JP2014186268A - 転写装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】表面に画像が形成された記録材(10)と、画像が転写される基材(7)と、が積層された積層体(19)の搬送方向に対して、積層部(U3a)の下流側に配置され且つ下流側に積層体(19)を搬送すると共に、積層体(19)を加熱して記録材(10)の表面に形成された画像を基材(7)の表面に転写させる転写部(31)と、積層体(19)の搬送方向に対して、積層部(U3a)の下流側且つ転写部(31)の上流側に配置され且つ転写部(31)の搬送速度よりも低速で転写部(31)に積層体(19)を搬送すると共に、記録材(10)から基材(7)に画像が転写可能な下限温度に比べて、低い温度に積層体(19)を温める加温部材(23)と、を備えることを特徴とする転写装置(U3)。
【選択図】図7
Description
特許文献1としての特開2005−227377号公報には、顔写真入りのキャッシュカードのような厚いプラスチックシート(38)の表面に画像を形成する技術が記載されている。特許文献1記載の構成では、画像形成装置(12)において、転写シート(22)の表面に画像が形成され、丁合い装置(14)において、画像が形成された転写シート(22)がプラスチックシート(38)に重ねられ、一端部が仮留めされて積層体が形成される。積層体は、加熱ロール(48)に支持されたベルト(46)を通過する際に、加熱ロール(48)で加熱されて、転写シート(22)に形成された画像がプラスチックシート(38)に転写される。画像が転写された後の転写シート(22)は、剥離装置(17)において、プラスチックシート(38)から剥される。
表面に画像が形成された記録材と、前記記録材の表面の画像が転写される基材と、が積層された積層体を搬送すると共に、前記積層体を加熱して前記記録材の表面に形成された画像を前記基材の表面に転写させる転写部と、
前記積層体の搬送方向に対して、前記転写部の上流側に配置され、前記転写部の搬送速度よりも低速で前記転写部に前記積層体を搬送すると共に、前記記録材から前記基材に画像が転写可能な下限温度に比べて、低い温度に前記積層体を温める加温部材と、
を備えることを特徴とする。
予め設定された圧力で接触しながら回転する一対の第1の回転体を有し、前記第1の回転体どうしの間で前記積層体を挟んで、前記積層体の搬送方向の下流側に前記積層体を搬送させる前記転写部と、
前記第1の回転体の接触圧力よりも弱い圧力で接触しながら回転する一対の第2の回転体を有し、前記第2の回転体どうしの間で前記積層体を挟んで、前記積層体の搬送方向の下流側に前記積層体を搬送させる前記加温部材と、
を備えたことを特徴とする。
前記積層体の搬送方向に対して、前記転写部の下流側に配置され、前記積層体を冷却する冷却部であって、前記転写部が前記積層体を搬送する速度に比べて、高速で前記積層体の搬送方向の下流側に前記積層体を搬送する前記冷却部、
を備えたことを特徴とする。
前記積層体の搬送方向に沿って予め設定された間隔を空けて配置されて、通過する前記積層体に接触して冷却する複数の冷却部材を有し、前記積層体の搬送方向の最も上流側に配置された前記冷却部材が前記積層体を冷却する温度が、前記下限温度よりも低い温度に設定されると共に、前記積層体の搬送方向の上流側に配置された前記冷却部材に比べて、下流側に配置された前記冷却部材の温度が、低温に設定された前記冷却部、
を備えたことを特徴とする。
請求項2に記載の発明によれば、第2の回転体どうしの接触圧力が第1の回転体どうしの接触圧力よりも弱くない場合に比べて、転写ムラの発生を低減できる。
請求項3に記載の発明によれば、冷却部が積層体を搬送する搬送速度が転写部よりも高速でない場合に比べて、積層体の変形を抑えることができる。
請求項4に記載の発明によれば、下限温度よりも低温の上流側の冷却部材と上流側の冷却部材よりも低温の下流側の冷却部材とを有しない場合に比べて、積層体の急冷却を低減して積層体の変形を抑えることができる。
なお、以後の説明の理解を容易にするために、図面において、前後方向をX軸方向、左右方向をY軸方向、上下方向をZ軸方向とし、矢印X,−X,Y,−Y,Z,−Zで示す方向または示す側をそれぞれ、前方、後方、右方、左方、上方、下方、または、前側、後側、右側、左側、上側、下側とする。
また、図中、「○」の中に「・」が記載されたものは紙面の裏から表に向かう矢印を意味し、「○」の中に「×」が記載されたものは紙面の表から裏に向かう矢印を意味するものとする。
なお、以下の図面を使用した説明において、理解の容易のために説明に必要な部材以外の図示は適宜省略されている。
図1において、本発明の実施例1の画像形成装置の一例であるプリンタUは、装置本体の一例としてのプリンタ本体U1を備えている。前記プリンタUには電気的に、画像情報の送信装置の一例としてのパーソナルコンピュータPCが接続されている。プリンタUの制御部Cには、パーソナルコンピュータPCから送信された画像情報が入力可能に構成されている。
前記制御部Cは、パーソナルコンピュータPCから入力された画像情報を、潜像形成用のイエローY、マゼンタM、シアンC、黒Kの画像情報に変換する。制御部Cは、変換した画像情報を、予め設定された時期に書込回路DLに出力する。
なお、制御部Cは、画像が単色画像、いわゆる、モノクロの場合は、黒Kのみの画像情報を書込回路DLに出力する。
図1、図2において、各LEDヘッドLHy〜LHkの上方には、像保持体の一例としての感光体PRy,PRm,PRc,PRkが配置されている。
各感光体PRy,PRm,PRc,PRkの回転方向に対して、LEDヘッドLHy〜LHkの上流側には、帯電器の一例としての帯電ロールCRy,CRm,CRc,CRkが、感光体PRy〜PRkに接触して配置されている。感光体PRy〜PRkの回転方向に対して、LEDヘッドLHy〜LHkの下流側には、現像装置Gy,Gm,Gc,Gkが配置されている。感光体PRy〜PRkの回転方向に対して、現像装置Gy〜Gkの下流側には、1次転写器の一例としての1次転写ロールT1y,T1m,T1c,T1kが配置されている。感光体PRy〜PRkの回転方向に対して、1次転写ロールT1y〜T1kの下流側には、像保持体の清掃器の一例としての感光体クリーナCLy,CLm,CLc,CLkが配置されている。
中間転写ベルトBの回転方向に対して、2次転写領域Q4の下流側には、中間転写体の清掃器の一例として、ベルトクリーナCLbが配置されている。
前記1次転写ロールT1y〜T1k、中間転写ベルトBおよび2次転写器T2等により、実施例1の転写装置T1+T2+Bが構成されている。また、作像部Uy〜Ukおよび転写装置T1+T2+Bとにより、実施例1の画像の記録部Uy〜Uk+T1+T2+Bが構成されている。
給紙トレイTR1〜TR4の右上方には、取出部材の一例としてのピックアップロールRpが配置されている。記録シートSの搬送方向に対して、ピックアップロールRpの下流側には、捌き部材の一例としてのさばきロールRsが配置されている。記録シートSの搬送方向に対して、捌きロールRsの下流側には、媒体の搬送路の一例として、上方に延びる給紙路SH1が形成されている。給紙路SH1には、搬送部材の一例としての複数の搬送ロールRaが配置されている。
また、前記最上段の給紙トレイTR1の右方には、手差し部の一例としての手差しトレイTR0が設置されている。前記手差しトレイTR0には、手差し用の給紙部材の一例としての手差し用の給紙ロールRp0が配置されている。
定着装置Fの上方には、搬送路の一例としての排紙路SH3が配置されている。排紙路SH3は、媒体の排出部の一例として、プリンタ本体U1の上面に形成された排紙トレイTRhに向けて延びる。排紙路SH3の下流端の排出口SH3aには、媒体の搬送部材の一例としての排紙ロールRhが配置されている。
前記構成を備えた実施例1のプリンタUでは、パーソナルコンピュータPCから画像情報がプリンタUに入力されると、制御部CがY,M,C,Kの画像情報に変換する。変換された画像情報は、書込回路DLに出力される。書込回路DLは、入力された画像情報に応じて、LEDヘッドLHy〜LHkが制御されて書込光が出力される。
各感光体PRy〜PRkは、画像形成が開始されると回転駆動する。帯電ロールCRy〜CRkには、電源回路Eから帯電電圧が印加される。したがって、感光体PRy〜PRkの表面は、帯電ロールCRy〜CRkにより帯電される。帯電された感光体PRy〜PRkは、書込位置Q1y,Q1m,Q1c,Q1kにおいて、LEDヘッドLHy〜LHkからの書込光により、表面に静電潜像が形成される。感光体PRy〜PRkの静電潜像は、現像領域Q2y,Q2m,Q2c,Q2kにおいて、現像装置Gy,Gm,Gc,Gkにより可視像の一例としてのトナー像に現像される。
1次転写後の感光体PRy〜PRkの残留物、付着物は、感光体クリーナCLy〜CLkにより清掃される。清掃された感光体PRy〜PRk表面は、帯電ロールCRy〜CRkにより再帯電される。
1次転写領域Q3y〜Q3kで1次転写ロールT1y〜T1kにより中間転写ベルトB上に転写された単色または多色のトナー像は、2次転写領域Q4に搬送される。
手差しトレイTR0に収容されたシートSが使用される場合、手差し用の給紙ロールRp0は、手差しトレイTR0に積載されたシートSを、手差し搬送路SH0を介して、レジロールRrに送る。
2次転写後の前記中間転写ベルトBは、中間転写体清掃器の一例としてのベルトクリーナCLbにより清掃される。
前記トナー像が2次転写された記録シートSは、定着領域Q5を通過する際に加熱定着される。
画像が定着された記録シートSは、排紙路SH3を搬送される。後述する中継ユニットU2が排紙トレイTRhに設置されていない場合には、排紙路SH3を搬送されたシートSは、排紙ロールRhにより排紙トレイTRhに排出される。
図1において、実施例1の前記プリンタUの排紙トレイTRhには、媒体の搬送装置の一例としての中継ユニットU2が着脱可能に支持されている。
中継ユニットU2の内部には、媒体の搬送路の一例としての中継路SH5が形成されている。中継路SH5は、プリンタ本体U1のシート排出口SH3aに接続される一端側に、排紙ロールRhから排出された記録シートSが搬入される搬入口1を有する。中継路SH5上には、媒体の搬送部材の一例としての中継ロールRa2が配置されている。中継路SH5は、シートSの搬送方向の下流端に、後処理装置向けの排出口2が形成されている。
図1において、プリンタUの左方には、転写装置の一例としての画像転写装置U3が配置されている。実施例1の画像転写装置U3は、積層部の一例として、中継ユニットU2に隣接して配置された丁合装置U3aを有する。
丁合装置U3aの右側の下部には、第2の媒体の収容部の一例としてのカードトレイ6が支持されている。カードトレイ6には、基材の一例であって、第2の媒体の一例としてのカード基材7が積載されている。前記カード基材7には、情報の記憶媒体の一例としての図示しないICチップが内蔵されている。実施例1のICチップは、無線通信が可能なチップ、いわゆるICタグにより構成されている。したがって、ICチップを介して、非接触で情報の送受信が可能に構成されている。なお、実施例1のICチップには、カード基材7の構成材料等の種類やカード基材7の大きさ等の媒体の情報が予め記憶されている。
また、丁合装置U3aの内部には、カードトレイの左方に対応する位置に、積載部の本体の一例としてのコンパイルトレイ9が支持されている。実施例1のコンパイルトレイ9には、カード基材7や、プリンタ本体U1でトナー像が形成されたシートSが積載可能である。
ここで、実施例1では、シートSとして、媒体の一例であって記録材の一例としての転写フィルム10を使用するが、MOEフィルム:Marking on Everythingフィルムも使用可能である。図3Aにおいて、実施例1の転写フィルム10は、膜状の基材層10aを有する。基材層10aの表面には、受像層10bが支持されている。なお、基材層10aは、例えば、厚さが80μmのPETフィルムにより構成可能である。また、受像層10bは、例えば、厚さが数μmの従来公知のトナー受像層により構成可能である。なお、トナー受像層は、例えば、特許第4013658号公報や特許第4019921号公報等に記載された従来公知の構成を使用可能であるため、詳細な説明は省略する。
なお、図3Bに示すように、基材層10aと受像層10bとの間に、保護層10cを有する転写フィルム10′を使用することも可能である。
搬送路12上には、媒体の搬送部材の一例としての複数の搬送ロールRa3が配置されている。また、カードトレイ6の左上方には、各給紙トレイTR1〜TR4に設けられたピックアップロールRpや捌きロールRsと同様に構成されたピックアップロールRpおよび捌きロールRsが配置されている。
コンパイルトレイ9の右端には、停止部材の一例として、上方に延びるストッパ16が支持されている。なお、実施例1のストッパ16は、コンパイルトレイ9に積載されるシートSの搬送方向の長さに応じて、搬送方向に沿って移動可能に支持されている。前記ストッパ16は、図示しないモータやギア等の駆動機構により、搬送方向に沿った位置が制御可能に構成されている。ストッパ16は、コンパイルトレイ9に積載されたシートSの搬送方向の後端に接触してシートSの後端を揃える。なお、実施例1のストッパ16は、シートSが積載された状態で搬送方向の下流側に向けて移動することで、シートSを下流側に搬送する機能も有する。
コンパイルトレイ9の左端には、仮留め装置18が支持されている。仮留め装置18は、コンパイルトレイ9の上方および下方に、可動部の一例としてのアーム18aが回転中心18bを中心として回転可能に支持されている。アーム18aの先端には、加熱部18cが支持されている。実施例1の仮留め装置18は、前後方向に対して、予め設定された間隔を空けて2箇所配置されている。
したがって、仮留め装置18は、コンパイルトレイ9に積載されたシートSを仮留めする場合、図1の実線で示す状態から破線で示す状態に移動して、各加熱部18cがシートSに熱を加える。したがって、シートSは、熱が加わった前後2箇所が融着される。よって、実施例1の仮留め装置18では、積層されたカード基材7と転写フィルム10の前後2箇所を仮留めした積層体19を形成可能である。
丁合装置U3aの左側には、転写装置の本体部U3bが支持されている。転写装置の本体部U3bには、積層体19も搬送される媒体の搬送方向の上流端に、清掃部材の一例としてのクリーニングロール21が配置されている。
クリーニングロール21に対して、媒体の搬送方向の下流側には、加温部材の一例としての加温装置23が配置されている。加温装置23は、第2の回転体の一例として、上下一対のプレヒートロール24を有する。プレヒートロール24は、前後方向に延びる中空円筒状に形成されている。各プレヒートロール24の内部には、第2の加熱体の一例としてのヒーター26が配置されている。ヒーター26は、前後方向に延びている。
上側のプレヒートロール24には、第2の加圧部材の一例としてのコイルバネ27が支持されている。実施例1のコイルバネ27は、上側のプレヒートロール24を下側のプレヒートロール24に対して、予め設定された圧力で接触させている。
上側のヒートロール32には、前記コイルバネ27と同様に構成されたコイルバネ34が支持されている。
各対の上側の冷却ロール42には、前記コイルバネ27と同様に構成されたコイルバネ44が支持されている。
なお、実施例1では、90℃程度で溶けて、転写フィルム10からカード基材7に転写されるトナーが使用される。よって、実施例1の構成では、一例として、トナーが溶ける温度である90℃に対して、十分な余裕、いわゆる、マージンを持って、積層体19の温度が110℃前後になるように設定されている。なお、実施例1では、ヒーター33の温度に対して、積層体19の温度が20℃程度低くなったことに対応させて、ヒーター33の温度は130℃に設定されている。
特に、実施例1では、積層体19の温度がカード基材7のガラス転位温度よりも低温になるように、ヒーター26の温度が設定されている。
一例として、実施例1では、プレヒートロール24の軸方向の長さは、300mmに設定されている。コイルバネ27は、プレヒートロール24のそれぞれの端部に対して、50kgfのバネ力を加える。また、ヒートロール32の軸方向の長さは、300mmに設定されている。コイルバネ34は、ヒートロール32のそれぞれの端部に対して、100kgfのバネ力を加える。
また、冷却装置41に対して、媒体の搬送方向の下流側には、排出部材の一例としての排出ロール51が配置されている。
転写装置の本体部U3bの左側面には、媒体の収容部の一例としての第3の排出トレイ52が支持されている。第3の排出トレイ52は、排出ロール51で搬送された積層体19が排出される。
実施例1のプリンタUでは、中継ユニットU2や画像転写装置U3が装着された場合において、普通紙等のシートSに画像が印刷されて排出される場合、プリンタの本体U1で画像が印刷されて中継ユニットU2に搬入されたシートSは、第2の排紙トレイ8に排出される。
また、カード基材7の片面または両面に画像が記録される場合、給紙トレイTR1〜TR4に収容された転写フィルム10の受像層10bに、プリンタの本体U1で印刷される。受像層10bに印刷が行われた転写フィルム10は、中継ユニットU2を介して、丁合装置U3aに搬入される。
図5Aにおいて、カード基材7の両面に画像を記録される場合、まず、カード基材7の下面側の画像が記録された転写フィルム10が、ゲート13に案内されて、排出路12aに搬送される。転写フィルム10の後端がゲート13を通過すると、排出ロールRh2が逆回転し、転写フィルム10が排出路12aを逆方向に搬送、いわゆる、スイッチバックされる。そして、ゲート13に案内されて、転写フィルム10が積載路12bに搬送される。よって、転写フィルム10は、受像層10bが上面となる状態で、コンパイルトレイ9に収容される。
次に、カード基材7の上面側の画像が印刷された転写フィルム10が丁合装置U3aに搬入される場合、図5Cに示すように、ゲート13が切り替わる。そして、転写フィルム10がゲート13に案内されて、排出路12aを通過せずに積載路12bを搬送される。したがって、カード基材7の上面側の画像が印刷された転写フィルム10は、受像層10bが下方に向き且つ受像層10bがカード基材7の上面に対面した状態で、コンパイルトレイ9に積載される。
なお、カード基材7の一方の面にのみ画像が記録される場合には、記録される面に対応して、上側または下側のいずれか一方の転写フィルム10のみコンパイルトレイ9に搬入される。
積層体19は、媒体の搬送方向の下流側に配置されたエンコード部20に搬送される。実施例1のエンコード部20では、積層体19が一旦停止して、カードリーダ20bがICチップに記憶された情報を読み取る。エンコード部20を通過した積層体19は、媒体の搬送方向の下流側に配置された転写装置の本体部U3bに搬送される。
図4において、転写装置の本体部U3bに搬送された積層体19は、クリーニングロール21に接触して、表面が清掃される。クリーニングロール21に清掃された積層体19は、加温装置23に搬送される。加温装置23では、プレヒートロール24に積層体19が挟まれて、転写フィルム10の受像層10bに印刷された画像がカード基材7に転写可能な温度に比べて、低い温度に積層体19が温められる。
プレヒートロール24に温められた積層体19は、転写装置31に搬送される。転写装置31では、積層体19は、ヒートロール32に積層体19が挟まれて加圧されると共に加熱される。このとき、カード基材7も、ガラス転位温度以上に温められて軟化している。したがって、ヒートロール32を通過する際に、積層体19が熱と圧力とを受けて、カード基材7に受像層10bが移行する。よって、図6に示すように、転写フィルム10に印刷されたトナー61がカード基材7の表面に転写される。
そして、積層体19は、冷却装置41を通過後、排出ロール51に搬送される。排出ロール51は、積層体19を第3の排出トレイ52に排出する。
排出トレイ52に排出された積層体19は、転写フィルム10が剥されると、カード基材7の一面または両面に画像が転写されたカードが得られる。
ここで、プレヒートロール24が配置されていない従来の構成では、加温されていない状態でヒートロール32に進入する。加温されていない状態の積層体19がヒートロール32に進入すると、冷たい積層体19にヒートロール32の熱が多く奪われてしまう。よって、積層体19の転写を短い間隔で連続して行ったり、積層体19の大きさが大きかったり、厚かったりすると、転写に必要な熱量に対して、ヒートロール32の熱量が不足してしまう恐れがある。すなわち、短い間隔で転写が行われると、次第にヒートロール32の温度が低下して、転写に必要な温度を確保できなくなる恐れがある。また、大きさが大きかったり、厚い積層体19では、媒体の搬送方向に対して、積層体19の上流側で多くの熱が吸収され、積層体19の下流側では、熱が不足し易い。よって、積層体19の上流側と下流側との間で温度ムラが生じてしまう恐れがある。したがって、カード基材7に転写される画像に転写ムラが生じてしまい、転写不良が発生する恐れがあった。
したがって、加温されていない状態の積層体19に画像が転写される従来の構成に比べて、積層体19に奪われるヒートロール32の熱量が低減される。よって、実施例1の構成では、積層体19に画像が転写される際に、ヒートロール32の熱量が不足することが低減され、転写不良の発生が低減される。
これに対して、実施例1の構成では、プレヒートロール24で、前記下限温度よりも低温に積層体19が加温されており、プレヒートロール24で積層体19に画像が転写されることが防止される。
よって、実施例1の構成では、プレヒートロール24で、積層体19に2回転写されてしまうことが防止されており、カード基材7に転写される画像に転写不良が発生することが抑制される。
さらに、積層体19の温度が70℃に近づくと、不完全な転写が始まってしまう恐れがある。
また、実施例1の構成では、プレヒートロール24で積層体19が加温される際に、前記下限温度よりも低温のカード基材7のガラス転位温度に対して、さらに低温に加温される。よって、プレヒートロール24では、前記下限温度に対して、マージンを持った低温に積層体19が加温されており、不完全な転写が起こることが低減される。したがって、カード基材7に転写される画像に転写不良が発生することが低減される。
図7Aにおいて、プレヒートロール24によって、積層体19が媒体の搬送方向の下流側に配置されたヒートロール32に搬入される。そして、積層体19の下流端部がヒートロール32に挟まれると、図7Bに示すように、ロール24,32の両方に積層体19が跨って挟まれた状態になる。
よって、ロール24,32の間で、積層体19の転写フィルム10が、媒体の搬送方向に引っ張られて、転写フィルム10に張力が作用する。
したがって、実施例1の積層体19では、ロール24,32の間で、硬化した状態のカード基材7に対して、張力が作用した転写フィルム10が接触して、隙間なく密着する。そして、ヒートロール32で、転写フィルム10とカード基材7とが密着した状態の積層体19に対して、画像が転写される。
そして、積層体19では、気泡が発生した箇所と、発生していない箇所との間で、温度ムラが生じてしまう恐れがある。
したがって、積層体19に生じた温度ムラに伴って、転写不良が発生してしまう恐れがある。
したがって、プレヒートロール24よりもヒートロール32の搬送速度が速くない従来の構成に比べて、実施例1の構成では、ヒートロール32における転写不良が抑制される。
ここで、プレヒートロール24の接触圧力に比べて、ヒートロール32の接触圧力の方が低い構成では、プレヒートロール24に引っ張られた積層体19が、ヒートロール32に対して滑ってしまい、ヒートロール32から積層体19に伝わる熱量にムラが生じる場合がある。よって、熱量にムラに伴って、転写ムラ等の転写不良が発生する恐れがある。
したがって、プレヒートロール24よりもヒートロール32の接触圧力が低い構成に比べて、実施例1の構成では、ヒートロール32から積層体19に伝わる熱量のムラが低減されており、転写不良の発生が低減される。
ここで、ロール状のヒートロール32を有する転写装置31に代えて、無端帯状の転写部材、いわゆる、ベルトを有する転写部の構成を用いることも可能である。図8において、上下一対のベルト71は、ヒートロール32′と、回転部材72,73とで回転可能に張架されている。上下一対の回転部材72は、上下一対のヒートロール32′に対して、媒体の搬送方向の下流側に配置されている。したがって、転写部材32′と回転部材72との間では、ベルト71どうしが接触している。また、転写部材32′と回転部材72との間には、冷却部材42′がベルト71の内周面に接触した状態で配置されている。
よって、上下一対のベルト71を有する場合、カード基材7が転写時にガラス転位温度以上に加熱されて軟化しても、ベルト71に挟まれて搬送されており、積層体19が変形し難い。そして、積層体19がベルトに挟まれた状態で、冷却部材42′を通過して、ガラス転位温度未満に冷却されて硬化すると、積層体19の変形を抑えることが可能である。
また、仮に、ベルトが樹脂製の場合、強度や耐久性が低く、比較的厚い積層体19が繰り返し進入、通過すると、破損する恐れがある。よって、樹脂製のベルトに比べて、強度や耐久性が高い金属製のベルトを使用することが考えられる。しかし、上下一対の金属ベルトは、それぞれが蛇行する。よって、各ベルト71の蛇行時に、上下のベルト71が擦れて、金属粉が発生してしまう恐れがある。金属粉が付着した金属製のベルトに積層体19が挟まれた場合、積層体19に傷が生じてしまう恐れがある。
また、金属製のベルトを使用する場合に問題になる金属粉は、実施例1の構成では、発生が抑制される。よって、実施例1の構成では、転写時に、積層体19に傷が生じることが低減される。
ここで、積層体19が転写部材32′を通過すると、図6に示すように、軟化したカード基材7の表面に受像層10bの画像が転写される。
そして、転写部材32′の媒体の搬送方向の下流側に配置された冷却部材42′で、画像が転写された積層体19が急冷却されると、軟化していたカード基材7が硬化される。
このとき、カード基材7では、トナーが定着していない箇所62の熱伝導率とトナーが定着した箇所63との熱伝導率の差が発生する。特に、トナー61の量が多いほど、トナーが定着した箇所63の熱伝導率が低下し、冷却速度が遅くなり易い。
よって、積層体19が急冷却されると、軟化していたカード基材7が硬化する際に、図9に示すように、トナーが定着していない箇所63では、トナーが定着した箇所62との境界付近の位置に、表面が凹んでしまう現象、いわゆる、ヒケ81が発生し易くなる。
これに対して、実施例1の構成では、ヒートロール32に対して、媒体の搬送方向の下流側に、上下一対のロール状の冷却ロール42が4つ配置されおり、各冷却ロール42どうしの間には、予め設定された間隔の隙間が設けられている。また、各冷却ロール42の温度は、媒体の搬送方向の上流側から下流側に向けて順に、低くなるように設定されている。
よって、金属製のベルトを使用する構成に比べて、実施例1の構成では、積層体19に接触して冷却し続ける部材がなく、ある程度時間をかけて積層体19を冷却することが可能、すなわち、急冷却を回避することが可能である。
したがって、実施例1の構成では、積層体19が急冷却され難く、ヒケ81の発生を低減することが可能である。
仮に、ヒートロール32の搬送速度に比べて、冷却ロール42の搬送速度の方が遅い構成の場合、ヒートロール32と、冷却ロール42との間で積層体19を湾曲させようとする力が作用する。ここで、ヒートロール32を通過直後でガラスの転位温度以上に加熱された積層体19は軟化しており、撓み易い。よって、積層体19がヒートロール32と冷却ロール42との間で湾曲し、その後、冷却ロール42でガラス転位温度未満に冷却されて硬化すると、積層体19が変形する恐れがある。
ここで、最上流の冷却ロール42で、ガラス転位温度未満に積層体19が冷却されない構成では、積層体19は、最上流の冷却ロール42を通過後も、軟化した状態のままとなる。積層体19が軟化した状態のままで搬送される搬送距離が長くなると、積層体19が変形してしまう恐れが高まる。
これに対して、実施例1の構成では、最上流の冷却ロール42で、ガラス転位温度未満に積層体19が冷却されており、最上流の冷却ロール42を通過した積層体19は、硬化される。したがって、最上流の冷却ロール42で、積層体19が硬化されない構成に比べて、実施例1の構成では、積層体19の変形が抑えられる。
以上、本発明の実施例を詳述したが、本発明は、前記実施例に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲で、種々の変更を行うことが可能である。本発明の変更例(H01)〜(H08)を下記に例示する。
(H01)前記実施例において、画像形成装置の一例としてプリンタUを例示したが、これに限定されない。例えば、複写機、FAX、あるいはこれら複数の機能を備えた複合機等に適用可能である。
(H02)前記実施例において、加温部材の一例として、一対のロール状のプレヒートロール24を有する加温装置23の構成を例示したが、これに限定されない。例えば、ベルトの蛇行を抑える構成や金属片の発生が許容されたり、金属粉を除去する清掃部材が設置される等の対策がとられる場合には、ロール状のプレヒートロール24に代えて、ベルト状の加温部を有する構成とすることも可能である。また、媒体の搬送方向に沿って、複数のプレヒートロール24を有する構成も可能であり、さらに、各プレヒートロール24の温度を、媒体の搬送方向に対して、上流側から下流側に向けて順に、段階的に高くする構成も可能である。
(H04)前記実施例において、転写部の一例として、一対のロール状のヒートロール32を有する転写装置31の構成を例示したが、これに限定されない。例えば、ベルトの蛇行を抑える構成や、金属片の発生が許容されたり、対策がとられる場合には、ロール状のヒートロール32に代えて、図7に示したように、ベルト71を介して、積層体19にトナー画像を転写する転写部材32′を有する構成等、設計や仕様に応じて、積層体19を加熱して画像を転写可能な任意の構成に変更可能である。
また、冷却ロール42や冷却部材42′等を積層体19に接触させて冷却する接触型の冷却部に限定されず、積層体19にエアを吹付けて冷却する非接触型の冷却部の構成も可能であり、接触型および非接触型の冷却部を組み合わせる構成等、設計や仕様に応じて、積層体19を冷却可能な任意の構成に変更可能である。
(H07)前記実施例において、ロール24,32,42は、ロール対の両方にヒーター26,33,43が配置される構成を例示したが、これに限定されない。例えば、一方のロールにのみヒーター26,33,43を収容し、他方のロールを一方のロールに押し当てる構成とすることも可能である。また、ヒートロールに対して、ヒーターを有する回転体を接触させ、ヒーターの熱を伝導させてヒート各ロールを加熱する構成とすることも可能である。
(H08)前記実施例において、例示した具体的な数値等は、設計や仕様等に応じて、任意に変更可能である。
10…記録材、
19…積層体、
23…加温部材、
24…第2の回転体、
31…転写部、
32…第1の回転体、
41…冷却部、
42…冷却部材、
U…画像形成装置、
U3…転写装置。
Claims (4)
- 表面に画像が形成された記録材と、前記記録材の表面の画像が転写される基材と、が積層された積層体を搬送すると共に、前記積層体を加熱して前記記録材の表面に形成された画像を前記基材の表面に転写させる転写部と、
前記積層体の搬送方向に対して、前記転写部の上流側に配置され、前記転写部の搬送速度よりも低速で前記転写部に前記積層体を搬送すると共に、前記記録材から前記基材に画像が転写可能な下限温度に比べて、低い温度に前記積層体を温める加温部材と、
を備えることを特徴とする転写装置。 - 予め設定された圧力で接触しながら回転する一対の第1の回転体を有し、前記第1の回転体どうしの間で前記積層体を挟んで、前記積層体の搬送方向の下流側に前記積層体を搬送させる前記転写部と、
前記第1の回転体の接触圧力よりも弱い圧力で接触しながら回転する一対の第2の回転体を有し、前記第2の回転体どうしの間で前記積層体を挟んで、前記積層体の搬送方向の下流側に前記積層体を搬送させる前記加温部材と、
を備えたことを特徴とする請求項1に記載の転写装置。 - 前記積層体の搬送方向に対して、前記転写部の下流側に配置され、前記積層体を冷却する冷却部であって、前記転写部が前記積層体を搬送する速度に比べて、高速で前記積層体の搬送方向の下流側に前記積層体を搬送する前記冷却部、
を備えたことを特徴とする請求項1または2に記載の転写装置。 - 前記積層体の搬送方向に沿って予め設定された間隔を空けて配置されて、通過する前記積層体に接触して冷却する複数の冷却部材を有し、前記積層体の搬送方向の最も上流側に配置された前記冷却部材が前記積層体を冷却する温度が、前記下限温度よりも低い温度に設定されると共に、前記積層体の搬送方向の上流側に配置された前記冷却部材に比べて、下流側に配置された前記冷却部材の温度が、低温に設定された前記冷却部、
を備えたことを特徴とする請求項3に記載の転写装置。
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