JP6186715B2 - 採光シート、採光装置、及び建物 - Google Patents
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Description
また、特許文献2に開示されている技術では、外側から入射する光について制御できるが、室内側から外を見たときに像が屈折するため、外の景色を見るための鮮明さに不足があった。さらに、特許文献2に開示されている採光用光学素子は、プリズム状の凹凸が室内側に露出しているため、設置場所によっては損傷を受けやすく、耐久性に問題があった。
また、これまでの技術では、主に斜め上方から斜め下方に向かって室内に入射する光の制御について考えられており、斜め下方から斜め上方に向かって室内に入射する光の制御について詳細に検討されていなかった。例えば、ライトシェルフなどを用いた場合は、斜め下方から斜め上方に向かって室内に光が入射することがある。
図2には1つの採光装置10を室外側から正面視した図を表した。図2に示したように、採光装置10は枠11と該枠11の枠組み内に配置された採光パネル12と採光パネル12の室外側(外光が入射する側)に略水平に設置されたライトシェルフ30とを備えている。採光装置10はいわゆる窓として構成されており、当該採光装置10が上記のように建物1の開口部に配置される。
一方、光散乱部25は隣り合う光透過部24の間に配置されている。
光透過部24は、光を透過する部位であり、光散乱層23のうち光透過部24が配置された部位における基材層22側の面とその反対側面(接着層26側の面)とは平行且つ平滑に形成されている。これによって、後に説明するように採光シート20を通して室外側の景色がさらに見やすくなる。好ましくは、光透過部24は光を散乱させることなく透過する。これにより背面側の景色の見易さが向上する。ここに「光を散乱させることなく透過する」とは、意図的に散乱させる材料等を添加することなく形成された部位であることを意味し、材料中を光が透過するときに不可避的に散乱が生じることは許容される。
ここで光透過部24を構成する材料の屈折率は、基材層22の屈折率と同じであってもよいし、異なっていてもよい。ただし両者間で屈折率差があるとその界面で光が偏向されてしまう可能性が高まるので、同じ材料であること、又は異なる材料であっても屈折率差が小さい、あるいは屈折率差がないことが好ましい。
図5(a)は台形の脚部が凸状の曲線の光散乱部25aの例、図5(b)は台形の脚部が凹状の曲線の光散乱部25bの例、及び図5(c)は台形の脚部が折れ線状の光散乱部25cの例である。
図5(d)には、光散乱部の台形断面うち下底側(光透過部間に形成される溝の開口側)が凹状に形成されている例の光散乱部25dを表した。この場合、当該凹状の内側には隣接する接着層26の接着剤が充填される。
図5(e)には、光散乱部の断面形状が三角形である例の光散乱部25eを表した。このように光散乱部は三角形断面を有するものであってもよい。
ただし、上方から採光シート20に入射する太陽光をより多く光透過部24と光散乱部25との界面に到達させる観点から、見込み角θ1を所定の角度範囲に規定することが好ましい。以下に詳しく説明する。
基本的な考え方は式(6)、式(1)の算出と同様であるから、図10からわかるように、仰角θSLによる太陽光LSLが見込み線IVaに沿うように進むことを考えればよいので、式(8)を得ることができる。
光散乱部25’の形態を含め、他の部位の形態については採光シート20と同様に考えることができる。
また、各実施例及び比較例で用いる光透過部の屈折率Npは1.55である。従って、仰角θSLのとき、光透過部内を進む太陽光の進行角(太陽光進行角)θPは19.4°である。
実施例1では採光シート20を備える採光パネル12の例による採光パネルを作製した。図12、表2に実施例1における光散乱層の形状を表した。これらからわかるように、実施例1では、見込み角θ1を19.4°とし、仰角θSLのときの太陽光進行角θPと同じとした。
ビスフェノールAエチレンオキシド/キシリレンジイソシアネート/フェノキシエチルアクリレート/2−ヒドロキシエチルアクリレート/ビスマストリ(2−エチルヘキサノエート)=30:15:50:5:0.02で混合し、80℃で10時間反応させ、光硬化性プレポリマー(P1)を得た。
ビスフェノールAエチレンオキシド/イソホロンジイソシアネート/フェノキシエチルアクリレート/ビスマストリ(2−エチルヘキサノエート)=30:20:50:0.02で混合し、80℃で10時間反応させ、光硬化性プレポリマー(P2)を得た。
次に、光硬化性プレポリマー(P1)を30質量部、光硬化性プレポリマー(P2)を30質量部、反応性希釈モノマー(M1)としてフェノキシエチルアクリレート10質量部、反応性希釈モノマー(M2)としてビスフェノールAエチレンオキシド30質量部、金型離型剤(S1)として、テトラデカノールエチレンオキシド10モル付加物のリン酸エステル0.03質量部、金型離型剤(S2)として、ステアリルアミンエチレンオキシド15モル付加物0.03質量部、光重合開始剤(I1)として、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン(商品名:イルガキュア184、メーカー名:BASF)を3質量部混合し、均一化して、光透過部構成組成物を得た。
なお、この光透過部構成組成物を厚さ100μmで塗工し、高圧水銀灯により800mJ/cm2の紫外線を照射して光透過部構成組成物を硬化させ、多波長アッベ屈折率計(株式会社アタゴ製)を用いて、589nmの屈折率を測定したところ、1.55であった。
基材層を構成する基材としては、ポリエチレンテレフタレートフィルム(商品名:A4300、東洋紡績社製、厚さ100μm)を用いた。
光散乱層の作製に供される金型ロールを作製した。金型ロールは円柱状であり、銅メッキが施され、当該銅メッキ部分をバイトにより切削して光透過部に対応する溝を形成した。バイトとしてはダイヤモンドバイトを用いた。ロール軸方向の所定ピッチで金型ロールの銅メッキ層の外周を切削して溝を形成した。この切削したロールの表面にクロムメッキを施した。
上記(3)で作製した金型ロールとニップロールとの間に、上記(2)の基材を搬送した。この基材の搬送に合わせ、上記(1)で得られた光透過部構成組成物を供給装置から基材上に供給し、金型ロールおよびニップロール間の押圧力により、基材層と金型ロールとの間に光透過部構成組成物を充填した。その後、基材側から高圧水銀灯により800mJ/cm2の紫外線を照射して光透過部構成組成物を硬化させて、光透過部を形成した。その後、剥離ロールにより、金型ロールから光透過部を離型し、基材層上に光透過部が形成されたシート(中間部材)を作製した。
光硬化性プレポリマー(P3)としてウレタンアクリレートを42質量部、光硬化性プレポリマー(P4)としてエポキシアクリレートを18質量部、反応性希釈モノマー(M3)としてトリプロピレングリコールジアクリレート35質量部、反応性希釈モノマー(M4)としてメトキシトリエチレングリコールアクリレート5質量部、光散乱剤(D1)として酸化チタンを5質量部、光重合開始剤(I1)として、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン(商品名:イルガキュア184、メーカー名:BASF)を7質量部混合し、均一化して、光散乱部構成組成物を得た。
なお、この光散乱部構成組成物の散乱剤を除いた成分を厚さ100μmで塗工し、高圧水銀灯により800mJ/cm2の紫外線を照射して硬化させ、多波長アッベ屈折率計(株式会社アタゴ製)を用いて589nmの屈折率を測定したところ、1.49であった。
上記(5)で得られた光散乱部構成組成物を、上記(4)で作製した中間部材の光透過部が形成された側に供給装置から供給した。また、中間部材の進行方向と略垂直に配置されたドクターブレードを用いて、中間部材上に供給した光散乱部構成組成物を光透過部間に形成された略V字形状の溝内に充填するとともに、余剰分の光散乱部構成組成物を掻き落とした。その後、高圧水銀灯により800mJ/cm2の紫外線を照射して光散乱部構成組成物を硬化させ、硬化した光散乱部構成組成物によって光散乱部を形成した。
以上のようにして基材層上に光散乱層を形成した。
アクリル系樹脂の粘着剤(商品名:SKダイン2094、綜研化学株式会社、固形分25.0%、溶剤は酢酸エチルとメチルエチルケトン)を100質量部と、架橋剤(E−5XM、L−45、綜研化学株式会社、固形分5.0%)を0.28質量部と、1,2,3−ベンゾトリアゾールを0.25質量部と、希釈溶剤(トルエン/メチルエチルケトン/シクロヘキサノン=27.69g/27.69g/4.61g)を32.0質量部と、を混合して粘着剤組成物を得た。この組成物を離型フィルム(商品名:E7007、東洋紡績社製、厚さ38μm)に塗布して乾燥させ、上記光散乱層の面と貼り合わせた。なお、この接着層について、多波長アッベ屈折計DR−M4(株式会社アタゴ製)を用いて589nmの屈折率を測定したところ、1.49であった。また、この接着層の貯蔵弾性率は0.22MPaであった。
上記のようにして形成した接着層によって、透光性を有する板状のパネルに光散乱層を含む採光シートを貼合し、採光パネルを作製した。その後、光透過部および光散乱部が水平方向に延在するとともに鉛直方向に並列されるようにして、採光パネルを建物の南面の開口部に配置した。
図13に実施例2における光散乱層の形状を表した。実施例2は図13に示したように各部の寸法を変更した以外は、実施例1と同様である。
実施例1における光散乱層と基材層とからなるシートの表裏を反対にした以外は実施例1と同様である。
実施例2における光散乱層と基材層とからなるシートの表裏を反対にした以外は実施例2と同様である。
以上示した各例の採光パネルについて、太陽光の取り込み効率について評価した。評価方法は以下の通りである。図14に示したように、採光パネルは、パネル面を鉛直にしたときの高さが60cmとなる大きさに作製し、採光パネルの下端部にライトシェルフを水平に設置した場合と設置しない場合とについて、太陽光が所定の角度θSH、θSLで投射されたときの室内の明るさを主観評価した。なお、ライトシェルフはアルミニウム板であり、大きさは図14に示したように採光パネルに接した端部から反対側の端部までの長さが60cmであり、図14の奥/手前方向の大きさは採光パネルと同一とした。評価基準は、ライトシェルフを設置しなかった場合に比べてライトシェルフを設置した場合に室内が明らかに明るい場合は○、両者の差が明確でない場合は×とした。
10 採光装置
11 枠
12 採光パネル
13 パネル
20 採光シート
21 ハードコート層
22 基材層
23 光散乱層
24 光透過部
25 光散乱部
26 接着層
30 ライトシェルフ
Claims (7)
- シート面が鉛直となるように建物開口部に配置されるシート状である採光シートであって、
透光性を有するシート状の基材層と、前記基材層の一方の面に形成され、光を散乱する光散乱層と、を備え、
前記光散乱層は、
前記基材層の一方の面に沿って複数並べて配置され、光を透過する光透過部と、
隣り合う前記光透過部間に配置され、光を散乱する光散乱部と、を有し、
前記採光シートが前記建物開口部に配置された姿勢での前記光散乱層の厚さ方向の鉛直断面において、
前記光散乱部は上方および下方に前記光透過部との界面を有し、前記下方の前記界面は、室内側端部が室外側端部より高い位置にあり、
前記上方の前記界面の室内側端部と室外側端部とを結ぶ線が水平面となす角のうち90°より小さい方の角をθ U とし、前記下方の前記界面のうち室内側端部と室外側端部とを結ぶ線が水平面となす角のうち90°より小さい方の角をθ D とすると、
θ D >θ U が成立するとともに、
前記θ D は0°以上30°以下である、
採光シート。 - 前記採光シートが前記建物開口部に配置された姿勢での前記光散乱層の厚さ方向の鉛直断面において、前記光散乱部は上下方向に並列されており、
隣接する2つの前記光散乱部のうち下方に配置された前記光散乱部の前記上方の前記界面の室内側端部と、隣接して上方に配置される前記光散乱部の前記下方の前記界面の室外側端部とを結ぶ見込み線が水平面となす角のうち90°より小さい方の角を見込み角θ1、隣接する2つの前記光散乱部のうち上方に配置される前記光散乱部の前記下方の前記界面の室内側端部と、隣接して下方に配置される前記光散乱部の前記上方の前記界面の室外側端部とを結ぶ見込み線が水平面となす角のうち90°より小さい方の角を見込み角θ2、としたとき、
θ2>θ1が成立する、
請求項1に記載の採光シート。 - 建物の開口部に備えられる採光装置であって、
透光性を有する板状のパネルと、
前記パネルの一方の面に貼付される請求項1乃至4のいずれか記載の採光シートと、少なくとも前記パネルの周囲を囲むように配置される枠と、
を備える採光装置。 - さらに、前記採光シート及び前記パネルより室外側にライトシェルフを備える、請求項5に記載の採光装置。
- 開口部に請求項5または6に記載の採光装置が設置された建物。
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