JP2014128711A - マイクロニードルの迅速溶解法 - Google Patents
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Abstract
【課題】迅速に体内に吸収されるマイクロニードルパッチとその使用法を提供する。
【解決手段】本発明のマイクロニードルアレイの迅速溶解方法は、マイクロニードルアレイの背部に貼付する粘着テープに空孔を設け、マイクロニードルアレイの背面から水分を補給し、マイクロニードルアレイを迅速に膨潤させ溶解することを特徴とする。これによりマイクロニードルの構成成分は、迅速に体内に吸収される。水分の供給には、化粧水もしくは美容液含有ガーゼ、不織布、若しくはテープ又は水性ゲルのパックを用いることができる。従来法で約1〜3時間要したマイクロニードルの溶解時間を10〜30分に短縮することができる。
【選択図】図2
【解決手段】本発明のマイクロニードルアレイの迅速溶解方法は、マイクロニードルアレイの背部に貼付する粘着テープに空孔を設け、マイクロニードルアレイの背面から水分を補給し、マイクロニードルアレイを迅速に膨潤させ溶解することを特徴とする。これによりマイクロニードルの構成成分は、迅速に体内に吸収される。水分の供給には、化粧水もしくは美容液含有ガーゼ、不織布、若しくはテープ又は水性ゲルのパックを用いることができる。従来法で約1〜3時間要したマイクロニードルの溶解時間を10〜30分に短縮することができる。
【選択図】図2
Description
本発明は皮膚表層及び/又は皮膚角質層に修飾効果及び/又は機能効果を与えるためのマイクロニードルを皮膚内に刺入後迅速に溶解させる方法に関する。
薬物を人の体内に投与する手法として、経口的投与法と経皮的投与法がある。注射は代表的な経皮的投与法である。しかし、注射は医師や看護師の手を煩わせねばならず、苦痛を伴い、更にエイズやB型肝炎などの感染もあり得る、多くの人にとって歓迎すべからざる手法である。これに対し、最近マイクロニードルアレイを利用した、苦痛を伴わない経皮的投与法が注目されてきた(特許文献1、非特許文献1)。
皮膚角質層は薬物透過のバリアとして働き、単に皮膚表面に薬物を塗布するだけでは薬物は十分に透過しない。これに対し微小な針、すなわちマイクロニードルを用いて角質層を穿孔することにより、塗布法より薬物透過効率を格段に向上させることができる。このマイクロニードルを基板上に多数集積したものがマイクロニードルアレイである。また、マイクロニードルアレイに、マイクロニードルアレイを皮膚に付着させるための粘着テープや使用まで無菌状態を維持するためのカバーシートなどを付加して使用しやすい製品としたものをマイクロニードルパッチという。
ここにテープとは、フィルム、もしくは布又は紙に粘着剤を塗布したものをいう。
ここにテープとは、フィルム、もしくは布又は紙に粘着剤を塗布したものをいう。
糖質など体内で溶解し代謝により消失する物質を素材としてマイクロニードルを作成すれば、仮にニードルが折れ皮膚内に残存したとしても事故とはならない。そればかりか、糖質中に薬物を含ませておくならば、刺入されたマイクロニードルが体内で溶解されることにより、容易に薬物を皮内や皮下に投与することができる(特許文献2)。
特に、ヒアルロン酸やコラーゲンなどの生体溶解性高分子物質からなるマイクロニードルを皮膚に刺入すると、皮膚内水分がマイクロニードルに拡散し、皮膚に差し込まれたニードル部が膨潤しその後溶解する。この結果ヒアルロン酸やコラーゲンが皮膚内に拡散して抗しわ作用を発現し、あるいはニードル部に前もって溶解させている薬物や有価物質が皮膚内に拡散する(特許文献3、4)。
特に、ヒアルロン酸やコラーゲンなどの生体溶解性高分子物質からなるマイクロニードルを皮膚に刺入すると、皮膚内水分がマイクロニードルに拡散し、皮膚に差し込まれたニードル部が膨潤しその後溶解する。この結果ヒアルロン酸やコラーゲンが皮膚内に拡散して抗しわ作用を発現し、あるいはニードル部に前もって溶解させている薬物や有価物質が皮膚内に拡散する(特許文献3、4)。
マイクロニードルが皮膚内で膨潤し溶解するには、その間マイクロニードルアレイを皮膚表面に安定的に保持する必要がある。通常、マイクロニードルアレイよりも大面積の粘着性保護テープをマイクロニードルアレイにかぶせて皮膚表面に押しつけ、その保護テープの粘着性により密着保持している。
しかしながらこの粘着性保護テープはマイクロニードルの皮膚内での溶解性に大きな影響を与える。水蒸気透過性の高い粘着保護テープを用いると、マイクロニードルを通して皮膚からマイクロニードルアレイに入った水分が蒸散し、マイクロニードルが十分に膨潤しなくなり、薬物を皮膚内に放散する速度が落ちる。また、水蒸気透過性が低い粘着保護テープを用いると、皮膚からの水分蒸散をテープが抑えるため皮膚刺激が強くなる欠点を有する。
いずれにせよ、マイクロニードルを膨潤させるための水分補給が皮膚からのみでは、マイクロニードルの膨潤及び溶解に多大の時間を有する。従来マイクロニードルアレイを皮膚表面上に1〜3時間保持しておく必要があった。このためマイクロニードルアレイを顔面に装着する際には就寝前に装着することが多く、皮膚科医院や美容室で装着することは困難であった。
マイクロニードルを利用する化粧品は、コスメディ製薬により世界で初めて商業的に製造され、2008年10月より発売された(非特許文献1)。このマイクロニードルは膨潤と溶解にかなりの時間を要したため、需用者からはマイクロニードルの溶解速度を早め、迅速に適用できるよう改善することが強く要望されていた。
権英淑、神山文男「マイクロニードル製品化への道程」、薬剤学、社団法人日本薬剤学会、平成21年9月、第69巻、第4号、p.272−276
本発明が解決しようとする課題は、速やかに膨潤し、速やかに溶解し、速やかに吸収させうるマイクロニードルアレイを提供して、従来技術の前記の問題点を解決することである。
マイクロニードルアレイの膨潤と溶解に時間がかかるのは、マイクロニードルアレイへの水分補給が不十分であったためである。必要な水分を供給しやすいマイクロニードルパッチの設計を検討した。
マイクロニードルアレイの膨潤と溶解に時間がかかるのは、マイクロニードルアレイへの水分補給が不十分であったためである。必要な水分を供給しやすいマイクロニードルパッチの設計を検討した。
上記課題を解決するためになされた本発明に係わるマイクロニードルアレイの迅速溶解法は、マイクロニードルパッチの背面の粘着テープに空孔を設け、マイクロニードルアレイの背面より水分を供給することを特徴とする。ここにマイクロニードルアレイの背面とは、マイクロニードルが備えられた面の反対側の面をいう。
マイクロニードルアレイの背面の、粘着テープの空孔は、マイクロニードルアレイの背面の面積の20−95%とすることができる。20%以下では均一な水分供給が困難となり、95%以上ではマイクロニードルアレイの保持が困難となる。
特に、60−90%とすることが好適である。
特に、60−90%とすることが好適である。
マイクロニードルアレイの背面より供給する水分は無菌であることが望ましく、マイクロニードルアレイの背面に供給する水分としては、化粧水を好適に用いることができる。具体的には、化粧水もしくは美容液含有ガーゼ、不織布、若しくはテープを4角形、円形、楕円形、勾玉形、フェイス状マスクとしてマイクロニードルアレイ背面に密着させるか、又は水性ゲルのパックを密着させることにより、目的を達することができる。
マイクロニードルアレイ背面に貼付する化粧水もしくは美容液含有ガーゼ、不織布、あるいは水性ゲルパックは、マイクロニードルアレイの背面空孔部全体を覆う大きさか、あるいはそれより各方向に大きいことが望ましい。
マイクロニードルを構成するヒアルロン酸やコラーゲンは、吸湿すると膨潤し、皮膚内で膨潤するとその内部へ溶けていく。従来のマイクロニードルアレイ背面全体に粘着シートを貼付する方式では、水分は皮膚内からニードルに供給されるのみで、そのためニードルは次第に膨潤し溶解してはいくものの、多くの時間を要していた。
これに対しマイクロニードル背面の粘着テープに空孔を設けて大量の水分を供給すると、マイクロニードルの基板からニードルまで全体が速やかに膨潤し、皮膚内でのニードルの溶解速度が高まる。そのため従来溶解に1〜3時間要していたマイクロニードルが、10〜30分で溶解することとなる。
本発明のマイクロニードルは、ヒアルロン酸やコラーゲンのような生体内溶解物質を素材とし、マイクロニードルの長さは30−1000μmとした。マイクロニードルアレイの基板の大きさは特に限定する必要はないが、典型的には基板面積0.5〜40cm2、基板厚み10〜2000μとした。またその形状は円形、楕円形、勾玉形、フェイス状マスクなど種々の形状が可能である。
マイクロニードルを構成するヒアルロン酸やコラーゲンは、吸湿すると膨潤し、皮膚内で膨潤するとその内部へ溶けていく。従来のマイクロニードルアレイ背面全体に粘着シートを貼付する方式では、水分は皮膚内からニードルに供給されるのみで、そのためニードルは次第に膨潤し溶解してはいくものの、多くの時間を要していた。
これに対しマイクロニードル背面の粘着テープに空孔を設けて大量の水分を供給すると、マイクロニードルの基板からニードルまで全体が速やかに膨潤し、皮膚内でのニードルの溶解速度が高まる。そのため従来溶解に1〜3時間要していたマイクロニードルが、10〜30分で溶解することとなる。
本発明のマイクロニードルは、ヒアルロン酸やコラーゲンのような生体内溶解物質を素材とし、マイクロニードルの長さは30−1000μmとした。マイクロニードルアレイの基板の大きさは特に限定する必要はないが、典型的には基板面積0.5〜40cm2、基板厚み10〜2000μとした。またその形状は円形、楕円形、勾玉形、フェイス状マスクなど種々の形状が可能である。
マイクロニードルアレイの基板背面から大量の水分を供給することにより、マイクロニードルアレイを素早く膨潤させることが可能となり、マイクロニードルの皮膚内での溶解速度を大幅に加速することができた。そのためマイクロニードルの溶解時間を従来の1〜3時間から10〜30分に短縮でき、日常的に使用できるようになったほか、皮膚科診察室や美容室での使用が現実的となり、マイクロニードルアレイの使用性が向上した。
次に、本発明の実施例を図面を参照して詳細に説明するが、本発明は実施例に限定されるものではない。また、本発明のマイクロニードルアレイは、従来法により製造した(特許文献3,4)。
本発明のマイクロニードルアレイ(11)は、図1に示すような楕円形である。図1の(a)は平面図であり、(b)はA−A’線での断面図である。その大きさは長辺が約30mm、短辺が約20mmである。マイクロニードルアレイの背部に、アレイの大きさより各方向に5mm大きいポリエチレン製粘着テープ(12)を貼付した。図1に示すように、このテープの中心部分は、周辺各2mmを残し切り取られている。但し、図に書き込まれたニードルの数は多くないが、実際は従来同様1cm2あたり144個形成されている。
このマイクロニードルアレイ(11)を皮膚に貼付して刺入し、その上(背面)に美容液含有シート状マスク(エリクシールシュペリエル レチノバイタル アイマスク、株式会社資生堂製)(13)を押しつけた状態を図2に示す。但し図では皮膚は記載を省略している。
20分後取り外し、剥離後の基板を顕微鏡で観察したところマイクロニードルは100%溶けており全く残存していなかったことを確認した。
なお、美容液含有シート状マスクの代わりに、布か目の粗い紙を楕円形あるいは勾玉型に切り抜いたシートに化粧水(SK−IIフェイシャルトリートメントエッセンス、P&Gジャパン)を染み込ませたものを用いても好ましい結果が得られた。
20分後取り外し、剥離後の基板を顕微鏡で観察したところマイクロニードルは100%溶けており全く残存していなかったことを確認した。
なお、美容液含有シート状マスクの代わりに、布か目の粗い紙を楕円形あるいは勾玉型に切り抜いたシートに化粧水(SK−IIフェイシャルトリートメントエッセンス、P&Gジャパン)を染み込ませたものを用いても好ましい結果が得られた。
本発明によるマイクロニードル適用方法は、医療や美容の分野において広く利用されるものと期待される。
11......マイクロニードルアレイ
12......粘着テープ
13......美容液含有シート
12......粘着テープ
13......美容液含有シート
Claims (4)
- 生体内溶解物質を素材とし、化粧水若しくは美容液含有ガーゼ若しくは不織布、又は水性ゲルをマイクロニードルアレイ背面に密着させアレイを膨潤させることを特徴とするマイクロニードルアレイ。
- 前記背面密着が水性ゲルのパックであることを特徴とする請求項1に記載のマイクロニードルアレイ。
- 生体内溶解物質を素材とするマイクロニードルアレイを皮膚に付着させ、その背面に化粧水もしくは美容液含有ガーゼ、若しくは不織布、又は水性ゲルのパックを密着させてアレイを膨潤させることを特徴とするマイクロニードルアレイの迅速溶解美容方法(医療行為を除く)。
- 背面に水性ゲルのパックを密着させることを特徴とする請求項3に記載のマイクロニードルアレイの迅速溶解美容方法(医療行為を除く)。
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Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2014044384A JP2014128711A (ja) | 2014-02-19 | 2014-02-19 | マイクロニードルの迅速溶解法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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CN111408032A (zh) * | 2020-03-05 | 2020-07-14 | 优微(珠海)生物科技有限公司 | 一种透气透水微针贴片及其使用方法 |
CN116270422A (zh) * | 2023-05-19 | 2023-06-23 | 优微(珠海)生物科技有限公司 | 微针贴 |
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2014
- 2014-02-19 JP JP2014044384A patent/JP2014128711A/ja not_active Withdrawn
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