JP2014119736A - 採光シート、採光装置、及び建物 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】建物の採光部に配置されるシート状である採光シートであって、透光性を有するシート状の基材層22と、該基材層の一方の面に形成された、光を散乱する光散乱層23と、を備え、光散乱層は、基材層の一方の面に沿って複数並べて配置された、光を透過する光透過部24と、隣り合う光透過部間に配置された、光を散乱する光散乱部25と、を有し、光散乱部の基材層とは反対側に、光を吸収する光吸収部位25’’が備えられている、採光シートとする。
【選択図】図3
Description
また、特許文献2に開示されている板状の採光用光学素子では、光が当該板状の採光用光学素子を透過する際に屈折するため、当該板状の採光用光学素子を通して反対側を見る際に鮮明さが不足するという問題があった。さらに、特許文献2に開示されている採光用光学素子は、プリズム状の凹凸が室内側に露出しているため、設置場所によっては損傷を受けやすく、耐久性に問題があった。
また、撥水性向上のために用いることができる材料としては、フッ素系化合物等が挙げられる。
一方、光散乱部25は隣り合う光透過部24の間に配置されている。
光透過部24は光を透過する部位である。光散乱層23が光透過部24を備えていることによって、採光シート20を通して室外側の景色が見やすくなる。また、光散乱層23のうち光透過部24が配置された部位における基材層22側の面とその反対側面(接着層26側の面)とは平行且つ平滑に形成されている。これによって、採光シート20を通して室外側の景色がさらに見やすくなる。光透過部24は、光を散乱させることなく透過する部位であることが好ましい。これにより背面側の景色の見易さがさらに向上する。ここに「光を散乱させることなく透過する部位」とは、意図的に散乱させる材料等を添加することなく形成された部位であることを意味し、当該部位中を光が透過するときに不可避的に散乱が生じることは許容される。
ここで光透過部24を構成する材料の屈折率は、基材層22の屈折率と同じであってもよいし、異なっていてもよい。ただし両者間で屈折率差があるとその界面で光が偏向されてしまう可能性が高まるので、同じ材料であること、又は異なる材料であっても屈折率差が小さい、あるいは屈折率差がないことが好ましい。
ただし、これに限らず光散乱部位25’に用いる硬化性樹脂の屈折率と光透過部24を構成する樹脂の屈折率とを同じ、又は近い大きさとしてもよい。
当該光透過性を有する樹脂としては光透過部24を構成する樹脂と同様のものを用いることができる。
一方、上記光吸収粒子としては、カーボンブラック等の光吸収性の着色粒子が好ましく用いられる。ただし、これに限定されず、例えば吸収すべき光の特性に合わせて特定の波長を選択的に吸収する着色粒子を光吸収粒子として用いてもよい。着色粒子の具体例としては、カーボンブラック、グラファイト、黒色酸化鉄等の金属塩、染料、顔料等で着色した有機微粒子や着色したガラスビーズ等を挙げることができる。これらの中では、コスト面、品質面、入手の容易さ等の観点から着色した有機微粒子が好ましい。より具体的には、カーボンブラックを含有したアクリル架橋微粒子や、カーボンブラックを含有したウレタン架橋微粒子等が好ましい。
θUおよびθDは、光散乱層23の作製を容易にする等の観点から0°以上30°以下とすることが好ましい。
図5(a)は台形断面の脚部が凸状の曲線の光散乱部25aの例、図5(b)は台形断面の脚部が凹状の曲線の光散乱部25bの例、及び図5(c)は台形断面の脚部が折れ線状の光散乱部25cの例である。
図5(d)には、光散乱部の台形断面のうち下底側(光透過部間に形成される溝の開口側)が凹状に形成されている例の光散乱部25dを表した。この場合、当該凹状の内側には隣接する接着層26を構成する材料が充填される。
以上説明したように、採光シート20は、反対側を透視しやすい構造も具備している。
基本的な考え方は式(3)、式(4)の算出と同様であるから、図9からわかるように、仰角θSLによる太陽光LSLが見込み線VIa(図4参照)に沿うように進むことを考えればよいので、下記式(6)を得ることができる。
このように少なくとも2回にわたって光透過部24間の凹部にそれぞれの組成物を供給、スキージ、及び硬化することで光散乱部25を形成することができる。
一方、光散乱部225は隣り合う光透過部224の間に配置されている。
光透過部224は光を透過する部位である。光散乱層223が光透過部224を備えていることによって、採光シート220を通して室外側の景色が見やすくなる。また、光散乱層223のうち光透過部224が配置された部位における基材層22側の面とその反対側面(接着層26側の面)とは平行且つ平滑に形成されている。これによって、採光シート220を通して室外側の景色がさらに見やすくなる。光透過部224は、光を散乱させることなく透過する部位であることが好ましい。これにより背面側の景色の見易さがさらに向上する。ここに「光を散乱させることなく透過する部位」とは、意図的に散乱させる材料等を添加することなく形成された部位であることを意味し、当該部位中を光が透過するときに不可避的に散乱が生じることは許容される。
ここで光透過部224を構成する材料の屈折率は、基材層22の屈折率と同じであってもよいし、異なっていてもよい。ただし両者間で屈折率差があるとその界面で光が偏向されてしまう可能性が高まるので、同じ材料であること、又は異なる材料であっても屈折率差が小さい、あるいは屈折率差がないことが好ましい。
なお、光透過部224側から光透過部224と光散乱部位225’との界面に達した光を該界面で全反射させずに光散乱部位225’に入射させやすくする観点から、光透過部224を構成する材料の屈折率と光散乱部位225’に用いる硬化性樹脂の屈折率との差が小さい、又は、光透過部224を構成する材料の屈折率が光散乱部位225’に用いる硬化性樹脂の屈折率より小さいことが好ましい。例えば、光透過部224を構成する材料の屈折率をNPとし、光散乱部位225’に用いる硬化性樹脂の屈折率をNBとすると、−0.07≦NB−NP≦0.07であることが好ましく、0.00≦NB−NP≦0.07であることがより好ましい。
当該光透過性を有する樹脂としては光透過部224を構成する樹脂と同様のものを用いることができる。
一方、上記光吸収粒子としては、カーボンブラック等の光吸収性の着色粒子が好ましく用いられる。ただし、これに限定されず、例えば吸収すべき光の特性に合わせて特定の波長を選択的に吸収する着色粒子を光吸収粒子として用いてもよい。着色粒子の具体例としては、カーボンブラック、グラファイト、黒色酸化鉄等の金属塩、染料、顔料等で着色した有機微粒子や着色したガラスビーズ等を挙げることができる。これらの中では、コスト面、品質面、入手の容易さ等の観点から着色した有機微粒子が好ましい。より具体的には、カーボンブラックを含有したアクリル架橋微粒子や、カーボンブラックを含有したウレタン架橋微粒子等が好ましい。
θEおよびθWは、光散乱層223の作製を容易にする等の観点から0°以上30°以下とすることが好ましい。
以上説明したように、採光シート220は、反対側を透視しやすい構造も具備している。
建物内にいる人にとって日の光が眩しいと感じやすいのは、太陽が低い位置にある日の出の後や日の入りの前である。ここでは、冬至の夕日(日の入り直前の太陽)の光の入射角θSSを考える。すなわち、少なくとも一年のうちで日の入り直前の太陽からの光の入射角が最も小さいときの入射角θSSで太陽光が採光パネル212に入射したときに、直達光の全てを光散乱部位225’に到達させる観点からθ21を規定することができる。図13からわかるように、入射角θSSで入射した光LSSが必ず光散乱部位225’に達するための限度は、光透過部224内を光LSSが見込み線XIa(図11参照)に沿って進む状況である。すなわち、光透過部224内における太陽光進行角θPSが見込み角θ21と同じとなっていればよい。従って、これは、空気の屈折率をN0、光透過部の屈折率をNpとしたとき、屈折率、及び入射角の関係式により下記式(11)で表される。
上述したように、光散乱層23では、光透過部24を構成する材料の屈折率を光散乱部25に用いる硬化性樹脂の屈折率より大きくすることによって、光透過部24と光散乱部25との界面で、斜め上方から入射した外光を全反射させて偏向させることが好ましい。一方、上述したように、光散乱層223では、斜め横方向から光透過部224と光散乱部225との界面に到達した外光を全反射させずに光散乱部225で散乱させることが好ましい。このような光散乱層23が光散乱層223より室内側に備えられる形態とした場合は、光散乱層223で散乱された光が光散乱層23に到達することとなり、上記のように光透過部24と光散乱部25との界面で外光を適切に全反射させて偏向できるように設計することが難しくなる。
実施例1では採光シート20を備える採光パネル12の例による採光パネルを作製した。図14に実施例1における光散乱層の形状を表した。実施例1にかかる採光パネルの詳細は下記の通りである。
ビスフェノールAエチレンオキシド/キシリレンジイソシアネート/フェノキシエチルアクリレート/2−ヒドロキシエチルアクリレート/ビスマストリ(2−エチルヘキサノエート)=30:15:50:5:0.02で混合し、80℃で10時間反応させ、光硬化性プレポリマー(P1)を得た。
一方、ビスフェノールAエチレンオキシド/イソホロンジイソシアネート/フェノキシエチルアクリレート/ビスマストリ(2−エチルヘキサノエート)=30:20:50:0.02で混合し、80℃で10時間反応させ、光硬化性プレポリマー(P2)を得た。
次に、光硬化性プレポリマー(P1)を30質量部、光硬化性プレポリマー(P2)を30質量部、反応性希釈モノマー(M1)としてのフェノキシエチルアクリレートを10質量部、反応性希釈モノマー(M2)としてのビスフェノールAエチレンオキシドを30質量部、金型離型剤(S1)としてのテトラデカノールエチレンオキシド10モル付加物のリン酸エステルを0.03質量部、金型離型剤(S2)としてのステアリルアミンエチレンオキシド15モル付加物を0.03質量部、及び光重合開始剤(I1)としての1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン(商品名:イルガキュア184、メーカー名:BASF)を3質量部混合し、均一化して、光透過部構成組成物を得た。
なお、この光透過部構成組成物を厚さ100μmで塗工し、高圧水銀灯により800mJ/cm2の紫外線を照射して光透過部構成組成物を硬化させ、多波長アッベ屈折率計(株式会社アタゴ製)を用いて、589nmの屈折率を測定したところ、1.550であった。
基材としてはPETフィルム、商品名:A4300、東洋紡績社製、厚さ100μmを用いた。
光散乱層の作製に供される金型ロールを次のように作製した。すなわち、金型ロールは円柱状であり、銅メッキが施され、当該銅メッキ部分をバイトにより切削して光透過部に対応する溝を形成した。バイトとしてはダイヤモンドバイトを用いた。ロール軸方向の所定ピッチで金型ロールの銅メッキ層の外周を切削して溝を形成し、クロムメッキをした。
上記(3)で作製した金型ロールとニップロールとの間に、上記(2)で説明した基材を搬送した。この基材の搬送に合わせ、上記(1)で得られた光透過部構成組成物を基材の基材層上に供給装置から供給し、金型ロールおよびニップロール間の押圧力により、基材層と金型ロールとの間に光透過部構成組成物を充填した。その後、基材側から高圧水銀灯により800mJ/cm2の紫外線を照射して光透過部構成組成物を硬化させて、光透過部を形成した。その後、剥離ロールにより、金型ロールから光透過部を離型し、光透過部を含むシート(中間部材)を作製した。
この光透過部について、圧縮式微小硬度計(FISCHER HM2000)を用いて微小圧子材料に負荷をかけ、これを除荷することによって弾性率を測定した。このとき、負荷力は100mN、負荷速度は4μm/10秒、保持時間は60秒とした。その結果、光透過部の弾性率は800MPaであった。
光硬化性プレポリマー(P3)としてウレタンアクリレートを42質量部、光硬化性プレポリマー(P4)としてエポキシアクリレートを18質量部、反応性希釈モノマー(M3)としてのトリプロピレングリコールジアクリレートを35質量部、反応性希釈モノマー(M4)としてのメトキシトリエチレングリコールアクリレートを5質量部、光散乱剤(D1)としての酸化チタンを5質量部、光重合開始剤(I1)としての1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン(商品名:イルガキュア184、メーカー名:BASF)を7質量部混合し、均一化して、光散乱部を構成する組成物を得た。
なお、この光散乱部を構成する組成物の光散乱剤を除いた成分を厚さ100μmで塗工し、高圧水銀灯により800mJ/cm2の紫外線を照射して組成物を硬化させ、多波長アッベ屈折率計(株式会社アタゴ製)を用いて、589nmの屈折率を測定したところ、1.490であった。
上記(5)で得られた光散乱部位を構成する組成物を、上記(4)で作製した中間部材上に供給装置から供給した。また、中間部材の進行方向と略垂直に配置されたドクターブレードを用いて、中間部材上に供給した光散乱部位を構成する組成物を中間部材に形成された略V字形状の溝(光透過部間の溝)内に充填するとともに、余剰分の光散乱部位を構成する組成物を掻き落とした。その後、高圧水銀灯により800mJ/cm2の紫外線を照射して光散乱部位構成組成物を硬化させ、硬化した組成物によって光散乱部位を形成した(これを1回目の充填と記載することがある。)。この状態では、光散乱部位の表面には、深さ6μmの窪みができていた。
光散乱部位構成組成物の酸化チタンをカーボンブラック5重量%に変更した以外は同様にして、光吸収部位構成組成物を調整した。
(6)で作製した中間部材の光散乱部位の表面に形成された窪みに、(7)で調整した組成物を、(6)の1回目の充填と同様にして充填および硬化させ、光吸収部位を形成した。このとき、光吸収部位の表面には、深さ3μmの窪みができていた。
以上のようにして、基材層上に光散乱層を形成した。
アクリル系樹脂の粘着剤(商品名:SKダイン2094、綜研化学株式会社、固形分25.0%、溶剤は酢酸エチルとメチルエチルケトン)を100質量部と、架橋剤(E−5XM、L−45、綜研化学株式会社、固形分5.0%)を0.28質量%と、1,2,3−ベンゾトリアゾールを0.25質量部と、希釈溶剤(トルエン/メチルエチルケトン/シクロヘキサノン=27.69g/27.69g/4.61g)を32.0質量部と、を混合して粘着剤組成物を得た。
この組成物を離型フィルム(商品名:E7007、東洋紡績社製、厚さ38μm)に塗布して乾燥させ、上記光散乱層の面と貼り合わせた。
なお、この粘着剤層について、多波長アッベ屈折計DR−M4(株式会社アタゴ製)を用いて589nmの屈折率を測定したところ、1.490であった。また、この粘着剤層の貯蔵弾性率は0.22MPaであった。
上記のようにして形成した接着層によって、透光性を有する板状のパネルに光散乱層を含む採光シートを貼合し、採光パネルを作製した。その後、光透過部および光散乱部が水平方向に延在するとともに鉛直方向に並列されるようにして、採光パネルを建物の南面の開口部に配置した。
光吸収部位を形成しなかった以外は実施例1と同様にして、比較例1にかかる採光パネルを作製した。
光散乱部に相当する部分を全て光吸収部位を構成する材料で形成した以外は実施例1と同様にして、比較例2にかかる採光パネルを作製した。
以上に示した各例の採光パネルについて、斜め上方(パネル13に対する入射角が31°の方向)から太陽光を入射させ、採光効率および外観を評価した。参考例として透光性を有する板状のパネルのみの(採光シートを貼合していない)例についても同様に評価した。表2に結果を表した。なお、採光効率の評価は、室内の明るさを主観評価し、明るいと感じた場合を○、暗いと感じた場合を×とし、その中間を△とした。また、直達光の評価は、室内におけるまぶしさを主観評価した。すなわち、室内側から太陽光が照射された方向を見て、まぶしくないと感じた場合を○、直視できないと感じた場合を×とした。また、外観の評価は、室外から室内を見たときの見え方を主観評価し、不自然な白さがないと感じた場合を○、不自然に白く見えたと感じた場合を×とし、その中間を△とした。
一方、比較例1では光吸収部位が備えられていないことによって、室外側から室内側を見たときに外光が散乱されて不自然に白く見えた。また、比較例2では吸収された太陽光が多く、採光効率が悪くなった。
なお、採光シートを使用しなかった参考例1では採光効率も外観も優れていたが、直達光によってまぶしかった。
10 採光装置
11 枠
12 採光パネル
13 パネル
20 採光シート
21 ハードコート層
22 基材層
23 光散乱層
24 光透過部
25 光散乱部
25’ 光散乱部位
25’’ 光吸収部位
26 接着層
Claims (6)
- 建物の採光部に配置されるシート状である採光シートであって、
透光性を有するシート状の基材層と、該基材層の一方の面に形成された、光を散乱する光散乱層と、を備え、
前記光散乱層は、
前記基材層の一方の面に沿って複数並べて配置された、光を透過する光透過部と、
隣り合う前記光透過部間に配置された、光を散乱する光散乱部と、を有し、
前記光散乱部の前記基材層とは反対側に、光を吸収する光吸収部位が備えられている、
採光シート。 - 光吸収部位が前記基材層より前記建物の室外側となるように前記建物の採光部に配置される、請求項1に記載の採光シート。
- 前記光透過部及び前記光散乱部が水平方向に延在するとともに鉛直方向に並列するように前記建物の採光部に配置される、請求項1または2に記載の採光シート。
- 前記光透過部及び前記光散乱部が鉛直方向に延在するとともに水平方向に並列するように前記建物の採光部に配置される、請求項1または2に記載の採光シート。
- 建物の採光部に備えられる採光装置であって、
透光性を有する板状のパネルと、
前記パネルの一方の面に貼付された請求項1乃至4のいずれか1項に記載の採光シートと、
少なくとも前記パネルの周囲を囲むように配置された枠と、
を備える採光装置。 - 採光部に請求項5に記載の採光装置が設置された建物。
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