JP2014170899A - 太陽電池モジュール用止水テープ - Google Patents
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Abstract
【課題】太陽電池パネル本体とフレームとの固定性に優れ、かつ太陽電池モジュールの保全性、リサイクル性に優れ、さらに固定界面に一時的に水分が入ってしまった場合においても止水テープ自らが吸水膨潤し僅かな隙間を埋める機能を有する太陽電池モジュール用止水テープを提供することにある。
【解決手段】芯材と、前記芯材を挟み込むように、前記芯材の表面に強粘着層及び弱粘着層が接着されて成る太陽電池モジュール用止水テープであって、前記弱粘着層は、シリコーン組成物から成る。
【選択図】図1
【解決手段】芯材と、前記芯材を挟み込むように、前記芯材の表面に強粘着層及び弱粘着層が接着されて成る太陽電池モジュール用止水テープであって、前記弱粘着層は、シリコーン組成物から成る。
【選択図】図1
Description
本発明は、太陽電池モジュール用止水テープに関する。
太陽電池モジュールは、一般に太陽に向く上面から、透明ガラス基板、封止材(充填材)、太陽電池セル(基材はシリコン系半導体やその化合物など)、封止材(充填材)、バックシートの順に積層し構成されたもの(以下「太陽電池パネル本体」若しくは単に「太陽電池パネル」という)を、フレームに組み付ける構成となっている。そして、太陽電池モジュールは雨水や水蒸気等の水分により、変換効率の低下等の故障を生じるため太陽電池パネル本体とフレームとの間の止水性能を確保することが必要である。
太陽電池パネル本体への水の浸入を防ぐための手段として、例えば特開2000−124491号公報(特許文献1)に記載されているように、太陽電池パネル本体とフレームとの隙間に、シリコーン系等のシーリング材を注入することが一般に行われている。また同様の目的で、例えば特開2005−200946号公報(特許文献2)に記載されているように、太陽電池パネル本体の端部にブチルゴム系やアクリル系等の粘着テープを貼り付けてフレームに組み込むことが一般に行われている。
しかしながら、特許文献1に記載の方法は、太陽電池パネル本体とフレームとの僅かな隙間に加工を施すため、太陽電池モジュールの全周囲にわたってシーリング剤の注入を完全に施すことは非常に困難であり、当該加工の信頼性が十分に確保できなかった。また、注入作業や注入後に硬化させるための時間を要するため、作業性が悪いことも問題であった。また、太陽電池モジュールの修理、交換又はリサイクルのために太陽電池パネル本体とフレームとを分離する場合においては、該シーリング材の止水性能が高ければ高いほど(太陽電池パネル本体とフレームが強固に密着しているほど)当該分離の作業性が低下してしまうという問題が生じる。
また、特許文献2に記載の技術のような太陽電池パネル本体の端部にブチルゴム系やアクリル系等の粘着テープを貼り付けて止水せしめる場合においては、太陽電池パネル本体とフレームが該粘着テープを介してしっかりと接着固定されている必要があるが、このために、該粘着テープの粘着力を向上すること、もしくは粘着層の厚みを厚くすること等の設計を施すことになる。しかし、これにより、フレームに太陽電池パネル本体の取り付ける際に、粘着によって差し込みの抵抗が大きくなり、かかる取り付けが極端に困難になるという問題が生じる。また、かかる対処として、テープの基材等を発泡フォームとすることも考えられるが、発泡フォームは長期的な使用(長期的な変形)により歪みが生じやすいため、結果太陽電池パネル本体とフレームとの間に空隙が生じてしまう。そして、従来技術のブチルゴム系やアクリル系等の粘着テープでは、芯材を有していないため、太陽電池パネル端部に粘着テープを手作業で貼り付ける際、テープを伸ばしながら施工するため、粘着テープの厚さムラを生じやすく、結果として僅かな隙間を伴い十分な止水性能が得られない場合がある。
また、特許文献2に記載されているように、太陽電池モジュールは屋外に設置され、長期間使用されることが想定されているが、そのため、ブチルゴム系やアクリル系等の粘着テープ(特に粘着層)は、耐候性や長期安定性に劣るため、長期間にわたる使用によって劣化し、止水性能の低下が懸念される。
結果として、太陽電池パネル本体とフレームとの隙間に、シリコーン系等のシーリング剤を注入する手法並びに太陽電池パネル本体の端部にブチルゴム系やアクリル系等の粘着テープを貼り付けてフレームに組み込む手法のいずれも、固定界面に、わずかにでも水分の浸入してしまった場合においては、かかる止水性能は著しく低下してしまう。一旦この状態になってしまうと、止水性能の回復は見込めないため、太陽電池パネル本体とフレームとの固定をやり直す(太陽電池モジュールを修理する)必要があった。
上記の事情を鑑み、本発明の課題目的は、太陽電池パネル本体とフレームとの固定性に優れ、かつ太陽電池モジュールの保全性、リサイクル性に優れ、更に固定界面に一時的に水分が入ってしまった場合においても、止水テープ自らが吸水膨潤し僅かな隙間を埋める機能を有する太陽電池モジュール用止水テープを提供することにある。
本発明の太陽電池モジュール用止水テープは、芯材と、前記芯材を挟み込むように、前記芯材の表面に強粘着層及び弱粘着層が接着されて成る太陽電池モジュール用止水テープであって、前記弱粘着層は、シリコーン組成物から成ることで効果的に達成される。また、太陽電池モジュール用止水テープは、芯材と、前記芯材を挟み込むように、前記芯材の表面に強粘着層及び弱粘着層が接着されて成る太陽電池モジュール用止水テープであって、前記弱粘着層は、シリコーン組成物から成り、且つ吸水性樹脂を含むことで効果的に達成される。
更に本発明の太陽電池モジュール用止水テープは、前記吸水性樹脂が、更に前記強粘着層に含まれることにより、或いは前記強粘着層及び前記弱粘着層それぞれの表面は、更に表面保護フィルムが貼着されることにより、或いは前記芯材が、ポリエステル系樹脂、ポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂、ポリ塩化ビニル、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、フェノール樹脂、ポリイミド、ポリエステル又はポリカーボネートのいずれかから選択されることにより、或いは前記吸水性樹脂の粒径が20〜400μmであり、且つ前記吸水性樹脂の配合量が前記弱粘着層100重量部に対して、1〜200重量部であることにより、或いは前記強粘着層がシリコーン系粘着剤、アクリル粘着剤、ウレタン系粘着剤、ゴム系粘着剤のいずれかから選択されることにより、或いは前記強粘着層の厚さが10〜200μmであることにより、或いは前記吸水性樹脂の粒径が20〜400μmであり、且つ前記吸水性樹脂の配合量が前記強粘着層100重量部に対して、1〜200重量部であることにより、より効果的に達成される。
本発明によって、太陽電池モジュールを長期間の水分から保護することができる止水テープを提供することが可能になった。
また、本発明に係る太陽電池モジュール用止水テープにおいては、PID現象(Potential Induced Degradation)の抑制が見込まれる。
以下、本発明について、図面を基に詳細に説明する。
図1は、本発明の太陽電池モジュール用止水テープ(以下、単に「止水テープ」とすることがある。)1の断面図である。太陽電池モジュール用止水テープ1は、芯材2の両面それぞれに、強粘着層3及び弱粘着層4が接着されている。更に、強粘着層3及び弱粘着層4の表面を保護するために保護フィルム5が貼着されている。
次に図1に示されている各構成要素について説明する。
先ず、芯材2は、合成樹脂シートが適しているが、織物や不織物、メッシュ、編み物、紙なども用いることができる。なお、芯材2の製法については、特に限定されない。また、芯材2に強粘着層3及び弱粘着層4とのより強固な接着を目的として下処理(プライマー処理)を施すことや、強粘着層3と弱粘着層4との間での成分移行を防止する処理を施すことができる。
芯材2の材質としては、例えば、ポリエチレンテレフタレートなどのポリエステル系樹脂、ポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂、ポリ塩化ビニル、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、フェノール樹脂、ポリイミド、ポリエステル、ポリカーボネート、セルロース、不織布、織布などが挙げられ、中でも柔軟性に優れていることから、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ポリエステルが好ましい。更に、ポリエステル系樹脂の中ではポリエチレンテレフタレートが好ましい。また、これらを複数組み合わせ使用することもできる。
芯材2の厚みは、薄いと、得られる止水テープの絶縁性が低下することがあり、厚いと、得られる止水テープの柔軟性が低下してしまうが、一般に厚みは5〜500μmであれば良く、本発明に係る太陽電池モジュール用止水テープの太陽電池パネル本体やフレームに対する追従性を加味すると、10〜100μmが好ましい。
次に、強粘着層3及び弱粘着層4について説明する。
強粘着層3はシリコーン系粘着剤、アクリル系粘着剤、ウレタン系粘着剤、ゴム系粘着剤(天然ゴム、スチレンブタジエンゴム、ブタジエンゴム、ブチルゴム、アクリルゴム、クロロプレンゴム)等の高分子材料を用いることができる。
弱粘着層4はシリコーン組成物であり、該シリコーン組成物は、液状のシリコーンであれば種類(例えば、ストレートシリコーン、変性シリコーンなど)や形状(鎖状、環状など)、そして該シリコーン組成物における分子量の大小などの制限は特に無い。また、該液状シリコーン組成物は単独でも、構造や分子量などが異なる2種類以上のシリコーンを混合してもどちらでも良い。なお、2種類以上のシリコーンを混合して用いる場合は、例えば、白金触媒(白金触媒については後述)下におけるアルケニル基含有オルガノポリシロキサンとオルガノハイドロジェンポリシロキサンの付加反応によって製造される付加反応型シリコーン組成物の使用が好ましいが、特に付加反応型シリコーン組成物に拘る必要は無い。また、該シリコーン組成物に対しては、加硫剤や過酸化物系架橋剤なども適宜使用可能である。
強粘着層3の厚みはそれぞれ、10μm〜200μmであればよく、さらには、10〜50μmがより好ましい。また、弱粘着層4の厚みは200μm〜3mmであれば良い。なお、これらの数値限定については、フレーム6(図2参照)の開口部の寸法と太陽電池パネル本体7(図2参照)の厚みや寸法等を勘案し、適宜設定することができる。
また、強粘着層3と弱粘着層4に吸水性樹脂(図示せず)を添加することができる。吸水性樹脂を添加することにより、前記太陽電池パネル本体とフレームとの間での止水効果の向上が見込まれる。本発明にて使用される吸水性樹脂の種類は、製造しようとする止水テープに必要とされる止水性能に合わせ適宜選択でき、特に限定されるものではないが、例えば、ポリアクリル酸中和物の架橋体、自己架橋型ポリアクリル酸中和物、デンプン−アクリル酸グラフト共重合体架橋物、デンプン−アクリロニトリルグラフト共重合体架橋物の加水分解物、アクリル酸塩−アクリルアミド共重合体架橋物、アクリル酸−2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸塩の架橋物、イソブチレン−無水マレイン酸共重合体架橋物、架橋カルボキシメチルセルロース塩、水溶性ポリエチレンオキシド樹脂にイソシアネート化合物を反応させた水不溶性ポリエチレンオキシド樹脂あるいはポリビニルアルコール、ポリビニルホルマール、ポリビニルブチラール及びこれらの架橋体等の吸水性樹脂が使用可能である。特にポリアクリル酸中和物の重合物が、耐熱性に優れているため好ましい。
前記吸水性樹脂の粒径は適宜選択でき、好ましくは20μm〜400μmであるが、20〜70μmがより好ましい。また、複数の粒径の吸水性樹脂を組み合わせても良い。ちなみに、前記吸水性樹脂の粒径が20μm以下である場合は、止水(吸水)効果が見込まれないことと、保護フィルム5を剥離した際に、強粘着層3及び/又は弱粘着層4が芯材から剥離してしまう可能性がある。また、前記吸水性樹脂の粒径が400μm以上であると、保護フィルム5の離型性は十分であるものの、フレーム6(図2参照)や太陽電池パネル本体7(図2参照)との間で隙間ができてしまい、却って止水効果が悪化する懸念がある。
また、前記吸水性樹脂の配合量は、シリコーン組成物(弱粘着層4に係る材料)100重量部に対して、好ましくは1〜200重量部であるが、5〜30重量部がより好ましい。前記吸水性樹脂の添加量が1重量部未満であると、吸水効果が低下し、逆に、200重量部より多すぎると、膨張率は大きくなるものの、相対的にゴム類の存在比率が低下し、機械的特性や絶縁性が低下するおそれが生じるためである。
また、実際に体積的にどの程度膨張しているかを測定することは困難であるが、水浸漬時の重量変化率で勘案することができ、これを目安に吸水性樹脂の添加量を決定する。製造当初の止水テープの重量を基準として、水浸漬時の重量変化が100〜150%の範囲の値となるように、吸水性樹脂の添加量を選択すれば良い。ここで、「水浸漬時の重量変化が100〜150%の範囲の値となるように」とするのは、当該重量変化率が小さすぎると、止水性能が低下するおそれがあるためであり、一方で、当該重量変化率が大きすぎると、機械的特性が低下し、固定性能が低下するおそれが生じるためである。
また、前記吸水性樹脂の添加により、強粘着層3と弱粘着層4の表面の粘着力を損なうことなく好適にマット状(表面に微細な凹凸のある状態)にせしめる効果も期待できる。ちなみに、マット状の表面とは、いわゆる鏡面(平滑面)ではない状態のことをいい、好ましくは、表面粗さがRa=0.2〜15μm程度の状態のことを言う。なお、強粘着層3と弱粘着層4の表面がマット状であることに起因する効果については詳しく後述する。
更にまた、強粘着層3と弱粘着層4に充填材としてシリカ、アルミナ、水酸化アルミニウム、マグネシア、水酸化マグネシウム、窒化ホウ素、窒化アルミニウム等、有機フィラー(樹脂ビーズなど)の無機系充填剤を適宜選択、若しくは複数の充填剤を組み合わせ配合することができる。これらの充填剤を添加することにより、強粘着層3と弱粘着層4の表面が好適にマット状とすることができる他、絶縁性の向上、物理強度の向上、及び表面の摩擦係数を調整することができる。前記充填材の配合量はベースポリマー、即ち強粘着層及び/又は弱粘着層が100重量部に対して、3〜1000重量部であり、さらに好ましくは、10〜500重量部である。ただし、これらの配合量は充填材の密度や粒子径、粒子形状により、又は、強粘着層3と弱粘着層4の表面に求められる粗さにより任意に設定を変更することが可能である。
そのほか、強粘着層3と弱粘着層4には、発泡剤、帯電防止剤、紫外線に対する劣化防止剤、粘着付与剤、接着付与剤等を使用することができるが、これらのような有機系充填剤は特に限定されるものではない。なお、これらの有機系充填剤並びに前記無機系充填剤及び前記吸水性樹脂を併用できることは言うまでもない。
次に表面保護フィルム5について説明する。
表面保護フィルム5は、強粘着層3と弱粘着層4の表面が前記無機系充填剤又は前記吸水性樹脂の配合又はその両方の配合により、好適にマット状になっているため、保護フィルムに対する離型性が向上している。このため、一般的に粘着テープ等の粘着面の保護に使用されるシリコーン系離型剤又はフッ素系離型剤を塗工し離型性を向上した保護フィルムを使用しなくても良いので、結果コスト的に優れている。また、作業性のさらなる向上のために該シリコーン系離型剤又はフッ素系離型剤を塗工した保護フィルムを使用することもできる。
表面保護フィルム5の形状は平滑(鏡面)のものを用いるが、エンボス加工の様な加飾されたものも用いることができる。また、保護フィルムの表面の形状を強粘着層3の表面又は弱粘着層4の表面或いはその両方に転写させることもできる。
次に、図2を用いて、本発明の止水テープを用いて太陽電池パネル本体7のフレーム6への取り付け及びこの状態における本発明の止水作用について説明する。
図2は、本発明の止水テープ1を用いて太陽電池パネル本体7をフレーム6に取り付けた状態を示す断面図である。図2の態様は、フレーム6に太陽電池パネル本体7が本発明の粘着シートを介し嵌合されていることを図示している。このときの作業工法としては、まず本発明に係る止水テープ1の強粘着層3上の保護フィルム5を剥離(離型)除去した後に、該強粘着層の表面が太陽電池パネル本体7の端部にくるように貼着する。このとき、層間に空気が入らぬように留意する(この時、真空減圧等の処置を行うこともできる。)。その後、弱粘着層4側の保護フィルム5を剥離除去した後、本発明に係る止水テープ1が貼着された状態の太陽電池パネル本体7をフレーム6の開口部へ挿入し、嵌合する。フレーム6の開口部の寸法と本発明の止水テープ1が貼着された太陽電池パネル本体7の厚み寸法を比較すると、パネル側のほうが大きく、締まり嵌めの状態であるので、フレーム6と太陽電池パネル本体7はしっかりと一体化し、結果太陽電池パネル本体への雨水や水蒸気等の水分の進入を防止することができる。このとき、フレーム6の開口部と直接接触するのは、止水テープ1における弱粘着層4の表面であるが、前記のとおり、表面の粗さと粘着性が好適にマット状かつ弱粘着に調整してあるので速やかに施工することができる。また、このとき止水テープ1の表面にフレームとの摩擦により傷が生じ、若干の空隙ができてしまったとしても、内包された吸水性樹脂が露出するため、より効果的に雨水などの水分によって止水する。つまり、汎用のブチルゴム系・アクリル系の粘着テープでは該施工において、隙間が生じ、止水性能が低下する懸念がある状況において、本発明にかかる止水テープの止水性能は信頼性が高いといえる。
なお、図2は、あくまで長方形形状の太陽電池モジュールの一辺につき図示しているものであり、実際には外周すべてに同様の加工を施す必要があり、また、四隅に各フレームを連結するような部品を併せ使用することを付言しておく。また長方形以外の太陽電池モジュールについてはそれに併せた形状のフレームや太陽電池パネル本体があることにより初めて、本発明の止水テープが有効となることは言うまでもない。
図3は、本発明の止水テープ1において、前記止水テープ中の吸水性樹脂8が膨張し、フレーム6と本発明の止水テープ1との間並びに太陽電池パネル本体7と止水テープ1との間に生じた隙間を埋めるところを図示した概念図(断面図)である。太陽電池モジュールの経年使用により生じた隙間並びにフレーム6に太陽電池パネル本体7を挿入及び嵌合したときに生じたわずかな隙間を吸水膨潤した吸水性樹脂8が、外気中の水分を吸収し膨張して該隙間を埋める状態を図示している。この機能により、太陽電池モジュールは長期的に外部の水分から保護される。
以上のことを踏まえることによって、本発明に係る太陽電池モジュール用止水テープが成立する。
以上、本発明に係る太陽電池モジュール用止水テープについて概要を述べたが、本発明の実施形態はこの限りではなく、特許請求の範囲、本明細書及び図面に記載の範囲を逸脱しない限り、種々の態様が可能である。
以下、本発明の太陽電池モジュール用止水テープ(単に「止水テープ」とする。)に係る実施例(実施例1乃至8並びに比較例1及び2)について詳細に説明するが、次に示す実施例はこれらに限定されるものではない。また、本実施例を説明する際、必要に応じて、図1乃至図3に記載の符号等を使用して説明する。
[製造例]実施例1乃至8に係る止水テープの作製
実施例1乃至8に係る止水テープの作製手順としては、先ず芯材2の片面に、強粘着層3として吸水性樹脂を配合したシリコーン系粘着剤を厚み(強粘着層3の厚み)が80μmとなるように積層させ、更に芯材2のもう一方の片面に、弱粘着層4として吸水性樹脂を配合したシリコーンゴム(シリコーン組成物)を厚み(弱粘着層4の厚み)が800μmとなるように積層させて、実施例1乃至8、即ち本発明に係る止水テープとした。なお、実施例1乃至8に係る止水テープに係る各構成要素に使用した材料の種類は配合比などを次の表1に示す。
[製造例]実施例1乃至8に係る止水テープの作製
実施例1乃至8に係る止水テープの作製手順としては、先ず芯材2の片面に、強粘着層3として吸水性樹脂を配合したシリコーン系粘着剤を厚み(強粘着層3の厚み)が80μmとなるように積層させ、更に芯材2のもう一方の片面に、弱粘着層4として吸水性樹脂を配合したシリコーンゴム(シリコーン組成物)を厚み(弱粘着層4の厚み)が800μmとなるように積層させて、実施例1乃至8、即ち本発明に係る止水テープとした。なお、実施例1乃至8に係る止水テープに係る各構成要素に使用した材料の種類は配合比などを次の表1に示す。
なお、上記表1において、実施例1乃至4、6、7及び8における強粘着層3の主成分としては、全て同一のシリコーン系粘着剤に統一し、実施例5においてはシリコーン系粘着剤の変わりにアクリル系粘着剤を使用した。また、実施例1乃至8における強粘着層3に添加する吸水性樹脂のうちポリアクリル酸中和物架橋体においては、粒径が30μmのものに統一した。シリカにおいては粒径が50μmのものを使用した。また、強粘着層3に添加する前記吸水性樹脂の配合量(重量部)は、強粘着層3を成す前記シリコーン系粘着剤を100重量部としたときの値である。
また、上記表1において、実施例1乃至8における弱粘着層4の主成分としては、全て同一のシリコーンゴムに統一した。また、実施例1乃至8における弱粘着層4に添加する吸水性樹脂は、粒径が30μmポリアクリル酸中和物架橋体に統一した。また、弱粘着層4に添加する前記吸水性樹脂の配合量(重量部)は、弱粘着層4を成す前記シリコーンゴムを100重量部としたときの値である。
なお、比較例1における止水テープは、市販のブチルゴム系のテープを使用し、比較例2においては、市販のシリコーン系シーリング剤を使用した。
[試験例]高温高湿度下における耐久性試験
次に、上記製造例にて作製した実施例1乃至8に係る止水テープ、比較例1に係る市販のブチルゴム系のテープ、及び比較例2に係る市販のシリコーン系シーリング剤に関して、高温高湿度下(1気圧、気温60℃、湿度85%)における耐久性試験を実施した。
次に、上記製造例にて作製した実施例1乃至8に係る止水テープ、比較例1に係る市販のブチルゴム系のテープ、及び比較例2に係る市販のシリコーン系シーリング剤に関して、高温高湿度下(1気圧、気温60℃、湿度85%)における耐久性試験を実施した。
先ず、実施例1乃至8に係る止水テープ、比較例1に係る市販のブチルゴム系のテープ、及び比較例2に係る市販のシリコーン系シーリング剤をそれぞれ用いて、太陽電池パネル本体7と、フレーム6とを図2に示すように接合して太陽電池モジュール試験片を得た。また、実施例8においては、太陽電池パネル本体7とフレーム6の該嵌合部に、長期使用により生じる間隙にみたてた傷を施し、より浸水し易い状態にせしめ、実施例1の止水テープを用い組み付けた。
そして、耐久性試験として、前記高温高湿環境下にて各実施例及び各比較例における太陽電池モジュールによって発電を行い該試験前後の発電量および外観変化等を評価した。試験結果を次の表2に示す。
なお、上記表2において、「○(良好)」としているものは、電力低下においては耐久性試験の前後で発電量に低下が見られない又は僅かな発電量の低下が見られるのみであるということを示し、止水においては目視検査で浸水が無いことおよび浸水に起因する断線等が無いことを示す。また、「×(不調)」としているのは、電力低下においては発電量に著しい低下が見られる又は発電不能となったものである事を示し、止水においては目視検査で浸水があった事及び浸水に起因する断線等が生じた事を示す。また、これらの試験結果の補足として、上記表2に「結果(考察)」の項を設けている。
結果としては、実施例1乃至8においては、概ね良好であった。また比較例1においては、不調であった。また、比較例2においては、良好であったが、試験片の分解が極端に困難となったという結果になった。
本発明に係る太陽電池モジュール用止水テープにより、太陽電池モジュールを長期間の水分から保護することが可能になることはもとより、本発明に係る止水テープの原理を基に、止水が必要な部品の接合などにも利用が可能である。
1 太陽電池モジュール用止水テープ(止水テープ)
2 芯材
3 強粘着層
4 弱粘着層
5 表面保護フィルム
6 フレーム
7 太陽電池パネル本体
8 吸水膨潤した吸水性樹脂
2 芯材
3 強粘着層
4 弱粘着層
5 表面保護フィルム
6 フレーム
7 太陽電池パネル本体
8 吸水膨潤した吸水性樹脂
Claims (9)
- 芯材と、前記芯材を挟み込むように、前記芯材の表面に強粘着層及び弱粘着層が接着されて成る太陽電池モジュール用止水テープであって、前記弱粘着層は、シリコーン組成物から成ることを特徴とする太陽電池モジュール用止水テープ。
- 芯材と、前記芯材を挟み込むように、前記芯材の表面に強粘着層及び弱粘着層が接着されて成る太陽電池モジュール用止水テープであって、前記弱粘着層は、シリコーン組成物から成り、且つ吸水性樹脂を含むことを特徴とする太陽電池モジュール用止水テープ。
- 前記吸水性樹脂が、更に前記強粘着層に含まれる請求項2に記載の太陽電池モジュール用止水テープ。
- 前記強粘着層及び前記弱粘着層それぞれの表面は、更に表面保護フィルムが貼着される請求項1乃至3のいずれか1項に記載の太陽電池モジュール用止水テープ。
- 前記芯材が、ポリエステル系樹脂、ポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂、ポリ塩化ビニル、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、フェノール樹脂、ポリイミド、ポリエステル又はポリカーボネートのいずれかから選択される請求項1乃至4のいずれか1項に記載の太陽電池モジュール用止水テープ。
- 前記吸水性樹脂の粒径が20〜400μmであり、且つ前記吸水性樹脂の配合量が前記弱粘着層100重量部に対して、1〜200重量部である請求項2乃至5のいずれか1項に記載の太陽電池モジュール用止水テープ。
- 前記強粘着層がシリコーン系粘着剤、アクリル粘着剤、ウレタン系粘着剤、ゴム系粘着剤のいずれかから選択される請求項1乃至6のいずれか1項に記載の太陽電池モジュール用止水テープ。
- 前記強粘着層の厚さが10〜200μmである請求項1乃至7のいずれか1項に記載の太陽電池モジュール用止水テープ。
- 前記吸水性樹脂の粒径が20〜400μmであり、且つ前記吸水性樹脂の配合量が前記強粘着層100重量部に対して、1〜200重量部である請求項2乃至8のいずれか1項に記載の太陽電池モジュール用止水テープ。
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