以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、図中同一または相当部分には同一符号を付してその説明は繰返さない。
(充電システムの構成)
図1は、この発明の実施の形態による変換ユニットを用いた充電システムの全体構成図である。図1を参照して、充電システムは、車両100と、変換ユニット200と、電力ケーブル300と、外部電源400とを備える。車両100は、受電部110と、変換部120と、蓄電装置130と、通信部140と、ECU(Electronic Control Unit)150(以下「車両ECU150」と称する。)と、コネクタ160,172と、インレット174とを含む。
受電部110は、車両外部の送電装置から送出される電力を非接触で受電可能に構成され、受電した電力を変換部120へ出力する。具体的には、受電部110は、変換ユニット200の送電部220(後述)や、車両100へ非接触で電力を供給するための非接触給電設備(図示せず)の送電部から非接触で受電可能に構成される。受電部110は、たとえば車体底面の車体外部に設けられる。受電部110の具体的な構成については、変換ユニット200の送電部220の構成とともに後ほど説明する。
変換部120は、受電部110によって受電される交流電力を直流電力に変換して蓄電装置130へ出力する。変換部120としては、たとえば、ダイオードブリッジから成る整流器を用いてもよいし、スイッチング素子をスイッチング制御して整流を行なうスイッチングレギュレータを用いてもよい。
蓄電装置130は、再充電可能に構成された電力貯蔵要素である。蓄電装置130は、たとえば、リチウムイオン電池、ニッケル水素電池あるいは鉛蓄電池などの二次電池や、電気二重層キャパシタなどの蓄電素子を含んで構成される。蓄電装置130は、受電部110により受電された電力を変換部120から受けて蓄電する。蓄電装置130は、走行用の電力を蓄えており、図示されない走行用モータへ電力を供給する。また、車両100の制動時には、走行用モータが発電する電力を蓄えることも可能である。
なお、車両100がエンジンを搭載したハイブリッド車両の場合には、蓄電装置130は、エンジンの動力を用いて発電用モータ(図示せず)により発電された電力を蓄える。また、発電用モータがエンジンの始動モータとして用いられる場合には、蓄電装置130は、エンジンを始動するための電力を発電用モータへ供給する。
通信部140は、図示されない非接触給電設備を用いた非接触充電時に、非接触給電設備と無線により通信を行なう。なお、後述のように、変換ユニット200を用いた接触充電時における車両100と変換ユニット200との通信は、コネクタ160,274を介して行なわれる。
車両ECU150は、予め記憶されたプログラムをCPU(Central Processing Unit)で実行するソフトウェア処理および/または電子回路によるハードウェア処理により、外部電源400による蓄電装置130の充電(以下「外部充電」とも称する。)時に、蓄電装置130の充電状態(以下「SOC(State Of Charge)」と称する。)の管理や変換部120の駆動等を含む充電制御を実行する。
コネクタ160は、変換ユニット200のコネクタ274に嵌合可能に構成される。コネクタ160がコネクタ274に接続されているとき、車両ECU150は、コネクタ160,274を介して変換ユニット200のECU272と情報をやり取りする。また、コネクタ160がコネクタ274に接続されているとき、車両100から変換ユニット200へ動作電力が供給される。
コネクタ172およびインレット174は、電力線によって電気的に接続される。コネクタ172は、変換ユニット200のコネクタ230に嵌合可能に構成される。インレット174は、電力ケーブル300のコネクタ310を嵌合可能に構成される。変換ユニット200は車両100の底面において受電部110に装着されるので、変換ユニット200への電力ケーブル300の接続作業を容易にするためにコネクタ172およびインレット174が設けられる。したがって、電力ケーブル300のコネクタ310を嵌合可能なインレットを変換ユニット200に設け、コネクタ310を変換ユニット200に直接接続するようにしてもよい。
変換ユニット200は、送電部220と、コネクタ230,274と、変換部240と、ECU272(以下「変換ユニットECU272」と称する。)とを含む。変換ユニット200は、車両100に対して着脱可能であり、車両100(受電部110)に装着されて使用される。変換ユニット200は、電力ケーブル300に接続される外部電源400と車両100との間の電力インターフェースを変換する。具体的には、変換ユニット200は、電力ケーブル300を用いた接触給電方式を、受電部110および送電部220を用いた非接触給電方式に変換する。
コネクタ230は、コネクタ172を嵌合可能に構成される。インレット174は、電力ケーブル300のコネクタ310を嵌合可能に構成される。コネクタ230にコネクタ172が接続され、インレット174に電力ケーブル300のコネクタ310が接続されているとき、外部電源400から供給される電力がコネクタ230から入力される。
変換部240は、コネクタ230から入力される電力を所定の送電周波数を有する交流電力に変換して送電部220へ出力する。送電部220は、変換部240から供給される電力を車両100の受電部110へ非接触で送電可能に構成される。送電部220および変換部240の具体的な構成については、後ほど説明する。
変換ユニットECU272は、予め記憶されたプログラムをCPUで実行するソフトウェア処理および/または電子回路によるハードウェア処理により、電力ケーブル300を用いた外部充電時に、電力ケーブル300に設けられるEVSE320(後述)の制御や、車両100からの電力指令に基づく変換部240の駆動制御等を実行する。
コネクタ274は、車両100のコネクタ160を嵌合可能に構成される。コネクタ274にコネクタ160が接続されているとき、変換ユニットECU272は、コネクタ274,160を介して車両100の車両ECU150と情報をやり取りする。
電力ケーブル300は、コネクタ310と、EVSE(Electric Vehicle Supply Equipment)320とを含む。コネクタ310は、インレット174に嵌合可能に構成される。そして、コネクタ310がインレット174に接続され、コネクタ230にコネクタ172が接続されているとき、コネクタ310は、外部電源400から電力ケーブル300を介して供給される電力を変換ユニット200へ供給する。
EVSE320は、電力ケーブル300の電路を電気的に遮断可能に構成される。コネクタ230にコネクタ172が接続され、インレット174にコネクタ310が接続されているとき、EVSE320は、パイロット信号(後述)を生成して変換ユニット200へ出力する。そうすると、変換ユニット200においてパイロット信号の電位が操作され、パイロット信号の電位に基づいてEVSE320が制御される。EVSE320は、電力ケーブル300が接続される電源スタンド(図示せず)内に設けてもよい。EVSE320の構成については、後ほど詳しく説明する。
図2は、図1に示した受電部110および送電部220の構成を概略的に示した図である。図2を参照して、受電部110は、図示されない筐体に格納され、コイル111と、フェライトコア115とを含む。コイル111は、フェライトコア115の周面に巻回される。コイル111は、巻回軸線O1の周囲を取り囲むとともに巻回軸線O1の方向に変位するようにコイル線を巻回して形成される。
送電部220も、図示されない筐体に格納され、コイル221と、フェライトコア225とを含む。コイル221は、フェライトコア225の周面に巻回される。コイル221は、巻回軸線O2の周囲を取り囲むとともに巻回軸線O2の方向に変位するようにコイル線を巻回して形成される。
送電部220のコイル221に電流が流されると、送電部220と受電部110との間に巻回軸線O1,O2および線180で示される磁界が形成され、送電部220から受電部110へ非接触で電力が伝送される。この非接触電力伝送の原理については、後ほど詳しく説明する。
なお、この実施の形態では、受電部110および送電部220は、巻回軸線が車体に対して平行となる所謂ソレノイド型のコイル構成としたが、コイルの巻回軸線が車体に対して垂直となる所謂ディスク型のコイル構成(図示せず)としてもよい。
図3,4は、変換ユニット200が車両100に装着される様子を示した図である。図3は、車両100の底面12に設けられる受電部110の近傍を車体右方向から見た図である。図4は、受電部110および変換ユニット200の上面図である。図3,4を参照して、「U」は車体上方向を示し、「D」は車体下方向を示す。「F」は車体前方向を示し、「B」は車体後方向を示す。また、「R」は車体右方向を示し、「L」は車体左方向を示す。
受電部110は、筐体116内に設けられている。受電部110は、図3に示される支持部材32,34によって車体の底面12に支持される。なお、底面12に支持されるとは、フロアパネルに直付けされる場合や、フロアパネルやサイドメンバー、クロスメンバー等から懸架される場合も含む。支持部材32,34の端部は回転可能となっており、たとえば支持部材32の底面側端部に設けられるモータ36を作動させることによって、底面12に設けられる待機位置13から受電部110を引出可能となっている。
変換ユニット200は、受電部110に着脱可能に構成される。受電部110の筐体116には、変換ユニット200を取り付けるためのガイド117が設けられている。変換ユニット200にも、ガイド202が設けられている。変換ユニット200のガイド202を受電部110のガイド117に沿ってスライドさせることによって、受電部110の下面側に変換ユニット200を取付けることができる。
受電部110が底面12に近接した状態(たとえば待機位置13)では、変換ユニット200の着脱操作を実施しにくいので、変換ユニット200の着脱時には、モータ36を作動させることによって、図3に示されるような所定の取付可能位置まで受電部110を下降させる。
図5,6は、変換ユニット200が受電部110に装着された状態を示した図である。図5は、受電部110の近傍を車体右方向から見た図である。図6は、車両100を後方から見た図である。図5を参照して、変換ユニット200が受電部110に装着された状態で受電部110および変換ユニット200を待機位置13に格納可能である。この状態で車両100を走行可能である。
図6を参照して、車両100に設けられるコネクタ172,160(図1)をそれぞれ変換ユニット200のコネクタ230,274に接続することにより、受電部110を備える非接触充電向けの車両100を、インレット174に接続される電力ケーブル300(図示せず)から受電する接触充電方式で充電することができる。なお、図6では、インレット174が荷室40に設けられる構成が代表的に示されているが、荷室40以外の場所(たとえば車体側面)にインレット174を設けてもよい。
なお、図7は、車両外部の非接触給電設備から車両100を非接触で充電する際の受電部110の動作位置を示した図である。図7を参照して、非接触給電設備の送電部410は、地面420に設けられる。送電部410に対して車両100の駐車位置合わせが行なわれると、受電部110が送電部410に対向するように、モータ36を作動させることによって受電部110を受電位置まで下降させる。この状態で、送電部410から受電部110へ非接触で電力を高効率に伝送することができる。
図8は、変換ユニット200および電力ケーブル300の電気的な構成を示した図である。図8を参照して、変換ユニット200は、コネクタ230,274と、電力線252と、コンバータ254,256と、送電部220と、変換ユニットECU272と、リレー276とを含む。変換ユニットECU272は、I/F部268と、制御部270とを含む。
電力線252は、コネクタ230とコンバータ254との間に配線される。コンバータ254は、制御部270からの制御信号に基づいて、コネクタ230から入力される外部電源400からの交流電力を直流電力に変換してコンバータ256へ出力する。コンバータ256は、制御部270からの制御信号に基づいて、コンバータ254から受ける直流電力を、所定の送電周波数を有する交流電力に変換して送電部220へ出力する。
I/F部268は、コネクタ274に車両100のコネクタ160が接続されているとき、車両100の補機電池170(図1では図示せず)から電力の供給を受けて起動する。そして、コネクタ230にコネクタ172が接続され、かつ、インレット174に電力ケーブル300のコネクタ310が接続されているとき、I/F部268は、電力ケーブル300のEVSE320により生成されてコネクタ230から入力されるパイロット信号CPLTの電位を操作することによってEVSE320のCCIDリレー322(後述)を遠隔制御する。また、I/F部268は、コネクタ230からの入力電圧(電力線252の電圧)が正常であると判断すると、リレー276を導通状態にする。
制御部270は、I/F部268によってリレー276が導通状態にされると、車両100の補機電池170から電力の供給を受けて起動する。制御部270は、コネクタ160,274を介して車両ECU150と通信を行ない、車両100への送電開始や停止、送電電力等の各種情報を車両ECU150とやり取りする。そして、制御部270は、車両ECU150との通信内容に従ってコンバータ254,256を制御する。具体的には、制御部270は、所定の送電周波数を有する送電電力が送電部220から車両100へ出力されるようにコンバータ254,256を制御する。
なお、コネクタ160,274を介して車両100(車両ECU150)と変換ユニット200(変換ユニットECU272)との間で通信が行なわれるので、コネクタ274は、車両100と通信するための信号線(コネクタ160)を接続可能な信号端子である。また、コネクタ160,274を介して車両100(補機電池170)から変換ユニット200(変換ユニットECU272)へ動作電力が供給されるので、コネクタ274は、車両100から動作電力を受けるための電源端子でもある。
電力ケーブル300のEVSE320は、CCID(Charging Circuit Interrupt Device)リレー322と、CPLT制御回路324とを含む。CCIDリレー322は、外部電源400とコネクタ310との間の電路に設けられ、CPLT制御回路324によって制御される。
CPLT制御回路324は、電力ケーブル300から電力を受ける装置(ここでは変換ユニット200)とともにコントロールパイロット回路を形成する。CPLT制御回路324は、パイロット信号CPLTを生成してコネクタ310へ出力する。コネクタ310がインレット174に接続され、さらにコネクタ172がコネクタ230に接続されると、変換ユニット200のI/F部268にパイロット信号CPLTが入力される。そして、I/F部268においてパイロット信号CPLTの電位を操作することによって、変換ユニット200からCCIDリレー322が遠隔操作される。なお、パイロット信号CPLTは、たとえば、アメリカ合衆国の「SAE J1772(SAE Electric Vehicle Conductive Charge Coupler)」に準拠するものである。
(コントロールパイロット回路の構成)
図9は、CPLT制御回路324と変換ユニット200のI/F部268とによって形成されるコントロールパイロット回路の等価回路図である。図9を参照して、CPLT制御回路324は、発振器332と、抵抗素子334と、電圧センサ336とを含む。発振器332は、抵抗素子334の出力電位が規定の電位V1(たとえば12V)近傍のときは非発振のパイロット信号CPLTを出力し、抵抗素子334の出力電位がV1から低下すると、規定の周波数(たとえば1kHz)およびデューティー比で発振するパイロット信号CPLTを出力する。なお、デューティー比は、電力ケーブル300から供給可能な定格電流に基づいて設定される。
変換ユニット200のI/F部268は、抵抗素子342,344と、リレー346と、CPU(Central Processing Unit)348とを含む。抵抗素子342は、パイロット信号CPLTが伝送されるコントロールパイロット線と接地ノードとの間に接続される。抵抗素子344およびリレー346は、コントロールパイロット線と接地ノードとの間に直列に接続される。
CPU348は、リレー346を制御する。具体的には、パイロット信号CPLTがI/F部268に入力されると、抵抗素子342によってパイロット信号CPLTの電位はV1からV2に低下し、パイロット信号CPLTが発振する。車両100の充電準備が完了すると、CPU348は、リレー346をオンさせる。これによりパイロット信号CPLTの電位がV2からV3へさらに低下し、パイロット信号CPLTの電位がV3となったことを検知したCPLT制御回路324によってCCIDリレー322(図8)が導通状態に制御される。
図10は、パイロット信号CPLTの波形図である。図10とともに図9を参照して、時刻t1以前においては、インレット174(図8)にコネクタ310が接続されていないものとする(なお、コネクタ172,230は接続されているものとする。)。このとき、パイロット信号CPLTの電位はV1であり、パイロット信号CPLTは非発振状態である。
時刻t1において、インレット174にコネクタ310が接続されると、パイロット信号CPLTがI/F部268に入力される。そうすると、パイロット信号CPLTの電位はV1からV2に低下し、パイロット信号CPLTは発振する。
時刻t2において、所定の充電準備が完了すると、CPU348は、リレー346をオンにする。そうすると、パイロット信号CPLTの電位はV2からV3へさらに低下する。パイロット信号CPLTの電位がV3になると、EVSE320において、CPLT制御回路324によってCCIDリレー322が導通状態に制御される。
(非接触電力伝送の原理)
次に、変換ユニット200の送電部220から車両100の受電部110への電力伝送の原理について説明する。
図11は、送電部220および受電部110の構成を示した図である。図11を参照して、送電部220は、コイル221(以下「共振コイル」とも称し、「共鳴コイル」等と適宜称してもよい。)と、キャパシタ222と、コイル223(以下「電磁誘導コイル」とも称する。)とを含む。
電磁誘導コイル223は、電磁誘導により共振コイル221と磁気的に結合可能である。電磁誘導コイル223は、コンバータ256(図8)から供給される交流電力を、電磁誘導によって共振コイル221に伝達する。共振コイル221は、電磁誘導コイル223から伝達された電力を、車両100の受電部110へ非接触で転送する。
受電部110は、コイル111(以下「共振コイル」とも称し、「共鳴コイル」等と適宜称してもよい。)と、キャパシタ112と、コイル113(以下「電磁誘導コイル」とも称する。)とを含む。
共振コイル111は、送電部220の共振コイル221から非接触で電力を受電する。電磁誘導コイル113は、電磁誘導により共振コイル111と磁気的に結合可能である。電磁誘導コイル113は、共振コイル111により受電された電力を電磁誘導により取出して変換部120(図8)へ出力する。
なお、図11においては、受電部110および送電部220がそれぞれ電磁誘導コイル113,223を有する構成を示したが、図12に示される構成のように、受電部110および送電部220が電磁誘導コイルを備えない構成とすることも可能である。この場合には、送電部220においては、共振コイル221がコンバータ256(図8)に接続され、受電部110においては、共振コイル111が変換部120(図8)に接続される。
なお、送電部220において、キャパシタ222(224)は、共振コイル221に直列に接続されて共振コイル221とLC共振回路を形成するが、キャパシタ222(224)は、共振コイル221に並列に接続してもよい。また、受電部110においても、キャパシタ112(114)は、共振コイル111に直列に接続されて共振コイル111とLC共振回路を形成するが、キャパシタ112(114)は、共振コイル111に並列に接続してもよい。
図13は、変換ユニット200から車両100への電力伝送時の等価回路図である。図13を参照して、変換ユニット200において、送電部220の電磁誘導コイル223は、共振コイル221と所定の間隔をおいて配置される。電磁誘導コイル223は、電磁誘導により共振コイル221と磁気的に結合し、コンバータ256から供給される交流電力を電磁誘導により共振コイル221へ供給する。
共振コイル221は、キャパシタ222とともにLC共振回路を形成する。なお、後述するように、車両100の受電部110においてもLC共振回路が形成される。共振コイル221およびキャパシタ222によって形成されるLC共振回路の固有周波数と、受電部110のLC共振回路の固有周波数との差は、前者の固有周波数または後者の固有周波数の±10%以下である。そして、共振コイル221は、電磁誘導コイル223から電磁誘導により電力を受け、車両100の受電部110へ非接触で送電する。
なお、電磁誘導コイル223は、コンバータ256から共振コイル221への給電を容易にするために設けられるものであり、図12に示したように、電磁誘導コイル223を設けずに共振コイル221にコンバータ256を直接接続してもよい。また、キャパシタ222は、共振回路の固有周波数を調整するために設けられるものであり、共振コイル221の浮遊容量を利用して所望の固有周波数が得られる場合には、キャパシタ222を設けない構成としてもよい。
一方、車両100において、受電部110の共振コイル111は、キャパシタ112とともにLC共振回路を形成する。上述のように、共振コイル111およびキャパシタ112によって形成されるLC共振回路の固有周波数と、変換ユニット200の送電部220における、共振コイル221およびキャパシタ222によって形成されるLC共振回路の固有周波数との差は、前者の固有周波数または後者の固有周波数の±10%である。そして、共振コイル111は、変換ユニット200の送電部220から非接触で受電する。
電磁誘導コイル113は、共振コイル111と所定の間隔をおいて配置される。電磁誘導コイル113は、電磁誘導により共振コイル111と磁気的に結合し、共振コイル111によって受電された電力を電磁誘導により取出して電気負荷118へ出力する。電気負荷118は、受電部110によって受電された電力を受ける電気機器であり、具体的には、変換部120(図8)以降の電気機器を包括的に表わしたものである。
なお、電磁誘導コイル113は、共振コイル111からの電力の取出しを容易にするために設けられるものであり、図12に示したように、電磁誘導コイル113を設けずに共振コイル111を電気負荷118に直接接続してもよい。また、キャパシタ112は、共振回路の固有周波数を調整するために設けられるものであり、共振コイル111の浮遊容量を利用して所望の固有周波数が得られる場合には、キャパシタ112を設けない構成としてもよい。
変換ユニット200において、コンバータ256から電磁誘導コイル223へ交流電力が供給され、電磁誘導コイル223を用いて共振コイル221へ電力が供給される。そうすると、共振コイル221と車両100の共振コイル111との間に形成される磁界を通じて共振コイル221から共振コイル111へエネルギ(電力)が移動する。共振コイル111へ移動したエネルギ(電力)は、電磁誘導コイル113を用いて取出され、車両100の電気負荷118へ伝送される。
上述のように、この電力伝送システムにおいては、変換ユニット200の送電部220の固有周波数と、車両100の受電部110の固有周波数との差は、送電部220の固有周波数または受電部110の固有周波数の±10%以下である。このような範囲に送電部220および受電部110の固有周波数を設定することで電力伝送効率を高めることができる。一方、上記の固有周波数の差が±10%よりも大きくなると、電力伝送効率が10%よりも小さくなり、電力伝送時間が長くなるなどの弊害が生じる可能性がある。
なお、送電部220(受電部110)の固有周波数とは、送電部220(受電部110)を構成する電気回路(共振回路)が自由振動する場合の振動周波数を意味する。なお、送電部220(受電部110)を構成する電気回路(共振回路)において、制動力または電気抵抗を実質的に零としたときの固有周波数は、送電部220(受電部110)の共振周波数とも呼ばれる。
図14および図15を用いて、固有周波数の差と電力伝送効率との関係とを解析したシミュレーション結果について説明する。図14は、電力伝送システムのシミュレーションモデルを示す図である。また、図15は、送電部および受電部の固有周波数のズレと電力伝送効率との関係を示す図である。
図14を参照して、電力伝送システム89は、送電部90と、受電部91とを備える。送電部90は、第1コイル92と、第2コイル93とを含む。第2コイル93は、共振コイル94と、共振コイル94に設けられたキャパシタ95とを含む。受電部91は、第3コイル96と、第4コイル97とを備える。第3コイル96は、共振コイル99とこの共振コイル99に接続されたキャパシタ98とを含む。
共振コイル94のインダクタンスをインダクタンスLtとし、キャパシタ95のキャパシタンスをキャパシタンスC1とする。また、共振コイル99のインダクタンスをインダクタンスLrとし、キャパシタ98のキャパシタンスをキャパシタンスC2とする。このように各パラメータを設定すると、第2コイル93の固有周波数f1は、下記の式(1)によって示され、第3コイル96の固有周波数f2は下記の式(2)によって示される。
f1=1/{2π(Lt×C1)1/2} … (1)
f2=1/{2π(Lr×C2)1/2} … (2)
ここで、インダクタンスLrおよびキャパシタンスC1,C2を固定して、インダクタンスLtのみを変化させた場合において、第2コイル93および第3コイル96の固有周波数のズレと電力伝送効率との関係を図5に示す。なお、このシミュレーションにおいては、共振コイル94および共振コイル99の相対的な位置関係は固定とし、さらに、第2コイル93に供給される電流の周波数は一定である。
図15に示すグラフのうち、横軸は固有周波数のズレ(%)を示し、縦軸は一定周波数の電流における電力伝送効率(%)を示す。固有周波数のズレ(%)は、下記の式(3)によって示される。
(固有周波数のズレ)={(f1−f2)/f2}×100(%) … (3)
図15から明らかなように、固有周波数のズレ(%)が0%の場合には、電力伝送効率は100%近くとなる。固有周波数のズレ(%)が±5%の場合には、電力伝送効率は40%程度となる。固有周波数のズレ(%)が±10%の場合には、電力伝送効率は10%程度となる。固有周波数のズレ(%)が±15%の場合には、電力伝送効率は5%程度となる。すなわち、固有周波数のズレ(%)の絶対値(固有周波数の差)が、第3コイル96の固有周波数の10%以下の範囲となるように第2コイル93および第3コイル96の固有周波数を設定することで、電力伝送効率を実用的なレベルに高めることができることがわかる。さらに、固有周波数のズレ(%)の絶対値が第3コイル96の固有周波数の5%以下となるように第2コイル93および第3コイル96の固有周波数を設定すると、電力伝送効率をさらに高めることができるのでより好ましい。なお、シミュレーションソフトしては、電磁界解析ソフトウェア(JMAG(登録商標):株式会社JSOL製)を採用している。
再び図13を参照して、送電部220および受電部110は、送電部220と受電部110との間に形成される磁界および電界の少なくとも一方を通じて、非接触で電力を授受する。送電部220と受電部110との間に形成される磁界および/または電界は、特定の周波数で振動する。そして、送電部220と受電部110とを電磁界によって共振(共鳴)させることで、送電部220から受電部110へ電力が伝送される。
ここで、送電部220の周囲に形成される特定の周波数の磁界について説明する。「特定の周波数の磁界」は、典型的には、電力伝送効率と送電部220に供給される電流の周波数と関連性を有する。そこで、まず、電力伝送効率と、送電部220に供給される電流の周波数との関係について説明する。送電部220から受電部110に電力を伝送するときの電力伝送効率は、送電部220および受電部110間の距離などの様々な要因よって変化する。たとえば、送電部220および受電部110の固有周波数(共振周波数)をf0とし、送電部220に供給される電流の周波数をf3とし、送電部220および受電部110の間のエアギャップをエアギャップAGとする。
図16は、固有周波数f0を固定した状態で、エアギャップAGを変化させたときの電力伝送効率と、送電部220に供給される電流の周波数f3との関係を示すグラフである。図16を参照して、横軸は、送電部220に供給される電流の周波数f3を示し、縦軸は、電力伝送効率(%)を示す。効率曲線L1は、エアギャップAGが小さいときの電力伝送効率と、送電部220に供給される電流の周波数f3との関係を模式的に示す。この効率曲線L1に示すように、エアギャップAGが小さい場合には、電力伝送効率のピークは周波数f4,f5(f4<f5)において生じる。エアギャップAGを大きくすると、電力伝送効率が高くなるときの2つのピークは、互いに近づくように変化する。そして、効率曲線L2に示すように、エアギャップAGを所定距離よりも大きくすると、電力伝送効率のピークは1つとなり、送電部220に供給される電流の周波数が周波数f6のときに電力伝送効率がピークとなる。エアギャップAGを効率曲線L2の状態よりもさらに大きくすると、効率曲線L3に示すように電力伝送効率のピークが小さくなる。
たとえば、電力伝送効率の向上を図るため手法として次のような手法が考えられる。第1の手法としては、エアギャップAGにあわせて、送電部220に供給される電流の周波数を一定として、キャパシタ222やキャパシタ112のキャパシタンスを変化させることで、送電部220と受電部110との間での電力伝送効率の特性を変化させる手法が考えられる。具体的には、送電部220に供給される電流の周波数を一定とした状態で、電力伝送効率がピークとなるように、キャパシタ222およびキャパシタ112のキャパシタンスを調整する。この手法では、エアギャップAGの大きさに関係なく、送電部220および受電部110に流れる電流の周波数は一定である。
また、第2の手法としては、エアギャップAGの大きさに基づいて、送電部220に供給される電流の周波数を調整する手法である。たとえば、電力伝送特性が効率曲線L1となる場合には、周波数f4またはf5の電流を送電部220に供給する。周波数特性が効率曲線L2,L3となる場合には、周波数f6の電流を送電部220に供給する。この場合においては、エアギャップAGの大きさに合わせて送電部220および受電部110に流れる電流の周波数を変化させることになる。
第1の手法では、送電部220を流れる電流の周波数は、固定された一定の周波数となり、第2の手法では、送電部220を流れる周波数は、エアギャップAGによって適宜変化する周波数となる。第1の手法や第2の手法などによって、電力伝送効率が高くなるように設定された特定の周波数の電流が送電部220に供給される。送電部220に特定の周波数の電流が流れることで、送電部220の周囲には、特定の周波数で振動する磁界(電磁界)が形成される。受電部110は、受電部110と送電部220との間に形成され、かつ特定の周波数で振動する磁界を通じて送電部220から電力を受電している。したがって、「特定の周波数で振動する磁界」とは、必ずしも固定された周波数の磁界とは限らない。なお、上記の例では、エアギャップAGに着目して、送電部220に供給される電流の周波数を設定するようにしているが、電力伝送効率は、送電部220および受電部110の水平方向のズレ等のように他の要因によっても変化するものであり、当該他の要因に基づいて、送電部220に供給される電流の周波数を調整する場合がある。
なお、上記では、送電部220および受電部110にコイル(たとえばヘリカルコイル)を採用したが、コイルに代えて、メアンダラインなどのアンテナなどを採用してもよい。メアンダラインなどのアンテナなどを採用した場合には、送電部220に特定の周波数の電流が流れることで、特定の周波数の電界が送電部220の周囲に形成される。そして、この電界を通して、送電部220と受電部110との間で電力伝送が行なわれる。
この電力伝送システムにおいては、電磁界の「静電磁界」が支配的な近接場(エバネッセント場)を利用することで、送電および受電効率の向上が図られている。
図17は、電流源または磁流源からの距離と電磁界の強度との関係を示した図である。図17を参照して、電磁界は3つの成分から成る。曲線k1は、波源からの距離に反比例した成分であり、「輻射電磁界」と称される。曲線k2は、波源からの距離の2乗に反比例した成分であり、「誘導電磁界」と称される。また、曲線k3は、波源からの距離の3乗に反比例した成分であり、「静電磁界」と称される。なお、電磁界の波長を「λ」とすると、「輻射電磁界」と「誘導電磁界」と「静電磁界」との強さが略等しくなる距離は、λ/2πと表わすことができる。
「静電磁界」は、波源からの距離とともに急激に電磁波の強度が減少する領域であり、この実施の形態に係る電力伝送システムでは、この「静電磁界」が支配的な近接場(エバネッセント場)を利用してエネルギ(電力)の伝送が行なわれる。すなわち、「静電磁界」が支配的な近接場において、近接する固有周波数を有する送電部220および受電部110(たとえば一対のLC共振コイル)を共鳴させることにより、送電部220から他方の受電部110へエネルギ(電力)を伝送する。この「静電磁界」は遠方にエネルギを伝播しないので、遠方までエネルギを伝播する「輻射電磁界」によってエネルギ(電力)を伝送する電磁波に比べて、共鳴法は、より少ないエネルギ損失で送電することができる。
このように、この電力伝送システムにおいては、送電部220と受電部110とを電磁界によって共振(共鳴)させることで、送電部220と受電部110との間で非接触によって電力が伝送される。送電部220と受電部110との間に形成されるこのような電磁場は、たとえば、近接場共振(共鳴)結合場という場合がある。送電部220と受電部110との間の結合係数(κ)は、たとえば、0.3以下程度であり、好ましくは、0.1以下である。当然のことながら、結合係数(κ)を0.1〜0.3程度の範囲も採用することができる。結合係数(κ)は、このような値に限定されるものでなく、電力伝送が良好となる種々の値をとり得る。
なお、電力伝送における、上記のような送電部220と受電部110との結合を、たとえば、「磁気共鳴結合」、「磁界(磁場)共鳴結合」、「磁場共振(共鳴)結合」、「近接場共振(共鳴)結合」、「電磁界(電磁場)共振結合」、「電界(電場)共振結合」等という。「電磁界(電磁場)共振結合」は、「磁気共鳴結合」、「磁界(磁場)共鳴結合」、「電界(電場)共振結合」のいずれも含む結合を意味する。
送電部220と受電部110とが上記のようにコイルによって形成される場合には、送電部220と受電部110とは、主に磁界(磁場)によって結合し、「磁気共鳴結合」または「磁界(磁場)共鳴結合」が形成される。なお、送電部220と受電部110とに、たとえば、メアンダライン等のアンテナを採用することも可能であり、この場合には、送電部220と受電部110とは、主に電界(電場)によって結合し、「電界(電場)共鳴結合」が形成される。
(制御システムの説明)
図18は、車両ECU150の構成図である。図18とともに図8を参照して、車両ECU150は、HV−ECU152と、非接触ECU154とを含む。HV−ECU152は、車両100の走行に関する走行制御を実行するほか、蓄電装置130の外部充電に関する充電制御を実行する。充電制御について、具体的には、HV−ECU152は、蓄電装置130に接続されるシステムリレーの駆動やSOCの管理、SOCに基づく充電開始/終了の要求タイミングの生成等を行なう。
非接触ECU154は、変換ユニット200が車両100(受電部110)に装着されているか否かを判断し、変換ユニット200が装着されているときは、変換ユニット200の変換ユニットECU272と連携して、電力ケーブル300による接触充電を実行する。変換ユニット200が車両100に装着されていることは、コネクタ160,274を介して変換ユニット200の変換ユニットECU272と通信することによって判断してもよいし、近接センサ等を用いて実際に装着を検知してもよい。
一方、外部充電時に変換ユニット200が車両100(受電部110)に装着されていないときは、非接触ECU154は、通信部140によって車両外部の非接触給電設備(図示せず)と無線通信を行ない、非接触給電設備による非接触充電を実行する。
変換ユニットECU272は、電力ケーブル300を用いた外部充電時、電力ケーブル300のEVSE320の制御や、非接触ECU154からの指令に基づくコンバータ254,256の駆動制御等を実行する。
この実施の形態では、車両100は、受電部110を用いて非接触で外部充電可能であるところ、変換ユニット200を車両100に装着することによって、電力ケーブル300を用いた接触充電に対応可能である。そして、変換ユニット200が車両100(受電部110)に装着されているか否かを非接触ECU154が判断し、HV−ECU152は、非接触給電設備からの非接触充電か、それとも電力ケーブル300を用いた接触充電かを意識することなく、蓄電装置130の充電制御を実行する。電力ケーブル300を用いた接触充電時は、変換ユニット200の変換ユニットECU272によって、接触充電に関する所定の制御(電力ケーブル300のEVSE320の制御等)が実行される。非接触給電設備による非接触充電時は、非接触ECU154によって、非接触充電に関する所定の制御(非接触給電設備と車両100との位置合わせ制御等)が実行される。
図19は、図18に示した非接触ECU154の処理手順を説明するためのフローチャートである。このフローチャートに示される各処理については、予め格納されたプログラムがメインルーチンから呼び出されて実行されることにより実現される。あるいは、全部または一部のステップについて、専用のハードウェア(電子回路)を構築して処理を実現することも可能である。
図19とともに図8を参照して、非接触ECU154は、変換ユニット200が車両100(受電部110)に装着されているか否かを判定する(ステップS10)。変換ユニット200が装着されていると判定されると(ステップS10においてYES)、非接触ECU154は、電力ケーブル300のEVSE320により生成されるパイロット信号CPLTが発振しているか否かを判定する(ステップS20)。なお、パイロット信号CPLTの発振の検知は、実際には変換ユニットECU272によって行なわれ、非接触ECU154は、変換ユニットECU272からその検知結果を受ける。
パイロット信号CPLTが発振していると判定されると(ステップS20においてYES)、非接触ECU154は、HV−ECU152へ起動トリガーを出力することによってHV−ECU152を起動する(ステップS30)。次いで、非接触ECU154は、外部充電の開始を指示する開始要求信号をHV−ECU152から受信したか否かを判定する(ステップS40)。
非接触ECU154は、開始要求信号を受信すると(ステップS40においてYES)、電力ケーブル300から供給される充電電力の大きさを示す電力指令を変換ユニット200へ出力する(ステップS50)。なお、この電力指令は、HV−ECU152によって生成してもよい。次いで、非接触ECU154は、外部充電の終了を指示する終了要求信号をHV−ECU152から受信したか否かを判定する(ステップS60)。
非接触ECU154は、終了要求信号を受信すると(ステップS60においてYES)、変換ユニット200の動作停止を指示する停止指令を変換ユニット200へ出力する(ステップS70)。その後、非接触ECU154は、所定の停止処理を実行し(ステップS80)、停止処理が完了するとその完了通知をHV−ECU152へ出力する(ステップS90)。
一方、ステップS10において変換ユニット200は車両100(受電部110)に装着されていないと判定されると(ステップS10においてNO)、非接触ECU154は、非接触給電設備(図8で図示せず)から起動要求信号を受信したか否かを判定する(ステップS110)。起動要求信号を受信していないときは(ステップS110においてNO)、以降の一連の処理は実行されずにステップS180へ処理が移行される。
ステップS110において非接触給電設備から起動要求信号を受信したと判定されると(ステップS110においてYES)、非接触ECU154は、HV−ECU152へ起動トリガーを出力することによってHV−ECU152を起動する(ステップS120)。次いで、非接触ECU154は、非接触給電設備の送電部(図7の送電部410)と車両100の受電部110との相対位置関係を調整する位置合わせ処理を実行する(ステップS130)。
一例として、位置合わせ処理においては、非接触ECU154から給電設備へ無線通信によりテスト送電要求が送信され、給電設備の送電部から受電部110へのテスト送電時における伝送効率に基づいて、送電部と受電部110との相対位置関係が調整される。なお、テスト送電時は、蓄電装置130の充電実施時よりも小さな電力が出力される。
ステップS130において位置合わせ処理が完了すると、非接触ECU154は、外部充電の開始を指示する開始要求信号をHV−ECU152から受信したか否かを判定する(ステップS140)。
非接触ECU154は、開始要求信号を受信すると(ステップS140においてYES)、蓄電装置130を充電するための送電開始を指示する送電指令を通信部140によって非接触給電設備へ送信する(ステップS150)。次いで、非接触ECU154は、外部充電の終了を指示する終了要求信号をHV−ECU152から受信したか否かを判定する(ステップS160)。
非接触ECU154は、終了要求信号を受信すると(ステップS160においてYES)、非接触給電設備からの送電停止を指示する停止指令を通信部140によって非接触給電設備へ送信する(ステップS170)。その後、非接触ECU154は、ステップS80へ処理を移行し、所定の停止処理が実行される。
図20は、図18に示したHV−ECU152の処理手順を説明するためのフローチャートである。このフローチャートについては、HV−ECU152が非接触ECU154から起動トリガーを受けると、予め格納されたプログラムがメインルーチンから呼び出されて実行されることにより実現される。あるいは、全部または一部のステップについて、専用のハードウェア(電子回路)を構築して処理を実現することも可能である。
図20を参照して、HV−ECU152は、非接触ECU154から起動トリガーを受けると、所定の充電準備処理を開始する(ステップS210)。具体的には、変換部120(図1)の起動処理や、蓄電装置130に接続されるシステムリレーの駆動(オン駆動)等が実行される。そして、充電準備が完了すると(ステップS220)、HV−ECU152は、外部充電の開始を指示する開始要求信号を非接触ECU154へ出力する(ステップS230)。
次いで、HV−ECU152は、蓄電装置130の充電が完了したか否かを判定する(ステップS240)。蓄電装置130のSOCが所定値に達したり、設定時間の経過やユーザによって外部充電の終了が指示されたりすると、蓄電装置130の充電が完了したものと判定される。
そして、蓄電装置130の充電が完了したと判定されると(ステップS240においてYES)、HV−ECU152は、外部充電の終了を指示する終了要求信号を非接触ECU154へ出力する(ステップS250)。その後、非接触ECU154において所定の停止処理が実行され、停止処理が完了した旨の通知を非接触ECU154から受信すると(ステップS260においてYES)、HV−ECU152は、ステップS270へ処理を移行し、一連の処理が終了する。
図21は、図18に示した変換ユニットECU272の処理手順を説明するためのフローチャートである。このフローチャートについては、変換ユニット200のコネクタ274に車両100のコネクタ160が接続されて車両100の補機電池170から電力供給を受けると(電源オン)、予め格納されたプログラムがメインルーチンから呼び出されて実行されることにより実現される。あるいは、全部または一部のステップについて、専用のハードウェア(電子回路)を構築して処理を実現することも可能である。
図21とともに図8を参照して、電源がオンされると、変換ユニットECU272のI/F部268において所定の起動処理が実行される(ステップS310)。I/F部268が起動すると、I/F部268は、コネクタ274,160を介して車両100との間で通信の確立を試みる。車両100との通信が確立できないときは(ステップS320においてNO)、利用者に対して警報が出力され(ステップS430)、変換ユニット200の停止処理が実行される(ステップS440)。
車両100との通信が確立すると(ステップS320においてYES)、I/F部268は、電力ケーブル300のEVSE320において生成されるパイロット信号CPLTの発振を検知したか否かを判定する(ステップS330)。
コネクタ230にコネクタ172が接続されるとともにインレット174に電力ケーブル300のコネクタ310が接続され、コネクタ230から入力されるパイロット信号CPLTの電位がV1からV2に低下すると、パイロット信号CPLTが発振する。パイロット信号CPLTの発振が検知されると(ステップS330においてYES)、I/F部268は、その旨を車両100へ通知する(ステップS340)。さらに、I/F部268においてリレー346(図9)がオンされる。これにより、パイロット信号CPLTの電位がV3に低下し、EVSE320においてCCIDリレー322がオンされる(ステップS350)。パイロット信号CPLTの発振が検知されないときは(ステップS330においてNO)、ステップS430へ処理が移行され、利用者に対して警報が出力される。
ステップS350においてCCIDリレー322がオンされると、I/F部268は、コネクタ230から入力される電圧が正常であるか否かを判定する(ステップS360)。入力電圧が異常であると判定されると(ステップS360においてNO)、ステップS430へ処理が移行される。
ステップS360において入力電圧は正常であると判定されると(ステップS360においてYES)、I/F部268は、低圧リレー(リレー276)をオンにする(ステップS370)。これにより、車両100の補機電池170から制御部270へ動作電力が供給され、制御部270が起動する。
次いで、制御部270は、車両100から送信される電力指令に基づいてコンバータ254,256を駆動する(ステップS380)。これにより、コネクタ230から入力される外部電源400からの電力が所定の送電周波数を有する交流電力に変換されて送電部220に供給され、送電部220から車両100の受電部110へ電力が伝送される。
次いで、I/F部268は、車両100から停止指令を受信したか否かを判定する(ステップS390)。車両100から停止指令を受信していないときは(ステップS390においてNO)、ステップS380へ処理が戻され、制御部270によるコンバータ254,256の駆動が継続される。
ステップS390において車両100から停止指令を受信したと判定されると(ステップS390においてYES)、制御部270は、コンバータ254,256を停止する(ステップS400)。次いで、I/F部268により低圧リレー(リレー276)がオフにされ(ステップS410)、その後、I/F部268において所定の停止処理が実行される(ステップS420)。
以上のように、この実施の形態においては、車両100に対して着脱可能に構成された変換ユニット200によって外部電源400と車両100の受電部110との間の電力インターフェースを変換可能であるので、変換部120の電気的な構成を変更する必要はなく、また、接触充電と非接触充電とを切替えるためのリレーも不要である。したがって、この実施の形態によれば、切替リレーを設けることなく、かつ、簡易な構成で、接触充電と非接触充電との双方に対応することができる。
また、この実施の形態によれば、変換ユニット200は、車両100に対して着脱可能に構成されるので、非接触充電が普及したときには変換ユニット200を取り外すことで車両100の軽量化を図ることができる。
一方、この実施の形態によれば、変換ユニット200を受電部110に装着した状態で待機位置13(図5)に格納可能であるので、外部充電方式が主に接触充電方式である場合には、走行時に変換ユニット200を取り外す必要はなく、ユーザの利便性が高い。
また、この実施の形態によれば、車両100と通信するためのコネクタ274が変換ユニット200に設けられているので、車両100のコネクタ160を変換ユニット200のコネクタ274に接続するだけで車両100と変換ユニット200との通信が可能になる。さらに、変換ユニット200は、コネクタ274を介して車両100から動作電力を受けるので、変換ユニット200に蓄電装置を設ける必要はない。
なお、上記の実施の形態においては、車両に対して着脱可能な変換ユニット200によって、非接触充電向けに構成された車両100を、電力ケーブル300を用いた接触充電に対応可能とした。一方、蓄電装置に電気的に接続されるインレットを備える接触充電向けの車両に対して、非接触充電に対応可能とする変換ユニットを構成してもよい。
この場合、変換ユニットは、非接触で電力を受電するための受電部と、車両のインレットに嵌合可能に構成され、受電部により受電される電力をインレットへ出力するためのコネクタとを含む。そして、変換ユニットは、車両に対して着脱可能に構成され、変換ユニットを車両に装着することによって、接触充電向けに構成された車両を非接触充電にも対応可能にすることができる。
また、上記の実施の形態においては、変換ユニット200のコネクタ274に車両100のコネクタ160が接続されると変換ユニット200が起動されるものとしたが、変換ユニット200を起動するための電源スイッチを別途設けてもよい。
また、上記の実施の形態において、車両100のコネクタ172およびインレット174は、変換ユニット200への電力ケーブル300の装着を容易にするために設けられるものであり、変換ユニット200のコネクタ230を、電力ケーブル300のコネクタ310を嵌合可能なインレットで構成してもよい。
また、上記の実施の形態においては、変換ユニット200を用いて、外部電源400により車両100の蓄電装置130を充電するものとしたが、蓄電装置130に蓄えられた電力を受電部110から変換ユニット200の送電部220へ出力し、インレット174から外部負荷へ電力を供給するようにしてもよい。この場合、変換部120は、蓄電装置130から供給される直流電力を所定の送電周波数を有する交流電力に変換して受電部110へ供給可能に構成される。また、変換ユニット200のコンバータ256は、送電部220によって受電された交流電力を直流に変換可能に構成され、コンバータ254は、コンバータ256から出力される直流電力を外部負荷用の電力(たとえば商用交流電力)に変換可能に構成される。
なお、上記において、受電部110は、「充電装置」の発明における「第1の受電部」の一実施例に対応し、コネクタ230(またはインレット174)は、「充電装置」の発明における「第2の受電部」の一実施例に対応する。また、受電部110は、「電力出力装置」の発明における「第1の送電部」の一実施例に対応し、送電部220は、「電力出力装置」の発明における「受電部」の一実施例に対応する。さらに、コネクタ230(またはインレット174)は、「電力出力装置」の発明における「第2の送電部」の一実施例に対応し、コネクタ274は、これらの発明における「信号端子」および「電源端子」の一実施例に対応する。
今回開示された実施の形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施の形態の説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。