JP2014155913A - メディア式分散機及びトナー製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】円筒状のステーター15と、回転可能な円筒状のローター14とを備え、被分散液とともに攪拌されることで、被分散液の分散を促すメディア粒子を分散室内に収容し、被分散液が分散室に流入する第一流入口101及び第二流入口102と、分散室から被分散液を排出する第一排出口201及び第二排出口202と、メディア粒子の通過を妨げ、第一排出口201または第二排出口202に向かう被分散液からメディア粒子を分離させるセパレーター17とを備えるメディア式分散機1で、第一排出口201及び第二排出口202の二つの排出口を備え、被分散液を排出させる排出口を切り替える不図示の制御部等の排出口切替手段を備える。
【選択図】図1
Description
図2は、本実施形態の分散工程に用いる分散機構500の模式図である。
分散機構500は、メディア式分散機1、タンク4、熱交換器2、循環ポンプ3等を備える。
分散機構500は、トナー製造工程での結晶性ポリエステルの粉砕・分散工程で用いることができ、反応装置のためバッチ式による装置構成となっている。
タンク内攪拌部材5としては、パドル型、アンカー型、プロペラ型等が挙げられ、充分な撹拌能力を持っているものを被分散液の液質により選定する。
タンク4内にある被分散液はタンク底弁12が開することにより通液される。タンク底弁12としては、ゲート式、グローブ式、バタフライ式、ニードル式、ストップ式等が挙げられる。
図1は、メディア式分散機1の長手方向に沿う断面の断面説明図である。図1中の矢印Qは、メディア式分散機1内での被分散液の流れの概略を示している。図1(a)と図1(b)とは、詳細は後述するように、メディア式分散機1内での被分散液の流れる方向を切り替えたそれぞれの状態の説明図である。詳しくは、図1(a)は、第一排出口201から被分散液を排出する流路を形成する状態のメディア式分散機1の断面説明図であり、図1(b)は、第二排出口202から被分散液を排出する流路を形成する状態のメディア式分散機1の断面説明図である。
ステーター15の円筒状の内部に形成される円柱状の空間がメディア粒子を用いて被分散液中の粒状成分の分散を行う分散室となる。
ステーター15の内周面には、内側に向けて突き出したステーターピン15aが設置されており、ローター14の外周面には、外側に向けて突き出したローターピン14aが設置されている。ステーターピン15aとローターピン14aとは、ローター14の回転によって互いに衝突しない位置に配置されている。
粉砕室16を通過した被分散液は、ローター14の内側に進入し、セパレーター17を通過し、排出口(201または202)より排出される。
この際、被分散液の流れと共にセパレーター17付近に流れてきたメディア粒子は、ローター14の回転によって生じる遠心力により、ローター14の内周面に向けて移動する。ローター14には図3に示すように、内周面側と外周面側とを連通するスリット18が形成されており、ローター14の内周面に到達したメディア粒子は、上述した遠心力によってスリット18を通過することで、粉砕室16へと戻される。
図1に示すように、メディア式分散機1は、第一排出口201と第二排出口202という二つの排出口を備え、被分散液を排出させる該排出口を切り替えるための後述する排出口切替手段を備える。
従来の、メディア式分散機では円筒状の粉砕室内に充填されているメディア粒子(粒径0.1〜0.5[mm])によって排出口が詰まってしまう現象が生じていた。これは、メディア粒子の充填率と、回転によってメディア粒子に作用する遠心力のエネルギーと、被分散液の流入量との関係よっては、円筒状のローター内の中心軸方向の排出口側にメディア粒子が偏ってしまうことに起因する。
特許文献1に記載のメディア式分散機は、メディア粒子と被分散液とを分離するセパレーターとして、図1に示すメディア式分散機1と同様に円筒状のセパレーターを用いている。このように、円筒状のセパレーターを備える構成では、蓋状のセパレーターよりも目詰りが生じ難いが、円筒状のセパレーターの表面に沿って移動したメディア粒子が経時で軸方向の排出口側に偏った状態となる。メディア粒子が排出口側に偏ると、円筒状のセパレーターの表面が排出口側の端部から除々にメディア粒子によって覆われて、目詰りが生じる。
特許文献1には、稼動中にセパレーターのスリット間やワイヤ間にメディア粒子が詰ることを防止するために次のような方法が記載されている。すなわち、メディア式分散機へ被分散液を送液するポンプを停止させた状態で排出口より一定圧力の窒素またはエアーを加えることによりセパレーターの詰まりを改善する方法が開示されている。この方法は、セパレーターの詰りを改善させることが出来るが、工程を停止させることにより工程時間が延びてしまうという問題は解消できていない。
また、被分散液を排出させる排出口を切り替えることで、それまで被分散液を排出していた排出口に向かう被分散液がメディア粒子をセパレーター17に押し付けていた力が無くなる。これにより、セパレーター17の周りで変化した被分散液の流れやローターの回転によって生じる遠心力などによって、セパレーター17に付着したメディア粒子を容易に離間させることができ、目詰りを解消することができる。
このように、図1に示すメディア式分散機1では、メディア粒子の偏りによる排出口の詰まりを防止し、工程を停止しての復旧作業が発生すること無く工程時間に影響を与えること無く、分級工程を安定稼動することができる。
メディア式分散機1は、セパレーター17にメディア粒子が偏って付着することによる排出口の詰りを防止するため、流入口(101及び102)から流入させる被分散液が通過する配管の圧力を圧力計10によって監視する。
図1(a)に示す流路で、メディア式分散機1を使用する場合には、第二流入弁8と第二排出弁9とを閉鎖した状態で、第一流入弁6と第一排出弁7とを開放させる。その後、タンク4内にある被分散液をメディア式分散機1へ送液するための循環ポンプ3を起動する。循環ポンプ3としてはモーノ式、スクリュー式、ロータリー式等が挙げられ、被移送液体により選定されるものであり、特に限定されるものではない。
また、第二流入弁8と第二排出弁9とを開放させた状態で、圧力計10が設定値以上となったら、不図示の制御部がこれを検出し、流路が図1(a)の状態となるように、排出弁と流入弁とを切り替え、流路を切り替える。
メディア式分散機1にて粉砕・分散される工程では、被分散液中の粒状成分とメディア粒子との衝突による粉砕が行われるため発熱する。この発熱に起因する被分散液の昇温をキャンセルするために、タンク4はタンクジャケットが具備されていることが望ましい。
また、タンクジャケットには、加熱流体または冷却流体が通液されることとなるが、いずれの場合でも入口側と出口側との間におけるショートパスを防止するための流路が形成されていることが望ましい。
熱交換器2は、メディア式分散機1の上流側または下流側のどちらに設置してもよく、特に限定されない。
また、上記範囲を逸脱した場合のうち、周速が20[m/s]を超える場合は、メディア粒子同士の磨耗及びメディア粒子と装置の磨耗が激しくなり発熱も大きくなってしまう。メディア粒子同士の磨耗及びメディア粒子と装置の磨耗が激しくなると、装置寿命の低下に繋がる。また、発熱が大きくなると、液温に制限がある場合などでは温度制御が出来ず狙いの分散効果が得られないこととなってしまい好ましくない。
タンク4に貯蔵された被分散液はタンク4内にてタンク内攪拌部材5により撹拌されている。
メディア式分散機1における被分散液の流路は、第一流入弁6及び第一排出弁7を開放する第一の流路と、第二流入弁8及び第二排出弁9を開放する第二の流路との計2つ流路が形成可能であり、第一の流路を先に使用する。
その後、循環ポンプ3を起動し、タンク4に被分散液が戻ることを確認することで、装置全体の配管に被分散液が満たされた状態となったことを確認できる。このとき、タンク4の内側の温度をタンク温度計11で計測し、温度上昇をキャンセルするためにタンクジャケットに冷却水を通水することによりタンク4内の温度を一定に保つことが出来る(ステップS2)。
予め設定された規定の分散時間が経過すると(ステップS4で「No」)、分散機構500が備えるサンプル口20より、被分散液のサンプルを採取し粒径を測定して、狙いの粉砕・分散がなされていることを確認する(ステップS5)。
本実施形態で使用するメディア粒子としては、その粒子径が0.10[mm]以上、0.50[mm]以下であることが望ましい。また、メディア粒子の材質としては、ガラス、鉄、ジルコニア及びチタンが望ましく、特に摩耗性の点からジルコニアを用いることが望ましい。
メディア粒子の充填率が60[%]未満では結晶性ポリエステルの粉砕効率が悪く、被分散液中の粒状成分の粒径が目標粒径到達に長い時間を要する。一方で、メディア粒子の充填率が90[%]を超えると、メディア粒子が被分散液の排出を行っている排出口(201または202)側に偏り易くなり、流路の切り替えを行う回数が多くなりすぎてしまう。そして、結果的に目標粒径到達に長い時間を要してしまうことになる。
また、本実施形態の分散機構500では、流入口(101及び102)に圧力検出手段である圧力計10を有し、圧力計10の検出結果に基づいて、流路の切り替えを自動で行っている。自動で流路の切り替えを行うことで、手動で流路の切り替え作業を行うことなく、分散工程を継続することができる。
以下、従来例として、排出口を一つしか備えないメディア式分散機1を備え、被分散液中の粒状成分の粉砕・分散工程を行う分散機構500について説明する。
図6は、従来例の分散機構500の模式図である。
従来例のメディア式分散機1は、実施形態のメディア式分散機1と同様に、円筒状のステーター15の内部に、ステーター15と同軸に配置され、駆動軸により回転する円筒状のローター14が設けられている。さらに、メディア粒子と被分散液を分離するためのセパレーター17とを備えている。図1及び図2に示す実施形態の分散機構500が備えるメディア式分散機1は、排出口を二つ備え、被分散液を排出する排出口を切り替え、流路の切り替えが出来る構成である。一方、従来例のメディア式分散機1は排出口は一つであり、流路の切り替えが出来ない点で両者は異なる。
循環ポンプ3を起動し一定時間経過後、メディア式分散機1を起動させて粉砕・分散工程をスタートさせる。
従来例では、このような粉砕・分散工程の起動・停止を繰り返しながら結晶粒径が0.1〜0.7[μm]の範囲内になるまで、被分散液の循環を継続し粉砕・分散を行う。
<結晶性ポリエステル>
結晶性ポリエステルとしては、アルコール成分として炭素数2〜6のジオール化合物、特に1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオールおよびこれらの誘導体を80[mol%]以上、好ましくは85〜100[mol%]含有したものと、少なくとも酸性分としてフマル酸もしくは、二重結合(C=C結合)を有するカルボン酸、およびこれらの誘導体を用いて合成される下記一般式(1)で表される講造を有する結晶性ポリエステルが好ましい。
(ここでn、mは繰り返し単位の数である。Lは1〜3の整数である。R1、R2は水素原子もしくは炭化水素基であり、それぞれ同一でも異なっていてもよい。)
結晶性ポリエステルの分子構造は、溶液や固体によるNMR測定の他、X線回折、GC/MS、LC/MS、IR測定などにより確認することができる。しかし、簡便には赤外線吸収スペクトルにおいて、965±10[cm−1]もしくは990±10[cm−1]にオレフィンのδCH(面外変角振動)に基づく吸収を有するものを例としてあげることができる。
本実施形態の分散機構500を用いて製造するトナー中の結晶性ポリエステルは、結晶性をもつがゆえに定着開始温度付近において、急激な粘度低下を示す熱溶融特性を示す。つまり、溶融開始温度直前までは結晶性による耐熱保存性が良く、溶融開始温度では急激な粘度低下(シャープメルト性)を起こし、定着することから、良好な耐熱保存性と低温定着性を兼ね備えたトナーを設計することが出来る。また、離型幅(定着下限温度とホットオフセット発生温度の差)についても、良好な結果を示すことが判った。
本実施形態の分散機構500を用いて製造するトナーには、未変性ポリエステルをトナーバインダー成分として含有させる。未変性ポリエステルの重量平均分子量は、通常1000〜30000、好ましくは1500〜10000、さらに好ましくは2000〜8000である。1000未満では耐熱保存性が悪化し、10000を超えると低温定着性が悪化する。
有機溶媒としては、高温で結晶性ポリエステルを完全に溶解して透明な均一溶液を形成し、その反面、低温に冷却すると結晶性ポリエステルと相分離し、不透明な不均一溶液を形成するものが使用される。詳しくは、結晶性ポリエステルの溶融温度(Tm)を基準として、「溶融温度(Tm)−40[℃]未満の温度では非溶媒の特性を示し、それ以上の温度では良溶媒の特性を示すものであればよい。具体例としてトルエン、酢酸エチル、酢酸ブチル、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンなどを単独あるいは2種以上組合せて用いることができる。
冷却過程で析出する結晶性ポリエステルの分散粒径は溶解液の濃度及び冷却速度によって決まる。この溶液濃度が濃いほど粒径が大きくなるが、次工程での機械的粉砕の効率が悪くなる。また、溶液濃度が薄いほど粒径は小さくなり機械的粉砕での効率は良くなるが、得られる分散液の濃度が低くなることから全体の生産効率は悪くなる。鋭意検討した結果、有機溶媒に結晶性ポリエステルを好ましくは1〜50[重量%]、より好ましくは5〜40[重量%]、一層好ましくは10〜30[重量%]添加することがよい。そして、この混合物を用いる有機溶媒の常圧沸点以下で、約30[分]間撹拌して透明な均一溶解液とする。その後、外部熱交換器を用い循環しながら冷却し、20[℃]以下になれば、析出反応は終了し粗分散液が得られる。ジャケット冷却では、析出する結晶性ポリエステルの粒径が大きくなりやすく後工程での粉砕で効率が悪くなるため、好ましくない。また、結晶性ポリエステルと共に離型剤または未変性ポリエステルを溶解すると、両者が相溶し結晶性ポリエステルとしての機能が失われ、定着下限温度および耐熱保存性が悪化するため、好ましくない。
バインダー樹脂溶解液には結晶性ポリエステルと同じ有機溶媒を用い、バインダー樹脂は結晶性ポリエステルに対し、固形分で重量比1〜3倍添加するのが望ましい。1倍未満では、次工程で粉砕したときに粘度が著しく上昇し、或いは3倍以上では粉砕にかかる時間が長くなるため、適していない。
活性水素基を有する化合物と反応可能な部位を有する重合体としては、イソシアネートやエポキシなどにより変性されたポリエステルプレポリマーを挙げることができる。これは、活性水素基を持つ化合物(アミン類など)と伸長反応し、離型幅(定着下限温度とホットオフセット発生温度の差)の向上に効果をおよぼす。このポリエステルプレポリマーの合成方法としては、ベースとなるポリエステルに、従来公知のイソシアネート化剤やエポキシ化剤などを反応させることで容易に合成することが出来る。
また、エポキシ化剤としては、エピクロロヒドリンなどをその代表例としてあげることが出来る。
このポリエステルプレポリマー中のイソシアネート化剤の含有量は、通常0.5〜40[重量%]、好ましくは1〜30[重量%]、さらに好ましくは2〜20[重量%]である。0.5[重量%]未満では、耐ホットオフセット性が悪化するとともに、耐熱保存性と低温定着性の両立の面で不利になる。また、40[重量%]を超えると低温定着性が悪化する。
活性水素基を有する化合物の代表として、アミン類をあげることができる。
アミン類としては、ジアミン化合物、3価以上のポリアミン化合物、アミノアルコール化合物、アミノメルカプタン化合物、アミノ酸化合物、および、これらのアミノ基をブロックした化合物などが挙げられる。
3価以上のポリアミン化合物としては、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミンなどが挙げられる。
アミノアルコール化合物としては、エタノールアミン、ヒドロキシエチルアニリンなどが挙げられる。
アミノメルカプタン化合物としては、アミノエチルメルカプタン、アミノプロピルメルカプタンなどが挙げられる。
アミノ酸化合物としては、アミノプロピオン酸、アミノカプロン酸などが挙げられる。
着色剤としては公知の染料及び顔料が全て使用でき、例えば、カーボンブラック、ニグロシン染料、鉄黒、ナフトールイエローS、ハンザイエロー(10G、5G、G)、カドミュウムイエロー、黄色酸化鉄、黄土、黄鉛、チタン黄、ポリアゾイエロー、オイルイエロー、ハンザイエロー(GR、A、RN、R)、ピグメントイエローL、ベンジジンイエロー(G、GR)、パーマネントイエロー(NCG)、バルカンファストイエロー(5G、R)、タートラジンレーキ、キノリンイエローレーキ、アンスラザンイエローBGL、イソインドリノンイエロー、ベンガラ、鉛丹、鉛朱、カドミュウムレッド、カドミュウムマーキュリレッド、アンチモン朱、パーマネントレッド4R、パラレッド、ファイセーレッド、パラクロルオルトニトロアニリンレッド、リソールファストスカーレットG、ブリリアントファストスカーレット、ブリリアントカーンミンBS、パーマネントレッド(F2R、F4R、FRL、FRLL、F4RH)、ファストスカーレットVD、ベルカンファストルビンB、ブリリアントスカーレットG、リソールルビンGX、パーマネントレッドF5R、ブリリアントカーミン6B、ポグメントスカーレット3B、ボルドー5B、トルイジンマルーン、パーマネントボルドーF2K、ヘリオボルドーBL、ボルドー10B、ボンマルーンライト、ボンマルーンメジアム、エオシンレーキ、ローダミンレーキB、ローダミンレーキY、アリザリンレーキ、チオインジゴレッドB、チオインジゴマルーン、オイルレッド、キナクリドンレッド、ピラゾロンレッド、ポリアゾレッド、クロームバーミリオン、ベンジジンオレンジ、ペリノンオレンジ、オイルオレンジ、コバルトブルー、セルリアンブルー、アルカリブルーレーキ、ピーコックブルーレーキ、ビクトリアブルーレーキ、無金属フタロシアニンブルー、フタロシアニンブルー、ファストスカイブルー、インダンスレンブルー(RS、BC)、インジゴ、群青、紺青、アントラキノンブルー、ファストバイオレットB、メチルバイオレットレーキ、コバルト紫、マンガン紫、ジオキサンバイオレット、アントラキノンバイオレット、クロムグリーン、ジンクグリーン、酸化クロム、ピリジアン、エメラルドグリーン、ピグメントグリーンB、ナフトールグリーンB、グリーンゴールド、アシッドグリーンレーキ、マラカイトグリーンレーキ、フタロシアニングリーン、アントラキノングリーン、酸化チタン、亜鉛華、リトボン及びそれらの混合物が使用できる。
着色剤の含有量はトナーに対して通常1〜15[重量%]、好ましくは3〜10[重量%]である。
離型剤としてのワックスには、公知のものが使用できるが、中でも、結晶ポリエステルとの親和性がよいことから、ポリオレフィンワックス(ポリエチレンワックス、ポリプロピレンワックスなど);長鎖炭化水素系ワックス(パラフィンワックス、サゾールワックスなど);カルボニル基含有ワックスなどが好ましく挙げられる。これらのうちより好ましいものは、カルボニル基含有ワックスである。
カルボニル基含有ワックスとしては、ポリアルカン酸エステル(カルナバワックス、モンタンワックス、トリメチロールプロパントリベヘネート、ペンタエリスリトールテトラベヘネート、ペンタエリスリトールジアセテートジベヘネート、グリセリントリベヘネート、1,18−オクタデカンジオールジステアレートなど);ポリアルカノールエステル(トリメリット酸トリステアリル、ジステアリルマレエートなど);ポリアルカン酸アミド(エチレンジアミンジベヘニルアミドなど);ポリアルキルアミド(トリメリット酸トリステアリルアミドなど);およびジアルキルケトン(ジステアリルケトンなど)などが挙げられる。これらカルボニル基含有ワックスのうち好ましいものは、ポリアルカン酸エステルである。
また、ワックスの溶融粘度は、融点より20[℃]高い温度での測定値として、5〜1000[cps]が好ましく、さらに好ましくは10〜100[cps]である。1000[cps]を超えるワックスは、耐ホットオフセット性、低温定着性への向上効果に乏しい。
トナーは、必要に応じて帯電制御剤を含有してもよい。帯電制御剤としては公知のものが全て使用でき、例えばニグロシン系染料、トリフェニルメタン系染料、クロム含有金属錯体染料、モリブデン酸キレート顔料、ローダミン系染料、アルコキシ系アミン、4級アンモニウム塩(フッ素変性4級アンモニウム塩を含む)、アルキルアミド、燐の単体または化合物、タングステンの単体または化合物、フッ素系活性剤、サリチル酸金属塩及び、サリチル酸誘導体の金属塩等である。
具体的にはニグロシン系染料のボントロン03、第四級アンモニウム塩のボントロンP−51、含金属アゾ染料のボントロンS−34、オキシナフトエ酸系金属錯体のE−82、サリチル酸系金属錯体のE−84、フェノール系縮合物のE−89(以上、オリエント化学工業社製)、第四級アンモニウム塩モリブデン錯体のTP−302、TP−415(以上、保土谷化学工業社製)、第四級アンモニウム塩のコピーチャージPSY VP2038、トリフェニルメタン誘導体のコピーブルーPR、第四級アンモニウム塩のコピーチャージ NEG VP2036、コピーチャージ NX VP434(以上、ヘキスト社製)、LRA−901、ホウ素錯体であるLR−147(日本カーリット社製)、銅フタロシアニン、ペリレン、キナクリドン、アゾ系顔料、その他スルホン酸基、カルボキシル基、四級アンモニウム塩等の官能基を有する高分子系の化合物が挙げられる。
トナーは、流動性や現像性、帯電性を補助するために外添剤を含有してもよい。外添剤としては、無機微粒子を好ましく用いることができる。この無機微粒子の一次粒子径は、5[mμ]〜2[μm]であることが好ましく、特に5[mμ]〜500[mμ]であることが好ましい。また、BET法による比表面積は、20〜500[m2/g]であることが好ましい。この無機微粒子の使用割合は、トナーの0.01〜5[重量%]であることが好ましく、特に0.01〜2.0[重量%]であることが好ましい。
無機微粒子の具体例としては、例えばシリカ、アルミナ、酸化チタン、チタン酸バリウム、チタン酸マグネシウム、チタン酸カルシウム、チタン酸ストロンチウム、酸化亜鉛、酸化スズ、ケイ砂、クレー、雲母、ケイ灰石、ケイソウ土、酸化クロム、酸化セリウム、ペンガラ、三酸化アンチモン、酸化マグネシウム、酸化ジルコニウム、硫酸バリウム、炭酸バリウム、炭酸カルシウム、炭化ケイ素、窒化ケイ素などを挙げることができる。
この他、高分子系微粒子、例えばソープフリー乳化重合や懸濁重合、分散重合によって得られるポリスチレン、メタクリル酸エステルやアクリル酸エステル共重合体やシリコーン、ベンゾグアナミン、ナイロンなどの重縮合系、熱硬化性樹脂による重合体粒子が挙げられる。
トナーを二成分系現像剤に用いる場合には、磁性キャリアと混合して用いれば良く、現像剤中のキャリアとトナーの含有比は、キャリア100[重量部]に対してトナー1〜10[重量部]が好ましい。磁性キャリアとしては、粒子径20〜200[μm]程度の鉄粉、フェライト粉、マグネタイト粉、磁性樹脂キャリアなど従来から公知のものが使用できる。
また、被覆材料としては、アミノ系樹脂、例えば尿素−ホルムアルデヒド樹脂、メラミン樹脂、ベンゾグアナミン樹脂、ユリア樹脂、ポリアミド樹脂、エポキシ樹脂等があげられる。また、ポリビニルおよびポリビニリデン系樹脂、例えばアクリル樹脂、ポリメチルメタクリレート樹脂、ポリアクリロニトリル樹脂、ポリ酢酸ビニル樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、ポリスチレン樹脂およびスチレンアクリル共重合樹脂等のポリスチレン系樹脂、ポリ塩化ビニル等のハロゲン化オレフィン樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂およびポリブチレンテレフタレート樹脂等のポリエステル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリフッ化ビニル樹脂、ポリフッ化ビニリデン樹脂、ポリトリフルオロエチレン樹脂、ポリヘキサフルオロプロピレン樹脂、フッ化ビニリデンとアクリル単量体との共重合体、フッ化ビニリデンとフッ化ビニルとの共重合体、テトラフルオロエチレンとフッ化ビニリデンと非フッ化単量体とのターポリマー等のフルオロターポリマー、およびシリコーン樹脂等が使用できる。また、必要に応じて、導電粉等を被覆樹脂中に含有させてもよい。導電粉としては、金属粉、カーボンブラック、酸化チタン、酸化錫、酸化亜鉛等が使用できる。これらの導電粉は、平均粒子径1[μm]以下のものが好ましい。平均粒子径が1[μm]よりも大きくなると、電気抵抗の制御が困難になる。また、トナーはキャリアを使用しない1成分系の磁性トナー或いは、非磁性トナーとしても用いることができる。
<結晶性ポリエステル粗分散液の作製>
結晶性ポリエステルを19[重量%]で極性有機溶媒中に混合し、55[℃]で1[時間]溶解させた。その後、7[℃]の冷却水を用いた外部熱交換器を使用して20[℃]以下になるまで冷却し結晶性ポリエステルを析出させて粗分散液を得た。ここで得た結晶性ポリエステルの粗分散液を、図1に示すメディア式分散機1を備えた図2に示す分散機構500を用いて粒径0.2〜0.7[μm]となるまで下記条件にて粉砕・分散を行い、結晶性ポリエステル分散液を得た。このとき、結晶性ポリエステル分散液を得るまでに掛かった時間、流路の切り替え回数及び切り替え作業に要した時間を計測した。
実施例1の分散条件を以下に示す。
・メディア粒子径:0.5[mm]
・メディア粒子充填率:85[%]
・メディア式分散機のローター周速:8.0[m/sec]
・粗分散液循環量:30[kg/min]
・流路の切り替えタイミングの圧力設定値:0.3[MPa]
・流路の切り替え:手動にて実施した。
実施例1の構成で分散を行った結果を以下に示す。
・工程停止回数:0[回]
・工程停止時間:0[min]
・流路の切り替え回数:25[回]
・流路の切り替え作業時間:25[min]
・工程時間:1025[min]
実施例1と同様の操作を実施し結晶性ポリエステル粗分散液を得た。ここで得た結晶性ポリエステルの粗分散液を、図1に示すメディア式分散機1を備えた図2に示す分散機構500を用いて粒径0.2〜0.7[μm]となるまで下記条件にて粉砕・分散を行い、結晶性ポリエステル分散液を得た。このとき、結晶性ポリエステル分散液を得るまでに掛かった時間、流路の切り替え回数を計測した。
実施例2の分散条件を以下に示す。
・メディア粒子径:0.5[mm]
・メディア粒子充填率:85[%]
・メディア式分散機のローター周速:8.0[m/sec]
・粗分散液循環量:30[kg/min]
・流路の切り替えタイミングの圧力設定値:0.3[MPa]
・流路の切り替え:メディア式分散機入口に設けた圧力計により圧力を自動判定し自動にて流路の切り替えを行った。
実施例2の構成で分散を行った結果を以下に示す。
・工程停止回数:0[回]
・工程停止時間:0[min]
・流路の切り替え回数:24[回]
・流路の切り替え作業時間:0[min]
・工程時間:1018[min]
実施例1と同様の操作を実施し結晶性ポリエステル粗分散液を得た。ここで得た結晶性ポリエステルの粗分散液を、図5の従来例の分散機構500を用いて粒径0.2〜0.7[μm]となるまで下記条件にて粉砕・分散を行い、結晶性ポリエステル分散液を得た。このとき、結晶性ポリエステル分散液を得るまでに掛かった時間、工程停止回数及び停止時間を計測した。
比較例1の分散条件を以下に示す。
・メディア粒子径:0.5[mm]
・メディア粒子充填率:85[%]
・メディア式分散機のローター周速:8.0[m/sec]
・粗分散液循環量:30[kg/min]
・機器破損防止のための保安回路作動タイミングの圧力設定値:0.3[MPa]
・粉砕・分散を再スタートすることができる圧力設定値:0.15[MPa]
比較例1の構成で分散を行った結果を以下に示す。
・工程停止回数:25[回]
・工程停止時間:175[min]
・工程時間:1,200[min]
(態様A)
内部に被分散液が通過する分散室を形成する円筒状のステーター15等のステーターと、ステーターの内部にステーターに対して中心軸が重なるように配置され中心軸を中心に回転可能な円筒状のローター14等のローターとを備え、ローターの回転によって被分散液とともに攪拌されることで、被分散液の分散を促すメディア粒子を分散室内に収容し、被分散液が分散室に流入する第一流入口101及び第二流入口102等の流入口と、分散室から被分散液を排出する第一排出口201及び第二排出口202等の排出口と、排出口に向かうメディア粒子の通過を妨げ、排出口に向かう被分散液からメディア粒子を分離させるセパレーター17等のメディア粒子分離部材とを備えるメディア式分散機1等のメディア式分散機において、排出口を複数備え、被分散液を排出させる該排出口を切り替える不図示の制御部、第一排出弁7及び第二排出弁9等の排出口切替手段を備える。
これによれば、上記実施形態について説明したように、分散工程での処理時間の延長を抑制しつつ、メディア粒子分離部材の目詰りを解消できる。
(態様B)
態様1において、不図示の制御部、第一排出弁7及び第二排出弁9等の排出口切替手段は、被分散液を排出させる排出口を自動で切り替える。
これによれば、上記実施形態について説明したように、自動で流路の切り替えを行うことで、手動で流路の切り替え作業を行うことなく、分散工程を継続することができる。
(態様C)
請求項1または2のメディア式分散機において、流入口を複数備え、被分散液を流入させる流入口を切り替える不図示の制御部、第一流入弁6及び第二流入弁8等の流入口切替手段を備える。
これによれば、上記実施形態について説明したように、排出口のみを切り替えるよりもメディア式分散機内での被分散液の流れの変化が大きくなり、セパレーター17等のメディア粒子分離部材に付着したメディア粒子がさらに離間し易くなる。このため、より効率的に目詰りを解消することができる。
(態様D)
態様Cにおいて、不図示の制御部、第一流入弁6及び第二流入弁8等の流入口切替手段は被分散液を流入させる入出口を自動で切り替える。
これによれば、上記実施形態について説明したように、自動で流路の切り替えを行うことで、手動で流路の切り替え作業を行うことなく、分散工程を継続することができる。
(態様E)
結晶性ポリエステル等の電子写真用トナーの材料を分散させる分散工程を備えるトナー製造方法において、分散工程で態様A乃至Dの何れかに記載のメディア式分散機を用いる。
これによれば、上記実施形態について説明したように、分散工程での処理時間の延長を抑制しつつ、メディア粒子分離部材の目詰りを解消できるため、分散工程時間の短縮を図りつつ、分級工程を安定稼動することができる。よって、トナー製造工程全体についても製造時間の短縮を図りつつ、品質が安定したトナー製造を行うことができる。
2 熱交換器
3 循環ポンプ
4 タンク
5 タンク内攪拌部材
6 第一流入弁
6a 流入弁
7 第一排出弁
7a 排出弁
8 第二流入弁
9 第二排出弁
10 圧力計
11 タンク温度計
12 タンク底弁
14 ローター
14a ローターピン
15 ステーター
15a ステーターピン
16 粉砕室
17 セパレーター
17a 第一セパレーター
17b 第二セパレーター
18 スリット
19 突き出し加工
20 サンプル口
51 タンク内攪拌モータ
52 ローター回転モータ
101 第一流入口
102 第二流入口
201 第一排出口
202 第二排出口
500 分散機構
Claims (5)
- 内部に被分散液が通過する分散室を形成する円筒状のステーターと、
該ステーターの内部に該ステーターに対して中心軸が重なるように配置され該中心軸を中心に回転可能な円筒状のローターとを備え、
該ローターの回転によって被分散液とともに攪拌されることで、被分散液の分散を促すメディア粒子を該分散室内に収容し、
被分散液が該分散室に流入する流入口と、該分散室から被分散液を排出する排出口と、
該排出口に向かう該メディア粒子の通過を妨げ、該排出口に向かう被分散液から該メディア粒子を分離させるメディア粒子分離部材とを備えるメディア式分散機において、
上記排出口を複数備え、被分散液を排出させる該排出口を切り替える排出口切替手段を備えることを特徴とするメディア式分散機。 - 請求項1のメディア式分散機において、
上記排出口切替手段は被分散液を排出させる上記排出口を自動で切り替えることを特徴とするメディア式分散機。 - 請求項1または2のメディア式分散機において、
上記流入口を複数備え、被分散液を流入させる該流入口を切り替える流入口切替手段を備えることを特徴とするメディア式分散機。 - 請求項3のメディア式分散機において、
上記流入口切替手段は被分散液を流入させる上記入出口を自動で切り替えることを特徴とするメディア式分散機。 - 電子写真用トナーの材料を分散させる分散工程を備えるトナー製造方法において、
上記分散工程で請求項1乃至4の何れかに記載のメディア式分散機を用いることを特徴とするトナー製造方法。
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