JP2014109293A - ゴムロール及びその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 ゴムロール1のロール本体10の外周面には、長手方向中央に対して、互いに逆向きの螺旋状に配列された複数の溝11が、所定の間隔Lを開けて形成されている。各溝11には、ロール本体10の材料のゴム硬度よりも低いゴム硬度のゴム13が充填されている。ゴムロール1が回転すると、ウェブは主に充填部13にグリップされてロールの中央から左右方向へシフトされ、その結果、シワの発生が抑えられる。さらに、ロールの幅方向中央部において左右の充填部間に所定の間隔が開けられているので、中央部ではウェブのグリップ力が弱く、螺旋方向へ摩擦移動しやすくなり、そのため、ウェブが左右方向へシフトされ、シワの発生が抑制される。
【選択図】 図1
Description
しかしながら、上記ロールを用いた場合であっても、シワ・シフト及びエア膜の発生の防止効果が十分ではなかった。
角度を小さくした場合、ロール本体の表面部のロールの周方向(ロール回転方向)に対する角度が小さくなるので、ロールの回転がエアをよりスムーズに逃がすようになり、ロール本体の表面部のエア抜き作用が高まると予測される。角度を大きくした場合は、ロール回転時にエア抜き作用が少なくなり、ウェブに対する影響が弱くなると予想され、ウェブに対する作用が高くなると予測される。角度は90°程度が好ましいが、前述の角度によるウェブの搬送特性を考慮に入れて、搬送されるウェブの材質や搬送速度等に応じて決定する。
硬度の差が小さいと、グリップ力の差が小さくなり、拡幅作用が生じにくい。一方、差が大きいと、グリップ力の差が大きくなりすぎてウェブの走行に影響が出る場合がある。これらのことを考慮すると、硬度の差は10°〜40°、好ましくは15°〜25°である。
間隔が広すぎると、グリップ力の差によるシワ抑制効果が発揮されず、逆に間隔が狭すぎると、中央の変曲点部分に力が集中していまい、シワが発生してしまう。したがって、間隔は5mm〜20mm程度であることが好ましく、5mm〜15mm程度であることが更に好ましく、5mm〜10mm程度であることが更に好ましい。
図1は、本発明の実施の形態に係るゴムロールの構造を示す平面図である。
ゴムロール1は、ロール本体10と、ロール本体10を支持する軸3と、ロール本体10と軸3間に介されるスリーブ5とを有する。
ロール本体10は、例えば、ゴム硬度が、60〜90°程度のゴム、好ましくは硬度が65〜75°程度のゴム、通常は、ゴム硬度が70°程度のゴム、例えば、NBR系ゴム(ニトリルゴム)、シリコーン系ゴム、EPDM系ゴム、ウレタン系ゴム等で作製される。なお、本明細書において、ゴム硬度は、JIS K6253のタイプAデュロメータ(A型)により測定した値を意味する。
ゴムロール本体10の溝11に充填されたゴム13は、ロール本体10よりもゴム硬度が低い。一般に、ゴム硬度が低いほど摩擦係数が高いので、ロール表面においてゴムロール本体10の表面部と充填部13では摩擦係数に差が生じる。つまり、ゴム硬度の低い充填部13の方が摩擦係数が高くなってウェブのグリップ力が高くなる。ゴムロール1がウェブの搬送に伴って図1の矢印方向に回転すると、左右の螺旋状溝11に充填されたゴム13は、見掛け上、ロール本体10の中央から外方向に移動する。したがって、ロール本体10の表面を搬送されるウェブは、主に充填部13にグリップされてロールの中央から左右方向に拡幅する作用を受け、これによりシワの発生が抑えられる。ただし、ロール本体10自体もある程度のグリップ力を有するので、ウェブのシフト等を起こすことなくウェブを安定にグリップする。
なお、ロール本体や充填部の硬度の選定や溝の形状や寸法などは、搬送されるウェブの種類(材質、厚さなど)やラインの搬送速度等によって適宜決定される。
まず、S1で、硬度が70°程度の材料で作製されたゴムロール本体を準備する。ゴムロール本体の材料としては、NBR系ゴムやシリコーン系ゴム、EPDM系ゴム、ウレタン系ゴム等を使用できる。次に、S2で、このゴムロール本体の表面に、該ゴムロールの長手方向中央に対して互いに逆向きの螺旋状に配列された複数の溝を形成する。左右の溝のなす角度や、溝の幅やピッチは前述の通りとすることができる。
実施例
図1に示すゴムロールを以下のようにして作製した。
まず、S1で、硬度が70°の材料で作製されたゴムロール本体を準備した(直径100mm、長さ1000mm)。ゴムロール本体としては、明和ゴム工業(株)製、ホワイトエレコン70で製造されたものを用いた。次いで、このゴムロール本体の表面に、該ゴムロールの長手方向中央に対して互いに逆向きの螺旋状に配列された複数の溝を形成した。左右の溝のなす角度は90°とし、溝と溝との間隔は5mmとした。
次いで、上記のようにして得られた、ゴムロールの溝に接着剤を塗布し、各溝に、硬度が50°のゴムを充填する。用いたゴムは、明和ゴム工業(株)製、ソフターエレコン50である。これを、加硫釜を用いて加硫し、円筒研磨機により表面を研磨して、ロール表面を平坦にし、本発明のゴムロールを得た 得られたゴムロールを、図3に示すような巻き取りラインのロール40として用い、ウェブ(ポリエチレンテレフタレート製の、厚み40μm、幅800mmのシート)を巻き取り、シワが発生しないかどうかの試験を行った。巻き取り速度は200m/分とし、上記ウェブを巻き取り、得られたウェブのシワの有無を調べたところ、ウェブにシワは全く認められなかった。
5 スリーブ
10 ゴムロール本体 11 溝
13 ゴム(充填部)
Claims (5)
- シートやフィルムなどのウェブを表面で支持して搬送するゴムロールであって、
円筒状のゴムロール本体を有し、
該ゴムロール本体の外周面に連続して配列された、該ゴムロール本体の長手方向中央に対して互いに逆向きの螺旋状の溝に、前記ゴムロール本体の硬度よりも小さい硬度の材料が、該ゴムロール本体の表面と同一面となるように充填されており、
前記ゴムロール表面の長手方向中央部において、前記逆向きの螺旋状の溝の間には、所定の間隔が開けられていることを特徴とするゴムロール。 - 前記逆向きの螺旋状部がなす角度が60°〜120°である、請求項1に記載のゴムロール。
- 前記ゴムロール本体の硬度と前記螺旋状溝に充填される材料の硬度の差が15°〜40°である、請求項1又は2に記載のゴムロール。
- 前記逆向きの螺旋状の溝間の間隔は、5〜20mmである、請求項1〜3のいずれか1項に記載のゴムロール。
- シートやフィルムなどのウェブをその表面で支持して搬送するゴムロールの製造方法であって、
ゴムロール本体を準備し、
該ゴムロール本体の外周面に、該ゴムロール本体の長手方向中央に対して互いに逆向きの螺旋状の複数の溝を、該ゴムロール本体の長手方向中央に所定の間隔を開けて形成し、
該溝に、前記ゴムロール本体の硬度より低い硬度の材料を充填し、
その後、加硫、研磨等の後処理を行うことを特徴とするゴムロールの製造方法。
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