡性重合体の発泡性が低下して良好な発泡体が得難くなることがあるからである。特に、このような配合を採用することで、発泡性に優れた発泡性重合体が得られ、耐熱性に優れ、硬質で強度に優れたアクリル系樹脂発泡体を得ることができ好ましい。
なお、14〜35質量%の割合で含有される(メタ)アクリル酸の内、全てをメタクリル酸としても、全てをアクリル酸としても良く、メタクリル酸とアクリル酸との両方を併せて14〜35質量%となるように重合性溶液に含有させてもよい。
ただし、後述する発泡剤として尿素を用いる場合、尿素に対する溶解性の観点からは、メタクリル酸を多く含有させることが好ましい。
(発泡剤)
発泡剤としては、熱分解型発泡剤を含む発泡剤を用いる。
前記熱分解型発泡剤は、65℃以上で分解して気体を発生するものであり、100〜180℃で分解して気体を発生するものが好ましい。
前記熱分解型発泡剤としては、尿素、尿素誘導体、ジニトロソペンタメチレンテトラミン、アミドグアニジン、トリメチレントリアミン、パラトルエンスルホンヒドラジン、アゾジカルボンアミド、チオ尿素、塩化アンモニウム、ジシアンジアミド、ジオキサン、ヘキサン、抱水クロラール、クエン酸等が挙げられる。特に尿素は、好適な発泡剤である。
前記熱分解型発泡剤は、含有量が少ないと、得られるアクリル系樹脂発泡体の発泡度が低下して軽量性を損なうおそれを有し、逆に過剰であると、重合性溶液中に熱分解型発泡剤を均一に溶解させることが困難となったり、得られるアクリル系樹脂発泡体中に熱分解型発泡剤を残存させ易くなったり、破泡を生じさせたりするおそれを有する。
このようなことから、熱分解型発泡剤は、重合性モノマーの合計量を100質量部とした場合に0.5〜30質量部となる割合で重合性溶液に含有させることが好ましく、熱分解型発泡剤が尿素である場合には、重合性モノマーの合計量を100質量部とした場合に1〜15質量部となる割合で重合性溶液に含有させることが好ましい。
熱分解型発泡剤以外のその他の発泡剤としては、沸点が65℃以上の物理発泡剤(アルコール等)を用いることができ、沸点が65℃〜180℃の物理発泡剤(アルコール等)が好ましい。具体的な例としては、イソプロパノール、シクロペンタノール、エタノール、1−プロパノール、2−メチル−2−プロパノール、2−エチル−1−ヘキサノール等のアルコールが挙げられる。物理発泡剤は、単独で用いても効果がなく、熱分解型発泡剤と併用されて効果が発揮される。使用量としては、重合性モノマーの合計量を100質量部とした場合に、熱分解型発泡剤との合計量で0.6〜30質量部となる割合で重合性溶液に含有させることが好ましい。
(重合開始剤)
前記重合開始剤としては、レドックス系重合開始剤、熱分解型開始剤、光分解型開始剤等を用いる。分解温度が高い程、重合性溶液の重合速度の調整が難しいが、重合性溶液の重合速度を調整し易いという観点から、レドックス系重合開始剤、例えば、t−ブチルハイドロパーオキサイドを用いることが好ましい。
また、上記t−ブチルハイドロパーオキサイド以外のレドックス系重合開始剤として利用可能な具体的な物質としては、クメンヒドロキシパーオキサイド、ジイソプロピルベンゼンヒドロパーオキサイド、p−メンタンヒドロパーオキサイド、1,1,3,3−テトラメチルブチルヒドロパーオキサイド等が挙げられる。
前記重合開始剤は、重合性モノマーの合計量を100質量部とした場合に、0.1〜5質量部となる割合で重合性溶液に含有されることが好ましい。
(可塑剤)
なお、本実施形態においては、前記重合性溶液には、可塑剤をさらに含有させることができる。
前記可塑剤としては、フタル酸エステル、アジピン酸エステル、トリメリット酸エステル、ポリエステル、リン酸エステル、クエン酸エステル、エポキシ化植物油、セバシル酸エステル、アゼライン酸エステル、マレイン酸エステル、安息香酸エステル、スルホン酸エステル等を用いる。
前記フタル酸エステルとしては、フタル酸ジオクチル、フタル酸ジイソノニル、フタル酸ジイソデシル、フタル酸ジブチル等が挙げられる。前記アジピン酸エステルとしては、アジピン酸ジオクチル、アジピン酸ジイソノニル、アジピン酸ジイソブチル、アジピン酸ジブチル等が挙げられる。前記トリメリット酸エステルとしては、トリメリット酸トリオクチル等が挙げられる。前記リン酸エステルとしては、リン酸トリクレシル、リン酸トリアミル、リン酸トリブチル等が挙げられる。前記クエン酸エステルとしては、アセチルクエン酸トリブチル、クエン酸トリエチル、アセチルクエン酸トリエチル等が挙げられる。前記エポキシ化植物油としては、エポキシ化大豆油、エポキシ化亜麻仁油等が挙げられる。前記スルホン酸エステルとしては、アルキルスルホン酸フェニルエステル等が挙げられ、該スルホン酸エステルの市販品としては、LANXESS社のメザモール(Mesamoll)等が挙げられる。
前記可塑剤としては、フタル酸ジオクチル、アジピン酸ジイソブチル、アセチルクエン酸トリブチル、スルホン酸エステル等が好適に用いられる。
前記可塑剤は、少ないと発泡性重合体の発泡性が不十分となることがあり、多いと得られたアクリル系樹脂発泡体の剛性が低下したり、アクリル系樹脂発泡体の気泡が粗大化したり、発泡時にアクリル系樹脂発泡体が収縮したりすることがあるので、重合性モノマーの合計量を100質量部とした場合に、0.1〜20質量部となる割合で重合性溶液に含有されることが好ましく、0.3〜10質量部がより好ましく、0.5〜5質量部が特に好ましい。
(還元剤)
なお、本実施形態においては、前記重合性溶液には、還元剤をさらに含有させることができる。
該還元剤としては、N,N−ジメチルアニリンなどの窒素含有化合物の様な、他の化合物を還元する(電子を供与する)ことのできる化合物等を用いることができる。
上記N,N−ジメチルアニリン以外の窒素含有化合物で還元剤として利用可能な具体的な物質としては、トリエチルアミンなどのアミン化合物が挙げられる。
前記還元剤は、前記重合開始剤の含有量に対して0.1〜5倍の重量割合で重合性溶液に含有されることが好ましい。
(金属イオン、塩化物イオン)
また、本実施形態においては、前記重合性溶液には、Cu+、Cu2+、Fe3+、Ag+、Pt2+、及び、Au3+からなる群より選ばれる1種以上の金属イオン、並びに、塩化物イオンをさらに含有させることができる。
前記金属イオンは、いずれも酸化還元電位が正の値のものである。
また、前記金属イオンは、重合性溶液中で、電子を授与するもの、すなわち酸化剤として、または電子を供与するもの、すなわち還元剤としての機能を発揮し、前記重合性モノマーの重合反応の促進に寄与するものである。
一方で前記塩化物イオンは、前記の金属イオンと結合や脱離することにより、前記重合性モノマーの重合反応の促進に寄与するものである。
上記の金属イオン及び塩化物イオンは、塩化銅、塩化第二鉄、塩化銀、塩化金といった形で同じ物質で両方を一度に重合性溶液に含有させるようにしてもよく別々の物質によって重合性溶液に含有させるようにしてもよい。
上記のような塩化物以外としては、例えば、臭化銅、ヨウ化銅、ステアリン酸銅、ナフテン酸銅、臭化銀などの物質によって重合性溶液に上記のような金属イオンを含有させることができる。
なお、銅、銀、金については、上記のような塩ではなく、金属そのもの、或いは、合金によってそのイオンを重合性溶液に含有させることができる。
例えば、銅、銅合金(コンスタンタン:銅/ニッケル合金、真鍮:銅/亜鉛合金)、銀、金からなる微粒子、線、メッシュなどを重合性溶液中に混入させることによってこれらのイオンを重合性溶液に含有させることができる。
なお、塩化物イオンを重合性溶液に含有させるための具体的な物質としては、例えば、塩化ナトリウム、塩酸などの他に、1,3−ジメチルイミダゾリウムクロライド、1−ブチル−3−メチルイミダゾリウムクロライド、1−ブチル−2,3−ジメチルイミダゾリウムクロライド、1−エチル−3−メチルイミダゾリウムクロライド、1−メチル−3−n−オクチルイミダゾリウムクロライド、1−メチル−1−ヒドロキシエチル−2−牛脂アルキル−イミダゾニウムクロライドなどのイミダゾリウム塩型の界面活性剤、ヘキサトリメチルアンモニウムクロライド、ドデシルリルトリメチルアンモニウムクロライド、ステアリルトリメチルアンモニウムクロライド、ヤシアルキルトリメチルアンモニウムクロライド、牛脂アルキルトリメチルアンモニウムクロライド、ベヘニルトリメチルアンモニウムクロライド、ポリジアリルジメチルアンモニウムクロライド、ジアルキルジメチルアンモニウムクロライド、セチルトリメチルアンモニウムクロライド、ラウリルトリメチルアンモニウムクロライドなどの第4級アンモニウム塩型の界面活性剤などが挙げられる。
なお、塩化物イオンを重合性溶液に含有させるための具体的な物質としては、塩化ナトリウム、塩酸、及び、ヘキサトリメチルアンモニウムクロライド、ジアルキルジメチルアンモニウムクロライド、セチルトリメチルアンモニウムクロライド、ラウリルトリメチルアンモニウムクロライドのいずれかであることが好ましく、特に、セチルトリメチルアンモニウムクロライドを採用することが好ましい。
これらの塩化物イオン含有物質を重合性溶液に含有させる場合には、通常、重合性溶液中の重合性モノマーの合計量を100質量部とした場合に0.005〜5質量部となる割合で含有させることができる。
また、前記金属イオンを重合性溶液に含有させるための具体的な物質としては、塩化銀、塩化銅、ステアリン酸銅、ナフテン酸銅、塩化第二鉄、又は、銅(銅粒子や銅線)が好ましい。
これらを重合性溶液に含有させる場合には、通常、重合性溶液中の重合性モノマーの合計量を100質量部とした場合に1×10-10〜1×10-2質量部となる割合で含有させることができる。
(脱水剤)
さらに、本実施形態においては、前記重合性溶液には、脱水剤をさらに含有させることができる。
該脱水剤としては、無水硫酸ナトリウムや無水硫酸マグネシウム等の硫酸塩、モレキュラーシーブ等のゼオライトが好ましく用いることができる。脱水剤の重合性溶液における含有量は、例えば、重合性溶液中の重合性モノマーの合計量を100質量部とした場合に0.01〜50質量部となる割合で含有させることが好ましい。このような脱水剤は重合性溶液の調製時に混合攪拌して溶液中の水分を脱水した後、ろ過除去することが望ましい。
(アクリル系樹脂発泡体)
また、本実施形態においては、前記重合性溶液には、前記重合性モノマーと同一或いは異なる重合性モノマーの発泡性重合体を発泡させてなるアクリル系樹脂発泡体をさらに含有させることができる。
前記アクリル系樹脂発泡体は、前記重合性溶液中の重合性モノマーの重合反応の促進に寄与するものである。
前記アクリル系樹脂発泡体は、前記重合性溶液中の重合性モノマーの合計量を100質量部とした場合に、好ましくは0.1〜20質量部、より好ましくは1〜15質量部、さらにより好ましくは5〜10質量部となる割合で重合性溶液に含有される。
前記重合性溶液は、重合性モノマーの合計量100質量部に対して前記アクリル系樹脂発泡体が20質量部以下であることにより、該前記アクリル系樹脂発泡体が重合性モノマーに均一に溶解されやすくなるという利点を有する。また、前記重合性溶液は、重合性モノマーの合計量100質量部に対して前記アクリル系樹脂発泡体が0.1質量部以上であることにより、前記重合性溶液中の重合性モノマーの重合が促進されるという利点を有する。
本実施形態のアクリル系樹脂発泡体の製造方法では、上述した構成成分を含有する重合性溶液を作製し、該重合性溶液に含有される重合性モノマーを重合させて発泡性重合体を得る。該発泡性重合体は、アクリル系モノマーを含む重合性モノマーが重合された重合物中に熱分解型発泡剤を含む発泡剤が分散されてなる。
また、本実施形態のアクリル系樹脂発泡体の製造方法では、前記発泡性重合体と、直方体状の内部空間を有する成形型と、を用い、前記成形型内に収容させた前記発泡性重合体を前記熱分解型発泡剤の熱分解温度以上に加熱することによりアクリル系樹脂発泡体を形成させる工程を実施する。前記工程では、前記成形型内に前記アクリル系樹脂発泡体を略充満させて直方体状のアクリル系樹脂発泡体を作製する。
前記工程は、前記発泡性重合体を前記熱分解型発泡剤の熱分解温度以上に加熱して該発泡性重合体の発泡を開始させて前記成形型内にアクリル系樹脂発泡体を形成させる第1の工程と、前記加熱を継続することにより前記アクリル系樹脂発泡体の見かけ上の体積を増大させて前記成形型内に前記アクリル系樹脂発泡体を略充満させる第2の工程と、を実施して前記成形型の内部空間に対応する形状を有するアクリル系樹脂発泡体を作製する。
前記第2の工程では、該第2の工程の完了前において前記アクリル系樹脂発泡体の体積の増大方向が一方向となるように実施する。この実施により、該方向における気泡の平均長さが、該方向に直交する平面における平均気泡径よりも長いアクリル系樹脂発泡体を作製することができる。
具体的には、前記工程では、前記成形型の縦方向、横方向、高さ方向における内寸をそれぞれBx、By、Bzとした際に、該成形型に収容させる前記発泡性重合体を下記関係式(1)及び(2)を満たす直方体状とする。
(Bz/Az)/(Bx/Ax)>1.00 (1)
(Bz/Az)/(By/Ay)>1.00 (2)
(ただし、式中の「Ax」は発泡性重合体の縦方向の寸法を表し、式中の「Ay」は発泡性重合体の横方向の寸法を表し、式中の「Az」は発泡性重合体の高さ方向の寸法を表している。)
(Bz/Az)/(Bx/Ax)は、1.10〜3.00にすることが好ましく、1.20〜1.40にすることがより好ましい。
また、(Bz/Az)/(By/Ay)は、1.10〜3.00にすることが好ましく、1.20〜1.40にすることがより好ましい。
本実施形態のアクリル系樹脂発泡体の製造方法は、該成形型に収容させる前記発泡性重合体を上記関係式(1)及び(2)を満たす直方体状とすることにより、得られるアクリル系樹脂発泡体について、一の方向の気泡径を他の方向の気泡径に比べて大きくさせやすくなり、その結果、見かけ密度の大きさの割に、一の方向からの外圧による寸法変化が生じ難いアクリル系樹脂発泡体を製造し得るという利点を有する。
また、本実施形態のアクリル系樹脂発泡体の製造方法は、前記発泡性重合体を前記成形型に配する際に、前記成形型の内寸の縦方向、横方向、及び、高さ方向に、前記発泡性重合体の縦方向、横方向、及び、高さ方向がそれぞれ平行となるようにすることが好ましい。
さらに、本実施形態のアクリル系樹脂発泡体の製造方法は、前記発泡性重合体を前記成形型に配する際に、前記成形型の内部空間の底面の略中心に前記発泡性重合体の底面の中心が位置するようにすることが好ましい。
次に、本実施形態に係るアクリル系樹脂発泡体について説明する。
本実施形態に係るアクリル系樹脂発泡体は、気泡の大部分が一の方向に伸びており、この一の方向が、アクリル系樹脂発泡体に外圧がかかる方向である。
また、本実施形態に係るアクリル系樹脂発泡体は、一の方向における平均気泡径をHzとし、該一の方向に直交し、且つ、互いに直交しあう二つの方向のそれぞれの平均気泡径をHx、Hyとしたときに、Hz/Hxが1.10以上であり、且つHz/Hyが1.10以上である。本実施形態に係るアクリル系樹脂発泡体は、Hz/Hxが1.10以上であり、且つHz/Hyが1.10以上であることにより、見かけ密度の大きさの割に、該一の方向からの外圧による寸法変化が生じ難いものとなるという利点を有する。
なお、Hx、Hy、及び、Hzは、以下のようにして求める。
まず、アクリル系樹脂発泡体について、重心を含むように10mm×10mm×10mm角を切り出す。なお、アクリル系樹脂発泡体が、10mm×10mm×10mm角を切り出すことができない程小さい場合には、極力大きく切り出す。
そして、走査型電子顕微鏡(たとえば、日立製作所社製の「S−3000N」)を用いて、18〜100倍に拡大して、一の方向、及び、該一の方向に直交し、且つ、互いに直交しあう二つの方向の切断面を撮影し、撮影した切断面の画像をそれぞれA4用紙上に印刷する。このとき、印刷した写真の上に描いた60mmの直線上に気泡数が10個以上となる様に、前記の電子顕微鏡での拡大倍率を調整し、撮影した切断面の画像はA4用紙上に4画像ずつ印刷する。
次に、一の方向の切断面を撮影した画像において、該一の方向に直交し、且つ、互いに直交しあう二つの方向(第1の他の方向、及び、第2の他の方向)について任意の線分(長さ60mm)をそれぞれ6箇所引き、この線分に重なる気泡の数から、線分ごとの平均弦長を次式によって算出する。ただし、線分は、できる限り気泡が接点のみで接しないように引き、接してしまった場合には、気泡数に含めることとする。
平均弦長(t) = 線分の長さ/(気泡数×写真の倍率)
なお、写真の倍率は写真上のスケールバーをMitutoyo Corporation製「デジマチックキャリパ」にて1/100mmまで計測し、次式より求める。
写真倍率 = スケールバー実測値(mm)/スケールバーの表示値(mm)
そして、次式により気泡径Dを算出する。
D = t/0.616
また、前記第1の他の方向の切断面を撮影した画像についても同様に、前記一の方向及び前記第2の他方向について任意の線分(長さ60mm)をそれぞれ6箇所引き、気泡径を求める。
さらに、前記第2の他の方向の切断面を撮影した画像についても同様に、前記一の方向及び前記第1の他方向について任意の線分(長さ60mm)をそれぞれ6箇所引き、気泡径を求める。
そして、線分ごとに求めた気泡径Dから方向ごとの気泡径の相乗平均値を求め、この相乗平均値を各方向の気泡径(Hz、Hy、及び、Hz)とする。なお、この得られた相乗平均値のうち最大値をHzとし、それ以外の相乗平均値をHx、Hyとする。
また、本実施形態に係るアクリル系樹脂発泡体については、平均気泡径(全体の平均気泡径)が細かいほど良いが、現状では、0.3mm未満の平均気泡径(全体の平均気泡径)の安定的な形成が難しい。また、アクリル系樹脂発泡体を接着剤を介して他の部材(FRPシート(CFRPシート等)等)に接着させる場合(複合化させる場合)には、ボイドに入り込む接着剤の使用量を抑制できるという観点から、平均気泡径(全体の平均気泡径)が1.3mm以下であることが好ましく、1.0mm以下であることがより好ましい。
なお、アクリル系樹脂発泡体の平均気泡径(全体の平均気泡径)については、方向ごとに求めた気泡径から相乗平均値を求め、この相乗平均値をアクリル系樹脂発泡体の平均気泡径(全体の平均気泡径)とする。
さらに、本実施形態に係るアクリル系樹脂発泡体は、軽量性の観点から見かけ密度が0.15g/cm3 以下であることが好ましく、0.12g/cm3以下であることがより好ましい。一方で、機械強度の観点から見かけ密度が0.03g/cm3 以上であることが好ましく、0.04g/cm3 以上であることがより好ましい。
なお、見かけ密度は、後述する実施例に記載の方法により測定する。
尚、本実施形態に係るアクリル系樹脂発泡体の製造方法、及び、アクリル系樹脂発泡体は、上記構成により、上記利点を有するものであったが、本発明のアクリル系樹脂発泡体の製造方法、及び、アクリル系樹脂発泡体は、上記構成に限定されず、適宜設計変更可能である。
次に、実施例、及び、比較例を挙げて本発明についてさらに具体的に説明する。
(評価)
アクリル系樹脂発泡体について各種の評価を行った事例を示す。
まず、発泡性重合体、及び、アクリル系樹脂発泡体に対する評価方法について説明する。
(発泡性重合体の密度)
発泡性重合体に割れが生じないよう切断した10cm3 以上の試験片について、その質量を測定し、次式により密度を算出した。
密度(g/cm3 )=試験片質量(g)/試験片体積(cm3
(アクリル系樹脂発泡体の各方向の平均気泡径、及び、全体の平均気泡径)
発泡体を厚み方向に5等分した3枚目(5等分したもののうちの真ん中の部分)について、発泡体の重心を含むように10mm×10mm×10mm角を切り出した。走査型電子顕微鏡(日立製作所社製「S−3000N」)を用いて18倍に拡大して長さ方向、幅方向、及び、高さ方向の切断面を撮影し、撮影した切断面の画像をそれぞれA4用紙上に4画像ずつ印刷した。
次に、長さ方向の切断面を撮影した画像において、幅方向及び高さ方向について任意の線分(長さ60mm)をそれぞれ6箇所引き、この線分に重なる気泡の数から、線分ごとの平均弦長を次式によって算出した。ただし、線分は、できる限り気泡が接点のみで接しないように引き、接してしまった場合には、気泡数に含めることとした。
平均弦長(t) = 線分の長さ/(気泡数×写真の倍率)
なお、写真の倍率は写真上のスケールバーをMitutoyo Corporation製「デジマチックキャリパ」にて1/100mmまで計測し、次式より求めた。
写真倍率 = スケールバー実測値(mm)/スケールバーの表示値(mm)
そして、次式により気泡径Dを算出した。
D = t/0.616
また、幅方向の切断面を撮影した画像についても同様に、長さ方向及び高さ方向について任意の線分(長さ60mm)をそれぞれ6箇所引き、気泡径を求めた。
さらに、高さ方向の切断面を撮影した画像についても同様に、長さ方向及び幅方向について任意の線分(長さ60mm)をそれぞれ6箇所引き、気泡径を求めた。
そして、線分ごとに求めた気泡径Dから方向ごとの気泡径の相乗平均値を求め、この相乗平均値を各方向の気泡径とした。
また、方向ごとに求めた気泡径から相乗平均値を求め、この相乗平均値をアクリル系樹脂発泡体の平均気泡径(全体の平均気泡径)とした。
(アクリル系樹脂発泡体の見かけ密度)
アクリル系樹脂発泡体の見かけ密度は、JIS K 7222:2005「発泡プラスチック及びゴム−見掛け密度の求め方」に記載の方法に準拠で測定した。
すなわち、発泡体の成形後72時間以上経過した試料から試験片を長さ25mm×幅25mm×厚み25mmに材料の元の気泡の構造を変えない様に切断し、該試験片を温度23±2℃、湿度50±5%の雰囲気条件下に16時間以上放置し、その後、該試験片の質量を測定し、次式により算出した。
見かけ密度(kg/m3 )=試験片質量(g)/試験片体積(mm3 )×106
なお、寸法の測定には、Mitutoyo Corporation製 「DIGIMATIC」CD-15タイプを用いた。
(アクリル系樹脂発泡体の圧縮強さ、5%圧縮時強さ、及び、圧縮弾性率)
JIS K 7220:2006「硬質発泡プラスチック−圧縮特性の求め方」に記載の方法に準拠して測定した。
すなわち、テンシロン万能試験機UCT−10T((株)オリエンテック製)、万能試験機データ処理(UTPS−237Sソフトブレーン(株)製)を用いて、試験体サイズは断面50mm×50mm厚み50mmで圧縮速度を5mm/minとして10%圧縮までの圧縮強さσmを測定した。試験片の数は3個とする。
試験片は、温度23±2℃、湿度50±5%の環境下で16時間以上状態調節した後、測定を行った。
なお、寸法の測定には、Mitutoyo Corporation製 「DIGIMATIC」CD-15タイプを用いた。
圧縮強さσmは次式により算出する。
σm= Fm/A0×103
σm : 圧縮強さ(kPa)
Fm : 変形率10%以内に到達した最大の力(N)
A0 : 試験片の初めの断面積(mm2
5%圧縮時強さσ5は次式により算出する。
σ5= F5/A0×103
σ5 : 5%圧縮時強さ(kPa)
F5 : 変形率5%に到達した時の力(N)
A0 : 試験片の初めの断面積(mm2
圧縮弾性率は、荷重−変形曲線の始めの直線部分を用いて次式により計算する。
E= Δσ/Δε
E : 圧縮弾性率(kPa)
Δσ: 直線上の2点間の応力の差(kPa)
Δε: 同じ2点間の変形の差(%)
(実施例1)
メタクリル酸メチル60質量%、メタクリル酸20質量%、スチレン20質量%からなる重合性モノマー100質量部に対して、発泡剤としての尿素(熱分解温度:132.7℃)5質量部を混合し、且つ、均一に溶解させてモノマー溶液を作製した。
さらに、重合性モノマー100質量部に対して、重合開始剤としてのt−ブチルヒドロパーオキサイド(日油社製「パーブチルH−69」)0.48質量部、還元剤としてのN,N−ジメチルアニリン0.48質量部、塩化物イオン添加用物質としてのヘキサトリメチルアンモニウムクロライド(日油社製「ニッサンカチオンPB−300」)0.06質量部を前記モノマー溶液に加えて、これらを撹拌し、重合性溶液を作製した。
重合性溶液1000gを300mm(縦)×120mm(横)×30mm(高さ)の内法を有するガラス製の直方体状の型枠に入れた。そして、重合性溶液を型枠ごと恒温槽に入れ、50℃で10時間加熱することにより発泡性重合体(密度:1.15g/cm3 )を得た。この時、発泡性重合体が硬化していることが確認された。
その後、得られた発泡性重合体を159mm(縦)×106mm(横)×25mm(高さ)に切り出し、300mm(縦)×200mm(横)×70mm(高さ)の内法を有する成形型たる金型に入れ、発泡性重合体を金型ごと熱風循環炉に入れ、170℃で30分加熱することによりアクリル系樹脂発泡体(見かけ密度:0.115g/cm3 )を得た。なお、前記発泡性重合体を前記金型に配する際に、前記金型の内寸の縦方向、横方向、及び、高さ方向に、前記発泡性重合体の縦方向、横方向、及び、高さ方向がそれぞれ平行となるようにし、更に、前記成形型の内部空間の底面の略中心に前記発泡性重合体の底面の中心が位置するようにした。
(実施例2〜3、及び、比較例1〜2)
実施例1と同様にして得られた発泡性重合体を表1に示す寸法に切り出したこと以外は、実施例1と同様にしてアクリル系樹脂発泡体を得た。
試験結果を表1に示す。
Figure 2014198794
表1に示すように、本発明の範囲内である実施例2のアクリル系樹脂発泡体は、発泡倍率が同程度であり、Hz/Hx及びHz/Hyを1.10未満にして作製した比較例1のアクリル系樹脂発泡体に比べて、圧縮強さ、5%圧縮時強さ、及び、圧縮弾性率が大きかった。
また、本発明の範囲内である実施例3のアクリル系樹脂発泡体は、発泡倍率が同程度であり、Hz/Hx及びHz/Hyを1.10未満にして作製した比較例2のアクリル系樹脂発泡体に比べて、圧縮強さ、5%圧縮時強さ、及び、圧縮弾性率が大きかった。
従って、本発明によれば、従来に比べて、見かけ密度の大きさの割に、圧縮されても寸法変化が生じ難いアクリル系樹脂発泡体を提供できることがわかる。

Claims (8)

  1. アクリル系モノマーを含む重合性モノマーが重合された重合物中に熱分解型発泡剤を含む発泡剤が分散されてなる発泡性重合体と、
    直方体状の内部空間を有する成形型と、を用い、
    前記成形型内に収容させた前記発泡性重合体を前記熱分解型発泡剤の熱分解温度以上に加熱することによりアクリル系樹脂発泡体を形成させる工程を備えており、
    前記工程では、前記成形型内に前記アクリル系樹脂発泡体を略充満させて直方体状のアクリル系樹脂発泡体を作製するアクリル系樹脂発泡体の製造方法であって、
    前記成形型の縦方向、横方向、高さ方向における内寸をそれぞれBx、By、Bzとした際に、該成形型に収容させる前記発泡性重合体を下記関係式(1)及び(2)を満たす直方体状とすることを特徴とするアクリル系樹脂発泡体の製造方法。
    (Bz/Az)/(Bx/Ax)>1.00 (1)
    (Bz/Az)/(By/Ay)>1.00 (2)
    (ただし、式中の「Ax」は発泡性重合体の縦方向の寸法を表し、式中の「Ay」は発泡性重合体の横方向の寸法を表し、式中の「Az」は発泡性重合体の高さ方向の寸法を表している。)
  2. 前記重合性モノマーとして、メタクリル酸メチル50〜70質量%、(メタ)アクリル酸14〜27質量%、及び、スチレン10〜30質量%を含有する重合性モノマーを用いる請求項1に記載のアクリル系樹脂発泡体の製造方法。
  3. 前記重合性モノマーとして、メタクリル酸メチル35〜60質量%、(メタ)アクリル酸14〜35質量%、スチレン10〜20質量%、無水マレイン酸1.0〜10質量%、及び、メタクリルアミド1.0〜10質量%を含有する重合性モノマーを用いる請求項1に記載のアクリル系樹脂発泡体の製造方法。
  4. 一の方向における平均気泡径をHzとし、該一の方向に直交し、且つ、互いに直交しあう二つの方向のそれぞれの平均気泡径をHx、Hyとしたときに、
    Hz/Hxが1.10以上であり、且つ、Hz/Hyが1.10以上であることを特徴とするアクリル系樹脂発泡体。
  5. アクリル系モノマーを含む重合性モノマーと、熱分解型発泡剤を含む発泡剤と、重合開始剤とを含有する重合性溶液を作製し、前記重合性モノマーを重合させた後、前記重合によって得られた発泡性重合体を発泡させて得られ、
    前記重合性モノマーが、メタクリル酸メチル50〜70質量%、(メタ)アクリル酸14〜27質量%、及び、スチレン10〜20質量%を含有する請求項4に記載のアクリル系樹脂発泡体。
  6. アクリル系モノマーを含む重合性モノマーと、熱分解型発泡剤を含む発泡剤と、重合開始剤とを含有する重合性溶液を作製し、前記重合性モノマーを重合させた後、前記重合によって得られた発泡性重合体を発泡させて得られ、
    前記重合性モノマーが、メタクリル酸メチル35〜60質量%、(メタ)アクリル酸14〜35質量%、スチレン10〜20質量%、無水マレイン酸1.0〜10質量%、及び、メタクリルアミド1.0〜10質量%を含有する請求項4に記載のアクリル系樹脂発泡体。
  7. 平均気泡径が0.3〜1.3mmである請求項4〜6の何れか1項に記載のアクリル系樹脂発泡体。
  8. 見かけ密度が0.03〜0.15g/cm3である請求項4〜7の何れか1項に記載のアクリル系樹脂発泡体。
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