図1は、第1の実施形態に係るX線CT装置の構成例を示す図である。
図2は、投影像データを説明するための図である。
図3は、第1の実施形態に係る投影像生成部の処理の一例を示す図(1)である。
図4は、第1の実施形態に係る投影像生成部の処理の一例を示す図(2)である。
図5は、第1の実施形態に係るX線CT装置の処理の一例を説明するためのフローチャートである。
図6は、第1の実施形態に係る変形例を説明するための図(1)である。
図7は、第1の実施形態に係る変形例を説明するための図(2)である。
図8は、第1の実施形態に係る変形例を説明するための図(3)である。
図9は、第1の実施形態に係る変形例を説明するための図(4)である。
図10は、第1の実施形態に係る変形例を説明するための図(5)である。
図11は、第2の実施形態を説明するための図(1)である。
図12は、第2の実施形態を説明するための図(2)である。
図13は、第3の実施形態を説明するための図(1)である。
図14は、第3の実施形態を説明するための図(2)である。
図15は、第3の実施形態に係るX線CT装置の処理の一例を説明するためのフローチャートである。
図16は、第4の実施形態を説明するための図(1)である。
図17は、第4の実施形態を説明するための図(2)である。
図18は、第4の実施形態を説明するための図(3)である。
図19は、第4の実施形態を説明するための図(4)である。
図20は、第4の実施形態に係るX線CT装置の処理の一例を説明するためのフローチャートである。
図21は、第5の実施形態を説明するための図(1)である。
図22は、第5の実施形態を説明するための図(2)である。
図23は、第5の実施形態を説明するための図(3)である。
図24は、第5の実施形態を説明するための図(4)である。
図25は、第5の実施形態を説明するための図(5)である。
図26は、第5の実施形態を説明するための図(6)である。
図27は、第6の実施形態で行なわれる表示モードの切り替え処理を受け付ける入力装置の一例を説明するための図である。
図28は、第6の実施形態で行なわれる表示モードの切り替え処理を受け付ける入力装置の他の一例を説明するための図である。
図29は、第6の実施形態に係るX線CT装置の処理の一例を説明するためのフローチャートである。
以下、添付図面を参照して、X線CT(CT:Computed Tomography)装置の実施形態を詳細に説明する。
(第1の実施形態)
まず、第1の実施形態に係るX線CT装置の構成について説明する。図1は、第1の実施形態に係るX線CT装置の構成例を示す図である。図1に示すように、第1の実施形態に係るX線CT装置は、架台装置10と、寝台装置20と、コンソール装置30とを有する。
架台装置10は、被検体PにX線を照射し、被検体Pを透過したX線の検出データから投影データを収集する装置であり、X線照射制御部11と、X線発生装置12と、X線検出器13と、収集部14と、回転フレーム15と、架台駆動部16とを有する。
回転フレーム15は、後述するX線管球12aを有するX線発生装置12とX線検出器13とを被検体Pの周囲で回転可能に支持する。回転フレーム15は、X線発生装置12とX線検出器13とを被検体Pを挟んで対向支持し、後述する架台駆動部16によって被検体Pを中心した円軌道にて高速に回転する円環状のフレームである。
X線発生装置12は、X線を発生し、発生したX線を被検体Pへ照射する装置であり、X線管球12aと、ウェッジ12bと、コリメータ12cとを有する。
X線管球12aは、X線を曝射する。具体的には、X線管球12aは、後述するX線照射制御部11により供給される高電圧により被検体PにX線ビームを発生する真空管である。X線管球12aは、回転フレーム15の回転にともない、X線ビームを被検体Pに対して曝射する。X線管球12aは、ファン角及びコーン角を持って広がるX線ビームを発生する。
ウェッジ12bは、X線管球12aから曝射されたX線のX線量を調節するためのX線フィルタである。コリメータ12cは、後述するX線照射制御部11の制御により、ウェッジ12bによってX線量が調節されたX線の照射範囲を絞り込むためのスリットである。
X線照射制御部11は、高電圧発生部として、X線管球12aに高電圧を供給する装置であり、X線管球12aは、X線照射制御部11から供給される高電圧を用いてX線を発生する。X線照射制御部11は、X線管球12aに供給する管電圧や管電流を調整することで、被検体Pに対して照射されるX線量を調整する。また、X線照射制御部11は、コリメータ12cの開口度を調整することにより、X線の照射範囲(ファン角やコーン角)を調整する。
X線照射制御部11の制御により、X線管球12aは、フル再構成用に被検体Pの全周囲でX線を連続曝射したり、ハーフ再構成用にハーフ再構成可能な曝射範囲(180度+ファン角)でX線を連続曝射したりすることが可能である。また、X線照射制御部11の制御により、X線管球12aは、予め設定された位置(管球位置)でX線(パルスX線)を間欠曝射したりすることが可能である。また、X線照射制御部11は、X線管球12aから曝射されるX線の強度を変調させることも可能である。例えば、X線照射制御部11は、特定の管球位置では、X線管球12aから曝射されるX線の強度を強くし、特定の管球位置以外の範囲では、X線管球12aから曝射されるX線の強度を弱くする。ここで、管球位置とは、被検体Pを中心した円軌道におけるX線管球12aの位置を示す。以下では、図1に示すX線管球12aの位置(管球位置、管球角度)を「0度(360度)」と定義する。また、以下では、管球位置(管球角度)を、図1に示す回転フレーム15の周方向に沿って時計周りに「0度、・・・、90度、・・・、180度、・・・、270度、・・・、360度」と定義する。
架台駆動部16は、回転フレーム15を回転駆動させることによって、被検体Pを中心とした円軌道上でX線発生装置12とX線検出器13とを旋回させる。
X線検出器13は、X線管球12aから曝射され被検体Pを透過したX線を検出する。具体的には、X線検出器13は、2次元状に配列されたX線検出素子により、X線管球12aから曝射されて被検体Pを透過したX線を検出する。図1に示すX線検出器13は、被検体Pを透過したX線の強度分布を示すX線強度分布データを出力する2次元アレイ型検出器(面検出器)である。X線検出器13には、チャンネル方向(図1に示すY軸方向)に配列された複数のX線検出素子(検出素子列)が、被検体Pの体軸方向(図1に示すZ軸方向)に沿って複数列配列される。例えば、X線検出器13は、被検体Pの体軸方向に沿って320列に配列された検出素子列を有し、被検体Pを透過したX線強度分布データを広範囲に検出する。
収集部14は、DAS(data acquisition system)であり、X線検出器13が検出したX線の検出データから、投影データを収集する。例えば、収集部14は、X線検出器13により検出されたX線強度分布データに対して、増幅処理やA/D変換処理、チャンネル間の感度補正処理等を行なって投影データを生成し、生成した投影データを後述するコンソール装置30に送信する。例えば、回転フレームの回転中に、X線管球12aからX線が連続曝射されている場合、収集部14は、全周囲分(360度分)の投影データ群を収集する。また、収集部14は、収集した各投影データに管球位置を対応付けて、後述するコンソール装置30に送信する。管球位置は、投影データの投影方向を示す情報となる。なお、チャンネル間の感度補正処理は、後述する前処理部34が行なっても良い。
寝台装置20は、被検体Pを載せる装置であり、天板22と、寝台駆動装置21とを有する。天板22は、被検体Pが載置される板である。寝台駆動装置21は、後述するスキャン制御部33の制御のもと、天板22をZ軸方向へ移動することにより、被検体Pを回転フレーム15内(撮影空間内)に移動させる。
架台装置10は、例えば、天板22を移動させながら回転フレーム15を回転させて被検体Pをらせん状にスキャンするヘリカルスキャンを実行する。又は、架台装置10は、天板22を移動させた後に被検体Pの位置を固定したままで回転フレーム15を回転させて被検体Pを円軌道にてスキャンするコンベンショナルスキャンを実行する。又は、架台装置10は、天板22の位置を一定間隔で移動させてコンベンショナルスキャンを複数のスキャンエリアで行なうステップアンドシュート方式を実行する。
コンソール装置30は、操作者によるX線CT装置の操作を受け付けるとともに、架台装置10によって収集されたX線検出データからX線CT画像データを再構成する装置であり、入力装置31と、表示装置32と、スキャン制御部33と、前処理部34と、投影データ記憶部35と、画像生成部36と、画像記憶部37と、制御部38とを有する。
入力装置31は、X線CT装置の操作者が各種指示や各種設定の入力に用いるマウスやキーボード、ボタン、ペダル(フットスイッチ)等を有し、操作者から受け付けた指示や設定の情報を、制御部38に転送する。
表示装置32は、操作者が参照するモニタであり、制御部38による制御のもと、X線CT画像データを操作者に表示したり、入力装置31を介して操作者から各種指示や各種設定等を受け付けるためのGUI(Graphical User Interface)を表示したりする。例えば、操作者は、検査情報登録用のGUIに、天板22に載置された被検体Pの撮影時における***等の検査情報を、入力装置31を用いて入力する。
スキャン制御部33は、後述する制御部38の制御のもと、X線照射制御部11、架台駆動部16、収集部14及び寝台駆動装置21の動作を制御することで、架台装置10における投影データの収集処理を制御する。
前処理部34は、収集部14によって生成された投影データに対して、対数変換処理と、オフセット補正、感度補正及びビームハードニング補正等の補正処理とを行なって、補正済みの投影データを生成する。以下では、前処理部34が生成する補正済みの投影データを再構成用投影データと記載する。
投影データ記憶部35は、前処理部34により生成された再構成用投影データを記憶する。また、投影データ記憶部35は、収集部14により収集された投影データも記憶する。ここで、投影データ記憶部35は、前処理部34により生成された投影データや、収集部14により生成された投影データに対応付けて、管球位置を記憶する。
画像生成部36は、投影データ記憶部35が記憶する投影データを用いて各種画像データを生成する処理部であり、図1に示すように、画像再構成部361と投影像生成部362とを有する。
画像再構成部361は、投影データ記憶部35が記憶する再構成用投影データを用いてX線CT画像データを再構成する。再構成方法としては、種々の方法があり、例えば、逆投影処理が挙げられる。また、逆投影処理としては、例えば、FBP(Filtered Back Projection)法による逆投影処理が挙げられる。或いは、画像再構成部361は、逐次近似法を用いて、X線CT画像データを再構成しても良い。
また、画像再構成部361は、ヘリカルスキャンや、面検出器であるX線検出器13を用いたコンベンショナルスキャン、ステップアンドシュート方式のコンベンショナルスキャンにより収集された投影データを用いて、3次元X線CT画像データを再構成することができる。例えば、画像再構成部361は、複数のアキシャル面の断層像データとして3次元X線CT画像データを再構成する。断層像データは、表示用の2次元X線CT画像データとして用いることができる。また、画像再構成部361は、3次元X線CT画像データから、各種レンダリング処理を行なって、表示用の2次元画像データを生成する。レンダリング処理としては、断面再構成法(MPR:Multi Planer Reconstruction)により、3次元X線CT画像データから任意の断面のMPR画像データを再構成する処理がある。また、レンダリング処理としては、ボリュームレンダリング(Volume Rendering)処理や、最大値投影法(MIP:Maximum Intensity Projection)により、3次元X線CT画像データから3次元の情報を反映したVR画像データやMIP画像データを生成する処理がある。
投影像生成部362は、投影データ記憶部35が記憶する投影データを画像化した投影画像データを生成する。投影像生成部362が画像化する投影データは、前処理部34により生成された再構成用投影データであっても、収集部14により収集された投影データであっても良い。なお、収集部14により収集された投影データを用いる場合は、チャンネル間の感度補正処理を収集部14が行なっていることが望ましい。図2は、投影像データを説明するための図である。
上述したように、第1の実施形態に係るX線検出器13は、チャンネル方向及び体軸方向に沿ってX線検出素子が2次元状に配列された面検出器である。かかるX線検出器13は、図2の左図に例示するように、X線管球12aから曝射されたX線により、被検体Pの脳組織が網羅された広範囲なX線強度分布データを検出することができる。かかるX線検出器13を用いて収集された投影データを画像化することで、投影像生成部362は、図2の右図に示すように、視野が広い投影像データを生成する、図2の右図に示す投影像データは、被検体Pの頭部全体を上方向から透視した視野の広い透視像として用いることができる。
図1に戻って、画像記憶部37は、画像生成部36が生成した各種画像データを記憶する。
制御部38は、架台装置10、寝台装置20及びコンソール装置30の動作を制御することによって、X線CT装置の全体制御を行う。具体的には、制御部38は、スキャン制御部33を制御することで、架台装置10で行なわれるスキャンを制御する。また、制御部38は、前処理部34や、画像生成部36を制御することで、コンソール装置30における画像再構成処理や画像生成処理を制御する。また、制御部38は、画像記憶部37が記憶する各種画像データを、表示装置32に表示するように制御する。
以上、第1の実施形態に係るX線CT装置の全体構成について説明した。かかる構成のもと、第1の実施形態に係るX線CT装置は、面検出器であるX線検出器13を用いて、広視野の投影像データを生成する。従来、血管造影やカテーテルを用いた施術を行なう際、例えば、収集レートを低下させて収集した投影データ群(フル再構成用の投影データ群やハーフ再構成用の投影データ群)を用いてX線CT画像データを略リアルタイムで再構成し表示するCT透視が行なわれている。一方、投影像データは、収集された投影データから再構成処理を行なうことなく生成される。すなわち、投影像表示は、CT透視と比較して、投影データ収集から画像表示までの遅延時間を短くすることができる。また、仮に、1つの管球位置でX線曝射を行なって、1方向(1ビュー)の投影像表示を行なう場合、投影像データは、回転フレーム15の1回転当たり1フレームのフレームレートで表示されることになるが、CT透視と比較して、被曝量を低減することができる。かかる投影像表示は、造影剤による染影度やカテーテルの位置を判断する場合、有用である。
しかし、投影像データは、被写体Pの厚み全てを透過したX線を画像化した画像であることから、コントラストが低い。このため、医師等の操作者は、かかる投影像を参照しても、低コントラストの造影血管やカテーテル等が観察しにくい場合があった。
そこで、コントラストの高い投影像を表示するため、第1の実施形態に係る投影像生成部362は、制御部38の制御により、以下の処理を行なう。第1の実施形態に係る投影像生成部362は、回転フレーム15の回転中に、特定の管球位置である特定管球位置にて、異なる時間で収集部14により収集された2つの投影データである第1投影データと第2投影データとの差分に基づいて、差分投影像データを生成する。そして、第1の実施形態に係る制御部38は、差分投影像データを表示装置32に表示させる。
ここで、第1の実施形態では、制御部38は、回転フレーム15を連続回転させながら、X線管球12aからX線を連続して曝射させる。投影像生成部362は、連続曝射により収集される投影データ群から、同一の管球位置(特定管球位置)の2つの投影データ間の差分を画像化した差分投影画像データを生成する。
以下、差分投影像データの生成表示を造影撮影に適用する場合について説明する。かかる場合、例えば、投影像生成部362は、第1投影データとして、被検体Pに投与された造影剤が撮影部位に到達する前に収集された特定管球位置の投影データを用いる。また、例えば、投影像生成部362は、第2投影データとして、造影剤が被検体Pに投与されて造影撮影が開始された後に収集された特定管球位置の投影データを用いる。投影像生成部362は、時系列に沿って収集される第2投影データから、第1投影データを差分することで、差分投影像データを時系列に沿って生成する。図3及び図4は、第1の実施形態に係る投影像生成部の処理の一例を示す図である。なお、以下では、収集部14により収集された投影データを用いる場合について説明する。ただし、以下に説明する内容は、前処理部34により生成された再構成用投影データが用いられる場合でも適用可能である。
図3では、X線管球12aの回転軌道を円で示し、各管球位置でX線管球12aによりX線が曝射される領域を二等辺三角形で示している。また、図3では、二等辺三角形の2つの等辺の交点(頂点)の位置が管球位置に対応している。また、図3では、各の二等辺三角形が黒塗り、又は、点のハッチングにより着色されているが、これは、回転フレーム15の回転中に、X線が連続曝射されていることを示している。また、図3では、黒塗りの二等辺三角形が特定管球位置でのX線曝射を示し、ハッチングされた二等辺三角形が特定管球位置以外の管球位置でのX線曝射を示している。図3では、特定管球位置が「0度」であることを示している。また、図3では、管球位置「90度」、「180度」、「270度」等では、X線が曝射されるが、これらの管球位置での投影データは、投影像データを生成する処理の対象外となることを示している。すなわち、図3に例示する場合では、被検体Pを上から下に向かう方向で投影した投影データが、投影像データを生成する処理の対象となる。なお、特定管球位置は、初期的に設定されている場合であっても良いし、操作者が撮影時に設定する場合であっても良い。例えば、操作者は、観察対象となる物質が、差分投影像データで広範囲になるように、被検体Pの撮影時の***に応じて特定管球位置を設定する。
まず、制御部38は、操作者が入力した撮影開始要求により、スキャン制御部33を介して架台装置10を制御して、回転フレーム15の回転及びX線の連続曝射を開始させる。投影像生成部362は、図3に示すように、造影前に収集された投影データ群の中で、「管球位置:0度」の投影データを第1投影データとし、第1投影データを画像化して第1投影像データを生成する。
その後、操作者は、被検体Pに造影剤を投与して、入力装置31を用いて造影開始の旨を入力する。造影開始が通知された制御部38は、通知が行なわれた時点以降に、投影データ記憶部35に格納される「管球位置:0度」の投影データを第2投影データとして差分投影像データの生成処理を開始する旨を投影像生成部362に通知する。なお、造影開始の通知は、造影剤を投与するインジェクターにより行なわれても良い。
これにより、投影像生成部362は、図3に示すように、造影開始後、回転フレーム15の1回転目に収集された「管球位置:0度」の投影データを第2投影データとして、第2投影像データを生成する。そして、投影像生成部362は、図3に示すように、第2投影像データから第1投影像データを差分して、第1フレームの差分投影像データ(1)を生成する。そして、表示装置32は、差分投影像データ(1)を表示する。
また、投影像生成部362は、図3に示すように、2回転目に収集された「管球位置:0度」の投影データを第2投影データとして、第2投影像データを生成する。そして、投影像生成部362は、図3に示すように、第2投影像データから第1投影像データを差分して、第2フレームの差分投影像データ(2)を生成する。そして、表示装置32は、差分投影像データ(2)を表示する。図3に示す一例では、回転フレーム15が1回転するごとに、1フレームの差分投影像データが生成表示される。
図4の(A)は、差分前の第2投影像データを示し、図4の(B)は、図4の(A)に示す第2投影像データから生成された差分投影像データを示す。図4では、頭部血管の造影撮影により生成された画像データを示す。差分前の第2投影像データは、図4の(A)に示すように、血管以外の組織構造が描出され、造影血管の染影状態が不明瞭な画像となる。一方、第2投影像データから造影前の情報が除去された差分投影像データは、図4の(B)に示すように、造影剤による血管の染影が明瞭に描出された画像となる。
なお、投影像生成部362は、ガンマカーブを調整して、差分投影像データの輝度値を、線形又は非線形で変換して、表示装置32に出力しても良い。また、ガンマカーブの調整は、操作者により行なわれても良い。また、投影像生成部362は、第2投影データから第1投影データを差分した差分投影データを画像化して、差分投影像データを生成しても良い。また、差分の基準として用いられる第1投影データは、撮影部位に造影剤が到達していない時点で収集された特定管球位置の投影データであっても良い。
また、制御部38は、差分投影像データとともに、当該差分投影像データを生成するために用いた第2投影像データ、又は、第1投影像データ及び第2投影像データを表示させても良い。これにより、医師等の操作者は、差分投影像データを参照して血管造影の状態を確認し、第2投影像データや第1投影像データを参照して造影された血管周囲の組織の形態をある程度確認することができる。
次に、図5を用いて、第1の実施形態に係るX線CT装置の処理の一例について説明する。図5は、第1の実施形態に係るX線CT装置の処理の一例を説明するためのフローチャートである。
図5に例示するように、第1の実施形態に係るX線CT装置の制御部38は、操作者から差分モードでの撮影開始要求を受け付けたか否かを判定する(ステップS101)。ここで、差分モードでの撮影開始要求を受け付けない場合(ステップS101否定)、制御部38は、差分モードでの撮影開始要求を受け付けるまで待機する。
一方、差分モードでの撮影開始要求を受け付けた場合(ステップS101肯定)、スキャン制御部33を介した制御部38の制御により、回転フレーム15は、回転を開始し、X線管球12aは、X線の連続曝射を開始する(ステップS102)。そして、制御部38は、特定管球位置の第1投影データが収集されたか否かを判定する(ステップS103)。ここで、第1投影データが収集されていない場合(ステップS103否定)、制御部38は、第1投影データが収集されるまで待機する。
一方、第1投影データが収集された場合(ステップS103肯定)、制御部38の指示により、投影像生成部362は、第1投影データを画像化して、第1投影像データを生成する(ステップS104)。そして、制御部38は、造影開始の通知を受け付けたか否かを判定する(ステップS105)。ここで、造影開始の通知を受け付けない場合(ステップS105否定)、制御部38は、造影開始の通知を受け付けるまで待機する。
一方、造影開始の通知を受け付けた場合(ステップS105肯定)、制御部38は、特定管球位置の第2投影データが収集されたか否かを判定する(ステップS106)。ここで、第2投影データが収集されていない場合(ステップS106否定)、制御部38は、第2投影データが収集されるまで待機する。
一方、第2投影データが収集された場合(ステップS106肯定)、制御部38の指示により、投影像生成部362は、第2投影データを画像化して、第2投影像データを生成し(ステップS107)、第2投影像データから第1投影像データを差分して、差分投影像データを生成する(ステップS108)。そして、制御部38の指示により、表示装置32は、差分投影像データを表示する(ステップS109)。
そして、制御部38は、操作者から投影像の撮影終了要求を受け付けたか否かを判定する(ステップS110)。ここで、投影像の撮影終了要求を受け付けない場合(ステップS110否定)、制御部38は、ステップS106に戻って、新たな特定管球位置の第2投影データが収集されたか否かを判定する。
一方、投影像の撮影終了要求を受け付けた場合(ステップS110肯定)、制御部38は、処理を終了する。
上述したように、第1の実施形態では、同一投影方向で収集時間の異なる2つの投影データ間の差分情報を画像化した差分投影像データを生成し表示する。例えば、第1の実施形態では、造影前に収集された特定管球位置の投影データと、造影後に収集された特定管球位置の投影データとの差分情報を画像化した差分投影像データを生成し表示する。かかる差分投影像データは、造影前後で共通して存在する骨等の組織が除去され、造影剤が存在する領域が主に抽出された画像となる。従って、第1の実施形態では、コントラストの高い投影像を表示することができる。また、第1の実施形態では、差分投影像データの生成表示の実行中に、観察対象部位を変更するために、操作者の指示により、天板22が移動されたり、特定管球位置が変更されたりしても良い。なお、第1の実施形態では、リアルタイムでCT再構成をしていないが、X線を連続曝射しているので、事後にX線CT画像データを再構成することが可能である。
なお、第1の実施形態で説明した画像生成表示処理は、上述した処理に限定されるものでなく、種々の異なる形態にて実施されて良い。以下、第1の実施形態に係る変形例について、図6〜図10を用いて説明する。図6〜図10は、第1の実施形態に係る変形例を説明するための図である。
まず、第1の実施形態に係る第1変形例について図6を用いて説明する。図4の(B)に例示した差分投影像データは、造影開始後、時系列に沿って順次表示される。ここで、造影撮影では、撮影部位に造影剤が流入した後、通常のX線CT画像データの撮影(メインスキャン)が開始される。一方、上記の差分投影像データには、造影剤の存在する領域が描出されており、差分投影像データの輝度値は、撮影部位に存在する造影剤の量を反映した値となる。そこで、第1の実施形態に係る第1変形例では、差分モードの投影像撮影を、メインスキャンへの移行用の予備スキャンとして用いる。
すなわち、第1の実施形態に係る第1変形例では、例えば、図6の左図に示すように、造影剤の到達を判定するための関心領域(ROI:Region Of Interest)が設定される。ROIは、例えば、第1投影像データに設定される。また、操作者は、輝度値に対する閾値「Th」を設定する。
そして、例えば、制御部38は、投影像生成部362が差分投影像データを生成すると、当該差分投影像データに、第1投影像データに設定されたROIに対応する領域をROIとして設定する。そして、制御部38は、ROIを構成する各画素の輝度値を平均して、平均輝度値を算出する。制御部38は、平均輝度値を時間軸に沿ってプロットして、図6の右図に例示する輝度値の時間変化曲線を得る。そして、制御部38は、図6の右図に示すように、平均輝度値が、予め設定された閾値(Th)となった場合、メインスキャンに移行する。このように、この第1変形例では、差分投影像データを用いることで、第1の実施形態に係る第1変形例では、差分投影像データを用いた計測を行なうことで、メインスキャンへの移行タイミングを自動的に判定することができる。
次に、第1の実施形態に係る第2変形例について図7を用いて説明する。図3では、差分投影像データの生成表示を造影撮影に適用する場合について説明した。しかし、第1の実施形態は、例えば、カテーテルを用いた施術が行なわれる際に、差分投影像データの生成表示が行なわれる場合であっても良い。かかる場合、投影像生成部362は、第1投影データとして、被検体Pにカテーテルが挿入される前に収集された特定管球位置の投影データを用いる。また、投影像生成部362は、第2投影データとして、被検体Pにカテーテルが挿入された後に収集された特定管球位置の投影データを用いる。
或いは、投影像生成部362は、第1投影データとして、被検体Pに挿入されたカテーテルが移動される前に収集された特定管球位置の投影データを用いる。また、投影像生成部362は、第2投影データとして、被検体Pに挿入されたカテーテルの移動開始後に収集された前記特定管球位置の投影データを用いる。そして、投影像生成部362は、時系列に沿って収集される第2投影データから、第1投影データを差分することで、差分投影像データを時系列に沿って生成する。
図7に示す「円、二等辺三角形及び二等辺三角形の着色」が意味する内容は、図3と同様の内容である。図7を参照すると、投影像生成部362は、カテーテル挿入前に収集された投影データ群の中で、「管球位置:0度」の投影データを第1投影データとし、第1投影データを画像化して第1投影像データを生成する。また、投影像生成部362は、図7に示すように、カテーテル挿入開始後、回転フレーム15の1回転目に最初に収集された「管球位置:0度」の投影データを第2投影データとして、第2投影像データを生成する。そして、投影像生成部362は、図7に示すように、第2投影像データから第1投影像データを差分して、第1フレームの差分投影像データ(1)を生成する。そして、表示装置32は、差分投影像データ(1)を表示する。
また、投影像生成部362は、図7に示すように、2回転目に最初に収集された「管球位置:0度」の投影データを第2投影データとして、第2投影像データを生成する。そして、投影像生成部362は、図7に示すように、第2投影像データから第1投影像データを差分して、第2フレームの差分投影像データ(2)を生成する。そして、表示装置32は、差分投影像データ(2)を表示する。
或いは、投影像生成部362は、図7に示すように、カテーテル移動前に収集された「管球位置:0度」の投影データを第1投影データとする。そして、投影像生成部362は、図7に示すように、カテーテル移動開始後に、順次収集される「管球位置:0度」の投影データを第2投影データとする。そして、投影像生成部362は、図7に示すように、「差分投影像データ(1)、差分投影像データ(2)」を順次生成する。
カテーテル挿入前後で同一投影方向の2つの投影データ間を差分した場合、差分投影像データには、カテーテルが高いコントラストで描出される。また、カテーテル移動前後で同一投影方向の2つの投影データ間を差分した場合、差分投影像データには、例えば、カテーテルの先端部分が高いコントラストで描出される。かかる差分投影像データを参照することで、医師は、カテーテルを治療対象部位まで正確に挿入することができる。
また、差分投影像データで観察対象となる物質は、造影剤やカテーテル以外にも、例えば、穿刺針であっても良い。例えば、差分投影像データは、穿刺針の挿入前後の同一投影方向の2つの投影データを用いて生成される場合であっても良い。かかる差分投影像データには、穿刺針が高いコントラストで描出される。また、例えば、差分投影像データは、穿刺針の移動前後の同一投影方向の2つの投影データを用いて生成されたりする場合であっても良い。かかる差分投影像データには、例えば、穿刺針の先端部分が高いコントラストで描出される。かかる差分投影像データを参照することで、医師は、穿刺針を治療対象部位まで正確に挿入することができる。
次に、第1の実施形態に係る第3変形例について図8を用いて説明する。上記の第1の実施形態及び第1の実施形態に係る第2変形例では、投影像生成部362が、差分の基準となる第1投影データとして、第2投影データが収集された時点より前の所定の時点(例えば、造影前、カテーテル挿入前、カテーテル移動前)で収集された特定管球位置の同一の投影データを用いる場合について説明した。しかし、第1の実施形態は、投影像生成部362が、第1投影データとして、第2投影データが収集された時点より前の任意の時点で収集された特定管球位置の投影データを用いる場合であっても良い。図8に示す一例では、新たに収集された特定管球位置の投影データと、1回転前に収集された特定管球位置の投影データとの間で差分処理が行なわれる場合を示している。
すなわち、図8に例示する場合、投影像生成部362は、1回転目に収集された特定管球位置の投影データを第1投影データとして第1投影像データを生成する。そして、投影像生成部362は、図8に示すように、2回転目に収集された特定管球位置の投影データを第2投影データとして第2投影像データを生成し、第2投影像データから第1投影像データを差分して、差分投影像データ(1)を生成する。そして、投影像生成部362は、2回転目に収集された特定管球位置の投影データを第2投影データとして第2投影像データを生成し、2回転目の第2投影データ(第2投影像データ)を第1投影データ(第1投影像データ)として、差分投影像データ(2)を生成する。
図8に示す処理により生成される差分投影像データを用いることで、回転フレーム15が1回転する間に流入又は流出した造影剤の情報を得ることができる。また、図8に示す処理により生成される差分投影像データを用いることで、回転フレーム15が1回転する間に移動したカテーテルや穿刺針の先端部分を確認することができる。なお、第1の実施形態に係る第3変形例を行なう場合、第1投影データは、2回転前や3回転前の特定管球位置の投影データが用いられる場合であっても良い。
次に、第1の実施形態に係る第4変形例について図9を用いて説明する。図1や図2に示すように、X線検出器13は、回転フレームの周方向に沿って湾曲している。そこで、投影像生成部362は、図9に示すように、X線検出器13の湾曲に応じて処理対象の投影データを平面投影した後に、差分投影像データを生成する。処理対象の投影データとは、差分画像データを生成する処理の対象となる投影データである。例えば、投影像生成部362は、X線管球12aのX線焦点位置とX線検出器13の湾曲とに応じて、第1投影データを平面投影して第1投影像データを生成し、第2投影データを平面投影して第2投影像データを生成し、第2投影像データから第1投影像データを差分して差分投影像データを生成する。
或いは、投影像生成部362は、第2投影像データから第1投影像データを差分した差分投影データを平面投影して差分投影像データを生成する。X線検出器13の湾曲に応じた平面投影を行なうことで、この第4変形例では、X線検出器13の湾曲に起因するゆがみが補正された差分投影像データの生成表示を行なうことができる。
次に、第1の実施形態に係る第5変形例について図10を用いて説明する。この第5変形例では、投影像生成部362は、特定管球位置を含む範囲で連続して収集された投影データ群を用いる。すなわち、投影像生成部362は、図10に示すように、特定管球位置を含む複数の管球位置で第1投影データを含んで収集された第1投影データ群と、特定管球位置を含む複数の管球位置で第2投影データを含んで収集された第2投影データ群とを用いて、差分投影像データを生成する。
具体的には、投影像生成部362は、図10に示すように、第1投影データ群を加算して生成した加算投影像データを第1投影像データとして生成し、第2投影データ群を加算して生成した加算投影像データを第2投影像データとして生成する。または、投影像生成部362は、図10に示すように、第1投影データ群を加算平均して生成した加算平均投影像データを第1投影像データとして生成し、第2投影データ群を加算平均して生成した加算平均投影像データを第2投影像データとして生成する。または、投影像生成部362は、図10に示すように、第1投影データ群を重み付け加算して生成した重み付け加算データを、第1投影像データとして生成し、第2投影データ群を重み付け加算して生成した重み付け加算データを、第2投影像データとして生成する。そして、投影像生成部362は、図10に示すように、第2投影像データから第1投影像データを差分して、差分投影像データを生成する。
なお、投影像生成部362は、上述した平面投影を行なっても良い。ここで、図10に示す場合では、第1投影データ群及び第2投影データ群それぞれで、差分投影像データを生成する処理の対象となる投影データ数(ビュー数)は、特定管球位置「0度」及び特定管球位置「0度」の前後の「3」として設定されている。重み付け加算を行なう場合、例えば、投影像生成部362は、特定管球位置「0度」の投影データに対しては「重み:0.5」により重み付けを行ない、特定管球位置「0度」前後の2つの投影データに対しては「重み:0.25」により重み付けを行なう。
かかる処理を行なうことで、例えば、X線管球12aから曝射されるX線の線量が低い場合でも、コントラストの高い差分投影像データを生成表示することができる。なお、投影データのデータ数は、被検体Pの動きによる「ぶれ」が発生しない期間であるならば、回転フレーム15の回転速度に応じて任意に変更可能である。また、投影データ群のデータ数は、X線の線量に応じて任意に変更設定可能である。また、重み付け加算に用いる重みも、回転フレーム15の回転速度や、X線の線量に応じて任意に変更設定可能である。
データ数や重みの設定は、操作者により行なわれる場合であっても良いが、例えば、回転フレーム15の回転速度やX線の線量を取得可能な制御部38により行なわれる場合であっても良い。すなわち、制御部38は、第1投影データ群及び第2投影データ群それぞれを構成する投影データのデータ数、及び、重み付け加算に用いる重みの少なくとも1つを、回転フレーム15の回転速度、及び、X線の線量の少なくとも1つに基づいて設定しても良い。
(第2の実施形態)
第1の実施形態では、被検体Pの全周囲でX線が連続曝射される場合について説明した。第2の実施形態では、X線の曝射範囲を限定する場合について、図11及び図12を用いて説明する。図11及び図12は、第2の実施形態を説明するための図である。
第2の実施形態に係るX線CT装置は、図1を用いて説明した第1の実施形態に係るX線CT装置と同様に構成される。ただし、第2の実施形態に係る制御部38は、以下の制御を行なう。第2の実施形態に係る制御部38は、回転フレーム15を連続回転させながら、特定管球位置を含み、かつ、X線CT画像データがハーフ再構成可能な曝射範囲で、X線管球12aからX線を連続して曝射させる。
例えば、特定管球位置が「0度」である場合、制御部38は「180度+ファン角」のハーフ用の曝射範囲を、「0度」を中心として設定する(図11の(A)に示す円弧状の矢印を参照)。図11の(A)に例示する曝射範囲では、被検体Pの腹側から主にX線が曝射される。
また、例えば、特定管球位置が「180度」である場合、制御部38は「180度+ファン角」のハーフ用の曝射範囲を、「180度」を中心として設定する(図11の(B)に示す円弧状の矢印を参照)。図11の(B)に例示する曝射範囲では、被検体Pの背側から主にX線が曝射される。
図12は、特定管球位置が「180度」に設定され、図11の(B)に示す曝射範囲が設定された場合に行なわれる差分投影像データの生成表示処理を示す図である。
図12に示す「円、二等辺三角形及び二等辺三角形の着色」が意味する内容は、白抜きの二等辺三角形で示す管球位置では、X線曝射が行なわれていない点以外、図3と同様の内容である。すなわち、図11の(B)に示す曝射範囲が設定された場合、図12に示すように、X線は、管球位置「0度」では、曝射されておらず、管球位置「0度」の投影データは、収集されない。また、図12に示すように、X線は、管球位置「90度」、「180度」及び「270度」を含む曝射範囲で曝射され、曝射範囲の投影データ群が収集される。そして、特定管球位置が「180度」に設定されていることから、投影像生成部362は、黒塗りの二等辺三角形で示すX線曝射により収集された2つの投影データ間の差分を行なって、差分投影像データを生成する。すなわち、図12に例示する場合では、被検体Pを下から上に向かう方向で投影した投影データが、差分投影像データを生成する処理の対象となる。
投影像生成部362は、図12に示すように、造影前に収集された投影データ群の中で、「管球位置:180度」の投影データを第1投影データとして、第1投影像データを生成する。そして、投影像生成部362は、図12に示すように、造影開始後、回転フレーム15の1回転目に収集された「管球位置:180度」の投影データを第2投影データとして、第2投影像データを生成する。そして、投影像生成部362は、図12に示すように、第2投影像データから第1投影像データを差分して、第1フレームの差分投影像データ(1)を生成する。そして、表示装置32は、差分投影像データ(1)を表示する。
また、投影像生成部362は、図12に示すように、2回転目に収集された「管球位置:180度」の投影データを第2投影データとして、第2投影像データを生成する。そして、投影像生成部362は、図12に示すように、第2投影像データから第1投影像データを差分して、第2フレームの差分投影像データ(2)を生成する。そして、表示装置32は、差分投影像データ(2)を表示する。図12に示す一例では、回転フレーム15が1回転するごとに、1フレームの差分投影像データが生成表示される。
第2投影像データから造影前の情報が除去された差分投影像データは、第1の実施形態で説明したように、造影剤による血管の染影が明瞭に描出された画像となる。
なお、第2の実施形態に係るX線CT装置が行なう処理は、図5のX線曝射制御処理は、図5を用いて説明したステップS102で開始されるX線の連続曝射が、特定管球位置を含む曝射範囲であり、ハーフ分の投影データ群を収集するための曝射範囲に限定したX線の連続曝射である以外、第1の実施形態と同様であるので、説明を省略する。また、第1の実施形態及び第1の実施形態に係る変形例で説明した内容は、X線の連続曝射が上記の曝射範囲に限定される点以外、第2の実施形態でも適用可能である。
例えば、第2の実施形態でも、造影前後の2つの投影データの差分により生成された差分投影像データがメインスキャンへの移行判定用に用いられても良い。また、例えば、第2の実施形態でも、カテーテルや穿刺針を用いた施術が行なわれる際に、差分投影像データの生成表示処理が行なわれても良い。また、例えば、第2の実施形態でも、差分の基準となる第1投影データが、第2投影データの1回転前に収集された特定管球位置の投影データとされても良い。また、例えば、第2の実施形態でも、投影データの平面投影や、複数ビューの投影データ群を用いた差分処理が行なわれても良い。
上述したように、第2の実施形態では、特定管球位置を含むハーフ分の曝射範囲に限定してX線曝射を行なうことで、被曝量を低減した状態で、高コントラストな差分投影像データを生成表示することができる。また、第2の実施形態では、例えば、背面曝射を中心する曝射範囲を設定することで、被曝による影響を低減した状態で、高コントラストな差分投影像データを生成表示することができる。また、第2の実施形態では、リアルタイムでCT再構成をしていないが、ハーフ再構成可能な曝射範囲でX線を連続曝射しているので、事後にX線CT画像データを再構成することが可能である。
なお、第2の実施形態は、再構成可能な曝射範囲であるならば、ハーフ再構成可能な曝射範囲より大きい曝射範囲により、差分投影像データの生成表示が行なわれても良い。また、第2の実施形態は、曝射範囲では、差分投影像データの生成用に、曝射X線の線量を高くし、曝射範囲以外の範囲では、曝射X線の線量を低くしても良い。
(第3の実施形態)
第3の実施形態では、第2の実施形態より、更に、X線の曝射範囲を限定する場合について、図13及び図14等を用いて説明する。図13及び図14は、第3の実施形態を説明するための図である。
第3の実施形態に係るX線CT装置は、図1を用いて説明した第1の実施形態に係るX線CT装置と同様に構成される。ただし、第3の実施形態に係る制御部38は、以下の制御を行なう。第3の実施形態に係る制御部38は、回転フレーム15を連続回転させながら、特定管球位置でX線管球12aからX線を曝射させる。例えば、特定管球位置が「0度」として設定された場合、制御部38は、スキャン制御部33を制御して、図13の(A)に示すように、X線管球12aから、特定管球位置が「0度」でX線強度がピークとなるパルスX線を曝射させる。
又は、第3の実施形態に係る制御部38は、回転フレーム15を連続回転させながら、特定管球位置を含む所定範囲で、X線管球12aからX線を曝射させる。例えば、特定管球位置が「0度」として設定された場合、制御部38は、スキャン制御部33を制御して、図13の(B)に示すように、X線管球12aから、特定管球位置「0度」の前後を含む範囲(図中の両矢印を参照)で、X線強度が一定のピークとなるパルスX線を曝射させる。
図14は、特定管球位置が「0度」に設定された場合に行なわれる差分投影像データの生成表示処理を示す図である。
図14に示す「円、二等辺三角形及び二等辺三角形の着色」が意味する内容は、図3及び図12と同様の内容である。すなわち、特定管球位置が「0度」に設定された場合、図14に示すように、X線管球12aは、特定管球位置「0度」で、図13の(A)又は(B)に例示するパルスX線を曝射する。また、図14に示すように、X線管球12aは、特定管球位置「0度」以外の管球位置(例えば、「90度」、「180度」、「270度」等)では、X線を曝射しない。すなわち、図14に示す場合では、特定管球位置「0度」の投影データ群が収集される。
投影像生成部362は、図14に示すように、造影前に収集された「管球位置:0度」の投影データを第1投影データとし、第1投影像データを生成する。そして、投影像生成部362は、図14に示すように、造影開始後、回転フレーム15の1回転目に収集された「管球位置:0度」の投影データを第2投影データとして、第2投影像データを生成する。そして、投影像生成部362は、図14に示すように、第2投影像データから第1投影像データを差分して、第1フレームの差分投影像データ(1)を生成する。そして、表示装置32は、差分投影像データ(1)を表示する。
また、投影像生成部362は、図14に示すように、2回転目に収集された「管球位置:0度」の投影データを第2投影データとして、第2投影像データを生成する。そして、投影像生成部362は、図14に示すように、第2投影像データから第1投影像データを差分して、第2フレームの差分投影像データ(2)を生成する。そして、表示装置32は、差分投影像データ(2)を表示する。図14に示す一例では、回転フレーム15が1回転するごとに、1フレームの差分投影像データが生成表示される。
第2投影像データから造影前の情報が除去された差分投影像データは、第1の実施形態及び第2の実施形態で説明したように、造影剤による血管の染影が明瞭に描出された画像となる。
次に、図15を用いて、第3の実施形態に係るX線CT装置の処理の一例について説明する。図15は、第3の実施形態に係るX線CT装置の処理の一例を説明するためのフローチャートである。
図15に例示するように、第3の実施形態に係るX線CT装置の制御部38は、操作者から差分モードでの撮影開始要求を受け付けたか否かを判定する(ステップS201)。ここで、差分モードでの撮影開始要求を受け付けない場合(ステップS201否定)、制御部38は、開始要求を受け付けるまで待機する。
一方、差分モードでの撮影開始要求を受け付けた場合(ステップS201肯定)、スキャン制御部33を介した制御部38の制御により、回転フレーム15は、回転を開始する(ステップS202)。そして、制御部38は、X線管球12aの管球位置が特定管球位置となったか否かを判定する(ステップS203)。具体的には、ステップS203において、制御部38は、X線管球12aの管球位置が、特定管球位置でパルスX線を曝射可能な管球位置となったか否かを判定する。ここで、特定管球位置でない場合(ステップS203否定)、制御部38は、X線管球12aの管球位置が特定管球位置となるまで待機する。
一方、X線管球12aの管球位置が特定管球位置となった場合(ステップS203肯定)、スキャン制御部33を介した制御部38の制御により、X線管球12aは、X線を曝射する(ステップS204)。そして、制御部38の指示により、投影像生成部362は、収集された第1投影データから第1投影データを生成する(ステップS205)。そして、制御部38は、造影開始の通知を受け付けたか否かを判定する(ステップS206)。ここで、造影開始の通知を受け付けない場合(ステップS206否定)、制御部38は、造影開始の通知を受け付けるまで待機する。
一方、造影開始の通知を受け付けた場合(ステップS206肯定)、制御部38は、X線管球12aの管球位置が特定管球位置となったか否かを判定する(ステップS207)。具体的には、ステップS207において、制御部38は、X線管球12aの管球位置が、特定管球位置でパルスX線を曝射可能な管球位置となったか否かを判定する。ここで、特定管球位置でない場合(ステップS207否定)、制御部38は、X線管球12aの管球位置が特定管球位置となるまで待機する。
一方、X線管球12aの管球位置が特定管球位置となった場合(ステップS207肯定)、スキャン制御部33を介した制御部38の制御により、X線管球12aは、X線を曝射する(ステップS208)。そして、制御部38の指示により、投影像生成部362は、収集された第2投影データから第2投影データを生成し(ステップS209)、第2投影像データから第1投影像データを差分して、差分投影像データを生成する(ステップS210)。そして、制御部38の指示により、表示装置32は、差分投影像データを表示する(ステップS211)。
そして、制御部38は、操作者から投影像の撮影終了要求を受け付けたか否かを判定する(ステップS212)。ここで、投影像の撮影終了要求を受け付けない場合(ステップS212否定)、制御部38は、ステップS207に戻って、X線管球12aの管球位置の判定処理を行なう。
一方、投影像の撮影終了要求を受け付けた場合(ステップS212肯定)、制御部38は、処理を終了する。
上述したように、第3の実施形態では、特定管球位置でパルスX線を曝射可能な曝射範囲に限定してX線曝射を行なうことで、第2の実施形態より更に被曝量を低減した状態で、高コントラストな差分投影像データを生成表示することができる。なお、第2の実施形態は、特定管球位置や特定管球位置を含む所定範囲では、差分投影像データの生成用に、曝射X線の線量を高くし、特定管球位置や所定範囲以外の範囲では、曝射X線の線量を低くしても良い。
なお、第1の実施形態、第1の実施形態に係る変形例、第2の実施形態で説明した内容は、特定管球位置でパルスX線を曝射可能な曝射範囲に限定してX線曝射が行なわれる点以外、第3の実施形態でも適用可能である。例えば、第3の実施形態でも、差分投影像データが造影撮影のメインスキャンへの移行判定用に用いられても良い。また、例えば、第3の実施形態でも、カテーテルや穿刺針を用いた施術が行なわれる際に、差分投影像データの生成表示処理が行なわれても良い。また、例えば、第3の実施形態でも、第2投影データより前の任意の時点で収集された特定管球位置の投影データが、差分の基準となる第1投影データとされても良い。また、例えば、第3の実施形態でも、投影データの平面投影や、複数ビューの投影データ群を用いた差分処理が行なわれても良い。なお、第3の実施形態において、複数ビューの投影データ群を用いた差分処理を行なう場合は、図13の(B)に例示するパルスX線を曝射することが望ましい。
(第4の実施形態)
第4の実施形態では、複数の特定管球位置が設定される場合について、図16〜図19等を用いて説明する。図16〜図19は、第4の実施形態を説明するための図である。
第4の実施形態に係るX線CT装置は、図1を用いて説明した第1の実施形態に係るX線CT装置と同様に構成される。ただし、複数の異なる管球位置に特定管球位置が設定されることで、第4の実施形態に係る投影像生成部362及び制御部38は、以下の処理を行なう。以下では、第1の実施形態にて複数の異なる管球位置に特定管球位置が設定される場合(以下、第1の場合)、第2の実施形態にて複数の異なる管球位置に特定管球位置が設定される場合(以下、第2の場合)、第3の実施形態にて複数の異なる管球位置に特定管球位置が設定される場合(以下、第3の場合)について、順に説明する。
第1の場合では、全周囲でX線の連続曝射を行なう際に、複数の異なる管球位置に特定管球位置が設定される。かかる場合、投影像生成部362は、各特定管球位置の第1投影データと第2投影データとの差分に基づいて、複数の特定管球位置それぞれの差分投影像データを生成する。そして、制御部38は、複数の特定管球位置それぞれの差分投影像データを表示させる。図16は、図3で説明した特定管球位置「0度」の差分投影像データの生成表示処理に加えて、特定管球位置「90度」の差分投影像データ、特定管球位置「180度」の差分投影像データ及び特定管球位置「270度」の差分投影像データそれぞれの生成表示処理が行なわれる場合を例示した図である。
特定管球位置「0度」では、被検体Pを上(Top)から下(Bottom)に向かって投影した投影データが収集され、投影像データ及び差分投影像データが生成される。以下では、特定管球位置「0度」の投影データ、投影像データ及び差分投影像データを、投影データT、投影像データT及び差分投影像データTと記載する。また、特定管球位置「180度」では、被検体Pを下から上に向かって投影した投影データが収集され、投影像データ及び差分投影像データが生成される。以下では、特定管球位置「180度」の投影データ、投影像データ及び差分投影像データを、投影データB、投影像データB及び差分投影像データBと記載する。
また、特定管球位置「90度」では、被検体Pを右(Right)から左(Left)に向かって投影した投影データが収集され、投影像データ及び差分投影像データが生成される。以下では、特定管球位置「90度」の投影データ、投影像データ及び差分投影像データを、投影データR、投影像データR及び差分投影像データRと記載する。また、特定管球位置「270度」では、被検体Pを左から右に向かって投影した投影データが収集され、投影像データ及び差分投影像データが生成される。以下では、特定管球位置「270度」の投影データ、投影像データ及び差分投影像データを、投影データL、投影像データL及び差分投影像データLと記載する。
図16に例示する場合、投影像生成部362は、造影前に順次収集される投影データT、投影データR、投影データB及び投影データLそれぞれを第1投影データとして用いる。そして、投影像生成部362は、これら第1投影データから、第1投影像データT、第1投影像データR、第1投影像データB及び第1投影像データLを生成する。
そして、図16に例示する場合、投影像生成部362は、造影開始後、回転フレーム15の1回転目に収集された投影データT、投影データR、投影データB及び投影データLそれぞれを第2投影データとして用いる。そして、投影像生成部362は、これら第2投影データから、第2投影像データT、第2投影像データR、第2投影像データB及び第2投影像データLを生成する。そして、投影像生成部362は、第2投影像データTから第1投影像データTを差分して、第1フレームの差分投影像データT(1)を生成し、第2投影像データRから第1投影像データRを差分して、第1フレームの差分投影像データR(1)を生成する。そして、投影像生成部362は、第2投影像データBから第1投影像データBを差分して、第1フレームの差分投影像データB(1)を生成し、第2投影像データLから第1投影像データLを差分して、第1フレームの差分投影像データL(1)を生成する。
そして、投影像生成部362は、図16に示すように、2回転目に収集された投影データTを第2投影データとして用いて、第2フレームの差分投影像データT(2)を生成する。かかる処理を、投影像生成部362は、各特定管球位置で行なう。図16に示す一例では、回転フレーム15が1回転するごとに、4方向の差分投影像データそれぞれが1フレーム生成表示される。
ここで、制御部38は、複数の特定管球位置それぞれの差分投影像データを表示装置32に表示させる。具体的には、制御部38は、特定管球位置の数と表示装置32の表示サイズとに応じて、各差分投影像データの表示領域を設定する。例えば、制御部38は、図17に示すように、表示装置32の表示領域を4つの表示領域(T、B、R、L)に分割し、左上の表示領域Tを、差分投影像データTを表示する領域として設定し、左下の表示領域Bを、差分投影像データBを表示する領域として設定する。また、制御部38は、図17に示すように、右上の表示領域Rを、差分投影像データRを表示する領域として設定し、右下の表示領域Lを、差分投影像データLを表示する領域として設定する。
なお、制御部38は、4方向の差分投影像データを表示する場合、例えば、各差分投影像データで描出される被検体Pの上下方向及び左右方向が一致するように、回転表示させたり、反転表示させたりしても良い。また、制御部38は、各差分投影像データが該当する表示領域の略中央で表示されるように、センタリング処理を行なって良い。
また、表示装置32が複数のモニタで構成される場合、制御部38は、複数の特定管球位置それぞれの差分投影像データを複数のモニタそれぞれに表示させても良い。なお、表示装置32は、架台装置10の周辺に設置される場合であっても良い。また、第1〜第3の実施形態においても、表示装置32は、架台装置10の周辺に設置される場合であっても良い。
次に、第2の場合について説明する。第2の場合では、ハーフ分の曝射範囲でX線の連続曝射を行なう際に、当該曝射範囲で複数の異なる管球位置に特定管球位置が設定される。そして、投影像生成部362は、各特定管球位置の第1投影データと第2投影データとの差分に基づいて、複数の特定管球位置それぞれの差分投影像データを生成し、制御部38は、複数の特定管球位置それぞれの差分投影像データを表示させる。図18は、図12で説明した特定管球位置「180度」の差分投影像データの生成表示処理に加えて、特定管球位置「90度」の差分投影像データ及び特定管球位置「270度」の差分投影像データそれぞれの生成表示処理が行なわれる場合を例示した図である。
図18に例示する場合、投影像生成部362は、造影前に順次収集される投影データR、投影データB及び投影データLそれぞれを第1投影データとして用いる。そして、投影像生成部362は、これら第1投影データから、第1投影像データR、第1投影像データB及び第1投影像データLを生成する。
そして、図18に例示する場合、投影像生成部362は、造影開始後、回転フレーム15の1回転目に収集された投影データR、投影データB及び投影データLそれぞれを第2投影データとして用いる。そして、投影像生成部362は、これら第2投影データから、第2投影像データR、第2投影像データB及び第2投影像データLを生成する。そして、投影像生成部362は、第2投影像データRから第1投影像データRを差分して、第1フレームの差分投影像データR(1)を生成する。そして、投影像生成部362は、第2投影像データBから第1投影像データBを差分して、第1フレームの差分投影像データB(1)を生成する。そして、投影像生成部362は、第2投影像データLから第1投影像データLを差分して、第1フレームの差分投影像データL(1)を生成する。
そして、投影像生成部362は、図18に示すように、2回転目に順次収集された投影データR、投影データBを第2投影データとして用いて、第2フレームの差分投影像データR(2)、差分投影像データB(2)を順次生成する。かかる処理を、投影像生成部362は、各特定管球位置で行なう。図18に示す一例では、回転フレーム15が1回転するごとに、3方向の差分投影像データそれぞれが1フレーム生成表示される。なお、制御部38は、第2の場合でも、第1の場合で説明した表示制御処理を行なう。
次に、第3の場合について説明する。第3の場合では、複数の異なる管球位置に特定管球位置が設定されることから、1回転で複数の管球位置それぞれでパルスX線が曝射される。すなわち、制御部38は、複数の特定管球位置が設定される場合、各特定管球位置でX線管球12aからX線を曝射させる(図13の(A)を参照)。又は、制御部38は、複数の特定管球位置それぞれを含む各所定範囲で、X線管球12aからX線を曝射させる(図13の(B)を参照)。なお、第3の場合、特定管球位置の数や特定管球位置間の角度は、X線管球12aがパルスX線を発生する性能に応じて設定される。
そして、投影像生成部362は、各特定管球位置の第1投影データと第2投影データとの差分に基づいて、複数の特定管球位置それぞれの差分投影像データを生成し、制御部38は、複数の特定管球位置それぞれの差分投影像データを表示させる。図19は、図14で説明した特定管球位置「0度」の差分投影像データの生成表示処理に加えて、特定管球位置「90度」の差分投影像データの生成表示処理が行なわれる場合を例示した図である。
図19に例示する場合、投影像生成部362は、造影前に各特定管球位置で曝射されたパルスX線により順次収集される投影データT及び投影データRそれぞれを第1投影データとして用いる。そして、投影像生成部362は、これら第1投影データから、第1投影像データT及び第1投影像データRを生成する。
そして、図19に例示する場合、投影像生成部362は、造影開始後、回転フレーム15の1回転目に各特定管球位置で曝射されたパルスX線により順次収集される投影データT及び投影データRそれぞれを第2投影データとして用いる。そして、投影像生成部362は、これら第2投影データから、第2投影像データT及び第2投影像データRを生成する。そして、投影像生成部362は、第2投影像データTから第1投影像データTを差分して、第1フレームの差分投影像データT(1)を生成する。そして、投影像生成部362は、第2投影像データRから第1投影像データRを差分して、第1フレームの差分投影像データR(1)を生成する。
そして、投影像生成部362は、図19に示すように、2回転目に特定管球位置「0度」で曝射されたパルスX線により収集された投影データTを第2投影データとして用いて、第2フレームの差分投影像データT(2)を生成する。かかる処理を、投影像生成部362は、各特定管球位置で行なう。図19に示す一例では、回転フレーム15が1回転するごとに、2方向の差分投影像データそれぞれが1フレーム生成表示される。なお、制御部38は、第3の場合でも、第1の場合で説明した表示制御処理を行なう。
また、第1の実施形態、第1の実施形態に係る変形例、第2の実施形態、第3の実施形態で説明した内容は、複数の特定管球位置が設定される点以外、第4の実施形態でも適宜適用可能である。なお、第4の実施形態において差分投影像データを造影撮影のメインスキャンへの移行判定用に用いる場合、全ての差分投影像データを用いても、一部の差分投影像データを用いても良い。
次に、図20を用いて、第4の実施形態に係るX線CT装置の処理の一例について説明する。図20は、第4の実施形態に係るX線CT装置の処理の一例を説明するためのフローチャートである。なお、図20は、上述した第1の場合に、X線CT装置が行なう処理の一例を示すフローチャートである。
図20に例示するように、第4の実施形態に係るX線CT装置の制御部38は、操作者から差分モードでの撮影開始要求を受け付けたか否かを判定する(ステップS301)。ここで、差分モードでの撮影開始要求を受け付けない場合(ステップS301否定)、制御部38は、開始要求を受け付けるまで待機する。
一方、差分モードでの撮影開始要求を受け付けた場合(ステップS301肯定)、スキャン制御部33を介した制御部38の制御により、回転フレーム15は、回転を開始し、X線管球12aは、X線の連続曝射を開始する(ステップS302)。そして、投影像生成部362は、全ての特定管球位置の第1投影データから、全ての特定管球位置の第1投影像データを生成する。そして、制御部38は、造影開始の通知を受け付けたか否かを判定する(ステップS304)。ここで、造影開始の通知を受け付けない場合(ステップS304否定)、制御部38は、造影開始の通知を受け付けるまで待機する。
一方、造影開始の通知を受け付けた場合(ステップS304肯定)、制御部38は、特定管球位置に該当する投影データが収集されたか否かを判定する(ステップS305)。ここで、特定管球位置に該当する投影データが収集されていない場合(ステップS305否定)、制御部38は、収集されるまで待機する。
一方、特定管球位置に該当する投影データが収集された場合(ステップS305肯定)、制御部38の指示により、投影像生成部362は、収集された投影データを第2投影データとし、第2投影像データを生成する(ステップS306)。そして、投影像生成部362は、ステップS306で生成した第2投影像データの特定管球位置に対応する第1投影像データを用いて、差分投影像データを生成する(ステップS307)。そして、制御部38の指示により、表示装置32は、ステップS307で生成された差分投影像データに該当する表示領域に、差分投影像データを表示する(ステップS308)。
そして、制御部38は、操作者から投影像の撮影終了要求を受け付けたか否かを判定する(ステップS309)。ここで、投影像の撮影終了要求を受け付けない場合(ステップS309否定)、制御部38は、ステップS305に戻って、新たな特定管球位置に該当する投影データが収集されたか否かを判定する。
一方、投影像の撮影終了要求を受け付けた場合(ステップS309肯定)、制御部38は、処理を終了する。
上述したように、第4の実施形態では、複数の特定管球位置それぞれの差分投影像データを生成表示することで、操作者は、複数の投影方向から、造影剤の動態観察や、カテーテルの位置の確認、穿刺針の位置の確認等を正確に行なうことができる。
(第5の実施形態)
第5の実施形態では、差分投影像データの生成表示とともに、X線CT画像データの再構成表示が行なわれる場合について、図21〜図26等を用いて説明する。図21〜図26は、第5の実施形態を説明するための図である。
第5の実施形態に係るX線CT装置は、図1を用いて説明した第1の実施形態に係るX線CT装置と同様に構成される。ただし、第5の実施形態では、差分投影像データの表示が行なわれている際に、更に、X線CT画像データの再構成表示を行なうため、制御部38は、以下の制御を行なう。第1の実施形態で説明した差分投影像データの表示処理が行なわれている場合、又は、第4の実施形態の第1の場合で説明した複数の差分投影像データの表示処理が行なわれている場合、制御部38は、更に、被検体Pの全周囲分の投影データ群から再構成されたX線CT画像データを表示させる。
或いは、第2の実施形態で説明した差分投影像データの表示処理が行なわれている場合、又は、第4の実施形態の第2の場合で説明した複数の差分投影像データの表示処理が行なわれている場合、制御部38は、更に、曝射範囲で収集されたハーフ再構成分の投影データ群から再構成されたX線CT画像データを表示させる。
なお、第5の実施形態では、X線CT画像データの再構成が略リアルタイムで実行可能となる撮影条件が設定される。例えば、第5の実施形態では、フル再構成でCT透視を行なう場合や、ハーフ再構成でCT透視を行なう場合の撮影条件が設定される。また、第5の実施形態では、制御部38は、画像再構成部361が1つのアキシャル面のX線CT画像データを再構成するように、再構成に用いる投影データ群を選択しても良い。また、リアルタイム性が確保されるのであれば、制御部38の制御により、画像再構成部361は、3次元X線CT画像データを再構成し、3次元X線CT画像データから1つ又は複数のアキシャル面のX線CT画像データや、MPR画像データ、MIP画像データを表示用のX線CT画像データとして生成しても良い。また、表示用のX線CT画像データは、複数であっても良い。例えば、第5の実施形態は、差分投影像データと平行な断面のX線CT画像データと、差分投影像データと直交する断面のX線CT画像データとを、表示用のX線CT画像データとして用いても良い。
まず、第1の実施形態で説明した差分投影像データの生成表示処理が行なわれている際に、X線CT画像データの表示処理が行なわれる場合(以下、第5の実施形態の第1の場合と記載する)について、図21及び図22を用いて説明する。図21は、図3で説明した特定管球位置「0度」の差分投影像データTの生成表示処理に加えて、X線CT画像データの再構成表示処理が行なわれる場合を例示した図である。
図21に例示する場合、投影像生成部362は、造影前に収集される投影データTを第1投影データとして第1投影像データTを生成する。そして、図21に例示する場合、投影像生成部362は、造影開始後、回転フレーム15の1回転目に収集された投影データTを第2投影データとし、第2投影像データTを生成する。そして、投影像生成部362は、第2投影像データTから第1投影像データTを差分して、図3に示す差分投影像データ(1)に対応する第1フレームの差分投影像データT(1)を生成する。同様の処理により、投影像生成部362は、図3に示す差分投影像データ(2)に対応する第2フレームの差分投影像データT(1)を生成する。
そして、図21に例示するように、制御部38の制御により、画像再構成部361は、全周囲分の投影データ群を重複して、第1フレームのX線CT画像データ(1)、第2フレームのX線CT画像データ(2)、第3フレームのX線CT画像データ(3)、第4フレームのX線CT画像データ(4)、第5フレームのX線CT画像データ(5)を順次再構成する。
そして、制御部38の制御により、表示装置32は、差分投影像データとX線CT画像データとを表示装置32に表示させる。制御部38は、差分投影像データとX線CT画像データとを表示装置32にて並列表示させる。例えば、制御部38は、図22に示すように、表示装置32の表示領域を2つの表示領域に分割し、左側の表示領域Tを、差分投影像データTを表示する領域として設定し、右側の表示領域CTを、X線CT画像データを表示する領域として設定する。なお、制御部38は、例えば、表示装置32が2つ以上のモニタで構成される場合、制御部38は、差分投影像データとX線CT画像データとを2つのモニタそれぞれに表示させても良い。また、表示装置32は、架台装置10の周辺に設置される場合であっても良い。
次に、第4の実施形態の第1の場合で説明した複数の差分投影像データの表示処理が行なわれている際に、X線CT画像データの表示処理が行なわれる場合(以下、第5の実施形態の第2の場合と記載する)について、図23及び図24を用いて説明する。図23は、図16で説明した4つの特定管球位置の差分投影像データT、差分投影像データR、差分投影像データB及び差分投影像データLの生成表示処理に加えて、X線CT画像データの再構成表示処理が行なわれる場合を例示した図である。
図23に例示する場合、投影像生成部362は、造影前に順次収集される投影データT、投影データR、投影データB及び投影データLそれぞれから、第1投影像データT、第1投影像データR、第1投影像データB及び第1投影像データLを生成する。そして、図23に例示する場合、投影像生成部362は、造影開始後、回転フレーム15の1回転目に収集された投影データT、投影データR、投影データB及び投影データLそれぞれから、第2投影像データT、第2投影像データR、第2投影像データB及び第2投影像データLを順次生成する。
そして、投影像生成部362は、第1フレームの差分投影像データT(1)を生成し、第1フレームの差分投影像データR(1)を生成する。そして、投影像生成部362は、第1フレームの差分投影像データB(1)を生成し、第1フレームの差分投影像データL(1)を生成する。そして、投影像生成部362は、図23に示すように、2回転目に収集された投影データTから第2フレームの差分投影像データT(2)を生成する。
そして、図21に例示するように、制御部38の制御により、画像再構成部361は、全周囲分の投影データ群を重複して、X線CT画像データ(1)〜X線CT画像データ(5)を順次再構成する。
そして、制御部38は、4つの差分投影像データと、X線CT画像データとの全てを、表示装置32に表示させる。図24は、4つの差分投影像データが、第4の実施形態の第1の場合にて図17で説明した4つの表示領域(T、B、R、L)それぞれに表示され、更に、X線CT画像データが、表示領域Lの右側の表示領域CTに表示される場合を例示している。制御部38は、表示される画像データの数と表示装置32の表示サイズとに応じて、各画像像データの表示領域を設定する。なお、制御部38は、例えば、表示装置32が5つ以上のモニタで構成される場合、制御部38は、4つ差分投影像データとX線CT画像データとを5つのモニタそれぞれに表示させても良い。また、表示装置32は、架台装置10の周辺に設置される場合であっても良い。
次に、第2の実施形態で説明した複数の差分投影像データの表示処理が行なわれている際に、X線CT画像データの表示処理が行なわれる場合(以下、第5の実施形態の第3の場合と記載する)について、図25を用いて説明する。図25は、ハーフ再構成用の曝射範囲での連続曝射により、図12で説明した特定管球位置「180度」の差分投影像データTの生成表示処理とともに、X線CT画像データの再構成表示処理が行なわれる場合を例示した図である。
図25に例示する場合、投影像生成部362は、造影前に収集される投影データBを第1投影データとして第1投影像データBを生成する。そして、図25に例示する場合、投影像生成部362は、造影開始後、回転フレーム15の1回転目に収集された投影データBを第2投影データとし、第2投影像データBを生成する。そして、投影像生成部362は、第2投影像データBから第1投影像データBを差分して、図12に示す差分投影像データ(1)に対応する第1フレームの差分投影像データB(1)を生成する。同様の処理により、投影像生成部362は、図12に示す差分投影像データ(2)に対応する第2フレームの差分投影像データB(1)を生成する。
そして、図25に例示する場合、回転フレーム15が1回転することで、1フレーム分のハーフ再構成用の投影データ群が収集される。従って、画像再構成部361は、差分モードの投影像撮影の開始後の1回目の回転で、1フレームのX線CT画像データ(1)を再構成し、2回目の回転で、1フレームのX線CT画像データ(2)を再構成する。
なお、第5の実施形態の第3の場合で行なわれる表示制御は、第5の実施形態の第1の場合にて図22を用いて説明した表示制御と同様に行なわれる。
次に、第4の実施形態の第2の場合で説明した複数の差分投影像データの表示処理が行なわれている際に、X線CT画像データの表示処理が行なわれる場合(以下、第5の実施形態の第4の場合と記載する)について、図26を用いて説明する。図26は、ハーフ再構成用の曝射範囲での連続曝射により、図18で説明した3つの特定管球位置の差分投影像データR、差分投影像データB及び差分投影像データLの生成表示処理とともに、X線CT画像データの再構成表示処理が行なわれる場合を例示した図である。
図26に例示する場合、投影像生成部362は、造影前に順次収集される投影データR、投影データB及び投影データLそれぞれから、第1投影像データR、第1投影像データB及び第1投影像データLを生成する。そして、図26に例示する場合、投影像生成部362は、造影開始後、回転フレーム15の1回転目に収集された投影データR、投影データB及び投影データLそれぞれから、第2投影像データR、第2投影像データB及び第2投影像データLを順次生成する。
そして、投影像生成部362は、第1フレームの差分投影像データR(1)を生成し、第1フレームの差分投影像データB(1)を生成し、第1フレームの差分投影像データL(1)を生成する。そして、投影像生成部362は、図26に示すように、2回転目に収集された投影データRから第2フレームの差分投影像データR(2)を生成する。
そして、図26に例示する場合、回転フレーム15が1回転することで、1フレーム分のハーフ再構成用の投影データ群が収集される。従って、画像再構成部361は、差分モードの投影像撮影の開始後の1回目の回転で、1フレームのX線CT画像データ(1)を再構成し、2回目の回転で、1フレームのX線CT画像データ(2)を再構成する。
なお、第5の実施形態の第4の場合に行なわれる表示制御は、例えば、第4の実施形態の第1の場合にて図17を用いて説明した表示領域Tを表示領域CTとすることで、行なわれる。
第5の実施形態に係るX線CT装置の処理は、撮影開始要求を受け付けた後、1方向、又は、複数方向の差分投影像データの生成表示処理と並行して、X線CT画像データの再構成表示処理が行なわれる。この点以外、第5の実施形態に係るX線CT装置の処理は、第1の実施形態、第2の実施形態、第4の実施形態の第1の場合及び第4の実施形態の第2の場合と同様であるので、説明を省略する。
なお、第1の実施形態、第1の実施形態に係る変形例、第2の実施形態、第4の実施形態の第1の場合及び第2の場合で説明した内容は、X線CT画像データの表示処理が行なわれる点以外、第5の実施形態でも適宜適用可能である。
上述したように、第5の実施形態では、差分投影像データの表示用に収集される投影データ群を用いて、1方向、又は、複数方向の差分投影像データとともに、X線CT画像データを表示する。例えば、第5の実施形態では、操作者は、差分投影像データと平行な断面のX線CT画像データや差分投影像データと直交する断面のX線CT画像データを、差分投影像データとともに観察することができる。その結果、第5の実施形態では、操作者は、造影剤の動態観察や、カテーテルの位置の確認、穿刺針の位置の確認等をより正確に行なうことができる。
なお、操作者によっては、差分投影像データのみを参照したい場合がある。かかる場合、第5の実施形態では、制御部38は、操作者の要求に応じて、X線CT画像データの表示及び非表示を切り替えても良い。なお、X線CT画像データの非表示要求を受け付けた場合、制御部38は、再構成処理も停止させる。
(第6の実施形態)
第6の実施形態では、撮影中に、差分投影像データを表示する第1表示モードから、X線CT画像データを表示する第2表示モードへ、又は、第2表示モードから第1表示モードへと操作者により切り替えられる場合について説明する。図27は、第6の実施形態で行なわれる表示モードの切り替え処理を受け付ける入力装置の一例を説明するための図である。また、図28は、第6の実施形態で行なわれる表示モードの切り替え処理を受け付ける入力装置の他の一例を説明するための図である。
第6の実施形態は、特定管球位置でパルスX線を曝射する第3の実施形態や、複数の特定管球位置それぞれでパルスX線を曝射する第4の実施形態の第3の場合を実行している場合に適用される。第6の実施形態に係るX線CT装置は、図1を用いて説明した第1の実施形態に係るX線CT装置と同様に構成される。ただし、第6の実施形態に係る制御部38は、以下の制御を行なう。
例えば、第3の実施形態に第6の実施形態が適用される際には、制御部38は、操作者が第1表示モードを選択した場合、特定管球位置、又は、特定管球位置を含む所定範囲でX線管球12aからX線を曝射させて、当該特定管球位置の差分投影像データを生成表示させる。また、制御部38は、操作者が第2表示モードを選択した場合、X線管球12aから画像再構成可能な曝射範囲でX線を連続して曝射させて、X線CT画像データを再構成表示させる。
また、例えば、第4の実施形態の第3の場合に第6の実施形態が適用される際には、制御部38は、操作者が第1表示モードを選択した場合、複数の特定管球位置それぞれ、又は、当該複数の特定管球位置それぞれを含む複数の所定範囲それぞれで、X線管球12aからX線を曝射させて、当該複数の特定管球位置の差分投影像データを生成表示させる。また、制御部38は、操作者が第2表示モードを選択した場合、X線管球12aから画像再構成可能な曝射範囲でX線を連続して曝射させて、X線CT画像データを再構成表示させる。上記の画像再構成可能な曝射範囲としては、フル再構成用の曝射範囲(全周囲)や、ハーフ再構成用の曝射範囲(180度+ファン角)が挙げられる。また、表示されるX線CT画像データとしては、第5の実施形態で説明したように、アキシャル面の断層像データ、MPR画像データ、MIP画像データ等が挙げられる。また、X線CT画像データの撮影条件は、リアルタイム性が確保されるのであれば、任意の条件が選択可能である。
ここで、第1表示モードと第2表示モードとを選択するため、入力装置31は、例えば、第1表示モードを操作者が選択するための第1入力装置と、第2表示モードを前記操作者が選択するための第2入力装置とを有する。一例として、入力装置31は、第1入力装置として差分投影像データを得るための投影像ペダルと、第2入力装置としてX線CT画像データを得るためのCT透視ペダルとを有する。投影像ペダルが踏まれた際には、制御部38は、特定管球位置、又は、所定範囲で、X線を曝射させ、差分投影像データを表示させる。一方、CT透視ペダルが踏まれた際には、制御部38は、曝射範囲でX線を連続的に曝射させ、X線CT画像データを表示させる。なお、投影像ペダル又はCT透視ペダルが踏まれた時点で、制御部38は、第1表示モード又は第2表示モードの撮影を開始する。
或いは、第1表示モードと第2表示モードとを選択するため、入力装置31は、例えば、操作者が第1操作を行なった場合に第1表示モードの選択を受け付け、操作者が第2操作を行なった場合に第2表示モードの選択を受け付ける入力装置を有する。かかる入力装置としては、2段階ペダルが挙げられる。操作者が、第1操作として、2段階ペダルを1段目まで押し込む「半押し」を行なうと、特定管球位置、又は、所定範囲で、X線を曝射させ、差分投影像データを表示させる。一方、操作者が、第1操作として、2段階ペダルを1段目まで押し込む「全押し」を行なうと、制御部38は、曝射範囲でX線を連続的に曝射させ、X線CT画像データを表示させる。なお、2段階ペダルが半押し又は全押しされた時点で、制御部38は、第1表示モード又は第2表示モードの撮影を開始する。また、2段階ペダルが半押し又は全押しの状態から初期位置(OFF)まで戻された場合、制御部38は、撮影を終了する。
図27及び図28では、第3の実施形態にて図14を用いて説明した特定管球位置「180度」の差分投影像データ(差分投影像データB)を表示する第1表示モードと、フル再構成によるX線CT画像データを表示する第2表示モードとが、入力装置31を用いて交互に選択される場合を例示している。また、図27は、投影像ペダルとCT透視ペダルとを用いる場合を例示しており、図28は、2段階ペダルを用いる場合を例示している。
図27に例示する場合、最初に投影像ペダルが踏まれたことで、造影前の第1投影データと造影開始後の第2投影データとを用いた差分投影像データの表示(第1表示モード)が行なわれる。そして、第1フレームの差分投影像データの表示後、CT透視ペダルが踏まれたことで、X線CT画像データの表示(第2表示モード)が行なわれる。そして、第1フレームのX線CT画像データの表示後、投影像ペダルが踏まれたことで、差分投影像データの表示(第1表示モード)が行なわれる。
また、図28に例示する場合、最初に2段階ペダルが半押しされたことで、造影前の第1投影データと造影開始後の第2投影データとを用いた差分投影像データの表示(第1表示モード)が行なわれる。そして、第1フレームの差分投影像データの表示後、2段階ペダルが全押しされたことで、X線CT画像データの表示(第2表示モード)が行なわれる。そして、第2フレームの差分投影像データの表示後、2段階ペダルが半押しに戻されたことで、差分投影像データの表示(第1表示モード)が行なわれる。その後、2段階ペダルがOFFとなったことで、撮影が終了される。
なお、第4の実施形態の第3の場合に第6の実施形態が適用される場合、図27又は図28に示す第1表示モードが、例えば、差分投影像データT及び差分投影像データRの表示が行なわれる以外、同様の動作となるので説明を省略する。
また、第2表示モードが最初に選択された場合、第1表示モードが選択された場合に対応可能なように、制御部38の制御により、投影像生成部362は、再構成用に収集された投影データ群を用いて、差分投影像データ用の第1投影像データを生成しても良い。また、第6の実施形態は、第1表示モード実行中は、差分投影像データのみを表示しても良いし、前回の第2表示モードで表示された最終フレームのX線CT画像データを差分投影像データとともに表示させても良い。また、第6の実施形態は、第2表示モード実行中は、X線CT画像データのみを表示しても良いし、前回の第1表示モードで表示された最終フレームの差分投影像データをX線CT画像データとともに表示させても良い。
ここで、第2表示モードが選択されている場合、X線CT画像データの再構成用に収集された投影データ群を用いて、差分投影像データも生成することが可能である。そこで、第6の実施形態では、制御部38は、第2表示モードが選択されている場合、X線CT画像データの再構成表示とともに、差分投影像データの生成表示を実行させても良い。
なお、第1〜第5の実施形態で説明した内容は、パルスX線の曝射による差分投影像データの表示処理と、連続X線の曝射によるX線CT画像データの表示処理とが切り替えられる点以外、第6の実施形態においても、適宜適用可能である。
次に、図29を用いて、第6の実施形態に係るX線CT装置の処理の一例について説明する。図29は、第6の実施形態に係るX線CT装置の処理の一例を説明するためのフローチャートである。
図29に例示するように、第6の実施形態に係るX線CT装置の制御部38は、操作者から撮影開始要求を受け付けたか否かを判定する(ステップS401)。ここで、撮影開始要求を受け付けない場合(ステップS401否定)、制御部38は、撮影開始要求を受け付けるまで待機する。
一方、撮影開始要求を受け付けた場合(ステップS401肯定)、制御部38は、操作者が選択した表示モードが第1表示モードであるか否かを判定する(ステップS402)。ここで、第1表示モードである場合(ステップS402肯定)、制御部38は、第1表示モードの条件に基づくスキャンを開始し、差分投影像データの生成表示処理を開始させる(ステップS403)。そして、制御部38は、操作者が第1表示モードから第2表示モードへ切り替えたか否かを判定する(ステップS404)。
一方、操作者が選択した表示モードが第2表示モードである場合(ステップS402否定)、制御部38は、第2表示モードの条件に基づくスキャンを開始し、第1投影像データの生成処理及びX線CT画像データの再構成表示処理を開始させる(ステップS408)。そして、制御部38は、操作者が第2表示モードから第1表示モードへ切り替えたか否かを判定する(ステップS409)。
ここで、ステップS404において、操作者が第1表示モードから第2表示モードへ切り替えていない場合(ステップS404否定)、制御部38は、第1表示モードの状態で、撮影終了要求を受け付けたか否かを判定する(ステップS405)。撮影終了要求を受け付けていない場合(ステップS405否定)、制御部38は、第1表示モードの条件に基づくスキャンを継続し、差分投影像データの生成表示処理を継続させる(ステップS407)。そして、制御部38は、ステップS404に戻って、操作者が第1表示モードから第2表示モードへ切り替えたか否かを判定する。
また、ステップS409において、操作者が第2表示モードから第1表示モードへ切り替えていない場合(ステップS409否定)、制御部38は、第2表示モードの状態で、撮影終了要求を受け付けたか否かを判定する(ステップS410)。撮影終了要求を受け付けていない場合(ステップS410否定)、制御部38は、第2表示モードの条件に基づくスキャンを継続し、X線CT画像データの再構成表示処理を継続させる(ステップS412)。そして、制御部38は、ステップS409に戻って、操作者が第2表示モードから第1表示モードへ切り替えたか否かを判定する。
ここで、ステップS404において、操作者が第1表示モードから第2表示モードへ切り替えた場合(ステップS404肯定)、制御部38は、第2表示モードの条件に基づくスキャンに切り替え、X線CT画像データの再構成表示処理を開始する(ステップS406)。そして、制御部38は、ステップS410に移行して、第2表示モードの状態で、撮影終了要求を受け付けたか否かを判定する。
また、ステップS409において、操作者が第2表示モードから第1表示モードへ切り替えた場合(ステップS409肯定)、制御部38は、第1表示モードの条件に基づくスキャンに切り替え、差分投影像データの生成表示処理を開始する(ステップS411)。そして、制御部38は、ステップS405に移行して、第1表示モードの状態で、撮影終了要求を受け付けたか否かを判定する。
そして、ステップS405において、第1表示モードの状態で、撮影終了要求を受け付けた場合(ステップS405肯定)、又は、ステップS410において、第2表示モードの状態で、撮影終了要求を受け付けた場合(ステップS410肯定)、制御部38は、処理を終了する。
上述したように、第6の実施形態では、操作者の選択に応じて、差分投影像データとX線CT画像データとの切り替え表示を行なう。また、第6の実施形態では、パルスX線の曝射による差分投影像データの表示モードと、連続X線の曝射によるX線CT画像データの表示モードとを、簡単な操作により切り替えることができる。操作者は、差分投影像データとX線CT画像データとを容易に切り替えて参照することで、造影剤の動態観察や、カテーテルの位置の確認、穿刺針の位置の確認等をより正確に行なうことができる。
なお、上記の第1〜第6の実施形態で説明した差分投影像データは、X線管球12a及びX線検出器13を高速で回転することで生成されるが、X線管球12a及びX線検出器13を回転可能に支持する回転フレーム15は、架台装置10のカバー内に配置される。すなわち、X線管球12a及びX線検出器13は、架台装置10のカバーの中で、被検体Pから離間し、被検体Pに視認されない状態で、高速で回転される。このため、上記の第1〜第6の実施形態では、時間分解能の高い差分投影像データを、被検体Pの安全性を確保した状態で、表示することができる。
なお、上記の実施形態の説明において、図示した各装置の各構成要素は機能概念的なものであり、必ずしも物理的に図示の如く構成されていることを要しない。すなわち、各装置の分散・統合の具体的形態は図示のものに限られず、その全部又は一部を、各種の負荷や使用状況等に応じて、任意の単位で機能的又は物理的に分散・統合して構成することができる。更に、各装置にて行なわれる各処理機能は、その全部又は任意の一部が、CPUおよび当該CPUにて解析実行されるプログラムにて実現され、或いは、ワイヤードロジックによるハードウェアとして実現され得る。
以上、説明したとおり、第1の実施形態〜第6の実施形態によれば、コントラストの高い投影像を表示することができる。
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。