JP2014162753A - 光起電力素子用化合物、光起電力素子用材料および光起電力素子 - Google Patents

光起電力素子用化合物、光起電力素子用材料および光起電力素子 Download PDF

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Abstract

【課題】光電変換効率の高い光起電力素子用化合物の提供。
【解決手段】式(1)で表される構造を有する光起電力素子用化合物。
Figure 2014162753

(上記一般式(1)中、R1〜R26はそれぞれ同じでも異なっていても良く、水素、重水素、アルキル基、シクロアルキル基、アラルキル基、アルケニル基、シクロアルケニル基、アルキニル基、水酸基、メルカプト基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アリールエーテル基、アリールチオエーテル基、アリール基、複素環基、ハロゲン、ハロアルカン、ハロアルケン、ハロアルキン、シアノ基、アルデヒド基、カルボニル基、カルボキシル基、エステル基、カルバモイル基、アミノ基、ニトロ基、シリル基、シロキサニル基、隣接置換基との間に形成される環構造の中から選ばれる、置換または無置換の基を示す。)
【選択図】なし

Description

本発明は、光起電力素子用化合物、光起電力素子用材料およびこれを用いた光起電力素子に関する。
太陽電池は、現在深刻さを増すエネルギー問題に対して有力な環境に優しいエネルギー源と注目されている。現在、太陽電池の光起電力素子の半導体素材としては、単結晶シリコン、多結晶シリコン、アモルファスシリコン、化合物半導体などの無機物が使用されている。しかし、無機半導体を用いて製造される太陽電池はコストが高いために、一般家庭に広く普及するには至っていない。コスト高の要因は主として、真空かつ高温下で半導体薄膜を製造するプロセスにある。そこで、製造プロセスの簡略化が期待される半導体素材として、共役系重合体や有機結晶などの有機半導体や有機色素を用いた有機太陽電池が検討されている。
しかし、共役系重合体などを用いた有機太陽電池は、従来の無機半導体を用いた太陽電池と比べて光電変換効率が低いことが最大の課題であり、まだ実用化には至っていない。従来の共役系重合体を用いた有機太陽電池の光電変換効率が低いのは、太陽光の吸収効率が低いことや、太陽光によって生成された電子と正孔が分離しにくいエキシトンという束縛状態が形成されること、キャリア(電子、正孔)を捕獲するトラップが形成されやすいため生成したキャリアがトラップに捕獲されやすく、キャリアの移動度が遅いことなどによる。
これまでの有機半導体による光電変換素子は、現在のところ、電子供与性有機材料(p型有機半導体)と仕事関数の小さい金属を接合させるショットキー型、電子受容性有機材料(n型有機半導体)と電子供与性有機材料(p型有機半導体)を接合させるヘテロ接合型に分類することができる。これらの素子は、接合部の有機層(数分子層程度)のみが光電流生成に寄与するため光電変換効率が低く、その向上が課題となっている。
光電変換素子の光電変換効率を向上させるための一つの方法として、電子受容性有機材料(n型有機半導体)と電子供与性有機材料(p型有機半導体)を混合し、光電変換に寄与する接合面を増加させたバルクヘテロ接合型とする方法(例えば、非特許文献1参照)がある。なかでも、電子供与性有機材料(p型有機半導体)として共役系重合体を用い、電子受容性有機材料として、n型の半導体特性をもつ導電性高分子、C60などのフラーレンやフラーレン誘導体を用いたバルクへテロ接合型光電変換素子が報告されている(例えば、非特許文献2参照)。
太陽光スペクトルの広い範囲にわたる放射エネルギーを効率よく吸収し、光電変換効率を向上させるためには、バンドギャップを狭めた電子供与性有機材料が有用である(例えば、非特許文献3参照)。一方、電子受容性有機材料として用いられるのは実質的にフラーレン誘導体に限られている。しかしながら、フラーレン誘導体は大量合成が容易ではなく、抜本的な低コスト化に難がある。そのため、高い光電変換効率を有し、かつ低コストの有機太陽電池を製造するためには、フラーレン誘導体以外の電子受容性有機材料の開発が重要な課題となっている。最近、そのような可能性をもつ物質として、単純な構造の9,9’−ビフルオレニリデン誘導体が考案され、フラーレン誘導体には劣るものの、ある程度の光電変換効率を示すことが報告された(例えば、非特許文献4、5参照)。
J.J.M.Halls、C.A.Walsh、N.C.Greenham、E.A.Marseglia、R.H.Friend、S.C.Moratti、A.B.Holmes著、「ネイチャー(Nature)」、1995年、376号、498頁 G.Yu、J.Gao、J.C.Hummelen、F.Wudl、A.J.Heeger著、「サイエンス(Science)」、1995年、270巻、1789頁 E.Bundgaard、F.C.Krebs著、「ソーラーエナジー マテリアルズアンド ソーラー セル(Solar Energy Materials & Solar Cells)」、2007年、91巻、954頁 F.G.Brunetti、X.Gong、M.Tang、A.J.Heeger、F.Wudl著、「アンゲバンデ ケミー インターナショナル エディッション(Angewandte Chemie International Edittion)」、2010年、49巻、532頁 X.Gong、M.Tong、F.G.Brunetti、J.Seo、Y.Sun、D.Moses、F.Wudl、A.J.Heeger著、「アドバンスト マテリアルズ(Advanced Materials)」、2011年、23巻、2272頁
しかしながら、上述の、単純な構造の9,9’−ビフルオレニリデン誘導体では、十分な光電変換効率が得られていなかった。本発明は、フラーレンに拠らない光起電力素子用材料を提供し、光電変換効率の高い光起電力素子を提供することを目的とする。
本発明は、下記一般式(1)で表される構造を有する光起電力素子用化合物、それを用いた光起電力素子用材料および光起電力素子である。
Figure 2014162753
(上記一般式(1)中、R1〜R26はそれぞれ同じでも異なっていても良く、水素、重水素、アルキル基、シクロアルキル基、アラルキル基、アルケニル基、シクロアルケニル基、アルキニル基、水酸基、メルカプト基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アリールエーテル基、アリールチオエーテル基、アリール基、複素環基、ハロゲン、ハロアルカン、ハロアルケン、ハロアルキン、シアノ基、アルデヒド基、カルボニル基、カルボキシル基、エステル基、カルバモイル基、アミノ基、ニトロ基、シリル基、シロキサニル基、隣接置換基との間に形成される環構造の中から選ばれる、置換または無置換の基を示す。)
本発明によれば、光電変換効率の高い光起電力素子を提供することができる。
本発明の光起電力素子の一態様を示した模式図である。 本発明の光起電力素子の別の態様を示した模式図である。
<光起電力素子用化合物>
本発明の光起電力素子用化合物は、下記一般式(1)で表わされる構造を含む。
Figure 2014162753
上記一般式(1)中、R1〜R26はそれぞれ同じでも異なっていても良く、水素、重水素、アルキル基、シクロアルキル基、アラルキル基、アルケニル基、シクロアルケニル基、アルキニル基、水酸基、メルカプト基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アリールエーテル基、アリールチオエーテル基、アリール基、複素環基、ハロゲン、ハロアルカン、ハロアルケン、ハロアルキン、シアノ基、アルデヒド基、カルボニル基、カルボキシル基、エステル基、カルバモイル基、アミノ基、ニトロ基、シリル基、シロキサニル基、隣接置換基との間に形成される環構造の中から選ばれ、それぞれ置換されていてもよい。
これらの置換基の内、アルキル基とは例えばメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基などの飽和脂肪族炭化水素基を示し、これは無置換でも置換されていてもかまわない。また、シクロアルキル基とは例えばシクロプロピル、シクロヘキシル、ノルボルニル、アダマンチルなどの飽和脂環式炭化水素基を示し、これは無置換でも置換されていてもかまわない。また、アラルキル基とは例えばベンジル基、フェニルエチル基などの脂肪族炭化水素を介した芳香族炭化水素基を示し、脂肪族炭化水素と芳香族炭化水素はいずれも無置換でも置換されていてもかまわない。また、アルケニル基とは例えばビニル基、アリル基、ブタジエニル基などの二重結合を含む不飽和脂肪族炭化水素基を示し、これは無置換でも置換されていてもかまわない。また、シクロアルケニル基とは例えばシクロペンテニル基、シクロペンタジエニル基、シクロヘキセン基などの二重結合を含む不飽和脂環式炭化水素基を示し、これは無置換でも置換されていてもかまわない。また、アルキニル基とは例えばアセチレニル基などの三重結合を含む不飽和脂肪族炭化水素基を示し、これは無置換でも置換されていてもかまわない。また、アルコキシ基とは例えばメトキシ基などのエーテル結合を介した脂肪族炭化水素基を示し、脂肪族炭化水素基は無置換でも置換されていてもかまわない。また、アルキルチオ基とはアルコキシ基のエーテル結合の酸素原子が硫黄原子に置換されたものである。また、アリールエーテル基とは例えばフェノキシ基などのエーテル結合を介した芳香族炭化水素基を示し、芳香族炭化水素基は無置換でも置換されていてもかまわない。また、アリールチオエーテル基とはアリールエーテル基のエーテル結合の酸素原子が硫黄原子に置換されたものである。また、アリール基とは例えばフェニル基、ナフチル基、ビフェニル基、フェナントリル基、ターフェニル基、ピレニル基などの芳香族炭化水素基を示し、これは無置換でも置換されていてもかまわない。また、複素環基とは例えばフリル基、チエニル基、オキサゾリル基、ピリジル基、キノリル基、カルバゾリル基などの炭素以外の原子を有する環状構造基を示し、これは無置換でも置換されていてもかまわない。ハロゲンとはフッ素、塩素、臭素、ヨウ素を示す。ハロアルカン、ハロアルケン、ハロアルキンとは例えばトリフルオロメチル基などの、前述のアルキル基、アルケニル基、アルキニル基の一部あるいは全部が、前述のハロゲンで置換されたものを示し、残りの部分は無置換でも置換されていてもかまわない。アルデヒド基、カルボニル基、エステル基、カルバモイル基、アミノ基には脂肪族炭化水素、脂環式炭化水素、芳香族炭化水素、複素環などで置換されたものも含み、さらに脂肪族炭化水素、脂環式炭化水素、芳香族炭化水素、複素環は無置換でも置換されていてもかまわない。シリル基とは例えばトリメチルシリル基などのケイ素化合物基を示し、これは無置換でも置換されていてもかまわない。シロキサニル基とは例えばトリメチルシロキサニル基などのエーテル結合を介したケイ素化合物基を示し、これは無置換でも置換されていてもかまわない。R1〜R26は、隣接置換基との間で縮合環または脂肪族環を形成することができる。この縮合環または脂肪族環は無置換でも置換されていてもかまわない。
合成の容易性の観点から、上記置換基のうち、R1とR2はアルキル基であることが好ましく、炭素数2〜8のアルキル基であることがより好ましい。
本発明の光起電力素子用化合物である9,9’−ビフルオレニリデン骨格をもつ一連の化合物は、単純な9,9’−ビフルオレニリデン骨格とは異なり、従来全く例を見ない独特の多環状構造を有しており、特に二つの9,9’−ビフルオレニリデン骨格が環状構造に固定されている点が大きな特徴である。
本発明の光起電力素子用化合物は、小さなHOMO−LUMOギャップを有し可視部に強い吸収を有するのみならず、比較的高いLUMOレベルを有するため、一般に用いられる電子供与性有機材料の光励起状態からの電子移動が起こりやすく、このため電子受容性有機材料として好ましく用いることができる。また、二つの9,9’−ビフルオレニリデン骨格が環状構造に固定されているため、電子を受容した際の構造変化が少ないと期待され、それにより逆電子移動による失活が抑制されると考えられる。本発明の光起電力素子用化合物を電子受容性有機材料として用いた光起電力素子は、これらのメカニズムにより、従来の単純な9,9’−ビフルオレニリデン誘導体よりも高い光電変換効率を示すものと考えられる。
さらに、驚くべきことに、本発明の光起電力素子用化合物は、組み合わせる化合物の種類を変えることで、電子供与性有機材料としても機能することを見出した。したがって本発明の化合物は極めて汎用性の高い光起電力素子用化合物と言うことができる。
上記一般式(1)で表される構造を有する光起電力素子用化合物として、具体的には下記のような構造の化合物が挙げられる。
Figure 2014162753
本発明の光起電力素子用化合物は、例えば、下記の方法により合成することができる。具体的には、オクタデヒドロトリベンゾ[12]アヌレンをテトラヒドロフランに溶解し、−78℃でn−ブチルリチウムを添加、室温まで昇温したのち水を加え、最後に後処理と精製を施すことで、下記一般式で表される目的の化合物が得られる。代表的な電子受容性化合物であるフラーレンは偶然性がつきまとう燃焼法などでしか合成できないが、本発明の光起電力素子用化合物は、このようにファインな有機合成法により選択的に合成することが可能なため、フラーレンよりも大幅に低コスト化できる可能性を潜在させていると言える。
Figure 2014162753
光電変換効率をより向上させるためには、キャリアのトラップとなるような不純物を精製により極力除去することが好ましい。本発明では、光起電力素子用化合物の不純物を除去する方法は特に限定されないが、カラムクロマトグラフィー法、再結晶法、昇華法、再沈殿法、ソックスレー抽出法、GPCによる分子量分画法、濾過法、イオン交換法、キレート法等を用いることができる。
一般的に低分子有機材料の精製にはカラムクロマトグラフィー法、再結晶法、昇華法が好ましく用いられる。他方、高分子量体の精製には、低分子量成分を除去する場合には再沈殿法やソクスレー抽出法、GPCによる分子量分画法が好ましく用いられ、金属成分を除去する場合には再沈殿法やキレート法、イオン交換法が好ましく用いられる。これらの方法のうち、複数を組み合わせてもよい。
本発明の光起電力素子用化合物は、単独または他の有機材料とともに、光起電力素子用材料を組成することができる。
本発明の光起電力素子用材料は、上述した光起電力素子用化合物と、LUMO準位の絶対値が3.5eV未満でHOMO準位の絶対値が5.5eV未満の電子供与性有機化合物を含むことができる。
また本発明の他の光起電力素子用材料は、上述した光起電力素子用化合物と、LUMO準位の絶対値が3.5eV以上でHOMO準位の絶対値が5.5eV以上の電子受容性有機化合物を含むことができる。
<光起電力素子>
次に、本発明の光起電力素子について説明する。本発明の光起電力素子は、少なくとも正極と負極を有し、これらの間に本発明の光起電力素子用材料を含む有機半導体層を有する。図1は本発明の光起電力素子の一例を示す模式図である。図1において符号1は基板、符号2は正極、符号3は本発明の光起電力素子用材料を含む有機半導体層、符号4は負極である。
有機半導体層3は本発明の光起電力素子用材料を含み、光起電力素子用材料は、電子供与性有機材料と電子受容性有機材料を含む。本発明の光起電力素子用化合物は、LUMO準位の絶対値が3.5eV未満でHOMO準位の絶対値が5.5eV未満の電子供与性有機化合物と組み合わせると電子受容性有機化合物として機能し、LUMO準位の絶対値が3.5eV以上でHOMO準位の絶対値が5.5eV以上の電子供与性有機化合物と組み合わせると電子供与性有機化合物として機能する。ここで、HOMO準位は、大気中光電子分光法で測定することが可能であり、LUMO準位は、紫外可視吸収スペクトルより算出したバンドギャップと上記HOMO準位の差から間接的に算出することができる。
光起電力素子用材料において、本発明の光起電力素子用化合物を電子受容性化合物として用いる場合には、他の電子受容性化合物と組み合わせてもよく、また電子供与性化合物として用いる場合には、他の電子供与性化合物と組み合わせて用いてもよい。
電子供与性有機材料と電子受容性有機材料は混合されていても積層されていても良いが、混合されていることが好ましい。すなわち、電子供与性有機材料と電子受容性有機材料とを混合することにより光電変換に寄与する接合面を増加させるバルクヘテロ接合型光起電力素子とすることが好ましい。混合方法としては特に限定されるものではないが、所望の比率で溶媒に添加した後、加熱、撹拌、超音波照射などの方法を1種または複数種組み合わせて溶媒中に溶解させる方法が挙げられる。また、混合されている場合は、一般式(1)で表される構造を有する光起電力素子用化合物と電子供与性有機化合物(または電子受容性有機化合物)が分子レベルで相溶しているか、相分離しているが、ナノメートルのサイズで相分離していることが好ましい。
この相分離構造のドメインサイズは特に限定されるものではないが、通常1nm以上50nm以下である。また、電子供与性有機材料と電子受容性有機材料が積層されている場合は、p型半導体特性を示す電子供与性有機材料を有する層が正極側、n型半導体特性を示す電子受容性有機材料を有する層が負極側であることが好ましい。
有機半導体層3が積層されている場合の光起電力素子の一例を図2に示す。符号5は電子供与性有機材料を有する層、符号6は電子受容性有機材料を有する層である。本発明の光起電力素子用化合物は、p型半導体として機能する場合は符号5の層に、n型半導体として機能する場合は符号6の層に含まれる。
有機半導体層は5nm〜500nmの厚さが好ましく、より好ましくは30nm〜300nmである。積層されている場合は、本発明の光起電力素子用化合物を有する層は上記厚さのうち1nm〜400nmの厚さを有していることが好ましく、より好ましくは15nm〜150nmである。
本発明の光起電力素子用材料において、電子供与性有機材料と電子受容性有機材料の含有比率(重量分率)は特に限定されないが、電子供与性有機材料:電子受容性有機材料の重量分率が、1:99〜99:1の範囲であることが好ましく、より好ましくは10:90〜90:10の範囲であり、さらに好ましくは20:80〜80:20の範囲である。光起電力素子用材料が一層の有機半導体層を形成する場合は、上述の含有比率はその一層に含まれる電子供与性有機材料と電子受容性有機材料の含有比率となり、有機半導体層が二層以上の積層構造である場合は、有機半導体層全体における電子供与性有機材料と電子受容性有機材料の含有比率を意味する。
本発明の光起電力素子においては、正極2もしくは負極4のいずれかに光透過性を有することが好ましい。電極の光透過性は、有機半導体層3に入射光が到達して起電力が発生する程度であれば、特に限定されるものではない。ここで、本発明における光透過性は、[透過光強度(W/m2)/入射光強度(W/m2)]×100(%)で求められる値である。電極の厚さは光透過性と導電性とを有する範囲であればよく、電極素材によって異なるが20nm〜300nmが好ましい。なお、もう一方の電極は導電性があれば必ずしも光透過性は必要ではなく、厚さも特に限定されない。
電極材料としては、一方の電極には仕事関数の大きな導電性素材、もう一方の電極には仕事関数の小さな導電性素材を使用することが好ましい。仕事関数の大きな導電性素材を用いた電極は正極となる。この仕事関数の大きな導電性素材としては金、白金、クロム、ニッケルなどの金属のほか、透明性を有するインジウム、スズ、モリブデンなどの金属酸化物、複合金属酸化物(インジウム錫酸化物(ITO)、インジウム亜鉛酸化物(IZO)など)が好ましく用いられる。ここで、正極2に用いられる導電性素材は、有機半導体層3とオーミック接合するものであることが好ましい。さらに、後述する正孔輸送層を用いた場合においては、正極2に用いられる導電性素材は正孔輸送層とオーミック接合するものであることが好ましい。
仕事関数の小さな導電性素材を用いた電極は負極となるが、この仕事関数の小さな導電性素材としては、アルカリ金属やアルカリ土類金属、具体的にはリチウム、マグネシウム、カルシウムなどが使用される。また、錫や銀、アルミニウムも好ましく用いられる。さらに、上記の金属からなる合金や上記の金属の積層体からなる電極も好ましく用いられる。ここで、負極4に用いられる導電性素材は、有機半導体層3または電子輸送層とオーミック接合するものであることが好ましい。ここで、接合を改善する方法として、負極に電子取り出し層としてフッ化リチウム(LiF)やフッ化セシウムなどの金属フッ化物を導入する方法が挙げられる。電子取り出し層の導入によって取り出し電流を向上させることが可能である。
基板1は、光電変換材料の種類や用途に応じて、電極材料や有機半導体層が積層できる基板、例えば、無アルカリガラス、石英ガラス等の無機材料、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリオレフィン、ポリアミド、ポリイミド、ポリフェニレンスルフィド、ポリパラキシレン、エポキシ樹脂やフッ素系樹脂等の有機材料から任意の方法によって作製されたフィルムや板が使用可能である。また基板側から光を入射して用いる場合は、上記に示した各基板に80%程度の光透過性を持たせておくことが好ましい。
本発明では、正極2と有機半導体層3の間に正孔輸送層を設けてもよい。正孔輸送層を形成する材料としては、ポリチオフェン系重合体、ポリ−p−フェニレンビニレン系重合体、ポリフルオレン系重合体などの導電性高分子や、フタロシアニン誘導体(H2Pc、CuPc、ZnPcなど)、ポルフィリン誘導体などのp型半導体特性を示す低分子有機化合物が好ましく用いられる。特に、ポリチオフェン系重合体であるポリエチレンジオキシチオフェン(PEDOT)やPEDOTにポリスチレンスルホネート(PSS)が添加されたものが好ましく用いられる。正孔輸送層は5nmから600nmの厚さが好ましく、より好ましくは30nmから200nmである。
また、本発明の光起電力素子は、有機半導体層3と負極4の間に電子輸送層を設けてもよい。電子輸送層を形成する材料として、特に限定されるものではないが、上述の電子受容性有機化合物(NTCDA、PTCDA、PTCDI−C8H、オキサゾール誘導体、トリアゾール誘導体、フェナントロリン誘導体、ホスフィンオキサイド誘導体、ホスフィンスルフィド誘導体、キノリン誘導体、フラーレン化合物、CNT、CN−PPVなど)のようにn型半導体特性を示す有機材料が好ましく用いられる。また、イオン性の置換フルオレン系ポリマー(「アドバンスド マテリアルズ(Advanced Materials)」、2011年、23巻、4636−4643頁、「オーガニック エレクトロニクス(Organic Electronics)」、2009年、10巻、496−500頁)や、イオン性の置換フルオレン系ポリマーと置換チオフェン系ポリマーの組み合わせ(「ジャーナル オブ アメリカン ケミカル ソサイエティー(Journal of American Chemical Society)」、2011年、133巻、8416−8419頁)などのイオン性化合物、ポリエチレンオキサイド(「アドバンスド マテリアルズ(Advanced Materials)」、2007年、19巻、1835−1838頁)なども電子輸送層として用いることができる。また、酸化チタンや酸化亜鉛などのn型半導体特性を示す無機材料も好ましく用いられる。
上記電子輸送層は0.1nm〜600nmの厚さが好ましく、より好ましくは1nm〜200nm、さらに好ましくは、1nm〜20nmである。また、上記電子輸送層は単独の化合物から成る層であっても良いし、2種以上の化合物から成る層であってもよい。さらに、上記電子輸送層は、アルカリ金属やアルカリ土類金属、具体的にはリチウム、マグネシウム、カルシウムなどやフッ化リチウムやフッ化セシウムなどの金属フッ化物などの化合物と上記電子輸送層用材料との混合層であっても良いし、それらとの積層構造であってもよい。
また、本発明の光起電力素子は、1つ以上の中間電極を介して2層以上の有機半導体層を積層(タンデム化)して直列接合を形成してもよい。例えば、基板/正極/第1の有機半導体層/中間電極/第2の有機半導体層/負極という積層構成を挙げることができる。このように積層することにより、開放電圧を向上させることができる。なお、正極と第1の有機半導体層の間、および、中間電極と第2の有機半導体層の間に上述の正孔輸送層を設けてもよく、第1の有機半導体層と中間電極の間、および、第2の有機半導体層と負極の間に上述の正孔輸送層を設けてもよい。
このような積層構成の場合、有機半導体層の少なくとも1層が本発明の光起電力素子用化合物を含み、他の層には、短絡電流を低下させないために、一般式(1)で表される構造を有する光起電力素子用化合物とはバンドギャップの異なる電子供与性有機化合物を含むことが好ましい。
このような電子供与性有機化合物としては、例えば上述のポリチオフェン系重合体、ポリ−p−フェニレンビニレン系重合体、ポリ−p−フェニレン系重合体、ポリフルオレン系重合体、ポリピロール系重合体、ポリアニリン系重合体、ポリアセチレン系重合体、ポリチエニレンビニレン系重合体、ベンゾチアジアゾール系重合体(例えば、PCPDTBT(poly[2,6−(4,4−bis−(2−ethylhexyl)−4H−cyclopenta[2,1−b;3,4−b’]dithiophene)−alt−4,7−(2,1,3−benzothiadiazole)])や、PSBTBT(poly[(4,4−bis−(2−ethylhexyl)dithieno[3,2−b:2’,3’−d]silole)−2,6−diyl−alt−(2,1,3−benzothiadiazole)−4,7−diyl]))などの共役系重合体や、H2フタロシアニン(H2Pc)、銅フタロシアニン(CuPc)、亜鉛フタロシアニン(ZnPc)等のフタロシアニン誘導体、ポルフィリン誘導体、N,N’−ジフェニル−N,N’−ジ(3−メチルフェニル)−4,4’−ジフェニル−1,1’−ジアミン(TPD)、N,N’−ジナフチル−N,N’−ジフェニル−4,4’−ジフェニル−1,1’−ジアミン(NPD)等のトリアリールアミン誘導体、4,4’−ジ(カルバゾール−9−イル)ビフェニル(CBP)等のカルバゾール誘導体、オリゴチオフェン誘導体(ターチオフェン、クウォーターチオフェン、セキシチオフェン、オクチチオフェンなど)等の低分子有機化合物が挙げられる。
また、ここで用いられる中間電極用の素材としては高い導電性を有するものが好ましく、例えば上述の金、白金、クロム、ニッケル、リチウム、マグネシウム、カルシウム、錫、銀、アルミニウムなどの金属や、透明性を有するインジウム、スズ、モリブデンなどの金属酸化物、複合金属酸化物(インジウム錫酸化物(ITO)、インジウム亜鉛酸化物(IZO)など)、上記の金属からなる合金や上記の金属の積層体、ポリエチレンジオキシチオフェン(PEDOT)やPEDOTにポリスチレンスルホネート(PSS)が添加されたもの、などが挙げられる。中間電極は光透過性を有することが好ましいが、光透過性が低い金属のような素材でも膜厚を薄くすることで充分な光透過性を確保できる場合が多い。
<光起電力素子の製造方法>
次に、本発明の光起電力素子の製造方法について例を挙げて説明する。基板上にITOなどの透明電極(この場合正極に相当)をスパッタリング法などにより形成する。次に、一般式(1)で表される構造を有する光起電力素子用化合物、および必要により電子供与性有機材料(または電子受容性有機材料)を含む光電変換素子用材料を溶媒に溶解させて溶液を作り、透明電極上に塗布し有機半導体層を形成する。
このとき用いられる溶媒は有機溶媒が好ましく、例えば、メタノール、エタノール、ブタノール、トルエン、キシレン、o−クロロフェノール、アセトン、酢酸エチル、エチレングリコール、テトラヒドロフラン、ジクロロメタン、クロロホルム、ジクロロエタン、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン、トリクロロベンゼン、クロロナフタレン、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、N−メチルピロリドン、γ−ブチロラクトンなどが挙げられる。これらを2種以上用いてもよい。
一般式(1)で表される構造を有する光起電力素子用化合物および電子供与性有機材料(または電子受容性有機材料)を混合して有機半導体層を形成する場合は、一般式(1)で表される構造を有する光起電力素子用化合物および電子供与性有機材料(または電子受容性有機材料)を所望の比率で溶媒に添加し、加熱、撹拌、超音波照射などの方法を用いて溶解させ溶液を作り、透明電極上に塗布する。この場合、2種以上の溶媒を混合して用いることで光起電力素子の光電変換効率を向上させることもできる。これは、電子供与性有機材料と電子受容性有機材料がナノレベルで相分離を起こし、電子と正孔の通り道となるキャリアパスが形成されるためと推測される。
組み合わせる溶媒は、用いる電子供与性有機材料と電子受容性有機材料の種類によって最適な組み合わせの種類を選択することができる。一般式(1)で表される構造を有する光起電力素子用化合物を用いる場合、組み合わせる好ましい溶媒として上述の中でもクロロホルムとジクロロベンゼンが挙げられる。この場合、各溶媒の混合体積比率は、クロロホルム:ジクロロベンゼン=80:20〜99.9:0.1の範囲であることが好ましく、さらに好ましくはクロロホルム:ジクロロベンゼン=90:10〜99.5:0.5の範囲である。
また、一般式(1)で表される構造を有する光起電力素子用化合物および電子供与性有機材料(または電子受容性有機材料)を積層して有機半導体層を形成する場合は、例えば電子供与性有機材料の溶液を塗布して電子供与性有機材料を有する層を形成した後に、電子受容性有機材料の溶液を塗布して層を形成する。ここで、電子供与性有機材料および電子受容性有機材料は、分子量が1000以下程度の低分子量体である場合には、蒸着法を用いて層を形成することも可能である。
有機半導体層の形成には、スピンコート塗布、ブレードコート塗布、スリットダイコート塗布、スクリーン印刷塗布、バーコーター塗布、鋳型塗布、印刷転写法、浸漬引き上げ法、インクジェット法、スプレー法、真空蒸着法など何れの方法を用いてもよく、膜厚制御や配向制御など、得ようとする有機半導体層特性に応じて形成方法を選択すればよい。例えばスピンコート塗布を行う場合には、一般式(1)で表される構造を有する光起電力素子用化合物および電子供与性有機材料(または電子受容性有機材料)が1〜100g/lの濃度(一般式(1)で表される構造を有する光起電力素子用化合物および電子供与性有機材料(または電子受容性有機材料)と溶媒を含む溶液の体積に対する、一般式(1)で表される構造を有する光起電力素子用化合物および電子供与性有機材料(または電子受容性有機材料)の重量)であることが好ましく、この濃度にすることで厚さ5〜200nmの均質な有機半導体層を容易に得ることができる。
形成した有機半導体層に対して、溶媒を除去するために、減圧下または不活性雰囲気下(窒素やアルゴン雰囲気下)などでアニーリング処理を行ってもよい。アニーリング処理の好ましい温度は40℃〜300℃、より好ましくは50℃〜200℃である。また、アニーリング処理を行うことで、積層した層が界面で互いに浸透して接触する実行面積が増加し、短絡電流を増大させることができる。このアニーリング処理は、負極の形成後に行ってもよい。
次に、有機半導体層上にアルミニウムなどの金属電極(この場合負極に相当)を真空蒸着法やスパッタ法により形成する。金属電極は、電子輸送層に低分子有機材料を用いて真空蒸着した場合は、引き続き、真空を保持したまま続けて形成することが好ましい。
正極と有機半導体層の間に正孔輸送層を設ける場合には、所望のp型有機半導体材料(PEDOTなど)を正極上にスピンコート法、バーコーティング法、ブレードによるキャスト法等で塗布した後、真空恒温槽やホットプレートなどを用いて溶媒を除去し、正孔輸送層を形成する。フタロシアニン誘導体やポルフィリン誘導体などの低分子有機材料を使用する場合には、真空蒸着機を用いた真空蒸着法を適用することも可能である。
有機半導体層と負極の間に電子輸送層を設ける場合には、所望のn型有機半導体材料(フラーレン誘導体など)n型無機半導体材料(酸化チタンゲルなど)を有機半導体層上にスピンコート法、バーコーティング法、ブレードによるキャスト法、スプレー法等で塗布した後、真空恒温槽やホットプレートなどを用いて溶媒を除去し、電子輸送層を形成する。フェナントロリン誘導体やC60などの低分子有機材料を使用する場合には、真空蒸着機を用いた真空蒸着法を適用することも可能である。
本発明の光起電力素子は、光電変換機能、光整流機能などを利用した種々の光電変換デバイスへの応用が可能である。例えば光電池(太陽電池など)、電子素子(光センサ、光スイッチ、フォトトランジスタなど)、光記録材(光メモリなど)などに有用である。
以下、本発明を実施例に基づいてさらに具体的に説明する。なお、本発明は下記実施例に限定されるものではない。また実施例等で用いた化合物のうち、略語を使用しているものについて、以下に示す。
ITO:インジウム錫酸化物
PEDOT:ポリエチレンジオキシチオフェン
PSS:ポリスチレンスルホネート
PC70BM:フェニル C71 ブチリックアシッドメチルエステル
P3HT:ポリ(3−ヘキシルチオフェン)
Eg:バンドギャップ
HOMO:最高被占分子軌道
Isc:短絡電流密度
Voc:開放電圧
FF:フィルファクター
η:光電変換効率
E−1:下記式で表される本発明の光起電力素子用化合物
Figure 2014162753
なお、光吸収端波長を、ガラス上に約60nmの厚さに形成した薄膜について、日立製作所(株)製のU−3010型分光光度計を用いて測定した薄膜の紫外可視吸収スペクトル(測定波長範囲:300〜900nm)から得た。得られた光吸収端波長からバンドギャップ(Eg)を下式により算出した。なお、薄膜はクロロホルムを溶媒を用いてスピンコート法により形成した。
Eg(eV)=1240/薄膜の光吸収端波長(nm)
また、最高被占分子軌道(HOMO)準位は、ITOガラス上に約60nmの厚さに形成した薄膜について、表面分析装置(大気中紫外線光電子分光装置AC−2型、理研機器(株)製)を用いて測定した。なお、薄膜はクロロホルムを溶媒に用いてスピンコート法により形成した。得られたHOMO準位とEgから、最低空分子軌道(LUMO)準位を下式により算出した。
LUMO(eV)=HOMO(eV)+Eg(eV)
これらから、測定および算出されたP3HT(Aldrich社製)のHOMO準位は−4.72eV、LUMO準位は−2.58eVであった。また、PC70BM(Solenne社製)のOMO準位は−5.92eV、LUMO準位は−4.12eV、E−1のOMO準位は−5.49eV、LUMO準位は−3.63eVであった。
実施例1
〔E−1を電子受容性有機材料として用いる場合〕
P3HT(Aldrich社製)2mg、E−1 1mgを、オルト−ジクロロベンゼンを1体積%の割合で混合したクロロホルム溶液0.3mlに加え、溶液がはいった容器を超音波洗浄機((株)井内盛栄堂製US−2(商品名)、出力120W)中で30分間超音波照射することにより溶液Aを得た。
スパッタリング法により正極となるITO透明導電層を125nm堆積させたガラス基板を38mm×46mmに切断した後、ITOをフォトリソグラフィー法により38mm×13mmの長方形状にパターニングした。得られた基板をアルカリ洗浄液(フルウチ化学(株)製、“セミコクリーン”EL56(商品名))で10分間超音波洗浄した後、超純水で洗浄した。
この基板を30分間UV/オゾン処理した後に、基板上に正孔輸送層となるPEDOT:PSS水溶液(PEDOT 0.8重量%、PPS 0.5重量%)をスピンコート法により約30nmの厚さに成膜した。ホットプレートにより200℃で5分間加熱乾燥した後、上記の溶液AをPEDOT:PSS層上に滴下し、スピンコート法により膜厚約100nmの有機半導体層を形成した。その後、有機半導体層が形成された基板と陰極用マスクを真空蒸着装置内に設置して、装置内の真空度が1×10-3Pa以下になるまで再び排気し、抵抗加熱法によって、フッ化リチウム層を0.5nmの厚さに蒸着した。その後、負極となるアルミニウム層を80nmの厚さに蒸着した。以上のように、ストライプ状のITO層とアルミニウム層が交差する部分の面積が5mm×5mmである光起電力素子を作製した。さらに、作製した光起電力素子をあらかじめ150℃に加熱しておいた真空オーブンに移し、1×10-1Pa以下において30分間加熱処理を施した。
このようにして作製された光起電力素子の正極と負極をヒューレット・パッカード社製ピコアンメーター/ボルテージソース4140Bに接続して、大気下でITO層側から擬似太陽光(山下電装(株)製 YSS−E40、スペクトル形状:AM1.5、強度:100mW/cm2)を照射し、印加電圧を−1Vから+2Vまで変化させたときの電流値を測定した。この時の短絡電流密度(印加電圧が0Vのときの電流密度の値)は6.12A/cm2、開放電圧(電流密度が0になるときの印加電圧の値)は1.06V、フィルファクター(FF)は0.415であり、これらの値から算出した光電変換効率は2.69%であった。
なお、フィルファクターと光電変換効率は次式により算出した。
フィルファクター=IVmax(mA・V/cm2)/(短絡電流密度(mA/cm2)×開放電圧(V))
(ここで、IVmaxは、印加電圧が0Vから開放電圧値の間で電流密度と印加電圧の積が最大となる点における電流密度と印加電圧の積の値である。)
光電変換効率=[(短絡電流密度(mA/cm2)×開放電圧(V)×フィルファクター)/擬似太陽光強度(100mW/cm2)]×100(%)
以下の実施例と比較例におけるフィルファクターと光電変換効率も全て上式により算出した。
実施例2
〔E−1を電子供与性有機材料として用いる場合〕
E−1 1mg、PC70BM(Solenne社製)4mgを、クロロホルム溶液0.5mlに加え、溶液がはいった容器を超音波洗浄機((株)井内盛栄堂製US−2(商品名)、出力120W)中で30分間超音波照射することにより溶液Bを得た。
溶液Aに替えて溶液Bを用いた他はアルミニウム層の蒸着までを実施例1と同様にして行い、光起電力素子を作製した。電流−電圧特性の測定も実施例1と同様にして行ったところ、短絡電流密度は6.61A/cm2、開放電圧は1.02V、フィルファクター(FF)は0.350であり、これらの値から算出した光電変換効率は2.36%であった。
比較例1
E−1に替えてPC70BM(Solenne社製)を用いた他は実施例1と全く同様にして光起電力素子を作製し、電流−電圧特性の測定を行った。このとき、短絡電流密度は1.22A/cm2、開放電圧は0.34V、フィルファクター(FF)は0.550であり、これらの値から算出した光電変換効率は0.23%であった。
Figure 2014162753
表1から明らかなように、一般式(1)で表される構造を有する光起電力素子用化合物を用いて作製した光起電力素子(実施例1および2)は、他材料を用いて作製した光起電力素子(比較例1)に比べ高い光電変換効率を示した。
1:基板
2:正極
3:有機半導体層
4:負極
5:電子供与性有機材料を有する層
6:電子受容性有機材料を有する層

Claims (7)

  1. 下記一般式(1)で表される構造を有する光起電力素子用化合物。
    Figure 2014162753
    (上記一般式(1)中、R1〜R26はそれぞれ同じでも異なっていても良く、水素、重水素、アルキル基、シクロアルキル基、アラルキル基、アルケニル基、シクロアルケニル基、アルキニル基、水酸基、メルカプト基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アリールエーテル基、アリールチオエーテル基、アリール基、複素環基、ハロゲン、ハロアルカン、ハロアルケン、ハロアルキン、シアノ基、アルデヒド基、カルボニル基、カルボキシル基、エステル基、カルバモイル基、アミノ基、ニトロ基、シリル基、シロキサニル基、隣接置換基との間に形成される環構造の中から選ばれる、置換または無置換の基を示す。)
  2. 前記一般式(1)中、R1とR2がアルキル基である請求項1記載の光起電力素子用化合物。
  3. 請求項1または2に記載の光起電力素子用化合物と、LUMO準位の絶対値が3.5eV未満でHOMO準位の絶対値が5.5eV未満の電子供与性有機化合物を含む光起電力素子用材料。
  4. 前記電子供与性有機化合物が共役系重合体である請求項3記載の光起電力素子用材料。
  5. 請求項1または2に記載の光起電力素子用化合物と、LUMO準位の絶対値が3.5eV以上でHOMO準位の絶対値が5.5eV以上の電子受容性有機化合物を含む光起電力素子用材料。
  6. 前記電子受容性有機化合物がフラーレン化合物である請求項5記載の光起電力素子用材料。
  7. 少なくとも正極と負極を有する光起電力素子であって、負極と正極の間に請求項3〜6のいずれかに記載の光起電力素子用材料を含む有機半導体層を有する光起電力素子。
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