JP5941183B1 - 混焼用燃焼助剤の製造方法及びこの燃焼助剤を用いた燃焼用石炭の燃焼方法 - Google Patents

混焼用燃焼助剤の製造方法及びこの燃焼助剤を用いた燃焼用石炭の燃焼方法 Download PDF

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Abstract

【課題】燃焼用石炭の着火性及び燃焼性を的確に向上させ、これにより燃焼灰(フライアッシュ)中に含まれる未燃分を低減して燃焼の効率化を図る。【解決手段】混焼用燃焼助剤は燃焼用石炭と混合して燃焼用石炭の燃焼を支援するために用いられる。また、上記混焼用燃焼助剤は、圧搾して脱水した後解砕したペーパースラッジと石炭粉末とを混合した混合物を所定の長さの棒状に押出し成形した後、この成形物を切断し乾燥して得られたスティック状の乾燥成形物である。【選択図】図1

Description

本発明は、燃焼用石炭の燃焼性を向上させるための混焼用燃焼助剤の製造方法及びこの燃焼助剤を用いた燃焼用石炭の燃焼方法に関する。更に詳しくは圧搾脱水したペーパースラッジと石炭粉末を混合して複合成形(低圧成形を含む。)又は高圧成形した混焼用燃焼助剤の製造方法と、この混焼用燃焼助剤を燃焼用石炭に混合処理又は混合・微粉砕処理を行ってこの燃焼用石炭を燃焼する方法に関するものである。
従来、石炭粉末の燃焼性を向上させるために、石炭粉末単独で燃焼(即ち専焼)させる技術を改良して、石炭粉末とマツ、スギ、カシ等の木材粉末であるバイオマス粉末とを混合して燃焼(即ち混焼)させる技術が開示されている(例えば、非特許文献1参照。)。この非特許文献1には、石炭粉末である微粉炭を微粉炭焚きボイラでバイオマスと混焼する際の方式として、バイオマスを単独で粉砕する単独粉砕方式及びバイオマスと石炭と混合して粉砕する混合粉砕方式が示される。上記単独粉砕方式では、石炭を微粉砕した微粉炭を微粉炭燃焼炉で微粉炭焚きボイラに供給し、同時にバイオマスを細かく粉砕したバイオマス粉末を微粉炭燃焼炉に供給し、更に微粉炭燃焼炉内で微粉炭とバイオマス粉末を混合して燃焼している。また上記混合粉砕方式では、石炭とバイオマスとを混合した後にこれらを粉砕し、微粉炭燃焼炉に供給して燃焼している。上記単独粉砕方式では、バイオマス専用の粉砕機やバーナを設置する必要があるため、追加設備が多くなって、発電所内の動力を増加させる問題点があるのに対し、上記混合粉砕方式では、石炭搬送用コンベヤ上で石炭とバイオマスを混合することにより、既設の微粉炭機や微粉炭バーナを利用できるため、追加設備が少なくて済み、発電所内の動力に与える影響が少ない。
しかしながら、上記混合粉砕方式を用いた混焼技術では、木材と石炭とを微粉炭機で同時に微粉砕しているため、微粉炭機への電力負荷が大きく、木材の混合率を上げられない問題点がある。この混焼技術の改良技術として、石炭を粉砕した石炭粉末と、植物由来のバイオマス原料を炭化処理したバイオマス炭化物粉末と、酢液とを混合して燃焼装置に供給する石炭燃焼方法が開示されている(例えば、特許文献1参照。)。この方法によれば、石炭粉末と、バイオマス炭化物粉末と、酢液とを混焼することによって、石炭の灰成分であるカルシウム、更にはバイオマス炭化物の灰成分であるカルシウムを酢液に溶け込ませ、これらを石炭粉末及びバイオマス炭化物粉末の表面に均一に分散担持させて燃焼触媒活性を呈するようにしている。この特許文献1には、発明の効果として、石炭粉末単独で燃焼(即ち専焼)させた場合よりも燃焼性を向上させることができ、また石炭粉末とバイオマス炭化物粉末とを混合して燃焼(即ち混焼)させた場合よりも燃焼性を向上させることができ、同時に二酸化炭素の排出量の削減を図ることができることが記載されている。
一方、ペーパースラッジと石炭粉末とを混合して燃料とする技術として、製紙スラッジ(ペーパースラッジ)と低質石炭の粉炭(石炭粉末)とを混合することにより作られた固型燃料(例えば、特許文献2参照。)や、ペーパースラッジ等の水分高含有廃棄有機物と石炭粉末等の発熱補助材料とを混合して粉体燃料を作る粉体燃料化方法(例えば、特許文献3参照。)が開示されている。上記特許文献2に示される固型燃料は、低質石炭の粉炭と製紙スラッジとオイルスラッジと消石灰とを混練し、固型化処理して作られる。この固型燃料によれば、消石灰が製紙スラッジ及びオイルスラッジ中の硫黄分と反応してその亜硫酸ガス化を阻止するとともに、投棄により公害源になっていた製紙スラッジを有効利用して、発熱量の低い低質石炭を燃焼させることができる。
また特許文献3に示される粉体燃料化方法では、水分高含有廃棄有機物であるペーパースラッジを乾燥して乾燥廃棄有機物とし、次にミキサーにこの乾燥廃棄有機物を入れるとともに、ポバール等の水溶性熱可塑性樹脂と、上記乾燥廃棄有機物中の残留水分を吸収することで残留水分を除去する石炭粉末などの発熱補助材料とを適当量入れて掻き混ぜることにより粉体燃料化原料を作り、この粉体燃料化原料を更に押出し成形機のホッパーに入れて加熱・加圧・混練してスティック状に押出し成形して短柱状可燃原料とし、更に、短柱状可燃原料を破砕機に入れて微粉末状に破砕することにより粉体燃料を得ている。この粉体燃料化方法によれば、ペーパースラッジ等の水分含有廃棄有機物から水分を強力に除去しかつ臭気を無臭化して、廃棄し燃やしてもダイオキシンが発生しないように高熱エネルギーを保有する粉体燃料を生産することができる。
大野恵美他「微粉炭焚きボイラでのバイオマス利用技術」石川島播磨技報 Vol.44 No.6(2004−11)
特開2013−11377号公報(請求項1、請求項2、段落[0035]) 特開昭55−12117号公報(特許請求の範囲、1頁左欄14行〜同頁右欄17行) 特開2003−138282号公報(請求項1、段落[0003])
しかし、特許文献1に示される石炭燃焼方法は、石炭粉末の燃焼助剤の一つである酢液が強酸性水溶液であるため、酢液を供給する送液ポンプやその配管等を腐食させ易く、また酢液から生じる臭気により作業環境を悪化させ易い問題点があった。
また、特許文献2に示される固型燃料及び特許文献3に示される粉体燃料は、文字通り、それ自体が燃料として利用され、燃焼用石炭の燃焼性を向上させる目的で使用されていない。特許文献2に示される上記固型燃料を仮に燃焼用石炭の燃焼助剤として使用する場合には、上記固型燃料はオイルスラッジと消石灰を必要とし、固型燃料の構成成分が多くなる不具合がある。また、特許文献2に示される固型燃料を構成する製紙スラッジに関して、その含水率やスラッジの形態・サイズがどのようなものでもよく、また低質石炭との配合量も規定されていないため、この固型燃料を燃焼用石炭と混合燃焼させたときに燃焼用石炭の燃焼性を的確に向上させることができない問題点もある。
また、特許文献3に示される上記粉体燃料を仮に燃焼用石炭の燃焼助剤として使用する場合には、上記粉体燃料はポバール等の水溶性熱可塑性樹脂を必要とし、粉体燃料の構成成分が多くなる不具合がある。更に、特許文献3に示される粉体燃料を構成する乾燥廃棄有機物のペーパースラッジに関して、その含水率やスラッジの形態・サイズがどのようなものでもよく、また石炭粉末との配合量も規定されていないため、この粉体燃料を燃焼用石炭と混合燃焼させたときに燃焼用石炭の燃焼性を的確に向上させることができない問題点もある。
本発明の第1の目的は、燃焼用石炭の着火性及び燃焼性を的確に向上させることができ、これにより燃焼灰(フライアッシュ)中に含まれる未燃分を低減して燃焼の効率化を図ることができる、混焼用燃焼助剤の製造方法及びこれを用いた燃焼用石炭の燃焼方法を提供することにある。
本発明の第2の目的は、燃焼用石炭に混合して燃焼したときに、その燃焼性の改善によって低NOxで燃焼することができ、ペーパースラッジ中の炭酸カルシウムが燃焼用石炭中の硫黄分を吸収・反応して効率良く除去でき、これまでの後流処理によるNOx・SOx低減法とは違った、燃焼炉内での処理の可能性を与える、混焼用燃焼助剤の製造方法及びこれを用いた燃焼用石炭の燃焼方法を提供することにある。
本発明の第3の目的は、燃焼用石炭に混合して燃焼したときに、ペーパースラッジ中の炭酸カルシウムが燃焼用石炭中の微量の有害金属成分と反応してこの成分を固定化し、かつその燃焼性の改善によって灰中の未燃分を低減でき、フライアッシュを有効に利用し、その性状及び粒度構成等を改善できる、混焼用燃焼助剤の製造方法及びこれを用いた燃焼用石炭の燃焼方法を提供することにある。
本発明の第4の目的は、製紙排出物のペーパースラッジを混焼用燃焼助剤の形態で原料化することによって、その中に含む主成分のセルロース、リグニン質等の繊維質バイオマス及び合成された炭酸カルシウムが、上記のように燃焼助剤として微粉炭燃焼上の多面的効果をもたらす一方で、ペーパースラッジの2〜3質量%を占めるクリーンなバイオマスの燃焼による熱エネルギーから、高効率的サーマルリサイクルを可能にする、混焼用燃焼助剤の製造方法及びこれを用いた燃焼用石炭の燃焼方法を提供することにある。
本発明の第1の観点は、燃焼用石炭と混合してこの燃焼用石炭の燃焼を支援するための混焼用燃焼助剤の製造方法であって、圧搾して脱水した後解砕したペーパースラッジと石炭粉末とを混合した混合物を所定の長さの棒状に押出し成形した後、この成形物を切断し乾燥して含水率が7〜10%であるスティック状の乾燥成形物を製造し、この乾燥成形物を更にバインダレスで所定の圧力で圧縮成形して板状又はアーモンド状にしてなることを特徴とする。
本発明の第の観点は、平均粒径が50mm以下の燃焼用石炭と第1の観点に記載の方法で製造された混焼用燃焼助剤とを、燃焼用石炭100質量%に対して混焼用燃焼助剤が3〜25質量%の割合となるように混合することにより混合物を調製する工程と、この混合物を流動床炉、循環流動層石炭燃焼炉、移床式石炭燃焼炉、焼却炉又はガス化燃焼炉に供給して燃焼させる工程とを含む燃焼用石炭の燃焼方法である。
本発明の第の観点は、平均粒径が50mm以下の燃焼用石炭と第の観点に記載の方法で製造された混焼用燃焼助剤とを、燃焼用石炭100質量%に対して混焼用燃焼助剤が3〜25質量%の割合となるように混合することにより混合物を調製する工程と、この混合物を流動床炉、循環流動層石炭燃焼炉、移床式石炭燃焼炉、焼却炉又はガス化燃焼炉に供給して燃焼させる工程とを含む燃焼用石炭の燃焼方法である。
本発明の第の観点は、平均粒径が50mm以下の燃焼用石炭と第1の観点に記載の方法で製造された混焼用燃焼助剤とを、燃焼用石炭100質量%に対して混焼用燃焼助剤が3〜25質量%の割合となるように混合することにより混合物を調製する工程と、この混合物を微粉砕することにより混合・微粉砕物を調製する工程と、この混合・微粉砕物を微粉炭燃焼炉に供給して燃焼させる工程とを含む燃焼用石炭の燃焼方法である。
本発明の第の観点は、平均粒径が50mm以下の燃焼用石炭と第の観点に記載の方法で製造された混焼用燃焼助剤とを、燃焼用石炭100質量%に対して混焼用燃焼助剤が3〜25質量%の割合となるように混合することにより混合物を調製する工程と、この混合物を微粉砕することにより混合・微粉砕物を調製する工程と、この混合・微粉砕物を微粉炭燃焼炉に供給して燃焼させる工程とを含む燃焼用石炭の燃焼方法である。なお、本明細書における燃焼用石炭、ペーパースラッジ、合成炭酸カルシウム等の粉末において平均粒径というときには、個数分布に基づく平均粒径をいい、200個の粉末の平均粒径である。
本発明の第1の観点の混焼用燃焼助剤は、圧搾して脱水した後解砕したペーパースラッジと石炭粉末とを混合した混合物を所定の長さの棒状に押出し成形した後、この成形物を切断し乾燥して得られたスティック状の乾燥成形物であるので、この混焼用燃焼助剤の含水率は低くなり、この混焼用燃焼助剤を混合した燃焼用石炭の着火性及び燃焼性を的確に向上させることができる。この結果、燃焼灰(フライアッシュ)中に含まれる未燃分を低減して、混焼用燃焼助剤及び燃焼用石炭の燃焼の効率化を図ることができる。
また、上記ペーパースラッジには、セルロースやリグニン質等の繊維質バイオマス、合成された炭酸カルシウム、カオリン鉱物等が含まれており、乾燥した上記繊維質バイオマスは、含水率が低くかつ揮発分が多いので、この繊維質バイオマスの長炎燃焼(蒸発燃焼)により、揮発分の少ない燃焼用石炭を効率良く混焼できる。この結果、循環流動層石炭燃焼炉等のボイラーの効率化を図ることができるとともに、省エネルギー効果を奏することができる。また、繊維質バイオマスのより完全な熱利用が可能となる、即ち繊維質バイオマスの使用量に見合った熱回収(サーマルリサイクル)が可能となるので、燃焼用石炭の使用量を削減できる。更に、ペーパースラッジに含まれる極微粒な合成炭酸カルシウムに由来する酸化カルシウムが燃焼用石炭中の硫黄分等の有害成分と反応しこの有害成分を固定化して、燃焼用石炭中の有害成分の大気中への放出を抑制できるとともに、上記合成炭酸カルシウムに由来する酸化カルシウムの触媒的作用により、燃焼用石炭の燃焼特性又はガス化特性を向上でき、これにより燃焼灰(フライアッシュ)中に含まれる未燃成分を低減できる。なお、本明細書において『合成炭酸カルシウム』とは、石灰石(CaCO3)を1100℃で焼成して得られる生石灰(CaO)と二酸化炭素(CO2)のうち、前者の生石灰(CaO)を用いた消石灰(Ca(OH)2)懸濁液に二酸化炭素(CO2)を吹き込み、反応させて新たに合成したCaCO3をいう。また、『合成炭酸カルシウム』は、石灰岩から粉砕された重質炭酸カルシウムと区別して、軽質炭酸カルシウム又は沈殿性炭酸カルシウムとも呼ばれることもある。但し、本明細書では、ペーパースラッジに含まれる合成炭酸カルシウムについて記載しているけれども、通常ペーパースラッジには合成炭酸カルシウムの他に重質炭酸カルシウムも含まれるため、ペーパースラッジ中の炭酸カルシウムは、合成炭酸カルシウム、又は重質炭酸カルシウム、或いは合成炭酸カルシウム及び重質炭酸カルシウムの双方であってもよい。
更に、本発明の第の観点の混焼用燃焼助剤は、乾燥成形物の含水率が7〜10%であって、この乾燥成形物を更にバインダレスで所定の圧力で圧縮成形して板状又はアーモンド状にしてなるので、一定の品質、形状及び寸法に形成でき、輸送やハンドリング等に耐え得る強度とその微粉砕性から、微粉炭火力発電所の既設粉砕設備で燃焼用石炭との混合微粉砕を経て直接的にバーナー燃焼炉への供給が可能となる。この混焼用燃焼助剤は、全国広く数多くの製紙工場から大量に排出される産業廃棄物のペーパースラッジの高次リサイクルを可能にする。
本発明の第の観点の燃焼用石炭の燃焼方法では、平均粒径が50mm以下の燃焼用石炭と第1の観点に記載の方法で製造された混焼用燃焼助剤とを、燃焼用石炭100質量%に対して混焼用燃焼助剤が3〜25質量%の割合となるように混合することにより混合物を調製し、この混合物を循環流動層石炭燃焼炉等に供給して燃焼させるので、排ガス中のNOxを低減した状態で燃焼用石炭を燃焼することができ、燃焼用石炭から硫黄分をペーパースラッジ中の炭酸カルシウムが吸収・反応して効率良く除去でき、これまでの後流処理によるNOx及びSOxの低減法とは違った燃焼炉内処理の可能性を与える。また、この燃焼方法では、混焼用燃焼助剤を燃焼用石炭に混合して燃焼したときに、ペーパースラッジ中の炭酸カルシウムが燃焼用石炭中の微量の有害金属成分と反応してこの成分を固定化し、かつその燃焼性の改善によって燃焼灰(フライアッシュ)中の未燃分を低減でき、燃焼灰(フライアッシュ)を有効に利用し、その性状及び粒度構成等を改善できる。更に、循環流動層石炭燃焼炉での混焼(燃焼温度850℃程度)時に、燃焼灰(フライアッシュ)の低温焼結及び粗粒化で高温サイクロンによる粗いサイクロン灰を効率良く捕集でき、低温燃焼の燃焼灰(フライアッシュ)へのポゾラン反応性を促進できる。ここで、ポゾラン反応とは、燃焼灰(フライアッシュ)をセメントに混合して水を加えたときに、燃焼灰(フライアッシュ)に含まれる二酸化ケイ素がセメントの水和反応によって生じた水酸化カルシウムと反応し、緻密で耐久性に優れたケイ酸カルシウムの水和物が発生する反応をいう。
本発明の第の観点の燃焼用石炭の燃焼方法では、平均粒径が50mm以下の燃焼用石炭と第の観点に記載の方法で製造された混焼用燃焼助剤とを、燃焼用石炭100質量%に対して混焼用燃焼助剤が3〜25質量%の割合となるように混合することにより混合物を調製し、この混合物を循環流動層石炭燃焼炉等に供給して燃焼させるので、上記第3の観点の燃焼方法による効果に加えて、上記第2の観点の燃焼方法による効果が得られる。
本発明の第の観点の燃焼用石炭の燃焼方法では、平均粒径が50mm以下の燃焼用石炭と第1の観点に記載の方法で製造された混焼用燃焼助剤とを、燃焼用石炭100質量%に対して混焼用燃焼助剤が3〜25質量%の割合となるように混合することにより混合物を調製し、この混合物を微粉砕することにより混合・微粉砕物を調製し、更にこの混合・微粉砕物を微粉炭燃焼炉に供給して燃焼させるので、混焼用燃焼助剤を難燃性の燃焼用石炭と混合し微粉砕するときに、微粉炭中に均一に分散した状態で燃焼炉に供給される。この結果、微粉炭燃焼炉内での混合・微粉砕物による複合燃焼場が形成され、この燃焼場での燃焼用石炭の微粒子(微粉炭)と混焼用燃焼助剤の組成物由来の微粒子との間の相互作用によって、燃焼用石炭の微粒子(微粉炭)のみの燃焼では期待できない、微粉炭燃焼炉内での燃焼性を改善できるとともに、排ガス中のNOx及びSOxを低減できる。また、微粉炭燃焼炉における混焼(燃焼温度1450℃程度)時に、炭酸カルシウムとともに加わる新たな鉱物学的組成により、燃焼灰(フライアッシュ)の性状及び粒度構成を改善できるとともに、上記鉱物学的組成による高温の燃焼灰(フライアッシュ)へのポゾラン反応性を促進できる。
本発明の第の観点の燃焼用石炭の燃焼方法では、平均粒径が50mm以下の燃焼用石炭と第の観点に記載の方法で製造された混焼用燃焼助剤とを、燃焼用石炭100質量%に対して混焼用燃焼助剤が3〜25質量%の割合となるように混合することにより混合物を調製し、この混合物を微粉砕することにより混合・微粉砕物を調製し、更にこの混合・微粉砕物を微粉炭燃焼炉に供給して燃焼させるので、上記第5の観点の燃焼方法による効果に加えて、上記第4の観点の燃焼方法による効果が得られる。
本発明実施形態の混焼用燃焼助剤を製造する工程と、この燃焼助剤を用いて燃焼用石炭を燃焼する工程を示すフローチャートである。 循環流動層石炭燃焼炉の概略図である。 小型微粉炭燃焼炉の概略図である。 実施例1の混合成形物、比較例1のペーパースラッジ及び比較例2のKCM炭の時間経過に対する含水率の変化を示す図である。 実施例4〜6の混合燃料の混焼及び比較例3の単一燃料の燃焼による排ガス中のSOx濃度及び脱硫率を示す図である。 実施例4〜6の混合燃料の混焼及び比較例3の単一燃料の燃焼による排ガス中のNOx濃度を示す図である。 (a)は実施例4の混合燃料の混焼及び比較例3の単一燃料の燃焼により得られたバグ灰の粒径分布を示す図であり、(b)は実施例4の混合燃料の混焼及び比較例3の単一燃料の燃焼により得られたサイクロン灰の粒径分布を示す図である。 (a)は実施例6の混合燃料の混焼及び比較例3の単一燃料の燃焼により得られたバグ灰の粒径分布を示す図であり、(b)は実施例6の混合燃料の混焼及び比較例3の単一燃料の燃焼により得られたサイクロン灰の粒径分布を示す図である。 実施例4〜6の混合燃料の混焼及び比較例3の単一燃料の燃焼により得られたサイクロン灰の顕微鏡写真図である。 実施例4〜6の混合燃料の混焼及び比較例3の単一燃料の燃焼により得られたサイクロン灰及びバグ灰を用いたセメント硬化体の圧壊強度を示す図である。 実施例7及び8の微粉砕混合燃料の混焼及び比較例4の微粉砕単一燃料の燃焼による排ガス中のNOx濃度を示す図である。 実施例7の微粉砕混合燃料の混焼及び比較例4の微粉砕単一燃料の燃焼により得られた燃焼灰の粒径分布を示す図である。 実施例7及び8の微粉砕混合燃料の混焼及び比較例4の微粉砕単一燃料の燃焼により得られた燃焼灰を用いたセメント硬化体の圧壊強度を示す図である。
次に本発明を実施するための形態を図面に基づいて説明する。
本発明の混焼用燃焼助剤は、燃焼用石炭と混合してこの燃焼用石炭の燃焼を支援するために用いられる。また、本発明の混焼用燃焼助剤は、ペーパースラッジと石炭粉末とを混合して棒状に押出し成形した後、この成形物を切断し乾燥処理したスティック状の乾燥成形物である。
<ペーパースラッジ及び原料ペーパースラッジの特性>
本発明のペーパースラッジは、製紙工程から排出される濃度4〜8%のスラリーを2.5〜4.0MPaの圧力で圧搾して脱水処理した含水率45〜60%の圧搾成形物である。また、原料ペーパースラッジは、製紙工程で使用される原料パルプ毎に異なるが、スラッジ全体を100質量%とするときに、セルロース・リグニン質繊維25〜50質量%、合成炭酸カルシウム25〜35質量%、カオリン鉱物等15〜25質量%を含有する。即ち、本発明のペーパースラッジは、木質繊維を多く含むとともに、それと電気的に結合した炭酸カルシウムやカオリン鉱物(カオリナイト粘土鉱物)等の微粒子の集合体である。乾燥前のペーパースラッジは含水率の高い有機スラッジであるけれども、一般の有機汚泥に比して低温領域(例えば25〜50℃)での乾燥特性、即ち風乾特性に優れるとともに、後述する本発明の混焼用燃焼助剤の原料としての特性を有する。
<石炭粉末>
本発明の混焼用燃焼助剤に含まれる石炭粉末に用いられる炭種としては、国内外炭の燃料比(工業分析:固定炭素/揮発分)が1.0前後である亜瀝青や瀝青炭であることが好ましく、炭質的には、ガス化反応性と深く係る燃焼性に優れ、低灰分、低硫黄分の比較的良質な非粘結性の石炭であることが望ましい。この炭質に該当する石炭としては、国内唯一の坑内生産の釧路コールマイン炭(以下、KCM炭という)があり、海外炭では、このような炭種は価格的及び量的に確保が難しくなる状況にある。その中で、上記の炭種に代わって調達の容易な石炭として、燃料比が1.5〜2.0程度の海外一般炭について、難燃性の燃焼用石炭の燃焼を支援するための混焼用燃焼助剤の原料として使用可能である。特に、上記KCM炭は、燃焼性の硫黄分が極めて少ない上に、循環流動層石炭燃焼炉等における高いボイラー効率化を図ることができるとともに、優れたガス化特性を有する石炭である。また、石炭粉末は、上記石炭をハンマーミル等の微粉炭機で平均粒径が2.0mm以下になるように粉砕し、また風乾又は加熱乾燥して含水率を5〜10%に調整することにより得られる。石炭粉末の平均粒径が2.0mmを超えると、ペーパースラッジと石炭粉末とを混合し高圧成形した成形物の圧壊強度が所望の値より低くなり、貯蔵、ハンドリング、輸送等に耐えられない。また含水率が5%未満であるか或いは10%を超えると、成形物の圧壊強度が所望の値より低くなり、貯蔵、ハンドリング、輸送等に耐えられない。
<ペーパースラッジと石炭粉末の複合成形物からなる混焼用燃焼助剤1>
上記ペーパースラッジと上記石炭粉末を、ペーパースラッジ:石炭粉末を質量比で(4:6)〜(6:4)の範囲内で混合して混合物を調製し、この混合物を直径5〜30mmの棒状に押出し成形した後に、長さ10〜30mmに切断し乾燥してスティック状の乾燥成形物を作製する。これにより混焼用燃焼助剤1が得られる。上記乾燥したスティック状の乾燥成形物の含水率は、7〜10%の範囲内であることが好ましい。また、上記乾燥したスティック状の乾燥成形物を、バインダレスでダイスにより低圧成形することにより、直径5〜10mmのペレット状に形成してもよい。ここで、ペーパースラッジ:石炭粉末を質量比で(4:6)〜(6:4)の範囲内に限定したのは、混焼用燃焼助剤中の原料の種類や、混焼用燃焼助剤の使用目的等によって適宜配合比が設定される。また、スティック状の乾燥成形物の含水率を7〜10%の範囲内に限定したのは、7%未満では混焼用燃焼助剤1の圧壊強度が所望の値より低くなり、貯蔵、ハンドリング、輸送等に耐えられず、10%を超えると混焼用燃焼助剤としての効果、即ち燃焼用石炭の燃焼性を向上させる効果が低下するからである。
<混焼用燃焼助剤1の特性>
上記混焼用燃焼助剤1は含水率が低くなり、この混焼用燃焼助剤1を混合した燃焼用石炭の着火性及び燃焼性を的確に向上させることができる。この結果、燃焼灰(フライアッシュ)中に含まれる未燃分を低減して、混焼用燃焼助剤及び燃焼用石炭の燃焼の効率化を図ることができる。また、混焼用燃焼助剤1中のペーパースラッジに含まれる繊維質バイオマスは、含水率が低くかつ揮発分が多いので、この繊維質バイオマスの長炎燃焼(蒸発燃焼)により、揮発分の少ない燃焼用石炭を効率良く混焼できる。この結果、循環流動層石炭燃焼炉等のボイラーの効率化を図ることができるとともに、省エネルギー効果を奏することができる。また、繊維質バイオマスのより完全な熱利用が可能となる、即ち繊維質バイオマスの使用量に見合った熱回収(サーマルリサイクル)が可能となるので、燃焼用石炭の使用量を削減できる。更に、ペーパースラッジに含まれる極微粒な合成炭酸カルシウムに由来する酸化カルシウムが燃焼用石炭中の硫黄分等の有害成分と反応しこの有害成分を固定化して、燃焼用石炭中の有害成分の大気中への放出を抑制できるとともに、上記合成炭酸カルシウムに由来する酸化カルシウムの触媒的作用により、燃焼用石炭の燃焼特性又はガス化特性を向上でき、これにより燃焼灰(フライアッシュ)中に含まれる未燃成分を低減できる。
<ペーパースラッジと石炭粉末の高圧成形物からなる混焼用燃焼助剤2>
上記乾燥したスティック状の乾燥成形物を、バインダレスでダブルロール成形機を用いて3〜5トン/cmの圧力(線圧)で板状又はブリケット状に連続的に高圧成形する。これにより乾燥成形物が高圧複合造粒されて混焼用燃焼助剤2が得られる。この高圧成形特性の一つは、高い生産性で製造し得る点にある。また、押出し成形により既に圧密化された乾燥成形物は、高圧造粒過程での高圧下において良好な脱気状態を維持しながら、更なる圧密化が進み、その中に含有する木質繊維が成形物の強化材として大きく作用して、その圧壊強度が向上するとともに、耐水性も向上する。ここで、高圧成形の圧力が3トン/cm未満では成形物に所望の強度が得られず、輸送時やハンドリング時に成形物が崩れやすくなる。また高圧成形の圧力が5トン/cmを超えても成形物の強度はそれ程増大しない。
<混焼用燃焼助剤2の特性>
上記混焼用燃焼助剤2は、一定の品質、形状及び寸法に形成でき、輸送やハンドリング等に耐え得る強度とその微粉砕性から、微粉炭火力発電所の既設粉砕設備で燃焼用石炭との混合微粉砕を経て直接的にバーナー燃焼炉への供給が可能となる。また、混焼用燃焼助剤2は、全国広く数多くの製紙工場から大量に排出される産業廃棄物のペーパースラッジの高次リサイクルを可能にする。
<燃焼用石炭の燃焼方法>
[1] 混焼用燃焼助剤1と燃焼用石炭との混合物の燃焼方法(図1)
平均粒径が50mm以下の燃焼用石炭と、スティック状又はペレット状の混焼用燃焼助剤1とを、燃焼用石炭100質量%に対して混焼用燃焼助剤1が3〜25質量%の割合となるように混合することにより混合物を調製する。そして、この混合物を流動床炉、循環流動層石炭燃焼炉、移床式石炭燃焼炉、焼却炉又はガス化燃焼炉に供給して燃焼させる。これにより排ガス中のNOxを低減した状態で燃焼用石炭を燃焼することができ、燃焼用石炭から硫黄分をペーパースラッジ中の炭酸カルシウムが吸収・反応して効率良く除去でき、これまでの後流処理によるNOx及びSOxの低減法とは違った、効率的な燃焼炉内処理が可能である。また、この燃焼方法では、混焼用燃焼助剤を燃焼用石炭に混合して燃焼したときに、ペーパースラッジ中の炭酸カルシウム由来の酸化カルシウムが燃焼用石炭中の微量の有害金属成分と反応してこの成分を固定化し、かつその燃焼性の改善によって燃焼灰(フライアッシュ)中の未燃分を低減でき、燃焼灰(フライアッシュ)を有効に利用し、その性状及び粒度構成等を改善できる。更に、循環流動層石炭燃焼炉での混焼(燃焼温度850℃程度)時に、燃焼灰(フライアッシュ)の低温焼結及び粗粒化で高温サイクロンによる粗いサイクロン灰を効率良く捕集でき、低温燃焼の燃焼灰(フライアッシュ)へのポゾラン反応性を促進できる。ここで、混焼用燃焼助剤1が3質量%未満であると、混合混焼用燃焼助剤によるガス化性能改効果がこの燃焼助剤中のバイオマスや炭酸カルシウム等の多少によって左右され、複合ガス化場での相互作用によるガス化反応性が低下するとともに、燃焼灰の溶融点が上昇してしまい、ガス化性能が低下してしまう。また、混焼用燃焼助剤1を難燃性の燃焼用石炭100質量%に対して10質量%であるとき所期の着火性や燃焼性を改善できるけれども、混焼用燃焼助剤1が25質量%を超えると、経済性に見合うだけのガス化性能の改善効果を期待できない。
なお、流動床炉とは、加圧した空気を下から上に向けて吹上げる等して流動化させた高温の砂の中で燃料を燃やす仕組みの炉である。また、図2に示すように、循環流動層石炭燃焼炉10とは、燃焼炉本体13と1次サイクロン11とループシール14とを備え、高速のガス流に伴い流動子(微粒アルミナ等)17が燃料16とともに燃焼炉本体13と1次サイクロン11とループシール14との間を循環し、この循環中に燃料16が燃焼する仕組みの炉である。また、流動子(微粒アルミナ等)17は1次サイクロン11からその自重によりループシール14内に下降して炉内を循環し、排ガスは1次サイクロン11の上端から排出されて2次サイクロン12に流入する。そして、排ガス中の比較的重い灰(サイクロン灰)は2次サイクロン12で捕集され、この2次サイクロン12の上端から排出された排ガスはガスクーラ18及びバグフィルター19を通ってブロワ21により大気中に排出される。なお、バグフィルター19により比較的軽い灰(バグ灰)が捕集される。また、図2中の符号22は燃料16を貯留するホッパーであり、符号23は予熱器である。また、移床(ストーカ)式石炭燃焼炉とは、階段状の火格子であるストーカの上で、燃料を移動させながら燃焼させる炉である。また、焼却炉としては、大型・中型の各種焼却炉が挙げられる。更に、ガス化燃焼炉とは、1次炉で燃料の一部を燃焼させて可燃ガスを生成し、2次炉で可燃ガスを燃焼させるように構成された炉である。
[2] 混焼用燃焼助剤2と燃焼用石炭との混合物の燃焼方法(図1)
平均粒径が50mm以下の燃焼用石炭と混焼用燃焼助剤2とを、燃焼用石炭100質量%に対して混焼用燃焼助剤2が3〜25質量%の割合となるように混合することにより混合物を調製する。そして、この混合物を流動床炉、循環流動層石炭燃焼炉、移床式石炭燃焼炉、焼却炉又はガス化燃焼炉に供給して燃焼させる。これにより上記[1]の混焼用燃焼助剤1と燃焼用石炭との混合物の燃焼方法による効果がえられる。また、混焼用燃焼助剤2は、一定の品質、形状及び寸法に成形でき、輸送やハンドリング等に耐え得る強度とその微粉砕性から、微粉炭火力発電所の既設粉砕設備で燃焼用石炭との混合微粉砕を経て直接的にバーナー燃焼炉への供給が可能となる。ここで、燃焼用石炭100質量%に対して混焼用燃焼助剤2を3〜25質量%の範囲内に限定したのは、燃焼用石炭100質量%に対して混焼用燃焼助剤1を3〜25質量%の範囲内に限定した理由と同一である。
[3] 混焼用燃焼助剤1と燃焼用石炭との混合・微粉砕物の燃焼方法(図1)
平均粒径が50mm以下の燃焼用石炭と混焼用燃焼助剤1とを、燃焼用石炭100質量%に対して混焼用燃焼助剤が3〜25質量%の割合となるように混合することにより混合物を調製し、この混合物を微粉砕することにより混合・微粉砕物を調製する。そして、この混合・微粉砕物を微粉炭燃焼炉に供給して燃焼させる。これにより、混焼用燃焼助剤1を難燃性の燃焼用石炭と混合し微粉砕するときに、微粉炭中に均一に分散した状態で燃焼炉に供給される。この結果、微粉炭燃焼炉内での混合・微粉砕物による複合燃焼場が形成され、この燃焼場での燃焼用石炭の微粒子(微粉炭)と混焼用燃焼助剤1の組成物由来の微粒子との間の相互作用によって、燃焼用石炭の微粒子(微粉炭)のみの燃焼では期待できない、微粉炭燃焼炉内での燃焼性を改善できるとともに、排ガス中のNOx及びSOxを低減できる。また、微粉炭燃焼炉における混焼(燃焼温度1450℃)時に、炭酸カルシウムとともに加わる新たな鉱物学的組成により、燃焼灰(フライアッシュ)の性状及び粒度構成を改善できるとともに、上記鉱物学的組成による高温の燃焼灰(フライアッシュ)へのポゾラン反応性を促進できる。なお、図3に示すように、微粉炭燃焼炉40とは、微粉炭燃料(混合・微粉砕物)41を空気とともに燃焼筒42内に供給してバーナー43により燃焼させる炉である。予熱器(図示せず)により加熱された1次空気は燃焼筒42の上端から微粉炭燃料(混合・微粉砕物)41とともに供給され、予熱器44により加熱された2次空気は燃焼筒42の上部に供給され、更に予熱器46により加熱された2段燃焼空気は燃焼筒42の上部及び中央部に供給される。これにより比較的高い温度で微粉炭燃料(混合・微粉砕物)41が燃焼するように構成される。図3中の符号47は微粉炭燃料(混合・微粉砕物)41を貯留するホッパーであり、符号48はサイクロンである。また、図3中の符号49はバグフィルターであり、符号51は複数の搬送空気導入口である。
[4] 混焼用燃焼助剤2と燃焼用石炭との混合・微粉砕物の燃焼方法(図1)
平均粒径が50mm以下の燃焼用石炭と混焼用燃焼助剤2とを、燃焼用石炭100質量%に対して混焼用燃焼助剤が3〜25質量%の割合となるように混合することにより混合物を調製し、この混合物を微粉砕することにより混合・微粉砕物を調製する。そして、この混合・微粉砕物を微粉炭燃焼炉に供給して燃焼させる。これにより、上記[3]の燃焼方法による効果に加えて、上記[2]の燃焼方法による効果が得られる。
以下、本発明の実施例を比較例とともに示す。なお、本発明はこれらの実施例に限定されない。
初めに、実施例及び比較例で使用する製紙工場別のペーパースラッジの成分組成を表1に、また石炭の種類とその乾燥後の成分組成・性状を表2にそれぞれ示す。なお、表1中のPSはペーパースラッジである。
表1において、「乾燥前の含水率(%)」は、製紙工程からの排出スラリーを圧縮脱水したときのペーパースラッジの含水率をいう。また「乾燥後の繊維質(質量%)」は、上記圧縮脱水物について105℃で乾燥し、その乾燥物を酸化雰囲気下で500℃で加熱処理し、そのときの減量分を繊維質(セルロース、リグニン質)の質量%として算出して得た値である。また「乾燥後の炭酸カルシウム(質量%)」は、上記500℃で加熱したものを更に900℃で加熱処理し、そのときの減量を炭酸カルシウム(CaCO3)から分解したCO2と見なして、CaO及びCO2の原子量比から炭酸カルシウムの質量%を算出して得た値である。更に「その他無機質(質量%)」は、上記繊維質と上記炭酸カルシウムを全組成100質量%から減じた残りとして算出して得た値である。なお、「その他無機質」の鉱物組成としては、主にカオリナイトをX線回折で同定した。
表2において、「豪州炭A」は、オーストラリア産の一般炭であり、揮発分が低い上に、燃焼硫黄及び窒素分がともに高く、また膨張性及び弱粘結性を有するため、難燃焼性石炭に属する。これに対し、釧路コールマイン産の「KCM炭」及びオーストラリア産の「豪州炭B」は、いずれも揮発分が高く、非燃結性を有するため、燃焼し易い石炭に属し、特に「KCM炭」は、極めて硫黄分が少なく、燃焼に優れる石炭である。また「工業分析」は、JIS規格に基づく分析値であり、燃料比は、固定炭素/揮発分(無水無灰基(dry ash free basis))で測定した値である。
<実施例1>
先ず、表1に示す2種類のペーパースラッジ(平均粒径:10mm以下)と、表2に示す3種類の石炭粉末(平均粒径2mm以下)とを用意した。次いで、上記ペーパースラッジと石炭粉末とを、質量比(乾燥ベース)が1:1となるように配合した。次に、上記ペーパースラッジを解しながら混合して混合物を調製した。更に、直径5mmのペレット状のダイスを複数個有する押し出し成形機を用いて、上記混合物をペレット状に成形し、ペレット状の混合成形物を得た。このペレット状の混合成形物を実施例1とした。
<比較例1及び2>
上記B製紙工場から排出されたペーパースラッジ(平均粒径:10mm以下)を比較例1とし、上記石炭粉末のうちKCM炭(平均粒径2mm以下)を比較例2とした。
<試験1及び評価>
実施例1のペレット状の混合成形物と、比較例1のペーパースラッジと、比較例2の石炭粉末について、乾燥特性を測定した。具体的には、先ず、実施例1のペレット状の混合成形物を1個(5g)と、比較例1のペーパースラッジ及び比較例2の石炭粉末を5gずつ用意した。次に、これらを乾燥測定器で室温から105℃に到達するまで加熱したときの含水率(%)と乾燥時間の関係から、実施例1の混合成形物、比較例1のペーパースラッジ及び比較例2の石炭粉末の含水率についてそれぞれ測定した。その結果を図4に示す。なお、図4には、3回ずつ上記試験を行い、得られた3回のデータの平均値を示している。
図4から明らかなように、実施例1の混合成形物は、室温から加熱して、含水率が約10%までの定率乾燥を経て、目標とする含水率8.0%の減率乾燥までは、比較例1のペーパースラッジとほぼ同じ乾燥速度を示した。これは、ペーパースラッジの乾燥速度がその成形圧密化による影響は受けないことを意味する。従って、実施例1の混合成形物の乾燥特性は、ペーパースラッジの有効利用、特に高次リサイクルに向けた原料化前処理のためのハンドリング・設備等に係る乾燥コストの大幅な低減をもたらす点で極めて重要な知見である。また、実施例1の混合成形物の乾燥特性によって、ペーパースラッジに含まれる繊維質も乾燥によるクリーンな木質バイオマスエネルギーとして、その高効率的なサーマルリサイクルが可能になる。なお、ペレット状の混合成形物を実施例1としたが、厳密には、乾燥後の混合成形物、即ち乾燥成形物(混焼用燃焼助剤)が実施例1となる。
<実施例2>
直径5mmのダイスを複数個有する押し出し成形機を用いて、実施例1の混合物をスティック状に成形することにより、ペレット状の混合成形物を作製した後に、この混合成形物を振動コンベア上に載せて所定距離(2.0m)だけ振動コンベア上を通過させ、更にペレット状の混合成形物とこの混合成形物の一部が砕けた破片をそのままオーブンで乾燥して、混焼用燃焼助剤を得た。この混焼用燃焼助剤を実施例2とした。
<試験2及び評価>
実施例2のスティック状の乾燥成形物からなる混焼用燃焼助剤と、上記振動コンベア上で混合成形物の一部が砕けた破片の乾燥物(粉化物)を、目開きが2.0mm、1.0mm、0.5mm及び0.25mmである篩で、振動機により5分間篩った後に粒径を計測した。その結果を表3に示す。
表3から明らかなように、0.25mm以下の粉化物が1.0%以下と極めて少なく、通常のハンドリング、貯蔵、輸送等に耐え得る強度を有し、特に実施例2のスティック状の混焼用燃焼助剤は木質バイオマスを多く含有するにも拘らず、耐湿性及び耐水性に優れる。従って、実施例2のスティック状の乾燥成形物は、そのまま、流動層、ストーカ式等の石炭混焼用燃焼助剤として使用する上での強度等を有することが分かった。
<実施例3>
実施例2のスティック状の乾燥成形物をバインダレスでそのまま、ダブルロール式成形機により連続的に圧縮成形(線圧:3〜4トン/cm)して、板状の混焼用燃焼助剤を得た。この板状の混焼用燃焼助剤を実施例3とした。なお、上記ダブルロール式成形機の板状のキャビティの内容積は約1.0ccであった。
<実施例4>
実施例2のスティック状の乾燥成形物をバインダレスでそのまま、ダブルロール式成形機により連続的に圧縮成形(線圧:3〜4トン/cm)して、アーモンド状の混焼用燃焼助剤を得た。このアーモンド状の混焼用燃焼助剤を実施例3とした。なお、上記ダブルロール式成形機のアーモンド状のキャビティの内容積は約6.0ccであった。
<試験3及び評価>
実施例3及び4の混焼用燃焼助剤の圧壊強度をそれぞれ測定した。具体的には、実施例3及び4の混焼用燃焼助剤をそれぞれ10個ずつ用意し、これらの各表面中心に鋼鉄製の球状圧子を押し込み、タブレットが破壊したときの荷重を圧壊強度とした。
その結果、実施例3の板状の混焼用燃焼助剤の圧壊強度は40〜50kgであり、実施例4のアーモンド状の混焼用燃焼助剤の圧壊強度は100〜120kgであった。従って、板状の混焼用燃焼助剤及びアーモンド状の混焼用燃焼助剤は、実用に供する上での貯蔵、ハンドリング・輸送等に十分に耐え得るだけの強度を有することが分かった。
<実施例4>
先ず、表1のA製紙工場から排出されたペーパースラッジ(平均粒径:10mm以下)と、表2のKCM炭(平均粒径2mm以下)とを、質量比(乾燥ベース)が1:1となるように配合し、上記ペーパースラッジを解しながら混合して混合物を調製した。次いで、直径5mmのペレット状のダイスを複数個有する押し出し成形機を用いて、上記混合物をペレット状に成形し、ペレット状の混合成形物を作製した。次に、この混合成形物をオーブンで含水率が7〜8%になるように乾燥して乾燥成形物を作製した後に、ダブルロール式高圧成形機により圧縮成形(線圧:3〜4トン/cm)して板状の圧縮成形物からなる混焼用燃焼助剤を得た。この混焼用燃焼助剤を表2の豪州炭A(平均粒径5mm以下)に質量比で1:9となるように混合した。この混合燃料を実施例4とした。
<実施例5>
先ず、表1のA製紙工場から排出されたペーパースラッジ(平均粒径:10mm以下)と、表2の豪州炭B(平均粒径2mm以下)とを、質量比(乾燥ベース)が1:1となるように配合したこと以外は、実施例4と同様にして板状の圧縮成形物からなる混焼用燃焼助剤を得た。この混焼用燃焼助剤を表2の豪州炭A(平均粒径5mm以下)%に質量比で1:9となるように混合した。この混合燃料を実施例5とした。
<実施例6>
先ず、表1のA製紙工場から排出されたペーパースラッジ(平均粒径:10mm以下)と、表2の豪州炭A(平均粒径2mm以下)とを、質量比(乾燥ベース)が1:1となるように配合したこと以外は、実施例4と同様にして板状の圧縮成形物からなる混焼用燃焼助剤を得た。この混焼用燃焼助剤を表2の豪州炭A(平均粒径5mm以下)%に質量比で1:9となるように混合した。この混合燃料を実施例6とした。
<比較例3>
混焼用燃焼助剤を混合せずに、表2の豪州炭A粉末(平均粒径5mm以下)のみを用いて燃料とした。この単一燃料を比較例3とした。
<試験4及び評価>
実施例4〜6の混合燃料と比較例3の単一燃料について燃焼試験を行った。この燃焼試験では、図2に示す循環流動層石炭燃焼炉10において、定点温度を850〜860℃の範囲に維持し、排ガス中の酸素濃度を3〜4%の範囲に維持した条件下で供給した燃料16を流動子(微粒アルミナ)17とともに、燃焼炉本体13、1次サイクロン11及びループシール14を通して循環させ、安定した燃焼が維持できる状態で、1時間当たりの給炭量を測定した。その結果を表4に示す。なお、排ガス中の酸素濃度は、2次サイクロン12から排出された排ガスが流入するガスクーラ18と、このガスクーラ18を通過した排ガスが流入するバグフィルター19との間の排気管から抽出して酸素濃度分析器により分析した。また、表4中のPSはペーパースラッジである。
表4から明らかなように、燃焼用石炭に混焼用燃焼助剤(0%)を混合せずに燃焼用石炭のみを用いた比較例3の単一燃料では、同一燃焼維持に要する燃料の給炭量が4.8kg/時と多かったのに対し、燃焼用石炭に混焼用燃焼助剤(10%)を混合した実施例4〜6の混合燃料では、同一燃焼維持に要する燃料の給炭量が2.55〜2.78kg/時と大幅に低減した。これは、各燃料からの熱発生量の多少とは関係なく、また直接的な省エネルギーを意味するものでもなく、実施例4〜6の混合燃料では、循環流動層石炭燃焼炉の燃焼メカニズムにマッチした燃焼特性が、ペーパースラッジを原料とした混焼用燃焼助剤と燃焼用石炭との混合や、その混焼方法によってもたらされたものと考えられる。
<試験5及び評価>
上記試験4と同様に、実施例4〜6の混合燃料と比較例3の単一燃料について燃焼試験を行った。この燃焼試験では、図2に示す循環流動層石炭燃焼炉10において、定点温度を850〜860℃の範囲に維持し、排ガス中の酸素濃度を3〜4%の範囲に維持した条件下で供給した燃料16を流動子(微粒アルミナ)17とともに、燃焼炉本体13、1次サイクロン11及びループシール14を通して循環させ、循環流動層石炭燃焼炉10の循環燃焼系外に排出される排ガス中のSOx濃度及びNOx濃度を測定した。具体的には、1次サイクロン11から排出されて、2次サイクロン12、ガスクーラ18及びバグフィルター19を通過した排ガス中のSOx濃度及びNOx濃度を測定した。それらの結果を図5及び図6に示す。なお、排ガス中の酸素濃度は、2次サイクロン12から排出された排ガスが流入するガスクーラ18と、このガスクーラ18を通過した排ガスが流入するバグフィルター19との間の排気管から抽出して分析した。また、表4中のPSはペーパースラッジである。
燃焼用石炭に混焼用燃焼助剤(0%)を混合せずに、燃焼用石炭のみを用い、かつ燃焼性硫黄分が0.48質量%(dry ash free)と多い豪州炭Aを用いた比較例3では、排ガス中のSO2濃度が370体積ppmと多かった。図5から明らかなように、燃焼性硫黄分が0.48質量%(dry ash free)と多い豪州炭Aを用いても、燃焼用石炭に混焼用燃焼助剤(10%)を混合した実施例4〜6では、排ガス中のSO2濃度が低下し、比較例3の脱硫率を基準(0%)としたときに、脱硫率が55〜69%に向上した。また、このとき燃料中の硫黄とカルシウムの比のCa/S値は、比較例3では0.2と小さかったのに対し、実施例4〜6では1.6〜2.2と大きくなった。このような脱硫効果は、排ガス中のSO2が混焼用燃焼助剤中において微粒であることと、反応性の高い合成炭酸カルシウムとの反応・固定化により奏したものと考えられる、即ちペーパースラッジの原料組成を生かした混焼用燃焼助剤の燃料用石炭との混焼によってもたらされたものと考えられる。
一方、図6から明らかなように、燃焼用石炭に混焼用燃焼助剤(0%)を混合せずに、燃焼用石炭のみを用いた比較例3では、排ガス中のNOx濃度が170ppm(酸素6%換算:140〜160ppm)であったのに対し、燃焼用石炭に混焼用燃焼助剤(10%)を混合した実施例4〜6では、排ガス中のNOx濃度が170〜220ppm(酸素濃度6%換算:160〜200ppm)と比較例3より若干増大した。このように燃焼用燃焼助剤と燃焼用石炭の混焼による燃焼性改善により、実施例4〜6では比較例3より排ガス中のNOx濃度は若干増大したけれども、その濃度は、排ガス量によって規制を受ける産業用ボイラーのうち、脱硝対策を要する中小型ボイラーの排出規模を十分にクリアする濃度であった。
<試験6及び評価>
上記試験4と同様に、実施例4〜6の混合燃料と比較例3の単一燃料について燃焼試験を行った。この燃焼試験では、図2に示す循環流動層石炭燃焼炉10において、定点温度を850〜860℃の範囲に維持し、排ガス中の酸素濃度を3〜4%の範囲に維持した条件下で供給した燃料16を流動子(微粒アルミナ)17とともに、燃焼炉本体13、1次サイクロン11及びループする14を通して循環させ、循環流動層石炭燃焼炉10の循環燃焼系外に排出されたサイクロン灰及びバグ灰を2次サイクロン12及びバグフィルター19によってそれぞれ回収し、サイクロン灰及びバグ灰の回収量を測定してそれらの回収割合を算出した。その結果を表5に示す。なお、排ガス中の酸素濃度は、2次サイクロン12から排出された排ガスが流入するガスクーラ18と、このガスクーラ18を通過した排ガスが流入するバグフィルター19との間の排気管から抽出して分析した。また、バグ灰は燃焼灰からの2次サイクロンによる、粒径10〜20μmをカットポイントとして分級された微粒子体である。更に、表4中のPSはペーパースラッジである。
表5から明らかなように、燃焼用石炭に混焼用燃焼助剤(0%)を混合せずに、燃焼用石炭のみを用いた比較例3では、バグ灰:サイクロン灰が質量比で34.8:65.2であったのに対し、燃焼用石炭に混焼用燃焼助剤(10%)を混合した実施例4〜6では、バグ灰:サイクロン灰が質量比で(15.5〜32.7):(86.0〜67.3)となり、実施例4〜6では、分配傾向がサイクロン灰への移行が多くなった。特に、KCM炭及び豪州炭Aを混焼用燃焼助剤の原料とする実施例4及び6ではその80%以上がサイクロン灰として回収され、豪州炭Aを混焼用燃焼助剤の原料とする実施例6ではその80%近くがサイクロン灰として回収された。
<試験7及び評価>
試験6にて回収された実施例4及び6の混合燃料の燃焼によるバグ灰と比較例3の単一燃料の燃焼によるバグ灰の粒径分布をそれぞれ測定した。その結果を図7(a)及び図8(a)に示す。また、循環流動層石炭燃焼炉におけるバグ灰の粒子密度(g/cm3)を測定した。その結果を表6に示す。
図7(a)及び図8(a)から明らかなように、バグ灰は、混焼用燃焼助剤に使用する炭種及び炭質とは関係なく、混焼用燃焼助剤中の石炭粉末として易燃焼性のKCM炭(燃料比:0.98)を用いた実施例4、及び難燃焼性の豪州炭A(燃料比1.74)を用いた実施例6の混合燃料の混焼の場合、混焼用燃焼助剤を用いずに豪州炭Aのみを燃焼用石炭とした比較例3の単一燃料の燃焼と比較して、モード径(最高頻度%)がその値を増しながら、メジアン径とともに同じような値に移行する粒径分布を呈した。このように、実施例4及び6では、バグ灰のモード径が微粒側に移行しながら、しかも粒径分布幅も狭く、性状的に安定した微粉体の粒度構成を呈した。
表6では、混焼用燃焼助剤を燃焼用石炭に混合した実施例4〜6のバグ灰の粒子密度は、いずれも混焼用燃焼剤を燃焼用石炭に混合せずに燃焼用石炭のみを用いた比較例3のバグ灰の粒子密度と比較して、僅かな差ながらも大きくなり、その粒子密度値の有意差によって、上記バグ灰の粒径分布におけるモード径の微粒側への移行を裏付けている。
<試験8及び評価>
試験6にて回収された実施例4及び6の混合燃料の燃焼によるサイクロン灰と比較例3の単一燃料の燃焼によるサイクロン灰の粒径分布をそれぞれ測定した。その結果を図7(b)及び図8(b)に示す。また、試験6にて回収された実施例4〜6のサイクロン灰と比較例3のサイクロン灰の粒子径、形状及び粒子の集合状況等を顕微鏡で観察した。その結果を図9に示す。
図7(b)及び図8(b)から明らかなように、混焼用燃焼助剤を燃焼用石炭に混合した実施例4〜6のサイクロン灰の粒径分布は、粒径分布幅が広く、また混焼用燃焼剤を燃焼用石炭に混合せずに燃焼用石炭のみを用いた比較例3のサイクロン灰の粒径分布と比較して、メジアン径及びモード径がともに大きくなり、モード径はその頻度%を低めながら、粗粒側粒子径の頻度を高める特徴的な粒径分布を呈した。このように実施例4及び6のサイクロン灰は、比較例3のサイクロン灰より、全体として粗粒化した粒径分布となった。
図9から明らかなように、比較例3のサイクロン灰では、粒界の明瞭でない広い粒径範囲にわたる粒子の集合体として観察された(図9(a))。これに対して、実施例4〜6のサイクロン灰では、比較例3と同様に、粒径分布は広いけれども、粒子全体がその粒界をより明瞭にした集合体として観察された(図9(b)〜(d))。このことは、実施例4〜6では、サイクロン灰の粒子が燃焼中に軽度な焼結を受けるとともに、通常の循環流動層石炭燃焼炉の燃焼灰には見られない、灰粒子間の溶結による部分的な粗粒化も示唆し、混焼用燃焼助剤中のペーパースラッジの原料組成がもたらす粒度構成の改善効果として、その重要な知見が得られた。また、燃焼温度が850℃と比較的低く、燃焼灰が循環流動層石炭燃焼炉外で2次サイクロンとバグフィルター集塵機の2段階で回収されたものであるため、燃焼温度が1450℃以上の高温となる微粉炭燃焼炉における燃焼灰のように、石炭の含有鉱物、カオリナイト・イライト粘土鉱物等の形態変化(結晶構造の変化による別な鉱物生成:ムライト、無定形石英、アルミノ・けい酸塩等)は生成されないと考えられた。事実、いずれの灰とも、カオリナイトからメタ・カオリナイトの生成はX線回折分析により確認できたけれども、焼結・溶融によるムライト等の生成は見られなかった。
<試験9及び評価>
試験6にて回収された、実施例4〜6の混合燃料の燃焼によるサイクロン灰及びバグ灰と、比較例3の単一燃料の燃焼によるサイクロン灰及びバグ灰とに、水及びセメントをそれぞれ貧配合して硬化体を調製し、この硬化体の圧壊強度をそれぞれ測定した。ここで、サイクロン灰については、上記硬化体の試験サンプルは、質量比で燃焼灰100%に、水30%を配合し、更にセメントの配合割合を0%、5%及び10%と変更して配合した後に混合して、押出し成形(低圧成形)することにより、直径、厚さ及び質量がそれぞれ25mm、約2mm及び3gである硬化体を作製した。また、バグ灰については、上記硬化体の試験サンプルは、質量比で燃焼灰100%に、水30%とセメント5%とを配合した後に混合して、押出し成形(低圧成形)することにより、直径、厚さ及び質量がそれぞれ25mm、約2mm及び3gである硬化体を作製した。そして、圧壊強度の測定は、硬化体を1週間静置した後に、鋼球状圧子の押込み法により行った。具体的には、硬化体上面に直径10mmの鋼球状圧子を押付けて、次第にその荷重を増加させていき、硬化体が破壊したときの荷重を圧壊強度とした。その結果を図10に示す。なお、上記圧壊強度は、燃焼灰(サイクロン灰及びバグ灰)毎やセメントの配合割合毎に5回ずつ行い、それらの平均値を算出した。一方、上記サイクロン灰及びバグ灰中のSiO2、Al23及びCaOの含有割合をそれぞれ分析した。その結果を表7に示す。なお、表7中のPSはペーパースラッジである。
図10から明らかなように、サイクロン灰については、セメントを全く配合しなかった場合、実施例4〜6の混合燃料の燃焼によるサイクロン灰を用いた硬化体の圧壊強度は、比較例3の単一燃料の燃焼によるサイクロン灰を用いた硬化体の圧壊強度と略同一であった。しかし、セメントを貧配合(セメント配合:5%)した場合、比較例3の単一燃料の燃焼によるサイクロン灰を用いた硬化体の圧壊強度は0.6kgと低かったのに対し、実施例4〜6の混合燃料の燃焼によるサイクロン灰を用いた硬化体の圧壊強度は1.5〜4.1kgと増大した。また、セメントを貧配合(セメント配合:10%)した場合、比較例3の単一燃料の燃焼によるサイクロン灰を用いた硬化体の圧壊強度は2.4kgと低かったのに対し、実施例4〜6の混合燃料の燃焼によるサイクロン灰を用いた硬化体の圧壊強度は4.8〜11.2kgと増大した。その理由としては、実施例4〜6の混合燃料の燃焼によるサイクロン灰では、その粒界焼結によってポゾラン反応性が付与され、また表7に示すように、混焼用燃焼助剤中の炭酸カルシウム由来の硬化反応が硬化体の強度と深く関わり、生石灰の高い含有量に加え、粒度構成の改善等の燃焼灰の性状改善・改質によって、セメント貧配合の硬化体の強度が高められたと考えられる。
一方、バグ灰については、セメントを貧配合(セメント配合:5%)した場合、比較例3の単一燃料の燃焼によるバグ灰を用いた硬化体の圧壊強度は1.2kgと低かったのに対し、実施例4〜6の混合燃料の燃焼によるバグ灰を用いた硬化体の圧壊強度は2.2〜3.2kgと増大した。その理由としては、上記サイクロン灰を用いた硬化体に係る理由のうち、微粒体であるバグ灰では、特に灰粒界の軽度な焼結や、粒度構成の改善による影響が大きいと考えられる。
<試験10及び評価>
試験6にて回収された実施例4及び6の混合燃料の燃焼によるサイクロン灰及びバグ灰と比較例3の単一燃料の燃焼によるサイクロン灰及びバグ灰における、溶出性微量金属成分を分析した。その結果を表8に示す。ここで、上記溶出性微量金属成分は、石炭燃焼灰の処理・利用にあたって、一般的に検討される溶出試験の5元素(ヒ素(As)、セレン(Se)、六価クロム(Cr6+)、ホウ素(B)及びフッ素(F))である。これらの元素は、燃焼過程での揮発し易さから、グループ1(非揮発性元素)のCr6+と、グループ2(揮発―凝縮性元素)のAs、B及びSeと、グループ3(揮発―非凝縮性)のFとに分類される。なお、表8中のPSはペーパースラッジである。
表8から明らかなように、燃焼中での各元素の挙動を考察すると、揮発・非凝縮性元素のF(フッ素)は、比較例3では、サイクロン灰に捕捉されずに、その大部分がバグ灰への濃縮・付着したのに対し、実施例4〜6では、サイクロン灰及びバグ灰に捕捉され、固定化された。特に、混焼用燃焼助剤の石炭粉末としてKCM炭を用いた実施例4において、F(フッ素)の溶出が抑制されることが分かった。また、比較例3のサイクロン灰及びバグ灰には見らない非揮発性元素のCr6+(六価クロム)は、混焼用燃焼助剤の石炭粉末として豪州炭Bを用いた実施例5や、混焼用燃焼助剤の石炭粉末として豪州炭Aを用いた実施例6では、サイクロン灰及びバグ灰への土壌環境基準値以上の新たな濃縮が確認された。これは、混焼用燃焼助剤由来のCa(カルシウム)分による石炭由来のCr(クロム)の酸化が促進した結果であると推測する。このような燃焼灰の生成過程での微量元素の挙動は、難燃性の燃焼用石炭と混焼用燃焼助剤との混焼によって形成された複合燃焼場での各物質間の相互作用の証左として見ることができ、本願技術の複合系燃焼助剤(混焼用燃料助剤)の製造とその混焼方法による新規な燃焼メカニズム(複合燃焼場)からもたらされたものと考える。
<実施例7>
先ず、表1のB製紙工場から排出されたペーパースラッジ(平均粒径:10mm以下)と、表2のKCM炭(平均粒径2mm以下)とを、質量比(乾燥ベース)が1:1となるように配合し、上記ペーパースラッジを解しながら混合して混合物を調製した。次いで、直径5mmのダイスを複数個有する押し出し成形機を用いて、上記混合物をペレット状に成形し、ペレット状の混合成形物を作製した。次に、この混合成形物をオーブンで含水率が7〜8%になるように乾燥して乾燥成形物を作製した後に、ダブルロール式高圧成形機により圧縮成形(線圧:3〜4トン/cm)して板状の圧縮成形物を作製した。そして、この板状の圧縮成形物を粉砕して、粒径5mm以下の混焼用燃焼助剤を得た。更に、この混焼用燃焼助剤を、5mm以下の粒径に調整した豪州炭Aと質量比で1:10の割合で混合した後に、この混合物において、粒径75μmの粉末が80%通過し、トップサイズが150μmとなり、平均粒径(Dp50)が約40μmとなるように微粉砕混合燃料を調整した。この微粉砕混合燃料を実施例7とした。
<実施例8>
先ず、表1のB製紙工場から排出されたペーパースラッジ(平均粒径:10mm以下)と、表2の豪州炭B(平均粒径2mm以下)とを、質量比(乾燥ベース)が1:1となるように配合したこと以外は、実施例7と同様にして圧縮成形物からなる混焼用燃焼助剤を得た。この混焼用燃焼助剤を、5mm以下の粒径に調整した豪州炭Aと質量比で1:10の割合で混合した後に、この混合物において、粒径75μmの粉末が80%通過し、トップサイズが150μmとなり、平均粒径(Dp50)が約40μmとなるように微粉砕混合燃料を調整した。この微粉砕混合燃料を実施例8とした。
<比較例4>
混焼用燃焼助剤を混合せずに、5mm以下の粒径に調整した豪州炭Aにおいて、粒径75μmの粉末が80%通過し、トップサイズが150μmとなり、平均粒径(Dp50)が約40μmとなるように微粉砕単一燃料を調整した。この微粉砕単一燃料を比較例4とした。
<試験11及び評価>
実施例7及び8の微粉砕混合燃料と、比較例4の微粉砕単一燃料を、図3に示す小型微粉炭燃焼炉40に供給した。具体的には、上記燃料41を、火炉投入熱量を一定に保った条件下で(バーナー近傍温度:1400℃)、バーナー43に旋回を与えながら供給し、どの運転条件下においても、排ガス中の酸素濃度を4.2%に維持した状態で燃焼試験を行った。そして、上記燃料41の燃焼中の給炭速度を算出し、燃焼後の灰中の未燃分の測定し、この未燃分から燃焼効率を算出した。その結果を表9に示す。なお、灰中の未燃分は、微粉炭燃焼条件、1次及び2次空気をそれぞれ79.3%とし、二段燃焼空気を20.7%としたときの測定値である。また、二段燃焼させたときのNOx発生量(ppm)と未燃炭素率(%)の関係を図11に示す。
表9から明らかなように、比較例4の微粉砕単一燃料の燃焼における給炭速度は、5.85kg/時であったのに対し、実施例7及び8の微粉砕混合燃料の燃焼における給炭速度は、それぞれ6.05kg/時及び6.00kg/時と僅かに増大した。しかし、実施例7及び8では、未燃分とこれから算出される燃焼効率から、燃焼性を改善できたことが分かった。従って、実施例7及び8では、微粉砕混合燃料中に非燃料のペーパースラッジを5%程度含むことを考え合せると、その混焼による効果の一つして燃焼用石炭の使用量の節減を期待できる。また、実施例7及び8では、乾燥ベースで、B製紙工場から排出されたペーパースラッジの木質繊維質が44質量%と、A製紙工場から排出されたペーパースラッジの木質繊維質29%より含有量が多く、その増量分によるサーマルリサイクルを期待できる。
図11から明らかなように、実施例7及び8の微粉砕混合燃料も比較例4の微粉砕単一燃料も燃焼(排ガス中の酸素濃度:4.2%)に要する空気量のうち、二段燃焼用空気量の占める割合が大きくなるとともに、NOxは減少したけれども、実測値の灰中未燃分からの未燃炭素率は増大した。そのような傾向を示す中で、実施例7及び8の微粉砕混合燃料は、比較例4の微粉砕単一燃料と比較して、未燃炭素率が2%以下の範囲内においてNOxが約100ppm低減することが分かった。また、難燃焼性の燃焼用石炭の燃焼における実用的な数値として、未燃炭素率を1.0%とすると、実施例7及び8の混焼用燃焼助剤を燃焼用石炭に混合して混焼したときのNOx濃度が約250ppmに止まるのに対し、比較例4の燃焼用石炭のみを燃焼したときのNOx濃度を約250ppmとするには、未燃炭素率を2.0%までに二段燃焼を強める必要がある。この未燃炭素率1%の差は、石炭使用量の節減及び燃焼灰の利用の性状・品質上、与える影響は大きい。即ち、予めペーパースラッジと石炭粉末とが均一に混合され、高圧成形された実施例7及び8の混焼用燃焼助剤は、事前の難燃性の燃焼用石炭との混合微粉砕時に、微粉炭中に均一に分散した状態で燃焼炉に供給される結果、微粉炭の粒子と、燃焼助剤の組成物由来の原料単独分離粒子と、その複合粒子との相互作用よる「複合燃焼場」の形成と深く係わると考えられる。従って、そのような燃焼場の形成は、乾燥・粉砕等の処理に技術上の大きな難点があるペーパースラッジの単なる難燃焼性の燃焼用石炭との混焼では難しく、本発明の混焼用燃焼助剤との混焼によってこそ、着火性及び燃焼性の改善とともに、燃焼灰の利用上の性状改善・改質に係る多面的効果がもたらされると考えられる。
<試験12及び評価>
実施例7及び8の微粉砕混合燃料と、比較例4の微粉砕単一燃料を、図3に示す小型微粉炭燃焼炉40に供給して、各燃料41の微粉炭燃焼試験(一段燃焼条件)を行い、得られた排ガス中のSO2濃度を測定し、この排ガス中のSO2濃度と理論SO2濃度とから求められるSO2転換率を算出した。その結果を表10に示す。
表10から明らかなように、実施例7及び8と比較例4では、SO2転換率からの脱硫率が6.8〜15.2%となり、循環流動層石炭燃焼炉における高い脱硫率と比較して、混焼用燃焼助剤の燃焼用石炭との混焼による効果は明確に確認されなかった。これは、脱硫作用をもたらす混焼用燃焼助剤原料に含まれるペーパースラッジ中の炭酸カルシウム由来のCaO粒子が乱流炉内の高温部(1400℃付近)を通過することにより焼結して、反応性が低下したためであると考えられる。
<試験13及び評価>
試験11にて回収された実施例7の微粉砕混合燃料の燃焼による燃焼灰と比較例4の微粉砕単一燃料の燃焼による燃焼灰の粒径分布をそれぞれ測定した。その結果を図12に示す。
図12から明らかなように、混焼用燃焼助剤を用いずに燃焼用石炭のみを用いた比較例4の微粉砕単一燃料を燃焼して得られた燃焼灰の粒度構成は、混焼用燃焼助剤を燃焼用石炭に混合した実施例7の微粉砕混合燃料の混焼により改善されたことが分かった。即ち、実施例7の混焼による燃焼灰では、比較例4の燃焼による燃焼灰と同様に約15μmをモード径として、その頻度を高めながら、実施例7の混焼による燃焼灰は、粗粒側の40〜160μm間の粒子が減少する粒径分布を呈した。これは、難燃焼性の豪州炭Aは揮発分が少ない上に、膨張性及び弱粘結性を有するため、実施例7の混焼による燃焼灰は、高温燃焼過程で、その粗粒側に入ってくる多孔質チャー(未燃炭素)及びガラス質溶融多発泡粒子が、燃焼助剤混焼によって粗粒子チャー生成の抑制とともに、発泡粗粒子の***が起こり、細粒側に移行したと考えられる。このような粒度構成の改善と燃焼性が深く係わるとすれば、それは、試験11における表9に示すように、微粉炭の燃焼灰中の未燃分の比較で、比較例4の燃焼による燃焼では9.4%と多かったのに対し、実施例7の混焼による燃焼では4.5%に減少したこともその裏付けと考えられる。
<試験14及び評価>
試験11にて回収された実施例7及び8の微粉砕混合燃料の燃焼による燃焼灰と比較例4の微粉砕単一燃料の燃焼による燃焼灰に、水及びセメントをそれぞれ貧配合して硬化体を調製し、この硬化体の圧壊強度をそれぞれ測定した。ここで、上記硬化体の試験サンプルは、質量比で燃焼灰100%に、水30%及びセメント5%を配合した後に混合して、押出し成形(低圧成形)することにより、直径、厚さ及び質量がそれぞれ25mm、約2mm及び3gである硬化体を作製した。そして、圧壊強度の測定は、硬化体を1週間静置した後に、鋼球状圧子の押込み法により行った。具体的には、硬化体上面に直径10mmの鋼球状圧子を押付けて、次第にその荷重を増加させていき、硬化体が破壊したときの荷重を圧壊強度とした。その結果を図13に示す。なお、上記圧壊強度は、燃焼灰毎に5回ずつ行い、それらの平均値を算出した。一方、上記燃焼灰中のSiO2、Al23及びCaOの含有割合をそれぞれ分析した。その結果を表11に示す。なお、表11中のPSはペーパースラッジである。
図13から明らかなように、セメントを貧配合(セメント配合:5%)した場合、比較例4の単一燃料の燃焼による燃焼灰を用いた硬化体の圧壊強度は3.8kgと低かったのに対し、実施例7及び8の混合燃料の燃焼による燃焼灰を用いた硬化体の圧壊強度は6.0kg及び6.8kgと増大した。また、破壊時のパターンも、比較例4の単一燃料の燃焼による燃焼灰を用いた硬化体では座屈破壊であったのに対し、実施例7及び8の混合燃料の燃焼による燃焼灰を用いた硬化体の圧壊では、脆性破壊であった。これは、ある程度の粒子間結合力を持った、実施例7及び8の混焼による燃焼灰への消石灰等の貧配合及び炭酸化処理による透水性及び保水性の新規な砂状造粒物の製造に関する可能性を示唆している。このような実施例7及び8の混焼による燃焼灰の硬化特性は、新規な燃焼助剤の混焼による性状、粒度構成の改善や、表11に示すように、上記混焼灰の主要化学組成分であるポゾラン反応性のシリカ(SiO2)、アルミナ(Al23)と燃焼助剤由来の消石灰(水酸化カルシウム:Ca(OH)2)の水和硬化反応によってもたらされたものと考える。
<試験15及び評価>
試験11にて回収された実施例7及び8の微粉砕混合燃料の燃焼による燃焼灰と比較例4の微粉砕単一燃料の燃焼による燃焼灰における、溶出性微量金属成分を分析した。その結果を表12に示す。ここで、上記溶出性微量金属成分は、石炭燃焼灰の処理・利用にあたって、一般的に検討される溶出試験の5元素(ヒ素(As)、セレン(Se)、六価クロム(Cr6+)、ホウ素(B)及びフッ素(F))である。これらの元素は、燃焼過程での揮発し易さから、グループ1(非揮発性元素)のCr6+と、グループ2(揮発―凝縮性元素)のAs、B及びSeと、グループ3(揮発―非凝縮性)のFとに分類される。なお、表9中のPSはペーパースラッジである。また、表9の『<0.01』は土壌環境基準値であり、カッコ内の数値は実測値である。
表12から明らかなように、混焼用燃焼助剤を用いずに燃焼用石炭のみを用いた比較例4の微粉砕単一燃料の燃焼による燃焼灰では、上記5つの元素全てについて環境土壌基準値を超えたのに対して、混焼用燃焼助剤を燃焼用石炭に混合した実施例7及び8の微粉砕混合燃料の混焼による燃焼灰では、As(ヒ素)及びSe(セレン)とも環境土壌基準値未満であり、F(フッ素)の溶出量は比較例4より低減した。これは、実施例7及び8の混焼用燃焼助剤由来のCaOとの反応による難溶性の「Ca塩」化、例えばF(フッ素)がCaF2となって固定化したと考えられる。また、B(ホウ素)は、その溶出量は実施例7及び8と比較例4で変わらなかったのに対し、Cr6+(六価クロム)では、実施例7及び8が比較例4より増える結果となったけれども、これは、混焼用燃焼助剤由来のCaOによるCr(III)の酸化が促進した結果であると考えられる。このような各元素の挙動、溶出特性から、実施例7及び8の混焼用燃焼助剤の混焼による炉内処理だけでは、5元素全てを環境土壌基準値以下に低減することはできない。しかしながら、本発明の混焼技術による炉内処理では、燃焼灰の最終処理利用に向けた前処理への結び付けができることから、現状の性状、品質のバラつきの大きいものから、一定な幅を持った性状、品質のフライアッシュを安定的に量的供給する上で技術上の効果は大きい。
本発明の混焼用燃焼助剤は、全国広く、数多く立地する製紙工場から大量に排出するペーパースラッジの高次リサイクル、及び環境調和・省エネルギー型石炭利用分野における長年の緊急、かつ重要なニーズに対応する。このため製紙産業、石炭火力発電所を有する各種産業及び電力産業等の広い産業分野で大きな貢献をする。混焼用燃焼助剤の製造過程で同じく製造できる板状又はアーモンド状の高圧成形物は、流動床炉、循環流動層石炭燃焼炉、移床(ストーカ)式石炭燃焼炉、大型・中型の各種焼却炉、ガス化燃焼炉、及び微粉炭燃焼炉で利用でき、省エネルギー、環境対策上の寄与は大きい。
10 循環流動層石炭燃焼炉
16 燃料(燃焼用石炭と混焼用燃焼助剤の混合物)
40 微粉炭燃焼炉
41 微粉炭燃料(燃焼用石炭と混焼用燃焼助剤の混合・微粉砕物)

Claims (5)

  1. 燃焼用石炭と混合して前記燃焼用石炭の燃焼を支援するための混焼用燃焼助剤の製造方法であって、
    圧搾して脱水した後解砕したペーパースラッジと石炭粉末とを混合した混合物を所定の長さの棒状に押出し成形した後、この成形物を切断し乾燥して含水率が7〜10%であるスティック状の乾燥成形物を製造し、この乾燥成形物を更にバインダレスで所定の圧力で圧縮成形して板状又はアーモンド状にしてなることを特徴とする混焼用燃焼助剤の製造方法
  2. 平均粒径が50mm以下の燃焼用石炭と請求項1記載の方法で製造された混焼用燃焼助剤とを、前記燃焼用石炭100質量%に対して前記混焼用燃焼助剤が3〜25質量%の割合となるように混合することにより混合物を調製する工程と、
    前記混合物を流動床炉、循環流動層石炭燃焼炉、移床式石炭燃焼炉、焼却炉又はガス化燃焼炉に供給して燃焼させる工程とを含む燃焼用石炭の燃焼方法。
  3. 平均粒径が50mm以下の燃焼用石炭と請求項記載の方法で製造された混焼用燃焼助剤とを、前記燃焼用石炭100質量%に対して前記混焼用燃焼助剤が3〜25質量%の割合となるように混合することにより混合物を調製する工程と、
    前記混合物を流動床炉、循環流動層石炭燃焼炉、移床式石炭燃焼炉、焼却炉又はガス化燃焼炉に供給して燃焼させる工程とを含む燃焼用石炭の燃焼方法。
  4. 平均粒径が50mm以下の燃焼用石炭と請求項1記載の方法で製造された混焼用燃焼助剤とを、前記燃焼用石炭100質量%に対して前記混焼用燃焼助剤が3〜25質量%の割合となるように混合することにより混合物を調製する工程と、
    前記混合物を微粉砕することにより混合・微粉砕物を調製する工程と、
    前記混合・微粉砕物を微粉炭燃焼炉に供給して燃焼させる工程とを含む燃焼用石炭の燃焼方法。
  5. 平均粒径が50mm以下の燃焼用石炭と請求項記載の方法で製造された混焼用燃焼助剤とを、前記燃焼用石炭100質量%に対して前記混焼用燃焼助剤が3〜25質量%の割合となるように混合することにより混合物を調製する工程と、
    前記混合物を微粉砕することにより混合・微粉砕物を調製する工程と、
    前記混合・微粉砕物を微粉炭燃焼炉に供給して燃焼させる工程とを含む燃焼用石炭の燃焼方法。
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