JP2014156671A - 抗ピリング性付与方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】抗ピリング性が高められた再生繊維材料の製造方法、及び再生繊維材料の抗ピリング加工方法を提供すること。
【解決手段】アルカリ処理された再生繊維材料をセルラーゼ処理することを含む、抗ピリング性が高められた再生繊維材料の製造方法。
【選択図】なし
【解決手段】アルカリ処理された再生繊維材料をセルラーゼ処理することを含む、抗ピリング性が高められた再生繊維材料の製造方法。
【選択図】なし
Description
本発明は、抗ピリング性付与方法、より具体的には抗ピリング性が高められた再生繊維材料の製造方法、及び再生繊維材料の抗ピリング加工方法に関する。
布等の繊維材料を摩擦すると、毛羽立ちが形成され、さらには毛羽同士が絡み合った毛玉が形成される。このような毛羽立ちや毛玉(ピリング)の形成は、繊維材料の外観や風合いの悪化につながる。したがって、通常、繊維材料を抗ピリング加工処理することが行われている。例えば、特許文献1にはセルロース繊維材料をセルラーゼで処理することによる抗ピリング加工方法が開示されている。
しかしながら、このような抗ピリング処理が施されたとしても、長期間の摩擦に曝される衣類等にはピリングが形成されてしまうというのが現状である。そこで、より優れた抗ピリング加工方法の開発が求められている。
一方、従来の抗ピリング加工方法は、綿や、ピリングが生じ易い合成繊維材料に対しての効果が実証されたものが多かったが、再生繊維材料に対する効果が実証されたものは少なかった。特に、そもそもピリングが生じ難い絹繊維材料に類似した繊維材料である、レーヨン繊維材料に対しての効果が実証された抗ピリング加工方法は、極めて少なかった。したがって、再生繊維材料(特にレーヨン繊維材料)に対して、いかなる処理を施せば、高い抗ピリング性を付与できるかについては、あまり知られていなかった。
本発明は、抗ピリング性が高められた再生繊維材料の製造方法、及び再生繊維材料の抗ピリング加工方法を提供することを課題とする。
本発明者等は鋭意研究を進めた結果、再生繊維材料を、アルカリ処理に続いてセルラーゼ処理を組合わせた処理に供することにより、高い抗ピリング性を付与できることを見出した。さらに、アルカリ処理を特定条件下で行うことによって、より高い抗ピリング性を付与できることを見出した。これらの知見に基づいてさらに研究を進めた結果、本発明が完成した。
即ち、本発明は、下記の態様を包含する。
項1.アルカリ処理された再生繊維材料をセルラーゼ処理することを含む、抗ピリング性が高められた再生繊維材料の製造方法。
項2.再生繊維材料をアルカリ処理すること、及び
アルカリ処理された再生繊維材料をセルラーゼ処理すること、
を含む、項1に記載の製造方法。
アルカリ処理された再生繊維材料をセルラーゼ処理すること、
を含む、項1に記載の製造方法。
項3.前記再生繊維がレーヨン繊維である、項1又は2に記載の製造方法。
項4.前記アルカリ処理が強塩基が溶解したアルカリ水溶液中で行われる処理である、項1〜3のいずれかに記載の製造方法。
項5.前記アルカリ水溶液中の強塩基の規定濃度が1.2 N以上である、項4に記載の製造方法。
項6.前記セルラーゼが中性セルラーゼ及び酸性セルラーゼからなる群より選択される少なくとも1種である、項1〜5のいずれかに記載の製造方法。
項7.項1〜6のいずれかに記載の製造方法で製造された、抗ピリング性が高められた再生繊維材料。
項8.アルカリ処理された再生繊維材料をセルラーゼ処理することを含む、再生繊維材料の抗ピリング加工方法。
本発明によれば、再生繊維材料に抗ピリング性を付与することができる。すなわち、本発明は抗ピリング性が高められた再生繊維材料の製造方法及び再生繊維材料の抗ピリング加工方法を提供することができる。さらに本発明の方法によれば、再生繊維材料のピリングを効率的に除去することや、適度にピリング(特に毛羽)を除去することによって、クリアであって且つ高級感のある風合いを再生繊維材料に付与することも可能である。また、アルカリ処理を特定条件下で行うことによって、より高い抗ピリング性を付与することもできる。
1.抗ピリング性が高められた再生繊維材料の製造方法
本発明は、アルカリ処理された再生繊維材料をセルラーゼ処理することを含む、抗ピリング性が高められた再生繊維材料の製造方法(以下、単に「本発明の製造方法」と示すこともある)に関する。
本発明は、アルカリ処理された再生繊維材料をセルラーゼ処理することを含む、抗ピリング性が高められた再生繊維材料の製造方法(以下、単に「本発明の製造方法」と示すこともある)に関する。
本発明において、ピリングとは、繊維表面に生じる毛羽立ちや毛玉を意味する。
本発明において繊維材料とは、主に繊維からなる材料であれば特に限定されず、繊維そのものであってもよいし、繊維から形成された布、布を加工して得られた布製品であってもよい。布としては、繊維を薄く広い板状に加工したものであれば特に限定されず、例えば、織物、編み物、レース、フェルト、及び不織布等が挙げられる。布製品としては、主に布からなる製品であれば特に限定されず、例えば、水着、スポーツウェア、肌着、上着、靴下、パンティーストッキング、手袋、帽子、ヘアバンド、ネクタイ、ハンカチ、タオル、フェイスマスク、マフラー、シーツ、枕カバー、ふとん、クッション、おむつ、及びおむつカバー等が挙げられる。
再生繊維材料は、繊維として再生繊維を含む繊維材料であれば特に限定されず、再生繊維以外の繊維を含む繊維材料であってもよい。再生繊維材料中の繊維全体に対する再生繊維の割合としては、再生繊維材料において再生繊維の性質が表れる割合であれば特に限定されないが、例えば50重量%以上であることができ、好ましくは70重量%以上であることができ、より好ましくは80重量%以上であることができ、さらに好ましくは90重量%以上であることができ、よりさらに好ましくは95重量%以上であることができ、特に好ましくは98重量%以上であることができる。
再生繊維は、公知の再生繊維であれば特に限定されず、例えばレーヨン繊維、ポリノジック繊維、キュプラ繊維、リヨセル繊維、及びアセテート繊維等が挙げられる。これらの中でも、レーヨンが好ましく挙げられ、パルプを原料として作られるレーヨン(例えばモダールや、レンチングモダル(登録商標))がより好ましく挙げられる。再生繊維は1種単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
再生繊維以外の繊維は、公知の繊維であれば特に限定されず、例えば綿繊維、麻繊維、及び亜麻繊維等の植物繊維; 絹繊維、及び毛繊維等の動物繊維; ナイロン繊維、ポリエステル繊維、アクリル繊維、ポリ塩化ビニル繊維、及びポリウレタン繊維等の合成繊維; 並びにガラス繊維、及び金属繊維等の無機繊維等が挙げられる。再生繊維以外の繊維は1種単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
アルカリ処理された再生繊維材料は、再生繊維材料をアルカリ処理することを経て得られる。再生繊維材料をアルカリ処理したものをそのまま「アルカリ処理された再生繊維材料」として用いてもよいが、好ましくは再生繊維材料をアルカリ処理及びそれに続くアルカリ除去処理することにより得られたものを「アルカリ処理された再生繊維材料」として用いることができる。
アルカリ処理は、再生繊維材料とアルカリ水溶液とを接触させる処理であれば特に限定されず、例えば再生繊維材料をアルカリ水溶液中に浸漬する態様が挙げられる。
アルカリ水溶液は、塩基が溶解した水溶液であれば特に限定されない。塩基は、溶解した水溶液のpHが7より大きくさせる塩基であれば特に限定されず、例えば強塩基である。塩基は1種単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
強塩基としては、例えば繊維処理に用いることが可能な強塩基が挙げられ、具体的には水酸化ナトリウム、水酸化リチウム、水酸化カリウム、水酸化ルビジウム、及び水酸化セシウム等のアルカリ金属水酸化物; 水酸化テトラメチルアンモニウム、及び水酸化テトラエチルアンモニウム等のテトラアルキルアンモニウム水酸化物; 水酸化カルシウム、水酸化ストロンチウム、水酸化バリウム、水酸化ユウロピウム(II)、及び水酸化タリウム等のアルカリ土類金属水酸化物; グアニジン等が挙げられる。これらの中でも好ましくはアルカリ金属水酸化物及びテトラアルキルアンモニウム水酸化物が挙げられ、より好ましくはアルカリ金属水酸化物が挙げられ、さらに好ましくは水酸化ナトリウム、水酸化リチウム、及び水酸化カリウムが挙げられ、よりさらに好ましくは水酸化ナトリウムが挙げられる。強塩基は1種単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
アルカリ水溶液中の塩基の規定濃度としては、後述のセルラーゼ処理との組み合わせにより抗ピリング性を発揮できる限り特に限定されない。アルカリ水溶液中の塩基の規定濃度は、例えば1.2 N以上であることができ、より好ましくは1.3〜2.5 Nであることができ、さらに好ましくは1.4〜2.0 Nであることができ、よりさらに好ましくは1.5〜1.7 Nであることができ、特に好ましくは1.5 Nであることができる。アルカリ水溶液中の塩基の規定濃度をこのように設定することにより、抗ピリング性がより高められた再生繊維材料を製造することができ、さらにはピリングが適度に除去されて、クリアで高級感のある風合いを備えた再生繊維材料を製造することも可能である。
アルカリ水溶液は、塩基以外の成分を含んでいてもよい。アルカリ水溶液に含まれる塩基以外の成分としては、例えば浸透剤としての界面活性剤等が挙げられる。アルカリ水溶液に含まれる塩基以外の成分は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
アルカリ処理の温度は、後述のセルラーゼ処理との組み合わせにより抗ピリング性を発揮できる限り特に限定されない。アルカリ処理の温度は、例えば5〜50℃であることができ、好ましくは10〜35℃であることができ、より好ましくは15〜25℃であることができる。
アルカリ処理の時間は、後述のセルラーゼ処理との組み合わせにより抗ピリング性を発揮できる限り特に限定されない。アルカリ処理の時間は、例えば10〜600秒であることができ、好ましくは20〜120秒であることができ、より好ましくは30〜60秒であることができる。
アルカリ除去処理は、再生繊維材料に付着したアルカリ成分を除去できる処理である限り特に限定されず、公知のアルカリ除去手段を採用することができる。アルカリ除去手段としては、例えば水洗処理、湯洗処理、及び酸による中和処理等が挙げられる。これらの条件は慣用の条件に従って決定することができる。アルカリ除去手段は1種単独を採用してもよいが、2種以上を組み合わせて採用することもできる。
セルラーゼ処理は、アルカリ処理された再生繊維材料とセルラーゼとを接触させる処理であれば特に限定されず、例えばアルカリ処理された再生繊維材料とセルラーゼ含有水溶液とを接触させる態様、より具体的にはアルカリ処理された再生繊維材料をセルラーゼ含有水溶液中に浸漬する態様が挙げられる。
セルラーゼは、再生繊維に対してセルラーゼ分解活性を発揮できるものである限り特に限定されない。セルラーゼとしては、例えば中性セルラーゼ、酸性セルラーゼ、及びアルカリ性セルラーゼが挙げられ、これらの中でも、好ましくは中性セルラーゼ及び酸性セルラーゼが挙げられ、より好ましくは中性セルラーゼが挙げられる。なお、ここで中性セルラーゼとは至適pHが、中性域、例えばpH6.0以上8.0未満の範囲内、好ましくはpH6.5以上7.5未満の範囲内にあるセルラーゼを意味し、酸性セルラーゼとは至適pHが、酸性域、例えばpH3.0以上6.0未満の範囲内、好ましくはpH3.5以上5.5未満の範囲内にあるセルラーゼを意味し、アルカリ性セルラーゼ至適pHが、アルカリ域、例えばpH8.0以上11.0未満の範囲内、好ましくはpH8.5以上10.5未満の範囲内にあるセルラーゼを意味する。セルラーゼは1種単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
また、セルラーゼの種類としては、再生繊維に対してセルラーゼ分解活性を発揮できるものである限り特に限定されない。このようなセルラーゼとしては、例えばエンドグルカナーゼ(EC3.2.1.4)やエキソグルカナーゼ(EC3.2.1.91)等が挙げられEC3214る。
セルラーゼ水溶液中でセルラーゼ処理を行う場合のセルラーゼ水溶液中のセルラーゼ濃度は、用いるセルラーゼに応じて適宜設定することができる。一般的な繊維加工用セルラーゼ製剤としての濃度は、例えば、1〜8g/Lであることができ、好ましくは2〜6g/Lであることができる。
セルラーゼ水溶液中でセルラーゼ処理を行う場合のセルラーゼ水溶液のpHは、用いるセルラーゼの至適pHに応じて適宜設定することができる。
セルラーゼ水溶液中でセルラーゼ処理を行う場合の、アルカリ処理された再生繊維材料とセルラーゼ水溶液との浴比(アルカリ処理された再生繊維材料の重量(kg):セルラーゼ水溶液の量(L))は、セルラーゼが再生繊維材料中のセルロースに対して十分な分解活性を発揮できる限り特に限定されない。浴比は、例えば1:5〜50であることができ、好ましくは1:10〜40であることができ、より好ましくは1:15〜30であることができる。
セルラーゼ処理の温度は、セルラーゼが再生繊維材料中のセルロースに対して十分な分解活性を発揮できる限り特に限定されず、用いるセルラーゼの至適温度に応じて適宜設定することができる。
セルラーゼ処理の時間は、セルラーゼが再生繊維材料中のセルロースに対して十分な分解活性を発揮できる限り特に限定されない。セルラーゼ処理の時間は、例えば10〜180分であることができ、好ましくは30〜120分であることができ、より好ましくは45〜90分であることができる。
セルラーゼ水溶液中でセルラーゼ処理を行う場合、セルラーゼ水溶液は、セルラーゼ以外の成分を含んでいてもよい。セルラーゼ水溶液に含まれるセルラーゼ以外の成分としては、例えばバッファー剤、ノニオン系浴中柔軟剤、及びノニオン系界面活性剤等が挙げられる。セルラーゼ水溶液に含まれるセルラーゼ以外の成分は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
セルラーゼ処理後は、必要に応じて、セルラーゼ失活処理や仕上げ処理を行ってもよい。
セルラーゼ失活処理は、セルラーゼを失活させることができる限り、手段は特に限定されない。セルラーゼ失活処理としては例えば熱処理が挙げられる。セルラーゼ失活処理は1種単独で採用してもよいし、2種以上を組み合わせて採用してもよい。
仕上げ処理は、再生繊維材料の利用(例えば布への縫製や、布製品の製造)をし易くする処理である。仕上げ処理としては、再生繊維材料に付着したセルラーゼや水を除去できる処理である限り特に限定されず、例えば水洗処理や乾燥処理が挙げられる。仕上げ処理は1種単独を採用してもよいし、2種以上を組み合わせて採用することもできる。
本発明の製造方法によって、抗ピリング性が高められた再生繊維材料を得ることができる。さらに、本発明の製造方法によれば、抗ピリング性が高められているのみならず、ピリングが適度に除去されて、クリアで高級感のある風合いをも備えた再生繊維材料を得ることができる。なお、「抗ピリング性が高められた」とは、JIS L 1076 C法に従って抗ピリング試験を行い、JIS L 1076 A法に定める判定方法によって判定した結果、本発明の製造方法に供する前の再生繊維材料よりも本発明の製造方法に供した再生繊維材料の方が、高い抗ピリング性を有していることを意味する。
2.再生繊維材料の抗ピリング加工方法
本発明は、アルカリ処理された再生繊維材料をセルラーゼ処理することを含む、再生繊維材料の抗ピリング加工方法(以下、単に「本発明の加工方法」と示すこともある)に関する。
本発明は、アルカリ処理された再生繊維材料をセルラーゼ処理することを含む、再生繊維材料の抗ピリング加工方法(以下、単に「本発明の加工方法」と示すこともある)に関する。
アルカリ処理された再生繊維材料、セルラーゼ処理、及びその他の処理については、上記「1.抗ピリング性が高められた再生繊維材料の製造方法」において記載したものと同様のものを採用できる。
本発明の加工方法によれば、再生繊維材料の抗ピリング性を高めることができる。さらに、本発明の加工方法によれば、抗ピリング性を高めるのみならず、ピリングを適度に除去し、クリアで高級感の有る風合いを付与することもできる。なお、抗ピリング性が高められたかどうかについては、上記「1.抗ピリング性が高められた再生繊維材料の製造方法」において記載した方法と同様に判定することができる。
以下に、実施例に基づいて本発明を詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例によって限定されるものではない。
試験例1:抗ピリング性試験
アルカリ処理、及びそれに続くセルラーゼ処理を含む方法で加工処理された再生繊維材料の抗ピリング性を評価した。具体的には次のように行った。
アルカリ処理、及びそれに続くセルラーゼ処理を含む方法で加工処理された再生繊維材料の抗ピリング性を評価した。具体的には次のように行った。
[加工処理]
レーヨン(モダール(商標))100%からなる天竺編みされた布(以下、単に「レーヨン布」と表記する)を、張力をかけた状態で、20℃に保たれた水酸化ナトリウム水溶液中に浸漬し、浸漬したまま45秒間保持した(アルカリ処理)。アルカリ処理後の布を、水洗(オーバーフロー水洗,5分間)、湯洗(浴比1:30以上,40℃の水で3分間)、中和(浴比1:30以上,40℃の酢酸2g/L水溶液で5分間)、水洗(オーバーフロー水洗,5分間)の順で処理することにより水酸化ナトリウムを十分に除去した(アルカリ除去処理)。アルカリ除去処理後の布を、55℃に保持したセルラーゼ含有水溶液に浸漬し(浴比1:20)、1時間撹拌した(セルラーゼ処理)。セルラーゼ処理後、布をセルラーゼ含有水溶液に浸漬したままの状態で、セルラーゼ水溶液の温度を80℃に昇温し、10分間保持した(セルラーゼ失活処理)。失活処理後の布を湯洗(浴比1:30以上,40℃の水で3分間)、水洗(オーバーフロー水洗,5分間)、乾燥(タンブラー乾燥,30分間)の順で処理した(仕上げ処理)。このように加工処理されたレーヨン布を、以下「加工処理済レーヨン布」と示す。アルカリ処理の水酸化ナトリウムの規定濃度、並びにセルラーゼ処理で用いたセルラーゼの種類及びセルラーゼ濃度を下記表1に示す。用いたセルラーゼ製剤(エンチロンS-KTL(洛東化成工業株式会社))は、主成分として、エンドグルカナーゼ(EC3.2.1.4)を含むものであり、その他にエキソグルカナーゼ(EC3.2.1.91)も含むものである。なお、セルラーゼ含有水溶液のpHは、セルラーゼとして中性セルラーゼを用いた場合は「6.5〜7.5」であり、酸性セルラーゼを用いた場合は「4〜5」であった。
レーヨン(モダール(商標))100%からなる天竺編みされた布(以下、単に「レーヨン布」と表記する)を、張力をかけた状態で、20℃に保たれた水酸化ナトリウム水溶液中に浸漬し、浸漬したまま45秒間保持した(アルカリ処理)。アルカリ処理後の布を、水洗(オーバーフロー水洗,5分間)、湯洗(浴比1:30以上,40℃の水で3分間)、中和(浴比1:30以上,40℃の酢酸2g/L水溶液で5分間)、水洗(オーバーフロー水洗,5分間)の順で処理することにより水酸化ナトリウムを十分に除去した(アルカリ除去処理)。アルカリ除去処理後の布を、55℃に保持したセルラーゼ含有水溶液に浸漬し(浴比1:20)、1時間撹拌した(セルラーゼ処理)。セルラーゼ処理後、布をセルラーゼ含有水溶液に浸漬したままの状態で、セルラーゼ水溶液の温度を80℃に昇温し、10分間保持した(セルラーゼ失活処理)。失活処理後の布を湯洗(浴比1:30以上,40℃の水で3分間)、水洗(オーバーフロー水洗,5分間)、乾燥(タンブラー乾燥,30分間)の順で処理した(仕上げ処理)。このように加工処理されたレーヨン布を、以下「加工処理済レーヨン布」と示す。アルカリ処理の水酸化ナトリウムの規定濃度、並びにセルラーゼ処理で用いたセルラーゼの種類及びセルラーゼ濃度を下記表1に示す。用いたセルラーゼ製剤(エンチロンS-KTL(洛東化成工業株式会社))は、主成分として、エンドグルカナーゼ(EC3.2.1.4)を含むものであり、その他にエキソグルカナーゼ(EC3.2.1.91)も含むものである。なお、セルラーゼ含有水溶液のpHは、セルラーゼとして中性セルラーゼを用いた場合は「6.5〜7.5」であり、酸性セルラーゼを用いた場合は「4〜5」であった。
[抗ピリング性試験]
加工処理済レーヨン布の抗ピリング性試験を、JIS L 1076 C法に従って行った。具体的には次のようにして行った。
加工処理済レーヨン布の抗ピリング性試験を、JIS L 1076 C法に従って行った。具体的には次のようにして行った。
100 mm×100 mmの加工処理済レーヨン布を3枚準備した。アピアランス・リテンション形試験機の試料ホルダに加工処理済レーヨン布を取り付け、シリコンカーバイド製摩擦板を用いて押圧荷重を約3.92 Nとして20回摩擦した。摩擦後の加工処理済レーヨン布におけるピリングの発生の程度を、JIS L 1076 A法用のピリング判定標準写真と並べて比較することによって判定し、等級付けした。なお、等級は、ピリングの発生の程度が少ない(抗ピリング性が高い)方から順に、5、4-5、4、3-4、3、2-3、2、1-2、1である。判定結果を上記表1の最下段に示す。
表1より、加工処理においてアルカリ処理をせずにセルラーゼ処理を行った比較例1の抗ピリング性(等級:2)は低いものであった。これに対して、加工処理においてセルラーゼ処理の前にアルカリ処理を組み合わせた実施例1及び実施例2の抗ピリング性は、9段階評価の上位1又は2番目に高い評価であり、極めて高いものであった。
試験例2.ピリング除去試験
レーヨン布を、試験例1と同様に加工処理した。アルカリ処理の水酸化ナトリウムの規定濃度、並びにセルラーゼ処理で用いたセルラーゼの種類及びセルラーゼ濃度を下記表2及び3に示す。なお、セルラーゼとして酸性セルラーゼを用いた場合は、バッファー剤として、ブライトBAFconc(洛東化成工業株式会社)を2g/Lの濃度で使用した。用いたセルラーゼ製剤(エンチロンS-KTL及びエンチロンMIT(洛東化成工業株式会社))は、主成分として、エンドグルカナーゼ(EC3.2.1.4)を含むものであり、その他にエキソグルカナーゼ(EC3.2.1.91)も含むものである。セルラーゼ処理後のセルラーゼ含有水溶液の一定量を試験管に取り分け、一晩静置した。静置後、試験管の底部に沈澱したピリングの状態を観察した。この結果を図1及び図2に示す。さらに、加工処理前のレーヨン布の表面写真を図3に示し、加工処理後のレーヨン布の表面写真を図4〜15に示す。
レーヨン布を、試験例1と同様に加工処理した。アルカリ処理の水酸化ナトリウムの規定濃度、並びにセルラーゼ処理で用いたセルラーゼの種類及びセルラーゼ濃度を下記表2及び3に示す。なお、セルラーゼとして酸性セルラーゼを用いた場合は、バッファー剤として、ブライトBAFconc(洛東化成工業株式会社)を2g/Lの濃度で使用した。用いたセルラーゼ製剤(エンチロンS-KTL及びエンチロンMIT(洛東化成工業株式会社))は、主成分として、エンドグルカナーゼ(EC3.2.1.4)を含むものであり、その他にエキソグルカナーゼ(EC3.2.1.91)も含むものである。セルラーゼ処理後のセルラーゼ含有水溶液の一定量を試験管に取り分け、一晩静置した。静置後、試験管の底部に沈澱したピリングの状態を観察した。この結果を図1及び図2に示す。さらに、加工処理前のレーヨン布の表面写真を図3に示し、加工処理後のレーヨン布の表面写真を図4〜15に示す。
図1及び2中、試験管底部の白い部分が沈澱したピリングを示す。図1及び2より、加工処理においてアルカリ処理をせずにセルラーゼ処理を行った場合、ピリングの沈澱(すなわちピリングの除去)は起こらなかった。これに対して、加工処理においてセルラーゼ処理の前にアルカリ処理を組み合わせた場合、ピリングの沈澱(ピリングの除去)が観察された。中でも、中性セルラーゼを用いた場合、又は水酸化ナトリウムの規定濃度が2 Nの場合、ピリング除去効果が高かった。
試験例3.風合い評価試験
レーヨン布を、試験例1と同様に加工処理した。アルカリ処理の水酸化ナトリウムの規定濃度、並びにセルラーゼ処理で用いたセルラーゼの種類及びセルラーゼ濃度を下記表4及び5に示す。なお、実施例11〜12及び15〜18は、アルカリ処理を、張力をかけた状態で行い、実施例13及び14は、張力をかけない状態で行った。セルラーゼとして酸性セルラーゼを用いた場合は、バッファー剤として、ブライトBAFconcを2g/Lの濃度で使用した。用いたセルラーゼ製剤(エンチロンS-KTL及びエンチロンMIT)は、主成分として、エンドグルカナーゼ(EC3.2.1.4)を含むものであり、その他にエキソグルカナーゼ(EC3.2.1.91)も含むものである。加工処理済レーヨンの風合いを目視及び手で触れることによって評価した。
レーヨン布を、試験例1と同様に加工処理した。アルカリ処理の水酸化ナトリウムの規定濃度、並びにセルラーゼ処理で用いたセルラーゼの種類及びセルラーゼ濃度を下記表4及び5に示す。なお、実施例11〜12及び15〜18は、アルカリ処理を、張力をかけた状態で行い、実施例13及び14は、張力をかけない状態で行った。セルラーゼとして酸性セルラーゼを用いた場合は、バッファー剤として、ブライトBAFconcを2g/Lの濃度で使用した。用いたセルラーゼ製剤(エンチロンS-KTL及びエンチロンMIT)は、主成分として、エンドグルカナーゼ(EC3.2.1.4)を含むものであり、その他にエキソグルカナーゼ(EC3.2.1.91)も含むものである。加工処理済レーヨンの風合いを目視及び手で触れることによって評価した。
評価の結果、実施例11〜14については、表面ピリングがクリアな高級感のある風合いであった。一方、実施例15及び16は、布表面のピリングは除去されずクリアな高級感のある風合いではなかった。また、実施例17及び18は、布表面のピリングはクリアであったが、風合いが非常に粗硬であった。
Claims (8)
- アルカリ処理された再生繊維材料をセルラーゼ処理することを含む、抗ピリング性が高められた再生繊維材料の製造方法。
- 再生繊維材料をアルカリ処理すること、及び
アルカリ処理された再生繊維材料をセルラーゼ処理すること、
を含む、請求項1に記載の製造方法。 - 前記再生繊維がレーヨン繊維である、請求項1又は2に記載の製造方法。
- 前記アルカリ処理が強塩基が溶解したアルカリ水溶液中で行われる処理である、請求項1〜3のいずれかに記載の製造方法。
- 前記アルカリ水溶液中の強塩基の規定濃度が1.2 N以上である、請求項4に記載の製造方法。
- 前記セルラーゼが中性セルラーゼ及び酸性セルラーゼからなる群より選択される少なくとも1種である、請求項1〜5のいずれかに記載の製造方法。
- 請求項1〜6のいずれかに記載の製造方法で製造された、抗ピリング性が高められた再生繊維材料。
- アルカリ処理された再生繊維材料をセルラーゼ処理することを含む、再生繊維材料の抗ピリング加工方法。
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---|---|---|---|---|
JPH08291476A (ja) * | 1995-04-18 | 1996-11-05 | Toyobo Co Ltd | 風合いかつ外観に優れた複合繊維織編物の製造方法 |
JPH10509776A (ja) * | 1994-12-05 | 1998-09-22 | ノボ ノルディスク アクティーゼルスカブ | 毛玉形成しにくい性質を有する編織布を得る方法 |
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2013
- 2013-02-15 JP JP2013028127A patent/JP2014156671A/ja active Pending
Patent Citations (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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JPH10509776A (ja) * | 1994-12-05 | 1998-09-22 | ノボ ノルディスク アクティーゼルスカブ | 毛玉形成しにくい性質を有する編織布を得る方法 |
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