JP2014096272A - 回路保護素子 - Google Patents
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Abstract
【課題】本発明は、低電流で溶断させることができる回路保護素子を提供することを目的とするものである。
【解決手段】本発明の回路保護素子は、アルミナを主成分とする絶縁基板11と、この絶縁基板11の両端部に設けられた一対の上面電極12と、この一対の上面電極12を橋絡するように形成され、かつ前記一対の上面電極12と電気的に接続されたエレメント部13と、このエレメント部13と前記絶縁基板11との間に設けられた下地層14と、前記下地層14の上面に位置するエレメント部13に形成された溶断部15とを備え、前記下地層14をガラスと内部が中空もしくは粗で非晶質のシリカまたはアルミナを主成分とする複数のフィラーとの混合物で構成したものである。
【選択図】図1
【解決手段】本発明の回路保護素子は、アルミナを主成分とする絶縁基板11と、この絶縁基板11の両端部に設けられた一対の上面電極12と、この一対の上面電極12を橋絡するように形成され、かつ前記一対の上面電極12と電気的に接続されたエレメント部13と、このエレメント部13と前記絶縁基板11との間に設けられた下地層14と、前記下地層14の上面に位置するエレメント部13に形成された溶断部15とを備え、前記下地層14をガラスと内部が中空もしくは粗で非晶質のシリカまたはアルミナを主成分とする複数のフィラーとの混合物で構成したものである。
【選択図】図1
Description
本発明は、過電流が流れると溶断して各種電子機器を保護する回路保護素子に関するものである。
従来のこの種の回路保護素子は、図4に示すように、絶縁基板1と、この絶縁基板1の両端部に設けられた一対の上面電極2と、この一対の上面電極2を橋絡するエレメント部3と、このエレメント部3と前記絶縁基板1との間に形成された樹脂からなる下地層4と、絶縁基板1の両端部に形成されかつ前記エレメント部3の上面と接続された端面電極5と、前記エレメント部3を保護する絶縁層6とを備えていた。
なお、この出願の発明に関連する先行技術文献としては、例えば、特許文献1が知られている。
近年、電子機器では低消費電流が市場から要望されている。そのため、回路保護素子に求められる特性として低電流で溶断するものが求められている。そして、低電流で溶断させるためには、エレメント部の厚みを薄くする必要があった。
しかしながら、上記従来の構成において、エレメント部3の厚みを薄くした場合に、実装時等に上方から必要以上の圧力が加わると、下地層4が柔らかい樹脂で構成されているため、下地層4が変形し易くなり、これにより、下地層4の上面に位置するエレメント部3が変形、または損傷し易くなってしまう。この結果、エレメント部3の厚みを薄くすることができず、低電流で溶断させることができないという課題を有していた。
本発明は、上記課題を解決するもので、低電流で溶断させることができる回路保護素子を提供することを目的とするものである。
上記目的を達成するために本発明は、特に以下の構成を有するものである。
本発明の請求項1に記載の発明は、アルミナを主成分とする絶縁基板と、この絶縁基板の両端部に設けられた一対の上面電極と、この一対の上面電極を橋絡するように形成され、かつ前記一対の上面電極と電気的に接続されたエレメント部と、このエレメント部と前記絶縁基板との間に設けられた下地層と、前記下地層の上面に位置するエレメント部に形成された溶断部とを備え、前記下地層をガラスと内部が中空もしくは粗で非晶質のシリカまたはアルミナを主成分とする複数のフィラーとの混合物で構成したもので、この構成によれば、下地層が樹脂よりも硬いガラスで構成されているため、下地層が応力に強くなって、上方から圧力が加わっても下地層がほとんど変形せず、これにより、下地層の上面のエレメント部も変形したり損傷したりし難くなるため、エレメント部の厚みを薄くすることができ、この結果、低電流で溶断させることができる。また、フィラーの内部に空気が含まれているため、下地層の熱伝導率を低くすることができ、これにより、耐インラッシュ性と速断性を向上させることができるという作用効果が得られるものである。
本発明の請求項2に記載の発明は、下地層が一対の上面電極の少なくとも一部を覆うようにしたもので、この構成によれば、一対の上面電極を、互いに密着性が良い絶縁基板と下地層とで挟み込む構成になり、また、両者の熱膨張係数が近いため、電流印加時にエレメント部が発熱しても、一対の上面電極を絶縁基板と下地層で強固に保持でき、これにより、一対の上面電極と下地層との密着性がより向上するという作用効果が得られるものである。
本発明の請求項3に記載の発明は、下地層を絶縁基板の上面の略全面に形成したもので、この構成によれば、上面電極から絶縁基板へ熱が直接逃げるのを防止できるため、速断性を向上させることができ、さらに、熱膨張係数が互いに近い絶縁基板と下地層が密着しているため、電流印加時にエレメント部が発熱しても、絶縁基板と下地層の間でクラックが発生するのを防止できるという作用効果が得られるものである。
以上のように本発明の回路保護素子は、樹脂よりも硬いガラスと内部が中空もしくは粗で非晶質のシリカまたはアルミナを主成分とする複数のフィラーとの混合物で下地層を構成しているため、下地層が応力に強くなって、上方から圧力が加わっても下地層がほとんど変形せず、これにより、下地層の上面のエレメント部も変形したり損傷したりし難くなるため、エレメント部の厚みを薄くすることができ、この結果、低電流で溶断させることができるという効果を奏するものである。
以下、本発明の一実施の形態における回路保護素子について、図面を参照しながら説明する。
図1は本発明の一実施の形態における回路保護素子の断面図を示したもので、この図1に示すように、本発明の一実施の形態における回路保護素子は、絶縁基板11と、この絶縁基板11の上面の両端部に設けられた一対の上面電極12と、この一対の上面電極12を橋絡するように形成され、かつ前記一対の上面電極12と電気的に接続されたエレメント部13と、このエレメント部13と前記絶縁基板11との間に設けられた下地層14と、前記下地層14の上面に位置するエレメント部13に形成された溶断部15とを備えた構成において、前記下地層14をガラスと内部が中空もしくは粗で非晶質のシリカを主成分とする複数のフィラーとの混合物で構成したものである。
また、前記絶縁基板11の両端部には前記エレメント部13の一部に重なるように銀系の材料からなる端面電極層16が形成されており、かつこの端面電極層16の表面にはめっき膜(図示せず)が形成される。さらに、前記エレメント部13を覆うように、シリコン樹脂からなる絶縁層17が設けられている。
上記構成において、前記絶縁基板11は、その形状が方形状であり、そしてAl2O3を55%〜96%含有するアルミナで構成されている。
また、前記一対の上面電極12は、絶縁基板11の上面の両端部に設けられ、かつAg等を印刷することによって形成されている。
そしてまた、前記エレメント部13は、絶縁基板11の略全面を覆うようにスパッタすることで形成し、下地層14および一対の上面電極12の上面に位置して設けられている。このエレメント部13は、TiやCuをスパッタした後、Al、Zn、Snをスパッタして形成する。このように、エレメント部13はスパッタのみで構成されるため、エレメント部13の厚みを薄くすることができる。なお、エレメント部13は、他の材料を用いてもよく、さらに、薄くめっきすることによって形成してもよい。
また、前記エレメント部13の中心部には、レーザによってトリミング溝18が2ヶ所、互いに対向するエレメント部13の側面からエレメント部13の中心方向に向かって形成されているもので、そしてこの2つのトリミング溝18で囲まれた領域が、過電流が印加されたときに溶融して断線する溶断部15となっている。なお、溶断部15は、エレメント部13をパターンニングすることによって形成してもよい。
そしてまた、前記下地層14は絶縁基板11の上面の中央部に設けられており、かつこの下地層14は前記一対の上面電極12間に位置するエレメント部13と絶縁基板11との間に設けられている。さらに、この下地層14は、SiO2等からなるガラスと、内部が中空もしくは内部の密度が粗になっているシリカまたはアルミナを主成分とするフィラーとを混合させたもので構成している。また、フィラーは、その粒径が約10μmで、さらに、シリカまたはアルミナの内部が中空もしくは表面の密度より内部の密度が粗になっている。
また、この下地層14は、フィラーの混合割合を10〜90体積%とし、さらに、このフィラーの混合割合は50〜60体積%とするのが特に好ましい。ここで、フィラーの混合割合が10体積%より小さいと、下地層14の内部の空気が少なくなるため、エレメント部13で発生した発熱が、絶縁基板11に逃げ易くなる可能性があり、これにより、速断性が劣化(低下)する場合がある。また、フィラーの混合割合が90体積%より大きいと、下地層14の表面の凹凸が大きくなるため、エレメント部13が形成できない可能性が生じる。
さらに、このフィラーは、シリカまたはアルミナを主成分としており、そして、このシリカまたはアルミナは化学的に安定し、かつ耐熱性、耐火性に優れているため、過電流が流れてエレメント部13が高温となっても、溶断特性や溶断後の絶縁抵抗を安定化させることができる。
次に、本発明の一実施の形態における回路保護素子の製造方法について説明する。
図1において、まず、Al2O3を55%〜96%含有するアルミナで構成された絶縁基板11の上面の両端部に、銀ペーストまたは銀を主成分とする銀パラジウム合金導体ペーストを印刷し、約850℃で焼成することにより一対の上面電極12を形成する。
次に、絶縁基板11の中央部に、ガラスと、内部が中空もしくは内部の密度が粗になっているシリカまたはアルミナを主成分とするフィラーとを、フィラーの混合割合が10〜90体積%となるようにして混合させた混合物を印刷する。その後、約850℃で焼成して下地層14を形成する。
このとき、下地層14は主成分がガラスであるため、一対の上面電極12と下地層14を同時に焼成することができ、これにより、生産性を向上させることができる。
次に、下地層14および一対の上面電極12の上面にエレメント部13を形成する。この場合、エレメント部13は一対の上面電極12間を橋絡して一対の上面電極12と電気的に接続されるように構成する。
そして、このエレメント部13は、まず、TiやCuをスパッタし、その後、Al、Zn、Snを順にスパッタして形成される。
次に、エレメント部13の中心部の2ヶ所を、互いに対向するエレメント部13の側面からエレメント部13の中心方向に向かってレーザで切削してトリミング溝18を形成することにより、この2つのトリミング溝18で囲まれた領域に、過電流が印加されたときに溶融して断線する溶断部15を設ける。
次に、シリコン等の樹脂を少なくとも溶断部15を覆うようにエレメント部13上に形成し、絶縁層17を設ける。
次に、絶縁基板11の両端部においてエレメント部13の一部と重なるように樹脂銀ペーストを塗布して硬化させることにより端面電極層16を形成する。なお、この端面電極層16はスパッタ等の薄膜プロセスによって形成してもよい。
最後に、前記端面電極層16に、ニッケルと錫の2層構造からなるめっき膜(図示せず)を形成して、本発明の一実施の形態における回路保護素子を製造するものである。
上記した本発明の一実施の形態においては、樹脂よりも硬い、すなわち応力が印加されても変形しにくいガラスと内部が中空もしくは粗で非晶質のシリカまたはアルミナを主成分とする複数のフィラーとの混合物で下地層14を構成しているため、下地層14が応力に強くなって、上方から圧力が加わっても下地層14がほとんど変形せず、これにより、下地層14の上面に位置するエレメント部13の厚みを薄くしてもエレメント部13は変形したり損傷したりし難くなるため、例えばmAオーダーの低電流でも溶断させることができるという効果が得られるものである。
ここで、下地層14に、ガラスではなくシリコン等の樹脂にフィラーを混合させた混合物を使用した場合、通常の電流では問題ないが、樹脂はガラスより柔らかいため、下地層14上のエレメント部13が変形したり損傷したりし易く、これを防止するためにはエレメント部13の厚みを厚くせざるを得ず、低い電流値で溶断させることは難しい。さらに、エレメント部13自体の応力に対する強度を強くすることも考えられるが、この場合もエレメント部13の厚みを厚くする必要があるため、低い電流値で溶断させることは難しい。したがって、低い電流に対応させるには本発明のようにエレメント部13をスパッタのみで構成し、その厚みを薄くする必要がある。
また、フィラーはその内部に空気が含まれているため、熱伝導率が非常に低く、さらにガラスも熱伝導率が低いため、エレメント部13の熱が絶縁基板11内へ拡散するのを抑制することができる。したがって、下地層14を断熱層として使用できるため、耐インラッシュ性を向上させるためにエレメント部13の断面積を大きくしても、エレメント部13で発生した熱をエレメント部13内に蓄熱することができ、これにより、過電流が流れた際にはエレメント部13を速く溶融させることができるため、耐インラッシュ性と速断性を両立させることができる。
なお、上記したように耐インラッシュ性と速断性を両立させるためには、フィラーの熱伝導率を低くする必要があるため、主成分をシリカとするのが好ましい。
さらに、下地層14にガラスが含まれていることから、アルミナからなる絶縁基板11と下地層14との密着性が向上する。
なお、上記した本発明の一実施の形態においては、下地層14を一対の上面電極12間に位置させたが、図2に示すように、下地層14が一対の上面電極12の少なくとも一部を覆うようにしてもよい。
この構成により、絶縁基板11を構成するアルミナの熱膨張係数は6〜8×10-6/℃、下地層14を構成するガラスの熱膨張係数は5〜6×10-6/℃と両者の熱膨張係数が近く、そして、一対の上面電極12を、互いに密着性が良い絶縁基板11と下地層14とで挟み込む構成になるため、一対の上面電極12を絶縁基板11と下地層14で強固に保持でき、これにより、電流印加時にエレメント部13が発熱しても、一対の上面電極12と下地層14の密着性が低下することはない。
このとき、下地層14に、ガラスではなくシリコン等の樹脂にフィラーを混合させた混合物を使用した場合、絶縁基板11や上面電極12との密着性が悪いため、このような効果を得ることはできない。
さらに、下地層14の長さを一定にした場合、一対の上面電極12間の距離を短くすることができるため、小型化を実現することができる。
また、図3に示すように、下地層14は絶縁基板11の中央部だけでなく、絶縁基板11の上面の略全面に形成し、この下地層14の上面にエレメント部13を、下地層14の上面の両端部に一対の上面電極12をそれぞれ形成するようにして、一対の上面電極12と絶縁基板11が接しないようにしてもよい。
この構成により、上面電極12から絶縁基板11へ熱が直接逃げるのを防止できるため、速断性を向上させることができる。また、熱膨張係数が互いに近い絶縁基板11と下地層14が密着しているため、電流印加時にエレメント部13が発熱しても、絶縁基板11と下地層14の間で密着力が低下するのを防止できる。さらに、下地層14の主成分がガラスであることから、下地層14と上面電極12を同時に焼成できるため、下地層14と上面電極12の密着性も向上させることができる。
そして、上記した本発明の一実施の形態においては、回路保護素子について説明したが、溶断特性の安定化が要求されるヒューズ抵抗等の他の電子部品にも本発明は適用できる。
本発明に係る回路保護素子は、低電流で溶断させることができるという効果を有するものであり、特に過電流が流れると溶断して各種電子機器を保護する回路保護素子等において有用となるものである。
11 絶縁基板
12 上面電極
13 エレメント部
14 下地層
15 溶断部
12 上面電極
13 エレメント部
14 下地層
15 溶断部
Claims (3)
- アルミナを主成分とする絶縁基板と、この絶縁基板の両端部に設けられた一対の上面電極と、この一対の上面電極を橋絡するように形成され、かつ前記一対の上面電極と電気的に接続されたエレメント部と、このエレメント部と前記絶縁基板との間に設けられた下地層と、前記下地層の上面に位置するエレメント部に形成された溶断部とを備え、前記下地層をガラスと内部が中空もしくは粗で非晶質のシリカまたはアルミナを主成分とする複数のフィラーとの混合物で構成した回路保護素子。
- 下地層が一対の上面電極の少なくとも一部を覆うようにした請求項1記載の回路保護素子。
- 下地層を絶縁基板の上面の略全面に形成した請求項1記載の回路保護素子。
Priority Applications (1)
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JP2012247068A JP2014096272A (ja) | 2012-11-09 | 2012-11-09 | 回路保護素子 |
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Cited By (2)
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JP2015097141A (ja) * | 2013-11-15 | 2015-05-21 | パナソニックIpマネジメント株式会社 | 回路保護素子 |
JP2020009531A (ja) * | 2018-07-03 | 2020-01-16 | パナソニックIpマネジメント株式会社 | 回路保護素子 |
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