JP2014193818A - 医療用粘着製品 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】少なくとも一つの面に粘着層を有する医療用粘着製品であって、金属粒子を表面に担持している光触媒を無機吸着剤で被覆してなる複合材料が、前記粘着層の表面に付着してなることを特徴とする、医療用粘着製品。
【選択図】図1
Description
そのため、医療用粘着製品の貼付面に抗菌性物質を含有させることが試みられており、例えば、粘着剤層中にヨウ素−シクロデキストリン包接化物を含有させたもの等が知られている(特許文献1)。
また、近年では、感染症のさらなる拡大防止等のため、医療用粘着製品には、抗菌性よりもさらに強い殺菌性が求められている。
なお、本発明において(メタ)アクリルとは、アクリル及びメタクリルの各々を表し、(メタ)アクリレートとは、アクリレート及びメタクリレートの各々を表す。
なお、本発明において固形分とは、溶剤以外のすべての成分をいう。
本発明に係る医療用粘着製品の粘着層の表面に付着している複合材料は、金属粒子を表面に担持している光触媒を無機吸着剤で被覆してなるものである。無機吸着剤は、有機物を吸着して保持する性質を有するため、細菌、ウイルス、カビ等を選択的に吸着して保持すると考えられる。そして、無機吸着剤によって吸着された細菌等は、当該無機吸着剤に被覆される光触媒と容易に接触することができ、光触媒と接触した細菌等が、エネルギー照射による光触媒作用によって分解されるため、優れた殺菌効果が発揮されると推定される。また、光触媒の表面に担持されている金属粒子が、光触媒の励起状態を安定化することにより、光触媒作用が促進され、殺菌効果はさらに向上すると考えられる。また、光触媒が有機物を分解するためには一定時間を要するが、細菌等は無機吸着剤に保持されるため、確実に分解されやすい。さらに、前記複合材料は、特許文献1、2でそれぞれ用いられているヨウ素や、ヒノキチオール等の抗菌性物質と異なり、常温において揮発しにくく、光に対して安定であるため、殺菌効果の持続性及び安定性にも優れると考えられる。
ここで、医療用粘着製品は、主に皮膚等の生体表面の創傷治癒或いは保護のために直接貼り付けたり、医療用具を固定するための粘着シートとして使用される。そのため、被着体に貼り付けた後の状態において、粘着シートに皺が生じたり、被着体が複雑な形状を有する場合に粘着シートと被着体との間に隙間ができることにより、粘着シートと被着体との間に空間が生じる場合がある。従来の医療用粘着製品では、このようにして生じた空間の空気を媒体として、細菌、ウイルス等が飛散し、感染ルートとなる場合があった。これに対し、本発明に係る医療用粘着製品においては、被着体との間に空間が生じた場合であっても、当該空間に存在する細菌やウイルス等を無機吸着剤が選択的に吸着して、光触媒へと橋渡しすることができるため、優れた殺菌性が発揮されると考えられる。
また、本発明に係る医療用粘着製品による殺菌作用は、上記のとおり、金属粒子を表面に担持している光触媒を無機吸着剤で被覆してなる複合材料によるものであり、光触媒のみによるものでないため、本発明に係る医療用粘着製品は、ブラックライト等を使用しなくても、蛍光灯下であっても優れた殺菌効果を発揮することができる。
なお、光触媒は各種有機物を分解する性質を有するが、本発明の医療用粘着製品においては、光触媒は無機吸着剤により被覆されているため、粘着剤や支持体等の粘着製品自体の材料に対しては、無機吸着剤がスペーサーとなって光触媒が直接接触しにくい。よって、粘着製品自体の材料は分解が防止され、粘着製品の劣化が抑制されると考えられる。
また、本発明に係る医療用粘着製品は、貼付面である粘着層が、良好な粘着性を有しつつも、貼り付け時における滑り性が良く、貼り付け時の取り扱い性に優れるという効果も奏する。これは、粘着層の表面に非粘着性の複合材料が付着していることにより、当該粘着層表面が被着体と接触する際は、非粘着性の複合材料が先行して接触し、適度に加圧されて粘着性部分が被着体と接触するまでは、粘着層表面は被着体に固定されないからであると考えられる。
本発明に係る医療用粘着製品は、支持体を有していないものであっても良い。また、本発明に係る医療用粘着製品における粘着層や支持体は、均一な厚みを有するシート状のものに限られず、適宜種々の形状を有していても良い。
本発明に係る医療用粘着製品において、粘着層の表面に付着している複合材料は、金属粒子を表面に担持している光触媒を無機吸着剤で被覆してなるものである。
前記光触媒としては、光照射により有機物を分解可能な光触媒の中から適宜選択して用いることができる。このような光触媒の具体例としては、例えば、酸化チタン(TiO2)、チタン酸ナトリウム(NaTiO3、Na2Ti6O13等)、チタン酸バリウム(BaTiO3)、チタン酸ストロンチウム(SrTiO3)、酸化亜鉛(ZnO)、酸化タングステン(WO3)、硫化カドミニウム(CdS)、ニオブ酸カリウム(K2NbO3、K4Nb6O17等)、酸化鉄(Fe2O3)、酸化タンタル(Ta2O5)、酸化スズ(SnO2)、酸化ビスマス(Bi2O3)、酸化ニッケル(NiO)、酸化銅(Cu2O)、酸化ケイ素(SiO2)、硫化モリブデン(MoS2)、インジウム鉛(InPb)、酸化ルテニウム(RuO2)、酸化セリウム(CeO2)等が挙げられる。
これらの化合物において、光触媒機能の発現がその結晶型に依存しているものについては、光触媒機能を発現可能な結晶型の化合物が使用される。これらの光触媒は、1種単独で使用してもよく、また2種以上を組み合わせて使用してもよい。
酸化チタン粒子の結晶構造は、アナターゼ型、ルチル型のいずれであってもよいが、中でも、バンドギャップが大きく酸化還元作用が強いことから、アナターゼ型であることが好ましい。
また、前記光触媒の平均粒径は、0.01〜2.0μmが好ましく、0.1〜0.6μmがより好ましい。
なお、本発明において平均粒径とは、TEM写真又はSEM写真から測定される算術平均粒径であり、例えば、50〜200万倍で撮影されたTEM写真又はSEM写真を用いて粒子の観察を行い、観察した粒子100個の粒径の算術平均値をもって平均粒径とすることができる。また、本発明において、粒子の形状が、短径と長径を有する回転楕円体形状や棒状等、アスペクト比の概念を含む形状である場合、当該粒子の粒径は、短径と長径の平均値とする。
金属粒子としては、触媒作用を有するものであればよく、特に限定されないが、触媒性能及び経時安定性の点から、白金、金、銀、又は銅であることが好ましく、中でも、粒子自体が抗菌性を有し、人体への安全性が高いことから、銀粒子がより好ましい。
光触媒と金属粒子との混合割合は、殺菌性を十分に向上する観点から、光触媒100質量部に対して、金属粒子が1〜55質量部であることが好ましく、10〜30質量部であることがより好ましい。
また、本発明において、金属粒子の含有量は、前記光触媒の光触媒作用を向上することができる量であればよいため、少なくすることができ、例えば、光触媒100質量部に対して10質量部以下とすることができる。このように金属粒子の含有量が少ない場合は、金属アレルギーが生じる危険性も少ない。
前記複合材料は、光触媒粒子の全表面積に対し、50%〜95%が無機吸着剤に被覆されていることが好ましく、55%〜90%が無機吸着剤に被覆されていることがより好ましい。無機吸着剤による被覆が、上記上限値以下であることにより、光触媒粒子への光照射量を十分なものとすることが容易となるため殺菌性が向上し、上記下限値以上であることにより、細菌等の吸着作用が充分に発揮され、さらに、無機吸着剤のスペーサーとしての機能が向上するため、粘着剤や支持体等の分解抑制効果が向上する。
これらの無機吸着剤の中でも、細菌、ウィルス、カビ等のタンパク質の吸着性に優れる点から、リン酸カルシウムを用いることが好ましく、中でも、ハイドロキシアパタイト[Ca10(PO4)6(OH)2]がより好ましい。
また、前記無機吸着剤の平均粒径は、特に限定されないが、0.001〜1.0μmが好ましく、0.01〜0.05μmがより好ましい。前記無機吸着剤の平均粒径が上記範囲内であることにより、当該無機吸着剤の表面積を大きくして細菌等の吸着性を向上すると共に、前記光触媒の表面を容易に被覆することができる。
また、予め光触媒を無機吸着剤で被覆させた中間材料を、金属粒子と溶媒中で混合することにより、前記複合材料を得てもよい。光触媒を無機吸着剤で被覆させた中間材料を製造する方法は、特に限定されないが、例えば、酸化チタンをリン酸カルシウムで被覆してなる複合材料の場合は、リン酸又はリン酸塩と、水溶性のカルシウム塩と、酸化チタンとを水中で懸濁させ、リン酸マルトデキストリンやリン酸オリゴ糖を触媒として加え、pHを5〜9に調整後、温度を30℃以上に加熱して、反応させることにより、製造することができる。或いは、前記中間材料は、光触媒と無機吸着剤との混合粉末を焼結することにより得ても良い。
粘着層は、粘着性を有し、その表面を被着体に貼り付けることができる層であり、当該表面に前記複合材料が付着してなる層である。
粘着層は、少なくとも粘着剤を含む粘着剤組成物よって形成される。本発明において粘着剤とは、接着剤の一種をいい、接着剤のうち、接着の際には単に適度な加圧(通常、軽く手で押圧する程度)のみにより、表面の粘着性のみで接着可能なものをいう。粘着剤は、1種単独の化合物のみからなるものでもよく、2種以上の化合物の組み合わせにより粘着剤として機能するものであってもよい。
本発明の粘着層は、更に他の接着剤等を用いることなく適度な加圧のみにより、被着体に貼り付け可能なように設計されていることが好ましい。
(メタ)アクリル酸アルキルエステルとしては、例えば、アクリル酸やメタクリル酸に炭素数が1〜18、好ましくは4〜12のアルコールがエステル結合したものが使用できる。好ましい具体例としては、(メタ)アクリル酸ブチルエステル、(メタ)アクリル酸ペンチルエステル、(メタ)アクリル酸ヘキシルエステル、(メタ)アクリル酸ヘプチルエステル、(メタ)アクリル酸オクチルエステル、(メタ)アクリル酸ノニルエステル、(メタ)アクリル酸デシルエステル、(メタ)アクリル酸ドデシルエステル等が挙げられる。中でも、優れた粘着特性を発揮する点から、アルキル基の炭素数が6以上、特に6〜18の長鎖アルキルエステルを有する(メタ)アクリル酸アルキルエステルが好ましい。なお、本発明における上記(メタ)アクリル酸アルキルエステルのアルキルエステル鎖は、直鎖状だけでなく、構造異性体としての分岐鎖状のものも含む。
中でも、水性媒体を用いた乳化重合によって水分散型重合体溶液を調製する方法が好ましく、具体的には例えば、(メタ)アクリル酸アルキルエステルにシラン系単量体を共重合性単量体として導入した水分散型共重合体を用いる方法(例えば特開2008−1679号公報)等が挙げられる。
さらに好適な方法としては、例えば、(メタ)アクリル酸アルキルエステルを主成分単量体とし、カルボキシル基含有単量体0.1〜10質量%を含んでなる単量体混合物100質量部に、該(メタ)アクリル酸アルキルエステルと共重合可能なシラン系単量体を0.005〜0.05質量部を添加して乳化重合用単量体混合物を調製し、該乳化重合用単量体混合物に水性媒体および乳化剤を添加し、乳化重合して、水分散型共重合体溶液を調製し、該水分散型共重合体溶液の固形分100質量部に対して、有機液状成分20〜60質量部を配合することにより調製した粘着層形成用溶液を用いる方法(例えば特開2013−22244号公報)が挙げられる。
前記消臭剤としては、例えば、ラウリルメタクリレート、ゲラニルクロリネート、シトロネリルセネシオネート、テルペンアルデヒド類、ピルビン酸エステル類、2−エチルヘキサン酸亜鉛、リシノール酸亜鉛等が挙げられる。
また、本発明に係る医療用粘着製品は、前記粘着層の裏面(複合材料が付着されていない面)側、例えば粘着層と支持体との間に、前記消臭剤を含有する消臭層を有していてもよい。
前記粘着層用塗工液における前記複合材料の含有量は、前記複合材料の少なくとも一部が粘着層の表面から露出する含有量であれば特に限定されず、適宜調整されるが、粘着剤組成物と複合材料とを混合した粘着層用塗工液の全固形分に対して、複合材料の固形分が45〜70質量%であることが好ましく、45〜60質量%であることがより好ましく、45〜50質量%であることがさらに好ましい。前記下限値以上であることにより、粘着層の表面を、優れた殺菌性を発揮するために充分な量の複合材料が付着してなるものとすることが容易になり、前記上限値以下であることにより、前記粘着層の粘着性を良好なものとすることができる。
なお、前記粘着層用塗工液の塗布時の粘度は、複合材料を露出しやすくする点から1000Pa・s以下であることが好ましく、均一塗工性等の点からは前記500Pa・s以上であることが好ましい。
また、前記粘着層用塗工液の粘度は、粘着剤や溶剤の種類及び含有量を変えたり、増粘剤を添加すること等により調整することができる。なお、前記粘度は、25℃において、レオメーター等により測定することができる。
本発明に係る医療用粘着製品において、前記粘着層は、典型的には、支持体上に設けられる。
前記支持体としては、特に限定されず、従来医療用粘着製品の支持体として用いられているものを用いることができ、例えば、各種プラスチックフィルム、発泡体シート、コート紙、アート紙、キャスト紙などの塗工紙、織布、不織布などの布帛、金属箔、これらを積層した複合シート等が挙げられる。
本発明に係る医療用粘着製品は、さらに、前記粘着層の表面を保護するために、前記粘着層上に剥離可能に設けられた剥離層を有していてもよい。なお、剥離層は、本発明に係る医療用粘着製品を使用する際には、剥離される。
前記剥離層の材料は、特に限定されないが、前記粘着層及び前記複合粒子の材料に応じて、従来公知のものの中から適宜選択することができ、例えば、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、セルロース樹脂、シリコーン樹脂、塩化ゴム、カゼイン、各種界面活性剤、金属酸化物等の中から1種のみ選んで単独で又は2種以上を選んで混合して用いることができる。
本発明に係る医療用粘着製品の製造方法は、特に限定されないが、例えば、転写法又は直写法による方法が挙げられる。具体的には、まず、粘着剤である重合体を含有した重合体溶液に、前記複合材料及び必要に応じてその他の成分を含有させた粘着層用塗工液を得る。次いで、得られた粘着層用塗工液を、予め作製した剥離層用シート上に塗布、乾燥して粘着層を形成した後、この粘着層を支持体に転着させる方法(転写法)、あるいは、粘着層用塗工液を直接支持体上に塗布、乾燥させる方法(直写法)により、本発明に係る医療用粘着製品を得ることができる。なお、本発明に係る医療用粘着製品は、使用目的に応じて、所定形状に切断加工してもよい。
また、本発明の医療用粘着製品は、粘着層一層のみからなり、使用時に別の被覆材と併用するタイプのものであってもよい。粘着層一層のみからなる本発明の医療用粘着製品は、例えば、剥離シート上に粘着層用塗工液を塗布、乾燥して粘着層を形成した後、剥離シートを粘着層から剥離させることにより得ることができる。
本発明に係る医療用粘着製品は、典型的には医療用粘着シート又は医療用粘着テープであり、具体的には、絆創膏、粘着包帯、サージカルテープ、ドレッシング材、パップ剤、カテーテル等の医療用具を固定するための固定テープ等に好適に用いることができる。
また、本発明に係る医療用粘着製品は、粘着層中に、経皮吸収性薬物を含有させることによって、各種疾患の治療目的に使用することもできる。
(実施例1)
アクリル酸2−エチルヘキシルエステル96質量部、アクリル酸4質量部、3−メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン0.03質量部を含有する乳化重合用単量体混合物に、1−ドデカンチオール0.03質量部、ポリオキシエチレンラウリルエーテル硫酸アンモニウム2質量部、水36質量部を添加し、ホモミキサーにて溶液全体を乳化して単量体エマルジョンを得た。
複合材料の添加量を、粘着層用塗工液の全固形分に対して66.7質量%としたこと以外は、実施例1と同様にして、実施例2の医療用粘着製品を作製した。得られた医療用粘着製品の粘着層表面をSEM写真により観察したところ、複合材料の一部が粘着層から露出していることを確認することができた。
複合材料の添加量を、粘着層用塗工液の全固形分に対して48.1質量%としたこと以外は、実施例1と同様にして、実施例3の医療用粘着製品を作製した。得られた医療用粘着製品の粘着層表面をSEM写真により観察したところ、複合材料の一部が粘着層から露出していることを確認することができた。
粘着層用塗工液に複合材料を添加しなかったこと以外は、実施例1と同様にして、比較例1の医療用粘着製品を作製した。
複合材料の代わりに、アナターゼ型酸化チタンを添加したこと以外は、実施例1と同様にして、比較例2の医療用粘着製品を作製した。得られた医療用粘着製品の粘着層表面をSEM写真により観察したところ、アナターゼ型酸化チタンの一部が粘着層から露出していることを確認することができた。
各実施例及び各比較例で得られた医療用粘着製品を、幅12mm、長さ50mmに裁断し、ボランティア上腕部内側に貼付して、貼付後6時間経過後の貼着状態を目視観察した。各実施例及び各比較例において得られた医療用粘着製品は、貼付後6時間経過後においても、端部のめくれや浮きがなく、粘着性は良好であった。
各実施例及び各比較例で得られた各医療用粘着製品を50mm角の正方形になるように切り取り、これを試験片とした。次いで、JIS Z2801に準拠して、各試験片の粘着層表面にそれぞれ大腸菌を含む所定の菌液を0.4mL滴下した。その上に、40mm角のポリエチレンテレフタレートフィルムをかぶせ、当該フィルムを密着した。当該各試験片を、培養器中で温度35℃、相対湿度90%、蛍光灯照射下で、24時間培養し、培養後の生菌数を測定した。また、これとは別に、試験菌液接種直後の試験片の生菌数(試験前生菌数)を測定した。各測定値を対数値で表1に示す。なお、生菌数は、発光測定法により測定した。具体的には、それぞれの洗い出し液にATP抽出試薬を加え、細胞内から抽出したATPと発光試薬(ルシフェラーゼ)を反応させ、発光光度計によりその発光量を測定してATP濃度、さらに生菌数に換算した。
殺菌性は、24時間培養後の生菌数の対数値が0に近いほど殺菌性が高いと判断され、24時間培養後の生菌数の対数値が0〜1であると、特に殺菌性が高いと評価される。
各実施例及び各比較例で得られた各医療用粘着製品を50mm角の正方形になるように切り取り、これを試験片とし、粘着層が表側となるようにシャーレの蓋に固定した。一方で、40mm角のポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムに、大腸菌を含む所定の菌液を0.4mL滴下し、菌液を滴下した面が表側となるように、当該PETフィルムをシャーレの底皿に設置した。この際、シャーレの底皿にシャーレの蓋をしたときに、試験片の粘着層表面とPETフィルムの表面とが、3mmの間隔で平行になるようにPETフィルムを配置した。次いで、シャーレの底皿にシャーレの蓋をし、蓋をしたシャーレを、培養器中で温度35℃、相対湿度90%、蛍光灯照射下で、24時間培養し、培養後の生菌数を測定した。また、これとは別に、試験菌液接種直後のPETフィルムの生菌数(試験前生菌数)を測定した。生菌数の測定は、殺菌性評価1と同様の方法により行った。各測定値を対数値で表1に示す。殺菌性は、24時間培養後の生菌数の対数値が0に近いほど殺菌性が高いと判断され、24時間培養後の生菌数の対数値が0〜1であると、特に殺菌性が高いと評価される。
上記殺菌性評価1後の医療用粘着製品を目視で観察し、劣化を評価した。粘着層表面に変化が認められなかった場合を劣化なしと評価し、粘着層表面に黄変等の変化が認められた場合を劣化ありと評価した。評価結果を表1に示す。
実施例1〜3で得られた医療用粘着製品は、粘着層の表面に、金属粒子を表面に担持している光触媒を無機吸着剤で被覆してなる複合材料が付着していたため、殺菌性に優れ、粘着層表面が被着体から浮き上がった状態でも、優れた殺菌効果を発揮し、且つ粘着層表面は劣化していなかった。
一方、比較例1で得られた医療用粘着製品は、粘着層表面に複合材料が付着していないため、殺菌性に劣っていた。なお、比較例1において、培養後の生菌数が減少したのは自然に死滅したものと推定される。
比較例2で得られた医療用粘着製品は、粘着層表面に酸化チタンが付着していたため、殺菌性は認められたものの、実施例1〜3で得られた医療用粘着製品に比べると殺菌性に劣っていた。さらに、粘着層表面に劣化が認められた。
2 粘着層
3 複合材料
4 剥離層
10 医療用粘着製品
Claims (2)
- 少なくとも一つの面に粘着層を有する医療用粘着製品であって、
金属粒子を表面に担持している光触媒を無機吸着剤で被覆してなる複合材料が、前記粘着層の表面に付着してなることを特徴とする、医療用粘着製品。 - 前記複合材料における、前記光触媒が酸化チタンであり、前記無機吸着剤がリン酸カルシウムである、請求項1に記載の医療用粘着製品。
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