JP2014150161A - 熱伝導シートの製造方法および熱伝導シート - Google Patents

熱伝導シートの製造方法および熱伝導シート Download PDF

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晃彦 飛澤
Mika Kagawa
美香 賀川
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大輔 北原
Hirotsugu Shirato
洋次 白土
Kazuya Kitagawa
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Abstract

【課題】熱伝導シートの厚み方向において十分な熱伝導性を得る。
【解決手段】熱伝導シートの製造方法は、半硬化状態の第1有機樹脂中に熱伝導性フィラーを含んでなる複数の第1シートを作製する工程と、第2有機樹脂中に充填材を含んでなる複数の第2シートを作製する工程を有する。第1シート内において、熱伝導性フィラーをシート面方向に配向させる。この製造方法は、更に、第1シートと第2シートとを交互に積層する工程と、少なくとも第1有機樹脂を硬化させることによって、交互に積層された第1シートと第2シートとが一体化されてなる積層体を作製する工程と、積層体を積層方向にスライスして熱伝導シートを作製する工程を有する。充填材は、繊維織布、繊維不織布、又は、熱伝導性フィラーとは異種の材料からなる無機充填材である。
【選択図】図1

Description

本発明は、熱伝導シートの製造方法および熱伝導シートに関する。
発熱体(半導体チップなど)と放熱体(ヒートシンクなど)との間などのように、高い熱伝導性が要求される接合界面に設けられる熱伝導シートが知られている(特許文献1乃至6)。
特許文献1及び2に記載された熱伝導シートの製造方法では、先ず、熱伝導性フィラーの長軸方向が一次シートの面方向に配向された樹脂製の一次シートを作製する。次に、一次シートを積層して成形体を得、成形体を加熱して硬化させる。そして、一次シートの積層方向に成形体をスライスすることにより、熱伝導性フィラーの長軸方向が熱伝導シートの厚さ方向に配向された熱伝導シートを得る。
特許文献3にも特許文献1、2と同様の製造方法が記載されている。ただし、特許文献3に記載された熱伝導シートの製造方法は、成形体を加熱して硬化させる工程を含まない。
更に、特許文献4及び5には、両面又は片面に粘着層が形成された熱伝導シートが記載され、特許文献6には、両面又は片面に絶縁層が形成された熱伝導シートが記載されている。
特開2012−38763号公報 特開2011−162642号公報 特開2012−15273号公報 特開2012−109313号公報 特開2012−109312号公報 特開2011−230472号公報
上記の製造方法では、樹脂が未硬化の状態の一次シートを積層して成形体を得るため、一次シートの相互間で樹脂が流動し、樹脂の流動につられて熱伝導性フィラーの配向が乱れてしまう。その結果、熱伝導シートの厚み方向における熱伝導性が不十分となる可能性がある。
本発明は、上記の課題に鑑みなされたものであり、厚み方向において十分な熱伝導性を有する熱伝導シートを製造する方法および熱伝導シートを提供する。
本発明は、薄膜状に形成され且つ半硬化状態とされた第1有機樹脂中に、鱗片状、楕球状又は棒状の熱伝導性フィラーを含んでなる複数の第1シートを、前記第1シートの厚み方向における前記熱伝導性フィラーの寸法よりも前記第1シートの面方向における前記熱伝導性フィラーの寸法の方が大きくなるように前記熱伝導性フィラーを配向させて作製する工程と、
薄膜状に形成された第2有機樹脂中に充填材を含んでなる複数の第2シートを作製する工程と、
前記第1シートと前記第2シートとを交互に積層する工程と、
少なくとも前記第1有機樹脂を硬化させることによって、交互に積層された前記第1シートと前記第2シートとが一体化されてなる積層体を作製する工程と、
前記積層体をスライスして熱伝導シートを作製する工程であって、前記積層体を前記第1シート及び前記第2シートの積層方向に切断することにより、前記熱伝導シートの厚み方向における前記熱伝導性フィラーの寸法が、前記熱伝導シートの面方向における前記熱伝導性フィラーの寸法よりも大きくなるように、前記熱伝導シートを作製する工程と、
を有し、
前記充填材は、繊維織布、繊維不織布、又は、前記熱伝導性フィラーとは異種の材料からなる無機充填材である熱伝導シートの製造方法を提供する。
この製造方法によれば、熱伝導シートの厚み方向における熱伝導性フィラーの寸法が、熱伝導シートの面方向における熱伝導性フィラーの寸法よりも大きくなるように、熱伝導シートを作製する。すなわち、熱伝導シート内において、第1熱伝導性フィラーを熱伝導シートの厚み方向に配向する。よって、熱伝導シートの厚み方向における熱伝導性を良好にすることができる。
ここで、第1シートは、半硬化状態とされた第1有機樹脂中に熱伝導性フィラーを含んでなる。また、第2シートは、薄膜状に形成された第2有機樹脂中に充填材を含んでなる。
そして、第1シートと第2シートとを交互に積層した後で、少なくとも第1有機樹脂を硬化させることによって積層体を作製し、その積層体をスライスして熱伝導シートを作製する。ここで、第2シートが含有する充填材は、繊維織布、繊維不織布、又は、熱伝導性フィラーとは異種の材料からなる無機充填材である。
このため、積層体を作製する段階において、各第2シートの少なくとも充填材は、各第1シートの内部の熱伝導性フィラーが第1有機樹脂の流動につられて隣の第1シート側に移動することによる熱伝導性フィラーの配向の乱れを規制することで、熱伝導性フィラーの配向性を維持する機能を担う。
これにより、積層体内における熱伝導性フィラーの配向性を良好にできる。その結果、積層体を積層方向にスライスすることにより得られる熱伝導シートの厚み方向において、十分な熱伝導性が得られる。
また、本発明は、熱伝導シートであって、
当該熱伝導シートは、
複数の四角柱形状部と、
複数の仕切部と、
を有し、
前記複数の四角柱形状部は、各々の軸方向に長尺であり、
前記複数の仕切部は、前記四角柱形状部と同じ方向に長尺であり、
前記複数の四角柱形状部および前記複数の仕切部は、互いに並列となり、且つ、隣り合う前記四角柱形状部の間に前記仕切部が位置するように、当該熱伝導シートの面方向に沿って配置されるとともに、互いに隣り合う前記四角柱形状部と前記仕切部との側面どうしが接合されることにより、一枚のシート形状をなし、
前記四角柱形状部は、硬化状態とされた第1有機樹脂中に、鱗片状、楕球状又は棒状の熱伝導性フィラーを含んでなり、
前記複数の四角柱形状部の各々において、当該熱伝導シートの厚み方向における前記熱伝導性フィラーの寸法が、当該熱伝導シートの面方向における前記熱伝導性フィラーの寸法よりも大きくなるように、前記熱伝導性フィラーが配向され、
前記仕切部は、硬化状態とされた第2有機樹脂中に、充填材を含んでなり、
前記充填材は、繊維織布、繊維不織布、又は、前記熱伝導性フィラーとは異種の材料からなる無機充填材である熱伝導シートを提供する。
この熱伝導シートによれば、複数の四角柱形状部の各々において、熱伝導シートの厚み方向における熱伝導性フィラーの寸法が、熱伝導シートの面方向における熱伝導性フィラーの寸法よりも大きくなるように、熱伝導性フィラーが配向されている。すなわち、各々の四角柱形状部内において、熱伝導性フィラーが熱伝導シートの厚み方向に配向されている。よって、熱伝導シートの厚み方向において良好な熱伝導性が得られる。
また、このような構成の熱伝導シートは、個々の四角柱形状部内において熱伝導性フィラーが熱伝導シートの厚み方向に配向されているため、厚み方向において良好な熱伝導性を示す製品を、製造安定性良く、高歩留まりで製造することが可能な構造であるといえる。
更に、四角柱形状部と仕切部とが交互に配置され、且つ、個々の仕切部は、第2有機樹脂中に充填材を含んでなる。この充填材は、繊維織布、繊維不織布、又は、熱伝導性フィラーとは異種の材料からなる無機充填材である。よって、仕切部の少なくとも充填材は、四角柱形状部の熱伝導性フィラーが隣の四角柱形状部側に移動することによる熱伝導性フィラーの配向の乱れを規制することで、熱伝導性フィラーの配向性を維持する機能を担う。
これにより、熱伝導シートにおける熱伝導性フィラーの配向性を良好に維持することができる。
本発明によれば、熱伝導シートの厚み方向において十分な熱伝導性が得られる。
実施形態に係る熱伝導シートの製造方法を示すフローチャートである。 実施形態に係る熱伝導シートの製造方法における各工程による成型物を示す模式的な斜視図であり、このうち(a)は第1シートを、(b)は第2シートを、(c)は第1シート及び第2シートを交互に積層する様子を、(d)は積層体を、(e)は熱伝導シートを、それぞれ示す。 実施形態に係る熱伝導シートの製造方法により得られる熱伝導シートを示す模式図であり、このうち(a)は斜視図、(b)は正面図、(c)は(b)のA部の拡大断面図である。 実施形態に係る熱伝導シート40の他の例を示す模式的な要部断面図である。
以下、本発明の実施形態について、図面を用いて説明する。なお、すべての図面において、同様の構成要素には同一の符号を付し、適宜に説明を省略する。
図1は実施形態に係る熱伝導シートの製造方法を示すフローチャートである。
図2は実施形態に係る熱伝導シートの製造方法における各工程による成型物を示す模式図であり、このうち(a)は第1シート10を示す斜視図、(b)は第2シート20を示す斜視図、(c)は第1シート20及び第2シート20を交互に積層する様子を示す分解斜視図、(d)は積層体を示す斜視図、(e)は熱伝導シートを示す斜視図である。
図3は実施形態に係る熱伝導シートの製造方法により得られる熱伝導シート40を示す模式図であり、このうち(a)は斜視図、(b)は正面図、(c)は(b)のA部の拡大断面図である。
本実施形態に係る熱伝導シートの製造方法は、以下の(1)〜(5)の工程を有する。
(1)複数の第1シート10を作製する工程(図1のステップS1〜S2、図2(a))
ここで、第1シート10は、薄膜状に形成され且つ半硬化状態とされた第1有機樹脂11中に、鱗片状、楕球状又は棒状の熱伝導性フィラー12を含んでなる。第1シート10は、第1シート10の厚み方向における熱伝導性フィラー12の寸法よりも第1シート10の面方向における熱伝導性フィラー12の寸法の方が大きくなるように熱伝導性フィラー12を配向させて作製する。
(2)複数の第2シート20を作製する工程(図1のステップS3〜S4、図2(b))
ここで、第2シート20は、薄膜状に形成された第2有機樹脂21中に充填材22を含んでなる。この充填材22は、繊維織布、繊維不織布、又は、熱伝導性フィラー12とは異種の無機充填材である。
(3)第1シート10と第2シート20とを交互に積層する工程(図1のステップS5、図2(c))
(4)少なくとも第1有機樹脂11を硬化させることによって、交互に積層された第1シート10と第2シート20とが一体化されてなる積層体30を作製する工程(図1のステップS6、図2(d))
なお、第2シート20の第2有機樹脂21が未硬化(硬化前且つ半硬化前)であるか又は半硬化状態の場合、この工程にて、第1有機樹脂11および第2有機樹脂21を硬化させることによって、交互に積層された第1シート10と第2シート20とが一体化されてなる積層体30を作製する。
(5)積層体30をスライスして熱伝導シート40を作製する工程(図1のステップS7、図2(e))
この工程では、積層体30を第1シート10及び第2シート20の積層方向に切断することにより、熱伝導シート40の厚み方向における熱伝導性フィラー12の寸法が、熱伝導シート40の面方向における熱伝導性フィラー12の寸法よりも大きくなるように、熱伝導シート40を作製する。
以下、詳細に説明する。
先ず、第1シート10の材料である熱伝導性フィラー12と第1有機樹脂11とを準備する。
熱伝導性フィラー12は、熱伝導性が良好で、有機樹脂の硬化処理を経ても所定の形状に維持されるものであれば良い。なお、熱伝導性フィラー12の熱伝導率は、後述する充填材22の熱伝導率よりも高いことが好ましい。熱伝導性フィラー12は、例えば、無機充填材である。
熱伝導シート40は、その厚み方向に電気伝導性を有するものであっても良いし、絶縁性のものであっても良い。厚み方向に電気伝導性を有する熱伝導シート40を作製する場合、熱伝導性フィラー12としては、導電性のものを用いることが好ましい。絶縁性の熱伝導シート40を作製する場合、熱伝導性フィラー12としては、絶縁性のものを用いる。
熱伝導性フィラー12は、鱗片状、楕球状又は棒状の形状のものである。より具体的には、例えば、熱伝導性フィラー12は、結晶中の六角平面が、鱗片の面方向、楕球の長軸方向又は棒の軸方向に配向している六方晶窒化ホウ素粒子又は黒鉛粒子である。或いは、熱伝導性フィラー12は、鱗片状のアルミナであっても良い。熱伝導性フィラー12の粒径(熱伝導性フィラー12の個々の粒子の最大寸法)の平均は、例えば、1μm以上150μm以下とすることができる。
第1有機樹脂11は、エポキシ樹脂、ポリイミド又はベンゾオキサジンであることが挙げられる。エポキシ樹脂は、ビスフェノールA型又はビスフェノールF型の何れでも良い。エポキシ樹脂は、硬化剤として、イミダゾール、アミン又はフェノール化合物を含有している。
次に、硬化前、且つ半硬化前の第1有機樹脂11と多数の熱伝導性フィラー12とを混合し、第1有機樹脂11中に熱伝導性フィラー12が均一に存在するように混練する(図1のステップS1)。以下、第1有機樹脂と多数の熱伝導性フィラー12とを混練することにより得られたものを混練物(または樹脂組成物)と称する。
次に、第1シート10を作製する。第1シート10は、上記混練物、すなわち熱伝導性フィラー12を含有する第1有機樹脂11を薄膜形状に成形した後、当該第1有機樹脂を半硬化させることにより得られる(図1のステップS2)。第1有機樹脂11として、エポキシ樹脂やポリイミドを用いる場合、第1有機樹脂11を薄膜形状に成形した後、当該第1有機樹脂11をBステージにすることにより、第1シート10が得られる(図2(a))。
ここで、プレス成形などによって上記混練物を薄膜形状に成形する。これにより、第1シート10の厚み方向における熱伝導性フィラー12の寸法よりも、第1シート10の面方向における熱伝導性フィラー12の寸法の方が大きくなるように、第1シート10内における熱伝導性フィラー12が配向される。以下、このような向きに熱伝導性フィラー12を配向することを、面方向に配向する、などという。
ここで、第1シート10の厚み方向における熱伝導性フィラー12の寸法とは、第1シート10内のある熱伝導性フィラー12を第1シート10の面方向(厚み方向に対して直交する方向)に投影したときの最大寸法である。また、第1シート10の面方向における熱伝導性フィラー12の寸法とは、第1シート10内のある熱伝導性フィラー12を第1シート10の厚み方向(面方向に対して直交する方向)に投影したときの最大寸法である。
例えば、第1シート10内の熱伝導性フィラー12のアスペクト比(第1シート10の厚み方向における熱伝導性フィラー12の寸法/第1シート10の面方向における熱伝導性フィラー12の寸法)の平均値が、1/2以下、好ましくは1/5以下となるように、熱伝導性フィラー12の形状の選択と、熱伝導性フィラー12の配向性の設定とを行うことが望ましい。
なお、ここで言う熱伝導性フィラー12の配向は、必ずしも第1シート10内のすべての熱伝導性フィラー12について、面方向に配向されていることを意味する訳ではない。例えば、第1シート10内の熱伝導性フィラー12の60%以上が面方向に配向されていること、第1シート10内の熱伝導性フィラー12の70%以上が面方向に配向されていること、或いは、第1シート10内の熱伝導性フィラー12の80%以上が面方向に配向されていることなど、第1シート10内のある一定割合以上(ただし過半数以上)の熱伝導性フィラー12が面方向に配向されていることを意味する。
なお、上記混練物を薄膜形状に成形する方法は、プレス成形に限らず、圧延成形、押出成形、又は塗布成形であっても良い。
図1のステップS2において、例えば、上記混練物を薄膜形状に成形する際に、或いは、上記混練物を薄膜形状に成形した後で、第1シート10を構成する第1有機樹脂11を第1所定温度に加熱することにより、当該第1有機樹脂を半硬化状態にする。すなわち、第1有機樹脂として、エポキシ樹脂やポリイミドを用いる場合、第1有機樹脂をBステージにする。具体的には、例えば、加熱しながらプレス加工を行うことなどにより、上記混練物を薄膜形状に成形しつつ、第1シート10を構成する有機樹脂を半硬化状態にする。これにより、第1シート10が得られる。この際に、第1シート10の平坦性を良好にするため、例えば、平坦な一対の加熱加圧板を用いて第1シート10を加熱加圧成形することが好ましい。
一方、第2シート20の材料である充填材22と第2有機樹脂21とを準備する。
充填材22は、繊維織布、繊維不織布、又は、熱伝導性フィラー12とは異種の材料からなる無機充填材である。
なお、充填材22が繊維織布又は繊維不織布の場合、無機繊維又は有機繊維の何れでも良い。つまり、充填材22は、無機材料からなるものであっても良いし、有機材料からなるものであっても良い。ただし、充填材22の材質のガラス転移温度(Tg)は、第1有機樹脂11のガラス転移温度よりも高い。つまり、充填材22の材質は、第1有機樹脂11の硬化処理を経ても所定の形状に維持されるものであれば良い。また、充填材22の材質は、第2有機樹脂21の硬化処理を経ても所定の形状に維持されるものであることが好ましい。
充填材22は、例えば、繊維織布又は繊維不織布からなる繊維基材とすることができる。より具体的には、この充填材22を構成する繊維は、ガラス繊維又はアラミド繊維などであることが挙げられる。つまり、繊維基材は、例えば、ガラスクロス、ガラス不織布、アラミドクロス、アラミド不織布などであることが挙げられる。
充填材22が繊維基材の場合、第2シート20を作製する工程は、この繊維基材に、硬化前且つ半硬化前の(未硬化の)第2有機樹脂21を含浸させる工程を含む。更に、第2シート20を作製する工程は、第2有機樹脂21を半硬化又は硬化させる工程を含んでいても良い。
また、上記のように、充填材22は、熱伝導性フィラー12とは異種の材料からなる無機充填材であっても良い。この無機充填材の形状は、球状又は楕球状などの粒状とすることができる。この無機充填材としては、シリカ又はアルミナなどを用いることができる。
充填材22が、熱伝導性フィラー12とは異種の材料からなる無機充填材である場合、第2シート20を作製する工程は、例えば、硬化前且つ半硬化前(未硬化)の第2有機樹脂21と無機充填材とを混練する工程と、無機充填材を含有する第2有機樹脂21を薄膜形状に成形する工程と、第2有機樹脂21を硬化させる工程と、を含む。
上記のように、熱伝導シート40は、その厚み方向に電気伝導性を有するものであっても良いし、絶縁性のものであっても良い。厚み方向に電気伝導性を有する熱伝導シート40を作製する場合、充填材22としては、導電性のものを用いることが好ましい。厚み方向に絶縁性の熱伝導シート40を作製する場合、充填材22としては、絶縁性のものを用いる。
なお、本実施形態では、充填材22がガラスクロスであるものとして以下の説明を続ける。第2シート20の具体例としては、例えば、ガラスエポキシ基板(商品名:FR−4、松下電工株式会社製)が挙げられる。
第2有機樹脂21は、エポキシ樹脂、ポリイミド又はベンゾオキサジンであることが挙げられる。エポキシ樹脂は、ビスフェノールA型又はビスフェノールF型の何れでも良い。エポキシ樹脂は、硬化剤として、イミダゾール、アミン又はフェノール化合物を含有している。なお、第2有機樹脂21と第1有機樹脂11とは、互いに同じ材料により構成されていても良いし、互いに異なる材料により構成されていても良い。
第2有機樹脂21と充填材22(ガラスクロス)とを準備した後、硬化前、且つ半硬化前の第2有機樹脂21を充填材22(ガラスクロス)に含浸させる(図1のステップS3)。
次に、例えば、充填材22に含浸された第2有機樹脂21を半硬化又は硬化させることによって、第2シート20を得ることができる(図1のステップS4)。第2有機樹脂21として、エポキシ樹脂やポリイミドを用いる場合、例えば、第2有機樹脂21をBステージ又はCステージにすることにより、第2シート20が得られる(図2(b))。
なお、第2シート20は、第2有機樹脂21を充填材22に含浸させるのみにより作製しても良い。この場合に、第2有機樹脂21として、エポキシ樹脂やポリイミドを用いる場合、第2シート20の第2有機樹脂21はAステージのままである。
すなわち、第2シート20の第2有機樹脂21は、硬化状態となっていても良いし、半硬化状態となっていても良いし、未硬化(硬化前、且つ半硬化前)の状態となっていても良い。
以上のようにして、第1シート10(図2(a))と第2シート20(図2(b))とをそれぞれ複数枚ずつ作製する。
第2シート20の厚さは、第1シート10の厚さの1/10以下であることが好ましい。換言すれば、第1シート10の厚さを第2シート20の厚さの10倍以上とする。これにより、熱伝導シート40において熱伝導性フィラー12を含有する領域の割合を高めることができるので、熱伝導シート40の熱伝導性を良好にすることができる。
第1シート10の厚さは、例えば、50μm以上2.0mm以下とすることができる。第2シート20の厚さは、例えば、5μm以上0.2mm以下とすることができる。
次に、第1シート10と第2シート20とを交互に積層する(図1のステップS5、図2(c))。ここで、図2(d)に示すように、積層体30の最上層と最下層とがそれぞれ第1シート10となるように、第1シート10と第2シート20とを交互に積層することが好ましい。
次に、積層された第1シート10及び第2シート20を、それらの積層方向にプレス加工(加熱加圧成形)することにより、第1シート10を構成する第1有機樹脂11を硬化させる。これにより、交互に積層された第1シート10と第2シート20とが一体化されてなる直方体形状の積層体30を得ることができる(図1のステップS6、図2(d))。ここで、第1シート10を構成する第1有機樹脂11は、硬化することによって、隣り合う第2シート20どうしを接着させる。ここで、第1有機樹脂11を上記第1所定温度よりも高温の第2所定温度に加熱する。なお、第1有機樹脂11を硬化させる前の段階で、第2有機樹脂21が未硬化(半硬化状態を含む)の場合、第1有機樹脂11を硬化させる工程にて、併せて第2有機樹脂21も硬化させる。
次に、積層体30を第1シート10及び第2シート20の積層方向に切断(スライス)することにより、熱伝導シート40を作製する(図1のステップS7、(図2(e))。ここで、積層体30をスライスする方法としては、カンナを用いてスライスする方法や、その他の切断刃によりスライスする方法が挙げられる。
これにより、熱伝導シート40の厚み方向における熱伝導性フィラー12の寸法が、熱伝導シート40の面方向における熱伝導性フィラー12の寸法よりも大きくなるように、熱伝導シート40内における熱伝導性フィラー12が配向される。以下、このような向きに熱伝導性フィラー12を配向することを、厚み方向に配向する、などという。
ここで、熱伝導シート40の厚み方向における熱伝導性フィラー12の寸法とは、熱伝導シート40内のある熱伝導性フィラー12を熱伝導シート40の面方向(厚み方向に対して直交する方向)に投影したときの最大寸法である。また、熱伝導シート40の面方向における熱伝導性フィラー12の寸法とは、熱伝導シート40内のある熱伝導性フィラー12を熱伝導シート40の厚み方向(面方向に対して直交する方向)に投影したときの最大寸法である。
例えば、熱伝導シート40内の熱伝導性フィラー12のアスペクト比(熱伝導シート40の厚み方向における熱伝導性フィラー12の寸法/熱伝導シート40の面方向における熱伝導性フィラー12の寸法)の平均値が、2以上、好ましくは5以上となるように、熱伝導性フィラー12の形状の選択と、熱伝導性フィラー12の配向性の設定とを行うことが望ましい。
熱伝導シート40内において、熱伝導性フィラー12が厚み方向に配向されるため、熱伝導シート40の厚み方向における熱伝導性を良好にすることができる。
ここで、上記のような製造方法により得られる熱伝導シート40の構造について、図3を参照して詳述する。
図3(a)〜(c)に示すように、熱伝導シート40は、複数の四角柱形状部41と、複数の仕切部42と、を有する。複数の四角柱形状部41は、各々の軸方向(底面の中心と上面の中心とを結ぶ方向)に長尺である。複数の仕切部42は、四角柱形状部41と同じ方向に長尺である。複数の四角柱形状部41および複数の仕切部42は、互いに並列となり、且つ、隣り合う四角柱形状部41の間に仕切部42が位置するように、熱伝導シート40の面方向に沿って(図3(a)〜(c)では左右方向に)配置されている。そして、互いに隣り合う四角柱形状部41と仕切部42との側面どうしが接合されることにより、複数の四角柱形状部41および複数の仕切部42は、一枚のシート形状をなしている。四角柱形状部41は、硬化状態とされた第1有機樹脂11中に、鱗片状、楕球状又は棒状の熱伝導性フィラー12を含んでなる。複数の四角柱形状部41の各々において、熱伝導シート40の厚み方向における熱伝導性フィラー12の寸法が、熱伝導シート40の面方向における熱伝導性フィラー12の寸法よりも大きくなるように、熱伝導性フィラー12が配向されている。また、仕切部42は、硬化状態とされた第2有機樹脂21中に、充填材22を含んでなる。充填材22は、繊維織布、繊維不織布、又は、熱伝導性フィラー12とは異種の材料からなる無機充填材である。
ここで、四角柱形状部41は、第1シート10の一部分からなる。また、仕切部42は、第2シート20の一部分からなる。
複数の四角柱形状部41および複数の仕切部42の並び方向(図3(a)〜(c)の左右方向)における仕切部42の寸法は、当該並び方向における四角柱形状部41の寸法の1/10以下であることが好ましい。
熱伝導シート40は、例えば、発熱体(半導体チップなど)と放熱体(ヒートシンクなど)との間などのように、高い熱伝導性が要求される接合界面に設けられ、発熱体から放熱体への熱伝導を促進する。なお、熱伝導シート40を有する具体的な半導体装置構造の一例としては、例えば、半導体チップが配線基板(インターポーザ)上に搭載され、且つ、この配線基板がヒートシンク上に搭載されており、半導体チップと配線基板との接合界面、並びに、配線基板とヒートシンクとの接合界面に、それぞれ熱伝導シート40を設けた構造が挙げられる。
熱伝導シート40の厚さは、例えば、50μm以上250μm以下とすることができ、好ましくは、180μm程度とすることができる。
図4は実施形態に係る熱伝導シート40の他の例を示す模式的な要部断面図である。
図4に示すように、熱伝導シート40は、図3に示す構成に加えて、表裏両面にそれぞれ形成された密着層45を有していても良い。この密着層45は、熱伝導シート40の設置面に対する熱伝導シート40の密着性を良好にするために設けられる。
密着層45の材質としては、例えば、(メタ)アクリル酸ブチル、又は(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル等の(メタ)アクリル酸エステルなどが挙げられる。なお、密着層45は、熱伝導シート40の何れか一方の面にのみ形成されていても良い。
熱伝導シート40が密着層45を有する場合、密着層45の厚さは、熱伝導シート40における密着層45を除く部分の厚さよりも薄い。密着層45の厚さは、例えば、5μm以上20μm以下とすることができ、好ましくは、10μm程度とすることができる。
以上のような実施形態に係る熱伝導シートの製造方法によれば、熱伝導シート40の厚み方向における熱伝導性フィラー12の寸法が、熱伝導シート40の面方向における熱伝導性フィラー12の寸法よりも大きくなるように、熱伝導シート40を作製する。すなわち、熱伝導シート40内において、熱伝導性フィラー12を熱伝導シート40の厚み方向に配向する。よって、熱伝導シート40の厚み方向における熱伝導性を良好にすることができる。
ここで、第1シート10は、半硬化状態とされた第1有機樹脂11中に熱伝導性フィラー12を含んでなる。また、第2シート20は、薄膜状に形成された第2有機樹脂21中に充填材22を含んでなる。そして、第1シート10と第2シート20とを交互に積層した後で、少なくとも第1有機樹脂11を硬化させることによって積層体30を作製し、その積層体30をスライスして熱伝導シート40を作製する。
ここで、第2シート20が含有する充填材22は、繊維織布、繊維不織布、又は、熱伝導性フィラー12とは異種の材料からなる無機充填材である。
このため、積層体30を作製する段階において、各第2シート20の少なくとも充填材22は、各第1シート10の内部の熱伝導性フィラー12が第1有機樹脂11の流動につられて隣の第1シート10側に移動することによる熱伝導性フィラー12の配向の乱れを規制することで、熱伝導性フィラー12の配向性を維持する機能を担う。換言すれば、各第2シート20の少なくとも充填材22が、熱伝導性フィラー12の移動障壁となるため、熱伝導性フィラー12の配向性が維持される。
これにより、積層体30内における熱伝導性フィラー12の配向性を良好にできる。その結果、積層体30を積層方向にスライスすることにより得られる熱伝導シート40の熱伝導性フィラー12を、熱伝導シート40の厚み方向に良好に配向することができる。よって、熱伝導シート40の厚み方向において、十分な熱伝導性が得られる。
また、充填材22として、繊維織布又は繊維不織布からなる繊維基材を用いることにより、移動しようとする熱伝導性フィラー12を、この繊維基材によって容易に捕捉することができるため、より確実に、熱伝導性フィラー12の配向の乱れを抑制することができる。この場合、繊維基材に硬化前且つ半硬化前の第2有機樹脂21を含浸させる工程を経て、第2シート20を作製することができる。上記のように、第2シート20を作製する工程は、繊維基材に含浸された第2有機樹脂21を半硬化又は硬化させる工程を更に含んでいても良い。
また、充填材22として、熱伝導性フィラー12とは異種の材料からなる無機充填材を用いても良い。この場合、例えば、硬化前且つ半硬化前の第2有機樹脂21と無機充填材とを混練する工程と、無機充填材を含有する第2有機樹脂21を薄膜形状に成形する工程と、第2有機樹脂21を硬化させる工程と、を経て、第2シート20を作製することができる。この場合も、無機充填材が熱伝導性フィラー12の移動障壁となるため、熱伝導性フィラー12の配向性が維持される。なお、充填材22としての無機充填材は、熱伝導性フィラー12よりも高密度に充填することが好ましく、これによって、より良好に、熱伝導性フィラー12の配向性を維持することができる。
また、第2シート20の厚さを第1シート10の厚さの1/10以下とすることにより、熱伝導シート40において熱伝導性フィラー12を含有する領域(四角柱形状部41)の割合を高め、熱伝導シート40において熱伝導性フィラー12を含有しない領域(仕切部42)の割合を抑制することができる。よって、熱伝導シート40の熱伝導性を良好にすることができる。
また、実施形態に係る熱伝導シート40によれば、複数の四角柱形状部41の各々において、熱伝導シート40の厚み方向における熱伝導性フィラー12の寸法が、熱伝導シート40の面方向における熱伝導性フィラー12の寸法よりも大きくなるように、熱伝導性フィラー12が配向されている。すなわち、各々の四角柱形状部41内において、熱伝導性フィラー12が熱伝導シート40の厚み方向に配向されている。よって、熱伝導シート40の厚み方向において良好な熱伝導性が得られる。
また、このような構成の熱伝導シート40は、個々の四角柱形状部41内において熱伝導性フィラー12が熱伝導シート40の厚み方向に配向されているため、厚み方向において良好な熱伝導性を示す製品を、製造安定性良く、高歩留まりで製造することが可能な構造であるといえる。
更に、四角柱形状部41と仕切部42とが交互に配置され、且つ、個々の仕切部42は、第2有機樹脂21中に充填材22を含んでなる。この充填材22は、繊維織布、繊維不織布、又は、熱伝導性フィラーとは異種の材料からなる無機充填材である。よって、仕切部42の少なくとも充填材22は、四角柱形状部41の熱伝導性フィラー12が隣の四角柱形状部41側に移動することによる熱伝導性フィラー12の配向の乱れを規制することで、熱伝導性フィラー12の配向性を維持する機能を担う。
これにより、熱伝導シート40における熱伝導性フィラー12の配向性を良好に維持することができる。
複数の四角柱形状部41および複数の仕切部42の並び方向(図3(a)〜(c)の左右方向)における仕切部42の寸法を、当該並び方向における四角柱形状部41の寸法の1/10以下とすることにより、熱伝導シート40において熱伝導性フィラー12を含有する領域(四角柱形状部41)の割合を高め、熱伝導シート40において熱伝導性フィラー12を含有しない領域(仕切部42)の割合を抑制することができる。よって、熱伝導シート40の熱伝導性を良好にすることができる。
(実施例)
次に、実施例を説明する。
(樹脂組成物の調整)
熱伝導性フィラー12としては、板状(鱗片状)の窒化ホウ素粉末「PT−110(商品名)」(モメンティブパフォーマンスマテリアルズジャパン合同会社製、平均粒径:45μm、長軸方向と短軸方向の比率:20)を用いた。ここで、平均粒径とは、窒化ホウ素粉末の板面方向における長手寸法(最大寸法)の平均値を意味する。また、長軸方向と短軸方向の比率とは、板状の窒化ホウ素粉末の板厚と、窒化ホウ素粉末の板面方向における長手寸法(最大寸法)と、の比率を意味する。すなわち、窒化ホウ素粉末の平均的な形状は、板厚が1に対して、板面方向における長手寸法(最大寸法)が20である。
有機樹脂は、4,4'−ジアミノベンズアニリド(三井化学ファイン社製)と、ビスフェノールF型エポキシ樹脂「830S(商品名)」(DIC社製、エポキシ当量170)とにより作製した。
具体的には、66.0gの上記窒化ホウ素粉末と、8.5gの上記4,4'−ジアミノベンズアニリドと、25.5gの上記ビスフェノールF型エポキシ樹脂とを、120℃に加熱して混練することによって樹脂組成物を調製した(図1のステップS1に相当)。
(一次シートの調整)
先に調製した樹脂組成物を、離型処理した一対のPETフィルムにより挟み込み、プレス機を用いて、ツール圧10MPa、ツール温度120℃の条件下で、一対のPETフィルムを挟み込むようにして10秒間にわたってプレスすることにより、厚さが1.0mmの一次シートを得た。すなわち、一次シートは、一方のPETフィルムと、当該PETフィルム上に形成された上記樹脂組成物の薄膜と、当該薄膜上に位置する他方のPETフィルムと、からなる。この操作を繰り返すことによって、多数枚の一次シートを作製した。ここで、この一次シートを構成する有機樹脂は、上記条件でプレス加工することによって、半硬化状態となった(Bステージとなった)(図1のステップS2に相当)。
(一次シートの成形)
先に調整した1.0mmの一次シートの両面のPETフィルムをはがし、一次シートを1辺が10cmの正方形の小片に切り分けることにより、複数の第1シート10を得た。
(第2シートの準備)
また、ガラスエポキシ基板(商品名:FR−4、松下電工株式会社製)を1辺が10cmの正方形の小片に切り分けることにより、第2シート20を得た。なお、第2シート20の膜厚は、0.1mm程度である。
(積層体の作製、交互積層)
次に、第1シート10と第2シート20とを交互に積層した。ここで、第1シート10を合計20枚、第2シート20を合計19枚用いて、最も外側(最下層及び最上層)にそれぞれ第1シート10が位置するように(最も外側に第2シート20が位置しないように)積層した。なお、各第1シート10及び各第2シート20の外形線が平面視において一致するように、各第1シート10及び各第2シート20の位置を揃えて積層した(図1のステップS5に相当)。
更に、最下層の第1シート10の下面及び最上層の第1シート10の上面にそれぞれ厚さ18μmの電解銅箔(古河サーキットホイル社製、GTSMP)を重ねた後、圧力10MPa、温度220℃で180分間の加熱加圧成形を行い、両面銅張積層体を得た。ここで、この両面銅張積層体の各第1シート10を構成する有機樹脂(第1有機樹脂11)は、上記条件で加熱加圧成形を行うことによって、硬化状態となった(Cステージとなった)。その結果、隣り合う第2シート20同士が、それらの間の第1シート10を介して相互に一体化した(図1のステップS6に相当)。
次に、この両面銅張積層体をエッチング処理することにより、両面銅張積層体から、その上下面の銅箔を除去し、厚さ2cmの積層体30を作製した。
なお、ここで最下層の第1シート10の下面及び最上層の第1シート10の上面に銅箔を貼る理由は、加熱加圧成形の際に、加圧面に第1シート10が貼り付いてしまうことを防止する(加圧後の離型を容易にする)ためである。
(熱伝導シートの作製(積層体のスライス))
次に、積層体30を第1シート10及び第2シート20の積層方向に切断(スライス)した。具体的には、積層体30の1cm×2cmの積層断面をカンナ(スリット部からの刃部の突出長さ:0.34mm)を用いてスライス(第1シート10(及び第2シート20)のシート面の法線に対し0度の角度でスライス)し、縦1cm、横2cm、厚さ0.5mmの熱伝導シート40を得た(図1のステップS7に相当)。
(比較例)
次に、比較例を説明する。
(樹脂組成物の調整)
上記の実施例と同じ方法で樹脂組成物を調整した。
(一次シートの調整)
上記の実施例と同じ方法で多数枚の一次シートを作製した。すなわち、この一次シートを構成する有機樹脂は、半硬化状態となった(Bステージとなった)。
(一次シートの成形)
先に調整した1.0mmの一次シートのPETフィルムをはがし、一次シートを1辺が10cmの正方形の小片に切り分けた。
(積層体の作製)
次に、上記のように切り分けた一次シートを22枚重ねた。なお、各一次シートの外形線が平面視において一致するように、各一次シートの位置を揃えて積層した。
更に、最下層の一次シートの下面及び最上層の一次シートの上面にそれぞれ厚さ18μmの電解銅箔(古河サーキットホイル社製、GTSMP)を重ねた後、圧力10MPa、温度220℃で180分間の加熱加圧成形を行い、両面銅張積層体を得た。ここで、この両面銅張積層体の各一次シートを構成する有機樹脂は、上記条件で加熱加圧成形を行うことによって、硬化状態となった(Cステージとなった)。
次に、この両面銅張積層体をエッチング処理することにより、両面銅張積層体から、その上下面の銅箔を除去し、厚さ2cmの積層体を作製した。
(熱伝導シートの作製(積層体のスライス))
次に、積層体を一次シートの積層方向に切断(スライス)した。具体的には、積層体の1cm×2cmの積層断面をカンナ(スリット部からの刃部の突出長さ:0.34mm)を用いてスライス(一次シートのシート面の法線に対し0度の角度でスライス)し、縦1cm、横2cm、厚さ0.5mmの熱伝導シートを得た。
(配向方向の確認)
実施例で得られた熱伝導シート40について、断面をSEM(走査型電子顕微鏡)を用いて観察し、任意の50個の熱伝導性フィラー12について見えている方向に基づいて、鱗片の長軸方向(面方向)の熱伝導シート40の表面に対する角度を測定した。
同様に、比較例で得られた熱伝導シートについて、断面をSEMを用いて観察し、任意の50個の熱伝導性フィラーについて見えている方向に基づいて、鱗片の長軸方向(面方向)の熱伝導シートの表面に対する角度を測定した。
(熱伝導率の測定)
実施例で得られた熱伝導シート40及び比較例で得られた熱伝導シートの各々について、密度を水中置換法により測定し、比熱をDSC(示差走査熱量測定)により測定し、さらに、レーザーフラッシュ法により熱拡散率を測定した。
そして、実施例で得られた熱伝導シート40及び比較例で得られた熱伝導シートの各々について、厚み方向における熱伝導率を以下の式から算出した。
熱伝導率(W/m・K)=密度(kg/m)×比熱(kJ/kg・K)×熱拡散率(m/S)×1000
(結果)
実施例: 角度(配向方向):87.2度
厚み方向における熱伝導率:23W/mK
比較例: 角度(配向方向):63.4度
厚み方向における熱伝導率:15W/mK
ここで、角度(配向方向)は、最頻値である。
ここに示した結果から、実施例で得られた熱伝導シート40においては、熱伝導性フィラー12の角度(配向方向)が、比較例で得られた熱伝導シートにおける熱伝導性フィラーの角度に比べて、90度に近いことが分かる。すなわち、実施例で得られた熱伝導シート40においては、比較例と比べて、熱伝導性フィラー12が熱伝導シート40の厚み方向に良好に配向している。
そして、実施例で得られた熱伝導シート40においては、比較例で得られた熱伝導シートと比べて、厚み方向における熱伝導率が飛躍的に向上していることが分かる。
10 第1シート
11 第1有機樹脂
12 熱伝導性フィラー
20 第2シート
21 第2有機樹脂
22 充填材
30 積層体
40 熱伝導シート
41 四角柱形状部
42 仕切部
45 密着層

Claims (15)

  1. 薄膜状に形成され且つ半硬化状態とされた第1有機樹脂中に、鱗片状、楕球状又は棒状の熱伝導性フィラーを含んでなる複数の第1シートを、前記第1シートの厚み方向における前記熱伝導性フィラーの寸法よりも前記第1シートの面方向における前記熱伝導性フィラーの寸法の方が大きくなるように前記熱伝導性フィラーを配向させて作製する工程と、
    薄膜状に形成された第2有機樹脂中に充填材を含んでなる複数の第2シートを作製する工程と、
    前記第1シートと前記第2シートとを交互に積層する工程と、
    少なくとも前記第1有機樹脂を硬化させることによって、交互に積層された前記第1シートと前記第2シートとが一体化されてなる積層体を作製する工程と、
    前記積層体をスライスして熱伝導シートを作製する工程であって、前記積層体を前記第1シート及び前記第2シートの積層方向に切断することにより、前記熱伝導シートの厚み方向における前記熱伝導性フィラーの寸法が、前記熱伝導シートの面方向における前記熱伝導性フィラーの寸法よりも大きくなるように、前記熱伝導シートを作製する工程と、
    を有し、
    前記充填材は、繊維織布、繊維不織布、又は、前記熱伝導性フィラーとは異種の材料からなる無機充填材である熱伝導シートの製造方法。
  2. 前記充填材は無機材料からなる請求項1に記載の熱伝導シートの製造方法。
  3. 前記充填材は、前記繊維織布又は前記繊維不織布からなる繊維基材であり、
    前記第2シートを作製する工程は、前記繊維基材に、硬化前且つ半硬化前の前記第2有機樹脂を含浸させる工程を含む請求項1又は2に記載の熱伝導シートの製造方法。
  4. 前記第2シートを作製する工程は、
    前記繊維基材に含浸された前記第2有機樹脂を半硬化又は硬化させる工程を更に含む請求項3に記載の熱伝導シートの製造方法。
  5. 前記充填材は、前記熱伝導性フィラーとは異種の材料からなる無機充填材であり、
    前記第2シートを作製する工程は、硬化前且つ半硬化前の前記第2有機樹脂と前記無機充填材とを混練する工程と、
    前記無機充填材を含有する前記第2有機樹脂を薄膜形状に成形する工程と、
    前記第2有機樹脂を硬化させる工程と、
    を含む請求項2に記載の熱伝導シートの製造方法。
  6. 前記第2シートの厚さは、前記第1シートの厚さの1/10以下である請求項1乃至5の何れか一項に記載の熱伝導シートの製造方法。
  7. 前記熱伝導性フィラーは、結晶中の六角平面が、鱗片の面方向、楕球の長軸方向又は棒の軸方向に配向している六方晶窒化ホウ素粒子又は黒鉛粒子である請求項1乃至6の何れか一項に記載の熱伝導シートの製造方法。
  8. 前記第1有機樹脂は、エポキシ樹脂、ポリイミド又はベンゾオキサジンであり、
    前記第2有機樹脂は、エポキシ樹脂、ポリイミド又はベンゾオキサジンである請求項1乃至7の何れか一項に記載の熱伝導シートの製造方法。
  9. 前記第1シートを作製する工程は、
    半硬化前の前記第1有機樹脂と前記熱伝導性フィラーとを混練する工程と、
    前記熱伝導性フィラーを含有する前記第1有機樹脂を薄膜形状に成形する工程と、
    前記第1有機樹脂を半硬化させる工程と、
    を含む請求項1乃至8の何れか一項に記載の熱伝導シートの製造方法。
  10. 熱伝導シートであって、
    当該熱伝導シートは、
    複数の四角柱形状部と、
    複数の仕切部と、
    を有し、
    前記複数の四角柱形状部は、各々の軸方向に長尺であり、
    前記複数の仕切部は、前記四角柱形状部と同じ方向に長尺であり、
    前記複数の四角柱形状部および前記複数の仕切部は、互いに並列となり、且つ、隣り合う前記四角柱形状部の間に前記仕切部が位置するように、当該熱伝導シートの面方向に沿って配置されるとともに、互いに隣り合う前記四角柱形状部と前記仕切部との側面どうしが接合されることにより、一枚のシート形状をなし、
    前記四角柱形状部は、硬化状態とされた第1有機樹脂中に、鱗片状、楕球状又は棒状の熱伝導性フィラーを含んでなり、
    前記複数の四角柱形状部の各々において、当該熱伝導シートの厚み方向における前記熱伝導性フィラーの寸法が、当該熱伝導シートの面方向における前記熱伝導性フィラーの寸法よりも大きくなるように、前記熱伝導性フィラーが配向され、
    前記仕切部は、硬化状態とされた第2有機樹脂中に、充填材を含んでなり、
    前記充填材は、繊維織布、繊維不織布、又は、前記熱伝導性フィラーとは異種の材料からなる無機充填材である熱伝導シート。
  11. 前記充填材は無機材料からなる請求項10に記載の熱伝導シート。
  12. 前記充填材は、前記繊維織布又は前記繊維不織布からなる繊維基材である請求項10又は11に記載の熱伝導シート。
  13. 前記複数の四角柱形状部および前記複数の仕切部の並び方向における前記仕切部の寸法は、当該並び方向における前記四角柱形状部の寸法の1/10以下である請求項10乃至12の何れか一項に記載の熱伝導シート。
  14. 前記熱伝導性フィラーは、結晶中の六角平面が、鱗片の面方向、楕球の長軸方向又は棒の軸方向に配向している六方晶窒化ホウ素粒子又は黒鉛粒子である請求項10乃至13の何れか一項に記載の熱伝導シート。
  15. 前記第1有機樹脂は、エポキシ樹脂、ポリイミド又はベンゾオキサジンであり、
    前記第2有機樹脂は、エポキシ樹脂、ポリイミド又はベンゾオキサジンである請求項10乃至14の何れか一項に記載の熱伝導シート。
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