以下、図面を参照しつつ、本発明の実施の形態について説明する。以下の説明では、同一の部品には同一の符号を付してある。それらの名称および機能も同じである。したがって、それらについての詳細な説明は繰り返さない。
<A.システムの構成>
図1は、本実施の形態に従う直流給電システム1の全体の構成を概略的に示す図である。
図1を参照して、直流給電システム1は、パワーコンディショナ100と、蓄電装置200A、200B(以下「蓄電装置200」とも総称する。)と、直流電力源である太陽光発電システム800と、電力系統900とを含む。
パワーコンディショナ100は、電力系統900に連系して、蓄電装置200または図示しない直流負荷に電力を供給する。具体的には、パワーコンディショナ100は、蓄電装置200、太陽光発電システム800または電力系統900から供給される電力を、直流バス30を介して直流負荷に供給する。直流負荷は、例えば、家庭で使用される空調機、冷蔵庫、洗濯機、テレビ、照明装置またはパーソナルコンピュータのような電気機器である。
パワーコンディショナ100は、電力系統900から交流電力を受電(買電)する一方で、太陽光発電システム800などが発電した電力を電力系統900に逆潮流(売電)することも可能に構成されている。パワーコンディショナ100の詳細な構成については後述する。
蓄電装置200は、再充電可能な電力貯蔵要素であり、代表的にリチウムイオン電池やニッケル水素電池などの二次電池で構成される。蓄電装置200は、複数の電池セルを直列接続して構成されている。蓄電装置200の詳細な構成については後述する。
太陽光発電システム800は、太陽電池810と、DC/DC変換器820とを含む。太陽電池810は、結晶型太陽電池、多結晶型太陽電池または薄膜型太陽電池などで構成される。DC/DC変換器820は、太陽電池810とパワーコンディショナ100との間に接続され、太陽電池810から受ける直流電力を電圧変換してパワーコンディショナ100へ供給する。DC/DC変換器820は、太陽電池810から最大の電力を取得できるような制御(いわゆる最大電力点追従制御)を行なう。
電力系統900は、代表的には、単相3線式の商用交流電力系統である。単相3線式の商用交流電力系統は、中性線が抵抗を介して接地されており、中性線以外の2線(R相線RLおよびT相線TL)を使用してAC200Vを供給する。
以下、蓄電装置200およびパワーコンディショナ100の構成についてさらに説明する。
<B.蓄電装置の構成>
図1を参照して、蓄電装置200Aは、蓄電池210Aと、管理部220Aと、スイッチSW1a、SW2aと、ダイオードD1a,D2aとを含む。蓄電装置200Bは、蓄電池210Bと、管理部220Bと、スイッチSW1b、SW2bと、ダイオードD1b,D2bとを含む。以下では、蓄電池210A,210Bを「蓄電池210」、管理部220A,220Bを「管理部220」、スイッチSW1a,1bを「スイッチSW1」、スイッチSW2a,2bを「スイッチSW2」、ダイオードD1a,D1bを「ダイオードD1」、ダイオードD2a,D2bを「ダイオードD2」とも総称する。
蓄電池210は、上述したように充放電可能な電力貯蔵要素である。蓄電池210Aは、例えば、リン酸鉄系のリチウムイオン電池(正極にリン酸鉄リチウム、負極にグラファイト系を適用したもの)などの二次電池で構成される。これに対して、蓄電池210Bは、例えば、鉛蓄電池やリン酸鉄系以外のリチウムイオン電池などの二次電池で構成される。
図2は、本実施の形態に従う複数の蓄電池の電池残量−電圧曲線の一例を示す図である。図2において、横軸は蓄電池210の電池残量(SOC:State of Charge)(%)、縦軸は蓄電池210の電圧(V)を表しており、蓄電池210の電池残量と直流電圧(電池電圧)との対応関係が示されている。なお、SOCは、満充電容量に対する現在の残容量を百分率(0〜100%)で示したものである。蓄電池210は、過充電、過放電を防ぐために、所定の範囲の電池残量において使用される。ここでは、各蓄電池210は、基本的に、SOCの上限の閾値であるTh1と、下限の閾値であるTh2との間(すなわち、Th2<SOC<Th1)において使用されるものとする。
図2を参照すると、蓄電池210Aの電池電圧Vaは、Th2<SOC<Th1において、VMで安定していることがわかる。これに対して、蓄電池210Bの電池電圧Vbは、Th2<SOC<Th1において、電池残量の変化に対する電圧変化(傾き)が比較的大きいことがわかる。なお、詳細は後述するが、図2に示す状態(A)〜(E)は、図5の状態(A)〜(E)に対応している。
再び図1を参照して、管理部220は、蓄電池210の電池残量を管理する。管理部220は、図示しないメモリなどの記憶手段を含み、蓄電池210の電池残量に関する情報(以下「電池関連情報」とも称する。)をメモリに記憶する。電池関連情報とは、蓄電池210の電池残量および電圧との関係を示す情報(例えば、図2に示す電池残量−電圧曲線データ)、および現在の蓄電池210の電池残量を示す情報である。また、管理部220は、蓄電装置200を特定する情報もメモリに記憶する。蓄電装置200を特定する情報としては、たとえば、蓄電池210の種類、製造番号等であってもよい。これらは予め出荷時に記憶されているものであってもよいし、その後に入力されて記憶されるものであってもよい。
管理部220は、後述する制御ユニット10との間で直流バス30を用いた電力線通信(PLC:Power Line Communications)が可能に構成される。あるいは、管理部220は、制御ユニット10との間で無線あるいは有線の専用線で通信を行なうように構成されていてもよい。管理部220は、ある局面では、電池関連情報に蓄電装置200を特定する情報を対応付けて制御ユニット10に送信する。送信のタイミングは、いわゆるプッシュ型と言われる、予め規定された時間間隔や電源が投入されてから予め規定された時間後などの側で規定したタイミングであってもよいし、いわゆるプル型と言われる、制御ユニット10から要求を受けてそのタイミングであってもよい。
また、管理部220は、別の局面では、制御ユニット10から受信した制御信号に基づいて、スイッチSW1,2の開閉を制御する。ここで、スイッチSW1は、直流バス30側から蓄電池210側に電流を流すダイオードD1と蓄電池210との間に設けられる。また、スイッチSW2は、蓄電池210側から直流バス30側に電流を流すダイオードD2と蓄電池210との間に設けられる。すなわち、管理部220は、スイッチSW1を開閉することで、直流バス30からの電力を蓄電池210に充電するための充電経路を接続させたり、遮断させたりする。管理部220は、スイッチSW2を開閉することで、蓄電池210からの電力を直流バス30に放電するための放電経路を接続したり、遮断したりする。
管理部220は、回路等のハードウェア構成であってもよいし、図示しないCPUを含み、CPUがメモリに格納されたプログラムを実行することによってCPUの実現する機能、すなわち、ソフトウェア構成であってもよい。
<C.パワーコンディショナの構成>
(c1.全体構成)
パワーコンディショナ100は、制御ユニット10と、双方向DC/AC変換器20と、直流バス30と、接続端子40と、接続端子42A,42B,42C(以下、「接続端子42」とも総称する。)と、電流センサ50、52とを含む。
制御ユニット10は、ある局面では、蓄電池210の電力を制御する。具体的には、制御ユニット10は、蓄電装置200と通信可能に構成されており、蓄電装置200から取得される電池関連情報に基づいて、蓄電池210と直流バス30との接続を制御する。また、制御ユニット10は、別の局面では、電流センサ50からの出力結果と、双方向DC/AC変換器20に指示することで、蓄電池210に対する充放電を制御する。制御ユニット10の構成の詳細については後述する。
直流バス30は、直流電力を伝達するための電力線であり、電力線対である正母線PLおよび負母線NLで構成される。直流バス30には、双方向DC/AC変換器20および接続端子40,42が接続されている。
接続端子40,42は、パワーコンディショナ100の外部に設けられた直流電力源を直流バス30に電気的に接続させるための「接続部」を構成する。直流給電システム1においては、接続端子40は、太陽光発電システム800を直流バス30に電気的に接続させる。接続端子40に太陽光発電システム800が連結されることによって、太陽電池810で発電された電力が直流バス30に供給される。接続端子42は、蓄電装置200を直流バス30に接続させる。接続端子42に蓄電装置200が連結されることによって、直流バス30および蓄電装置200の間で電力の授受が行なわれる。図1の例では、接続端子42A、42Bにそれぞれ蓄電装置200A、200Bが連結される。このとき、蓄電装置200Aおよび200Bは、直流バス30を介して互いに並列に接続されている。また、パワーコンディショナ100は、直流機器を直流バス30に電気的に接続させるための接続端子44を有していてもよい。
双方向DC/AC変換器20は、直流バス30および電力系統900の間に接続される。双方向DC/AC変換器20は、直流バス30から受ける直流電力を交流電力に変換して電力系統900に供給する。また、双方向DC/AC変換器20は、電力系統900から受ける交流電力を直流電力に変換して直流バス30に供給する。このように、パワーコンディショナ100は、電力会社等から系統電力を買う(買電)とともに、余剰電力を電力会社等に売る(売電)することが可能に構成されている。
なお、図1では、双方向DC/AC変換器20に流れる電流(以下、「自経路電流」とも称する)Iinvについて、買電時の自経路電流をIbuy、売電時の自経路電流をIsellと表記する。電流IsellおよびIbuyをどのような値にするかについては、直流給電システム1の利用者または電力会社等が自在に設定することができる。
また、双方向DC/AC変換器20は、電力会社等からの売電電力または買電電力に対する要請や蓄電池210の電池残量などによる制御ユニット10からの指示に応じて、直流バス30および電力系統900の間で授受される電力を制御する。双方向DC/AC変換器20の構成の詳細については後述する。
電流センサ50は、蓄電装置200に含まれる蓄電池210に入出力される充放電電流(電池電流)Ibを検出し、その検出値を制御ユニット10に出力する。なお、電流センサ50は、蓄電池210への充電電流Ichを、正値の電池電流Ibとして検出し、蓄電池210からの放電電流Idcを、負値の電池電流Ibとして検出する。
電流センサ52は、双方向DC/AC変換器20(より具体的には、後述する双方向インバータ)と電力系統900との間で授受される交流電力の電流である自経路電流Iinvを検出し、その検出結果を制御ユニット10に出力する。
(c2.制御ユニットの構成)
次に、制御ユニット10の構成について説明する。
図3は、本実施の形態に従う制御ユニット10の構成の具体例を示すブロック図である。
図3を参照して、入力部11と、記憶部12と、情報取得部13と、選択部14と、接続制御部15と、電流制御部16とを含む。
入力部11は、ユーザからの操作を受け付けるボタンなどが該当する。入力部11は、図示しないモニタに表示されたユーザインターフェイス画面からユーザ操作を受け付ける場合であってもよい。
記憶部12は、制御ユニット10で実行される制御に必要な各種データ(またはプログラム)を記憶する。典型的には、記憶部12は、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read-Only Memory)などから構成される。
情報取得部13は、各蓄電装置200(管理部220)から上述した電池関連情報を取得する。情報取得部13は、各蓄電装置200との間で直流バス30を用いた電力線通信が可能に構成される。情報取得部13は、例えば、接続端子42に蓄電装置200が連結されると、蓄電装置200との間で通信を行なうことによって、上述した電池関連情報を取得する。なお、情報取得部13は、蓄電装置200との間で通信を行なうことで、接続端子42に接続されている蓄電装置200の個数も把握することができる。
なお、情報取得部13は、無線によって直流電力源と通信を行なうように構成されていてもよい。あるいは、接続端子42の各々を、汎用的な有線の通信用のコネクタで構成し、当該有線を利用して通信を行なうように構成されていてもよい。例えば、RS485、CANなどの方式で通信を行なう。
選択部14は、情報取得部13によって取得された各蓄電池210の電池残量と電圧との関係を示す情報に基づいて、複数の蓄電池210のうち、所定の範囲の電池残量に対する電圧の変化が最も大きい蓄電池以外の少なくとも1つの蓄電池を選択する。より具体的には、選択部14は、複数の蓄電池210について、それぞれ当該所定の範囲における電池残量に対する電圧の傾きを計算して、当該傾きが最も大きい蓄電池以外の少なくとも1つの蓄電池210を選択する。
ここで、図2を例に説明すると、選択部14は、所定の範囲(Th2<SOC<Th1)においては、蓄電池210Aおよび210Bのうち、蓄電池210Bの方が蓄電池210Aよりも電池残量に対する電圧変化が大きいと判断する。そして、選択部14は、蓄電池210Aを選択し、当該選択結果を接続制御部15に出力する。また、選択部14は、例えば、3つの蓄電装置200がパワーコンディショナ100に接続されている場合には、対応する3つの蓄電池210のうち、当該所定の範囲における当該傾きが最も大きい蓄電池以外の(残余の)2つの蓄電池を選択する。
接続制御部15は、選択された蓄電池210の電池残量に基づいて、選択された蓄電池210と直流バス30との間の接続を制御する。より具体的には、接続制御部15は、選択された蓄電池210の電池残量が当該所定の範囲を超えた場合に、選択された蓄電池210に対応する蓄電装置200に対して、選択された蓄電池210と直流バス30との間を接続/遮断させる。接続制御部15は、蓄電装置200(管理部220)に制御信号を送信することにより、上記のような制御を実行させる。
図2を例にさらに詳細に説明すると、接続制御部15は、選択された蓄電池210Aの電池残量がTh1よりも大きい場合には、蓄電池210Aと直流バス30との間において、蓄電池210Aに直流バス30からの電力を充電するための充電経路を遮断させる(スイッチSW1aをOFF)とともに、蓄電池210Aからの電力を直流バス30に放電するための放電経路を接続させる(SW2aをON)。また、接続制御部15は、蓄電池210Aの電池残量がTh2よりも小さい場合には、当該充電経路を接続させる(スイッチSW1aをON)とともに、当該放電経路を遮断させる(SW2aをOFF)。
電流制御部16は、電流センサ50で検出された充放電電流(電池電流)Ibが制御目標値となるように双方向DC/AC変換器20における電力変換を制御する。また、電流制御部16は、電流センサ52で検出された自経路電流Iinvが制御目標値となるように双方向DC/AC変換器20における電力変換を制御する。
上記の制御目標値(自経路電流Iinvの自経路電流目標値Iinv*および電池電流Ibの電池電流目標値Ib*)は、例えば、日時や蓄電池210の電池残量(SOC)に応じて異なる値となるように事前に決定し、記憶部12に記憶しておくことができる。なお、電池電流目標値Ib*は、充電電流Ichの電流目標値Ich*と、放電電流Idcの電流目標値Idc*とを含む。自経路電流目標値Iinv*は、売電時の自経路電流Isellの電流目標値Isell*と、買電時の自経路電流Ibuyの電流目標値Ibuy*とを含む。
電流制御部16は、制御目標値を日時および情報取得部13で取得された蓄電池210の電池残量に基づいて決定してもよいし、入力部11を介したユーザからの指示により決定してもよい。例えば、電流制御部16は、蓄電池210の電池残量が一定値未満(余剰電力がない)になった場合には充電電流が流れるように、当該電池残量が一定値以上(余剰電力がある)になった場合には放電電流が流れるようにIbの制御目標値を決定する。そして、電流制御部16は、上述した電池電流Ibおよび自経路電流Iinvが制御目標値となるように制御信号を双方向DC/AC変換器20に送信する。
(c3.双方向DC/AC変換器の構成)
次に、双方向DC/AC変換器20の構成について説明する。
図4は、図1における双方向DC/AC変換器20の構成を示す概略図である。
図4を参照して、双方向DC/AC変換器20は、双方向インバータ21と、連系リアクトル22,23と、電圧センサ25と、制御部26とを含む。
双方向インバータ21は、売電時には、制御部26からのスイッチング制御信号S1〜S4に応じて、直流バス30から受けた直流電力を交流電力に変換して電力系統900に出力する。また、双方向インバータ21は、買電時には、制御部26からのスイッチング制御信号S1〜S4に応じて、電力系統900から受けた交流電力を直流電力に変換して直流バス30に出力する。
具体的には、双方向インバータ21は、スイッチング素子であるトランジスタQ1〜Q4と、ダイオードD1〜D4とを含む。トランジスタQ1,Q2は、直流バス30を構成する正母線PLおよび負母線NLの間に直列に接続される。トランジスタQ1とトランジスタQ2との中間点はR相線RLに接続される。連系リアクトル22は、R相線RLに介挿接続される。
トランジスタQ3,Q4は、正母線PLおよび負母線NLの間に直列に接続される。トランジスタQ3とトランジスタQ4との中間点はT相線TLに接続される。連系リアクトル23は、T相線TLに介挿接続される。各トランジスタQ1〜Q4のコレクタ−エミッタ間には、エミッタ側からコレクタ側へ電流を流すダイオードD1〜D4がそれぞれ接続されている。トランジスタQ1〜Q4およびダイオードD1〜D4は、フルブリッジ回路を構成する。
なお、トランジスタQ1〜Q4として、例えば、IGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)を用いることができる。または、パワーMOSFET(Metal Oxide Semiconductor Field-Effect Transistor)等の電力スイッチング素子を用いてもよい。
電圧センサ25は、正母線PLと負母線SLとの間に接続され、双方向インバータ21および電力系統900の間で授受される電力の電圧値Vdcを検出し、その検出結果を制御部26へ出力する。
制御部26は、電圧センサ25から受けた電圧Vdcと、制御ユニット10から送信される制御信号、電池電流Ib、および自経路電流Iinvとに基づいて、電池電流Ibおよび自経路電流Iinvが制御目標値になるようにトランジスタQ1〜Q4のオン・オフを制御するためのスイッチング制御信号S1〜S4を生成し、双方向インバータ21を制御する。
制御部26は、例えば、制御ユニット10から充電電流を流すような制御信号を受信(正値の電池電流目標値Ib*を受信)場合には、電池電流Ibを正方向(充電方向)に変化させるように制御する(電池電流Ibを増加させる)。制御部26は、制御ユニット10から放電電流を流すように制御信号を受信した(負値の電池電流目標値Ib*を受信)場合には、電池電流Ibを負方向(放電方向)に変化させるように制御する(電池電流Ibを減少させる)。すなわち、制御部26は、電池電流Ibと電池電流目標値Ib*との電流偏差に基づいたスイッチング制御信号S1〜S4を生成する。
<D.制御方式>
次に、図面を参照しながら、蓄電池210のSOCの値に応じて、パワーコンディショナ100がスイッチSW1,2を開閉することにより、蓄電池210の電力を制御する制御方式について説明する。
(d1.充放電動作)
ここでは、図2および以下の図5、6を参照しながら、パワーコンディショナ100の制御によって、蓄電池210Aおよび210Bの充放電がどのように変化するかを説明する。なお、ここでは蓄電池210を有効利用するために、いずれの蓄電池210もTh2<SOC<Th1の間で使用されるものとする。
図5は、本実施の形態に従う複数の蓄電池210の充放電動作を説明するための図である。なお、図5には、説明の容易化のため、パワーコンディショナ100および蓄電装置200の構成の一部を図示しないが、これらは上述した図1のように構成されているものとする。
図6は、図5における複数の蓄電装置200の状態の遷移を示す状態遷移図である。
なお、図6の状態(A)〜(E)は、図2および図5の状態(A)〜(E)に対応している。
ここでは、図2、5、6を参照して、パワーコンディショナ100によって、蓄電装置200Aおよび200Bについて、それぞれスイッチSW1a,1bとSW2a,2bとをONされている状態(図2、5、6の状態(A))から説明する。上述したように、パワーコンディショナ100は、蓄電装置200Aおよび200Bと通信することで、各々の電池残量−電圧曲線データを取得し、Th2<SOC<Th1における電池残量に対する電圧変化が小さい蓄電池210AのスイッチSW1a、2aを制御する。
図5を参照して、状態(A)では、蓄電池210Aおよび210Bと直流バス30との間の充電経路および放電経路がともに接続されている。そのため、状態(A)では、直流バス30の電圧Vdcと、電池電圧Vaおよび電池電圧Vbとは等しくなる。現実には、直流バス電圧Vdcおよび電池電圧Va,Vbとの間には、ダイオードD1、D2および配線インピーダンスによって若干の電圧差が生じるが、本実施の形態では無視できるほど小さいものとする。また、蓄電池210Aおよび210BがTh2<SOC<Th1の間で使用されることから、図2を参照すると、状態(A)における電圧関係は、Vdc=Va=Vb=VMとなる。
状態(A)では、パワーコンディショナ100が充電電流Ichを流す充電制御時には、蓄電池210Aのみに電力が充電される(矢印Rch1)。また、パワーコンディショナ100が放電電流Idcを流す放電制御時には、蓄電池210Aのみから電力が放電される(矢印Rdc1)。換言すると、蓄電池210Aは、Th2<SOCA<Th1で充放電されるが、蓄電池210Bは、SOCB=Crに固定されることから、充放電されない(すなわち、この状態においては、蓄電池210Bは、有効に活用できない)。
次に、パワーコンディショナ100は、状態(A)から充電制御を行ない、蓄電池210Aに電力が充電されてSOCA>Th1になったときにSW1aをOFFさせる。そして、パワーコンディショナ100がさらに充電制御を続行すると、状態(A)から状態(B)に遷移する(図6の(1)に対応)。状態(B)では、蓄電池210Aにおいては、充電経路が遮断され、放電経路が接続されている。また、蓄電池210Bにおいては、充電経路および放電経路がともに接続されている。図2を参照すると、状態(B)における電圧関係は、Vdc=Vb>Va=VMとなる。このとき、直流バス電圧Vdcは、Vbと等しい状態を維持しながら増減する。
状態(B)では、パワーコンディショナ100による充電制御時には、蓄電池210Bのみに電力が充電される(矢印Rch2)。また、パワーコンディショナ100による放電制御時には、蓄電池210Bのみから電力が放電される(矢印Rdc2)。すなわち、蓄電池210Aに電力は充電されず(スイッチSW1aがOFFされているため)、蓄電池210Aから電力は放電されない(放電経路は接続されているが、Vdc>Vaであるため)。これに対して、蓄電池210Bは、Cr<SOCB<Th1で充放電される。
次に、パワーコンディショナ100は、状態(B)から充電制御を行ない、蓄電池210Bに電力が充電されてSOCB>Th1になると、SOCBが上限に達し、これ以上充電ができなくなるため、充電制御を停止する。そして、パワーコンディショナ100が、放電制御を開始すると、蓄電池210Bから電力が放電される。パワーコンディショナ100が、SOCB=Crになるまで蓄電池210Bを放電させると、状態(B)から状態(C)に遷移する(図6の(2)に対応)。状態(C)では、蓄電池210Aおよび210Bの充電経路、放電経路の接続状態は状態(B)と同様である。しかしながら、図2を参照すると、電圧関係がVdc=Va=Vb=VMとなるため、蓄電池210Aおよび210Bの充放電動作が異なる。なお、パワーコンディショナ100は、放電制御を開始して、蓄電池210Bから電力が放電されてSOCB<Th1になった場合には、状態(C)に遷移しなくても、充電制御を開始することで、蓄電池210Bに電力を充電することができる。
状態(C)では、パワーコンディショナ100による充電制御時には、蓄電池210Bのみに電力が充電される(矢印Rch3)。すると、SOCB=CrからCr<SOCBになり、電圧関係はVdc=Vb>Va=VMに変化して、状態(C)から状態(B)に遷移する(図6の(3)に対応)。また、パワーコンディショナ100による放電制御時には、蓄電池210Aのみから電力が放電される(矢印Rdc3)。すなわち、蓄電池210Aに電力は充電されず(スイッチSW1aがOFFされているため)、蓄電池210Bから電力は放電されない(Vdc=Va=Vb=VMであることから蓄電池210Aからの放電が優先されるため)。
次に、パワーコンディショナ100は、状態(C)から放電制御を行ない、蓄電池210Aから電力が放電されてSOCA<Th3になったときにSW1aをONさせると、状態(C)から状態(A)に遷移する(図6の(4)に対応)。なお、Th3は、Th2<Th3<Th1である。
次に、パワーコンディショナ100は、状態(A)から放電制御を行ない、蓄電池210Aから電力が放電されてSOCA<Th2になったときにSW2aをOFFさせる。そして、パワーコンディショナ100がさらに放電制御を続行すると、状態(A)から状態(D)に遷移する(図6の(5)に対応)。状態(D)では、蓄電池210Aにおいては、充電経路が接続され、放電経路が遮断されている。また、蓄電池210Bにおいては、充電経路および放電経路がともに接続されている。図2を参照すると、状態(D)における電圧関係は、Vdc=Vb<Va=VMとなる。直流バス電圧Vdcは、Vbと等しい状態を維持しながら増減する。
状態(D)では、パワーコンディショナ100による充電制御時には、蓄電池210Bのみに電力が充電される(矢印Rch4)。また、パワーコンディショナ100による放電制御時には、蓄電池210Bのみから電力が放電される(矢印Rdc4)。すなわち、蓄電池210Aに電力は充電されず(充電経路は接続されているが、Vdc<Vaであるため)、蓄電池210Aから電力は放電されない(スイッチSW2aがOFFされているため)。これに対して、蓄電池210Bは、Th2<SOCB<Crで充放電される。
次に、パワーコンディショナ100は、状態(D)から放電制御を行ない、蓄電池210Bから電力が放電されてSOCB<Th2になると、SOCBが下限に達し、これ以上放電ができなくなるため、放電制御を停止する。そして、パワーコンディショナ100が、充電制御を開始すると、蓄電池210Bに電力が充電される。パワーコンディショナ100が、SOCB=Crになるまで蓄電池210Bを充電させると、状態(D)から状態(E)に遷移する(図6の(6)に対応)。状態(E)では、蓄電池210Aおよび210Bの充電経路、放電経路の接続状態は状態(D)と同様である。しかしながら、図2を参照すると、電圧関係がVdc=Va=Vb=VMとなるため、蓄電池210Aおよび210Bの充放電動作が異なる。なお、パワーコンディショナ100は、充電制御を開始して、蓄電池210Bに電力が充電されてSOCB>Th2になった場合には、状態(E)に遷移しなくても、放電制御を開始することで、蓄電池210Bから電力を放電することができる。
状態(E)では、パワーコンディショナ100による放電制御時には、蓄電池210Bのみから電力が放電される(矢印Rdc5)。すると、SOCB=CrからSOCB<Crになり、電圧関係はVdc=Vb<Va=VMに変化して、状態(E)から状態(D)に遷移する(図6の(7)に対応)。また、パワーコンディショナ100による充電制御時には、蓄電池210Aのみに電力が充電される(矢印Rch5)。すなわち、蓄電池210Aから電力は放電されず(スイッチSW2aがOFFされているため)、蓄電池210Bに電力は充電されない(Vdc=Va=Vb=VMであることから蓄電池210Aへの充電が優先されるため)。
そして、パワーコンディショナ100は、状態(E)から充電制御を行ない、蓄電池210Aに電力が充電されてSOCA>Th4になったときにSW2aをONさせると、状態(E)から状態(A)に遷移する(図6の(8)に対応)。なお、Th4は、Th2<Th4<Th1である。
(d2.処理手順)
次に、本実施の形態に従うパワーコンディショナ100で実行される制御処理手順について説明する。
図7は、本実施の形態に従うパワーコンディショナ100で実行される制御処理手順の一例を示すフローチャートである。図7に示す各ステップは、パワーコンディショナ100に含まれる制御ユニット10によるソフトウェア処理および/またはハードウェア処理によって実現されるものとする。なお、蓄電装置200Aおよび200Bの初期状態が、上述した図2、5、6に示す状態(A)であるものとする。
図7を参照して、制御ユニット10は、蓄電装置200Aおよび200Bとの間で通信を行なうことによって、電池関連情報を取得する(ステップS1)。より具体的には、制御ユニット10は、蓄電池210A、210Bの電池残量−電圧曲線データおよび現在の電池残量を示す情報を取得する。なお、電池残量を示す情報は、一定の制御周期ごとに制御ユニット10によって取得される。これにより、制御ユニット10は、蓄電池210A、210Bの電池残量をリアルタイムで把握することができる。
次に、制御ユニット10は、電池残量−電圧曲線データに基づいて、所定の範囲における電池残量に対する電圧の傾きを計算して、当該傾きが最も大きい蓄電池以外の少なくとも1つの蓄電池210を選択する(ステップS2)。より具体的には、制御ユニット10は、Th2<SOC<Th1においては、蓄電池210Aの方が蓄電池210Bよりも傾きが小さいため、蓄電池210Aを選択する。
次に、制御ユニット10は、蓄電池210を充電させるか否かを判断する(ステップS3)。制御ユニット10は、例えば、日時や蓄電池210のSOCなどに基づいて当該判断を行なう。充電させない場合には(ステップS3においてNOの場合)、制御ユニット10は、蓄電池210から電力を放電させるか否かを判断する(ステップS19)。制御ユニット10は、例えば、日時や蓄電池210のSOCなどに基づいて当該判断を行なう。放電させない場合(つまり、充電も放電もさせない場合)には(ステップS19においてNOの場合)、制御ユニット10は、ステップS1からの処理を繰り返す。放電させる場合には(ステップS19においてYESの場合)、制御ユニット10は、ステップS20からの処理を実行する。ステップS20からの処理は、後述する。
充電させる場合には(ステップS3においてYESの場合)、制御ユニット10は充電制御を実行する(ステップS4)。より具体的には、制御ユニット10は、充電電流が制御目標値になるように制御信号を双方向DC/AC変換器20に送信する。双方向DC/AC変換器20は、当該制御信号に基づいて、制御目標値になるように電池電流Ibを正方向(充電方向)に変化させる。
次に、制御ユニット10は、SOCAがTh1よりも大きいか否かを判断する(ステップS6)。SOCAがTh1よりも大きくない場合には(ステップS6においてNOの場合)、制御ユニット10は、後述するステップS12からの処理を実行する。これに対して、SOCAがTh1よりも大きい場合には(ステップS6においてYESの場合)、制御ユニット10は、選択された蓄電池210Aの充電経路に対応するスイッチSW1aをOFFするように制御する(ステップS8)。より具体的には、制御ユニット10は、制御信号を蓄電装置200A(管理部220A)に送信して、スイッチSW1aをOFFさせる。
次に、制御ユニット10は、SOCBがTh1よりも大きいか否かを判断する(ステップS12)。SOCBがTh1よりも大きくない場合には(ステップS12においてNOの場合)、制御ユニット10は、後述するステップS16からの処理を実行する。これに対して、SOCBがTh1よりも大きい場合には(ステップS12においてYESの場合)、制御ユニット10は、充電制御を停止する(ステップS14)。より具体的には、制御ユニット10は、充電制御を停止させる制御信号を双方向DC/AC変換器20に送信する。双方向DC/AC変換器20は、当該制御信号に基づいて、充電制御を停止する。
次に、制御ユニット10は、SOCAがTh4よりも大きいか否かを判断する(ステップS16)。SOCAがTh4よりも大きくない場合には(ステップS16においてNOの場合)、ステップS1からの処理を繰り返す。これに対して、SOCAがTh4よりも大きい場合には(ステップS16においてYESの場合)、制御ユニット10は、スイッチSW2aがOFFか否かを判断する(ステップS17)。スイッチSW2aがOFFではない(ONである)場合には(ステップS17においてNOの場合)、ステップS1からの処理を繰り返す。これに対して、スイッチSW2aがOFFである場合には(ステップS17においてYESの場合)、スイッチSW2aをONするように制御する(ステップS18)。そして、制御ユニット10は、ステップS1からの処理を繰り返す。
次に、ステップS20以降の処理について説明する。
制御ユニット10は、蓄電池210を放電させる場合には(ステップS19においてYESの場合)、制御ユニット10は放電制御を実行する(ステップS20)。より具体的には、制御ユニット10は、放電電流が制御目標値になるように制御信号を双方向DC/AC変換器20に送信する。双方向DC/AC変換器20は、当該制御信号に基づいて、制御目標値になるように電池電流Ibを負方向(放電方向)に変化させる。
次に、制御ユニット10は、SOCAがTh2よりも小さいか否かを判断する(ステップS22)。SOCAがTh1よりも小さくない場合には(ステップS22においてNOの場合)、後述するステップS28からの処理を実行する。これに対して、SOCAがTh2よりも小さい場合には(ステップS22においてYESの場合)、制御ユニット10は、スイッチSW2aをOFFするように制御する(ステップS22)。
次に、制御ユニット10は、SOCBがTh2よりも小さいか否かを判断する(ステップS28)。SOCBがTh2よりも小さくない場合には(ステップS28においてNOの場合)、後述するステップS32からの処理を実行する。これに対して、SOCBがTh2よりも小さい場合には(ステップS28においてYESの場合)、制御ユニット10は、放電制御を停止する。(ステップS30)。より具体的には、制御ユニット10は、放電制御を停止させる制御信号を双方向DC/AC変換器20に送信する。双方向DC/AC変換器20は、当該制御信号に基づいて、放電制御を停止する。
次に、制御ユニット10は、SOCAがTh3よりも小さいか否かを判断する(ステップS32)。SOCAがTh3よりも小さくない場合には(ステップS32においてNOの場合)、ステップS1からの処理を繰り返す。これに対して、SOCAがTh3よりも小さい場合には(ステップS32においてYESの場合)、制御ユニット10は、スイッチSW1aがOFFか否かを判断する(ステップS33)。スイッチSW1aがOFFではない(ONである)場合には(ステップS33においてNOの場合)、ステップS1からの処理を繰り返す。これに対して、スイッチSW1aがOFFである場合には(ステップS33においてYESの場合)、スイッチSW1aをONするように制御する(ステップS34)。そして、制御ユニット10は、ステップS1からの処理を繰り返す。
なお、上記において、制御ユニット10は、ステップS14で充電制御を停止する代わりに、スイッチSW1bをOFFするように制御してもよい。この場合には、放電側のループのステップS34の後に、SOCBがTh1よりも小さくなったことを条件として、スイッチSW1bをONするように制御する処理を追加する。
また、制御ユニット10は、ステップS30で放電制御を停止する代わりに、スイッチSW2bをOFFするように制御してもよい。この場合には、充電側のループのステップS18の後に、SOCBがTh2よりも大きくなったことを条件として、スイッチSW2bをONするように制御する処理を追加する。
<E.変形例(その1)>
ここで、本実施の形態に従う直流給電システム1の変形例(その1)である直流給電システム2について説明する。
(e1.全体構成)
図8は、本実施の形態の変形例(その1)に従う直流給電システム2の全体の構成を概略的に示す図である。
図1を参照して、直流給電システム1は、パワーコンディショナ100と、蓄電装置200B、200Cと、直流電力源である太陽光発電システム800と、電力系統900とを含む。すなわち、直流給電システム2は、直流給電システム1において、蓄電装置200Aの代わりに蓄電装置200Cを接続端子42Aに接続して構成されていること以外は、基本的に同一である。したがって、直流給電システム1と同一の構成および機能についてはその詳細な説明は繰り返さない。
(e2.蓄電装置の構成)
蓄電装置200Cは、蓄電池210Cと、管理部220Cと、スイッチSW1c、SW2cと、ダイオードD1c,D2cとを含む。なお、管理部220Cと、スイッチSW1c、SW2cと、ダイオードD1c,D2cとは、<B.蓄電装置の構成>で説明した蓄電装置200の機能と基本的に同様であるため、その詳細な説明は繰り返さない。
蓄電池210Cは、例えば、鉛蓄電池やリン酸鉄系以外のリチウムイオン電池などの二次電池で構成される。すなわち、蓄電池210Cは、蓄電池210Bと同じ種類の二次電池である。
図9は、本実施の形態の変形例(その1)に従う複数の蓄電池210の電池残量−電圧曲線の一例を示す図である。
図9を参照すると、蓄電池210Bおよび蓄電池210Cは、Th2<SOC<Th1において、ともに電池残量に対する電圧変化(傾き)が比較的大きいことがわかる。より具体的には、Th2<SOC<Th1においては、蓄電池210Cの方が蓄電池210Bよりも電圧変化が大きい。
(e3.充放電動作)
パワーコンディショナ100の構成については、<C.パワーコンディショナの構成>で説明したものと基本的に同様であるため、その詳細な説明は繰り返さない。
ここでは、図9および以下の図10、11を参照しながら、パワーコンディショナ100の制御によって、蓄電池210Bおよび210Cの充放電がどのように変化するかを説明する。なお、ここでは蓄電池210を有効利用するために、いずれの蓄電池210もTh2<SOC<Th1の間で使用されるものとする。
図10は、本実施の形態の変形例(その1)に従う複数の蓄電池210の充放電動作を説明するための図である。なお、図10には、説明の容易化のため、パワーコンディショナ100および蓄電装置200の構成の一部を図示しないが、これらは上述した図8のように構成されているものとする。
図11は、図10における複数の蓄電装置200の状態の遷移を示す状態遷移図である。なお、図11の状態(A)〜(E)は、図9および図10の状態(A)〜(E)に対応している。
図9、10、11を参照して、パワーコンディショナ100が、蓄電装置200Bおよび200Cについて、それぞれスイッチSW1b,1cとSW2b,2cとをONしている状態(図9、10、11の状態(A))から説明する。なお、パワーコンディショナ100は、蓄電装置200Bおよび200Cと通信することで、各々の電池残量−電圧曲線データを取得し、Th2<SOC<Th1における電池残量に対する電圧変化が小さい蓄電池210BのスイッチSW1b、2bを制御する。
図10を参照して、状態(A)では、蓄電池210Bおよび210Cと直流バス30との間の充電経路および放電経路がともに接続されている。そのため、状態(A)では、直流バス電圧Vdcと、電池電圧Vbおよび電池電圧Vcとは等しくなる。また、蓄電池210がTh2<SOC<Th1の間で使用されることから、図9を参照すると、状態(A)における電圧関係は、VL<Vdc=Vb=Vc<VHとなる。
状態(A)では、パワーコンディショナ100による充電制御時には、蓄電池210Bおよび210Cに電力が充電される(矢印Rch11、Rch12)。また、パワーコンディショナ100による放電制御時には、蓄電池210Bおよび210Cから電力が放電される(矢印Rdc11、Rdc12)。換言すると、蓄電池210Bおよび210Cは、VL<Vb=Vc<VHを満たしながら充放電される。
次に、パワーコンディショナ100は、状態(A)から充電制御を行ない、蓄電池210Bおよび210Cに電力が充電されてSOCB>Th1になったときにSW1bをOFFさせる。そして、パワーコンディショナ100がさらに充電制御を続行すると、状態(A)から状態(B)に遷移する(図11の(1)に対応)。状態(B)では、蓄電池210Bにおいては、充電経路が遮断され、放電経路が接続されている。また、蓄電池210Cにおいては、充電経路および放電経路がともに接続されている。図9を参照すると、状態(B)における電圧関係は、Vdc=Vc>Vb=VHとなる。直流バス電圧Vdcは、Vcと等しい状態を維持しながら増減する。
状態(B)では、パワーコンディショナ100による充電制御時には、蓄電池210Cのみに電力が充電される(矢印Rch13)。また、パワーコンディショナ100による放電制御時には、蓄電池210Cのみから電力が放電される(図10の矢印Rdc13)。すなわち、蓄電池210Bに電力は充電されず(スイッチSW1bがOFFされているため)、蓄電池210Bから電力は放電されない(Vdc>Vbであるため)。これに対して、蓄電池210Cは、VH<Vc=Vdcを満たしながら充放電される。
次に、パワーコンディショナ100は、状態(B)から充電制御を行ない、蓄電池210Cに電力が充電されてSOCC>Th1になると、SOCCが上限に達し、これ以上充電ができなくなるため、充電制御を停止する。そして、パワーコンディショナ100が、放電制御を開始すると、蓄電池210Cから電力が放電される。パワーコンディショナ100が、SOCC=Th5(Vc=Vb=VH)になるまで蓄電池210Cを放電させると、状態(B)から状態(C)に遷移する(図11の(2)に対応)。状態(C)では、蓄電池210Bおよび210Cの充電経路、放電経路の接続状態は状態(B)と同様である。しかしながら、図9を参照すると、電圧関係がVdc=Vb=Vc=VHとなるため、充放電動作が異なる。なお、パワーコンディショナ100は、放電制御を開始して、蓄電池210Cから電力が放電されてSOCC<Th1になった場合には、状態(C)に遷移しなくても、充電制御を開始することで、蓄電池210Cに電力を充電することができる。
状態(C)では、パワーコンディショナ100による充電制御時には、蓄電池210Cのみに電力が充電される(矢印Rch14)。すると、SOCC=Th5からTh5<SOCCになり、電圧関係はVdc=Vc>Vb=VHに変化して、状態(C)から状態(B)に遷移する。また、パワーコンディショナ100による放電制御時には、Vb=Vcを満たしながら蓄電池210Bおよび210Cから電力が放電される(矢印Rdc14、Rdc15)。このとき、蓄電池210Bに電力は充電されない(スイッチSW1bがOFFされているため)。
次に、パワーコンディショナ100は、状態(C)から放電制御を行ない、蓄電池210Bおよび210Cから電力が放電されてSOCB<Th3’になったときにSW1bをONさせると、状態(C)から状態(A)に遷移する(図11の(4)に対応)。なお、Th3’は、Th2<Th3’<Th1である。
次に、パワーコンディショナ100は、状態(A)から放電制御を行ない、蓄電池210Bおよび210Cから電力が放電されてSOCB<Th2になったときにSW2bをOFFさせる。そして、パワーコンディショナ100がさらに放電制御を続行すると、状態(A)から状態(D)に遷移する(図11の(5)に対応)。状態(D)では、蓄電池210Bにおいては、充電経路が接続され、放電経路が遮断されている。また、蓄電池210Cにおいては、充電経路および放電経路がともに接続されている。図9を参照すると、状態(D)における電圧関係は、Vdc=Vc<Vb=VLとなる。直流バス電圧Vdcは、Vcと等しい状態を維持しながら増減する。
状態(D)では、パワーコンディショナ100による充電制御時には、蓄電池210Cのみに電力が充電される(矢印Rch16)。また、パワーコンディショナ100による放電制御時には、蓄電池210Cのみから電力が放電される(矢印Rdc16)。すなわち、蓄電池210Bに電力は充電されず(Vdc<Vbであるため)、蓄電池210Bから電力は放電されない(スイッチSW2bがOFFされているため)。これに対して、蓄電池210Cは、Vc<VLを満たしながら充放電される。
次に、パワーコンディショナ100は、状態(D)から放電制御を行ない、蓄電池210Cから電力が放電されてSOCC<Th2になると、SOCCが下限に達し、これ以上放電ができなくなるため、放電制御を停止する。そして、パワーコンディショナ100が、充電制御を開始すると、蓄電池210Cに電力が充電される。パワーコンディショナ100が、SOCC=Th6(Vc=Vb=VL)になるまで蓄電池210Cを充電させると、状態(D)から状態(E)に遷移する(図11の(6)に対応)。状態(E)では、蓄電池210Bおよび210Cの充電経路、放電経路の接続状態は状態(D)と同様である。しかしながら、図9を参照すると、電圧関係がVdc=Vb=Vc=VLとなるため、充放電電流の流れが異なる。なお、パワーコンディショナ100は、充電制御を開始して、蓄電池210Cに電力が充電されてSOCC>Th2になった場合には、状態(E)に遷移しなくても、放電制御を開始することで、蓄電池210Cから電力を放電することができる。
状態(E)では、パワーコンディショナ100による放電制御時には、(スイッチSW2aがOFFされているため)蓄電池210Cのみから電力が放電される(矢印Rdc17)。このとき、SOCC=Th6からTh6<SOCCになり、電圧関係はVdc=Vc<Vb=VLに変化して、状態(E)から状態(D)に遷移する(図11の(7)に対応)。また、パワーコンディショナ100による充電制御時には、蓄電池210Bおよび210Cに電力が充電される(矢印Rch17、Rch18)。
次に、パワーコンディショナ100は、状態(E)から充電制御を行ない、蓄電池210Bおよび210Cに電力が充電されてSOCB>Th4’になったときにSW2bをONさせると、状態(E)から状態(A)に遷移する。なお、Th4’は、Th2<Th4’<Th1である。
なお、本実施の形態の変形例(その1)従うパワーコンディショナ100で実行される制御処理手順は、基本的には、図7における処理手順と基本的に同様に考えることができる。すなわち、変形例(その1)従うパワーコンディショナ100で実行される制御処理手順は、図7におけるフローチャートにおけるSOCA、SOCB、SW1a、SW2a、Th3、Th4を、それぞれSOCB、SOCC、SW1b、SW2b、Th3’、Th4’に置き換えたものに相当する。したがって、その詳細な説明は繰り返さない。
<F.変形例(その2)>
ここで、直流給電システム1の変形例(その2)である直流給電システム3について説明する。
(f1.全体構成)
図12は、本実施の形態の変形例(その2)に従う直流給電システム3の全体の構成を概略的に示す図である。
図12を参照して、直流給電システム3は、パワーコンディショナ100と、蓄電装置200A、200B、200Cと、直流電力源である太陽光発電システム800と、電力系統900とを含む。すなわち、直流給電システム3は、直流給電システム1において、蓄電装置200Cを接続端子42Cに接続して構成されていること以外は、基本的に同一である。したがって、直流給電システム1と同一の構成および機能についてはその詳細な説明は繰り返さない。なお、蓄電装置200A、200B、200Cとは、直流バス30を介して互いに並列に接続される。
図13は、本実施の形態の変形例(その2)に従う複数の蓄電池210の電池残量−電圧曲線の一例を示す図である。
図13を参照すると、蓄電池210A、210Bおよび210Cの電池残量−電圧曲線を示している。Th2<SOC<Th1においては、蓄電池210Aが最も電圧変化が小さく、蓄電池210Bが次に電圧変化が小さく、蓄電池210Cが最も電圧変化が大きいことがわかる。
(f2.充放電動作)
パワーコンディショナ100の構成については、<C.パワーコンディショナの構成>で説明したものと同様であるため、その詳細な説明は繰り返さない。
ここでは、図13および以下の図14〜16を参照しながら、パワーコンディショナ100の制御によって、蓄電池210A、210Bおよび210Cの充放電がどのように変化するかを説明する。なお、ここでは蓄電池210を有効利用するために、いずれの蓄電池210もTh2<SOC<Th1の間で使用されるものとする。
図14および15は、本実施の形態の変形例(その2)に従う複数の蓄電池210の充放電動作を説明するための図である。なお、図14および15には、説明の容易化のため、パワーコンディショナ100および蓄電装置200の構成の一部を図示しないが、これらは上述した図12のように構成されているものとする。
図16は、図14および図15における複数の蓄電装置200の状態の遷移を示す状態遷移図である。なお、図16の状態(A)〜(E)、(F)〜(I)は、それぞれ図14の状態(A)〜(E)、図15の状態(F)〜(I)に対応している。
図16における蓄電池210A、210Bおよび210Cの充放電挙動は、実質的には図5で説明した蓄電池210Aおよび210Bの充放電挙動と、図10で説明した蓄電池210Bおよび210Cの充放電挙動とを組み合わせたものである。なお、ここでは、説明の容易化のため、上述したSW1aをONするタイミングを規定するSOCの値であるTh3とSW1bをONするタイミングを規定するSOC値であるTh3’とは、等しいものとする(すなわち、Th3=Th3’)。同様に、上述したSW2aをONするタイミングを規定するSOCの値であるTh4とSW2bをONするタイミングを規定するSOCの値であるTh4’とは、等しいものとする(すなわち、Th4=Th4’)。
まず、図14の状態(A)〜(E)について説明する。
図13〜16を参照して、パワーコンディショナ100が、蓄電装置200A、200Bおよび200Cについて、それぞれスイッチSW1a,1b,1cとSW2a,2b,2cとをONしている状態(図14の状態(A))から説明する。なお、パワーコンディショナ100は、蓄電装置200A〜200Cと通信することで、各々の電池残量−電圧曲線データ(例えば、図13)を取得し、Th2<SOC<Th1における電池残量に対する電圧変化が最も大きい蓄電池210C以外の残余の蓄電池210Aおよび210Bを選択し、選択された各蓄電池210に対応するスイッチSW1、SW2を制御する。
図14を参照して、状態(A)では、各蓄電池210の充電経路および放電経路がともに接続されている。そのため、図13を参照すると、状態(A)における電圧関係は、Vdc=Va=Vb=Vc=VMとなる。
状態(A)では、パワーコンディショナ100による充電制御時には、蓄電池210Aのみに電力が充電される(矢印Rch21)。また、パワーコンディショナ100による放電制御時には、蓄電池210Aのみから電力が放電される(矢印Rdc21)。換言すると、図14の状態(A)は、図5の状態(A)と同様の充放電動作となる。
次に、パワーコンディショナ100は、状態(A)から充電制御を行ない、蓄電池210Bおよび210Cに電力が充電されてSOCA>Th1になったときにSW1aをOFFさせる。そして、パワーコンディショナ100がさらに充電制御を続行すると、状態(A)から状態(B)に遷移する(図16の(1)に対応)。図13を参照すると、状態(B)における電圧関係は、VM=Va<Vdc=Vb=Vc<VHとなる。
状態(B)では、パワーコンディショナ100による充電制御時には、蓄電池210Bおよび210Cに電力が充電される(矢印Rch22、Rch23)。また、パワーコンディショナ100による放電制御時には、蓄電池210Bおよび210Cから電力が放電される(矢印Rdc22、Rdc23)。換言すると、図14の状態(B)は、図10の状態(A)と同様の充放電動作となる。
次に、パワーコンディショナ100は、状態(A)から充電制御を行ない、蓄電池210Bおよび210Cに電力が充電されてSOCB>Th1になったときにSW1bをOFFさせる。そして、パワーコンディショナ100がさらに充電制御を続行すると、状態(B)から状態(C)に遷移する(図16の(2)に対応)。図12を参照すると、状態(C)における電圧関係は、VM=Va<Vb=VH<Vc=Vdcとなる。
状態(C)では、パワーコンディショナ100による充電制御時には、蓄電池210Cのみに電力が充電される(矢印Rch24)。また、パワーコンディショナ100による放電制御時には、蓄電池210Cのみから電力が放電される(矢印Rdc24)。換言すると、図14の状態(C)は、図10の状態(B)と同様の充放電動作となる。
次に、パワーコンディショナ100は、状態(C)から充電制御を行ない、蓄電池210Cに電力が充電されてSOCC>Th1になると、SOCCが上限に達し、これ以上充電ができなくなるため、充電制御を停止する。そして、パワーコンディショナ100が、放電制御を開始すると、蓄電池210Cから電力が放電される。パワーコンディショナ100が、SOCC=Th5になるまで蓄電池210Cを放電させると、状態(C)から状態(D)に遷移する(図16の(3)に対応)。図12を参照すると、状態(D)における電圧関係は、VM=Va<Vb=Vc=VH=Vdcとなる。なお、パワーコンディショナ100は、放電制御を開始して、蓄電池210Cから電力が放電されてSOCC<Th1になった場合には、状態(D)に遷移しなくても、充電制御を開始することで、蓄電池210Cに電力を充電することができる。
状態(D)では、パワーコンディショナ100による充電制御時には、蓄電池210Cのみに電力が充電される(矢印Rch25)。このとき、SOCC<Th5になると、状態(D)から状態(C)に遷移する(図16の(4)に対応)。また、パワーコンディショナ100による放電制御時には、Vb=Vcを満たしながら蓄電池210Aおよび210Bから電力が放電される(矢印Rdc25、Rdc26)。換言すると、図14の状態(D)は、図10の状態(C)と同様の充放電動作となる。
次に、パワーコンディショナ100は、状態(D)から放電制御を行ない、蓄電池210Bおよび210Cから電力が放電されてSOCB<Th3になったときにSW1bをONさせると、状態(D)から状態(B)に遷移する(図16の(5)に対応)。さらに、パワーコンディショナ100が、SOCB=SOCC=Crになるまで蓄電池210Bおよび210Cを放電させると、状態(B)から状態(E)に遷移する(図16の(6)に対応)。図12を参照すると、状態(E)における電圧関係は、Vdc=Va=Vb=Vc=VMとなる。
状態(E)では、パワーコンディショナ100による充電制御時には、蓄電池210Bおよび210Cに電力が充電される(矢印Rch27、Rch28)。このとき、SOCB=SOCC<Crになると、電圧関係はVM=Va<Vdc=Vb=Vcに変化して、状態(E)から状態(B)に遷移する(図16の(7)に対応)。また、パワーコンディショナ100による放電制御時には、蓄電池210Aのみから電力が放電される(矢印Rdc27)。これは、Vdc=Va=Vb=Vc=VMであることから蓄電池210Aからの放電が優先されるためである。
次に、パワーコンディショナ100は、状態(E)から放電制御を行ない、蓄電池210Aから電力が放電されてSOCA<Th3になったときにSW1aをONさせると、状態(E)から状態(A)に遷移する(図16の(8)に対応)。
次に、図15の状態(F)〜(I)について説明する。
パワーコンディショナ100は、図14の状態(A)から放電制御を行ない、蓄電池210Aから電力が放電されてSOCA<Th2になったときにSW2aをOFFさせる。そして、パワーコンディショナ100がさらに放電制御を続行すると、状態(A)から状態(F)に遷移する(図16の(9)に対応)。図12を参照すると、状態(F)における電圧関係は、VL<Vdc=Vb=Vc<Va=VMとなる。
状態(F)では、パワーコンディショナ100による充電制御時には、蓄電池210Bおよび210Cに電力が充電される(矢印Rch29、Rch30)。また、パワーコンディショナ100による放電制御時には、蓄電池210Bおよび210Cから電力が放電される(矢印Rdc29、Rdc30)。換言すると、図15の状態(F)は、図10の状態(A)と同様の充放電動作となる。
次に、パワーコンディショナ100は、状態(F)から放電制御を行ない、蓄電池210Bおよび210Cから電力が放電されてSOCB<Th2になったときにSW2bをOFFさせる。そして、パワーコンディショナ100がさらに放電制御を続行すると、状態(F)から状態(G)に遷移する(図16の(10)に対応)。図12を参照すると、状態(G)における電圧関係は、Vdc=Vc<Vb=VL<Va=VMとなる。
状態(G)では、パワーコンディショナ100による充電制御時には、蓄電池210Cのみに電力が充電される(矢印Rch31)。また、パワーコンディショナ100による放電制御時には、蓄電池210Cのみから電力が放電される(矢印Rdc31)。換言すると、図15の状態(G)は、図10の状態(D)と同様の充放電動作となる。
次に、パワーコンディショナ100は、状態(G)から放電制御を行ない、蓄電池210Cから電力が放電されてSOCC<Th2になると、SOCCが下限に達し、これ以上放電ができなくなるため、放電制御を停止する。そして、パワーコンディショナ100が、充電制御を開始すると、蓄電池210Cに電力が充電される。パワーコンディショナ100が、SOCC=Th6になるまで蓄電池210Cを充電させると、状態(G)から状態(H)に遷移する(図16の(11)に対応)。図12を参照すると、状態(H)における電圧関係は、VL=Vb=Vc=Vdc<Va=VMとなる。なお、パワーコンディショナ100は、充電制御を開始して、蓄電池210Cに電力が充電されてSOCC>Th2になった場合には、状態(H)に遷移しなくても、放電制御を開始することで、蓄電池210Cから電力を放電することができる。
状態(H)では、パワーコンディショナ100による放電制御時には、蓄電池210Cのみから電力が放電される(矢印Rch32)。すると、SOCC<Th6なり、状態(H)から状態(G)に遷移する(図16の(12)に対応)。また、パワーコンディショナ100による充電制御時には、Vb=Vcを満たしながら蓄電池210Aおよび210Bに電力が充電される(矢印Rdc32、Rdc33)。換言すると、図15の状態(H)は、図10の状態(E)と同様の充放電動作となる。
次に、パワーコンディショナ100は、状態(H)から充電制御を行ない、蓄電池210Bおよび210Cに電力が充電されてSOCB>Th4になったときにSW2bをONさせると、状態(H)から状態(F)に遷移する(図16の(13)に対応)。さらに、パワーコンディショナ100が、SOCB=SOCC=Crになるまで蓄電池210Bおよび210Cを充電させると、状態(F)から状態(I)に遷移する(図16の(14)に対応)。図12を参照すると、状態(I)における電圧関係は、Vdc=Va=Vb=Vc=VMとなる。
状態(I)では、パワーコンディショナ100による放電制御時には、蓄電池210Bおよび210Cから電力が放電される(矢印Rdc33、Rdc34)。すると、SOCB=SOCC<Crになり、電圧関係はVc=Vb=Vdc<Va=VMに変化して、状態(I)から状態(F)に遷移する(図16の(15)に対応)。また、パワーコンディショナ100による充電制御時には、蓄電池210Aのみに電力が充電される(矢印Rch34)。これは、Vdc=Va=Vb=Vc=VMであることから蓄電池210Aへの充電が優先されるためである。
次に、パワーコンディショナ100は、状態(I)から充電制御を行ない、蓄電池210Aに電力が充電されてSOCA>Th4になったときにSW2aをONさせると、状態(I)から状態(A)に遷移する(図16の(16)に対応)。
(f3.処理手順)
次に、本実施の形態の変形例(その2)に従うパワーコンディショナ100で実行される制御処理手順について説明する。
図17は、本実施の形態の変形例(その2)に従うパワーコンディショナ100で実行される制御処理手順の一例を示すフローチャートである。図17に示す各ステップは、パワーコンディショナ100に含まれる制御ユニット10によるソフトウェア処理および/またはハードウェア処理によって実現されるものとする。なお、蓄電装置200Aおよび200Bおよび200Cの初期状態が、上述した図14に示す状態(A)であるものとする。
図17を参照して、制御ユニット10は、各蓄電装置200との間で通信を行なうことによって、蓄電池210A、210Bおよび210Cの電池残量−電圧曲線データおよび現在の電池残量を示す情報を取得する。(ステップS50)。
次に、制御ユニット10は、電池残量−電圧曲線データに基づいて、Th2<SOC<Th1における電池残量に対する電圧の傾きを計算して、当該傾きが最も大きい蓄電池以外の蓄電池210を選択する(ステップS52)。より具体的には、制御ユニット10は、当該傾きが最も大きい蓄電池210C以外の蓄電池210Aおよび210Bを選択する。このとき、制御ユニット10は、蓄電池210Aを最も電圧変化が小さい蓄電池として選択し、蓄電池210Bを次に電圧変化が小さい蓄電池として選択する。
次に、制御ユニット10は、蓄電池210を充電させるか否かを判断する(ステップS54)。充電させない場合には(ステップS54においてNOの場合)、制御ユニット10は、蓄電池210から電力を放電させるか否かを判断する(ステップS77)。放電させない場合(つまり、充電も放電もさせない場合)には(ステップS77においてNOの場合)、制御ユニット10は、ステップS1からの処理を繰り返す。放電させる場合には(ステップS77においてYESの場合)、制御ユニット10は、ステップS78からの処理を実行する。ステップS78からの処理は、後述する。
充電させる場合には(ステップS54においてYESの場合)、制御ユニット10は、制御ユニット10は充電制御を実行する(ステップS56)。
次に、制御ユニット10は、SOCAがTh1よりも大きくなったか否かを判断する(ステップS58)。SOCAがTh1よりも大きくない場合には(ステップS58においてNOの場合)、制御ユニット10は、ステップS62からの処理を実行する。これに対して、SOCAがTh1よりも大きい場合には(ステップS58においてYESの場合)、制御ユニット10は、蓄電池210AのスイッチSW1aをOFFするように制御する(ステップS60)。
次に、制御ユニット10は、SOCBがTh1よりも大きいか否かを判断する(ステップS62)。SOCBがTh1よりも大きくない場合には(ステップS62においてNOの場合)、制御ユニット10は、ステップS66からの処理を実行する。これに対して、SOCBがTh1よりも大きい場合には(ステップS62においてYESの場合)、制御ユニット10は、スイッチSW1bをOFFするように制御する(ステップS64)。
次に、制御ユニット10は、SOCCがTh1よりも大きいか否かを判断する(ステップS66)。SOCCがTh1よりも大きくない場合には(ステップS66においてNOの場合)、制御ユニット10は、ステップS70からの処理を実行する。これに対して、SOCCがTh1よりも大きい場合には(ステップS66においてYESの場合)、制御ユニット10は、充電制御を停止する(ステップS68)。
次に、制御ユニット10は、SOCBがTh4よりも大きいか否かを判断する(ステップS70)。SOCBがTh4よりも大きくない場合には(ステップS70においてNOの場合)、制御ユニット10は、後述するステップS74からの処理を実行する。これに対して、SOCBがTh4よりも大きい場合には(ステップS70においてYESの場合)、制御ユニット10は、スイッチSW2bがOFFか否かを判断する(ステップS71)。スイッチSW2bがOFFではない(ONである)場合には(ステップS71においてNOの場合)、後述するステップS74からの処理を実行する。これに対して、スイッチSW2bがOFFである場合には(ステップS71においてYESの場合)、スイッチSW2bをONするように制御する(ステップS72)。
次に、制御ユニット10は、SOCAがTh4よりも大きいか否かを判断する(ステップS74)。SOCAがTh4よりも大きくない場合には(ステップS74においてNOの場合)、制御ユニット10は、ステップS50の処理を繰り返す。これに対して、SOCAがTh4よりも大きい場合には(ステップS74においてYESの場合)、制御ユニット10は、スイッチSW2aがOFFか否かを判断する(ステップS75)。スイッチSW2aがOFFではない(ONである)場合には(ステップS75においてNOの場合)、ステップS50からの処理を繰り返す。これに対して、スイッチSW2aがOFFである場合には(ステップS75においてYESの場合)、スイッチSW2aをONするように制御する(ステップS76)。そして、制御ユニット10は、ステップS50からの処理を繰り返す。
次に、ステップS78以降の処理について説明する。
制御ユニット10は、蓄電池210を放電させる場合には(ステップS77においてYESの場合)、制御ユニット10は放電制御を実行する(ステップS78)。
次に、制御ユニット10は、SOCAがTh2よりも小さいか否かを判断する(ステップS80)。SOCAがTh2よりも小さくない場合には(ステップS80においてNOの場合)、制御ユニット10は、後述するステップS84からの処理を実行する。これに対して、SOCAがTh2よりも小さい場合には(ステップS80においてYESの場合)、制御ユニット10は、蓄電池210AのスイッチSW2aをOFFするように制御する(ステップS82)。
次に、制御ユニット10は、SOCBがTh2より小さいか否かを判断する(ステップS84)。SOCBがTh2よりも小さくない場合には(ステップS84においてNOの場合)、制御ユニット10は、後述するステップS88からの処理を実行する。これに対して、SOCBがTh2よりも小さい場合には(ステップS84においてYESの場合)、制御ユニット10は、スイッチSW2bをOFFするように制御する(ステップS86)。
次に、制御ユニット10は、SOCCがTh2よりも小さいか否かを判断する(ステップS88)。SOCCがTh2よりも小さくない場合には(ステップS88においてNOの場合)、制御ユニット10は、後述するステップS92からの処理を実行する。これに対して、SOCCがTh2よりも小さい場合には(ステップS88においてYESの場合)、制御ユニット10は、放電制御を停止する(ステップS90)。
次に、制御ユニット10は、SOCBがTh3よりも小さいか否かを判断する(ステップS92)。SOCBがTh3よりも小さくない場合には(ステップS92においてNOの場合)、制御ユニット10は、後述するステップS96からの処理を実行する。これに対して、SOCBがTh3よりも小さい場合には(ステップS92においてYESの場合)、制御ユニット10は、スイッチSW1bがOFFか否かを判断する(ステップS93)。スイッチSW1bがOFFではない(ONである)場合には(ステップS93においてNOの場合)、後述するステップS96からの処理を実行する。これに対して、スイッチSW1bがOFFである場合には(ステップS93においてYESの場合)、スイッチSW1bをONするように制御する(ステップS94)。
次に、制御ユニット10は、SOCAがTh3よりも小さいか否かを判断する(ステップS96)。SOCAがTh3よりも小さくない場合には(ステップS96においてNOの場合)、制御ユニット10は、ステップS50からの処理を繰り返す。これに対して、SOCAがTh3よりも小さい場合には(ステップS96においてYESの場合)、制御ユニット10は、スイッチSW1aがOFFか否かを判断する(ステップS97)。スイッチSW1aがOFFではない(ONである)場合には(ステップS97においてNOの場合)、ステップS50からの処理を繰り返す。これに対して、スイッチSW1aがOFFである場合には(ステップS97においてYESの場合)、スイッチSW1aをONするように制御する(ステップS98)。そして、制御ユニット10は、ステップS50からの処理を繰り返す。
なお、上記において、制御ユニット10は、ステップS68で充電制御を停止する代わりに、スイッチSW1cをOFFするように制御してもよい。この場合には、放電側のループのステップS98の後に、SOCCがTh1よりも小さくなったことを条件として、スイッチSW1cをONするように制御する処理を追加する。
また、制御ユニット10は、ステップS90で放電制御を停止する代わりに、スイッチSW2cをOFFするように制御してもよい。この場合には、充電側のループのステップS76の後に、SOCCがTh2よりも大きくなったことを条件として、スイッチSW2cをONするように制御する処理を追加する。
<G.スイッチの回路構成>
上記では、充電経路、放電経路に、それぞれスイッチSW1、SW2を接続する場合について説明したが、スイッチSWの回路構成はこれに限られない。
図18は、スイッチSWの他の回路構成を示す図である。
図18を参照して、パターンAでは、スイッチSW1およびスイッチSW2にダイオードを介さないスイッチSW3が並列接続されている。これにより、スイッチSW1を開閉することで充電経路を制御し、スイッチSW2を開閉することで放電経路を制御するとともに、スイッチSW3で充放電経路を制御することができる。すなわち、蓄電装置200が充放電される場合には、スイッチSW3をONすることでダイオードを介さない充放電が可能となる。
また、パターンBでは、スイッチSW1をON、スイッチSW2をOFFすることで蓄電装置200に充電のみが可能となり、スイッチSW1をOFF、スイッチSW2をONすることで蓄電装置200から放電のみが可能となり、スイッチSW1およびSW2をONすることで、蓄電装置200に充放電が可能となる。この場合でも、蓄電装置200が充放電される場合には、スイッチSW1およびSW2をONすることでダイオードを介さない充放電が可能となる。
パワーコンディショナ100は、上述した蓄電装置200の充放電動作に合わせて、スイッチSW1〜SW3の開閉を制御すればよい。
<H.その他の実施の形態>
上述した実施の形態では、蓄電装置の個数が2つまたは3つである場合について説明したが、これに限られず、4つ以上の複数の蓄電装置が直流バスを介して並列に接続されていてもよい。
また、蓄電装置の個数分だけ接続端子が存在する場合について説明したが、蓄電装置自体に入出力用の接続部を設けて、蓄電装置同士を順に直流バスを介して並列に接続していく場合であってもよい。
さらに、パワーコンディショナに接続される蓄電池が既知であり、予め電池残量と電圧との関寝系を示す情報が制御ユニットの記憶部などに記憶されている場合には、蓄電装置から当該情報を取得しない場合であってもよい。
<I.利点>
本実施の形態によれば、複数の蓄電池が並列に接続された場合でも各々の電池関連情報に基づいて、蓄電池と直流バスとの接続を制御する。したがって、充放電特性の異なる蓄電池が直流バスを介して並列に接続された場合であっても、いずれの蓄電池も所定の範囲の電池残量で充放電することが可能となる。すなわち、いずれかの蓄電池のみ充放電され、他の蓄電地は充放電されないという事態を防ぎ、各々の蓄電池を有効に活用することができる。
また、電池残量に対する電圧変化の小さいものから順に優先的に充放電されることになるため、直流バス電圧をより安定化することができる。また、スイッチの開閉制御の際に、蓄電池から他の蓄電池に大電流が流れることもない。
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した説明ではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。