JP2014181249A - 石炭燃焼助剤組成物及びその組成物を用いた石炭燃焼助剤並びにその石炭燃焼助剤を用いた石炭の燃焼方法 - Google Patents

石炭燃焼助剤組成物及びその組成物を用いた石炭燃焼助剤並びにその石炭燃焼助剤を用いた石炭の燃焼方法 Download PDF

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Abstract

【課題】燃焼用石炭に混合して燃焼したときに燃焼用石炭から硫黄分を効率良く除去し、また燃焼用石炭の着火性及び燃焼性の向上により燃焼灰(フライアッシュ)中に含まれる未燃成分を低減し、これにより燃焼用石炭を効率良く燃焼する。
【解決手段】燃焼用石炭に添加するために用いられる粉末状の石炭燃焼助剤組成物が、炭酸カルシウムとバイオマスとを含み、炭酸カルシウム100質量部に対してバイオマスを10〜25質量部含有する。また燃焼促進用石炭を更に含み、炭酸カルシウム及びバイオマスの合計量と燃焼促進用石炭の量とを質量比で(90:10)〜(25:75)の割合で含有することが好ましい。
【選択図】図1

Description

本発明は、炭酸カルシウムやバイオマス等を含む石炭燃焼助剤組成物と、この組成物を用いて成形した石炭燃焼助剤と、この石炭燃焼助剤を用いて燃焼用石炭を燃焼する方法に関するものである。
従来、バイオマス粉又はバイオマス粉砕物からなるバイオマス原料に、消石灰の水溶液又は懸濁液を付着させ、この液の付着したバイオマス原料を80〜100℃に加熱し、更にこの加熱したバイオマス原料を80〜100℃の温度下でダブルロール式プレスにより100〜500MPaの圧力をかけてブリケット状又は板状に加熱・成型するバイオマス系成型燃料の製造方法が開示されている(例えば、特許文献1参照。)。
このように構成されたバイオマス系成型燃料の製造方法では、バイオマス粉等からなるバイオマス原料に消石灰の水溶液等を付着させることにより、バイオマス原料に可塑性を付与し、この液の付着したバイオマス原料を80〜100℃に加熱することにより、バイオマス原料に可塑性を更に付与し、この加熱したバイオマス原料にを80〜100℃の温度下でダブルロール式プレスにより100〜500MHzの圧力をかけてブリケット状等に加熱・成型することにより、蒸気の共存下で強い剪断力を繊維質のバイオマス原料に与えながら高い圧縮力で燃料が成型される。この結果、繊維質のバイオマス原料が互いに強く絡み合い、比較的密度の高い成型燃料を得ることができる。また石炭とバイオマスを同時に混焼すると、燃焼効率が上昇したり、或いは木質バイオマスに含まれる窒素分が石炭に含まれる窒素分より少ないため、排ガス中におけるNOxの濃度を低減できるようになっている。
特開2009−51985号公報(請求項1、段落[0010]、[0021]、図1)
しかし、上記従来の特許文献1に示されたバイオマス系成型燃料の製造方法では、燃焼助剤としてみた消石灰は単なる脱硫目的で使用され、また燃焼助剤としてみたバイオマスは窒素分の少ないバイオマスの使用によるその分だけの脱硝目的で使用されており、微粉炭燃焼や循環流動層等の混合燃焼において、石炭の燃焼性の向上、大気汚染物質の発生の抑制、燃焼灰(フライアッシュ)の改質等の多面的な効果を得ることができない問題点があった。
本発明の第1の目的は、燃焼用石炭に混合して燃焼したときに燃焼用石炭から硫黄分を効率良く除去でき、また燃焼用石炭の着火性及び燃焼性の向上により燃焼灰(フライアッシュ)中に含まれる未燃成分を低減でき、これにより燃焼用石炭を効率良く燃焼できる、石炭燃焼助剤組成物及びその組成物を用いた石炭燃焼助剤並びにその石炭燃焼助剤を用いた石炭の燃焼方法を提供することにある。本発明の第2の目的は、燃焼用石炭の微粉炭燃焼時に揮発分に由来するNOx発生量を排出基準値以下に抑制できる、石炭燃焼助剤組成物及びその組成物を用いた石炭燃焼助剤並びにその石炭燃焼助剤を用いた石炭の燃焼方法を提供することにある。本発明の第3の目的は、燃焼用石炭中の微量の有害性金属成分を燃焼灰に固定化することにより、有害成分の大気中への放出を抑制できる、石炭燃焼助剤組成物及びその組成物を用いた石炭燃焼助剤並びにその石炭燃焼助剤を用いた石炭の燃焼方法を提供することにある。本発明の第4の目的は、ポゾラン反応性とともに、自硬性が付与され、その利用上、硬化体の強度的欠陥となる多孔質の粗粒子を含まない、良好な粒度構成の燃焼灰を得ることができる、石炭燃焼助剤組成物及びその組成物を用いた石炭燃焼助剤並びにその石炭燃焼助剤を用いた石炭の燃焼方法を提供することにある。
本発明の第1の観点は、燃焼用石炭に添加するために用いられ、炭酸カルシウムとバイオマスとを含む粉末状の石炭燃焼助剤組成物であって、炭酸カルシウム100質量部に対してバイオマスを10〜25質量部含有することを特徴とする。
本発明の第2の観点は、第1の観点に基づく発明であって、燃焼促進用石炭を更に含み、炭酸カルシウム及びバイオマスの合計量と燃焼促進用石炭の量とを質量比で(90:10)〜(25:75)の割合で含有することを特徴とする。
本発明の第3の観点は、第1又は第2の観点に記載の粉末状の石炭燃焼助剤組成物を平板状、ブリケット状又は顆粒状に成形してなる石炭燃焼助剤である。
本発明の第4の観点は、第1又は第2の観点に記載の粉末状の石炭燃焼助剤組成物を50〜400MPaの圧力で、厚さが15mm以下であって縦及び横又は直径がそれぞれ100mm以下である平板状に、又は体積30ミリリットル以下のブリケット状に形成されるか、或いはこれらの形成物を粒径20mm以下の顆粒状に解砕して形成された石炭燃焼助剤である。
本発明の第5の観点は、粒径80mm以下の燃料用石炭90〜95質量%に対して第3又は第4の観点に記載の石炭燃焼助剤を10〜5質量%混合する工程と、この混合物を流動層燃焼炉に供給して燃焼させる工程とを含む石炭の燃焼方法である。
本発明の第6の観点は、粒径80mm以下の燃焼用石炭90〜95質量%に対して第3又は第4の観点に記載の石炭燃焼助剤を10〜5質量%混合し粒径75μm以下のものを70〜80質量%含むように粉砕する工程と、この粉砕された混合物を微粉炭燃焼炉に供給して燃焼させる工程とを含む石炭の燃焼方法である。
本発明の第1の観点の石炭燃焼助剤組成物では、炭酸カルシウム100質量部に対してバイオマスを10〜25質量部含有するので、この組成物を用いて石炭燃焼助剤を成形するときに組成物中のバイオマスがバインダとして作用し、通常の貯蔵やハンドリング等に耐え得る性状及び強度を与える。また上記組成物を用いて成形した石炭燃焼助剤を燃焼用石炭と混合して燃焼したときに、この石炭燃焼助剤中の炭酸カルシウムに由来する酸化カルシウムが燃焼用石炭中の硫黄分等の有害成分と反応しこの有害成分を固定化して、燃焼用石炭中の有害成分の大気中への放出を抑制できる。またバイオマスによる燃焼用石炭の着火性とともに、酸化カルシウムの触媒的作用による燃焼性を向上でき、これにより燃焼灰(フライアッシュ)中に含まれる未燃成分を低減できるので、燃焼用石炭を効率良く燃焼できる。
本発明の第2の観点の石炭燃焼助剤組成物では、850〜860℃での流動層燃焼において、燃焼用石炭と混合して燃焼したときに、石炭燃焼助剤が細かく***するので、燃焼用石炭の着火性及び燃焼性を更に向上できるとともに、炭酸カルシウムに由来する酸化カルシウムが分散されることにより、この炭酸カルシウムが燃焼用石炭中の硫黄分等の有害成分と反応しこの有害成分を固定化して、燃焼用石炭中の有害成分の大気中への放出を抑制できる。また、1400〜1500℃での微粉炭燃焼においても同様に、バイオマスと炭酸カルシウムと燃焼促進用石炭とを含む石炭複合系の微粉状の燃焼助剤が***し均一に分散しながら、燃焼用微粉炭(燃焼用石炭)の分散化を助長し、その燃焼性を大きく改善するとともに、燃焼により生成された燃焼灰(フライアッシュ)の粒度構成において、微粒子(サブミクロン粒子)は減少し、また粗粒子は石炭粒の***によって細粒側に移行し、その集塵効果及び土木資材等の利用上の良好な粒度構成となる。
本発明の第3及び第4の観点の石炭燃焼助剤では、石炭燃焼助剤中のバイオマスがバインダとして作用し、通常の貯蔵やハンドリング等に耐え得る性状及び強度を与える。また上記石炭燃焼助剤を燃焼用石炭と混合して燃焼したときに、この石炭燃焼助剤中の炭酸カルシウムに由来する酸化カルシウムが燃焼用石炭中の硫黄分等の有害成分と反応しこの有害成分を固定化して、燃焼用石炭中の有害成分の大気中への放出を抑制できる。また炭酸カルシウムとバイオマスとを含む石炭燃焼助剤を用いると、バイオマスによる燃焼用石炭の着火性とともに、酸化カルシウムの触媒的作用による燃焼性を向上でき、これにより燃焼灰中に含まれる未燃成分を低減できるので、燃焼用石炭を効率良く燃焼できる。炭酸カルシウムとバイオマスと燃焼促進用石炭とを含む石炭燃焼助剤を用いると、流動層燃焼及び微粉炭燃焼のいずれにおいても、燃焼用石炭の着火性及び燃焼性を更に向上でき、これにより燃焼灰中に含まれる未燃成分を更に低減できるので、燃焼用石炭を更に効率良く燃焼できる。
本発明の第5の観点の石炭の燃焼方法では、流動層燃焼において、炭酸カルシウムとバイオマスと燃焼促進用石炭とを含む石炭燃焼助剤を用いると、燃焼用石炭のみを燃焼させる場合に比べて、単位時間当たりの燃焼量が増大するとともに、造粒物の石炭燃焼助剤が瞬時に***して燃焼用石炭中に均一に分散することにより、燃焼用石炭の着火性及び燃焼性を大幅に向上できる。この結果、燃焼灰中の未燃成分を大幅に低減できるので、燃焼用石炭の使用量を低減できる。また上記燃焼性の向上により燃焼用石炭中の揮発分に由来するNOxの発生量は若干増大するけれども、NOxの発生量を排出基準値以下に抑制できるとともに、石炭燃焼助剤中の炭酸カルシウムに由来する酸化カルシウムが燃焼用石炭中の硫黄分を吸収してこの硫黄分と反応することにより燃焼用石炭中の硫黄分が大気中に殆ど放出しない。また燃焼用石炭中の有害成分を燃焼灰に固定化することにより、有害成分の大気中への放出を抑制できる。更に燃焼灰中の未燃成分が低減されるので、燃焼灰をセメント混和材として使用した場合、セメントの水和硬化特性を向上でき、またセメント等の配合を少なくすることができ、これにより土木資材として有効利用できる。
本発明の第6の観点の石炭の燃焼方法では、炭酸カルシウムとバイオマスと燃焼促進用石炭とを含む石炭燃焼助剤を用いると、この3成分複合系の石炭燃焼助剤の燃焼促進作用により、燃焼灰中の未燃成分を低減できるとともに、特に微粉炭燃焼における燃焼用石炭からの未燃炭素質と関連する燃焼灰(フライアッシュ)の粗粒化及び多孔質化を抑制でき、燃焼灰粒子の強度を向上できる、即ち燃焼灰粒子に自硬性を付与できる。この燃焼灰粒子の強度の低下を防止することにより、土木資材として有効利用できる。また燃焼用石炭中の有害成分のうち揮発性有害成分は炭酸カルシウムの熱分解生成物であるカルシウム系物質と接触して反応することにより固定化され、非揮発性有害成分を高温溶融により燃焼灰に固定化して不溶出化するので、この燃焼炉内での固定化及び不溶出化により燃焼灰の性状を改善できる。この結果、燃焼灰を透水性地盤材料等の新たな土木資材として有効利用できる。また燃焼灰中の未燃成分を低減し、かつ燃焼助剤からのカルシウム成分が増大することにより、燃焼灰の化学組成が改善されるので、ポラゾン反応性を向上できる。このポラゾン反応性の向上と上記自硬性の付与により、セメントの5質量%程度の貧配合で十分なセメント強度を発現できる。ここで、ポゾラン反応とは、燃焼灰(フライアッシュ)をポルトランドセメントに混合して水を加えたときに、燃焼灰(フライアッシュ)に含まれる二酸化ケイ素がセメントの水和反応によって生じた水酸化カルシウムと反応し、緻密で耐久性に優れたケイ酸カルシウムの水和物が発生する反応をいう。更に微粉炭燃焼では、石炭燃焼助剤が瞬時に***して石炭燃焼助剤が均一に分散することにより、近傍の雲状の燃焼用微粉炭(燃焼用石炭)の***及び燃焼を助長でき、燃焼用微粉炭(燃焼用石炭)の着火性及び燃焼性を大幅に向上できる。また燃焼灰粒子の粒度構成が改善する、即ち燃焼灰粒子の粒径が略均一になるので、微粒子(サブミクロン粒子)の減少により、燃焼灰を効率良く電気的に捕集できるとともに、燃焼灰中の多孔質の粗粒子が減少し、例えば粒径40μm以下の微粒子を分級にて回収することにより、燃焼灰の利用に当たって歩留まりを大幅に向上できる。この結果、燃焼灰をセメント混合材やコンクリート混和材等の土木材料として有効利用できる。
本発明第1実施形態の炭酸カルシウムとバイオマスを含み湿式法で製造した石炭燃焼助剤組成物を用いて石炭燃焼助剤を成形した後にこの石炭燃焼助剤を用いて燃焼用石炭を燃焼するフローチャート図である。 炭酸カルシウムとバイオマスを含み乾式法で製造した石炭燃焼助剤組成物を用いて石炭燃焼助剤を成形した後にこの石炭燃焼助剤を用いて燃焼用石炭を燃焼するフローチャート図である。 本発明第2実施形態の炭酸カルシウムとバイオマスと燃焼促進用石炭を含み湿式法で製造した石炭燃焼助剤組成物を用いて石炭燃焼助剤を成形した後にこの石炭燃焼助剤を用いて燃焼用石炭を燃焼するフローチャート図である。 炭酸カルシウムとバイオマスと燃焼促進用石炭を含み乾式法で製造した石炭燃焼助剤組成物を用いて石炭燃焼助剤を成形した後にこの石炭燃焼助剤を用いて燃焼用石炭を燃焼するフローチャート図である。 実施例6〜8及び比較例2の石炭燃焼助剤を燃焼用石炭に混合して燃焼したときの流動層燃焼炉の高さに対する炉内温度の変化を示す図である。 実施例9及び10と比較例3の石炭燃焼助剤を燃焼用石炭に混合して燃焼したときの未燃率に対するNOx発生量の変化を示す図である。 実施例11〜16と比較例4〜6の燃焼灰等のタブレットの破壊強度試験を行っている状態を示す要部斜視図である。 実施例11〜16と比較例4〜6の燃焼灰等のタブレットの破壊強度を示す図である。 比較例3の石炭燃料助剤を燃焼用石炭に添加し粉砕して燃焼させたときに発生した燃焼灰(フライアッシュ)の粒度分布(頻度及び累積率)を示す図である。 実施例9の石炭燃料助剤を燃焼用石炭に添加し粉砕して燃焼させたときに発生した燃焼灰の粒径分布(頻度及び累積率)を示す図である。
次に本発明を実施するための形態を図面に基づいて説明する。
<第1の実施の形態>
本発明の粉末状の石炭燃焼助剤組成物は、炭酸カルシウムとバイオマスとを含む。この石炭燃焼助剤組成物は、炭酸カルシウム100質量部に対してバイオマスを乾物ベースで10〜25質量部含有する。ここで、炭酸カルシウム100質量部に対するバイオマスの含有割合を10〜25質量部の範囲内に限定したのは次の理由に基づく。バイオマスが10質量%未満であると、バイオマスの量が少な過ぎてバイオマスがバインダとして作用せず、この組成物を用いて成形した石炭燃焼助剤の通常の貯蔵やハンドリング等に耐え得る性状及び強度を与えることができず、また石炭燃焼助剤としての着火性及び燃焼性を向上できないからである。またバイオマスが25質量%を越えると、バイオマスの含有割合を多くしたにも拘らず、組成物を成形した石炭燃焼助剤の性状や強度が殆ど向上せず、また石炭燃焼助剤としての着火性及び燃焼性も殆ど向上しないからである。更に乾物ベースとは、バイオマスを105℃の温度に1時間保持して乾燥させることにより、バイオマスの水分率が約0%になった状態をいう。
上記炭酸カルシウムとしては、石灰石、含可燃分炭酸カルシウム等が挙げられる。石灰石は、石灰岩を粒径150μm以下、好ましくは75μm以下に微粉砕した重質炭酸カルシウムや、生石灰を炭酸化した合成炭酸カルシウム等が用いられる。また含可燃分炭酸カルシウムは、製糖工場における製糖工程で排出される製糖排出物(ライムケーキ)や、ホタテやカキ等の殻を乾燥して粒径150μm以下、好ましくは10μm以下に粉砕した粉砕物等が用いられる。上記製糖排出物(ライムケーキ)には、炭酸カルシウムの他に有機物が含まれ、ホタテやカキ等の粉砕物には、炭酸カルシウムの他に有機質可燃成分が含まれる。上記有機物や有機質可燃成分は本発明のバイオマス、又はその一部として機能する。一方、上記バイオマスとしては、古紙、木質廃材、農業廃棄物、農産加工の副産物、農産加工の排出物等が挙げられる。古紙は、新聞紙、雑誌、段ボール等を水中で解砕した後に乾燥して用いられる。また木質廃材は、おが屑、製材加工廃材(端材)又は建築古材(木造家屋の廃材)等を乾燥し粉砕したものが用いられる。農業廃棄物、農産加工の副産物、農産加工の排出物は、稲わら、もみ殻、ビートパルプ、バガス等を乾燥して粉砕したものが用いられる。
上記粉末状の石炭燃焼助剤組成物を平板状、ブリケット状又は顆粒状に成形して石炭燃焼助剤が作製される。具体的には、粉末状の石炭燃焼助剤組成物を50〜400MPa、好ましくは200〜300MPaの圧力で成形することにより、厚さが15mm以下、好ましくは10mm以下であって縦及び横又は直径がそれぞれ100mm以下、好ましくは約50mmである平板状(正方形板状又は円板状)の石炭燃焼助剤、又は体積30ミリリットル以下、好ましくは10〜20ミリリットルのブリケット状の石炭燃焼助剤が作製される。また上記平板状又はブリケット状の石炭燃焼助剤の形成物を粒径20mm以下、好ましくは10〜1mmに解砕して、顆粒状の石炭燃焼助剤が作製される。
ここで、粉末状の石炭燃焼助剤組成物の成形圧力を50〜400MPの範囲内に限定したのは、50MPa未満では硬い成形物が得られず、400MPaを越えると成形物が必要以上に硬くなってしまうからである。また、平板状の石炭燃焼助剤の厚さを15mm以下に限定したのは、15mmを越えると硬い成形物が得られないからである。片板状の石炭燃焼助剤の縦及び横又は直径を100mm以下に限定したのは、100mmを越えると成形物のハンドリング性が低下してしまうからである。またブリケット状の石炭燃焼助剤の体積を30ミリリットル以下に限定したのは、30ミリリットルを越えると成形物のハンドリング性が低下してしまうからである。更に顆粒状の石炭燃焼助剤の粒径を20mm以下に限定したのは、20mmを越えると硬い成形物が得られないからである。
このように構成された石炭燃焼助剤では、この石炭燃焼助剤中のバイオマスがバインダとして作用し、通常の貯蔵やハンドリング等に耐え得る性状及び強度を与える。
次に、上記粉末状の石炭燃焼助剤組成物を用いて平板状又はブリケット状の石炭燃焼助剤を製造する具体的な方法を図1及び図2に基づいて説明する。石炭燃焼助剤の製造方法には、湿式法と乾式法とがある。
[1−1] 湿式法による石炭燃焼助剤の製造方法(図1)
先ず、石灰石等の炭酸カルシウムと、古紙等のバイオマスとを所定の割合になるように秤量し、これらを水中で粒径が150μm以下、好ましくは75μm以下となるように解砕し粉砕した後、均一に混合してスラリーを調製する。次にこのスラリーを圧搾して水分が30〜40%となるように脱水した後に、この脱水物を水分率5〜10%に乾燥して高圧成形するか、又はこの乾燥物を70〜80℃に加熱した状態で高圧成形して、平板状又はブリケット状の石炭燃焼助剤を製造する。上記高圧成形は、圧縮力を主体とした剪断力のもとでバイオマスがバインダとして作用するため、バイオマス以外のバインダを添加しないバインダレスによるロール式の高圧成形である。ここで、スラリー中の混合物の粒径が150μm以下になるように解砕し粉砕したのは、150μmを越えると高圧成形物の強度及び炭酸カルシウムによる反応性が低下してしまうからである。なお、製糖排出物(ライムケーキ)を用いる場合、この製糖排出物の水分率が約30%であり、製糖排出物に含まれるバイオマスが乾物ベースで10〜13質量%であるので、炭酸カルシウム及びバイオマスの両者を含む複合原料として、上記湿式法による処理を行い、平板状又はブリケット状の石炭燃焼助剤を製造する。また、顆粒状の石炭燃焼助剤は、上記平板状又はブリケット状の石炭燃焼助剤を解砕して製造される。
[1−2] 乾式法による石炭燃焼助剤の製造方法(図2)
先ず、石灰石等の炭酸カルシウムを粒径150μm以下、好ましくは74μm以下に粉砕する。次に、自然乾燥により水分が15%程度である木質廃材や農業廃棄物等の植物繊維質のバイオマスを粒径2.0mm以下、好ましくは1.0mm以下に粉砕する。ここで、木質廃材としては、おが屑、製材加工廃材(端材)、建築古材(木造家屋の廃材)等が挙げられ、農業廃棄物としては、稲わら、もみ殻等が挙げられる。更に、上記粉砕した炭酸カルシウム及びバイオマスを混合した後に、この混合物を室温で又は70〜80℃に加熱した状態で高圧成形して、平板状又はブリケット状の石炭燃焼助剤を製造する。上記高圧成形は、圧縮力を主体とした剪断力のもとでバイオマスがバインダとして作用するため、バイオマス以外のバインダを添加しないバインダレスによるロール式の高圧成形である。ここで、炭酸カルシウムの粒径が150μm以下になるように粉砕したのは、150μmを越えると炭酸カルシウムに由来する酸化カルシウムの表面積の減少によって燃焼用石炭中の揮発性有害成分の吸着性やこの揮発性有害成分との反応性が低下してしまうからである。なお、顆粒状の石炭燃焼助剤は、上記平板状又はブリケット状の石炭燃焼助剤を解砕して製造される。
上記[1−1]及び[1−2]の方法で製造された石炭燃焼助剤を用いて燃焼用石炭を燃焼させる方法を図1及び図2に基づいて説明する。燃焼用石炭の燃焼方法には、流層層燃焼法と微粉炭燃焼法がある。
[1−3] 流動層燃焼法による石炭の燃焼方法
先ず、粒径80mm以下、好ましくは0.5〜10.0mmの燃焼用石炭90〜95質量%と、上記[1−1]及び[1−2]の方法で製造された石炭燃焼助剤10〜5質量%とを混合する。次に、この混合物を流動層燃焼炉に供給して燃焼させる。ここで、石炭燃焼助剤の混合割合を10〜5質量%の範囲内に限定したのは、10質量%を越えるとその割合を増した程の燃焼(混焼)による効果が少なく、またユーザの費用面での負担が増大するという経済性の面での問題があり、5質量%未満では石炭燃焼助剤の持つ多面的効果を発揮するという特性を生かせないからである。なお、燃焼用石炭としては、発電や蒸気の発生等のための大型、中型又は小型のボイラ燃焼炉で使用される海外又は国内で産出される一般炭(工業分析による燃料比(固定炭素/揮発分):0.8〜2.5)が挙げられる。例えば、オーストラリアで産出されるニューランズ炭(NL炭)や、北海道の釧路で産出される釧路コールマイン炭(KCM炭)などが挙げられる。
[1−4] 微粉炭燃焼法による石炭の燃焼方法
先ず、粒径80mm以下、好ましくは30mm以下の燃焼用石炭90〜95質量%と、上記[1−1]及び[1−2]の方法で製造された石炭燃焼助剤10〜5質量%とを混合した後に、この混合物を通常の微粉炭燃焼で使用される石炭の粒径になるように粉砕する、即ち上記混合物を、粒径75μm以下のものを70〜80質量%含みかつ粒径250μm以下のものを全量含むように粉砕する。次にこの粉砕された混合物を微粉炭燃焼炉に供給して燃焼させる。
上記[1−3]及び[1−4]の方法で石炭を燃焼させると、石炭燃焼助剤中の炭酸カルシウムが燃焼用石炭中の硫黄分等の有害成分と反応しこの有害成分を固定化して、燃焼用石炭中の有害成分の大気中への放出を抑制できる。またバイオマスにより燃焼用石炭の着火性及び燃焼性を向上できるので、燃焼灰(フライアッシュ)中に含まれる未燃成分を低減できる。この結果、燃焼用石炭を効率良く燃焼できる。
<第2の実施の形態>
図3及び図4は本発明の第2の実施の形態を示す。この実施の形態では、石炭燃焼助剤組成物が、炭酸カルシウム及びバイオマスに加えて、燃焼促進用石炭を更に含む。ここで、燃焼促進用石炭としては、第1の実施の形態の燃焼用石炭と同様に、発電や蒸気の発生等のための大型、中型又は小型のボイラ燃焼炉で使用される海外又は国内で産出される一般炭(工業分析による燃料比(固定炭素/揮発分):0.8〜2.5)が挙げられる。例えば、オーストラリアで産出されるニューランズ炭(NL炭)や、北海道の釧路で産出される釧路コールマイン炭(KCM炭)などが挙げられる。但し、燃焼促進用石炭は、燃焼用石炭と同一の炭種を用いてもよく、或いは別の炭種を用いてもよい。また炭酸カルシウム及びバイオマスの合計量と燃焼促進用石炭の量とを質量比で(90:10)〜(25:75)の割合、好ましくは(60:40)〜(40:60)の割合でで含有する。ここで、炭酸カルシウム及びバイオマスの合計量と燃焼促進用石炭の量との混合割合を質量比で(90:10)〜(25:75)の範囲内に限定したのは、以下の理由による。本発明の石炭燃焼助剤は、炭酸カルシウム、バイオマス及び燃焼促進用石炭を適切な組成比で複合系混合物とすることにより、その多面的な効果を呈することから、燃焼促進用石炭の量が10質量%未満では、燃焼促進用として配合した石炭による燃焼特性上の複合効果が大きく損なわれ、また燃焼促進用石炭を燃焼用石炭と混合して微粉砕したときに選択的に微粉砕されてしまい、燃焼促進用石炭を燃焼用石炭に均一に分散するように粉砕できないという大きな難点がある。また、燃焼促進用石炭の量が75質量%を越えると、バインダとして作用している微粒状の炭酸化カルシウム及びバイオマスの減量によって、十分に強度のある石炭燃焼助剤の成形物を得られないという問題点がある。なお、上記混合割合は、バイオマスの水分率が0%である乾物ベースで測定した値である。
上記粉末状の石炭燃焼助剤組成物を平板状、ブリケット状又は顆粒状に成形して石炭燃焼助剤が作製される。具体的には、粉末状の石炭燃焼助剤組成物を50〜400MPa、好ましくは200〜300MPaの圧力で成形することにより、厚さが15mm以下、好ましくは10mm以下であって縦及び横又は直径がそれぞれ100mm以下、好ましくは約50mmである平板状(正方形板状又は円板状)の石炭燃焼助剤、又は体積30ミリリットル以下、好ましくは10〜20ミリリットルのブリケット状の石炭燃焼助剤が作製される。また上記平板状又はブリケット状の石炭燃焼助剤の形成物を粒径20mm以下、好ましくは10〜1mmに解砕して、顆粒状の石炭燃焼助剤が作製される。なお、粉末状の石炭燃焼助剤組成物の成形圧力を50〜400MPの範囲内に限定した理由、平板状の石炭燃焼助剤の厚さを15mm以下に限定した理由、片板状の石炭燃焼助剤の縦及び横又は直径を100mm以下に限定した理由、ブリケット状の石炭燃焼助剤の体積を30ミリリットル以下に限定した理由、顆粒状の石炭燃焼助剤の粒径を20mm以下に限定した理由は、第1の実施の形態に記載した理由とそれぞれ同一である。
このように構成された石炭燃焼助剤では、この石炭燃焼助剤中のバイオマスがバインダとして作用し、通常の貯蔵やハンドリング等に耐え得る性状及び強度を与える。
次に、上記粉末状の石炭燃焼助剤組成物を用いて平板状又はブリケット状の石炭燃焼助剤を製造する具体的な方法を図3及び図4に基づいて説明する。石炭燃焼助剤の製造方法には、湿式法と乾式法とがある。
[2−1] 湿式法による石炭燃焼助剤の製造方法(図3)
先ず、石灰石等の炭酸カルシウムと、古紙等のバイオマスとを所定の割合になるように秤量し、これらを水中で粒径が150μm以下、好ましくは75μm以下となるように解砕し粉砕した後、均一に混合してスラリーを調製する。次にこのスラリーを圧搾して水分が30〜40%となるように脱水する。更にこの脱水物の水分率が5〜10%になるように乾燥した後に、粒径が3.0〜5.0mm以下になるように粉砕した粉砕物に、粒径が2.0mmになるように粉砕した燃焼促進用石炭を上記所定の割合で混合し、この混合物をそのまま高圧成形するか、又は70〜80℃に加熱した状態で高圧成形して、平板状又はブリケット状の石炭燃焼助剤を製造する。上記高圧成形は、圧縮力を主体とした剪断力のもとでバイオマスがバインダとして作用するため、バイオマス以外のバインダを添加しないバインダレスによるロール式の高圧成形である。なお、製糖排出物(ライムケーキ)を用いる場合、この製糖排出物の水分率が約30%であり、製糖排出物に含まれるバイオマスが乾物ベースで10〜13質量%であるので、炭酸カルシウム及びバイオマスの両者を含む複合原料とし、その乾燥物に燃焼促進用石炭を加えて混合し、平板状又はブリケット状の石炭燃焼助剤を製造する。また、顆粒状の石炭燃焼助剤は、上記平板状又はブリケット状の石炭燃焼助剤を解砕して製造される。
[2−2] 乾式法による石炭燃焼助剤の製造方法(図4)
先ず、石灰石等の炭酸カルシウムを、粒径が150μm以下、好ましくは75μm以下になるように粉砕する。次に、自然乾燥により水分が15%程度である木質廃材や農業廃棄物等の植物繊維質のバイオマスを粒径2.0mm以下、好ましくは1.0mm以下に粉砕する。ここで、木質廃材としては、おが屑、製材加工廃材(端材)、建築古材(木造家屋の廃材)等が挙げられ、農業廃棄物としては、稲わら、もみ殻等が挙げられる。更に、上記粉砕した炭酸カルシウムとバイオマスとを混合して得られたの混合物に、粒径が1.0mm以下になるように粉砕した燃焼促進用石炭を混合した後に、この混合物を70〜80℃に加熱した状態で高圧成形して、平板状又はブリケット状の石炭燃焼助剤を製造する。上記高圧成形は、圧縮力を主体とした剪断力のもとでバイオマスがバインダとして作用するため、バイオマス以外のバインダを添加しないバインダレスによるロール式の高圧成形である。なお、顆粒状の石炭燃焼助剤は、上記平板状又はブリケット状の石炭燃焼助剤を解砕して製造される。
上記[2−1]及び[2−2]の方法で製造された石炭燃焼助剤を用いて燃焼用石炭を燃焼させる方法を図3及び図4に基づいて説明する。燃焼用石炭の燃焼方法には、流層層燃焼法と微粉炭燃焼法がある。
[2−3] 流動層燃焼法による石炭の燃焼方法
先ず、粒径80mm以下、好ましくは0.5〜10mmの燃焼用石炭と90〜95質量%と、上記[2−1]及び[2−2]の方法で製造された石炭燃焼助剤10〜5質量%とを混合する。次に、この混合物を流動層燃焼炉に供給して燃焼させる。ここで、石炭燃焼助剤の混合割合を10〜5質量%の範囲内に限定した理由は、第1の実施の形態の理由と同一である。なお、燃焼用石炭は、第1の実施の形態の燃焼用石炭と同一である。
上記[2−3]に記載した方法で石炭を燃焼させると、燃焼用石炭のみを燃焼させる場合に比べて、単位時間当たりの燃焼量が増大するとともに、石炭燃焼助剤が瞬時に***して石炭燃焼助剤が均一に分散することにより、燃焼用石炭の着火性及び燃焼性を大幅に向上できる。この結果、燃焼灰中の未燃成分を大幅に低減できるので、燃焼用石炭の使用量を低減できる。また上記燃焼性の向上により燃焼用石炭中の揮発分に由来するNOxの発生量は若干増大するけれども、NOxの発生量を排出基準値以下に抑制できるとともに、石炭燃焼助剤中の炭酸カルシウムに由来する酸化カルシウムと燃焼用石炭中の硫黄分との反応により燃焼用石炭中の硫黄分が大気中に殆ど放出しない。また燃焼用石炭中の有害成分を燃焼灰に固定化することにより、有害成分の大気中への放出を抑制できる。更に燃焼灰中の未燃成分が低減されるので、燃焼灰をセメント混和材として使用した場合、セメントの水和硬化特性を向上でき、またセメント等の配合を少なくすることができ、これにより土木資材として有効利用できる。
[2−4] 微粉炭燃焼法による石炭の燃焼方法
先ず、粒径80mm以下、好ましくは30mm以下の燃焼用石炭90〜95質量%と、上記[1−1]及び[1−2]の方法で製造された石炭燃焼助剤10〜5質量%とを混合した後に、この混合物を通常の微粉炭燃焼で使用される石炭の粒径になるように粉砕する、即ち上記混合物を、粒径75μm以下のものを70〜80質量%含みかつ粒径250μm以下のものを全量含むように粉砕する。次にこの粉砕された混合物を微粉炭燃焼炉に供給して燃焼させる。
上記[2−4]に記載した方法で石炭を燃焼させると、この石炭燃焼助剤の燃焼促進作用により、燃焼灰中の未燃成分を低減できるとともに、燃焼用石炭中の未燃炭素質と関連する燃焼灰の粗粒化及び燃焼灰の多孔質化を抑制でき、燃焼灰粒子の品質及び強度を向上できる、即ち燃焼灰粒子に自硬性を付与できる。この燃焼灰粒子の品質及び強度の低下を防止することにより、土木資材として有効利用できる。また燃焼用石炭中の有害成分のうち揮発性有害成分を炭酸カルシウムに由来する酸化カルシウムにより燃焼灰中に固定化してその溶出を抑制し、また微粉炭燃焼では非揮発性有害成分を高温溶融により燃焼灰に固定化して不溶出化するので、燃焼灰の性状を改善できる。この結果、燃焼灰を透水性地盤材料等の新たな土木資材として有効利用できる。また燃焼灰中の未燃成分を低減し、かつ燃焼灰の化学組成を改善することにより、ポラゾン反応性を向上できる。このポラゾン反応性の向上と上記自硬性の付与により、セメントの5質量%程度の貧配合で十分なセメント強度を発現できる。また石炭燃焼助剤中の燃焼促進用石炭が瞬時に***して石炭燃焼助剤が均一に分散することにより、近傍の雲状の微粉炭の燃焼を助長でき、燃焼用石炭の着火性及び燃焼性を大幅に向上できる。更に燃焼灰を有効利用する上での粒度構成が改善されることによって、微粒子状(サブミクロンオーダ)の燃焼灰を効率良く捕集できるとともに、燃焼灰の分級処理において、例えば40μm以下の燃焼灰の歩留まりも大幅に向上できる。この結果、燃焼灰をセメント混合材やコンクリート混和材等の土木材料として有効利用できる。
次に本発明の実施例を比較例とともに詳しく説明する。
<実施例1>
先ず、炭酸カルシウムとして石灰石を粒径が75μm以下になるように粉砕し、植物繊維質のビートファイバ(バイオマス)を粒径が1.0mm以下になるように粉砕し、燃焼促進用石炭を粒径が1.0mm以下になるように粉砕した。ここで、ビートファイバの水分率は4%であった。次に質量比で上記炭酸カルシウム80質量%と、ビートファイバを20質量%とを混合し、この混合物50質量%と燃焼促進用石炭50質量%とを混合した。更にこの混合物を室温で養生した後、80℃に加熱した状態で240MPaの圧力で高圧成形し、平板状の石炭燃焼助剤を作製した。この石炭燃焼助剤は直径24.7mm、厚さ3.0mm、及び質量3gの円板状であった。次にこの石炭燃焼助剤を粒径1.0mm以下に粉砕して調整したものと、粒径1.0mm以下の燃焼用石炭とを質量比で10:90の割合で混合した後に、粒径が75μm以下になるように粉砕した。この粉末を実施例1とした。なお、上記燃焼促進用石炭及び燃焼用石炭はニューランズ炭(NL炭)であり、その組成等を表1に示す。
<実施例2>
バイオマスとして水分率が約16%である古紙を用い、この古紙を粒径が2.0mm以下になるように水中で解砕し粉砕したこと以外は、実施例1と同様にして粉末を調製した。この粉末を実施例2とした。
<実施例3>
バイオマスとして水分率が約9%である木質(木質廃材の乾燥物)を用い、この木質を粒径が1.0mm以下になるように粉砕したこと以外は、実施例1と同様にして粉末を調製した。この粉末を実施例3とした。
<実施例4>
炭酸カルシウムとバイオマスを含む水分率約6%のライムケーキを用い、このライムケーキを粒径が1.0mm以下になるように解砕したこと以外は、実施例1と同様にして粉末を調製した。この粉末を実施例4とした。なお、上記ライムケーキは、乾物ベースで炭酸カルシウムを88.3質量%と、バイオマスを11.7質量%を含む混合物であった。
<実施例5>
燃焼促進用石炭として釧路コールマン炭(KCM炭)を用いたこと以外は、実施例4と同様にして粉末を調製した。この粉末を実施例5とした。なお、上記釧路コールマン炭(KCM炭)の組成等を表1に示す。
<比較例1>
ニューランズ炭(NL炭)からなる燃料用石炭を粒径が75μm以下になるように粉砕した。この粉末を比較例1とした。
<比較試験1及び評価>
実施例1〜5及び比較例1の粉末の燃焼試験を行った。具体的には、粉末を0.5gを入れた流動層中に空気を流量300ミリリットル/分で流し、粉末が流動している状態で加熱して着火温度を測定した。このとき流動層内部で発火する温度を着火温度とした。その結果を表2に示す。なお、表2には、着火温度とともに、燃焼用石炭と石炭燃焼助剤との混合割合と、燃焼促進用石炭と炭酸カルシウムとバイオマスとの混合割合と、バイオマスの炭酸カルシウムに対する質量比も示した。
Figure 2014181249
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表2から明らかなように、比較例1では着火温度が229.8℃と高かったのに対し、実施例1〜5では着火温度が198.8〜213.4℃と低くなった。実施例1〜5では、粉末が着火するまでの温度では炭酸カルシウム(熱分解温度:800℃前後)が関与しない温度領域であることから、バイオマスを配合したことにより着火性が改善したものと考えられる。また実施例1〜3では、石炭燃焼助剤中のバイオマスの含有割合が1.0質量%と少量で着火温度の低下という効果が得られ、実施例4及び5では、ライムケーキ中のバイオマスが0.55質量%と更に少量で着火温度の低下という効果が得られた。
<実施例6>
先ず、乾物ベースで炭酸カルシウムを88.3質量%と、バイオマスを11.7質量%を含み、かつ水分率が31%であるライムケーキを用意し、このライムケーキを水分が5%になるように乾燥した後に、粒径が1.0mm以下になるように解砕した。次にこの解砕物を室温で、高圧ロールプレス機を用い200MPaの圧力でバインダレス高圧成形し、縦及び横がそれぞれ約100mmであり厚さが約7mmである石炭燃焼助剤を連続的に成形した後に、直径1〜5mmに粉砕して、顆粒状のライムケーキ単味による石炭燃焼助剤(LCB)を作製した。更にニューランズ炭からなる燃焼用石炭95質量%と、上記石炭燃焼助剤5質量%とを混合した。この石炭混合物(NL炭+LCB)を実施例6とした。
<実施例7>
実施例6と同様に乾燥し解砕して得られたライムケーキ50質量%と、粒度1.0mm以下に粉砕したニューランズ炭からなる燃焼促進用石炭50質量%とを混合した。この混合物を室温で、高圧ロールプレス機を用い200MPaの圧力でバインダレス高圧成形し、縦及び横がそれぞれ約100mmであり厚さが約7mmである薄層平板状の石炭燃焼助剤を連続的に成形した後に、直径1〜5mmに粉砕して、顆粒状の石炭燃焼助剤(NL系CCI)を作製した。更に粒径0.25〜5mmのニューランズ炭からなる燃焼用石炭90質量%と、上記石炭燃焼助剤10質量%とを混合した。この石炭混合物(NL炭+NL系CCI)を実施例7とした。
<実施例8>
燃焼促進用石炭として釧路コールマン炭を用いたこと以外は、実施例7と同様にして直径1〜5mmの石炭燃焼助剤(KCM系CCI)を作製し、粒径0.25〜5mmのニューランズ炭からなる燃焼用石炭90質量%と、上記石炭燃焼助剤10質量%とを混合した。この石炭混合物(NL炭+KCM系CCI)を実施例8とした。
<比較例2>
ニューランズ炭からなる燃焼用石炭に石炭燃焼助剤を添加せず、燃焼用石炭を粒径0.25〜5mmに粉砕した。この燃焼用石炭(NL炭)を比較例2とした。
<比較試験2及び評価>
実施例6〜8の石炭混合物と比較例2の燃焼用石炭を、循環式の流動層燃焼炉を用いてそれぞれ燃焼試験を行った。この循環式の流動層燃焼炉は、内径が100mmであって高さが5.1mである2つの円筒状の塔を鉛直方向に延びて設け、これらの塔の上部及び下部を連通接続して構成される。そして流動層燃焼炉内の温度を850〜60℃に保持し、燃焼炉から排出される排ガスの酸素濃度を4.0%に維持しながら、実施例6〜8の石炭混合物と比較例2の燃焼用石炭をこの流動層燃焼炉に3〜5kg/時間の速度で供給して燃焼させた。その結果を図5に示す。また表3に、実施例6〜8の石炭混合物と比較例2の燃焼用石炭の平均供給速度を示す。更に表4に、実施例6〜8の石炭混合物の供給速度を、比較例2の燃焼用石炭の供給速度を1.0としたときの比で示す。
Figure 2014181249
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図5から明らかなように、実施例6〜7では、比較例2より燃焼炉内の温度の急激な降下からの回復が早く、しかも燃焼炉内全体で高い燃焼温度を維持できることが分かった。また、表3から明らかなように、比較例2では平均供給速度(単位時間当たりの平均供給量)が3.41kg/時間と少なかったのに対し、実施例6〜8では、平均供給速度(単位時間当たりの平均供給量)が3.49〜4.20kg/時間と多くなった。一方、表4から明らかなように、供給速度(kg/時間)は、実施例8では供給速度が比較例2の1.16倍に増大し、実施例6及び7では供給速度が比較例2の0.97倍及び0.98倍にそれぞれ減少した。但し、実施例6及び7ではLCB及びNL系CCIを5質量%及び10質量%をそれぞれ添加しているため、実質的には、供給速度が比較例2より増大している。
<比較試験3及び評価>
実施例6〜8の石炭混合物と比較例2の燃焼用石炭を、循環式の流動層燃焼炉を用いて燃焼試験を行い、このとき発生する燃焼灰(フライアッシュ)に含まれる未燃分の量を測定した。そしてこれらの石炭混合物中の灰分の含有割合(乾物ベース)から燃焼効率を計算で求めた。その結果を表5に示す。また、表6に、実施例6〜8の石炭混合物と比較例2の燃焼用石炭を燃焼させたときに発生するSO2濃度とNOx濃度と、SO2濃度から算出した脱硫率を示す。
Figure 2014181249
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表5から明らかなように、比較例2では未燃分が14.3質量%と多かったのに対し、実施例6〜8では未燃分が4.9〜8.7質量%と少なくなった。また、表5から明らかなように、比較例2では燃焼効率が96.8%と低かったのに対し、実施例6〜8では燃焼効率が97.7〜98.8質量%と高くなった。一方、表6から明らかなように、比較例2ではSO2濃度が130ppmと多かったのに対し、実施例6〜8ではSO2濃度が1〜12ppmと極めて少なくなった。これにより実施例6〜8では脱硫率が91〜99%と極めて高く、特に燃焼促進用石炭を含有する炭酸カルシウム及びバイオマスの複合系石炭燃焼助剤による効果が大きいことが分かった。また、表6から明らかなように、比較例2ではNOx濃度が120ppmであったのに対し、実施例6〜8では単位時間当たりの石炭燃焼量の増大によって石炭揮発分に由来するNOx濃度が150〜250ppmと多くなるけれども、実施例6〜8のNOx濃度は排出基準値以下(250ppm以下)であった。
<比較試験4及び評価>
実施例6〜8の石炭混合物と比較例2の燃焼用石炭を、比較試験3と同様に、循環式の流動層燃焼炉を用いて燃焼試験を行い、このとき発生した燃焼灰(フライアッシュ)に含まれる有害成分(ヒ素、ホウ素、セレン及びフッ素)の量をそれぞれ測定した。その結果を表7に示す。なお、表7には、サイクロンで分離された微小な粒子状のサイクロン灰(S灰)中の有害成分と、バグフィルタに捕集された極微小な粒子状のバグフィルタ灰(B灰)中の有害成分とをそれぞれ分けて記載した。また、上記サイクロン灰(S灰)とバグフィルタ灰(B灰)との発生割合は質量比で1:1であった。
Figure 2014181249
表7から明らかなように、比較例2ではサイクロン灰(S灰)中のフッ素が1.0mg/リットルと多かったのに対し、実施例6〜8ではサイクロン灰(S灰)中のフッ素が0.3〜0.8mg/リットルと少なくなった。また、比較例2ではバグフィルタ灰(B灰)中のフッ素が23.7mg/リットルと多かったのに対し、実施例6〜8ではバグフィルタ灰(B灰)中のフッ素がが1.2〜4.4mg/リットルと少なくなった。更に、ヒ素、ホウ素及びセレンについては、実施例6〜8及び比較例2とも土壌環境基準を大きく下回り、ヒ素、ホウ素及びセレンの溶出を抑制する効果が大きいことが分かった。
<実施例9>
実施例7の粒径1〜5mmの顆粒状の石炭燃焼助剤(NL系CCI)を燃焼用石炭(NL炭)に、質量比で10:100の割合となるように加えて混合微粉砕した。この混合微粉砕物を実施例9とした。なお、この混合微粉砕物の粒度分布は、粒径75μm以下のものが80%存在し、最大粒径が150μmであり、質量中位径DP50が約40μmになるように調製した。
<実施例10>
実施例8の粒径1〜5mmの顆粒状の石炭燃焼助剤(KCM系CCI)を燃焼用石炭(NL炭)に、質量比で10:100の割合となるように加えて混合微粉砕した。この混合微粉砕物を実施例10とした。なお、この混合微粉砕物の粒度分布は、粒径75μm以下のものが80%存在し、最大粒径が150μmであり、質量中位径DP50が約40μmになるように調製した。
<比較例3>
比較例2の粒径0.25〜5mmの燃焼用石炭を微粉砕した。この微粉砕石炭を比較例3とした。なお、この微粉砕石炭の粒度分布は、粒径75μm以下のものが80%存在し、最大粒径が150μmであり、質量中位径DP50が約40μmになるように調製した。
<比較試験5及び評価>
実施例9及び10の混合微粉砕物と比較例3の微粉砕石炭を、微粉炭燃焼炉を用いて燃焼試験を行った。この微粉炭燃焼炉は、内径が300mmであって高さが2.8mであり、実機ボイラの燃焼を模擬した乱流炉(混合微粉砕物又は微粉砕石炭の供給速度:6〜7kg/時間)である。また、温度1450℃に維持された炉内に混合微粉砕物又は微粉砕石炭を供給し、二段燃焼空気の吹き込み位置や空気量を変えて、前段燃焼空気比が0.9となり、二段燃焼空気比が0.35となり、全体の燃焼空気比が1.25となり、更に排ガス中の酸素濃度が4.2%となるような運転条件下で燃焼試験を行った。そして上記運転条件下で得られた燃焼灰中の未燃成分の含有割合を測定して未燃率を算出するとともに、NOxの発生量を測定した。上記未燃率とNOxの発生量の関係を図6に示す。なお、NOxの発生量はO2−6%換算で行った。
図6から明らかなように、比較例3では未燃率に対してNOxの発生量が多かったのに対し、実施例9及び10では未燃率に対してNOxの発生量が少なくなり、石炭の燃え切り性(未燃率)を低下させずに、NOxの排出量を低く抑えた燃焼が可能になった。
<比較試験6及び評価>
実施例9及び10の混合微粉砕物と比較例3の微粉砕石炭を、比較試験5と同様に、微粉炭燃焼炉を用いて燃焼試験を行い、このとき発生した燃焼灰(フライアッシュ)に含まれる有害成分(六価クロム、ヒ素、セレン、ホウ素及びフッ素)の水中溶出量をそれぞれ土壌環境基準測定方法により測定した。その結果を表8に示す。
Figure 2014181249
表8から明らかなように、六価クロム、ヒ素、セレン及びホウ素については、実施例9、実施例10及び比較例3とも土壌環境基準を下回り、六価クロム、ヒ素、セレン及びホウ素の溶出を抑制する効果があることが分かった。特に、六価クロム及びホウ素については、実施例9及び10とも土壌環境基準を大きく下回り、六価クロム及びホウ素の溶出を抑制する効果が大きいことが分かった。また、フッ素に関しては、いずれも土壌環境基準の上限値0.8mg/リットルを越えているけれども、比較例3では5.9mg/リットルと多かったのに対し、実施例9及び10ではそれぞれ3.5mg/リットル及び5.0mg/リットルと少なくなった。
<比較試験7及び評価>
実施例9及び10の混合微粉砕物と比較例3の微粉砕石炭とに含まれるフッ素の含有量について蛍光X線による分析を行った。また、実施例9及び10の混合微粉砕物と比較例3の微粉砕石炭を、比較試験5と同様に、微粉炭燃焼炉を用いて燃焼試験を行い、実施例9、実施例10及び比較例3の燃焼灰中のフッ素の含有量について蛍光X線による分析を行った。
上記蛍光X線による分析を行った結果、比較例3の燃焼灰ではその検出限界からフッ素を検出できなかったのに対し、実施例9及び10の燃焼灰では原炭(燃焼用石炭)に含まれるフッ素の含有量に近い値を確認できた。従って、比較例3では、原炭(燃焼用石炭)中のフッ素の含有量は溶出成分として検出できる程度の量が燃焼灰に付着し、その大部分が大気に放出されたものと考えられる。これに対し、実施例9及び10では、フッ素の一部は溶出するけれども、フッ素の大部分は燃焼時に石炭燃焼助剤中の炭酸カルシウムに由来する酸化カルシウムと接触し反応することによって燃焼灰中に固定されたものと考えられる。
<実施例11>
実施例9の混合微粉砕物を微粉炭燃焼炉による燃焼で生成された燃焼灰(FA)80質量%に、水20質量%を加えて混合し、この混合物を0.1MPaの低圧で円板状のタブレット(質量:3g)を成形した。このタブレットを実施例11とした。
<実施例12>
実施例9の混合微粉砕物を実施例10の粉砕混合物に代えたこと以外は、実施例11と同様にしてタブレットを成形した。このタブレットを実施例12とした。
<実施例13>
実施例9の混合微粉砕物を微粉炭燃焼炉による燃焼で生成された燃焼灰(FA)78質量%に、水20質量%とセメント2質量%を加えて混合し、この混合物を0.1MPaの低圧で円板状のタブレット(質量:3g)を成形した。このタブレットを実施例13とした。
<実施例14>
実施例9の混合微粉砕物を実施例10の粉砕混合物に代えたこと以外は、実施例13と同様にしてタブレットを成形した。このタブレットを実施例14とした。
<実施例15>
実施例9の混合微粉砕物を微粉炭燃焼炉による燃焼で生成された燃焼灰(FA)78質量%に、水20質量%とCaO2質量%を加えて混合し、この混合物を0.1MPaの低圧で円板状のタブレット(質量:3g)を成形した。このタブレットを実施例15とした。
<実施例16>
実施例9の混合微粉砕物を実施例10の混合微粉砕物に代えたこと以外は、実施例15と同様にしてタブレットを成形した。このタブレットを実施例16とした。
<比較例4>
実施例9の混合微粉砕物を比較例3の微粉砕石炭に代えたこと以外は、実施例11と同様にしてタブレットを成形した。このタブレットを比較例4とした。
<比較例5>
実施例9の混合微粉砕物を比較例3の微粉砕石炭に代えたこと以外は、実施例13と同様にしてタブレットを成形した。このタブレットを比較例5とした。
<比較例6>
実施例9の混合微粉砕物を比較例3の微粉砕石炭に代えたこと以外は、実施例15と同様にしてタブレットを成形した。このタブレットを比較例6とした。
<比較試験8及び評価>
実施例11〜16及び比較例4〜6のタブレットの強度を圧壊試験機により測定した。この圧壊試験機は、図7に示すように、上下動可能なシリンダ11の下端に球状圧子12を取付けて構成される。この球状圧子12をタブレット13に押込んで、タブレット13にひび割れが生じたときの荷重をタブレット13の強度とした。その結果を図8に示す。
図8から明らかなように、比較例4ではタブレットの強度が0.33kgと低く、自硬性を示さなかったのに対し、実施例11及び12ではタブレットの強度が1.21kg及び0.70kgと高くなって、自硬性を呈した。また、比較例5ではタブレットの強度がセメントの配合によっても0.42kgと低かったのに対し、実施例13及び14ではタブレットの強度が1.68kg及び1.40kgと高くなった。更に、比較例6ではタブレットの強度がCaOの配合によっても約0.83kgと低かったのに対し、実施例15及び16ではタブレットの強度が1.23kg及び1.30kgと高くなった。以上の結果から明らかなように、実施例11〜16の混合微粉砕物の燃焼により得られた燃焼灰では自硬性の付与とともに、セメント又はCaOの貧配合(僅かな配合)で、水和硬化性反応による強度が発現した。
<比較試験9及び評価>
実施例9の混合微粉砕物と比較例3の微粉砕石炭を、微粉炭燃焼炉を用いてそれぞれ燃焼試験を行い、燃焼灰の粒度分布をそれぞれ調べた。その比較例3の微粉砕石炭の燃焼、即ちニューランズ炭(NL炭)のみの燃焼によって得られた燃焼灰の粒度分布を図9に示し、実施例9の混合微粉砕物の燃焼、即ちニューランズ炭(NL炭)と石炭燃焼助剤(NL系CCI)との混合微粉砕物の燃焼によって得られた燃焼灰の粒度分布を図10に示す。
図9から明らかなように、比較例3では、未燃分が7.0%(乾物ベース)であり、平均粒径を約17μmとして、その粒度分布が0.3〜100.5μmと広い範囲に分布したのに対し、図10から明らかなように、実施例9では、未燃分が4.2%(乾物ベース)に減少するとともに、平均粒径を約11μmとして、その粒度分布が0.6〜37.0μmと狭い範囲に分布した。このことから、燃焼灰の微粒子(サブミクロン粒子)の減少は集塵効果の向上に結び付き、粒径の粗粒側から細流側への大きな移行は燃焼灰を有効利用するために燃焼灰の粒度構成を改善できることが分かった。

Claims (6)

  1. 燃焼用石炭に添加するために用いられ、炭酸カルシウムとバイオマスとを含む粉末状の石炭燃焼助剤組成物であって、
    前記炭酸カルシウム100質量部に対して前記バイオマスを10〜25質量部含有する
    ことを特徴とする石炭燃焼助剤組成物。
  2. 燃焼促進用石炭を更に含み、前記炭酸カルシウム及び前記バイオマスの合計量と前記燃焼促進用石炭の量とを質量比で(90:10)〜(25:75)の割合で含有する請求項1記載の石炭燃焼助剤組成物。
  3. 請求項1又は2に記載の粉末状の石炭燃焼助剤組成物を平板状、ブリケット状又は顆粒状に成形してなる石炭燃焼助剤。
  4. 請求項1又は2に記載の粉末状の石炭燃焼助剤組成物を50〜400MPaの圧力で、厚さが15mm以下であって縦及び横又は直径が100mm以下である平板状に、又は30ミリリットル以下のブリケット状に形成されるか、或いはこれらの形成物を粒径20mm以下の顆粒状に解砕して形成された石炭燃焼助剤。
  5. 粒径80mm以下の燃料用石炭90〜95質量%に対して請求項3又は4記載の石炭燃焼助剤を10〜5質量%混合する工程と、
    前記混合物を流動層燃焼炉に供給して燃焼させる工程と
    を含む石炭の燃焼方法。
  6. 粒径80mm以下の燃焼用石炭90〜95質量%に対して請求項3又は4記載の石炭燃焼助剤を10〜5質量%混合し粒径75μm以下のものを70〜80質量%含むように粉砕する工程と、
    前記粉砕された混合物を微粉炭燃焼炉に供給して燃焼させる工程と
    を含む石炭の燃焼方法。
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