JP2014156623A - 高強度Cu−Ni−Co−Si系銅合金板材およびその製造法並びに通電部品 - Google Patents

高強度Cu−Ni−Co−Si系銅合金板材およびその製造法並びに通電部品 Download PDF

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Abstract

【課題】0.2%耐力が980MPa以上という非常に高い強度を有し、導電率、耐応力緩和特性およびプレス加工性も良好である銅合金板材を提供する。
【解決手段】質量%で、NiとCoの合計:2.50〜4.00%、Co:0.50〜2.00%、Si:0.70〜1.50%、Fe:0〜0.50%、Mg:0〜0.10%、Sn:0〜0.50%、Zn:0〜0.15%、B:0〜0.07%、P:0〜0.10%、REM(希土類元素):0〜0.10%であり、Cr、Zr、Hf、Nb、Sの合計含有量が0〜0.01%であり、残部Cuおよび不可避的不純物からなり、粒径5μm以上の「粗大第二相粒子」の個数密度が10個/mm2以下、粒径5〜10nmの「微細第二相粒子」の個数密度が1.0×109個/mm2個以上であり、母相中のSi濃度が0.10質量%以上である銅合金板材。
【選択図】なし

Description

本発明は、コネクタ、リードフレーム、リレー、スイッチなどの電気・電子部品に適したCu−Ni−Co−Si系銅合金板材において特に優れた強度レベルを有するもの、およびその製造方法に関する。
コネクタ、リードフレーム、リレー、スイッチなどの通電部品として電気・電子部品に使用される材料には、通電によるジュール熱の発生を抑制するために良好な「導電性」が要求されるとともに、電気・電子機器の組立時や作動時に付与される応力に耐え得る高い「強度」が要求される。また、コネクタなどの電気・電子部品への加工を考慮するとプレス打抜き性が良好であることも重要である。
特に近年、コネクタなどの電気・電子部品は小型化および軽量化が進む傾向にあり、それに伴って、素材である銅合金の板材には薄肉化の要求(例えば、板厚が0.15mm以下、更に0.10mm以下)が高まっている。そのため、素材に要求される強度レベル、導電性レベルは一層厳しくなっている。具体的には0.2%耐力980MPa以上、場合によっては1000MPaの強度レベルと、導電率30%IACS以上の導電性レベルを併せ持つ素材が望まれている。
加えて、電気・電子部品が過酷な環境で使用される場合が多くなるに従って、素材である銅合金板材には「耐応力緩和特性」に対する要求も厳しくなっている。特に自動車用コネクタには高温に曝される環境下での使用を前提とした性能が求められており、耐応力緩和特性は非常に重要である。
一方で、民生用コネクタでは小型化、狭ピッチ化が進み、打抜き断面での通電が求められる場合もある。そのような用途では良好な「プレス打抜き性」を具備することも強く求められている。
代表的な高強度銅合金として、Cu−Be系合金(例えばC17200;Cu−2%Be)、Cu−Ti系合金(例えばC19900;Cu−3.2%Ti)、Cu−Ni−Sn系合金(例えばC72700;Cu−9%Ni−6%Sn)などが挙げられる。しかし、コストと環境負荷の視点から近年Cu−Be系合金を敬遠する傾向(いわゆる脱ベリ志向)が強まっている。また、Cu−Ti系合金およびCu−Ni−Sn系合金は固溶元素が母相内に周期的な濃度変動を有する変調構造(スピノーダル構造)を有し、強度は高いものの、導電率が例えば10〜15%IACS程度と低い。
一方、Cu−Ni−Si系合金(いわゆるコルソン合金)は、強度と導電性の特性バランスに比較的優れた材料として注目されている。この種の合金系では、例えば、溶体化処理、冷間圧延、時効処理、仕上冷間圧延および低温焼鈍を基本とする工程により、比較的高い導電率(30〜50%IACS)を維持しながら700MPa以上の0.2%耐力を有する板材を得ることができる。しかし、この合金系において更なる高強度化に対応することは必ずしも容易ではない。
Cu−Ni−Si系銅合金板材の高強度化手段としてNi、Siの多量添加や時効処理後の仕上圧延(調質処理)率の増大などの一般的手法が知られている。Ni、Siの添加量増大に伴い強度は増大していく。しかし、ある程度の添加量(例えばNi:3%、Si:0.7%程度)を超えると強度の増大が飽和する傾向にあり、980MPa以上の0.2%耐力を達成することは極めて困難である。
WO2011/068134号公報 特開2009−242890号公報 特開2008−248333号公報 特開2011−252188号公報 特開2009−242932号公報 特表2011−508081号公報 特開2011―231393号公報 特開2011−84764号公報
Cu−Ni−Si系合金の改良系として、Coを添加したCu−Ni−Co−Si系合金が知られている。CoはNiと同様にSiとの化合物を形成するのでNi−Co−Si系化合物を形成するが、時効温度によってCoよりもNiを多く含有するNi−Si系化合物、NiよりもCoを多く含有するCo−Si系化合物の2種類の化合物が形成される。Ni−Si系化合物の最適な析出温度は450℃前後(一般に425〜475℃)であるが、Co−Si系化合物の最適な析出温度は520℃前後(一般に500〜550℃)と高く、両者の最適な時効温度範囲は一致しない。そのため、例えばNi−Si系化合物に合わせて450℃で時効処理を行った場合はCo−Si系化合物の析出速度が十分でなく、またCo−Si系化合物に合わせて520℃で時効処理を行った場合はNi−Si系化合物が粗大化してピーク硬さが低くなってしまう。中間的な温度、例えば480℃で時効処理しても、二種類の析出物の最適状態を同時に達成することはできない。
また、Cu−Ni−Co−Si系合金は加工率が高い領域での加工硬化能があまり高くない。例えば20%以下の低加工領域では加工に伴う強度上昇効果は大きいが、更に圧延率を高めていくと加工硬化の増加率が低下する。そのため、冷間圧延での加工硬化を利用して非常に高い強度レベルを実現することは困難であるとされている。
Cu−Ni−Co−Si系合金の強度特性を改善する手段として、Cu中への固溶限が極めて小さくSiと化合物を作るCr、Zrなどによる析出強化を活用する手法や、Sn、Znなどによる固溶強化を併用する手法が有効である。しかし、CrやZrを添加した場合は粗大な晶出物、析出物が形成されやすく、通常の製造方法では析出制御が難しい。粗大な晶出物、析出物の粒子はコネクタ等へのプレス加工の際に脱落して打抜き断面形状を悪化させるだけではなく、その脱落物が金型磨耗の原因となって金型のメンテナンスコストを著しく増大させることもある。それらの粒子は曲げ加工時にクラックの起点となりやすく、加工性の面でも問題となる。他方、SnやZnの固溶強化は高強度化に効果的であるが、固溶による導電率の低下を招くため、適用は限定的となる。
特許文献1にはCu−Ni−Co−Si系合金の集合組織を制御して加工性を向上させる技術が記載されている。高強度化に関しては特段の工夫がされておらず、例示されている多くの合金は0.2%耐力700〜930MPa程度の強度にとどまる。中には1000MPaの例も見られるが、これはNi含有量が4.9質量%と非常に高い合金である。このような多量のNi添加は粗大析出物の形成によりプレス打抜き性の低下を招く。
特許文献2には0.1〜1μmサイズの第二相粒子の個数密度を制御することでCu−Ni−Co−Si系合金のばね限界値を向上させる技術が記載されている。強度レベルは0.2%耐力が900MPa程度以下と低い。
特許文献3には熱間圧延および溶体化の条件を適正化することで粗大な第二相粒子の生成を抑制したCu−Ni−Co−Si系合金が開示されている。この場合も強度レベルは0.2%耐力が800〜900MPa程度と低い。
特許文献4には時効工程を二段階に分けて行うことでナノオーダーの析出物を制御し、強度、へたり性を向上させる技術が開示されている。しかし、920MPa以上の0.2%耐力は得られていない。
特許文献5には熱間圧延終了温度を850℃以上とし、その後85%以上の冷間加工を加えた後に時効処理、溶体化処理を行ってCu−Ni−Co−Si系合金の結晶粒のサイズを制御し、機械的特性のばらつきを抑制することが記載されている。ただし、強度の平均値が950MPaを上回るものは示されていない。強度のばらつきも30MPa以上のものがほとんどであり、高精度の部品を得るためには必ずしも十分とは言えない。この文献の技術では、ばらつきを含めた場合でも0.2%耐力が980MPa以上の強度を得るためには0.2質量%を超える多量のCrの添加が必要となっており、その場合にはプレス打抜き性の低下が懸念される。
特許文献6には添加元素の比を適正化することで強度を高めたCu−Ni−Co−Si系合金が示されている。析出物制御について十分検討されておらず、0.2%耐力が980MPa以上の強度を得るためにはCrの添加が必要となっている。また、Snを多く添加した場合にも高い強度が得られているが、その場合にはSnの固溶による導電率の低下が問題となりやすい。
特許文献7、8にはNi−Si系およびCo−Si系の二種類の化合物の析出を制御することで導電率30%IACS以上、0.2%耐力900MPa以上の特性を実現したCu−Ni−Co−Si系合金が紹介されている。しかし、980MPa以上の0.2%耐力は得られていない。
本発明は、従来と同等のコストで製造可能なCu−Ni−Co−Si系銅合金板材であって、特に0.2%耐力が980MPa以上、あるいは1000MPa以上という非常に高い強度を有し、かつ導電率30%IACS以上、より好ましくは34%以上を有し、耐応力緩和特性およびプレス加工性も良好である銅合金板材を提供しようというものである。
上記目的は、質量%で、NiとCoの合計:2.50〜4.00%、Co:0.50〜2.00%、Si:0.70〜1.50%、Fe:0〜0.50%、Mg:0〜0.10%、Sn:0〜0.50%、Zn:0〜0.15%、B:0〜0.07%、P:0〜0.10%、REM(希土類元素):0〜0.10%であり、Cr、Zr、Hf、Nb、Sの合計含有量が0〜0.01%であり、残部Cuおよび不可避的不純物からなる化学組成を有し、母相中に存在する第二相粒子のうち、粒径5μm以上の「粗大第二相粒子」の個数密度が10個/mm2以下、粒径5〜10nmの「微細第二相粒子」の個数密度が1.0×109個/mm2個以上であり、母相中のSi濃度が0.10質量%以上である銅合金板材によって達成される。この銅合金板材は、圧延方向の0.2%耐力が980MPa以上あるいは1000MPa以上と非常に高く、導電率は30%IACS以上である。
ここで、REM(希土類元素)はランタノイド系の各元素、YおよびScである。母相(マトリクス)中のSi濃度は以下のようにして求まる値を採用する。TEM(透過型電子顕微鏡)に付属のEDS(エネルギー分散型X線分光分析)装置にて加速電圧200kVで試料のCu母相の部分に電子ビームを照射し、EDS分析結果として得られたCu濃度(質量%)が100−(Cu以外の合金元素の実際の合計質量%)を下回る場合、すなわちEDS分析結果として得られた「Cu以外の合金元素」の総量が湿式分析により定まるそれらの元素の実際の含有量総和を上回る場合は、当該EDS分析値は第二相粒子の影響を過剰に受けていると判断して採用せず、それ以外の場合における10箇所以上のEDS分析値におけるSiの分析値(質量%)の平均値を、当該試料の母相中のSi濃度(質量%)とする。
上記銅合金板材の製造方法として、上記の化学組成を有する銅合金の鋳片に対して、1000〜1060℃で2時間以上の加熱保持を行った後に熱間圧延を施す工程、
前記熱間圧延後の板材に冷間圧延を施す工程、
前記冷間圧延後の板材に900〜1020℃での固溶化熱処理を施す工程、
前記固溶化熱処理後の板材に、材料温度が600〜800℃の範囲にある時間を5〜300秒確保した後600℃から300℃までの平均冷却速度が50℃/秒以上となるように急冷する熱履歴を付与する工程、
前記熱履歴を付与した板材に対して、300〜400℃での時効処理を施すことにより、粒径5〜10nmの「微細第二相粒子」の個数密度が1.0×109個/mm2個以上でありかつ母相中のSi濃度が0.10質量%以上である金属組織とする工程、
を有する製造方法が提供される。
前記時効処理後に、圧延率20〜80%の仕上冷間圧延を施すことができ、さらにその冷間圧延の後に300〜600℃の範囲で低温焼鈍を施すことができる。
前記銅合金板材は、プレス打ち抜きを経てコネクタ、リードフレーム、リレー、スイッチのいずれかの通電部品を作製するために極めて有用である。
本発明によれば、Cu−Ni−Co−Si系合金において0.2%耐力が980MPa以上、あるいはさらに1000MPa以上という非常に高い強度を有する銅合金板材が実現できる。この銅合金板材は導電率30%IACS以上、あるいはさらに34%以上という高い導電性を有し、かつ耐応力緩和特性およびプレス加工性も良好である。しかも、従来一般的なCu−Ni−Co−Si系合金板材と同程度の製造コストで上記のような高強度が得られる。
打抜き後の断面形状を模式的に示した図。
発明者らは、研究の結果、以下のような知見を得た。
(a)Cu−Ni−Co−Si系銅合金板材において、粒径5〜10nmの「微細第二相粒子」の個数密度を1.0×109個/mm2個以上としたとき、析出強化による顕著な強度上昇が発現する。
(b)Cu−Ni−Co−Si系銅合金板材において、母相中のSi濃度を0.10質量%以上確保したとき、高加工域での加工硬化能が顕著に改善され、冷間圧延での加工硬化を利用した高強度化に極めて有利となる。
(c)上記「微細第二相粒子」の個数密度を十分に確保するためには、固溶化熱処理後に材料温度が600〜800℃の範囲にある時間を5〜300秒確保した後600℃から300℃までの平均冷却速度が50℃/秒以上となるように急冷する熱履歴を付与するとともに、300〜400℃という低温での時効処理を施すことが極めて有効である。また、その低温時効によって母相中のSi濃度を0.10質量%以上とすることができる。
(d)鋳片に対して、1000〜1060℃で2時間以上の加熱保持を行った後に熱間圧延を施したうえで、固溶化熱処理を施すことにより、時効処理前に粒径5μm以上の「粗大第二相粒子」の個数密度を10個/mm2以下に抑制することが可能である。これにより「微細第二相粒子」の個数密度を十分に確保することができるとともに、プレス打抜き性も改善される。
本発明はこのような知見に基づいて完成したものである。
〔第二相粒子〕
Cu−Ni−Co−Si系合金は、fcc結晶からなる母相(マトリクス)の中に第二相粒子が存在する金属組織を呈する。ここでいう第二相は鋳造工程の凝固時に生成する晶出相およびその後の工程で生成する析出相であり、当該合金の場合、主としてCo−Si系金属間化合物相とNi−Si系金属間化合物相で構成される。本明細書ではCu−Ni−Co−Si系合金に観測される第二相粒子として以下の粒径範囲に属する2種類のものを規定する。
(i)粗大第二相粒子: 粒径5μmを超えるものであり、主として鋳造工程の凝固時に生成した第二相が後工程で固溶化しきれずに残留した粒子からなる。強度向上には寄与しない。製品に残存するとプレス打抜き時の「えぐれ」により脱落して断面形状を悪化させるとともに、脱落した粒子は金型磨耗の原因となる。また、曲げ加工時の割れの起点となりやすい。種々検討の結果、このような粗大第二相粒子の存在量が10個/mm2以下の個数密度に抑えられていれば小型化が進むコネクタ等の電子・電気部品の大量生産に対応できる。5個/mm2以下であることがより好ましい。粗大第二相粒子のの個数密度の測定は、測定対象である板材の圧延面を電解研磨してCu素地のみを溶解させ、その表面に露出した第二相粒子の数をSEM(走査型電子顕微鏡)により観察することによって行うことができる。粒子径は粒子を取り囲む最小円の直径とする。
(ii)微細第二相粒子: 粒径5nm以上10nm以下であり、時効処理で生成する。強度向上への寄与が極めて大きい。銅合金においては一般に粒径10nm以下の微細析出物は強度向上への寄与が大きいことが知られており、Cu−Ni−Co−Si系合金では例えば2〜10nm程度の析出物の存在密度を十分に確保することで高強度化が可能であるとされる。しかしながら、0.2%耐力が980MPa以上という非常に高レベルの強度を得るためには、2〜10nm程度の粒子のなかでも特に硬化への寄与が大きい粒径5〜10nmの粒子の量を十分に確保する必要があることがわかった。そのため本発明では5〜10nmという狭い粒径範囲にある微細第二相粒子の量を規定している。発明者らの詳細な検討によれば、当該微細第二相粒子の存在量は1.0×109個/mm2個以上とすることが極めて有効である。2.0×109個/mm2個以上とすることがより効果的であり、2.5×109個/mm2個以上に管理してもよい。存在量の上限についてはNi含有量、Co含有量、Si含有量および後述の母相中Si濃度の規定によって制限を受けるので特に定める必要はないが、通常、5.0×109個/mm2個以下の範囲となる。微細第二相粒子の個数密度の測定は、測定対象である板材から採取した試料をTEM(透過型電子顕微鏡)で観察し、粒径5〜10nmの第二相粒子の個数をカウントすることにより行う。粒子径は粒子を取り囲む最小円の直径とする。
〔化学組成〕
本発明で対象とするCu−Ni−Co−Si系合金の成分元素について説明する。以下、合金元素についての「%」は特に断らない限り「質量%」を意味する。
NiおよびCoは、それぞれNi−Si系析出物およびCo−Si系析出物を形成して銅合金板材の強度と導電性を向上させる元素である。これら二種類の析出物の共存による相乗効果によって強度が一層向上する。NiとCoの合計量は2.50%以上とする必要がある。これより少ないと十分な析出硬化能が得られない。3.00%以上とすることがより効果的である。ただしNiやCoの含有量増大はSi化合物としての晶出・析出開始温度を高め、鋳造時などに粗大な第二相の形成を助長する要因となる。過剰に生成した第二相は後述する鋳片の加熱保持によっても十分に溶解させることが難しい。粗大第二相粒子の量を上記所定の個数密度にコントロールするためには、NiとCoの合計量を4.00%以下に制限することが有効である。
本発明では、特にCo−Si系析出物の微細分散を活用して高強度化を図る。CoはNiに比べてCu中への固溶限が小さいため、同量のNiを添加した場合より析出物の形成量を増大させることができる。種々検討の結果、Coは0.50%以上の含有量を確保することが重要であり、0.70%以上とすることがより好ましい。ただし、CoはNiより高融点の金属であることから、Co含有量が高すぎると後述の固溶化熱処理での固溶が不十分となり、未固溶のCoは強度向上に有効なCo−Si系析出物の形成に使われず無駄となる。また、多量にCoを添加するとNi含有量の許容範囲が狭くなり、Ni−Si系析出物による硬化作用を十分に享受できないおそれがある。さらに、Co含有量が増大すると凝固時における粗大な第二相の生成を助長し、プレス打抜き性や曲げ加工性に悪影響を及ぼすことがある。これらのことからCo含有量は2.00%以下とするのが好ましく、1.80%以下とすることが更に好ましい。なお、Ni含有量に関しては上述のNiとCoの合計量によって制限を受けるので特に規定する必要はないが、通常、1.00〜3.00%の範囲で設定すればよい。
Siは、Ni−Si系析出物およびCo−Si系析出物の形成に必要な元素である。Ni−Si系析出物はNi2Siを主体とする化合物であると考えられ、Co−Si系析出物はCo2Siを主体とする化合物であると考えられる。また、非常に高い強度を意図する本発明において、Siは母相の加工硬化能を向上させるという重要な機能を担う。Cu母相中に固溶したSiは積層欠陥エネルギーを低下させ、交差すべりの発生を抑制することで、加工硬化能を高める作用を発揮するものと考えられる。固溶Siは耐応力緩和特性の改善にも有効である。これらのSiの作用を十分に発揮させるためには0.70%以上のSi含有量を確保することが望まれ、0.80%以上とすることがさらに好ましい。一方で、過剰のSi添加は強度への寄与が小さいだけでなく、溶体化温度の上昇による製造コストの増大、粗大析出物の形成によるプレス打抜き性の低下などの弊害を招く。Si含有量は1.50%以下とすることが望まれ、1.20%以下に管理してもよい。
その他の有意義な元素として、Fe、Mg、Sn、Zn、B、Pの1種以上を必要に応じて含有させてもよい。FeはFe−Si系化合物の形成による強度向上作用を有し、Mgは耐応力緩和特性の向上に有効であり、Snは固溶強化による強度向上作用を有し、Znは銅合金板材のはんだ付け性、鋳造性を改善する作用を有し、Bは鋳造組織の微細化作用を有し、Pは脱酸作用により熱間加工性を向上させる効果を呈する。また、Ce、La、Dy、Nd、YをはじめとするREM(希土類元素)は結晶粒の微細化や析出物の分散化に有効である。これらの作用を十分に発揮させるためには、それぞれ0.01%以上(REMは合計0.01%以上)の含有量を確保することがより効果的である。ただし、これらの元素の含有量が過剰になると導電率の低下、熱間加工性または冷間加工性の低下を招くことがある。これらの元素を含有させる場合、Feは0.50%以下、Mgは0.10%以下、Snは0.50%以下、Znは0.15%以下、Bは0.07%以下、Pは0.10%以下、REMは0.10%以下の含有量とすることが望ましい。またこれらの元素の含有量の合計は0.50%以下、さらには0.40%以下とすることがより好ましい。
Cr、Zr、Hf、Nb、Sの各元素については、できるだけ含有量を低減することが望ましい。これらの元素は種々の銅合金において合金元素として添加される場合がある。意図的に添加しない場合でも原料から混入し、通常の銅合金ではある程度の含有が許容される。しかし、本発明では良好なプレス加工性を付与する必要性および固溶Si量を確保する必要性から、これらの元素の含有量を厳しく制限する。すなわち、Cu−Ni−Co−Si系合金においてCr、Zr、Hf、Nb、Sが存在すると、Si系化合物の形成や液相二相分離の発生により、粗大な晶出物、析出物の形成を抑制することが困難となりやすく、プレス打抜き性に悪影響を及ぼすことがある。また、母相中のSi濃度を十分に確保することが困難となりやすく、その場合にはSiによる加工硬化能の改善効果が発揮されない。種々検討の結果、Cr、Zr、Hf、Nb、Sの合計含有量は0.01%以下に管理することが望まれ、0.005%以下とすることがより好ましい。
〔母相中のSi濃度〕
従来のCu−Ni−Co−Si系合金においては、導電性を向上させ、かつ強度を高めるために析出状態がピークとなるような組織とすることが常識であった。すなわち母相中のSi量をできるだけ低減させるような組織制御、析出物制御が行われてきた。ところが、発明者らの研究によると、Cu−Ni−Co−Si系合金の母相中にある程度の固溶Siを存在させることによって特に加工率20%を超える加工領域での加工硬化能を顕著に向上させることができるのである。母相中に固溶したSiにより積層欠陥エネルギーが低下して加工の初期に積層欠陥が多量に生成し、それによって交差すべりが起こりにくい組織状態が形成されて、さらなる加工に対する抵抗力が増大するものと考えられる。このようなSiの作用によりCu−Ni−Co−Si系合金の弱点であった加工硬化能が大きく改善され、従来にない強度特性が実現できた。また、固溶Siは耐応力緩和特性を改善する効果もある。固溶Siは導電性向上にはマイナス要因であるが、前記の第二相粒子の制御と組み合わせることで、導電率を大きく損なうことなく非常に高い強度レベルが達成できる。
母相中のSi濃度は、具体的には、0.10質量%以上とすることが必要であり、0.15質量%以上とすることがより好ましく、0.20質量%以上とすることが一層効果的である。ただし、母相中のSi量が増大していくとそれに伴って導電率が低下する一方で、加工硬化能への寄与は小さくなる。母相中Si濃度の上限は所望の導電率、強度特性のバランスに応じて調整すればよい。前述した微細第二相粒子の量を確保する必要から、母相中のSi濃度は制限を受けるので、特にその上限を規定する必要はないが、例えば30%IACS以上の導電率を確保するためには、母相中のSi濃度は0.60質量%以下の範囲とすることが好ましい。0.50質量%以下あるいはさらに0.40質量%以下の範囲に管理してもよい。
〔平均結晶粒径〕
平均結晶粒径が小さいほど結晶粒界強化により強度向上に有利となるが、小さすぎると耐応力緩和特性の低下を招く。具体的には例えば、最終的な板材において平均結晶粒径が5μm以上であればコネクター用途でも満足できるレベルの耐応力緩和特性を確保しやすい。8μm以上であることがより好ましい。一方、平均結晶粒径が大きくなりすぎると結晶粒界強化の寄与が小さくなるので、30μm以下の範囲であることが好ましく、20μm以下であることがより好ましい。最終的な平均結晶粒径は、時効処理前の段階における結晶粒径によってほぼ決まってくる。したがって、平均結晶粒径のコントロールは後述の固溶化熱処理によって行うことができる。後述の固溶化熱処理条件に従えば5〜30μmの範囲となるので、特に平均結晶粒径は規定しなくてもよい。平均結晶粒径が小さすぎるような場合は溶体化処理後に溶質元素が十分固溶されてないことを意味するので、そのときには微細第二相粒子に関する上述の規定を満たさないのが通常である。なお、平均結晶粒径の測定は、圧延面を研磨した断面について金属組織観察を行い、JIS H0501の切断法により行う。その際、双晶境界は結晶粒界とみなさない。
〔特性〕
コネクタなどの電気・電子部品に適用する素材には、部品の端子部分(挿入部分)において、挿入時の応力負荷による座屈、変形が生じない強度が必要である。特に部品の小型化および薄肉化に対応するには強度レベルに対する要求が一層厳しくなる。本発明に従う銅合金板材は0.2%耐力が980MPa以上という非常に高い強度を呈し、1000MPa以上の高強度に調整することもできる。このような高強度銅合金板材は電気・電子部品の将来的な更なる小型化・薄肉化のニーズに対して極めて有利である。
また、コネクタなどの通電部品は、電気・電子機器の高集積化、密装化および大電流化に対応するために従来にも増して高導電率であることの要求が高まっている。具体的には導電率が30%IACS以上であることが望まれ、34%IACS以上であることがより好ましい。
〔製造方法〕
上述の銅合金板材は、「熱処理1→熱間圧延→冷間圧延→熱処理2→時効処理」のプロセスを経て製造することができる。ここで、熱処理1は鋳片を高温で加熱保持する工程である。熱処理2は固溶化熱処理と、時効時にCo−Si系化合物の析出を促すための前処理的な熱処理とを含む特殊な熱履歴を付与する工程である。時効処理は低温域で行う点に特徴を有する。時効処理後に「仕上冷間圧延」を行うことができる。また、その後には「低温焼鈍」を施すことができる。一連のプロセスとして、「溶解・鋳造→熱間圧延→熱処理1→冷間圧延→熱処理2→時効処理→仕上冷間圧延→低温焼鈍」のプロセスを例示することができる。以下、各工程における製造条件を例示する。
〔溶解・鋳造〕
一般的な銅合金の溶製方法と同様の方法により、銅合金の原料を溶解した後、連続鋳造や半連続鋳造などにより鋳片を製造することができる。CoとSiの酸化を防止するために、木炭やカーボン等で溶湯を被覆するか、チャンバー内において不活性ガス雰囲気下または真空下で溶解を行うことが望ましい。
〔鋳片の加熱保持〕
鋳造後には、鋳片を1000〜1060℃で加熱保持する。これにより鋳造時に生じた粗大な晶出相、析出相を均質化する。1020〜1060℃の保持温度とすることがより好ましい。保持時間は凝固組織の状況(鋳造方法)に応じて2〜6時間の範囲で設定すればよい。設定温度が1060℃を超えると操業時の条件変動などにより材料が溶融する危険があるので好ましくない。この熱処理は次工程の熱間圧延における加熱工程を利用してもよい。
〔熱間圧延〕
上記の加熱保持を終えた鋳片に対して熱間圧延を施す。熱延条件は常法に従えばよい。例えば、鋳片を1000〜1060℃に加熱した後、圧延率85〜97%の熱間圧延を行い、その後、水冷する条件を例示することができる。最終パスの圧延温度は700℃以上とすることが好ましい。
なお、圧延率は下記(1)式により表される。
圧延率R(%)=(h0−h1)/h0×100 …(1)
ここで、h0は圧延前の板厚(mm)、h1は圧延後の板厚(mm)である。
〔冷間圧延〕
熱間圧延後には適宜冷間圧延を行い、板厚を減じる。目的の板厚に応じて中間焼鈍を挟んだ複数回の冷間圧延を施してもよい。中間焼鈍を加える場合は第二相粒子の粗大化を防止する観点から350〜600℃で行うことが望ましく、550℃以下で行うことがより好ましい。焼鈍時間は例えば5〜20時間の範囲で設定することができる。
〔固溶化熱処理〕
一般に時効処理前には溶体化処理を施す。溶体化処理の主たる目的は再結晶化および溶質原子の再固溶化である。通常の溶体化処理では、析出物が再固溶する高温に保持した後、冷却過程で不用意に析出が生じないように常温まで急冷する。その急冷過程を含めて溶体化処理と呼ぶことが多い。
一方、本発明に従う場合においても、時効硬化を利用する以上、溶体化の工程が必要である。昇温過程および高温保持過程については通常の溶体化処理と同様の条件を採用することができる。ただし、その冷却過程で後述の特殊な熱履歴を付与することができるので、本明細書では通常の溶体化処理における昇温過程および高温での保持過程に相当する部分を「固溶化熱処理」と称している。具体的には上記の冷間圧延を終えた板材を900〜1020℃、より好ましくは950〜1020℃に加熱保持する。保持温度が低すぎると再結晶化や溶質原子の再固溶化が十分に進行しないか、あるいは長時間の保持を要するので好ましくない。保持温度が高すぎると結晶粒の粗大化を招きやすい。より具体的には、この加熱保持によって平均結晶粒径が5〜30μm、より好ましくは8〜20μmとなるように加熱温度に応じて保持時間を設定すればよい。通常、保持時間は0.5〜10分の範囲内に最適条件を見出すことができる。この加熱保持によって粗大な晶出相を完全に固溶化することはできないが、通常の溶体化処理と同様に、時効処理で十分な析出を生じさせることが可能なように母相中に溶質原子を固溶させる。
固溶化熱処理の冷却過程を利用して後述の前駆処理を施すことができるが、そのためには連続熱処理設備が必要となる。連続熱処理は大量生産に適するが、実施できない場合は、固溶化熱処理の後、常温まで急冷してもよい(通常の溶体化処理に相当)。
〔固溶化熱処理後の前駆処理〕
Cu−Ni−Co−Si系合金ではNi−Si系およびCo−Si系の2種類の析出物がそれぞれ高強度化に寄与しうる。しかし、両者は最適な析出温度と時間が一致しない(ずれている)。最適な析出温度はNi−Si系では450℃前後、Co−Si系では520℃前後である。そのため、通常、これら2種類の析出物による時効硬化を同時に最大限利用することは難しい。ところが発明者らの研究によれば、上記の固溶化熱処理を終えた状態の材料を600〜800℃の温度域で5〜300秒保持すると、後述の低温時効処理でCo−Si系化合物が析出しやすい組織状態が得られることがわかった。この600〜800℃の温度域はNi−Si系化合物はほとんど析出せず、またCo−Si系化合物にとっては析出は生じるが最適な析出温度を超えて高い温度域である。この温度域でCo−Si系化合物の析出に都合の良い組織状態が得られるメカニズムについては現時点で必ずしも明確ではないが、おそらく溶質原子が十分に固溶した母相を当該温度域に短時間曝すと、Co、Siを主とするエンブリオが形成され、これが後述の低温時効処理でCo−Si系化合物の析出の駆動力となるのではないかと推察される。このエンブリオの生成はCo−Si系化合物析出の前駆現象と考えることができる。そのため本明細書では当該600〜800℃での保持を「前駆処理」と呼ぶ。
前駆処理は上述の固溶化熱処理を終えて溶質原子が十分に固溶した組織状態にある板材に対して、材料温度が600〜800℃の範囲にある時間を5〜300秒確保した後600℃から300℃までの平均冷却速度が50℃/秒以上となるように急冷する熱履歴を付与することによって行う。600〜300℃の滞在時間が長くなるとCo−Si系あるいはNi−Si系化合物が生成してしまい、上述したCo−Si系化合物の析出の駆動力が時効処理において十分に発揮されない。800℃より高温側では上述したエンブリオの形成が不十分となる。また600〜800℃の滞在時間が短すぎるとエンブリオの形成が不十分となり、長すぎるとCo−Si系化合物が析出して粗大化することがあり、強度向上が不十分となる。特に効果的な条件として650〜750℃の範囲にある時間を20〜300秒確保する条件を挙げることができる。
この前駆処理は前述のように連続熱処理設備により固溶化熱処理の冷却過程を利用して実施することが効率的である。その場合、固溶化熱処理の保持温度から800℃までの平均冷却速度が50℃/秒以上となるように冷却したのち前駆処理を施すことが望ましい。また通常の溶体化処理(固溶化処理)を施した材料を再加熱することによって前駆処理に供してもよい。その場合は溶体化処理後の冷却過程において600〜300℃の冷却速度を50℃/秒以上とし、かつ再加熱時の昇温過程において300〜600℃の昇温速度を50℃/秒以上とすることにより、できるだけNi−Si系化合物が昇温過程で生成しないようにすることが望ましい。
〔時効処理〕
上記の固溶化熱処理および前駆処理の熱履歴を付与した状態の板材に対して、時効処理を施す。一般にCu−Ni−Co−Si系合金の時効処理は520℃前後で行われるが、本発明に従う時効処理は300〜400℃という従来では設定し得ない低温域で行うことに特徴がある。前工程の前駆処理でCo−Si系化合物粒子の核生成に関する自由エネルギーが大幅に低減してCo−Si系化合物が極めて析出しやすい組織状態となっているので、このような低温での時効が可能になるものと考えられる。この低温時効処理によれば、強度向上に最も効く粒径5〜10nmの微細第二相粒子が多量に形成されることがわかった。その原因として、(i)低温での時効処理は通常より固溶限が狭まった温度域での熱処理となることから平衡論的に第二相粒子の生成可能量が増大しているので、十分に時効時間を確保すれば析出量を増大させることができること、(ii)本来析出温度が高いCo−Si系の第二相粒子に対しては300〜400℃の低温域では析出物成長の自由エネルギーが小さいため、粒子の成長が進行しにくく、粒径10nm以下のままで留まる「微細第二相粒子」が多く存在するようになること、が考えられる。この低温時効処理によってNi−Si系化合物の析出も生じることが確認された。したがって、従来は難しかった2種類の析出物による析出硬化現象が享受できる。
時効処理条件を設定するに際しては、時効処理後に粒径5〜10nmの「微細第二相粒子」の個数密度が1.0×109個/mm2個以上となり、かつ母相中のSi濃度が0.10以上となる条件を採用する。時効処理温度が300〜400℃と低いので通常の時効処理よりも原子の拡散速度が遅い。そのため母相中に適量の固溶Siを残存させるための時効時間の許容範囲が拡大し、母相中Si濃度のコントロールが可能となるのである。最適な時効時間は3〜10時間の範囲に見出すことができる。
最適な時効条件を決定する指標として、下記(2)式を挙げることができる。
0.60≦ECage/ECmax≦0.80 …(2)
ここで、ECmaxは400〜600℃の温度範囲において50℃間隔で10時間熱処理を行った場合に得られる最大の導電率、ECageは時効処理後の導電率である。ECage/ECmaxを0.60以上とすることにより析出量が十分に確保され、強度、導電率の改善に有利となる。また、ECage/ECmaxを0.80以下とすることにより母相中のSi濃度が十分に確保され、加工硬化能の改善に有利となる。
〔仕上冷間圧延〕
時効処理を終えた板材に対して圧延率20〜80%の仕上冷間圧延を施すことが顕著な高強度化を図るうえで極めて有利である。前工程の時効処理で母相中Si濃度が所定量確保されていることに起因する加工硬化が発揮され、超高強度化が実現できる。圧延率が20%以上になると母相中に存在させた固溶Siによる加工硬化能の向上効果が顕在化するようになる。25%以上の圧延率とすることがより効果的であり、30%以上とすることが一層効果的である。ただし、圧延率が高くなると強度の上昇が飽和する一方で、耐応力緩和特性の低下や曲げ加工性の低下を招くため、用途に応じて仕上圧延率を適正に設定する必要がある。耐応力緩和特性や曲げ加工性が重視される部品に使用される場合は、80%以下とする必要があり、60%以下とすることがさらに好ましい。
〔低温焼鈍〕
仕上冷間圧延の後には、低温焼鈍硬化による強度の向上、銅合金板材の残留応力の低減、ばね限界値と耐応力緩和特性の向上を目的として、低温焼鈍を施すことが望ましい。加熱温度は300〜600℃の範囲で設定する。これにより板材内部の残留応力が低減され、導電率を向上させる効果もある。この加熱温度が高すぎると短時間で軟化し、バッチ式でも連続式でも特性のバラツキが生じやすくなる。一方、加熱温度が低すぎると上述した特性を改善する効果が十分に得られない。加熱時間(材料温度が300〜600℃にある時間)は5秒以上とするのが好ましく、通常1時間以内で良好な結果が得られる。上述の時効処理で生成した「微細第二相粒子」の粗大化を防止するため、400℃を超える温度にて低温焼鈍を実施する場合は2時間以下で行うことが望ましい。
表1に示す化学組成の銅合金を高周波溶解炉を用いて溶解し、厚さ60mmの鋳片を得た。鋳片を熱間圧延工程の加熱炉で加熱保持した後、熱間圧延に供した。その加熱保持は一部の例を除き1030℃×3時間とした。熱間圧延は最終パス温度700〜800℃で厚さ10mmまで圧延した後10℃/秒以上の冷却速度で水冷する方法にて行った。熱延板表面の酸化スケールを面削により除去した。その後、「圧延率82%の冷間圧延→500℃×10時間の中間焼鈍→酸洗→冷間圧延」の工程により冷延材を作製した。中間焼鈍後の冷間圧延での圧延率は、仕上冷間圧延後の最終板厚(後述供試材の板厚)が0.15mmに揃うように調整した。
上記冷延材に対して、表2に示す温度、時間で加熱保持する固溶化熱処理を施した後、ソルトバスに浸漬して表2に示す固溶化後の保持温度、時間で保持し、その後水冷する熱履歴を付与した。固溶化熱処理は、一部の例を除き平均結晶粒径が5〜30μmとなるように条件をコントロールした。平均結晶粒径は圧延面を研磨した断面についてJIS H0501の切断法により定まる値を採用する。固溶化熱処理後の所定温度での保持および水冷は前述の「前駆処理」に相当するものである。上記のソルトバス浸漬による固溶化熱処理の保持温度から800℃までの平均冷却速度は15℃/秒以上となる。また、上記の水冷による600〜300℃の平均冷却速度は50℃/秒以上となる。
上記の熱履歴を付与した板材に対して時効処理を施した。一部の例を除き合金組成に応じて前記(2)式を満たすように温度、時間を設定した。時効処理の後、表2に示す圧延率で仕上冷間圧延を行って板厚0.15mmとし、その後400℃×1分の低温焼鈍を施して銅合金板材(供試材)を得た。表2中に製造条件を示す。
Figure 2014156623
Figure 2014156623
供試材から直径3mmの円板を打ち抜き、ツインジェット研磨法でTEM観察試料を作製し、TEMにて加速電圧200kVで倍率10万倍の無作為に選択した10視野について写真を撮影し、その写真上で粒径5〜10nmの微細第二相粒子の数をカウントし、その合計数を観察領域の総面積で除することにより微細第二相粒子の個数密度(個/mm2)を求めた。粒子の粒径は当該粒子を取り囲む最小円の直径とした。
上記TEM観察の際にTEMに付属のEDS(エネルギー分散型分光分析)装置を用いてCu母相の部分に加速電圧200kVの電子ビームを照射し、定量分析を行った。EDS分析結果として得られたCu濃度(質量%)が100−(Cu以外の合金元素の実際の合計質量%)を下回る場合は、前述のように、当該EDS分析値は第二相粒子の影響を受けていると判断して採用せず、それ以外の場合における10箇所のEDS分析値を採用してEDS分析値におけるSiの分析値(質量%)の平均値を算出し、その値を当該試料の母相中のSi濃度(質量%)とした。
供試材から採取した試料の圧延面を電解研磨してCu母相(マトリクス)のみを溶解させることにより表面に第二相粒子が露出した観察試料を作製し、SEMにて倍率3000倍の無作為に選択した20視野について写真を撮影し、その写真上で粒径5μm以上の粗大第二相粒子の数をカウントし、その合計数を観察領域の総面積で除することにより粗大第二相粒子の個数密度(個/mm2)を求めた。粒子の粒径は当該粒子を取り囲む最小円の直径とした。
供試材から採取した試料の圧延面を研磨した後エッチングした試料について光学顕微鏡観察を行い、JIS H0501の切断法で平均結晶粒径を求めた。双晶境界は結晶粒界とみなさない。
供試材の導電率をJIS H0505に従って求めた。
供試材から圧延方向(LD)の引張試験片(JIS Z2241の5号試験片)を作製し、各供試材について試験数n=3にてJIS Z2241に従う引張試験を行って0.2%耐力を測定し、その平均値を当該供試材の0.2%耐力とした。
プレス打抜き性を以下の手法で評価した。供試材から採取した試験片について、パンチ径10.00mm、ダイの抜き穴径10.02mmの丸形パンチを用い、約7%のクリアランスでプレス打抜き試験を行った。プレス条件としてプレス速度1mm/min、潤滑材無しとして、各試料について10回行った。直径10mmの穴が抜かれて残った材料について、打抜き面に垂直かつ板厚方向に平行な断面を光学顕微鏡で観察することにより「えぐれ深さ」を測定した。その観察試験片は、圧延方向に平行な断面を4箇所、および圧延方向に垂直な断面を4箇所それぞれ任意に選んで、計8箇所について測定した。図1に試験片の断面形状を模式的に示す。Tは板厚、aはえぐれ深さである。えぐれ深さは8個の観察試料のうち、a/T比が7%を超える材料が1つもない材料を○(良好)、1つ以上ある材料を×(不良)と判定した。
耐応力緩和特性を以下の手法で評価した。供試材から長手方向がTD(圧延方向および板厚方向に対して垂直な方向)の曲げ試験片(幅10mm)を採取し、この試験片を長手方向中央部の表面応力が0.2%耐力の80%になるようにアーチ曲げした状態で固定した。なお、試験片の弾性係数をE(MPa)、厚さをt(mm)、たわみ高さをδ(mm)とすると、表面応力(MPa)は、表面応力=6Etδ/L0 2により定まる。このようにアーチ曲げした状態の試験片を大気中150℃の温度で1000時間保持した後、その試験片の曲げ癖から応力緩和率を算出した。この応力緩和率が5.0%以下であるものは自動車部品等の高温環境での使用を前提とした用途において良好な耐応力緩和特性を有すると判断される。なお、応力緩和率は、アーチ曲げした状態で固定された試験片の端部間の水平距離をL0(mm)、アーチ曲げ前の試験片の長さをL1(mm)、アーチ曲げして加熱した後の試験片の端部間の水平距離をL2(mm)とすると、応力緩和率(%)={(L1−L2)/(L1−L0)}×100から算出される。
これらの結果を表3に示す。
Figure 2014156623
本発明例のものは、微細第二相粒子による析出硬化と、母相中に残存させたSiによる加工硬化能の向上によって、0.2%耐力が980MPa以上あるいは更に1000MPa以上という非常に高い強度レベルが得られた。これらはいずれも導電性、プレス打抜き性、耐応力緩和特性についても良好であった。
これに対し、No.31は鋳片加熱保持温度が低かったので粗大第二相粒子の残存量が多く、プレス打抜き性に劣った。また、微細第二相粒子の生成量を十分に確保することができず、強度も低かった。
No.32は固溶化後に600〜800℃で保持する熱履歴を受けていないので微細第二相粒子の析出が不十分となり、強度および導電性に劣った。
No.33はZr、S含有量が多いので鋳造時に粗大な晶出物が多く発生し、それを時効処理前の工程で十分に固溶化することができず、粗大第二相粒子の残存量が多くなるとともに微細第二相粒子の生成量も不十分となった。そのためプレス打抜き性に劣り、強度も低かった。
No.34は時効処理温度が高いので微細第二相粒子の量が少なくなり、強度が低かった。また母相中Si濃度も低くなったので微細第二相粒子の量が同等である比較例No.32と比べても強度および耐応力緩和特性に劣った。
No.35は鋳片加熱保持の時間が短かったので粗大第二相粒子の多い組織となり、プレス成形性に劣った。また微細第二相粒子の析出も不十分となり強度も低かった。
No.36は鋳片加熱保持温度が高かったので熱間圧延で割れが生じ、その後の工程に進めなかった。
No.37は固溶化熱処理温度が低かったので時効処理で微細第二相粒子が十分に析出しなかった。そのため強度が低く、耐応力緩和特性にも劣った。
No.38はNiとCoの合計含有量が多いので時効処理前の工程で粗大な第二相粒子を十分に固溶化させることができず、高強度化およびプレス加工性改善が不十分となった。
No.39はCr、Nb、Hfの含有量が多いので鋳造時に粗大な晶出物が多量に生成し、時効処理で微細第二相粒子を十分に析出させることができず、また母相中Si濃度も低くなった。そのため、微細第二相粒子の個数密度が同等である比較例33、35、38と比べても強度、耐応力緩和特性に劣った。
No.40はSi含有量が少ないので微細第二相粒子の生成が不十分となり、強度が低かった。
No.41はSnの含有量が多いので導電率が低かった。
No.42はCo、Siの含有量が多いので粗大第二相粒子が多くなり、微細第二相粒子の量を十分に確保できなかった。そのため強度およびプレス打抜き性に劣った。
No.43は微細第二相粒子の析出量は適正であるものの、母相中Si濃度が低いので加工硬化による強度上昇が不十分となって強度レベルが低かった。

Claims (6)

  1. 質量%で、NiとCoの合計:2.50〜4.00%、Co:0.50〜2.00%、Si:0.70〜1.50%、Fe:0〜0.50%、Mg:0〜0.10%、Sn:0〜0.50%、Zn:0〜0.15%、B:0〜0.07%、P:0〜0.10%、REM(希土類元素):0〜0.10%であり、Cr、Zr、Hf、Nb、Sの合計含有量が0〜0.01%であり、残部Cuおよび不可避的不純物からなる化学組成を有し、母相中に存在する第二相粒子のうち、粒径5μm以上の「粗大第二相粒子」の個数密度が10個/mm2以下、粒径5〜10nmの「微細第二相粒子」の個数密度が1.0×109個/mm2個以上であり、母相中のSi濃度が0.10質量%以上である銅合金板材。
  2. 圧延方向の0.2%耐力が980MPa以上、導電率が30%IACS以上である請求項1に記載の銅合金板材。
  3. 質量%で、NiとCoの合計:2.50〜4.00%、Co:0.50〜2.00%、Si:0.70〜1.50%、Fe:0〜0.50%、Mg:0〜0.10%、Sn:0〜0.50%、Zn:0〜0.15%、B:0〜0.07%、P:0〜0.10%、REM(希土類元素):0〜0.10%であり、Cr、Zr、Hf、Nb、Sの合計含有量が0〜0.01%であり、残部Cuおよび不可避的不純物からなる化学組成を有する銅合金の鋳片に対して、1000〜1060℃で2時間以上の加熱保持を行った後に熱間圧延を施す工程、
    前記熱間圧延後の板材に冷間圧延を施す工程、
    前記冷間圧延後の板材に900〜1020℃での固溶化熱処理を施す工程、
    前記固溶化熱処理後の板材に、材料温度が600〜800℃の範囲にある時間を5〜300秒確保した後600℃から300℃までの平均冷却速度が50℃/秒以上となるように急冷する熱履歴を付与する工程、
    前記熱履歴を付与した板材に対して、300〜400℃での時効処理を施すことにより、粒径5〜10nmの「微細第二相粒子」の個数密度が1.0×109個/mm2個以上でありかつ母相中のSi濃度が0.10質量%以上である金属組織とする工程、
    を有する銅合金板材の製造方法。
  4. 前記時効処理後に、圧延率20〜80%の仕上冷間圧延を施す請求項3に記載の銅合金板材の製造方法。
  5. 前記仕上冷間圧延後に300〜600℃で低温焼鈍を施す請求項4に記載の銅合金板材の製造方法。
  6. 請求項1または2に記載の銅合金板材をプレス打ち抜きして得た部材を用いて作製されたコネクタ、リードフレーム、リレー、スイッチのいずれかの通電部品。
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