JP2014074797A - 液晶表示装置及びそのリタデーション設定方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】表示品位を改善することが可能な液晶表示装置及びそのリタデーション設定方法を提供する。
【解決手段】第1乃至第3画素に亘って形成された共通電極と、第1画素に形成され共通電極と向かい合う第1画素電極と、第2画素に形成され共通電極と向かい合う第2画素電極と、第3画素に形成され共通電極と向かい合う第3画素電極と、を備えた第1基板と、第1画素に形成された青色カラーフィルタと、第2画素に形成された緑色カラーフィルタと、第3画素に形成された赤色カラーフィルタと、を備え、第1基板との間にセルギャップを形成する第2基板と、セルギャップに保持され負の誘電率異方性を有する液晶材料によって形成された液晶層であって、セルギャップをdとし、液晶材料の屈折率異方性をΔnとしたとき、Δn・dで定義されるリタデーションが304nm以上407nm以下である液晶層と、を備えた液晶表示装置。
【選択図】図2
【解決手段】第1乃至第3画素に亘って形成された共通電極と、第1画素に形成され共通電極と向かい合う第1画素電極と、第2画素に形成され共通電極と向かい合う第2画素電極と、第3画素に形成され共通電極と向かい合う第3画素電極と、を備えた第1基板と、第1画素に形成された青色カラーフィルタと、第2画素に形成された緑色カラーフィルタと、第3画素に形成された赤色カラーフィルタと、を備え、第1基板との間にセルギャップを形成する第2基板と、セルギャップに保持され負の誘電率異方性を有する液晶材料によって形成された液晶層であって、セルギャップをdとし、液晶材料の屈折率異方性をΔnとしたとき、Δn・dで定義されるリタデーションが304nm以上407nm以下である液晶層と、を備えた液晶表示装置。
【選択図】図2
Description
本発明の実施形態は、液晶表示装置及びそのリタデーション設定方法に関する。
液晶表示装置は、軽量、薄型、低消費電力などの特徴を生かして、パーソナルコンピュータなどのOA機器やテレビなどの表示装置として各種分野で利用されている。近年では、液晶表示装置は、携帯電話などの携帯端末機器や、カーナビゲーション装置、ゲーム機などの表示装置としても利用されている。
一般に、Fringe Field Switching(FFS)モードやIn−Plane Switching(IPS)モードの液晶表示パネルは、画素電極及び共通電極を備えたアレイ基板と、対向基板との間に液晶層を保持した構成である。特に、FFSモードにおいては、液晶分子が画素電極と共通電極との間のフリンジ電界によって基板主面と略平行な面内で回転することにより、液晶層のリタデーション(Δn・d;Δnは液晶層の屈折率異方性であり、dは液晶層を保持するセルギャップである)を変化させている。
液晶層として、誘電率異方性が正の液晶材料(ポジ型液晶材料)を適用した場合、液晶分子は、その長軸がフリンジ電界に沿うように配向する。このため、画素電極から共通電極に向かうフリンジ電界が形成された際に、画素電極上あるいはスリット上では、縦方向(セル厚方向)の電界に沿って液晶分子が立ち上がってしまい、局所的に低リタデーションの領域が発生してしまう。これにより、一画素あたりの変調率が低く、高い透過率を得ることができない。
一方で、液晶層として、誘電率異方性が負の液晶材料(ネガ型液晶材料)を適用した場合、液晶分子は、その長軸がフリンジ電界に直交するように配向する。このため、縦方向の電界に対しても液晶分子の立ち上がりが少なく、比較的高いリタデーションを維持することができるため、ポジ型液晶材料を適用した場合と比較して、変調率が高く、高い透過率を得ることが可能である。
しかしながら、ネガ型液晶材料を適用した場合に、ポジ型液晶材料を適用した場合と比較して、白色を表示したときに黄色の色付きが顕著となる傾向にある。このため、表示品の改善が求められている。
本実施形態の目的は、表示品位を改善することが可能な液晶表示装置及びそのリタデーション設定方法を提供することにある。
本実施形態によれば、
第1乃至第3画素に亘って形成された共通電極と、第1画素に形成され絶縁膜を介して前記共通電極と向かい合うスリットを有する第1画素電極と、第2画素に形成され絶縁膜を介して前記共通電極と向かい合うスリットを有する第2画素電極と、第3画素に形成され絶縁膜を介して前記共通電極と向かい合うスリットを有する第3画素電極と、を備えた第1基板と、前記第1画素に形成された青色カラーフィルタと、前記第2画素に形成された緑色カラーフィルタと、前記第3画素に形成された赤色カラーフィルタと、を備え、前記第1基板との間にセルギャップを形成する第2基板と、前記セルギャップに保持され負の誘電率異方性を有する第1液晶材料によって形成された液晶層と、を備えた液晶表示装置において、前記セルギャップをdとし、前記液晶層の屈折率異方性をΔnとしたとき、Δn・dで定義される前記液晶層の第1リタデーションの設定方法であって、前記セルギャップに正の誘電率異方性を有する第2液晶材料を保持し第2リタデーションが330nmの液晶層を備えた液晶表示装置において白色を表示したときの色度を基準色度とし、前記第1液晶材料によって形成された液晶層を備えた液晶表示装置において白色を表示したときの色度が前記基準色度と同等となるように第1リタデーションを設定する、リタデーションの設定方法が提供される。
第1乃至第3画素に亘って形成された共通電極と、第1画素に形成され絶縁膜を介して前記共通電極と向かい合うスリットを有する第1画素電極と、第2画素に形成され絶縁膜を介して前記共通電極と向かい合うスリットを有する第2画素電極と、第3画素に形成され絶縁膜を介して前記共通電極と向かい合うスリットを有する第3画素電極と、を備えた第1基板と、前記第1画素に形成された青色カラーフィルタと、前記第2画素に形成された緑色カラーフィルタと、前記第3画素に形成された赤色カラーフィルタと、を備え、前記第1基板との間にセルギャップを形成する第2基板と、前記セルギャップに保持され負の誘電率異方性を有する第1液晶材料によって形成された液晶層と、を備えた液晶表示装置において、前記セルギャップをdとし、前記液晶層の屈折率異方性をΔnとしたとき、Δn・dで定義される前記液晶層の第1リタデーションの設定方法であって、前記セルギャップに正の誘電率異方性を有する第2液晶材料を保持し第2リタデーションが330nmの液晶層を備えた液晶表示装置において白色を表示したときの色度を基準色度とし、前記第1液晶材料によって形成された液晶層を備えた液晶表示装置において白色を表示したときの色度が前記基準色度と同等となるように第1リタデーションを設定する、リタデーションの設定方法が提供される。
本実施形態によれば、
第1乃至第3画素にそれぞれ形成された第1乃至第3スイッチング素子と、第1乃至第3画素に亘って形成された共通電極と、前記共通電極の上に配置された絶縁膜と、前記第1スイッチング素子と電気的に接続され前記絶縁膜の上の前記第1画素に形成され前記共通電極と向かい合うスリットを有する第1画素電極と、前記第2スイッチング素子と電気的に接続され前記絶縁膜の上の前記第2画素に形成され前記共通電極と向かい合うスリットを有する第2画素電極と、前記第3スイッチング素子と電気的に接続され前記絶縁膜の上の前記第3画素に形成され前記共通電極と向かい合うスリットを有する第3画素電極と、を備えた第1基板と、前記第1画素に形成された青色カラーフィルタと、前記第2画素に形成された緑色カラーフィルタと、前記第3画素に形成された赤色カラーフィルタと、を備え、前記第1基板との間にセルギャップを形成する第2基板と、前記セルギャップに保持され負の誘電率異方性を有する液晶材料によって形成された液晶層であって、前記セルギャップをdとし、前記液晶材料の屈折率異方性をΔnとしたとき、Δn・dで定義されるリタデーションが304nm以上407nm以下である液晶層と、を備えた液晶表示装置が提供される。
第1乃至第3画素にそれぞれ形成された第1乃至第3スイッチング素子と、第1乃至第3画素に亘って形成された共通電極と、前記共通電極の上に配置された絶縁膜と、前記第1スイッチング素子と電気的に接続され前記絶縁膜の上の前記第1画素に形成され前記共通電極と向かい合うスリットを有する第1画素電極と、前記第2スイッチング素子と電気的に接続され前記絶縁膜の上の前記第2画素に形成され前記共通電極と向かい合うスリットを有する第2画素電極と、前記第3スイッチング素子と電気的に接続され前記絶縁膜の上の前記第3画素に形成され前記共通電極と向かい合うスリットを有する第3画素電極と、を備えた第1基板と、前記第1画素に形成された青色カラーフィルタと、前記第2画素に形成された緑色カラーフィルタと、前記第3画素に形成された赤色カラーフィルタと、を備え、前記第1基板との間にセルギャップを形成する第2基板と、前記セルギャップに保持され負の誘電率異方性を有する液晶材料によって形成された液晶層であって、前記セルギャップをdとし、前記液晶材料の屈折率異方性をΔnとしたとき、Δn・dで定義されるリタデーションが304nm以上407nm以下である液晶層と、を備えた液晶表示装置が提供される。
以下、本実施形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、各図において、同一又は類似した機能を発揮する構成要素には同一の参照符号を付し、重複する説明は省略する。
図1は、本実施形態の液晶表示装置を構成する液晶表示パネルLPNの構成及び等価回路を概略的に示す図である。
すなわち、液晶表示装置は、アクティブマトリクスタイプの透過型の液晶表示パネルLPNを備えている。液晶表示パネルLPNは、第1基板であるアレイ基板ARと、アレイ基板ARに対向して配置された第2基板である対向基板CTと、これらのアレイ基板ARと対向基板CTとの間に保持された液晶層LQと、を備えている。このような液晶表示パネルLPNは、画像を表示するアクティブエリアACTを備えている。このアクティブエリアACTは、m×n個のマトリクス状に配置された複数の画素PXによって構成されている(但し、m及びnは正の整数である)。
アレイ基板ARは、アクティブエリアACTにおいて、第1方向Xに沿ってそれぞれ延出した複数のゲート配線G及び容量線C、第1方向Xに直交する第2方向Yに沿ってそれぞれ延出した複数のソース配線Sなどを備えている。各画素PXは、ゲート配線G及びソース配線Sと電気的に接続されたスイッチング素子SW、スイッチング素子SWに電気的に接続された画素電極PE、画素電極PEと向かい合う共通電極CEなどを備えている。共通電極CEは、容量線Cとして機能する場合もあり得る。
各ゲート配線GはゲートドライバGDに接続され、各ソース配線SはソースドライバSDに接続されている。各容量線Cは、補助容量電圧が供給される電圧印加部VCSに接続されている。共通電極CEは、コモン電圧が供給される給電部VSに接続されている。液晶表示パネルLPNを駆動するのに必要な信号源としての駆動ICチップ2は、液晶表示パネルLPNのアクティブエリアACTの外側において、アレイ基板ARに実装され、ゲートドライバGD及びソースドライバSDに接続されている。
図示した例の液晶表示パネルLPNは、FFSモードあるいはIPSモードに適用可能な構成であり、アレイ基板ARに画素電極PE及び共通電極CEを備えている。このような構成の液晶表示パネルLPNでは、画素電極PE及び共通電極CEの間に形成される横電界(例えば、フリンジ電界のうちの基板の主面にほぼ平行な電界)を主に利用して液晶層LQを構成する液晶分子をスイッチングする。
図2は、図1に示したアレイ基板ARにおける画素PXの構造を対向基板CTの側から見た概略平面図である。なお、ここでは、説明に必要な主要部のみを図示している。
各画素PXは、第1方向Xに沿ってそれぞれ延出したゲート配線Gと、第2方向Yに沿ってそれぞれ延出したソース配線Sとで規定されている。スイッチング素子SWは、ゲート配線G及びソース配線Sと電気的に接続されている。
共通電極CEは、第1方向Xに沿って延在し、複数の画素PXに亘って共通に形成されている。すなわち、共通電極CEは、各画素PXに配置されるとともに各ソース配線Sの上方を跨いで、第1方向Xに隣接する複数の画素PXに亘って共通に形成されている。なお、図示しないが、共通電極CEは、第2方向Yに隣接する複数の画素PXに亘って共通に形成されていても良い。
各画素PXの画素電極PEは、スイッチング素子SWと電気的に接続されている。画素電極PEは、画素PXにおいて島状に形成されている。図示した例では、画素電極PEは、第1方向Xに沿った短辺と、第2方向Yに沿った長辺と、を有する概略長方形状に形成されている。このような各画素電極PEは、共通電極CEと向かい合うスリットSLを形成する複数の電極部PAを備えている。スリットSLは、第2方向Yに平行な長軸を有するように形成されている。なお、画素電極PEの形状は、図示した例に限らない。
図3は、図2に示した画素PXを含むA−B線に沿った液晶表示パネルLPNの断面構造を概略的に示す図である。
すなわち、アレイ基板ARは、ガラス基板や樹脂基板などの光透過性を有する第1絶縁基板10を用いて形成されている。このアレイ基板ARは、第1絶縁基板10の対向基板CTに対向する側に、図示しないスイッチング素子、ソース配線S、共通電極CE、画素電極PE1乃至PE3、第1絶縁膜11、第2絶縁膜12、第3絶縁膜13、第1配向膜AL1などを備えている。
第1絶縁膜11は、第1絶縁基板10の上に配置されている。ソース配線Sは、それぞれ第1絶縁膜11の上に形成され、第2絶縁膜12によって覆われている。第2絶縁膜12は、第1絶縁膜11の上にも配置されている。共通電極CEは、第2絶縁膜12の上に形成されている。この共通電極CEは、透明な導電材料、例えば、インジウム・ティン・オキサイド(ITO)やインジウム・ジンク・オキサイド(IZO)などによって形成されている。この共通電極CEは、第3絶縁膜13によって覆われている。
画素電極PE1乃至PE3は、それぞれ第3絶縁膜13の上に形成され、共通電極CEと向かい合っている。これらの画素電極PE1乃至PE3は、透明な導電材料、例えば、ITOやIZOなどによって形成されている。より具体的には、画素電極PE1は第1画素PX1(例えば、赤色を表示する赤色画素)に形成され、画素電極PE2は第2画素PX2(例えば、緑色を表示する緑色画素)に形成され、画素電極PE3は第3画素PX3(例えば、青色を表示する青色画素)に形成されている。画素電極PE1乃至PE3は、第1配向膜AL1によって覆われている。第1配向膜AL1は、第3絶縁膜13も覆っている。第1配向膜AL1は、水平配向性を示す材料によって形成されている。
一方、対向基板CTは、ガラス基板や樹脂基板などの光透過性を有する第2絶縁基板30を用いて形成されている。この対向基板CTは、第2絶縁基板30のアレイ基板ARと対向する側に、遮光層31、カラーフィルタ32、オーバーコート層33、第2配向膜AL2などを備えている。
遮光層31は、アクティブエリアACTにおいて各画素を区画するものであって、図示しないゲート配線及びスイッチング素子や、ソース配線Sなどの配線部に対向するように形成されている。また、遮光層31は、アクティブエリアACTの外側にも延在している。
カラーフィルタ32は、各画素PXに対応して配置されその一部が遮光層31に乗り上げている。第1方向Xに隣接する画素PXにそれぞれ配置されたカラーフィルタ32は、互いに色が異なる。例えば、カラーフィルタ32は、赤色、青色、緑色といった3原色にそれぞれ着色された樹脂材料によって形成されている。赤色に着色された樹脂材料からなる赤色カラーフィルタ32Rは、第1画素PX1に対応して配置され、画素電極PE1と対向している。緑色に着色された樹脂材料からなる緑色カラーフィルタ32Gは、第2画素PX2に対応して配置され、画素電極PE2と対向している。青色に着色された樹脂材料からなる青色カラーフィルタ32Bは、第3画素PX3に対応して配置され、画素電極PE3と対向している。カラーフィルタ同士の境界は、遮光層31と重なる位置にある。
オーバーコート層33は、カラーフィルタ32を覆っている。このオーバーコート層33は、遮光層31やカラーフィルタ32の表面の凹凸を平坦化する。オーバーコート層33は、透明な樹脂材料によって形成されている。オーバーコート層33の表面は、第2配向膜AL2によって覆われている。第2配向膜AL2は、水平配向性を示す材料によって形成されている。
上述したようなアレイ基板ARと対向基板CTとは、第1配向膜AL1及び第2配向膜AL2が向かい合うように配置されている。このとき、アレイ基板ARと対向基板CTの間には、一方の基板に形成された柱状スペーサにより、所定のセルギャップが形成される。アレイ基板ARと対向基板CTとは、セルギャップが形成された状態でシール材によって貼り合わせられている。液晶層LQは、これらのアレイ基板ARの第1配向膜AL1と対向基板CTの第2配向膜AL2との間に形成されたセルギャップに封入された液晶分子LMを含む液晶組成物によって構成されている。このような液晶層LQは、例えば、誘電率異方性が負(ネガ型)の液晶材料によって構成されている。
このような構成の液晶表示パネルLPNに対して、その背面側には、バックライトBLが配置されている。バックライトBLとしては、種々の形態が適用可能であり、また、光源として発光ダイオード(LED)を利用したものや冷陰極管(CCFL)を利用したものなどのいずれでも適用可能であり、詳細な構造については説明を省略する。
アレイ基板ARの外面すなわち第1絶縁基板10の外面10Bには、第1偏光板PL1を含む第1光学素子OD1が配置されている。また、対向基板CTの外面すなわち第2絶縁基板30の外面30Bには、第2偏光板PL2を含む第2光学素子OD2が配置されている。第1偏光板PL1の第1偏光軸と第2偏光板PL2の第2偏光軸とは、例えば、クロスニコルの位置関係にある。
第1配向膜AL1及び第2配向膜AL2は、図2に示したように、基板主面(あるいは、X−Y平面)と平行な面内において、互いに平行な方位に配向処理(例えば、ラビング処理や光配向処理)がなされている。第1配向膜AL1は、第1方向Xに対して45°以下の鋭角に交差する方向に沿って配向処理されている。第1配向膜AL1の配向処理方向R1及び第2配向膜AL2の配向処理方向R2は、例えば、第1方向Xに対して5°〜15°の角度をもって交差する方向である。なお、配向処理方向R1と配向処理方向R2とは互いに逆向きである。
なお、第1偏光板PL1の第1偏光軸は、例えば、第1配向膜AL1の配向処理方向R1と略平行な方位に設定され、第2偏光板PL2の第2偏光軸は、第1配向膜AL1の配向処理方向R1と略直交する方位に設定されている。
以下に、上記構成の液晶表示装置における動作の一例(ノーマリブラック)について説明する。
画素電極PEと共通電極CEとの間に電位差を形成するような電圧が印加されていないOFF時においては、液晶層LQに電圧が印加されていない状態であり、画素電極PEと共通電極CEとの間に電界が形成されていない。このため、液晶層LQに含まれる液晶分子LMは、図2に点線で示したように、X−Y平面内において、第1配向膜AL1及び第2配向膜AL2の配向処理方向に初期配向する(液晶分子LMが初期配向する方向を初期配向方向と称する)。OFF時には、バックライトBLからのバックライト光の一部は、第1偏光板PL1を透過し、液晶表示パネルLPNに入射する。液晶表示パネルLPNに入射した光は、第1偏光板PL1の第1偏光軸と直交する直線偏光である。このような直線偏光の偏光状態は、OFF時の液晶表示パネルLPNを通過した際にほとんど変化しない。このため、液晶表示パネルLPNを透過した直線偏光は、第1偏光板PL1に対してクロスニコルの位置関係にある第2偏光板PL2によって吸収される(黒表示)。
一方、画素電極PEと共通電極CEとの間に電位差を形成するような電圧が印加されたON時においては、液晶層LQに電圧が印加された状態であり、画素電極PEと共通電極CEとの間にフリンジ電界が形成される。このため、液晶分子LMは、図2に実線で示したように、X−Y平面内において、初期配向方向とは異なる方位に配向する。ネガ型の液晶材料においては、液晶分子LMは、その長軸が電界と略直交するような方向に配向する。このようなON時には、第1偏光板PL1の第1偏光軸と直交する直線偏光は、液晶表示パネルLPNに入射し、その偏光状態は、液晶層LQを通過する際に液晶分子LMの配向状態(あるいは、液晶層のリタデーション)に応じて変化する。このため、ON時においては、液晶層LQを通過した少なくとも一部の光は、第2偏光板PL2を透過する(白表示)。
ネガ型の液晶材料を適用した本実施形態によれば、ON時に形成されるフリンジ電界のうち、X−Y平面内と平行な水平電界やX−Y平面と直交する垂直電界が形成された領域において、液晶分子LMは、その長軸がこれらの電界に直交するようにX−Y平面内において略水平に回転し、所望のリタデーションを得ることができる。一方、ポジ型の液晶材料を適用した比較例では、フリンジ電界のうち、X−Y平面と交差するような縦電界が形成された領域では、液晶分子LMはその長軸がX−Y平面に対して立ち上がるように配向するため、所望のリタデーションを得ることが困難となる。このため、本実施形態によれば、比較例よりも、変調率あるいは透過率を向上することが可能となる。
ここで、ネガ型液晶材料を適用した構成例において白色を表示した際の色度について検討する。
図4は、ポジ型液晶材料を適用した比較例における白色色度、及び、ネガ型液晶材料を適用した本実施形態の構成例における白色色度の例を示す色度図である。
図示した色度図においては、比較例において白色を表示した際の白色色度(基準色度)を原点とし、横軸は基準色度とのx座標の差分Δxを示し、縦軸は基準色度とのy座標の差分Δyを示している。なお、比較例及び本実施形態の構成例における液晶層LQのリタデーションはいずれも330nmとした。なお、リタデーションとは、液晶層LQを保持するセルギャップをdとし、液晶材料の屈折率異方性をΔnとしたとき、Δn・dで定義されるものである。
図示したように、本実施形態の構成例では、白色を表示した際の白色色度は、比較例よりも黄色側にシフトしていることが確認された。つまり、本実施形態の構成例においては、比較例と比較して、表示した白色が黄色に着色したものと視認されやすいことが分かる。そこで、本実施形態では、リタデーションを最適化し、白色を表示した際に、比較例と同等の白色色度が得られるように、リタデーションを設定している。
以下に、本実施形態におけるリタデーションの最適化について説明する。
図5は、リタデーションに対する白色色度のx座標値の関係を示す図である。
図中の横軸はリタデーションΔn・d(nm)であり、縦軸はリタデーションが330nmの比較例における白色色度のx座標をゼロとしたときのx座標の差分Δxである。図中のAは、比較例におけるリタデーションと白色色度の差分Δxとの関係を示す図である。図中のBは、本実施形態の構成例1におけるリタデーションと白色色度の差分Δxとの関係を示す図である。図中のCは、本実施形態の構成例2におけるリタデーションと白色色度の差分Δxとの関係を示す図である。
ここで、構成例1で適用した対向基板は比較例で適用した対向基板と同一構成であり、いずれも同一の透過率を有するカラーフィルタを備えている。構成例2で適用した対向基板は、構成例1などで適用した対向基板と比較して、青色カラーフィルタ32Bの青味を変えずに透過率(あるいは輝度)を最大に設定した点で相違している。つまり、青色カラーフィルタ32Bの透過率は、構成例1で適用したものから構成例2で適用したものの範囲内で変更可能である。一例として、青色カラーフィルタ32Bは、その透過率ピークが420nm〜480nmの範囲内にあり、構成例2で適用したものの透過率ピーク値を100%としたときに、構成例1で適用したものの透過率ピーク値は約60%であり、この範囲内で青色カラーフィルタ32Bの透過率を変更可能である。
図中のA、B、Cのいずれについても右上がりの傾向つまりリタデーションの増加に伴って差分Δxが増加する傾向にある。
Bで示した本実施形態の構成例1においては、リタデーションが330nmの比較例で得られる白色色度(基準色度)と略同等の白色色度を得るためには、リタデーションは306nmに設定される。Cで示した本実施形態の構成例2においては、リタデーションが330nmの比較例で得られる白色色度(基準色度)と略同等の白色色度を得るためには、リタデーションが386nmに設定される。上記の通り、Bで示した曲線とCで示した曲線との間の領域は、青色カラーフィルタ32Bの透過率を変更することでとり得る領域である。
したがって、比較例と同一の青色カラーフィルタ32Bを適用する構成の場合、x座標値については、基準色度と略同等の白色色度を得るためには、リタデーションを306nmに設定することが望ましい。また、青色カラーフィルタ32Bの透過率を調整可能であれば、x座標値については、基準色度と略同等の白色色度を得るためには、リタデーションを306nm以上386nm以下に設定することが望ましい。
図6は、リタデーションに対する白色色度のy座標値の関係を示す図である。
図中の横軸はリタデーションΔn・d(nm)であり、縦軸はリタデーションが330nmの比較例における白色色度のy座標をゼロとしたときのy座標の差分Δyである。図中のAは、比較例におけるリタデーションと白色色度の差分Δyとの関係を示す図である。図中のBは、本実施形態の構成例1におけるリタデーションと白色色度の差分Δyとの関係を示す図である。図中のCは、本実施形態の構成例2におけるリタデーションと白色色度の差分Δyとの関係を示す図である。本実施形態の構成例1と構成例2との相違点は上述した通りである。
図中のA、B、Cのいずれについても右上がりの傾向つまりリタデーションの増加に伴って差分Δyが増加する傾向にある。
Bで示した本実施形態の構成例1においては、リタデーションが330nmの比較例で得られる白色色度(基準色度)と略同等の白色色度を得るためには、リタデーションは304nmに設定される。Cで示した本実施形態の構成例2においては、リタデーションが330nmの比較例で得られる白色色度(基準色度)と略同等の白色色度を得るためには、リタデーションが407nmに設定される。上記の通り、Bで示した曲線とCで示した曲線との間の領域は、青色カラーフィルタ32Bの透過率を変更することでとり得る領域である。
したがって、比較例と同一の青色カラーフィルタ32Bを適用する構成の場合、y座標値については、基準色度と略同等の白色色度を得るためには、リタデーションを304nmに設定することが望ましい。また、青色カラーフィルタ32Bの透過率を調整可能であれば、y座標値については、基準色度と略同等の白色色度を得るためには、リタデーションを304nm以上407nm以下に設定することが望ましい。
上記の説明では、色度座標のx座標値とy座標値とを別々に議論したが、構成例1における白色色度のx座標値とy座標値との平均値は305nmであり、構成例2における白色色度のx座標値とy座標値との平均値は397nmである。
つまり、比較例と同一の青色カラーフィルタ32Bを適用する構成の場合に基準色度と略同等の白色色度を得るためには、リタデーションを304nm乃至306nmの範囲内、より望ましくは305nmに設定することが望ましい。一方で、青味を変えずに透過率を最大に設定にした青色カラーフィルタ32Bを適用する構成の場合に基準色度と略同等の白色色度を得るためには、リタデーションを386nm乃至407nmの範囲内、より望ましくは397nmに設定することが望ましい。そして、青色カラーフィルタ32Bの透過率を調整可能であれば、基準色度と略同等の白色色度を得るためには、リタデーションを305nm乃至397nmの範囲内に設定することが望ましい。このとき、青色カラーフィルタ32Bの透過率が高いほど、リタデーションは高く設定される。
次に、本実施形態における変調率について検討する。
図7は、リタデーションに対する変調率の関係を示す図である。
図中の横軸はリタデーションΔn・d(nm)であり、縦軸は変調率(%)であり、リタデーションが330nmの比較例における変調率を100%としたものである。図中のaは、比較例におけるリタデーションと変調率との関係を示す図である。図中のbは、本実施形態の構成例におけるリタデーションと変調率との関係を示す図である。
本実施形態において、リタデーションを305nm乃至397nmの範囲内に設定した場合には、比較例よりも高い変調率を得られることが確認された。特に、リタデーションが高くなるほど、高い変調率が得られるため、青色カラーフィルタ32Bの透過率が調整可能な範囲では、透過率を最大値に設定した場合に、最大の変調率を得ることが可能となる。
上述したように、アレイ基板ARと対向基板CTとの間のセルギャップに正の誘電率異方性を有する液晶材料を保持しリタデーションが330nmの液晶層LQを備えた液晶表示装置(比較例)において白色を表示したときの色度を基準色度とし、前記のセルギャップに負の誘電率異方性を有する液晶材料からなる液晶層を保持した本実施形態の液晶表示装置において、白色を表示したときの色度が基準色度と略同等となるように液晶層LQのリタデーションを設定している。本実施形態においては、リタデーションは、304nm以上407nm以下、あるいは、305nm以上397nm以下に設定される。このような本実施形態によれば、比較例と同等の白色色度が得られ、且つ、高い変調率を得ることが可能となる。
以上説明したように、本実施形態によれば、表示品位を改善することが可能な液晶表示装置及びそのリタデーション設定方法を提供することができる。
なお、本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これらの新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これらの実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
例えば、上記の実施形態においては、画素電極PEのスリットSLは第2方向Yに平行な長軸を有するように形成したが、第1方向Xに平行な長軸を有するように形成しても良いし、第1方向X及び第2方向Yに交差する方向に平行な長軸を有するように形成しても良いし、くの字形に屈曲した形状に形成しても良い。
LPN…液晶表示パネル AR…アレイ基板 CT…対向基板
PE(PE1〜PE3)…画素電極 CE…共通電極
LQ…液晶層
AL1…第1配向膜 AL2…第2配向膜
32…カラーフィルタ(32B…青色カラーフィルタ)
PE(PE1〜PE3)…画素電極 CE…共通電極
LQ…液晶層
AL1…第1配向膜 AL2…第2配向膜
32…カラーフィルタ(32B…青色カラーフィルタ)
Claims (5)
- 第1乃至第3画素に亘って形成された共通電極と、第1画素に形成され絶縁膜を介して前記共通電極と向かい合うスリットを有する第1画素電極と、第2画素に形成され絶縁膜を介して前記共通電極と向かい合うスリットを有する第2画素電極と、第3画素に形成され絶縁膜を介して前記共通電極と向かい合うスリットを有する第3画素電極と、を備えた第1基板と、
前記第1画素に形成された青色カラーフィルタと、前記第2画素に形成された緑色カラーフィルタと、前記第3画素に形成された赤色カラーフィルタと、を備え、前記第1基板との間にセルギャップを形成する第2基板と、
前記セルギャップに保持され負の誘電率異方性を有する第1液晶材料によって形成された液晶層と、を備えた液晶表示装置において、前記セルギャップをdとし、前記液晶層の屈折率異方性をΔnとしたとき、Δn・dで定義される前記液晶層の第1リタデーションの設定方法であって、
前記セルギャップに正の誘電率異方性を有する第2液晶材料を保持し第2リタデーションが330nmの液晶層を備えた液晶表示装置において白色を表示したときの色度を基準色度とし、前記第1液晶材料によって形成された液晶層を備えた液晶表示装置において白色を表示したときの色度が前記基準色度と同等となるように第1リタデーションを設定する、リタデーションの設定方法。 - 前記第1リタデーションを304nm以上407nm以下に設定する、請求項1に記載のリタデーションの設定方法。
- 前記青色カラーフィルタの透過率が高いほど前記第1リタデーションを高く設定する、請求項2に記載のリタデーション設定方法。
- 第1乃至第3画素にそれぞれ形成された第1乃至第3スイッチング素子と、第1乃至第3画素に亘って形成された共通電極と、前記共通電極の上に配置された絶縁膜と、前記第1スイッチング素子と電気的に接続され前記絶縁膜の上の前記第1画素に形成され前記共通電極と向かい合うスリットを有する第1画素電極と、前記第2スイッチング素子と電気的に接続され前記絶縁膜の上の前記第2画素に形成され前記共通電極と向かい合うスリットを有する第2画素電極と、前記第3スイッチング素子と電気的に接続され前記絶縁膜の上の前記第3画素に形成され前記共通電極と向かい合うスリットを有する第3画素電極と、を備えた第1基板と、
前記第1画素に形成された青色カラーフィルタと、前記第2画素に形成された緑色カラーフィルタと、前記第3画素に形成された赤色カラーフィルタと、を備え、前記第1基板との間にセルギャップを形成する第2基板と、
前記セルギャップに保持され負の誘電率異方性を有する液晶材料によって形成された液晶層であって、前記セルギャップをdとし、前記液晶材料の屈折率異方性をΔnとしたとき、Δn・dで定義されるリタデーションが304nm以上407nm以下である液晶層と、
を備えた液晶表示装置。 - 前記リタデーションが305nm以上397nm以下である、請求項4に記載の液晶表示装置。
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JP2012222060A JP2014074797A (ja) | 2012-10-04 | 2012-10-04 | 液晶表示装置及びそのリタデーション設定方法 |
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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CN111665668A (zh) * | 2019-03-08 | 2020-09-15 | 夏普株式会社 | 显示装置 |
US11415840B2 (en) | 2018-05-09 | 2022-08-16 | Dic Corporation | Liquid crystal display device |
-
2012
- 2012-10-04 JP JP2012222060A patent/JP2014074797A/ja active Pending
Cited By (4)
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