以下、本発明を実施するための形態について図面を参照して詳細に説明するが、以下に記載する構成要件の説明は、本発明の実施態様の一例(代表例)であり、本発明はその要旨を超えない限り、これらの内容に特定されない。
図1(a)、(b)は、支持体上に形成された本発明の着色硬化物の実施の形態を示す概要側断面図であり、図中、1は硬化層(X)を表し、2は硬化層(Y)を表し、3は支持体を表す。本発明における「着色硬化物」において、硬化層(X)および硬化層(Y)とで構成される積層体からなるものについては、単に「積層体」と称す場合がある。
本発明において「全固形分」とは、感光性着色組成物又は感光性組成物、或いは後述するインク中に含まれる、溶剤以外の全成分を意味するものとする。
また、本発明において、重量平均分子量とは、GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)によるポリスチレン換算の重量平均分子量(Mw)をさす。
また、本発明において、「アミン価」とは、特に断りのない限り、有効固形分換算のアミン価を表し、分散剤の固形分1gあたりの塩基量と当量のKOHの質量で表される値である。
また、本発明において、「(メタ)アクリル酸」とは、アクリル酸とメタクリル酸の双方を含むことを意味し、(メタ)アクリル、(メタ)アクリレート、(メタ)アクリロイル基なども同様の意味であり、「(共)重合体」とは、単一重合体(ホモポリマー)と共重合体(コポリマー)の双方を含むことを意味し、「(酸)無水物」、「(無水)…酸」とは、酸とその無水物の双方を含むことを意味する。
また、本発明において「モノマー」とは、いわゆる高分子物質に相対する意味であり、狭義の単量体(モノマー)の外に、二量体、三量体、オリゴマー等も含む意味である。
本発明の着色硬化物は、用いられる液晶ディスプレイの仕様等により、適宜その大きさ、形状等が調整されるものであって、「支持体からの高さが異なる着色硬化物」(以下「高さの異なる着色硬化物」と称す場合がある。)とは、図1(a)、(b)のように、支持体の同一平面上の離れた部分における高さが異なる構造を持つもの、即ち、支持体に高さの異なる積層体が複数形成されたものでもよい。また、これらを組み合わせたものであってもよい。
即ち、本発明の「高さの異なる着色硬化物」としては、次のような態様が挙げられるが、何ら以下のものに限定されるものではない。
(1) 支持体の同一平面上に離隔して形成された、2以上の積層体からなる着色硬化物よりなり、該複数の積層体の高さが、硬化膜(X)上の硬化膜(Y)の膜厚が異なることにより、支持体の同一平面上から各着色硬化物の上面までの高さが異なる(図1(a))。
(2) 支持体の同一平面上に離隔して形成された、2以上の着色硬化物よりなり、該複数の着色硬化物の高さが、一部の着色硬化物に硬化膜(X)上の硬化膜(Y)が存在しないことにより、支持体の同一平面上から各着色硬化物の上面までの高さが異なる(図1(b))。
(3) 上記(1)と(2)の組み合わせ。
前記(1)のように、本発明の着色硬化物体は、支持体上に形成される硬化層(X)と、該硬化層(X)上に形成される硬化層(Y)とで構成される積層体からなる着色硬化物を前記支持体上に2つ以上有するものであってもよい。
また、(1)〜(3)のように、本発明の着色硬化物体は、支持体上に着色硬化物を2つ以上有するものであって、前記着色硬化物の少なくとも1つが、前記支持体上に形成される硬化層(X)と、該硬化層(X)上に形成される硬化層(Y)とで構成される積層体であるものであってもよい。
本明細書中、「高さ」を「膜厚」と称し、「高さの差」を「段差」と記載することがあるが、それぞれ、同一の意味である。
また、本明細書において、「前駆体」を「塗布膜」と称す場合がある。
本発明における「高さの異なる着色硬化物」としては、例えば、液晶ディスプレイ(液晶表示装置)等に用いられる部材として、スペーサとスペーサ、スペーサとリブ(液晶配向制御突起)、スペーサとオーバーコート、リブとオーバーコート、スペーサとブラックマトリクス、ブラックマトリクスとブラックマトリックス等の組み合わせで形成されるもの等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
[1]高さの異なる着色硬化物
[1−1]本発明のメカニズム
本発明において、感光性着色組成物(1)は、主として(C)色材を含有することによって、本発明の着色硬化物の遮光性を上げる役割を担う。高遮光性が必要な場合は、遮光性の高い色材を使用する。好ましくはカーボンブラック、チタンブラック、有機黒色顔料等が挙げられる。一方、遮光性と同時に高抵抗もしくは低誘電率も付与させることが必要な場合は、有機着色顔料を併用したり、有機着色顔料の1種もしくは2種以上を組み合わせて使用することが好ましい。
感光性組成物(2)は、主として本発明の着色硬化物の高さの異なる構造を持たせる役割を担う。
光重合系反応で硬化物を形成する過程において、感光性組成物の製膜面の表層部では酸素阻害により硬化が進みにくくなるが、一方、深層部では酸素阻害の影響を受けにくいため、表層よりも硬化が進みやすい。後述する露光マスクの完全透過開口部では、感光性組成物(2)は表層部、深層部ともに硬化する。一方、中間透過開口部で、深層部のみ硬化が進めば、図1(a)のような、中間透過開口部の硬化層(Y)の高さの低い硬化物が形成される。また、深層部の硬化さえも不十分であれば現像時にすべてが溶解するため、図1(b)のような、中間透過開口部では硬化層(Y)が形成されない硬化物が形成される。
このように感光性組成物(2)の組成や、硬化物作成時の露光条件を調整することにより、硬化層(Y)の構造を変えることができ、図1(a)、(b)に示されるような支持体からの高さの異なる硬化物を得ることができる。
なお、中間透過開口部における感光性着色組成物(1)については、色材が多く入るためこのような硬化の差は起こりにくく、また、現像時の溶解性を感光性組成物(2)よりも遅く設計するなどして段差をつけないことが可能である。感光性着色組成物(1)の現像時の溶解性を遅くするには、顔料濃度、顔料の種類、アルカリ可溶性樹脂の種類、アルカリ可溶性樹脂の酸価、アルカリ可溶性樹脂とモノマー(エチレン性不飽和化合物)の比率、光重合開始剤等を調整すればよい。
[1−2]露光マスク
フォトリソグラフィー法により高さの異なる着色硬化物を一括形成する方法は、主として露光工程における露光マスクに特徴を有する方法である。
その露光マスクとして、光の透過を遮る遮光層と光を透過させる複数の開口部とを有し、一部の開口部の平均光透過率が他の開口部の平均光透過率より小さい露光マスクを用いる方法が知られている。これは、遮光層(光透過率0%)と、複数の開口部を有し、平均光透過率の最も高い開口部(通常、光透過率100%。以下「完全透過開口部」という。)に対して、平均光透過率の小さい開口部(平均光透過率が0%超過100%未満。好ましくは、5%超過50%未満。以下「中間透過開口部」という。)を有する露光マスクを用いる方法である。このマスクはハーフトーンマスクとも呼ばれる。この方法により、例えばネガ型の着色感光性組成物の場合であれば、中間透過開口部と完全透過開口部の平均光透過率の差異、即ち露光量の差異により、形成したパターンの硬化度の差異を生じさせ、その後、現像及び熱硬化プロセスを経て高さの異なる着色硬化物を形成することができる。
[1−3]色材含有濃度と硬化膜の膜厚及び段差
本発明においては、上述の如く、感光性組成物(2)の硬化性により高さの異なる硬化物を形成するため、感光性組成物(2)としては、色材を含まないか、或いは、感光性着色組成物(1)の固形分あたりの色材含有濃度よりも、固形分あたりの色材含有濃度が低いものを用いる。
感光性着色組成物(1)において、色材含有濃度は、下限は遮光性の観点から通常5質量%以上、好ましくは10質量%以上、更に好ましくは20質量%以上であり、上限は現像性、分散性の観点から通常70質量%以下、好ましくは50質量%以下、更に好ましくは40質量%以下である。
感光性組成物(2)は、色材を含有してもよいが、少ないほうが望ましい。感光性組成物(2)の固形分あたりの色材含有濃度は0〜10質量%、好ましくは0〜5質量%、更に好ましくは0〜1質量%である。感光性組成物(2)の色材含有濃度が高いと、高さの異なる硬化物が形成しにくくなる傾向がある。また、色材に由来する溶出物が増える傾向がある。
感光性組成物(2)の色材含有濃度が増えると、露光時に紫外線が吸収されて感光性組成物(2)の製膜部の深層部まで届かないおそれがある。この場合には、波長300〜400nmの紫外線吸収が少ない色材を用いることで、より硬化性を高めることが可能である。
本発明の高さの異なる着色硬化物において、高さの差は図1中のΔhで表される。Δhは、着色硬化物の用途、例えば、液晶パネルの設計などによって異なる。前述の如く、従来法では、遮光性を持たせてかつ段差をつけた硬化物を安定的に製造することが困難であったが、本発明においては、感光性組成物(2)と感光性着色組成物(1)とを用いることにより、これが可能となる。本発明の着色硬化物において、段差Δhは、通常0.3μm以上とすることができるが、0.5μm以上、1μm以上、更には1.5μm以上とすることも可能である。なお、段差Δhの上限には特に制限はないが、硬化層(Y)の膜厚を越えることはないので、通常5μm以下である。
感光性組成物(2)により形成される硬化層(Y)の前駆体は1層以上形成されるが、この層数が多すぎると製造工程が複雑になり、また製造コストも高くなるため、好ましくは1〜3層、更に好ましくは1層である。
本発明の着色硬化物の総膜厚(高さ)は、図1中のHで示される厚さであり、硬化層(X)と硬化層(Y)の膜厚の合計である。本発明の着色硬化物の総膜厚Hの下限は通常0.5μm以上、好ましくは1μm以上であり、上限は通常10μm以下、好ましくは5μm以下である。着色硬化物の総膜厚Hが薄過ぎると十分な段差を設けられなくなる場合があり、また十分な遮光性が得られなくなる場合がある。
このうち硬化層(X)の膜厚(高さ)は、図1中のh1で示される厚さである。硬化層(X)の膜厚h1の下限は通常0.3μm以上、好ましくは0.5μm以上であり、上限は通常5μm以下、好ましくは3μm以下である。硬化層(X)の膜厚h1が薄過ぎると十分な遮光性が得られなくなる場合があり、厚過ぎると硬化層(Y)の高さに制限が出るため、十分な段差が得られない場合がある。
また、硬化層(Y)の膜厚(高さ)は、図1中のh2で示される厚さである。硬化層(Y)の膜厚h2の下限は通常0.5μm以上、好ましくは1μm以上であり、上限は通常5μm以下、好ましくは3μm以下である。硬化層(Y)の膜厚h2が薄過ぎると十分な段差が得られなくなる場合があり、厚すぎると硬化層(X)の高さに制限が出るため、十分な遮光性が得られない場合がある。
[2]感光性着色組成物(1)及び感光性組成物(2)
本発明の着色硬化物を形成するための本発明の感光性着色組成物(1)は、
(A)光重合開始剤
(B)アルカリ可溶性樹脂
及び
(C)色材
を必須成分として含有し、感光性組成物(2)は
(A)光重合開始剤
及び
(B)アルカリ可溶性樹脂
を必須成分として含有する。なお、前述の如く、感光性組成物(2)は少量の(C)色材を含有していてもよい。
感光性着色組成物(1)及び感光性組成物(2)は、さらに必要に応じて、
(D)エチレン性不飽和化合物
(E)色材を分散させるための分散剤
を含有し、さらに必要に応じて、光酸発生剤、密着向上剤、シリカ・樹脂等の微粒子、増感色素、熱重合防止剤、可塑剤、塗布性向上剤、現像改良剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、界面活性剤、顔料誘導体等、その他の配合成分を含むものであり、通常、各配合成分が、(F)有機溶剤に溶解又は分散した状態で使用される。
以下、本発明における感光性着色組成物(1)を「本発明の感光性着色組成物(1)」と称し、本発明における感光性組成物(2)を「本発明の感光性組成物(2)」と称し、これらをまとめて「本発明の感光性(着色)組成物」と称す場合がある。
なお、本発明の感光性着色組成物(1)と本発明の感光性組成物(2)は、(A)光重合開始剤、(B)アルカリ可溶性樹脂について、同一のものを含むものであってもよく、異なるものを含むものであってもよい。また、本発明の感光性組成物(2)が(C)色材を含む場合、本発明の感光性着色組成物(1)に含まれる(C)色材と同一であっても異なるものであってもよい。(D)エチレン性不飽和化合物やその他の成分についても同様である。
[2−1](A)光重合開始剤
本発明に係る(A)光重合開始剤とは、紫外線や熱によりエチレン性不飽和基を重合させるラジカルを発生させることのできる化合物である。
本発明で用いることができる光重合開始剤の具体的な例を以下に列挙する。
2−(4−メトキシフェニル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(4−メトキシナフチル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(4−エトキシナフチル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(4−エトキシカルボニルナフチル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジンなどのハロメチル化トリアジン誘導体;
ハロメチル化オキサジアゾール誘導体;
2−(o−クロロフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール2量体、2−(o−クロロフェニル)−4,5−ビス(3’−メトキシフェニル)イミダゾール2量体、2−(o−フルオロフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール2量体、2−(o−メトキシフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール2量体、2−(o−メトキシフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール2量体などのイミダゾール誘導体;
ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテルなどのベンゾインアルキルエーテル類;
ベンゾインフェニルエーテルなどのベンゾインアリールエーテル類;
2−メチルアントラキノン、2−エチルアントラキノン、2−t−ブチルアントラキノン、1−クロロアントラキノンなどのアントラキノン誘導体;
ベンズアンスロン誘導体;
ベンゾフェノン、ミヒラーケトン、2−メチルベンゾフェノン、3−メチルベンゾフェノン、4−メチルベンゾフェノン、2−クロロベンゾフェノン、4−ブロモベンゾフェノン、2−カルボキシベンゾフェノンなどのベンゾフェノン誘導体;
2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン、2,2−ジエトキシアセトフェノン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、α−ヒドロキシ−2−メチルフェニルプロパノン、1−ヒドロキシ−1−メチルエチル−(p−イソプロピルフェニル)ケトン、1−ヒドロキシ−1−(p−ドデシルフェニル)ケトン、2−メチル−(4’−(メチルチオ)フェニル)−2−モルホリノ−1−プロパノン、1,1,1−トリクロロメチル−(p−ブチルフェニル)ケトンなどのアセトフェノン誘導体;
チオキサントン、2−エチルチオキサントン、2−イソプロピルチオキサントン、2−クロロチオキサントン、2,4−ジメチルチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、2,4−ジイソプロピルチオキサントンなどのチオキサントン誘導体;
p−ジメチルアミノ安息香酸エチル、p−ジエチルアミノ安息香酸エチルなどの安息香酸エステル誘導体;
9−フェニルアクリジン、9−(p−メトキシフェニル)アクリジンなどのアクリジン誘導体;
9,10−ジメチルベンズフェナジンなどのフェナジン誘導体;
ジ−シクロペンタジエニル−Ti−ジ−クロライド、ジ−シクロペンタジエニル−Ti−ビス−フェニル、ジ−シクロペンタジエニル−Ti−ビス−2,3,4,5,6−ペンタフルオロフェニ−1−イル、ジ−シクロペンタジエニル−Ti−ビス−2,3,5,6−テトラフルオロフェニ−1−イル、ジ−シクロペンタジエニル−Ti−ビス−2,4,6−トリフルオロフェニ−1−イル、ジ−シクロペンタジエニル−Ti−2,6−ジ−フルオロフェニ−1−イル、ジ−シクロペンタジエニル−Ti−2,4−ジ−フルオロフェニ−1−イル、ジ−メチルシクロペンタジエニル−Ti−ビス−2,3,4,5,6−ペンタフルオロフェニ−1−イル、ジ−メチルシクロペンタジエニル−Ti−ビス−2,6−ジ−フルオロフェニ−1−イル、ジ−シクロペンタジエニル−Ti−2,6−ジ−フルオロ−3−(ピル−1−イル)−フェニ−1−イルなどのチタノセン誘導体;
2−メチル−1[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフォリノプロパン−1−オン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタノン−1、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)ブタン−1−オン、4−ジメチルアミノエチルベンゾエ−ト、4−ジメチルアミノイソアミルベンゾエ−ト、4−ジエチルアミノアセトフェノン、4−ジメチルアミノプロピオフェノン、2−エチルヘキシル−1,4−ジメチルアミノベンゾエート、2,5−ビス(4−ジエチルアミノベンザル)シクロヘキサノン、7−ジエチルアミノ−3−(4−ジエチルアミノベンゾイル)クマリン、4−(ジエチルアミノ)カルコン等のα−アミノアルキルフェノン系化合物;
光重合開始剤としては、特に、感度の点でオキシム誘導体類(オキシム系及びケトオキシム系化合物)が有効であり、(B)アルカリ可溶性樹脂としてフェノール性水酸基を含むアルカリ可溶性樹脂を用いる場合などは、感度の点で不利になるため、特にこのような感度に優れたオキシム誘導体類(オキシム系及びケトオキシム系化合物)が有用であり、特にオキシムエステル開始剤が好ましい。
オキシム系化合物としては、下記一般式(2)で示される構造部分を含む化合物が挙げられ、好ましくは、下記一般式(3)で示されるオキシムエステル系化合物が挙げられる。
(上記一般式(2)中、R2は、それぞれ置換されていてもよい、炭素数2〜12のアルカノイル基、炭素数1〜20のヘテロアリールアルカノイル基、炭素数3〜25のアルケノイル基、炭素数3〜8のシクロアルカノイル基、炭素数3〜20のアルコキシカルボニルアルカノイル基、炭素数8〜20のフェノキシカルボニルアルカノイル基、炭素数3〜20のヘテロアリ−ルオキシカルボニルアルカノイル基、炭素数2〜10のアミノアルキルカルボニル基、炭素数7〜20のアリーロイル基、炭素数1〜20のヘテロアリーロイル基、炭素数2〜10のアルコキシカルボニル基、又は炭素数7〜20のアリールオキシカルボニル基を示す。)
(上記一般式(3)中、R1aは、水素原子、又はそれぞれ置換されていてもよい、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数2〜25のアルケニル基、炭素数1〜20のヘテロアリールアルキル基、炭素数3〜20のアルコキシカルボニルアルキル基、炭素数8〜20のフェノキシカルボニルアルキル基、炭素数1〜20のヘテロアリールオキシカルボニルアルキル基もしくはヘテロアリールチオアルキル基、炭素数1〜20のアミノアルキル基、炭素数2〜12のアルカノイル基、炭素数3〜25のアルケノイル基、炭素数3〜8のシクロアルカノイル基、炭素数7〜20のアリーロイル基、炭素数1〜20のヘテロアリーロイル基、炭素数2〜10のアルコキシカルボニル基、炭素数7〜20のアリールオキシカルボニル基、又は炭素数1〜10のシクロアルキルアルキル基を示す。
R1bは芳香環あるいはヘテロ芳香環を含む任意の置換基を示す。
なお、R1aはR1bと共に環を形成してもよく、その連結基は、それぞれ置換基を有していてもよい炭素数1〜10のアルキレン基、ポリエチレン基(−(CH=CH)r−)、ポリエチニレン基(−(C≡C)r−)あるいはこれらを組み合わせてなる基が挙げられる(なお、rは0〜3の整数である。)。
R2aは、それぞれ置換されていてもよい、炭素数2〜12のアルカノイル基、炭素数1〜20のヘテロアリールアルカノイル基、炭素数3〜25のアルケノイル基、炭素数3〜8のシクロアルカノイル基、炭素数3〜20のアルコキシカルボニルアルカノイル基、炭素数8〜20のフェノキシカルボニルアルカノイル基、炭素数3〜20のヘテロアリ−ルオキシキシカルボニルアルカノイル基、炭素数2〜10のアミノカルボニル基、炭素数炭素数7〜20のアリーロイル基、炭素数1〜20のヘテロアリーロイル基、炭素数2〜10のアルコキシカルボニル基又は炭素数7〜20のアリールオキシカルボニル基を示す。)
上記一般式(2)におけるR2及び上記一般式(3)におけるR2aとしては、好ましくは、炭素数2〜12のアルカノイル基、炭素数1〜20のヘテロアリールアルカノイル基、炭素数3〜8のシクロアルカノイル基が挙げられる。
上記一般式(3)におけるR1aとしては、好ましくは無置換のメチル基、エチル基、プロピル基や、N−アセチル−N−アセトキシアミノ基で置換されたプロピル基が挙げられる。
また、上記一般式(3)におけるR1bとしては、好ましくは置換されていてもよいカルバゾイル基、置換されていてもよいチオキサントニル基、置換されていてもよいフェニルスルフィド基が挙げられる。
本発明に好適なオキシムエステル開始剤のオキシムエステル系化合物として具体的には、以下に例示されるような化合物が挙げられるが、何らこれらの化合物に限定されるものではない。
また、ニトロ基を含むカルバゾール基を有するオキシムエステル開始剤も有効である。
ケトオキシム系化合物としては、下記一般式(4)で示される構造部分を含む化合物が挙げられ、好ましくは、下記一般式(5)で示されるケトオキシムエステル系化合物が挙げられる。
(上記一般式(4)中、R4は、前記一般式(2)におけるR2と同義である。)
(上記一般式(5)中、R3aは、それぞれ置換されていてもよい、フェニル基、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数2〜25のアルケニル基、炭素数1〜20のヘテロアリールアルキル基、炭素数3〜20のアルコキシカルボニルアルキル基、炭素数8〜20のフェノキシカルボニルアルキル基、炭素数2〜20のアルキルチオアルキル基、炭素数1〜20のヘテロアリールオキシカルボニルアルキル基もしくはヘテロアリールチオアルキル基、炭素数1〜20のアミノアルキル基、炭素数2〜12のアルカノイル基、炭素数3〜25のアルケノイル基、炭素数3〜8のシクロアルカノイル基、炭素数7〜20のアリーロイル基、炭素数1〜20のヘテロアリーロイル基、炭素数2〜10のアルコキシカルボニル基、炭素数7〜20のアリールオキシカルボニル基、又は炭素数1〜10のシクロアルキルアルキル基を示す。
R3bは芳香環あるいはヘテロ芳香環を含む任意の置換基を示す。
なお、R3aはR3bと共に環を形成してもよく、その連結基は、それぞれ置換基を有していてもよい炭素数1〜10のアルキレン基、ポリエチレン基(−(CH=CH)r−)、ポリエチニレン基(−(C≡C)r−)あるいはこれらを組み合わせてなる基が挙げられる(なお、rは0〜3の整数である。)。
R4aは、それぞれ置換されていてもよい、炭素数2〜12のアルカノイル基、炭素数3〜25のアルケノイル基、炭素数4〜8のシクロアルカノイル基、炭素数7〜20のベンゾイル基、炭素数3〜20のヘテロアリーロイル基、炭素数2〜10のアルコキシカルボニル基、炭素数7〜20のアリールオキシカルボニル基、炭素数2〜20のヘテロアリール基、又は炭素数2〜20のアルキルアミノカルボニル基を表す。)
上記一般式(4)におけるR4及び上記一般式(5)におけるR4aとしては、好ましくは、炭素数2〜12のアルカノイル基、炭素数1〜20のヘテロアリールアルカノイル基、炭素数3〜8のシクロアルカノイル基、炭素数7〜20のアリーロイル基が挙げられる。
上記一般式(5)におけるR3aとしては、好ましくは無置換のエチル基、プロピル基、ブチル基や、メトキシカルボニル基で置換されたエチル基又はプロピル基が挙げられる。
また、上記一般式(5)におけるR3bとしては、好ましくは置換されていてもよいカルバゾイル基、置換されていてもよいフェニルスルフィド基が挙げられる。
本発明に好適なオキシムエステル開始剤のケトオキシムエステル系化合物として具体的には、以下に例示されるような化合物が挙げられるが、何らこれらの化合物に限定されるものではない。
これらのオキシムエステル系化合物及びケトオキシムエステル系化合物は、それ自体公知の化合物であり、例えば、特開2000−80068号公報や、特開2006−36750号公報に記載されている一連の化合物の一種である。
上記光重合開始剤は1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
本発明の感光性(着色)組成物中の(A)光重合開始剤の含有量は、全固形分に対して通常0.4〜15質量%、好ましくは0.5〜10質量%である。この範囲よりも光重合開始剤の含有量が多すぎると現像性が低下する傾向があり、一方少なすぎると好ましい着色硬化物の形状及び段差を形成できない場合がある。
[2−2](B)アルカリ可溶性樹脂
本発明の感光性(着色)組成物に含まれる(B)アルカリ可溶性樹脂としては、カルボキシル基を有するアルカリ可溶性樹脂、エチレン性不飽和結合を有するアルカリ可溶性樹脂、カルボキシル基とエチレン性不飽和結合を有するアルカリ可溶性樹脂などが挙げられ、特にエチレン性不飽和結合を2つ以上有するアルカリ可溶性樹脂が紫外線に対する硬化性が優れる点で好ましく、とりわけ、以下に記載するアルカリ可溶性樹脂が好ましい。
(1)エポキシ(メタ)アクリレート樹脂
エポキシ樹脂に不飽和カルボン酸類を付加させ、さらに多塩基酸及び/又はその無水物、任意成分として多価アルコールを反応させた樹脂
(2)アクリル共重合樹脂
以下に、エポキシ(メタ)アクリレート樹脂、アクリル共重合樹脂について説明するが、本発明においては、(B)アルカリ可溶性樹脂として、エポキシ(メタ)アクリレート樹脂の1種又は2種以上を用いてもよく、アクリル共重合樹脂の1種又は2種以上を用いてもよく、エポキシ(メタ)アクリレート樹脂の1種又は2種以上と、アクリル共重合樹脂の1種又は2種以上を併用してもよい。
[2−2−1]エポキシ(メタ)アクリレート樹脂
エポキシ(メタ)アクリレート樹脂としては、以下のエポキシ(メタ)アクリレート樹脂(B1−1)及び/又はエポキシ(メタ)アクリレート樹脂(B1−2)が好ましい。
<エポキシ(メタ)アクリレート樹脂(B1−1)>
エポキシ樹脂にα,β−不飽和モノカルボン酸又はカルボキシル基を有するα,β−不飽和モノカルボン酸エステルを付加させ、さらに、多塩基酸及び/又はその無水物を反応させることによって得られたアルカリ可溶性樹脂
<エポキシ(メタ)アクリレート樹脂(B1−2)>
エポキシ樹脂にα,β−不飽和モノカルボン酸又はカルボキシル基を有するα,β−不飽和モノカルボン酸エステルを付加させ、さらに、多価アルコール、及び多塩基酸及び/又はその無水物と反応させることによって得られたアルカリ可溶性樹脂
原料となるエポキシ樹脂として、例えば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂(例えば、油化シェルエポキシ社製の「エピコート828」、「エピコート1001」、「エピコート1002」、「エピコート1004」等)、ビスフェノールA型エポキシ樹脂のアルコール性水酸基とエピクロルヒドリンの反応により得られるエポキシ(例えば、日本化薬社製の「NER−1302」(エポキシ当量323,軟化点76℃))、ビスフェノールF型樹脂(例えば、油化シェルエポキシ社製の「エピコート807」、「EP−4001」、「EP−4002」、「EP−4004等」)、ビスフェノールF型エポキシ樹脂のアルコール性水酸基とエピクロルヒドリンの反応により得られるエポキシ樹脂(例えば、日本化薬社製の「NER−7406」(エポキシ当量350,軟化点66℃))、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、ビフェニルグリシジルエーテル(例えば、油化シェルエポキシ社製の「YX−4000」)、フェノールノボラック型エポキシ樹脂(例えば、日本化薬社製の「EPPN−201」、油化シェルエポキシ社製の「EP−152」、「EP−154」、ダウケミカル社製の「DEN−438」)、(o,m,p−)クレゾールノボラック型エポキシ樹脂(例えば、日本化薬社製の「EOCN−102S」、「EOCN−1020」、「EOCN−104S」)、トリグリシジルイソシアヌレート(例えば、日産化学社製の「TEPIC」)、トリスフェノールメタン型エポキシ樹脂(例えば、日本化薬社製の「EPPN−501」、「EPN−502」、「EPPN−503」)、脂環式エポキシ樹脂(ダイセル化学工業社製の「セロキサイド2021P」、「セロキサイドEHPE」)、ジシクロペンタジエンとフェノールの反応によるフェノール樹脂をグリシジル化したエポキシ樹脂(例えば、大日本インキ社製の「EXA−7200」、日本化薬社製の「NC−7300」)、下記一般式(b1)〜(b4)で表されるエポキシ樹脂、等を好適に用いることができる。具体的には、下記一般式(b1)で表されるエポキシ樹脂として日本化薬社製の「XD−1000」、下記一般式(b2)で表されるエポキシ樹脂として日本化薬社製の「NC−3000」、下記一般式(b4)で表されるエポキシ樹脂として新日鐵化学社製の「ESF−300」等が挙げられる。
(上記一般式(b1)において、aは平均値を示し0〜10の数を示す。R11は水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜8のアルキル基、炭素数3〜10のシクロアルキル基、フェニル基、ナフチル基、又はビフェニル基を表す。なお、1分子中に存在する複数のR1
1は互いに同一であっても異なっていてもよい。)
(上記一般式(b2)において、bは平均値を示し0〜10の数を示す。R21は水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜8のアルキル基、炭素数3〜10のシクロアルキル基、フェニル基、ナフチル基、又はビフェニル基を表す。なお、1分子中に存在する複数のR2
1は互いに同一であっても異なっていてもよい。)
(上記一般式(b3)において、Xは下記一般式(b3−1)又は(b3−2)で表される連結基を示す。但し、分子構造中に1つ以上のアダマンタン構造を含む。cは2又は3の整数を示す。)
(上記一般式(b3−1)及び(b3−2)において、R31〜R34及びR35〜R37は、それぞれ独立に、置換基を有していてもよいアダマンチル基、水素原子、置換基を有していてもよい炭素数1〜12のアルキル基、又は置換基を有していてもよいフェニル基を示す。)
(上記一般式(b4)において、d及びeはそれぞれ独立に0〜4の整数を表し、R41
及びR42はそれぞれ独立してアルキル基又はハロゲン原子を表す。R43及びR44はそれぞれ独立してアルキレン基を表す。x及びyはそれぞれ独立して0以上の整数を表す。)
これらの中で、一般式(b1)〜(b4)で表されるエポキシ樹脂を用いるのが好ましい。
α,β−不飽和モノカルボン酸又はカルボキシル基を有するα,β−不飽和モノカルボン酸エステルとしては、(メタ)アクリル酸、クロトン酸、o−、m−、p−ビニル安息香酸、(メタ)アクリル酸のα位ハロアルキル、アルコキシル、ハロゲン、ニトロ、シアノ置換体などのモノカルボン酸、2−(メタ)アクリロイロキシエチルコハク酸、2−(メタ)アクリロイロキシエチルアジピン酸、2−(メタ)アクリロイロキシエチルフタル酸、2−(メタ)アクリロイロキシエチルヘキサヒドロフタル酸、2−(メタ)アクリロイロキシエチルマレイン酸、2−(メタ)アクリロイロキシプロピルコハク酸、2−(メタ)アクリロイロキシプロピルアジピン酸、2−(メタ)アクリロイロキシプロピルテトラヒドロフタル酸、2−(メタ)アクリロイロキシプロピルフタル酸、2−(メタ)アクリロイロキシプロピルマレイン酸、2−(メタ)アクリロイロキシブチルコハク酸、2−(メタ)アクリロイロキシブチルアジピン酸、2−(メタ)アクリロイロキシブチルヒドロフタル酸、2−(メタ)アクリロイロキシブチルフタル酸、2−(メタ)アクリロイロキシブチルマレイン酸(メタ)、アクリル酸にε−カプロラクトン、β−プロピオラクトン、γ−ブチロラクトン、δ−バレロラクトン等のラクトン類を付加させたものである単量体、或いはヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレートに(無水)コハク酸、(無水)フタル酸、(無水)マレイン酸などの酸(無水物)を付加させた単量体、(メタ)アクリル酸ダイマーなどが挙げられる。
これらの内、感度の点から、特に好ましいものは(メタ)アクリル酸である。
エポキシ樹脂にα,β−不飽和モノカルボン酸又はカルボキシル基を有するα,β−不飽和モノカルボン酸エステルを付加させる方法としては、公知の手法を用いることができる。例えば、エステル化触媒の存在下、50〜150℃の温度で、α,β−不飽和モノカルボン酸又はカルボキシル基を有するα,β−不飽和モノカルボン酸エステルとエポキシ樹脂とを反応させることができる。ここで用いるエステル化触媒としては、トリエチルアミン、トリメチルアミン、ベンジルジメチルアミン、ベンジルジエチルアミン等の3級アミン、テトラメチルアンモニウムクロライド、テトラエチルアンモニウムクロライド、ドデシルトリメチルアンモニウムクロライド等の4級アンモニウム塩等を用いることができる。
なお、エポキシ樹脂、α,β−不飽和モノカルボン酸又はカルボキシル基を有するα,β−不飽和モノカルボン酸エステル、及びエステル化触媒は、いずれも1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
α,β−不飽和モノカルボン酸又はカルボキシル基を有するα,β−不飽和モノカルボン酸エステルの使用量は、エポキシ樹脂のエポキシ基1当量に対し0.5〜1.2当量の範囲が好ましく、さらに好ましくは0.7〜1.1当量の範囲である。α,β−不飽和モノカルボン酸又はカルボキシル基を有するα,β−不飽和モノカルボン酸エステルの使用量が少ないと不飽和基の導入量が不足し、引き続く多塩基酸及び/又はその無水物との反応も不十分となる傾向がある。また、多量のエポキシ基が残存することも有利ではない。一方、該使用量が多いとα,β−不飽和モノカルボン酸又はカルボキシル基を有するα,β−不飽和モノカルボン酸エステルが未反応物として残存する傾向がある。いずれの場合も硬化特性が悪化する傾向が認められる。
多塩基酸及び/又はその無水物としては、マレイン酸、コハク酸、イタコン酸、フタル酸、テトラヒドロフタル酸、ヘキサヒドロフタル酸、ピロメリット酸、トリメリット酸、ベンゾフェノンテトラカルボン酸、メチルヘキサヒドロフタル酸、エンドメチレンテトラヒドロフタル酸、クロレンド酸、メチルテトラヒドロフタル酸、ビフェニルテトラカルボン酸、及びこれらの無水物等から選ばれた、1種又は2種以上が挙げられる。
好ましくは、マレイン酸、コハク酸、イタコン酸、フタル酸、テトラヒドロフタル酸、ヘキサヒドロフタル酸、ピロメリット酸、トリメリット酸、ビフェニルテトラカルボン酸、又はこれらの無水物である。特に好ましくは、テトラヒドロフタル酸、ビフェニルテトラカルボン酸、無水テトラヒドロフタル酸、又はビフェニルテトラカルボン酸二無水物である。
多塩基酸及び/又はその無水物の付加反応に関しても公知の手法を用いることができ、エポキシ樹脂へのα,β−不飽和モノカルボン酸又はカルボキシル基を有するα,β−不飽和モノカルボン酸エステルの付加反応と同様な条件下で、継続反応させて目的物を得ることができる。多塩基酸及び/又はその無水物成分の付加量は、生成するエポキシ(メタ)アクリレート樹脂の酸価が10〜150mgKOH/gの範囲となるような程度であることが好ましく、さらに20〜140mgKOH/gの範囲となるような程度であることが好ましい。エポキシ(メタ)アクリレート樹脂の酸価が上記範囲未満であるとアルカリ現像性に乏しくなる傾向があり、また、上記範囲を超えると硬化性能に劣る傾向が認められる。
なお、この多塩基酸及び/又はその無水物の付加反応時に、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトールなどの多価アルコールを添加し、多分岐構造を導入したものとしてもよい。
エポキシ(メタ)アクリレート樹脂(B1−2)は、通常、エポキシ樹脂とα,β−不飽和モノカルボン酸又はカルボキシル基を有するα,β−不飽和モノカルボン酸エステルとの反応物に、多塩基酸及び/又はその無水物を混合した後、もしくは、エポキシ樹脂とα,β−不飽和モノカルボン酸又はカルボキシル基を有するα,β−不飽和モノカルボン酸エステルとの反応物に、多塩基酸及び/又はその無水物及び多価アルコールを混合した後に、加温することにより得られる。この場合、多塩基酸及び/又はその無水物と多価アルコールの混合順序に、特に制限はない。加温により、エポキシ樹脂とα,β−不飽和モノカルボン酸又はカルボキシル基を有するα,β−不飽和モノカルボン酸エステルとの反応物と多価アルコールとの混合物中に存在するいずれかの水酸基に対して多塩基酸及び/又はその無水物が付加反応する。
多価アルコールの使用量は、少な過ぎると効果が低く、多過ぎると増粘やゲル化の可能性があるので、エポキシ樹脂とα,β−不飽和モノカルボン酸又はカルボキシル基を有するα,β−不飽和モノカルボン酸エステルとの反応物に対して、通常0.01〜0.5質量倍程度、好ましくは0.02〜0.2質量倍程度である。
このようにして得られるエポキシ(メタ)アクリレート樹脂(B1−1)、(B1−2)のゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)測定によるポリスチレン換算の重量平均分子量(Mw)は、1,000以上であることが好ましく、1,500以上であることがより好ましい。また、10,000以下であることが好ましく、8,000以下であることがより好ましく、6,000以下であることが更に好ましい。重量平均分子量が小さ過ぎると感度や塗膜強度、アルカリ耐性に問題が生じる可能性があり、大き過ぎると現像性や再溶解性に問題が生じる場合がある。
また、エポキシ(メタ)アクリレート樹脂(B1−1)、(B1−2)の酸価は、通常10mgKOH/g以上、好ましくは50mgKOH/g以上である。酸価が10mgKOH/g未満では現像性が不足する場合がある。また酸価が過度に高いと、本発明の感光性(着色)組成物のアルカリ耐性に問題がある(すなわち、アルカリ性現像液により、パターン表面の粗面化や、膜減りが生じる)場合があるので、酸価は200mgKOH/g以下であることが好ましく、150mgKOH/g以下であることがより好ましい。
[2−2−2]アクリル共重合樹脂
アクリル共重合樹脂としては、例えば、特開平7−207211号、特開平8−259876号、特開平10−300922号、特開平11−140144号、特開平11−174224号、特開2000−56118号、特開2003−233179号、特開2007−270147号などの各公報等に記載された様々な高分子化合物を使用することができるが、好ましくは、以下の(B2−1)〜(B2−4)の樹脂等が挙げられ、中でも、(B2−1)樹脂が特に好ましい。
(B2−1):エポキシ基含有(メタ)アクリレートと、他のラジカル重合性単量体との共重合体に対し、当該共重合体が有するエポキシ基の少なくとも一部に不飽和一塩基酸を付加させてなる樹脂、或いは当該付加反応により生じた水酸基の少なくとも一部に多塩基酸無水物を付加させて得られる樹脂(以下「(B2−1)樹脂」と称す場合がある。)
(B2−2):主鎖にカルボキシル基を含有する直鎖状アルカリ可溶性樹脂(以下「(B2−2)樹脂」と称す場合がある。)
(B2−3):前記(B2−2)樹脂のカルボキシル基部分に、エポキシ基含有不飽和化合物を付加させた樹脂(以下「(B2−3)樹脂」と称す場合がある。)
(B2−4):(メタ)アクリル系樹脂(以下「(B2−4)樹脂」と称す場合がある。)
以下、これらの各樹脂について説明する。
<(B2−1)エポキシ基含有(メタ)アクリレートと、他のラジカル重合性単量体との共重合体に対し、当該共重合体が有するエポキシ基の少なくとも一部に不飽和一塩基酸を付加させてなる樹脂、或いは当該付加反応により生じた水酸基の少なくとも一部に多塩基酸無水物を付加させて得られる樹脂>
(B2−1)樹脂としては、より具体的には、「エポキシ基含有(メタ)アクリレート5〜90モル%と、他のラジカル重合性単量体10〜95モル%との共重合体に対し、当該共重合体が有するエポキシ基の10〜100モル%に不飽和一塩基酸を付加させてなる樹脂、或いは当該付加反応により生じた水酸基の10〜100モル%に、更に多塩基酸無水物を付加させて得られる樹脂」が挙げられる。
(B2−1)樹脂を構成する「エポキシ基含有(メタ)アクリレート」としては、例えば、グリシジル(メタ)アクリレート、3,4−エポキシブチル(メタ)アクリレート、(3,4−エポキシシクロヘキシル)メチル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレートグリシジルエーテル等が例示できる。中でもグリシジル(メタ)アクリレートが好ましい。これらのエポキシ基含有(メタ)アクリレートは1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
上記エポキシ基含有(メタ)アクリレートと共重合させる他のラジカル重合性単量体としては、下記一般式(11)で表される構造を有するモノ(メタ)アクリレートが好ましい。
上記一般式(11)において、R81〜R88は各々独立して、水素原子、又は炭素数1〜3のアルキル基を示すが、R87及びR88は互いに連結して環を形成していてもよい。
一般式(11)において、R87とR88が連結して形成される環は、脂肪族環であるのが好ましく、飽和又は不飽和の何れでもよく、炭素数が5〜6であるのが好ましい。
中でも、一般式(11)で表される構造としては、下記式(11a)、(11b)、又は(11c)で表される構造が好ましい。
(B)アルカリ可溶性樹脂にこれらの構造を導入することによって、本発明の着色硬化物をカラーフィルタや液晶表示素子に使用する場合に、その耐熱性や強度を高めることができる傾向がある。
なお、一般式(11)で表される構造を有するモノ(メタ)アクリレートは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
前記一般式(11)で表される構造を有するモノ(メタ)アクリレートとしては、当該構造を有する限り様々なものが使用できるが、特に下記一般式(12)で表されるものが好ましい。
(上記一般式(12)中、R89は水素原子又はメチル基を示し、R90は前記一般式(11)で表される構造を示す。)
前記エポキシ基含有(メタ)アクリレートと、他のラジカル重合性単量体との共重合体において、前記一般式(11)で表される構造を有するモノ(メタ)アクリレートに由来する繰返し単位は、「他のラジカル重合性単量体」に由来する繰返し単位中、5〜90モル%含有するものが好ましく、10〜70モル%含有するものが更に好ましく、15〜50モル%含有するものが特に好ましい。
なお、前記一般式(11)で表される構造を有するモノ(メタ)アクリレート以外の、「他のラジカル重合性単量体」としては、特に限定されるものではない。
具体的には、例えば、スチレン、スチレンのα−、o−、m−、又はp−位がアルキル基、ニトロ基、シアノ基、アミド基、エステル基などで置換された誘導体等のビニル芳香族類;ブタジエン、2,3−ジメチルブタジエン、イソプレン、クロロプレン等のジエン類;(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸−n−プロピル、(メタ)アクリル酸−iso−プロピル、(メタ)アクリル酸−n−ブチル、(メタ)アクリル酸−sec−ブチル、(メタ)アクリル酸−tert−ブチル、(メタ)アクリル酸ペンチル、(メタ)アクリル酸ネオペンチル、(メタ)アクリル酸イソアミル、(メタ)アクリル酸ヘキシル、(メタ)アクリル酸−2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸ラウリル、(メタ)アクリル酸ドデシル、(メタ)アクリル酸シクロペンチル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸−2−メチルシクロヘキシル、(メタ)アクリル酸ジシクロヘキシル、(メタ)アクリル酸イソボロニル、(メタ)アクリル酸アダマンチル、(メタ)アクリル酸プロパギル、(メタ)アクリル酸フェニル、(メタ)アクリル酸ナフチル、(メタ)アクリル酸アントラセニル、(メタ)アクリル酸アントラニノニル、(メタ)アクリル酸ピペロニル、(メタ)アクリル酸サリチル、(メタ)アクリル酸フリル、(メタ)アクリル酸フルフリル、(メタ)アクリル酸テトラヒドロフリル、(メタ)アクリル酸ピラニル、(メタ)アクリル酸ベンジル、(メタ)アクリル酸フェネチル、(メタ)アクリル酸クレジル、(メタ)アクリル酸−1,1,1−トリフルオロエチル、(メタ)アクリル酸パーフルオルエチル、(メタ)アクリル酸パーフルオロ−n−プロピル、(メタ)アクリル酸パーフルオロ−iso−プロピル、(メタ)アクリル酸トリフェニルメチル、(メタ)アクリル酸クミル、(メタ)アクリル酸3−(N,N−ジメチルアミノ)プロピル、(メタ)アクリル酸−2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸−2−ヒドロキシプロピル等の(メタ)アクリル酸エステル類;(メタ)アクリル酸アミド、(メタ)アクリル酸N,N−ジメチルアミド、(メタ)アクリル酸N,N−ジエチルアミド、(メタ)アクリル酸N,N−ジプロピルアミド、(メタ)アクリル酸N,N−ジ−iso−プロピルアミド、(メタ)アクリル酸アントラセニルアミド等の(メタ)アクリル酸アミド;(メタ)アクリル酸アニリド、(メタ)アクリロイルニトリル、アクロレイン、塩化ビニル、塩化ビニリデン、フッ化ビニル、フッ化ビニリデン、N−ビニルピロリドン、ビニルピリジン、酢酸ビニル等のビニル化合物類;シトラコン酸ジエチル、マレイン酸ジエチル、フマル酸ジエチル、イタコン酸ジエチル等の不飽和ジカルボン酸ジエステル類;N−フェニルマレイミド、N−シクロヘキシルマレイミド、N−ラウリルマレイミド、N−(4−ヒドロキシフェニル)マレイミド等のモノマレイミド類;N−(メタ)アクリロイルフタルイミド等が挙げられる。
これら「他のラジカル重合性単量体」の中で、本発明の感光性(着色)組成物を用いた本発明の着色硬化物に優れた耐熱性及び強度を付与させるためには、スチレン、(メタ)アクリル酸ベンジル、及びモノマレイミドから選択された少なくとも一種を使用することが有効である。特に「他のラジカル重合性単量体」に由来する繰返し単位中、これらスチレン、(メタ)アクリル酸ベンジル、及びモノマレイミドから選択された少なくとも一種に由来する繰返し単位の含有割合が、1〜70モル%であるものが好ましく、3〜50モル%であるものが更に好ましい。
なお、前記エポキシ基含有(メタ)アクリレートと、前記他のラジカル重合性単量体との共重合反応には、様々な溶液重合法が適用される。反応に使用する溶剤は、ラジカル重合に不活性なものであれば特に限定されるものではなく、通常用いられている有機溶剤を使用することができる。
また、共重合反応に使用されるラジカル重合開始剤は、ラジカル重合を開始できるものであれば特に限定されるものではなく、通常用いられている有機過酸化物触媒やアゾ化合物触媒を使用することができる。
(B2−1)樹脂の、前記エポキシ基含有(メタ)アクリレートと前記他のラジカル重合性単量体との共重合体としては、エポキシ基含有(メタ)アクリレートに由来する繰返し単位5〜90モル%と、他のラジカル重合性単量体に由来する繰返し単位10〜95モル%とからなるものが好ましく、前者20〜80モル%と、後者80〜20モル%とからなるものが更に好ましく、前者30〜70モル%と、後者70〜30モル%とからなるものが特に好ましい。
(B2−1)樹脂中のエポキシ基含有(メタ)アクリレートに由来する繰返し単位が少なすぎると、後述する重合性成分及び多塩基酸無水物の付加量が不十分となる場合があり、一方、エポキシ基含有(メタ)アクリレートに由来する繰返し単位が多すぎて、他のラジカル重合性単量体に由来する繰返し単位が少なすぎると、耐熱性や強度が不十分となる可能性がある。
(B2−1)樹脂では、上記のエポキシ樹脂含有(メタ)アクリレートと、他のラジカル重合性単量体との共重合体のエポキシ基部分に、不飽和一塩基酸(重合性成分)と、多塩基酸無水物とを反応させる。
エポキシ基に付加させる「不飽和一塩基酸」としては、様々なものを使用することができ、例えば、エチレン性不飽和二重結合を有する不飽和カルボン酸が挙げられる。
具体例としては、(メタ)アクリル酸、クロトン酸、o−、m−、又はp−ビニル安息香酸、α−位がハロアルキル基、アルコキシル基、ハロゲン原子、ニトロ基、又はシアノ基などで置換された(メタ)アクリル酸等のモノカルボン酸等が挙げられる。中でも好ましくは(メタ)アクリル酸である。これらは1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
このような成分を付加させることにより、(B2−1)樹脂に重合性を付与することができる。
これらの不飽和一塩基酸は、通常、前記共重合体が有するエポキシ基の10〜100モル%に付加させるが、好ましくは30〜100モル%、より好ましくは50〜100モル%に付加させる。不飽和一塩基酸の付加割合が少なすぎると、本発明の感光性(着色)組成物の経時安定性等に関して、残存エポキシ基による悪影響が懸念される。なお、共重合体のエポキシ基に不飽和一塩基酸を付加させる方法としては、公知の方法を採用することができる。
更に、共重合体のエポキシ基に不飽和一塩基酸を付加させたときに生じる水酸基に付加させる「多塩基酸無水物」としては、様々なものが使用できる。
例えば、無水マレイン酸、無水コハク酸、無水イタコン酸、無水フタル酸、テトラヒドロ無水フタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、無水クロレンド酸等の二塩基酸無水物;無水トリメリット酸、無水ピロメリット酸、ベンゾフェノンテトラカルボン酸無水物、ビフェニルテトラカルボン酸無水物等の三塩基以上の酸の無水物が挙げられる。中でも、テトラヒドロ無水フタル酸及び無水コハク酸が好ましい。これらの多塩基酸無水物は1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
このような成分を付加させることにより、(B2−1)樹脂にアルカリ可溶性を付与することができる。
これらの多塩基酸無水物は、通常、前記共重合体が有するエポキシ基に、不飽和一塩基酸を付加させることにより生じる水酸基の10〜100モル%に付加させるが、好ましくは20〜90モル%、より好ましくは30〜80モル%に付加させる。この範囲での付加割合の調整が、本発明の感光性(着色)組成物の濡れ拡がり性の制御に有効であると考えられる。この付加割合が多すぎると、現像時の残膜率が低下する場合があり、少なすぎると溶解性が不十分となる可能性がある。なお、当該水酸基に多塩基酸無水物を付加させる方法としては、公知の方法を採用することができる。
更に、光に対する感度を向上させるために、前述の多塩基酸無水物を付加させた後、生成したカルボキシル基の一部にグリシジル(メタ)アクリレートや重合性不飽和基を有するグリシジルエーテル化合物を付加させてもよい。また、現像性を向上させるために、生成したカルボキシル基の一部に、重合性不飽和基を有さないグリシジルエーテル化合物を付加させてもよい。また、これらの両方を付加させてもよい。
重合性不飽和基を有さないグリシジルエーテル化合物の具体例としては、フェニル基やアルキル基を有するグリシジルエーテル化合物等が挙げられる。市販品として、例えば、ナガセ化成工業社製の商品名「デナコールEX−111」、「デナコールEX−121」、「デナコールEX−141」、「デナコールEX−145」、「デナコールEX−146」、「デナコールEX−171」、「デナコールEX−192」等がある。
なお、このような樹脂の構造に関しては、例えば特開平8−297366号公報や、特開2001−89533号公報に記載されている。
上述した(B2−1)樹脂の、GPCで測定したポリスチレン換算の重量平均分子量(Mw)は、3,000〜100,000が好ましく、5,000〜50,000が特に好ましい。重量平均分子量が3,000未満であると、耐熱性や膜強度に劣る可能性があり、100,000を超えると現像液に対する溶解性が不足する傾向がある。また、分子量分布の目安として、重量平均分子量(Mw)/数平均分子量(Mn)の比は、2.0〜5.0が好ましい。
また(B2−1)樹脂の酸価は、通常0〜200mgKOH/g、好ましくは0〜150mgKOH/g、更に好ましくは0〜100mgKOH/gである。酸価をこの範囲に制御することにより、現像液に対する溶解性が低下したり、膜荒れが生じたりするのを防ぐことができる。
<(B2−2)主鎖にカルボキシル基を含有する直鎖状アルカリ可溶性樹脂>
(B2−2)樹脂としては、カルボキシル基を有していれば特に限定されず、通常、カルボキシル基を含有する重合性モノマーを重合して得られる。
カルボキシル基含有重合性モノマーとしては、例えば、(メタ)アクリル酸、マレイン酸、クロトン酸、イタコン酸、フマル酸、2−(メタ)アクリロイルオキシエチルコハク酸、2−(メタ)アクリロイルオキシエチルアジピン酸、2−(メタ)アクリロイルオキシエチルマレイン酸、2−(メタ)アクリロイルオキシエチルヘキサヒドロフタル酸、2−(メタ)アクリロイルオキシエチルフタル酸、2−(メタ)アクリロイルオキシプロピルコハク酸、2−(メタ)アクリロイルオキシプロピルアジピン酸、2−(メタ)アクリロイルオキシプロピルマレイン酸、2−(メタ)アクリロイルオキシプロピルヒドロフタル酸、2−(メタ)アクリロイルオキシプロピルフタル酸、2−(メタ)アクリロイルオキシブチルコハク酸、2−(メタ)アクリロイルオキシブチルアジピン酸、2−(メタ)アクリロイルオキシブチルマレイン酸、2−(メタ)アクリロイルオキシブチルヒドロフタル酸、2−(メタ)アクリロイルオキシブチルフタル酸等のビニル系モノマー;アクリル酸にε−カプロラクトン、β−プロピオラクトン、γ−ブチロラクトン、δ−バレロラクトン等のラクトン類を付加させたものであるモノマー;ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートにコハク酸、マレイン酸、フタル酸、或いはそれらの無水物等の酸或いは無水物を付加させたモノマー等が挙げられる。これらは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
中でも好ましいのは、(メタ)アクリル酸、2−(メタ)アクリロイルオキシエチルコハク酸であり、更に好ましいのは(メタ)アクリル酸である。
また、(B2−2)樹脂は、上記のカルボキシル基含有重合性モノマーに、カルボキシル基を有さない他の重合性モノマーを共重合させたものであってもよい。
この場合、他の重合性モノマーとしては、特に限定されないが、特開2009−52010号公報に記載されているもの等が挙げられる。また、これら重合性モノマーのうち、顔料分散性に優れる点からは、特にベンジル(メタ)アクリレートを含む共重合体樹脂が好ましい。
(B2−2)樹脂のGPCで測定したポリスチレン換算の重量平均分子量(Mw)は、通常2,000〜80,000、好ましくは3,000〜50,000、更に好ましくは4,000〜30,000である。重量平均分子量が小さすぎると、本発明の感光性(着色)組成物の安定性が劣る場合がある。また、逆に大きすぎると、現像液に対する溶解性が悪化する可能性がある。
また、このような(B2−2)樹脂の酸価は、通常30〜500mgKOH/g、好ましくは40〜350mgKOH/g、更に好ましくは50〜300mgKOH/gである。酸価をこの範囲に制御することにより、現像液に対する溶解性が低下したり、膜荒れが生じたりするのを防ぐことができる。
<(B2−3)(B2−2)樹脂のカルボキシル基部分に、エポキシ基含有不飽和化合物を付加させた樹脂>
(B2−3)樹脂において、(B2−2)樹脂のカルボキシル基部分に付加させるエポキシ基含有不飽和化合物としては、分子内にエチレン性不飽和基及びエポキシ基を有するものであれば、特に限定されるものではない。
このエポキシ基含有不飽和化合物としては、例えば、グリシジル(メタ)アクリレート、アリルグリシジルエーテル、グリシジル−α−エチルアクリレート、クロトニルグリシジルエーテル、(イソ)クロトン酸グリシジルエーテル、N−(3,5−ジメチル−4−グリシジル)ベンジルアクリルアミド、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレートグリシジルエーテル等の非環式エポキシ基含有不飽和化合物を挙げることができるが、耐熱性や、顔料の分散性の観点から、以下に記載する脂環式エポキシ基含有不飽和化合物が好ましい。
ここで、脂環式エポキシ基含有不飽和化合物の脂環式エポキシ基として、例えば、2,3−エポキシシクロペンチル基、3,4−エポキシシクロヘキシル基、7,8−エポキシ〔トリシクロ[5.2.1.0]デシ−2−イル〕基等が挙げられる。また、エチレン性不飽和基としては、(メタ)アクリロイル基に由来するものであるのが好ましく、好適な脂環式エポキシ基含有不飽和化合物としては、下記一般式(3a)〜(3m)で表される化合物が挙げられる。
上記一般式(3a)〜(3m)、R61は水素原子又はメチル基を、R62はアルキレン基を、R63は2価の炭化水素基をそれぞれ示し、nは1〜10の整数である。
一般式(3a)〜(3m)における、R62のアルキレン基は、炭素数1〜10であるものが好ましい。具体的には、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基等が例示できるが、好ましくはメチレン基、エチレン基、プロピレン基である。
また、R63の炭化水素基としては、炭素数が1〜10であるものが好ましく、アルキレン基、フェニレン基等が挙げられる。
これら脂環式エポキシ基含有不飽和化合物は、1種類を単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
中でも、一般式(3c)で表される化合物が好ましく、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル(メタ)アクリレートが特に好ましい。
前記(B2−2)樹脂のカルボキシル基部分に、前記エポキシ基含有不飽和化合物を付加させるには、様々な手法を用いることができる。例えば、(B2−2)樹脂とエポキシ基含有不飽和化合物とを、トリエチルアミン、ベンジルメチルアミン等の3級アミン;ドデシルトリメチルアンモニウムクロライド、テトラメチルアンモニウムクロライド、テトラエチルアンモニウムクロライド、テトラブチルアンモニウムクロライド、ベンジルトリエチルアンモニウムクロライド等の4級アンモニウム塩;ピリジン、トリフェニルホスフィン等の触媒の存在下、有機溶剤中、反応温度50〜150℃で数時間〜数十時間反応させることにより、(B2−2)樹脂のカルボキシル基にエポキシ基含有不飽和化合物を導入することができる。
(B2−2)樹脂にエポキシ基含有不飽和化合物を導入した(B2−3)樹脂のGPCで測定したポリスチレン換算の重量平均分子量(Mw)は、通常2,000〜100,000、好ましくは4,000〜50,000、更に好ましくは5,000〜30,000である。重量平均分子量が小さすぎると、本発明の感光性(着色)組成物の安定性に劣る場合がある。また、逆に大きすぎると、現像液に対する溶解性が悪化する恐れがある。
また、(B2−3)樹脂の酸価は、通常10〜200mgKOH/g、好ましくは20〜150mgKOH/g、更に好ましくは30〜150mgKOH/gである。酸価をこれらの範囲に制御することにより、現像液に対する溶解性が低下したり、膜荒れが生じたりするのを防ぐことができる。
<(B2−4)(メタ)アクリル系樹脂>
(B2−4)樹脂としては、下記一般式(6)で表される化合物を必須とするモノマー成分を重合してなる(メタ)アクリル系樹脂を挙げることができる。
(上記一般式(6)中、R71及びR72は、それぞれ独立に、水素原子又は置換基を有していてもよい炭素数1〜25の炭化水素基を示す。)
以下、一般式(6)の化合物について詳述する。
一般式(6)で表されるエーテルダイマーにおいて、R71及びR72で表される置換基を有していてもよい炭素数1〜25の炭化水素基としては、特に制限はないが、例えば、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、t−ブチル、t−アミル、ステアリル、ラウリル、2−エチルヘキシル等の直鎖状又は分岐状のアルキル基;フェニル等のアリール基;シクロヘキシル、t−ブチルシクロヘキシル、ジシクロペンタジエニル、トリシクロデカニル、イソボルニル、アダマンチル、2−メチル−2−アダマンチル等の脂環式基;1−メトキシエチル、1−エトキシエチル等のアルコキシ基で置換されたアルキル基;ベンジル等のアリール基で置換されたアルキル基等が挙げられる。これらの中でも特に、メチル、エチル、シクロヘキシル、ベンジル等のような酸や熱で脱離しにくい1級又は2級炭素原子を有する置換基が耐熱性の点で好ましい。なお、R71及びR72は、同種の置換基であってもよいし、異なる置換基であってもよい。
前記エーテルダイマーの具体例としては、例えば、ジメチル−2,2′−[オキシビス(メチレン)]ビス−2−プロペノエート、ジエチル−2,2′−[オキシビス(メチレン)]ビス−2−プロペノエート、ジ(n−プロピル)−2,2′−[オキシビス(メチレン)]ビス−2−プロペノエート、ジ(イソプロピル)−2,2′−[オキシビス(メチレン)]ビス−2−プロペノエート、ジ(n−ブチル)−2,2′−[オキシビス(メチレン)]ビス−2−プロペノエート、ジ(イソブチル)−2,2′−[オキシビス(メチレン)]ビス−2−プロペノエート、ジ(t−ブチル)−2,2′−[オキシビス(メチレン)]ビス−2−プロペノエート、ジ(t−アミル)−2,2′−[オキシビス(メチレン)]ビス−2−プロペノエート、ジ(ステアリル)−2,2′−[オキシビス(メチレン)]ビス−2−プロペノエート、ジ(ラウリル)−2,2′−[オキシビス(メチレン)]ビス−2−プロペノエート、ジ(2−エチルヘキシル)−2,2′−[オキシビス(メチレン)]ビス−2−プロペノエート、ジ(1−メトキシエチル)−2,2′−[オキシビス(メチレン)]ビス−2−プロペノエート、ジ(1−エトキシエチル)−2,2′−[オキシビス(メチレン)]ビス−2−プロペノエート、ジベンジル−2,2′−[オキシビス(メチレン)]ビス−2−プロペノエート、ジフェニル−2,2′−[オキシビス(メチレン)]ビス−2−プロペノエート、ジシクロヘキシル−2,2′−[オキシビス(メチレン)]ビス−2−プロペノエート、ジ(t−ブチルシクロヘキシル)−2,2′−[オキシビス(メチレン)]ビス−2−プロペノエート、ジ(ジシクロペンタジエニル)−2,2′−[オキシビス(メチレン)]ビス−2−プロペノエート、ジ(トリシクロデカニル)−2,2′−[オキシビス(メチレン)]ビス−2−プロペノエート、ジ(イソボルニル)−2,2′−[オキシビス(メチレン)]ビス−2−プロペノエート、ジアダマンチル−2,2′−[オキシビス(メチレン)]ビス−2−プロペノエート、ジ(2−メチル−2−アダマンチル)−2,2′−[オキシビス(メチレン)]ビス−2−プロペノエート等が挙げられる。
これらの中でも特に、ジメチル−2,2′−[オキシビス(メチレン)]ビス−2−プロペノエート、ジエチル−2,2′−[オキシビス(メチレン)]ビス−2−プロペノエート、ジシクロヘキシル−2,2′−[オキシビス(メチレン)]ビス−2−プロペノエート、ジベンジル−2,2′−[オキシビス(メチレン)]ビス−2−プロペノエートが好ましい。
これらエーテルダイマーは、1種のみ単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
(B2−4)樹脂を得る際の、モノマー成分中における前記エーテルダイマーの割合は、特に制限されないが、全モノマー成分中、通常2〜60質量%、好ましくは5〜55質量%、更に好ましくは5〜50質量%である。この範囲よりもエーテルダイマーの量が多すぎると、重合の際、低分子量のものを得ることが困難になったり、あるいはゲル化し易くなったりする場合があり、一方、少なすぎると、透明性や耐熱性等の塗膜性能が不充分となる場合がある。
(B2−4)樹脂は、酸基を有することが好ましい。酸基を有することにより、これを用いて得られる本発明の感光性(着色)組成物が、酸基とエポキシ基が反応してエステル結合を形成する架橋反応(以下、「酸−エポキシ硬化」と略することがある。)により硬化が可能な感光性(着色)組成物、あるいは未硬化部をアルカリ現像液で顕像可能な感光性(着色)組成物、とすることができる。前記酸基としては、特に制限されないが、例えば、カルボキシル基、フェノール性水酸基、カルボン酸無水物基等が挙げられる。樹脂1分子中に含まれるこれらの酸基は、1種のみであってもよいし、2種以上であってもよい。
(B2−4)樹脂に酸基を導入するには、例えば、酸基を有するモノマー、及び/又は「重合後に酸基を付与しうるモノマー」(以下「酸基を導入するためのモノマー」と称することもある。)を、モノマー成分として使用すればよい。なお、「重合後に酸基を付与しうるモノマー」をモノマー成分として使用する場合には、重合後に、後述するような酸基を付与するための処理が必要となる。
前記酸基を有するモノマーとしては、例えば、(メタ)アクリル酸やイタコン酸等のカルボキシル基を有するモノマー;N−ヒドロキシフェニルマレイミド等のフェノール性水酸基を有するモノマー;無水マレイン酸、無水イタコン酸等のカルボン酸無水物基を有するモノマー等が挙げられるが、これらの中でも特に、(メタ)アクリル酸が好ましい。
前記重合後に酸基を付与しうるモノマーとしては、例えば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート等の水酸基を有するモノマー;グリシジル(メタ)アクリレート等のエポキシ基を有するモノマー;2−イソシアナートエチル(メタ)アクリレート等のイソシアネート基を有するモノマー等が挙げられる。
これら酸基を導入するためのモノマーは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
(B2−4)樹脂を得る際のモノマー成分が、前記酸基を導入するためのモノマーをも含む場合、その含有割合は特に制限されないが、通常は全モノマー成分中5〜70質量%、好ましくは10〜60質量%である。酸基を導入するためのモノマーの量をこの範囲に調整することにより、良好な電気特性や現像性を得ることができる。
また、(B2−4)樹脂は、ラジカル重合性二重結合を有するものであってもよい。
(B2−4)樹脂にラジカル重合性二重結合を導入するには、例えば「重合後にラジカル重合性二重結合を付与しうるモノマー」(以下「ラジカル重合性二重結合を導入するためのモノマー」と称することもある。)を、モノマー成分として重合した後に、後述するようなラジカル重合性二重結合を付与するための処理を行えばよい。
重合後にラジカル重合性二重結合を付与しうるモノマーとしては、例えば、(メタ)アクリル酸、イタコン酸等のカルボキシル基を有するモノマー;無水マレイン酸、無水イタコン酸等のカルボン酸無水物基を有するモノマー;グリシジル(メタ)アクリレート、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル(メタ)アクリレート、o−(又はm−、又はp−)ビニルベンジルグリシジルエーテル等のエポキシ基を有するモノマー等が挙げられる。これらラジカル重合性二重結合を導入するためのモノマーは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
(B2−4)樹脂を得る際のモノマー成分が、前記ラジカル重合性二重結合を導入するためのモノマーをも含む場合、その含有割合は特に制限されないが、通常は全モノマー成分中5〜70質量%、好ましくは10〜60質量%である。ラジカル重合性二重結合を導入するためのモノマーの量をこの範囲に調整することにより、良好な製版特性が得られ、欠けが少なく、所望のテーパー角を有する着色硬化物を得ることができる。
(B2−4)樹脂は、またエポキシ基を有することが好ましい。エポキシ基を導入するには、例えば、エポキシ基を有するモノマー(以下「エポキシ基を導入するためのモノマー」と称することもある。)を、モノマー成分として重合すればよい。
前記エポキシ基を有するモノマーとしては、例えば、グリシジル(メタ)アクリレート、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル(メタ)アクリレート、o−(又はm−、又はp−)ビニルベンジルグリシジルエーテル等が挙げられる。これらエポキシ基を導入するためのモノマーは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
(B2−4)樹脂を得る際のモノマー成分が、前記エポキシ基を導入するためのモノマーをも含む場合、その含有割合は特に制限されないが、通常は全モノマー成分中5〜70質量%、好ましくは10〜60質量%であるのがよい。エポキシ基を導入するためのモノマーの量をこの範囲に調整することにより、露光感度や色特性の低下を招くことなく、耐熱性等を向上させることができる。
(B2−4)樹脂を得る際のモノマー成分は、上記必須のモノマー成分のほかに、必要に応じて、他の共重合可能なモノマーを含んでいてもよい。
他の共重合可能なモノマーとしては、例えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸n−プロピル、(メタ)アクリル酸イソプロピル、(メタ)アクリル酸n−ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸t−ブチル、(メタ)アクリル酸メチル2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸ベンジル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル等の(メタ)アクリル酸エステル類;スチレン、ビニルトルエン、α−メチルスチレン等の芳香族ビニル化合物;N−フェニルマレイミド、N−シクロヘキシルマレイミド等のN−置換マレイミド類;ブタジエン、イソプレン等のブタジエン又は置換ブタジエン化合物;エチレン、プロピレン、塩化ビニル、アクリロニトリル等のエチレン又は置換エチレン化合物;酢酸ビニル等のビニルエステル類等が挙げられる。
これら中でも、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸ベンジル、スチレンが、透明性が良好で、耐熱性を損ないにくい点で好ましい。
これら共重合可能な他のモノマーは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
(B2−4)樹脂を得る際のモノマー成分が、前記共重合可能な他のモノマーをも含む場合、その含有割合は特に制限されないが、95質量%以下が好ましく、85質量%以下がより好ましい。この含有割合が多すぎると、現像性が悪化する可能性がある。
(B2−4)樹脂は、特に制限されないが、好ましくはGPCにて測定したポリスチレン換算の重量平均分子量(Mw)が2,000〜200,000、より好ましくは4,000〜100,000である。重量平均分子量が200,000を超える場合、高粘度となりすぎ塗膜を形成しにくくなる場合があり、一方、2,000未満であると、十分な耐熱性を発現しにくくなる傾向がある。
(B2−4)樹脂が酸基を有する場合、好ましい酸価は5〜500mgKOH/g、より好ましくは10〜400mgKOH/gである。酸価が5mgKOH/g未満の場合、アルカリ現像に適用することが難しくなる場合がある。また、500mgKOH/gを超える場合、高粘度となりすぎ塗膜を形成しにくくなる傾向がある。
なお、酸価が比較的高い場合、これを含む本発明の感光性(着色)組成物の、粘度の経時変化(増粘)が生じにくくなるため好ましく、酸価が比較的低い場合、これを含む本発明の感光性(着色)組成物の、コントラストの経時変化(低下)が生じにくくなるため、好ましい。
また、(B2−4)樹脂、即ち、一般式(4)で示される化合物を必須の単量体成分とする共重合体としては、例えば、特開2004−300203号公報及び特開2004−00204号公報に記載の化合物を挙げることができる。
また、本発明に係るアクリル共重合樹脂の(B2−1)、(B2−2)、(B2−3)、(B2−4)樹脂としては、例えば特開2005−154708号公報等に記載のアクリル共重合樹脂を用いることもできる。
なお、本発明の感光性(着色)組成物は、本発明の効果が損なわれない範囲であれば、前述の(B1−1)、(B1−2)や(B2−1)〜(B2−4)樹脂以外のアルカリ可溶性樹脂を含有してもよい。
(B)アルカリ可溶性樹脂の含有量は、本発明の感光性(着色)組成物の全固形分に対して、通常5質量%以上、好ましくは10質量%以上であり、通常85質量%以下、好ましくは80質量%以下である。その含有量が著しく少ないと、未露光部分の現像液に対する溶解性が低下し、現像不良を誘起させやすくなる。逆に含有量が多すぎると、相対的に後述の(D)エチレン性不飽和化合物等の光重合性単量体含有量が減ることで硬化性が下がる場合がある。
また、本発明の感光性着色組成物(1)及び(C)色材を含有する本発明の感光性組成物(2)中の(B)アルカリ可溶性樹脂の後述の(C)色材に対する量は、通常10〜500質量%、好ましくは30〜300質量%、より好ましくは50〜200質量%の範囲である。(C)色材に対する(B)アルカリ可溶性樹脂の含有量が低すぎると、未露光部分の現像液に対する溶解性が低下し、現像不良を誘起させやすく、著しく高いと、所望の膜厚が得られ難くなる。
[2−3](C)色材
(C)色材としては、通常各種の顔料が用いられるが、有機着色顔料、有機黒色顔料、カーボンブラック、及びチタンブラックからなる群より選ばれる少なくとも1つを含有するものが好ましく用いられる。
顔料としては青色顔料、緑色顔料、赤色顔料、黄色顔料、紫色顔料、オレンジ顔料、ブラウン顔料、黒色顔料等各種の色の顔料を使用することができる。また、その構造としてはアゾ系、フタロシアニン系、キナクリドン系、ベンズイミダゾロン系、イソインドリノン系、ジオキサジン系、インダンスレン系、ペリレン系等の有機顔料の他に種々の無機顔料等も利用可能である。以下、使用できる顔料の具体例をピグメントナンバーで示す。
以下に挙げる「C.I.ピグメントレッド2」等の用語は、カラーインデックス(C.I.)を意味する。
赤色顔料としては、C.I.ピグメントレッド1、2、3、4、5、6、7、8、9、12、14、15、16、17、21、22、23、31、32、37、38、41、47、48、48:1、48:2、48:3、48:4、49、49:1、49:2、50:1、52:1、52:2、53、53:1、53:2、53:3、57、57:1、57:2、58:4、60、63、63:1、63:2、64、64:1、68、69、81、81:1、81:2、81:3、81:4、83、88、90:1、101、101:1、104、108、108:1、109、112、113、114、122、123、144、146、147、149、151、166、168、169、170、172、173、174、175、176、177、178、179、181、184、185、187、188、190、193、194、200、202、206、207、208、209、210、214、216、220、221、224、230、231、232、233、235、236、237、238、239、242、243、245、247、249、250、251、253、254、255、256、257、258、259、260、262、263、264、265、266、267、268、269、270、271、272、273、274、275、276を挙げることができる。この中でも、好ましくはC.I.ピグメントレッド48:1、122、168、177、202、206、207、209、224、242、254、さらに好ましくはC.I.ピグメントレッド177、209、224、254を挙げることができる。
青色顔料としては、C.I.ピグメントブルー1、1:2、9、14、15、15:1、15:2、15:3、15:4、15:6、16、17、19、25、27、28、29、33、35、36、56、56:1、60、61、61:1、62、63、66、67、68、71、72、73、74、75、76、78、79を挙げることができる。この中でも、好ましくはC.I.ピグメントブルー15、15:1、15:2、15:3、15:4、15:6、さらに好ましくはC.I.ピグメントブルー15:6を挙げることができる。
緑色顔料としては、C.I.ピグメントグリーン1、2、4、7、8、10、13、14、15、17、18、19、26、36、45、48、50、51、54、55を挙げることができる。この中でも、好ましくはC.I.ピグメントグリーン7、36を挙げることができる。
黄色顔料としては、C.I.ピグメントイエロー1、1:1、2、3、4、5、6、9、10、12、13、14、16、17、24、31、32、34、35、35:1、36、36:1、37、37:1、40、41、42、43、48、53、55、61、62、62:1、63、65、73、74、75、81、83、87、93、94、95、97、100、101、104、105、108、109、110、111、116、117、119、120、126、127、127:1、128、129、133、134、136、138、139、142、147、148、150、151、153、154、155、157、158、159、160、161、162、163、164、165、166、167、168、169、170、172、173、174、175、176、180、181、182、183、184、185、188、189、190、191、191:1、192、193、194、195、196、197、198、199、200、202、203、204、205、206、207、208を挙げることができる。この中でも、好ましくはC.I.ピグメントイエロー83、117、129、138、139、150、154、155、180、185、さらに好ましくはC.I.ピグメントイエロー83、138、139、150、180を挙げることができる。
オレンジ顔料としては、C.I.ピグメントオレンジ1、2、5、13、16、17、19、20、21、22、23、24、34、36、38、39、43、46、48、49、61、62、64、65、67、68、69、70、71、72、73、74、75、77、78、79を挙げることができる。この中でも、好ましくは、C.I.ピグメントオレンジ38、71を挙げることができる。
紫色顔料としては、C.I.ピグメントバイオレット1、1:1、2、2:2、3、3:1、3:3、5、5:1、14、15、16、19、23、25、27、29、31、32、37、39、42、44、47、49、50を挙げることができる。この中でも、好ましくはC.I.ピグメントバイオレット19、23、さらに好ましくはC.I.ピグメントバイオレット23を挙げることができる。
また、顔料として、硫酸バリウム、硫酸鉛、酸化チタン、黄色鉛、ベンガラ、酸化クロム等を用いることもできる。
黒色色材としては、カーボンブラック、チタンブラック、アセチレンブラック、ランプブラック、ボーンブラック、黒鉛、アニリンブラック、シアニンブラック、ペリレンブラック(BASF K0084、K0086)、ファーストブラックHB(C.I.26150)、酸化鉄系黒色顔料等が挙げられる。
また、特開2010−134453号公報に記載の銀錫合金を主成分とする微粒子等も用いることができ、この場合にはパターンの剥がれ等を抑制するとの観点から、同公報に記載されているように特定の光重合開始剤を組み合わせて用いてもよい。また、所望のパターン形状にするとの観点から、特開2013−130843号公報に記載されているように特定のアルカリ可溶性樹脂を組み合わせて用いてもよい。さらに、所望のパターン形状にするとの観点から、特開2013−134264号公報に記載されているように特定のペリレン系黒色顔料(ペリレンブラック)と組み合わせて用いてもよい。
黒色色材としては、これらのうち、カーボンブラック、チタンブラックが好ましい。
カーボンブラックの例としては、以下のようなカーボンブラックが挙げられる。
三菱化学社製:MA7、MA77、MA8、MA11、MA100、MA100R、MA220、MA230、MA600、#5、#10、#20、#25、#30、#32、#33、#40、#44、#45、#47、#50、#52、#55、#650、#750、#850、#950、#960、#970、#980、#990、#1000、#2200、#2300、#2350、#2400、#2600、#3050、#3150、#3250、#3600、#3750、#3950、#4000、#4010、OIL7B、OIL9B、OIL11B、OIL30B、OIL31B
デグサ社製:Printex3、Printex3OP、Printex30、Printex30OP、Printex40、Printex45、Printex55、Printex60、Printex75、Printex80、Printex85、Printex90、Printex A、Printex L、Printex G、Printex P、Printex U、Printex V、PrintexG、SpecialBlack550、SpecialBlack350、SpecialBlack250、SpecialBlack100、SpecialBlack6、SpecialBlack5、SpecialBlack4、Color Black FW1、Color Black FW2、Color Black FW2V、Color Black FW18、Color Black FW18、Color Black FW200、Color Black S160、Color Black S170
キャボット社製:Monarch120、Monarch280、Monarch460、Monarch800、Monarch880、Monarch900、Monarch1000、Monarch1100、Monarch1300、Monarch1400、Monarch4630、REGAL99、REGAL99R、REGAL415、REGAL415R、REGAL250、REGAL250R、REGAL330、REGAL400R、REGAL55R0、REGAL660R、BLACK PEARLS480、PEARLS130、VULCAN XC72R、ELFTEX−8コロンビヤン
カーボン社製:RAVEN11、RAVEN14、RAVEN15、RAVEN16、RAVEN22RAVEN30、RAVEN35、RAVEN40、RAVEN410、RAVEN420、RAVEN450、RAVEN500、RAVEN780、RAVEN850、RAVEN890H、RAVEN1000、RAVEN1020、RAVEN1040、RAVEN1060U、RAVEN1080U、RAVEN1170、RAVEN1190U、RAVEN1250、RAVEN1500、RAVEN2000、RAVEN2500U、RAVEN3500、RAVEN5000、RAVEN5250、RAVEN5750、RAVEN7000
カーボンブラック含有量を多くした上で体積抵抗値を大きくするために、樹脂で被覆されたカーボンブラックを使用してもよい。例えば特開平09−71733号公報に記載されているカーボンブラック等が好適に使用できる。
被覆処理するカーボンブラックとしては、NaとCaの合計含有量が100ppm以下であることが好ましい。カーボンブラックは、通常製造時の原料油や燃焼油(又はガス)、反応停止水や造粒水、更には反応炉の炉材等から混入したNaや、Ca,K,Mg,Al,Fe等を組成とする灰分がパーセントのオーダーで含有されている。この内、NaやCaは、各々数百ppm以上含有されているのが一般的であるが、これらが多く存在すると、透明電極(ITO)やその他の電極に浸透し、電気的短絡の原因となる場合があるからである。
これらのNaやCaを含む灰分の含有量を低減する方法としては、カーボンブラックを製造する際の原料油や燃料油(又はガス)並びに反応停止水として、これらの含有量が極力少ないものを厳選すること及びストラクチャーを調整するアルカリ物質の添加量を極力少なくする方法が挙げられる。他の方法としては、炉から製出したカーボンブラックを水や塩酸等で洗うことによりNaやCaを溶解させて除去する方法が挙げられる。
具体的にはカーボンブラックを水又は塩酸、過酸化水素水に混合分散させた後、水に難溶の溶媒を添加していくとカーボンブラックは溶媒側に移行し、水と完全に分離すると共にカーボンブラック中に存在した殆どのNaやCaは、水や酸に溶解、除去される。NaとCaの合計量を100ppm以下に低減するためには、原材料を厳選したカーボンブラック製造過程単独或は水や酸溶解方式単独でも可能な場合もあるが、この両方式を併用することにより更に容易にNaとCaの合計量を100ppm以下とすることができる。
また、樹脂被覆カーボンブラックは、pH6以下のいわゆる酸性カーボンブラックであることが好ましい。このようなカーボンブラックは、水中での分散径(アグロミレート径)が小さくなるので、微細ユニットまでの被覆が可能となり好適である。さらに樹脂被覆カーボンブラックは、粒子径40nm以下、ジブチルフタレート(DBP)吸収量140ml/100g以下であることが好ましい。粒子径が40nmより大きく、DBP吸収量が140ml/100gより大きいと、ペーストにした場合の分散性には優れるが、塗膜の濃度感が十分でない場合があり、膜厚1〜2μm程度では遮光性に乏しくなるおそれがあるからである。
樹脂で被覆されたカーボンブラックを調製する方法には特に限定されないが、例えばカーボンブラック及び樹脂の配合量を適宜調整した後、
1.樹脂とシクロヘキサノン、トルエン、キシレンなどの溶剤とを混合して加熱溶解させた樹脂溶液と、カーボンブラック及び水を混合した懸濁液とを混合撹拌し、カーボンブラックと水とを分離させた後、水を除去して加熱混練して得られた組成物をシート状に成形し、粉砕した後、乾燥させる方法
2.前記と同様にして調製した樹脂溶液と懸濁液とを混合撹拌してカーボンブラック及び樹脂を粒状化した後、得られた粒状物を分離、加熱して残存する溶剤及び水を除去する方法
3.前記例示した溶剤にマレイン酸、フマル酸などのカルボン酸を溶解させ、カーボンブラックを添加、混合して乾燥させ、溶剤を除去してカルボン酸添着カーボンブラックをえた後、これに樹脂を添加してドライブレンドする方法
4.被覆させる樹脂を構成する反応性基含有モノマー成分と水とを高速撹拌して懸濁液を調製し、重合後冷却して重合体懸濁液から反応性基含有樹脂をえた後、これにカーボンブラックを添加して混練し、カーボンブラックと反応性基とを反応させ(カーボンブラックをグラフトさせ)、冷却及び粉砕する方法
などを採用することができる。
被覆処理する樹脂の種類も特に限定されるものではないが、合成樹脂が一般的であり、さらに構造の中にベンゼン核を有した樹脂の方が両性系界面活性剤的な働きがより強いため分散性及び分散安定性の点から好ましい。
具体的な合成樹脂としては、フェノール樹脂、メラミン樹脂、キシレン樹脂、ジアリルフタレート樹脂、グリプタル樹脂、エポキシ樹脂、アルキルベンゼン樹脂等の熱硬化性樹脂や、ポリスチレン、ポリカーボネート、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、変性ポリフェニレンオキサイド、ポリスルフォン、ポリパラフェニレンテレフタルアミド、ポリアミドイミド、ポリイミド、ポリアミノビスマレイミド、ポリエーテルスルフォポリフェニレンスルフォン、ポリアリレート、ポリエーテルエーテルケトン、等の熱可塑性樹脂が使用できる。
カーボンブラックに対する樹脂の被覆量は、カーボンブラックと樹脂の合計量に対し1〜30質量%が好ましい。この樹脂の被覆量が1質量%未満では、未処理のカーボンブラックと同様の分散性や分散安定性しか得られないおそれがある。一方、30質量%を超えると、樹脂同士の粘着性が強く、団子状の固まりとなり、分散が進まなくなるおそれがある。
このようにして樹脂で被覆処理してなるカーボンブラックは、常法に従いブラックマトリックスの遮光材として用いることができ、このブラックマトリックスを構成要素とするカラーフィルタを常法により作成することができる。このようなカーボンブラックを用いると、高遮光率でかつ表面反射率が低くまた膜厚の薄いブラックマトリックスを低コストで達成できる。これは、ブラックマトリックス液を構成する樹脂や溶媒に対し、カーボンブラックの分散性や分散安定性が格段に向上したためと推測される(従来のカーボンブラックであると、いかに混練しても分散粒子径として0.1μm以下まで分散することは困難であり、分散したとしても安定性が悪く、時間とともに凝集が大きくなる。)。また、カーボンブラック表面を樹脂で被覆したことにより、CaやNaをカーボンブラック中に封じ込める働きもあることも推測される。
また、チタンブラックの市販品の例としては、三菱マテリアル社製チタンブラック10S、12S、13R、13M、13M−Cなどが挙げられる。
チタンブラックの製造方法としては、二酸化チタンと金属チタンの混合体を還元雰囲気で加熱し還元する方法(特開昭49−5432号公報)、四塩化チタンの高温加水分解で得られた超微細二酸化チタンを水素を含む還元雰囲気中で還元する方法(特開昭57−205322号公報)、二酸化チタン又は水酸化チタンをアンモニア存在下で高温還元する方法(特開昭60−65069号公報、特開昭61−201610号公報)、二酸化チタン又は水酸化チタンにバナジウム化合物を付着させ、アンモニア存在下で高温還元する方法(特開昭61−201610号公報)などがあるが、これらに限定されるものではない。
本発明の感光性(着色)組成物には単独の黒色色材、又は赤、緑、青色等の混合による黒色色材を使用することができる。これら黒色色材は、カーボンブラック、チタンブラックなどの無機又は有機の顔料、染料の中から適宜選択することができ、単独使用もしくは複数種混合して使用することができる。
なお、これらの顔料は、平均粒径が通常1μm、好ましくは0.5μm以下、更に好ましくは0.25μm以下となるよう、後述する分散剤などと一緒に分散して用いることが好ましい。
本発明の感光性(着色)組成物中の(C)色材の含有量については、前述の通りである。
[2−4](D)エチレン性不飽和化合物
本発明の感光性(着色)組成物は、好ましくは更に(D)エチレン性不飽和化合物を含有する。
本発明で使用される(D)エチレン性不飽和化合物としては、エチレン性不飽和結合を分子内に1個以上有する化合物を意味するが、重合性、架橋性、及びそれに伴う露光部と非露光部の現像液溶解性の差異を拡大できる等の点から、エチレン性不飽和結合を分子内に2個以上有する化合物であることが好ましく、また、その不飽和結合は(メタ)アクリロイルオキシ基に由来する(メタ)アクリレート化合物が更に好ましい。
更に、エチレン性不飽和結合を分子内に3個以上有する化合物を用いるのが硬化性に対して好ましい。
なお、本発明において、上述エチレン性不飽和化合物には、前述の(B)アルカリ可溶性樹脂は含まれないものとする。
エチレン性不飽和結合を分子内に1個以上有する化合物としては、例えば、(メタ)アクリル酸、クロトン酸、イソクロトン酸、マレイン酸、イタコン酸、シトラコン酸等の不飽和カルボン酸、及びそのアルキルエステル、(メタ)アクリロニトリル、(メタ)アクリルアミド、スチレン等が挙げられる。
エチレン性不飽和結合を分子内に2個以上有する化合物としては、代表的には、不飽和カルボン酸とポリヒドロキシ化合物とのエステル類、(メタ)アクリロイルオキシ基含有ホスフェート類、ヒドロキシ(メタ)アクリレート化合物とポリイソシアネート化合物とのウレタン(メタ)アクリレート類、及び、(メタ)アクリル酸又はヒドロキシ(メタ)アクリレート化合物とポリエポキシ化合物とのエポキシ(メタ)アクリレート類等が挙げられる。
不飽和カルボン酸とポリヒドロキシ化合物とのエステル類としては、具体的には以下の化合物が挙げられる。
不飽和カルボン酸と糖アルコールとの反応物;糖アルコールは具体的には、エチレングリコール、ポリエチレングリコール(付加数2〜14)、プロピレングリコール、ポリプロピレングリコール(付加数2〜14)、トリメチレングリコール、テトラメチレングリコール、ヘキサメチレングリコール、トリメチロールプロパン、グリセロール、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール等が挙げられる。
不飽和カルボン酸と糖アルコールのアルキレンオキサイド付加物との反応物;糖アルコールは上記と同じ。アルキレンオキサイド付加物とは具体的にはエチレンオキサイド付加物、又はプロピレンオキサイド付加物等が挙げられる。
不飽和カルボン酸とアルコールアミンとの反応物;アルコールアミン類とは具体的にはジエタノールアミン、トリエタノールアミン等が挙げられる。
具体的な不飽和カルボン酸とポリヒドロキシ化合物とのエステル類は以下の通りである。
エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンエチレンオキサイド付加トリ(メタ)アクリレート、グリセロールジ(メタ)アクリレート、グリセロールトリ(メタ)アクリレート、グリセロールプロピレンオキサイド付加トリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート等、及び同様のクロトネート、イソクロトネート、マレエート、イタコネート、シトラコネート等。
その他の、不飽和カルボン酸とポリヒドロキシ化合物とのエステル類としては、不飽和カルボン酸と、ヒドロキノン、レゾルシン、ピロガロール、ビスフェノールF、ビスフェノールA等の芳香族ポリヒドロキシ化合物、或いはそれらのエチレンオキサイド付加物との反応物が挙げられる。具体的には、例えば、ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAビス〔オキシエチレン(メタ)アクリレート〕、ビスフェノールAビス〔グリシジルエーテル(メタ)アクリレート〕等、また、前記の如き不飽和カルボン酸と、トリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレート等の複素環式ポリヒドロキシ化合物との反応物、例えば、トリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレートのジ(メタ)アクリレート、トリ(メタ)アクリレート等、また、不飽和カルボン酸と多価カルボン酸とポリヒドロキシ化合物との反応物、例えば、(メタ)アクリル酸とフタル酸とエチレングリコールとの縮合物、(メタ)アクリル酸とマレイン酸とジエチレングリコールとの縮合物、(メタ)アクリル酸とテレフタル酸とペンタエリスリトールとの縮合物、(メタ)アクリル酸とアジピン酸とブタンジオールとグリセリンとの縮合物等が挙げられる。
(メタ)アクリロイルオキシ基含有ホスフェート類としては、下記一般式(f1),(f2),(f3)で表されるものが好ましい。
(上記一般式(5a)、(5b)、(5c)において、R51は水素原子又はメチル基を示し、p及びp’は1〜25の整数、qは1、2又は3である。)
ここで、p及びp’は1〜10、特に1〜4であるのが好ましく、これらの具体例としては、例えば、(メタ)アクリロイルオキシエチルホスフェート、ビス〔(メタ)アクリロイルオキシエチル〕ホスフェート、(メタ)アクリロイルオキシエチレングリコールホスフェート等が挙げられる。これらは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
ヒドロキシ(メタ)アクリレート化合物とポリイソシアネート化合物とのウレタン(メタ)アクリレート類としては、例えば、ヒドロキシメチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、テトラメチロールエタントリ(メタ)アクリレート等のヒドロキシ(メタ)アクリレート化合物と、ヘキサメチレンジイソシアネート、1,8−ジイソシアネート−4−イソシアネートメチルオクタン等の脂肪族ポリイソシアネート、シクロヘキサンジイソシアネート、ジメチルシクロヘキサンジイソシアネート、4,4−メチレンビス(シクロヘキシルイソシアネート)、イソホロンジイソシアネート、ビシクロヘプタントリイソシアネート等の脂環式ポリイソシアネート、4,4−ジフェニルメタンジイソシアネート、トリス(イソシアネートフェニル)チオホスフェート等の芳香族ポリイソシアネート、イソシアヌレート等の複素環式ポリイソシアネート等のポリイソシアネート化合物との反応物等が挙げられる。
このようなものとしては例えば、新中村化学社製商品名「U−4HA」「UA−306A」「UA−MC340H」「UA−MC340H」「U6LPA」等が挙げられる。
これらの中でも、1分子中に4個以上のウレタン結合〔−NH−CO−O−〕及び4個以上の(メタ)アクリロイルオキシ基を有する化合物が好ましく、該化合物は、例えば、ペンタエリスリトール、ポリグリセリン等の1分子中に4個以上の水酸基を有する化合物に、ヘキサメチレンジイソシアネート、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート等のジイソシアネート化合物を反応させて得られた化合物、或いは、エチレングリコール等の1分子中に2個以上の水酸基を有する化合物に、旭化成工業社製「デュラネート24A−100」、同「デュラネート22A−75PX」、同「デュラネート21S−75E」、同「デュラネート18H−70B」等ビウレットタイプ、同「デュラネートP−301−75E」、同「デュラネートE−402−90T」、同「デュラネートE−405−80T」等のアダクトタイプ等の1分子中に3個以上のイソシアネート基を有する化合物を反応させて得られた化合物、或いは、イソシアネートエチル(メタ)アクリレート等を重合若しくは共重合させて得られた化合物等の、1分子中に4個以上、好ましくは6個以上のイソシアネート基を有する化合物等、例えば、旭化成工業社製「デュラネートME20−100」と、ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート等の、1分子中に1個以上の水酸基及び2個以上、好ましくは3個以上の(メタ)アクリロイルオキシ基を有する化合物とを、反応させることにより得ることができる。
(メタ)アクリル酸又はヒドロキシ(メタ)アクリレート化合物とポリエポキシ化合物とのエポキシ(メタ)アクリレート類としては、例えば、(メタ)アクリル酸、又は前記の如きヒドロキシ(メタ)アクリレート化合物と、(ポリ)エチレングリコールポリグリシジルエーテル、(ポリ)プロピレングリコールポリグリシジルエーテル、(ポリ)テトラメチレングリコールポリグリシジルエーテル、(ポリ)ペンタメチレングリコールポリグリシジルエーテル、(ポリ)ネオペンチルグリコールポリグリシジルエーテル、(ポリ)ヘキサメチレングリコールポリグリシジルエーテル、(ポリ)トリメチロールプロパンポリグリシジルエーテル、(ポリ)グリセロールポリグリシジルエーテル、(ポリ)ソルビトールポリグリシジルエーテル等の脂肪族ポリエポキシ化合物、フェノールノボラックポリエポキシ化合物、ブロム化フェノールノボラックポリエポキシ化合物、(o−,m−,p−)クレゾールノボラックポリエポキシ化合物、ビスフェノールAポリエポキシ化合物、ビスフェノールFポリエポキシ化合物等の芳香族ポリエポキシ化合物、ソルビタンポリグリシジルエーテル、トリグリシジルイソシアヌレート、トリグリシジルトリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレート等の複素環式ポリエポキシ化合物等のポリエポキシ化合物との反応物等が挙げられる。
その他のエチレン性不飽和化合物として、前記以外に、例えば、エチレンビス(メタ)アクリルアミド等の(メタ)アクリルアミド類、フタル酸ジアリル等のアリルエステル類、ジビニルフタレート等のビニル基含有化合物類、エーテル結合含有エチレン性不飽和化合物のエーテル結合を5硫化燐等により硫化してチオエーテル結合に変えることにより架橋速度を向上せしめたチオエーテル結合含有化合物類、及び、例えば、特許第3164407号公報及び特開平9−100111号公報等に記載の、多官能(メタ)アクリレート化合物と、粒子径5〜30nmのシリカゾル〔例えば、イソプロパノール分散オルガノシリカゾル(日産化学社製「IPA−ST」)、メチルエチルケトン分散オルガノシリカゾル(日産化学社製「MEK−ST」)、メチルイソブチルケトン分散オルガノシリカゾル(日産化学社製「MIBK−ST」)等〕とを、イソシアネート基或いはメルカプト基含有シランカップリング剤を用いて結合させた化合物等の、エチレン性不飽和化合物にシランカップリング剤を介してシリカゾルを反応させ結合させることにより硬化物としての強度や耐熱性を向上せしめた化合物類、等が挙げられる。
本発明において、エチレン性不飽和化合物としては、エステル(メタ)アクリレート類、又は、ウレタン(メタ)アクリレート類が好ましく、中でも、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート等、5官能以上のものが特に好ましい。
以上のエチレン性不飽和化合物は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
本発明の感光性(着色)組成物中の(D)エチレン性不飽和化合物の含有量は、全固形分に対して下限は通常1質量%以上、好ましくは5質量%以上、特に好ましくは10質量%であり、上限は、通常60質量%以下、好ましくは40質量%以下、特に好ましくは30質量%以下である。この範囲よりもエチレン性不飽和化合物の含有量が多すぎると、現像性が低下する傾向がある。一方少なすぎると着色硬化物の形状、段差の形成ないしコントロールができにくい傾向がある。
また、本発明の感光性(着色)組成物中、(D)エチレン性不飽和化合物に対する(B)アルカリ可溶性樹脂の質量比は、通常0.5以上、好ましくは1.0以上、更に好ましくは2.0以上であり、上限は通常10以下、好ましくは6以下であり、更に好ましい範囲は5以下である。この比が大きすぎると必要な段差を形成ができない場合があり、小さすぎると現像性が低下する場合がある。
[2−5](E)分散剤
本発明の感光性(着色)組成物は、(C)色材の分散性の向上、分散安定性の向上のために、分散剤を含有していてもよい。
本発明では、分散剤は特に限定されないが、窒素原子を含有する高分子分散剤を使用することが好ましい。このような窒素原子を含有する高分子分散剤は、これに含まれる窒素原子が色材表面に対して親和性を持ち、窒素原子以外の部分が媒質に対する親和性を高めることにより、全体として分散安定性の向上に寄与するものと推定される。
窒素原子を含有する高分子分散剤としては、以下の(E−1)窒素原子を含有するアクリル系ブロック共重合体、(E−2)ウレタン系分散剤が好ましい。
なお、分散剤としては、(E−1)窒素原子を含有するアクリル系ブロック共重合体の1種又は2種以上を用いてもよく、(E−2)ウレタン系分散剤の1種又は2種以上を用いてもよく、(E−1)窒素原子を含有するアクリル系ブロック共重合体の1種又は2種以上と(E−2)ウレタン系分散剤の1種又は2種以上とを併用してもよい。
(E−1)窒素原子を含有するアクリル系ブロック共重合体
分散剤の性能は、その固体表面に対する吸着挙動である。ブロック共重合体が吸着挙動に優れている理由の詳しいメカニズムは不明であるが、以下のことが推察される。
即ち、通常のランダム共重合体の場合、共重合体を構成するモノマーは、共重合時において、立体的に、及び/又は電気的に共重合体中に安定的に配置される確率が高くなる。モノマーが安定的に配置された部分(分子)は、立体的に、及び/又は電気的に安定しているため、色材に吸着するとき、かえって障害となる場合がある。これに対し、ブロック共重合体のように分子配列が制御された樹脂は、分散剤の吸着を妨げる部分を、色材と分散剤との吸着部から離れた位置に配置することができる。つまり、色材と分散剤との吸着部には吸着に最適な部分を、溶剤親和性が必要な部分にはそれに適した部分を配置することができる。特に結晶子サイズの小さい色材の分散は、この分子配置が良好な分散性に影響するものと推察される。
窒素原子を含有するアクリル系ブロック共重合体は、本発明に用いられる色材を極めて効率よく分散しうる点で好ましい。その理由は明らかではないが、分子配列が制御されていることにより、分散剤が色材に吸着する際に障害となる構造が少ないためと推察される。
アクリル系ブロック共重合体としては、側鎖に4級アンモニウム塩基及びアミノ基のうち少なくとも一方を有するAブロックと、4級アンモニウム塩基及びアミノ基を有さないBブロックからなる、A−Bブロック共重合体及びB−A−Bブロック共重合体のうち少なくとも一方が好ましい。
Aブロックが4級アンモニウム塩基を有する場合、当該4級アンモニウム塩基は、好ましくは−N+R101R102R103・M−(但し、R101、R102及びR103は、各々独立に、水素原子、又は置換されていてもよい環状若しくは鎖状の炭化水素基を表す。或いは、R101、R102及びR103のうち2つ以上が互いに結合して、環状構造を形成していてもよい。M−は、対アニオンを表す。)で表される。この4級アンモニウム塩基は、直接主鎖に結合していてもよいが、2価の連結基を介して主鎖に結合していてもよい。
−N+R101R102R103において、R101、R102及びR103のうち2つ以上が互いに結合して形成する環状構造としては、例えば5〜7員環の含窒素複素環単環又はこれらが2個縮合してなる縮合環が挙げられる。該含窒素複素環は芳香性を有さないものが好ましく、飽和環であればより好ましい。具体的には、例えば下記のものが挙げられる。これらの環状構造は、更に置換基を有していてもよい。
(上記式中、RはR101〜R103のうち何れかの基を表す。)
−N+R101R102R103におけるR101〜R103として、より好ましいのは、置換基を有していてもよい炭素数1〜3のアルキル基、置換基を有していてもよいフェニル基、又は置換基を有していてもよいベンジル基である。
また、4級アンモニウム塩基を有するAブロックとしては、特に、下記一般式(VI)で表される部分構造を含有するものが好ましい。
(上記一般式(VI)中、R101、R102、R103は各々独立に、水素原子、又は置換されていても良い環状若しくは鎖状の炭化水素基を表す。或いは、R101、R102及びR103のうち2つ以上が互いに結合して、環状構造を形成していても良い。R104は、水素原子又はメチル基を表す。Qは、2価の連結基を表し、M−は、対アニオンを表す。)
上記一般式(VI)において、R101、R102、R103の炭化水素基は、それぞれ独立して、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数6〜20の芳香族基を有する置換基が好ましい。具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、ベンジル基、フェニル基等を挙げることができる。中でもメチル基、エチル基、プロピル基、ベンジル基が好ましい。
上記一般式(VI)において、2価の連結基Qとしては、例えば、炭素数1〜10のアルキレン基、アリーレン基、−CONH−R105−、−COO−R106−(但し、R105及びR106は、直接結合、炭素数1〜10のアルキレン基、又は炭素数1〜10のエーテル基(−R107−O−R108−:R107及びR108は、各々独立にアルキレン基)を表す。)等が挙げられ、好ましくは−COO−R106−である。
また、対アニオンのM−としては、Cl−、Br−、I−、ClO4 −、BF4 −、CH3COO−、PF6 −等が挙げられる。
上記の如き特定の4級アンモニウム塩基を含有する部分構造は、1つのAブロック中に2種以上含有されていてもよい。その場合、2種以上の4級アンモニウム塩基含有部分構造は、該Aブロック中においてランダム共重合又はブロック共重合の何れの態様で含有されていてもよい。また、該4級アンモニウム塩基を含有しない部分構造が、Aブロック中に含まれていてもよく、該部分構造の例としては、後述の(メタ)アクリル酸エステル系モノマー由来の部分構造等が挙げられる。
かかる4級アンモニウム塩基を含まない部分構造の、Aブロック中の含有量は、好ましくは0〜50質量%、より好ましくは0〜20質量%であるが、かかる4級アンモニウム塩基非含有部分構造はAブロック中に含まれないことが最も好ましい。
なお、上述するアクリル系ブロック共重合体のAブロックは、4級化されていない未反応の3級アミノ基を有していてもよい。
Aブロックがアミノ基を有する場合、アミノ基は1〜3級のいずれでもよい。当該1〜3級アミノ基を有する単量体の含有割合は、当該アクリル系ブロック共重合体を構成する単量体組成において、20モル%以上であることが好適であり、より好ましくは50モル%以上である。
このアミノ基は、直接主鎖に結合していてもよいが、2価の連結基を介して主鎖に結合していてもよい。
また、上記1〜3級アミノ基としては、好ましくは−NR45R46(但し、R45及びR46は、それぞれ独立に、置換基を有していてもよい環状又は鎖状のアルキル基、置換基を有していてもよいアリール基、又は置換基を有していてもよいアラルキル基を示す。)で表され、又、これを含む部分構造(繰返し単位)として好ましいものは、例えば下記一般式(V)で表されるような構造が挙げられる。
(上記一般式(V)中、R45及びR46は、上記のR45及びR46と同義であり、R47は炭素数1以上のアルキレン基、R48は水素原子又はメチル基を示す。)
中でも、R45及びR46はメチル基が好ましく、R47はメチレン基、エチレン基が好ましく、R48は水素原子もしくはメチル基であるのが好ましい。このような部分構造としては下記一般式(Va)で表されるジメチルアミノエチルアクリレートやジメチルアミノエチルメタアクリレート由来の構造等が、特に好適に用いられる。
(上記一般式(Va)中、R48は前述と同義である。)
更に、上記アミノ基を含有する部分構造は、1つのAブロック中に2種以上含有されていてもよい。その場合、2種以上のアミノ基含有部分構造は、該Aブロック中においてランダム共重合又はブロック共重合の何れの態様で含有されていてもよい。また、アミノ基を含有しない部分構造が、Aブロック中に一部含まれていてもよく、そのような部分構造の例としては、(メタ)アクリル酸エステル系モノマー由来の部分構造等が挙げられる。かかるアミノ基を含まない部分構造の、Aブロック中の含有量は、好ましくは0〜50質量%、より好ましくは0〜20質量%であるが、かかるアミノ基非含有部分構造はAブロック中に含まれないことが最も好ましい。
Aブロック中に4級アンモニウム塩基又はアミノ基のいずれか一方を有してもよく、両方を有してもよい。極性の低い溶剤に対して、4級アンモニウム塩基の溶解性は低く、アミノ基の溶解性は高い。そのため、レジスト中に極性の低い溶媒を多く使う場合には、分散剤のレジスト溶剤への溶解性を向上させる観点から、Aブロック中に、4級アンモニウム塩基及びアミノ基を有するか、4級アンモニウム基を有さずアミノ基を有することが好ましく、4級アンモニウム基を有さずアミノ基を有することがより好ましい。
一方、アクリル系ブロック共重合体を構成するBブロックは、上述した4級アンモニウム塩基及びアミノ基を有さず、上述したAブロックを構成するモノマーと共重合しうるモノマーから成るものであれば、特に制限は無い。Bブロックは、色材に対する吸着基となる窒素原子含有官能基を有さない親溶媒性の部位であり、溶剤に親和性があるため、分散剤に吸着した色材を溶剤中に安定化させる働きがある。
Bブロックとしては、例えば、スチレン、α−メチルスチレンなどのスチレン系モノマー;(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸イソプロピル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸オクチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、グリシジル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、エチルアクリル酸グリシジル、N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレートなどの(メタ)アクリル酸エステル系モノマー;(メタ)アクリル酸クロライドなどの(メタ)アクリル酸塩系モノマー;(メタ)アクリルアミド、N−メチロールアクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、N,N−ジメチルアミノエチルアクリルアミドなどの(メタ)アクリルアミド系モノマー;酢酸ビニル;アクリロニトリル;アリルグリシジルエーテル、クロトン酸グリシジルエーテル;N−メタクリロイルモルホリン、などのコモノマーを共重合させたポリマー構造が挙げられる。
Bブロックとしては、特に下記一般式(VIII)で表される、(メタ)アクリル酸エステル系モノマー由来の部分構造を含有するものが好ましい。
(上記一般式(VIII)中、R49aは、水素原子又はメチル基を表す。R49bは、置換基を有していてもよい環状又は鎖状のアルキル基、置換基を有していてもよいアリル基、又は置換基を有していてもよいアラルキル基を表す。)
上記(メタ)アクリル酸エステル系モノマー由来の部分構造は、1つのBブロック中に2種以上含有されていてもよい。もちろん該Bブロックは、更にこれら以外の部分構造を含有していてもよい。2種以上のモノマー由来の部分構造が、4級アンモニウム塩基を含有しないBブロック中に存在する場合、各部分構造は該Bブロック中においてランダム共重合又はブロック共重合の何れの態様で含有されていてもよい。
Bブロック中に上記(メタ)アクリル酸エステル系モノマー由来の部分構造以外の部分構成を含有する場合、当該(メタ)アクリル酸エステル系モノマー以外の部分構造の、Bブロック中の含有量は、好ましくは0〜99質量%、より好ましくは0〜85質量%である。
本発明で用いる(E−1)アクリル系ブロック共重合体は、このようなAブロックとBブロックとからなる、A−Bブロック又はB−A−Bブロック共重合型高分子化合物であるが、このようなブロック共重合体は、例えばリビング重合法にて調製される。
リビング重合法にはアニオンリビング重合法、カチオンリビング重合法、ラジカルリビング重合法がある。例えば、特開2007−270147号公報に記載の方法が挙げられる。
(E−1)アクリル系ブロック共重合体のアミン価は、有効固形分換算で通常1〜300mgKOH/g程度であるが、その好ましい範囲は、Aブロックが4級アンモニウム塩基を有する場合とそうでない場合とで異なる。なお、アミン価は、共重合体1g中のアミノ基を中和するのに必要な酸のモル当量に対応したKOHのmg数で表した値である。
即ち、(E−1)アクリル系ブロック共重合体のA−Bブロック共重合体及びB−A−Bブロック共重合体において、Aブロックが4級アンモニウム塩基を有する場合、当該共重合体1g中の4級アンモニウム塩基の量は、通常0.1〜10mmolであることが好ましく、この範囲外では、良好な耐熱性と分散性を兼備することができない場合がある。
なお、このようなブロック共重合体中には、通常、製造過程で生じたアミノ基が含有される場合があるが、そのアミン価は通常1〜100mgKOH/g程度、好ましくは1〜80mgKOH/g、より好ましくは1〜50mgKOH/gである。
また、Aブロックに4級アンモニウム塩基を含まない場合、当該共重合体のアミン価は、通常50〜300mgKOH/g程度、好ましくは50〜200mgKOH/g、より好ましくは80mgKOH/g以上150mgKOH/g以下、更に好ましくは90〜150mgKOH/gである。
このような(E−1)アクリル系ブロック共重合体の酸価は、該酸価の元となる酸性基の有無及び種類にもよるが、一般に低い方が好ましく、通常100mgKOH/g以下であり、好ましくは50mgKOH/g以下、より好ましくは40mgKOH/g以下である。
また、(E−1)アクリル系ブロック共重合体の分子量は、GPCで測定したポリスチレン換算の重量平均分子量(Mw)で、通常1,000以上、100,000以下の範囲である。アクリル系ブロック共重合体の分子量が小さすぎると分散安定性が低下し、大きすぎると現像性、解像性が低下する傾向にある。
(E−1)アクリル系ブロック共重合体としては、上述のものと同様の構造を有する市販のアクリル系ブロック共重合体を適用することもできる。
(E−2)ウレタン系高分子分散剤
ウレタン系高分子分散剤として好ましい化学構造を具体的に例示するならば、例えば、ポリイソシアネート化合物と、分子内に水酸基を1個又は2個有する数平均分子量300〜10,000の化合物と、同一分子内に活性水素と3級アミノ基を有する化合物とを反応させることによって得られる、重量平均分子量1,000〜200,000の分散樹脂等が挙げられる。
上記のポリイソシアネート化合物の例としては、パラフェニレンジイソシアネート、2,4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート、4,4′−ジフェニルメタンジイソシアネート、ナフタレン−1,5−ジイソシアネート、トリジンジイソシアネート等の芳香族ジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、リジンメチルエステルジイソシアネート、2,4,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、ダイマー酸ジイソシアネート等の脂肪族ジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、4,4′−メチレンビス(シクロヘキシルイソシアネート)、ω,ω′−ジイソシネートジメチルシクロヘキサン等の脂環族ジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、α,α,α′,α′−テトラメチルキシリレンジイソシアネート等の芳香環を有する脂肪族ジイソシアネート、リジンエステルトリイソシアネート、1,6,11−ウンデカントリイソシアネート、1,8−ジイソシアネート−4−イソシアネートメチルオクタン、1,3,6−ヘキサメチレントリイソシアネート、ビシクロヘプタントリイソシアネート、トリス(イソシアネートフェニルメタン)、トリス(イソシアネートフェニル)チオホスフェート等のトリイソシアネート、及びこれらの3量体、水付加物、及びこれらのポリオール付加物等が挙げられる。ポリイソシアネートとして好ましいのは有機ジイソシアネートの三量体で、最も好ましいのはトリレンジイソシアネートの三量体とイソホロンジイソシアネートの三量体である。これらは1種を単独で用いても良く、2種以上を併用しても良い。
イソシアネートの三量体の製造方法としては、前記ポリイソシアネート類を適当な三量化触媒、例えば第3級アミン類、ホスフィン類、アルコキシド類、金属酸化物、カルボン酸塩類等を用いてイソシアネート基の部分的な三量化を行い、触媒毒の添加により三量化を停止させた後、未反応のポリイソシアネートを溶剤抽出、薄膜蒸留により除去して目的のイソシアヌレート基含有ポリイソシアネートを得る方法が挙げられる。
同一分子内に水酸基を1個又は2個有する数平均分子量300〜10,000の化合物としては、ポリエーテルグリコール、ポリエステルグリコール、ポリカーボネートグリコール、ポリオレフィングリコール等、及びこれらの化合物の片末端水酸基が炭素数1〜25のアルキル基でアルコキシ化されたもの及びこれら2種類以上の混合物が挙げられる。
ポリエーテルグリコールとしては、ポリエーテルジオール、ポリエーテルエステルジオール、及びこれら2種類以上の混合物が挙げられる。ポリエーテルジオールとしては、アルキレンオキシドを単独又は共重合させて得られるもの、例えばポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリエチレン−プロピレングリコール、ポリオキシテトラメチレングリコール、ポリオキシヘキサメチレングリコール、ポリオキシオクタメチレングリコール及びそれらの2種以上の混合物が挙げられる。
ポリエーテルエステルジオールとしては、エーテル基含有ジオールもしくは他のグリコールとの混合物をジカルボン酸又はそれらの無水物と反応させるか、又はポリエステルグリコールにアルキレンオキシドを反応させることによって得られるもの、例えばポリ(ポリオキシテトラメチレン)アジペート等が挙げられる。ポリエーテルグリコールとして最も好ましいのはポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリオキシテトラメチレングリコール又はこれらの化合物の片末端水酸基が炭素数1〜25のアルキル基でアルコキシ化された化合物である。
ポリエステルグリコールとしては、ジカルボン酸(コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、セバシン酸、フマル酸、マレイン酸、フタル酸等)又はそれらの無水物とグリコール(エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、2,3−ブタンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、ネオペンチルグリコール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、2−メチル−2−プロピル−1,3−プロパンジオール、2−ブチル−2−エチル−1,3−プロパンジーオル、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、2−メチル−2,4−ペンタンジオール、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオール、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール、2,5−ジメチル−2,5−ヘキサンジオール、1,8−オクタメチレングリコール、2−メチル−1,8−オクタメチレングリコール、1,9−ノナンジオール等の脂肪族グリコール、ビスヒドロキシメチルシクロヘキサン等の脂環族グリコール、キシリレングリコール、ビスヒドロキシエトキシベンゼン等の芳香族グリコール、N−メチルジエタノールアミン等のN−アルキルジアルカノールアミン等)とを重縮合させて得られたもの、例えばポリエチレンアジペート、ポリブチレンアジペート、ポリヘキサメチレンアジペート、ポリエチレン/プロピレンアジペート等、又は前記ジオール類又は炭素数1〜25の1価アルコールを開始剤として用いて得られるポリラクトンジオール又はポリラクトンモノオール、例えばポリカプロラクトングリコール、ポリメチルバレロラクトン及びこれらの2種以上の混合物が挙げられる。ポリエステルグリコールとして最も好ましいのはポリカプロラクトングリコール又は炭素数1〜25のアルコールを開始剤としたポリカプロラクトンである。
ポリカーボネートグリコールとしては、ポリ(1,6−ヘキシレン)カーボネート、ポリ(3−メチル−1,5−ペンチレン)カーボネート等、ポリオレフィングリコールとしてはポリブタジエングリコール、水素添加型ポリブタジエングリコール、水素添加型ポリイソプレングリコール等が挙げられる。
これらは1種を単独で用いても良く、2種以上を併用しても良い。
同一分子内に水酸基を1個又は2個有する化合物の数平均分子量は、通常300〜10,000、好ましくは500〜6,000、更に好ましくは1,000〜4,000である。
次に、同一分子内に活性水素と3級アミノ基を有する化合物を説明する。
活性水素、即ち、酸素原子、窒素原子又はイオウ原子に直接結合している水素原子としては、水酸基、アミノ基、チオール基等の官能基中の水素原子が挙げられ、中でもアミノ基、特に1級のアミノ基の水素原子が好ましい。
3級アミノ基は、特に限定されないが、例えば炭素数1〜4のアルキル基を有するアミノ基、又はヘテロ環構造、より具体的にはイミダゾール環又はトリアゾール環、などが挙げられる。
このような同一分子内に活性水素と3級アミノ基を有する化合物を例示するならば、N,N−ジメチル−1,3−プロパンジアミン、N,N−ジエチル−1,3−プロパンジアミン、N,N−ジプロピル−1,3−プロパンジアミン、N,N−ジブチル−1,3−プロパンジアミン、N,N−ジメチルエチレンジアミン、N,N−ジエチルエチレンジアミン、N,N−ジプロピルエチレンジアミン、N,N−ジブチルエチレンジアミン、N,N−ジメチル−1,4−ブタンジアミン、N,N−ジエチル−1,4−ブタンジアミン、N,N−ジプロピル−1,4−ブタンジアミン、N,N−ジブチル−1,4−ブタンジアミン等が挙げられる。
また、3級アミノ基が含窒素ヘテロ環構造である場合の該含窒素ヘテロ環としては、ピラゾール環、イミダゾール環、トリアゾール環、テトラゾール環、インドール環、カルバゾール環、インダゾール環、ベンズイミダゾール環、ベンゾトリアゾール環、ベンゾオキサゾール環、ベンゾチアゾール環、ベンゾチアジアゾール環等の含窒素ヘテロ5員環、ピリジン環、ピリダジン環、ピリミジン環、トリアジン環、キノリン環、アクリジン環、イソキノリン環等の含窒素ヘテロ6員環が挙げられる。これらの含窒素ヘテロ環のうち好ましいものはイミダゾール環又はトリアゾール環である。
これらのイミダゾール環とアミノ基を有する化合物を具体的に例示するならば、1−(3−アミノプロピル)イミダゾール、ヒスチジン、2−アミノイミダゾール、1−(2−アミノエチル)イミダゾール等が挙げられる。また、トリアゾール環とアミノ基を有する化合物を具体的に例示するならば、3−アミノ−1,2,4−トリアゾール、5−(2−アミノ−5−クロロフェニル)−3−フェニル−1H−1,2,4−トリアゾール、4−アミノ−4H−1,2,4−トリアゾール−3,5−ジオール、3−アミノ−5−フェニル−1H−1,3,4−トリアゾール、5−アミノ−1,4−ジフェニル−1,2,3−トリアゾール、3−アミノ−1−ベンジル−1H−2,4−トリアゾール等が挙げられる。中でも、N,N−ジメチル−1,3−プロパンジアミン、N,N−ジエチル−1,3−プロパンジアミン、1−(3−アミノプロピル)イミダゾール、3−アミノ−1,2,4−トリアゾールが好ましい。
これらは1種を単独で用いても良く、2種以上を併用しても良い。
ウレタン系高分子分散剤を製造する際の原料の好ましい配合比率はポリイソシアネート化合物100質量部に対し、同一分子内に水酸基を1個又は2個有する数平均分子量300〜10,000の化合物が通常10〜200質量部、好ましくは20〜190質量部、更に好ましくは30〜180質量部、同一分子内に活性水素と3級アミノ基を有する化合物が通常0.2〜25質量部、好ましくは0.3〜24質量部である。
ウレタン系高分子分散剤の製造はポリウレタン樹脂製造の公知の方法に従って行われる。製造する際の溶剤としては、通常、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロペンタノン、シクロヘキサノン、イソホロン等のケトン類、酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸セロソルブ等のエステル類、ベンゼン、トルエン、キシレン、ヘキサン等の炭化水素類、ダイアセトンアルコール、イソプロパノール、第二ブタノール、第三ブタノール等のアルコール類、塩化メチレン、クロロホルム等の塩化物、テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル等のエーテル類、ジメチルホルムアミド、N−メチルピロリドン、ジメチルスルホキサイド等の非プロトン性極性溶媒等が用いられる。これらは1種を単独で用いても良く、2種以上を併用しても良い。
上記製造に際して、通常、ウレタン化反応触媒が用いられる。この触媒としては、例えば、ジブチルチンジラウレート、ジオクチルチンジラウレート、ジブチルチンジオクトエート、スタナスオクトエート等の錫系、鉄アセチルアセトナート、塩化第二鉄等の鉄系、トリエチルアミン、トリエチレンジアミン等の3級アミン系等の1種又は2種以上が挙げられる。
(E−2)ウレタン系高分子分散剤の同一分子内に活性水素と3級アミノ基を有する化合物の導入量は、反応後のアミン価で1〜100mgKOH/gの範囲、好ましくは5〜95mgKOH/gの範囲に制御するのが好ましい。アミン価は、塩基性アミノ基を酸により中和滴定し、酸価に対応させてKOHのmg数で表した値である。アミン価が上記範囲より低いと分散能力が低下する傾向があり、また、上記範囲を超えると現像性が低下しやすくなる。
なお、以上の反応で得られたウレタン系高分子分散剤にイソシアネート基が残存する場合には更に、アルコールやアミノ化合物でイソシアネート基を潰すと生成物の経時安定性が高くなるので好ましい。
(E−2)ウレタン系高分子分散剤の重量平均分子量(Mw)は通常1,000〜200,000、好ましくは2,000〜100,000、より好ましくは3,000〜50,000の範囲である。この分子量が1,000未満では分散性及び分散安定性が劣り、200,000を超えると溶解性が低下し分散性が劣ると同時に反応の制御が困難となる。
前述の分散剤の具体例としては、(E−1)アクリル系ブロック共重合体としては、BYK−2000、−2001、−6919、−21116(ビックケミー社製)が、(E−2)ウレタン系高分子分散剤としては、EFKA−4046、−4047(BASF社製)、BYK−161、−162、−163、−164、−165、−166、−167、−182(ビックケミー社製)が挙げられる。
また、上記以外の窒素原子を含有する分散剤としては、ポリエチレンイミン系分散剤等が挙げられる。
また、窒素原子を含有しない分散剤としては、ポリアリルアミン系分散剤、アミノ基を持つモノマーとマクロモノマーからなる分散剤、ポリオキシエチレンアルキルエーテル系分散剤、ポリオキシエチレンジエステル系分散剤、ポリエーテルリン酸系分散剤、ポリエステルリン酸系分散剤、ソルビタン脂肪族エステル系分散剤、脂肪族変性ポリエステル系分散剤等を挙げることができる。これらは、窒素原子を含有する分散剤との併用も可能である。
本発明の感光性(着色)組成物中の(E)分散剤の含有量は、(C)色材に対して通常5質量%以上90質量%以下であり、好ましくは5質量%以上60質量%以下、更に好ましくは5質量%以上40質量%以下である。分散剤の含有量が少な過ぎると、十分な分散性が得られない場合があり、多過ぎると相対的に他の成分の割合が減って十分な現像性や、着色硬化物の形状、段差の形成ができない場合がある。
本発明の感光性(着色)組成物は、色材の分散安定性の向上のために上記分散剤とともに分散助剤を併用する事が好ましい。ここで分散助剤とは色材の分散性を高めるための顔料誘導体等をいう。
顔料誘導体としてはアゾ系、フタロシアニン系、キナクリドン系、ベンズイミダゾロン系、キノフタロン系、イソインドリノン系、ジオキサジン系、アントラキノン系、インダンスレン系、ペリレン系、ペリノン系、ジケトピロロピロール系、ジオキサジン系等の誘導体が挙げられるが、中でもキノフタロン系が好ましい。
顔料誘導体の置換基としてはスルホン酸基、スルホンアミド基及びその4級塩、フタルイミドメチル基、ジアルキルアミノアルキル基、水酸基、カルボキシル基、アミド基等が顔料骨格に直接又はアルキル基、アリール基、複素環基等を介して結合したものが挙げられ、好ましくはスルホン酸基である。またこれら置換基は一つの顔料骨格に複数置換していてもよい。
顔料誘導体の具体例としてはフタロシアニンのスルホン酸誘導体、キノフタロンのスルホン酸誘導体、アントラキノンのスルホン酸誘導体、キナクリドンのスルホン酸誘導体、ジケトピロロピロールのスルホン酸誘導体、ジオキサジンのスルホン酸誘導体等が挙げられる。
これらの顔料誘導体は1種を単独で或いは2種以上を組み合わせて用いることができる。
顔料誘導体を用いる場合、その使用量は(C)色材に対して通常0.1〜30質量%、好ましくは0.1〜20質量%、より好ましくは0.1〜10質量%、さらに好ましくは0.1〜5質量%である。
[2−6](F)有機溶剤
以上に示した本発明の感光性(着色)組成物に含まれる各成分は、通常、(F)有機溶剤に溶解又は分散させ、感光性(着色)組成物として用いられる。
(F)有機溶剤としては、沸点が100〜300℃の範囲のものを選択するのが好ましい。より好ましくは120〜280℃の沸点をもつ溶剤である。
このような有機溶剤としては、例えば、次のようなものが挙げられる。
エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノプロピルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、プロピレングリコール−t−ブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、メトキシメチルペンタノール、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、3−メトキシブタノール、3−メチル−3−メトキシブタノール、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル、トリプロピレングリコールメチルエーテルのようなグリコールモノアルキルエーテル類;
エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジプロピルエーテル、ジエチレングリコールジブチルエーテル、ジプロピレングリコールジメチルエーテルのようなグリコールジアルキルエーテル類;
エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノ−n−ブチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノプロピルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノブチルエーテルアセテート、メトキシブチルアセテート、3−メトキシブチルアセテート、メトキシペンチルアセテート、ジエチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノ−n−ブチルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、トリエチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、トリエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、3−メチル−3−メトキシブチルアセテートのようなグリコールアルキルエーテルアセテート類;
エチレングリコールジアセテート、プロピレングリコールジアセテート、1,3−ブチレングリコールジアセテート、1,6−ヘキサノールジアセテートなどのグリコールジアセテート類;
シクロヘキサノールアセテートなどのアルキルアセテート類;
アミルエーテル、ジエチルエーテル、ジプロピルエーテル、ジイソプロピルエーテル、ジブチルエーテル、ジアミルエーテル、エチルイソブチルエーテル、ジヘキシルエーテルのようなエーテル類;
アセトン、メチルエチルケトン、メチルアミルケトン、メチルイソプロピルケトン、メチルイソアミルケトン、ジイソプロピルケトン、ジイソブチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、エチルアミルケトン、メチルブチルケトン、メチルヘキシルケトン、メチルノニルケトン、メトキシメチルペンタノンのようなケトン類;
エタノール、プロパノール、ブタノール、ヘキサノール、シクロヘキサノール、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリエチレングリコール、メトキシメチルペンタノール、グリセリン、ベンジルアルコールのような1価又は多価アルコール類;
n−ペンタン、n−オクタン、ジイソブチレン、n−ヘキサン、ヘキセン、イソプレン、ジペンテン、ドデカンのような脂肪族炭化水素類;
シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、メチルシクロヘキセン、ビシクロヘキシルのような脂環式炭化水素類;
ベンゼン、トルエン、キシレン、クメンのような芳香族炭化水素類;
アミルホルメート、エチルホルメート、酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸プロピル、酢酸アミル、メチルイソブチレート、エチレングリコールアセテート、エチルプロピオネート、プロピルプロピオネート、酪酸ブチル、酪酸イソブチル、イソ酪酸メチル、エチルカプリレート、ブチルステアレート、エチルベンゾエート、3−エトキシプロピオン酸メチル、3−エトキシプロピオン酸エチル、3−メトキシプロピオン酸メチル、3−メトキシプロピオン酸エチル、3−メトキシプロピオン酸プロピル、3−メトキシプロピオン酸ブチル、γ−ブチロラクトンのような鎖状又は環状エステル類;
3−メトキシプロピオン酸、3−エトキシプロピオン酸のようなアルコキシカルボン酸類;
ブチルクロライド、アミルクロライドのようなハロゲン化炭化水素類;
メトキシメチルペンタノンのようなエーテルケトン類;
アセトニトリル、ベンゾニトリルのようなニトリル類等:
上記に該当する市販の溶剤としては、ミネラルスピリット、バルソル#2、アプコ#18ソルベント、アプコシンナー、ソーカルソルベントNo.1及びNo.2、ソルベッソ#150、シェルTS28 ソルベント、カルビトール、エチルカルビトール、ブチルカルビトール、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、エチルセロソルブアセテート、メチルセロソルブアセテート、ジグライム(いずれも商品名)などが挙げられる。
これらの有機溶剤は、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
本発明により、フォトリソグラフィー法にてカラーフィルタの画素、ブラックマトリックス、着色スペーサとしての着色硬化物を形成する場合、有機溶剤としては沸点が100〜240℃(圧力1013.25[hPa]条件下。以下、沸点に関しては全て同様。)の範囲のものを選択するのが好ましい。より好ましくは120〜170℃の沸点を持つものである。
上記有機溶剤のうち、塗布性、表面張力などのバランスが良く、組成物中の構成成分の溶解度が比較的高い点からは、グリコールアルキルエーテルアセテート類が好ましい。
また、グリコールアルキルエーテルアセテート類は、単独で使用してもよいが、他の有機溶剤を併用してもよい。併用する有機溶剤として、特に好ましいのはグリコールモノアルキルエーテル類である。なお、グリコールモノアルキルエーテル類は極性が高く、添加量が多すぎると顔料が凝集しやすく、後に得られる着色樹脂組成物の粘度が上がっていくなどの保存安定性が低下する傾向があるので、溶剤中のグリコールモノアルキルエーテル類の割合は1〜50質量%が好ましく、5〜40質量%がより好ましい。
また、150℃以上の沸点をもつ有機溶剤(以下「高沸点溶剤」と称す場合がある)を併用することも好ましい。このような沸点の溶剤を併用することにより、本発明の感光性(着色)組成物は乾きにくくなるが、組成物中における色材の均一な分散状態が、急激な乾燥により破壊されることを防止する効果がある。すなわち、例えばスリットノズル先端における、色材などの析出・固化による異物欠陥の発生を防止する効果がある。
さらには180℃以上の沸点をもつ有機溶剤を併用することも好ましい。このような高沸点溶剤を併用することにより、塗布後の減圧乾燥時に発生する可能性のある異物を抑制する効果がある。
なお、高沸点溶剤の好ましい例としては、ジエチレングリコールモノ−n−ブチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールメチルエーテルアセテート、1,3−ブチレングリコールジアセテート、1,6−ヘキサノールジアセテート、トリアセチン、ジエチレングリコールモノ−n−ブチルエーテルなどが挙げられる。これらのうち、上述の効果が高い点から、特にジエチレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、ジエチレングリコールモノ−n−ブチルエーテルアセテート、及びジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテートが好ましい。
有機溶剤中の高沸点溶剤の含有割合は、1〜50質量%が好ましく、3〜40質量%がより好ましく、5〜30質量%が特に好ましい。
また、さらに、本発明の感光性(着色)組成物や後述のインクの粘度調整や固形分の溶解度調整のためには、沸点が180℃より低い有機溶剤を一部含有することも効果的である。このような有機溶剤としては、低粘度で溶解性が高く、低表面張力であるものが好ましく、エーテル類、エステル類やケトン類などが好ましい。中でも特に、シクロヘキサノン、ジプロピレングリコールジメチルエーテル、シクロヘキサノールアセテートなどが特に好ましい。
本発明の感光性(着色)組成物において、(F)有機溶剤の含有量は、特に制限はないが、製膜時の塗布のし易さや膜厚制御の観点から通常90質量%以下で、通常60質量%以上、特に70質量%以上であることが好ましい。即ち、本発明の感光性(着色)組成物においては、全固形分濃度が通常10質量%以上、通常40質量%以下、特に30質量%以下となるように調製されることが好ましい。
[2−7]その他の成分
本発明の感光性(着色)組成物には、上記の成分の他に、さらに光酸発生剤、シリカ・樹脂等の微粒子、重合加速剤、増感色素、チオール系添加剤、界面活性剤、架橋剤、密着性向上剤、可塑剤、保存安定剤、表面保護剤、有機カルボン酸、有機カルボン酸無水物、現像改良剤、熱重合防止剤等を含んでいてもよい。
[2−7−1]光酸発生剤
光酸発生剤とは、紫外線により酸を発生することができる化合物であり、露光を行った際に発生する酸の作用により、例えばメラミン化合物等の架橋剤があることで架橋反応を進行させることとなる。係る光酸発生剤の中でも、溶剤に対する溶解性、特に本発明の感光性(着色)組成物に使用される有機溶剤に対する溶解性が大きいものが好ましく、例えば、ジフェニルヨードニウム、ジトリルヨードニウム、フェニル(p−アニシル)ヨードニウム、ビス(m−ニトロフェニル)ヨードニウム、ビス(p−tert−ブチルフェニル)ヨードニウム、ビス(p−クロロフェニル)ヨードニウム、ビス(n−ドデシル)ヨードニウム、p−イソブチルフェニル(p−トリル)ヨードニウム、p−イソプロピルフェニル(p−トリル)ヨードニウムなどのジアリールヨードニウム、あるいはトリフェニルスルホニウムなどのトリアリールスルホニウムのクロリド、ブロミド、あるいはホウフッ化塩、ヘキサフルオロフォスフェート塩、ヘキサフルオロアルセネート塩、芳香族スルホン酸塩、テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート塩等や、ジフェニルフェナシルスルホニウム(n−ブチル)トリフェニルボレート等のスルホニウム有機ホウ素錯体類、あるいは、2−メチル−4,6−ビストリクロロメチルトリアジン、2−(4−メトキシフェニル)−4,6−ビストリクロロメチルトリアジンなどのトリアジン化合物等を挙げることができるがこの限りではない。
[2−7−2]架橋剤
本発明の感光性(着色)組成物には、さらに架橋剤を加えることができ、その架橋剤としては、例えばメラミン又はグアナミン系の化合物を用いることができる。これら架橋剤としては、例えば、下記一般式(XI)で示されるメラミン又はグアナミン系の化合物を挙げることができる。
(上記一般式(XI)中、R95は−NR95aR95b基又はアリールを表し、R95が−NR95aR95b基の場合はR96、R97、R98、R99、R95a及びR95bの一つ、そしてR95がアリールの場合はR96、R97、R98及びR99の一つが−CH2OR100基を表し、R96、R97、R98、R99、R95a及びR95bの残りは互いに独立に、水素原子又は−CH2OR100基を表し、ここでR100は水素原子又はアルキルを表す。)
ここで、アリールは典型的にはフェニル、1−ナフチル又は2−ナフチルであり、これらのフェニルやナフチルには、アルキル、アルコキシ、ハロゲンなどの置換基が結合していてもよい。アルキル及びアルコキシは、それぞれ炭素数1〜6程度であることができる。R100で表されるアルキルは、上記のなかでも、メチル又はエチル、とりわけメチルであるのが一般的である。
一般式(XI)に相当するメラミン系化合物、すなわち下記一般式(XI−1)の化合物には、ヘキサメチロールメラミン、ペンタメチロールメラミン、テトラメチロールメラミン、ヘキサメトキシメチルメラミン、ペンタメトキシメチルメラミン、テトラメトキシメチルメラミン、ヘキサエトキシメチルメラミンなどが包含される。
(上記一般式(XI−1)中、R96、R97、R98、R99、R95a及びR95bの一つがアリールの場合はR96、R97、R98及びR99の一つが−CH2OR100基を表し、R96、R97、R98、R99、R95a及びR95bの残りは互いに独立に、水素原子又は−CH2OR100基を表し、ここにR100は水素原子又はアルキルを表す。)
また、一般式(XI)に相当するグアナミン系化合物、すなわち一般式(XI)中のR95
がアリールである化合物には、テトラメチロールベンゾグアナミン、テトラメトキシメチルベンゾグアナミン、トリメトキシメチルベンゾグアナミン、テトラエトキシメチルベンゾグアナミンなどが包含される。
さらに、メチロール基又はメチロールアルキルエーテル基を有する架橋剤を用いることもできる。以下にその例を挙げる。
2,6−ビス(ヒドロキシメチル)−4−メチルフェノール、4−tert−ブチル−2,6−ビス(ヒドロキシメチル)フェノール、5−エチル−1,3−ビス(ヒドロキシメチル)ペルヒドロ−1,3,5−トリアジン−2−オン(通称N−エチルジメチロールトリアゾン)又はそのジメチルエーテル体、ジメチロールトリメチレン尿素又はそのジメチルエーテル体、3,5−ビス(ヒドロキシメチル)ペルヒドロ−1,3,5−オキサジアジン−4−オン(通称ジメチロールウロン)又はそのジメチルエーテル体、テトラメチロールグリオキザールジウレイン又はそのテトラメチルエーテル体。
なお、これら架橋剤は1種を単独で用いても、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
架橋剤を用いる場合、本発明の感光性(着色)組成物中の架橋剤の含有量は全固形分に対して0.1〜15質量%が好ましく、特に好ましくは0.5〜10質量%である。
[2−7−3]密着向上剤
本発明の感光性(着色)組成物には、パターンを充分密着させるために、密着向上剤を含有させてもよい。
密着向上剤としては、窒素原子を含有する化合物や燐酸基含有化合物、シランカップリング剤などが好ましく、窒素原子を含有する化合物としては、例えば、ジアミン類(特開平11−184080記載の密着増強剤、他)やアゾール類が好ましい。なかでもアゾール類が好ましく、特にイミダゾール類(特開平9−236923記載の密着向上剤、他)、ベンゾイミダゾール類、ベンゾトリアゾール類(特開2000−171968記載の密着向上剤、他)が好ましく、イミダゾール類とベンゾイミダゾール類が最も好ましい。これらのなかで、カブリが生じにくく、密着性を大きく向上させることができる点から2−ヒドロキシベンゾイミダゾール、2−ヒドロキシエチルベンゾイミダゾール、ベンゾイミダゾール、2−ヒドロキシイミダゾール、イミダゾール、2−メルカプトイミダゾール、2−アミノイミダゾールが好ましく、2−ヒドロキシベンゾイミダゾール、ベンゾイミダゾール、2−ヒドロキシイミダゾール、イミダゾールが特に好ましい。シランカップリング剤の種類としては、エポキシ系、メタクリル系、アミノ系等種々のものが使用できるが、特にエポキシ系のシランカップリング剤が好ましい。
また、パターンの密着性、特に微小パターンの密着を良好にするとの観点からは、特開2013−080206号公報、特開2013−080207号公報、特開2013−083934号公報、特開2013−091773号公報、特開2013−148857号公報、特開2013−228662号公報、特開2013−231935号公報に記載の密着向上剤を用いることもできる。
これらの密着向上剤は1種を単独で或いは2種以上を組み合わせて用いることができる。
これらの密着向上剤を配合する場合、その配合割合は、用いる密着向上剤の種類によっても異なるが、本発明の感光性(着色)組成物の全固形分に対して0.01〜5質量%、特に0.05〜3質量%とすることが好ましい。これよりも少ないと十分な密着性の向上効果が得られない場合があり、多すぎると現像性を下げる場合がある。
[2−7−4]シリカ・樹脂等の微粒子
本発明の感光性(着色)組成物には、シリカ・樹脂等の微粒子を含有させてもよい。
即ち、本発明の感光性着色組成物(1)が微粒子を含有することで、硬化層(X)の前駆体の上に感光性組成物(2)を塗布する際に、硬化層(X)の前駆体の溶解を抑止する効果が奏される。また、本発明の感光性組成物(2)が微粒子を含有することで、現像後の熱硬化処理時の形状変化を抑制することができる。
シリカ微粒子としては、乾式シリカ、コロイダルシリカなどが使用できる。これらは(F)有機溶剤中にて分散体を作成して、他の成分と混合して感光性(着色)組成物の調製に用いることができる。もしくは(C)色材とシリカ微粒子とを混合して分散体を作成して添加してもよい。
シリカ微粒子の粒子径としては、好ましくは5〜100nmであり、さらに好ましくは10〜20nmである。シリカ微粒子の粒子径が小さすぎると分散安定性を保持できなくなり、また大きすぎると、形成される硬化物の平面均一性に支障をきたす場合がある。
本発明に使用できるシリカ微粒子の一例として、乾式シリカとしては、日本アエロジル社製のアエロジルシリーズが、コロイダルシリカとしては、日産化学社製のスノーテックスシリーズ、オルガノシリカゾルシリーズなどが挙げられる。
樹脂粒子としては、アクリル樹脂微粒子が挙げられるがこの限りではない。本発明の感光性(着色)組成物の調製に当たり、樹脂微粒子は(F)有機溶剤中に分散させたものを用いてもよいし、(C)色材と混合して共分散させてもよい。樹脂微粒子の粒子径は、シリカ微粒子と同様の理由から、20〜500nmであることが好ましく、30〜300nmであることがより好ましい。
これらの微粒子は1種類を単独で用いても、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
これらの微粒子を用いる場合、その含有量は、本発明の感光性(着色)組成物の全固形分に対して、下限は1質量%以上、好ましくは5質量%以上、上限は40質量%以下、好ましくは30質量%以下である。微粒子の含有量が少ないと溶解抑止や熱処理時の硬化性に十分な効果が得られない場合があり、多すぎると現像性を下げる場合がある。
[2−7−5]増感色素
増感色素としては、例えば特開平4−221958号、特開平4−219756号公報に記載のキサンテン色素、特開平3−239703号公報、特開平5−289335号公報に記載の複素環を有するクマリン色素、特開平3−239703号公報、特開平5−289335号公報に記載の3−ケトクマリン化合物、特開平6−19240号公報に記載のピロメテン色素、その他、特開昭47−2528号公報、特開昭54−155292号公報、特公昭45−37377号公報、特開昭48−84183号公報、特開昭52−112681号公報、特開昭58−15503号公報、特開昭60−88005号公報、特開昭59−56403号公報、特開平2−69号公報、特開昭57−168088号公報、特開平5−107761号公報、特開平5−210240号公報、特開平4−288818号公報に記載のジアルキルアミノベンゼン骨格を有する色素等を挙げることができる。
これらは1種を単独で或いは2種以上を組み合わせて用いることができる。
増感色素を配合する場合、本発明の感光性(着色)組成物中の全固形分中における増感色素の含有率は、通常0.01〜5質量%、好ましくは0.05〜3質量%である。これより少ないと増感効果が出ない場合があり、多すぎると現像性を下げる場合がある。
[2−7−6]チオール系添加剤
本発明において、高感度化、支持体への密着性の向上のため、本発明の感光性(着色)組成物中にチオール類を添加することも可能である。
チオール類の種類としては、ヘキサンジチオール、デカンジチオール、1,4−ジメチルメルカプトベンゼン、ブタンジオールビスチオプロピオネート、ブタンジオールビスチオグリコレート、エチレングリコールビスチオグリコレート、トリメチロールプロパントリスチオグリコレート、ブタンジオールビスチオプロピオネート、トリメチロールプロパントリスチオプロピオネート、トリメチロールプロパントリスチオグリコレート、ペンタエリスリトールテトラキスチオプロピオネート、ペンタエリスリトールテトラキスチオグリコレート、トリスヒドロキシエチルトリスチオプロピオネート、エチレングリコールビス(3−メルカプトブチレート)、ブタンジオールビス(3−メルカプトブチレート)、トリメチロールプロパントリス(3−メルカプトブチレート)、ペンタエリスリトールテトラキス(3−メルカプトブチレート)、ペンタエリスリトールトリス(3−メルカプトブチレート)、エチレングリコールビス(3−メルカプトイソブチレート)、ブタンジオールビス(3−メルカプトイソブチレート)、トリメチロールプロパントリス(3−メルカプトイソブチレート)、1,3,5−トリス(3−メルカプトブチルオキシエチル)−1,3,5−トリアジン−2,4,6(1H,3H,5H)−トリオン等が挙げられ、これらは種々のものを1種を単独で、或いは2種以上を混合して使用できる。
[2−7−7]界面活性剤
界面活性剤としてはアニオン系、カチオン系、非イオン系、両性界面活性剤等各種のものの1種又は2種以上を用いることができるが、諸特性に悪影響を及ぼす可能性が低い点で、非イオン系界面活性剤を用いるのが好ましい。また、フッ素系やシリコン系のものは、塗布性の面で効果的である。
このような界面活性剤としては、例えば、TSF4460(ジーイー東芝シリコーン社製)、DFX−18(ネオス社製)、BYK−300、BYK−325、BYK−330(ビックケミー社製)、KP340(信越シリコーン社製)、F−470、F−475、F−478、F−559(大日本インキ化学工業社製)、SH7PA(トーレシリコーン社製)、DS−401(ダイキン社製)、L−77(日本ユニカー社製)、FC4430(住友3M社製)等が挙げられる。
これらの界面活性剤は、1種を用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用しても良い。
界面活性剤を配合する場合、その割合としては、本発明の感光性(着色)組成物中の全固形分に対して通常0.001〜10質量%、好ましくは0.005〜1質量%、さらに好ましくは0.01〜0.5質量%、最も好ましくは0.03〜0.3質量%の範囲である。界面活性剤の添加量が上記範囲よりも少ないと塗布膜の平滑性、均一性が発現できない場合があり、多いと塗布膜の平滑性、均一性が発現できない場合がある他、他の特性が悪化する場合がある。
[2−7−8]有機カルボン酸、有機カルボン酸無水物
本発明の感光性(着色)組成物は、現像性の向上や地汚れ改善の目的で有機カルボン酸及び有機カルボン酸無水物のうち少なくとも一方を含んでいてもよい。
有機カルボン酸としては、脂肪族カルボン酸及び芳香族カルボン酸のうち少なくとも一方が挙げられる。
脂肪族カルボン酸としては、具体的には、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、吉草酸、ピバル酸、カプロン酸、ジエチル酢酸、エナント酸、カプリル酸、グリコール酸、アクリル酸、メタクリル酸などのモノカルボン酸、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ブラシル酸、メチルマロン酸、エチルマロン酸、ジメチルマロン酸、メチルコハク酸、テトラメチルコハク酸、シクロヘキサンジカルボン酸、シクロヘキセンジカルボン酸、イタコン酸、シトラコン酸、マレイン酸、フマル酸などのジカルボン酸、トリカルバリル酸、アコニット酸、カンホロン酸などのトリカルボン酸などが挙げられる。また、芳香族カルボン酸としては、具体的には、安息香酸、トルイル酸、クミン酸、ヘメリト酸、メシチレン酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、トリメリット酸、トリメシン酸、メロファン酸、ピロメリット酸、フェニル酢酸、ヒドロアトロパ酸、ヒドロケイ皮酸、マンデル酸、フェニルコハク酸、アトロパ酸、ケイ皮酸、シンナミリデン酢酸、クマル酸、ウンベル酸などのフェニル基に直接カルボキシル基が結合したカルボン酸、及びフェニル基から炭素結合を介してカルボキシル基が結合したカルボン酸等が挙げられる。
上記有機カルボン酸の中では、モノカルボン酸、ジカルボン酸が好ましく、中でもマロン酸、グルタル酸、グリコール酸が更に好ましく、マロン酸が特に好ましい。
上記有機カルボン酸の分子量は、通常1000以下であり、通常50以上である。上記有機カルボン酸の分子量が大きすぎると地汚れ改善効果が不十分となる場合があり、少なすぎると昇華、揮発などにより、添加量の減少やプロセス汚染を起こす恐れがある。
有機カルボン酸無水物としては、脂肪族カルボン酸無水物及び芳香族カルボン酸無水物のうち少なくとも一方が挙げられ、脂肪族カルボン酸無水物としては、具体的には無水酢酸、無水トリクロロ酢酸、無水トリフルオロ酢酸、無水テトラヒドロフタル酸、無水コハク酸、無水マレイン酸、無水イタコン酸、無水シトラコン酸、無水グルタル酸、無水1,2−シクロヘキセンジカルボン酸、無水n−オクタデシルコハク酸、無水5−ノルボルネン−2,3−ジカルボン酸などの脂肪族カルボン酸無水物が挙げられる。芳香族カルボン酸無水物としては、具体的には無水フタル酸、トリメリット酸無水物、ピロメリット酸無水物、無水ナフタル酸などが挙げられる。
上記有機カルボン酸無水物の中では、無水マレイン酸、無水コハク酸、無水イタコン酸、無水シトラコン酸が好ましく、無水マレイン酸が更に好ましい。
上記有機カルボン酸無水物の分子量は、通常800以下、好ましくは600以下、更に好ましくは500以下であり、通常50以上である。上記有機カルボン酸無水物の分子量が大きすぎると地汚れ改善効果が不十分となる場合があり、少なすぎると昇華、揮発などにより、添加量の減少やプロセス汚染を起こす恐れがある。
これらの有機カルボン酸及び有機カルボン酸無水物は、それぞれ1種を単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
これらの有機カルボン酸及び有機カルボン酸無水物を用いる場合、その添加量は、本発明の感光性(着色)組成物の全固形分中、通常0.01質量%〜5質量%、好ましくは0.03質量%〜3質量%である。その添加量が少なすぎると十分な添加効果が得られない場合があり、多すぎると塗布膜の表面平滑性や感度が悪化し、未溶解剥離片が発生する場合がある。
[2−7−9]熱重合防止剤
熱重合防止剤としては、例えば、ハイドロキノン、p−メトキシフェノール、ピロガロール、カテコール、2,6−t−ブチル−p−クレゾール、β−ナフトール等の1種又は2種以上が用いられる。
熱重合防止剤を配合する場合、その割合は、本発明の感光性(着色)組成物中の全固形分に対し2質量%以下の範囲であることが好ましい。これよりも多いと感光性(着色)組成物の感度を低下させる場合がある。
[2−7−10]可塑剤
可塑剤としては、例えば、ジオクチルフタレート、ジドデシルフタレート、トリエチレングリコールジカプリレート、ジメチルグリコールフタレート、トリクレジルホスフェート、ジオクチルアジペート、ジブチルセバケート、トリアセチルグリセリン等の1種又は2種以上が用いられる。
これら可塑剤を配合する場合、その割合は、本発明の感光性(着色)組成物中の全固形分に対し5質量%以下の範囲であることが好ましい。これよりも多いと硬化物の硬化点が低下する。
[3]感光性(着色)組成物の製造方法
次に本発明の感光性(着色)組成物の製造方法について説明する。
以下、(C)色材として顔料を用いた感光性着色組成物の製造方法について説明する。
まず顔料と分散剤及び必要な成分を用い、顔料分散液(以下「インキ」と称す場合がある。)を製造する。次に、得られた顔料分散液に、アルカリ可溶性樹脂、光重合開始剤、エチレン性不飽和化合物、及び有機溶剤を混合して感光性着色組成物を製造する。必要に応じて、前述の他の成分を混合してもよい。
[3−1]顔料分散液の製造方法
本発明に係る顔料分散液の製造方法としては種々の方法を採用することができる。以下にその一例を示す。
まず、顔料、有機溶剤、及び分散剤/分散助剤を各々所定量秤量し、分散処理工程において、顔料を分散させて液状の顔料分散液とする。顔料、有機溶剤、及び分散剤/分散助剤としては、前述の本発明の感光性(着色)組成物の構成成分として記載されたものが使用できる。
この分散処理工程では、ペイントコンディショナー、サンドグラインダー、ボールミル、ロールミル、ストーンミル、ジェットミル、ホモジナイザーなどを使用することができる。サンドグラインダーを用いて分散処理を行う場合は、0.1〜数mm径のガラスビーズ、又はジルコニアビーズを用いるのが好ましい。
この分散処理を行うことによって顔料が微粒子化されるため、この顔料分散液を用いた着色感光性組成物は塗布特性及び直線性などの製版性能が向上する。
顔料を分散処理する際には、前記のアルカリ可溶性樹脂などを適宜併用してもよい。
分散処理する際の温度は通常0℃〜100℃の範囲、好ましくは室温〜80℃の範囲に設定する。なお、分散時間は、顔料分散液の組成(顔料、有機溶剤、分散剤/分散助剤等)、及びサンドグラインダーの装置の大きさなどにより適正時間が異なるため、適宜調整する必要がある。
顔料分散液中の顔料の含有量は、通常10質量%以上80質量%以下であり、好ましくは20質量%以上70質量%以下である。
顔料分散液中の分散剤の含有量は、顔料に対して通常5質量%以上90質量%以下であり、好ましくは5質量%以上60質量%以下、更に好ましくは5質量%以上40質量以下である。
顔料分散液中の分散助剤の含有量は、顔料に対して通常0.1質量%以上30質量%以下、好ましくは0.1質量%以上20質量%以下、より好ましくは0.1質量%以上10質量%以下、さらに好ましくは0.1質量%以上5質量%以下である。
顔料分散液中のアルカリ可溶性樹脂の含有量は、顔料に対して通常0質量%以上100質量%以下であり、好ましくは5質量%以上80質量%以下、更に好ましくは5質量%以上60質量%以下である。
[3−2]感光性着色組成物の製造方法
次に上記分散処理により得られた顔料分散液(インキ)に、感光性着色組成物の成分として必要な前記の他の成分を添加し、攪拌混合して均一な感光性着色組成物溶液とする。この製造工程においては微細なゴミが液中に混じることが多いため、得られた感光性着色組成物溶液はフィルター等により濾過処理するのが望ましい。
なお、色材として顔料以外(例えば染料)を用いた感光性着色組成物や色材を含まない感光性組成物は、公知の方法で製造することができる。
[4]着色硬化物の形成方法
本発明の着色硬化物は、公知のカラーフィルター用着色感光性組成物を用いる着色硬化物と同様の方法により形成されるが、以下、着色スペーサとして使用される着色硬化物の形成方法について説明する。
通常、着色スペーサが設けられるべき支持体上に、本発明の感光性(着色)組成物溶液を、塗布等の方法により膜状或いはパターン状に供給し、溶剤を乾燥させる。続いて、露光−現像を行うフォトリソグラフィー法によりパターン形成を行う。その後、必要により追露光や熱硬化処理を行うことにより、該支持体上に着色スペーサ用着色硬化物が形成される。
本発明においては、この着色硬化物の形成に当たり、まず支持体上に本発明の感光性着色組成物(1)溶液を供給(塗布)して溶剤を乾燥させることにより硬化層(X)の前駆体を形成した後、この硬化層(X)の前駆体上に本発明の感光性組成物(2)溶液を供給(塗布)して溶剤を乾燥させ、必要に応じて、この感光性組成物(2)溶液の供給(塗布)乾燥を繰り返して硬化層(Y)の前駆体を形成し、その後、露光及び現像を行う。
[4−1]支持体
本発明で用いられる支持体は、着色硬化物の用途、カラーフィルタの構造に依存するため、特に限定されるものではないが、本発明の着色硬化物は、主に透明支持体上に、或いは、カラーフィルタ上、又はTFTアレイ上等に形成される。
透明支持体の場合は、透明で適度な強度を有するものであれば、その材質は特に限定されるものではない。材質としては、例えば、ポリエチレンテレフタレートなどのポリエステル系樹脂、ポリプロピレン、ポリエチレンなどのポリオレフィン系樹脂、ポリカーボネート、ポリメチルメタクリレート、ポリスルホンなどの熱可塑性樹脂シート、エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ポリ(メタ)アクリル系樹脂などの熱硬化性樹脂シート、又は各種ガラスなどが挙げられる。また透明支持体上にITO等導電性膜が設けられていてもよい。
カラーフィルタの場合、画素上、ブラックマトリクス上、ITO皮膜上、オーバーコート層上、配向膜上等に、TFTアレイの場合は、絶縁層上等に本発明の着色硬化物が形成される。
[4−2]支持体への供給方法
本発明の感光性(着色)組成物は、通常、各成分が溶剤に溶解或いは分散された状態で、支持体上へ供給される。その供給方法としては、従来公知の方法、例えば、スピナー法、ワイヤーバー法、フローコート法、ダイコート法、ロールコート法、スプレーコート法などによって行うことができる。中でも、ダイコート法によれば、塗布液の使用量が大幅に削減され、かつ、スピンコート法によった際に付着するミストなどの影響が全くない、異物発生が抑制されるなど、総合的な観点から好ましい。
塗布量は用途により異なるが、例えば着色スペーサの場合には、乾燥膜厚として、下限は通常0.5μm以上、好ましくは1μm以上であり、上限は通常10μm以下、好ましくは5μm以下である。また、乾燥膜厚あるいは最終的に形成された着色スペーサの高さが、段差のある部分以外の部分については、基板全域に渡って均一であることが重要である。この膜厚のばらつきが大きい場合には、液晶パネルにムラ欠陥を生ずることとなる。
[4−3]乾燥方法
基板上に感光性(着色)組成物溶液を供給した後の乾燥は、ホットプレート、IRオーブン、コンベクションオーブンを使用した乾燥方法によるのが好ましい。また、温度を高めず、減圧チャンバー内で乾燥を行う、減圧乾燥法を組み合わせても良い。
乾燥の条件は、溶剤の種類、使用する乾燥機の性能などに応じて適宜選択することができる。乾燥条件は、溶剤の種類、使用する乾燥機の性能などに応じて、通常は、40℃〜130℃の温度で15秒〜5分間の範囲で選ばれ、好ましくは50℃〜110℃の温度で30秒〜3分間の範囲で選ばれる。
[4−4]露光方法
露光は、本発明の感光性(着色)組成物の塗布膜上に、先述のハーフトーンマスク等のマスクパターンを介し、紫外線又は可視光線の光源を照射して行う。露光マスクを感光性(着色)組成物の塗布膜に近接させる方法や、露光マスクを感光性(着色)組成物の塗布膜から離れた位置に配置し、該露光マスクを介した露光光を投影する方法によっても良い。また、マスクパターンを用いないレーザー光による走査露光方式によっても良い。この際、必要に応じ、酸素による光重合性層の感度の低下を防ぐため、脱酸素雰囲気下で行ったり、光重合性層上にポリビニルアルコール層などの酸素遮断層を形成した後に露光を行ったりしてもよい。
上記の露光に使用される光源は、特に限定されるものではない。光源としては、例えば、キセノンランプ、ハロゲンランプ、タングステンランプ、高圧水銀灯、超高圧水銀灯、メタルハライドランプ、中圧水銀灯、低圧水銀灯、カーボンアーク、蛍光ランプなどのランプ光源や、アルゴンイオンレーザー、YAGレーザー、エキシマレーザー、窒素レーザー、ヘリウムカドミニウムレーザー、青紫色半導体レーザー、近赤外半導体レーザーなどのレーザー光源などが挙げられる。特定の波長の光を照射して使用する場合には、光学フィルタを利用することもできる。
光学フィルタとしては、例えば薄膜で露光波長における光透過率を制御可能なタイプでも良く、その場合の材質としては、例えばCr化合物(Crの酸化物、窒化物、酸窒化物、フッ化物など)、MoSi、Si、W、Al等が挙げられる。
露光時の露光量としては、通常、1mJ/cm2以上、好ましくは5mJ/cm2以上、より好ましくは10mJ/cm2以上であり、通常300mJ/cm2以下、好ましくは200mJ/cm2以下、より好ましくは150mJ/cm2以下である。 また、近接露光方式の場合には、露光対象とマスクパターンとの距離としては、通常10μm以上、好ましくは50μm以上、より好ましくは75μm以上であり、通常500μm以下、好ましくは400μm以下、より好ましくは300μm以下である。
[4−5]現像方法
上記の露光を行った後、アルカリ性化合物の水溶液、又は有機溶剤を用いる現像によって、基板上に画像パターンを形成することができる。この水溶液には、さらに界面活性剤、有機溶剤、緩衝剤、錯化剤、染料又は顔料を含ませることができる。
アルカリ性化合物としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム、ケイ酸ナトリウム、ケイ酸カリウム、メタケイ酸ナトリウム、リン酸ナトリウム、リン酸カリウム、リン酸水素ナトリウム、リン酸水素カリウム、リン酸二水素ナトリウム、リン酸二水素カリウム、水酸化アンモニウムなどの無機アルカリ性化合物や、モノ−・ジ−又はトリエタノールアミン、モノ−・ジ−又はトリメチルアミン、モノ−・ジ−又はトリエチルアミン、モノ−又はジイソプロピルアミン、n−ブチルアミン、モノ−・ジ−又はトリイソプロパノールアミン、エチレンイミン、エチレンジイミン、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド(TMAH)、コリンなどの有機アルカリ性化合物が挙げられる。これらのアルカリ性化合物は、2種以上の混合物であってもよい。
上記界面活性剤としては、例えば、ポリオキシエチレンアルキルエーテル類、ポリオキシエチレンアルキルアリールエーテル類、ポリオキシエチレンアルキルエステル類、ソルビタンアルキルエステル類、モノグリセリドアルキルエステル類などのノニオン系界面活性剤;アルキルベンゼンスルホン酸塩類、アルキルナフタレンスルホン酸塩類、アルキル硫酸塩類、アルキルスルホン酸塩類、スルホコハク酸エステル塩類などのアニオン性界面活性剤;アルキルベタイン類、アミノ酸類などの両性界面活性剤が挙げられる。
有機溶剤としては、例えば、イソプロピルアルコール、ベンジルアルコール、エチルセロソルブ、ブチルセロソルブ、フェニルセロソルブ、プロピレングリコール、ジアセトンアルコールなどが挙げられる。有機溶剤は単独で用いてもよく、また水溶液と併用してもよい。
現像処理の方法については特に制限は無いが、通常、10℃〜50℃、好ましくは15℃〜45℃の現像温度で、浸漬現像、スプレー現像、ブラシ現像、超音波現像等の方法により行われる。
[4−6]追露光及び熱硬化処理
現像の後の着色硬化物には、必要により上記の露光方法と同様な方法により追露光を行っても良く、また熱硬化処理を行っても良い。この際の熱硬化処理条件は、温度は100℃〜280℃の範囲、好ましくは150℃〜250℃の範囲で選ばれ、時間は5分間〜60分間の範囲で選ばれる。
本発明の着色硬化物は、液晶ディスプレイ等のカラーフィルター等において、着色スペーサ、ブラックマトリクス、オーバーコート及びリブ等に好適に用いられ、本発明の着色硬化物を適用することにより、高品質なカラーフィルターや液晶表示装置等を提供することができる。
[5]カラーフィルター
本発明のカラーフィルターは、上述のような本発明の着色硬化物を備えるものであり、例えば支持体としてのガラス基板上に、ブラックマトリクスと、赤色、緑色、青色の画素着色層と、オーバーコート層とが積層されて、着色スペーサを形成した後配向膜を形成して製造される。なお配向膜としては、ポリイミド等の樹脂膜が好適である。
また、本発明の着色硬化物をカラーフィルターとは液晶をはさんだ対面のガラス基板上に着色スペーサとして形成することもできる。
[6]液晶表示装置
本発明の液晶表示装置は上述のような本発明の着色硬化物を有するカラーフィルターを備えるものであり、例えば、上述のようなカラーフィルターと液晶駆動側基板とを貼り合わせて液晶セルを形成し、形成した液晶セルに液晶を注入して製造される。
次に、実施例及び比較例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、本発明はその要旨を超えない限り、以下の実施例に限定されるものではない。
〔アルカリ可溶性樹脂〕
アルカリ可溶性樹脂としては、以下の製造例1〜4で製造されたものを用いた。
[製造例1:アルカリ可溶性樹脂−1((B2−1)樹脂)の製造]
プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート145質量部を窒素置換しながら攪拌し、120℃に昇温した。ここにスチレン10質量部、グリシジルメタクリレート85.2質量部及びトリシクロデカン骨格を有するモノアクリレート(日立化成社製FA−513M)66質量部を滴下し、および2,2’−アゾビス−2−メチルブチロニトリル8.47質量部を3時間かけて滴下し、更に90℃で2時間攪拌し続けた。次に反応容器内を空気に置換し、アクリル酸43.2質量部にトリスジメチルアミノメチルフェノール0.7質量部及びハイドロキノン0.12質量部を投入し、100℃で12時間反応を続けた。その後、テトラヒドロ無水フタル酸(THPA)56.2質量部とトリエチルアミン0.7質量部を加え、100℃で3.5時間反応させた。
得られたアルカリ可溶性樹脂−1のGPCにより測定したポリスチレン換算の重量平均分子量(Mw)は約8,400、酸価は80mgKOH/gであった。
[製造例2:アルカリ可溶性樹脂−2((B2−1)樹脂)の製造]
プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート145質量部を窒素置換しながら攪拌し、120℃に昇温した。ここにスチレン5質量部、グリシジルメタクリレート119質量部及びトリシクロデカン骨格を有するモノアクリレート(日立化成社製FA−513M)4質量部と2,2’−アゾビス−2−メチルブチロニトリル8.47質量部を3時間かけて滴下し、更に90℃で2時間攪拌し続けた。次に反応容器内を空気に置換し、アクリル酸60質量部とトリスジメチルアミノメチルフェノール0.7質量部及びハイドロキノン0.12質量部を投入し、100℃で12時間反応を続けた。その後、テトラヒドロ無水フタル酸(THPA)56.2質量部とトリエチルアミン0.7質量部を加え、100℃で3.5時間反応させた。
得られたアルカリ可溶性樹脂−2のGPCにより測定したポリスチレン換算の重量平均分子量(Mw)は約9,000、酸価は25mgKOH/gであった。
[製造例3:アルカリ可溶性樹脂−3((B2−2)樹脂)の製造]
プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート110gを500mlの4つ口フラスコに入れ、窒素バブリングを行いながら85℃まで昇温した。これにベンジルメタクリレート72質量部、メタクリル酸28質量部、2,2’−アゾビス(イソブチロニトリル)4.925g(0.03mol)をプロピレングリコール1−モノメチルエーテル2−アセタート40gに溶解し、4時間かけて滴下した。滴下後反応液を85℃に保ったままさらに2時間攪拌し、その後窒素バブリングを止めて100℃に昇温し1時間攪拌した。
得られたアルカリ可溶性樹脂−3のGPCにより測定したポリスチレン換算の重量平均分子量(Mw)は8,000、酸価は170mgKOH/gであった。
[製造例4:アルカリ可溶性樹脂−4((B1−1)樹脂)の製造]
日本化薬(株)製「NC3000H」(前記一般式(b2)において、R21=H、エポキシ当量290)400質量部、アクリル酸102質量部、p−メトキシフェノール0.3質量部、トリフェニルホスフィン5質量部、及びプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート264質量部を反応容器に仕込み、95℃で酸価が3mgKOH/g以下になるまで撹拌した。酸価が目標に達するまで9時間を要した(酸価2.2mgKOH/g)。次いで、更にテトラヒドロ無水フタル酸151質量部を添加し、95℃で4時間反応させて、酸価102mgKOH/g、GPCにより測定したポリスチレン換算の重量平均分子量(Mw)3900のアルカリ可溶性樹脂−4を得た。
〔その他の配合成分〕
分散剤、エチレン性不飽和化合物、光重合開始剤、界面活性剤及び有機溶剤としては、以下のものを用いた。
<分散剤:(E−1)アクリル系ブロック共重合体>
ビックケミー社製「DisperBYK−LPN21116」(側鎖に4級アンモニウム塩基及びアミノ基を有するAブロックと、4級アンモニウム塩基及びアミノ基を有さないBブロックからなる、A−Bブロック共重合体)
<エチレン性不飽和化合物>
日本化薬(株)製:ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(DPHA)
<光重合開始剤>
BASF社製:1,2−オクタンジオン,1−[4−(フェニルチオ)−,2−(O−ベンゾイルオキシム)](OXE−01)
BASF社製:エタノン,1−[9−エチル−6−(2−メチルベンゾイル)−9H−カルバゾール−3−イル]−,1−(0−アセチルオキシム)(OXE−02)
<界面活性剤>
DIC社製:メガファック「F−559」
<有機溶剤>
プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)
3−メトキシブタノール(MB)
[製造例5:顔料分散液−1の調製]
顔料としてC.I.−ピグメントブルー−60を54質量部、C.I.−ピグメントオレンジ−64を31質量部、C.I.−ピグメントバイオレット−29を15質量部、分散剤として「DisperBYK−LPN21116」(ビックケミー社製)を固形分換算で20質量部、アルカリ可溶性樹脂−1を固形分換算で33質量部、有機溶剤としてプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)と3−メトキシブタノール(MB)が質量比で8:2、固形分濃度が25質量%となるように混合した。ここに、分散容器の容積の80%のジルコニアビーズを混合した後、ピコミル分散容器に充填し、必要なリテンション時間にて分散させて顔料分散液−1(固形分に対する顔料含有濃度65.4質量%)を調製した。
[製造例6:感光性(着色)組成物の調製]
上記で調製された顔料分散液−1と、表1に示す成分とを表1に示す質量割合(固形分換算)で配合し、更に有機溶剤としてプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)と3−メトキシブタノール(MB)が質量比で85:15、固形分濃度が22質量%となるように添加して、攪拌することにより、感光性着色組成物−1,2を調製した。
また、顔料分散液−1を用いず、表1に示す成分を表1に示す質量割合(固形分換算)で配合し、更に有機溶剤としてプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)と3−メトキシブタノール(MB)が質量比で85:15、固形分濃度が22質量%となるように添加して、攪拌することにより、感光性組成物−1〜3を調製した。
〔実施例1〜3、比較例1,2〕
表2に示す組み合わせで感光性着色組成物と感光性組成物を用いて(ただし、比較例1,2では感光性着色組成物のみ)、着色硬化物の形成及び評価を行った。
なお、以下の評価において、最小現像時間とは、同現像条件にて、末露光部が完全に溶解される時間を意味する。
[高さの異なる着色スペーサーを一括形成する方法]
<塗布膜(前駆体)の形成>
実施例1〜3では、以下の方法により行った。表面にITO膜を形成したガラス基板の該ITO膜上に、スピナーを用いて感光性着色組成物を塗布した。次いで、1分間減圧乾燥した後に、90℃のホットプレートにて90秒加熱することで塗布膜(前駆体)を形成した。
得られた塗布膜に対し、スピナーを用いて感光性組成物を塗布した。次いで1分間減圧乾燥した後に、90℃のホットプレートにて90秒加熱することで二層塗布膜(積層前駆体)を形成した。
比較例1,2では、感光性着色組成物溶液のみを用いて上記と同様に塗布、減圧乾燥を行い、90℃のホットプレートにて90秒加熱することで、感光性着色組成物のみからなる塗布膜(前駆体)を形成した。
<露光・現像>
得られた実施例1〜3の二層塗布膜(積層前駆体)と、比較例1及び2の塗布膜(前駆体)に対し、中間透過開口部と完全透過開口部を有する露光マスクを用いて、以下の評価1,2の条件で露光処理を行った。露光マスクの中間透過開口部は、Cr酸化物の薄膜で波長420nmにおける光透過率を20%にしたものである。露光ギャップ(マスクと塗布面間の距離)としては、200μmとした。露光には波長365nmでの強度が30mW/cm2である紫外線を用いた。また、紫外線照射は空気雰囲気で行った。次いで、25℃の0.1質量%水酸化カリウム水溶液を用いて評価1,2の条件でスプレー現像を行い、更に純水でリンスした。
これらの操作により、不要部分を除去した着色スペーサパターンを得た。
[着色スペーサパターンの形状計測]
形成された着色スペーサパターンについて、露光マスクの完全透過開口(FT)部及び中間透過開口(HT)部に相当する部分の高さ(膜厚)を計測した。計測には株式会社菱化システム製三次元非接触表面形状計測システムMicromapMM3500−M100を用いた。
[評価1:段差の露光マージンの評価]
上記二層塗布膜(積層前駆体)に対して、紫外線を、60〜140mJ/cm2照射した。次いで、最小現像時間の1.4倍の時間、スプレー現像を行い、更に純水でリンスした。
これらの操作により不要部分を除去した着色スペーサパターンを調製し、各露光量において完全透過開口(FT)部の着色スペーサパターンの高さと中間透過開口(HT)部の着色スペーサパターンの高さ、及びその差異(Δh)を測定した。Δhの変動が少ないほど露光マージンが広いと判断する。また得られた結果からΔhが0.3μm以上のときの露光量に対するΔh変化の傾き(μm/log(mJ))を算出した。数値の絶対値が小さいほどΔhの変化が少なく、露光マージンが広いと判断する。
[評価2:段差の現像マージンの評価]
上記二層塗布膜(積層前駆体)に対して、紫外線を、80mJ/cm2照射した。次いで、最小現像時間の1.1〜2.3倍の時間、スプレー現像を行い、更に純水でリンスした。
これらの操作により不要部分を除去した着色スペーサパターンを調製し、各現像時間において完全透過開口(FT)部の着色スペーサパターンの高さと中間透過開口(HT)部の着色スペーサパターンの高さ、及びその差異(Δh)を測定した。Δhの変動が少ないほど現像マージンが広いと判断する。また得られた結果からΔhが0.3μm以上のときの現像時間(sec)/最小現像時間(sec)値に対するΔh変化の傾き:
Δh値(μm)/[(現像時間(sec)/最小現像時間(sec)]
を算出した。
数値の絶対値が小さいほどΔhの変化が少なく、露光マージンが広いと判断した。
評価1,2の結果を表2に示す。
表2の結果から、本発明によれば、完全透過開口部と中間透過開口部のパターン形状の段差を露光量及び現像時間に対して安定に形成することが可能であり、フォトリソグラフィー法により高さの異なる着色スペーサを一括形成する方法に有効であることが分かる。