JP2014168602A - 放射線画像検出装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】オフセット補正の改善
【解決手段】 基板12上に配置した画素11により、入射する放射線xを電荷に変換し読み出して画像信号とする放射線検出部10と、前記放射線xの非入射時に前記画素11から取得したオフセットデータにより前記画像信号を補正するオフセット補正処理回路40,45を具備する放射線画像検出装置において、前記オフセットデータの取得期間は前記放射線が入射する直前に設定され、前記オフセットデータの取得期間の長さが前記放射線入射により前記画素から前記画像信号として読み出す期間よりも短く設定されている。
【選択図】図1
【解決手段】 基板12上に配置した画素11により、入射する放射線xを電荷に変換し読み出して画像信号とする放射線検出部10と、前記放射線xの非入射時に前記画素11から取得したオフセットデータにより前記画像信号を補正するオフセット補正処理回路40,45を具備する放射線画像検出装置において、前記オフセットデータの取得期間は前記放射線が入射する直前に設定され、前記オフセットデータの取得期間の長さが前記放射線入射により前記画素から前記画像信号として読み出す期間よりも短く設定されている。
【選択図】図1
Description
本発明の実施形態は、X線等の放射線像を電気信号に変換する放射線画像検出装置に関する。
放射線画像検出装置は放射線像を電気信号に変換して可視表示を可能にする検出器で、医療診断や非破壊検査等に用いられている。
放射線画像検出装置例えばX線画像検出装置はX線を電気変換する素子を用いた直接変換方式と、X線をいったん蛍光変換膜で光に変換しこの光をフォトダイオードにより電気信号に変換する間接変換方式がある。いずれの方式も基板上にマトリクス状に画素を配置し、各画素がX線像を電荷に変換する検出器を有している。
間接変換方式を例に説明すると、各画素には光の検出器であるフォトダイオード、電荷を蓄積するコンデンサーおよび電荷を取り出して信号とするスイッチング素子が設けられている。フォトダイオードおよびスイッチング素子はガラス基板上に堆積したアモルファスシリコン薄膜、多結晶シリコン薄膜または半導体金属酸化物によって形成され、フォトダイオードはpinダイオード、スイッチング素子はMOS型TFTトランジスタである。各画素は基板の行方向に配列された走査線と列方向に配列された信号線によって制御され、蓄積電荷は信号線を通って各信号線に接続された積分増幅器に入力される。
積分増幅器に入力された電荷情報は増幅され、電位信号に変換されて出力される。積分増幅器から出力された電位信号はアナログ・デジタル変換器によりデジタル値に変換され、最終的に画像信号として編集されてX線画像検出装置の外部へと出力される。
X線画像検出装置内部に蓄積された画像情報はLAN回線などを通じて外部に出力され、外部に接続されたパソコンなどによる情報処理装置内部に転送される。
上記動作では行選択線の一つのみの電位を順次に変化させ、電位が変化した行選択線に接続されている画素からの信号を外部に出力することで一つの画素からの信号が出力画像を構成する一つの画素に対応した画像を作り出している。また隣接する行選択線の電位を同時に変化させてスイッチング素子を駆動すなわちONにし、得られる複数の画素からの信号を統合して出力画像の一つの画素にまとめる動作があり、これは一般的に「ビニングモード」と呼ばれる動作として知られている。
X線画像検出装置から出力された画像情報には、個々の画素から発生する暗電流成分や信号線に接続されている積分増幅器に特有のオフセット成分が含まれており、その成分は撮影画像に混入するため画像ノイズとしての挙動を示す。
図4に示すように、上記暗電流成分やオフセット成分に起因する画像ノイズを補正するために、一連のX線画像撮影動作期間200の前にオフセットデータを取得するオフセット取得期間201を設け、その後に行われるX線を用いた撮影にて得られた画像データからオフセットデータを減算処理を行うことで、暗電流成分に起因する画像ノイズを除去することが可能となる。画像データは撮影開始でX線照射期間203と画像読み出し期間204によって得られる。
上記X線撮影に先立って行われるオフセットデータ取得は、X線を入射していない状態でX線画像検出装置を動作させ、その読み出し時に出力される無補正の画像データを用いることが一般的である。
上記オフセットデータには各画素のフォトダイオードの暗電流成分、トランジスタの特性ドリフトによる影響、信号線に接続されている積分増幅器のオフセット成分、行選択線からの誘導ノイズなどが含まれるため、撮影時の露光時間や、通常撮影とビニングモード撮影とで異なる行選択線の駆動条件によってそれらの値は変化する。そのため一般的にはX線撮影時とオフセットデータ取得時では同じ露光時間、行選択線の駆動条件とすることで、撮影時の画像に含まれるオフセット成分と同じオフセットデータを得ることが可能となる。
X線画像検出装置に用いられている例えばアモルファスシリコンフォトダイオードは安定した出力が得られるまでに長時間かかることが知られている。特にフォトダイオードへのバイアス電圧を印加した直後においては大きな電流が流れ、その安定化期間t(図4)としては数十秒以上かかることもある。
X線撮影においては被写体を通ったX線と被写体以外を通ったX線が同時にX線画像検出装置に照射され、その強度差は数十倍から数百倍以上になることが多い。そのため被写体以外を通ったX線が照射された領域の画素では、大量の可視光がフォトダイオードに入射されるため、コンデンサーによって保持された電荷がすべて消費され、フォトダイオード内部の逆バイアス電界が消滅してしまう。
上記逆バイアス電界が消滅したフォトダイオードにおいては、外部からの可視光によって発生した光電子がフォトダイオード両端の電極まで移動することができなくなり、発生した光電子はフォトダイオード内部のアモルファスシリコンに長時間とどまることになる。
フォトダイオードを構成するアモルファスシリコン内部には大量の格子欠陥が存在する。上記逆バイアス電界のなくなったフォトダイオードにおいて入射光によって発生した大量の光電子がアモルファスシリコン内部に長時間とどまることになり、アモルファスシリコン内部の格子欠陥に捕獲されてしまう確率が非常に高くなる。
格子欠陥に捕獲された光電子は格子欠陥の深さと温度によって左右される確率によって捕獲から解除されることが知られている。この解除までの時間は前述したように条件によるが、数秒から数十秒にわたることが知られている。
上記のように大量のX線が入射した画素ではフォトダイオード内部のアモルファスシリコンにおける格子欠陥に大量の光電子が捕獲され、捕獲された光電子はその後に行われる次の撮影時にも放出が続くことになる。この現象は現在の撮影画像に過去の撮影画像が残像となって加算される。
上記残像現象はX線画像を用いた診断に大きな支障となることが多い。残像が発生すると被写体を通過し減衰した微弱なX線画像信号に混入するためである。
一般的に上記残像現象を改善する方法としてX線撮影に着手する前にオフセットデータを取得し、そのオフセットデータを用いてその直後に得られた撮影画像を補正する。
上記手法ではオフセットデータを取得してから撮影動作を行うまでの時間を短くすることが有効である。これは残像現象がアモルファスシリコン中に捕獲された光電子が確率によって解放されて画像に混入する現象であるため、残像の強弱は時間とともに変化するためである。しかしこの性質によりオフセットデータを取得してからX線撮影動作を行う期間が長い場合、その期間にオフセット状態が変化し、得られたオフセットデータを用いても撮影画像の補正が完全にできないことになる。
上記オフセットデータをX線撮影直前に行うことで残像補正が可能となるが、X線撮影直前にオフセットデータを取得する動作を行うと、X線撮影のタイミングがずれる。これは医師などがX線撮影を開始することを決定してからオフセットデータを取得するため、オフセットデータを取得するための期間が必要であり、その後にX線撮影を行うことになるためである。なおオフセットデータ取得とX線撮影とは同じ駆動条件である。通常のX線撮影では500ミリ秒以上の露光期間を必要とするため、その後のデータ読み出し転送をあわせると1秒以上の動作であることから、オフセットデータ取得には同じだけの時間が必要となる。
上記現象を考慮して効果的な残像補正を行うとX線撮影動作のタイミングが遅れてしまう。この遅れは心臓など動きのある部位の撮影などを行う場合には非常に悪影響が生じ、X線撮影による診断に大きな支障となってしまう。
一実施形態によれば、基板上に配置した画素により、入射する放射線を電荷に変換し読み出して画像信号とする放射線検出部と、前記放射線の非入射時に前記画素から取得したオフセットデータにより前記画像信号を補正するオフセット補正処理回路を具備する放射線画像検出装置において、前記オフセットデータの取得期間は前記放射線が入射する直前に設定され、前記オフセットデータの取得期間の長さが前記放射線入射により前記画素から前記画像信号として読み出す期間よりも短く設定されていることを特徴とする放射線画像検出装置にある。
図面を参照して一実施形態について説明する。本実施形態は、放射線画像撮影前にあらかじめ基準二次オフセットデータを取得しておき、放射線画像撮影の放射線入射直前に直前二次オフセットデータを取得し、基準二次オフセットデータおよび直前二次オフセットデータに基づき放射線画像撮影により得られる画像信号をオフセット補正するものである。さらに直前二次オフセットデータ取得期間を放射線画像撮影時における放射線入射後の画像信号読み出し期間より短い期間にする。
画像検出装置の出荷前や機器据え付け時に検査により、または最近の撮影後に十分な時間を経て取得したオフセット補正データを基本的な一次オフセット補正処理のデータとすると、基準二次および直前二次オフセットデータは、撮影操作の段階の二次オフセット補正用のデータである。
すなわち図3に示すように、基準二次オフセットデータを撮影の準備段階で取得しておき(基準二次オフセットデータ取得期間101)、撮影開始のX線照射(X線照射期間103)の直前において直前二次オフセットデータを取得する(直前二次オフセットデータ取得期間102)。
X線画像検出装置は、製造の最終段階や機器への据え付け、保守時などにおいて、個々の装置についてオフセットデータ、ゲインデータ、欠陥画素データを取得しメモリー装置に記憶させておき、これにより撮影により得られる画像信号の補正処理をするようにしている。このオフセットデータは装置の基本的特性データであり、図3において符号105で示すON期間がその一次オフセットデータ取得期間である。X線画像検出装置は一般に駆動など使用環境や経時的な要因で特性が変化する可能性を持つために、上記した基本的な補正処理のほか、変動が生じやすいオフセットについて撮影の準備段階で改めて二次的にオフセットデータを取得する。本実施形態はこの二次オフセットデータの取得に関し、撮影準備段階の二次オフセットデータ(基準二次オフセットデータ取得期間101)に加えて、撮影開始とともにX線照射直前に直前二次オフセットデータ(直前二次オフセット取得期間102)を取得するものである。1枚(フレーム)の撮影画像はX線照射(X線照射期間103)とその後の画像読み出し(画像読み出し期間104)により得られる。
この直前二次オフセットデータ取得期間102を短縮することにより、タイムラグの少ない撮影を可能にし、しかも撮影間隔を短くしても残像ノイズの低減された画像が得られる。
(実施形態の構成)
図1はX線画像検出装置10内部の回路構成を示している。X線画像検出装置10は入射したX線を電気信号に変換するものであり、図2に示すように、複数の画素11をガラスの基板12の平面に格子状に行列方向に配列している。これらの画素11は検出素子としてのフォトダイオード14と、コンデンサー15(図1参照)を有し、入射したX線xを蛍光変換膜13によって光変換し、さらに画素のフォトダイオード14で光電変換され発生する電荷を蓄積する。
図1はX線画像検出装置10内部の回路構成を示している。X線画像検出装置10は入射したX線を電気信号に変換するものであり、図2に示すように、複数の画素11をガラスの基板12の平面に格子状に行列方向に配列している。これらの画素11は検出素子としてのフォトダイオード14と、コンデンサー15(図1参照)を有し、入射したX線xを蛍光変換膜13によって光変換し、さらに画素のフォトダイオード14で光電変換され発生する電荷を蓄積する。
これら画素のコンデンサー15には、蓄積された電荷を読み出すためのスイッチング素子である薄膜トランジスタ16のドレイン電極16dが接続されている。薄膜トランジスタ16のゲート電極16gは、行方向の各薄膜トランジスタ16別に各行選択線301,302,303,…を介してゲートドライバー31が接続されている。
このゲートドライバー31は、行選択回路32によって制御されるもので、各行選択線30(301,302,303,…)のうち1本の選択線のみの電位を変化させ、特定の行方向の各薄膜トランジスタ16別にそれぞれ駆動(ON)させ、他の行の各薄膜トランジスタをOFFさせる各ゲート信号を出力する。これにより、行選択線の電位を1つの行から隣接する行例えば図1では下行の行選択線を順時選択し電位を変化させることにより、コンデンサー15に蓄積された各電荷が各行方向の薄膜トランジスタ16別にソース電極16sを通して読み出される。このようにして電荷の排出された信号線33(331,332,333,…)の位置と、その時点で電位の変動した行選択線30の位置とを参照することで、X線の入射位置と強度を算出することができる。各画素は入射X線量の増加に対して一定の動作範囲で比例して電荷量を蓄積する。
またフォトダイオード16の一端は必要なバイアス電圧を印加するバイアス線34に接続されている。
各薄膜トランジスタ16のソース電極16sには、各列方向の信号線331,332,333,…が接続され、薄膜トランジスタ16別にそれぞれ演算増幅器35a、容量35b、スイッチ35cで構成された積分増幅器35(351,352,…)が接続されている。さらに、各積分増幅器の出力端子には、マルチプレクサ36、A/D変換器37が接続されている。
したがって、各画素から読み出された電荷は、それぞれ各積分増幅器351,352,…によってサンプリングホールドされて増幅されて電位情報となり、マルチプレクサ36を通して1画素単位に選択され、次にA/D変換器37によりデジタル値に変換されて出力される。得られるデジタル出力は画像再構成回路38に入力され画像信号になる。
上記動作では行選択線の一つのみの電位を変化させ、電位が変化した行選択線に接続されている画素からの信号を外部に出力することで一つの画素からの信号が出力画像を構成する一つの画素に対応した画像を作り出している。このほか、複数の画素からの信号を統合して出力画像の一つの画素にまとめる動作があり、これは一般的に「ビニングモード」と呼ばれる動作として知られている。
ビニングモードの動作は隣接する複数の行選択線の電位を同時に変更することで、これらの行選択線に接続されている隣接複数行の画素からの電荷情報を同時に信号線に流し込むことで垂直方向における複数の画素からの電化情報を加算し出力を行う動作である。この動作において出力されるのは垂直方向の画素数が少なくなった画像であるが、信号線から出力されデジタル信号に変換された画像データに対して水平方向の複数の画素を加算し一つの画素情報にまとめることで、水平方向および垂直方向に縮小化した画像データが出力されることになる。
上記ビニングモードでは複数の行選択線を一度に駆動することから一画面全体の行選択線を順次駆動する時間を少なくすることが可能であり、また出力される画像データの画素数が少ないため、電気回線や光回線などを通じて検出装置から外部に画像データを送信するための時間を少なくすることが可能である。このため動画像撮影や高速処理などが必要な場合に特に有効な動作方法となっている。
本実施形態の二次オフセットデータはビニングモードで取得するのが好適である。すなわちこのオフセットデータ取得はX線照射後の画像読み出し期間よりも短縮して読み出せばよいので、単一行選択線駆動を画像読み出し期間よりも短期間で実行してもよい。
上記A/D変換された画像信号は画像再構成回路38によって画素の行と列によって再構成される。
再構成された画像信号はX線画像検出部10内部にある画素の暗電流成分や積分増幅器35のオフセット成分を除去するためのオフセット補正処理回路40によって画像処理され、さらに各画素感度差や積分増幅器35の増幅率差を除去するためのゲイン補正処理回路41、そして欠陥画素の画素データを除去するための欠陥補正処理回路42を通過した後に、画像表示装置43にて表示される。
上記オフセット処理回路40やゲイン補正処理回路41、そして欠陥補正処理回路42には、演算に用いるための基本特性データであるパラメーターを格納するオフセット補正用テーブル(一次オフセットデータ)40a、ゲイン補正用テーブル(ゲインデータ)41aそして欠陥補正用テーブル(欠陥データ)42aがメモリー装置44に用意され、各テーブルの内容にしたがって各補正処理を行う。
本実施形態はオフセット補正処理回路40とゲイン補正処理回路41間に二次オフセット補正処理回路45を有している。メモリー装置44には撮影準備段階で取得した基準二次オフセットデータ47とX線照射直前に取得する直前二次オフセットデータ48を蓄積しこれらのデータは差分処理回路46で減算される。差分されたデータは二次オフセット補正処理回路45に入力され、画像信号は二次オフセット処理される。
上記補正処理であるが、X線画像検出部内部に機能を有している場合もあるが、付随したLAN回線などによって接続されているパソコンなどの情報処理装置内部に格納されているプログラムによって実行される場合もある。
(X線画像検出装置の動作)
初期状態において図1におけるコンデンサー15にはバイアス線34を通じて電荷が蓄えられており、並列接続されているフォトダイオード14には逆バイアス状態の電圧が加えられている。このときのフォトダイオード14と薄膜トランジスタ16を連結する線の電圧は信号線33に加えられている電圧と同じである。
初期状態において図1におけるコンデンサー15にはバイアス線34を通じて電荷が蓄えられており、並列接続されているフォトダイオード14には逆バイアス状態の電圧が加えられている。このときのフォトダイオード14と薄膜トランジスタ16を連結する線の電圧は信号線33に加えられている電圧と同じである。
フォトダイオード14はダイオードの一種なので、逆バイアスの電圧が加えられても電流はほとんど流れることは無い。そのためコンデンサー15に蓄えられた電荷は減少することなく保持されることになる。
上記状況にて図2に示している入射X線xが蛍光変換膜13に入射すると、蛍光変換膜13内部において高エネルギーのX線が可視光からなる蛍光に変換され、蛍光変換膜13内部にて発生した蛍光の一部は画像検出部10表面に配置されている画素11へと到達する。
画素11に入射した蛍光は図1で示したフォトダイオード14内部にて電子とホールからなる電荷に変換され、コンデンサー15に印加されている電界方向に沿ってフォトダイオード14の両端子へと到達することで、フォトダイオード14内部を流れる電流として観測される。
蛍光の入射により発生したフォトダイオード14内部を流れる電流は並列接続されているコンデンサー15へと流れ込み、コンデンサー15内部に蓄えられている電荷を打ち消す作用を及ぼす。その結果コンデンサー15に蓄えられていた電荷は減少し、コンデンサー15の端子間に発生していた電位差も初期状態と比べて減少する。
行選択線30はゲートドライバー31に接続され特定の行に並列された薄膜トランジスタ16に接続される。ゲートドライバー31では多数の行選択線を順番に電位変化させる機能を有する。ある特定の時間においてはゲートドライバー31において電位の変化している行選択線30は1本のみであり、電位の変化した行選択線に並列接続されている薄膜トランジスタ16のソース、ドレイン間端子は絶縁状態から導通状態へと変化する。
各信号線33には特定の電圧がかけられており、電位の変換した行選択線30に接続されている薄膜トランジスタ16のソース16s、ドレイン16d端子を通じて接続されているコンデンサー15に印加されることになる。
初期状態においてコンデンサー15は信号線33と同じ電位状態になっているため、コンデンサー15の電荷量が初期状態と変化していない場合、コンデンサー15には信号線33からの電荷の移動は発生しない。しかし外部からの入射X線xにより蛍光変換膜13内部に発生した蛍光が照射された画素11におけるフォトダイオード14と並列接続しているコンデンサー15では、フォトダイオード14に発生した光電流により内部に蓄えられている電荷が減少し、初期状態の電位とは変化している。そのため導通状態となった薄膜トランジスター16を通じて信号線33より電荷の移動が発生し、コンデンサー15内部に蓄えられた電荷量は初期状態に戻る。また移動した電荷量は信号線33を流れる信号となり外部へと伝わっていく。
図1に示すように信号線33は積分増幅器35へと接続されている。信号線33はそれぞれに対応した積分増幅器35に1対1に接続されており、信号線33を流れる電流は対応する積分増幅器35へと入力される。積分増幅器35では一定時間内に流れる電流を積分し、その積分値に対応した電圧を外部へと出力する機能を有する。この動作をおこなうことにより、ある一定時間内に信号線を流れる電荷量を電圧値に変換することが可能となる。この結果入力X線xにより蛍光変換膜13内部に発生した蛍光の強弱分布に対応してフォトダイオード14内部に発生する電荷信号は、積分増幅器35よって電位信号へと変換される。
積分増幅器35より発生した電位はマルチプレクサ36によって並直列変換され、A/D変換器37にて順次デジタル信号へと変換される。デジタル値となった信号は画像再構成回路38内部でX線画像検出部10内部に配置された画素の行と列にしたがって順次整理された画像信号へと変換される。
通常の画像信号補正処理はオフセット補正回路40、ゲイン補正処理回路41および欠陥補正処理回路42を経る。
すなわち画像再構成回路38から出力された画像信号にはX線画像検出部10内部に配置されている個々の画素11によって異なるオフセット成分と、積分増幅器35の持つ個々のオフセット成分からなる画像ノイズが含まれている。画像再構成回路38から出力された画像信号はオフセット補正処理回路40を通すことでこれらのノイズ成分を除去することができる。
同様に画像再構成回路38から出力された画像信号には個々の画素11によって異なる光検出効率と、積分増幅器35の増幅率、そして蛍光変換膜13の変換効率のばらつきが含まれているため、ゲイン補正処理回路41を通すことによって感度ばらつきを除去することが可能となる。
ゲイン補正処理回路41から出力された画像信号は欠陥補正処理回路42に入力される。欠陥補正処理回路42では欠陥補正テーブル42a内部に記録されている欠陥データすなわち欠陥画素情報に基づき、画像内部に含まれている欠陥画素からの信号を除去し、周囲の正常画素からの信号を元に欠陥画素からの画像情報を修復し出力する機能を有する。
次に本実施形態に特有の動作について説明する。本実施形態では通常の一次オフセット補正処理以外に二次オフセット補正処理回路45と基準二次オフセットデータ47、直前二次オフセットデータ48が含まれている。
通常のオフセット補正処理回路40に用いるオフセット補正テーブル(一次オフセットデータ)40aは、X線撮影動作と同じ露光期間と行選択線動作にて駆動され、X線が照射されていない期間にX線画像検出装置から得られた画像データからなる。このオフセット補正テーブル40aに格納されている画像データは、X線照射から十分な期間をおき直前のX線照射による残像の影響がない状況において得られている。
それに対して基準二次オフセットデータ47はX線撮影動作よりも短い露光期間もしくは行選択線の駆動が異なり出力画素数の少ないビニングモードの駆動条件により、X線が照射されていない期間にX線画像検出装置から得られた画像データからなる。この基準二次オフセットデータ47も一次オフセットデータ40aと同様にX線照射から十分な期間をおき直前のX線照射による残像の影響がない状況において得られている。
また直前二次オフセットデータ48は基準二次オフセットデータ47と同じ露光時間と行選択線の駆動条件にて得られるが、基準二次オフセットデータ47とは異なりX線撮影の直前に得られたオフセットデータとなっており、直前のX線撮影にて発生した残像成分が含まれている場合がある。
図3に示すように、本実施形態ではあらかじめオフセットデータ取得期間105で取得した一次オフセットデータ40aをメモリーしておき、さらにX線撮影から十分に時間をおいた二次オフセットデータ取得期間101に基準二次オフセットデータ47のデータを取得する。この基準二次オフセットデータはその前のX線撮影から十分な時間がとられているときに取得するため、以前のX線撮影に由来する残像成分は含まれていない。また複数枚のオフセット撮影や二次オフセット撮影を行い、それらのデータの平均値を一次オフセットデータ40aや基準二次オフセットデータ47として利用することでノイズの少ない良質なデータとすることができる。
次にX線撮影を行う動作であるが、医師などによるX線撮影を行うための撮影開始の情報をX線画像検出装置が受け取ると、直前二次オフセットデータ期間102で直前二次オフセットデータ48の取得動作を開始する。直前二次オフセットデータ48は基準二次オフセットデータ47と同じ露光時間と行選択線駆動条件にて行われる。この際にX線撮影の照射時間よりも短い時間もしくはビニングモードにて駆動することで、直前二次オフセットデータ取得動作はその後に行われるX線撮影動作よりも短い動作時間で完了することが可能となる。
直前二次オフセットデータ取得動作が完了すると、すぐにX線撮影動作を開始する。X線撮影動作はX線画像検出部10へのX線入射期間103と、得られる画素電荷の読み出し期間104を含んでいる。この動作により得られた画像データは一次オフセットデータ40aを用いたオフセット補正処理回路40にて個々の画素の漏れ電流や積分増幅器のオフセット成分、行選択線からの誘導ノイズなどが除去される。
次に直前二次オフセットデータ48から基準二次オフセットデータ47を差分処理回路46により減算処理した画像データを作成する。この減算処理した画像データは残像成分を有する直前二次オフセットデータ48と残像成分のない基準二次オフセットデータ47の差分のため、残像成分のみが残ることになる。
オフセット補正処理回路40を通った画像信号は二次オフセット補正処理回路45によって上記した減算処理した画像データ成分を取り除く減算処理が行われる。この処理を行うことでX線画像から以前のX線撮影動作にて発生した残像成分を除去することが可能となる。
上記二次オフセット補正処理が行われた画像信号は、従来技術と同じゲイン補正処理41と欠陥補正処理42を通り外部に出力されることになる。
上記動作を行うことで、X線撮影直前に発生するタイムラグを短くし、かつ残像の少ないX線画像を出力することが可能となる。
また1枚目の撮影の後の2枚目の撮影で、前の撮影の残像分が残っても直前二次オフセットデータの取得により除去することができるので、撮影間隔を狭めることが可能になる。
上記実施形態において二次オフセット補正処理45に用いる基準二次オフセットデータ47と直前二次オフセットデータ48にローパスフィルタ処理を行うことも有効である。この処理を行うことでX線照射毎に1枚のみ得られる直前二次オフセットデータに含まれるA/D変換誤差などを少なくし、最終画像のノイズ成分を改善することが可能になる。
なお上記実施形態の説明では各種補正処理をX線画像検出部内部にて行う例を示したが、これらの処理はX線画像検出部外部に接続されているパソコンなどを情報処理装置内部にてソフトウエア処理にて行われることも有効である。
また本実施形態では間接変換方式について説明したが、蛍光変換膜を用いない直接変換方式についても実施可能である。直接変換方式ではX線等の放射線を直接的に電荷に変換する放射線−電気変換膜を使用する。膜の一面に複数の画素電極を、他面に共通電極を形成して、個々の画素電極に接続されたコンデンサーに電荷を蓄積する。画像信号処理は上記実施形態と同様である。
上記実施形態は直前二次オフセットデータの取得にビニングモードを用いることを説明した。これにより一括駆動する行選択線数を増加して、データ取得期間を短縮することができる。一方、データは一括して同時に選択された画素のオフセット値の平均値になるので、その後のX線照射により得られる画像信号のオフセット値とのずれが実用的な範囲にとどまるようにデータ取得期間を選択する。
また上記実施形態で直前オフセットデータの取得期間終了とX線照射の開始の間に時間差を設けないで説明したが、わずかな時間差を設けてもよい。
以上実施形態で説明したように、X線などの放射線の画像検出装置においてX線撮影直前のタイムラグが少なく、残像を抑制した動作を行うことが可能となる。
また動画撮影の場合、X線を照射しながら例えばビニングモードで複数フレームの読み出しを行うが、直前二次オフセットデータの取得をX線照射直前に一回取得してデータ補正に用いる。動画時間が長い場合は所定期間ごとにX線照射をOFFにしてその期間中に直前二次オフセットデータを取得更新する。取得期間は1フレーム読み出し期間以内にするのが望ましい。
また以上説明した実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
10:X線画像検出部
11:画素
12:基板
13:蛍光変換膜
14:フォトダイオード
15:コンデンサー
16:薄膜トランジスタ
30(301,302,303…):行選択線
31:ゲートドライバー
32:行選択回路
33:(331,332,333…):信号線
34:バイアス線
35:積分増幅器
36:マルチプレクサ
37:A/D変換器
38:画像再構成回路
40:オフセット補正処理回路
40a:オフセット補正用テーブル
41:ゲイン補正処理回路
41a:ゲイン補正用テーブル
42:欠陥補正処理回路
42a:欠陥補正用テーブル
43:画像表示装置
44:メモリー装置
45:二次オフセット補正処理回路
46:差分処理回路
47:基準二次オフセットデータ
48:直前二次オフセットデータ
x:入射X線
101:基準二次オフセットデータ取得期間
102:直前二次オフセットデータ取得期間
103:X線照射期間
104:画像読み出し期間
105:オフセットデータ取得期間
11:画素
12:基板
13:蛍光変換膜
14:フォトダイオード
15:コンデンサー
16:薄膜トランジスタ
30(301,302,303…):行選択線
31:ゲートドライバー
32:行選択回路
33:(331,332,333…):信号線
34:バイアス線
35:積分増幅器
36:マルチプレクサ
37:A/D変換器
38:画像再構成回路
40:オフセット補正処理回路
40a:オフセット補正用テーブル
41:ゲイン補正処理回路
41a:ゲイン補正用テーブル
42:欠陥補正処理回路
42a:欠陥補正用テーブル
43:画像表示装置
44:メモリー装置
45:二次オフセット補正処理回路
46:差分処理回路
47:基準二次オフセットデータ
48:直前二次オフセットデータ
x:入射X線
101:基準二次オフセットデータ取得期間
102:直前二次オフセットデータ取得期間
103:X線照射期間
104:画像読み出し期間
105:オフセットデータ取得期間
Claims (8)
- 基板上に配置した画素により、入射する放射線を電荷に変換し読み出して画像信号とする放射線検出部と、前記放射線の非入射時に前記画素から取得したオフセットデータにより前記画像信号を補正するオフセット補正処理回路を具備する放射線画像検出装置において、
前記オフセットデータの取得期間は前記放射線が入射する直前に設定され、前記オフセットデータの取得期間の長さが前記放射線入射により前記画素から前記画像信号として読み出す期間よりも短く設定されていることを特徴とする放射線画像検出装置。 - 前記オフセットデータは前記放射線入射の前にあらかじめ取得される基準オフセットデータと前記放射線入射直前に取得される直前オフセットデータからなり、前記基準オフセットデータと前記直前オフセットデータとが差分処理されて前記オフセット処理回路に入力されることを特徴とする請求項1記載の放射線画像検出装置。
- オフセットデータ、ゲインデータおよび欠陥データを記憶するメモリー装置を有しており、前記オフセット補正データは前記放射線検出部の基本特性のデータである一次オフセットデータと、前記基準二次オフセットデータと前記直前二次オフセットデータを含み放射線画像撮影段階で取得する二次オフセットデータとからなり、前記二次オフセットデータによるオフセット補正処理は前記一次オフセットデータにより補正された前記画像信号をさらに補正するものである請求項2記載の放射線画像検出装置。
- 前記基板と、この基板上に配置された複数本の行選択線および複数本の信号線と、各前記行選択線と各前記信号線に接続された複数のスイッチング素子と、前記スイッチング素子に接続され外部から入射した放射線を直接にまたは蛍光変換膜を介して電荷に変換する画素とを具備し放射線画像撮影により画像信号を得る前記放射線検出部と、
前記信号線のそれぞれに接続され、前記行選択線および前記信号線の制御により前記スイッチング素子を介して読み出された前記画素の電荷を電位信号に変換する積分増幅器と、
前記行選択線および前記信号線の制御により前記放射線が非入射の状態で得られる前記画素のオフセットデータをメモリーするメモリー装置と、
を具備する放射線画像検出装置において、
前記放射線画像撮影前にあらかじめ基準二次オフセットデータを取得して前記メモリー装置にメモリーし、前記放射線画像撮影の放射線入射直前に直前二次オフセットデータを取得し、前記直前二次オフセットデータ取得期間は前記放射線画像撮影時における前記放射線入射後の画像信号読み出し期間より短い期間であり、前記基準二次オフセットデータおよび前記直前オフセットデータから前記放射線画像撮影の前記電位信号から得られる画像信号をオフセット補正することを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の放射線画像検出装置。 - 画像信号読み出しは行選択線を順次走査することで単独行の画素からの信号を順次外部に出力する動作を有し、前記直前二次オフセットデータ取得は複数行の行選択線を同時に変更することでこれらの行選択線に接続されている複数の画素からの信号を合成し前記信号線を通じて外部に出力する動作を有することを特徴とする請求項4記載の放射線画像検出装置。
- 前記画像信号読み出しおよび前記直前二次オフセットデータの取得を、いずれも複数行の行選択線の電位を同時に変更することでこれらの行選択線に接続されている複数の画素からの信号を合成し前記信号線を通じて得ることを特徴とする請求項4または5に記載の放射線画像検出装置。
- 前記基準二次オフセットデータおよび前記直前二次オフセットデータは同一条件で取得されることを特徴とする請求項3ないし6のいずれかに記載の放射線画像検出装置。
- 前記蛍光変換膜を介して電荷に変換し画素を形成する検出素子がフォトダイオードであり、アモルファスシリコンで形成されている請求項4に記載の放射線画像検出装置。
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- 2013-03-05 JP JP2013042590A patent/JP2014168602A/ja active Pending
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