JP2014185154A - 天然物由来PPARδ活性化剤とそれを用いた遅筋増加剤 - Google Patents

天然物由来PPARδ活性化剤とそれを用いた遅筋増加剤 Download PDF

Info

Publication number
JP2014185154A
JP2014185154A JP2014058508A JP2014058508A JP2014185154A JP 2014185154 A JP2014185154 A JP 2014185154A JP 2014058508 A JP2014058508 A JP 2014058508A JP 2014058508 A JP2014058508 A JP 2014058508A JP 2014185154 A JP2014185154 A JP 2014185154A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
pparδ
yamabushitake
extract
citrus
muscle
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2014058508A
Other languages
English (en)
Inventor
Ko Mizunoya
航 水野谷
Kuniyoshi Shimizu
邦義 清水
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Kyushu University NUC
Original Assignee
Kyushu University NUC
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Kyushu University NUC filed Critical Kyushu University NUC
Publication of JP2014185154A publication Critical patent/JP2014185154A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Images

Classifications

    • YGENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
    • Y02TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
    • Y02PCLIMATE CHANGE MITIGATION TECHNOLOGIES IN THE PRODUCTION OR PROCESSING OF GOODS
    • Y02P60/00Technologies relating to agriculture, livestock or agroalimentary industries
    • Y02P60/80Food processing, e.g. use of renewable energies or variable speed drives in handling, conveying or stacking
    • Y02P60/87Re-use of by-products of food processing for fodder production

Landscapes

  • Medicines Containing Plant Substances (AREA)
  • Fodder In General (AREA)

Abstract

【課題】安全な天然物由来であるペルオキシソーム増殖剤応答性受容体δ(PPARδ)リガンド剤、及び、筋線維の遅筋タイプ増加剤の提供。
【解決手段】ヤマブシタケ、ユキレイタケ、ミカン柱頭、ミカン花弁及びトマト葉のいずれか一種以上のエタノール抽出物を有効成分とするPPARδ活性化剤により、筋線維の遅筋タイプ増加剤が提供される。本発明の上記の遅筋タイプ増加剤は、安全であり、家畜の肉質の向上に有効である。抽出剤としてはエタノール以外にも水、n−ヘキサン等との混合溶液が好ましい。
【選択図】なし

Description

本発明は天然物由来のPPARδ活性化剤及び遅筋増加剤に関する。
骨格筋の核内受容体であるperoxisome proliferator−activated receptor delta(以下、PPARδと称する)の活性化は骨格筋の遅筋タイプの筋線維を増加させ、骨格筋の脂肪代謝を活性化し、体脂肪を減少させることが知られている(非特許文献1)。
食肉としての観点から、遅筋タイプの筋線維が増加すると、タウリン、カルニチン、鉄分、呈味性遊離アミノ酸量が増加し、さらに軟らかさやジューシーさの評価が高まると言われている(非特許文献2)。
ヤマブシタケ及びヤマブシタケの有機溶媒等による抽出物等が、体脂肪や内臓脂肪、肝臓脂肪の低下効果を有し、安全な脂質代謝促進剤であることが開示されている(特許文献1)。イワヨモギのエタノール抽出物(非特許文献3)あるいはエンジュに含まれる化合物(非特許文献4)がPPARδに作用するという発表もある。
このように、PPARδの活性化は、肥満の抑制、脂肪酸代謝の活性化、体脂肪の燃焼促進、血中中性脂肪の減少、脂肪肝の抑制、持久力の向上等につながることから、PPARδの活性化剤は、肥満の予防、脂肪酸酸化活性化剤、体脂肪燃焼促進剤、持久力向上剤として有効であると考えられている。
そのため、このような目的でPPARδ活性化剤の研究、開発も盛んに行われ、これまでに多くの研究が報告されている。
特開2010−111586号公報
Y. Wang et al., PLoS Biol., 2(10), e294 (2004) Y.K. Kang et al., Meat Sci., 89(4), 384-389 (2011) S.Y. Cho et al., PLoS One, 7(3), e33815 (2012) T.H. Quang et al., Phytother. Res., Oct 30. doi: 10.1002/ptr.4871. [Epub ahead of print](2012)
従って、本発明の目的は安全性の高い天然物由来のPPARδ活性化剤及び、安全でかつ家畜の肉質を向上させる骨格筋の遅筋増加剤を提供することにある。
本発明者らは、鋭意研究の結果、ヤマブシタケ、ユキレイタケ、ミカン柱頭、ミカン花弁、トマト葉の有機溶剤抽出物が脂肪酸代謝活性化、体脂肪燃焼促進、肥満抑制、脂肪肝抑制として有用であり、PPARδ活性化剤であることを見出した。
したがって、本発明は以下のとおりである。
1.ヤマブシタケ、ユキレイタケ、ミカン柱頭、ミカン花弁及びトマト葉からなる群より選択される少なくとも一種以上の植物体を含有するペルオキシソーム増殖剤応答性受容体δ(PPARδ)活性化剤。
2.ヤマブシタケ、ユキレイタケ、ミカン柱頭、ミカン花弁及びトマト葉からなる群より選択される少なくとも一種以上の植物体抽出物を有効成分とするPPARδ活性化剤。
3.ヤマブシタケ、ユキレイタケ、ミカン柱頭、ミカン花弁及びトマト葉からなる群より選択される少なくとも一種以上の植物体抽出物が、エタノール抽出物である前項2に記載のPPARδ活性化剤。
4.前項1〜3のいずれか1項に記載のPPARδ活性化剤を含有する遅筋増加剤。
5.前項4記載の遅筋増加剤を含有する家畜飼料。
6.ヤマブシタケ、ユキレイタケ、ミカン柱頭、ミカン花弁及びトマト葉からなる群より選択される少なくとも一種以上の植物体を、水、エタノールまたはn−ヘキサン溶液で抽出することを特徴とする、PPARδ活性化剤の製造方法。
健康機能食品として用いられる本発明の遅筋増加剤により、骨格筋の脂肪代謝を活性化し、無理なく少ない使用量で、安全に効率よく体脂肪を減少させることができる。
また、家畜の飼料成分として用いることにより、家畜の筋線維の遅筋タイプを増加させ、畜肉の柔らかさやジューシーさを高めることができる。さらに食味性や栄養価の向上も期待できる。
図1は、各種農作物抽出物のPPARδアゴニスト活性を示す図である。 図2(a)及び(b)は、ヤマブシタケヘキサン抽出物のシリカゲルクロマトグラフィーフラクションのPPARδアゴニスト活性(分画画分Fr1−11)を示す図である。 図3は、ヤマブシタケn−ヘキサン抽出物分画物Fr3−(2,3)−1とFr3−(2,3)−2のPPARδアゴニスト活性を示す図である。 図4は、ヤマブシタケn−ヘキサン抽出物のラット筋細胞(単離筋線維)におけるPPARδアゴニスト活性を示す図である。 図5は、ミカン花弁エタノール抽出物のラット筋細胞(単離筋線維)におけるPPARδアゴニスト活性を示す図である。 図6は、ヤマブシタケn−ヘキサン抽出物Fr3−(2,3)−1のラット筋細胞(単離筋線維)におけるPPARδアゴニスト活性を示す図である。 図7(a)及び(b)は、ヤマブシタケ5%配合食24時間給餌後のマウス腓腹筋におけるPPARδ標的遺伝子PDK4とUCP3の発現量を示す図である。 図8は、ヤマブシタケ5%配合食8週間給餌後のマウスの筋持久力を示す図である。 図9(a)は、Fr3のGC−EIMSクロマトグラムを示す図である。図9(b)は、推定される化合物を示す図である。
本発明において、ヤマブシタケ、ユキレイタケ、ミカン柱頭、ミカン花弁、クコ、青トマト外皮(水抽出)及びトマト葉の任意の部位、又はそれらの組み合わせを使用することができる.
上記原料は、そのまま又は凍結乾燥・粉砕して抽出工程に付し、目的の抽出物を得ることが出来るが、乾燥・粉砕して抽出することが好ましい。粉砕方法や粉砕物の大きさについては特に制限はないが、粉砕物の粒径としては、好ましくは1μm〜10mm、より好ましくは100μm〜500μmである。上記出物は天然成分由来であり安全性も高い。
本発明の有機溶剤抽出物を得るために用いる溶剤としては、極性溶剤及び非極性溶剤のいずれをも使用することができ、これらを混合して用いることもできる。更に、有機溶剤が水を含んでもよい。
有機溶剤としては、例えば、メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール及びイソブタノール等のアルコール類;エチレングリコール及びプロピレングリコール等の多価アルコール類;n−ヘキサン、シクロヘキサン及び石油エーテル等の炭化水素類;アセトニトリル及びプロピオニトリル等のニトリル類;アセトン及びメチルケトン等のケトン類;酢酸メチル及び酢酸エチル等のエステル類;テトラヒドロキシフラン及びジエチルエーテル等の鎖状並びに環状エーテル類;エチレングリコール、ジエチレングリコール及びポリエチレングリコール等のポリエーテル類;ジクロロメタン及びクロロホルム等のハロゲン化炭化水素類等が挙げられ、これらは単独で又は2種以上を組み合わせて使用できる。
これら有機溶剤のうち、アルコール類、ヘキサン及び水・アルコール類混合有機溶剤が好ましく、特に、水・エタノール混合有機溶剤、エタノール及びn−ヘキサンが好ましい。
ここで、アルコール類として、炭素数1〜5の低級アルコール類が好ましく、炭素数1〜3の低級アルコール類がより好ましい。本発明では、最初にエタノールで抽出し、必要に応じ更にn−ヘキサンで抽出することが好ましい。
水とアルコールの混合比率については、特に制限されることはないが、水/アルコールが90/1〜1/100であることが好ましく、より好ましくは2/1〜1/100(質量比)である。
本発明では、ヤマブシタケ、ユキレイタケ、ミカン柱頭、ミカン花弁、クコ、青トマト外皮(水抽出)及びトマト葉等を凍結乾燥し粉砕した後、有機溶剤を用いて常温(0〜30℃)又は加温下で抽出することにより抽出物が得られる。
上記の原料1質量部に対して、10質量部の有機溶剤を用いるのが好ましく、このときの抽出温度は、0〜40℃が好ましく、また抽出時間は24〜72時間が好ましい。
抽出工程は、固液抽出、浸漬、煎出、浸出、還流抽出、超音波抽出、マイクロ波抽出又は攪拌等の手段を用いることができ、好ましくは攪拌を伴う固液抽出である。
得られた抽出物は、有機溶剤を除去した後、分離精製手段、例えば、活性炭処理、液々分配、カラムクロマトグラフィー、液体クロマトグラフィー、ゲルろ過又は精密蒸留等を行った後、適宜な溶剤で希釈した希釈液として用いてもよく、又は濃縮エキスや乾燥粉末としたり、ペースト状に調製してもよい。
一方、ヤマブシタケ、ユキレイタケ、ミカン柱頭、ミカン花弁、クコ、青トマト外皮(水抽出)又はトマト葉抽出物をシリカゲルクロマトグラフィーにより、各フラクション(Fr)に分画し、次に活性の高いフラクションを複数回、少なくとも二回分画し、PPARδアゴニスト活性をRCAS法により測定し、最も活性の高いフラクションを採取することが好ましい。
PPARδ活性化作用を有する抽出物は、PPARδ活性化剤、脂肪酸代謝活性化剤、体脂肪燃焼促進剤及び遅筋増加剤として使用することができ、PPARδ活性化剤等の製造のために使用することができる。
PPARδ活性化剤は、ヒト若しくは動物用の食品、飼料、医薬品又は医薬部外品として使用可能である。また、有機溶剤抽出物は、脂肪酸代謝活性化、体脂肪燃焼促進及び脂肪肝抑制等の作用効果があるので、食品、機能性食品及び特定保健用食品に応用できる。
マウスを用いた動物実験で効果が見られた投与量と、ヒトとの代謝活性の差から推測された本発明の抽出物の臨床的投与量は、年令、体重、患者の感受性及び症状の程度等により異なるが、通常効果的な投与量として、成人一日あたり好ましくは10〜50g、より好ましくは50〜70g程度である。しかし、必要により前記の範囲外の量を用いることもできる。
PPARδ活性化剤等を含有する抽出物を医薬品及び医薬部外品として用いる場合の投与形態としては、例えば、錠剤、カプセル剤、顆粒剤、散剤若しくはシロップ剤等による経口投与又は注射剤、坐剤、吸入薬、経皮吸収剤若しくは外用剤等による非経口投与が挙げられる。
また、このような種々の剤型の製剤を調製するには、本発明の有機溶剤抽出物を単独で、又は他の薬学的に許容される賦形剤、結合剤、増量剤、界面活性剤、分散剤、緩衝剤、保存剤、香料若しくは希釈剤等を適宜組み合わせて用いることができる。
また、これらの投与形態のうち、好ましい形態は経口投与であり、経口用液体製剤を調製する場合は、緩衝剤、安定化剤等を加えて常法により製造することができる。経皮投与する場合は、対象となる皮膚の状態等に応じて軟膏剤、乳化剤、ローション剤又は懸濁剤等として投与することができ、かかる投与方法において用いられる経皮投与用製剤は、通常用いられる方法を用いることができる。
PPARδ活性化剤等を食品として用いる場合の形態としては、乳製品、飲料又はスープ類等の各種食品の他、上述した経口投与製剤と同様の形態(錠剤、カプセル剤及びシロップ等)が挙げられる。
その場合、甘味料、酸味料、保存料、香料、着色料、賦形剤、安定剤、湿潤剤、吸収促進剤又はpH調整剤等の種々の添加成分を配合することができる。
これらのものに対する有機溶剤抽出物の配合量はその使用形態により異なるが、食品の形態では、全組成中、乾燥物換算で通常0.0001〜10質量%、さらに0.002〜2質量%とするのが好ましい。
本発明において、抽出物を家畜飼料に添加する場合、抽出物と魚類等の肉類、蛋白質、穀物類、ぬか類、ビタミン類及びミネラル類等一般に用いられる飼料原料、更に一般的に飼料に使用されるゲル化剤、保型剤、pH調整剤及び栄養補強剤等を混合して用いることができる。
以下、本発明を具体的に説明するために、実施例及び試験例を挙げる。しかしながら、本発明は、かかる実施例等によって何ら制限されるものではない。
(実施例1)
[各種農作物の抽出物調製]
ヤマブシタケ、ユキレイタケ、ミカン柱頭、ミカン花弁、クコ、青トマト外皮(水抽出)及びトマト葉を凍結乾燥させ、乾燥体を作製した。乾燥体にエタノール(乾燥体1gあたりエタノール10mL)を加え、1日間振とう抽出し、吸引濾過によってエタノール抽出液を得た。抽出作業は同様にしてさらに2回行った。エタノール抽出液はロータリーエバポレーターを用い溶媒を除去した後、ドラフト内で風乾し、真空デシケーターで乾燥させ、エタノール抽出物とした。抽出したのちの抽出残渣はドラフト内で風乾後、真空デシケーター内で乾燥した。
得られた抽出残渣に超純水を加え、振とうしながら4時間抽出した水抽出液は遠心分離後(3000rpm,10分)、上澄みをろ紙でろ過した。この作業をもう1回繰り返した。水抽出液は凍結乾燥し、水抽出物を得た。さらにヤマブシタケ子実体に関しては、エタノール抽出物にn−ヘキサンを加え、1日間振とう抽出し、吸引濾過によってn−ヘキサン抽出液を得た。抽出作業は同様にさらに2回行った。得られたn−ヘキサン抽出液はエタノール抽出物と同様に乾燥させn−ヘキサン抽出物とした。
(実施例2)
[各種農作物のPPARδアゴニストとしての作用の検討]
・ヤマブシタケ(水抽出、エタノール抽出、n−ヘキサン抽出)
・ユキレイタケ(水抽出、エタノール抽出)
・エノキ(水抽出、エタノール抽出)
・ミカン柱頭(水抽出、エタノール抽出)
・ミカン花弁(水抽出、エタノール抽出)
・クコ(エタノール抽出)
・青トマト外皮(水抽出)
・トマト葉(エタノール抽出)
についてそのPPARδアゴニスト活性を核内受容体コファクターアッセイ系[EnBio RCAS for PPARδ(藤倉化成株式会社)]により測定した結果を図1に示した。ポジティブコントロールとして合成PPARδアゴニストGW501516を用い、6.25μM GW501516の値を100%とした相対活性を示した。
ヤマブシタケ(水抽出物、エタノール抽出物)、ユキレイタケ(水抽出物)、ミカン柱頭(水抽出物)、ミカン花弁(水抽出物)、クコ(エタノール抽出物)、青トマト 外皮(水抽出)にはほとんど活性は認められなかったが、ヤマブシタケ(ヘキサン抽出物)、ユキレイタケ(エタノール抽出物)、ミカン柱頭(エタノール抽出物)、ミカン花弁(エタノール抽出物)及びトマト葉(エタノール抽出物)には明らかな活性が認められた。またどのようなキノコでも活性が認められるわけではなく、エノキでは水抽出物とエタノール抽出物共に活性はほとんど認められなかった。
(実施例3)
[ヤマブシタケヘキサン抽出物のクロマトグラフィー分画物のPPARδアゴニストとしての作用の検討]
ヤマブシタケヘキサン抽出物を以下に記すシリカゲルクロマトグラフィーにより、11のフラクション(Fr)に分画した。シリカゲル800gをn−ヘキサンでスラリー状にし、オープンカラム(φ 4.25×60.0cm,3409.2cm)に充填した。このカラムを用いて、n−ヘキサンと酢酸エチルのグラジエントで流し、Fr1からFr11に分けた。次に活性が高かったFr3を再度以下に記すカラムを用いてシリカゲルカラムクロマトグラフィーにて分画した。
シリカゲル100gをn−ヘキサンでスラリー状にし、オープンカラム(φ 1.7×30.0cm,288.49cm)に充填した。n−ヘキサンとクロロホルムを用いグラジエントで流し、結果としてFr3−1からFr3−4まで4つのフラクションを得た。Fr3−2と3−3を混合し[Fr3−(2,3)]、その画分をシリカゲルカラムクロマトグラフィーにてさらに分画した。シリカゲル5gをn−ヘキサンでスラリー状にし、オープンカラム(φ 0.5×30.0cm,23.55cm)に充填した。n−ヘキサンとクロロホルムを1:1の割合で混合した溶媒を流し、2つのフラクション[Fr3−(2,3)−1,Fr3−(2,3)−2]を得た。
以上のフラクションのPPARδアゴニスト活性をRCAS法により測定した結果を示した(Fr3−1と3−4は測定していない)。その結果、図2(a)及び(b)に示すように、最初にヤマブシタケヘキサン抽出物から分画した11のフラクションのうち、Fr3,4,5,6に活性成分が含まれ、Fr3で最も活性が高いことが分かった。図3に示すように、Fr3−(2,3)−1,Fr3−(2,3)−2は、Fr3−(2,3)−1でより高い活性が見られた。なお、図2(a)、(b)及び図3の各フラクションの添加量は0.05%ヘキサン抽出物(分画前)に相当する量とした。
(実施例4)
[ヤマブシタケn−ヘキサン抽出物とミカン花弁エタノール抽出物の筋細胞(筋線維)におけるPPARδアゴニストとしての作用の検討]
RCASで観察された活性が、筋細胞(筋線維)でも観察されるか、ラットから単離・培養した筋線維を用いて検討を行った。まず5週齢Fischer344ラット雄(KBTオリエンタル)の後肢の足の裏の筋組織である短趾屈筋を単離した。
単離した筋組織はコラゲナーゼ溶液で処理後、ピペッティングにより筋細胞(筋線維)をほぐし、重力沈降による精製後、ディッシュに播種した。単離培養した筋線維の培地にヤマブシタケヘキサン抽出物あるいはミカン花弁エタノール抽出物を添加し、12時間培養後、PPARδの標的遺伝子であるPDK4のmRNA発現量をリアルタイムRT−PCRにより調べた。PDK4の発現量はハウスキーピング遺伝子の一種hypoxanthine−guanine phosphoribosyltransferase(HPRT)で補正した。
その結果、図4及び5に示すように、ヤマブシタケのn−ヘキサン抽出物の低濃度添加区およびミカン花弁エタノール抽出物添加区でPDK4の発現量の有意な増加が見られた。そして図6に示すように、Fr3−(2,3)−1を0.002%添加した実験区においてPDK4の発現量は、合成アゴニストGW501516に匹敵するレベルまで、顕著に増加した。
(実施例5)
[マウスを用いた24時間ヤマブシタケ配合飼料摂食試験]
実施例4の細胞実験において筋線維に対しヤマブシタケ抽出画分がPPARδアゴニストとして作用することが示唆されたため、in vivoで骨格筋に対して、PPARδアゴニスト活性が観察されるかを検証するために、マウスを用い実験を行った。
8匹の8週齢C57BL/6Jマウス雄(KBTオリエンタル)を1週間予備飼育した後、乾燥ヤマブシタケを5%含有する飼料あるいは対照飼料を24時間自由に摂食させた(各群4匹)。マウスは室温22.0±2.0℃、湿度55±10%で環境下で飼育し、水は自由に与えた。24時間の給餌終了後、長趾伸筋を摘出し、TRIzolでRNAを抽出した後、PPARδの標的遺伝子であるPDK4とUCP3のmRNA発現量をリアルタイムRT−PCRにより調べた。発現量はハウスキーピング遺伝子の一種HPRTで補正した。
その結果、図7(a)及び(b)に示すように、ヤマブシタケ摂取群で、PPARδ標的遺伝子のPDK4とUCP3の有意な増加が見られた。
(実施例6)
[マウスを用いた8週間ヤマブシタケ配合飼料摂食試験]
実施例5の24時間摂食実験において、ヤマブシタケの摂取がマウスの骨格筋に対し、PPARδアゴニストとして作用することが示唆されたため、長期的な摂取の後、マウスの筋特性に変化が見られるか調べる実験を行った。
8週齢C57BL/6Jマウス雄(KBTオリエンタル)を1週間予備飼育した後、乾燥ヤマブシタケを5%含有する飼料あるいは対照飼料を8週間対照区と摂食量を揃えて摂食させた(各群7−8匹)。マウスは室温22.0±2.0℃、湿度55±10%で環境下で飼育し、水は自由に与えた。8週間の飼育後、ガス麻酔下のマウスの筋機能を、脛骨神経の電気刺激による強制的な筋収縮により調べた。
その結果、図8に示すように、ヤマブシタケ摂取群で、筋持久力の有意な増加が見られた。最大筋力は変化がなかった。筋持久力の増加は遅筋タイプの特性と一致するものである。
(実施例7)
[ヤマブシタケヘキサン抽出物に含まれるPPARδアゴニスト成分の推定]
ヤマブシタケヘキサン抽出物のシリカゲルクロマトグラフィー分画物のうち、最も活性が高かったFr 3をGC−EIMS 分析に供した。図9(a)に、解析クロマトグラムを示した。予備的かつ定性的な結果であるが、図9(b)に示すように、長鎖脂肪酸であるオレイン酸、ステアリン酸及び分岐鎖脂肪酸である13−メチルテトラデカン酸が活性候補物質として挙げられた。
本発明のヤマブシタケ、ユキレイタケ、ミカン柱頭、ミカン花弁若しくはトマト葉のいずれか一種以上のエタノール抽出物はそのまま、又は慣用の担体等と共に、骨格筋の遅筋タイプ増加を目的として、食品分野においては種々の日常の飲食物等に配合し健康機能食品等として、さらに家畜及びペット等を含む動物用飼料に用い得る。

Claims (6)

  1. ヤマブシタケ、ユキレイタケ、ミカン柱頭、ミカン花弁及びトマト葉からなる群より選択される少なくとも一種以上の植物体を含有するペルオキシソーム増殖剤応答性受容体δ(PPARδ)活性化剤。
  2. ヤマブシタケ、ユキレイタケ、ミカン柱頭、ミカン花弁及びトマト葉からなる群より選択される少なくとも一種以上の植物体抽出物を有効成分とするPPARδ活性化剤。
  3. ヤマブシタケ、ユキレイタケ、ミカン柱頭、ミカン花弁及びトマト葉からなる群より選択される少なくとも一種以上の植物体抽出物が、エタノール抽出物である請求項2に記載のPPARδ活性化剤。
  4. 請求項1〜3のいずれか1項に記載のPPARδ活性化剤を含有する遅筋増加剤。
  5. 請求項4記載の遅筋増加剤を含有する家畜飼料。
  6. ヤマブシタケ、ユキレイタケ、ミカン柱頭、ミカン花弁及びトマト葉からなる群より選択される少なくとも一種以上の植物体を、水、エタノールまたはn−ヘキサン溶液で抽出することを特徴とする、PPARδ活性化剤の製造方法。
JP2014058508A 2013-03-22 2014-03-20 天然物由来PPARδ活性化剤とそれを用いた遅筋増加剤 Pending JP2014185154A (ja)

Applications Claiming Priority (2)

Application Number Priority Date Filing Date Title
US201361804325P 2013-03-22 2013-03-22
US61/804,325 2013-03-22

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2014185154A true JP2014185154A (ja) 2014-10-02

Family

ID=51833058

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2014058508A Pending JP2014185154A (ja) 2013-03-22 2014-03-20 天然物由来PPARδ活性化剤とそれを用いた遅筋増加剤

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2014185154A (ja)

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2017109971A (ja) * 2015-12-18 2017-06-22 花王株式会社 PPARδ活性化剤
JP2018177680A (ja) * 2017-04-11 2018-11-15 ホクト株式会社 脂肪酸代謝促進成分の抽出方法及び脂肪酸代謝促進剤
JP7289434B2 (ja) 2019-06-17 2023-06-12 マツダ株式会社 上部車体構造

Citations (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH11269088A (ja) * 1998-03-18 1999-10-05 Kagome Co Ltd 血中脂質降下剤
JP2010111586A (ja) * 2008-11-04 2010-05-20 Akita Prefecture 脂質代謝促進剤、脂質代謝関連遺伝子発現増強剤、およびその製造方法

Patent Citations (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH11269088A (ja) * 1998-03-18 1999-10-05 Kagome Co Ltd 血中脂質降下剤
JP2010111586A (ja) * 2008-11-04 2010-05-20 Akita Prefecture 脂質代謝促進剤、脂質代謝関連遺伝子発現増強剤、およびその製造方法

Non-Patent Citations (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Title
日本キノコ学会第15回大会講演要旨集, 2011, P.86(B-3), JPN6017050547 *
日本栄養・食糧学会大会講演要旨集, 2012, VOL.66, P.104(2F-05A), JPN6017050551 *
日本病院薬剤師会東海ブロック日本薬学会東海支部合同学術大会2011講演要旨集, 2011, P.89(F-A08), JPN6017050553 *
日本薬学会第131年会要旨集2, 2011, P.82(29H-PM4), JPN6017050554 *
第63回日本木材学会大会研究発表要旨集, 2013.3.8発行, P.O29-04-1130, JPN6017050550 *

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2017109971A (ja) * 2015-12-18 2017-06-22 花王株式会社 PPARδ活性化剤
JP2018177680A (ja) * 2017-04-11 2018-11-15 ホクト株式会社 脂肪酸代謝促進成分の抽出方法及び脂肪酸代謝促進剤
JP7289434B2 (ja) 2019-06-17 2023-06-12 マツダ株式会社 上部車体構造

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP2018524398A (ja) 筋肉疾患の予防、改善または治療用または筋機能改善用組成物
WO2006126325A1 (ja) 抗肥満活性剤及び肥満抑制方法
Ding et al. Effects of dietary supplementation with Allium mongolicum Regel extracts on growth performance, serum metabolites, immune responses, antioxidant status, and meat quality of lambs
JP7333815B2 (ja) 肝臓機能改善用組成物
Krepkova et al. Valuable Hepatoprotective Plants-How Can We Optimize Waste Free Uses of Such Highly Versatile Resources?
JPWO2014126199A1 (ja) 酸化タンパク質分解酵素活性増強化剤
JP2014185154A (ja) 天然物由来PPARδ活性化剤とそれを用いた遅筋増加剤
CA2743266A1 (en) Pumpkin and rose hips weight loss composition
JP5403582B2 (ja) Atp産生促進剤
KR20210130588A (ko) 괭생이 모자반 추출물을 유효 성분으로 포함하는 항비만용 조성물
JP2003252775A (ja) Nk細胞活性化剤
JP7301983B2 (ja) オニノダケ抽出物またはオニノダケおよびブロッコリーの混合抽出物を含む退行性神経疾患の予防または治療用薬学組成物
JP7185990B2 (ja) アディポネクチン分泌促進剤、脂肪前駆細胞分化促進剤並びにそれらを含む医薬組成物、食品及び飼料
JP6245867B2 (ja) PPARγ活性向上剤及びそれを用いた経口組成物
JP5742060B2 (ja) ネギ属由来の成分を含む免疫賦活剤及び免疫賦活剤の製造方法
KR102380291B1 (ko) 풀무치 추출물을 포함하는 비만 예방 또는 치료용 조성물
JP6692638B2 (ja) PPARδ活性化剤
KR102380290B1 (ko) 아메리카왕거저리 유충 추출물을 포함하는 비만 예방 또는 치료용 조성물
Aronu et al. The effect of dietary supplementation with aqueous extract of freshly harvested Talinum triangulare (waterleaf) plant on the haematology, serum biochemistry and carcass quality of broilers
KR102310480B1 (ko) 시링가레시놀을 유효성분으로 함유하는 근육 질환의 예방 또는 치료용 약학적 조성물
JP2018104383A (ja) Trpv4活性阻害剤
KR20190126657A (ko) 두충 추출물 및 우슬 추출물을 포함하는 남성갱년기 증후군의 예방 또는 개선용 약학적 조성물
KR102483929B1 (ko) 초식동물용 보조사료 조성물
JP6050596B2 (ja) 核内受容体活性促進剤および核内受容体活性促進方法
JP7388719B2 (ja) 除脂肪体重および褐色脂肪組織を改善するための組成物および終末糖化産物を阻害するための組成物

Legal Events

Date Code Title Description
RD02 Notification of acceptance of power of attorney

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7422

Effective date: 20150122

A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20170315

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20180109

A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20180731