JP2014174210A - 反射防止膜およびそれを有する光学素子並びに光学系 - Google Patents
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Abstract
【課題】種々の屈折率の基板に対して、耐擦傷性や耐摩耗性に優れ、かつ高性能な反射防止性能を有し、ゴーストやフレアの発生を低減できる反射防止膜を提供する。
【解決手段】屈折率がnsの基板(7)の上に設けられ、基板側より順に第1層(1)、第2層(2)、第3層(3)、第4層(4)、第5層(5)、第6層(6)を積層した反射防止膜であって、基準波長λを550nm、1.60≦ns≦2.05とし、各層の屈折率、光学膜厚を所定範囲内とする。
【選択図】図1
【解決手段】屈折率がnsの基板(7)の上に設けられ、基板側より順に第1層(1)、第2層(2)、第3層(3)、第4層(4)、第5層(5)、第6層(6)を積層した反射防止膜であって、基準波長λを550nm、1.60≦ns≦2.05とし、各層の屈折率、光学膜厚を所定範囲内とする。
【選択図】図1
Description
本発明は、反射防止膜、およびそれを有する光学素子並びに光学系に関するものである。
光学系に含まれるレンズ等の光学素子は、光学ガラスや光学プラスチック等の透明部材を用いて製作されている。このような透明部材は、屈折率が大きいため、反射率が高くなる。反射率が高いと、像面に到達する有効光量が少なくなってしまうとともに、不要な反射によってゴーストやフレアが生じる。このため、透明部材を用いた光学素子には、反射防止機能を付与することが必要となる。
光学素子に反射防止機能を付与する手法として、蒸着により透明部材の表面に薄膜の誘電体膜を複数層重ねた多層の反射防止膜が知られている。多層を重ねることで反射防止効果を高めた提案が多くされており、例えば、特許文献1には、7層構造による反射防止膜が提案されている。
一方、反射防止膜の最上層(最表層)に、低屈折率材料(シリカやフッ化マグネシウム等の無機系材料、シリコン樹脂や非晶質のフッ素樹脂などの有機材料など)を使用すれば、高性能な反射防止機能を得ることができることが知られる。これらの材料は、層内に空隙を形成することにより、屈折率を下げることができるものである。特許文献2には、屈折率を1.09程度まで下げた多孔質シリカ膜を最上層とした6層構造の反射防止膜が提案されている。
しかしながら、特許文献1に開示された従来技術では、可視波長領域の光に対する反射率が0度入射(垂直入射)で0.3%程度であり、反射防止性能としては不十分である。また、特許文献2に開示された従来技術では、屈折率が1.42から1.55までの基板に形成された膜構成しか開示しておらず、高屈折率の硝子材料含め様々な屈折率(基板)を有する硝子材料が使用されるレンズなどの光学素子への適応性が低い。しかも、最上層における空隙率が65〜90%であって耐擦傷性や耐摩耗性が非常に低い。
本発明の目的は、種々の屈折率の基板に対して、耐擦傷性や耐摩耗性に優れ、かつ高性能な反射防止性能を有し、ゴーストやフレアの発生を低減できる反射防止膜およびそれを有する光学素子並びに光学系を提供することにある。
上記目的を達成するために、本発明に係る反射防止膜は、屈折率がnsの基板の上に設けられ、基板側より順に第1層、第2層、第3層、第4層、第5層、第6層を積層した反射防止膜であって、
基準波長λを550nm、1.60≦ns≦2.05とし、
前記第1層の屈折率をn1、光学膜厚をd1(nm)、
前記第2層の屈折率をn2、光学膜厚をd2(nm)、
前記第3層の屈折率をn3、光学膜厚をd3(nm)、
前記第4層の屈折率をn4、光学膜厚をd4(nm)、
前記第5層の屈折率をn5、光学膜厚をd5(nm)、
前記第6層の屈折率をn6、光学膜厚をd6(nm)とするとき、
n1<ns、かつ、
1.30≦n1≦1.70、 0.018λ≦d1≦0.20λ、
1.80≦n2≦2.20、 0.018λ≦d2≦0.26λ、
1.30≦n3≦1.70、 0.036λ≦d3≦0.26λ、
1.80≦n4≦2.20、 0.018λ≦d4≦0.080λ、
1.30≦n5≦1.70、 0.018λ≦d5≦0.080λ
1.20≦n6≦1.30、 0.18λ≦d6≦0.33λ
を満たすことを特徴とする。
基準波長λを550nm、1.60≦ns≦2.05とし、
前記第1層の屈折率をn1、光学膜厚をd1(nm)、
前記第2層の屈折率をn2、光学膜厚をd2(nm)、
前記第3層の屈折率をn3、光学膜厚をd3(nm)、
前記第4層の屈折率をn4、光学膜厚をd4(nm)、
前記第5層の屈折率をn5、光学膜厚をd5(nm)、
前記第6層の屈折率をn6、光学膜厚をd6(nm)とするとき、
n1<ns、かつ、
1.30≦n1≦1.70、 0.018λ≦d1≦0.20λ、
1.80≦n2≦2.20、 0.018λ≦d2≦0.26λ、
1.30≦n3≦1.70、 0.036λ≦d3≦0.26λ、
1.80≦n4≦2.20、 0.018λ≦d4≦0.080λ、
1.30≦n5≦1.70、 0.018λ≦d5≦0.080λ
1.20≦n6≦1.30、 0.18λ≦d6≦0.33λ
を満たすことを特徴とする。
本発明によれば、種々の屈折率の基板に対して、耐擦傷性や耐摩耗性に優れ、かつ高性能な反射防止性能を有し、ゴーストやフレアの発生を低減できる反射防止膜およびそれを有する光学素子並びに光学系を提供できる。
以下に、本発明の好ましい実施の形態を、添付の図面に基づいて詳細に説明する。
(光学素子および光学系)
図11に、本発明の実施形態に係る反射防止膜を付与した光学素子としてのレンズ、およびそれを有する光学系としての撮像光学系(結像光学系)を示す。この撮像光学系は、デジタルカメラ、ビデオカメラおよび交換レンズなどの光学機器に用いられる。図11において、103は撮像面であり、CCDセンサ又はCMOSセンサ等の固体撮像素子(光電変換素子)が配置される。102は絞り、G101からG111は光学素子としてのレンズである。これらのレンズのうち、入射面及び射出面の少なくとも一方に、後述する反射防止膜が付与されている。図11に示す撮像光学系の数値実施例を表1に示す。
図11に、本発明の実施形態に係る反射防止膜を付与した光学素子としてのレンズ、およびそれを有する光学系としての撮像光学系(結像光学系)を示す。この撮像光学系は、デジタルカメラ、ビデオカメラおよび交換レンズなどの光学機器に用いられる。図11において、103は撮像面であり、CCDセンサ又はCMOSセンサ等の固体撮像素子(光電変換素子)が配置される。102は絞り、G101からG111は光学素子としてのレンズである。これらのレンズのうち、入射面及び射出面の少なくとも一方に、後述する反射防止膜が付与されている。図11に示す撮像光学系の数値実施例を表1に示す。
(反射防止膜)
図1は、本発明の実施形態に係る反射防止膜の略図を示す。反射防止膜7は6層膜からなり、基板7に対して、基板側より順に第1層(層1)、第2層(層2)、第3層(層3)、第4層(層4)、第5層(層5)、第6層(層6)の薄膜を積層したものである。本実施形態に係る反射防止膜は、基準波長λ=550nmとし、反射率が0度入射(垂直入射)で従来例の0.3%程度に比べ小さく、かつ反射防止帯域が従来例に比べ広い特性を備える。
図1は、本発明の実施形態に係る反射防止膜の略図を示す。反射防止膜7は6層膜からなり、基板7に対して、基板側より順に第1層(層1)、第2層(層2)、第3層(層3)、第4層(層4)、第5層(層5)、第6層(層6)の薄膜を積層したものである。本実施形態に係る反射防止膜は、基準波長λ=550nmとし、反射率が0度入射(垂直入射)で従来例の0.3%程度に比べ小さく、かつ反射防止帯域が従来例に比べ広い特性を備える。
1)屈折率
本実施形態に係る反射防止膜では、基板7と接するために基板7の屈折率の影響を受け易い第1層(層1)の屈折率n1を、基板7の屈折率nsよりも低く設定することを一つの特徴とする。屈折率の数値範囲としては、基板の屈折率nsが1.60≦ns≦2.05と広範囲の前提で、第1層の屈折率n1は1.30≦n1≦1.70である。ここで、基板の屈折率nsは1.70≦ns≦2.05がより望ましい。
本実施形態に係る反射防止膜では、基板7と接するために基板7の屈折率の影響を受け易い第1層(層1)の屈折率n1を、基板7の屈折率nsよりも低く設定することを一つの特徴とする。屈折率の数値範囲としては、基板の屈折率nsが1.60≦ns≦2.05と広範囲の前提で、第1層の屈折率n1は1.30≦n1≦1.70である。ここで、基板の屈折率nsは1.70≦ns≦2.05がより望ましい。
第2層の屈折率n2は1.80≦n2≦2.20、第3層の屈折率n3は1.30≦n3≦1.70である。また、第4層の屈折率n4は1.80≦n4≦2.20、第5層の屈折率n5は1.30≦n5≦1.70、最上層である第6層の屈折率n6は低屈折率であり、1.20≦n6≦1.30である。
ここで、基板、層1乃至層5の屈折率の大小関係として、基板に対し層1が低く、層1に対し層2が高く、層2に対し層3が低く、層3に対し層4が高く、層4に対し層5が低く、層5に対し層6が低くなる関係に設定することができる(後述の具体的実施例)。
2)光学膜厚
第1層目の層1の光学膜厚d1は、λ/16(≒0.0625λ)近傍が好ましく、λ/16近傍から離れた値(特に光学膜厚d1が0.20λを超える値)だと、反射防止性能が高い帯域が狭くなる。この性質は、高屈折率基板において、顕著に表れることが鋭意検討の結果、確認されている。さらに、光学膜厚が0.018λ未満だと、膜厚制御が難しく、設計値通り作製できないといった問題がある。これは、第1層目に限らず、全層に関して言えることである。よって、層1の膜厚d1は、0.018λ≦d1≦0.20λを満たすことが好ましい。
第1層目の層1の光学膜厚d1は、λ/16(≒0.0625λ)近傍が好ましく、λ/16近傍から離れた値(特に光学膜厚d1が0.20λを超える値)だと、反射防止性能が高い帯域が狭くなる。この性質は、高屈折率基板において、顕著に表れることが鋭意検討の結果、確認されている。さらに、光学膜厚が0.018λ未満だと、膜厚制御が難しく、設計値通り作製できないといった問題がある。これは、第1層目に限らず、全層に関して言えることである。よって、層1の膜厚d1は、0.018λ≦d1≦0.20λを満たすことが好ましい。
また、第2層目の層2の膜厚d2は、鋭意検討の結果、0.018λ≦d2≦0.26λを満たすことが好ましい。なお、第2層の膜厚は、第1層、第4層、第5層および第6層の膜構成に依存し、採り得る膜厚範囲は広くなる。
また、第3層目の層3の膜厚d3は、鋭意検討の結果、0.036λ≦d3≦0.26λを満たすことが好ましい。なお、第3層の膜厚は、第1層、第4層、第5層および第6層の膜構成に依存し、採り得る膜厚範囲は広くなる。
また、第4層目の層4の膜厚d4は、0.018λ≦d4≦0.080λを満たすことが好ましい。光学膜厚が0.018λ未満だと、膜厚制御が難しく、設計値通り作製できない。また、光学膜厚が0.080λを超えると、反射防止性能が高い帯域が狭くなるためである。
また、第5層目の層5の膜厚d5は、0.018λ≦d5≦0.080λを満たすことが好ましい。光学膜厚が0.018λ未満だと、膜厚制御が難しく、設計値通り作製できない。また、光学膜厚が0.080λを超えると、短波長側の反射率性能が低くなる。
また、最上層である層6の膜厚d6は、一般的に反射防止膜の最上層の膜厚が1/4λ近傍(≒0.25λ)であることから、鋭意検討の結果、0.18λ≦d6≦0.33λが好ましいことが分かった。なお、上述したように、光学膜厚が0.018λ未満だと、膜厚制御が難しく、設計値通り作製できない。
3)材料および製法
第6層以外の5層である層1乃至層5の材料は、無機系膜(シリカ(SiO2)、五酸化タンタル(Ta2O5)、酸化アルミニウム(Al2O3)、フッ化マグネシウム(MgF2)等)から成る。そして、製法としては、成膜の簡便さから真空蒸着法もしくはスパッタ法により成膜されることが望ましい。
第6層以外の5層である層1乃至層5の材料は、無機系膜(シリカ(SiO2)、五酸化タンタル(Ta2O5)、酸化アルミニウム(Al2O3)、フッ化マグネシウム(MgF2)等)から成る。そして、製法としては、成膜の簡便さから真空蒸着法もしくはスパッタ法により成膜されることが望ましい。
ここで、層1、層3および層5は、シリカ(SiO2)、酸化アルミニウム(Al2O3)のいずれかから成ることが好ましい。
また、層2および層4は、チタン、タンタル、ジルコニア、クロム、ニオブ、セリウム、ハフニウム、イットリウムの内のいずれかの酸化物の単体もしくは前記酸化物の混合物、もしくはフッ化マグネシウムから成ることが好ましい。
最上層である層6は、空気(屈折率1.0)と接することから屈折率を下げる必要があるため、SiO2、MgF2のような屈折率の低いものが好ましく、更に以下に述べる理由から、主成分が中空微粒子であることが好ましい。ここで、主成分とは、少なくとも光学特性が主成分とみなされた材質の純粋物質と同一とみなせる程度まで該物質が主体となって構成されていることを意味している。
酸化シリコンもしくはフッ化マグネシウムからなる中空微粒子は、バインダーにより結合し、中空微粒子内部に含まれる空気(屈折率1.0)と中空微粒子およびバインダーの存在比を調整することで、低屈折率(1.2〜1.3)が得られる。
また、中空微粒子の内部に空隙があることで、空隙に水分や不純物の吸着を防ぐことができるため、耐環境性が良くなり、屈折率変化のない安定した特性を得ることができる。中空微粒子はバインダーにより結合する必要があるため、ゾルゲル法で作製することが好ましい。
塗工方法としては特に限定されることはなく、ディップコート法、スピンコート法、スプレーコート法、ロールコート法など液状塗工液の一般的な塗工方法を用いることができる。レンズのような曲面を有する基材へ膜厚を均一に成膜できる観点から、塗料をスピンコートで成膜することが好ましい。塗工後は乾燥を行う。
乾燥は乾燥機、ホットプレート、電気炉などを用いることができる。乾燥条件は、基材に影響を与えず且つ中空粒子内の有機溶媒を蒸発できる程度の温度と時間とする。一般的には300℃以下の温度を用いることが好ましい。塗工回数は通常1回が好ましいが、乾燥と塗工を複数回繰り返しても良い。
(実施例1)
本実施例では、屈折率1.70(λ=550nm)のガラス基板上に、反射防止膜を表2に示す膜構成で作製した。このとき、第1層目から第5層目までは真空蒸着法により成膜した。また、第6層目は、屈折率が1.20になるように、中空SiO2含有の溶液とバインダー溶液を混合調整して作製した液をスピンコーターで塗工し、1時間焼成により成膜した。
本実施例では、屈折率1.70(λ=550nm)のガラス基板上に、反射防止膜を表2に示す膜構成で作製した。このとき、第1層目から第5層目までは真空蒸着法により成膜した。また、第6層目は、屈折率が1.20になるように、中空SiO2含有の溶液とバインダー溶液を混合調整して作製した液をスピンコーターで塗工し、1時間焼成により成膜した。
図2に、波長400nmから800nmの範囲での、入射角度が夫々0度、15度、30度、45度における反射率特性を示す。本実施例の反射防止膜は、波長450nmから750nmの可視光領域を含む波長400nmから800nmの範囲において、入射角度が0度(垂直入射)では反射率が従来例の0.3%程度より小さい(0.2%以下)。また、入射角度が15度、30度における反射率は0.5%以下であり、入射角度が45度であっても1.3%以下である。よって、本実施例の反射防止膜は、広帯域で反射防止効果が高い、高性能な反射防止膜であると言える。
本実施例では、屈折率1.80(λ=550nm)のガラス基板上に、反射防止膜を表3に示す膜構成で作製した。このとき、第1層目から第5層目までは真空蒸着法により成膜した。また、第6層目は、屈折率が1.20になるように、中空SiO2含有の溶液とバインダー溶液を混合調整して作製した液をスピンコーターで塗工し、1時間焼成により成膜した。
図3に、波長400nmから800nmの範囲での、入射角度が夫々0度、15度、30度、45度における反射率特性を示す。先に述べたように、本実施例では、1.70≦ns≦2.05において、より高性能な反射防止膜を作製することができる。
本実施例の反射防止膜は、波長450nmから750nmの可視光領域を含む波長400nmから800nmの範囲において、入射角度が0度(垂直入射)では反射率が従来例の0.3%程度より十分小さい(0.2%以下)。また、入射角度が15度、30度における反射率は0.4%以下であり、入射角度が45度であっても1.1%以下である。よって、本実施例の反射防止膜は、広帯域で反射防止効果が高い、高性能な反射防止膜であると言える。
本実施例では、屈折率1.88(λ=550nm)のガラス基板上に、反射防止膜を表4に示す膜構成で作製した。このとき、第1層目から第5層目までは真空蒸着法により成膜した。また、第6層目は、屈折率が1.25になるように、中空SiO2含有の溶液とバインダー溶液を混合調整して作製した液をスピンコーターで塗工し、1時間焼成により成膜した。
図4に、波長400nmから800nmの範囲での、入射角度が夫々0度、15度、30度、45度における反射率特性を示す。先に述べたように、本実施例では、1.70≦ns≦2.05において、より高性能な反射防止膜を作製することができる。
本実施例の反射防止膜は、波長450nmから750nmの可視光領域を含む波長400nmから800nmの範囲において、入射角度が0度(垂直入射)では反射率が従来例の0.3%程度より小さい(特に波長450nmから750nmで0.2%以下)。また、入射角度が15度、30度における反射率は0.7%以下であり、入射角度が45度であっても1.6%以下である。よって、本実施例の反射防止膜は、広帯域で反射防止効果が高い、高性能な反射防止膜であると言える。
本実施例では、屈折率2.00(λ=550nm)のガラス基板上に、反射防止膜を表5に示す膜構成で作製した。このとき、第1層目から第5層目までは真空蒸着法により成膜した。また、第6層目は、屈折率が1.23になるように、中空SiO2含有の溶液とバインダー溶液を混合調整して作製した液をスピンコーターで塗工し、1時間焼成により成膜した。
図5に、波長400nmから800nmの範囲での、入射角度が夫々0度、15度、30度、45度における反射率特性を示す。先に述べたように、本実施例では、1.70≦ns≦2.05において、より高性能な反射防止膜を作製することができる。
本実施例の反射防止膜は、波長450nmから750nmの可視光領域を含む波長400nmから800nmの範囲において、入射角度が0度(垂直入射)では反射率が従来例の0.3%程度より小さい(0.2%以下)。また、入射角度が15度、30度における反射率は0.5%以下であり、入射角度が45度であっても1.3%以下である。よって、本実施例の反射防止膜は、広帯域で反射防止効果が高い、高性能な反射防止膜であると言える。
本実施例では、屈折率1.60(λ=550nm)のガラス基板上に、反射防止膜を表6に示す膜構成で作製した。第1層目から第5層目までは真空蒸着法により成膜した。また、第6層は、屈折率が1.20になるように調整した中空SiO2の混合調整液をスピンコーターで塗工後、1時間の焼成により成膜した。
図6に、波長400nmから800nmの範囲での、入射角度が夫々0度、15度、30度、45度における反射率特性を示す。本実施例の反射防止膜は、実施例1乃至4と比較し、反射防止効果の高い帯域は狭いが、波長420〜650nmの波長領域を含む入射角度が0度(垂直入射)における反射率は従来例の0.3%程度より小さい(0.2%以下)。即ち、非常に良い反射防止効果を示す。よって、本実施例の反射防止膜は、反射防止効果が高い、高性能な反射防止膜であると言える。
本実施例では、屈折率1.70(λ=550nm)のガラス基板上に、反射防止膜を表7に示す膜構成で作製した。第1層目から第5層目までは真空蒸着法により成膜した。また、第6層は、屈折率が1.20になるように調整した中空SiO2の混合調整液をスピンコーターで塗工後、1時間の焼成により成膜した。
図7に、波長400nmから800nmの範囲での、入射角度が夫々0度、15度、30度、45度における反射率特性を示す。本実施例の反射防止膜は、実施例1乃至4と比較し、反射防止効果の高い帯域は狭いが、波長420〜650nmの波長領域での入射角度が0度(垂直入射)における反射率は従来例の0.3%程度より小さい(0.1%以下)。
先に述べたように、本実施例では、1.70≦ns≦2.05において、より高性能な反射防止膜を作製することができるため、実施例5よりもリップルの少ない高性能な反射防止膜が作製できる。よって、本実施例の反射防止膜は、より反射防止効果が高い、高性能な反射防止膜であると言える。
本実施例では、屈折率1.80(λ=550nm)のガラス基板上に、反射防止膜を表7に示す膜構成で作製した。第1層目から第5層目までは真空蒸着法により成膜した。また、第6層は、屈折率が1.23になるように調整した中空SiO2の混合調整液をスピンコーターで塗工後、1時間の焼成により成膜した。
図8に、波長400nmから800nmの範囲での、入射角度が夫々0度、15度、30度、45度における反射率特性を示す。本実施例の反射防止膜は、実施例1乃至4と比較し、反射防止効果の高い帯域は狭いが、波長420〜650nmの波長領域での入射角度が0度(垂直入射)における反射率は従来例の0.3%程度より小さい(0.1%以下)。
先に述べたように、本実施例では、1.70≦ns≦2.05において、より高性能な反射防止膜を作製することができるため、実施例5よりもリップルの少ない高性能な反射防止膜が作製できる。よって、本実施例の反射防止膜は、より反射防止効果が高い、高性能な反射防止膜であると言える。
本実施例では、屈折率1.88(λ=550nm)のガラス基板上に、反射防止膜を表7に示す膜構成で作製した。第1層目から第5層目までは真空蒸着法により成膜した。また、第6層は、屈折率が1.23になるように調整した中空SiO2の混合調整液をスピンコーターで塗工後、1時間の焼成により成膜した。
図9に、波長400nmから800nmの範囲での、入射角度が夫々0度、15度、30度、45度における反射率特性を示す。本実施例の反射防止膜は、実施例1乃至4と比較し、反射防止効果の高い帯域は狭いが、波長420〜650nmの波長領域での入射角度が0度(垂直入射)における反射率は従来例の0.3%程度より小さい(0.1%以下)。
先に述べたように、本実施例では、1.70≦ns≦2.05において、より高性能な反射防止膜を作製することができるため、実施例5よりもリップルの少ない高性能な反射防止膜が作製できる。よって、本実施例の反射防止膜は、より反射防止効果が高い、高性能な反射防止膜であると言える。
本実施例では、屈折率2.00(λ=550nm)のガラス基板上に、反射防止膜を表10に示す膜構成で作製した。第1層目から第5層目までは真空蒸着法により成膜した。また、第6層は、屈折率が1.23になるように調整した中空SiO2の混合調整液をスピンコーターで塗工後、1時間の焼成により成膜した。
図10に、波長400nmから800nmの範囲での、入射角度が夫々0度、15度、30度、45度における反射率特性を示す。本実施例の反射防止膜は、実施例1乃至4と比較し、反射防止効果の高い帯域は狭いが、波長420〜650nmの波長領域での入射角度が0度(垂直入射)における反射率は従来例の0.3%程度より小さい(0.1%以下)。
先に述べたように、本実施例では、1.70≦ns≦2.05において、より高性能な反射防止膜を作製することができるため、実施例5よりもリップルの少ない高性能な反射防止膜が作製できる。よって、本実施例の反射防止膜は、より反射防止効果が高い、高性能な反射防止膜であると言える。
本発明は上述した具体的実施例に限定されるものでなく、種々の変形や変更が可能である。例えば、反射防止膜を付与した光学素子としてレンズを示したが、プリズムや透光フィルタなどであっても良い。
1・・第1層(層1)、2・・第2層(層2)、3・・第3層(層3)、4・・第4層(層4)、5・・第5層(層5)、6・・第6層(層6)、7・・基板、8・・反射防止膜
Claims (11)
- 屈折率がnsの基板の上に設けられ、基板側より順に第1層、第2層、第3層、第4層、第5層、第6層を積層した反射防止膜であって、
基準波長λを550nm、1.60≦ns≦2.05とし、
前記第1層の屈折率をn1、光学膜厚をd1(nm)、
前記第2層の屈折率をn2、光学膜厚をd2(nm)、
前記第3層の屈折率をn3、光学膜厚をd3(nm)、
前記第4層の屈折率をn4、光学膜厚をd4(nm)、
前記第5層の屈折率をn5、光学膜厚をd5(nm)、
前記第6層の屈折率をn6、光学膜厚をd6(nm)とするとき、
n1<ns、かつ、
1.30≦n1≦1.70、 0.018λ≦d1≦0.20λ、
1.80≦n2≦2.20、 0.018λ≦d2≦0.26λ、
1.30≦n3≦1.70、 0.036λ≦d3≦0.26λ、
1.80≦n4≦2.20、 0.018λ≦d4≦0.080λ、
1.30≦n5≦1.70、 0.018λ≦d5≦0.080λ
1.20≦n6≦1.30、 0.18λ≦d6≦0.33λ
を満たすことを特徴とする反射防止膜。 - 1.70≦ns≦2.05を満たすことを特徴とする請求項1に記載の反射防止膜。
- n1<n2
n2>n3
n3<n4
n4>n5
n5>n6
を満たすことを特徴とする請求項1または2に記載の反射防止膜。 - n6<n1、かつ、n1=n5<n2=n4もしくはn3=n5<n2=n4であることを特徴とする請求項3に記載の反射防止膜。
- 前記第6層は、中空微粒子を含む層であることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の反射防止膜。
- 前記中空微粒子が、酸化シリコンもしくはフッ化マグネシウムからなることを特徴とする請求項5に記載の反射防止膜。
- 前記第1層、前記第3層および前記第5層が、SiO2、Al2O3のいずれかを含むことを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項に記載の反射防止膜。
- 前記第2層および前記第4層が、チタン、タンタル、ジルコニア、クロム、ニオブ、セリウム、ハフニウム、イットリウムの内のいずれかの酸化物の単体もしくは前記酸化物の混合物、もしくはフッ化マグネシウムから成ることを特徴とする請求項1乃至7のいずれか1項に記載の反射防止膜。
- 前記第1層、前記第2層、前記第3層、前記第4層、前記第5層は、真空蒸着法もしくはスパッタ法により成膜され、前記第6層は、ゾルゲル法で作製されることを特徴とする請求項1乃至8のいずれか1項に記載の反射防止膜。
- 請求項1乃至9のいずれか1項に記載の前記反射防止膜を付与した光学素子。
- 請求項10に記載の前記光学素子を有する光学系。
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JP2013044287A JP2014174210A (ja) | 2013-03-06 | 2013-03-06 | 反射防止膜およびそれを有する光学素子並びに光学系 |
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