JP2014100638A - 一酸化炭素浄化フィルタの製造方法、一酸化炭素浄化フィルタ及び一酸化炭素浄化装置 - Google Patents

一酸化炭素浄化フィルタの製造方法、一酸化炭素浄化フィルタ及び一酸化炭素浄化装置 Download PDF

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Abstract

【課題】一酸化炭素の浄化触媒をフィルタ基材に固定した一酸化炭素浄化フィルタを、フィルタ基材の目詰まり、機械的損傷及び熱的溶融を回避して製造する。こうして得られる一酸化炭素浄化フィルタ及びこれを用いた一酸化炭素浄化装置を提供する。
【解決手段】金ナノ粒子2を無機物粒子3に担持した金ナノ粒子触媒1、金ナノ粒子触媒を分散する溶媒とからなる触媒インキを、フィルタ基材4に塗布して接触させた後、溶媒を乾燥除去することで、フィルタ基材の表面に金ナノ粒子触媒が凝集されて付着している一酸化炭素浄化フィルタ10を製造する。金ナノ粒子触媒は触媒インキ中ではなるべく凝集を解いた状態としフィルタ基材4上では再凝集されているものとするのがよい。触媒インキ中の金ナノ粒子触媒の平均粒子径は5μm以下が付着性の点で好ましい。このような一酸化炭素浄化フィルタを用いて一酸化炭素浄化装置とする。
【選択図】図1

Description

本発明は、一酸化炭素浄化フィルタの製造方法、一酸化炭素浄化フィルタ及び一酸化炭素浄化装置に関する。
一酸化炭素は極めて毒性の強いガスで、低濃度でも、頭痛、吐き気、めまいなどの症状があらわれる。室内においては、石油ストーブ、ガスストーブなどの暖房器具、給湯器、調理器具などを使用時に、換気に注意しないと、一酸化炭素濃度が高くなることがある。
また、タバコの喫煙によっても、一酸化炭素は生じている。タバコの煙は、その受動喫煙による健康への影響も危惧されており、健康増進法など法律や条例によって、多くの人が集まる施設や職場では、分煙、禁煙などによる対策が義務化されてきている。
一方、一酸化炭素の浄化などに適用できる技術に関連して、酸化触媒の一種として一酸化炭素を二酸化炭素に酸化し得る金ナノ粒子触媒が提案されている(特許文献1)。本来、貴金属である金は反応性に乏しいために非常に安定な金属であるが、金の粒子を、粒子径10nm以下の超微粒なナノ粒子にすることで、さまざまな触媒活性を示すようになる。そこで、こうした金ナノ粒子を使いやすくするために、金ナノ粒子を、金ナノ粒子よりも粒子径の大きい無機物粒子に担持させたのが金ナノ粒子触媒である。
金ナノ粒子触媒を用いて一酸化炭素浄化フィルタを製造しようとする場合、金ナノ粒子触媒をフィルタ基材に固定すると、さらに使いやすい。例えば、不織布などのフィルタ基材の表面に、金ナノ粒子触媒の触媒粒子を固定することで、触媒作用を持つフィルタを製造することができる。
金ナノ粒子触媒のような触媒粒子を不織布などのフィルタ基材へ固定する際に、触媒粒子を樹脂中へ混練したり結着剤などを用いて塗布したりすると、触媒粒子の表面が樹脂や結着剤などで覆われることによって、触媒粒子の触媒活性が阻害され低下してしまう。これを避けるために、結着剤を用いずに触媒粒子をフィルタ基材上へ固定する方法が開発されている。
例えば、特許文献2では、フィルタ基材の表面に予め付着性を出すための樹脂塗膜を形成して、触媒粒子をフィルタ基材に付着させる方法が開示されている。
特許文献3では、フィルタ基材に該当する長さ10mm程度、長くても100mm程度の繊維と触媒粒子とを、溶媒無しで共存させた系に、乾式法により、高速撹拌ミルなどで、圧縮力、撹拌衝撃力、摩砕力、剪断力などの機械的エネルギーを加えることにより、フィルタ基材の表面に触媒粒子を付着させる方法が開示されている。
特許文献4では、フィルタ基材に熱可塑性樹脂を用い、その融点より高い融点又は分解温度を有する触媒粒子を、熱可塑性樹脂の融点より高い温度に加熱し、加熱された触媒粒子を含む気流をフィルタ基材の表面に吹き付けることによって、フィルタ基材の表面に触媒粒子を付着させる方法が開示されている。
特許平3−12934号公報 特開2009−61404号公報 特開2008−179934号公報 特許第4300006号公報
しかしながら、特許文献2では、フィルタ基材の表面に触媒粒子に対する付着性を付与するために樹脂塗膜を形成しているために、フィルタ基材が目詰まりしてしまうことがあるという問題がある。
特許文献3では、樹脂のような結着剤こそ使用しないが、機械的エネルギーを利用して触媒をフィルタ基材に付着させているために、フィルタ基材に機械的負荷や衝撃が加わる結果、フィルタ基材が損傷しやすく、また、繊維素に対して行うため、例えば300mm角の形状などフィルタ基材の形状を維持したまま触媒粒子を付着させることができないという問題がある。
特許文献4では、フィルタ基材に熱可塑性樹脂を用い、その融点温度以上に加熱し融着により、触媒粒子をフィルタ基材に付着させているために、フィルタ基材が融着するような高い温度が必要であるという問題がある。
すなわち、本発明の課題は、触媒粒子をフィルタ基材に付着させる際に、フィルタ基材の目詰まりや損傷を生じさせずに、且つフィルタ基材が溶融するような高温も必要としない一酸化炭素浄化フィルタの製造方法を提供することである。
また、本発明の課題は、結着剤や融着によらずに触媒粒子がフィルタ基材に付着している一酸化炭素浄化フィルタを提供することである。
また、本発明の課題は、前記一酸化炭素浄化フィルタを備えた一酸化炭素浄化装置を提供することである。
そこで、本発明では、次のような構成の、一酸化炭素浄化フィルタの製造方法、一酸化炭素浄化フィルタ及び一酸化炭素浄化装置とした。
(1)金ナノ粒子を無機物粒子に担持した金ナノ粒子触媒と、前記金ナノ粒子触媒を分散する溶媒とからなる触媒インキを、
フィルタ基材に接触させた後、前記溶媒を乾燥除去することで、前記フィルタ基材の表面に凝集された前記金ナノ粒子触媒を付着させる、
一酸化炭素浄化フィルタの製造方法。
(2)前記触媒インキ中の金ナノ粒子触媒の平均粒子径が、5μm以下である、前記(1)の一酸化炭素浄化フィルタの製造方法。
(3)金ナノ粒子を無機物粒子に担持した金ナノ粒子触媒と、フィルタ基材とを含み、前記金ナノ粒子触媒が前記フィルタ基材の表面に凝集されて付着している、一酸化炭素浄化フィルタ。
(4)前記(3)の一酸化炭素浄化フィルタを備える、一酸化炭素浄化装置。
本発明による一酸化炭素浄化フィルタの製造方法によれば、一酸化炭素の酸化触媒としての触媒粒子をフィルタ基材に付着して一酸化炭素浄化フィルタとする際に、フィルタ基材の目詰まりや損傷を生じさせずに、且つフィルタ基材が溶融するような高温も必要とせずに、製造することができる。
本発明の一酸化炭素浄化フィルタによれば、結着剤や融着によらずに触媒粒子がフィルタ基材に付着しているものとすることができる。
本発明の一酸化炭素浄化装置によれば、結着剤や融着によらずに触媒粒子がフィルタ基材に付着している一酸化炭素浄化フィルタによって一酸化炭素を浄化することができる。
本発明による一酸化炭素浄化フィルタの一例を模式的に説明する図。 金ナノ粒子触媒の一例を模式的に示す図。 金ナノ粒子触媒の一例の透過型電子顕微鏡による拡大写真。 本発明による一酸化炭素浄化フィルタの一実施形態の走査型電子顕微鏡による拡大写真。 本発明による一酸化炭素浄化装置の第1の実施形態を模式的に示す図。 本発明による一酸化炭素浄化装置の第2の実施形態を模式的に示す図。 本発明による一酸化炭素浄化装置の第3の実施形態を模式的に示す図。 金ナノ粒子触媒を付着させる前のフィルタ基材の走査型電子顕微鏡による拡大写真。 本発明による一酸化炭素浄化フィルタの別の実施形態の走査型電子顕微鏡による拡大写真。
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明する。
《1》一酸化炭素浄化フィルタの製造方法と一酸化炭素浄化フィルタ
先ず、一酸化炭素浄化フィルタの製造方法と一酸化炭素浄化フィルタから説明する。
図1は、本発明による一酸化炭素浄化フィルタ10を模式的に説明する図であり、図2は、金ナノ粒子触媒1の一例を模式的に示す図であり、図3は、金ナノ粒子触媒1の一例を透過型電子顕微鏡で撮影した拡大写真である。図4は、本発明による一酸化炭素浄化フィルタの一実施形態の走査型電子顕微鏡による拡大写真である。
本発明による一酸化炭素浄化フィルタの製造方法は、金ナノ粒子を無機物粒子に担持した金ナノ粒子触媒と、金ナノ粒子触媒を分散する溶媒とからなる触媒インキを、フィルタ基材に接触させた後、溶媒を乾燥除去することで、フィルタ基材の表面に凝集された金ナノ粒子触媒を付着させる製造方法である。
このように、本発明による一酸化炭素浄化フィルタの製造方法は、前記した従来の機械的エネルギーを用いる方法が乾式であるのに対して、溶媒を用いる湿式法による製造方法である。
本発明による一酸化炭素浄化フィルタ10は、金ナノ粒子2を無機物粒子3に担持した金ナノ粒子触媒1と、フィルタ基材4とを含み、金ナノ粒子触媒1がフィルタ基材4の表面に凝集されて付着しているフィルタである。
《金ナノ粒子触媒1》
金ナノ粒子触媒1は、金ナノ粒子2が無機物粒子3に担持されて形成されている触媒である。この金ナノ粒子触媒1は、一酸化炭素を二酸化炭素に酸化させる酸化触媒としての触媒機能を有する。
図2の模式図及び図3の拡大写真に示すように、金ナノ粒子触媒1は、金ナノ粒子2が無機物粒子3の表面に担持されて形成されている。
金ナノ粒子触媒1の一酸化炭素を二酸化炭素に酸化させる触媒機能は、追加的な光や熱は必要としない。このため、金ナノ粒子触媒は、その触媒機能を発揮させるために、光触媒のように紫外線や可視光が不要で、また、白金触媒のように150℃以上の高温も不要である。
そのため、金ナノ粒子触媒1を用いた一酸化炭素浄化フィルタ10は、特別な光源や熱源を用いることなく、常温でも一酸化炭素を浄化できるので、空気清浄機や空調機器の内部のような暗所に取り付けて用いることができる。前記常温とは、JIS Z 8703によれば、25℃±15℃を意味する。
〔金ナノ粒子2〕
金ナノ粒子2は、その粒子径がナノメータオーダーの金のナノ粒子である。金ナノ粒子2は、金ナノ粒子触媒1の活性部位となる。
金ナノ粒子2の粒子径は、平均粒子径で、好ましくは1〜20nm、より好ましくは1〜5nmである。前記平均粒子径が前記範囲内であると、金ナノ粒子2の安定的な生産性を維持しつつ、金ナノ粒子2と無機物粒子3との接合界面(いわゆる「ペリメータ」のことである。)を多くすることができ、その結果、触媒活性の効率性及び経済性の点で有利にできるからである。
前記平均粒子径は、例えば、透過型電子顕微鏡を用いて金ナノ粒子触媒1に担持された複数の金ナノ粒子2の粒子径を測長して算出した平均値を採用することができる。
〔無機物粒子3〕
無機物粒子3は、金ナノ粒子2を担持するための粒子である。無機物粒子3としては、金ナノ粒子2を担持して金ナノ粒子触媒1としての触媒活性を発揮し得る物質であり、且つ、好ましくは、後述する触媒インキの溶媒に不溶な物質であれば、特に制限はない。
このような無機物粒子3としては、無機酸化物粒子、無機物質粒子、金属粒子などを挙げることができる。
前記無機酸化物粒子を形成する無機酸化物としては、例えば、酸化アルミニウム、酸化チタン、酸化第二銅、酸化亜鉛、酸化スズ、酸化セリウム、酸化イットリウム、酸化ビスマス、酸化鉄、酸化コバルト、酸化ニッケル、酸化ジルコニウム、酸化銀、酸化マンガン、酸化マグネシウムなどの金属酸化物、酸化ケイ素などの非金属酸化物が挙げられる。
前記無機物質粒子を形成する無機物質としては、ゼオライト、ベントナイト、ハロイサイト、イモゴライトなどの粘土鉱物が挙げられる。また、無機物質粒子としては、酸化鉄や酸化ニッケルなどの金属酸化物をゼオライトなどの粘土鉱物に担持した複合物質粒子、フュームドシリカなどの無機物粒子表面を有機置換基で被覆した複合物質粒子なども挙げられる。
前記金属粒子を形成する金属としては、例えば、鉄、銅、アルミニウムなどが挙げられる。
無機物粒子3としては、これらの物質の粒子を、単独で用いてもよいし、複数種類を組み合わせて用いてもよい。
無機物粒子3として、これらのなかでも、金ナノ粒子2を担持し一酸化炭素に対する酸化触媒機能を効果的に発揮し得るものとしては、酸化チタン、酸化セリウム、酸化ジルコニウム、酸化鉄、酸化コバルト、酸化ニッケルなどが好ましく、より好ましくは、酸化チタン、酸化セリウム、酸化ジルコニウムである。さらに、無機物粒子3として、金ナノ粒子触媒1を形成したときの触媒活性が高い上、安定性及び経済性に優れる点では、酸化チタンが好ましい。特別な熱源や光源を用いることなく、しかも常温で、空気清浄機や空調機器の内部のような暗所でも、高い触媒活性が得られるからである。
無機物粒子3の粒子形状は、特に限定されないが、例えば、球状、回転楕円体状、多角形状、鱗片状、その他の形状等が挙げられる。
無機物粒子3の粒子径は、金ナノ粒子触媒1を担持可能であれば特に制限はないが、後述のインキ化の操作にて、粒子径を小径化できるよう、0.01〜100μmであることが好ましく、0.01〜10μmであることがより好ましい。粒子径がこの範囲を超えると、金ナノ粒子触媒1を形成したときに、金ナノ粒子触媒1がフィルタ基材4から脱落しやすくなることがあるからである。粒子径が、この範囲未満であると、金ナノ粒子触媒1を担持するための表面積が小さくなりすぎて、金ナノ粒子2を充分に担持できなくなることがあるからである。
無機物粒子3の粒子径は、無機物粒子3が凝集している場合は、凝集粒子の粒子径のことを意味する。ちなみに、図3の透過型電子顕微鏡による拡大写真で示された金ナノ粒子触媒1における無機物粒子3は、凝集粒子である。
無機物粒子3の粒子径を平均粒子径からとらえれば、平均粒子径は、特に制限はないが、例えば、0.1〜30μmである。無機物粒子3の平均粒子径をこの範囲にすることで、金ナノ粒子触媒1は生産性に優れるものになる。
なお、前記粒子径及び平均粒子径は、例えば、光散乱式粒度分布測定装置によって測定された値を採用することができる。
〔金ナノ粒子触媒1の形成〕
金ナノ粒子2を無機物粒子3の表面に担持して金ナノ粒子触媒1を形成する方法としては、以下の公知の形成法などを採用することができる。例えば、共沈法(特許第1623540号公報など)、析出沈殿法(特公平6−29137号公報(特許第1904258号))などの形成法を採用することができる。
《インキ化》
インキ化の操作では、金ナノ粒子触媒1を溶媒中に分散させた触媒インキを調製する。本発明による触媒インキが、特徴的なのは、当該触媒インキが、金ナノ粒子2を無機物粒子3に担持した金ナノ粒子触媒1と、この金ナノ粒子触媒1を分散する溶媒とからなることである。
通常のインキでは、溶媒と、この溶媒に不溶性の物質とを含むインキを調製する場合、分散剤や結着剤も含ませることが必須である。しかし、本発明による触媒インキでは分散剤も結着剤も用いる必要はない。溶媒に溶解しない金ナノ粒子触媒1と溶媒のみを用いて、金ナノ粒子触媒1を溶媒中に分散させることで、触媒インキを調製することができる。
インキ化に用いる溶媒としては、フィルタ基材4及び金ナノ粒子触媒1を溶解しないものが好ましい。フィルタ基材4及び金ナノ粒子触媒1を溶解させるものは、溶解物が金ナノ粒子触媒1の表面を覆うと触媒活性を低下させることがあるからである。フィルタ基材4及び金ナノ粒子触媒1を溶解しない溶媒としては、特に制限はない。例えば、エタノールやイソプロパノールなどのアルコール、水、またはアルコールと水の混合物を好適に用いることができる。とりわけ、触媒インキのフィルタ基材4への馴染み性を高めることができる点で、溶媒としてアルコールを用いることが好ましい。
触媒インキ中の金ナノ粒子触媒1の濃度は、金ナノ粒子触媒1と溶媒との総量に対する金ナノ粒子触媒1の質量%で、0.1〜30%、好ましくは0.5〜20%、より好ましくは1〜15%である。濃度が前記範囲未満であると、フィルタ基材4に充分な量の金ナノ粒子触媒1を付着できないことがあり、濃度が前記範囲を超えると、触媒インキ中での金ナノ粒子触媒1の分散安定性が低下することがあるからである。
インキ化の際に、金ナノ粒子触媒1が凝集しているときは、この凝集を解いてインキ化することが好ましい。金ナノ粒子触媒1同士が凝集したままよりは、凝集が解けて微細化した粒子となった方が、フィルタ基材4の表面に再凝集された金ナノ粒子触媒1が生成し易くなり、金ナノ粒子触媒1のフィルタ基材4への付着性を高めることができるからである。その理由は、想像するに、既にフィルタ基材4の表面に接触し付着した金ナノ粒子触媒1に、別の金ナノ粒子触媒1が接触して凝集する過程で付着性が高められる、或いは、フィルタ基材4の表面に接近する過程で或る程度凝集している金ナノ粒子触媒1が、フィルタ基材4の表面に接触するときに付着性が高められる等の理由が推測される。ただ、現在のところ、なぜ、フィルタ基材4の表面上で凝集されている金ナノ粒子触媒1がフィルタ基材4に対する付着性がよいのか、そのメカニズムの詳細は判っていない。
本発明においては、前記付着性とは、金ナノ粒子触媒1がフィルタ基材4から、外力などによって容易に脱落しないことを意味し、金ナノ粒子触媒1のフィルタ基材4に対する固定力とも言える。
金ナノ粒子触媒1の触媒インキ中での粒子径は、凝集された凝集粒子も含めた平均粒子径で捉えて、好ましくは10μm以下、より好ましくは5μm以下、さらに好ましくは3μm以下である。平均粒子径が、前記範囲を超えると、フィルタ基材4の表面に付着している金ナノ粒子2の凝集粒子が大きくなりすぎて、フィルタ基材4の表面への固定力が弱くなり、付着性が低下することがあるからである。
金ナノ粒子触媒1の前記平均粒子径の下限は、特に制限はないが、金ナノ粒子2及び無機物粒子3の平均粒子径に依存し、例えば0.1μmである。
前記平均粒子径は、メジアン径を採用することができる。
前記平均粒子径は、例えば、光散乱式粒度分布測定装置によって測定された値を採用することができる。
触媒インキ中で、凝集している金ナノ粒子触媒1の凝集をほどいて、金ナノ粒子触媒1を微細化するには、例えば、ビーズミル、サンドミル、ボールミル、ポットミルアトライター、ペイントミキサー、などの分散微細化装置を用いることができる。ビーズミルなどに用いるメディアとしてはジルコニアビーズやガラスビーズなどを用いることができる。
触媒インキ中で、金ナノ粒子触媒1の凝集をほどいて微細化を進める程、フィルタ基材4の表面上で金ナノ粒子触媒1の再凝集が起こりやすくなり、再凝集によって、金ナノ粒子触媒1のフィルタ基材4への付着性を高めることができる。
一般的には、触媒インキ中の金ナノ粒子触媒1の分散安定性の点では、インキ化の際には界面活性剤などの分散剤を使用することが好ましい。しかし、本発明においては、フィルタ基材4に触媒インキを接触させて溶媒を乾燥除去して金ナノ粒子触媒1を付着させる際の金ナノ粒子触媒1の再凝集をよりよく進めて付着性を高める点で、インキ化の際には界面活性剤などの分散剤を使用しないことが好ましい。
《フィルタ基材4への触媒インキの接触》
触媒インキをフィルタ基材4に接触させるには、塗布法によって行うことができる。
触媒インキをフィルタ基材4に接触させた後、触媒インキ中の溶媒を乾燥し除去することにより、本発明の一酸化炭素浄化フィルタ10を得ることができる。
本発明における触媒インキには、前述したとおり、分散剤や結着剤が使用されることは好ましくなく、分散剤や結着剤が使用されていないと、インキの分散状態が、分散剤や結着剤が使用されている場合に比べて、不安定である。このため、触媒インキは、金ナノ粒子触媒1を分散させる触媒インキ化直後にフィルタ基材4に塗布することが好ましい。
直後とは、触媒インキを作製後、30分以内、好ましくは15分以内、より好ましくは10分以内のことを言う。
塗布方法は特に限定されないが、ディプコート法、フローコート法、コンマナイフ法、コンマリバース法、キスコート法、グラビアコート法など公知の塗工方法を採用することができる。或いは、染色分野で用いられている、ジッカー染色機、パドル染色機などの染色機によって塗布する方法を採用しても良い。これらの染色機は、ディプコート法の一種であるとも言える。
触媒インキがフィルタ基材4に接触し溶媒が乾燥する際に、触媒インキ中の金ナノ粒子触媒1が、フィルタ基材4の表面上で凝集することによって金ナノ粒子触媒1が、フィルタ基材4の表面に付着する。この凝集の程度が大きいほど、付着は強固となり、フィルタ基材4からの金ナノ粒子触媒1の脱落が起こりにくくなって、付着性を高めることができる。ただ、フィルタ基材4が繊維からなる場合、その繊維径よりも大きい径の凝集粒子は、かえって付着性が低下する。したがって、凝集の程度は、凝集した金ナノ粒子触媒1の粒子径が、フィルタ基材4の繊維径以下であることが好ましく、繊維径の50%以下であることが、より好ましい。
金ナノ粒子触媒1の凝集は触媒インキが乾燥によって濃縮され、金ナノ粒子触媒1の濃度が高くなることにより行われる。従って、フィルタ基材4へのプライマー処理、触媒インキ中への結着剤の添加などを必要とせずに、フィルタ基材4に金ナノ粒子触媒1を固定することができる。
触媒インキ中に存在する金ナノ粒子触媒1の再凝集は、溶媒を乾燥させればいかなる材料のフィルタ基材4でも起こるため、触媒粒子をイオン結合で吸着させる化学構造を有しないフィルタ基材4、例えば、ポリエチレンやポリプロピレンなどポリオレフィン系繊維のフィルタ基材4に対しても、本発明では、金ナノ粒子触媒1を付着させることができる。
インキ化の際には、金ナノ粒子触媒1のほかには溶媒のみを使用することで、また、触媒インキに使用する溶媒は乾燥により失われるため、塗布乾燥後のフィルタ基材4の表面に付着し固定している金ナノ粒子触媒1は、その表面が樹脂、結着剤、シランカップリング剤などで覆われることなく、フィルタ基材4との接触面を除いて全て露出している。このため、こうして製造された一酸化炭素浄化フィルタ10は、金ナノ粒子触媒1の表面の触媒活性発現を阻害する要因がない。したがって、この一酸化炭素浄化フィルタ10は、その金ナノ粒子触媒1の触媒活性を効果的に発揮することが可能となる。
《フィルタ基材》
フィルタ基材4としては、通気性を有するものであれば特に制限はない。フィルタ基材4が、通気性を有するということは、フィルタ基材4は、3次元網目構造を有している材料であるということもできる。
フィルタ基材4としては、具体的には、例えば、織物、編み物、紙、不織布、網状体、多孔質体などを用いることができる。これらのなかでも、通気性に優れている点で、不織布がフィルタ基材4として、好ましい。
フィルタ基材4の材質は、特に制限はない。触媒インキに使用する溶媒に対して不溶なフィルタ基材4を使用する限りにおいて、フィルタ基材4を構成する繊維などの材料の融点による制限もなく、フィルタ基材4を選択することができる。フィルタ基材4は、必ずしも熱溶融性である必要がなく、熱溶融性でない材料も用いることができ、また、熱溶融性を有するフィルタ基材4を用いてもよい。
フィルタ基材4の材質としては、例えば、フィルタ基材4が不織布から形成されている場合、不織布の繊維の材質には、無機物を用いた無機繊維と、高分子を用いた有機繊維がある。無機繊維としては、ガラス繊維、炭素繊維、金属繊維などを用いることができる。有機繊維としては、ポリエチレンやポリプロピレンなどのポリオレフィン系繊維、ポリエチレンテレフタレートやポリエチレンナフタレートなどのポリエステル系繊維、ナイロン(登録商標)などのポリアミド系繊維などを用いることができる。これらの繊維は、単独で用いてもよいし、複数種類を組み合わせて用いてもよい。
これらの繊維を用いた不織布のなかでも、経済性に優れている点で、有機繊維、それも合成高分子を用いた有機繊維、換言すると合成繊維を用いた不織布が好ましい。
フィルタ基材4は、触媒インキの溶媒に対して濡れ性があることが好ましい。これは、濡れ性がないと、触媒インキを塗布したときに、触媒インキがフィルタ基材4の表面に満遍なく接触しないことがあるからである。
フィルタ基材4は、触媒インキの溶媒に対して、不溶であることが好ましい。これは、溶け出したフィルタ基材4の成分が、金ナノ粒子触媒1の表面を覆ってしまうことがないようにするためである。
フィルタ基材4として、不織布など繊維から形成されるものを用いる場合、その繊維の繊維径としては、特に限定されないが、例えば、5〜30μmである。繊維径がこの範囲内であると、通気性及び実用的な強度を両立させることが容易になるからである。
フィルタ基材4の形状、厚さは特に限定されず、用途に応じて適宜選択される。例えば、フィルタ基材4の形状は、円柱状、シート乃至は板状である。円柱状の場合、一酸化炭素浄化フィルタ10は、円筒状の配管内部に配置される用途に好適に適用され、シート乃至は板状の場合、一酸化炭素浄化フィルタ10は、例えば、平面状に開口した吸気口乃至は送風口部分に配置される用途に好適に適用される。
フィルタ基材4の空隙率は、特に限定されないが、例えば、50〜90%であることが好ましい。空隙率がこの範囲内であると、一酸化炭素浄化フィルタ10としての実用的な通気性と、実用的な強度を両立させることが容易になるからである。このような空隙率は、不織布により容易に実現できる。
上記空隙率は、フィルタ基材4が繊維を用いたものである場合で言えば、フィルタ基材4を構成する繊維の総体積とフィルタ基材4の体積とを測定し、{1−(フィルタ基材4を構成する繊維の総体積/フィルタ基材4の体積)}×100、として定義される値である。
《一酸化炭素浄化フィルタの製造方法の効果》
以上のような本発明による一酸化炭素浄化フィルタの製造方法では、一酸化炭素の酸化触媒である金ナノ粒子触媒1の触媒粒子を、フィルタ基材4に付着させて一酸化炭素浄化フィルタ10とする際に、フィルタ基材4の目詰まりや損傷を生じさせずに、且つフィルタ基材が溶融するような高温も必要とせずに、製造することができる。
すなわち、本発明の製造方法においては、金ナノ粒子触媒1をフィルタ基材4に付着させて一酸化炭素浄化フィルタ10を作製する工程を、フィルタ基材4に触媒インキを塗布するなど接触させて乾燥する工程のみとすることができるため、従来の機械的エネルギーを用いたときのような機械的負荷がフィルタ基材4に加わることを回避できる。そのため、触媒インキに使用する溶媒に対して不溶なフィルタ基材4を使用する限りにおいて、フィルタ基材4の傷みも発生しない。
しかも、フィルタ基材4の熱溶融や結着剤によらずに、金ナノ粒子触媒1をフィルタ基材4に付着させることができるので、フィルタ基材4が目詰まりすることもない。
また、フィルタ基材4の熱溶融によらずに、金ナノ粒子触媒1をフィルタ基材4に付着させることができるので、金ナノ粒子触媒1を構成する無機物粒子3には、フィルタ基材4よりも融点の低い材料を用いることもできるので、材料設計の自由度を高めることができる。
また、触媒インキ中の微細化された金ナノ粒子触媒1が、凝集された金ナノ粒子触媒1となってフィルタ基材4に付着し固定されるため、触媒粒子表面に付着した結着剤成分など粒子の一部が溶媒に溶解することによって付着力を発揮するような粒子ではない金ナノ粒子触媒1という触媒活性に優れた触媒粒子を使用することができる。
また、フィルタ基材4の熱溶融や結着剤によらずに、金ナノ粒子触媒1をフィルタ基材4に付着させることができ、フィルタ基材4に付着された金ナノ粒子触媒1は、その表面が結着剤などで覆われないようにすることができるので、金ナノ粒子触媒1の表面が結着剤などで覆われ触媒活性が低下せず、その触媒活性を効果的に発揮させることができる。
《一酸化炭素浄化フィルタ10としての効果》
以上のような製造方法で得ることができる本発明による一酸化炭素浄化フィルタ10は、結着剤や融着によらずに触媒粒子がフィルタ基材に付着しているものとすることができる。したがって、その金ナノ粒子触媒1の触媒活性を効果的に発揮させることができる。しかも、常温でも暗所でも触媒活性を発揮させることができる。
《2》一酸化炭素浄化装置
本発明による一酸化炭素浄化装置は、前述した一酸化炭素浄化フィルタを備え、一酸化炭素を酸化することにより浄化し得る浄化装置である。
《第1の実施形態》
図5に、本発明による一酸化炭素浄化装置の第1の実施形態としての基本的構成例を示す。同図に示す一酸化炭素浄化装置100は、本体51と、本体51に設けられた吸気口52と、吸気口52の下流側に設けられ吸気口52から吸気される空気を浄化する一酸化炭素浄化フィルタ10と、一酸化炭素浄化フィルタ10の下流側に設けられ、吸気口52から空気を吸気するファン53と、ファン53の下流側に設けられ一酸化炭素浄化フィルタ10で浄化された空気を吹き出す本体51に設けられた送風口54とを備える。
図5に示す一酸化炭素浄化装置100において、一酸化炭素浄化フィルタ10は、前述した本発明による一酸化炭素浄化フィルタ10である。これ以外の構成要素、例えば、本体51、ファン53などは、用途に応じ、従来の空気浄化装置において公知のものを適宜採用することができる。
そして、この一酸化炭素浄化装置100は、ファン53によって、一酸化炭素で汚染された汚染空気Adを吸気口52から取り込んで、一酸化炭素浄化フィルタ10によって浄化した後、送風口54から一酸化炭素が浄化された浄化空気Acを吹き出すようになっている。
このような構成の一酸化炭素浄化装置100とすることによって、結着剤や融着によらずに触媒粒子が付着している一酸化炭素浄化フィルタ10の酸化触媒作用によって、常温で、空気中の一酸化炭素を酸化して二酸化炭素にすることで、二酸化炭素に比べて極めて毒性の強い一酸化炭素を浄化することが可能となる。
《第2の実施形態》
図6に、本発明による一酸化炭素浄化装置の第2の実施形態を示す。本実施形態では、前記第1の実施形態に対して、その構成要素を、より具体的に示した形態例である。
同図に示す一酸化炭素浄化装置100は、側面の前面から吸気し、上面から送風する前面吸気上面送風型の装置の構成例である。
同図に示す一酸化炭素浄化装置100は、本体51と、本体51の側面の前面側に設けられた吸気口52と、吸気口52に設けられた吸気口ルーバー52rと、
吸気口52の下流側に設けられ吸気口52から吸気される空気中の塵埃を浄化する集塵フィルタ55と、集塵フィルタ55を固定する集塵フィルタ固定枠55aと、
集塵フィルタ55の下流側に設けられ集塵フィルタ55通過後の空気中の臭いを浄化する脱臭フィルタ56と、脱臭フィルタ56を固定する脱臭フィルタ固定枠56aと、
脱臭フィルタ56の下流側に設けられ脱臭フィルタ56通過後の空気中の一酸化炭素を浄化する一酸化炭素浄化フィルタ10と、一酸化炭素浄化フィルタ10を固定する一酸化炭素浄化フィルタ固定枠57aと、
一酸化炭素浄化フィルタ10の下流側に設けられ、吸気口52から空気を吸気し各フィルタに通すファン53と、ファン53を駆動するモーター53mと、
本体51の上面であってファン53の下流側に設けられ浄化された空気を吹き出す送風口54と、送風口54に設けられた送風口ルーバー54rと、
ファンの駆動及び風量、駆動時間など、装置の運転を制御する制御部58と、制御部58に設けられ運転状況を指定する制御パネル58pと、
本体を支持する足59と、を備える。
ファン53は、本実施形態ではプロペラファンである。
前記実施形態1に対して追加された各構成要素、例えば、集塵フィルタ55、脱臭フィルタ56、制御部58などは、用途に応じ、従来の空気浄化装置において公知のものを適宜採用することができる。
本実施形態における一酸化炭素浄化装置100においても、前記第1の実施形態と同様に、一酸化炭素浄化フィルタ10の酸化触媒作用によって、常温で、空気中の一酸化炭素を酸化して二酸化炭素にすることで、二酸化炭素に比べて極めて毒性の強い一酸化炭素を浄化することが可能となる。
さらに、本実施形態における一酸化炭素浄化装置100は、一酸化炭素浄化フィルタ10で空気を浄化する前に、その空気中の塵埃を集塵フィルタ55で浄化し、さらにこの後、脱臭フィルタ56で臭気を浄化し、なるべく一酸化炭素浄化フィルタ10の前で、一酸化炭素以外の浄化すべき成分は除去できるようにしてある。このため、一酸化炭素浄化フィルタ10が、塵埃や臭気成分によって汚染されて、一酸化炭素浄化フィルタ10の寿命が短くなるのを防ぐことが可能となる。
《第3の実施形態》
図7に、本発明による一酸化炭素浄化装置の第3の実施形態を示す。本実施形態でも、前記第2の実施形態と同様に、前記第1の実施形態に対して、その構成要素を、より具体的に示した形態例である。
同図に示す一酸化炭素浄化装置100は、装置の下面から吸気し、側面の前面から送風する下面吸気前面送風型の装置の構成例である。
同図に示す一酸化炭素浄化装置100は、本体51と、本体51の下面側に設けられた吸気口52と、吸気口52に設けられた吸気口ルーバー52rと、
吸気口52の下流側に設けられ吸気口52から吸気される空気中の塵埃を浄化する集塵フィルタ55と、集塵フィルタ55を固定する集塵フィルタ固定枠55aと、
集塵フィルタ55の下流側に設けられ集塵フィルタ55通過後の空気中の臭いを浄化する脱臭フィルタ56と、脱臭フィルタ56を固定する脱臭フィルタ固定枠56aと、
脱臭フィルタ56の下流側に設けられ脱臭フィルタ56通過後の空気中の一酸化炭素を浄化する一酸化炭素浄化フィルタ10と、一酸化炭素浄化フィルタ10を固定する一酸化炭素浄化フィルタ固定枠57aと、
一酸化炭素浄化フィルタ10の下流側に設けられ、吸気口52から空気を吸気し各フィルタに通すファン53と、ファン53を駆動するモーター53mと、
本体51の側面の前面であってファン53の下流側に設けられ浄化された空気を吹き出す送風口54と、送風口54に設けられた送風口ルーバー54rと、
ファンの駆動及び風量、駆動時間など、装置の運転を制御する制御部58と、制御部58に設けられ運転状況を指定する制御パネル58pと、
本体を支持する足59と、を備える。
ファン53は、本実施形態ではシロッコファンである。
足59は、足59間の空隙から空気が吸気口52に吸い込まれるようになっている。
本実施形態における一酸化炭素浄化装置100においても、前記第1の実施形態と同様に、一酸化炭素浄化フィルタ10の酸化触媒作用によって、常温で、空気中の一酸化炭素を酸化して二酸化炭素にすることで、二酸化炭素に比べて極めて毒性の強い一酸化炭素を浄化することが可能となる。
さらに、本実施形態における一酸化炭素浄化装置100も、一酸化炭素浄化フィルタ10で空気を浄化する前に、その空気中の塵埃を集塵フィルタ55で浄化し、さらにこの後、脱臭フィルタ56で臭気を浄化し、なるべく一酸化炭素浄化フィルタ10の前で、一酸化炭素以外の浄化すべき成分は除去できるようにしてある。このため、一酸化炭素浄化フィルタ10が、塵埃や臭気成分によって汚染されて、一酸化炭素浄化フィルタ10の寿命が短くなるのを防ぐことが可能となる。
《3》用途
本発明による一酸化炭素浄化フィルタ10の用途は、種々の場面で一酸化炭素を浄化する用途に広く用いられ得る。例えば、一酸化炭素浄化フィルタは、自動車、船舶、航空機などの乗り物の室内、或いは建物の室内なとにおける空気清浄機、エアコン、分煙機等の空調装置の空気浄化フィルタ等に好適に用いられ得る。
本発明による一酸化炭素浄化装置100は、例えば、前記空調装置として好適に用いられ得る。
以下に本発明を実施例によってさらに詳細に説明する。ただし、本発明は以下の実施例により限定されるものではない。
〔実施例1〕
(金ナノ粒子触媒1の作製)
金ナノ粒子触媒1として、金ナノ粒子2を酸化チタン粒子の無機物粒子3に担持したものを、酸化チタン粒子(日本アエロジル株式会社製、AEROXIDE(登録商標)TiO2 P25、平均一次粒子径約21nm、比表面積50±15m2/g、平均粒子径4μm)と四塩化金酸を用いて、析出沈殿法(特公平6−29137号公報(特許第1904258号)など参照)によって合成した。
前記平均粒子径は、レーザー回折/散乱式粒度分布測定装置(株式会社堀場製作所製 LA−920)にて分散媒にイオン交換水を用いて測定したメジアン径である。
(インキ化:触媒インキの調製)
上記金ナノ粒子触媒1を20mlのサンプル管に0.12g計り取った。次に、計り取った金ナノ粒子触媒1の重量の19倍の重量の無水エタノールを溶媒として加えることで、固形分濃度を5wt%とした。そこに直径1.0mmのジルコニアビーズを4.0g投入して15分間振ることで、金ナノ粒子触媒1をエタノールに分散させた分散液を調製した。この分散液中のジルコニアビーズを沈降させて除去して、触媒インキを調製した。
(塗布:フィルタ作製)
上記で調製した触媒インキを、分散直後にフィルタ基材4に塗布した。フィルタ基材4としては、スパンボンド法及びサーマルボンド法で作製されたポリプロピレン製の不織布(旭化成せんい株式会社製、エルタスクリンプ(登録商標)PC8045、目付45g/m2)を用いた。触媒インキのフィルタ基材4に対する塗布は、約10cm角にカットしたフィルタ基材4を、ガラス基板上に置き、分散直後の触媒インキをスポイトで満遍なく振り掛けて塗布した後、110℃のホットプレート上でガラス基板ごと10分間乾燥させて溶媒を除去することで、一酸化炭素浄化フィルタ10を得た。
図4は、得られた一酸化炭素浄化フィルタ10を、走査型電子顕微鏡(SEM)で観察した拡大写真を示す。図8は、同一条件で観察した、触媒インキ塗布前のフィルタ基材4の拡大写真を示す。
図4に示されているように、凝集した金ナノ粒子触媒1の粒子が、フィルタ基材4の不織布の繊維表面を、略満遍なく付着した状態で、フィルタ基材4に固定されていることが確認された。また、フィルタ基材4は、断面が偏平形状で繊維径が約40μmであることがわかる。
〔実施例2〕
(金ナノ粒子触媒1)
金ナノ粒子触媒1には実施例1において作製したものを用いた。
(インキ化:触媒インキの調製)
上記金ナノ粒子触媒1を20mlのサンプル管に0.12g計り取った。次に、計り取った金ナノ粒子触媒1の重量の19倍の重量の無水エタノールを溶媒として加えることで、固形分濃度を5wt%とした。そこに撹拌子を投入し、マグネティックスターラーを用いて15分間撹拌することで、金ナノ粒子触媒1をエタノールに分散させた触媒インキを調製した。
(塗布:フィルタ作製)
上記で調製した触媒インキを、分散直後にフィルタ基材4に塗布した。塗布及びその後の乾燥は、実施例1と同様にして行って、一酸化炭素浄化フィルタ10を得た。
図9は、得られた一酸化炭素浄化フィルタ10を、走査型電子顕微鏡(SEM)で観察した拡大写真を示す。図9は、図に示すように、実施例1の拡大写真の図4とは観察倍率が異なる。
一酸化炭素浄化フィルタ10は、図9に示されているように、実施例1の場合に比べてより大きな固まりとなって凝集した金ナノ粒子触媒1が、フィルタ基材4の不織布の繊維間に、からみつくような状態で、フィルタ基材4に付着しているものがあることが確認された。
フィルタ基材4に付着している金ナノ粒子触媒1の凝集粒子の大きさが、実施例1に比べて大きい理由は、触媒インキを作製時の分散力が弱いために、インキ化の過程で金ナノ粒子触媒1の分散が弱く、凝集状態が大きいものが存在するためである。そして、この凝集の大きな金ナノ粒子触媒1が、そのまま、或いは再度凝集してさらに大きな粒子となって、フィルタ基材4に付着したことによる。
〔性能評価〕
上記で得た一酸化炭素浄化フィルタ10について、一酸化炭素浄化性能、及び、金ナノ粒子触媒1の付着性を評価した。
(一酸化炭素浄化性能の評価)
ジグに固定した一酸化炭素浄化フィルタ10に、窒素と酸素とが大気と同じ割合に混合され、さらに800ppmの濃度の一酸化炭素を混合した合成空気を、室温23℃で、時間あたり面積あたりでの流量1cm3/(min・cm2)で通気し、通気後での一酸化炭素の減少量及び二酸化炭素の増加量を測定することで一酸化炭素から二酸化炭素への変換率を求めた。
その結果、実施例1及び実施例2ともに、変換率は0.09であり、一酸化炭素を酸化除去して浄化する性能があることが確認された。
上記変換率は、一酸化炭素に対して、通気前濃度〔ppm〕及び通気後濃度〔ppm〕から下式により算出した値である。
変換率=(通気前濃度−通気後濃度)/通気前濃度
(付着性の評価)
金ナノ粒子触媒1のフィルタ基材4に対する付着性は、一酸化炭素浄化フィルタ10を、清浄な洗浄済みガラス基板上で軽く振り、ガラス基板の表面に落下した金ナノ粒子触媒1の脱落粒子数を計数することで評価した。
その結果、実施例2では100個以上の脱落粒子が確認されたのに対して、実施例1では脱落粒子が確認されなかった。
(評価総括)
実施例1の一酸化炭素浄化フィルタ10は、金ナノ粒子触媒1がフィルタ基材4によく付着していた。一方、実施例2の一酸化炭素浄化フィルタは、実施例1に比べると、脱落粒子が認められ付着性は劣った。
ただし、一酸化炭素の浄化性能は、実施例1及び実施例2ともに同じであった。
このため、実施例2のものは、フィルタ表裏を、不織布や多孔質体などのフィルタ基材4を保護用として挟むなど、金ナノ粒子触媒1が脱落するような外力が加えられないようにして用いれば、実施例1と同様な浄化性能を維持できると判断される。
なお、実施例1が実施例2に比べて付着性がよくなる理由は、インキ化のときに、金ナノ粒子触媒1の分散をよりよくして、凝集を減らして微細化した方が、フィルタ基材4表面での再凝集の傾向が大きくなり、また、フィルタ基材4の不織布の繊維径よりも凝集した金ナノ粒子触媒1の粒子径を小さくでき、フィルタ基材4が金ナノ粒子触媒1を担持しやすくなるためであると判断される。
1 金ナノ粒子触媒
2 金ナノ粒子
3 無機物粒子
4 フィルタ基材
10 一酸化炭素浄化フィルタ
51 本体
52 吸気口
52r 吸気口ルーバー
53 ファン
53m モーター
54 送風口
54r 送風口ルーバー
55 集塵フィルタ
55a 集塵フィルタ固定枠
56 脱臭フィルタ
56a 脱臭フィルタ固定枠
57a 一酸化炭素浄化フィルタ固定枠
58 制御部
58p 制御パネル
59 足
100 一酸化炭素浄化装置
Ac 浄化空気
Ad 汚染空気

Claims (4)

  1. 金ナノ粒子を無機物粒子に担持した金ナノ粒子触媒と、前記金ナノ粒子触媒を分散する溶媒とからなる触媒インキを、
    フィルタ基材に接触させた後、前記溶媒を乾燥除去することで、前記フィルタ基材の表面に凝集された前記金ナノ粒子触媒を付着させる、
    一酸化炭素浄化フィルタの製造方法。
  2. 前記触媒インキ中の金ナノ粒子触媒の平均粒子径が、5μm以下である、請求項1に記載の一酸化炭素浄化フィルタの製造方法。
  3. 金ナノ粒子を無機物粒子に担持した金ナノ粒子触媒と、フィルタ基材とを含み、前記金ナノ粒子触媒が前記フィルタ基材の表面に凝集されて付着している、一酸化炭素浄化フィルタ。
  4. 請求項3に記載の一酸化炭素浄化フィルタを備える、一酸化炭素浄化装置。
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