JP2014122555A - 車両制御装置 - Google Patents
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Abstract
常用ブレーキを作動状態に保持する制御とアイドルストップアンドスタート制御とを適切に実施することができるようにした、車両制御装置を提供する。
【解決手段】
ブレーキ力保持制御部30は、昇圧コンバータ回路6の出力側に接続され昇圧コンバータ回路6の出力電圧から昇圧コンバータ回路6が正常か異常かを判定する。
アイドルストップ制御部40は、昇圧コンバータ回路6の出力側に接続され、検出された路面勾配が平坦を示す所定の路面勾配範囲内である第二条件が成立したと判定した場合に、所定のエンジン停止条件が成立したと判定するとエンジン1を停止させ、所定のエンジン再始動条件が成立したと判定するとエンジン1を再始動するアイドルストップアンドスタート制御を実施する。
【選択図】図1
Description
そこで、アイドルストップ制御と坂道発進補助制御とを組み合わせたものに、電圧降下を防止する昇圧コンバータを追加装備した技術が開発されている。このような技術が特許文献1に開示されている。
本発明は、かかる課題に鑑み創案されたものであり、常用ブレーキを作動状態に保持する制御とアイドルストップアンドスタート制御とを適切に実施することができるようにした、車両制御装置を提供することを目的とする。
はじめに、本実施形態の車両制御装置が装備される車両の駆動系の構成を説明する。
図1に示すように、エンジン1は、ガソリンや軽油などを燃料とする内燃機関の走行駆動源である。エンジン1の出力回転は、図示しない出力軸に出力される。
ここでは、クラッチ2がいわゆる自動クラッチとして構成されたものを説明する。具体的には、図示しないアクチュエータによってクラッチ2の両プレートが接続状態と遮断状態とを切り替えられ、このアクチュエータが後述するエンジンECU50により制御される。ただし、クラッチ2は、自動クラッチに限らず、運転者のクラッチペダル操作に応じて作動するクラッチを用いてもよい。
ここでは、変速機3がいわゆる機械式自動変速機として構成されたものを説明する。この変速機3は、後述するトランスミッションECU(T/M ECU)60により走行状態や負荷要求に応じた変速比に切り替えられる。このT/M ECU60は、運転者により選択されたシフトポジションや変速段に応じて変速機3を制御する。ただし、変速機3は、機械式自動変速機に限らず、運転者による変速操作に応じて変速段を切り替えるマニュアル変速機を用いてもよい。
変速機3から出力された回転出力は、プロペラシャフト,ディファレンシャルおよびドライブシャフト(何れも図示略)の動力伝達系を介して駆動輪(図示略)に伝達される。
モータ4は、エンジン1を始動するためのものである。すなわち、モータ4は、エンジン1をクランキング(始動)させるスタータモータとして機能する。
モータ4の出力軸は、エンジン1のクランクシャフトにワンウェイクラッチを介して接続されている。これにより、モータ4の出力回転はエンジン1のクランクシャフトに伝達され、エンジン1の出力回転はモータ4に伝達されない。このように、モータ4の出力回転でエンジン1のクランクシャフトを回転させ、エンジン1を始動させる。
このモータ4は、後述するエンジンECU50により制御され、バッテリ5からの給電で作動する。
また、バッテリ5は、車載された種々の電装機器に所定の電圧を印加するが、その容量に限りがあるため、車載の電装機器の消費電力が大きくなると電圧降下が発生する場合がある。特に、エンジン1が停止しているときには、オルタネータが作動していないため電圧降下が発生しやすい。このため、エンジン1の始動時には、オルタネータの停止状態でモータ4に大きな消費電力がとられるため電圧降下のおそれも高くなる。
昇圧部6aは、バッテリ5から入力された直流電圧VB(以下、「バッテリ電圧VB」という)を昇圧した直流電圧VU(以下、「昇圧電圧VU」という)に変換して出力する昇圧回路部である。この昇圧部6aは、昇圧動作により昇圧電圧VUを出力する。昇圧電圧VUが出力されているときには、その電流の流量も増加する。
なお、昇圧部6aはコンデンサを有して構成されるため、例えばバッテリ電圧VBの瞬断が発生した際の昇圧部6aはコンデンサの蓄電分を出力する。
切替スイッチ6cは、通電されると閉成して昇圧コンバータ回路6の入力側と出力側とが昇圧部6aとバイパス部6bとにより接続され、通電されないと開成して昇圧コンバータ回路6の入力側と出力側とがバイパス部6bにより接続されるノーマリオープンの開閉スイッチである。言い換えれば、切替スイッチ6cは、閉成して昇圧部6aを有効にし、開成して昇圧部6aを無効にする。ここでは、DC/DCコンバータが、切替スイッチ6cの開閉状態を制御する。例えば、DC/DCコンバータは、その入力側のバッテリ電圧VBが低下したときに、切替スイッチ6cを閉成して昇圧部6aを有効にすることで、昇圧動作を実施する。
次に、制動系の構成を説明する。この制動系は、常用ブレーキを作動操作するための機構である。
ブレーキペダル10は、運転者に踏み込まれてブレーキ操作力が入力されるものである。また、ブレーキブースタ11は、ブレーキペダル10に入力されたブレーキ操作力を倍力(アシスト)するものである。このブレーキブースタ11では、ブレーキ操作力がマスタシリンダ11aで油圧に変換され、この油圧がハイドロリックブースタ11bで加圧される。ここでは、マスタシリンダ11aの内部にブレーキ油室(図示略)が二つ形成されるタンデム型のマスタシリンダを説明する。
前ブレーキ配管12fには、前ブレーキバルブ13fが介装されている。この前ブレーキバルブ13fは、電磁式の常開弁である。また、前ブレーキ配管12fは、前ブレーキバルブ13fよりも他端側(マスタシリンダ11aと反対側)で二股に分岐しており、これらの分岐先の各端部(他端)には、左右各前輪(図示略)にそれぞれ付設されたホイールシリンダ14f,14fが接続されている。各ホイールシリンダ14fの作動により、シューやパッドが各車輪と一体に回転するドラムやディスクと摺動し、制動力が作用する。
同様に、後ブレーキ配管12rには、後ブレーキバルブ13rが介装され、他端に左右各後輪のホイールシリンダ14r,14rが接続されている。
なお、上記の制動系の構成は例示であり、ブレーキ操作力の伝達に油圧(液圧)を用いるものに限らず、エア圧などのその他の作動流体を用いるものであってもよい。
上記のエンジン1,クラッチ2,変速機3,モータ4,昇圧コンバータ回路6及びブレーキバルブ13f,13r(以下、これらのブレーキバルブ13f,13rをまとめて「ブレーキバルブ13」という)は、車両に装備された種々のECU(Electronic Control Unit)により制御されるが、ここでは、本実施形態の車両制御装置により実施されるアイドルストップ制御およびブレーキ力保持制御に係るECU、つまり、EZGO ECU(ブレーキ力保持制御部)30,ISS ECU(Idling Start and Stop ECU,アイドルストップ制御部)40,エンジンECU50およびトランスミッションECU60に着目して説明する。
なお、図示しないが、ISSECU40,エンジンECU50およびT/M ECU60は、昇圧コンバータ回路6を介さずにバッテリ5の出力側に接続されている。
まず、各ECU30,40,50,60に接続される各種デバイスの構成を説明する。
各種デバイスには、CANで接続されるブレーキスイッチ(ブレーキSW)20,車速センサ21およびパーキングブレーキスイッチ(PブレーキSW)22と、ワイヤーハーネスで接続されるEZGOスイッチ(EZGOSW)23,ISSスイッチ(ISS SW)24,スタータスイッチ(スタータSW)25,Gセンサ26およびシフトポジションスイッチ(シフトポジションSW)27とが含まれる。
車速センサ21は、車速を検出するものである。この車速センサ21としては、例えば変速機3の出力軸やプロペラシャフトの回転速度を検出するものや車輪速を検出するものを用いることができ、車速またはこれに対応する速度を検出して出力する公知のセンサを何れも適用しうる。
上記のワイヤーハーネスで接続される各種デバイス23,24,25,26,27は、上記したECUに接続されるものに限らず、その他のECUに接続されてもよいし、CANで接続されてもよい。
本実施形態の車両制御装置では、EZGO ECU30によりブレーキ力保持制御を実施し、ISS ECU40によりアイドルストップ制御を実施し、更にはこれら両制御を並行して実施する。かかる制御の実施には、その前提としてエンジンECU50およびT/M ECU60を用いる。そのため、以下、エンジンECU50,T/M ECU60,EZGO ECU30,ISS ECU40の順に各構成を説明する。
エンジンECU50は、エンジン1に関する点火系,燃料系および吸排気系といった広汎なシステムを制御するが、少なくともエンジン1の始動(クランキング)および停止を制御するものである。具体的には、エンジンECU50は、スタータSW25のON信号が入力され、または、ISS ECU40からエンジン1の再始動指示がされると、モータ4にバッテリ5からの電圧を給電することでエンジン1を始動させる。一方、エンジンECU50は、スタータSW25のOFF信号が入力され、または、ISS ECU40からエンジン1の停止指示がされると、エンジン1を停止させる。
T/M ECU60は、上述のように変速機3の変速段を制御するものである。さらにT/M ECU60は、車両が停止した路面の傾斜角度θを算出する機能ブロックを有する。この機能ブロックによる傾斜角度θの算出を以下に説明する。
まず、車速Vを時間微分する下記の式(1)により車両加速度αVを算出する。
αV=dV/dt ・・・式(1)
そして、前後加速度αSと式(1)で算出された車両加速度αVとの差分を重力加速度gで除算する下記の式(2)により傾斜角度θを求める。
sinθ=(αS−αV)/g ・・・式(2)
傾斜角度に対応する路面勾配は一般にtanθで表されるが、車両が走行可能な路面勾配(10%程度まで)ではtanθ≒sinθであるため、ここではsinθから傾斜角度θを導出している。この傾斜角度θの算出信号はCAN上に出力される。
なお、Gセンサ26に替えて傾斜角センサを用いる場合には、T/M ECU60の傾斜角度θを算出する機能ブロックは省略することができ、この傾斜角センサが路面勾配θを検出する路面勾配検出手段を構成する。
EZGO ECU30は、所定の条件下でブレーキバルブ13を開閉制御してブレーキ力の保持および解除するブレーキ力保持制御を実施するものである。ブレーキバルブ13は、EZGO ECU30から給電されると閉鎖し、給電が停止されると開放する。このブレーキ力保持制御では、その開始条件である所定のブレーキ力保持制御開始条件が成立したと判定されるとブレーキバルブ13を閉鎖させ、その終了条件である所定のブレーキ力保持制御終了条件が成立したと判定されるとブレーキバルブ13を開放させる。これらの開始条件および終了条件は、EZGO ECU30により成否が判定される。
EZGO ECU30は下記の(A1)〜(A7)の条件のそれぞれの成否を判定し、これらの各条件の全ての成立を判定した場合に、ブレーキ力保持制御開始条件の成立を判定する。なお、制動力保持制御開始条件の判定は、下記の(A1)のEZGO SW23がON操作されている、つまり、運転者がブレーキ力保持制御の実施を許可している場合に実施される。
(A1)EZGO SW23がON操作されていること。
(A2)車両が停車したこと。
(A3)常用ブレーキが操作されていること。
(A4)パーキングブレーキが非操作状態であること。
(A5)エンジン1が作動状態であること。
(A6)車両の動力伝達系が動力伝達遮断状態であること。
(A7)その他の条件が成立していること。
上記の(A2)の条件は、車速センサ21により検出された車速が停止判定車速(例えば2km/h)未満、即ち、車速0km/h近傍になっているときに成立し、停止判定車速以上であれば成立しない。
上記の(A4)の条件は、PブレーキSW22からON信号が入力されていれば成立し、OFF信号が入力されていれば成立しない。
上記の(A7)の条件としては、キャブチルト時でないことや急停車でないことなどが挙げられる。
EZGO ECU30は、ブレーキ力保持制御開始条件が成立したと判定すると、ブレーキバルブ13を閉鎖させる。これにより、ブレーキペダル10の踏込み操作によるブレーキ力が保持される。
EZGO ECU30は下記の(B1)〜(B5)の条件のそれぞれの成否を判定し、(B1)〜(B3)の条件の何れかが成立し且つ(B4)および(B5)の各条件が何れもが成立した場合に、ブレーキ力保持制御終了条件が成立したと判定する。なお、ブレーキ力保持制御終了条件の判定は、当然ながらブレーキ力保持制御中に実施される。
(B1)EZGO SW23がOFF操作されたこと。
(B2)運転者により発車操作がされたこと。
(B3)パーキングブレーキが非作動操作されたこと。
(B4)エンジンが作動状態であること。
(B5)その他の条件が成立していること。
上記の(B2)の条件は、ブレーキSW20から信号がOFFからONに変化したことや図示しないアクセルペダルの操作がされたときに成立し、そうでなければ成立しない。なお、(B2)の条件は、変速機3がマニュアル変速機であれば、図示しないクラッチペダルが操作されたときに成立し、そうでなければ成立しないこととしてもよい。
上記の(B4)の条件は、上述の(A5)の条件と同じである。
上記の(B5)の条件としては、PTO(Power Take Off)などの作業用装置が作動可能状態でないことなどが挙げられる。
なお、上記の(B1)〜(B5)の条件は例示であり、これらの条件に替えてまたは加えて坂道発進補助制御に用いられる従来公知の終了条件を用いることができる。
EZGO ECU30によるブレーキ力保持制御の実施中に、後述するアイドルストップ制御が並行して実施された場合には、昇圧コンバータ回路6(図2参照)による昇圧動作が実施される。
コンバータ動作判定は、所定の閾値電圧VPと昇圧コンバータ回路6の昇圧動作時の出力電圧VOとを比較し、出力電圧VOが閾値電圧VPよりも高ければ昇圧コンバータ回路6は正常と判定され、出力電圧VOが閾値電圧VP以下であれば昇圧コンバータ回路6は異常と判定される。例えば、正常な昇圧コンバータ回路6の出力電圧VO(=昇圧電圧VU)は閾値電圧VPよりも高い。なお、所定の閾値電圧VPは、例えばブレーキバルブ13の閉鎖を保持することのできる下限電圧にマージンを加えた電圧として、EZGO ECU30に予め記憶されている。
EZGO ECU30によるコンバータ動作判定の判定情報(判定フラグFD)はCAN上に出力され、ISS ECU40に入力される。
ISS ECU40は、所定条件下でエンジン1を停止させ再始動させるアイドルストップ制御を実施するものである。このアイドルストップ制御は、所定の前提条件が成立したと判定した上で、その開始条件である所定のエンジン停止条件が成立したと判定されるとエンジン1が停止され、その終了条件である所定のエンジン再始動条件が成立したと判定されるとエンジン1が再始動される。これらの前提条件,開始条件および終了条件は、ISS ECU40により成否が判定される。
ISS ECU40は下記の(C1)および(C2)の条件の成否を判定し、これらの条件の何れかの成立が判定された場合に、前提条件が成立する。なお、前提条件の判定は、ISS SW24がON操作されている、つまり、運転者がアイドルストップ制御を許可している場合であって、且つ、車速が明らかな走行状態を示す(例えば10km/h以上を示す)ようになったときから開始される。
(C1)昇圧コンバータ回路6の昇圧動作が正常であること。
(C2)バルブ開放可能条件が成立していること。
上記の(C2)の条件に係るバルブ開放可能条件とは、ブレーキバルブ13を閉鎖保持状態から解放しても支障がない条件である。ISS ECU40は、下記の条件(I)または(II)が成立した場合に成立し、バルブ開放可能条件が成立したと判定する。
(I)路面勾配θが平坦を示すこと。
(II)EZGO SW23がOFF操作されていること。
上記の条件(II)は、上述の条件(A1)の成否と逆の関係である。
ISS ECU40は下記の(D1)〜(D5)の条件のそれぞれの成否を判定し、これらの各条件の全ての成立が判定された場合に、エンジン停止条件が成立する。なお、エンジン停止条件の判定は、下記の(D1)のISS SW24がON操作されている、つまり、運転者がアイドルストップ制御を許可している場合であって、且つ、車速が明らかな走行状態を示す(例えば10km/h以上を示す)ようになったときから開始される。
(D1)ISS SW24がON操作されていること。
(D2)車両が停車したこと。
(D3)常用ブレーキが操作されていること。
(D4)Dレンジが選択され自動クラッチが動力伝達遮断状態であること。
(D5)その他の条件が成立していること。
上記の(D2)の条件は上述の(A2)の条件と同じであり、上記の(D3)の条件は上述の(A3)の条件と同じである。
上記の(D4)の条件は、シフトポジションSW27から入力された選択レンジ信号がDレンジに対応する信号であり且つ上述の(A6)の条件を満たすときに成立し、そうでなければ成立しない。なお、(D4)の条件は、変速機3がマニュアル変速機であれば、クラッチペダルが踏み込まれることとしてもよい。
ISS ECU40は、エンジン停止条件が成立したと判定すると、エンジンECU50にエンジン1の停止指示を出力する。これにより、エンジン1が停止される。
ISS ECU40は下記の(E1)および(E2)の各条件の成否を判定し、これらの条件の何れかの成立が判定された場合に、エンジン再始動条件が成立する。
(E1)Dレンジの選択中にブレーキ操作が解除されること。
(E2)エンジン停止中に非走行レンジ(例えばPレンジやNレンジ)に切り替えられ、非走行レンジから走行レンジ(例えばDレンジまたはRレンジ)に切り替えられること。
上記の(E2)の条件は、シフトポジションSW27から入力された選択レンジ信号が非走行レンジに対応する信号から走行レンジに対応する信号に変化すると成立し、そうでなければ成立しない。
また、ISS ECU40は、上記の(C1)および(C2)の両条件の不成立を判定した場合、即ち前提条件の不成立を判定した場合には、アイドルストップ制御を実施しない。
次に、図3のフローチャートを用いて、ISS ECU40で実施される制御手順を説明する。このフローチャートは所定の制御周期で繰り返し実施される。この制御フローは、スタータSW25がON操作(キーオン操作)されるとスタートし、OFF操作(キーオフ操作)されると終了する。また、フローチャート中の各ステップは、ISS ECU40のハードウェアに割り当てられた各機能がソフトウェア(コンピュータプログラム)によって動作することで実施される。図示しないが、EZGO ECU30では、このISS ECU40による処理と並行して、例えばISS ECU40の制御周期と同様の制御周期で、常時コンバータ動作判定を実施する。
ステップS20では、路面勾配θの絶対値が所定の路面勾配θP未満であるか否か、即ち、路面勾配θが平坦を示す所定の路面勾配θP範囲内であるか否かを判定する。路面勾配θの絶対値が、所定の路面勾配θP未満であればステップS30へ移行し、所定の路面勾配θP以上であればステップS200へ移行する。
ステップS30では、ブレーキ力保持制御開始条件が成立している否かの情報をEZGO ECU30から取得する。例えば、EZGO SW23がON操作されているかや、ブレーキSW20のON信号が入力されているかなどがEZGO ECU30により判定され、上述の(A1)〜(A7)の条件が成立しているかの情報を取得する。ブレーキ力保持制御開始条件が成立していればステップS40へ移行し、成立しなければステップS200へ移行する。なお、ブレーキ力保持制御開始条件が成立していれば、ブレーキバルブ13が閉成される。
ステップS50では、このエンジン1の再始動時に得られる昇圧コンバータ回路6の動作判定の情報を取得する。具体的には、EZGO ECU30からのコンバータ動作にかかる判定フラグFDを読込む。昇圧コンバータ回路6が正常(判定フラグFD=1)であればステップS60へ移行し、昇圧コンバータ回路6が異常(判定フラグFD=0)であればステップS70へ移行する。
ステップS80では、初回フラグFSを1にセットする。そして本制御周期を終了する。
本実施形態の車両制御装置は、上述のように構成されるため、以下のような作用および効果を得ることができる。
本発明の一実施形態に係る車両制御装置によれば、ISS ECU40が、昇圧コンバータ回路6の正常が判定されていないが上述の条件(I)である路面勾配θが平坦を示す所定の路面勾配θP範囲内であることまたはEZGO SW23がOFF操作されていることが満たされているとき、即ち、所定の前提条件が満たされているときには、所定のエンジン停止条件および所定のエンジン再始動条件が成立したと判定するとアイドルストップ制御を実施することができるため、昇圧コンバータ回路6が異常を示していたとしても安全を確保しつつアイドルストップ制御を実施することができる。これにより、実施されたアイドルストップ制御におけるエンジン1の再始動時には、昇圧コンバータ回路6の正常または異常を判定することができるので、ここで正常と判定された場合には上述の(C1)の条件が成立することになり、その後のアイドルストップ制御を実施する機会を確保することができる。これらの条件(I)や(C1)などの所定の前提条件の成立下では、所定のブレーキ力保持制御開始条件および所定のブレーキ力保持制御終了条件の判定に基づいてブレーキ力保持制御部によるブレーキ力保持制御が実施される。したがって、ブレーキ力保持制御とアイドルストップ制御とを適切に実施することができる。または、昇圧コンバータ回路6が異常を示していたとしても昇圧コンバータ回路6の作動を必要としない状況でアイドルストップ制御を実施することができる。よって、アイドルストップ制御を実施する機会が確保され、燃費の向上や排出ガスの低減に寄与する。したがって、ブレーキ力保持制御とアイドルストップ制御とを適切に実施することができる。
次に、本発明の一実施形態に係る変形例について説明する。本変形例では特定制御を実施する状況が異なる。つまり、本変形例の特定制御は、上述の一実施形態のようにスタータSW25の手動操作後に一回だけ実施されるものに限らず、本変形例の特定制御は、その実施後に再び特定制御が実施されることがあり得る。この変形例に係る特定制御を、本変形例のISS ECU40は実施する。
その他の点は上述の一実施形態の構成と同様の構成になっており、これらについての詳細な説明は省略する。
また、ISS ECU40は、所定の前提条件の不成立を判定した場合にはアイドルストップ制御を実施しない。つまり、昇圧コンバータ回路6が異常を示し且つバルブ開放可能条件が不成立の場合にアイドルストップ制御が実施されないため、安全を確保することができる。
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができる。
また、上述の実施形態では、ISS ECU40が昇圧コンバータ回路6を介さずにバッテリ5の出力側に接続されたものを示したが、ISS ECU40が昇圧コンバータ回路6の出力側に接続され、さらにISS ECU40がコンバータ動作判定を実施してもよい。この場合、昇圧コンバータ回路6とISS ECU40とをハーネス接続するだけで、上述の一実施形態の効果と同等の効果を得ることができる。
2 クラッチ
3 変速機
4 モータ
5 バッテリ
6 昇圧コンバータ回路
6a 昇圧部
6b バイパス部
6c 切替スイッチ(切替部)
7 バイパス部
13f ブレーキバルブ
13r ブレーキバルブ
20 ブレーキスイッチ
21 車速センサ
23 EZGOスイッチ
24 ISSスイッチ
25 スタータスイッチ(イグニッションキー,キー操作)
26 Gセンサ
30 EZGO ECU(ブレーキ力保持制御部)
40 ISS ECU(アイドルストップ制御部)
50 エンジン ECU
60 トランスミッションECU(T/M ECU)
Claims (4)
- エンジンを始動させるモータに給電するバッテリと、
所定の前提条件の成立を判定した場合に、所定のエンジン停止条件が成立したと判定すると前記エンジンを停止させ、所定のエンジン再始動条件が成立したと判定すると前記モータを作動させて前記エンジンを再始動させるアイドルストップアンドスタート制御を実施するアイドルストップ制御部と、
常用ブレーキの作動流体の流路に介装され、閉鎖されると前記作動流体の流通を遮断し、開放されると前記作動流体の流通遮断を解除する電磁式の常開弁であるバルブと、
前記バッテリからの電圧を昇圧して昇圧電圧を出力可能な昇圧コンバータ回路と、
路面勾配を検出する勾配検出手段と、
所定のブレーキ力保持制御開始条件が成立したと判定すると前記バルブを閉鎖させ、所定のブレーキ力保持制御終了条件が成立したと判定すると前記バルブを開放させるブレーキ力保持制御を実施するブレーキ力保持制御部と、
を備えた車両制御装置であって、
前記ブレーキ力保持制御部は、前記昇圧コンバータ回路の出力側に接続され、前記バルブの閉鎖中に前記エンジンが再始動され前記バッテリが電圧降下する際には、前記昇圧コンバータ回路により昇圧された電圧を前記バルブに供給すると共に、前記昇圧コンバータ回路の出力電圧を検出して前記出力電圧から前記昇圧コンバータ回路が正常か異常かを判定し、
前記所定の前提条件には、前記ブレーキ力保持制御部により前記昇圧コンバータ回路が正常であったと判定されたことである第一条件と、前記ブレーキ力保持制御部により前記昇圧コンバータ回路の正常が判定されていないが前記勾配検出手段により検出された路面勾配が平坦を示す所定の路面勾配範囲内であることである第二条件とが設定され、
前記アイドルストップ制御部は、前記第一条件および第二条件の何れかが成立したと判定すると前記所定の前提条件が成立したと判定する
ことを特徴とする、車両制御装置。 - 前記アイドルストップ制御部は、前記第二条件の成立による前記アイドルストップアンドスタート制御を、運転者の手動による前記エンジンの始動後に一回だけ実施する
ことを特徴とする、請求項1に記載の車両制御装置。 - 前記ブレーキ力保持制御部は、前記昇圧コンバータ回路が正常か異常かの判定を、前記アイドルストップアンドスタート制御により前記エンジンの再始動時に実施し、運転者の手動による前記エンジンの始動時には実施しない
ことを特徴とする、請求項1または2に記載の車両制御装置。 - 前記昇圧コンバータ回路は、前記バッテリからの電圧を昇圧して出力する昇圧部と、前記昇圧部をバイパスして前記バッテリからの電圧を出力するバイパス部と、前記昇圧部を有効にする切替部とを有し、前記バッテリの電圧降下時に前記切替部により前記昇圧部を有効にする
ことを特徴とする、請求項1〜3の何れか1項に記載の車両制御装置。
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