JP6904787B2 - 電界紡糸装置 - Google Patents

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Description

本発明は、電界紡糸装置に関する。
電界紡糸法(エレクトロスピニング法)は、機械力や熱力を使わずにナノサイズの直径のファイバ(以下、ナノファイバという)を比較的簡単に製造できる技術として注目を浴びている。これまで行われてきた電界紡糸法では、ナノファイバの原料となる物質の溶液をシリンジに充填しておき、該シリンジに取り付けられている針状のノズルと、これに対向する捕集用電極との間に直流高電圧を印加した状態下に、該ノズルの先端から溶液を吐出する操作を行う。吐出された溶液はクーロン力で延伸されるとともに溶媒が瞬時に蒸発し、原料は凝固しながらナノファイバが形成される。そしてナノファイバは捕集用電極の表面に堆積する。
このナノファイバ製造の生産性を高めることを目的として、多数の企業や研究機関において、ナノファイバ製造の生産性を向上させるための技術開発が行われている。
例えば、電解紡糸装置の紡糸能力を向上させるために、ノズルの近傍から、該ノズルに沿うように空気流を噴射させることで、該ノズルからの溶液の吐出を促進させる技術が知られている(特許文献1)。
特開2017−31517号公報
空気流の噴射により紡糸能力を向上させる場合、溶媒を蒸発させる時間を確保したり、捕集コンベア等の捕集部上に積層された紡糸繊維の状態が風圧によって乱されないようするために、空気流の噴射をしない場合に比して、ノズルと捕集部との間の距離を大きくすることが望まれる。しかしながら、その場合、ノズルから離れた部位における電場低減に伴い紡糸繊維の捕集部への捕集性が低下し、それを補うためには、吐出した溶液の延伸に必要な風力以上の風力が必要とされる。しかし、風力を増加させると、繊維切れが発生しやすくなり、連続繊維を得たい場合であっても、連続繊維が得られなくなり、また繊維切れの発生を起因として紡糸される繊維の性状にも乱れが生じやすくなる。また、切れた繊維が、捕集コンベア等の捕集部に堆積されずに、空間を浮遊し、装置に付着し汚染する恐れもある。
したがって本発明の課題は、従来技術の電界紡糸装置が有する欠点を解消し得る電界紡糸装置を提供することにある。
本発明は、原料液を噴射する導電性のノズルを備えた原料噴射部と、前記ノズルと電気的に絶縁して配置された凹曲面を有する電極と、前記ノズルと前記電極の間に電圧を発生させる電圧発生部とを備えた電界紡糸装置であって、前記ノズルが延びる方向と直交する方向における、前記ノズルと前記電極の間又は前記電極の配置位置に第1空気流噴射口を備えており、第1空気流噴射口より外側であって且つ前記電極の配置位置又はそれより外側に第2空気流噴射口を備えている、電界紡糸装置を提供するものである。
本発明は、前記の電紡糸装置を用いてナノファイバを製造するナノファイバの製造方法であって、前記電圧発生部により前記ノズルと前記電極の間に電圧を発生させ且つ前記第1空気流噴射口及び前記第2空気流噴射口のそれぞれから空気流を噴射させた状態下に、前記原料噴射部に前記原料液を供給して前記ノズルから噴射させ、噴射させた前記原料液から生じたナノファイバを捕集する、ナノファイバの製造方法を提供するものである。
本発明の電界紡糸装置は、安定してナノファイバ等の紡糸が可能であり、紡糸能力が高く、繊維切れも発生しにくい。
本発明のナノファイバの製造方法によれば、安定してナノファイバの紡糸が可能であり、紡糸能力が高く、繊維切れも発生しにくい。
図1は、本発明の電界紡糸装置の一実施形態であるナノファイバ製造装置を示す概略図である 図2は、図1に示すナノファイバ製造装置の紡糸ユニットを、斜め下方から視た状態を示す斜視図である。 図3は、図1に示すナノファイバ製造装置の紡糸ユニットを、電極のノズルと対向する面(凹曲面)の開口端部側から視た状態を示す平面図である。 図4は、図1に示すナノファイバ製造装置を用いてナノファイバを紡糸している状態を示す図である。 図5は、本発明の電界紡糸装置の他の実施形態を示す図1相当図である。 図6は、本発明の電界紡糸装置の更に他の実施形態を示す図1相当図である。
以下本発明を、その好ましい実施形態に基づき図面を参照しながら説明する。
図1は、本発明の電紡糸装置の一実施形態であるナノファイバ製造装置の概略図が示されている。本実施形態のナノファイバ製造装置1は、基本的にはESD(Electro−Spray Deposition)と高速噴出気流(ジェット)を組み合わせたジェットESD法を採用したものである。製造装置1は、ナノファイバ製造用の原料液を噴射する導電性のノズル21を備えた原料噴射部2と、ノズル21と電気的に絶縁して配置された凹曲面3fを有する電極3と、ノズル21と電極3の間に電圧を発生させる電圧発生部4と、第1空気流噴射口5と、第2空気流噴射口6とを備えている。
製造装置1は、ノズル21、第1空気流噴射口5及び第2空気流噴射口6を備えた紡糸ユニット10を備えている。紡糸ユニット10は、捕集部8に向かって開口する凹部11を有している。電極3は、ノズル21に対向する面が凹曲面3fとなっており、該凹曲面3fは、紡糸ユニット10の前記凹部11の内面に沿った形状を有している。
本実施形態の製造装置1において、第1空気流噴射口5は、図1及び図3に示すように、ノズル21が延びる方向dと直交する方向Yにおいて、ノズル21と電極3の間P1に位置しており、第2空気流噴射口6は、ノズル21が延びる方向dと直交する方向Yにおいて、第1空気流噴射口5より外側であって且つ電極3の配置位置P2より外側P3に位置している。「ノズルが延びる方向と直交する方向」とは、図1に示すように、ノズル21の中心線を含む平面による断面において、ノズルが延びる方向と直交する方向という意味である。
製造装置1では、電極3はノズル21と対向する面3fの略全面が、表面に誘電体の露出した被覆体7で被覆されている。電極3のノズル21と対向する面3fとは、ノズル21の先端21a(原料液が噴射する開口部)から臨むことのできる電極3の表面のことを意味し、製造装置1では、凹曲面3fと同じ面である。製造装置1では、電極3はノズル21と対向する(凹曲面)3fは、全体として凹球面形状をしており、特に略椀形をしている。そして電極3は、その略椀形の内面であるノズル21と対向する面3fが凹曲面に形成されている。電極3は、その内面が凹曲面3fとなっている限りにおいて、その外面の形状は略椀形になっていることを要せず、その他の形状となっていてもよい。電極3は、導電性材料から構成されている。電極3は、電気絶縁性材料からなる基台30に固定されている。
図3に示すように、電極3のノズル21と対向する面(凹曲面)3fを、その開口端部31側から見たとき、該開口端部31の周縁31aは円形をしている。この円形は、真円形でもよく、あるいは楕円形でもよいが、ノズル21の先端に電界を集中させる観点からは、開口端部31の周縁31aは、真円形であることが好ましい。一方、ノズル21と対向する面(凹曲面)3fは、内面のいずれの位置においても曲面になっている。ここで言う曲面とは、(イ)平面部を全く有していない曲面のことであるか、(ロ)平面部を有する複数のセグメントを繋ぎ合わせて全体として凹曲面とみなせる形状となっていることであるか、又は(ハ)互いに直交する三軸のうち一軸が曲率を有さない帯状部を有する複数の環状セグメントを繋ぎ合わせて全体として凹曲面とみなせる形状となっていることのいずれかを言う。(ロ)の場合は、例えば縦及び横の長さが0.5mm以上5mm以下程度の矩形となっている、同一の又は異なる大きさの平面部を有するセグメントを繋ぎ合わせて凹曲面を形成することが好ましい。(ハ)の場合は、例えば半径が種々異なり、かつ高さが0.001mm以上5mm以下程度である扁平な複数種類の円筒からなる環状セグメントを繋ぎ合わせて凹曲面3fを形成することが好ましい。この環状セグメントにおいては、互いに直交する三軸、すなわちX軸、Y軸及びZ軸のうち、円筒の横断面を含むX軸及びY軸が曲率を有し、かつ円筒の高さ方向であるZ軸が曲率を有していないことが好ましい。
電極3のノズル21と対向する面(凹曲面)3fは、その任意の位置における法線がノズル21の先端又はその近傍を通るような形状となっていることが好ましい。この観点から、該凹曲面3fは、真球の球殻の内面と同じ形状をしていることが特に好ましい。
製造装置1では、図1に示すように、電極3のノズル21と対向する面(凹曲面)3fの最底部は開口しており、その開口部32の内側に、原料噴射部2を構成するノズルアセンブリ20が取り付けられている。ノズルアセンブリ20は、ノズル21と、ノズル21を支持する支持部22とを有している。
製造装置1では、原料噴射部2のノズル21は、導電性材料から構成されており、一般には金属から構成されている。好適には、ノズル21は、針状の直管から構成されている。ノズル21内には、原料液が流通可能になっている。ノズル13の内径は、例えば100μm以上3000μm以下で、好ましくは300μm以上2000μmである。ノズル13の外径は、例えば300μm以上4000μm以下で、好ましくは500μm以上3000μm以下である。ノズル13の内径及び外径をこの範囲内に設定することで、原料液を容易に、かつ定量的に送液できるとともに、ノズル周辺の狭い領域に電界が集中し、原料液を効率よく帯電させることができる。
製造装置1では、ノズル21は、その延びる方向dに沿う中央線又はその延長線が、電極3のノズル21と対向する面(凹曲面)3fにおける開口端部31によって画成される円の中心又はその中心の近傍と、該対向する面(凹曲面)3fにおける底部に設けられた開口部32の中心又はその中心の近傍とを通るように配置されることが好ましい。また、ノズル21に対向する面(凹曲面)3fの開口端部31によって画成される円を含む平面と、ノズル21の延びる方向dとが直交していることが好ましい。このようにノズル21を配置することで、ノズル21の先端21aに電界が更に一層集中するようになる。
製造装置1では、原料噴射部2の支持部22及び電極3の基台30は、電気絶縁性材料から構成されている。したがって、電極3とノズル21とは、支持部22及び基台30によって、電気的に絶縁されている。ノズル21の後端21bは、例えばナノファイバ製造用の原料液の供給源(図示せず)に接続されている。ノズルアセンブリ20は、原料の供給源を構成するとともに原料噴射部2を構成する。
製造装置1では、ノズル21の先端21aと、電極3のノズル21と対向する面(凹曲面)3fとの間の距離(最短距離)は、絶縁破壊による電極3とノズル21間の放電防止の観点から、10mm以上、特に20mm以上が好ましく、電極3とノズル21間の適正な距離による安定な電圧印加及び実用的な電極サイズの観点から、200mm以下、特に100mm以下が好ましい。
製造装置1では、図1に示すように、電極3が接地されている一方、ノズル21には電圧発生部4の直流高圧電源41により正電圧が印加されている。従って、電極3が陰極になり、かつノズル21が陽極になり、電極3とノズル21との間に電圧が発生し、電界が形成される。電極3とノズル21との間に電界を生じさせるためには、図1に示す電圧の印加のしかたに代えて、ノズル21を接地し、電極3に負電圧を印加してもよい。
製造装置1では、電圧発生部4に高圧電源装置などの公知の装置を用いることができる。電極3とノズル21との間に加わる電位差は、1kV以上、特に10kV以上とすることが、原料液を十分に帯電させ得る点から好ましい。一方、この電位差は100kV以下、特に50kV以下とすることが、ノズル21と電極3との間における放電を防止する点から好ましい。例えば1kV以上100kV以下、特に10kV以上50kV以下とすることが好ましい。なお電圧発生部4で印加した電圧が変動電圧である場合は、電極3とノズル21との間に発生する電位差の時間平均が前記範囲内とすることが好ましい。
製造装置1では、第1空気流噴射口5は、図1及び図3に示すように、ノズル21が延びる方向dと直交する方向Yにおける、ノズル21と電極3の間P1に位置している。より具体的には、ノズル21の支持部22は、電極3のノズル21と対向する面(凹曲面)3fから突出する小径の突出部22aと、該突出部22aより大径で基台30内に位置する埋没部22bとを有しており、第1空気流噴射口5は、図3に示すように、電極3のノズル21と対向する面(凹曲面)3fを、その開口端部31側から見たときに、支持部22(突出部22a)の周縁の外側であって、電極3のノズル21と対向する面(凹曲面)3fの底部に形成された開口部32の周縁より内側に位置している。
他方、第2空気流噴射口6は、図1及び図3に示すように、ノズル21が延びる方向dと直交する方向Yにおける、第1空気流噴射口5より外側であって且つ電極3の配置位置P2より外側P3に位置している。より具体的には、電極3の基台30は、電極3のノズル21と対向する面(凹曲面)3fの開口端部31の周縁31aより外方に、ノズル21が延びる方向dと直交する方向に延在する環状の平坦面33を有しており、該環状の平坦面33に第2空気流噴射口6が開口している。
第1空気流噴射口5は、基台30内に設けられた空気供給路51を介して、空気流の供給源(図示せず)に接続されており、この供給源から空気が供給されることで、ノズル21の周囲から空気を噴射する。空気供給路51は、第1空気流噴射口5の近傍における軸心線が、ノズル21が延びる方向dと略平行であり、図4に示すように、ノズル21の先端21aより後方の位置から該先端21aの近傍を通って前方に流れるように、空気流A1を噴射させることが可能なように形成されている。
第2空気流噴射口6も、基台30内に設けられた空気供給路61を介して、空気流の供給源(図示せず)に接続されており、この供給源から空気が供給されることで、図4に示すように、ノズル21の周囲における第1空気流噴射口5よりも外側の位置から空気流A2を噴射する。空気供給路61も、第2空気流噴射口6の近傍における軸心線が、ノズル21が延びる方向dと略平行であり、ノズル21が延びる方向dと略平行に、空気流A2を噴射させることが可能なように形成されている。
第1空気流噴射口5から空気流を噴射させる空気流の供給源は、第2空気流噴射口6から空気流を噴射させる空気流の供給源とは、共通する単一のものであっても良いし、独立に設けられていても良い。
第1空気流噴射口5は、空気供給路51を介して、空気流の供給源から空気が供給されることで、ノズル21の周囲から空気が噴射されるようになっている。噴射した空気は、空気流A1として、ノズル21の先端21aの後方から該先端21aの近傍を通って前方に流れることで、ノズル21の先端21aから噴射される原料液の単位時間当たりの量を、空気流を噴射させない場合に比して増大させることができ、また、噴射された原料液を、電界の作用のみによって引き伸ばした場合に比して一層効率よく引き延ばすことができる。このような作用により、本実施形態の製造装置1は、ナノファイバ等の繊維の紡糸能力に優れている。ここでいう紡糸能力とは、単位時間当たりに製造される紡糸繊維の質量であり、大きい程、紡糸能力に優れている。紡糸能力は、単位時間当たりの原料液の噴射量、又は単位時間当たりの原料液の供給量等によって判断又は評価することもできる。
しかも、第1空気流噴射口5よりもノズル21からの距離が長い第2空気流噴射口6からも、空気流A2を噴射させることにより、第1空気流噴射口5から噴射させる空気流の風速や風圧を、ノズル21から吐出された原料液が、引き伸ばされすぎて切断されないように抑制しつつ、引き伸ばした原料液を、第2空気流噴射口6から噴射される空気流の風速や風圧によって、効率よく捕集部8まで搬送することができるため、連続繊維であるナノファイバ(紡糸繊維)を、効率よく製造することができ、その捕集部8での捕集も容易である。
更に、ノズルから吐出された原料液を、延ばしすぎて繊維切れを生じさせることを防止することができるので、紡糸繊維の繊維径の不安定化や、切れた繊維が、捕集部8に堆積されずに空間を浮遊し、装置や紡糸繊維を用いた製品を汚染することを防止することもできる。
製造装置1を用いたナノファイバの製造方法においては、電圧発生部4によりノズル21と電極3の間に電圧を発生させ且つ第1空気流噴射口5及び第2空気流噴射口6のそれぞれから空気流を噴射させた状態下に、原料噴射部2に原料液を供給してノズル21から噴射させ、噴射させた原料液から生じたナノファイバを、捕集部8等において捕集する。斯かるナノファイバの製造方法は、本発明のナノファイバの製造方法の好ましい一実施態様である。
本実施形態の製造装置1においては、図1に示すように、ノズル21が延びる方向dと平行な前後方向Xにおいて、第2空気流噴射口6が、第1空気流噴射口5より原料液吐出方向における前方(図1中下側)に位置している。斯かる構成により、空気流A2が紡糸性に与える影響が極めて少なくなる。
本実施形態の製造装置1においては、図1に示すように、ノズル21が延びる方向と平行な前後方向Xにおいて、第1空気流噴射口5は、ノズルの先端21aより後方に位置し、第2空気流噴射口6は、該ノズル21の先端21aより前方に位置している。斯かる構成により、空気流A1は紡糸性制御、空気流A2は紡糸された繊維の搬送というように役割を明確に分けることができる。
前後方向Xにおける「前方」又は原料液吐出方向における「前方」とは、ノズルが延びる方向と平行な前後方向Xのうちの、ノズルから原料液が吐出される側の方向であり、前後方向Xにおける「後方」とは、前後方向Xにおいて、「前方」の反対側である。
また、前後方向Xにおける第2空気流噴射口6と第1空気流噴射口5との間の距離d1は、電極3のノズル21と対向する面(凹曲面)3fにおける開口端部31によって画成される円の直径d31(楕円の場合円相当径)に対して、10.3%以上であることが好ましく、より好ましくは23.3%以上であり、また好ましくは73.3%以下、より好ましくは60.3%以下であり、また好ましくは10.3%以上73.3%以下、より好ましくは23.3%以上60.3%以下である。
本実施形態の製造装置1においては、図3に示すように、第1空気流噴射口5と第2空気流噴射口6とは、それぞれ複数形成されており、複数の第1空気流噴射口5と複数の第2空気流噴射口6とが、ノズル21を囲み、中心を共有し直径が相異なる2つの同心円上に配されている。より具体的には、複数の第1空気流噴射口5と複数の第2空気流噴射口6とは、ノズル21を中心とする直径が相異なる2つの同心円上に配されている。更に具体的には、第1空気流噴射口5は、第2空気流噴射口6が配置された円よりも小径の第1仮想円C1上に、その周方向に一定の間隔をおいて複数形成されており、第2空気流噴射口6は、第1空気流噴射口5が配置された第1仮想円C1円よりも大径の第2仮想円C2上に、その周方向に一定の間隔をおいて複数形成されている。
第1空気流噴射口5と第2空気流噴射口6とは、ノズル21を囲み、中心を共有し直径が相異なる同心円上、より好ましくはノズル21を中心とする同心円上に位置することが好ましい。斯かる構成を有すると、第1空気流噴射口5から噴射される空気流A1の外側に、該空気流A1を囲むように、第2空気流噴射口6から噴射される環状の空気流A2を形成することができ、紡糸中の繊維搬送の乱れを抑制し、紡糸効率の向上が一層確実となる。
同様の観点から、第1空気流噴射口5及び第2空気流噴射口6は、それぞれ、ノズル21を中心とする同心円C1,C2上に、所定の角度間隔を隔てて複数形成されていることが好ましい。また、周方向において隣り合う第1空気流噴射口5どうし間の角度間隔θ1(図3参照)は、5度以上90度以下が好ましく、10度以上45度以下がより好ましい。また、周方向において隣り合う第2空気流噴射口6どうし間の角度間隔θ2(図3参照)は、5度以上90度以下が好ましく、10度以上45度以下がより好ましい。同様の観点から、第2仮想円C2の直径L2は、第1仮想円C1の直径L1の1.2倍以上3.9倍以下であることが好ましく、より好ましくは1.4倍以上3.3倍以下である。第1仮想円C1及び第2仮想円C2の直径は、特に制限されるものではないが、例えば第1仮想円C1の直径L1は、5mm以上280mm以下であり、第2仮想円の直径L2は、17mm以上400mm以下である。
ノズル21から原料液を効率よく吐出させるとともに吐出させた原料液を効率よく引き延ばすことができるようにする観点から、ノズル21の先端21aと第1空気流噴射口5とを結ぶ直線L5と、該ノズル21の中心線L3とのなす角度θ3(図4参照)は、好ましくは15度以上、より好ましくは20度以上であり、また好ましくは45度以下、より好ましくは40度以下であり、また、好ましくは15度以上45度以下、より好ましくは20度以上40度以下である。
また空気流A2が紡糸性に与える影響を抑制し、かつ捕集部8まで安定的に繊維を搬送する観点から、ノズル21の先端21aと第2空気流噴射口6とを結ぶ直線L6と、該ノズル21の中心線L3とのなす角度θ4(図4参照)は、好ましくは60度以上、より好ましくは75度以上であり、また好ましくは120度以下、より好ましくは105度以下であり、また、好ましくは60度以上120度以下、より好ましくは75度以上105度以下である。
ノズル21を囲むように設ける第1空気流噴射口5の数は、環状のもの一つであっても良いが、本実施形態の製造装置1のように、複数形成することが好ましい。また、第1空気流噴射口5の開口形状は円形に限られず、円弧形、矩形、楕円、三角等であっても良い。また、ノズル21の周囲を囲むように、ノズル21の周囲に複数の第1空気流噴射口5を間隔を開けて配置する場合(好ましくは周方向に環状に並べて配置する場合)の第1空気流噴射口5の個数は、例えば、2個以上150個以下であり、より好ましくは8個以上36個以下である。
ノズル21を囲むように設ける第2空気流噴射口6の数も、環状のもの一つであっても良いが、本実施形態の製造装置1のように、複数形成することが好ましい。第2空気流噴射口6の開口形状も円形に限られず、円弧形、矩形、楕円、三角等であっても良い。また、ノズル21の周囲を囲むように、ノズル21の周囲に複数の第2空気流噴射口6を配置する場合(好ましくは周方向に環状に並べて配置する場合)の第2空気流噴射口6の個数は、例えば、2個以上150個以下であり、より好ましくは8個以上36個以下である。
第1空気流噴射口5又は第2空気流噴射口6から噴射される空気流としては、例えばドライヤー等によって湿度30%RH以下に乾燥させたものを用いることができる。また空気流は、製造されるナノファイバ等の紡糸繊維の状態が一定に維持されるようにするために、温度が一定に保たれていることが好ましい。
第1空気流噴射口5から噴射させる空気流の風速は、紡糸能力を向上させる観点から、50m/sec以上とすることが好ましく、90m/sec以上とすることが更に好ましく、また、過大な風力による繊維切れを抑制する観点から、190m/sec以下とすることが好ましく、140m/sec以下とすることが更に好ましい。
第2空気流噴射口6から噴射させる空気流の風速は、紡糸した繊維を捕集部8まで安定的に搬送する観点から、240m/sec以上とすることが好ましく、330m/sec以上とすることが更に好ましく、また、捕集部8上に積層された紡糸繊維の状態が、空気流A2の風圧によって乱されることを防止する観点から、450m/sec以下とすることが好ましく、380m/sec以下とすることが更に好ましい。
紡糸能力向上と捕集安定化とを両立させる観点から、第1空気流噴射口5から噴射させる空気流の風速は、第2空気流噴射口6から噴射させる空気流の風速に対する比が、好ましくは0.1以上0.8以下であり、より好ましくは0.2以上0.4以下である。
第1空気流噴射口5が複数ある場合、空気流の風速は、複数の第1空気流噴射口5から噴射される時間あたりの空気の合計量を第1空気流噴射口5の総面積で除して求める。
第2空気流噴射口6が複数ある場合、空気流の風速は、複数の第1空気流噴射口5から噴射される時間あたりの空気の合計量を第2空気流噴射口6の総面積で除して求める。
図1に示す製造装置1は、ノズル21と対向する位置に、紡糸されたナノファイバを捕集する捕集部8を有する。捕集部8には、捕集用電極81が配置されていることが好ましい。捕集用電極81は、金属等の導電性材料から構成されている平板状のものとすることができる。捕集用電極81の板面と、ノズル21が延びる方向dとは略直交していることが好ましい。図1に示す捕集部8は、メッシュ等からなる通気性の無端ベルト83と、無端ベルト83が架け渡された2又は3以上の駆動又は従動ローラ84とを備えたベルトコンベア82と、無端ベルト83の裏側に配された捕集用電極81とを備えており、またベルトコンベア82上に、シート材85を供給する機構を備えている。シート材85としては、例えば、不織布、薄葉紙、フィルム、これらの複合材等を用いることができる。ベルトコンベア82を用いた捕集部8を設けることで、ナノファイバの連続生産が容易となる。
捕集用電極81には、正に帯電したナノファイバを誘引するに、陽極であるノズル21よりも低い(負の)電位を与えることが好ましく、また、誘引を更に効率的にするため、陰極である電極3よりも低い(負の)電位を与えることも好ましい。
本発明の電紡糸装置においては、第1空気流噴射口5及び第2空気流噴射口6から空気流A1,空気流A2を噴射することによって、捕集用電極(電極表面)81とノズル21の先端との距離(最短距離)を、比較的大きくしても、ナノファイバ等の紡糸繊維が捕集部8に効率的に搬送される。捕集用電極(電極表面)81とノズル21の先端との距離(最短距離)は、例えば100mm以上2000mm以下であり、好ましくは500mm以上1500mm以下である。
ナノファイバの製造に用いられる原料液としては、ファイバ形成の可能な高分子化合物が溶媒に溶解又は分散した溶液あるいは高分子化合物を加熱、溶融した溶融液を用いることができる。原料液に高分子溶液を用いるエレクトロスピニング法は溶液法、高分子融液を用いる方法は溶融法と呼ばれることがある。該溶液又は融液には適宜、無機物粒子、有機物粒子、植物エキス、界面活性剤、油剤、イオン濃度を調整するための電解質等を配合することができる。
ナノファイバ製造用の高分子化合物としては一般に、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリスチレン、ポリビニルアルコール、ポリウレタン、ポリエチレンオキサイド、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリ−m−フェニレンテレフタレート、ポリ−p−フェニレンイソフラテート、ポリフッ化ビニリデン、ポリフッ化ビニリデン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン−アクリレート共重合体、ポリアクリロニトリル、ポリアクリロニトリル−メタクリレート共重合体、ポリカーボネート、ポリアリレート、ポリエステルカーボネート、ナイロン、アラミド、ポリカプロラクトン、ポリ乳酸、ポリグリコール酸、コラーゲン、ポリヒドロキシ酪酸、ポリ酢酸ビニル、ポリペプチド等が例示できる。用いられる高分子化合物は1種類に限定されるわけではなく、前記例示した高分子化合物から任意の複数種類を組み合わせて用いることができる。
原料液に、高分子化合物が溶媒に溶解又は分散した溶液を用いる場合、該溶媒としては、水、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、ヘキサフルオロイソプロパノール、テトラエチレングリコール、トリエチレングリコール、ジベンジルアルコール、1,3−ジオキソラン、1,4−ジオキサン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、メチル−n−ヘキシルケトン、メチル−n−プロピルケトン、ジイソプロピルケトン、ジイソブチルケトン、アセトン、ヘキサフルオロアセトン、フェノール、ギ酸、ギ酸メチル、ギ酸エチル、ギ酸プロピル、安息香酸メチル、安息香酸エチル、安息香酸プロピル、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピル、フタル酸ジメチル、フタル酸ジエチル、フタル酸ジプロピル、塩化メチル、塩化エチル、塩化メチレン、クロロホルム、o−クロロトルエン、p−クロロトルエン、四塩化炭素、1,1−ジクロロエタン、1,2−ジクロロエタン、トリクロロエタン、ジクロロプロパン、ジブロモエタン、ジブロモプロパン、臭化メチル、臭化エチル、臭化プロピル、酢酸、ベンゼン、トルエン、ヘキサン、シクロヘキサン、シクロヘキサノン、シクロペンタン、o−キシレン、p−キシレン、m−キシレン、アセトニトリル、テトラヒドロフラン、N,N−ジメチルホルムアミド、ピリジン等を例示することができる。用いる溶媒は1種類に限定されるわけではなく、前記例示した溶媒から任意の複数種類を選定し、混合して用いても構わない。
特に溶媒として水を用いる場合は、水への溶解度の高い下記のような天然高分子及び合成高分子を用いるのが好適である。天然高分子としては、例えばプルラン、ヒアルロン酸、コンドロイチン硫酸、ポリ−γ−グルタミン酸、変性コーンスターチ、β−グルカン、グルコオリゴ糖、ヘパリン、ケラト硫酸等のムコ多糖、セルロース、ペクチン、キシラン、リグニン、グルコマンナン、ガラクツロン酸、サイリウムシードガム、タマリンド種子ガム、アラビアガム、トラガントガム、大豆水溶性多糖、アルギン酸、カラギーナン、ラミナラン、寒天(アガロース)、フコイダン、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース等が挙げられる。合成高分子としては、例えば部分鹸化ポリビニルアルコール、低鹸化ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリエチレンオキサイド、ポリアクリル酸ナトリウム等が挙げられる。これらの高分子化合物は1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。これらの高分子化合物のうち、ナノファイバの調製が容易である観点から、プルラン等の天然高分子、並びに部分鹸化ポリビニルアルコール、低鹸化ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン及びポリエチレンオキサイド等の合成高分子を用いることが好ましい。
また、水への溶解度は高くないが、ナノファイバ形成後に不溶化処理できる完全鹸化ポリビニルアルコール、架橋剤と併用することでナノファイバ形成後に架橋処理できる部分鹸化ポリビニルアルコール、ポリ(N−プロパノイルエチレンイミン)グラフト−ジメチルシロキサン/γ−アミノプロピルメチルシロキサン共重合体等のオキサゾリン変性シリコーン、ツエイン(とうもろこし蛋白質の主要成分)、ポリエステル、ポリ乳酸(PLA)、ポリアクリロニトリル樹脂、ポリメタクリル酸樹脂等のアクリル樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、ポリエチレンテフタレート樹脂、ポリブチレンテフタレート樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂などの高分子化合物も用いることができる。これらの高分子化合物は単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
本発明の電紡糸装置でナノファイバを製造する場合、該ナノファイバは、その太さを円相当直径で表した場合、一般に10nm以上3000nm以下、特に10nm以上1000nm以下のものである。ナノファイバの太さは、例えば走査型電子顕微鏡(SEM)観察によって測定することができる。
本発明の電紡糸装置を使用して製造したナノファイバは、それを集積させたナノファイバ成型体として各種の目的に使用することができる。成型体の形状としては、シート、綿(わた)状体、糸状体などが例示される。ナノファイバ成型体は他のシートと積層したり、各種の液体、微粒子、ファイバなどを含有させたりして使用してもよい。ナノファイバシートは、例えば医療目的や、美容目的等の非医療目的でヒトの肌、歯、歯茎等に付着されるシートとして好適に用いられる。また、高集塵性でかつ低圧損の高性能フィルタ、高電流密度での使用が可能な電池用セパレータ、高空孔構造を有する細胞培養用基材等としても好適に用いられる。ナノファイバの綿状体は防音材や断熱材等として好適に用いられる。
以上、本発明をその好ましい実施形態に基づき説明したが、本発明は前記実施形態に制限されない。
例えば、図5に示すように、第1空気流噴射口5を、ノズル21が延びる方向dと直交する方向Yにおける、ノズル21と電極3の間P1に形成する一方、第2空気流噴射口6を、ノズル21が延びる方向dと直交する方向Yにおける、第1空気流噴射口5より外側であって且つ電極3の配置位置P2に形成することもできる。第2空気流噴射口6を、電極3の配置位置P2に形成するには、電極3の基台30に、電極3を貫通する貫通孔(図示せず)を設け、該貫通孔又は該貫通孔に配した非導電性の配管を、空気供給路61とすればよい。
また、図6に示すように、第1空気流噴射口5及び第2空気流噴射口6の両方を、ノズル21が延びる方向dと直交する方向Yにおける、電極3の配置位置P2に形成することもできる。第1空気流噴射口5を、電極3の配置位置P2に形成するには、電極3の基台30に、電極3を貫通する貫通孔(図示せず)を設け、該貫通孔又は該貫通孔に配した非導電性の配管を、空気供給路51とすればよい。
図5及び図6に示す製造装置及びそれを用いたナノファイバの製造方法に関し、特に説明しない点は、図1に示す製造装置1及びそれを用いたナノファイバの製造方法と同様とすることができる。
以下、実施例により本発明を更に詳細に説明する。しかしながら本発明の範囲は、かかる実施例に制限されない。特に断らない限り、「%」及び「部」はそれぞれ「質量%」及び「質量部」を意味する。
〔実施例1〕
図1に示す製造装置1を用いてナノファイバの製造を行った。
具体的には、電極3として、直径70mmの凹曲面3fを有するものを用いた。また、第1空気流噴射口5は、直径0.5mmのものをノズル21を中心とする直径17mmの円上に等間隔に36個配置し、第2空気流噴射口6は、直径0.5mmのものをノズル21を中心とする直径78mmの同心円上に等間隔に36個配置した。また、ノズル21から第1空気流噴射口5までの距離は8.5mmとし、また電極3から第2空気流噴射口6までの距離は3.5mmとした。また、角度θ3及び角度θ4は、表1に示す角度に設定した。
原料液としては、化粧品用プルラン(株式会社林原)17.1%、95度エタノール(和光純薬工業株式会社)10.2%、及びイオン交換水(オルガノ株式会社製純水器G−10型通過水道水)72.7%の混合溶液を用いた。
ノズル21に原料液をシリンジポンプにて定量を送液した。ノズル21から噴射する原料液の吐出量は20mL/hに設定した。ノズル21の内径は0.3mm、長さは10mmであった。また、第1空気流噴射口5の総面積は7.07mmであり、第1空気流噴射口5から噴射する空気流A1の流量は50L/min(風速118m/sec)に設定し、第2空気流噴口6の総面積は7.07mmであり、第2空気流噴射口6から噴射する空気流A2の流量は150L/min(風速354m/sec)に設定した。ノズル21の先端21aと電極3との距離(最短距離)は35mmとし、ノズル21の先端21aと捕集用電極(電極表面)との距離(最短距離)は900mmとした。そして、ノズル21と電極3の間に30kVの電圧を印加し、紡糸をおこなった。捕集部8上の捕集物を、走査型電子顕微鏡(SEM)によって繊維を5000倍に拡大して観察したところ、平均繊維径が直径800nmのナノファイバが形成されていた。また、以下の基準により繊維切れの発生の有無を評価した。結果を表1に示した。尚、製造環境は、室温25℃で、湿度30%RHであった。
〔評価基準〕
繊維切れ有り:走査型電子顕微鏡(SEM)画像観察によって、繊維を50倍に拡大して観察し、拡大画像中に繊維の端部が見られれば繊維切れ有りとした。
繊維切れ無し:走査型電子顕微鏡(SEM)画像観察によって、繊維を50倍に拡大して観察し、拡大画像中に繊維の端部が見られなければ繊維切れ無しとした。
〔比較例1〕
第1空気流噴射口5から噴射する空気流の流量を150L/minに設定し、第2空気流噴射口6に空気流を供給しなかった以外は、実施例1と同様にして、ナノファイバの紡糸を行った。その結果を表1に併せて示した。
〔比較例2〕
第2空気流噴射口6から噴射する空気流の流量を150L/minに設定し、第1空気流噴射口5に空気流を供給しなかった以外は、実施例1と同様にして、ナノファイバの紡糸を試みたが、ノズルから原料液がしずくとなって滴下し、ナノファイバの紡糸はできなかった。
Figure 0006904787
比較例1のように、第1空気流噴射口5のみから空気流を噴射した場合には、繊維切れが発生し、比較例2のように、第2空気流噴射口6のみから空気流を噴射した場合には、ナノファイバの紡糸ができなかったのに対して、実施例1のように、第1空気流噴射口5及び第2空気流噴射口6の両方から空気流を噴射した場合には、繊維切れを生じることなく、連続繊維としてのナノファイバを紡糸することができた。
しかも、実施例1における原料液の吐出量は20mL/hであり、比較的多い量である。
以上のことから、本発明によれば、安定してナノファイバ等の紡糸が可能であり、紡糸能力が高く、繊維切れも発生しにくいことが判る。
1 製造装置(電界紡糸装置)
2 原料噴射部
20 ノズルアセンブリ
21 ノズル
21a 先端
22 支持部
3 電極
3f 凹曲面
31 開口端部
30 基台
4 電圧発生部
41 直流高圧電源
42 アース
5 第1空気流噴射口
51 空気供給路
6 第2空気流噴射口
61 空気供給路
7 被覆体

Claims (7)

  1. 原料液を噴射する導電性のノズルを備えた原料噴射部と、
    前記ノズルと電気的に絶縁して配置された凹曲面を有する電極と、
    前記ノズルと前記電極の間に電圧を発生させる電圧発生部とを備えた電界紡糸装置であって、
    前記ノズルが延びる方向と直交する方向における、前記ノズルと前記電極の間又は前記電極の配置位置に第1空気流噴射口を備えており、第1空気流噴射口より外側であって且つ前記電極の配置位置又はそれより外側に第2空気流噴射口を備えており、
    前記ノズルが延びる方向と平行な前後方向において、第1空気流噴射口が、前記ノズルの先端より後方に位置し、第2空気流噴射口が、該ノズルの先端より前方に位置する、電界紡糸装置。
  2. 前記ノズルが延びる方向と平行な前後方向において、第2空気流噴射口が、第1空気流噴射口より原料液吐出方向における前方に位置する、請求項1に記載の電界紡糸装置。
  3. 第1空気流噴射口と第2空気流噴射口とが、前記ノズルを囲み、中心を共有し直径が相異なる同心円上に配されている、請求項1又は2に記載の電界紡糸装置。
  4. 第1空気流噴射口及び第2空気流噴射口が、それぞれ、前記ノズルを中心とする同心円上に、所定の角度間隔を隔てて複数形成されている、請求項1〜の何れか1項に記載の電界紡糸装置。
  5. 前記ノズルの先端と第1空気流噴射口とを結ぶ直線と、該ノズルの中心線とのなす角度θ3が、15度以上45度以下であり、前記ノズルの先端と第2空気流噴射口とを結ぶ直線と、該ノズルの中心線とのなす角度θ4が、60度以上120度以下である、請求項1〜の何れか1項に記載の電界紡糸装置。
  6. 原料液を噴射する導電性のノズルを備えた原料噴射部と、
    前記ノズルと電気的に絶縁して配置された凹曲面を有する電極と、
    前記ノズルと前記電極の間に電圧を発生させる電圧発生部とを備えた電界紡糸装置であって、
    前記ノズルが延びる方向と直交する方向における、前記ノズルと前記電極の間又は前記電極の配置位置に第1空気流噴射口を備えており、第1空気流噴射口より外側であって且つ前記電極の配置位置又はそれより外側に第2空気流噴射口を備えており、
    前記ノズルの先端と第1空気流噴射口とを結ぶ直線と、該ノズルの中心線とのなす角度θ3が、15度以上45度以下であり、前記ノズルの先端と第2空気流噴射口とを結ぶ直線と、該ノズルの中心線とのなす角度θ4が、60度以上120度以下である電界紡糸装置。
  7. 請求項1〜6の何れか1項に記載の電界紡糸装置を用いてナノファイバを製造するナノファイバの製造方法であって、
    前記電圧発生部により前記ノズルと前記電極の間に電圧を発生させ且つ前記第1空気流噴射口及び前記第2空気流噴射口のそれぞれから空気流を噴射させた状態下に、前記原料噴射部に前記原料液を供給して前記ノズルから噴射させ、噴射させた前記原料液から生じたナノファイバを捕集する、ナノファイバの製造方法。
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