JP2014123642A - ヘテロ接合バイポーラトランジスタ - Google Patents

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Abstract

【課題】ヘテロ接合バイポーラトランジスタの性能低下を招くバレー間散乱を、実用的に製造できる状態で抑制できるようにする。
【解決手段】第1コレクタ層121と第2コレクタ層122との間に形成されたIII−V族化合物半導体からなる第3コレクタ層123を備える。ここで、第3コレクタ層123の伝導帯端エネルギーは、第1コレクタ層121と第3コレクタ層123との接合界面において第1コレクタ層121の伝導帯端エネルギーよりも小さく、かつ、第3コレクタ層123の伝導帯端エネルギーは、第2コレクタ層122と第3コレクタ層123との接合界面において第2コレクタ層122の伝導帯端エネルギーよりも小さくされている。
【選択図】 図1

Description

本発明は、化合物半導体からなるnpn形のヘテロ接合バイポーラトランジスタに関するものである。
ヘテロ接合バイポーラトランジスタ(HBT:Heterojunction Bipolar Transistor)の動作速度の向上には、素子内を走行する電子の速度を増加させることが重要となる。とくに、コレクタ内の電子速度の増加は、コレクタ内の空間電荷を低減させ、素子に注入できる電流密度の増加が図れる。注入電流密度の増加は、素子内の充放電時間を短縮させることにつながり、素子のスイッチング速度を向上させることができる。
コレクタ内の電子速度は、コレクタに印加される電界強度、電子の有効質量、さらに、外部から電子に働く様々な散乱機構によって決定される。InP,InGaAs,あるいはInGaAsPなどのIII−V族化合物半導体から構成されるコレクタにおいては、電子散乱機構としてバレー間散乱が特に重要となる。バレー間散乱は、コレクタ電界によってエネルギーを得た電子が、平衡状態あるいは平衡状態に近い状態において存在しているΓバレーから、Lバレーなどのアッパー・バレーに遷移してしまう現象である。
アッパー・バレーに遷移した電子は、有効質量が大きくなり、コレクタ電界からエネルギーを得ても加速しづらくなり、失速してしまう。電子を高速な状態で走行させるには、コレクタ電界から適度な大きさのエネルギーを受けられる状態にし、高速走行が可能な電子有効質量の小さいΓバレーに留めるような工夫をする必要がある。
以下、現在実施されているバレー間散乱の低減技術について説明する。
図5は、バレー間散乱を低減するための工夫が施されていない通常のダブルヘテロ接合バイポーラトランジスタ(DHBT:Double-Heterojunction Bipolar Transistor)である。ここで、DHBTは、コレクタの半導体材料とベースの半導体材料とが異なる構造とされており、通常、素子の耐圧性能を向上させるために、バンドギャップの大きい半導体材料がコレクタに用いられている。
DHBTは、図5に示すように、半絶縁性InPからなる基板301上に高濃度に不純物が添加されたn型のInPからなる第1サブコレクタ層311が形成され、第1サブコレクタ層311上に高濃度に不純物が添加されたn型のInGaAsからなる第2サブコレクタ層312が形成され、第2サブコレクタ層312上に高濃度に不純物が添加されたn型のInPからなる第1コレクタ層321が形成され、第1コレクタ層321上に、InP,InGaAsP,InGaAsの積層構造からなる第2コレクタ層322が形成されている。
また、第2コレクタ層322上に高濃度に不純物が添加されたp型のInGaAsからなるベース層331が形成され、ベース層331上にn型のInPからなるエミッタ層341が形成され、エミッタ層341上に高濃度に不純物が添加されたn型のInGaAsからなるエミッタキャップ(エミッタコンタクト)層351が形成されている。また、第2サブコレクタ層312上にコレクタ電極391が形成され、ベース層331上にベース電極392が形成され、エミッタキャップ層351上にエミッタ電極393が形成されている。
第1サブコレクタ層311は、放熱特性の良い材料から構成されており、第2サブコレクタ層312は、コレクタ電極391との接触抵抗が低い材料から構成されている。また、第1コレクタ層321は、コレクタ層とサブコレクタ層の接触抵抗を削減するために用いられており、コレクタ空乏層(あるいは、コレクタ電子走行層)の大部分は、第2コレクタ層322に形成されることになる。従って、ベース層331から第2コレクタ層322,第1コレクタ層321に注入された電子のコレクタ走行時間は、第2コレクタ層322における電子輸送特性(あるいは、電子速度)で決定されることになる。
なお、第2コレクタ層322は、InGaAsおよびInGaAsPからなる組成傾斜層を含んだ構造となっている。これは、ベース層材料であるInGaAsとコレクタ層主材料であるInPのバンド端エネルギーが異なるために、これらを直接接続しただけでは、電子が円滑にベースからコレクタへと注入されないためである。両者のバンド端エネルギー不連続を緩和させるために、このような組成傾斜層をInGaAsベース層とInPコレクタ層の間に設けている。
図6は、図5を用いて説明したDHBTの積層方向のバンド状態を示すエネルギー・バンド図である。伝導帯端は、電子の運動量あるいはエネルギーが比較的小さいときに電子輸送を担うΓバレー端について、詳しく示したものである。図6では、コレクタ電子輸送について詳細に説明するために、より高いエネルギーに位置するアッパー・バレー(例えば、Lバレー)端についても示している。ベース層331から第2コレクタ322へ注入された電子は、第2コレクタ322に印加されている電界によって加速し、高いエネルギーを得る。この結果、電子は、有効質量が小さいΓバレーから有効質量の大きいアッパー・バレーに遷移することが可能となる。
これがバレー間散乱である。有効質量が大きいアッパー・バレーでは、電子は加速されにくくなり、高いエネルギーを得ているにも関わらず、電子運動量(あるいは電子速度)は低下することになる。図6に示した「バリスティック電子輸送領域」とは、電子がΓバレーに滞在した状態で無衝突に走行できる領域を示したものである。コレクタにおける電子走行時間を短縮するには、電子を長い距離に渡って高速走行が可能なΓバレーに留めておく必要がある。言い替えれば、図6に示したバリスティック電子輸送領域を拡張させることが重要となる。
このバリスティック電子輸送領域を拡張させるために、コレクタ空乏層の後端に、p型の不純物が添加された薄い半導体層を設けるという提案がある(非特許文献1参照)。図7は、図6のDHBTに対して、上述した提案を取り入れたものである。図7に示すように、第1コレクタ層421と第2コレクタ層422との間に、p型のInPからなる薄い第3コレクタ層423が挿入されている。ここで、第3コレクタ層423以外の層構造は、図6に示したバンド構造のDHBTと同様である。
また、図8は、図7を用いて説明したDHBTの積層方向のバンド状態を示すエネルギー・バンド図である。第2コレクタ層422の後端に設けられた第3コレクタ層423によってエネルギー・バンドが持ちあげられる結果、いわゆる「ポテンシャル・クリフ」構造が形成される。これにより、コレクタ印加電界は、第3コレクタ層423付近(すなわち、コレクタ空乏層後端)に集中し、コレクタ電子走行領域の大部分の電界が緩和されることになる。
この結果、図8に示すように、バリスティック電子輸送領域が大幅に拡張され、コレクタ電子速度が増加することになる。なお、コレクタ電子がポテンシャル・クリフ構造を走行すると、著しいバレー間散乱を受ける可能性がある。しかしながら、ポテンシャル・クリフ(あるいは、p型の第3コレクタ層423)は薄いので、この領域における電子速度劣化の影響は少ないことを注意しておく。
T. Ishibashi, "Nonequilibrium Electron Transport in HBTs",IEEE TRANSACTIONS ON ELECTRON DEVICES, vol.48, no.11,pp.2595-2605 ,2001.
上述した、コレクタ空乏層後端にp型層を設けてコレクタ電子走行層の電界を緩和し、バリスティック電子輸送領域を拡大させるという提案は、大変有望である。しかしながら、例えば、コレクタ半導体材料にInPなどを用いた場合は、p型不純物としてBe(ベリリウム)やZn(亜鉛)を使用する必要がある。
これらの不純物は、拡散係数が大きいことが知られており、薄いp型層(第3コレクタ層)を意図したとおりに作製することが困難である。GaAsではp型不純物として拡散係数の極めて小さいC(炭素)を用いることができるが、InPなどではCはp型ではなくn型の不純物として働くため、これを使用することができない。このため、コレクタ半導体材料にInPなどを用いたHBTに関しては、薄いp型層を追加してコレクタ電子速度を向上させることが実用的に困難である。このように、現状では、ヘテロ接合バイポーラトランジスタの性能低下を招くバレー間散乱を、実用的に製造できる状態で抑制することが困難であるという問題があった。
本発明は、以上のような問題点を解消するためになされたものであり、ヘテロ接合バイポーラトランジスタの性能低下を招くバレー間散乱を、実用的に製造できる状態で抑制できるようにすることを目的とする。
本発明に係るヘテロ接合バイポーラトランジスタは、III−V族化合物半導体からなる基板と、基板の上に形成されたn型のIII−V族化合物半導体からなる第1コレクタ層と、第1コレクタ層の上に形成されたIII−V族化合物半導体からなる第2コレクタ層と、第2コレクタ層の上に形成されたp型のIII−V族化合物半導体からなるベース層と、ベース層の上に形成されたn型のIII−V族化合物半導体からなるエミッタ層と、第1コレクタ層と第2コレクタ層との間に形成されたIII−V族化合物半導体からなる第3コレクタ層とを少なくとも備え、第3コレクタ層の伝導帯端エネルギは、第1コレクタ層と第3コレクタ層との接合界面において第1コレクタ層の伝導帯端エネルギよりも小さく、かつ、第3コレクタ層の伝導帯端エネルギは、第2コレクタ層と第3コレクタ層との接合界面において第2コレクタ層の伝導帯端エネルギよりも小さくされている。
上記ヘテロ接合バイポーラトランジスタにおいて、第3コレクタ層は、アンドープのIII−V族化合物半導体から構成されていればよい。また、第3コレクタ層は、n型のIII−V族化合物半導体から構成されていればよい。この場合、第3コレクタ層を構成する半導体層のうち少なくとも第2コレクタ層に接する半導体層は、縮退しない範囲でn型の不純物が導入されていればよい。なお、第1コレクタ層および第2コレクタ層は、InPから構成され、第3コレクタ層は、InGaAsから構成されていればよい。
以上説明したことにより、本発明によれば、ヘテロ接合バイポーラトランジスタの性能低下を招くバレー間散乱が、実用的に製造できる状態で抑制できるようになるという優れた効果が得られる。
図1は、本発明の実施の形態におけるヘテロ接合バイポーラトランジスタの構成を示す断面図である。 図2は、本発明の実施の形態1におけるヘテロ接合バイポーラトランジスタの積層方向のバンド状態を示すエネルギー・バンド図である。 図3は、本発明の実施の形態2におけるヘテロ接合バイポーラトランジスタの構成を示す断面図である。 図4は、本発明の実施の形態2におけるヘテロ接合バイポーラトランジスタの積層方向のバンド状態を示すエネルギー・バンド図である。 図5は、従来よりあるダブルヘテロ接合バイポーラトランジスタの構成を示す構成図である。 図6は、従来よりあるダブルヘテロ接合バイポーラトランジスタの積層方向のバンド状態を示すエネルギー・バンド図である。 図7は、非特許文献1に提案された構成のダブルヘテロ接合バイポーラトランジスタの構成を示す構成図である。 図8は、非特許文献1に提案された構成のダブルヘテロ接合バイポーラトランジスタの積層方向のバンド状態を示すエネルギー・バンド図である。
以下、本発明の実施の形態について図を参照して説明する。
[実施の形態1]
はじめに、本発明の実施の形態1について図1,図2を用いて説明する。図1は、本発明の実施の形態におけるヘテロ接合バイポーラトランジスタの構成を示す断面図である。また、図2は、本発明の実施の形態1におけるヘテロ接合バイポーラトランジスタの積層方向のバンド状態を示すエネルギー・バンド図である。
このヘテロ接合バイポーラトランジスタは、III−V族化合物半導体からなる基板101と、基板101の上に形成されたn型のIII−V族化合物半導体からなる第1コレクタ層121と、第1コレクタ層121の上に形成されたIII−V族化合物半導体からなる第2コレクタ層122と、第2コレクタ層122の上に形成されたp型のIII−V族化合物半導体からなるベース層131と、ベース層131の上に形成されたn型のIII−V族化合物半導体からなるエミッタ層141とを備える。
加えて、実施の形態1におけるヘテロ接合バイポーラトランジスタは、第1コレクタ層121と第2コレクタ層122との間に形成されたIII−V族化合物半導体からなる第3コレクタ層123を備える。ここで、第3コレクタ層123の伝導帯端エネルギーは、第1コレクタ層121と第3コレクタ層123との接合界面において第1コレクタ層121の伝導帯端エネルギーよりも小さく、かつ、第3コレクタ層123の伝導帯端エネルギーは、第2コレクタ層122と第3コレクタ層123との接合界面において第2コレクタ層122の伝導帯端エネルギーよりも小さくされていることが重要となる。
なお、例えば、基板101は、Feをドープすることで高抵抗とされたInPから構成され、InPの(001)面を主表面としていればよい。また、基板101の上には、n型の不純物が高濃度に導入されたInPからなるサブコレクタ層111、n型の不純物が高濃度に導入されたInGaAsからなる第2サブコレクタ層112が積層されている。これらを積層した上に第1コレクタ層121が形成されている。
第1コレクタ層121は、例えば、n型の不純物として、シリコンが5×1018cm-3程度の濃度で導入されたInPから構成され、層厚50nm程度とされている。また、第2コレクタ層122は、例えば、基板101の側から、層厚70nmのInP層,層厚10nmのInGaAsP層,および層厚10nmのInGaAs層が積層された積層構造体とされている。また、第3コレクタ層123は、アンドープのInGaAsから構成され、層厚10nm程度とされている。
また、ベース層131は、例えば、p型の不純物が高濃度に導入されたInGaAsから構成され、エミッタ層141は、n型のInPから構成されている。
なお、第1コレクタ層121,第3コレクタ層123,第2コレクタ層122,およびベース層131は、例えば、平面視で矩形のメサ形状に形成され(コレクタメサ)、エミッタ層141は、上述したメサよりも小さい面積のメサ形状とされている(エミッタメサ)。また、コレクタメサの周囲の第2サブコレクタ層112の上にコレクタ電極191が形成され、エミッタメサの周囲のベース層131の上にベース電極192が形成されている。また、エミッタ層141の上には、不純物(n型)が高濃度に導入されたInGaAsからなるエミッタキャップ層151を介し、エミッタ電極193が形成されている。
上述した化合物半導体による各層は、よく知られた有機金属化学気相成長法(MOVPE)または分子線エピタキシャル成長法(MBE)などの堆積法で、エピタキシャル成長させることで形成できる。また、コレクタメサおよびエミッタメサは、公知のリソグラフィー技術およびエッチング技術によりパターニングすることで形成すればよい。また、各電極は、例えば、公知の蒸着法およびリフトオフ法などにより形成することができる。なお、上述した実施の形態1におけるヘテロ接合バイポーラトランジスタの詳細については、説明に支障のない範囲で省略している。
次に、実施の形態1におけるヘテロ接合バイポーラトランジスタについて、図2のエネルギー・バンド図を用いて説明する。図2に示すように、第1コレクタ層121と第2コレクタ層122の間に、(接合界面において)伝導帯端エネルギーの小さい第3コレクタ層123を設けることによって、第2コレクタ層122後端のエネルギーが、伝導帯端不連続の分だけ持ち上がっている様子が分かる。
このようなヘテロ構造を組み込むことによって、拡散係数の大きいp型不純物を使用することなく、ポテンシャル・クリフ構造を実現することができる。この結果、実施の形態1によれば、コレクタ電子走行層内のバリスティック電子輸送領域は拡張し、電子速度が向上することになる。このように、実施の形態1によれば、ヘテロ接合バイポーラトランジスタの性能低下を招くバレー間散乱が抑制され、電子速度の向上が図れるようになる。また、実施の形態1によれば、拡散しやすいp形の不純物を用いることがなく第3コレクタ層123を用いており、上述したことが実用的に製造できる状態で実現可能である。
ところで、実施の形態1におけるヘテロ接合バイポーラトランジスタでは、第3コレクタ層123として不純物が添加されていない(アンドープの)InGaAsを用いている。この構成では、第3コレクタ層123の層厚は、次に説明するように、適宜に薄くしておくことが重要となる。
第3コレクタ層123も、空乏化して電子走行領域が存在することになり、電子走行時間が発生する。このため、InGaAsからなる第3コレクタ層123が厚すぎると、ある程度長い電子走行時間が発生することになる。このような状態では、形成された電子走行領域において強いバレー間散乱が発生することになり、電子速度が急激に劣化し、全体のコレクタ走行時間を大きく増加させる危険性がある。
このため、第3コレクタ層123の層厚は、例えば、バレー間散乱が発生しない範囲での薄い層とした方がよい。ただし、薄くしすぎると、前述した、第3コレクタ層123を設けたことによる、第2コレクタ層122後端のエネルギーが伝導帯端不連続の分だけ持ち上がる状態が得られなくなる。従って、この状態が得られ、かつ、バレー間散乱が発生しない範囲に、第3コレクタ層123の層厚を適宜に設定すればよい。
[実施の形態2]
次に、本発明の実施の形態2について図3,図4を用いて説明する。図3は、本発明の実施の形態2におけるヘテロ接合バイポーラトランジスタの構成を示す断面図である。また、図4は、本発明の実施の形態2におけるヘテロ接合バイポーラトランジスタの積層方向のバンド状態を示すエネルギー・バンド図である。
このヘテロ接合バイポーラトランジスタは、III−V族化合物半導体からなる基板201と、基板201の上に形成されたn型のIII−V族化合物半導体からなる第1コレクタ層221と、第1コレクタ層221の上に形成されたIII−V族化合物半導体からなる第2コレクタ層222と、第2コレクタ層222の上に形成されたp型のIII−V族化合物半導体からなるベース層231と、ベース層231の上に形成されたn型のIII−V族化合物半導体からなるエミッタ層241とを備える。
加えて、実施の形態2におけるヘテロ接合バイポーラトランジスタは、第1コレクタ層221と第2コレクタ層222との間に形成されたIII−V族化合物半導体からなる第3コレクタ層223を備える。ここで、第3コレクタ層223の伝導帯端エネルギーは、第1コレクタ層221と第3コレクタ層223との接合界面において第1コレクタ層221の伝導帯端エネルギーよりも小さく、かつ、第3コレクタ層223の伝導帯端エネルギーは、第2コレクタ層222と第3コレクタ層223との接合界面において第2コレクタ層222の伝導帯端エネルギーよりも小さくされていることが重要となる。また、実施の形態2では、第3コレクタ層223をn型のIII−V族化合物半導体から構成している。
なお、例えば、基板201は、Feをドープすることで高抵抗とされたInPから構成され、InPの(001)面を主表面としていればよい。また、基板201の上には、n型の不純物が高濃度に導入されたInPからなるサブコレクタ層211、n型の不純物が高濃度に導入されたInGaAsからなる第2サブコレクタ層212が積層されている。これらを積層した上に第1コレクタ層221が形成されている。
第1コレクタ層221は、例えば、n型の不純物として、シリコンが5×1018cm-3程度の濃度で導入されたInPから構成され、層厚50nm程度とされている。また、第2コレクタ層222は、例えば、基板201の側から、層厚70nmのInP層,層厚10nmのInGaAsP層,および層厚10nmのInGaAs層が積層された積層構造体とされている。また、実施の形態2では、第3コレクタ層223は、n型の不純物として、シリコンが2×1017cm-3程度の濃度で導入されたInGaAsから構成され、層厚100nm程度とされている。
また、ベース層231は、例えば、p型の不純物が高濃度に導入されたInGaAsから構成され、エミッタ層241は、n型のInPから構成されている。
なお、第1コレクタ層221,第3コレクタ層223,第2コレクタ層222,およびベース層231は、例えば、平面視で矩形のメサ形状に形成され(コレクタメサ)、エミッタ層241は、上述したメサよりも小さい面積のメサ形状とされている(エミッタメサ)。また、コレクタメサの周囲の第2サブコレクタ層212の上にコレクタ電極291が形成され、エミッタメサの周囲のベース層231の上にベース電極292が形成されている。また、エミッタ層241の上には、n型の不純物が導入されたInGaAsからなるエミッタキャップ層251を介し、エミッタ電極293が形成されている。
上述した化合物半導体による各層は、よく知られた有機金属化学気相成長法または分子線エピタキシャル成長法などの堆積法で、エピタキシャル成長させることで形成できる。また、コレクタメサおよびエミッタメサは、公知のリソグラフィー技術およびエッチング技術によりパターニングすることで形成すればよい。また、各電極は、例えば、公知の蒸着法およびリフトオフ法などにより形成することができる。なお、上述した実施の形態2におけるヘテロ接合バイポーラトランジスタの詳細については、説明に支障のない範囲で省略している。
次に、実施の形態2におけるヘテロ接合バイポーラトランジスタについて、図4のエネルギー・バンド図を用いて説明する。図4に示すように、第1コレクタ層221と第2コレクタ層222の間に、(接合界面において)伝導帯端エネルギーの小さい第3コレクタ層223を設けることによって、第2コレクタ層222後端のエネルギーが、伝導帯端不連続の分だけ持ち上がっている。
このようなヘテロ構造を組み込むことによって、拡散係数の大きいp型不純物を使用することなく、ポテンシャル・クリフ構造を実現することができる。この結果、実施の形態2においても、コレクタ電子走行層内のバリスティック電子輸送領域は拡張し、電子速度が向上することになる。このように、実施の形態2においても、ヘテロ接合バイポーラトランジスタの性能低下を招くバレー間散乱が抑制され、電子速度の向上が図れるようになる。また、実施の形態2においても、拡散しやすいp形の不純物を用いることがなく第3コレクタ層223を用いており、上述したことが実用的に製造できる状態で実現可能である。
また、実施の形態2では、第3コレクタ層223をn型のInGaAsから構成しているため、実施の形態1の場合のように、第3コレクタ層223内に問題となるような空乏化領域が発生することはない。このため、実施の形態2では、第3コレクタ層223の層厚に特に制限を設ける必要がない。
ただし、実施の形態2では、第3コレクタ層223における不純物濃度に注意が必要である。InGaAsから構成している第3コレクタ層223のフェルミ準位が伝導帯端を超えるほど不純物が添加されていると、第2コレクタ層222後端のエネルギーの持ち上がりが目減りし、この結果、バリスティック電子輸送領域の拡張が抑制されるようになる。従って、第3コレクタ層223におけるn型不純物の濃度は、少なくとも第2コレクタ層222に接する領域については、縮退しない程度に抑えておくことが望ましい。言い換えると、第3コレクタ層223を構成する半導体層のうち第2コレクタ層222に接する半導体層は、縮退しない範囲でn型の不純物が導入されていることが望ましい。
以上に説明したように、本発明では、伝導帯端エネルギーが、第1コレクタ層と第3コレクタ層との接合界面において第1コレクタ層の伝導帯端エネルギーよりも小さく、かつ、第3コレクタ層の伝導帯端エネルギーは、第2コレクタ層と第3コレクタ層との接合界面において第2コレクタ層の伝導帯端エネルギーよりも小さい状態とした第3コレクタ層を、第1コレクタ層と第2コレクタ層との間に設けるようにした。ここで、第3コレクタ層は、アンドープもしくはn型のIII−V族化合物半導体から構成すること、言い換えると、p型ではない状態とすることが重要となる。
この結果、本発明によれば、第3コレクタ層に拡散係数が大きいp型不純物を用いる必要がなく、実用的に製造することができる状態で、ヘテロ接合バイポーラトランジスタの性能低下を招くバレー間散乱が抑制できるようになる。
なお、本発明は以上に説明した実施の形態に限定されるものではなく、本発明の技術的思想内で、当分野において通常の知識を有する者により、多くの変形および組み合わせが実施可能であることは明白である。例えば、上述した実施の形態では、コレクタをタイプI型のヘテロ接合からなる積層構造を用いた場合の構成を例に説明したが、これに限るものではなく、タイプII型のヘテロ接合からなる積層構造を用いてもよい。また、上述した実施の形態では、ベース層をInGaAsから構成した場合を例に説明したが、これに限るものではなく、ベース層は、例えばGaAsSbから構成してもよい。ドーパント(不純物)、各層の構成材料、各層の組成については上記記述に限定されることなく、本発明における素子動作を実現できるものであれば、他の材料を用いてもかまわない。
101…基板、111…第1のサブコレクタ層、112…第2のサブコレクタ層(コレクタ・コンタクト層)、121…第1のコレクタ層、122 …第2のコレクタ層、123…第3のコレクタ層、131…ベース層、141…エミッタ層、151…エミッタ・コンタクト層、191…コレクタ電極、192…ベース電極、193…エミッタ電極。

Claims (5)

  1. III−V族化合物半導体からなる基板と、
    前記基板の上に形成されたn型のIII−V族化合物半導体からなる第1コレクタ層と、
    前記第1コレクタ層の上に形成されたIII−V族化合物半導体からなる第2コレクタ層と、
    前記第2コレクタ層の上に形成されたp型のIII−V族化合物半導体からなるベース層と、
    前記ベース層の上に形成されたn型のIII−V族化合物半導体からなるエミッタ層と、
    前記第1コレクタ層と第2コレクタ層との間に形成されたIII−V族化合物半導体からなる第3コレクタ層と
    を少なくとも備え、
    前記第3コレクタ層の伝導帯端エネルギは、前記第1コレクタ層と前記第3コレクタ層との接合界面において前記第1コレクタ層の伝導帯端エネルギよりも小さく、かつ、前記第3コレクタ層の伝導帯端エネルギは、前記第2コレクタ層と前記第3コレクタ層との接合界面において前記第2コレクタ層の伝導帯端エネルギよりも小さくされている
    ことを特徴とするヘテロ接合バイポーラトランジスタ。
  2. 請求項1記載のヘテロ接合バイポーラトランジスタにおいて、
    前記第3コレクタ層は、アンドープのIII−V族化合物半導体から構成されていることを特徴とするヘテロ接合バイポーラトランジスタ。
  3. 請求項1記載のヘテロ接合バイポーラトランジスタにおいて、
    前記第3コレクタ層は、n型のIII−V族化合物半導体から構成されていることを特徴とするヘテロ接合バイポーラトランジスタ。
  4. 請求項3記載のヘテロ接合バイポーラトランジスタにおいて、
    前記第3コレクタ層を構成する半導体層のうちすくなくとも前記第2コレクタ層に接する半導体層は、縮退しない範囲でn型の不純物が導入されていることを特徴とするヘテロ接合バイポーラトランジスタ。
  5. 請求項1〜4のいずれか1項に記載のヘテロ接合バイポーラトランジスタにおいて、
    前記第1コレクタ層および前記第2コレクタ層は、InPから構成され、
    前記第3コレクタ層は、InGaAsから構成されていることを特徴とするヘテロ接合バイポーラトランジスタ。
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