JP2014074648A - 接触式形状測定装置および方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】被測定面の形状に起因して、プローブが被測定面から離れる方向あるいは近づく方句に慣性力が働くことによる接触力の変動やプローブの浮きを低減し、高精度な測定を行う接触式形状測定装置および方法を提供する。
【解決手段】プローブとプローブを支持するステージとを備え、第一の方向にステージを送りながら、プローブに対して第一の方向と異なる第二の方向に所定の接触力を加えることで、プローブを被測定面に倣い走査させて、被測定面の表面形状を測定する接触式形状測定装置において、第一の方向の送り量に応じて、第二の方向の被測定面の勾配変化量を導出する勾配変化量導出手段と、勾配変化量と同じ向きの補正力を算出する補正力演算手段とを備え、所定の接触力に補正力を加えて測定する。
【選択図】図1
Description
本発明は、光学素子や光学素子を製造するための成形用金型の形状を高精度に測定する接触式形状測定装置および方法に関する。
撮像カメラをはじめレーザビームプリンタ、複写機など各種光学装置の高機能化に伴い、これら光学装置に組み込まれる光学素子の形状は複雑化している。このような状況において、小さい曲率半径の表面形状、2面の境界付近の表面形状、小径の側面形状といった複雑な形状の測定ニーズが増している。複雑な形状を有する光学素子、あるいは光学素子を製造するための成形用金型の形状を測定するために、プローブを倣い走査して形状を測定する接触式形状測定装置が使用されている。
光学素子や成形用金型を被測定物として、被測定面の形状を測定する接触式形状測定装置の従来技術の一例として、特許文献1に開示された形状測定装置が挙げられる。プローブの一端を被測定面に接触させて、反対の一端の3次元位置を測定する。プローブとステージの間にはバネ機構が設けられており、つりあい位置からステージを押し込むことで接触力を得る。ステージをXY方向に駆動させると、プローブはXY方向に移動しながら被測定面のZ方向の形状に倣う。ステージは、所定の接触力に対応した押し込み量を保つようにZ方向に追従制御される。プローブを被測定面の全面に走査させることで、測定データを得る。続いて、測定データを解析して形状情報を求める。求めた形状情報は、光学素子の性能評価、あるいは成形用金型の修正加工量の計算などに用いられる。
ここで、プローブを精度良く被測定面に倣い走査させるために、プローブと被測定面との接触力を小さくすると良いことが知られている。接触力を小さくする手段として、特許文献2に開示された接触式プローブが挙げられる。この接触式プローブには、ヨーク、永久磁石およびコイルからなる磁気回路が組み込まれている。磁気回路が発生する磁気力によって、プローブにかかる重力をキャンセルする一定の力とプローブの変位にしたがって変化するバネ要素としての力を働かせる。磁気力を利用するため、接触力を小さくすることができ、高精度な測定が可能になる。
図8は、従来技術の課題を説明する図である。図8(a)は、小さい曲率半径の表面形状を測定する際の課題を説明する図である。このような表面形状を有する測定物として、マイクロレンズアレイ等が挙げられる。
プローブ1が、凸面状の形状を有する被測定面w1上をX方向に一定速度vXで走査しているとする。p1の位置における被測定面w1の勾配をgp1=Δzp1/Δxとする。記号Δを用いて、aの微小量をΔaと表記する。微小区間Δx走査後のp2の位置における被測定面w1の勾配をgp2=Δzp2/Δxとする。プローブ1が被測定面w1上を倣い走査している場合、p1の位置におけるプローブ1の速度はvp1=vXgp1である。同じくp2の位置におけるプローブ1の速度はvp2=vXgp2である。この時、被測定面w1が凸面状であるならば、プローブ1は被測定面w1に近づく方向に加速していることになる。p1からp2への被測定面w1の勾配変化量をhp12=(gp2−gp1)/Δx=((Δzp2−Δzp1)/Δx)/Δx=Δ2zp12/Δx2と定義すると、プローブ1の加速度は、
ap12=vX 2hp12
と表すことができる。プローブ1が被測定面w1に近づく方向の加速度は、通常、接触力fcによって生じる。言い換えると、接触力fcがゼロである場合、被測定面w1に近づく方向の加速度が生じない。そのため、プローブ1は被測定面w1から遠ざかる方向に離れてしまう。このように、被測定面w1から見て、プローブ1が離れようとする力のことを、一般的に慣性力と言う。上記における慣性力fiは、加速度ap12にプローブ1の質量mを乗じた値として計算される。
fi=map12=mvX 2hp12
慣性力fiが働くため、プローブ1が実際に被測定面w1に加えている力は、所定の接触力fcより小さくなっている。ここで、慣性力fiが働くことで変動する実際の接触力を実接触力frと定義する。
ap12=vX 2hp12
と表すことができる。プローブ1が被測定面w1に近づく方向の加速度は、通常、接触力fcによって生じる。言い換えると、接触力fcがゼロである場合、被測定面w1に近づく方向の加速度が生じない。そのため、プローブ1は被測定面w1から遠ざかる方向に離れてしまう。このように、被測定面w1から見て、プローブ1が離れようとする力のことを、一般的に慣性力と言う。上記における慣性力fiは、加速度ap12にプローブ1の質量mを乗じた値として計算される。
fi=map12=mvX 2hp12
慣性力fiが働くため、プローブ1が実際に被測定面w1に加えている力は、所定の接触力fcより小さくなっている。ここで、慣性力fiが働くことで変動する実際の接触力を実接触力frと定義する。
一般的な接触式形状測定装置において、プローブは、所定の接触力で被測定面に接触している。この際、プローブは被測定面から抗力を受ける。プローブ長手方句に直交する面に対して被測定面が傾斜している場合、プローブ長手方向に直交する方向に抗力の分力が加わる。この分力によってプローブに倒れが生じる。プローブの一端を被測定面に接触させて、反対の一端の3次元位置を測定する場合、プローブの倒れは測定誤差の要因になる。通常、プローブの倒れを含んだ状態でプローブの形状校正値を取得し、この形状校正値を用いて測定データの校正を行う。そのため、校正が正しくできていれば、プローブの倒れによる測定精度への影響は小さい。しかしながら、接触力が変動すると、形状校正値に含まれるプローブの倒れ量と実際のプローブの倒れ量と間に差が生じてしまう。これにより、プローブの倒れによる測定精度への影響が無視できなくなる。すなわち、前述した実接触力frの変動は、プローブ1の倒れ量の変動となるため、測定誤差の要因になる。
また、慣性力fiが所定の接触力fcを超えると、実接触力frはゼロになる。これは、プローブ1が浮いてしまい、被測定面w1に倣わなくなることを示している。プローブ1が浮いてしまうと、被測定面w1の形状をプローブに写し取ることができなくなるため、明らかに測定誤差の要因になる。
さらに、被測定面w1の勾配変化量hp12が大きいと、慣性力fiが大きくなる。つまり、被測定面w1の曲率半径が小さいほど、プローブの倒れ量の変動が大きくなり、測定誤差が大きくなる。
走査速度vXを大きくすると、慣性力fiが大きくなる。つまり、プローブを高速に走査するほど、プローブの倒れ量の変動が大きくなり、測定誤差が大きくなる。
接触力fcが小さいと、実接触力frがゼロになる閾値が下がる。つまり、接触力を小さくするほど、プローブが浮きやすくなり、測定誤差が大きくなる。
ここまでに、凸面状の形状について説明を行ったが、凹面状の形状の場合も同様である。凹面状の形状の場合は、慣性力fiによって、実接触力frが大きくなる。接触力frが大きくなるとプローブの倒れ量が変動する。また、被測定面からの抗力が大きくなることで、プローブが跳ね上げられ、浮いてしまうこともある。このように、プローブの倒れ量の変動や、プローブの浮きが発生して測定誤差の要因になる。
図8(b)は、2面の境界付近の表面形状を測定する際の課題を説明する図である。このような表面形状を有する測定物として、プリズムやグレーティング等が挙げられる。
プローブ1が、2面が山型になるように境界を有する被測定面w2上をX方向に一定速度vXで走査しているとする。この場合も、2面の境界付近において微小区間ΔXの間に被測定面w2の形状が急峻に変わっている。そのため、被測定面w2から見て、プローブ1が離れようとする慣性力fiが働く。すなわち、プローブの倒れ量の変動や、プローブの浮きが発生して測定誤差の要因になる。
図8(c)は、小径の側面形状を測定する際の課題を説明する図である。このような表面形状を有する測定物として、カメラレンズやピックアップレンズ等が挙げられる。
プローブ1が円筒状の被測定面wb上を一定の接線速度vtで走査しているとする。円筒の曲率半径Rとすると、角速度ω=Δθ/Δtは、接線速度vtを曲率半径Rで割って、ω=vt/Rと表される。この時、プローブ1は、中心方向にap12=Rω2だけ加速している。言い換えると、被測定面wbから見て、プローブ1が離れようとする慣性力が働いている。すなわち、プローブの倒れ量の変動や、プローブの浮きが発生して測定誤差の要因になる。
プローブ1が円筒状の被測定面wb上を一定の接線速度vtで走査しているとする。円筒の曲率半径Rとすると、角速度ω=Δθ/Δtは、接線速度vtを曲率半径Rで割って、ω=vt/Rと表される。この時、プローブ1は、中心方向にap12=Rω2だけ加速している。言い換えると、被測定面wbから見て、プローブ1が離れようとする慣性力が働いている。すなわち、プローブの倒れ量の変動や、プローブの浮きが発生して測定誤差の要因になる。
上記で示したように、被測定面から見て、プローブが被測定面から離れる方向あるいは近づく方句に慣性力が働き、接触力が変動するという問題が生じている。特に接触力が小さい場合、プローブが浮いてしまうという問題が生じている。そこで、本発明は、被測定面の形状に起因するプローブ慣性力による接触力の変動やプローブの浮きを低減し、高精度な測定を行う接触式形状測定装置および方法を提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、本出願に係る発明は、プローブとプローブを支持するステージとを備え、第一の方向にステージを送りながら、プローブに対して第一の方向と異なる第二の方向に所定の接触力を加えることで、プローブを被測定面に倣い走査させて、被測定面の表面形状を測定する接触式形状測定装置において、第一の方向の送り量に応じて、第二の方向の被測定面の勾配変化量を導出する勾配変化量導出手段と、勾配変化量と同じ向きの補正力を算出する補正力演算手段とを備え、所定の接触力に補正力を加えて測定することを特徴とする。
また、ステージにプローブを支持し、第一の方向にステージを送りながら、プローブに対して第一の方向と異なる第二の方向に所定の接触力を加えることで、プローブを被測定面に倣い走査させて、被測定面の表面形状を測定する接触式形状測定方法において、第一の方向の送り量に応じて、第二の方向の被測定面の勾配変化量を導出し、勾配変化量と同じ向きに補正力を算出し、所定の接触力に補正力を加えて測定することを特徴とする。
本発明の形状測定装置および方法によれば、ステージの送り量に応じて、被測定面の勾配変化量を導出し、勾配変化量と同じ向きの補正力を加えることで、被測定面の形状に起因するプローブ慣性力を打ち消して、プローブが被測定面に実際に加える接触力の変動を低減することができる。よって、高精度な測定を行うことができる。
さらに、勾配変化量に係数を乗じて補正力を算出することで、プローブが被測定面に実際に加える接触力の変動をより適切に低減できる効果がある。
さらに、第一の方向を直交座標系のXY平面上とし、第二の方向をZ方向とすると、装置構成が比較的簡単でありながら、光学素子の表面形状を測定するのに好適な構成となる。
さらに、第一の方向を被測定面の接面上とし、第二の方向を被測定面の法線方向とすると、プローブが被測定面の法線方向に倣うため、精度良く測定するのに好適な構成となる。
以下、本発明を実施するための各形態を添付図面に基づいて説明する。
図1は、本発明の第一実施例に係わる接触式形状測定装置の構成を説明する図である。
ステージ6に支持されているプローブ1は、被測定物2の被測定面wを倣い走査する。プローブ1はリニアガイド3を介して、ハウジング4に支持されている。これにより、ハウジング4に対して1軸方向に移動することができる。つまり、リニアガイド3は、移動方向には摩擦抵抗や粘性抵抗を小さくして動き易く、移動方向に直交する方向には剛性を高くして動き難い構造としている。このような特性を得る手段として、空気軸受等が挙げられる。プローブ1とハウジング4の間には、バネ機構5が設けられている。また、ハウジング4はステージ6の被測定物2に対向した下面6aの先端部に取り付けられている。被測定物2は、台座14上に載置されている。
ハウジング4が取り付けられているステージ6の先端部には、貫通孔6bが設けられている。プローブ1の軸方向の端部1dに取り付けられたミラー1mの3次元位置データを測定する(後述)。3次元位置の測定データは、信号線20及び信号線21を介して測定データ演算手段13に送られる。また、測定された3次元位置の測定データは、信号線20及び信号線22を介してZ駆動制御手段12にも送信される。
プローブ1は、プローブシャフト1a、プローブシャフト1aの軸方向の一端に取り付けられたプローブチップ1b、プローブチップ1bの先端に配置された球1cを備えている。プローブシャフト1aは、ハウジング4の壁から内方に延在するフランジ部4aの先端に配置されたリニアガイド3により軸方向に移動可能に支持されている。フランジ部4aは、ハウジング4の軸方向に所定間隔で2箇所に設けられている。
図3及び図7に示すように、プローブチップ1bの先端に配置された球1cは、プローブシャフト1aに挿着され、外部に延伸自在のプローブロッド1dの先端に固定されている。従って、球1cは、プローブロッド1dの伸張に応じてプローブチップ1bの先端から突出する。
バネ機構5は、リニアガイド3の移動軸に沿った方向に対して、プローブ1とステージ6との相対位置に従った力を発生するバネ要素として働く。ここで、リニアガイド3の移動軸は重力方向(Z方向)とする。バネ機構5としては、材料剛性を利用した板バネや磁気力を利用した磁気バネが挙げられる。また、リニアガイド3とバネ機構5を別体の構成としたが、一体構成として2つの機能を得ることもできる。例えば、プローブ1の上下に板バネを2枚並列に取り付ける構成が挙げられる。
プローブ1とステージ6とのZ方向の相対位置に関して、特にプローブ1にかかる重力とバネ機構5によって発生する力がつりあう状態の位置を、中立位置と定義する。プローブ1が被測定面wに接している状態で、ステージ6が中立位置から押し込まれると、押し込まれた量に従った力がプローブ1に加わる。このようにして、プローブ1に加わる力を接触力とする。静的な状態であれば、プローブ1に加わる接触力と同じ力が被測定面wのZ方向にも加わる。また、ステージ6を中立位置から押し込む量を押し込み量とする。
プローブ1の軸方向の他の端部1dにはミラー1mが取り付けられており、レーザ測長等を利用してプローブ1の3次元位置を測定することができる。ステージ6の貫通孔6bより更に先端に位置する端部の上面6cにはミラー6mが取り付けられており、同様にステージ6の3次元位置を測定することができる。ミラー6mによって得られた3次元位置の測定データは、信号線23及び信号線22を介してZ駆動制御手段12に送られる。また、プローブ1とステージ6の3次元位置の測定データから、両者のZ方向の相対位置を得ることができる。
ステージ6には、Z駆動手段7とXY駆動手段8が取り付けられている。Z駆動手段7は、ステージ6をZ軸並進方向に駆動することができる。XY駆動手段8は、ステージ6をXY軸並進方向に駆動することができる。ここで、ステージ6を駆動するための駆動手段の駆動軸は、並進方向や回転方向、あるいはそれらの組み合わせ等適宜変更しても良い。XY駆動手段8は、ベース部材15上に載置されている。
XY駆動手段8を駆動して、ステージ6を直交座標系のXY平面上(第一の方向)に移動させると、プローブ1はXY方向に移動しながら被測定面wのZ方向の形状に倣う。この時、同時にZ駆動手段7も後述する方法で駆動する。
勾配変化量導出手段10は、予め保管しておいた被測定面wの勾配変化量hの情報を導出し、補正力演算手段11に送る。補正力演算手段11は、勾配変化量hの情報に基づいて補正力faを算出する。その後、補正力faの情報をZ駆動制御手段12に送る。プローブ1とステージ6のZ方向(第二の方向)の相対位置の情報も同じくZ駆動制御手段12に送られる。
Z駆動制御手段12には、予め所定の接触力fcを発生させるために必要な押し込み量Aが保存されている。さらに、補正力faを発生させるために必要なステージ6の押し込み量Bを求める。押し込み量Aと押し込み量Bを合計した量が目標とする押し込み量となる。Z駆動制御手段12は、現在の押し込み量と、目標とする押し込み量との差が小さくなるようなステージ6のZ方向の駆動量を求める。現在の押し込み量は、プローブ1とステージ6のZ方向の相対位置より求めることができる。求めた駆動量の情報をZ駆動手段7に送る。Z駆動手段7は、駆動量の情報に基づいてステージ6をZ方向に駆動する。ステージ6が目標とする押し込み量になっていれば、プローブ1に所定の接触力fcと補正力faとを合計した力が加わる。
プローブ1の3次元位置の測定データは、測定データ演算手段13にも送られる。被測定面wの全面を走査して測定データを取得した後、測定データ演算手段13は、必要に応じて測定データを解析し、形状情報として出力する。形状情報は、光学素子の性能評価、あるいは成形用金型の修正加工量の計算などに用いられる。
続けて、補正力faを算出する方法を、図2のフローチャートを参考に説明する。
S101で演算を開始する。S102で補正力faを加える離散時間Δtを定める。S103でステージ送り方向に、ステージ送り座標点列{s}を定める。{ }は点列データであることを表す。ステージをXY方向に送る場合、{s}={(X、Y)}である。S104でステージ送り座標点列{s}に対応したステージ送り速度点列{v}={(vX、vY)}を定める。ステージ送り座標点列{s}とステージ送り速度点列{v}に基づいて、XY駆動手段8を駆動する。これにより、ステージ6をXY方向に指定の走査軌跡で動かすことができる。プローブ1のXY方向の動きも、ステージ6のXY方向の動きに従って決まる。
次に、S105で、被測定面の勾配変化量hを表す勾配変化量点列{h}={Δ2Z/Δs2}を定める。ここで、{Δs}は、{Δs}={v}Δtである。S106で補正力点列{fa}=α{v2h}=α{v2(Δ2Z/Δs2)}を演算し、算出する。αは補正力係数である。補正力係数αをプローブ1の質量mと等しく設定すると、補正力faは、慣性力fiと等しくなる。実際には、質量mの測定誤差や測定ノイズ等を考慮して決める。補正力点列{fa}をステージ送り座標点列{s}と対応させて予め算出しておけば、ステージ6がステージ送り座標点列{s}上のある座標を通過するタイミングで、対応する補正力faをプローブ1に加えることができる。ここで、離散時間Δtを一律として説明しているが、勾配変化量hが急峻な場所では細かく設定し、勾配変化量hが緩やかな場所では粗く設定するように、場所に応じて可変としても良い。S107で演算を終了する。
図3は、本発明の第一実施例に係わる補正力の向きを説明する図である。図3(a)は、凸面状の被測定面である場合の補正力faの向きを表している。被測定面wがZ方向の下側にあるため、所定の接触力fcは下向きに加えられる。また、被測定面wが凸面状であれば、勾配変化量hは下向きになる。勾配変化量hが下向きである場合、慣性力fiは、勾配変化量hの反対方向の上向きに働く。ここで、補正力faは、前述したように慣性力fiが働くことによる実接触力frの変動を低減することが目的である。そのため、補正力faを、慣性力fiの反対方向の下向きに加える。
図3(b)は、凹面状の被測定面である場合の補正力faの向きを表している。凹面状の被測定面であれば、勾配変化量hは上向きになる。勾配変化量hが上向きである場合、慣性力fiは、勾配変化量hの反対方向の下向きに働く。そのため、補正力faを上向きに加える。
上記で示したように補正力faはいずれも勾配変化量hと同じ向きになる。勾配変化量hと同じ向きの補正力faを加えれば、補正力faと慣性力fiとが互いに打ち消し合い、実接触力frの変動を低減できる。実接触力frの変動を低減できれば、プローブの倒れ量の変動や、プローブの浮きの発生を抑えることができる。すなわち、高精度な測定を行うことができる。
図4は、本発明の第二実施例に係わる接触式形状測定装置の構成を説明する図である。第二実施例では、第一実施例に対して補正力発生手段9が追加されている。従って、第一実施例と同じ部分の説明は省略している。補正力発生手段9は、ヨーク、永久磁石、コイル(それぞれ不図示)からなる磁気回路で構成されている。そして、補正力演算手段11から受け取った補正力の情報に基づいて、コイルに流れる電流を制御する。これにより、プローブ1に補正力を加える。このような構成にすれば、第一実施例のようにステージ6の押し込み量を制御することで補正力を加える構成に比べて、高速に補正力を制御することができる。
図5は、小さい曲率半径の表面形状の測定におけるプローブ軌跡をコンピュータ演算した結果を表す図である。ステージをX方向に送った場合のプローブ軌跡(XZ方向)を表している。横軸がX方向、縦軸がZ方向である。プローブ軌跡101は本発明の装置を用いた場合である。プローブ軌跡102は従来の装置を用いた場合である。被測定面は、曲率半径1mmの凸球面とする。プローブ質量を10gとする。ステージを図5の左側(傾斜角度が緩やかな側)から右側(傾斜角度が急な側)に傾斜を下る方向に送っている。ステージ送り速度を2mm/sとする。横軸は傾斜面が45°付近から90°付近を表している。2つのプローブ軌跡を比較すると、図5の右側において、両者の差が大きくなっている。これは、プローブ軌跡101が被測定面を倣い走査しているのに対して、プローブ軌跡102が被測定面から離れ、浮いている状態を示している。
図6は、2面の境界付近の表面形状の測定におけるプローブ軌跡をコンピュータ演算した結果を表す図である。ステージをX方向に送った場合のプローブ軌跡(XZ方向)を表している。横軸がX方向、縦軸がZ方向である。プローブ軌跡201は本発明の装置を用いた場合である。プローブ軌跡202は従来の装置を用いた場合である。被測定面は、両開角150°の山型の形状を有する面である。対称に設置されているならば、15°の上り傾斜面と15°の下り傾斜面の境界を有する面とも言える。プローブ質量を10gとする。ステージを図6の左側(上り傾斜面側)から右側(下り傾斜面側)に送っている。ステージ送り速度を2mm/sとする。2つのプローブ軌跡を比較すると、山型の頂点を境界に、両者の差が大きくなっている。これは、プローブ軌跡201が被測定面を倣い走査しているのに対して、プローブ軌跡202は被測定面から離れ、浮いている状態を示している。
上記2つの結果から、勾配変化量と同じ向きに補正力を加えることにより、慣性力を打ち消すことができ、被測定面に実際に加わる接触力の変動やプローブの浮きを抑えることができることがわかる。よって、高精度な測定を行うことができる。
図7は、本発明の第三実施例に係わる接触式形状測定装置の構成を説明する図である。第三実施例では、Z方向に駆動するリニアガイド3の代わりに、X軸回りとY軸回りに回転する回転ガイド3bが取り付けられている。また、Z駆動手段12の代わりに、XY駆動制御手段12bが取り付けられている。XY駆動制御手段12bからの駆動量の情報は、XY駆動手段8に送られる。これにより、被測定物2の円筒状の側面wbを測定しやすくしている。
本実施例では、プローブ1は、プローブチップ1bから延伸するプローブロッド1dの先端に取り付けた球1cが、被測定物2の円筒状の側面wbに接触することで表面形状を測定している。
具体的な駆動方法は、ステージ6を側面の接面上に送りながら、側面の法線方向に接触力を加える。または、ステージ6をXZ平面(もしくはYZ平面)に送りながら、Y方向(もしくはX方向)に接触力を加える。このような構成によれば、被測定物2の円筒状の側面のように垂直な面においても、所定の接触力に慣性力に応じた補正力を加えることで、測定面に実際に加わる接触力の変動やプローブの浮きを抑えることができる。
1 プローブ
2 被測定物
6 ステージ
9 補正力発生手段
10 勾配変化量導出手段
11 補正力演算手段
12 Z駆動制御手段
12b XY駆動制御手段
13 測定データ演算手段
fa 補正力
fc 所定の接触力
fi 慣性力
fr 実接触力
h 勾配変化量
w、wb 被測定面
101、201 本発明によるプローブ軌跡
102、202 従来技術によるプローブ軌跡
2 被測定物
6 ステージ
9 補正力発生手段
10 勾配変化量導出手段
11 補正力演算手段
12 Z駆動制御手段
12b XY駆動制御手段
13 測定データ演算手段
fa 補正力
fc 所定の接触力
fi 慣性力
fr 実接触力
h 勾配変化量
w、wb 被測定面
101、201 本発明によるプローブ軌跡
102、202 従来技術によるプローブ軌跡
Claims (5)
- プローブとプローブを支持するステージとを備え、第一の方向にステージを送りながら、プローブに対して第一の方向と異なる第二の方向に所定の接触力を加えることで、プローブを被測定面に倣い走査させて、被測定面の表面形状を測定する接触式形状測定装置において、第一の方向の送り量に応じて、第二の方向の被測定面の勾配変化量を導出する勾配変化量導出手段と、勾配変化量と同じ向きの補正力を算出する補正力演算手段とを備え、所定の接触力に補正力を加えて測定することを特徴とする接触式形状測定装置。
- 勾配変化量に係数を乗じて補正力を算出することを特徴とする請求項1に記載の接触式形状測定装置。
- 第一の方向は直交座標系のXY平面上の方向であり、第二の方向はZ方向であることを特徴とする請求項1に記載の接触式形状測定装置。
- 第一の方向は被測定面の接面上の方向であり、第二の方向は被測定面の法線方向であることを特徴とする請求項1に記載の接触式形状測定装置。
- ステージにプローブを支持し、第一の方向にステージを送りながら、プローブに対して第一の方向と異なる第二の方向に所定の接触力を加えることで、プローブを被測定面に倣い走査させて、被測定面の表面形状を測定する接触式形状測定方法において、第一の方向の送り量に応じて、第二の方向の被測定面の勾配変化量を導出し、勾配変化量と同じ向きに補正力を算出し、所定の接触力に補正力を加えて測定することを特徴とする接触式形状測定方法。
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