JP2014156057A - 成形体の製造方法、及びリアクトル - Google Patents

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Abstract

【課題】樹脂中での軟磁性金属粉末の分散状態が良好なリアクトル用のコア等の成形体を製造する方法及びリアクトルを提供する。
【解決手段】射出装置に設けた樹脂投入口と軟磁性金属粉末投入口より、樹脂と、軟磁性金属粉末とを投入する。加熱シリンダ内で投入した樹脂を加熱して溶融させ、投入した軟磁性金属粉末と混合させた複合溶融体を調製する。この複合溶融体を金型へ射出注入して成形体を製造する。本発明では、樹脂と軟磁性金属粉末とを予め混合せずに、加熱シリンダ内又は加熱シリンダに投入する直前に供給するので、両材料を射出装置に投入するまでに発生しうる軟磁性金属粉末と樹脂との密度、形状、及び大きさの差による軟磁性金属粉末の沈降を抑制でき、成形体の配合比を維持できるので、成形体の品質のばらつきを低減できる。
【選択図】図1

Description

本発明は成形体の製造方法、特に、樹脂中に軟磁性金属粉末が分散混合した成形体の製造方法に関する。また、この製造方法により製造されたリアクトル用のコアを備えるリアクトルに関する。
近年、地球環境保護の観点からハイブリッド自動車や電気自動車が実用化されている。ハイブリッド自動車は、エンジン及びモータを駆動源として備え、その一方又は双方を用いて走行する自動車である。このようなハイブリッド自動車等は、モータへの電力供給系統に昇降圧回路を備えている。そして、昇降圧回路の部品の一つとして、電気エネルギーを磁気エネルギーとして蓄えることができるリアクトルが利用される。
リアクトルは、コイルとコアとを具備し、このコイルの励磁により閉磁路をコアに形成する。ハイブリッド自動車等の昇降圧回路に用いられる代表的なリアクトルとしては、ポット型のものや環状型のもの、およびこれらにケースを配したもの等が知られている(例えば、特許文献1)。リアクトルのコアには、磁性粉末を加圧成形した圧粉成形体や、樹脂中に磁性粉末が分散混合した複合材料を成形した成形体(複合材料の成形体)等が一般的に用いられる。
コアに複合材料の成形体を用いる場合、注型成形によりリアクトルを作製する技術が知られている(例えば、特許文献2)。しかし、一般的に、注型成形では、樹脂が溶融状態の複合材料(複合溶融体)を注型してから成形体として固化するまでの時間が長い。
他方、コイル内部のコア片とコイル外部のコア片を射出成形により作製し、コイル内部のコア片に予め巻回したコイルを挿入したうえで、最終的にコイル内部のコア片とコイル外部のコア片とを接合するリアクトルの作製方法が知られている。この作製方法では、コア片の射出成形材料として、樹脂と磁性粉末とを予め混合してペレット化したものを用いることで、磁性粉末が均一に分散混合したコア片を効率的に作製することができる。また、射出成形であれば注型成形よりも生産効率が良いので、低コスト化の要求も満たすことができる。
しかし、樹脂と磁性粉末とを混合してペレット化する際には、一度樹脂を溶融させなければならない。樹脂、特に熱可塑性樹脂などでは加熱によって分子量の低下等が生じるおそれがあり、ひいては、コア片の機械的特性が低下するおそれがある。また、混合工程とペレット化工程が必要となるため、コストの面でも好ましいものではない。これらの問題を解決する手段として、固形状の樹脂と磁性粉末とを予め混合してから単一のホッパ内にストックし、これを射出成形機の射出シリンダ内に供給して加熱シリンダ内で溶融混練させる方法が提案されている(例えば、特許文献3)。
特開2012−238836号公報 特開2008−147403号公報 特開2000−313027号公報
しかし、特許文献3に記載の方法では、樹脂と磁性粉末との密度差、ならびに形状や大きさの違いにより、ホッパ内にストックした磁性粉末が沈降するおそれがある。特に、樹脂と磁性粉末は密度差が大きいので、密度差による磁性粉末の沈降は大きな問題となる。すなわち、磁性粉末が沈降すると、得られるコア片の品質(磁性粉末の含有量や分散状態)が一定とならない。
本発明は上記の事情に鑑みてなされたもので、その目的の一つは、樹脂に磁性粉末として軟磁性金属粉末が分散混合した成形体の効率的な製造方法を提供することにある。
また、本発明の別の目的は、上記の製造方法により得られたリアクトル用のコアを備えたリアクトルを提供することにある。
本発明者らは、樹脂と軟磁性金属粉末の各々を、別々の投入口から加熱シリンダ内へ投入することで上記の目的を達成できるとの知見を得て、本発明を完成するに至った。
本発明の成形体の製造方法は、樹脂投入工程と、軟磁性金属粉末投入工程と、調整工程と、射出注入工程とを備える。樹脂投入工程では、射出装置の樹脂投入口から、射出装置の加熱シリンダ内へ樹脂を投入する。軟磁性金属粉末投入工程では、射出装置の軟磁性金属粉末投入口から、射出装置の加熱シリンダ内へ軟磁性金属粉末を投入する。調整工程では、樹脂投入工程で加熱シリンダ内へ投入された樹脂と、軟磁性金属粉末投入工程で加熱シリンダ内へ投入された軟磁性金属粉末とを、加熱シリンダ内で混練および加熱し、溶融された樹脂中に軟磁性金属粉末が分散混合した複合溶融体を調製する。射出注入工程では、複合溶融体を金型内に射出注入し、樹脂中に軟磁性金属粉末が分散混合した成形体を製造する。
本発明の製造方法によれば、樹脂と軟磁性金属粉末とを混合してあらかじめペレット化する必要がないので、樹脂へ与える熱履歴を削減でき、得られる成形体の機械的特性の低下を防ぐことができる。また、ペレット化工程が不要となるため、成形体の製造コストを低減できる。さらに、樹脂と軟磁性金属粉末とは別々の投入口から投入されるので、各投入口から射出シリンダまでの間で軟磁性金属粉末の沈降が起こるおそれがなく、射出シリンダ内でも樹脂と軟磁性金属粉末との配合比率が維持できるので、軟磁性金属粉末と樹脂との密度差や形状、大きさの差により成形体の品質がばらつくことも抑制できる。特に、ホッパ内での密度差に基づく沈降が起こり得ないので、密度差による沈降に起因する成形体の品質のばらつきを抑制できる。
本発明の成形体の製造方法は、添加材投入工程をさらに備えることが好ましい。添加材投入工程では、射出装置の添加材投入口から、射出装置の加熱シリンダ内へ添加材を投入する。
本工程を付加することにより、所望の機能を持つ添加材の分散状態が均一な成形体を効率よく製造することができる。特に、添加材として非導電性フィラーを用いれば、さらに軟磁性金属粉末の分散状態が良好な成形体を得ることができる。
本発明の製造方法で得られる成形体としては、リアクトル用のコアであることが好ましい。
本発明の製造方法によれば、樹脂中に軟磁性金属粉末が良好に分散したリアクトル用のコア、及びこれを用いたリアクトルを提供することができる。
本発明のリアクトルは、本発明の製造方法により得られたリアクトル用のコアを備える。
本発明の製造方法により得られたリアクトル用のコアを備えるリアクトルは、コンバータ等の電力変換装置の構成部品に利用することができる。
本発明によれば、樹脂中に軟磁性金属粉末が良好に分散した高品質な成形体、特に高品質なリアクトル用のコアの製造方法を提供することができる。また、この製造方法により得られたリアクトル用のコアを用いたリアクトルを提供することができる。
実施形態1に係る成形体の製造方法に用いる射出成形機の一部切り欠き側面視概略図である。 実施形態2に係る成形体の製造方法に用いる射出成形機の一部切り欠き側面視概略図である。 環状型リアクトルの一部切り欠き概略図である。
以下、本発明の成形体の製造方法に係る実施形態を図1、図3に基づいて説明する。ここでは、成形体として、図3に記載したリアクトルRに用いられるコア片mを製造する場合を例として、先にリアクトルの構成を説明し、その後にコア片mの製造方法を射出成形機の構成と合せて説明する。
<実施形態1>
[リアクトル]
図3に示す環状型のリアクトルRは、コアMと、このコアMに巻回するコイルCとから構成される。このコアMは、図3に示すような環状(トラック状)のコアであり、複数のコア片m、mと、ギャップ材gとを組み合わせて構成されている。コイルCは、コアMのうち各コア片m、mとギャップ材gとを組み合わせた箇所の外周を覆うように配置され、このコイルCに電流を流すことでコアMに閉磁路を形成する。
[コイル]
本実施形態では、コイルCとしてポリアミドイミドを被覆した被覆平角線をエッジワイズ巻きにしたコイル素子c、cを連結部rにより連結している。コイルの下端は、コア片mの下端と面一になっており、リアクトル設置時の放熱性を高める構造となっている。コイルの端面はギャップ材gの端面と面一になっている。
[コア]
コアMは、上述の通り、ドーム形状の柱状体であるコア片mと、直方体状のコア片mと、ギャップ材gとから成る。コアMは、一対のコア片mと、6つのコア片mと、8つのギャップ材gを備える。ギャップ材gは、磁気飽和を回避するための部材であり、各コア片m、mよりも比透磁率が低い材料である。ギャップ材gの構成材料としては、アルミナ、ガラスエポキシ樹脂、不飽和ポリエステルなどの非磁性材料のみならず、磁性粉末と非磁性樹脂の混合材料であって、かつ、比透磁率が各コア片m、mよりも低い混合材料も利用できる。そして、コアMは、一対のコア片mを互いの端面同士が対向するように配し、各端面間に直方体のコア片mを3つずつ並べ、ギャップ材gを各コア片m、mの間に介在してそれぞれを接合することで構成している。
本実施形態において製造するコア片mは、樹脂中に軟磁性金属粉末が分散された成形体で、必要に応じて添加材も含まれる成形体である。そして、図3に示すリアクトルRのコアMにおいて、コイルCを巻回する部分を構成する。以下、本発明の成形体の構成につき説明する。
(樹脂)
本発明の成形体の製造方法に用いられる樹脂の種類は、特に制限されるものではなく、目的とする成形物の種類や用途に応じて適宜選定される。樹脂は軟磁性粉末を分散状態で保持するものである。この樹脂には、熱硬化性樹脂、熱可塑性樹脂等が利用できる。
熱硬化性樹脂としては、フェノール樹脂、ユリア樹脂、メラミン樹脂、エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ポリウレタン、ジアリルフタレート樹脂、熱硬化性ポリイミド、シリコーン樹脂などが挙げられる。
熱可塑性樹脂としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ポリスチレン、ポリエチレンテレフタレート、アクリロニトリルブタジエン共重合樹脂、ポリブチレンテレフタレート、ポリ塩化ビニリデン、ポリカーボネート、ポリアミド、ポリアセタール、熱可塑性ポリイミド、メタクリル樹脂、フッ素樹脂などが挙げられる。
リアクトル用のコアに用いる樹脂としては、特に制限されるものではないが、上記の樹脂の中でも、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、シリコーン樹脂などが好適に利用できる。
樹脂の射出成形機への投入前の形状は、特に制限されるものではなく、目的とする成形物の種類や用途、射出装置の能力や加熱温度等に応じて適宜選定される。形状としては、ペレット、フレーク等の粒体形状、グラニュール、ビーズ等の顆粒形状、パウダー等の粉体形状が挙げられる。
本発明の成形体の製造方法に用いる樹脂の形状としては、取扱いの容易さからペレットが好ましい。ペレットの場合、例えば直径5mm程度、厚さ5mm程度のものを好適に用いることができる。また、後述するシリンダ内での溶融混練の際に、樹脂を溶融する時間が短縮でき、結果として軟磁性金属粉末との混合が良好となり易いため、パウダーも好適に用いることができる。
樹脂の材質は、1種類の樹脂を用いてもよいし、複数種類の樹脂を用いてもよい。複数種類の樹脂を用いる場合、各々の樹脂の形状は同じでもよいし、異なっていてもよい。また、同じ形状の樹脂を複数種類用いる場合も、形状の大きさ(ペレットの大きさやパウダーの平均粒径等)は同程度であってもよいし、有意に異なっていてもよい。
(軟磁性金属粉末)
軟磁性金属粉末の種類は、特に制限されるものではなく、目的とする成形物の種類や用途に応じて適宜選定される。以下、軟磁性金属粉末の種類(組成)につき説明し、その後、軟磁性金属粉末の形状および大きさ等について説明する。
(種類)
軟磁性金属粉末としては、Fe、Co、Ni等の鉄族金属、Feを主成分とするFe基合金といった鉄基材料等の粉末が挙げられる。以下、この例示した鉄基材料について説明する。
(鉄族金属)
鉄族金属を用いる場合、上記の材料の中でも、比透磁率及び飽和磁束密度の点から純鉄が好ましい。純鉄は、例えば、99質量%以上がFeであり、残部が不可避不純物からなるものが挙げられる。純鉄は、飽和磁束密度が高い。そのため、純鉄粉を軟磁性金属粉末として含む複合材料の成形体は、純鉄粉の含有割合が高いほど飽和磁束密度が高くなり易い。よって、飽和磁束密度が高い成形体(コア片m)を得易い。
(Fe基合金)
Fe基合金を用いる場合、Fe基合金は、添加元素として、Si、Ni、Al、Co、及びCrから選択される1種以上の元素を合計1.0質量%以上20.0質量%以下含有する合金が挙げられる。具体的には、Fe−Si系合金、Fe−Ni系合金、Fe−Al系合金、Fe−Co系合金、Fe−Cr系合金、Fe−Si−Al系合金などが挙げられる。Fe基合金は、一般に、純鉄よりも電気抵抗が高い。特にFe−Si系合金やFe−Si−Al系合金(センダスト)といったSiを含有するFe基合金は、電気抵抗率が高い。そのため、Fe基合金粉を軟磁性金属粉末として含む複合材料の成形体を製造し、この成形体をコアとして備えるリアクトルとすれば、リアクトルに生じる渦電流損を低減し易い上に、ヒステリシス損も小さくできる。これにより、低損失なリアクトルを得易い。
(形状)
軟磁性金属粉末を構成する粒子は、球状、非球状(例えば、板状、針状、棒状など、その他異形状)など、任意の形状を取り得る。原料に用いる軟磁性金属粉末と複合材料の成形体中の軟磁性金属粉末とは、その形状が実質的に等しい。そのため、原料に所望の粒子形状の軟磁性金属粉末を用いることで、所望の粒子形状(例えば、後述の円形度が特定の範囲を満たすもの)の軟磁性金属粉末を含有する複合材料の成形体となる。
軟磁性金属粉末を構成する粒子の形状が球形に近いと、この球状の粒子間の隙間に、別の粒子(好ましくはこの粒子よりも微細な粒子)が介在可能な隙間を形成し易い。その結果、成形体中における軟磁性金属粉末の充填率を高め易い。充填率を高めることで、上述のように飽和磁束密度が高い複合材料となり易い。
上記円形度は、最大径/円相当径とする。円相当径とは、軟磁性金属粉末を構成する粒子の輪郭を特定し、その輪郭で囲まれる面積Sと同一の面積を有する円の直径とする。つまり、円相当径=2×{上記輪郭内の面積S/π}1/2で表される。最大径とは、上記輪郭を有する粒子の最大長さである。上記面積Sは、例えば、原料に用いる磁性体粉末を樹脂などで固めたサンプルを作製し、このサンプルの断面を光学顕微鏡や走査型電子顕微鏡(SEM)などで観察し、得られた断面の観察画像を画像処理(例えば、二値化処理)などして粒子の輪郭を抽出し、輪郭内の面積Sを算出するとよい。最大径は、抽出した粒子の輪郭から、粒子の最大長さを抽出することが挙げられる。SEMを利用する場合、測定条件は、断面数:50個以上(一断面につき一視野)、倍率:50倍〜1000倍、一視野あたりの測定粒子数:10個以上、合計粒子数:1000個以上が挙げられる。
上述のようにして測定した円形度が1である粒子は、真球に該当する。原料に用いる磁性体粉末の円形度が1に近いほど、充填率を高め易く、流動性に優れる。複合材料中の磁性体粉末の円形度が1に近いほど、損失を低減したり、比透磁率が大きくなり過ぎることを抑制したりできる。従って、上記円形度は1.0以上1.5以下、特に1.0以上1.3以下が好ましい。
また、上記円形度の範囲を満たす粒子(以下、球状の粒子という)は、この範囲を満たさない粒子(以下、非球状の粒子という)に比べて成形体中のボイドの発生を抑制できる。非球状の粒子は、表面に凹凸が多いため、表面処理を行っても、その凹凸内に十分樹脂を行き渡らせることが難しいことがあり、成形体中にボイドが発生することが考えられる。しかし、球状の粒子であれば、粒子の周囲に樹脂が十分に行き渡るため、ボイドの発生を低減することができる。
その他、球状の粒子であれば、粒子同士が隣接しても、実質的に点接触するだけであり、面接触することがほとんどない。樹脂中に分散される軟磁性金属粉末の粒子同士が接触した状態が多くなると、成形体の比透磁率が高くなる傾向にあり、粒子間に渦電流が流れる問題もある。そのため、後述するように、絶縁被覆を有する軟磁性金属粉末を用いることが好ましいが、球状の粒子を用いれば、絶縁被覆のない粒子であっても、軟磁性金属粉末の粒子同士の接触の発生を低減し、複合材料の比透磁率を抑えることができる。この場合、軟磁性金属粉末を得る際に、軟磁性金属粉末に絶縁被覆を形成する必要がない。
軟磁性金属粉末の具体例としては、ガスアトマイズ法で生成された粉末や、水アトマイズ法で生成された粉末がある。このうち、前者がほぼ球状の粒子であり、後者は表面に凹凸が形成された非球状の粒子である。この水アトマイズ法で生成された粉末の表面部をボールミルなどで粉砕して球状に形成することで円形度が上記範囲となるようにしてもよい。
特に、上記球状の粉末を分級して粗粒を除去することが好ましい。この分級は、例えばふるいで所定の粗粒を除去することで行う。より具体的には、後述する軟磁性金属粉末の平均粒径よりも150%以上径の大きな粗粒を除去することが好ましい。このような分級により、軟磁性金属粉末の粒子同士の接触面積が大きくなりやすい粗粒を除去することができ、比透磁率の増大を抑制すると共に、見掛密度の高い粉末を得ることができる。より好ましくは軟磁性金属粉末の平均粒径よりも100%以上径の大きな粗粒を除去し、特に好ましくは50%以上径の大きな粗粒を除去すれば良い。さらに軟磁性金属粉末の微粒を除去するようにしてもよい。例えば、軟磁性金属粉末の平均粒径よりも50%以上径の小さな微粒を除去することが好ましい。このような分級により、粒径のばらつきを抑制し、軟磁性金属粉末が均質に分散された成形体を得ることができる。この微粒の除去もふるいを用いて行えばよい。
(大きさ)
軟磁性金属粉末の大きさは、平均粒径が1μm以上1000μm以下であることが好ましく、10μm以上500μm以下がより好ましく、50μm以上200μm以下が特に好ましい。平均粒径が上記範囲を満たす軟磁性金属粉末を本発明の成形体に用いると、流動性が高く、射出成形機により複合材料の成形体を生産性よく製造できる。そして、成形体中における軟磁性金属粉末と材料に用いた軟磁性金属粉末とは、その大きさが実質的に同じである(維持されている)。
軟磁性金属粉末は、種類、大きさ(平均粒径)および形状が単一の軟磁性金属粉末を用いてもよいし、種類、大きさ及び形状の少なくともいずれかが有意に異なる2種以上の軟磁性金属粉末を用いてもよい。
種類が異なる例としては、純鉄粉とFe基合金粉とを含む形態や、複数の異なる組成のFe基合金粉を含む形態が挙げられる。前者の形態は、純鉄粉の含有によって飽和磁束密度を高められ、Fe基合金粉の含有によって渦電流損を低減できる。従って、この形態の軟磁性金属粉末を利用することで、飽和磁束密度が高く、例えば、低損失なリアクトル用のコアを得易い。この形態では、純鉄粉の含有量が多いほど、飽和磁束密度が高められる。そのため、飽和磁束密度の向上を望む場合、複合材料に含まれる軟磁性金属粉末のうち、純鉄粉を最も多く含有することが好ましく、過半数が純鉄粉であることがより好ましい。後者の形態は、軟磁性金属粉末の全てがFe基合金粉であるため、渦電流損を低減でき、この軟磁性金属粉末を利用することで、例えば、低損失なリアクトル用のコアを得易い。Fe基合金の組成を調整することで、飽和磁束密度を高めることもできる。
大きさが異なる例としては、ある小さい粒径の軟磁性金属粉末(微細な粒子)と、ある大きい粒径の軟磁性金属粉末(粗大な粒子)とを、2以上用いる形態が挙げられる。この形態は、粗大な粒子間につくられる隙間に微細な粒子が介在できる。そのため、軟磁性金属粉末の充填率を高め易く、軟磁性成分の割合が高くなり易いことから、飽和磁束密度が高い。かつ、軟磁性金属粉末の粒径が小さいほど、渦電流損を低減できることから低損失である。
軟磁性金属粉末の複合材料中における配合割合は、目的とする成形物に要求される物性に応じて適宜選定されるもので、特に制限されるものではない。なお、リアクトル用のコアとしては、比透磁率が比較的低いほうが好ましい。リアクトルが、適切なインダクタンス値を備えることができるからである。したがって、通常は、複合材料全体を100体積%とするとき、20体積%以上75体積%以下が好ましい。軟磁性金属粉末が20体積%以上であれば、飽和磁束密度といった磁気特性を高め易いからである。また、軟磁性金属粉末が75体積%以下であることで、比透磁率が比較的低い複合材料を容易に得ることができ、さらには、製造時、軟磁性金属粉末と樹脂とを混合し易くなり、製造性に優れる。リアクトルのコアの場合、より好ましい配合割合は30体積%以上75体積%以下であり、さらに好ましい配合割合は40体積%以上70体積%以下である。
配合割合は、{軟磁性金属粉末の体積/(軟磁性金属粉末の体積+樹脂の体積)}×100で表される。より具体的には、JIS K 7250(2006)「プラスチック−灰分の求め方」に準拠して配合割合を求めることができる。軟磁性金属粉末の体積は、例えば複合材料をマッフル炉にて600℃に加熱して樹脂分を除去し、残った軟磁性金属粉末の重量を測って、この重量を軟磁性金属粉末の真密度で除することで求められる。一方、樹脂の体積は、複合材料の重量から軟磁性金属粉末の重量を減じて樹脂の重量を求め、この樹脂の重量を樹脂の密度で除することで求められる。そして、これら軟磁性金属粉末の体積と樹脂の体積とから上述の式に基づいて配合割合を算出できる。なお、後述する添加材が含まれている成形体の場合、配合割合は、{軟磁性金属粉末の体積/(軟磁性金属粉末の体積+樹脂の体積+添加剤の体積)}×100で表される。成形体の樹脂を除去した後に残存する軟磁性金属粉末と添加材とをマグネットで選別すれば、軟磁性金属粉末の体積やフィラーの体積が求められる。
軟磁性金属粉末には、絶縁被膜が被膜されていても良い。絶縁被膜は、隣接する軟磁性金属粉末の粒子同士を絶縁するために軟磁性金属粒子に被覆される。軟磁性金属粉末の粒子を絶縁被膜で覆うことによって、軟磁性金属粉末の粒子同士の接触を抑制し、成形体の比透磁率を抑えることができる。その上、絶縁被膜の存在により、軟磁性金属粉末の粒子間に渦電流が流れるのを抑制して、成形体の渦電流損を低減させることができる。絶縁被膜の材料としては軟磁性金属粉末の粒子同士の絶縁を確保できる程度の絶縁性に優れるものであれば特に限定されない。例えば、燐酸化合物、珪素化合物、ジルコニウム化合物、アルミニウム化合物、硼素化合物、シリコーン樹脂、リン酸塩とシリコーン樹脂の2層からなるものなどが挙げられる。特に、シリコーン樹脂からなる絶縁被膜の場合は、耐熱性に優れるので、成形体の完成までの間、軟磁性金属粉末の粒子同士の絶縁を良好に維持することができる。また、絶縁被膜が上記リン酸塩とシリコーン樹脂の2層構造からなる場合、リン酸塩を上記軟磁性金属粉末の粒子側に、シリコーン樹脂をリン酸塩の直上に被覆することが好ましい。リン酸塩の直上にシリコーン樹脂を被膜しているので、上述したリン酸塩およびシリコーン樹脂の両方の特性を備えることができる。
絶縁被膜の平均厚さは、隣接する軟磁性金属粉末の粒子同士を絶縁することができる程度の厚みであればよい。例えば、10nm以上1μm以下であることが好ましい。絶縁被膜の厚みを10nm以上とすることによって、軟磁性金属粉末の粒子同士の接触の抑制や渦電流によるエネルギー損失を効果的に抑制することができる。一方、絶縁被膜の厚みを1μm以下とすることによって、軟磁性金属粉末に占める絶縁被膜の割合が大きくなりすぎず、成形体の飽和磁束密度が著しく低下することを防止できる。
(添加材)
本発明の成形体の製造方法に用いられる成形材料は、基本的には、樹脂と、軟磁性金属粉末から構成されるが、必要に応じて、アルミナやシリカ、マイカあるいはタルク、炭素繊維、ガラス繊維等の補強効果の大きな充填材やその他公知の添加材を適量添加することができる。特に、添加材として熱伝導性フィラーを用いれば成形体の放熱性の向上に、非導電性フィラーを用いれば軟磁性金属粉末の偏在の抑制(均一的な分散)に寄与する。また、複合溶融体中の軟磁性金属粉末の沈降を抑制する効果もある。
添加材の形状は、球状、非球状(板状、針状、棒状、ひげ状など)、などの各種形状の中実粒子が挙げられる。添加材が微粒であれば、軟磁性金属粉末間に添加材が介在することとなり、添加材の含有による軟磁性金属粉末の割合の低下を抑制できる。その他、中空粒子も利用できる。中空の添加材であれば、中実の添加材を用いた場合に比べて成形体を軽量化することができる。市販されている中空の添加材としては、SiOなどが挙げられる。
添加材の大きさは、平均粒径が軟磁性金属粉末の平均粒径の1/5以下であることが好ましい。このように軟磁性金属粉末に比べて微細な添加材を用いることで、添加材の粒子を軟磁性粉末の周囲に分散させて行き渡らせることができる。それによって、軟磁性金属粉末同士が接触する確率を低減し、成形体の比透磁率を低く抑えると共に、磁気的・機械的特性を均質化することができる。
添加材は、種類、形状および大きさ(平均粒径)が単一の添加材を用いてもよいし、種類、形状および大きさの少なくともいずれかが有意に異なる2以上の添加材を用いてもよい。そして、成形体中における添加材と材料に用いた添加材とは、その大きさが実質的に同じである(維持されている)。
添加材の含有量は、所望の効果が発揮される含有量であれば特に制限はないが、一般的には、複合材料全体を100体積%とするとき、5〜30体積%程度含有すればよい。添加材の含有量がこの範囲であれば、成形の際に悪影響を与え難いからである。添加材を25体積%以上30体積%以下含有させる場合、軟磁性粉末の含有量は75体積%未満、より好ましくは70体積%未満、さらに好ましくは60体積%以下とする。
(磁気特性)
成形体の磁気特性は、所望の性能を発揮できるように設計すればよいが、リアクトル用のコアとしては、コア全体の比透磁率を5以上50以下とすることが好ましく、10以上40以下とすることがより好ましく、10以上35以下とすることがさらに好ましい。この範囲の比透磁率を備える成形体をコアとして用いたリアクトルであれば、例えば自動車の昇圧回路用のリアクトルとして好適に利用できる。また、成形体の飽和磁束密度は、0.6T以上とすることが好ましく、0.8T以上とすることがより好ましく、1.0T以上とすることがさらに好ましい。このような好ましい値の成形体をコアとして用いたリアクトルを構成すれば、より大電流用途のリアクトルを構成することができる。
上記各コア片及びギャップ材の比透磁率は、次のようにして求めたものをいう。各コア片及びギャップ材と同じ材料で、外径34mm、内径20mm、厚さ5mmのリング状試験片を作製する。この試験片に、一次側300巻き、二次側20巻きの巻線を施して、試験片のB―H初磁化曲線をH=0〜100エルステッド(Oe)の範囲で測定する。この測定には、例えば、理研電子株式会社製BHカーブトレーサ「BHS−40S10K」を使用することができる。そして、得られたB−H初磁化曲線の勾配(B/H)の最大値を求め、それを各コア片及びギャップ材の比透磁率とする。ここでの磁化曲線とは、いわゆる直流磁化曲線であり、比透磁率とは直流比透磁率である。
一方、上記各コア片の飽和磁束密度は、上記試験片に対して電磁石で10000(Oe)の磁界を印加し、十分に磁気飽和させたときの磁束密度とする。
リアクトル用のコアは、全体として所望の磁気特性を備えるのであれば、各部分で磁気特性が異なっていてもよい。例えば、コアMにおいて、コイルが巻回する部分であるコア片mの比透磁率と、主としてコイル外部に位置するコア片mの比透磁率が異なっていてもよい。
ここで、コアにギャップ材が介在していない場合は、コア全体の比透磁率とは、各コア片を合わせた比透磁率である。同様に、本実施形態のように、コアにギャップ材が介在する場合、コア全体の比透磁率とは、各コア片とギャップ材とを合わせた比透磁率である。例えば、コアMの比透磁率とは、コア片mの比透磁率と、コア片mの比透磁率と、ギャップ材gの比透磁率とを合わせた比透磁率である。
[コア片の製造方法]
(射出成形機)
図1に本発明の成形体の製造方法に用いる射出成形機を示す。この射出成形機は、射出装置10と成形用の金型5を備える。
射出装置10は、円筒状の加熱シリンダ1と、スクリュ2と、加熱手段3と、樹脂供給装置41aと、軟磁性金属粉末供給装置41bと、モータmと、圧縮機構sとを具備している。加熱シリンダ1は、先端(図中、左側)にノズル1nを備え、基端側(図中、右側)に2つの連通口1a、1bが設けられている。連通口1aは、後述するホッパ43aから導入された樹脂を加熱シリンダ1内に投入するための孔である。連通口1bは、後述するホッパ43bから導入された軟磁性金属粉末を加熱シリンダ1内に投入するための孔である。本実施形態では、連通口1bは連通口1aよりも金型側(図中、左側)に位置している。さらに、加熱シリンダ1は内部に逆流防止弁(図示せず)を備えている。スクリュ2は、基端側から供給部、圧縮部、計量部の3部から構成され、加熱シリンダ1内に同軸状に配設される。そして、スクリュ2は、モータmに駆動されて回転すると共に、圧縮機構sにより加熱シリンダ1内で進退するようになっている。圧縮機構sには各種シリンダが利用でき、本実施形態では油圧シリンダである。加熱手段3は、加熱シリンダ1の外周を覆って配設され、加熱シリンダ1を加熱することで、加熱シリンダ1内に投入された樹脂を溶融させる。この加熱手段3には、例えばバンドヒータが利用でき、本実施形態でもバンドヒータを備えている。樹脂供給装置41aは、定量供給装置42aと、樹脂投入口であるホッパ43aを有し、連通口1aに接合される。軟磁性金属粉末供給装置41bは、定量供給装置42bと、軟磁性金属粉末投入口であるホッパ43bとを有し、連通口1bに接合される。
金型5は、ここでは、スプルー5s、及びキャビティ5cを有するダイレクトゲート方式の金型である。スプルー5sは、射出装置のノズル1nから射出された複合溶融体を金型5内に移送するための経路であり、ノズル1nに当接している。キャビティ5cは、スプルー5sから流入した複合溶融体が注入され、成形体(ここではコア片m)が成形される空隙である。すなわち、加熱シリンダ1の内空部が、スプルー5sを介してキャビティ5cと連通した状態となっている。
通常の射出成形機は、一つのホッパと一つの連通口とを備える。よって、本発明の成形体の製造方法に用いられる射出成形機は、これら従来の射出成形機に、少なくとも1つ以上の連通口を増設し、各連通口に供給装置とホッパとを配置したものを利用することができる。また、特に制限されるものではないが、成形材料の流動性が不十分な場合、通常よりもスクリュ2の回転数を増加させる、圧縮/混練部の長さを長くする等の改良を適時施してもよい。また、スクリュ2に成形材料がかみ込み難い場合には、強制かみ込み設備を増設するなどしてもよい。
本実施形態では、樹脂が加熱シリンダ1内へ投入される連通口1aが、軟磁性金属粉末が加熱シリンダ1内へ投入される連通口1bよりも射出装置側に一定距離離間して設けられているが、両連通口の位置は特に限定されるものではない。よって、樹脂の連通口1aが軟磁性金属粉末の連通口1bよりも金型5側に設けられていても良い。また、加熱シリンダ1の同一断面における周方向の異なる位置に両連通口を設ける等、両連通口の位置は加熱シリンダ1の軸方向の同じ位置又は近接する位置に設けても良い。図1のように、樹脂の連通口1aを圧縮機構s側に設け、軟磁性金属粉末の連通口1bを一定距離離間して設けた場合、ヒータから伝播する熱で、樹脂がある程度軟化した状態で軟磁性金属粉末が投入されることとなるので、軟磁性金属粉末の樹脂への分散性をより高めることができる。
本実施形態では、樹脂及び軟磁性金属粉末、必要に応じて添加材を加熱シリンダ内へ投入する際に定量供給装置を用いたが、成形体の軟磁性金属粉末の含有量にばらつきが出ないのであれば、各連通口に直接両投入口(ここではホッパ)を設置し、成形材料の自重で加熱シリンダ内に供給する構成としてもよい。
(成形体の製造方法)
この射出成形機により、本発明の成形体の製造方法に従ってリアクトルR用のコア片mを製造する際の手順及び動作を説明する。この製造方法では、樹脂、軟磁性金属粉末の各原料の投入工程、投入原料の調整工程、及び複合溶融体(調整原料)の射出注入工程が順次行われる。
まず、樹脂投入工程と軟磁性金属粉末投工程が行われる。両投入工程は並行して行われることが好ましい。樹脂投入工程では、ホッパ43aにストックされた樹脂が、定量供給装置42aにより加熱シリンダ1に設けた連通口1aを通じて加熱シリンダ1内に投入される。軟磁性金属粉末投入工程では、ホッパ43bにストックされた軟磁性金属粉末が、定量供給装置42bにより加熱シリンダ1に設けた連通口1bを通じて加熱シリンダ1内に投入される。軟磁性金属粉末投入工程は、樹脂投入工程で投入された樹脂の一部がスクリュ2の供給部の回転により軟磁性金属粉末の連通口1bの直下まで運ばれたタイミングで行うことが好ましい。このようにすることで、樹脂への軟磁性金属粉末の含有量がより均一となる。
調整工程では、投入された両材料が、スクリュ2の供給部の回転によって混合され始めながら加熱シリンダ1のヒータ設置領域(加熱シリンダ1の圧縮部)へと運ばれる。そして、バンドヒータ3とスクリュ2の圧縮部の回転による圧縮とにより、加熱シリンダ1内で樹脂が加熱溶融されると共に、溶融した樹脂と軟磁性金属粉末とが上記スクリュ2の回転により混練および加熱され、溶融した樹脂中に軟磁性金属粉末が分散混合した複合溶融体が加熱シリンダ1内で調製される。
射出注入工程では、この複合溶融体が、上記スクリュ2の計量部の回転により加熱シリンダ1内の前方へと圧送され、所定量の複合溶融体が計量される。そして、一旦スクリュ2の回転を停止させた後、スクリュ2を油圧シリンダsにより前進させ、加熱シリンダ1の前端のノズル1nを金型5のスプルー5sに当接させる。そして、金型5のキャビティ5c内に複合溶融体を射出注入して、金型5内で冷却固化させることにより、樹脂中に軟磁性金属粉末が分散混合したリアクトルR用のコア片mが成形される。最終的に、成形されたリアクトルR用のコア片mを、金型5を開いて取り出した後、スプルー5sで形成されたバリを切り落とし最終製品となる。
成形体に添加材を含有させる場合、添加材投入工程は、樹脂投入工程及び軟磁性金属粉末投入工程と同様に、シリンダにさらに連通口を設け、ホッパ内にストックした添加材を定量供給装置等によりシリンダ内へ投入することで行うことができる。添加材を投入する位置やタイミングは特に制限されるものではないが、樹脂の連通口よりも射出シリンダ側に設けることが好ましい。上記同様、ヒータから伝播する熱で、樹脂がある程度溶融した状態で添加材が投入されることとなるので、樹脂への分散性をより高めることができるからである。
形状および大きさの少なくとも一方が有意に異なる2以上の樹脂を用いる場合、これらを同一のホッパ内にストックすると、形状差や大きさの差によって沈降のばらつきが発生するおそれがある。このような場合、樹脂の連通口をさらに増設して、それぞれの樹脂を単独で加熱シリンダ内に投入し、加熱シリンダ内で2種以上の樹脂を溶融混練すればよい。軟磁性金属粉末、及び添加材に2以上のものを用いる場合についても同様である。
<実施形態2>
以下、実施形態1に記載の射出成形機との相違点を中心に、実施形態2で用いる射出成形機、およびこれを用いた成形体の製造方法を、図2に従って説明する。なお、実施形態1と共通する部分に関しては説明を省略する。
この射出成形機が備える射出装置11は、実施形態1に記載の射出装置10と基本的には共通の構成を備えるが、加熱シリンダ1が連通口1bを備えずに連通口1aのみ備える点、及び、樹脂供給装置41a及び軟磁性金属粉末供給装置41bを統合した材料供給装置40を備える点が異なる。ここでは、加熱シリンダ1の連通口1aは、樹脂と軟磁性金属粉末の両方を加熱シリンダ1内に投入するための連通口である。材料供給装置40は、樹脂供給装置41a及び軟磁性金属粉末供給装置41bと、投入部44とからなる。樹脂供給装置41aは、定量供給装置42aと樹脂をストックするホッパ43aとからなり、定量供給装置42aの終端が投入部44の側面に接合する。軟磁性金属粉末供給装置41bは、定量供給装置42bと軟磁性金属粉末をストックするホッパ43bとからなり、定量供給装置42bの終端が投入部44の左側面に接合する。投入部44は、その下端が連通口1aに接合する。この構成により、両ホッパ43a、43bの下端側の開口は、投入部44を介して単一の連通口1aに集約される。
この射出成形機により、本発明の成形体の製造方法に従ってリアクトルR用のコア片mを製造する際の手順及び動作を説明する。この製造方法では、樹脂、軟磁性金属粉末の各原料の投入工程、投入原料の調整工程、及び複合溶融体(調整原料)の射出注入工程が順次行われる。以下、実施形態1と異なる樹脂、軟磁性金属粉末の各原料の投入工程につき説明する。
本実施形態では、樹脂投入工程と軟磁性金属粉末投工程は同時に行われる。樹脂投入工程では、ホッパ43aにストックされた樹脂が、併設された定量供給装置42aにより投入部44に移送される。そして、この移送された樹脂が、投入部44から加熱シリンダ1に設けた連通口1aを通じて加熱シリンダ1内に投入される。軟磁性金属粉末投入工程では、ホッパ43bにストックされた軟磁性金属粉末が、併設された定量供給装置43bにより投入部44に移送される。そして、この移送された軟磁性金属粉末が、投入部44から加熱シリンダ1に設けた連通口1aを通じて加熱シリンダ1内に投入される。
本実施形態の射出成形機を用いた成形体の製造方法によれば、ホッパ内での沈降を抑制できるという効果に加えて、射出装置のシリンダに連通口を増設する必要がない。よって、既存の射出装置の供給装置を改良するだけで、本発明の製造方法を実施できる。
本実施形態において添加剤投入工程をさらに備える場合、材料供給装置40の投入部44に、添加材供給装置を増設すればよい。
投入部に接合する樹脂供給装置は、2以上設けてもよい。このようにすることで、密度差が小さくとも、形状や大きさが有意に異なる樹脂を2種以上用いる場合に、均一な組成の成形体を得ることができる。形状や大きさが有意に異なる軟磁性金属粉末を2種以上用いる場合、および、場合によって用いる形状や大きさが有意に異なる添加材を2種以上用いる場合についても同様である。
投入部には、樹脂及び軟磁性金属粉末、並びに場合によって用いる添加材を予め混合する混合装置や、これらを予め溶融混練する溶融混練装置を設けてもよい。これにより、各材料が予め混合された状態、又は溶融混練した状態でシリンダ内に投入されることとなり、軟磁性金属粉末の均一的な分散がより促進される。
以上、本発明の成形体の製造方法につき、実施形態1,2により説明した。いずれの実施形態においても、加熱シリンダ内に両材料が投入されるまでの間、両材料の配合比を維持することができる。よって、複数のコア片を量産した場合に、個々のコア片間での樹脂と金属粉末との配合比のばらつきを抑制できる。
成形体を製造する際、樹脂中における軟磁性金属粉末の分散性を向上させるために、添加材として分散剤を配合することが考えられる。しかし、本発明の成形体の製造方法であれば、分散剤の配合割合を低下させても、又は分散剤を配合しなくとも、軟磁性金属粉末が樹脂中に良好に分散した成形体を製造することができる。
本発明の成形体の製造方法を実施するための射出装置は、実施形態1、2で用いた、いわゆるインラインスクリュタイプの射出装置に限定されるものではなく、目的とする成形体の種類や、製造規模などに応じて適宜変更することができる。例えば、いわゆるスクリュプリプラタイプ等も用いることができる。スクリュプリプラタイプの場合、金型に成形材料を射出する射出シリンダと、射出シリンダに接続される可塑化専用シリンダとを備えるプリプラ式射出成形機を用いる。この可塑化専用シリンダに連通口を増設して樹脂用と軟磁性金属粉末用の各投入口を設ければ良い。その他、これら各投入口を可塑化専用シリンダに至る途中で集約し、一つの連通口で可塑化専用シリンダにつながるように構成しても良い。
同様に、本発明の射出成形方法を実施するための金型は、図1及び図2に示したものに限定されるものではなく、目的とする成形体の形状に合わせて最適なものを選択することができる。例えば、上記の構成にさらにランナーやゲートを備える公知の金型を用いることができる。
本発明の成形体の製造方法は、公知の金型により製造できる形状であれば、さまざまな構成の公知のリアクトル用のコアを製造する場合に利用できる。例えば、コア片mを作製する場合、特許文献1に記載のポット型のリアクトルの内部コアを作製する場合、および外部コアを複数のコア片として作製する場合等にも利用できる。
(樹脂、金属粉末、及び添加剤の関係)
上述した特許文献3のように、ホッパ内で樹脂と軟磁性金属粉末と、場合によっては添加材とを混合した状態でストックする場合、これらの形状および大きさ、並びに密度差の少なくともいずれかに起因して発生することが、本願の発明者の検討により判明している。特に、樹脂と軟磁性金属粉末との密度差が5g/cm以上程度のときに沈降が顕著に発生する。また、樹脂、軟磁性金属粉末、及び添加材の少なくともいずれかの間で密度差が5g/cm以上程度のときに沈降が顕著に発生する。よって、これらが上記の密度差を有する場合に、本発明の製造方法は特に有益である。なお、本発明はストック時の沈降が問題にならない程度の密度、形状および大きさの少なくともいずれかに差を有する2以上の同種材料を用いる場合に、これらを同一のホッパにストックすることを排除するものではない。例えば、2以上の樹脂を用いる場合に、いずれか一方がホッパ内で沈降しないのであれば、同一のホッパ内にストックしてもよい。軟磁性金属粉末および添加材についても同様である。
本発明の成形体の製造方法は、リアクトル用のコア等の各種磁心を製造することに利用できる。また、本発明の成形体の製造方法により得られたリアクトル用のコアを備えるリアクトルは、ハイブリッド自動車、プラグインハイブリッド自動車、電気自動車、燃料電池自動車といった車両に搭載されるDC−DCコンバータや空調機のコンバータといった電力変換装置の構成部品に利用することができる。
10,11 射出装置
1 加熱シリンダ
1a,1b 連通口 1n ノズル
2 スクリュ 3 加熱手段(バンドヒータ)
40 材料供給装置
41a 樹脂供給装置
42a 定量供給装置 43a ホッパ
41b 軟磁性金属粉末供給装置
42b 定量供給装置 43b ホッパ
44 投入部
s 圧縮機構(油圧シリンダ) m モータ
5 金型
5c キャビティ 5s スプルー
R リアクトル
M コア
,m コア片 g ギャップ材
C コイル
、c コイル素子 r 連結部

Claims (5)

  1. 射出装置の樹脂投入口から前記射出装置の加熱シリンダ内へ樹脂を投入する樹脂投入工程と、
    前記射出装置の軟磁性金属粉末投入口から前記加熱シリンダ内へ軟磁性金属粉末を投入する軟磁性金属粉末投入工程と、
    前記加熱シリンダ内で前記樹脂と前記軟磁性金属粉末とを混練および加熱し、溶融された前記樹脂中に前記軟磁性金属粉末が分散混合した複合溶融体を調製する調整工程と、
    前記複合溶融体を金型内に射出注入して樹脂中に軟磁性金属粉末が分散混合した成形体を得る射出注入工程とを備える成形体の製造方法。
  2. 前記射出装置の添加材投入口から前記加熱シリンダ内へ添加材を投入する添加材投入工程をさらに備える請求項1に記載の成形体の製造方法。
  3. 前記添加材が非導電性フィラーである請求項2に記載の成形体の製造方法。
  4. 前記成形体がリアクトル用のコアである請求項1から3のいずれか1項に記載の成形体の製造方法。
  5. 請求項4に記載の成形体の製造方法を用いて製造されたリアクトル用のコアを備えるリアクトル。
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