JP2014159516A - 難燃性樹脂組成物、難燃性樹脂成形体、絶縁電線及びフラットケーブル - Google Patents

難燃性樹脂組成物、難燃性樹脂成形体、絶縁電線及びフラットケーブル Download PDF

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Yuhei Mayama
裕平 真山
Taro Fujita
太郎 藤田
Shinya Nishikawa
信也 西川
Hitoshi Endo
仁 遠藤
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Abstract

【課題】難燃性樹脂組成物中に固体状のリン系難燃剤を良好に分散させることで薄肉加工を可能とし、難燃性、接着性、柔軟性(屈曲性)及び電気特性に優れる難燃性樹脂成形体、並びに絶縁電線及びフラットケーブルを提供する。
【解決手段】本発明は、ポリエチレン及びアイオノマーを含む樹脂成分とリン系難燃剤とを含有する難燃性樹脂組成物である。リン系難燃剤は、ポリエチレン及びアイオノマーの融点において固体である。アイオノマーの上記樹脂成分に対する含有量は、3質量%以上30質量%以下である。リン系難燃剤の上記樹脂成分100質量部に対する含有量は、5質量部以上35質量部以下である。
【選択図】 なし

Description

本発明は、難燃性樹脂組成物、難燃性樹脂成形体、絶縁電線及びフラットケーブルに関する。
近年、タブレット端末、デジタルカメラ、パーソナルコンピュータ等の電子機器は小型化している。電子機器の小型化に伴い、その筐体内部に使用される絶縁電線、フラットケーブル等について、細径化、薄型化が要求されている。このような要求に応えるためには、絶縁電線等において導体を被覆する被覆層の薄肉化が必要とされる。
絶縁電線については、直径が200μm程度又はそれ以下の細径化が要求される用途もある。この場合、絶縁電線の被覆層の厚みとしては、100μm以下であることが要求される。フラットケーブルについても同様に、薄型化のために被覆層の厚みが100μm以下であることが要求されることがある。このように被覆層の厚みを小さくする場合、被覆層を形成するための樹脂材料には高い薄肉加工性(押出成形性)が要求される。
一方、絶縁電線等においては、高い難燃性が要求される用途もある。難燃性に関する基準としては、米国UL規格に基づく難燃試験(VW−1試験、水平燃焼試験)があり、この試験をクリアできるか否かが難燃性の良否を判定する一つの基準となる。
フラットケーブルの難燃性を向上させるための手法として、接着層に難燃剤を添加することが提案されている(特許第4662511号公報及び特開2011−222371号公報参照)。特許第4662511号公報には、ポリエステル樹脂に、難燃剤及びフィラーを混合したヒートシール層(接着層)を有するフラットケーブル用のヒートシール性テープが開示されている。特開2011−222371号公報には、共重合ポリエステルに、ポリフェニレンエーテルとリン系難燃剤とを混合した難燃樹脂層(接着層)を有するフラットケーブル用絶縁フィルムが開示されている。
一般に、難燃剤は、臭素系難燃剤、塩素系難燃剤等のハロゲン系難燃剤と、リン系難燃剤、窒素系難燃剤、水和金属化合物等のノンハロゲン難燃剤とに大別することができる。ハロゲン系難燃剤は、焼却時においてハロゲン化水素ガス等の有害ガスの発生が懸念されることから、近年においてはノンハロゲン系難燃剤が使用される傾向にある。
特許第4662511号公報 特開2011−222371号公報
しかし、ノンハロゲン系難燃剤を使用する場合、難燃性に関する米国UL規格の基準を満たすためには、ハロゲン系難燃剤に比べて添加量が多くなる。ノンハロゲン系難燃剤の多くは、添加量が多くなることによって被覆層と導体との接着性の低下、絶縁電線等の柔軟性の低下、高誘電率化に伴う電気特性の悪化等の不都合が生じ得る。そこで、ノンハロゲン系難燃剤としては、ノンハロゲン系難燃剤の中でも添加量が少なくても高い難燃性向上効果が期待できるリン系難燃剤が好ましく使用されている。
ところが、リン系難燃剤であっても、固体状のリン系難燃剤は一般に融点が高く、樹脂材料との溶融混練時の温度において一般的な溶融混練装置を用いて良好に分散させるのが難しい。その結果、固体状のリン系難燃剤を用いた樹脂材料は、押出成形等の樹脂成形による薄肉加工が困難となる。加えて、固体状のリン系難燃剤を絶縁電線等の被覆層に含有させた場合、難燃性向上効果を期待できる反面、リン系難燃剤の分散が不十分であると、接着性の低下、柔軟性の低下、電気特性の悪化等の問題を十分に改善することができない。
本発明は、上述のような事情に基づいてなされたものであり、難燃性樹脂組成物中に固体状のリン系難燃剤を良好に分散させることで薄肉加工を可能とし、難燃性、接着性、柔軟性(屈曲性)及び電気特性に優れる難燃性樹脂成形体、並びに絶縁電線及びフラットケーブルを提供することを目的としている。
上記課題を解決するためになされた本発明は、
ポリエチレン及びアイオノマーを含む樹脂成分とリン系難燃剤とを含有し、
このリン系難燃剤が上記ポリエチレン及び上記アイオノマーの融点において固体であり、
上記アイオノマーの上記樹脂成分に対する含有量が3質量%以上30質量%以下、
上記リン系難燃剤の上記樹脂成分100質量部に対する含有量が5質量部以上35質量部以下である難燃性樹脂組成物である。
当該難燃性樹脂組成物は、上記樹脂成分に対して3質量%以上30質量%以下のアイオノマーを含有しているので、リン系難燃剤が樹脂成分の融点において固体状であっても、当該難燃性樹脂組成物における分散性が良好なものなる。そのため、当該難燃性樹脂組成物を用いれば、押出成形等の樹脂成形による薄肉加工が可能となる。これにより、難燃性樹脂成形体の薄肉化が可能となるため、例えば絶縁電線、フラットケーブル等の難燃性絶縁層の薄肉化が可能となる。その結果、絶縁電線又はフラットケーブルの細径化又は薄型化に寄与することができる。
加えて、アイオノマーを適切量含有することで、リン系難燃剤の分散性が改善されるため、リン系難燃剤の含有量が過剰にならないようにすることができる。これにより、固体状のリン系難燃剤を使用する場合に、このリン系難燃剤の偏在等に起因する接着性、柔軟性(屈曲性)及び電気特性の低下を抑制することができる。
一方、当該難燃性樹脂組成物は、適切量のリン系難燃剤を良好に分散させた状態で含有しているので、当該難燃性樹脂組成物を用いて形成した難燃性樹脂成形体等の難燃性を十分に確保することができる。
上記アイオノマーの上記樹脂成分に対する含有量としては、5質量%以上20質量%以下が好ましい。アイオノマーの含有量を上記樹脂成分に対して上記範囲とすることで、リン系難燃剤の分散性をさらに改善することができる。その結果、樹脂成形における薄肉加工性がさらに向上し、絶縁電線の細径化、フラットケーブルの薄型化、難燃性樹脂成形体の薄肉化等の要望にさらに適切に応えることができる。加えて、絶縁電線及びフラットケーブルにおいて、難燃性を十分に確保しつつ、接着性、柔軟性(屈曲性)及び電気特性の低下をさらに抑制することができる。
上記リン系難燃剤と上記アイオノマーとの含有質量比率が、100/100以上100/40以下が好ましい。リン系難燃剤とアイオノマーとの含有質量比率を上記範囲にすることで、リン系難燃剤の分散性をさらに改善することができる。その結果、樹脂成形における薄肉加工性がさらに向上し、絶縁電線の細径化、フラットケーブルの薄型化、難燃性樹脂成形体の薄肉化等の要望にさらに適切に応えることができる。加えて、絶縁電線及びフラットケーブルにおいて、難燃性を十分に確保しつつ、接着性、柔軟性及び電気特性の低下をさらに抑制することができる。
上記アイオノマーの金属イオンとしては亜鉛イオンが好ましい。アイオノマーの金属イオンとして亜鉛を用いることで、リン系難燃剤の分散性がさらに改善されることが期待できる。その結果、難燃性、接着性、柔軟性及び電気特性のさらなる向上が期待できる。
上記リン系難燃剤としてはホスフィン酸金属塩が好ましい。リン系難燃剤としてホスフィン酸金属塩を用いることで、難燃性樹脂成形体等についてさらに高い難燃性を確保できると同時に、絶縁電線及びフラットケーブルにおける接着性、柔軟性及び電気特性をさらに良好なものとすることが可能となる。
上記ポリエチレンとしては高密度ポリエチレンが好ましい。ポリエチレンとして高密度ポリエチレンを用いることで、低密度ポリエチレン等を用いる場合に比べて、当該難燃性樹脂組成物を用いて形成した難燃性樹脂成形体、絶縁電線及びフラットケーブルについて高い強度を確保することができる。
上記課題を解決するためになされた別の本発明は、
当該難燃性樹脂組成物を用いて形成される難燃性樹脂成形体である。
当該難燃性樹脂成形体は、当該難燃性樹脂組成物により形成されたものであるため、薄肉形成が可能であり、難燃性、接着性、柔軟性及び電気特性に優れたものとなる。
当該難燃性樹脂成形体としては押出成形により肉厚100μm以下に形成されたものであるのが好ましい。当該難燃性樹脂成形体に使用する難燃性樹脂組成物は、リン系難燃剤が適切に分散されているため、100μm以下という極めて薄い肉厚であっても適切に押出成形により形成することが可能である。
当該難燃性樹脂成形体としては、熱回復物品が好ましい。この熱回復物品は、難燃性及び柔軟性に優れ、肉厚の小さなものとして形成することができる。また、上記熱回復物品は、例えば絶縁電線の接続部分の被覆、絶縁電線の端末処理のための被覆、複数本の絶縁電線の結束のための被覆等に使用することができる。すなわち、上記熱回復物品は、ワイヤスプライス、ワイヤハーネス等に使用することができる。そのため、上記熱回復物品を使用したワイヤスプライス、ワイヤハーネス等は、難燃性、接着性、柔軟性及び電気特性に優れたものとすることが可能となる。特に、熱回復物品の肉厚を小さなものとすることができるため、極細なワイヤを用いたワイヤスプライス、ワイヤハーネス等に対しても好適に使用することが可能となる。
当該難燃性樹脂成形体としては、絶縁フィルムが好ましい。この絶縁フィルムは、難燃性、接着性、柔軟性及び電気特性に優れ、肉厚の小さなものとして形成することができる。ここで、絶縁フィルムは、例えばフラットケーブルを形成するための熱圧着フィルム、熱収縮フィルム等として使用することができる。そのため、当該難燃性樹脂成形体としての絶縁フィルムを用いたフラットケーブルは、小型化及び薄肉化の要請に応えつつ、難燃性、接着性、柔軟性及び電気特性に優れたものとなる。
上記課題を解決するためになされたさらに別の本発明は、
導体と、この導体の外側を被覆する難燃性絶縁層とを備えた絶縁電線であって、
この難燃性絶縁層が当該難燃性樹脂成形体であることを特徴とする絶縁電線である。
当該絶縁電線は、当該難燃性樹脂成形体により形成されたものであるため、難燃性、接着性、柔軟性及び電気特性に優れている。また、当該絶縁電線は、難燃性絶縁層の薄肉化が可能であるため、細径化の要請に応えることが可能となる。
上記課題を解決するためになされたさらに別の本発明は、
当該複数の絶縁電線が引き揃えられているフラットケーブルである。
当該フラットケーブルは、当該絶縁電線を備えているため、難燃性、接着性、柔軟性及び電気特性に優れたものとなる。また、当該フラットケーブルは、当該絶縁電線が細径化可能であるため、薄型化の要請に応えることが可能となる。
上記課題を解決するためになされたさらに別の本発明は、
間隔をおいて引き揃えられた複数本の導体と、これらの導体の外側を被覆する難燃性絶縁層とを備えるフラットケーブルであって、
上記難燃性絶縁層が当該難燃性樹脂成形体であることを特徴とするフラットケーブルである。
当該フラットケーブルは、当該難燃性樹脂成形体により形成されたものであるため、難燃性、接着性、柔軟性及び電気特性に優れている。また、当該フラットケーブルは、難燃性絶縁層の薄肉化が可能であるため、薄型化の要請に応えることが可能となる。
本発明の難燃性樹脂組成物は固体状のリン系難燃剤が良好に分散されているので、当該難燃性樹脂組成物を用いることで、押出成形等の樹脂成形による薄肉加工が可能となり、難燃性、接着性、柔軟性及び電気特性に優れる難燃性樹脂成形体、並びに絶縁電線及びフラットケーブルを提供することが可能となる。
本発明の難燃性樹脂成形体の一例である熱回復物品を示す全体斜視図である。 図1のX1−X1線に沿う断面図である。 本発明の難燃性樹脂成形体の一例である熱回復物品を示す全体斜視図である。 図3のX2−X2線に沿う断面図である。 本発明の難燃性樹脂成形体の一例である絶縁フィルムを使用したフラットケーブルの端部を示す斜視図である。 図5のX3−X3線に沿う断面図である。 本発明の難燃性樹脂成形体の一例である絶縁フィルムを使用したフラットケーブルの他の例を示す図5に相当する斜視図である。 図5又は図7の絶縁フィルムを使用したフラットケーブルのさらに他の例を示す図6に相当する断面図である。 本発明の絶縁電線の一例を示す斜視図である。 図9のX4−X4線に沿う断面図である。 本発明の絶縁電線の他の例である同軸ケーブルを示す斜視図である。 図11のX5−X5線に沿う断面図である。 本発明のフラットケーブルの一例を示す斜視図である。 図13のX6−X6線に沿う断面図である。 本発明のフラットケーブルの他の例を示す斜視図である。 図15のX7−X7線に沿う断面図である。 導体密着性評価における引張強度試験を説明するための模式的斜視図である。
[難燃性樹脂組成物]
本発明の難燃性樹脂組成物(以下、「難燃性樹脂組成物(X)」という)は、[A]ポリエチレン及び[B]アイオノマーを含む樹脂成分と、[C]リン系難燃剤とを含有している。難燃性樹脂組成物(X)は、本発明の効果を損なわない範囲で、その他の成分を含んでいてもよい。
<樹脂成分>
樹脂成分は、上述のように[A]ポリエチレン及び[B]アイオノマーを含んでいるが、これらの2成分が主成分であればよく、その他の副成分を含んでいてもよい。
([A]ポリエチレン)
[A]ポリエチレンとは、エチレンの単独重合体、エチレンと5mol%以下のα-オレフィレン単量体との共重合体及びエチレンと官能基に炭素、酸素、および水素原子だけを持つ5mol%以下%以下の非オレフィン単量体との共重合体をいう。[A]ポリエチレンの融点は、例えば90℃以上200℃以下である。
[A]ポリエチレンとしては、密度が0.910以上0.930未満である低密度ポリエチレン、密度が0.930以上0.942未満である中密度ポリエチレン及び密度が0.942以上0.960以下である高密度ポリエチレンが挙げられる。これらの中で、高密度ポリエチレンが好ましい。[A]ポリエチレンとして高密度ポリエチレンを使用することで、低密度ポリエチレン及び中密度ポリエチレンを用いる場合に比べて、難燃性樹脂組成物(X)により形成した難燃性樹脂成形体、絶縁電線及びフラットケーブル等について高い強度を確保することができる。
[A]ポリエチレンのメルトフローレート(MFR)としては、難燃性樹脂組成物(X)の用途、成形方法等に応じて設定すればよいが、例えば0.01g/10分以上30.0g/10分以下とされる。ここで、MFRは、樹脂の流動性を表す指標であり、本実施形態ではJIS K6760で規定された押出し形プラストメータを用い、JIS K7210に準拠して温度190℃、荷重2.16kgの条件で測定した値である。
[A]ポリエチレンのMFRが100g/10分を超えると、流動性が大きすぎるので難燃性樹脂成形体、絶縁電線の難燃性絶縁層等を目的とする形状に成形するのが困難となるおそれがある。また、溶融混練等により難燃性樹脂組成物(X)中に[C]リン系難燃剤を分散させる場合、[C]リン系難燃剤の分散が不十分となるおそれがある。一方、[A]ポリエチレンのMFRが3.0g/10分未満であると、流動性が小さすぎるので難燃性樹脂成形体、絶縁電線の難燃性絶縁層等の成形が困難となるおそれがある。
[A]ポリエチレンの含有量としては、[A]ポリエチレン及び[B]アイオノマーを含む樹脂成分に対して70質量%以上97質量%以下が好ましく、80質量%以上95質量%以下がより好ましい。[A]ポリエチレンの含有量が70質量%未満であると、[B]アイオノマー等の他の樹脂成分の含有量が相対的に大きくなるため、難燃性樹脂組成物(X)のMFRが変化するだけでなく、難燃剤の分散性、押出成形等の樹脂成形性が悪化するおそれがある。一方、[A]ポリエチレンの含有量が97質量%を超えると、[B]アイオノマー等の他の樹脂成分の含有量が相対的に小さくなるため、難燃性樹脂組成物(X)を溶融混錬等により調製するときに[C]リン系難燃剤を十分に分散させることができず、その結果難燃性樹脂組成物(X)を用いて形成される樹脂成形体の難燃性、接着性、屈曲性及び電気特性が悪化するおそれがある。
([B]アイオノマー)
[B]アイオノマーは、難燃性樹脂組成物(X)中への[C]リン系難燃剤の分散性を向上させるものである。[B]アイオノマーはさらに、難燃性樹脂組成物(X)によって形成された樹脂成形体とこの樹脂成形体が被着される被着体との間の接着性、例えば難燃性絶縁層を難燃性樹脂組成物(X)で形成した絶縁電線、フラットケーブル等における難燃性絶縁層と導体との接着性を向上させるものである。
[B]アイオノマーとしては、特に限定されないが、[A]ポリエチレンとの相溶性等の観点から、エチレン系アイオノマーが好ましい。このエチレン系アイオノマーは、エチレン共重合体の分子間を、金属イオンで疑似架橋したものであり、例えば融点が80℃以上150℃以下である。
エチレン共重合体としては、例えばエチレン−メタクリル酸共重合体、エチレン−アクリル酸共重合体等が挙げられる。
金属イオンとしては、例えば亜鉛イオン、カリウムイオン、ナトリウムイオン、カルシウムイオン、マグネシウムイオン、リチウムイオン等が挙げられる。これらの金属イオンの中でも、亜鉛イオンが好ましい。金属イオンとして亜鉛イオンを用いることで、難燃性樹脂組成物(X)における[C]リン系難燃剤の分散性がさらに改善されることが期待でき、その結果難燃性、接着性、屈曲性及び電気特性のさらなる向上が期待できる。
[B]アイオノマーのMFRは、難燃性樹脂組成物(X)における[C]リン系難燃剤の分散性を適切に改善できる範囲から選択すればよいが、使用される[A]ポリエチレンのMFR、コモノマー成分の量などを基に選択するのが好ましい。[B]アイオノマーのMFRとしては、0.01g/10分以上5.0g/10分以下が好ましい。[B]アイオノマーのMFRは、[A]ポリエチレンと同様の手法によって測定した値である。
[B]アイオノマーの含有量としては、上記樹脂成分に対して3質量%以上30質量%以下が好ましく、5質量%以上20質量%以下がより好ましい。[B]アイオノマーの含有量が3質量%未満であると、[B]アイオノマーを含有させることによる効果、例えば[C]リン系難燃剤の分散性の向上効果を十分に得ることができない。その結果、難燃性樹脂組成物(X)を用いて形成される樹脂成形体等の難燃性、接着性、屈曲性及び電気特性を十分に確保できない。一方、[B]アイオノマーの含有量が30質量%を超えると、難燃性樹脂組成物(X)のMFRが小さくなって樹脂成形性が悪化する。
[C]リン系難燃剤と[B]アイオノマーとの含有質量比率としては、100/100以上100/40以下が好ましい。含有質量比率を上記範囲とすることで、[B]アイオノマーを含有させることによる[C]リン系難燃剤の分散性改善効果を十分に得ることができ、[C]リン系難燃剤を含有させることによる難燃性改善効果を十分に得ることができる。
(副成分)
樹脂成分としては、難燃性樹脂組成物(X)が本発明において目的とする特性が得られる範囲において、耐薬品性、加工性、耐衝撃性の向上、コストダウン等を図るために、[A]ポリエチレン及び[B]アイオノマー以外の樹脂を副成分として含んでいてもよい。副成分の含有量としては、30質量部以下が好ましく、15質量部以下がより好ましい。
副成分としては、例えばポリプロピレン、アクリル酸グラフトポリエチレン、無水マレイン酸グラフトポリエチレン、アクリル酸グラフトポリプロピレン、ポリエチレン共重合体(エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−エチレンアクリレート共重合体、エチレン−メチルアクリレート共重合体、エチレン−ブチルアクリレート共重合体、エチレン−エチルメタアクリレート共重合体、エチレン−メチルメタアクリレート共重合体、エチレン−ブチルメタアクリレート共重合体、エチレン−(メタ)アクリル系ポリマー酸共重合体、エチレン−アクリル酸共重合体、エチレン−ビニルアルコール共重合体等)、スチレン系エラストマー(スチレン−エチレンブテン−スチレン共重合体、スチレン−エチレン−エチレンプロピレン−スチレン共重合体等)、ポリアミド(6ナイロン、11ナイロン等)、ポリエステル(ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンテレフタレート等)、エンジニアリングプラスチック(ポリカーボネート、変性ポリフェニレンエーテル等)、熱可塑性エラストマー、生分解性ポリマー、植物由来ポリマー等が挙げられる。
<[C]リン系難燃剤>
[C]リン系難燃剤は、難燃性樹脂組成物(X)を用いて形成した難燃性樹脂成形体、その難燃性樹脂成形体を難燃性絶縁層とする絶縁電線、フラットケーブル等の難燃性を向上させるものである。この[C]リン系難燃剤は、[A]ポリエチレン及び[B]アイオノマーの融点、例えば80℃以上200℃以下において固体のものである。[C]リン系難燃剤の融点としては、250℃以上500℃以下が好ましい。
[C]リン系難燃剤としては、特に限定されず、例えばホスフィン酸金属塩、リン酸メラミン化合物、リン酸アンモニウム化合物、環状有機リン系難燃剤、及びシクロホスファゼンを開環重合して得られるポリホスファゼン化合物等が挙げられる。これらの有機リン系難燃剤の中でも、ホスフィン酸金属塩が難燃性に優れており好ましい。
ホスフィン酸金属塩としては、下記式(1)で表される化合物等が挙げられる。
Figure 2014159516
下記式(1)中、R及びRは、それぞれ独立して、炭素数1以上8以下のアルキル基又は炭素数12以下のアリール基である。Mは、カルシウム、アルミニウム、亜鉛、マグネシウム、カリウム、ナトリウム、リチウム、アンモニウム、バリウム、ストロンチウムなどのアルカリ金属、アルカリ土類金属、3価の金属、1価〜3価の遷移金属、あるいはアンモニウムである。これらのうち、R、Rは、炭素数1〜8のアルキル基又は炭素数12以下のアリール基である有機ホスフィン酸金属塩が好ましく、また金属としては、カルシウム、アルミニウム、亜鉛が好ましく、より好ましくはアルミニウムである。
次亜リン酸金属塩としては、例えば有機ホスフィン酸アルミニウム塩を挙げることができる。有機ホスフィン酸アルミニウム塩としては、例えば「Exolit OP1230」、「Exolit OP1240」、「Exolit OP930」、「Exolit OP935」(全て、Clariant社製)等を使用することができる。
リン酸メラミン化合物としては、例えばポリリン酸メラミン、ポリリン酸メラミン酸、リン酸メラミン、オルソリン酸メラミン、ピロリン酸メラミン等を挙げることができる。ポリリン酸メラミンとしては、「MELAPUR200」(BASFジャパン株式会社製)等を使用することができる。
リン酸アンモニウム化合物としては、例えばポリリン酸アンモニウム、ポリリン酸アミド、ポリリン酸アミドアンモニウム、ポリリン酸カルバミン酸等を挙げることができる。
環状有機リン系難燃剤としては、下記式(2)、(3)又は(4)で表される化合物等が挙げられる。
Figure 2014159516
シクロホスファゼンを開環重合して得られるポリホスファゼン化合物としては、「SPR−100」、「SA−100」、「SR−100」、「SRS−100」、「SPB−100L」(全て、大塚化学株式会社製)等を使用することができる。
[C]リン系難燃剤としては、メラミン、メラミンシアヌレート、脂肪酸、シランカップリング剤等の表面処理剤で表面を処理したものを使用しても良い。この場合の[C]リン系難燃剤は、難燃性樹脂組成物(X)を調製する前に予め表面処理を行っておいてもよく、また難燃性樹脂組成物(X)を調製するときに表面処理剤を添加することで、難燃性樹脂組成物(X)の調製時に表面が処理されるようにしてもよい。
例示した[C]リン系難燃剤は、単独で用いても良いし、複数を組み合わせて用いても良い。例示した[C]リン系難燃剤を単独で使用する場合には、次亜リン酸アルミニウム、メラミン−ポリアルミニウムホスフェート、アルミニウムトリポリホスフェート等が好ましい。例示した[C]リン系難燃剤の組み合わせとしては、例えば、ホスフィン酸金属塩としての有機ホスフィン酸アルミニウム塩と、リン酸メラミン化合物としてのポリリン酸メラミンとの組み合わせを挙げることができる。このような組み合わせの[C]リン系難燃剤としては、例えば「EXOLITOP1321」(Clariant社製)等を使用することができる。
[C]リン系難燃剤の含有量としては、上記樹脂成分100質量部に対し5質量部以上35質量部以下が好ましい。[C]リン系難燃剤の含有量が5質量部未満であると、[C]リン系難燃剤を含有させることによる難燃性の改善効果を十分に得ることができない。一方、[C]リン系難燃剤の含有量が35質量部を超えると、[C]リン系難燃剤を十分に分散させることが困難となり、難燃性樹脂組成物(X)を用いて形成される樹脂成形品の難燃性、接着性、屈曲性及び電気特性を十分に確保するのが困難となる。
[C]リン系難燃剤に加えて、難燃性をさらに向上させるために、リン酸エステルを併用してもよい。リン酸エステルとしては、トリメチルフォスフェート、トリエチルフォスフェート、トリフェニルフォスフェート、トリクレシジルフォスフェート、トリキシレニルフォスフェート、クレジルフェニルフォスフェート、クレジル2,6−キシレニルフォスフェート、2−エチルヘキシルジフェニルフォスフェート、1,3フェニレンビス(ジフェニルフォスフェート)、1,3フェニレンビス(ジ2,6キシレニルフォスフェート)、ビスフェノールAビス(ジフェニルフォスフェート)、レゾルシノールビスジフェニルフォスフェート、オクチルジフェニルフォスフェート、ジエチレンエチルエステルフォスフェート、ジヒドロキシプロピレンブチルエステルフォスフェート、エチレンジナトリウムエステルフォスフェート、t−ブチルフェニルジフェニルホスフェート、ビス−(t−ブチルフェニル)フェニルホスフェート、トリス−(t−ブチルフェニル)ホスフェート、イソプロピルフェニルジフェニルホスフェート、ビス−(イソプロピルフェニル)ジフェニルホスフェート、トリス−(イソプロピルフェニル)ホスフェート、トリス(2−エチルヘキシル)ホスフェート、トリス(ブトキシエチル)ホスフェート、トリスイソブチルホスフェート、メチルホスホン酸、メチルホスホン酸ジメチル、メチルホスホン酸ジエチル、エチルホスホン酸、プロピルホスホン酸、ブチルホスホン酸、2−メチル−プロピルホスホン酸、t−ブチルホスホン酸、2,3−ジメチルブチルホスホン酸、オクチルホスホン酸、フェニルホスホン酸、ジエチルホスフィン酸、メチルエチルホスフィン酸、メチルプロピルホスフィン酸、ジエチルホスフィン酸、ジオクチルホスフィン酸、フェニルホスフィン酸、ジエチルフェニルホスフィン酸、ジフェニルホスフィン酸、アルキルリン酸エステル等を挙げることができる。
リン酸エステルの含有量としては、[C]リン系難燃剤100質量部に対して、1質量部以上20質量部以下が好ましい。リン酸エステルの含有量が1質量部未満だと、難燃性向上効果を十分に発揮することができない。一方、リン酸エステルの含有量が20質量部よりも大きいと、[C]リン系難燃剤による接着性、柔軟性(屈曲性)及び電気特性等の改善効果が阻害されるおそれがある。
難燃性接着剤組成物(X)は、[A]ポリエチレン、[B]アイオノマー及び[C]リン系難燃剤、必要に応じて、これら以外の樹脂成分又は添加物を、オープンロール、加圧ニーダー、単軸混合機、二軸混合機等の混合機で混合することで作製することができる。
難燃性樹脂組成物(X)を調製する場合、[B]アイオノマーは、必ずしもエチレン共重合体等のポリマーの分子間が金属イオンで予め疑似架橋された状態で添加する必要はなく、ポリマーと金属化合物とをそれぞれ添加し、難燃性樹脂組成物(X)の調製時にポリマーの分子間が金属イオンで疑似架橋されるようにしてもよい。
例えば、難燃性樹脂組成物(X)の調製時に、カルボキシル基を有するエチレン共重合体等のポリマーと、金属酸化物、金属水酸化物、金属塩等の金属化合物とを添加することで、疑似架橋されたエチレン系アイオノマーを含む組成物を得ることができる。具体的には、カルボキシル基を有するエチレン共重合体と金属化合物とを添加すると、ポリマーのカルボキシル基が金属イオンによって中和されてカルボン酸イオンとなり、金属イオンの塩を形成する。複数のカルボン酸イオンが金属イオンによって中和されることでエチレン共重合体同士が疑似架橋され、難燃性樹脂組成物(X)中に[B]アイオノマーが生成される。
分子内にカルボキシル基を有するエチレン共重合体としては、アクリル酸、メタクリル酸等のカルボキシル基を有するアクリル系モノマーとエチレンとの共重合体、無水マレイン酸等の酸無水物モノマーとエチレンとの共重合体等が挙げられる。これらの共重合体の製造は、共重合法、グラフト重合法等の既知の方法で行うことができ、各種の特性を向上させる目的で、更に他のモノマーを適宜共重合させることも可能である。
分子内にカルボキシル基を有するエチレン共重合体のカルボキシル基の含有量としては、0.5mol%以上50mol%以下が好ましく、1mol%以上30mol%以下がより好ましい。カルボキシル基の含有量が0.5mol%未満では、難燃性樹脂組成物(X)押出加工性及び難燃性樹脂成形品の剛性が低下する。一方、カルボキシル基の含有量が50mol%を超えると、耐電解液性が低下する。このようなエチレン共重合体としては、アクリル酸の共重合比率が5%以上30%以下であるエチレン−アクリル酸共重合体やエチレン−メタクリル酸共重合体等を挙げることができ、「ニュクレル(登録商標)」(三井・デュポンポリケミカル株式会社)、「プリマコール(登録商標)」(ダウ・ケミカル社)等の商品名のものを使用することができる。
金属酸化物、金属水酸化物又は金属塩等の金属化合物としては、例えば酸化亜鉛、酸化マグネシウム、水酸化マグネシウム、水酸化ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、酸化カルシウム、水酸化カルシウム、炭酸カルシウム、水酸化カリウム、炭酸水素カリウム等を挙げることができる。金属化合物の混合量としては、カルボキシル基を有するエチレン共重合体100質量部に対して1質量%以上10質量%以下が好ましい。
難燃性樹脂組成物(X)の添加物としては、酸化防止剤(ヒンダードフェノール系酸化防止剤、ヒンダードアミン系安定剤等)、[C]リン系難燃剤難燃剤用の表面処理剤(メラミン、メラミンシアヌレート、脂肪酸、シランカップリング剤等)、難燃化助剤(各種の金属化合物、金属硝酸塩、有機金属錯体等)、老化防止剤、着色剤、滑剤、加工安定剤、熱安定剤、紫外線吸収剤等が挙げられる。
次に、本発明の難燃性樹脂成形体について、図面を参照しつつ説明する。
[難燃性樹脂成形体]
難燃性樹脂成形体としては、図1〜図4に示した熱回復物品、図5〜図8にフラットケーブルへの適用例を示した絶縁フィルムを挙げることができる。
<熱回復物品>
図1及び図2の熱回復物品Y1は、例えば絶縁電線同士の接続部分の被覆、絶縁電線の結束するための被覆等に使用されるものである。すなわち、熱回復物品Y1は、ワイヤスプライス、ワイヤハーネス等に適用することができる。この熱回復物品Y1は、両端が開口したチューブ状に形成されており、加熱されることによって縮径するものである。
熱回復物品Y1は、例えば押出成形処理、形状固定処理、必要に応じて架橋処理というプロセスを経て形成することができる。
押出成形処理は、難燃性樹脂組成物(X)を材料とし、溶融押出成形機を用いて行われる。この押出成形処理では、[C]リン系難燃剤が適切に分散された難燃性樹脂組成物(X)が使用されるため、押出成形を適切に行うことができる。その結果、熱回復物品Y1を薄肉に形成する場合、例えば0.1mm(100μm)以下に形成する場合であっても、適切に押出成形を行うことができる。
形状固定処理は、押出成形品を融点以上の温度に加熱した状態で押出成形品を拡径させた後、冷却して形状を固定することによって行われる。押出成形品の拡径は、例えば押出成形品の内部への圧縮空気の導入により行われる。
架橋処理は、熱回復物品Y1の耐熱性を向上させる目的で行われる。この架橋処理は、押出成形品に対して形状固定処理を行う前に行われる。架橋方法としては、例えば電離性放射線の照射による架橋、化学架橋、熱架橋等の方法を挙げることができる。
熱回復物品Y1の寸法は、用途等に応じて設定することができるが、例えば形状固定前の押出成形品の状態において、内径D1が1.0mm以上30mm以下、肉厚T1が0.05mm以上10mm以下、長さ寸法L1が1.0cm以上50cm以下とされる。ここで示した熱回復物品Y1(押出成形品)の寸法は一例に過ぎず、本発明の熱回復物品を規定するものではない。
図3及び図4の熱回復物品Y2は、絶縁電線、ケーブル等を用いた配線の端末処理等に使用されるものである。この熱回復物品Y2は、一端が開口し、他端が閉じられたキャップ状に形成されている。熱回復物品Y2は、例えば図1及び図2の熱回復物品Y1の他端部を加熱収縮させ、他端部を閉じることで形成される。すなわち、熱回復物品Y2の各部の寸法D2,T2,L2は、熱回復物品Y1の各部の寸法D1,T1,L1と同程度とされる。
ここで、熱回復物品Y1,Y2の形成に使用される難燃性接着剤組成物(X)は、上述のように[C]リン系難燃剤が良好に分散されたものである。そのため、熱回復物品Y1,Y2は難燃性、屈曲性及び電気特性に優れたものとなる。また、難燃性接着剤組成物(X)が適当量の[B]アイオノマーを含んでいるため、熱回復物品Y1,Y2が被着される絶縁電線等との間で十分な接着性を確保することができる。このような効果は、熱回復物品Y1,Y2の肉厚T1,T2を0.10mm(100μm)以下と小さくした場合であっても適切に得ることができる。
<絶縁フィルム>
図5及び図6の絶縁フィルムY3は、フラットケーブル30において、複数本(本実施形態では6本)の絶縁電線31を、それらを引き揃えた状態で固定するために使用されるものであり、シート状に形成されている。
絶縁電線31は、導体32を絶縁層33で被覆したものである。導体32としては、単線(素線)及び複数本の素線を撚り合わせた撚り線のいずれを使用してもよい。フラットケーブル30では、絶縁電線31に代えて、絶縁電線31を保護層で被覆した同軸ケーブル等を使用することもできる。この場合の同軸ケーブルは、1本の絶縁電線を保護層で被覆した単芯ケーブル及び複数本の絶縁電線を保護層で被覆した多芯ケーブルのいずれであってもよい。
フラットケーブル30は、複数本の絶縁電線31を固定した後、端部にコネクタ34を装着することにより形成することができる。
複数本の絶縁電線31の固定は、複数本の絶縁電線31を径方向に並ぶように引き揃えた状態で、これらの絶縁電線31を一対の絶縁フィルムY3によって挟み込むことで行われる。このとき、複数本の絶縁電線31は隣接するものどうしが接触した状態で、一対の絶縁フィルムY3の端部どうしが接合される。一対の絶縁フィルムY3の端部どうしの接合は、例えば熱圧着により行うことができる。熱圧着は、絶縁フィルムY3の端部のみを選択的に行うようにしてもよく、また絶縁フィルムY3の全体を熱圧着するようにしてもよい。
図7の絶縁フィルムY4は、フラットケーブル40において、複数本(本実施形態では6本)の絶縁電線41を、それらを引き揃えた状態で固定するために使用されるものであり、帯状に形成されている。フラットケーブル40における複数本の絶縁電線41の固定は、複数対(本実施形態では2対)の絶縁フィルムY4を使用し、複数箇所(本実施形態では2カ所)で行われる。絶縁フィルムY4どうしの接合は、フラットケーブル30の絶縁フィルムY3(図5及び図6参照)と同様に、熱圧着により行うことができる。
図8のフラットケーブル50は、複数本の絶縁電線51を隣接するものどうしが接触しないように、隙間を介して引き揃えた状態で、絶縁フィルムY5で固定したものである。このフラットケーブル50では、絶縁電線51間に隙間あるため、絶縁フィルムY5は絶縁電線51の表面形状に倣った形態となっている。
絶縁フィルムY3〜Y5は、難燃性接着剤組成物(X)を用いて、例えば押出成形により肉厚T3,T4,T5が0.05mm以上5mm以下となるように形成される。
ここで、絶縁フィルムY3〜Y5の形成に使用される難燃性接着剤組成物(X)は、上述のように[C]リン系難燃剤が良好に分散されたものである。そのため、絶縁フィルムY3〜Y5を形成するときの押出成形を適切に行うことができる。その結果、絶縁フィルムY3〜Y5を薄肉に形成する場合、例えば0.1mm(100μm)以下に形成する場合であっても、適切に押出成形を行うことができる。これにより、フラットケーブル30,40,50において、絶縁フィルムY3〜Y5に起因する厚肉化を抑制することが可能となる。
また、絶縁フィルムY3〜Y5は、難燃性接着剤組成物(X)が良好に分散された[C]リン系難燃剤及び適当量の[B]アイオノマーを含んでいるため、難燃性、屈曲性及び電気特性に優れたものとなる。加えて、難燃性接着剤組成物(X)が適当量の[B]アイオノマーを含んでいることで、絶縁フィルムY3〜Y5と絶縁電線31,41,51との間で十分な接着性を確保することができる。このような効果は、絶縁フィルムY3〜Y5の肉厚T3,T4,T5を0.10mm(100μm)以下と小さくした場合であっても適切に得ることができる。
次に、本発明の絶縁電線及びフラットケーブルについて、図9乃至図16を参照しつつ説明する。図9及び図10には絶縁電線の一例を、図11及び図12には絶縁電線の他の例を、図13及び図14にはフラットケーブルの一例を、図15及び図16にはフラットケーブルの他の例を示した。
<絶縁電線>
図9及び図10の絶縁電線Z1は、導体60の外周側を難燃性絶縁層61で被覆したものである。
導体60は、複数本(本実施形態では7本)の素線62を撚り合わせた撚り線である。この導体60の直径D6aは、例えばAWG(American Wire Gauge)の規格におけるAWG26以上44以下(0.063mm以上0.48mm以下)とされる。
素線62としては、例えば直径D6bが0.02mm以上0.16mm以下の錫めっき軟銅線を使用することができる。
難燃性絶縁層61は、難燃性樹脂組成物(X)を用いて形成されたものであり、例えば外径D6cが0.1mm以上2.0mm以下、肉厚T6が0.05mm以上0.95mm以下とされる。
このような絶縁電線Z1は、例えば中心孔を有するポイント、及びポイントを囲むように配置されたダイスがセットされた押出成形装置を用いて形成することができる。具体的には、ポイントの中心孔に導体60を挿通した状態でこの導体60を移動させる一方、ポイントとダイスの間に形成された樹脂流路を介して、中心孔を囲むように設けられた樹脂流路の出口(吐出口)から難燃性樹脂組成物(X)を押し出すことにより形成することができる。このようにして、絶縁電線X1は、導体60が難燃性絶縁層61によって被覆されたものとして形成される。
ここで、絶縁電線Z1の形成に使用される難燃性接着剤組成物(X)は、上述のように[C]リン系難燃剤が良好に分散されたものである。そのため、絶縁電線Z1を形成するときの押出成形を適切に行うことができる。その結果、難燃性絶縁層61を薄肉に形成する場合、例えば肉厚T6を0.1mm(100μm)以下に形成する場合であっても、適切に押出成形を行うことができる。これにより、難燃性接着剤組成物(X)を用いることで、難燃性絶縁層61の薄肉化を可能とし、絶縁電線Z1の細径化を促進することが可能となる。
また、難燃性接着剤組成物(X)が良好に分散された[C]リン系難燃剤及び適当量の[B]アイオノマーを含んでいるため、絶縁電線Z1は難燃性、屈曲性及び電気特性に優れ、導体60と難燃性絶縁層61との間で十分な接着性を確保することができる。このような効果は、絶縁電線Z1の難燃性絶縁層61の肉厚T6を0.10mm(100μm)以下と小さくした場合であっても適切に得ることができる。
<絶縁電線(同軸ケーブル)>
図11及び図12の絶縁電線Z2は、同軸ケーブルとして構成されたものである。この同軸ケーブルZ2は、導体70の外側を絶縁層71及び保護層72によって被覆したものである。
導体70としては、絶縁電線Z1の導体60と同様に、複数本の素線73を撚り合わせた撚り線が使用される。
絶縁層71及び保護層72のうちの少なくとも一方は、難燃性樹脂組成物(X)を用いて、例えば押出成形により肉厚T7a,T7bが0.05mm以上0.95mm以下に形成されている。絶縁層71及び保護層72は、絶縁電線Z1の難燃性絶縁層61と同様に押出成形により形成することができる。絶縁層71及び保護層72は、別々に形成してもよいし、同時に形成してもよい。絶縁層71及び保護層72を別々に形成する場合、まず絶縁電線Z1(図9及び図10参照)と同様にして導体70を絶縁層71で被覆した後、再度同様な工程を行うことで絶縁層71を保護層72で被覆することができる。この場合、絶縁層71を保護層72によって被覆する前に、絶縁層71の表面に網組み銅線等の外部導体を設け、銅蒸着PETテープを巻き付けてもよい。
ここで、同軸ケーブルZ2の絶縁層71及び/又は保護層72の形成に使用される難燃性接着剤組成物(X)は、上述のように[C]リン系難燃剤が良好に分散されたものである。そのため、絶縁層71及び/又は保護層72を形成するときの押出成形を適切に行うことができる。その結果、絶縁層71及び/又は保護層72を薄肉に形成する場合、例えば肉厚を0.1mm(100μm)以下に形成する場合であっても、適切に押出成形を行うことができる。その結果、難燃性接着剤組成物(X)を用いることで、同軸ケーブルZ2の細径化を促進することが可能となる。
また、難燃性接着剤組成物(X)が良好に分散された[C]リン系難燃剤及び適当量の[B]アイオノマーを含んでいるため、同軸ケーブルZ2は難燃性、屈曲性及び電気特性に優れ、導体70と絶縁層71との間及び/又は絶縁層71(又は外部導体等)と保護層72との間で十分な接着性が確保されている。このような効果は、絶縁層71及び/又は絶縁層71の肉厚T7a,T7bを、難燃性接着剤組成物(X)により0.10mm(100μm)以下と小さく形成する場合であっても適切に得ることができる。その結果、難燃性接着剤組成物(X)を用いることで、絶縁層71及び/又は保護層72の薄肉化を可能とし、同軸ケーブルZ2の細径化を促進することが可能となる。
<フラットケーブル>
図13及び図14のフラットケーブルZ3は、引き揃えられた複数本(本実施形態では6本)の絶縁電線80をまとめて難燃性絶縁層81で被覆したものである。
このようなフラットケーブルZ3は、絶縁電線Z1と同様な手法、例えば導体60に代えて絶縁電線80を使用するとともに、押出成形装置にセットされるダイス及びポイントの形状等を変更することにより形成することができる。具体的には、押出成形装置として、例えば複数のポイントを列状に並べるとともに、これらのポイントを囲むようにダイスを配置することで、各ポイントの中心孔を囲むように樹脂流路の出口が形成されたものが使用される。
ここで、フラットケーブルZ3の難燃性絶縁層81の形成に使用される難燃性接着剤組成物(X)は、上述のように[C]リン系難燃剤が良好に分散されたものである。そのため、難燃性絶縁層81を形成するときの押出成形を適切に行うことができる。その結果、難燃性絶縁層81を薄肉に形成する場合、例えば肉厚を0.1mm(100μm)以下に形成する場合であっても、適切に押出成形を行うことができる。これにより、難燃性接着剤組成物(X)を用いることで、難燃性絶縁層81の薄肉化を可能とし、フラットケーブルZ3の薄型化を促進することが可能となる。
また、難燃性接着剤組成物(X)が良好に分散された[C]リン系難燃剤及び適当量の[B]アイオノマーを含んでいるため、フラットケーブルZ3は難燃性、屈曲性及び電気特性に優れ、導体80と難燃性絶縁層81との間で十分な接着性を確保することができる。このような効果は、フラットケーブルZ3の難燃性絶縁層81の肉厚T8を0.10mm(100μm)以下と小さくした場合であっても適切に得ることができる。
<フラットケーブル>
図15及び図16のフラットケーブルZ4は、間隔あけて引き揃えられた複数本(本実施形態では6本)の導体90を難燃性絶縁層91で被覆したものである。
このようなフラットケーブルZ4は、フラットケーブルZ3と同様な手法、例えば押出成形装置にセットされるダイス及びポイントの形状等を変更することにより形成することができる。
ここで、フラットケーブルZ4の難燃性絶縁層91の形成に使用される難燃性接着剤組成物(X)は、上述のように[C]リン系難燃剤が良好に分散されたものである。そのため、難燃性絶縁層91を形成するときの押出成形を適切に行うことができる。その結果、難燃性絶縁層91を薄肉に形成する場合、例えば肉厚を0.1mm(100μm)以下に形成する場合であっても、適切に押出成形を行うことができる。これにより、難燃性接着剤組成物(X)を用いることで、難燃性絶縁層91の薄肉化を可能とし、フラットケーブルZ4の薄型化を促進することが可能となる。
また、難燃性接着剤組成物(X)が良好に分散された[C]リン系難燃剤及び適当量の[B]アイオノマーを含んでいるため、フラットケーブルZ4は難燃性、屈曲性及び電気特性に優れ、導体90と難燃性絶縁層91との間で十分な接着性を確保することができる。このような効果は、フラットケーブルZ4の難燃性絶縁層91の肉厚T9を0.10mm(100μm)以下と小さくした場合であっても適切に得ることができる。
本発明の難燃性樹脂成形体、絶縁電線及びフラットケーブルは、上記実施形態には限定されない。
例えば、本発明の難燃性樹脂成形体は、接着層を備えたものであってもよい。例えば、熱回復物品Y1,Y2の内面に接着層を設け、絶縁フィルムの片面全体に又は端部に選択的に接着層を設けたものであってもよい。
本発明の難燃性樹脂成形体としての絶縁フィルムは、矩形のシート状及び帯状に限らず、円形等のその他の形態であってもよい。当該絶縁フィルムは、熱圧着に限らず、熱収縮によって絶縁電線等を固定するものであってもよい。この場合の絶縁フィルムとしては、熱回復物品と同様に、加熱等により膨張させた状態で形状固定されたものが使用される。当該絶縁フィルムは、フラットケーブルには限定されず、難燃性が要求される用途に幅広く利用できる。
本発明の絶縁電線は、導体として撚り線が使用されていたが、撚り線に代えて、単線を使用してもよい。
本発明の絶縁電線としての同軸ケーブルは、単芯ケーブルに限らず、多芯ケーブルとして構成することもできる。
本発明のフラットケーブルは、絶縁電線又は導体としての撚り線を難燃性絶縁層によって被覆したものであったが、絶縁電線又は撚り線に代えて、同軸ケーブル、単線等を使用してもよい。
次に、本発明を実施例に基づいてさらに詳細に説明する。ただし、本実施例は、本発明の範囲を限定するものではない。
[実施例1〜8及び比較例1〜7]
<樹脂組成物の作製>
表1及び表2に示す配合の材料を混合機(「TEM26SS」;東芝機械株式会社製)によって溶融混練して樹脂組成物を作製した。混練時の温度は180℃とした。なお、[C]リン系難燃剤及び[D]酸化防止剤の配合量は、[A]ポリエチレン及び[B]アイオノマーの合計質量を100重量部としたときの値である。
<絶縁電線の作製>
絶縁電線は、シリンダー径が20mmφ〜30mmφの押出機を用いて作製した。
導体としては、直径が0.021mmである銅線材を7本撚り合わせ直径が0.063mmである撚り線を使用した。
絶縁層は、目標厚みが70μmとなるように形成した。
導体の押出速度は、100m/minとした。
<評価>
[分散性評価]
分散性は、先に説明した方法で作製した絶縁電線の表面を触診及び目視することで、凝集物の有無を確認することで評価した。
[絶縁性評価]
絶縁性は、絶縁電線の作製時(押出成形時)に、「スパークテスター HF−20−E」(Clinton Instrument Company製)を用いて5kVの直流電圧を印加したときに、絶縁電線1000m当たりに発生したスパークの回数として評価した。
[難燃性評価]
難燃性は、垂直試験(難燃性試験A)及び水平試験(難燃性試験B)の2種類で評価した。
(難燃性試験A)
難燃性試験Aは、先に説明した方法で作製した長さが500mmの絶縁電線を用いて、「UL規格1581のVW−1」に規定される垂直燃焼試験に準じて行った。
この垂直燃焼試験においては、垂直に保持した絶縁電線の下端から50mmの部分を着火点とし、この着火点へのガスバーナによる15秒間の着火、15秒間の消化(休止)を5回繰り返すことで燃焼の程度調べた。
上記垂直燃焼試験は、10本の絶縁電線について行い、10本の絶縁電線の全てが以下の(1)〜(3)の全ての条件を満たした場合を「合格」、1本以上の絶縁電線が(1)〜(3)の条件のいずれか1つでも満たさなかった場合を「不合格」とした。
(1)残炎による燃焼が60秒を超えない
(2)絶縁電線における着火点よりも230mm下方に配置した脱脂綿が、燃焼落下物によって燃焼しない
(3)絶縁電線における着火点よりも250mm上方に取り付けたクラフト紙製の表示旗が25%以上燃損しない
(難燃性試験B)
難燃性試験Bは、先に説明した方法で作製した長さが700mmの絶縁電線を用いて、UL規格1581に定める水平燃焼試験に準じて行った。
この水平燃焼試験においては、水平に保持した絶縁電線の中央部の下側に、30秒絶縁電線が燃焼するまでガスバーナの炎をあてた後に炎を静かに取り去り、60秒以内で絶縁電線の炎が自然に消えるか否かを調べた。
燃焼後の60秒以内で絶縁電線の炎が自然に消える場合、及び30秒以内に絶縁電線が燃焼しない場合を「合格」、燃焼後の60秒以内で絶縁電線の炎が自然に消えない場合を「不合格」とした。
[導体密着性評価]
導体密着性は、先に説明した方法で作製した長さが50mmの絶縁電線について、絶縁層を一端部から20mm剥ぎ取って導体を露出させ、他端から30mmだけ絶縁層で被覆された絶縁電線とし、図17に示す方法で引張強度を測定することで評価した。
具体的には、まず導体の外径よりも僅かに大きく難燃性絶縁層の外径より小さい内径の穴を有するダイスを用意し、このダイスの穴内に絶縁電線の導体を挿通する。
次に、導体の露出端部をクランプ部材で把持するとともにダイスをクランプ部材で把持し、ダイスを移動しないように固定する。そして、導体を100mm/分の速度で引っ張り、導体を引き抜くのに必要な力(kg)を測定した。
この評価においては、引張強度が2kg以下の場合を「合格」、2kgを超える場合を「不合格」とした。
Figure 2014159516
Figure 2014159516
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実施例1〜8の絶縁電線は、表1に示すように分散性評価、絶縁性評価、難燃性評価、及び導体密着性評価のいずれの結果も良好であった。
一方、表2に示すように、比較例1,2の絶縁電線は、難燃性評価のうち、難燃性試験B(水平試験)において良好な結果が得られなかった。これは、絶縁電線の導体径が小さいために難燃性試験A(垂直試験)に「合格」したが、[C]リン系難燃剤を含まないために難燃性試験B(水平試験)は「不合格」になったものと考えられる。
比較例3,4の絶縁電線は、分散性評価において、外観にわずかながら凝集物が確認できた。これは、[B]アイオノマーを含まないために、[C]リン系難燃剤の分散が不十分となったからであると考えられる。また、絶縁性評価において、複数回のスパークの発生が確認された。このことも同様に、[C]リン系難燃剤の分散性が不十分であることに起因するものであると考えられる。
比較例5,6の絶縁電線は、分散性評価の結果は良好であったが、導体密着性評価において、導体との密着が強すぎるため、導体からの絶縁層の剥離が困難であった。これは、[B]アイオノマーが添加されているものの、その添加量が多すぎるためであると考えられる。
比較例7の絶縁電線は、分散性評価において外観にわずかながら凝集物が確認できた。これは、[B]アイオノマーが添加されているものの、[C]リン系難燃剤の添加量が多すぎるためであると考えられる。また、導体密着性評価において、密着の強い部分と弱い部分が生じていることが確認された。これは、過剰に添加された[C]リン系難燃剤が凝集していることに起因するものと考えられる。
本発明によれば、当該難燃性樹脂組成物には固体状のリン系難燃剤が良好に分散されているので、押出成形等の樹脂成形による薄肉加工が可能となり、難燃性、接着性、柔軟性及び電気特性に優れる難燃性樹脂成形体、並びに絶縁電線及びフラットケーブルを提供することが可能となる。
Y1,Y2 熱回復物品
Y3〜Y5 絶縁フィルム
Z1 絶縁電線
60 撚り線(導体)
61 難燃性絶縁層
Z2 同軸ケーブル
70 撚り線(導体)
71 絶縁層
72 保護層
Z3,Z4 フラットケーブル
80,90 撚り線(線材)
81,91 難燃性絶縁層

Claims (13)

  1. ポリエチレン及びアイオノマーを含む樹脂成分とリン系難燃剤とを含有し、
    このリン系難燃剤が上記ポリエチレン及び上記アイオノマーの融点において固体であり、
    上記アイオノマーの上記樹脂成分に対する含有量が3質量%以上30質量%以下、
    上記リン系難燃剤の上記樹脂成分100質量部に対する含有量が5質量部以上35質量部以下である難燃性樹脂組成物。
  2. 上記アイオノマーの上記樹脂成分に対する含有量が5質量%以上20質量%以下である請求項1に記載の難燃性樹脂組成物。
  3. 上記リン系難燃剤と上記アイオノマーとの含有質量比率が、100/100以上100/40以下である請求項1又は請求項2に記載の難燃性樹脂組成物。
  4. 上記アイオノマーの金属イオンが亜鉛イオンである請求項1、請求項2又は請求項3に記載の難燃性樹脂組成物。
  5. 上記リン系難燃剤がホスフィン酸金属塩である請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の難燃性樹脂組成物。
  6. 上記ポリエチレンが高密度ポリエチレンである請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の難燃性樹脂組成物。
  7. 請求項1から請求項6のいずれか1項に記載の難燃性樹脂組成物から形成される難燃性樹脂成形体。
  8. 押出成形により肉厚100μm以下に形成される請求項7に記載の難燃性樹脂成形体。
  9. 熱回復物品である請求項7又は請求項8に記載の難燃性樹脂成形体。
  10. 絶縁フィルムである請求項7又は請求項8に記載の難燃性樹脂成形体。
  11. 導体と、この導体の外側を被覆する難燃性絶縁層とを備える絶縁電線であって、
    上記難燃性絶縁層が請求項7又は請求項8に記載の難燃性樹脂成形体であることを特徴とする絶縁電線。
  12. 請求項11に記載の複数の絶縁電線が引き揃えられているフラットケーブル。
  13. 間隔をおいて引き揃えられた複数本の導体と、これらの導体の外側を被覆する難燃性絶縁層とを備えるフラットケーブルであって、
    上記難燃性絶縁層が請求項7又は請求項8に記載の難燃性樹脂成形体であることを特徴とするフラットケーブル。
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