JP2014158230A - ディジタルプリディストータとその制御方法 - Google Patents

ディジタルプリディストータとその制御方法 Download PDF

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純哉 大河原
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Abstract

【課題】ディジタルプリディストータ出力のPAPRを低減する。
【解決手段】 線形伝達経路と、3次歪発生経路と、入力信号の帯域幅を判定する帯域幅判定器と、線形伝達経路の出力と3次歪発生経路の出力を合成する合成器と、合成器の出力からピーク対平均電力比(PAPR)を観測するPAPR観測器とを含み、3次歪発生経路は、3次歪発生器と3次歪ベクトル調整器と3次歪周波数特性補償器を含み、3次歪発生器は、入力信号を3乗して3次歪成分を生成し、3次歪ベクトル調整器は、3次歪成分の振幅と位相を調整し、3次歪周波数特性補償器は、周波数領域において3次ベクトル調整器の出力信号を複数の帯域に分割し、分割した帯域毎に振幅と位相を調整し、PAPR観測器の観測結果を用いて、前記帯域幅判定器で判定された帯域幅より小となる帯域内の振幅と位相についてPAPRを低減するように3次周波数特性補償器を制御する。
【選択図】図7

Description

本発明は、ディジタルプリディストータとその制御方法、特にべき級数型のディジタルプリディストータとその制御方法に関する。
移動通信において、送信用電力増幅器(以下、電力増幅器)は基地局もしくは移動局の送信アンテナから出力される送信信号を所定の電力まで増幅する役割を持つ重要な無線回路である。電力増幅器は大きな電力を扱うことから高い効率が望まれる。
一般に、電力増幅器を高効率動作させるために、電力増幅器の動作点を飽和出力近傍に設定すること、言い換えると電力増幅器の飽和出力からのマージンを示す出力バックオフを低減することが行われている。このとき、電力増幅器の非線形特性により歪成分が発生する。特に、電力増幅器の動作点を飽和出力に近づけるほど歪成分は増加する.さらに、歪成分は周波数依存性を持つ。
一方、電力増幅器入力信号を見ると、近年、周波数利用効率の観点からOFDM(Orthogonal Frequency Division Multiplexing)伝送が注目を集めている。OFDM信号は高い周波数利用効率を得られるが、平均電力対ピーク電力比(PAPR:Peak-to-Average Power Ratio)が高いという特徴を持つ。電力増幅器は飽和出力を超えて電力増幅器入力信号を増幅できないので、出力バックオフが電力増幅器入力信号のPAPRよりも低い場合、電力増幅器出力信号の波形がクリップされる。この場合でも電力増幅器出力信号に歪成分が生じる。
歪成分は隣接する周波数帯域を使用する無線通信システムへの干渉となる。そのため、各種無線通信システムの仕様で規定されたレベルまで歪成分を低減することが必須となる。
電力増幅器の非線形特性により生じる歪成分を低減する(補償するともいう)方法としてプリディストーション法に代表される歪補償法がある。プリディストーション法は、プリディストータを用いて電力増幅器で発生する歪成分を打ち消すような歪補償成分を電力増幅器入力信号に付加する。周波数依存性を持つ歪成分を補償するプリディストータとして、歪成分の周波数依存性を補償するべき級数型ディジタルプリディストータ(以下、ディジタルプリディストータという)がある。(例えば、非特許文献1)。
一方、波形クリップにより生じる歪成分は、歪補償法により補償できない。これは、電力増幅器が飽和出力を超えて信号を増幅できないためである。この歪成分を低減する方法としてクリッピングとフィルタリングを用いる方法に代表されるPAPR低減法がある。クリッピングとフィルタリングを用いる方法では、ディジタルプリディストータの前段にて電力増幅器入力信号の振幅値を予め定めた閾値以下となるように波形をクリップした後、フィルタリングによりクリップにより発生した歪成分を低減する(例えば、非特許文献2)。この方法は入力信号のPAPRが予め定めた閾値より大きい場合、リミッタとフィルタで閾値以下となるまでクリッピングとフィルタリングを繰り返し行なってからディジタルプリディストータにより歪成分の補償処理を行う。しかし、この歪補償処理によりディジタルプリディストータの出力におけるPAPRが閾値を超えてしまうことがある。そのような場合はクリッピングとフィルタリングによるPAPR低減とディジタルプリディストータによる歪補償処理を交互に繰り返し行なう必要があり、時間がかかる。
図1に非特許文献1に示されたディジタルプリディストータの構成を示す。この構成では、複素包絡で表されたディジタル信号(サンプル列)を入力信号x(t)として入力端子に入力した場合を示す。
ディジタルプリディストータ10は、線形伝達経路12と、3次歪発生経路13と、合成器14と、ディジタルアナログ変換器(以下、DAC)15と、アナログディジタル変換器(以下、ADC)16と、歪観測器17と、制御器18とを含む。なお、非特許文献1においては5次歪発生経路も設けられているが、説明を簡単にするため省略する。線形伝達経路12は、遅延器12Aを有する。3次歪発生経路13は、3次歪発生器13Aと3次歪ベクトル調整器13Bと3次歪周波数特性補償器13Cとを含む。
入力信号x(t)は、線形伝達経路12と3次歪発生経路13に分配される。3次歪発生器13Aは、分配された入力信号を3乗し、3次歪成分を発生させる。3次歪ベクトル調整器13Bは、3次歪発生器13Aで発生された3次歪成分に制御器18から与えられた3次歪ベクトル調整器係数を乗算することで、3次歪成分の位相と振幅を調整する。3次歪周波数特性補償器13Cは、図2に示すように入力信号帯域(送信帯域とも呼ぶ)FBより上側の3次歪成分下側帯域(以下、簡略化して下側帯域と呼ぶ場合もある)FBDLと上側の3次歪成分上側帯域(以下、簡略化して上側帯域と呼ぶ場合もある)FBDUを合わせてM分割した各分割帯域(帯域Bから帯域B)に対し、制御器18から与えられた3次歪周波数特性補償器係数をそれぞれ乗算する。なお、入力信号の3次歪成分は下側帯域FBDL、入力信号帯域FB、上側帯域FBDUを含む帯域幅FBを有してる。
合成器14は、線形伝達経路12の出力と3次歪発生経路13の出力を合成する。DAC15は、合成器14の出力をアナログ送信信号に変換する。アナログ送信信号はアップコンバータ22によりキャリア周波数の高周波信号に変換され、その高周波信号は電力増幅器23により電力増幅される。電力増幅された高周波信号は出力端子から例えば図示してないデュープレクサを介してアンテナに供給される。電力増幅器23の出力信号の一部は帰還信号として取り出され、ダウンコンバータ32によりダウンコンバートされ、ADC16に与えられる。
ADC16は、電力増幅器23の出力からの帰還信号をディジタル信号に変換する。歪観測器17は、ADC16の出力から歪成分を検出する。制御器18は、歪観測器17により検出される歪成分が最小(又は予め決めた閾値以下)となるよう、3次歪ベクトル調整器13Bに設定する3次歪ベクトル調整器係数(振幅値と位相値)と3次歪周波数特性補償器13Cに設定する複数の3次歪周波数特性補償器係数(振幅値と位相値)を調整する。
非特許文献1に示されているディジタルプリディストータでは、3次歪ベクトル調整器13Bに与える3次歪ベクトル調整器係数もしくは3次歪周波数特性補償器13Cに与える3次歪周波数特性補償器係数によっては合成器14の出力信号のPAPRが上昇する場合がある。このような歪補償処理に起因するPAPRの増加を抑えることができるディジタルプリディストータ及びその制御方法が本出願人による特許文献1に提案されている。以下にそのディジタルプリディストータについて簡単に説明する。
図3に特許文献1で提案したディジタルプリディストータ100とその周辺装置である増幅装置20と帰還信号生成装置30を示す。この例では入力端子TINからI相とQ相のディジタル信号が入力される場合を示している。プリディストータ100は、分配器11と、線形伝達経路12と、3次歪発生経路13と、合成器14と、DAC15と、ADC16と、歪観測器17と、PAPR観測器19と、制御器180とを含む。
分配器11は、入力端子TINからの入力信号SINを線形伝達経路12と3次歪発生経路13にそれぞれ分配する。線形伝達経路12は、遅延経路12Aを含み、歪発生経路13で生じる遅延時間だけ遅延器12Aの入力信号を遅延させる。3次歪発生経路13は、3次歪発生器13Aと、3次歪ベクトル調整器13Bと、3次歪周波数特性補償器13Cを含む。合成器14は、遅延器12Aの出力信号と3次歪周波数特性補償器13Cの出力信号を合成し、DAC15とPAPR観測器19にそれぞれ与える。DAC15は、合成器14から出力されるディジタル信号をアナログ信号に変換する。PAPR観測器19は、合成器14の出力信号におけるPAPRを観測する。
増幅装置20は、直交変調器21と、アップコンバータ22と、電力増幅器23を含む。直交変調器21はDAC15からの出力信号を直交変調する。アップコンバータ22は直交変調器21からの出力信号を所定の周波数にアップコンバートする。電力増幅器23はアップコンバータ22の出力信号を所定の電力に増幅する。
帰還信号生成装置30は、方向性結合器31と、ダウンコンバータ32と、直交復調器33を含む。方向性結合器31は電力増幅器23からの出力信号の一部を取り出す。ダウンコンバータ32は方向性結合器31で取り出された信号を所定の周波数にダウンコンバートする。直交復調器33はダウンコンバータ32からの出力信号を直交復調し、I相信号とQ相信号を出力する。
ADC16は、起案信号生成装置30から出力されたアナログ信号であるI相信号とQ相信号をディジタル信号に変換する。歪観測器17は、増幅装置20の電力増幅器23で発生される歪成分の電力を予め定めた帯域毎に測定する。制御器180は、歪観測器17で観測された結果に基づいて電力増幅器23で発生される歪成分を補償するように3次歪ベクトル調整器13Bを制御する。また、PAPR観測器19の観測結果に基づいてディジタルプリディストータ100から出力される信号のPAPRを低減するように3次歪周波数特性補償器13Cを制御する。加えて、電力増幅器23で発生される歪成分を補償するように3次歪周波数特性補償器13Cを制御する。
図2に3次歪ベクトル調整器13Bの出力信号のスペクトルを模式的に示す。図中、送信帯域FBは、入力端子TINから入力する信号の帯域を示し、その下側に3次歪成分下側帯域FBDLが、上側に3次歪成分上側帯域FBDUが位置する。
3次歪周波数特性補償器13Cの構成例を図4に示す。3次歪周波数特性補償器13Cは、シリアルパラレル変換部13C1と、J点FFT(Fast Fourier Transform)部13C2と、J個(J≧M)の複素乗算器13C3(j=1, …, J)を有する複素乗算部13C3と、J点IFFT(Inverse Fast Fourier Transform)部13C4と、パラレルシリアル変換部13C5と、を備えている。シリアルパラレル変換部13C1は、3次歪ベクトル調整器13Bからの入力信号をシリアルパラレル変換する。J点FFT部13C2は、シリアルパラレル変換部13C1からの入力信号をJ個のサンプル毎に時間領域から周波数領域へ変換する。
J点FFT部13C2の出力は、図2に示したように3次歪成分上側帯域FBDUと3次歪成分下側帯域FBDLを合わせてM分割され、複素乗算部13C3は分割した各帯域(帯域Bから帯域B)に対し制御器180から与えられた各分割帯域に対応する3次帯域外歪補償係数を乗算され、J点IFFT部13C4に与えられる。即ち、分割帯域Bに対応する出力信号は、帯域B1に対応する複素乗算部13C3に入力され、制御器180より与えられた3次歪周波数特性補償器係数を乗算することでその帯域での歪観測器17により観測される歪が低減するよう振幅と位相が調整される。分割帯域B〜Bについても同様となる。また、入力信号帯域FBに対応する出力は対応する複素乗算部13C3にて制御器180から与えられた3次帯域内歪係数を乗算することでPAPR観測器19により観測されるPAPRが低減するよう振幅と位相が調整される。分割帯域Bよりも低い帯域に対応する出力及び分割帯域Bよりも高い帯域に対応する出力は、複素乗算部で係数を乗算されることなくJ点IFFT部13C4に入力される。
J点IFFT部13C4は、前段からの入力信号をJ個のサンプル毎に周波数領域から時間領域に変換する。パラレルシリアル変換部13C5は、J点IFFT部13C4からの入力信号をJ個のサンプル毎にパラレルシリアル変換する。
制御器180による3次歪ベクトル調整器13Bと3次歪周波数特性補償器13Cに対する制御手順を図5の処理フローを参照して説明する。
歪観測器17により観測した3次歪成分下側帯域FBDL又は上側帯域FBDUの歪成分が最小となるよう、3次歪発生器13Aが出力する3次歪成分に対し3次ベクトル調整器13Bで乗算する係数を調整することにより信号の位相と振幅を設定する(3次歪ベクトル調整器係数調整処理S11)。係数の調整は例えば摂動法により行う。次に、3次歪周波数特性補償器13Cにより、3次歪ベクトル調整器13Bの出力歪成分の送信帯域FB内の成分に乗算する係数を調整して、PAPR観測器19により観測した合成器14の出力信号におけるPAPRが閾値以下となるよう位相と振幅を設定する(3次帯域内歪係数調整処理S12)。次に、3次歪周波数特性補償器13Cにより、3次歪ベクトル調整器13Bの出力歪成分の下側帯域FBDL及び上側帯域FBDUの各分割帯域B〜Bの成分に乗算する係数を調整して、歪観測器17で観測される各分割帯域に対応する帯域の歪成分が最小となるよう位相と振幅を設定する(3次帯域外歪係数調整処理S13)。
処理S12におけるPAPRを低減する位相と振幅は摂動法により求めてもよいし、以下のように計算で求めてもよい。計算で求めるための準備として、べき級数型ディジタルプリディストータの原理について図6を参照して説明する。
図6はべき級数型のディジタルプリディストータの簡易なモデルを示す。このモデルは、線形伝達経路12と3次歪発生経路13で構成され、3次歪発生経路13は3次歪発生器13Aと3次歪ベクトル調整器13Bを有する。
ディジタルプリディストータの入力複素包絡信号xin(t)をxin(t)=s(t)ejθ(t)と表し、3次歪ベクトル調整器23Bの位相値、振幅値をそれぞれXP(-π≦XP ≦π)、XA(0 <XA)とする。このときディジタルプリディストータの出力信号xout(t)は、次式で表せる。
Figure 2014158230
式(1)の右辺第2項は3次歪発生経路13の出力信号を表している。即ち、3次歪ベクトル調整器13Bは3次歪発生器13Aの出力に対し複素係数XejXpを乗算している。前述及び以下の説明において、振幅値Xと位相値Xを設定するとは、複素係数XejXpを乗算することを意味しており、このことは図4に示した3次歪周波数特性補償器13Cにおける複素乗算器による位相値と振幅値の設定も同じである。時刻t(0 ≦t ≦T) においてxout(t)にピーク電力Poutが発生する時刻をt1とすると、式(1)より、Poutは
Pout=|xout(t1)|2=|s(t1)|2(1+2|s(t1)|2Acos(XP)+|s(t1)|4A 2) (2)
と表せる。このとき、入力信号xin(t1)の瞬時電力Pinは、
Pin = |s(t1)|2 (3)
と表せ、3次歪発生経路13における出力信号の瞬時電力P3rdは、
P3rd = |s(t1)|6A 2 (4)
と表せる。ここで、λ=10log10(P3rd/Pin)とすると、xin(t1)の瞬時電力とxout(t1)のピーク電力比を対数で表したΔPは、
ΔP =10log10|(Pin/Pout)|
= 10log10(1/(1+2|s(t1)|2Acos(XP)+|s(t1)|4A 2))
= 10log10(1/(1+2×10(λ/20)cos(XP)+10(λ/10))) (5)
となる。式(5)より、振幅値XAを定数とした場合、位相値XPを-π(もしくはπ)にしたとき、ΔPを最小にできることがわかる。このとき、ΔPはXが一定値以下であれば0dBより大となるので、ディジタルプリディストータ入力信号に対して3次歪発生経路13における出力信号の位相を逆相にすることで、ディジタルプリディストータの出力信号におけるPAPRを低減できる。
振幅については、PoutをPinからΔPred(dB)だけ低減したい場合、XA
Figure 2014158230

と一意に求められる。
このようにして電力増幅器23の発生する歪とは無関係に求めた位相値XPと振幅値XAを3次歪ベクトル調整器13Bに設定してPAPRの低減を図っても、3次歪発生経路13の出力信号は電力増幅器23で発生する歪成分を打ち消すような成分とならないため3次歪成分を補償できるとはかぎらない。そこで、図3に示す特許文献1のディジタルプリディストータでは、3次歪周波数特性補償器13Cを用いて周波数領域において入力信号帯域の位相値と振幅値をそれぞれ調整することでPAPRを低減することを提案した。これにより、3次歪成分を補償しつつPAPRの低減が可能となる。具体的には、下側又は上側帯域で観測される歪成分が最小となるよう3次歪ベクトル調整器13Bに設定した位相をXPとすると、3次歪ベクトル調整器13Bの出力信号に対し、3次歪周波数特性補償器13Cにおいて送信帯域FBの位相として(π−XP)を設定することにより線形伝達経路12の出力信号に対し、3次歪発生経路13の出力信号の位相を逆相にすることができる。
振幅については、具体的には、PAPR観測器19で測定したディジタルプリディストータ100の入力信号におけるPAPR(PAPRINと表す)と予め決めた閾値PAPRTHとの差分ΔPAPR(=PAPRIN-PAPRTH)(dB)を求める。そして、式(6)に倣って入力信号帯域Fに対応する3次歪周波数特性補償器13Cの複素乗算部13C3に与える振幅値YAを次式(7)により計算し設定する。
Figure 2014158230
ここで、|s(t1)|4は合成器出力のピーク電力が発生する時刻t1における入力信号の瞬時電力値を2乗したものであり、PAPR観測器19で観測し計算する。ただしこの場合、図3中に破線で示すように分配器11から分配された入力信号をPAPR観測器19に与える必要がある。
位相については上述のようにして計算で決定し、振幅については式(7)による計算ではなく摂動法で決定してもよい。
WO2012−111583
S. Mizuta, Y. Suzuki, S. Narahashi and Y. Yamao, "A New Adjustment Method for the Frequency-Dependent IMD Compensator of the Digital Predistortion Linearizer", IEEE Xiaodong Li and Cimini, L.J.,Jr., "Effects of clipping and filtering on the performance of OFDM," 47th IEEE Vehicular Technology Conference 1997, pp. 1634-1638, May, 1997.
以上に説明した特許文献1によるディジタルプリディストータを用いた場合、3次歪ベクトル調整器13Aによる位相と振幅の調整により、3次歪成分の全帯域(送信帯域FB、3次歪成分上側帯域FBDU、及び3次歪成分下側帯域FBDL)で電力増幅器23が発生する3次歪成分をある程度補償することができる。ところが、3次歪ベクトル調整器13Aにより3次歪成分が低減するよう位相と振幅が調整された信号に対し、更に送信帯域FBの振幅と位相を3次歪周波数特性補償器13Cにより調整してPAPRを低減させている。そのため、電力増幅器23において送信帯域FBに発生する歪成分はディジタルプリディストータで補償されない場合がある。送信帯域FB内の歪成分が補償されない場合、送信帯域FB内の歪成分が残留もしくは増加するため電力増幅器23の出力信号におけるEVM(Error Vector Magnitude)が劣化することが問題となる。特許文献1によるディジタルプリディストータでは、PAPRを低減するよう送信帯域FB全体を処理しているため、 OFDMのような通信方式を用いた場合、送信帯域FB内に含まれるサブキャリアのEVMは歪成分により劣化する。
本発明はこのような点に鑑みてなされたものであり、EVMの劣化が少なくPRPRを低減できるディジタルプリディストータおよびその制御方法を提供することを目的とする。
この発明の第1の観点によれば、入力信号に電力増幅器で発生する歪成分を打ち消すための歪補償成分を付加して出力するディジタルプリディストータは、入力信号を遅延伝達する線形伝達経路と、入力信号から歪補償成分を生成するN(Nは3以上の奇数)次歪発生経路と、入力信号の帯域幅を判定する帯域幅判定器と、入力信号を線形伝達経路とN次歪発生経路と帯域幅判定器に分配する分配器と、線形伝達経路の出力とN次歪発生経路の出力を合成する合成器と、合成器の出力からピーク対平均電力比(PAPR)を観測するPAPR観測器と、制御器と、を含み、
N次歪発生経路は、入力信号をN乗してN次歪成分を生成するN次歪発生器と、N次歪成分の振幅と位相を調整するN次歪ベクトル調整器と、周波数領域においてN次ベクトル調整器の出力信号を複数の帯域に分割し、分割した帯域毎に振幅と位相を調整するN次歪周波数特性補償器とを含み、制御器は、PAPR観測器の観測結果を用いて、帯域幅判定器で判定された帯域幅より小となる帯域内の振幅と位相についてPAPRを低減するようにN次周波数特性補償器を制御するように構成されていることを特徴とする。
この発明の第2の観点によれば、上記ディジタルプリディストータの制御方法は、PAPR観測器により観測されたPAPRが予め決めた閾値より高いか判定する処理と、PAPRが閾値より高い場合、入力信号の帯域幅を判定する処理と、判定された帯域幅に応じて適応的にその帯域幅より狭いPAPR低減帯域を設定する処理と、PAPR観測器により観測されるPAPRが低減するようN次歪周波数特性補償器によりPAPR低減帯域における振幅と位相を調整する処理と、を含むことを特徴とする。
この発明の第3の観点によれば、入力信号に電力増幅器で発生する歪成分を打ち消すための歪補償成分を付加して出力するディジタルプリディストータは、入力信号を遅延伝達する線形伝達経路と、入力信号から歪補償成分を生成するN(Nは3以上の奇数)次歪発生経路と、入力信号の帯域幅を判定する帯域幅判定器と、入力信号を線形伝達経路とN次歪発生経路と帯域幅判定器に分配する分配器と、線形伝達経路の出力とN次歪発生経路の出力を合成する合成器と、合成器の出力からピーク対平均電力比(PAPR)を観測するPAPR観測器と、制御器と、を含み、
N次歪発生経路は、入力信号をN乗してN次歪成分を生成するN次歪発生器と、N次歪成分の振幅と位相を調整するN次歪ベクトル調整器と、周波数領域においてN次ベクトル調整器の出力信号を複数の帯域に分割し、分割した帯域毎に振幅と位相を調整するN次歪周波数特性補償器とを含み、制御器は、PAPR観測器の観測結果を用いて、帯域幅判定器で判定された帯域幅以下となるPAPR低減帯域を決め、PAPR低減帯域を複数に分割して決めた分割帯域のそれぞれの帯域内の振幅と位相についてPAPRを低減するようにN次周波数特性補償器を制御するように構成されていることを特徴とする。
この発明の第4の観点によれば、異なる周波数帯域となる複数の入力信号に電力増幅器で発生する歪成分を打ち消すための歪補償成分を付加するディジタルプリディストータは、複数の入力信号をそれぞれ遅延伝達する複数の線形伝達経路と、複数の入力信号に基づいて歪補償成分を生成する歪発生経路と、各入力信号を対応する線形伝達経路と歪発生経路に分配する分配器と、線形伝達経路の出力と歪発生経路の出力を合成する合成器と、合成器の出力からピーク対平均電力比(PAPR)を観測するPAPR観測器と、 制御器と、を含み、
歪発生経路は、各入力信号のそれぞれのN(Nは3以上の奇数)次歪成分を生成するN次歪発生器と、各N次歪発生器により発生されたN次歪成分の振幅と位相を調整するN次歪ベクトル調整器と、複数の入力信号間の相互変調歪成分を生成するN次相互変調歪算出器と、各相互変調歪成分の振幅と位相を調整する副N次歪ベクトル調整器と、を含み、N次歪ベクトル調整器の出力と副N次歪ベクトル調整器の出力を歪補償成分として出力し、
記相互変調歪成分は各入力信号のN次歪成分の帯域内の相互変調歪成分、以下、帯域内相互変調歪成分と呼ぶ、と、各入力信号のN次歪成分の帯域外の相互変調歪成分、以下帯域外相互変調歪成分と呼ぶ、を含み、制御器は、帯域外相互変調歪成分の振幅と位相についてPAPR低減するように対応するベクトル調整器を制御するよう構成されていることを特徴とする。
この発明の第1乃至第3の観点によれば、送信帯域以下となるPAPR低減帯域を設定することによりPAPR低減処理の影響を減らし、それによりEVMの劣化を低減することができる。
この発明の第4の観点によれば、送信帯域内の位相と振幅調整によるPAPR低減処理を行わず、帯域外相互変調歪成分の位相と振幅を調整してPAPRを低減するので、EVMの劣化を防ぐことができる。
非特許文献1に示されている従来のディジタルプリディストータの構成を示すブロック図。 3次歪周波数特性補償器における帯域分割例を示す図。 特許文献1で提案したディジタルプリディストータと周辺装置の構成を示すブロック図。 3次歪周波数特性補償器の構成例を示す図。 図3のディジタルプリディストータにおける制御フローの例を示す図。 ディジタルプリディストータの原理を説明するための図。 この発明の実施例1によるディジタルプリディストータと周辺装置の構成を示すブロック図。 図7のディジタルプリディストータにおける制御フローの例を示す図。 実施例1におけるPAPR低減帯域の設定例を示す図。 この発明の実施例2によるディジタルプリディストータと周辺装置の構成を示すブロック図。 実施例2におけるPAPR低減帯域の設定例を示す図。 この発明の実施例3によるディジタルプリディストータと周辺装置の構成を示すブロック図。 実施例3におけるPAPR低減帯域の設定例を示す図。 実施例3におけるPAPR低減帯域の他の設定例を示す図。 この発明の実施例4によるディジタルプリディストータと周辺装置の構成を示すブロック図。 入力信号帯域と各3次歪成分の関係を模式的に示すスペクトル図。 図15における3次歪発生経路の構成例を示すブロック図。 図15のディジタルプリディストータにおける制御フローの例を示す図。 図17の3次歪発生経路の変形例の構成を示すブロック図。 この発明の実施例5によるディジタルプリディストータと周辺装置の構成を示すブロック図。 図20のディジタルプリディストータにおける制御フローの例を示す図。 実施例1における計算機シミュレーション結果の例を示す図であり、AはPAPR低減帯域縮小比γに対するPAPR値、Bはγに対するEVM値を示す。
以下、本発明の実施の形態について詳細に説明する。なお、同じ機能を有する構成部には同じ番号を付し、重複説明を省略する。
実施例の説明に先立ち、本発明の原理を簡単に説明する。本発明では入力信号帯域FB内にそれより狭いPAPR低減帯域FBCTLを設け、その帯域幅を入力信号帯域幅に応じて適応的に変化させることである。例えば図9に示すように、PAPR低減帯域FBCTLを送信帯域FBより縮小することにより、入力信号帯域FB内にPAPR低減帯域FBCTLに含まれない帯域を設け、その帯域の成分についてはPAPR低減処理を行なわないことによりEVMが低減する。あるいは、その帯域の成分に対し積極的にEVMを改善するよう位相と振幅の調整を行ってもよい。また、例えば図11に示すように、PAPR低減帯域FBCTLを複数の帯域(図11ではBCTL1とBCTL2)に分割し、分割した帯域のうちEVMの劣化を許容できる帯域は他の分割した帯域に比べPAPR低減量が大きくなるように振幅と位相を調整する。これにより、一部の帯域はEVMが大きく劣化する可能性があるが他の帯域はEVMの劣化を低減できる。OFDMといった信号が入力される場合、サブキャリアが含まれない複数の帯域をPAPR低減帯域FBCTLとすることにより、PAPR低減処理によるサブキャリアのEVM劣化を低減することができる。また、FBとFBCTLを同じ帯域幅とし、FBCTLに位相と振幅の初期値を与えたときにPAPRが目標値よりも低くなった場合、PAPRが目標値となるようにFBCTLを縮小するように調整する。
図7は本実施例に係るディジタルプリディストータ101と周辺装置の全体構成を示すブロック図である。図7において、図3における構成要素と同じ構成要素には同じ参照番号を付け、それらの説明はできるだけ簡略にする。本実施例の周辺装置としては、増幅装置20と帰還信号生成装置30が設けられている。特に指定のない限り以下では、入力端子TINに入力する信号SINは複素ベースバンド信号である。以下に示す例では、3次歪成分を補償する構成例を示しているが、5次以降の高次歪成分を補償する場合、3次歪発生経路に対し並列に高次歪発生経路を追加すればよい。高次歪発生経路を用いたPAPR低減は、以下に示す3次歪発生経路を用いた考え方で対応できる。
本実施例のディジタルプリディストータ101は、分配器11、線形伝達経路12、3次歪発生経路13、合成器14、DAC15、ADC16、歪観測器17、PAPR観測器19、制御器181、帯域幅判定器181D、を含む。制御器181は、3次歪発生経路制御部181AとPAPR判定制御部181BとPAPR低減帯域制御部181Cを含む。
分配器11は、入力端子TINからの入力信号SINを線形伝達経路12と3次歪発生経路13と帯域幅判定器181Dにそれぞれ分配する。PAPR観測器19は、合成器14の出力信号におけるPAPRを観測する。帯域幅判定器181Dは、分配器11から分配された入力信号SINの帯域幅を判定する。
3次歪周波数特性補償器13Cの構成は図4に示したものと同じなので図4を参照して説明する。
シリアルパラレル変換部13C1は、3次歪ベクトル調整器13Bからの出力信号をシリアルパラレル変換する。J点FFT部13C2は、シリアルパラレル変換部13C1の出力信号を時間領域から周波数領域に変換するためJ点フーリエ変換を行う。複素乗算部13C3は、J個の複素乗算器13C31〜13C31Jを含み、J点FFT部13C2の各出力の振幅と位相を3次歪発生経路制御部181Aからの制御情報に基づいて調整する。J点IFFT部13C4は、複素乗算部13C3からの出力信号を周波数領域から時間領域に変換するためJ点フーリエ逆変換を行う。パラレルシリアル変換部13C5は、J点IFFT部13C4からの出力信号をパラレルシリアル変換し、合成器14に出力する。
複素乗算部13C3において、分割した帯域に対応する信号が入力する複素乗算器13C3jは3次歪発生経路制御部181Aからの制御情報に基づいて振幅と位相を調整する。
図8を参照して制御器181の制御フローP1を説明する。
[3次歪ベクトル調整器係数調整処理S11]
3次歪ベクトル調整器係数調整処理S11は図5における処理S11と同じであり、3次歪発生経路制御部181Aは、歪観測器17の観測結果に基づいて3次歪成分下側帯域FBDLもしくは上側帯域FBDUのいずれかの帯域における歪成分を低減するように3次歪ベクトル調整器13Bに与える振幅VA,MINと位相VP,MINを調整する。
[閾値判定S121]
PAPR判定制御部181Bは、PAPR観測器19により観測された合成器14からの出力信号におけるPAPRが閾値PAPRTHよりも高いか否か判定し、高い場合、後述する帯域幅判定処理S122を行うように帯域幅判定器181Dに指示する。PAPRが閾値PAPRTH以下の場合、図5における処理S13と同じ3次帯域外歪補償係数調整処理S13を行うように3次歪発生経路制御部181Aに指示する。
[帯域幅判定処理S122]
PAPR判定制御部181Bから送信帯域FBを判別するよう指示を受けると、帯域幅判定器181Dは、分配器11から分配された入力信号SINの送信帯域幅FBを判定する。判定は、分配器11からの入力信号をフーリエ変換し、フーリエ変換の結果から帯域幅FBを求めてもよく、あるいは分配器11からの入力信号SINに含まれる同期信号、制御信号などから送信帯域幅FBを判定してもよい。判定した結果をPAPR低減帯域制御部181Cに伝達する。PAPR低減帯域制御部181Cは、得られた送信帯域幅FBに対して予め定めた倍率α(1>α>0の所定の値)を乗算して得たFBCTL=αFBをPAPR低減帯域として3次歪発生経路制御部181Aに伝達する。
ここで倍率αは一定値でもよいが、送信帯域幅FBや変調方式の変調多値数に応じた値とすることが好ましい。帯域幅FBや変調多値数に応じて倍率αを選定することでEVMの劣化量を低減できる場合がある。そのため、送信帯域幅FB、変調多値数、倍率αを関連づけるLUT(Look Up Table)を用意し、LUTを参照し倍率αを決めてもよい。変調多値数が高いほどEVMの許容値が低い場合、変調多値数が高いほど倍率αを小さくすることが好ましい。これは、PAPR低減帯域FBCTLを縮小しEVMが劣化する帯域を狭くするためである。あるいは、送信帯域FBが大きい程、倍率αを段階的に小さくするように倍率αを決めてもよい。
[3次帯域内歪補償係数調整処理S123]
3次歪発生経路制御部181Aは、複素乗算部13C3のうちPAPR低減帯域PBCTLに対応する各複素乗算器の振幅XAと位相XPをそれぞれ調整することでPAPRを低減する。ここで、図9に示すように帯域B2とFBCTLの間、帯域FBCTLとB3の間に対応する複素乗算器は振幅と位相を調整することなくJ点IFFT部に出力する。これにより、帯域B2とFBCTLの間、帯域FBCTLとB3の間はPAPR低減によるEVMの劣化を回避できる。このようにPAPRを低減する帯域幅を送信帯域FBに応じて縮小し、EVMの劣化を低減できる点が特許文献1による技術と異なる。
図9では、PAPR低減帯域FBCTLは送信帯域FBの中央に配置しているが、FBの信号点配置によってはFBの中央よりも上側または下側にFBCTLを配置してもよい。配置点を変えることでEVMの劣化を低減できる場合がある。FBCTLの配置は、後述するようにOFDMといったマルチキャリア信号を用いた場合、FBのサブキャリア配置や変調方式に応じて適応的に行ってもよい。FBCTL内のサブキャリア配置は帯域幅判定器181Dで観測し、その結果に応じてPAPR低減帯域制御部181Cで行ってもよい。
PAPR低減帯域FBCTLにおける位相の調整では、図5の処理S12と同様に処理S11で3次歪ベクトル調整器13Bに設定した位相VP,MINを使って XP=π−VP,MINとなるように帯域FBCTL内の全ての複素乗算器に位相XPを設定する。振幅の調整では、摂動法による場合、最初に任意に設定した初期値XAとその前後の値におけるPAPRを観測し、PAPRが減少する方向へ事前に定めたオフセット値ΔXAだけ振幅を変更し、PAPRを観測する。振幅の変更とPAPRの観測を繰り返すことで、PAPRが予め定めた閾値PAPRTH以下となる振幅値XA,MINを求め、帯域FBCTL内の全ての複素乗算器に設定する。PAPRがPAPRTH以下となった場合、3次歪帯域外歪補償係数調整処理S13に遷移する。処理S123における位相の調整において3次歪ベクトル調整器13Bに設定した位相VP,MINが必要となるため、3次帯域内歪補償係数調整処理S123は3次歪ベクトル調整器係数調整処理S11の後に行う。
[3次歪帯域外歪補償係数調整処理S13]
3次歪発生経路制御部181Aによる3次歪帯域外歪補償係数調整処理S13は図5における処理S13と同様であり、分割帯域B〜Bについて歪観測器17の観測結果に基づいて各分割帯域の歪成分を低減するように対応する複素乗算器の振幅と位相を調整する。この場合、歪観測器17は帰還信号をFFTして分割帯域ごとの電力を観測するか、あるいは帰還信号をフィルタで分割帯域毎に分けて電力を観測するように構成されている。
複素乗算器の振幅と位相を調整した後、3次歪成分下側帯域FBDLと3次歪成分上側帯域FBDUの電力がそれぞれ閾値PTHより大きくなる場合、破線で示すように3次歪ベクトル調整器係数調整処理S11に戻るようにしてもよい。ここで、閾値PTHは分割帯域毎に設定してもよい。分割帯域毎に閾値PTHを設定することで電力増幅器23の性能やディジタルプリディストータ101に必要となる歪補償量を緩和できる場合がある。
このように本実施例では、入力端子TINに入力する信号の帯域幅FBに応じてPAPR低減帯域FBCTLを適応的に縮小する点が特許文献1のディジタルプリディストータと異なる。
上記の実施例では、FBに応じてFBCTLを決めたのちPAPRを低減するように振幅と位相を調整しているが、PAPRを低減する位相と振幅と設定した後、目標とするPAPRとなるようにFBCTLを縮小してもよい。以下に詳細を述べる。
S122において暫定的にα=1、すなわちFB=FBCTLとする。次いで、S123においてXP=π−VP,MINとなるように帯域FBCTL内の全ての複素乗算器に位相XPを設定する。次いで、振幅の初期値XAを設定する。このとき、PAPR観測器19の観測結果が閾値PAPRTHよりも小さい場合、FBCTL内の位相と振幅の調整を終了する。次いで、PAPR低減帯域制御部181CにてPAPR観測器19の観測結果に基づいてPAPRがPAPRTHとなるまでFBCTLを縮小する。ここで、FB内でFBCTLと重ならない帯域に与える振幅を1.0、位相を0とすること、言い換えると無調整とすることでEVMは改善する。FBCTLの縮小は予め定めた倍率とし、PAPRTHとなるまでその倍率をFBCTLに乗算してもよく、FBCTLのリスト(FBCTL1>FBCTL2>・・・>FBCTLI)を予め作り帯域幅が広いものから順に設定してもよい。リストを用いる場合、メモリが必要となるが乗算が不要のため信号処理量を減らせる利点がある。この場合、PAPR観測器19とPAPR低減帯域制御部181Cは破線で示すように接続されているものとする。FBCTL内の位相と振幅を摂動法といった方法で調整せずFBCTLを縮小することで上述の方法に比べ短い調整時間でEVM劣化を抑えつつPAPRをPAPRTHにできる場合がある。
図22A及びBにXPとXAを定数としFBCTLを縮小した場合のPAPRとEVMを計算機シミュレーションにより求めた結果をそれぞれ示す。計算機シミュレーションでは、変調方式QPSK、FB=5MHz のLTE 信号を用いた。3 次歪ベクトル調整器に与える位相VP,MINと振幅VA,MIN、B からBに与える位相と振幅は、このLTE 信号とAB 級動作の1W級電力増幅器を用いた実験から得た値とした。実験において電力増幅器の出力バックオフは10.1dB である。横軸のPAPR低減帯域縮小比γはFBCTLのFBに対する比(FBCTLは中心周波数(fc)を中心として設定)である。FBCTLに与える位相XPはπ−VP,MINとし、振幅XAは1.0 から5.0 まで増加させてPAPR とEVM をそれぞれ求めた。
結果より、XPとXAを定数としγを100%から小さくした場合、PAPR低減量は減少するもののEVMは改善していることがわかる。以上のことより、XPとXAを設定した際にPAPRが閾値PAPRTHよりも小さい場合、PAPRがPAPRTHとなるまでFBCTLを縮小することでEVMを改善できる。
図10は本実施例に係るディジタルプリディストータ102と周辺装置の全体構成を示すブロック図である。
ディジタルプリディストータ102は、分配器11、線形伝達経路12、3次歪発生経路13、合成器14、DAC15、ADC16、歪観測器17、PAPR観測器19、帯域幅判定器181D、制御器182を含む。制御器182は、3次歪発生経路制御部182A、PAPR判定制御部181B、PAPR低減帯域決定部182Cを含む。
3次歪発生経路制御部182AとPAPR低減帯域制御部182Cが上述の実施例1と異なり、制御処理は図8における3次帯域内歪補償係数調整処理S123が異なる。以下に異なる点を説明する。
PAPR低減帯域決定部182Cは、送信帯域FBを判別するように帯域幅判定器181Dに指示する。帯域幅判定器181Dは、前述の方法にて判定した送信帯域幅FBをPAPR低減帯域決定部182Cに与える。PAPR低減帯域決定部182Cは、図11に示すように得られたFBに基づいてPAPR低減帯域FBCTLを決め、FBCTLを予め定めた複数の帯域(BCTL1、BCTL2)に分割する(ただし、この実施例ではFBCTL≦FBとする)。図11ではFBCTLを等帯域幅に2分割した例を示しているが、分割数MDIVは予め決めた2以上の任意に設定して良いし、分割帯域幅も帯域毎に独立に設定して良い。BCTL1、BCTL2が不連続であってもよい。帯域幅FBが大きいほど大きい分割数MDIVを予め決め、前述のように、帯域幅FBと分割数MDIV、各分割帯域BCTL1, BCTL2の帯域幅を関連づけるLUT(Look Up Table)を用意し、LUTを参照し分割数MDIVと各分割帯域BCTL1,BCTL2の帯域幅を決めてもよい。PAPR低減帯域FBCTLを複数に分割し、その分割帯域毎にPAPRを低減する振幅と位相を変えることでEVM劣化量をMDIV=1の場合に比べ更に低減できる場合がある。
3次歪発生経路制御部182Aは、複素乗算部13C3内の、分割帯域BCTL1とBCTL2に対応する複素乗算器の振幅XAと位相XPをそれぞれ前述と同様の手順で個別に調整することでPAPRを低減する。即ち、位相の調整では、各分割帯域の位相XPをXP=π−VPとするように調整してもよいし、Xp=π−VPを初期値として摂動法により調整してもよい。また、振幅の調整では、各分割帯域において前述した摂動法を用いてPAPRが予め定めた閾値PAPRTH以下となる振幅値XA,MINを求める。位相の調整、振幅の調整は1帯域ずつ順番に行ってもよいが、並行して行うことでPAPRを閾値PAPRTH以下にするまでに要する時間を短縮できる場合がある。
LTE-Advancedといった無線通信方式において、複数の周波数帯域(以下、コンポーネントキャリア(CC)ともいう)を同時に使用するキャリアアグリゲーション(以下、CAともいう)と呼ばれる技術がある。図13に5個のCC(CC1〜CC5)を連続して配置した例を示すが、不連続に配置する場合もある。この例では、CCの各帯域幅に合わせて同一数にPAPR低減帯域FBCTLを分割し、分割した帯域(図13中、BCTL1〜BCTL5)毎に複素乗算器の振幅と位相を調整する場合を示している。FBCTLの分割数MDIV、帯域幅はこの例に示した限りではなく任意に設定して良い。
このとき、BCTL1〜BCTL5において、EVMを大きく劣化させたくない帯域がある場合、EVMを劣化させないようにその帯域の位相と振幅を調整してもよい。例えば、BCTL1とBCTL4のEVM許容値をEVMTHと設定し、BCTL1とBCTL4内のEVMがEVMTH以下、BCTL2、BCTL3,BCTL4内のEVM許容値はEVMTHよりも高くてもよい場合について説明する。
図12は本実施例に係るディジタルプリディストータ103と周辺装置の全体構成を示すブロック図である。
ディジタルプリディストータ103は、分配器11、線形伝達経路12、3次歪発生経路13、合成器14、DAC15、ADC16、EVM・歪観測器171、PAPR観測器19、帯域幅判定器181D、制御器183を含む。制御器183は、3次歪発生経路制御部183A、PAPR判定制御部181B、PAPR低減帯域決定部183Cを含む。
3次歪発生経路制御部183AとPAPR低減帯域制御部183CとEVM・歪観測器171が上述の実施例2と異なり、制御処理は図8における3次帯域内歪補償係数調整処理S123が異なる。以下に異なる点を説明する。
PAPR低減帯域決定部183Cは、送信帯域FBを判別するように帯域幅判定器181Dに指示する。帯域幅判定器181Dは、前述の方法にて判定した送信帯域幅FBをPAPR低減帯域決定部182Cに与える。PAPR低減帯域決定部183Cは、図13に示すように得られたFBに基づいてPAPR低減帯域FBCTLを決め、FBCTLをCCに合わせて複数の帯域(BCTL1〜BCTL5)に分割する(ただし、この実施例においてはFBCTL≦FBとする)。図12ではCCの数に合わせてFBCTLを等帯域幅に5分割した例を示している。
EVM・歪観測器171は帰還信号の各帯域の歪成分を観測する機能(歪観測手段)に加えて、分配器11から分配された入力信号サンプルと、それらとタイミングが取れた帰還信号サンプルからEVMを計算する機能(EVM観測手段)を有する。
3次歪発生経路制御部183Aは、複素乗算部13C3内の、分割帯域BCTL1〜BCTL5に対応する複素乗算器の振幅XAと位相XPをPAPRとEVMの観測結果に基づいてそれぞれ個別に調整する。調整はEVM許容値が最も高い分割帯域から開始する。振幅と位相を調整する分割帯域のEVM許容値にEVMが到達した場合、次の分割帯域の振幅と位相を調整する。ここで、EVM許容値は帯域毎に設定してもよい。帯域毎に設定することで振幅と位相が調整できる範囲が広がる場合があり、PAPRTHに到達するまでの時間を短縮できる場合がある。EVMを劣化させたくない帯域における位相の調整では、位相をXP=π−VPとするのではなく、0に近づくようにXPを調整することが望ましい。XPを0に近づけること、言い換えるとその帯域の位相を無調整とすることで歪成分を低減できる場合があり、EVMの劣化を回避できるためである。各分割帯域のEVM許容値にマージンΔEVMを付加してもよい。この場合、EVMがEVM許容値−ΔEVMとなった場合に他の分割帯域の振幅と位相の調整に遷移する。マージンを付加することで他の分割帯域の振幅と位相を調整による影響でEVM劣化があった場合もEVM許容値を満たすことができる場合がある。
BCTL1〜BCTL5の振幅と位相の調整によりPAPR観測器で観測するPAPRがPAPRTHを大きく下回る場合、PAPRがPAPRTHを下回る範囲でEVMを改善するようにBCTL1〜BCTL5の振幅と位相を調整してもよい。このとき、BCTL1〜BCTL5のうちEVMが最も悪い帯域から振幅と位相の調整を行う。これにより特定の帯域だけEVMが大きく劣化することを回避できる場合がある。振幅の調整では、オフセット値Dだけ振幅を変え、EVMを観測し、EVMが改善する方向にDずつ振幅を変えるとともにEVMとPAPRを観測する。振幅の変更、EVMとPAPRの観測を繰り返すことでPAPRTHを上回らない範囲でEVMを最も改善する振幅を求める。位相についても同様である。
BCTL1〜BCTL5の振幅と位相の調整によりPAPR観測器で観測するPAPRがPAPRTHを大きく下回る場合、PAPRTHを上回らない範囲で振幅と位相を調整せずBCTL1〜BCTL5を縮小してもよい。帯域幅の縮小は最もEVMが悪いもの、もしくは最もEVM許容値に近いものから順番に行う。BCTL1〜BCTL5の振幅と位相を調整する場合に比べてEVM劣化量を改善できる場合があるためである。
[実施例3の変形例1]
LTE-Advancedにおいて1つのCCは複数のリソースブロック(以下、RBともいう)で構成されている。変調方式は、RB毎に適応的に割り当てを行っている。また、EVMの許容値は変調多値数が高いほど低い。そのため、各RBの変調方式を判別し、RBに合わせてPAPR低減帯域FBCTLを分割し、変調多値数の低いRBの振幅を大きくしPAPR低減量を増やしてもよい。これは、変調多値数が低いほどEVMの許容値が大きいこと、位相がXP=π−VPとした場合、一般に振幅を大きくすることでPAPR低減量が増加するためである。
変調方式の判別は図12において帯域幅判定器181Dで行い、その結果を用いてPAPR低減帯域制御部183CにてPAPR低減帯域FBCTLの分割と割り当てを行う。
[実施例3の変形例2]
図3に示した特許文献1記載の方法にて送信帯域FB内の振幅と位相を調整した場合、ディジタルプリディストータで補償できない歪成分が電力増幅器で発生する場合がある。これは、3次歪周波数特性補償器13Cにおいて帯域FB内における歪補償成分の振幅と位相についてPAPRを低減するように調整するため、電力増幅器が生成する FB内の歪成分が大きくなり、図2の3次歪成分下側帯域FBDU、3次歪成分上側帯域FBDUに影響を与える場合があるためである。この歪成分はディジタルプリディストータで予期していない歪成分となるため補償できない。そのため、3次歪成分下側帯域FBDL、3次歪成分上側帯域FBDUにおける歪成分の電力が閾値PTHを超えてしまう懸念がある。
図13の帯域設定においても同様の問題があり、この問題を回避するため、PAPR低減帯域制御部183Cでは、PAPR低減帯域を送信帯域FBの中央部のCC帯域にのみに設置し、他のCC帯域には設けないほうが好ましい場合がある。例えば図13の例の場合、CC3の帯域BCTL3のみをPAPRの低減に用いる。これにより帯域BCTL3に発生する歪成分は隣接のCC2,CC4の帯域に影響を与える懸念があるものの、3次歪成分下側帯域FBDL、3次歪成分上側帯域FBDUに影響を与える可能性を低減できる。これは、帯域BCTL3に対して3倍の歪成分が発生すると考えられるため、CC2,CC4におけるEVM劣化が想定されるのに対して、3次歪成分下側帯域FBDL、3次歪成分上側帯域FBDUは帯域BCTL3の3倍の帯域幅(図13のCC2〜CC4の帯域)よりも遠い周波数にあるためである。
[実施例3の変形例3]
CAを用いる場合、帯域幅判定器181DでCCの数とCCの帯域幅を判定し、その結果に基づいてPAPR低減帯域制御部183Cは図14に示すようにFBCTLを分割してもよい。ここでは、送信帯域FBのうち入力信号成分が無いもしくは入力信号成分のピークレベルに対して予め定めたレベル差(例えば20dB以上)となる帯域のみPAPR低減分割帯域BCTL1〜BCTL4を設ける。3次歪発生経路制御部183Aは、PAPRを低減するように帯域BCTL1〜BCTL4に対応する複素乗算器の振幅と位相を調整する。
LTE-Advancedにおいて各CCの帯域幅が20MHzの場合、その帯域の中心から18.015MHz内にサブキャリアが配置されているが、上側0.9925MHz、下側0.9925MHzにはサブキャリアが配置されていない。サブキャリアが配置されていない(入力信号成分が無い)帯域(図14中、BCTL1〜BCTL4)をPAPR低減に用いることでEVMを劣化させることなくPAPRを低減できる場合がある。
この例では、BCTL1〜BCTL4を送信帯域FBのうち入力信号成分が無い帯域としている。BCTL1〜BCTL4に与える振幅と位相は同じ値を設定することが簡易であるが、上述した歪成分の影響によりEVM劣化が大きくなる場合、個別に調整する。CC1の下端側、CC5の上端側に帯域を割り当てていないのは上述したように3次歪成分下側帯域FBDLと3次歪成分上側帯域FBDUの歪成分が増加する場合があるためであるが、影響が小さいことが予めわかる場合はPAPR低減に用いてもよい。
PAPR低減帯域制御部183CにおいてCC1〜CC5の帯域幅を指定し、その帯域幅を3次歪発生経路制御部183Aに伝達する。3次歪発生経路制御部183Aは、指定されたCC1〜CC5に対応する複素乗算器に与える振幅と位相についてEVMを改善するように調整してもよい。
OFDMといった方式を用いた場合、帯域幅判定器181Dでサブキャリア間隔を判定し、サブキャリア間の成分を用いてPAPRを低減するように振幅と位相を調整してもよい。例えば、LTEではサブキャリア間隔は15kHzとなっている。そのため、帯域幅判定器181Dで分配器11からの入力信号がLTE(もしくはサブキャリア間隔が15kHz)であると判別し、入力信号をFFTした時の周波数間隔が15kHzよりも狭い場合、3次歪周波数特性補償器13Cに入力する補償信号のうちサブキャリア間の成分を用いてPAPRを低減する。
前述した各実施例においては、送信帯域FB内に設定するPAPR低減帯域FBCTLを制御することにより、PAPR低減処理に原因するEVMの増加を抑圧したが、実施例4においては、帯域が離れた2つの入力信号に対し、送信帯域外の相互変調歪成分帯域にPAPR低減帯域を設けてPAPR低減処理を行なうことにより、EVM増加を避けつつPAPRを低減させる。
図15は本実施例に係るディジタルプリディストータ104と周辺装置の全体構成を示すブロック図である。周辺装置は、増幅装置20と帰還信号生成装置30を含む。この例では、図16に示すように2つの入力信号の帯域FBS1とFBS2が離れた帯域にある場合に対応するディジタルプリディストータを示している。ここで、図16の信号帯域FBS1に対応する信号は入力端子TIN1からディジタルプリディストータ104に入力され、信号帯域FBS2に対応する信号は入力端子TIN2からディジタルプリディストータ104に入力されるものとする。ここでは、帯域FBS1とFBS2にそれぞれ1つのCCを割り当てた場合について説明するが、FBS1とFBS2にそれぞれ複数のCCを割り当てた場合や、FBS1とFBS2以外の第3の帯域を用いる場合についても同様の考え方にて対応できる。
図16に示すように2つの帯域にCCを割り当てた信号を1つの電力増幅器23で増幅した場合、図16に示す3次歪成分下側帯域FBDL1、FBDL2、3次歪成分上側帯域FBDU1、FBDU2、相互変調歪成分下側帯域FBML、相互変調歪成分上側帯域FBMUに歪成分がそれぞれ発生する。例えば、等価低域系を仮定し、FBS1を用いる複素ベースバンド信号をs1、FBS2を用いる複素ベースバンド信号をs2とし、電力増幅器の歪発生モデルを3次のべき級数とした場合、電力増幅器で発生する歪成分D3は、次式(8)で表せる。
Figure 2014158230

ここで、||は絶対値、は複素共役を示す。以下においては、式(8)中の|s1|2s1と|s2|2s2をそれぞれ信号s1の3次歪成分、信号s2の3次歪成分と呼び、2|s1|2s2、2|s2|2s1、s1 2s2 *、s2 2s1 *を信号s1とs2の相互変調歪成分と呼ぶことにする。式(8)において、相互変調歪成分s1 2s2 *とs2 2s1 *はそれぞれ入力信号帯域FBS1、FBS2の外側の相互変調歪成分下側帯域FBML、相互変調歪成分上側帯域FBMUに発生する歪成分である。信号帯域FBS1とFBS2の中心周波数fC1とfC2の間隔をΔFとすると、s1 2s2 *とs2 2s1 *は中心周波数fC1、fC2からそれぞれΔFだけ下側及び上側に離れた周波数に発生する。ΔFが大きい場合、電力増幅器の出力側にFBS1とFBS2を通過させるフィルタを設置することでs1 2s2 *とs2 2s1 *は抑圧できる。そのため、s1 2s2 *とs2 2s1 *はディジタルプリディストータで補償しなくともよいことから本実施例ではこの2つの相互変調歪成分を補償する信号をPAPR低減に用いる。PAPR低減に用いる帯域をFBS1とFBS2とは異なる帯域にすることでEVMを劣化させることなくPAPRを低減できる点が他の実施例と異なる。
式(8)中の相互変調歪成分2|s1|2s2は、入力信号s2の3次歪成分と同じ帯域FBD2を有し、また、相互変調歪成分2|s2|2s1は、入力信号s1の3次歪成分と同じ帯域FBD1を有している。
ここでは、 3次歪成分を用いた場合について説明したが、5次以上の高次歪成分を用いた場合についても同様の考え方で対応できる。
ディジタルプリディストータ104は、分配器111、112、合成器113、線形伝達経路12、3次歪発生経路130、合成器14、DAC15、ADC16、歪観測器17、PAPR観測器19、制御器184を含む。制御器184は、3次歪発生経路制御部184A、PAPR判定制御部181Bを含む。
分配器111は、入力端子TIN1からの信号を3次歪発生経路130と合成器113に分配する。分配器112は、入力端子TIN2からの信号を3次歪発生経路130と合成器113に分配する。入力端子TIN1、TIN2に入力する信号が直流を中心としたベースバンド信号の場合、分配器111,112では、中心周波数fC1、fC2の周波数差がΔFとなるように各入力端子からの信号の周波数をそれぞれシフトさせる。周波数のシフトは例えば、FFTにより信号を周波数領域に変換し、所望の周波数(例えば、入力端子TIN1からの信号を−ΔF/2、入力端子TIN2からの信号を+ΔF/2)にシフトさせたのちIFFTすることで行う。 合成器113は分配器111と分配器112からの信号を合成し、線形伝達経路12に合成した信号を出力する。
図17に3次歪発生経路130の構成を示す。3次歪発生経路130は、信号分配器13D1、13D2、信号生成部1301、1302、副信号生成部1303、信号合成器13Gを含む。信号分配器13D1は、分配器111からの分配信号を信号生成部1301と副信号生成部1303に分配する。信号分配器13D2は、分配器112からの分配信号を信号生成部1302と副信号生成部1303に分配する。
信号生成部1301は、3次歪発生器13A1、3次歪ベクトル調整器13B1を含む。3次歪発生器13A1は、信号分配器13D1からの信号を3乗し、3次歪成分(式(8)の|s1|2s1)を生成する。3次歪ベクトル調整器13B1は、歪観測器17により観測された3次歪成分下側帯域FBDL1または上側帯域FBDU1の歪成分が最小となるよう制御器184からの制御情報に基づいて|s1|2s1の振幅と位相を調整する。信号生成部1302は、3次歪発生器13A2、3次歪ベクトル調整器13B2を含む。3次歪発生器13A2は、信号分配器13D2からの信号を3乗し、3次歪成分(式(8)の|s2|2s2)を生成する。3次歪ベクトル調整器13B2は、歪観測器17により観測された3次歪成分下側帯域FBDL2または上側帯域FBDU2の歪成分が最小となるよう制御器184からの制御情報に基づいて|s2|2s2の振幅と位相を調整する。
副信号生成部1303は、3次相互変調歪算出器13E、副3次歪ベクトル調整器13F1、13F2、13F3、13F4を含む。3次相互変調歪算出器13Eは、信号分配器13D1、13D2からの信号から3次相互変調歪成分(式(8)の2|s2|2s1、2|s1|2s2、 s1 2s2 *、s2 2s1 *)を生成する。副3次歪ベクトル調整器13F1は、3次歪ベクトル調整器13B1の調整で用いた帯域の歪成分が最小となるよう制御器184からの制御情報に基づいて2|s2|2s1の振幅と位相を調整する。副3次歪ベクトル調整器13F2は、3次歪ベクトル調整器13B2の調整で用いた帯域の歪成分が最小となるよう制御器184からの制御情報に基づいて2|s1|2s2の振幅と位相を調整する。副3次歪ベクトル調整器13F3は、PAPR観測器19により観測される帯域FBS1のPAPRが最小となるよう制御器184からの制御情報に基づいてs1 2s2 *の振幅と位相を調整する。副3次歪ベクトル調整器13F4は、PAPR観測器19により観測される帯域FBS2のPAPRが低減するよう制御器184からの制御情報に基づいてs2 2s1 *の振幅と位相を調整する。
図18を参照し、制御器184の制御フローP2を説明する。ここでは、入力信号帯域FBS1とFBS2は予め制御器184に設定されているものとする。
[副3次歪ベクトル調整器係数調整処理S21]
3次歪発生経路制御部184Aは、副3次歪ベクトル調整器13F3、13F4に与える位相ZPと振幅ZAを帯域FBS1、FBS2のPAPRが低減するようにそれぞれ調整する。
位相の調整では、副3次歪ベクトル調整器13F3、13F4に位相ZP=πを与える(図6で説明した原理に基づく)。振幅の調整では、最初に任意に設定した初期値ZAとその前後の値でのPAPRを観測し、PAPRが減少する方向へ事前に定めたオフセット値ΔZAだけ振幅を変更し、PAPRを観測する。振幅の変更とPAPRの観測を繰り返すことで、PAPRが予め定めた閾値PAPRTH以下となる振幅ZA,MINを求める。PAPRがPAPRTH以下となった場合、3次歪ベクトル調整器係数調整処理S32に遷移する。PAPRを観測する場合、3次歪発生経路制御部184AはPAPR判定制御部181BにPAPRを測定し、測定結果を伝達するように指示する。
上記の例では、副3次歪ベクトル調整器13F3、13F4に設定する位相と振幅を同じ値としたが、異なる値としてもよい。異なる値とした場合、副3次歪ベクトル調整器13F3と副3次歪ベクトル調整器13F4の調整は同時ではなく順番に行う。同時に調整を行った場合、PAPR低減効果が打ち消される場合があるためである。このとき、位相の調整は、振幅の調整と同様に位相の変更とPAPRの観測を繰返し、閾値PAPRTH以下となる振幅ZP,MINを求めてもよい。
[3次歪ベクトル調整器係数調整処理S22]
3次歪発生器経路制御部184Aは、図3で説明した手法を用いて電力増幅器23で発生する歪成分を補償するように3次歪ベクトル調整器13B1、13B2、副3次歪ベクトル調整器13F1、13F2に与える振幅VA,MINと位相VP,MINをそれぞれ調整する。即ち、歪観測器17で観測される3次歪成分下側帯域FBDL1、FBDL2又は上側帯域FBDU1、FBDU2の電力が最小となるように、それぞれの3次歪ベクトル調整器13B1,13B2,13F1,13F2に与える振幅と位相を調整する。ここで、各3次歪ベクトル調整器の調整は1つずつ順番に行ってもよいが、調整時間を短縮したい場合、3次歪ベクトル調整器13B1、13B2を同時に調整してもよい。これは、3次歪ベクトル調整器13B1、13B2で補償する歪成分が異なる帯域に発生するためである。同様に、副3次歪ベクトル調整器13F1、13F2を同時に調整してもよい。
副3次歪ベクトル調整器係数調整処理S21を行った後に3次歪ベクトル調整器係数調整処理S22を行うことが好ましい。これは、PAPRを低減した後に、電力増幅器23で発生する歪成分の補償を行えるためである。S22によってPAPRがPAPRTHを超える場合、S21、S22を繰返し行ってもよい。
電力増幅器23で発生する歪成分が周波数依存性を持たない場合、上述のように実施例では3次歪周波数特性補償器を用いることなくPAPRを低減できる。これにより、FFT、IFFTといった信号処理を減らせるためDSP、FPGAといった信号処理回路を簡易化できる。
[実施例4の変形例]
歪成分が周波数依存性を持つ場合、図17における3次歪発生経路130の変形例として図19に3次歪発生経路131を示すように、3次歪ベクトル調整器13C1,13C2の後段にそれぞれ3次歪周波数特性補償器13C01,13C02を設け、副3次歪ベクトル調整器13F1,13F2の後段にそれぞれ副3次歪周波数特性補償器13H1,13H2を設置してもよい。
この場合の制御フローは、図18に破線で示すように、3次帯域外歪係数調整処理S23が処理S22の後に追加される。処理S23においては、図2の場合と同様に各3次歪成分下側帯域FBDL1、上側帯域FBDU1、3次歪成分下側帯域FBDL2、下側帯域FBDU2を複数に分割し、歪観測機17により観測される各分割帯域の歪成分が低減するよう、3次歪周波数特性補償器13C01,13C02,副3次歪周波数特性補償器13H1,13H2における周波数領域の対応する分割帯域の位相と振幅を調整する。
実施例4の変形例において副3次歪ベクトル調整器13F3、13F4によりPAPRをPAPRTH以下にできない場合、他の実施例1、2又は3に示した方法を用いてPAPRを低減するように周波数特性補償器を制御してもよい。
図20は本実施例にかかるディジタルプリディストータ105と周辺装置の全体を示すブロック図である。
ディジタルプリディストータ105は、分配器111、112、合成器113、線形伝達経路12、3次歪発生経路131、合成器14、DAC15、ADC16、歪観測器17、PAPR観測器19、帯域幅判定器181D、制御器185を含む。制御器185は、3次歪発生経路制御部185A、PAPR判定制御部181B、PAPR低減帯域制御部185Cを含む。図15の構成と異なる点は、帯域幅判定器181Dが追加され、分配器111、112からの信号が与えられることと、制御器185にPAPR低減帯域制御部185Cが追加され、3次歪発生経路制御部185Aは図15における3次歪発生経路制御部184Aの機能に加えて送信帯域内のPAPR低減帯域に対し位相と振幅を調整する機能を有することである。3次歪発生経路131の構成と動作は図19に示したものと同じであり、説明を省略する。
図21を参照し、制御器184の制御フローP3を説明する。全体の流れは図18における処理S22と処理S23の間に図8の処理S121,S122,S123を挿入したものである。
副3次歪ベクトル調整器係数調整処理S21は図18における対応する処理S21と同じであり、3次歪発生経路制御部185Aは、副3次歪ベクトル調整器13F3、13F4に与える位相ZPと振幅ZAを帯域FBS1、FBS2のPAPRが低減するようにそれぞれ調整する。
3次歪ベクトル調整器係数調整処理S22は図18における対応する処理S22と同じであり、3次歪発生器経路制御部185Aは、図3で説明した手法を用いて電力増幅器23で発生する歪成分を補償するように3次歪ベクトル調整器13B1、13B2、副3次歪ベクトル調整器13F1、13F2に与える振幅VA,MINと位相VP,MINをそれぞれ調整する。即ち、歪観測器17で観測される3次歪成分下側帯域FBDL1、FBDL2又は上側帯域FBDU1、FBDU2の電力が最小となるように、それぞれの3次歪ベクトル調整器13B1,13B2,13F1,13F2に与える振幅と位相を調整する。
PAPR判定制御部181Bは、PAPR観測器19により観測された合成器14からの出力信号におけるPAPRが閾値PAPRTHよりも高いか否か判定し、高い場合、後述する帯域幅判定処理S122を行うように帯域幅判定器181Dに指示する。PAPRが閾値PAPRTH以下の場合、図5における処理S13と同じ3次帯域外歪補償係数調整処理S23を行うように3次歪発生経路制御部181Aに指示する(S121)。
PAPR判定制御部181Bから送信帯域FBを判別するよう指示を受けると、帯域幅判定器181Dは、分配器111、112から分配された入力信号SIN1、SIN2の送信帯域幅FBS1、FBS2を判定し、結果をPAPR低減帯域制御部185Cに伝達する。PAPR低減帯域制御部185Cは、得られた送信帯域幅FBS1、FBS2に対して予め定めた倍率α(1>α>0の所定の値)を乗算して得たFBCTL1=αFBS1、FBCTL2=αFBS2をPAPR低減帯域として3次歪発生経路制御部185Aに伝達する(S122)。
3次歪発生経路制御部185Aは、3次歪周波数特性補償器13C01,13C02の各複素乗算部のうちPAPR低減帯域PBCTLに対応する各複素乗算器の振幅XAと位相XPをそれぞれ調整することでPAPRを低減する(S123)。
3次歪発生経路制御部185Aによる3次歪帯域外歪補償係数調整処理S23は図8における処理S13と同様であり、各入力信号の3次歪成分下側帯域FBDL1, FBDL2、上側帯域FBDU1, FBDU2の各分割帯域について歪観測器17の観測結果に基づいて各分割帯域の歪成分を低減するように対応する複素乗算器の振幅と位相を調整する。複素乗算器の振幅と位相を調整した後、3次歪成分下側帯域FBDL1, FBDL2と3次歪成分上側帯域FBDU1, FBDU2の電力がそれぞれ閾値PTHより大きくなる場合、破線で示すように3次歪ベクトル調整器係数調整処理S22に戻るようにしてもよい。
以上に説明したディジタルプリディストータの各実施例及び変形例は、その動作をプログラムに従ってコンピュータにより実行するように構成してもよいし、あるいは構成要素をDSP(Digital Signal Processor)やFPGA(Field Programmable Gate Array)により構成してもよい。

Claims (8)

  1. 入力信号に電力増幅器で発生する歪成分を打ち消すための歪補償成分を付加して出力するディジタルプリディストータであって、
    前記入力信号を遅延伝達する線形伝達経路と、
    前記入力信号から歪補償成分を生成するN(Nは3以上の奇数)次歪発生経路と、
    前記入力信号の帯域幅を判定する帯域幅判定器と、
    前記入力信号を前記線形伝達経路と前記N次歪発生経路と前記帯域幅判定器に分配する分配器と、
    前記線形伝達経路の出力と前記N次歪発生経路の出力を合成する合成器と、
    前記合成器の出力からピーク対平均電力比(PAPR)を観測するPAPR観測器と、
    制御器と、
    を含み、
    前記N次歪発生経路は、前記入力信号をN乗してN次歪成分を生成するN次歪発生器と、前記N次歪成分の振幅と位相を調整するN次歪ベクトル調整器と、周波数領域において前記N次ベクトル調整器の出力信号を複数の帯域に分割し、分割した帯域毎に振幅と位相を調整するN次歪周波数特性補償器とを含み、
    前記制御器は、前記PAPR観測器の観測結果を用いて、前記帯域幅判定器で判定された前記入力信号の帯域幅より小となるPAPR低減帯域を決め、前記PAPR低減帯域内の振幅と位相についてPAPRを低減するように前記N次周波数特性補償器を制御するように構成されていることを特徴とするディジタルプリディストータ。
  2. 入力信号に電力増幅器で発生する歪成分を打ち消すための歪補償成分を付加して出力するディジタルプリディストータであって、
    前記入力信号を遅延伝達する線形伝達経路と、
    前記入力信号から歪補償成分を生成するN(Nは3以上の奇数)次歪発生経路と、
    前記入力信号の帯域幅を判定する帯域幅判定器と、
    前記入力信号を前記線形伝達経路と前記N次歪発生経路と前記帯域幅判定器に分配する分配器と、
    前記線形伝達経路の出力と前記N次歪発生経路の出力を合成する合成器と、
    前記合成器の出力からピーク対平均電力比(PAPR)を観測するPAPR観測器と、
    制御器と、
    を含み、
    前記N次歪発生経路は、前記入力信号をN乗してN次歪成分を生成するN次歪発生器と、前記N次歪成分の振幅と位相を調整するN次歪ベクトル調整器と、周波数領域において前記N次ベクトル調整器の出力信号を複数の帯域に分割し、分割した帯域毎に振幅と位相を調整するN次歪周波数特性補償器とを含み、
    前記制御器は、前記PAPR観測器の観測結果を用いて、前記帯域幅判定器で判定された帯域幅以下となるPAPR低減帯域を決め、前記PAPR低減帯域を複数に分割して決めた分割帯域のそれぞれの帯域内の振幅と位相についてPAPRを低減するように前記N次周波数特性補償器を制御するように構成されていることを特徴とするディジタルプリディストータ。
  3. 請求項1または2記載のディジタルプリディストータにおいて、更に前記電力増幅器の出力からの帰還信号と前記入力信号間のEVM(Error Vector Magnitude)を観測するEVM観測手段が設けられており、前記制御器は前記3次歪周波数特性補償器に対するPAPRを低減する処理を、前記EVM観測手段により観測されるEVMが予め決めた許容値以下となる範囲で実行するように構成されていることを特徴とするディジタルプリディストータ。
  4. 請求項1または2記載のディジタルプリディストータであって、前記PAPR観測器の観測結果が目標値よりも低い場合、前記制御器は、前記PAPR観測器の観測結果を用いて、前記PAPR低減帯域の帯域幅を前記目標値となるまで縮小するように前記N次歪周波数特性補償器を制御するように構成されていることを特徴とするディジタルプリディストータ。
  5. 請求項1または2記載のディジタルプリディストータであって、前記制御器は、前記帯域幅判定器で判定された帯域幅において入力信号成分が無い帯域の振幅と位相についてPAPRを低減するように前記N次歪周波数特性補償器を制御するように構成されていることを特徴とするディジタルプリディストータ。
  6. 異なる周波数帯域となる複数の入力信号に電力増幅器で発生する歪成分を打ち消すための歪補償成分を付加するディジタルプリディストータであって、
    前記複数の入力信号をそれぞれ遅延伝達する複数の線形伝達経路と、
    前記複数の入力信号に基づいて前記歪補償成分を生成する歪発生経路と、
    各前記入力信号をその入力信号に対応する前記線形伝達経路と、前記歪発生経路とに分配する分配器と、
    前記線形伝達経路の出力と前記歪発生経路の出力を合成する合成器と、
    前記合成器の出力からピーク対平均電力比(PAPR)を観測するPAPR観測器と、
    制御器と、
    を含み、
    前記歪発生経路は、
    各前記入力信号のそれぞれのN(Nは3以上の奇数)次歪成分を生成するN次歪発生器と、
    各N次歪発生器により発生されたN次歪成分の振幅と位相を調整するN次歪ベクトル調整器と、
    前記複数の入力信号間の相互変調歪成分を生成するN次相互変調歪算出器と、
    各相互変調歪成分の振幅と位相を調整する副N次歪ベクトル調整器と、
    を含み、前記N次歪ベクトル調整器の出力と前記副N次歪ベクトル調整器の出力を前記歪補償成分として出力し、
    前記相互変調歪成分は各入力信号のN次歪成分の帯域内の相互変調歪成分、以下、帯域内相互変調歪成分と呼ぶ、と、各入力信号のN次歪成分の帯域外の相互変調歪成分、以下帯域外相互変調歪成分と呼ぶ、を含み、
    前記制御器は、前記帯域外相互変調歪成分の振幅と位相についてPAPR低減するように対応する前記ベクトル調整器を制御するよう構成されていることを特徴とするディジタルプリディストータ。
  7. 請求項6記載のディジタルプリディストータにおいて、前記電力増幅器の出力からの帰還信号の歪成分を観測する歪観測器が更に設けられており、前記歪発生経路は、各前記N次歪ベクトル調整器の出力を周波数領域で調整するN次歪周波数特性補償器と、前記副N次歪ベクトル調整器の出力の前記帯域内相互変調歪成分を周波数領域で調整する副N次歪周波数特性調整器とを含み、
    前記制御器は前記歪観測器により観測された各前記入力信号のN次歪成分下側帯域または上側帯域の成分が低減するよう前記N次歪ベクトル調整器と前記副N次歪ベクトル調整器を制御し、前記N次歪周波数特性補償器及び前記副N次歪周波数特性補償器において各入力信号のN次歪成分下側帯域及び上側帯域の振幅と位相を、前記歪観測器で観測された対応する帯域の歪成分が低減するよう調整するよう構成されていることを特徴とするディジタルプリディストータ。
  8. 請求項1記載のディジタルプリディストータの制御方法であり、
    前記PAPR観測器により観測されたPAPRが予め決めた閾値より高いか判定する処理と、
    前記PAPRが前記閾値より高い場合、前記入力信号の帯域幅を判定する処理と、
    判定された前記帯域幅に応じて適応的に前記帯域幅より狭いPAPR低減帯域を設定する処理と、
    前記PAPR観測器により観測されるPAPRが低減するよう前記N次歪周波数特性補償器により前記PAPR低減帯域における振幅と位相を調整する処理と、
    を含むことを特徴とする制御方法。
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