JP2014142280A - 信号処理装置、レーダ装置、水中探知装置、及び信号処理方法 - Google Patents

信号処理装置、レーダ装置、水中探知装置、及び信号処理方法 Download PDF

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Abstract

【課題】サイドローブの影響を排除し且つ物標からの信号を自然な形で表示させるとともに、物標に起因する信号と物標以外のものに起因する信号との判別を容易にする。
【解決手段】物標の存在を検出する物標探知機が受信した受信信号について、高分解能処理を行った後に窓関数を掛けて窓関数処理信号とし、所望の自然な形状にする。一方、受信信号における、所定の信号レベル未満の第1領域を検出するとともに、窓関数処理信号における第1領域に対応する領域の信号レベルを低減するための低減信号を生成する。そして、窓関数処理信号と前記低減信号とを合成することにより、窓関数処理信号における第1領域に対応する領域の信号レベルを低減する。
【選択図】図23

Description

本発明は、レーダ装置等の物標探知機が受信した信号において分解能を向上させるための信号処理装置及び信号処理方法、並びに前記信号処理装置を備えるレーダ装置及び水中探知装置に関する。
レーダ装置等が受信した信号において、分解能を向上させる従来技術として、例えば、特許文献1、2に開示された発明がある。特許文献1に開示された発明は、受信信号を、異なる2つのウィナー係数α、αを用いた2種類のウィナーフィルタで並列的に処理し、レベルが小さい方の処理結果、あるいは2つの処理結果の積を出力する。特許文献2に記載された発明は、受信信号を、異なる複数のウィナー係数α、…、αを用いた複数種類のウィナーフィルタで並列的に処理する。そして、当該発明は、それぞれのウィナーフィルタの出力において、一定の閾値に満たない出力をカットした後、閾値処理した結果の相乗平均を出力する。
特開平08−201516号公報 特開2002−311126号公報
レーダ装置等が受信した信号をウィナーフィルタによって処理すると、図25のように、物標方向をピークとし、物標方向から離れるにつれて序々にレベル(振幅)が減少する信号が得られる。したがって、特許文献1に開示された発明では、レベルが小さい方の処理結果、あるいは2つの処理結果の積のいずれを採用したとしても、物標の近くに比較的レベルの高いサイドローブが得られてしまう。
一方、特許文献2に記載された発明では、高い信号レベルが得られる物標(以下、物標Aと呼ぶ)と弱い信号レベルが得られる物標(以下、物標Bと呼ぶ)の両方が存在する環境下では、図26のように、物標Bのピーク値が物標Aのサイドローブのピーク値より低い処理結果が得られることがある。このとき、閾値を図26のThr1のように低く設定すると、図27のように信号レベルが高い物標Aにおいてサイドローブが検出されてしまう。また、閾値を図26のThr2のように高く設定すると、図28のように信号レベルの低い物標Bが検出されなくなる。したがって、高い信号レベルのサイドローブを抑圧することと、低い信号レベルの物標を検出することとは両立できない問題があった。
これに対して、ウィナーフィルタによって処理された信号の実数部の信号レベルが0以下となる領域について信号レベルを0とすることにより生成された信号に、窓関数を掛けることが考えられる。このように、ウィナーフィルタによって処理された信号において、実数部の信号レベルが0以下となる領域について信号レベルを0とすることで、物標のメインローブに隣接する比較的レベルの高いサイドローブを除去できる。また、上述のように窓関数を掛けることで、ウィナーフィルタによって高分解能化された物標からの急峻な信号を、所望の自然な形にできる。
しかし、この場合、一部のサイドローブが残ったままの状態となる。また、上述のように窓関数を掛けると、例えば、他船からの干渉信号の幅も太くなってしまうため、物標からの信号と判別がつきにくくなる。
本発明は、上記実情に鑑みてなされたものであり、その目的は、サイドローブの影響を排除し且つ物標からの信号を自然な形で表示させるとともに、物標に起因する信号と物標以外のものに起因する信号とを容易に判別できる信号処理装置及び信号処理方法、並びに上記信号処理装置を備えるレーダ装置及び水中探知装置を提供することである。
(1)上記課題を解決するため、本発明のある局面に係る信号処理装置は、物標の存在を検出する物標探知機が受信した受信信号を処理する信号処理装置であって、前記受信信号をフーリエ変換して周波数関数を得るフーリエ変換部と、前記周波数関数に対して、前記物標探知機の装置関数及び第1のウィナー係数によって定められるウィナーフィルタ関数に基づくウィナーフィルタ処理を行う第1のウィナーフィルタ部と、前記第1のウィナーフィルタ部で算出される第1ウィナーフィルタ部出力信号の実数部の信号レベルが0以下となる領域について、信号レベルを0とする第1のサイドローブ抑圧部と、前記第1のサイドローブ抑圧部で算出される第1サイドローブ抑圧部出力信号に窓関数を掛ける窓関数処理部と、前記受信信号における、所定の信号レベル未満の低レベル領域を検出するとともに、前記窓関数処理部で算出される窓関数処理信号における前記低レベル領域に対応する領域の信号レベルを低減するための低減信号を生成する低減信号生成部と、前記窓関数処理信号と前記低減信号とを合成する低減処理部とを備える。
(2)好ましくは、前記第1のウィナーフィルタ部は、前記周波数関数に前記ウィナーフィルタ関数を乗算し、その乗算結果を逆フーリエ変換することにより前記ウィナーフィルタ処理を行う。
(3)好ましくは、前記低減信号生成部は、前記受信信号における前記低レベル領域に対応する領域の信号レベルが0である前記低減信号を生成する。
(4)更に好ましくは、前記低減信号生成部は、前記受信信号における前記低レベル領域以外の高レベル領域に対応する領域の信号レベルが1である前記低減信号を生成する。
(5)更に好ましくは、前記低減信号生成部は、前記受信信号における前記低レベル領域以外の高レベル領域に対応する領域の信号レベルが、前記受信信号における前記高レベル領域に対応する領域の信号レベルである前記低減信号を生成する。
(6)好ましくは、前記低減処理部は、前記窓関数処理信号と前記低減信号とを乗算することにより合成する。
(7)好ましくは、前記信号処理装置は、前記周波数関数に対して、前記装置関数、及び前記第1のウィナー係数とは異なる第2のウィナー係数によって定められるウィナーフィルタ関数に基づくウィナーフィルタ処理を行う第2のウィナーフィルタ部と、前記第2のウィナーフィルタ部で算出される第2ウィナーフィルタ部出力信号の実数部の信号レベルが0以下となる領域について、信号レベルを0とする第2のサイドローブ抑圧部と、前記第1サイドローブ抑圧部出力信号、及び前記第2のサイドローブ抑圧部で算出される第2サイドローブ抑圧部出力信号、を合成する合成部とを更に備え、前記窓関数処理部は、前記合成部で算出される合成信号に前記窓関数を掛ける。
なお、この構成によると、第1サイドローブ抑圧部出力信号と前記第2サイドローブ抑圧部出力信号とが合成された合成信号に窓関数が掛けられている。これにより、第1サイドローブ抑圧部出力信号に窓関数が掛けられていることになる。
(8)更に好ましくは、前記信号処理装置は、複数の前記第2のウィナーフィルタ部と、複数の前記第2のウィナーフィルタ部のそれぞれに対応する複数の前記第2のサイドローブ抑圧部とを更に備え、複数の前記第2のウィナーフィルタ部は、それぞれ、前記装置関数、及び互いに異なる前記ウィナー係数によって定められるウィナーフィルタ関数により、互いに異なる複数の前記第2ウィナーフィルタ部出力信号を生成し、複数の前記第2のサイドローブ抑圧部は、それぞれ、自らに対応する前記第2のウィナーフィルタ部が生成する前記第2ウィナーフィルタ部出力信号の実数部の信号レベルが0以下となる領域について、信号レベルを0とした互いに異なる前記第2サイドローブ抑圧部出力信号を生成し、前記合成部は、前記第1サイドローブ抑圧部出力信号及び複数の前記第2サイドローブ抑圧部出力信号を合成する。
(9)好ましくは、前記信号処理装置は、前記低減処理部で算出される低減処理信号における信号レベルが第1所定値未満であるノイズ領域のうち、前記受信信号における前記ノイズ領域に対応する領域のうち前記第1所定値よりも大きい第2所定値未満の領域に対応する第1領域に、前記受信信号における前記第2所定値未満の信号を印加する信号印加部を更に備える。
(10)更に好ましくは、前記信号印加部は、前記低減処理信号における前記ノイズ領域のうち、前記受信信号における前記ノイズ領域に対応する領域のうち前記第2所定値以上の領域に対応する第2領域に、前記第1所定値と前記第2所定値との間の値の信号を印加する。
(11)また、上記課題を解決するため、本発明のある局面に係る物標探知機としてのレーダ装置は、上述したいずれかの信号処理装置と、電波を送受信するアンテナと、前記アンテナから出力されたエコー信号をデジタル信号に変換して前記信号処理装置に出力する送受信装置とを備える。
(12)また、上記課題を解決するため、本発明のある局面に係る物標探知機としての水中探知装置は、上述したいずれかの信号処理装置と、超音波を送受信するトランスデューサと、前記トランスデューサから出力されたエコー信号をデジタル信号に変換して前記信号処理装置に出力する送受信装置とを備える。
(13)また、上記課題を解決するため、本発明のある局面に係る信号処理方法は、物標の存在を検出する物標探知機が受信した受信信号を処理する信号処理方法であって、前記受信信号をフーリエ変換して周波数関数を得る工程と、前記周波数関数に対して、前記物標探知機の装置関数及び第1のウィナー係数によって定められるウィナーフィルタ関数に基づくウィナーフィルタ処理を行う工程と、前記ウィナーフィルタ処理を行う工程で算出される第1ウィナーフィルタ部出力信号の実数部の信号レベルが0以下となる領域について、信号レベルを0とする工程と、前記信号レベルを0とする工程で算出される第1サイドローブ抑圧部出力信号に窓関数を掛ける工程と、前記受信信号における、所定の信号レベル未満の低レベル領域を検出するとともに、前記窓関数を掛ける工程で算出される窓関数処理信号における前記低レベル領域に対応する領域の信号レベルを低減するための低減信号を生成する工程と、前記窓関数処理信号と前記低減信号とを合成する工程とを含む。
本発明によれば、サイドローブの影響を排除し且つ物標からの信号を自然な形で表示させるとともに、物標に起因する信号と物標以外のものに起因する信号とを容易に判別できる信号処理装置及び信号処理方法、並びに上記信号処理装置を備えるレーダ装置及び水中探知装置を提供できる。
本発明の第1実施形態に係るレーダ装置の概略構成を示すブロック図である。 サイドローブの説明図である。 ウィナーフィルタで処理された信号の実数部の振幅を示す図である。 第1のサイドローブ抑圧部の処理結果を示す図である。 物標の存在状態の一例を示す図である。 第1実施形態に係るレーダ装置が受信した信号に干渉除去を施した信号の一例を示す図である。 第1実施形態に係る信号処理装置の処理の流れを示すフローチャートである。 図6の信号とともに低減信号の一例を示す図であって、図6の信号を破線で示し、低減信号を実線で示した図である。 図6の信号とともに第1ウィナーフィルタ部出力信号の一例を示す図である。 図6の信号とともに第1サイドローブ抑圧部出力信号の一例を示す図である。 図6の信号とともに第2ウィナーフィルタ部出力信号の一例を示す図である。 図6の信号とともに第2サイドローブ抑圧部出力信号の一例を示す図である。 図6の信号とともに合成信号の一例を示す図である。 図6の信号とともに窓関数処理信号の一例を示す図である。 図6の信号とともに、正規化処理された窓関数処理信号の一例を示す図である。 図6の信号とともに低減処理信号の一例を示す図である。 図6の信号とともに出力信号の一例を示す図である。 変形例に係るレーダ装置の概略構成を示すブロック図である。 図6の信号とともに、変形例に係るレーダ装置の低減信号の一例を示す図である。 図6の信号とともに、変形例に係るレーダ装置の出力信号の一例を示す図である。 変形例に係るレーダ装置の概略構成を示すブロック図である。 変形例に係るレーダ装置の概略構成を示すブロック図である。 図22の一部を拡大して示す図である。 本発明の第2実施形態に係る水中探知装置の概略構成を示すブロック図である。 ウィナーフィルタで処理された信号の一例を示す図である。 高い信号レベルが得られる物標と弱い信号レベルが得られる物標の両方が存在する信号の一例を示す図である。 図26の信号において、低い閾値で処理した結果の一例を示す図である。 図26の信号において、高い閾値で処理した結果の一例を示す図である。
以下、本発明の第1実施形態に係るレーダ装置1を、図面を参照して説明する。
〈第1実施形態〉
図1は、第1実施形態に係るレーダ装置1(物標探知機)の概略構成を示すブロック図である。第1実施形態に係るレーダ装置1は、例えば漁船等の船舶に設置されている。レーダ装置1は、アンテナ10、送受信装置20、処理結果保持部30、処理結果表示部40、及び本発明の一実施形態に係る信号処理装置100を備える。
アンテナ10は、送信アンテナ11と、受信アンテナ12とを有している。受信アンテナ12は、例えば、複数のアンテナ素子が等間隔且つ直線状に配置されたアレーアンテナで構成されている。
送受信装置20は、送信部21と、受信部22とを有している。送信部21は、マイクロ波を発振する電子素子として、例えば、D/Aコンバータ、周波数変換器、及び電力増幅器を有している。送信部21は、レーダ送信信号を生成して送信アンテナ11に送出する。受信部22は、受信アンテナ12からレーダ受信信号を取り込み、増幅した後に中間周波数に変換してデジタル信号に変換し、信号処理装置100へ出力する。
信号処理装置100は、受信部22から出力される受信信号のうち、物標が存在することにより信号レベルが高くなる領域を狭くする高分解能化処理を行い、処理後の信号を処理結果保持部30へ出力する。信号処理装置100は、干渉処理部110、振幅保持部120、フーリエ変換部130、2つのウィナーフィルタ部140,141、2つのサイドローブ抑圧部150,151、合成部160、窓関数処理部170、低減信号生成部175、低減処理部180、閾値設定部185、及び信号印加部190を備えている。
干渉処理部110は、受信部22からの受信信号のうち、他船からの干渉信号を除去し、当該干渉信号が除去された信号を振幅保持部120へ出力する。この干渉処理には、特開平05−27011号公報に挙げられた発明など、従来から知られている干渉処理技術が用いられる。
振幅保持部120は、干渉処理がされた受信信号の振幅のみを、所定のスイープ分保持する。振幅保持部120は、保持している受信信号を、フーリエ変換部130、低減信号生成部175、及び閾値設定部185へ出力する。
フーリエ変換部130は、振幅保持部120から出力された受信信号のフーリエ変換を行い、周波数関数を得る。フーリエ変換部130は、この周波数関数を、2つのウィナーフィルタ部140,141へ出力する。
各ウィナーフィルタ部140,141は、上記周波数関数にウィナーフィルタ関数を乗算し、その結果を逆フーリエ変換する。ここで、ウィナーフィルタとは、当該フィルタに入力される信号と、当該フィルタを通すことで得られる信号との差の二乗平均を最小にするフィルタである。
本実施形態では、信号処理装置100は、2つのウィナーフィルタ部140,141として、第1のウィナーフィルタ部140及び第2のウィナーフィルタ部141を有している。詳しくは後述するが、このようにウィナーフィルタを複数設け、且つ、各ウィナーフィルタ部140,141において、互いに異なる適切なウィナー係数を用いることで、出力信号の分解能を高めることができる。
第1のウィナーフィルタ部140は、上記周波数関数にウィナーフィルタ関数を乗算し、その乗算結果を逆フーリエ変換することにより、第1ウィナーフィルタ部出力信号w(11)を生成する。上記ウィナーフィルタ関数は、詳しくは後述するが、装置関数と、あらかじめ定められた第1のウィナー係数αによって定められる。ここで、本実施形態における装置関数とは、本実施形態に係るレーダ装置1の特性により定められるアンテナパターンである。第1のウィナーフィルタ部140は、上記第1ウィナーフィルタ部出力信号w(11)を、第1のサイドローブ抑圧部150に出力する。
第2のウィナーフィルタ部141は、上記周波数関数にウィナーフィルタ関数を乗算し、その乗算結果を逆フーリエ変換することにより、第2ウィナーフィルタ部出力信号w(15)を生成する。第2のウィナーフィルタ部141では、ウィナーフィルタ関数は、第1のウィナーフィルタ部140で用いられた装置関数と同じ装置関数と、あらかじめ定められた、第1のウィナー係数とは異なる第2のウィナー係数αによって定められる。第2のウィナーフィルタ部141は、上記第2ウィナーフィルタ部出力信号w(15)を、第2のサイドローブ抑圧部151に出力する。
第1のサイドローブ抑圧部150は、メインローブを基準に、左右方向に奇数番目にあるサイドローブを抑圧する。具体的には、第1のサイドローブ抑圧部150は、第1のウィナーフィルタ部140の出力である第1ウィナーフィルタ部出力信号w(11)について、振幅が0以上のものについてはそのままとする一方、振幅がマイナスとなるものを0とする。
図2は、サイドローブを説明するための図面である。図2の括弧内の数字は、何番目のサイドローブにあたるかを表した数字である。以下の説明では、括弧内の数字が奇数であるサイドローブを奇数番目のサイドローブと称し、括弧内の数字が偶数であるサイドローブを偶数番目のサイドローブと称する。なお、図2では、サイドローブの数が各方向4つである例を表しているが、サイドローブ数は、信号の性質に依存するものであり、必ずしも4つに限られたものではない。
ここで、図2に示された信号は振幅の大きさをdBで表したものであるが、図3に示すように振幅の大きさを実数で表すと、信号の実数部においては、奇数番目のサイドローブがマイナスの振幅を有する。
したがって、上述のように、第1のサイドローブ抑圧部150が、第1ウィナーフィルタ部出力信号w(11)について、振幅が0以上のものについてはそのままとする一方、振幅がマイナスとなるものを0とすることで、第1のサイドローブ抑圧部150は、図4に示すような偶数のサイドローブのみを有する第1サイドローブ抑圧部出力信号w(12)を生成する。第1のサイドローブ抑圧部150は、この第1サイドローブ抑圧部出力信号w(12)を合成部160に出力する。
第2のサイドローブ抑圧部151は、第1のサイドローブ抑圧部150と同じように、第2のウィナーフィルタ部141の出力である第2ウィナーフィルタ部出力信号w(15)について、振幅が0以上のものについてはそのままとする一方、振幅がマイナスとなるものを0とする。その結果、第2のサイドローブ抑圧部151は、偶数のサイドローブのみを有する第2サイドローブ抑圧部出力信号w(16)を生成する。第2のサイドローブ抑圧部151は、この第2サイドローブ抑圧部出力信号w(16)を合成部160に出力する。
合成部160は、上記第1サイドローブ抑圧部出力信号w(12)及び上記第2サイドローブ抑圧部出力信号w(16)を合成して合成信号w(13)を生成し、窓関数処理部170に出力する。すなわち、合成信号w(13)は、第1サイドローブ抑圧部出力信号w(12)に基づく信号である。
窓関数処理部170は、上記合成信号w(13)に窓関数としてのガウス窓を掛けて、窓関数処理信号w(14)を生成する。なお、本実施形態では、窓関数としてガウス窓を用いているが、この限りでなく、ハミング窓、又はブラックマン窓等を用いてもよい。また、アンテナパターンに基づいて形成されるような窓関数を用いてもよい。
低減信号生成部175は、振幅保持部120から出力された受信信号における、所定の信号レベル未満の低レベル領域を検出する。そして、上記窓関数処理信号w(14)における上記低レベル領域に対応する領域の信号レベルを低減するための低減信号を生成する。
低減処理部180は、低減信号生成部175からの低減信号、及び窓関数処理信号w(14)を合成することにより、上記窓関数処理信号w(14)における上記低レベル領域に対応する領域の信号レベルを低減して低減処理信号w(17)を生成する。
閾値設定部185は、振幅保持部120からの受信信号に基づき、ノイズの信号レベルの最大値よりも信号レベルがやや高い閾値Tを設定する。
信号印加部190は、低減処理部180で生成された低減処理信号w(17)のうち、信号が表示されていない領域に適切なノイズを印加することにより、信号の不自然さを解消する。このように生成された信号は、出力信号として、処理結果保持部30に出力される。
処理結果保持部30は、信号処理装置100が出力した出力信号が処理結果表示部40によって表示されるまで、当該出力信号を一時的に保持する。
処理結果表示部40は、処理結果保持部30で保持される信号を陰極線管(CRT)等に表示する。
次に、本実施形態の信号処理装置100の動作について、図面を参照しながら詳細に説明する。説明の前提として、図5に示すように、−20度、0度、10度の方向に物標が存在するものとし、本レーダ装置1が受信した信号に干渉除去を施した信号が図6に示されたものであるとする。図6に示すように、物標に起因する信号は比較的幅広な波形となる一方、干渉除去が施された他船からの干渉信号は、非常に幅の狭い、急峻な形状となる。
そして、方位角をθi(i=1…n:nの大きさは振幅保持部120が保持する対象とするスイープ数とサンプリングレートに依存)、レーダからの距離をR(j=1…m:mの大きさは、レーダの探知最大最小距離とサンプリングレートに依存)とし、θi及びRに対応する信号レベル(振幅)をdataijとすると、振幅保持部120が保持する受信信号振幅は、式(1)の行列res_dataで表される。
Figure 2014142280
ここで、方位分解能を向上させる場合は、res_dataの各列が処理される。距離分解能を向上させる場合は、res_dataの各行が処理される。以降の説明では、まず、方位分解能を向上させる場合について説明する。ここで、処理を行うres_dataの列を表すベクトルが、レーダからの距離R(j=1…m)に関するものとし、式(2)のベクトルyで表されるものとする。
Figure 2014142280
図7は、信号処理装置100の処理の流れを示すフローチャートである。
まず、ステップS10において、フーリエ変換部130は、ベクトルyをフーリエ変換し、式(3)の周波数関数Yを得る。
Figure 2014142280
一方、ステップS11では、低減信号生成部175が、図8に示すような低減信号を生成する。具体的には、ステップS11では、低減信号生成部175は、振幅保持部120からの受信信号に基づき、ノイズの信号レベルの最大値よりも信号レベルがやや高い閾値Tを設定し、振幅保持部120から出力される受信信号における上記閾値T未満の低レベル領域Rを検出する。そして、低減信号生成部175は、受信信号における低レベル領域Rに対応する領域の信号レベルが0であり、且つ、前記受信信号における低レベル領域R以外の高レベル領域Rに対応する領域の信号レベルが1である、低減信号を生成する(図8参照)。この低減信号は、低減処理部180に出力される。
次に、ステップS20において、第1のウィナーフィルタ部140は、装置関数としてのアンテナパターンから定められる伝達関数Hと、第1のウィナー係数α(但し、0≦α≦1.0、ただし、α<0.01ではノイズの影響を強く受けるため、α≧0.01であることが望ましい)によって定められる式(4)のウィナーフィルタ関数Wと、ステップS10で求められた周波数関数Yの積を計算する。本実施形態では、第1のウィナー係数αは、0.9に設定されている。
Figure 2014142280
ここで、Hは、方位角をθi(i=1…n:nの大きさは振幅保持部が保持する対象とするスイープ数とサンプリングレートに依存)としたときのアンテナ利得gから形成されるアンテナパターンh=(g ,…,g をもとに、式(5)により求められる。このgは、方位角に依存しアンテナからの距離に依存しないものである。
Figure 2014142280
第1のウィナーフィルタ部140が計算するウィナーフィルタ関数Wと周波数関数Yの積W’は、式(6)によって表される。
Figure 2014142280
次に、ステップS30において、第1のウィナーフィルタ部140は、W’を逆フーリエ変換することにより、第1ウィナーフィルタ部出力信号w(11)を生成する。w(11)は、式(7)により表される。第1のウィナーフィルタ部140は、この第1ウィナーフィルタ部出力信号w(11)を、第1のサイドローブ抑圧部150へ出力する。
Figure 2014142280
図9は、図6の信号とともに第1ウィナーフィルタ部出力信号w(11)を示す図である。図9の信号は、物標の方位を特定するメインローブの幅は細くなったものの、ノイズレベルより高い信号レベル(振幅)を有するサイドローブも含まれている。
次に、図7のステップS40において、第1のサイドローブ抑圧部150は、第1ウィナーフィルタ部出力信号w(11)の実数部において振幅が0以上となる領域については、その領域における第1ウィナーフィルタ部出力信号w(11)の値を出力する一方、第1ウィナーフィルタ部出力信号w(11)の実数部において振幅がマイナスとなる領域については0を出力する。その結果、第1のサイドローブ抑圧部150は、図10に示すような偶数のサイドローブのみを有する第1サイドローブ抑圧部出力信号w(12)を出力する。
一方、ステップS21において、第2のウィナーフィルタ部141は、ステップS20の場合と同様、ウィナーフィルタ関数と周波数関数の積を計算する。ただし、ステップS21では、式(4)のウィナー係数として、ステップS20で用いられるαよりも小さいαが使用される。なお、α<0.01ではノイズの影響を強く受けるため、α≧0.01であることが望ましい。本実施形態では、第2のウィナー係数αは、0.1に設定されている。
次に、ステップS31において、第2のウィナーフィルタ部141は、ステップS30と同じような処理を実行する。具体的には、第2のウィナーフィルタ部141は、ステップS21において生成された信号を逆フーリエ変換することにより、第2ウィナーフィルタ部出力信号w(15)を生成する(図11参照)。
次に、ステップS41において、第2のサイドローブ抑圧部151は、ステップS40の処理と同じ処理を実行し、第2サイドローブ抑圧部出力信号w(16)を生成する。図12は、図6の信号とともに第2サイドローブ抑圧部出力信号w(16)を示す図である。第2サイドローブ抑圧部出力信号w(16)は、後述する低減処理部180において、メインローブの分解能を高めるとともにサイドローブを適切に除去するために、第1サイドローブ抑圧部出力信号w(12)と重複する領域が小さいことが望ましい。特に、第2サイドローブ抑圧部出力信号w(16)は、メインローブに近く、信号レベルの高いサイドローブにおいて、第1サイドローブ抑圧部出力信号w(12)と重複する領域が小さいことが望ましい。すなわち、αは、0.01≦α<αの範囲において、第2サイドローブ抑圧部出力信号w(16)が上述した領域に設定されるように、予め定められていることが望ましい。
次に、ステップS50において、合成部160は、第1サイドローブ抑圧部出力信号w(12)及び第2サイドローブ抑圧部出力信号w(16)を合成して合成信号w(13)を生成する。具体的には、ステップS50において、合成部160は、第1サイドローブ抑圧部出力信号w(12)と第2サイドローブ抑圧部出力信号w(16)との相乗平均を算出し、その結果を合成信号w(13)として出力する。すなわち、合成部160は、第1サイドローブ抑圧部出力信号w(12)及び第2サイドローブ抑圧部出力信号w(16)の少なくともいずれか一方が0の領域において、その領域の信号レベルを0とする合成信号w(13)を生成する。
図13は、図6の信号とともに合成信号w(13)を示す図である。図13のように、本実施形態によれば、2つのウィナーフィルタを用いることによって、比較的分解能の高い信号を生成できる。
しかし、上述のように、比較的分解能の高い信号が生成されたものの、図13に示すように、物標の方位を特定するメインローブの立ち上がり部分及び立ち下がり部分が非常に急峻となり、波形が不自然になってしまう。
これに対して、ステップS60では、窓関数処理部170が、合成部160から出力された合成信号w(13)にガウス窓を掛ける。具体的には、窓関数処理部170は、ガウス分布の分散をσ、方位角をθとした場合に式(8)で表せるガウス関数を、合成信号w(13)に畳み込むことにより、窓関数処理信号w(14)を生成する。
Figure 2014142280
図14は、図6の信号とともに窓関数処理信号w(14)を示す図である。図14に示すように、ステップS60の処理を行うことにより、物標の方位を特定するメインローブの波形が自然な形状になる。
しかし、その一方で、図14に示すように、他船からの干渉信号の波形の幅も太くなってしまう。そうなると、物標に起因する波形と干渉信号に起因する波形との判別がつきにくくなる。また、窓関数処理信号w(14)は、偶数のサイドローブを含んだ状態であるため、この偶数のサイドローブを物標に起因する波形と混同してしまう虞がある。
これに対して、ステップS80では、低減処理部180が、前記窓関数処理信号w(14)と、ステップS11において生成された低減信号とを乗算することにより、低減処理信号w(17)を生成する低減処理を行う。
なお、低減処理部180は、上記低減処理を行う前に、ステップS70において、窓関数処理信号w(14)について正規化処理を行う。ここでの正規化処理とは、窓関数処理信号w(14)の信号レベルの最大値を、図6に示す信号の最大値に合わせる場合に必要な係数を、窓関数処理信号w(14)の全体に亘って乗算する処理のことである。図15に、図6の信号とともに、正規化処理後の窓関数処理信号w(14)を示す。
図16は、図6の信号とともに低減処理信号w(17)を示す図である。ステップS80のような低減処理を行うことにより、図16に示すように、偶数番目のサイドローブが除去されるとともに、他船からの干渉信号が再び急峻な形状に戻る。
しかし、ステップS80において上述のような処理を行った段階では、図16に示すように、信号レベルが0の領域が残ったままであり、ユーザはその表示を不自然と感じる。
そこで、ステップS90では、信号印加部190が、低減処理信号w(17)における信号レベルが非常に低い第1所定値T未満の領域に適切なノイズを印加した信号を生成する。
具体的には、ステップS90において、信号印加部190は、低減処理信号w(17)が第1所定値Tを超える領域では、その領域における低減処理信号w(17)の値を出力信号として出力する。本実施形態では、第1所定値Tとして、0に近い値が設定される。なお、第1所定値Tとして、0を設定してもよい。
そして、ステップS90において、信号印加部190は、上記低減処理信号w(17)が第1所定値T未満の領域(ノイズ領域)のうち、受信信号における上記ノイズ領域に対応する部分のうち、閾値設定部185で設定された閾値T未満の領域である第1領域R(図16参照)において、第1領域Rにおける受信信号の値を出力信号として出力する。
一方、ステップS90において、信号印加部190は、上記ノイズ領域のうち、受信信号における上記ノイズ領域に対応する部分のうち上記閾値T以上の領域である第2領域R(図16参照)において、受信信号のうち物標が存在しない領域の信号レベルと同程度の信号を出力する。具体的には、信号印加部190は、上記第2領域Rでは、第1所定値Tと閾値Tとの間のランダムな値を出力信号として出力する。
図17は、図6の信号とともに出力信号を示す図である。図17に示すように、ステップS90の処理を行うことにより、出力信号に適切なノイズ波形を含めることができる。
次に、距離方向の分解能を向上させる方法について説明する。前述したように距離分解能を向上させる場合、式(1)の行列res_dataの行ごとに処理を行う。ここで処理を行うres_dataの行を表すベクトルが、方位角θi(i=1…n)に関する
ものとし、式(9)のベクトルzで表されるものとする。
Figure 2014142280
このとき、ベクトルyをベクトルzに置き換えて、式(3)からステップS90までの処理を行えば、距離方向の分解能を向上させることができる。ただし、式(5)のHを算出するもととなるgは、距離方向の分解能を向上させる場合、時間(言い換えれば、アンテナからの距離)に依存し方位角に依存しないものであるので、方位分解能を向上させる場合と異なる値を使用する。
そして、距離方向と方位方向の両方において分解能を向上させる場合、以下のような処理を施した信号を出力信号とすればよい。具体的には、式(2)におけるyに、式(3)からステップS90までの処理を施した信号と、式(9)におけるzに、式(3)からステップS90までの処理を施した信号との積(対数レベルでは和)をとった信号を、最終的な出力信号とすればよい。なお、方位分解能、距離方向の分解能の片方のみを向上させる場合は、もう片方の処理を省略するとよい。
以上説明したように、第1実施形態に係るレーダ装置1によれば、各サイドローブ抑圧部150,151によって、物標からの信号に影響を与えることなく奇数番目のサイドローブを抑圧できるとともに、低減処理部180によって、偶数番目のサイドローブを抑圧できる。これにより、サイドローブを適切に抑圧することができる。
また、レーダ装置1によれば、合成部160によって生成された比較的急峻な物標からの信号を、窓関数処理部170によって自然な形状にできる。
また、レーダ装置1によれば、窓関数処理部170によってガウス関数が掛けられて幅が広くなった他船からの干渉信号を急峻にできる。これにより、物標からの比較的幅広の信号と、他船からの干渉信号とを容易に区別できるため、他船からの干渉信号を誤って物標に起因する信号であると判断してしまうことを防止できる。
従って、第1実施形態に係るレーダ装置1では、サイドローブの影響が排除され且つ物標からの信号が自然な形で表示されるとともに、物標に起因する信号と物標以外のものに起因する信号とを容易に判別できる。
また、レーダ装置1では、信号印加部190によって、適切なノイズが印加される。これにより、処理結果表示部40に表示される信号波形において、領域によっては何も波形が表示されなくなってしまう、という不自然な状態を回避できる。
次に、第1実施形態の変形例について説明する。
(1)図18に、変形例に係るレーダ装置2のブロック図を示す。本変形例に係るレーダ装置2は、上記レーダ装置1と比べて、低減信号生成部及び低減処理部の構成が異なる。
具体的には、図18に示す変形例の低減信号生成部176は、第1実施形態の低減信号生成部175と同様、図19に示すように、振幅保持部120から出力される受信信号における閾値T未満の低レベル領域Rを検出し、受信信号における低レベル領域Rに対応する領域については0である信号を出力する。しかし、低減信号生成部176は、受信信号における低レベル領域R以外の高レベル領域Rに対応する領域については、第1実施形態の場合と異なり、受信信号における高レベル領域Rの信号と同じレベルの信号を出力する(図19参照)。なお、本変形例に係るレーダ装置2は、図6に示す受信信号を受信するものとする。
次に、本変形例の低減処理部181は、窓関数処理信号w(14)について第1実施形態の場合と同様の正規化処理を行った後、正規化された窓関数処理信号w(14)と、低減信号生成部176で生成された低減信号との相乗平均を算出することにより低減処理し、その結果を低減処理信号w(17)として信号印加部190に出力する。そして、信号印加部190は、低減処理信号w(17)に対して、第1実施形態の場合と同様の処理を行って出力信号を生成する。
図20は、図6の信号とともに出力信号を示す図である。上述のような低減処理を行うことにより、図20に示すように、第1実施形態の場合と同様、偶数番目のサイドローブが除去されるとともに、他船からの干渉信号が再び急峻な形状に戻る。
従って、本変形例に係るレーダ装置2についても、第1実施形態のレーダ装置1の場合と同様、サイドローブの影響が排除され且つ物標からの信号が自然な形で表示されるとともに、物標に起因する信号と物標以外のものに起因する信号とを容易に判別できる。
ここで、実施形態1に係るレーダ装置1の出力信号は、図17に示すように、物標に起因する信号と他船からの干渉信号とが角度領域において重なっている部分(図17の白抜き矢印で示す部分)については、やや幅広で、且つ実際の物標に起因する信号レベルよりも信号レベルが高い1つのピークとなる。その結果、ユーザが、物標の大きさを見誤ってしまうおそれがある。
これに対して、本変形例に係るレーダ装置2によれば、物標からの信号と他船からの干渉信号とが角度領域において重なっている場合であっても、図20に示すように、物標に起因する信号のレベルが実際のレベルと同程度に維持され、且つ、他船からの干渉信号が急峻な形状に維持される。すなわち、本変形例に係るレーダ装置2によれば、物標の大きさを見誤ってしまうリスクを低減できる。
(2)上記実施形態に係るレーダ装置1では、第2のウィナーフィルタ部141及び第2のサイドローブ抑圧部151を、それぞれ1つずつ設けているが、この限りでなく、図21に示すように、それぞれを、複数設けてもよい。本変形例に係るレーダ装置3の信号処理装置102は、複数の第2のウィナーフィルタ部141と、これら複数の第2のウィナーフィルタ部141のそれぞれに対応する複数の第2のサイドローブ抑圧部151とを備えている。
本変形例に係るレーダ装置3では、複数の第2のウィナーフィルタ部141a,…,141nのそれぞれは、第1のウィナーフィルタ部140と同じアンテナパターン、及び、互いに異なる第2のウィナー係数αによって定められるウィナーフィルタ関数により、互いに異なる第2ウィナーフィルタ部出力信号w(15)を生成する。また、複数の第2のサイドローブ抑圧部151のそれぞれは、自らに対応する第2のウィナーフィルタ部141が生成する第2ウィナーフィルタ部出力信号w(15)の実数部の信号レベルが0以下となる領域について、信号レベルを0とした互いに異なる第2サイドローブ抑圧部出力信号w(16)を生成する。
本変形例では、合成部161は、第1サイドローブ抑圧部出力信号w(12)、及び互いに異なる複数の第2サイドローブ抑圧部出力信号w(16)を合成して、合成信号w(13)を生成する。具体的には、合成部161は、第1サイドローブ抑圧部出力信号w(12)及び複数の第2サイドローブ抑圧部出力信号w(16)の相乗平均を算出し、その結果を合成信号w(13)として出力する。すなわち、合成部161は、第1サイドローブ抑圧部出力信号w(12)及び複数の第2サイドローブ抑圧部出力信号w(16)のうちの少なくともいずれか1つが0の領域において、その領域の信号レベルを0とする合成信号w(13)を生成する。従って、本変形例によれば、上記第1実施形態の場合と比べて、更に分解能の高い信号を生成できる。
そして、レーダ装置3によれば、第1実施形態に係るレーダ装置1の場合と同様、サイドローブの影響が排除され且つ物標からの信号が自然な形で表示されるとともに、物標に起因する信号と物標以外のものに起因する信号とを容易に判別できる。
(3)本変形例に係るレーダ装置4は、図22及び図23に示すように、上記レーダ装置1,2,3と異なり、第2のウィナーフィルタ部141、第2のサイドローブ抑圧部151、及び合成部160が省略された構成となっている。すなわち、本変形例では、受信信号が、1つのウィナーフィルタ部によって処理される。
本変形例では、第1のサイドローブ抑圧部150で生成された第1サイドローブ抑圧部出力信号w(12)は、窓関数処理部170へ出力される。窓関数処理部170は、第1サイドローブ抑圧部出力信号w(12)に対してガウス窓を掛けて、窓関数処理信号w(14)を生成する。
上述のように、本変形例に係るレーダ装置4では、受信信号が、1つのウィナーフィルタによって処理される。レーダ装置4によれば、上記第1実施形態の場合と同様、サイドローブの影響が排除され且つ物標からの信号が自然な形で表示されるとともに、物標に起因する信号と物標以外のものに起因する信号とを容易に判別できる。
そして、本変形例では、ウィナーフィルタ部及びサイドローブ抑圧部が1つずつしか設けられていないため、上記実施形態と比べると分解能は低くなるものの、レーダ装置の構造を簡素化できる。
〈第2実施形態〉
図24は、第2実施形態に係る水中探知装置5(物標探知機)の概略構成を示すブロック図である。第2実施形態に係る水中探知装置5は、例えば漁船等の船舶に設置されている。水中探知装置5は、トランスデューサ15と、送受信装置25と、信号処理装置100と、処理結果保持部30と、処理結果表示部40とを備えている。以下、上記実施形態と異なる点について主に説明し、上記実施形態と同様の構成の説明については、図面において同一の符号を付すことで又は同一の符号を引用して説明することで、省略する。
トランスデューサ15は、例えば、M個の超音波振動子が直線状に配置されているリニアアレイ型トランスデューサである。超音波振動子は、例えば、キャリア周波数の波長の2分の1の間隔で等間隔に配置されている。各超音波振動子は、電気信号を超音波に変換して水中に超音波を送信するとともに、受信した超音波を電気信号(エコー信号)に変換する。トランスデューサ15は、超音波の送受信を行うため、例えば、船底に装備されて海中に露出している。
送受信装置25は、送受切替部26と、送信部27と、受信部28とを備えている。送受切替部26は、送信時には、送信部27からトランスデューサ15に送信信号が送られる接続に切り替える。また、送受切替部26は、受信時には、トランスデューサ15によって超音波から変換された電気信号がトランスデューサ15から受信部28に送られる接続に切り替える。
送信部27は、送受切替部26を介して生成した送信信号をトランスデューサ15に対して出力する。この送信信号により、各超音波振動子が駆動され、トランスデューサ15から各方位に超音波が放射される。
受信部28は、各超音波振動子から送受切替部26を介して送られてきた電気信号を増幅した後、その信号をIQ検波等により複素デジタル信号に変換し、この複素デジタル信号に変換後の受信データを信号処理装置100に対して出力する。
そして、第2実施形態の信号処理装置100も、受信部28から出力される受信信号について、第1実施形態の信号処理装置100と同様の処理を行う。
従って、第2実施形態に係る水中探知装置5についても、第1実施形態の係るレーダ装置1と同様、サイドローブの影響が排除され且つ物標からの信号が自然な形で表示されるとともに、物標に起因する信号と物標以外のものに起因する信号とを容易に判別できる。
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上述の実施の形態に限られるものではなく、特許請求の範囲に記載した限りにおいて様々に変更して実施することができる。例えば、次のような変形例を実施してもよい。
(1)上記実施形態では、レーダ装置及び水中探知装置を、適切なノイズを印加する信号印加部を備えた構成としたが、この限りでなく、信号印加部を省略した構成としてもよい。この場合、低減処理部から出力される低減処理信号を出力信号とし、この信号を処理結果保持部30に出力すればよい。
(2)上記実施形態では、信号処理装置を、レーダ装置、又は水中探知装置に適用しているが、この限りでなく、それ以外の物標探知機にも適用できる。
1〜4 レーダ装置
5 水中探知装置
100〜103 信号処理装置
130 フーリエ変換部
140 第1のウィナーフィルタ部
141 第2のウィナーフィルタ部
150 第1のサイドローブ抑圧部
151 第2のサイドローブ抑圧部
160,161 合成部
170 窓関数処理部
175,176 低減信号生成部
180,181 低減処理部
190 信号印加部

Claims (13)

  1. 物標の存在を検出する物標探知機が受信した受信信号を処理する信号処理装置であって、
    前記受信信号をフーリエ変換して周波数関数を得るフーリエ変換部と、
    前記周波数関数に対して、前記物標探知機の装置関数及び第1のウィナー係数によって定められるウィナーフィルタ関数に基づくウィナーフィルタ処理を行う第1のウィナーフィルタ部と、
    前記第1のウィナーフィルタ部で算出される第1ウィナーフィルタ部出力信号の実数部の信号レベルが0以下となる領域について、信号レベルを0とする第1のサイドローブ抑圧部と、
    前記第1のサイドローブ抑圧部で算出される第1サイドローブ抑圧部出力信号に窓関数を掛ける窓関数処理部と、
    前記受信信号における、所定の信号レベル未満の低レベル領域を検出するとともに、前記窓関数処理部で算出される窓関数処理信号における前記低レベル領域に対応する領域の信号レベルを低減するための低減信号を生成する低減信号生成部と、
    前記窓関数処理信号と前記低減信号とを合成する低減処理部とを備える、信号処理装置。
  2. 前記第1のウィナーフィルタ部は、前記周波数関数に前記ウィナーフィルタ関数を乗算し、その乗算結果を逆フーリエ変換することにより前記ウィナーフィルタ処理を行う、請求項1に記載の信号処理装置。
  3. 前記低減信号生成部は、前記受信信号における前記低レベル領域に対応する領域の信号レベルが0である前記低減信号を生成する、請求項1又は請求項2に記載の信号処理装置。
  4. 前記低減信号生成部は、前記受信信号における前記低レベル領域以外の高レベル領域に対応する領域の信号レベルが1である前記低減信号を生成する、請求項3に記載の信号処理装置。
  5. 前記低減信号生成部は、前記受信信号における前記低レベル領域以外の高レベル領域に対応する領域の信号レベルが、前記受信信号における前記高レベル領域に対応する領域の信号レベルである前記低減信号を生成する、請求項3に記載の信号処理装置。
  6. 前記低減処理部は、前記窓関数処理信号と前記低減信号とを乗算することにより合成する、請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の信号処理装置。
  7. 前記周波数関数に対して、前記装置関数、及び前記第1のウィナー係数とは異なる第2のウィナー係数によって定められるウィナーフィルタ関数に基づくウィナーフィルタ処理を行う第2のウィナーフィルタ部と、
    前記第2のウィナーフィルタ部で算出される第2ウィナーフィルタ部出力信号の実数部の信号レベルが0以下となる領域について、信号レベルを0とする第2のサイドローブ抑圧部と、
    前記第1サイドローブ抑圧部出力信号、及び前記第2のサイドローブ抑圧部で算出される第2サイドローブ抑圧部出力信号、を合成する合成部とを更に備え、
    前記窓関数処理部は、前記合成部で算出される合成信号に前記窓関数を掛ける、請求項1から請求項6のいずれか1項に記載の信号処理装置。
  8. 複数の前記第2のウィナーフィルタ部と、
    複数の前記第2のウィナーフィルタ部のそれぞれに対応する複数の前記第2のサイドローブ抑圧部とを更に備え、
    複数の前記第2のウィナーフィルタ部は、それぞれ、前記装置関数、及び互いに異なる前記ウィナー係数によって定められるウィナーフィルタ関数により、互いに異なる複数の前記第2ウィナーフィルタ部出力信号を生成し、
    複数の前記第2のサイドローブ抑圧部は、それぞれ、自らに対応する前記第2のウィナーフィルタ部が生成する前記第2ウィナーフィルタ部出力信号の実数部の信号レベルが0以下となる領域について、信号レベルを0とした互いに異なる前記第2サイドローブ抑圧部出力信号を生成し、
    前記合成部は、前記第1サイドローブ抑圧部出力信号及び複数の前記第2サイドローブ抑圧部出力信号を合成する、請求項7に記載の信号処理装置。
  9. 前記低減処理部で算出される低減処理信号における信号レベルが第1所定値未満であるノイズ領域のうち、前記受信信号における前記ノイズ領域に対応する領域のうち前記第1所定値よりも大きい第2所定値未満の領域に対応する第1領域に、前記受信信号における前記第2所定値未満の信号を印加する信号印加部を更に備える、請求項1から請求項8のいずれか1項に記載の信号処理装置。
  10. 前記信号印加部は、前記低減処理信号における前記ノイズ領域のうち、前記受信信号における前記ノイズ領域に対応する領域のうち前記第2所定値以上の領域に対応する第2領域に、前記第1所定値と前記第2所定値との間の値の信号を印加する、請求項9に記載の信号処理装置。
  11. 請求項1から請求項10のいずれか1項に記載の信号処理装置と、
    電波を送受信するアンテナと、
    前記アンテナから出力されたエコー信号をデジタル信号に変換して前記信号処理装置に出力する送受信装置とを備える、前記物標探知機としてのレーダ装置。
  12. 請求項1から請求項10のいずれか1項に記載の信号処理装置と、
    超音波を送受信するトランスデューサと、
    前記トランスデューサから出力されたエコー信号をデジタル信号に変換して前記信号処理装置に出力する送受信装置とを備える、前記物標探知機としての水中探知装置。
  13. 物標の存在を検出する物標探知機が受信した受信信号を処理する信号処理方法であって、
    前記受信信号をフーリエ変換して周波数関数を得る工程と、
    前記周波数関数に対して、前記物標探知機の装置関数及び第1のウィナー係数によって定められるウィナーフィルタ関数に基づくウィナーフィルタ処理を行う工程と、
    前記ウィナーフィルタ処理を行う工程で算出される第1ウィナーフィルタ部出力信号の実数部の信号レベルが0以下となる領域について、信号レベルを0とする工程と、
    前記信号レベルを0とする工程で算出される第1サイドローブ抑圧部出力信号に窓関数を掛ける工程と、
    前記受信信号における、所定の信号レベル未満の低レベル領域を検出するとともに、前記窓関数を掛ける工程で算出される窓関数処理信号における前記低レベル領域に対応する領域の信号レベルを低減するための低減信号を生成する工程と、
    前記窓関数処理信号と前記低減信号とを合成する工程とを含む、信号処理方法。
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