JP2014091304A - インクジェット記録装置および記録位置ずれの補正方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】複数のノズル列を有するチップを複数配列して構成されるフルライン型のインクジェット記録装置において、チップ間の記録位置ずれや記録ヘッド間の記録位置ずれを適切に補正する。
【解決手段】インクを吐出するノズルが配列されたノズル列を当該ノズル列の配列方向と交差する方向に複数有するチップが複数配置されている記録ヘッドを用いて、画像を記録するインクジェット記録装置であって、前記ノズル列毎に前記チップ間の記録位置のずれを検出するためのパターンを記録する手段と、記録された前記パターンを読み取る手段と、前記パターンの読み取り結果を解析する手段と、前記パターンの解析結果から前記ノズル列毎に前記チップ間における記録位置のずれ量をそれぞれ求め、前記チップ間における記録位置のずれを補正するための補正値を決定する手段と、を備える。
【選択図】図6
【解決手段】インクを吐出するノズルが配列されたノズル列を当該ノズル列の配列方向と交差する方向に複数有するチップが複数配置されている記録ヘッドを用いて、画像を記録するインクジェット記録装置であって、前記ノズル列毎に前記チップ間の記録位置のずれを検出するためのパターンを記録する手段と、記録された前記パターンを読み取る手段と、前記パターンの読み取り結果を解析する手段と、前記パターンの解析結果から前記ノズル列毎に前記チップ間における記録位置のずれ量をそれぞれ求め、前記チップ間における記録位置のずれを補正するための補正値を決定する手段と、を備える。
【選択図】図6
Description
本発明は、インクジェット記録装置および記録位置ずれの補正方法に関する。特に、用紙の幅方向に延在するノズル列を複数並列させて、当該用紙に画像を記録するインクジェット記録装置の記録位置ずれの補正方法に関する。
フルライン型のインクジェット記録装置では、用紙の幅方向全域にわたってノズルが配列されたフルラインヘッドを備え、このフルラインヘッドに対し、用紙を搬送することによって用紙に画像を記録する。カラー画像出力など複数のインクを使用する場合には、上記フルラインヘッドを、更に用紙の搬送方向に並列配置させている。
このようなフルライン型のインクジェット記録装置では、フルラインヘッド間の取りつけ誤差などに起因する記録位置ずれが発生することがある。特許文献1には、複数の記録ヘッド間の記録位置ずれを補正するために、画像とは無関係なテストパターンを記録しながら、粗調整と微調整の2段階で記録ヘッド間の記録位置ずれを補正する方法が開示されている。
一方、製造上の歩留まりを向上させるため、フルラインヘッドは複数のノズルが配列した小型のチップを複数配置させて構成されていることが多い。この場合、個々のフルラインヘッドにおいて、チップ間でも記録位置ずれが生じることがあり、チップ間の記録位置ずれの補正も必要となる。
また、近年では、1つのチップに同じインクを吐出する複数のノズル列を備え、更なる高速化および高解像度化を実現しようとする記録装置も提供されている。
しかしながら、多数のノズルを高密度に配置したチップでは、吐出時に気流が発生し記録位置ずれが生じることがある。そして、本発明者らの検討によれば、このようなノズル列が同じチップ上に複数存在する場合、上記記録位置ずれの量は、ノズル列の位置によって異なることが確認された。
この場合、各チップの1つのノズル列のみを用いてチップ間の記録位置ずれや記録ヘッド間の記録位置ずれを補正しても、他のノズル列では記録位置ずれが補正されない状況が生じる。しかしながら、従来においては、全チップの全ノズル列を考慮した上で、チップ間の記録位置ずれや記録ヘッド間の記録位置ずれを取得していなかったので、記録ヘッド全域に渡って記録位置ずれを適切に補正することは出来なかった。
本発明は上記問題点を解決するために成されたものである。よってその目的とするところは、複数のノズル列を有するチップを複数配列して構成されるフルライン型のインクジェット記録装置において、チップ間の記録位置ずれや記録ヘッド間の記録位置ずれを適切に補正することである。
上記課題を解決するために、本発明に係るインクジェット記録装置は、インクを吐出するノズルが配列されたノズル列を当該ノズル列の配列方向と交差する方向に複数有するチップが複数配置されている記録ヘッドを用いて、画像を記録するインクジェット記録装置であって、前記ノズル列毎に前記チップ間の記録位置のずれを検出するためのパターンを記録する手段と、記録された前記パターンを読み取る手段と、前記パターンの読み取り結果を解析する手段と、前記パターンの解析結果から前記ノズル列毎に前記チップ間における記録位置のずれ量をそれぞれ求め、前記チップ間における記録位置のずれを補正するための補正値を決定する手段と、を備えることを特徴とする。
上記構成によれば、ノズル列毎にチップ間の記録位置ずれ量を求めることによって、チップ間の記録位置のずれや記録ヘッド間の記録位置ずれを適切に補正することができる。
以下に図面を参照して本発明の実施形態を詳細に説明する。
(第1の実施形態)
図1はインクジェット記録装置20の内部構成を示す断面図である。同図に示すように、インクジェット記録装置20(以下「記録装置20」という)は外部機器16と接続されている。外部機器16は記録装置20へ画像データを供給する。本実施形態において記録装置20は、ロール状の記録媒体に対して、外部機器16から受信した画像データに基づき画像を記録する。
図1はインクジェット記録装置20の内部構成を示す断面図である。同図に示すように、インクジェット記録装置20(以下「記録装置20」という)は外部機器16と接続されている。外部機器16は記録装置20へ画像データを供給する。本実施形態において記録装置20は、ロール状の記録媒体に対して、外部機器16から受信した画像データに基づき画像を記録する。
記録装置20は、供給部1、デカール部2、斜行矯正部3、記録部4、検査部5、切断部6、情報記録部7、乾燥部8、巻取り部9、排出搬送部10、ソータ部11、排出トレイ12、および制御部13を備える。制御部13はコントローラ部15および電源部(不図示)を備えている。制御部13は記録装置20における各部を制御する。コントローラ部15は外部機器16からの画像データを受信する。電源部は記録装置20内の各構成部へ電圧を供給する。
また、記録装置20には、複数のローラ対17およびベルトを有する搬送機構が設けられており、記録媒体は搬送機構によって搬送経路18に沿って搬送される。
供給部1はロールR1およびロールR2に巻かれているロール状の記録媒体を収容しており、ロールR1またはロールR2から記録媒体を引き出して、デカール部2に供給する。本実施形態において、供給部1はロールR1およびロールR2の2つのロールを収容しているが、収容するロールの個数はこれに限定されず、1つであってもよいし、2つ以上であってもよい。
デカール部2は、供給部1から供給された記録媒体のカール(反り)を軽減させる。斜行矯正部3は、デカール部2を通過した記録媒体の斜行(本来の進行方向に対する傾き)を矯正する。斜行矯正部3にて斜行を矯正された記録媒体は記録部4へ搬送される。
記録部4は、記録媒体に画像を形成し記録を行なう。また、本実施形態において記録部4は、図6以下を参照しながら後述する記録位置のずれを検出するためのパターン、記録媒体の切断位置を確認するためのカットマークパターンなどを記録する。記録部4には、複数のインクジェット記録ヘッド14(以下「記録ヘッド14」という)が設けられている。各記録ヘッド14は、フルラインタイプの記録ヘッドであり、使用が想定される最大のサイズの記録媒体の幅に対応した長さを有している。
検査部5はスキャナを有しており、このスキャナによって記録部4が記録した画像および各種パターンなどを読み取る。また検査部5は読み取り結果を解析するためのCPU(不図示)を備える。検査部5は、読み取った情報をCPUにて解析することにより、記録ヘッドのノズルの吐出状態、記録媒体の搬送状態、および記録位置等を判断する。
スキャナは不図示の発光部および撮像素子を備えている。発光部は撮像素子の読み取り方向へ向かって光を発する位置か、又は撮像素子との間に記録媒体を挟み撮像素子へ向かって光を発する位置に配置される。前者の場合は発光部から照射した光の反射光を撮像素子が受光し、後者の場合は発光部から照射した光のうち記録媒体を透過した光を撮像素子が受光する。撮像素子は受光した光を電気信号に変換して、電気信号を出力する。
本実施形態においては、撮像素子として、Charge Coupled Devices(CCD)イメージセンサを用いる。また、本実施形態においては、記録媒体の搬送方向と交差する方向(すなわち記録ヘッド14のノズル配列方向)に沿ってCCDセンサを設けたラインセンサを用いる場合について説明するが、CCDラインセンサ以外のセンサを用いてもよい。
切断部6は、記録部4にて画像が記録された記録媒体を所定の長さに切断する。情報記録部7は、切断部6にて所定の長さに切断された記録媒体に、シリアル番号や日付などの情報を、必要に応じて記録する。乾燥部8は、記録媒体を加熱して、記録媒体に付与されたインク等を乾燥させる。巻取り部9は、記録媒体に対して両面記録を行なう際に、一方の面に記録が完了した記録媒体を一時的に巻き取る。そして、巻き取られた記録媒体は記録が完成した面とは異なる面にインクが付与されるように、記録部4へ再び搬送される。片面記録および両面記録について詳細は後述する。
排出搬送部10は、乾燥部8にて乾燥された記録媒体をソータ部11まで搬送する。ソータ部11は、排出トレイ12へ記録媒体を排出する。ソータ部11は必要に応じて記録媒体を分類し、排出トレイ12の異なるトレイに振り分けて排出する。排出トレイ12は複数のトレイを有し、ソータ部11から振り分けられて排出された記録媒体をトレイに載せ置く。
図2は片面記録時の動作を説明するための記録装置20の内部構成を示す断面図である。供給部1から供給された記録媒体19は、デカール部2、斜行矯正部3を経て、記録部4にて記録ヘッド14のノズルが設けられている面との対向面に画像が記録される。画像が記録された記録媒体19は、検査部5を経て、切断部6にて所定の長さに切断される。切断された記録媒体19の記録面の裏面は、必要に応じて情報記録部7にて情報が記録さる。そして、記録媒体19は乾燥部8にて乾燥され、排出搬送部10、ソータ部11を経て、排出トレイ12に排出される。
図3は両面記録時の動作を説明するための記録装置20の内部構成を示す断面図である。供給部1から検査部5まで記録媒体19が搬送される際の動作は、上述の片面記録時と同様である。両面記録においては、最初に記録される面の全ての記録が終了するまでは、記録媒体19は切断部6にて切断されない。
記録媒体19は情報記録部7にて情報の記録が行われずに、乾燥部8まで搬送される。乾燥部8にて乾燥された記録媒体19は、巻き取り部9の巻取りドラムにて巻き取られる。最初に記録される面の全ての記録が終了すると、切断部6にて記録媒体19が切断される。切断位置から記録媒体の搬送方向下流側にある記録媒体19は全て巻き取り部9にて巻き取られ、切断位置から搬送方向上流側にある記録媒体19は供給部1に巻き取られる。
以上の動作が終了すると、次に記録された面の裏面を記録する。巻き取り部9の巻取りドラムが巻き取り時の回転方向と逆方向に回転することによって、デカール部2に記録媒体19が供給される。
記録媒体19は、デカール部2、斜行矯正部3を経て記録部4に供給され、記録部4にて最初に記録された面の裏面に画像が記録される。画像が記録された記録媒体19は検査部5を経て、切断部6に搬送され、切断部6にて所定の長さに切断される。所定の長さに切断された記録媒体19は、両面に記録がされているので、情報記録部7における情報の記録はされずに、乾燥部8にて乾燥され、排出搬送部10、ソータ部11を経て、排出トレイ12に排出される。
なお、本実施形態において記録部4は4つの記録ヘッドを用いる。この4つの記録ヘッドには、夫々対応するインクを供給可能なようにインクタンク(不図示)が接続されている。インクタンクから各記録ヘッドへは、インクチューブ(不図示)を介してそれぞれ対応するインクが供給される。本実施形態において、インクタンクには、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)、およびブラック(K)のインクがそれぞれ収容されている。
図4は記録ヘッド14の構成を示す模式図である。同図においては4つの記録ヘッドのうち、1つの記録ヘッドを示しているが、他の3つの記録ヘッドも同様の構成を有している。
なお、本実施形態においては、K、C、M、Yの4色のインクを供給する記録ヘッドを備える構成について説明する。しかしながら、本発明におけるインクの色の種類はこれに限定されない。例えば、ライトシアンインク、ライトマゼンタインク、レッドインク、グリーンインク等のインクを供給する記録ヘッドを備えていてもよい。また、本実施形態においては、4つの記録ヘッドを用いる場合について説明するが、記録ヘッドの個数はこれに限定されない。
各記録ヘッドには、記録媒体の搬送方向(図中に示すX方向)と交差する方向にノズルが配列されたノズル列を複数有するチップが複数配置されている。4つの記録ヘッド夫々はX方向において夫々に対して略平行となるように並列配置されている。
記録ヘッド14はノズル列の配列方向(図中に示すY方向)の両端部に電極部(不図示)を備えている。この電極部と記録装置20側のフレキシブル配線基板(不図示)とは電気的に接続されている。
図4に示すように、記録ヘッド14には8個のチップ101〜108がY方向にノズルが連続するように、千鳥格子状に配置されている。チップ101〜108は記録ヘッド14における支持部材であるベース基板114に接着され、配置されている。
チップ101〜108にはY方向に配列する複数のノズルからなるノズル列A〜Gが搬送方向と交差する方向(図中に示すY方向)に沿って、搬送方向上流側から下流側に向かって(X方向に)順次配置されている。
各チップにおける個々のノズル列A〜Gの端部において、所定数のノズルがそれぞれ搬送方向にオーバーラップするように、チップは配置されている。
すなわち、チップ105の所定数のノズル及びチップ101の所定数のノズルが、チップ101の所定数のノズル及びチップ106の所定数のノズルが、チップ106の所定数のノズル及びチップ102の所定数のノズルが、夫々重複するように配置されている。
同様に、チップ102の所定数のノズル及びチップ107の所定数のノズルが、チップ107の所定数のノズル及びチップ103の所定数のノズルが、チップ103の所定数のノズル及びチップ108の所定数のノズルが、夫々重複するように配置されている。チップ108の所定数のノズル及びチップ104の所定数のノズルも重複するように配置されている。
チップにはチップの温度を計測する温度センサが取り付けられている(不図示)。また、各ノズルには、それぞれ記録データに従ってインクを吐出するための駆動素子が設けられている。
本実施形態においては、駆動素子として、発熱抵抗素子(ヒータ)を用いる。発熱抵抗素子は通電により発熱し、その発熱により液体(インク)を発泡させて、その発泡エネルギーにより吐出口から液体(インク)を吐出させる。この吐出されたインク滴が記録媒体に付与され、記録媒体にドットを形成し、このドットが画像を形成することにより、記録媒体への記録がなされる。駆動素子としては、ピエゾ素子、静電素子、およびMicro−Electro−Mechanical Systems(MEMS)素子なども用いることができる。また、各駆動素子への電圧の供給は電源部から行われる。
また、図4に示すように、チップ101〜108におけるY方向の有効吐出幅はそれぞれ約1インチである。よって、このチップ101〜108をY方向に配列した記録ヘッド14は、有効吐出幅が約8インチの長さを有しており、A4サイズの記録媒体の短辺方向の長さ(幅)とほぼ一致した長さである。
したがって、A4サイズの記録媒体を縦長となる向きとしてX方向に搬送した場合、用紙の1回の通過とによって、画像が完成される。本実施形態においては、4色のインクをそれぞれ吐出する4つの記録ヘッド14はそれぞれ同じ液体噴射ヘッドであり、これらはフルカラー記録が可能な液体噴射記録装置を構成している。
図5は制御部13の概念を示すブロック図である。制御部13は、コントローラ部15(破線で囲んだ範囲)、画像処理部207、エンジン制御部208、個別ユニット制御部209、および操作部211から構成される。
コントローラ部15は、CPU201、ROM202、RAM203、HDD204、および各種I/Oインターフェース(I/F)205を備える。
CPU201(中央演算処理部)はプリント装置の各ユニットの動作を統合的に制御する。ROM202はCPU201が実行するためのプログラムやプリント装置の各種動作に必要な固定データを格納する。後述する記録位置ずれを補正するためのテストパターンもROM202に格納されている。
RAM203はCPU201のワークエリアとして用いられたり、種々の受信データの一時格納領域として用いられたり、各種設定データを記憶させたりする。HDD204(ハードディスク)はCPU201が実行するためのプログラム、記録データ、記録装置20の各種動作に必要な設定情報を記憶読出することが可能である。
インターフェース205は、コントローラ部15を外部機器16に接続するためのインターフェース(I/F)であり、ローカルI/FまたはネットワークI/Fである。
高速なデータ処理が要求されるユニットについては専用の処理部が設けられている。画像処理部207は、記録装置20で扱う記録データの画像処理を行う。入力された画像データの色空間(たとえばYCbCr)を、標準的なRGB色空間(たとえばsRGB)に変換する。また、画像データに対し解像度変換、画像解析、画像補正等、様々な画像処理が必要に応じて施される。これらの画像処理によって得られた記録データは、RAM203またはHDD204に格納される。
エンジン制御部208は、CPU201等から受信した制御コマンドに基づいて記録データに応じて記録部4の記録ヘッド14の駆動制御を行なう。エンジン制御部208は更に記録装置20内の各部の搬送機構の制御も行なう。
個別ユニット制御部209は、供給部1、デカール部2、斜行矯正部3、検査部5、切断部6、情報記録部7、乾燥部8、巻取り部9、排出搬送部10、ソータ部11、排出トレイ12の各ユニットを個別に制御するためのサブコントローラである。CPU201による指令に基づいて個別ユニット制御部209によりそれぞれのユニットの動作が制御される。以上の構成要素はシステムバス210によって接続されている。
操作部211はユーザとの入出力インターフェースであり、ハードキーやタッチパネルの入力部、および情報を提示するディスプレイや音声発生器などの出力部を含む。
外部機器16は、記録装置20に記録を行わせるための画像データの供給源となる機器である。外部機器16は、汎用または専用のコンピュータであってもよいし、画像リーダ部を有する画像キャプチャ、デジタルカメラ、フォトストレージ等の専用の画像機器であってもよい。外部機器16がコンピュータの場合は、コンピュータに含まれる記憶装置にOS、画像データを生成するアプリケーションソフトウェア、プリント装置用のプリンタドライバがインストールされる。なお、以上の処理の全てをソフトウェアで実現することは必須ではなく、一部または全部をハードウェアによって実現するようにしてもよい。
図6(a)〜(c)は記録位置ずれを補正するためのパターンを示す模式図である。同図(a)は各種記録位置のずれを測定するためのパターンのレイアウトを示し、同図(b)は同図(a)におけるパターン501の拡大図であり、同図(c)は同図(a)におけるパターン505の拡大図である。同図(a)〜(c)における白抜き四角形(本実施形態においては正方形)内のアルファベットは図4に示すノズル列A〜Hと対応しており、この正方形は対応するノズル列を構成するノズルによって記録されるパターンを示している。
図6(a)の上方には1つの記録ヘッド14におけるチップ101〜108の配置が示されており、下方には4つの記録ヘッドにおけるチップ101〜108のノズルにて夫々記録するパターンの配置が示されている。
パターン501〜504は各記録ヘッド内のチップ間の記録位置のずれを測定するためのパターンである。パターン501〜504は記録ヘッド14(K)〜(Y)のチップ101〜108のノズルによって記録される。
パターン501はブラックインクを吐出する記録ヘッド14(K)にて、パターン502はシアンインクを吐出する記録ヘッド14(C)にて、パターン503はマゼンタインクを吐出する記録ヘッド14(M)にて、それぞれ記録するパターンを示している。パターン504はイエローインクを吐出する記録ヘッド14(Y)にて、記録するパターンを示している。また、パターン505は記録ヘッド間の相対的な記録位置のずれを測定するためのパターンである。
図6(b)はパターン501における、チップ104および108で記録した領域の拡大図を示す。なお、同図においては、パターン501のパターンの構成を説明するが、他のパターン502〜504も同様の構成である。
同図(b)に示すように、パターン501は、検知パターン506、基準パターン507、およびタイルパターン508から構成されている。記録ヘッド14は、検知パターン506、基準パターン507、およびタイルパターン508の順で記録する。このため、記録媒体においては同図(b)に示すように、搬送方向(図中に示すX方向)下流側から検知パターン506、基準パターン507、およびタイルパターン508の順に配置される。
検知パターン506はどのインク色(記録ヘッド)によって記録されたパターンであるかを検知するためのパターンである。インク色の解析は、検査部5にて検知パターン506を読み取り、解析することによってなされる。例えば、RGB画像のうち、Rチャネルの値が10未満であればブラックインクによるパターン、10以上60以下であればシアンインクによるパターンと特定する。また、Gチャネルの値が10以上60以下であればマゼンタインクによるパターン、Bチャネルの値が10以上60以下であればイエローインクによるパターンというように特定する。
基準パターン507は、基準パターン507から所定の画素分離れた位置に記録されるタイルパターン508を検知する際の基準として用いられる。タイルパターン508はパターンマッチングに用いられ、このタイルパターンからチップ間の記録位置のずれ量を求める。タイルパターンのそれぞれは全て同一のドットパターンであり、同一チップ内のノズル列A〜Hのいずれかのノズル列によって記録される。
本実施形態において、1つのチップにて記録するタイルパターンは23個である。本実施形態においては、ノズル列A〜Gのノズルにて記録されるパターンは夫々3個、ノズル列Hのノズルにて記録されるパターンは2個である。
図6(c)はパターン505の拡大図である。パターン505はタイルパターンの構成以外は、上述のパターン501の構成と同様である。すなわち、同図(c)に示すように、パターン505は、検知パターン506、基準パターン507およびタイルパターン509〜513から構成されている。搬送方向下流側から順に、検知パターン506、基準パターン507、およびタイルパターンが記録される。検知パターン506は、そのパターンが記録ヘッド間の記録位置ずれを測定するためのパターンであることが分かるようなパターンであれば、どの記録ヘッドで記録されても構わない。
パターン505におけるタイルパターンは記録媒体の搬送方向と交差する方向に沿って5つ記録される。記録ヘッド間の記録位置のずれを求めるために、タイルパターン509〜513は、各記録ヘッドのノズル列Hにて記録される。
すなわち、タイルパターン509は記録ヘッド14(K)にて、タイルパターン510は記録ヘッド14(C)にて、タイルパターン511は記録ヘッド14(M)にて、タイルパターン512は記録ヘッド14(Y)にて、夫々記録されるパターンを示している。また、タイルパターン513は、記録ヘッド14(K)であって、タイルパターン509を記録した領域とは異なる領域のノズル列Hで記録される。
このように、タイルパターン509〜513は、各記録ヘッドにおける同一位置に配置されたチップ(本実施形態においてはチップ104)の同一ノズル列(本実施形態においてはノズル列H)によって記録される。本実施形態では、記録ヘッド14(K)〜(Y)のチップ104のみにてパターン505を記録する場合を例に挙げて説明したが、Y方向におけるチップの位置が揃っていれば、各記録ヘッド14(K)〜(Y)における他のチップのノズルを用いて記録してもよい。
図7はタイルパターンを示す模式図である。同図に示すように、タイルパターンはランダムにドットが配置されたパターンとなっている。なお、本実施形態においては、記録位置のずれを求めるためのタイルパターンをランダムに配置されるものとしたが、タイルパターンの配置はこれに限定されず、規則的に配置されるようにしてもよい。本実施形態では、パターンマッチングによって記録位置ずれを測定するので、パターンマッチングが可能なように、全てのパッチで等しいドットパターンが記録されれば、その内容や大きさは限定されるものではない。
図8は図6(a)および(b)に示すパターン501の解析方法を説明するための模式図であり、1つの記録ヘッド内の記録位置のずれ量を求める方法を説明するための図である。同図においては記録ヘッド14(K)内の記録位置ずれ量を求める方法について説明するが、他の記録ヘッド14(C、M、Y)内の記録位置ずれ量も同様の方法によって求めることができる。
図8においては、(1)記録媒体の搬送方向(図中に示すX方向)のノズル列間のずれ、(2)チップの傾き、(3)X方向のチップ間のずれ、(4)X方向と交差する方向(図中に示すY方向)のチップ間のずれ、を解析する方法を説明する。
本実施形態においては、タイルパターン間においてパターンマッチングを行うことによって、所望の項目のずれ量を算出する。具体的には、個々のパターンの近傍をスキャナで読み取り、予めROMなどに記憶されている図7に示すテンプレートパターンに対し最も相関性の高い画素位置を検出する。そして、各パターンの画素位置の相対位置と設計上の相対位置とのずれから、各種記録位置ずれを取得する。以下、詳しく説明する。
本実施形態における、X方向のノズル列間の記録位置のずれ量は、ノズル列Hにて記録したタイルパターンに対するノズル列A〜Gにて記録したタイルパターンの記録位置のずれから求める。
図8における、タイルパターン701A、702A、及び709Aはノズル列Aのノズルにて記録されるパターンを、タイルパターン701B、703B、及び709Bはノズル列Bのノズルにて記録されるパターンを、それぞれ示している。タイルパターン701C、704C及び709Cはノズル列Cのノズルにて記録されるパターンを、タイルパターン701D、705D、及び709Dはノズル列Dのノズルにて記録されるパターンを、それぞれ示している。
同様に、タイルパターン701E、706E、及び709Eはノズル列Eのノズルにて記録されるパターンを、タイルパターン701F、707F、及び709Fはノズル列Fのノズルにて記録されるパターンを、それぞれ示している。タイルパターン701G、708G、及び709Gは、ノズル列Gのノズルにて記録されるパターンを示している。同様に、タイルパターン701H及び709Hはノズル列Hのノズルにて記録されるパターンを示している。
また、タイルパターン701〜709(A〜H)は、チップ104内のノズル列(A〜H)にて記録されるパターンであり、タイルパターン710A〜710Hは隣接するチップ108のノズル列(A〜H)にて記録されるパターンである。チップ108におけるタイルパターン710A〜710Hを記録する領域と、チップ104におけるタイルパターン709A〜709Hを記録する領域は、いずれも図6(a)の斜線で示す重複領域に含まれている。
図8に示すように、タイルパターン701Hおよび709Hを直線711(図中においては、点線711)で結び、タイルパターン702Aから直線711まで垂線を引く。この垂線の長さを、設計値(記録位置にずれが生じていない場合)の垂線の長さと比較することにより、ノズル列Hに対するノズル列Aの列間ずれ量を求める。他のノズル列B〜Gのノズル列Hに対する列間ずれ量も同様に求める。
このように、ノズル列Hの両端部で記録したタイルパターン701Hと709Hとを結んだ直線を基準として他のノズル列のタイルパターン702〜708の相対位置を求めることにより、用紙搬送時の誤差を取り除いた状態で記録位置ずれを取得することが出来る。
本実施形態において、チップの傾きは、パターン記録後に検査部5にて読み取られた直線711のY軸(CCDセンサ並び方向)に対する傾きより求める。
X方向におけるチップ間の記録位置のずれ量は、直線711をタイルパターン709Hから更に伸ばし、隣接するチップのノズルにて記録したタイルパターン710Hから直線711まで垂線を引き、この垂線の長さと設計上の垂線の長さとを比較して求める。
Y方向におけるチップ間の記録位置のずれ量は、タイルパターン709Hにて直線711に直交する線712を引き、タイルパターン710Hから線712まで垂線を引き、この垂線の長さと設計上の垂線の長さとを比較することによって求める。
記録媒体と記録ヘッドのノズル列が設けられている面との間隔、ノズル列間の距離、およびノズル列の配置によって、ノズル列毎にチップ間のずれは異なる。そのため、上記と同様な方法によって、他のノズル列A〜Gにおいても、タイルパターン701A〜701G、タイルパターン709H〜709Gおよびタイルパターン710A〜710Gとの相対位置を測定することによってチップ間の記録位置ずれを求める。
X方向におけるチップ間のずれ量(chipX)は、X方向における各ノズル列A〜Hのチップ間のずれ量を平均した値とする。
X方向における各ノズル列A〜Hのチップ間のずれ量を、それぞれchipX_A 〜chipX_Hとする。
そうすると、chipX=(chipX_A+chipX_B+chipX_C+chipX_D+chipX_E+chipX_F+chipX_G+chipX_H)/8となる。
また、Y方向におけるチップ間のずれ量(chipY)は、Y方向における各ノズル列A〜Hのチップ間のずれ量を平均した値とする。
Y方向における各ノズル列A〜Hのチップ間の記録位置のずれ量を、それぞれchipY_A 〜chipY_Hとする。
そうすると、chipY=(chipY_A+chipY_B+chipY_C+chipY_D+chipY_E+chipY_F+chipY_G+chipY_H)/8となる。
このように、ノズル列毎のチップ間のずれ量を平均した値を求めることによって、チップ間の記録位置のずれ量がノズル列ごとにばらつく場合であっても、チップ間の総合的な記録位置ずれを複数のノズル列のばらつきの中心値に近い値で求めることができる。なお、本実施形態においては、8つのノズル列のチップ間のずれ量を平均してチップ間のずれ量を求めたが、8つのノズル列のうち、一部のノズル列のチップ間のずれ量を平均して、チップ間のずれ量を求めてもよい。
また、チップ間のずれは、上記平均して求めたずれ量に応じて補正してもよいし、平均せずにノズル列毎に求めたずれ量に応じて補正してもよい。
本実施形態ではチップに配列する複数のノズル列毎にチップ間の記録位置ずれを求める。そうすることにより、チップ間の記録位置のずれ量がノズル列毎に異なる場合であっても、ノズル列毎に適切な記録位置ずれ量を求めることができる。したがって、本実施形態においては、ノズル列毎の記録位置ずれ量を求め、これに応じて記録位置を補正することによって、ノズル列毎のチップ間の記録位置ずれを適切に補正することができる。
図9は図6(a)および(c)に示すパターン505の解析方法を説明するための模式図であり、記録ヘッド間の記録位置のずれ量を求める方法を説明するための図である。
図9においては、(1)記録媒体の搬送方向(図中に示すX方向)のヘッド間のずれ、(2)X方向と交差する方向(図中に示すY方向)のヘッド間のずれ、を解析する方法を説明する。
本実施形態において、記録ヘッド間の記録位置のずれ量は、記録ヘッド14(K)のノズルにて記録したタイルパターンを基準として求める。記録ヘッド14(K)のノズル列Hの左端部にて記録されたタイルパターン801Kおよび右端部で記録されたタイルパターン805Kを結ぶ線806を引き、記録ヘッド14(C)のノズル列Hにて記録したタイルパターン802Cから線806まで垂線を引く。
この垂線の長さと、所望の垂線の長さ、すなわち記録ヘッド(K)と記録ヘッド(C)との設計上の距離とを、比較して、記録媒体の搬送方向(図中X方向)における記録ヘッド14(K)に対する記録ヘッド14(C)の記録位置のずれ量を求める。
タイルパターン801Kから線806に対して直交する線807を引き、タイルパターン802Cから線807まで垂線を引く。この垂線の長さと設計上の垂線の長さとを比較して、搬送方向と交差する方向(図中Y方向)における記録ヘッド14(K)に対する記録ヘッド14(C)の記録位置のずれ量を求める。
記録ヘッド14(M)、(Y)についても同様に、記録ヘッド14(K)に対する記録位置のずれ量を求める。
ここで、図6(c)に示すように、各タイルパターンは記録媒体の搬送方向と交差する方向に沿って記録される。また、検査部5においては、搬送方向と交差するY方向に沿ってセンサが配置されるCCDラインセンサを用いる。そのため、各タイルパターンとそれを読み取るCCDラインセンサとは、同じ方向に沿って配置される。
このように配置されていると、記録媒体の搬送誤差などによって、読み取る画像の大きさが変化した場合においても、その影響が現れるのは搬送方向のみであって、記録媒体の幅方向に並ぶ複数のパターン間で幅方向の大きさがばらつくことは殆どない。したがって、タイルパターン間の距離を高精度に測定することができる。
また、このようなタイルパターンの配置にすることによって、搬送方向におけるタイルパターンの長さ、即ちテストパターン全体の長さも比較的短くすることができる。
上述のように、本実施形態においては、検査部5においてパターンを読み取り、解析する。そして、この解析結果の情報を制御部13へ送る。制御部13において、この解析結果の情報から記録位置ずれ量を求め、記録位置ずれを補正するための補正値を決定し、この補正値に応じて記録位置を補正する。記録位置ずれを補正するための各構成の制御は制御部13によってなされる。
次に、記録位置ずれの補正方法について説明する。記録媒体の搬送方向(X方向)におけるノズル列間の記録位置のずれは、ノズル列Hに対する記録位置のずれ量に応じて、ノズル列毎にインクの吐出タイミングを調整することによって補正する。なお、基準とするノズル列はノズル列Hに限定されず、他のノズル列A〜Gのいずれかを基準としてもよい。
チップの傾きは、チップの傾きに応じて、各ノズルの記録データの格納位置を搬送方向へシフトすることによって補正する。より詳しくは、例えば基準ヘッドを記録ヘッド(K)とすると、各記録ヘッド(C)、(M)、(Y)の傾きを記録ヘッド(K)の傾きに合わせるように、個々のノズル位置に応じて記録データを吐出するタイミングをシフトする。
記録媒体の搬送方向(X方向)におけるチップ間のずれは、1つのチップに対する当該チップと重複する部分を有するチップの記録位置ずれ量を、複数のノズル列夫々について求め、これら複数の総合的なずれ量に応じ、チップ内の全てのノズル列を一律に補正する。
ここで、1つの記録ヘッド14におけるチップ101〜108はオーバーラップするように千鳥格子状に配置されているため、ある1つのチップと当該チップと重複する部分を有するチップとのずれ量は、他のチップにも影響を及ぼす。したがって、図4に示すチップ106は、チップ101に対するずれ量に対する補正量に、チップ101のチップ105に対する補正量を加えた分、補正する。他のチップも同様に補正を行う。
搬送方向と交差する方向(Y方向)におけるチップ間のずれは、1つのチップに対する当該チップと重複する部分を有するチップの記録位置ずれ量を求め、このずれ量に応じて、搬送方向と交差する方向における各チップのノズルの使用領域を調整して補正する。
この搬送方向と交差する方向(Y方向/記録媒体の幅方向)において、設計上の位置に誤差がある状態でチップが配置された場合のチップ間の記録位置ずれの補正方法について図10〜図12を参照して説明する。
図10は、チップの重複領域900を示す模式図であり、図4におけるチップ101、およびチップ105を拡大した図である。図4にて説明したように、チップ101、105にはノズル列A〜Hが設けられている。各ノズル列のY方向への配列解像度は1200dpi(dot/inch)であり、ノズル列A、C、E、Gとノズル列B、D、F、HとはY方向に半ピッチ分すなわち2400dpiの1画素分だけずれて配列されている。
このような構成により記録媒体上では、2400dpiの解像度を有する画像が記録される。なお、本実施形態においては、各ノズル列の配列解像度が1200dpi、記録解像度を2400dpiである場合について説明するが、解像度はこれに限定されるものではない。
また、図10はチップ105に対してチップ101を設計上の位置に誤差のない状態で配置した状態を示している。同図に示すように、X方向において、チップ101のノズル列A、C、E、Gおよびチップ105のノズル列A、C、E、GはX方向の同一線上に配置されている。同図に示すように、X方向において、チップ101のノズル列B、D、F、Hおよびチップ105のノズル列B、D、F、Hも、X方向の同一線上に配置されている。
同図に示す、塗りつぶされているノズル903はノズル列A、C、E、Gに共通する記録データを記録可能なノズルを示し、斜線が付されているノズル904はノズル列B、D、F、Hに共通する記録データを記録可能なノズルを示す。
チップ間の重複領域900のうち、チップ105における領域901に配置されているノズルおよびチップ101における領域902に配置されているノズルは、記録位置を調整するための調整用ノズルとして用いられる。本実施形態においては、図10に示すように、重複領域900における、チップ101のY方向の+側に位置する各列4ノズル、およびチップ105のY方向の−側に位置する各列4ノズルを、調整用ノズルとして使用する。図10のように、チップ間にY方向のずれが生じていない場合、領域901および領域902はそれぞれY方向に2400dpiの8ノズル分の領域となっている。
図11は補正方法を説明するための図であり、チップ105に対してチップ101が、Y方向の−側に2400dpiの1画素分ずれている状態を示している。
図10の状態に比べ、チップ105に対してチップ101が2400dpiの1画素分ずれると、チップ101のノズル列とチップ105のノズル列において、X方向に延在する同一ラインを、図10と同じ組み合わせのノズルでは記録出来なくなる。すなわち、X方向において、チップ105のノズル列A、C、E、Gとチップ101のノズル列B、D、F、Hが同一線上に配置され、チップ105のノズル列B、D、F、Hとチップ101のノズル列A、C、E、Gが同一線上に配置される。
このようにずれて配置された場合、このずれ量を補正するために、チップ101の全てのノズル列A〜Hの記録データを、Y方向+側に1ノズル分(1200dpi)シフトする。そして、チップ101において、ノズル列A、C、E、Gに対する記録データとノズル列B、D、F、Hに対する記録データとを入れ替える。
そうすることによって、図11に示すように、X方向において、チップ105のノズル903およびチップ101のノズル903を同一線上に配置し、チップ105のノズル904およびチップ101のノズル904も同一線上に配置する。この方法によって、Y方向の−側に2400dpiの1画素分だけずれた場合のチップ間のずれを補正することができる。
なお、図11においては、ノズル列の記録データをY方向+側に1ノズル分シフトしているため、補正後のチップ101の調整用ノズルの領域902aはY方向に7画素の領域となり、図10に示す場合に比べて1画素分狭くなる。
図12は補正方法の別例を説明するための図であり、チップ105に対してチップ101が1200dpiの1画素分(すなわち2400dpiの2画素分)ずれている状態を示している。チップ105に対してチップ101が2画素分ずれている場合は、ずれが生じている2画素分(1ノズル分)だけY方向+側に、チップ101の全てのノズル列A〜Hに対する記録データをシフトする。そうすることによって、チップ間のずれを補正することができる。
このように、Y方向におけるチップ間のずれは、2400dpiの奇数画素分ずれている場合は、そのずれが生じている画素分だけ記録データをシフトして、ノズル列A、C、E、Gに対する記録データとノズル列B、D、F、Hに対する記録データとを入れ替える。偶数画素分ずれている場合は、そのずれが生じているノズル分だけ記録データをシフトする。
以上のY方向におけるチップ間のずれは、各ノズルに対する記録データをY方向にシフトすることによって補正する。すなわち、上述のように、Y方向におけるチップ間のずれは、Y方向におけるノズルの使用領域を調整することによって補正することができる。
上述のように、ある1つのチップと当該チップと重複する部分を有するチップとのずれ量は、他のチップにも影響を及ぼす。したがって、図4に示すチップ106は、チップ101に対するずれ量に対する補正量に、チップ101のチップ105に対する補正量を加えた分、補正する。他のチップも同様に補正を行う。
また、上記補正方法の説明においては、チップ105を基準としてチップ101のずれ量を求めたが、チップ101を基準としてチップ105のずれ量を求めてもよい。すなわち、互いに重複する部分を有するチップ間のずれ量を求めることができれば、その何れのチップを基準とするかは特に限定されない。
記録ヘッド間のX方向における記録位置のずれ量は記録ヘッド14(K)を基準として求める。このずれ量に応じて各記録ヘッド14(C、M、Y)のノズルからの吐出タイミングを調整する。記録ヘッド間のY方向における記録位置のずれ量も記録ヘッド14(K)を基準として求める。このずれ量に応じて各記録ヘッド14(C、M、Y)のノズルの記録データの格納位置をY方向にシフトする。
各記録ヘッドにはY方向におけるチップ間ずれの補正方法にて説明した調整用ノズルが、その両端部に設けられている。したがって、この調整用ノズルを用いることによって、チップ間のずれを補正する場合と同様に、記録ヘッド間のY方向の記録位置ずれを補正する。
なお、記録ヘッド14(K)以外の記録ヘッド14(C、M、Y)の何れかを基準として、記録ヘッド間の記録位置のずれ量を求めてもよい。
以上のように、本実施形態においては、1つの記録ヘッド内における記録位置のずれ、および記録ヘッド間における記録位置のずれをそれぞれ求める。本実施形態では、図6(a)に示した一続きのテストパターンより、1つの記録ヘッドにおける、ノズル列間のずれ、チップの傾き、およびチップ間のずれと、記録ヘッド間における記録位置のずれを解析し、この解析結果に基づいて、記録位置のずれを補正する。
この際、個々のチップに配列する複数のノズル列を夫々基準として、チップ間の記録位置ずれを求め、更にこれら複数のノズル列夫々で得られたチップ間の記録位置ずれの平均値を、チップ間の総合的な記録位置ずれとする。こうすることによって、ノズル列毎にチップ間の記録位置ずれ量が異なったとしても、適切な記録位置のずれ量を求めることができる。したがって、本実施形態においては、適切な記録位置ずれ量に応じて記録位置のずれを補正することができる。
(第2の実施形態)
以下に第2の実施形態について説明する。本実施形態においては、タイルパターンの配置が第1の実施形態と異なる。その他は第1の実施形態と同様であるので、その説明を省略する。
以下に第2の実施形態について説明する。本実施形態においては、タイルパターンの配置が第1の実施形態と異なる。その他は第1の実施形態と同様であるので、その説明を省略する。
図13(a)および(b)は本実施形態におけるテストパターンの記録例を示す模式図であり、同図(a)は記録位置のずれを測定するためのパターンのレイアウトを示し、同図(b)は同図(a)におけるパターン501の拡大図である。同図(a)および(b)に示すように、本実施形態においては、各ノズル列の右端のタイルパターンが、重複領域905において、Y方向にずれながら記録されている。
同図(a)のチップ104とチップ108との重複領域905においては、チップ104のノズル列A〜Hの右側によって記録されるタイルパターンが、X方向下流側から上流側に向かうにつれて、Y方向にずれながら記録されている。チップ108とチップ103の重複領域905においては、チップ108のノズル列A〜Hの右側によって記録されるタイルパターンが、X方向下流側から上流側に向かうにつれて、Y方向にずれながら記録されている。他のチップ間においても同様にタイルパターンが記録されている。
既に説明したような吐出時の気流に伴う記録位置は、ノズル列の端部近傍(すなわち重複領域)で特に不安定になり、ノズル列内の位置(端部からの距離)に応じても変化する。よって本実施形態では、記録位置ずれが不安定な端部領域から満遍なく記録位置ずれの情報を取得することにより、記録位置ずれ量の精度を向上させるために、Y方向に段階的にずらした複数のパターンを用意する。
チップ間のずれ量は、第1の実施形態の一例と同様に、ノズル列毎のチップ間のずれ量から総合的に判断する。但し、本実施形態では、各ノズル列から得られた複数の記録位置ずれに対し重み付け平均を行うことによって、総合的なチップ間の記録位置ずれを求める。
X方向におけるチップ間のずれ量(chipX)は、X方向における各ノズル列A〜Hのチップ間のずれ量を以下の様に重み付け平均した値とする。
X方向における各ノズル列A〜Hのチップ間のずれ量を、それぞれchipX_A 〜chipX_Hとし、各ずれ量に対する重み付け係数をa〜hとする。
そうすると、chipX=a・chipX_A+b・chipX_B+c・chipX_C+d・chipX_D+e・chipX_E+f・chipX_F+g・chipX_G+h・chipX_Hとなる。
ここで、a+b+c+d+e+f+g+h=1、g<dとする。
また、Y方向におけるチップ間のずれ量(chipY)は、Y方向における各ノズル列A〜Hのチップ間のずれ量を重み付け平均した値とする。
Y方向における各ノズル列A〜Hのチップ間の記録位置のずれ量を、それぞれchipY_A 〜chipY_Hとし、各ずれ量に対する重み付け係数をa´〜h´とする。
そうすると、chipY=a´・chipY_A+b´・chipY_B+c´・chipY_C+d´・chipY_D+e´・chipY_E+f´・chipY_F+g´・chipY_G+h´・chipY_Hとなる。
ここで、a´+b´+c´+d´+e´+f´+g´+h´=1、g´<d´とする。
ノズル列の最端部で記録されるパターンGに対する重み付け係数gおよびg´が、比較的中央部で記録されるパターンの重み付け係数dおよびd´よりも低く抑えられている。
ところで、互いに重複領域を設けながら複数のチップを配置する記録ヘッドでは、重複領域にて、個々のノズル列に含まれるノズルの使用頻度を、一方のチップからもう一方のチップに徐々にグラデーションをかける様に移していくことが一般である。すなわち、同じ重複領域の中でも最端部に位置するノズルの使用頻度は、比較的中央部に位置するノズルの使用頻度よりも低い。
そこで、本実施形態では、ノズル列の最端部で記録されるパターンGに対する重み付け係数gおよびg´を、比較的中央部で記録されるパターンの重み付け係数dおよびd´よりも低く抑え、使用頻度が高い領域から得られる情報を相対的に重視しているのである。
このように、本実施形態においては、各チップの記録位置のずれ量を、Y方向において異なる位置に記録された複数のタイルパターンから得られる複数のノズル列夫々に対応する記録位置ずれの重み付け平均によって算出する。
なお、本実施形態においても、8つのノズル列のチップ間のずれ量を重み付け平均してチップ間のずれ量を求めたが、8つのノズル列のうち、1部のノズル列のチップ間のずれ量を重み付け平均して、チップ間のずれ量を求めてもよい。
5 検査部
13 制御部
14 記録ヘッド
20 記録装置
101〜108 チップ
501〜504 パターン
13 制御部
14 記録ヘッド
20 記録装置
101〜108 チップ
501〜504 パターン
Claims (8)
- インクを吐出するノズルが配列されたノズル列を当該ノズル列の配列方向と交差する方向に複数有するチップが複数配置されている記録ヘッドを用いて、画像を記録するインクジェット記録装置であって、
前記ノズル列毎に前記チップ間の記録位置のずれを検出するためのパターンを記録する手段と、
記録された前記パターンを読み取る手段と、
前記パターンの読み取り結果を解析する手段と、
前記パターンの解析結果から前記ノズル列毎に前記チップ間における記録位置のずれ量をそれぞれ求め、前記チップ間における記録位置のずれを補正するための補正値を決定する手段と、
を備えることを特徴とするインクジェット記録装置。 - 前記補正値は、前記ノズル列毎の前記チップ間における記録位置ずれ量の少なくとも一部を平均した値であることを特徴とする請求項1に記載のインクジェット記録装置。
- 前記補正値は、前記ノズル列毎の前記チップ間における記録位置ずれ量に応じて前記ノズル列毎に決定することを特徴とする請求項1に記載のインクジェット記録装置。
- 前記ノズル列の配列方向と交差する方向に並列配置されており、それぞれ異なる色のインクを記録する複数の記録ヘッドをさらに用い、
前記複数の記録ヘッド間の記録位置のずれを検出するためのパターンを記録する手段と、
記録された前記パターンを読み取る手段と、
前記パターンの読み取り結果を解析する手段と、
前記パターンの解析結果から前記複数の記録ヘッド間の記録位置のずれ量を求め、記録位置のずれを補正するための補正値を決定する手段と、
を備えることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載のインクジェット記録装置。 - 前記チップは、前記ノズル列の配列方向と交差する方向において他のチップと重複する重複領域を有するように配置されており、
前記重複領域において、一方のチップのノズルで記録する前記パターンが、前記パターンを記録する記録媒体の搬送方向の上流側から下流側に向かうにつれて、前記搬送方向と交差する方向に位置をずらしながら記録されることを特徴とする請求項1に記載のインクジェット記録装置。 - 前記補正値は、前記ノズル列毎に前記パターンが記録される記録位置に応じて、前記ノズル列毎の前記チップ間における記録位置ずれ量を重み付け平均した値であることを特徴とする請求項5に記載のインクジェット記録装置。
- 前記重複領域において、前記一方のチップにおける前記配列方向の最端部のノズルを用いて記録される前記パターンを記録するノズル列の前記記録位置のずれ量に対する重み付け係数は、前記一方のチップにおける前記配列方向の比較的中央部のノズルを用いて記録される前記パターンを記録するノズル列の前記記録位置ずれ量に対する重み付け係数よりも、小さいことを特徴とする請求項6に記載のインクジェット記録装置。
- インクを吐出するノズルが配列されたノズル列を当該ノズル列の配列方向と交差する方向に複数有するチップが複数配置されている記録ヘッドを用いて、画像を記録するインクジェット記録装置の記録位置ずれの補正方法であって、
前記ノズル列毎に前記チップ間の記録位置のずれを検出するためのパターンを記録する工程と、
記録された前記パターンを読み取る工程と、
前記パターンの読み取り結果を解析する工程と、
前記パターンの解析結果から前記ノズル列毎に前記チップ間における記録位置のずれ量をそれぞれ求め、前記チップ間における記録位置のずれを補正するための補正値を決定する工程と、
前記補正値に応じて記録位置を補正する工程と、
を有することを特徴とする記録位置ずれの補正方法。
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