JP2014177728A - ナノファイバ製造装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】紡糸ジェットの高密度化の障壁となっていた電界干渉を緩和し、より高密度に紡糸ジェットの吐出口を配置できるナノファイバ製造装置を提供する。
【解決手段】液状の繊維の素材または繊維の素材と溶媒との溶液を噴射する複数の紡糸口を有するスピナレット1と、紡糸口から噴射された複数の紡糸ジェットを収集する1つのコレクタと、スピナレット1とコレクタとの間に高電圧を印加する高圧電源とを備えたエレクトロスピニング方式ナノファイバ製造装置において、隣接するスピナレット1の紡糸口間に、紡糸ジェットJの向きと平行で同じ方向に気体を噴射する気体噴出ノズル2を設けたナノファイバ製造装置。
【選択図】 図1

Description

本発明は、複数の紡糸口を備え、ナノファイバを高効率で量産化するに適した装置に関する。
再生医療工学、創傷材料、ドラッグデリバリ等のヘルスケアの分野、生体分子の精製や汚染水質の浄化を目的としたアフィニティ膜、センサ等のバイオテクノロジー・環境工学の分野、ポリマーバッテリ、色素増感太陽電池、高分子膜燃料電池等のエネルギ分野、あるいは、複合材料の強化材、対バイオテロ攻撃、ガス攻撃を想定した防護服等の防護・セキュリティの分野等の広い分野において、ミクロン(μm)未満のナノオーダの径(例えば数nm〜数百nm)を有する繊維(ナノファイバ)が注目されている。
このようなナノファイバを製造する技術の一つに、エレクトロスピニング法がある。
このエレクトロスピニング法の概要を図8に示す。図8に示すように、エレクトロスピニング装置の基本構成としては、紡糸口40aを有し、繊維の素材となるポリマーと揮発性の溶媒とのポリマー溶液を噴射するノズル40と、平板状のコレクタ41と、ノズル40とコレクタ41との間に高電圧を印加する高圧電源42とを備える。高電圧が印加されていない状態では、ポリマー溶液は、ノズル40の先端の紡糸口40aの先端部において、表面張力で留まっている。紡糸口40aとコレクタ41との間に、数kV〜100kVの電圧を印加すると、紡糸口40a先端のポリマー溶液の液滴は+(または−)に帯電し、異極に帯電(アース)しているコレクタ41に向かう電気力線に沿って作用する静電力(クーロン力)により吸引される。静電力が表面張力よりも越えると、ポリマー溶液の紡糸ジェット43がコレクタ41に向かって連続的に噴射される。このとき、ポリマー溶液中の溶媒は揮発し、コレクタ41に到達する際には、ポリマーの繊維のみとなり、ナノレベルの細さのナノファイバとなる。なお、ナノファイバの原料としては、有機物のポリマーのみならず、金属酸化物、セラミック等の無機物をゾル−ゲル法によって、ナノファイバ形状に紡糸することも可能である。
紡糸口40aから噴射される紡糸ジェット43は、紡糸口40aからコレクタ41に到達する間に、紡糸口40aとコレクタ41との間の電気力線の分布の影響により、螺旋軌道を描くことが知られている(例えば、非特許文献1、2参照)。その結果、コレクタ上に集積されたナノファイバは不織布状となる。
コレクタ上に集積されるナノファイバの配向を制御するため、円筒状の回転体コレクタが使用されている(例えば、特許文献1参照)。この回転体コレクタを用い、紡糸ジェットの移動速度よりも速い回転速度で紡糸ジェットを巻き取ることで、配向性ファイバの作製が可能となる。これよりも遅い回転速度で紡糸ジェットを巻き取ると、不織布状の無配向性ファイバとなる。
ところで、ナノファイバの製造も、試験的段階から量産的段階に入ろうとしている。ナノファイバの溶液をノズルの紡糸口からコレクタに向けて吐出する場合の吐出量は、試験装置では数ml/時と非常に少ない。一般的に使用されるノズルの内径は1mm以下である。ノズル方式でナノファイバの生産性を上げるために、吐出量を上げると溶液が流れ落ち、紡糸することができない。また、コレクタ上のナノファイバの試料の上に溶液が落ちて、試料の品質を下げることになる。
このように、ナノファイバの生産性向上のために、ノズル1本当りの吐出量を上げることには限界がある。
これに対して、ナノファイバ製造装置全体の吐出量を上げるために、ノズルの本数を増やす方法も提案されている(例えば、特許文献2、3参照)。しかし、ノズルの本数が多いと、ノズル一本一本の長さを揃えることが難しくなり、これが流体抵抗のバラツキとなって、最終的に溶液の供給にバラツキが出てくる。また、コレクタとノズル先端との距離やノズル間の間隔が異なるとノズル先端の電場の強さにバラツキが生じ、紡糸ジェットが発生しない場所も出てくる。さらに、ノズルの本数を増やすと全体の吐出量は上がるが、個々のノズルの先端の溶液は空気に触れて目詰まりが生じやすいため、ノズルの本数が増える分だけ、そのメンテナンスに手間が掛かる。
そこで本願の出願人は先に、ノズルを用いないでテイラーコーンを安定して発生させ、流体離脱部位にある流体に対する荷電を効率的に行うことにより、省スペースで生産性を著しく向上することのできるナノファイバ製造装置を開示した(特許文献4)。すなわち、原料液体充填空間を内部に有し、コレクタ側から見て曲線状の輪郭を持つ原料液体離脱用開口形成嘴部を先端部に有する導電性の材質からなる液体供給部と、前記原料液体離脱用開口形成嘴部の前記曲線状の輪郭に沿って配列された複数の開口からなる原料液体離脱用開口と、前記液体供給部と所定の距離を隔てて設置されたコレクタと、前記液体供給部内の原料液体と前記コレクタとの間に電圧を印加する高電圧電源とを備え、前記高電圧電源により帯電した原料液体が前記原料液体離脱用開口から前記コレクタに向かって連続的に離脱することにより生成される紡糸ジェットを前記コレクタ上に収集してナノファイバを製造するナノファイバ製造装置である。
特許文献5には、ポリマーを流出させる紡糸口金と該紡糸口金に対向して設置される電極との間に高電圧をかけ、ポリマーを前記電極に向かってジェット状に飛ぶ過程で繊維化させるエレクトロスピニング不織布製造装置において、前記紡糸口金に、ポリマーの流出する複数のノズルよりなるノズル列を設け、前記電極を、前記ノズル列に対して平行に配置するとともに、該電極における前記ノズル列の長さ方向の寸法を、少なくとも該ノズル列の長さ以上とし、ジェット状に飛ぶポリマーに対して側方より気流を吹き付け、ポリマーの飛ぶ方向を偏向させる気流装置を設け、前記気流装置により偏向されたポリマーが付着・集積する繊維集積装置を設けてなる微細繊維不織布製造装置が提案されている。
特許文献6には、高電圧発生部から高電圧を印加され且つ後端にポリマー溶剤溶液をポンプにて送給できるようにチューブを接続したノズルと、ノズルの後方に設置した圧縮エアーを吐き出すエアブローと、エアブローの後方に設置した電極球とを一直線に並ぶ配置に設け、ナノファイバの大量生成と液滴を除き、ナノファイバの品質を向上するナノファイバの製造方法が提案されている。
特開2005−264386号公報 特表2006−507428号公報 特開2002−201559号公報 特開2010−196236号公報 特開2012−26043号公報 特開2012−122176号公報
エー.エル.ヤリン(A. L. Yarin)ら,"ベンディング・インスタビリティ・イン・エレクトスピニング・オブ・ナノファイバ(Bending instability in electrospinning of nanofibers)",ジャーナル・オブ・アプライド・フィジックス(Journal of Applied Physics),89巻,第5号,2001年3月1日,p.3018−3026 エー.エル.ヤリン(A. L. Yarin)ら,"テイラー・コーン・アンド・ジェッティング・フロム・リキッド・ドロップレッツ・イン・エレクトロスピニング・オブ・ナノファイバ(Taylor cone and jetting from liquid droplets in electrospinning of nanofibers)",ジャーナル・オブ・アプライド・フィジックス(Journal of Applied Physics),90巻,第9号,2001年9月1日,p.4836−4846
前掲の特許文献4に記載されたナノファイバ製造装置では、原料液体離脱用開口形成嘴部の曲線状の輪郭に沿って配列された複数の開口からなる原料液体離脱用開口を設けることにより紡糸ジェットの本数を上げ、スピナレット全体の吐出量を多くして生産性を向上させている。ところが、紡糸ジェットが複数本同時に吐出される際に、隣接する紡糸ジェット間の電界干渉が生じるため、紡糸ジェットが吐出されない開口が発生するなど、紡糸ジェットの密度を高くするのに限界があり、それ以上、スピナレット全体の吐出量を多くすることができなかった。
前掲の特許文献5に記載された装置では、紡糸口金から電極に向かってジェット状に飛ぶポリマーに対して側方より気流を吹き付け、繊維集積装置上に微細繊維を集積させるのであるが、気流を吹き付けてポリマーの流れを偏向させる目的は、繊維を微細化することであり、スピナレット全体の吐出量を多くすることには適用できない。
前掲の特許文献6に記載された方法は、ポリマー溶剤溶液を吐出するノズルと、エアブローと、電極球とを一直線に並ぶように配置して、ノズルから捕集電極に向かって吐出されるナノファイバを直線的に長く飛ばし、ビーズや液滴の発生を抑制するものであるが、紡糸ジェット間の電界干渉を抑制するものではなく、複数の紡糸ジェットの配置密度を上げることには寄与しない。
そこで本発明は、紡糸ジェットの高密度化の障壁となっていた電界干渉を緩和し、より高密度に紡糸ジェットの吐出口を配置できるナノファイバ製造装置を提供することを目的とする。
前記課題を解決するため、本発明のナノファイバ製造装置は、液状の繊維の素材または繊維の素材と溶媒との溶液を噴射する複数の紡糸口と、前記複数の紡糸口から噴射された複数の紡糸ジェットを収集する1つのコレクタと、前記各紡糸口と前記コレクタとの間に高電圧を印加する高圧電源とを備えたエレクトロスピニング方式ナノファイバ製造装置において、前記複数の紡糸口の隣接する紡糸口間に、紡糸ジェットの向きと平行で同じ方向に気体を噴射する気体噴出ノズルを設けたことを特徴とする。
本発明においては、隣接する紡糸口間に気体噴出ノズルを設け、紡糸ジェットの向きと平行で同じ方向に噴射する気体の流れにより、紡糸ジェット間の電界干渉が緩和され、隣接する紡糸口からの紡糸ジェットの吐出が止まったり途切れたりすることがなくなって、高密度な紡糸ジェットの吐出が安定して可能となる。
この発明において、複数の紡糸口が直線状ないし円弧状に配列されたスピナレット、例えば特許文献4において開示されたスピナレットがさらに一定間隔を隔てて複数、並行して配置されたナノファイバ製造装置においては、前記気体噴出ノズルは、前記スピナレット間に配置されていることを特徴とする。
複数の紡糸口を直線状ないし円弧状に配列したスピナレットを複数、並行して配置する場合は、スピナレット間に気体噴出ノズルを配置し、ナノファイバ製造装置全体の吐出量の高密度化を図る。
前記スピナレットと前記気体噴出ノズルとの設置間隔は、15mm以上100mm以下とすることが好ましい。設置間隔が15mm未満であると、気体噴出ノズルがスピナレットに近付き過ぎ、発生する紡糸ジェットに対して直接圧縮気体が吹き付けられる可能性が高まる。設置間隔が100mmを超えると、高密度化のために気体噴出ノズルを設ける意義が薄れるため上限値を設けた。
前記気体噴出ノズルからの気体の噴出圧力を0.05MPa以上0.50MPa以下とすることが好ましい。
噴出圧力が0.05MPa未満であると、圧縮気体が、想定される細管内を通過して気体供給可能な圧力よりも低くなり、圧縮気体の効果が期待できない。噴出圧力の上限値である0.50MPaは、一般的な簡易コンプレッサーの最大値であり、またこれを超えると、繊維の紡糸速度を加速する可能性が生じ、品質を維持できなくなるおそれが生じる。以下、本発明につき具体的に説明する。
本発明において、使用できるナノファイバ原料としては、ポリアクリロニトリル(PAN)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)等の合成高分子;ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)等のポリエステル;ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)等のポリオレフィン;ナイロン6,ナイロン66、ナイロン12等のポリアミド;アラミド;ポリイミド(PI);ポリメチルメタクリレ−ト(PMMA)やポリメタクリレート等のポリアクリレート:ポリ乳酸(PLA)、ポリグリコール酸(PGA)、ポリペプチド、タンパク質などのバイオポリマー:コールタールピッチ、石油ピッチなどのピッチ系などの様々な高分子が例示される。また、ゾル−ゲル法による紡糸の場合は、カーボン(炭素)、アルミナ、シリカ、チタン、銅などの無機酸化物や前駆体を原料として用いることもできる。これらは、単独または2種以上混合して用いることができる。
上記原料は、そのまま溶融状態で原料液体として使用できるが、これらの原料を溶媒に溶かし溶液として使用することもできる。溶媒としては、例えばポリマーが脂肪族ポリエステルであるときは、塩化メチレン、クロロホルム、アセトン、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、トルエン、テトラヒドロフラン、1,1,3,3−ヘキサフルオロイソプロパノール、水、1,4−ジオキサン、四塩化炭素、シクロヘキサン、シクロヘキサノン、N,N−ジメチルホルムアミド、アセトニトリル、ジクロロメタン、ギ酸、ピリジン、N,Nジメチルアセトアミド等の、揮発性の高い溶剤を適宜使用することができる。
本発明によれば、隣接する紡糸口間に気体噴出ノズルを設け、紡糸ジェットの向きと平行で同じ方向に気体を噴射させることにより、紡糸ジェット間の電界干渉が緩和され、隣接する紡糸口からの紡糸ジェットの吐出が止まったり途切れたりすることがなくなって、高密度な紡糸ジェットの吐出が安定して可能となる。
従来技術のように、気体を直接、紡糸する繊維に当てないことにより、紡糸ジェットの流れに影響を与えることがなく、紡糸間距離を最小にできる。
本発明の実施の形態に係るナノファイバ製造装置のスピナレットと気体噴出ノズルの配置構成を示すものであり、(a)は正面図、(b)正面側から見た一部斜視図である。 本発明の実施の形態に係るナノファイバ製造装置の直線型気体噴出ノズルの構成を示すものであり、(a)は斜視図、(b)は断面図、(c)はスリットタイプの底面図、(d)はホールタイプの底面図である。 本発明の実施の形態に係るナノファイバ製造装置の円弧型気体噴出ノズルの構成を示すものであり、(a)は斜視図、(b)は断面図、(c)はスリットタイプの底面図、(d)はホールタイプの底面図である。 紡糸状態を示す写真であり、(a)は圧縮気体なし、(b)は圧縮気体ありの場合を示す。 紡糸状態を示す写真であり、(a)は圧縮気体なし、(b)は圧縮気体ありの場合を示す。 紡糸状態を示す顕微鏡写真(×100)であり、(a)は圧縮気体なし、(b)は圧縮気体ありの場合を示す。 図6の拡大顕微鏡写真(×500)であり、(a)は圧縮気体なし、(b)は圧縮気体ありの場合を示す。 一般的なエレクトロスピニング装置の概要を示す説明図である。
以下、本発明の実施の形態を、図面を参照しながら説明する。
図1は、本発明の実施の形態に係るナノファイバ製造装置のスピナレットと気体噴出ノズルの配置構成を示すものであり、(a)は正面図、(b)正面側から見た斜視図(一部のみ示す。)である。
この実施の形態では、紡糸口を複数設けたスピナレット1に隣接して、気体噴出ノズル2を設置している。紡糸口を複数設けたスピナレット1の構造は、前掲の特許文献4において本件出願人が開示した構造のものを用いることができる。
図1に示されているように、スピナレット1の紡糸口からは螺旋状の紡糸ジェットJが下方のコレクタ(図示せず)に向かって吐出され、隣接する紡糸ジェットJの飛翔空間を区画するように、気体噴出ノズル2からの圧縮気体Aが噴出される。
圧縮気体としては、乾燥、または調湿された空気を用いることができるが、空気以外にも、窒素、炭酸ガス等の気体を用いることができる。
図2は気体噴出ノズル2の構成を示しており、気体噴出口23は直線型となっている。具体的には、気体噴出ノズル2のケーシング21の基端にはコンプレッサ(図示せず)からの配管を接続する気体供給口22が設けられており、先端の気体噴出口23から圧縮気体が噴射される。気体噴出口23は、図2(c)に示すようにスリットタイプや、図2(d)に示すようにホールタイプがあり、いずれのタイプでも、全体として圧縮気体は膜状に噴出される。
図3は図2とは別の構成の気体噴出ノズル3を示しており、気体噴出口33は円弧型となっている。具体的には、気体噴出ノズル3のケーシング31の基端にはコンプレッサ(図示せず)からの配管を接続する気体供給口32が設けられており、先端の気体噴出口33から圧縮気体が噴射される。気体噴出口33は、図3(c)に示すようにスリットタイプや、図3(d)に示すようにホールタイプがあり、いずれのタイプでも、全体として圧縮気体は膜状に噴出される。
スピナレット1と気体噴出ノズル2,3との設置間隔d(図1参照)は、好適な例は、15mm以上100mm以下である。下限値を15mmにしたのは、これ以下に気体噴出ノズル2,3をスピナレット1に近接させると、発生する紡糸ジェットJに対して直接圧縮気体Aが吹き付けられる可能性が高まるためである。
上限値を100mmにしたのは、本発明の目的が、できるだけ紡糸ジェットの高密度化を図ることにあり、これ以上にノズルとの間隔dを空けるとその効果が薄れるためである。
また、圧縮気体Aの噴出圧力の好適な例は0.05MPa以上0.50MPa以下(望ましくは0.05MPa以上0.20MPa以下/1ユニットあたり)としている。
下限値を0.05MPaとしたのは、圧縮気体Aが、想定される細管内を通過して気体供給可能な最低圧力だからである。上限値を0.50MPaとしたのは、一般的な簡易コンプレッサーの最大値から引用したことと、1ユニットあたりの希望最大値は繊維の紡糸速度を加速しない範囲での設定値としたことによる。
図1(b)の構造で、スピナレット1と気体噴出ノズル2との間隔dを30mmに設定し、圧縮気体を空気としたときの紡糸状態を確認した。なお、この間隔では、気体噴出ノズル2からの噴出空気は紡糸ジェットに直接当たらないことが判明した。
溶液:PVDF(ポリフッ化ビニリデン)
条件:気体噴出ノズルからの圧縮空気圧力0.0MPa→0.1MPa
図4は圧縮気体使用の有無で問題なくエレクトロスピニング法によってナノファイバを紡糸している様子を撮影したものである。写真内の数本の白いラインが紡糸ジェットをあらわしている。
図5は電界干渉緩和の様子を撮影したものである。スピナレットから発生した紡糸ジェットはスピナレットの細穴配列と同様に一列に並んで紡糸されるが、スピナレットを2つ以上並べて紡糸する場合、その紡糸列は、圧縮気体なしの場合、図4(a)に示すようにスピナレット同士の間隔より長いある一定間隔離れた位置に発生する。これは帯電した紡糸ジェット同士が互いの電界干渉によって反発することが原因と考えられる。図4(b)のように圧縮気体を使用することで上記電界干渉を緩和し、紡糸列の間隔がより短くなる結果が得られる。
これらの図4および図5に示すように、スピナレットの紡糸列間の距離が圧縮空気使用時に短縮される傾向が見られた。これは、圧縮空気噴射による紡糸ジェット間の電界干渉緩和の効果があると考えられる。この結果より高密度に液体供給部を複数配置することが可能となり、従来の数倍の生産性の向上につながる。
図6、図7は、紡糸によって得られた繊維の顕微鏡写真を示すものである。図6(a),図7(a)のように、圧縮気体なしでは溶液供給量が過剰で溶媒揮発が不十分となり均一性の悪い繊維が捕集される。一方、図6(b),図7(b)に示すように、圧縮気体ありでは、同量の溶液を供給する場合その品質が改善される効果が観察された。
このように、図6,図7に示すコレクタ上に集積されたナノファイバの状態を観察することにより、溶媒の揮発促進効果があると考えられる。これらの結果より、本発明により、具体的には従来の数倍の生産性の向上を図ることができた。
本実施例では、スピナレット1と気体噴出ノズル2との間隔を30mmに設定したが、15mm以上100mm以下の範囲が好ましい。設置間隔が15mm未満であると、気体噴出ノズルがスピナレットに近付き過ぎ、発生する紡糸ジェットに対して直接圧縮気体が吹き付けられる可能性が高まる。設置間隔が100mmを超えると、高密度化のために気体噴出ノズルを設ける意義が薄れる。
また、本実施例では、気体噴出ノズルからの圧縮空気圧力を0.1MPaとした例を示したが、噴出圧力を0.05MPa以上0.50MPa以下の範囲が好ましい。
噴出圧力が0.05MPa未満であると、圧縮気体が、想定される細管内を通過して気体供給可能な圧力よりも低くなり、圧縮気体の効果が期待できない。噴出圧力の上限値である0.50MPaは、一般的な簡易コンプレッサーの最大値であり、またこれを超えると、繊維の紡糸速度を加速する可能性が生じ、品質を維持できなくなるおそれが生じる。
本発明は、紡糸ジェットの高密度化の障壁となっていた電界干渉を緩和し、より高密度に紡糸ジェットの吐出口を配置できるナノファイバ製造装置として、ナノファイバの量産に大いに寄与するものである。
1 スピナレット
2,3 気体噴出ノズル
21,31 ケーシング
22,32 気体供給口
23,33 気体噴出口
J 紡糸ジェット
A 圧縮気体

Claims (4)

  1. 液状の繊維の素材または繊維の素材と溶媒との溶液を噴射する複数の紡糸口と、前記複数の紡糸口から噴射された複数の紡糸ジェットを収集する1つのコレクタと、前記各紡糸口と前記コレクタとの間に高電圧を印加する高圧電源とを備えたエレクトロスピニング方式ナノファイバ製造装置において、
    前記複数の紡糸口の隣接する紡糸口間に、紡糸ジェットの向きと平行で同じ方向に気体を噴射する気体噴出ノズルを設けたことを特徴とするナノファイバ製造装置。
  2. 前記複数の紡糸口が直線状ないし円弧状に配列されたスピナレットがさらに一定間隔を隔てて複数、並行して配置されたナノファイバ製造装置においては、前記気体噴出ノズルは、前記スピナレット間に配置されていることを特徴とする請求項1記載のナノファイバ製造装置。
  3. 前記スピナレットと前記気体噴出ノズルとの設置間隔を、15mm以上100mm以下とした請求項2記載のナノファイバ製造装置。
  4. 前記気体噴出ノズルからの気体の噴出圧力を0.05MPa以上0.50MPa以下とした請求項2または3に記載のナノファイバ製造装置。
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