JP2014179549A - 電気機械変換素子の製造方法、電気機械変換素子、液滴吐出ヘッド、液滴吐出装置、及び電気機械変換素子の製造装置 - Google Patents

電気機械変換素子の製造方法、電気機械変換素子、液滴吐出ヘッド、液滴吐出装置、及び電気機械変換素子の製造装置 Download PDF

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Abstract

【課題】電気機械変換膜34の分極処理を確実に行うことができるとともに、分極処理後の脱分極を防ぐことができる電気機械変換素子の製造方法を提供する。
【解決手段】第2の駆動電極35に配線43を介して接続される第2の端子電極47に対応した接触部49を有する導電性部材20を用いる。その導電性部材20の接触部49を第2の端子電極47に接触させて、導電性部材20にコロナ放電もしくはグロー放電により発生した電荷を注入することにより、電気機械変換膜34を分極処理する。
【選択図】図6

Description

本発明は、電気機械変換素子の製造方法及び製造装置、電気機械変換素子、その電気機械変換素子を備えた液滴吐出ヘッド、並びに、その液滴吐出ヘッドを備えた液滴吐出装置に関するものである。
プリンタ、ファクシミリ、複写装置等の画像記録装置或いは画像形成装置として使用されるインクジェット記録装置が近年広く用いられている。このインクジェット記録装置においてインク等の記録材を吐出する手段として、液滴吐出ヘッドが用いられている。図1は液滴吐出ヘッドの一例を示す断面図である。図1において、液滴吐出ヘッド10は、インク滴を吐出するノズル11と、ノズル11が連通する加圧室12(インク流路、加圧液室、圧力室、吐出室、液室等とも称される。)とを備えている。また、加圧室12内のインクを加圧する、電気機械変換膜13、上部電極14、下部電極15を有する電気機械変換素子(圧電素子)16を備えている。また、電気機械変換素子16にかえて、ヒータなどの電気熱変換素子、もしくは加圧室12の壁面を形成する振動板とこれに対向する電極などを用いるものなども知られている。そして、電気機械変換素子16により加圧室12内のインクを加圧することによってノズル11からインク滴を吐出させる。
上記電気機械変換素子16を用いた液滴吐出ヘッドとしては、圧電素子の軸方向に伸長、収縮する縦振動モードの圧電アクチュエータを使用したものと、たわみ振動モードの圧電アクチュエータを使用したものの2種類が実用化されている。たわみ振動モードの圧電アクチュエータを使用したものとしては、例えば、振動板の表面全体に亙って成膜技術により均一な圧電材料層を形成する。そして、この圧電材料層をリソグラフィ法により圧力発生室に対応する形状に切り分けて各圧力発生室に独立するように圧電素子を形成したものが知られている。たわみ振動モードのアクチュエータに使用される圧電素子は、例えば、共通電極である下部電極と、下部電極上に形成された、例えばPZT膜からなる電気機械変換膜と、PZT膜上に形成された個別電極である上部電極とで構成されたものが知られている。
さらに、特許文献1、2には、上部電極上には層間絶縁膜が形成されて下部電極と上部電極との絶縁が図られ、この層間絶縁膜に開口されたコンタクトホールを介して上部電極に電気的に接続される配線が設けられた構造となったものが開示されている。
上記下部電極としては主にPtをベースにした金属電極を用いる場合が多い。しかし、この場合には、PZTの疲労特性が低下するという懸念がある。一般的にPZTに含まれるPb拡散による特性劣化が考えられ、酸化物電極を用いることで、疲労特性が改善すると言われている(特許文献3参照)。
ここで、図2(a)に液滴吐出ヘッドに用いられる圧電体結晶の電圧印加前の分極状態の模式図を、図2(b)に電圧印加を繰り返した後の分極状態の模式図をそれぞれ示す。図中矢印が直線で区切られたドメインの分極の向きを示している。
図2(a)に示すように電圧印加直前(分極処理前)において圧電体結晶は分極の向きがランダムな状態となっているが、電圧印加を繰り返すことで分極処理がなされ、図2(b)に示すように分極の向きが揃ったドメインの集合体となってくる。
このため、電圧印加を行う前から分極の向きを揃えることが試されており、エージング工程またはポーリング(分極処理)工程と称した所定駆動電圧に対して変位量を安定化させる工夫が行われてきた(特許文献4、5参照)。具体的には圧電素子に対して駆動パルス電圧を超える高電圧を印加するような手法が行われている。また、電極と電荷供給手段との間に電圧を印加してコロナ放電を生じさせることにより、電荷を供給し、圧電体内に電界を発生させる工夫が行われている(特許文献6参照)。
例えば、上記特許文献4、5に記載されているように駆動パルス電圧を印可して処理する場合、例えば、プローブカード等を用いてウェハレベルで処理することができる。しかし、配置された端子電極数や配置等によっては、プローブカードの作製等に費用がかかるという問題があった。また、1枚のプローブカードで処理出来る端子電極数が少ない場合においては、ウェハレベルで処理するのに相当な時間を要することになるという問題があった。
また、上記特許文献6においては、圧電膜が形成された後にコロナワイヤーを用いてポーリング処理を実施しているが、ポーリング処理後の層間膜形成や引出配線形成等の後工程による熱履歴等によって脱分極する場合がある。具体的には処理後に例えば300[℃]を超える熱履歴を与えることにより処理前の状態に戻ってしまう。すなわち、ポーリング処理を行ったにも関わらず、液滴吐出ヘッドとした時に所定駆動電圧に対する変位量が安定しない場合があった。
図3は、分極処理前、分極処理後及び300[℃]を超える熱履歴を与えた後の圧電体の電界強度と分極量との関係を示すヒステリシス曲線である。図3のヒステリシス曲線に示すように、強誘電体に外部から電場を加えると、急速に分極が進み、飽和する。その後、電界の強さを弱くして、電界をゼロの状態にしても分極の大きさはゼロにはならない。このゼロの状態が残留分極Prである。しかし、分極処理後に、300[℃]を超える熱履歴を与えると脱分極し、分極処理前の状態に戻ってしまう。
本発明は以上の問題点に鑑みなされたものであり、その目的は、電気機械変換膜の分極処理を確実に行うことができるとともに、分極処理後の脱分極を防ぐことができる電気機械変換素子の製造方法及び製造装置、電気機械変換素子、その電気機械変換素子を備えた液滴吐出ヘッド、並びに、その液滴吐出ヘッドを備えた液滴吐出装置を提供することである。
上記目的を達成するために、請求項1の発明は、基板または下地膜上に第1の駆動電極を形成するステップと、前記第1の駆動電極上に電気機械変換膜と該電気機械変換膜上に位置する第2の駆動電極とを形成するステップと、前記第2の駆動電極上に第1の絶縁保護膜を形成するステップと、前記第2の駆動電極に電気的に接続された配線を前記第1の絶縁保護膜上に形成するステップと、前記配線上に形成される膜であり前記配線に接続される端子電極を露出する第2の絶縁保護膜を形成するステップと、前記端子電極に対応した接触部を有する導電性部材を用い、該導電性部材の接触部を該端子電極に接触させて、該導電性部材にコロナ放電又はグロー放電により発生した電荷を注入することにより、前記電気機械変換膜を分極処理するステップと、を有することを特徴とするものである。
本発明によれば、電気機械変換膜の分極処理を確実に行うことができるとともに、分極処理後の脱分極を防ぐことができる。
液滴吐出ヘッドの概略構成断面図。 (a)、(b)は圧電体結晶の電圧印加前後の分極状態の模式図。 分極処理前、分極処理後及び300[℃]を超える熱履歴を与えた後の圧電体の電界強度と分極量との関係を示すヒステリシス曲線。 本発明の一実施形態に係る電気機械変換素子の断面図。 同電気機械変換素子の構成の説明図であって、(a)は断面図、(b)は上面図。 導体プレートを用いて分極処理する際の説明図であって、(a)は断面図、(b)は上面図。 分極処理の説明図。 分極率を説明するグラフであって、(a)は分極処理を行っていないものについてヒステリシスループ、(b)は分極処理を行ったものについてヒステリシスループ。 酸化チタン膜と白金膜とを成膜したシリコン基板上に、SrRuO膜を成膜した試料のX線回折測定結果を示すグラフ。 実施例1と比較例1とによりそれぞれ作製した電気機械変換素子を比較するグラフ。 液滴吐出ヘッドの構成の一例を示す断面図。 本実施形態に係る液滴吐出装置の構成の一例を示す斜視図。 同液滴吐出装置の機構部の側面図。
以下に、発明を実施するための形態について図面を用いて説明するが、本発明はこれらの例によって限定されるものではない。
本実施形態では、本発明の電気機械変換素子の製造方法の一例及びそれにより得られる電気機械変換素子について説明する。
まず、本実施形態に係る電気機械変換素子の構成例について説明する。
図4は、本実施形態に係る電気機械変換素子を模式的に示した断面図である。図4に示すように、電気機械変換素子(圧電素子)30は、基板31、成膜振動板(下地膜)32上に、第1の駆動電極33、電気機械変換膜34、第2の駆動電極35が積層された構造となっている。
さらに絶縁保護膜、引き出し配線を備えた電気機械変換素子の構成について、図5を用いて説明する。図5(a)は断面図、図5(b)は上面図であり、図5(b)については圧電素子の構成が分かるように、一部の部材について第2の絶縁保護膜を透視して記載している。また、図6は導体プレートを用いてコロナ放電またはグロー放電により発生した電荷を電気機械変換素子に注入する構成の説明図であり、(a)は断面図、(b)は上面図である。なお、図5及び図6において、図4と同じ部材には同じ符号を付している。
図5に示す電気機械変換素子においては、図4の場合と同様に、基板31、成膜振動板32上に、第1の駆動電極33、電気機械変換膜34、第2の駆動電極35が積層されている。そして、電気機械変換膜34、第2の駆動電極35は、第2の駆動電極を形成後にエッチングにより個別化されている。そして、第2の駆動電極は個別電極として機能し、第1の駆動電極33は、個別化された電気機械変換膜34、第2の駆動電極35に対して共通電極として機能している。
第1の駆動電極33、第2の駆動電極35上には、図5(b)に示すようにコンタクトホール45を有する第1の絶縁保護膜41が設けられている。このコンタクトホール45は、第1の駆動電極33、第2の駆動電極35と、後述する第1の配線42、第2の配線43とがそれぞれ電気的に接続できるように設けられたものである。そして、第1の絶縁保護膜41上には、第1の配線42、第2の配線43が設けられており、上記のように第1の絶縁保護膜41に設けられたコンタクトホール45を介して、それぞれが第1の駆動電極33、第2の駆動電極35と導通している。
さらに、第1の駆動電極33及びこれに導通する第1の配線42を共通電極、第2の駆動電極35及びこれに導通する第2の配線43を個別電極として、共通電極、個別電極を保護する第2の絶縁保護膜44が形成されている。この第2の絶縁保護膜44は、第1の配線42、第2の配線43上(さらには第1の絶縁保護膜41上)に形成されている。また、第2の絶縁保護膜44には複数の開口部48,49が設けられ第1の端子電極としての共通電極用パッド46、及び第2の端子電極としての個別電極用パッド47が露出している。
前記複数のパッドのうち、共通電極用に作製されたもの、すなわち共通電極に接続されたものを共通電極用パッド46、個別電極用に作製されたもの、すなわち個別電極に接続されたものを個別電極用パッド47としている。これらのパッドは上述したように例えば第2の絶縁保護膜44に開口部48,49を設けることにより外部に露出することができる。
以上に説明した構成を有する電気機械変換素子は以下の各工程を行うことにより製造することができる。
基板31または下地膜(成膜振動板)32上に、第1の駆動電極33を形成する工程。ここでいう第1の駆動電極33としては、後述のように密着層を含むこともできる。
前記第1の駆動電極33上に電気機械変換膜34を形成する工程。
前記電気機械変換膜34上に、第2の駆動電極35を形成する工程。
前記電気機械変換膜34及び前記第2の駆動電極35をエッチングにより個別化する工程。係る工程を行うことにより、第2の駆動電極35を個別電極とし、第1の駆動電極33は個別化された電気機械変換膜34、第2の駆動電極35に対して共通電極として機能するようになる。
前記第1の駆動電極33及び前記第2の駆動電極35上に第1の絶縁保護膜41を形成する工程。
この際、第1の駆動電極33、第2の駆動電極35と、後述する第1の配線42、第2の配線43とをそれぞれ電気的に接続するため第1の絶縁保護膜41にはコンタクトホール45を形成することができる。
前記第1の駆動電極33、前記第2の駆動電極35にそれぞれ電気的に接続された第1の配線42、第2の配線43を前記第1の絶縁保護膜41上に形成する工程。
前記第1の配線42及び第2の配線43上に前記第1の配線42または第2の配線43に接続するための複数のパッド46,47を有する第2の絶縁保護膜44を形成する工程。
ここで、第1の配線42と第2の配線43とは、上記工程の中で別のプロセスとして製造することもできるが、同一プロセス中に形成されることが生産性の観点から好ましい。
また、複数のパッド46,47は第2の絶縁保護膜44に開口部を設けることにより外部に露出することができる。
そして、本実施形態に係る電気機械変換素子30の製造方法では、図6(a)に示すように、個別電極用パッド47に開口部49から導電性部材として後述する導体プレート20を接続させ、その部分にコロナ放電もしくはグロー放電を行う。この放電により、1.0×10−8[C]以上の電荷量を発生させ、前記パッドを介して、発生した電荷を注入することにより分極処理を行う工程を行う。
上記分極処理を行う工程においては、コロナ放電もしくはグロー放電によって、上記所定量以上の電荷量を発生させ、発生した電荷を前記複数の個別電極用パッド47を介して電気機械変換膜34に注入するものである。この際、コロナ放電またはグロー放電により発生した電荷が正帯電していることが好ましい。
例えば、図7に示すように放電電極としてのコロナワイヤー52を用いてコロナ放電させる場合には、大気中の分子をイオン化させることで、陽イオンを発生させる。この陽イオンは、導体プレート20の接触部20aから、ステージ53上に設置された電気機械変換素子30の個別電極用パッド47を介して、電気機械変換素子30に流れ込んで正極性の電荷が蓄積され、電気機械変換膜34の分極処理が行われる。なお、コロナワイヤー52と導体プレート20との間に放電制御用電極としてのグリッド電極を配置し、そのグリッド電極に放電制御用の電圧を印加してもよい。
ここで、分極処理に必要な電荷量Qを考えると1.0×10−8[C]以上の電荷量が蓄積される(発生させる)ことが好ましく、4.0×10−8[C]以上の電荷量が蓄積される(発生させる)ことがさらに好ましい。電荷量が上記の値に満たない場合は、分極処理が十分に行えない場合があり、電気機械変換膜34、例えばPZTの圧電アクチュエータとして連続駆動後の変位劣化については十分な特性が得られない場合があるためである。
上記分極処理を行う工程においては、作製された電気機械変換素子(圧電素子)30に対して、導体プレート20を用いてコロナ放電もしくはグロー放電を行い、発生した電荷についてパッド46、47を介して注入することにより、分極処理を実施している。
ここで、分極処理の状態については、P−Eヒステリシスループから判断することができる。
図8(a)は図2で説明した分極処理を行っていないものについてヒステリシスループを測定したものであり、図8(b)は分極処理を行ったものについてヒステリシスループを測定したものである。
図8(a)、(b)に示すように±150[kV/cm]の電界強度かけてヒステリシスループを測定する。最初の0[kV/cm]時の分極をPiniとし、+150[kV/cm]の電圧印加後0[kV/cm]まで戻したときの0[kV/cm]時の分極をPrとする。
このとき、PrとPiniとの差、すなわちPr−Piniの値を分極率として定義し、この分極率から分極状態の良し悪しを判断することができる。ここで図8(b)に示したように、分極率Pr−Piniは10[μC/cm]以下となっていることが好ましく、5[μC/cm]以下となっていることがさらに好ましい。これは、この値に満たない場合に、電気機械変換膜34、例えばPZTの圧電アクチュエータとして連続駆動後の変位劣化については十分な特性が得られない場合があるためである。
すなわち、上記した製造方法により得られた電気機械変換素子30は、±150[kV/cm]の電界強度をかけてヒステリシスループを測定する。測定開始時の0[kV/cm]における分極をPiniとし、+150[kV/cm]の電圧印加後、0[kV/cm]まで戻した際の0[kV/cm]時の分極をPrとする。この場合に、PrとPiniの差が10[μC/cm]以下であることが好ましく、5[μC/cm]以下であることがより好ましい。
また、上記した製造方法により得られた電気機械変換素子30は、電気機械変換膜34の比誘電率が600以上2000以下であることが好ましい。
以下に、本実施形態の電気機械変換素子を構成する材料、工法について具体的に説明する。
(基板)
基板31としてはその材質は特に限定されるものではないが、シリコン単結晶基板を用いることが好ましい。そして、その厚さとしては、100〜600[μm]の厚みを持つことが好ましい。
シリコン単結晶基板の面方位としては、(100)、(110)、(111)の3種類があるが、半導体産業では一般的に(100)、(111)が広く使用されている。本構成においては、(100)の面方位をもつシリコン単結晶基板を好ましく使用することができる。また、本実施形態における電気機械変換素子30においては、(110)面方位をもった単結晶基板も好ましく用いることができる。
基板31に図1に示した圧力室を作製する場合、一般的にエッチングを利用してシリコン単結晶基板の加工が行われるが、この場合のエッチング方法としては、異方性エッチングを用いることが一般的である。
異方性エッチングとは結晶構造の面方位に対してエッチング速度が異なる性質を利用したものである。例えば、KOH等のアルカリ溶液に浸漬させた異方性エッチングでは、(100)面に比べて(111)面は約1/400程度のエッチング速度となる。従って、面方位(100)では約54[°]の傾斜を持つ構造体が作製できるのに対して、面方位(110)では深い溝を掘ることができるため、より剛性を保ちつつ、配列密度を高くすることができる。このため、異方性エッチングを利用して圧力室等を作製する場合、(110)の面方位を有するシリコン単結晶基板を使用することも可能である。ただし、この場合には、マスク材であるSiOもエッチングされてしまうおそれがあるため、これに留意して利用することが望ましい。
(下地膜(振動板))
図1に示すように電気機械変換膜13によって発生した力を受けて、下地膜(振動板)17が変形変位して、圧力室12のインク滴を吐出させる。そのため、下地膜17としては所定の強度を有したものであることが好ましい。
下地膜17を構成する材料としては変形変位して圧力室12のインク滴を吐出できるものであればよく、要求される耐久性等に応じて任意に選択することができるが、例えば、Si、SiO、Si3N4を用いることができる。これらの材料を用いる場合、CVD法により作製することができる。
また、下地膜(振動板)17としては、第1の駆動電極(下部電極)15、電気機械変換膜13の線膨張係数に近い材料を選択することが好ましい。特に、電気機械変換膜13としては、一般的に材料としてPZTが使用されることから、PZTの線膨張係数8×10−6(1/K)に近い線膨張係数を有するものが好ましい。具体的には、5×10−6(1/K)以上10×10−6(1/K)以下の範囲の線膨張係数を有した材料であることが好ましく、さらには7×10−6(1/K)以上9×10−6(1/K)以下の範囲の線膨張係数を有した材料がより好ましい。
この場合、具体的な材料としては、酸化アルミニウム、酸化ジルコニウム、酸化イリジウム、酸化ルテニウム、酸化タンタル、酸化ハフニウム、酸化オスミウム、酸化レニウム、酸化ロジウム、酸化パラジウム及びそれらの化合物等が挙げられる。これらの材料をスパッタ法もしくは、ゾルゲル法を用いてスピンコーターにて作製することができる。
膜厚としては特に限定されるものではないが、0.1[μm]以上10[μm]以下の範囲が好ましく、0.5[μm]以上3[μm]以下の範囲がさらに好ましい。この範囲より小さいと図1に示すような圧力室12の加工が難しい場合があり、この範囲より大きいと下地膜17が変形変位しにくくなり、インク滴の吐出が不安定になる場合があるためである。
(第1の駆動電極)
例えば図1に示す、第1の駆動電極15としては特に限定されるものではないが、金属または金属と酸化物とからなっていることが好ましい。具体的には、第1の駆動電極15としては例えば、金属電極膜から構成することができる。また、金属電極膜と酸化物電極膜とから構成することもできる。
第1の駆動電極15がいずれの材料からなる場合でも、振動板17と金属膜との間に密着層を形成し、剥がれ等を抑制するように工夫することが好ましい。以下に密着層を含めて金属電極膜、酸化物電極膜の詳細について記載する。
密着層としては、例えば、金属膜を成膜後、RTA(rapid thermal annealing)装置を用いて、RTA法により酸化(熱酸化)して酸化膜とすることにより得ることができる。酸化(熱酸化)を行う際の条件としては特に限定されるものではなく、用いる金属膜の材質等により選択することができる。例えば、650〜800[℃]で、1〜30分間、O雰囲気で金属膜を熱酸化することにより形成することができる。
金属膜は例えばスパッタ法により成膜することができる。金属膜の材料としてはTi、Ta、Ir、Ru等の材料を好ましく用いることができ、中でもTiを好ましく用いることができる。
金属酸化物膜は反応性スパッタにより作製してもよいが、金属膜の高温による熱酸化法が望ましい。これは、反応性スパッタにより作製する場合、例えばシリコン基板などの基板も一緒に高温で加熱する必要があるため、特別なスパッタチャンバ構成を必要となり、コスト上好ましくないためである。また、一般の炉による酸化よりも、RTA装置による酸化の方が金属酸化物膜の結晶性が良好になることが挙げられる。これは、チタン膜を例に説明すると、通常の加熱炉による酸化によれば、酸化しやすいチタン膜は、低温においてはいくつもの結晶構造を作るため、一旦、それを壊す必要が生じる。これに対して、昇温速度の速いRTA法による酸化ではそのような過程を経る必要がなく、良好な結晶を形成することが可能になる。
密着層の膜厚としては、特に限定されるものではないが、10[nm]以上50[nm]以下の範囲が好ましく、15[nm]以上30[nm]以下の範囲がさらに好ましい。膜厚が上記範囲よりも薄い場合においては、振動板、第1の駆動電極との密着性が悪くなる場合がある。また、膜厚が上記範囲よりも厚いとその上に作製する第1の駆動電極の膜の結晶の質に影響が出てくる場合がある。このため、上記範囲を選択することが好ましい。
金属電極膜の金属材料としては従来から高い耐熱性と低い反応性を有する白金を用いることができる。なお、白金は鉛に対して十分なバリア性を有しない場合があるため、イリジウム、白金−ロジウムなどの白金族元素や、これら合金も用いることができる。
また、金属電極膜の金属材料として白金を使用する場合には、下地(特にSiO)との密着性が悪いために、上記密着層を先に積層することが好ましい。
金属電極膜の作製方法としては特に限定されるものではないが、例えばスパッタ法や真空蒸着等の真空成膜を用いることができる。
金属電極膜の膜厚としては要求される性能に応じて選択すればよく、限定されるものではないが、例えば80[nm]〜200[nm]であることが好ましく、100[nm]〜150[nm]であることがより好ましい。上記範囲より薄い場合においては、共通電極として十分な電流を供給することができない場合があり、インク吐出をする際に不具合が発生する場合があるため好ましくない。また、上記範囲より厚い場合、特に金属電極膜の金属材料として白金族元素の高価な材料を使用する場合においては、コスト上問題となる点が挙げられる。また、特に金属材料として白金を用いた場合、膜厚を厚くしていたったときに表面粗さが大きくなる。すると、その上に作製する膜(例えば酸化物電極膜や電気機械変換膜)の表面粗さや結晶配向性に影響を及ぼして、インク吐出に十分な変位が得られないような不具合が発生する場合がある。
酸化物電極膜の材料としては、ルテニウム酸ストロンチウム(SrRuO、以下単に「SRO」とも記載する。)を用いることが好ましい。また、ルテニウム酸ストロンチウムの一部を置換した材料、具体的には、SrxA1−xRuyB1−yO(式中、AはBa、Ca、 BはCo、Ni、 x、y=0〜0.5)で表される材料についても好ましく用いることができる。
酸化物電極膜の成膜方法については例えばスパッタ法により作製することができる。スパッタ条件については限定されるものではないが、スパッタ条件によって酸化物膜の膜質が変化するため、要求される結晶配向性等により選択することができる。
例えば、後述する電気機械変換膜34は、連続動作したときの変位特性劣化を抑えるためにはその結晶性としては(111)面方位に配向していることが好ましい。このような電気機械変換膜34を得るためには、その下層に配置した酸化物電極膜についても(111)面方位に配向していることが好ましい。このため、酸化物電極膜は(111)面方位に優先配向していることが好ましい。
そして、酸化物電極膜について(111)面方位に優先配向した膜を得るために、500[℃]以上に基板加熱を行い、これにスパッタ法により酸化物電極膜を成膜することが好ましい。
また、酸化物電極膜の下層に金属電極膜を設ける場合、該金属電極膜は白金膜からなることが好ましい。また、その面方位として、(111)面方位に配向していることが好ましい。これは、その上に成膜する酸化物電極膜についても(111)面方位に優先配向したものが得やすくなるためである。
例えば特許文献7には、SRO膜の成膜条件として、SROを室温で成膜後、RTA処理にて結晶化温度で熱酸化するとされている。この場合、SRO膜としては、十分結晶化され、電極としての比抵抗としても十分な値が得られるが、膜の結晶配向性としては、(110)が優先配向しやすくなり、その上に例えばPZT膜を成膜した場合、このPZT膜についても(110)配向しやすくなる。このため、本実施形態においてSRO膜を形成する場合には、上記成膜条件により成膜することが好ましい。
ここで、例えば金属電極膜として(111)面方位に配向した白金膜を用い、その上に酸化物電極膜であるSrRuO膜を作製した場合に、酸化物電極の結晶性をX線回折測定により評価する方法について説明する。
PtとSrRuOとは格子定数が近いため、通常のX線回折測定におけるθ−2θ測定では、SRO膜の(111)面とPtの(111)面の2θ位置が重なってしまい判別が難しい。しかし、Ptについては消滅則の関係からPsi=35[°]に傾けた場合、2θが約32[°]付近の位置では回折線が打ち消し合い、Ptの回折強度が見られなくなる。そのため、Psi方向を約35[°]傾けて、2θが約32[°]付近のピーク強度で判断することでSROが(111)面方位に優先配向しているかを確認することができる。
図9に、シリコン基板上に、密着層として酸化チタン膜を成膜した後、(111)面方位に配向している白金膜を成膜し、その上に基板を例えば550[℃]に加熱しながら、スパッタ法によりSrRuO膜を成膜した試料のX線回折測定結果を示す。
図9においては、2θ=32[°]に固定し、Psiを変化させたときのデータを示している。Psi=0[°]ではSROの(110)面の回折線はほとんど回折強度が見られず、Psi=35[°]付近において、回折強度が見られることから、この測定方法によりSROが(111)面方位に優先配向していることが確認できる。また、この結果から、本成膜条件にて作製したものについては、SROが(111)面方位に優先配向していることを確認できた。
また、上述記載のSRO膜を室温で成膜後、RTA処理することにより作製されたSRO膜について同様に評価を行ったところ、Psi=0[°]のときにSRO(110)の回折強度が見られた。
圧電アクチュエータとして連続動作したときに、駆動させた後の変位量が、初期変位に比べてどのくらい劣化したかを見積もったところ、電気機械変換膜(例えばPZT)の配向性が非常に影響しており、(110)では変位劣化抑制において不十分な場合がある。このため、上述のように酸化物電極膜は(111)面方位に配向していることが好ましい。
酸化物電極に用いるSrRuO膜の表面粗さは4[nm]以上、15[nm]以下であることが好ましく、6[nm]以上、10[nm]以下であることがさらに好ましい。なお、ここでの表面粗さについてはAFMにより測定される表面粗さ(平均粗さ)を意味している。
SrRuO膜の表面粗さは成膜温度に影響し、室温から300[℃]に基材を加熱して成膜した場合、表面粗さが非常に小さく2[nm]以下になる。この場合、表面粗さとしては、非常に小さくフラットになっているが、SrRuO膜の結晶性は十分でない場合がある。この様にSrRuO膜の結晶性が十分でない場合、その後に成膜する電気機械変換膜(例えばPZT膜)の圧電アクチュエータとしての初期変位や連続駆動後の変位劣化については十分な特性が得られなくなる。
そこで、成膜条件からみて、SrRuO膜の結晶性を悪化させずに得られる表面粗さを検討したところ上記範囲となることから、上記範囲を有することが好ましい。
上記範囲からはずれた場合、SrRuO膜の結晶性を悪化する場合があり、その後成膜する電気機械変換膜の絶縁耐圧が悪化し、リークしやすくなる場合があるため好ましくない。
そして、上述のような、結晶性や表面粗さを有するSrRuO膜を得るためには、成膜条件(温度)としては500[℃]〜700[℃]、好ましくは520[℃]〜600[℃]の範囲に基板を加熱して、スパッタ法により成膜することが好ましい。
成膜後のSrとRuの組成比については特に限定されるものではなく、要求される導電性等により選択されるが、Sr/Ruが0.82以上、1.22以下であることが好ましい。これは、上記範囲から外れると比抵抗が大きくなり、電極として十分な導電性が得られなくなる場合があるためである。
さらに、酸化物電極としてSRO膜の膜厚としては、40[nm]以上、150[nm]以下であることが好ましく、50[nm]以上、80[nm]以下であることがさらに好ましい。上記膜厚範囲よりも薄いと初期変位や連続駆動後の変位劣化については十分な特性が得られない場合がある。また、電気機械変換膜のオーバーエッチングを抑制するためのストップエッチング層としての機能も得られにくくなる。さらに、上記膜厚範囲を超えると、その後成膜したPZTの絶縁耐圧が悪くなり、リークしやすくなる場合があるためである。
酸化物電極の比抵抗としては、5×10−3[Ω・cm]以下になっていることが好ましく、さらに1×10−3[Ω・cm]以下になっていることがさらに好ましい。この範囲よりも大きくなると第1の配線との界面で接触抵抗が十分得られず、共通電極として十分な電流を供給することができず、インク吐出をする際に不具合が発生する場合があるためである。
(電気機械変換膜)
電気機械変換膜34としては、圧電性を有する材料であれば使用することができ、特に限定されるものではない。例えば、広く用いられているPZTを好ましく使用することができる。なお、PZTとはジルコン酸鉛(PbZrO)とチタン酸鉛(PbTiO)の固溶体で、その比率により特性が異なるが、その比率についても限定されるものではなく、要求される圧電性能等に応じて選択することができる。中でもPbZrOとPbTiOの比率(モル比)が53:47の割合で、化学式で示すとPb(Zr0.53,Ti0.47)Oで表わされるPZT(PZT(53/47)とも示される)は、特に優れた圧電特性を示すことから好ましく用いることができる。
PZT以外の材料として、チタン酸バリウムも用いることができる。この場合はバリウムアルコキシド、チタンアルコキシド化合物を出発材料にし、共通溶媒に溶解させることでチタン酸バリウム前駆体溶液を作製することも可能である。
また、上記PZTや、チタン酸バリウムは一般式ABOで表わされる。PZT、チタン酸バリウム以外にもABO(A=Pb、Ba、Sr、B=Ti、Zr、Sn、Ni、Zn、Mg、Nb)で表わされる複合酸化物を主成分とする複合酸化物を用いることができる。
さらに、(Pb1−x,Bax)(Zr,Ti)O、(Pb1−x,Srx)(Zr,Ti)Oの様にAサイトのPbを一部BaやSrで置換した複合酸化物も使用することができる。置換に用いる元素としては2価の元素であれば可能であり、Pbの一部を2価の元素で置換することにより電気機械変換膜を成膜する際等に熱処理を行った場合に鉛の蒸発による特性劣化を低減させる効果がある。
電気機械変換膜34の作製方法としては、特に限定されるものではないが、例えばスパッタ法や、ゾルゲル法を用いてスピンコーターにて作製することができる。そして、成膜後、フォトリソエッチング等によりパターニングを行い、所望のパターンを得ることができる。
PZTからなる電気機械変換膜34をゾルゲル法により作製する場合を例に説明する。
酢酸鉛、ジルコニウムアルコキシド、チタンアルコキシド化合物を出発材料とし、共通溶媒としてメトキシエタノールを用い、上記出発原料が所定比になるように共通溶液に溶解させ均一溶液とすることで、PZT前駆体溶液を作製する。なお、金属アルコキシド化合物は大気中の水分により容易に加水分解してしまうので、前駆体溶液に安定剤としてアセチルアセトン、酢酸、ジエタノールアミンなどの安定化剤を適量、添加しておくこともできる。また、鉛成分は成膜工程で熱処理を行う際などに蒸発することがあるので、量論比よりも多めに添加しておくこともできる。
下地基板全面にPZT膜を得る場合、スピンコートなどの溶液塗布法により塗膜を形成し、溶媒乾燥、熱分解、結晶化の各々の熱処理を施すことでPZT膜を得ることができる。塗膜から結晶化膜への変態には体積収縮が伴うので、クラックフリーな膜を得るには一度の工程で100[nm]以下の膜厚が得られるように前駆体濃度の調整を行うことが好ましく、成膜工程を繰り返し行うことで所望の膜厚のPZT膜を得ることができる。
なお、チタン酸バリウム膜の場合であれば、例えば、バリウムアルコキシド、チタンアルコキシド化合物を出発材料にし、共通溶媒に溶解させることでチタン酸バリウム前駆体溶液を作製する。そして、これを用いて例えば上記PZTの場合と同様の手順でゾルゲル法により成膜することが可能である。
電気機械変換膜34の膜厚としては限定されるものではなく、要求される圧電特性に応じて選択すればよいが、0.5[μm]以上、5[μm]以下であることが好ましく、1[μm]以上、2[μm]以下であることがより好ましい。これは、上記範囲より薄いと圧電アクチュエータとして使用する際に十分な変位を発生することができない場合があるためである。また、上記範囲より厚いと、その製造工程において何層も積層させて成膜するため、工程数が多くなりプロセス時間が長くなるためである。
また、電気機械変換膜34の比誘電率としては600以上、2000以下になっていることが好ましく、さらに1200以上、1600以下になっていることがより好ましい。比誘電率が係る範囲より小さいと、圧電アクチュエータとして使用する際に十分な変位特性が得られない場合がある。また、比誘電率が係る範囲より大きくなると、分極処理が十分行われず、連続駆動後の変位劣化については十分な特性が得られないといった不具合が発生する場合がある。
(第2の駆動電極)
第2の駆動電極35としては特に限定されるものではないが、金属または酸化物と金属からなっていることが好ましい。具体的には、第2の駆動電極35としては例えば、金属電極膜から構成することができる。また、金属電極膜と酸化物電極膜から構成することもできる。
以下に酸化物電極膜、金属電極膜の詳細について記載する。
酸化物電極膜の材料等については、第1の駆動電極の酸化物電極膜で説明したものと同様である。酸化物電極膜の膜厚としては、20[nm]以上、80[nm]以下が好ましく、40[nm]以上、60[nm]以下がより好ましい。これは、この膜厚範囲よりも薄いと初期変位や変位劣化特性については十分な特性が得られない場合があり、この範囲を超えると、電気機械変換膜の絶縁耐圧が非常に悪くなり、リークしやすくなる場合があるためである。
金属電極膜の材料等については第1の駆動電極の金属電極膜で説明したものと同様である。金属電極膜の膜厚としては、30[nm]以上200[nm]以下が好ましく、50[nm]以上120[nm]以下がさらに好ましい。これは、この膜厚範囲より薄いと個別電極として十分な電流を供給することができなくなり、インク吐出をする際に不具合が発生する場合があるためである。また、この膜厚範囲より厚い場合においては、金属電極膜の材料として白金族元素の高価な材料を使用する場合においては、コストアップとなる点で問題である。また、白金を材料とした場合においては、膜厚を厚くしていったときに表面粗さが大きくなり、第1の絶縁保護膜を介して第2の配線を作製する際に、膜剥がれ等の不具合が発生しやすくなる場合があるためである。
(第1の絶縁保護膜)
第1の絶縁保護膜41は、成膜・エッチングの工程による圧電素子へのダメージを防ぐとともに、大気中の水分が透過することを防止する機能を有することが好ましい。このため、その材料としては緻密な無機材料とすることが好ましい。有機材料の場合、十分な保護性能を得るためには膜厚を厚くする必要があるが、絶縁膜を厚い膜とした場合、振動板の振動変位を阻害し、吐出性能の低い液滴吐出ヘッドとなる場合があるためである。
薄膜で高い保護性能を得るには、酸化物,窒化物,炭化物の薄膜を用いることが好ましいが、絶縁膜の下地となる、電極材料、電気機械変換膜材料、振動板材料と密着性が高い材料を選定することが好ましい。具体的には、第1の絶縁保護膜41としては例えば、アルミナ膜、シリコン酸化膜、窒化シリコン膜、酸化窒化シリコン膜から選択される少なくとも1種の無機膜からなることが好ましい。より具体的には、Al,ZrO,Y,Ta,TiOなどのセラミクス材料に用いられる酸化膜が例として挙げられる。これらの膜は、密着性がよく、膜が硬く、しかも耐磨耗性やコストパフォーマンスに優れている。
また、第1の絶縁保護膜41の成膜法も圧電素子を損傷する可能性が低い成膜方法であることが好ましく、例えば、蒸着法、ALD法などを好ましく用いることができ、使用できる材料の選択肢が広いALD法をより好ましく用いることができる。特にALD法を用いることで、膜密度の非常に高い薄膜を作製することができ、プロセス中でのダメージを抑制することが可能になる。
そして、反応性ガスをプラズマ化して基板上に堆積するプラズマCVD法やプラズマをターゲット材に衝突させて飛ばすことで成膜するスパッタリング法は圧電素子を損傷する可能性が蒸着法、ALD法に比べて高いため好ましくない。
第1の絶縁保護膜41の膜厚は、圧電素子を保護するために十分な厚さの薄膜であり、かつ、振動板の変位を阻害しないように可能な限り薄いものであればよく、特に限定されるものではない。例えば、第1の絶縁保護膜の膜厚としては20[nm]〜100[nm]の範囲であることが好ましい。100[nm]より厚い場合は、振動板の変位が低下するため、吐出効率の低い液滴吐出ヘッド(インクジェットヘッド)となる場合がある。一方、20[nm]より薄い場合は圧電素子の保護層としての機能が十分ではない場合があり、圧電素子の性能が低下する恐れがある。
また、第1の絶縁保護膜41としてさらにもう1層設けて、2層にする構成も考えられる。この場合、例えば2層目の絶縁保護膜を厚くして振動板の振動変位を阻害しないように第2の駆動電極部付近において2層目の絶縁膜を開口するような構成としてもよい。
2層目の絶縁保護膜としては、任意の酸化物,窒化物,炭化物またはこれらの複合化合物を用いることができる。例えば、半導体デバイスで一般的に用いられるSiOを用いることができる。
2層目の絶縁保護膜の成膜方法としては任意の手法を用いることができ、CVD法,スパッタリング法が挙げられる。電極形成部等のパターン形成部の段差被覆を考慮すると等方的に成膜できるCVD法を用いることが好ましい。
2層目の絶縁保護膜の膜厚は、共通電極と個別電極配線との間に印加される電圧で絶縁破壊されないように選択することが好ましい。すなわち絶縁膜に印加される電界強度を、絶縁破壊しない範囲に設定することが好ましい。さらに、2層目の絶縁膜の下地の表面性やピンホール等を考慮すると膜厚は200[nm]以上であることが好ましく、500[nm]以上であることがさらに好ましい。
(第1、第2の配線)
第1の配線42、第2の配線43は、第1の駆動電極33、前記第2の駆動電極35にそれぞれ電気的に接続されており、第1の絶縁保護膜41上に形成されている。
第1の配線42、及び、第2の配線43の材質は特に限定されるものではなく、要求される性能等に応じて選択すればよいが、例えば、Ag合金、Cu、Al、Al合金、Au、Pt、Irから選択される少なくとも1種の金属からなることが好ましい。これらの金属は、基板上に低抵抗で耐久性のある電極を成膜することができる。
第1の配線42、第2の配線43の作製方法としては、例えば、スパッタ法、スピンコート法を用いて作製し、その後フォトリソエッチング等により所望のパターンを得る方法を好ましく用 いることができる。
第1の配線42、第2の配線43の膜厚としては、0.1[μm]〜20[μm]が好ましく、0.2[μm]〜10[μm]がさらに好ましい。膜厚が上記範囲より小さいと抵抗が大きくなり電極に十分な電流を流すことができずに液滴吐出ヘッドとした場合に液滴の吐出が不安定になる場合がある。また、膜厚が上記範囲より大きいとプロセス時間が長くなり生産性の面で問題となる場合がある。
また、第1の配線42のうち、開口部(コンタクトホール)48から露出している部分が共通電極用パッド46となる。また、第2の配線43のうち、開口部(コンタクトホール)49から露出している部分が個別電極用パッド47となる。これらのパッド46、47(10[μm]×10[μm])での接触抵抗は、共通電極用パッド46の接触抵抗としては10[Ω]以下が好ましく、個別電極用パッド47の接触抵抗としては1[Ω]以下が好ましい。さらに、共通電極用パッド46の接触抵抗としては5[Ω]以下、個別電極用パッド47の接触抵抗としては0.5[Ω]以下であることがより好ましい。これは、上記各パッド46、47での接触抵抗が上記範囲を超えると十分な電流を供給することができなくなり、液滴吐出ヘッドとした場合に、液滴の吐出をする際に不具合が発生する場合があるためである。
(第2の絶縁保護膜)
第2の絶縁保護膜44は個別電極配線や共通電極配線の保護層の機能を有するパッシベーション層として機能するものである。
図5(a)に示す通り、個別電極引き出し部と、図示しないが共通電極引き出し部を除き、個別電極と共通電極上を被覆する。このように第2の絶縁保護膜44を設けることにより、電極材料として安価なAlもしくはAlを主成分とする合金材料を用いることができる。その結果、低コストかつ信頼性の高いインクジェットヘッドとすることができる。
第2の絶縁保護膜44の材料としては、任意の無機材料、有機材料を使用することができるが、透湿性の低い材料を用いることが好ましい。
無機材料としては、例えば酸化物、窒化物、炭化物等を用いることができ、有機材料としてはポリイミド、アクリル樹脂、ウレタン樹脂等を用いることができる。ただし有機材料の場合には厚膜とすることが必要となるため、後述のパターニングに適さない。そのため、薄膜で配線保護機能を発揮できる無機材料を用いることがより好ましい。
このため、第2の絶縁保護膜44がアルミナ膜、シリコン酸化膜、窒化シリコン膜、酸化窒化シリコン膜から選択される少なくとも1種の無機膜であることが好ましい。特に、Al配線上に第2の絶縁保護膜としてSiを用いることは半導体デバイスで実績のある技術であるため、本実施形態においても同様の構成を採用することが好ましい。
また、第2の絶縁保護膜44の膜厚は200[nm]以上とすることが好ましく、500[nm]以上であることがさらに好ましい。これは、膜厚が薄い場合は十分なパッシベーション機能を発揮できないため、配線材料の腐食による断線が発生し、電気機械変換素子の信頼性を低下させてしまう可能性があるためである。
また、圧電素子上とその周囲の振動板上に開口部をもつ構造が好ましい。これは、前述の第1の絶縁保護膜41上の個別電極用パッド47付近において開口部49を設けることと同様の理由である。これにより、高効率かつ高信頼性の電気機械変換素子とすることができる。また、例えばこの電気機械変換素子30を用いた高効率かつ高信頼性の液滴吐出ヘッド、インクジェットヘッドとすることが可能になる。
なお、第1の絶縁保護膜41、第2の絶縁保護膜44により圧電素子が保護されているため開口部48,49の形成には、フォトリソグラフィー法とドライエッチングを用いることが可能である。
また、第2の絶縁保護膜44には複数のパッド(共通電極用パッド46,個別電極用パッド47)が設けられるが、これらのパッドの面積はそれぞれ2500[μm]以上であることが好ましく、さらに30000[μm]以上であることがより好ましい。この値に満たない場合は、十分な分極処理ができなくなる場合や、連続駆動後の変位劣化については十分な特性が得られない場合があるためである。
上記複数のパッド(共通電極用パッド46,個別電極用パッド47)の形成方法は特に限定されるものではないが、例えばリソエッチ(リソグラフィー・エッチング法)を用いて形成することができる。
(導体プレート)
導体プレート20はコロナ放電またはグロー放電により発生した電荷を電気機械変換素子30に注入する機能を有するものである。
図6(a)に示すように、導体プレート20は本体のプレート部20aと突起部20bとから構成されており、個別電極用パッド47の開口部に導体プレート20の突起部20bを接続させ、その部分にコロナ放電もしくはグロー放電を行う。
導体プレート20の面積は、図6(b)に示すように、電気機械変換素子30が存在する基板31と等しいことが好ましく、それ以上に大きな面積を有していることがより好ましい。これは、導体プレート20の面積が上記面積よりも小さいと、コロナ放電により発生した電荷が、共通電極などに注入されてしまい、この電界の強度が低下し、分極処理における所望の効果が得られないおそれがあるためである。
また導体プレート20を構成する材料としては、上記共通電極用パッド46及び個別電極用パッド47(第1の配線42及び第2の配線43)と同種の材料であることが好ましい。すなわち、導体プレート20を構成する材料は、第1の配線42及び第2の配線43と同種のAg合金、Cu、Al、Au、Pt、Irのいずれかから選択された金属電極材料であることが好ましい。
また、導体プレート20の図6(a)における下側の面には、第2の配線43に接続するためのパッド47の位置と個数とに対応した突起状の複数の接触部20aが設けられている。これらの接触部20aの高さは、例えば、1[mm]である。分極処理を行う際には、これらの接触部20aが第2の配線43に接続するパッド47に接続し電荷を注入する。
以上説明してきた本実施形態の電気機械変換素子30の製造方法によれば、ウェハレベルで一括して圧電素子に分極処理を行うことができる。また、この製造方法によって得られる電気機械変換素子30は液滴吐出ヘッドとした場合に、電気機械変換素子30が所定駆動電圧に対して安定した変位量を示し、液滴吐出特性を良好に保持できると共に安定した液滴吐出特性を得ることができる。
具体的な構成としては、図1に示したように、液滴を吐出するノズル11と、ノズル11が連通する加圧室12と、加圧室12内の液体を昇圧させる吐出駆動手段とを備えた液滴吐出ヘッド10である。そして、本実施形態の液滴吐出ヘッド10においては、吐出駆動手段として、加圧室12の壁の一部を振動板で構成し、この振動板に上述した電気機械変換素子を配置したものである。
この液滴吐出ヘッド10によれば、上述した電気機械変換素子を用いているため、所定駆動電圧に対して安定した変位量を示し、液滴吐出特性を良好に保持できると共に安定した液滴吐出特性を得ることができる。
なお、本実施形態では1つのノズルからなる液滴吐出ヘッドについて説明したが、係る形態に限定されるものではなく、図11に示すように複数の液滴吐出ヘッドを備えた構成とすることもできる。図11においては、図1の液滴吐出ヘッドを複数個直列に並べたものであり、同じ部材には同じ番号を付している。
また、液体供給手段、流路、流体抵抗等については記載を省略したが、液滴吐出ヘッドに設けることのできる付帯設備を当然に設けることができる。
〔実施例1〕
以下に電気機械変換素子のより具体的な製造方法について実施例を挙げて説明する。ただし、本発明はこの実施例に限定されるものではない。
まず、6インチシリコンウェハに熱酸化膜(膜厚1[μm])を形成した。
次いで、第1の駆動電極を形成した。具体的にはまず、密着膜として、チタン膜(膜厚30[nm])をスパッタ装置にて成膜した後にRTAを用いて750[℃]にて熱酸化した。そして、引き続き金属膜として白金膜(膜厚100[nm])、酸化物膜としてSrRuO膜(膜厚60[nm])をスパッタ成膜した。スパッタ成膜時の基板加熱温度については550[℃]にて成膜を実施した。
次に電気機械変換膜を形成した。具体的には、モル比でPb:Zr:Ti=114:53:47に調整された溶液を準備し、スピンコート法により膜を成膜した。
具体的な前駆体塗布液の合成については、出発材料に酢酸鉛三水和物、イソプロポキシドチタン、ノルマルプロポキシドジルコニウムを用いた。酢酸鉛の結晶水はメトキシエタノールに溶解後、脱水した。化学両論組成に対し鉛量を過剰にしてある。これは熱処理中のいわゆる鉛抜けによる結晶性低下を防ぐためである。
イソプロポキシドチタン、ノルマルプロポキシドジルコニウムをメトキシエタノールに溶解し、アルコール交換反応、エステル化反応を進め、上記酢酸鉛を溶解したメトキシエタノール溶液と混合することでPZT前駆体溶液を合成した。合成したPZT前駆体溶液中のPZT濃度は0.5[モル/L]とした。
上記前駆体溶液を用いて、スピンコートにより前記第1の駆動電極が形成された基板上に成膜し、成膜後、120[℃]乾燥を行い、その後さらに500[℃]熱分解を行う操作を複数回繰り返し行い電気機械変換膜を積層した。
上記手順により繰り返し、電気機械変換膜を積層する際に、3層目の熱分解処理後に、結晶化熱処理(温度750[℃])をRTA(急速熱処理)にて行った。3層目の熱分解処理後、RTA処理を施した電気機械変換膜(PZT)の膜厚は240[nm]であった。
上記工程を計8回(24層)実施し、PZTの部分の膜厚が約2[μm]の電気機械変換膜を得た。
次に、第2の駆動電極の酸化物膜としてSrRuO膜(膜厚40[nm])を、金属膜としてPt膜(膜厚125[nm])を、それぞれスパッタ成膜した。
その後、東京応化社製フォトレジスト(TSMR8800)をスピンコート法で成膜し、通常のフォトリソグラフィーでレジストパターンを形成した。その後、ICPエッチング装置(サムコ製)を用いて電気機械変換膜、第2の駆動電極をエッチングにより個別化し、図5に示すようなパターンを作製した。これにより、第2の駆動電極は個別電極として機能し、第1の駆動電極は個別化された電気機械変換膜、第2の駆動電極に対して共通電極として機能する。
次に、第1の絶縁保護膜として、ALD法によりAl膜を50[nm]成膜した。
原材料としてAl源としては、トリメチルアルミニウム(TMA)(シグマアルドリッチ社製)、O源としては、オゾンジェネレーターによって発生させたOを用いた。そして、Al源、O源を交互に基板上に供給して積層させることで、成膜を行った。
その後、図5に示すように、エッチングによりコンタクトホールを形成した。
そして、第1の配線、第2の配線としてAlをスパッタ成膜し、エッチングによりパターニング形成した。
さらにその後、第2の絶縁膜としてSiをプラズマCVDにより500[nm]成膜し、電気機械変換素子を作製した。
このとき、6インチウェハ内30[mm]×10[mm]四方のエリアを25個配置しその中で個別電極パッド面積(50[μm]×1000[μm])、パッド数としては300個用意した。また、共通電極パッド面積(50[μm]×1000[μm])、パッド数としては30個用意した。
この後、基板と同等の面積を有し、個別電極のパッド数と個別電極のパッドの位置に対応した接触部を有する導体プレート20によりウェハ内全ての個別電極パッドに接続し、コロナ帯電処理により分極処理を行った。
コロナ帯電処理はφ50[μm]のタングステンのワイヤーを用いて行った。ワイヤーと導体プレート20との間の距離を5[mm]として、サンプルに対して6[kV]の電圧を印可し20分間処理を行った。
〔比較例1〕
コロナ帯電処理において導体プレート20を用いずにサンプルに対して電圧を印可したこと以外は、実施例1と同様にして電気機械変換素子を作製した。ただし、比較例1では、導体プレート20を用いないため、6インチウェハ内の30[mm]×10[mm]四方の25個のエリアの中の個別電極パッド全てにタングステンワイヤーでコロナ帯電処理を行う必要がある。このため、コロナ帯電処理を列ごとに行わなければならず、9回の処理を行う必要がある。
図10は、実施例1と比較例1とによりそれぞれ作製した電気機械変換素子を比較するグラフである。図10に示すグラフでは、実施例1と比較例1とによりそれぞれ作製したウェハ内の電気機械変換素子の処理効果について、X軸をPr−Piniの範囲とし、Y軸をその範囲に入る素子数の割合として比較している。
図10において、導体プレート20を用いて処理を行った実施例1の方が、ウェハ内全体でバラツキが少ないことがわかる。さらに、実施例1では導体プレート20を用いない比較例1に比べて、極めて短い時間で処理効果を得ることができる。つまり上述したように、実施例1では、比較例1に比べて9分の1の時間でコロナ帯電処理による分極処理を行うことができる。
次に、前記液滴吐出ヘッドを備えた液滴吐出装置の構成例について説明する。液滴吐出装置の形態としては特に限定されるものではないが、ここではインクジェット記録装置を例に説明する。
インクジェット記録装置の一例について図12及び図13を参照して説明する。なお、図12は同記録装置の斜視説明図、図13は同記録装置の機構部の側面説明図である。
このインクジェット記録装置は、記録装置本体61の内部に主走査方向に移動可能なキャリッジ69を備えている。また、このキャリッジ69に搭載したインクジェットヘッドからなる記録ヘッド、記録ヘッドへインクを供給するインクカートリッジ等で構成される印字機構部62等を収納している。また、装置本体61の下方部には前方側から多数枚の用紙63を積載可能な給紙カセット(或いは給紙トレイでもよい。)64を抜き差し自在に装着することができ、また、用紙63を手差しで給紙するための手差しトレイ65を開倒することができる。そして、給紙カセット64或いは手差しトレイ65から給送される用紙63を取り込み、印字機構部62によって所要の画像を記録した後、後面側に装着された排紙トレイ66に排紙する。
印字機構部62は、図示しない左右の側板に横架したガイド部材である主ガイドロッド67と従ガイドロッド68とでキャリッジ69を主走査方向に摺動自在に保持している。キャリッジ69にはイエロー(Y)、シアン(C)、マゼンタ(M)、ブラック(Bk)の各色のインク滴を吐出するインクジェットヘッドからなる記録ヘッド70を備えている。この記録ヘッド70は、複数のインク吐出口(ノズル)を主走査方向と交差する方向に配列し、インク滴吐出方向を下方に向けて装着している。また、キャリッジ69にはヘッド70に各色のインクを供給するための各インクカートリッジ71を交換可能に装着している。
インクカートリッジ71は上方に大気と連通する大気口、下方にはインクジェットヘッドへインクを供給する供給口を、内部にはインクが充填された多孔質体を有している。この多孔質体の毛管力によりインクジェットヘッドへ供給されるインクをわずかな負圧に維持している。また、記録ヘッドとしてここでは各色の記録ヘッド70を用いているが、各色のインク滴を吐出するノズルを有する1個の記録ヘッドでもよい。
ここで、キャリッジ69は後方側(用紙搬送方向下流側)を主ガイドロッド67に摺動自在に嵌装し、前方側(用紙搬送方向上流側)を従ガイドロッド68に摺動自在に載置している。そして、このキャリッジ69を主走査方向に移動走査するため、主走査モーター72で回転駆動される駆動プーリ73と従動プーリ74との間にタイミングベルト75を張装している。このタイミングベルト75をキャリッジ69に固定しており、主走査モーター72の正逆回転によりキャリッジ69が往復駆動される。
一方、給紙カセット64にセットした用紙63をヘッド70の下方側に搬送するために、給紙カセット64から用紙63を分離給装する給紙ローラ76及びフリクションパッド77と、用紙63を案内するガイド部材78とを設けている。また、給紙された用紙63を反転させて搬送する搬送ローラ79と、この搬送ローラ79の周面に押し付けられる搬送コロ80及び搬送ローラ79からの用紙63の送り出し角度を規定する先端コロ81とを設けている。搬送ローラ79は副走査モーター82によってギヤ列を介して回転駆動される。
そして、キャリッジ69の主走査方向の移動範囲に対応して搬送ローラ79から送り出された用紙63を記録ヘッド70の下方側で案内する用紙ガイド部材である印写受け部材83を設けている。この印写受け部材83の用紙搬送方向下流側には、用紙63を排紙方向へ送り出すために回転駆動される搬送コロ84、拍車85を設けている。さらに用紙63を排紙トレイ66に送り出す排紙ローラ86及び拍車87と、排紙経路を形成するガイド部材88、89とを配設している。
記録時には、キャリッジ69を移動させながら画像信号に応じて記録ヘッド70を駆動することにより、停止している用紙63にインクを吐出して1行分を記録し、用紙63を所定量搬送後次の行の記録を行う。記録終了信号または、用紙63の後端が記録領域に到達した信号を受けることにより、記録動作を終了させ用紙63を排紙する。
また、キャリッジ69の移動方向右端側の記録領域を外れた位置には、ヘッド70の吐出不良を回復するための回復装置90を配置している。回復装置90はキャップ手段と吸引手段とクリーニング手段を有している。キャリッジ69は印字待機中にはこの回復装置90側に移動されてキャッピング手段でヘッド70をキャッピングされ、吐出口部を湿潤状態に保つことによりインク乾燥による吐出不良を防止する。また、記録途中などに記録と関係しないインクを吐出することにより、全ての吐出口のインク粘度を一定にし、安定した吐出性能を維持する。
吐出不良が発生した場合等には、キャッピング手段でヘッド70の吐出口(ノズル)を密封し、チューブを通して吸引手段で吐出口からインクとともに気泡等を吸い出す。これにより、吐出口面に付着したインクやゴミ等はクリーニング手段により除去され吐出不良が回復される。また、吸引されたインクは、本体下部に設置された廃インク溜(不図示)に排出され、廃インク溜内部のインク吸収体に吸収保持される。
このように、本実施形態の液滴吐出装置であるインクジェット記録装置においては、上述の液滴吐出ヘッドを搭載しているので、振動板駆動不良によるインク滴吐出不良がなく、安定したインク滴吐出特性が得られて画像品質が向上する。
以上に説明したものは一例であり、本発明は、次の態様毎に特有の効果を奏する。
(態様A)
基板31または下地膜32上に第1の駆動電極33を形成するステップと、第1の駆動電極33上に電気機械変換膜34とその電気機械変換膜34上に位置する第2の駆動電極35とを形成するステップと、第2の駆動電極35上に第1の絶縁保護膜41を形成するステップと、第2の駆動電極35に電気的に接続された配線43を第1の絶縁保護膜41上に形成するステップと、配線43上に形成される膜であり配線43に接続される個別電極用パッド47などの端子電極を露出する第2の絶縁保護膜44を形成するステップと、、端子電極に対応した接触部20bを有する導体プレート20などの導電性部材を用い、その導電性部材の接触部20bを端子電極に接触させて、導電性部材にコロナ放電もしくはグロー放電により発生した電荷を注入することにより、電気機械変換膜34を分極処理するステップと、を有する。
これによれば、上記実施形態について説明したように、電気機械変換膜34の分極処理を行うときに、導電性部材の接触部20bを、第2の絶縁保護膜44に形成された開口部49から端子電極に接触させるので、コロナ放電もしくはグロー放電により発生した電荷が確実に注入され、電気機械変換膜34の分極処理を行うことができる。また、分極処理は高温の熱が加わる第2の絶縁保護膜44の形成後に行われるので、分極処理後に熱が加わらない。これにより、電気機械変換膜34の分極処理後の脱分極を防ぐことができる。以上により、電気機械変換膜34の分極処理を確実に行うことができるとともに、分極処理後の脱分極を防ぐことができる。
なお、導電性部材が複数の接触部20bを有する場合は、複数の端子電極に導通した複数の電気機械変換膜を一括して分極処理することができ、製造効率を向上させることができる。
(態様B)
上記態様Aにおいて、導電性部材の面積は、基板31の面積以上の面積である。
これによれば、上記実施形態について説明したように、導電性部材の面積が基板31の面積よりも小さいと、コロナ放電もしくはグロー放電により発生した電荷が、第2の駆動電極35以外の電極に注入されてしまい、分極処理における所望の効果が得られないおそれがある。態様Bでは、導電性部材の面積が、基板31の面積以上の面積であるので、第2の駆動電極35以外の電極への電荷注入を抑制することができ、分極処理における所望の効果が得られる。
(態様C)
上記態様A又はBにおいて、分極処理を行うステップにおいて、コロナ放電もしくはグロー放電により発生した電荷が正帯電している。
これによれば、上記実施形態について説明したように、コロナ放電もしくはグロー放電により大気中の分子をイオン化させることで、正帯電した電荷を有する陽イオンを容易に発生させることができる。この陽イオンが、配線43と接続したパッド47を介して電気機械変換素子30に流れ込むことにより、正帯電した電荷を電気機械変換素子30に容易に蓄積させることができる。従って、電気機械変換膜の分極処理を安定して行うことができる。
(態様D)
上記態様A乃至Cのいずれかにおいて、分極処理を行うステップにおいて、コロナ放電もしくはグロー放電により、1.0×10−8[C]以上の電荷量を発生させる。
これによれば、上記実施形態について説明したように、コロナ放電もしくはグロー放電による電荷量が1.0×10−8[C]に満たない場合は、分極処理が十分に行えない場合があり、電気機械変換膜34をPZTなどの圧電アクチュエータとして使用した場合に連続駆動後の変位劣化については十分な特性が得られない場合がある。本態様Dは、コロナ放電もしくはグロー放電による電荷量が1.0×10−8[C]以上の電荷量を発生させるので、分極処理が十分に行うことができ、電気機械変換膜34を圧電アクチュエータとして使用した場合に連続駆動後の変位劣化について十分な特性が得られる。
(態様E)
上記態様A乃至Dのいずれかにおいて、前記導電性部材の材料は、前記端子電極の材料と同じである。
これによれば、上記実施形態について説明したように、導電性部材の接触部20bと端子電極との接触抵抗を小さくすることができ、端子電極を介した電荷の注入効率を高めることができる。
(態様F)
上記態様A乃至Eのいずれかにより得られる電気機械変換素子であって、電気機械変換膜34の分極が、±150[kV/cm]の電界強度かけてヒステリシスループを測定する際、測定開始時の0[kV/cm]における分極をPiniとし、+150[kV/cm]の電圧印加後、0[kV/cm]まで戻した際の0[kV/cm]時の分極をPrとした場合に、PrとPiniの差が10[μC/cm]以下である。
これによれば、上記実施形態について説明したように、PrとPiniの差が10[μC/cm]より大きい場合、電気機械変換膜34を圧電アクチュエータとして使用した場合に連続駆動後の変位劣化については十分な特性が得られない場合があるためである。本態様Fでは、PrとPiniの差が10[μC/cm]以下なので、電気機械変換膜34を圧電アクチュエータとして使用した場合に連続駆動後の変位劣化については十分な特性が得られる。
(態様G)
上記態様Fにおいて、電気機械変換膜34の比誘電率が、600以上、2000以下である。
これによれば、上記実施形態について説明したように、比誘電率が600より小さいと、電気機械変換膜34を圧電アクチュエータとして使用する際に十分な変位特性が得られない場合がある。また、比誘電率が2000より大きくなると、分極処理が十分行われず、連続駆動後の変位劣化については十分な特性が得られないといった不具合が発生する場合がある。本態様Fでは、電気機械変換膜34の比誘電率が、600以上、2000以下なので、電気機械変換膜34を圧電アクチュエータとして使用する際に十分な変位特性が得られる。また、分極処理が十分に行われ、連続駆動後の変位劣化についても十分な特性が得られる。
(態様H)
上記態様F又はGにおいて、前記端子電極の面積が2500[μm]以上である。
これによれば、上記実施形態について説明したように、端子電極の面積が2500[μm]に満たない場合は、十分な分極処理ができなくなる場合や、連続駆動後の変位劣化については十分な特性が得られない場合がある。本態様Hでは、端子電極の面積が2500[μm]以上なので、分極処理が十分に行われ、連続駆動後の変位劣化について十分な特性が得られる。
(態様I)
液滴を吐出するノズル11と、ノズル11が連通する加圧室12と、加圧室12内の液体を昇圧させる吐出駆動手段とを備えた液滴吐出ヘッド10において、前記吐出駆動手段として、加圧室12の壁の一部を振動板17で構成し、振動板17に上記態様F乃至Hのいずれかの電気機械変換素子を配置した。
これによれば、上記実施形態について説明したように、脱分極のない分極処理が確実に行われた電気機械変換素子によって加圧室12内の液体を昇圧させることができるので、安定した液滴吐出特性が得られる。
(態様J)
上記態様Iの液滴吐出ヘッドを備えた液滴吐出装置である。これによれば、上記実施形態について説明したように、安定した液滴吐出特性が得られる。
(態様K)
基板31または下地膜32上に第1の駆動電極33と電気機械変換膜34と第2の電極35とが積層された構造を有する電気機械変換素子に対して、分極処理を行う電気機械変換素子の製造装置であって、コロナ放電又はグロー放電により電荷を発生させるコロナワイヤ52などの放電電極と、電気機械変換素子34を設置するステージ53と、ステージ53に設置された電気機械変換素子の第2の駆動電極に接続される個別電極用パッド47などの端子電極と接触する接触部20aを有する導電性部材でありコロナ放電もしくはグロー放電により発生した電荷が注入される導体プレート20などの導電性部材と、を備える。
これによれば、上記実施形態について説明したように、電気機械変換膜34の分極処理を確実に行うことができるとともに、分極処理後の脱分極を防ぐことができる。
(態様L)
上記態様Kにおいて、前記導電性部材の面積は、前記基板の面積以上の面積である。
これによれば、上記実施形態について説明したように、第2の駆動電極35以外の電極への電荷注入を抑制することができ、分極処理における所望の効果が得られる。
(態様M)
上記態様K又はLにおいて、前記導電性部材の材料は、前記端子電極の材料と同じである。
これによれば、上記実施形態について説明したように、導電性部材の接触部20bと端子電極との接触抵抗を小さくすることができ、端子電極を介した電荷の注入効率を高めることができる。
10 液滴吐出ヘッド
11 ノズル
12 加圧室
13 電気機械変換膜
14 上部電極
15 下部電極
16 電気機械変換素子
17 下地膜(振動板)
20 導体プレート
30 電気機械変換素子
31 基板
33 第1の駆動電極
34 電気機械変換膜
35 第2の駆動電極
41 第1の絶縁保護膜
42 第1の配線
43 第2の配線
44 第2の絶縁保護膜
45 コンタクトホール
46 共通電極用パッド
47 個別電極用パッド
61 (インクジェット)記録装置本体
特許第3365485号公報 特許第4218309号広報 特許第3019845号広報 特開2004−202849号公報 特開2010−034154号公報 特開2006−203190号公報 特許第3782401号公報

Claims (13)

  1. 基板または下地膜上に第1の駆動電極を形成するステップと、
    前記第1の駆動電極上に電気機械変換膜と該電気機械変換膜上に位置する第2の駆動電極とを形成するステップと、
    前記第2の駆動電極上に第1の絶縁保護膜を形成するステップと、
    前記第2の駆動電極に電気的に接続された配線を前記第1の絶縁保護膜上に形成するステップと、
    前記配線上に形成される膜であり前記配線に接続される端子電極を露出する第2の絶縁保護膜を形成するステップと、
    前記端子電極に対応した接触部を有する導電性部材を用い、該導電性部材の接触部を該端子電極に接触させて、該導電性部材にコロナ放電もしくはグロー放電により発生した電荷を注入することにより、前記電気機械変換膜を分極処理するステップと、を有することを特徴とする電気機械変換素子の製造方法。
  2. 請求項1の電気機械変換素子の製造方法において、
    前記導電性部材の面積は、前記基板の面積以上の面積であることを特徴とする電気機械変換素子の製造方法。
  3. 請求項1又は2の電気機械変換素子の製造方法において、
    前記分極処理を行うステップにおいて、コロナ放電もしくはグロー放電により発生した電荷が正帯電していることを特徴とする電気機械変換素子の製造方法。
  4. 請求項1乃至3のいずれかの電気機械変換素子の製造方法において、
    前記分極処理を行うステップにおいて、コロナ放電もしくはグロー放電により、1.0×10−8[C]以上の電荷量を発生させることを特徴とする電気機械変換素子の製造方法。
  5. 請求項1乃至4のいずれかの電気機械変換素子の製造方法において、
    前記導電性部材の材料は、前記端子電極の材料と同じであることを特徴とする電気機械変換素子の製造方法。
  6. 請求項1乃至5のいずれかの電気機械交換素子の製造方法により得られた電気機械交換素子であって、
    前記電気機械変換膜の分極が、±150[kV/cm]の電界強度かけてヒステリシスループを測定する際、測定開始時の0[kV/cm]における分極をPiniとし、+150[kV/cm]の電圧印加後、0[kV/cm]まで戻した際の0[kV/cm]時の分極をPrとした場合に、PrとPiniの差が10[μC/cm]以下であることを特徴とする電気機械変換素子。
  7. 請求項6の電気機械変換素子において、
    前記電気機械変換膜の比誘電率が、600以上、2000以下であることを特徴とする電気機械変換素子。
  8. 請求項6又は7の電気機械変換素子において、
    前記端子電極の面積が2500[μm]以上であることを特徴とする電気機械変換素子の製造方法。
  9. 液滴を吐出するノズルと、該ノズルが連通する加圧室と、該加圧室内の液体を昇圧させる吐出駆動手段とを備えた液滴吐出ヘッドにおいて、
    前記吐出駆動手段として、前記加圧室の壁の一部を振動板で構成し、該振動板に請求項6乃至8のいずれかの電気機械変換素子を配置したことを特徴とする液滴吐出ヘッド。
  10. 請求項9の液滴吐出ヘッドを備えた液滴吐出装置。
  11. 基板または下地膜上に第1の駆動電極と電気機械変換膜と第2の駆動電極とが積層された構造を有する電気機械変換素子に対して、分極処理を行う電気機械変換素子の製造装置であって、
    コロナ放電又はグロー放電により電荷を発生させる放電電極と、
    前記電気機械変換素子を設置するステージと、
    前記ステージに設置された電気機械変換素子の前記第2の駆動電極に接続される端子電極と接触する接触部を有する導電性部材でありコロナ放電もしくはグロー放電により発生した電荷が注入される導電性部材と、
    を備えたことを特徴とする電気機械変換素子の製造装置。
  12. 請求項11の電気機械変換素子の製造装置において、
    前記導電性部材の面積は、前記基板の面積以上の面積であることを特徴とする電気機械変換素子の製造装置。
  13. 請求項11又は12の電気機械変換素子の製造装置において、
    前記導電性部材の材料は、前記端子電極の材料と同じであることを特徴とする電気機械変換素子の製造装置。
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