JP2014074097A - 多官能エポキシ基含有有機ケイ素化合物を含む粘着剤組成物、粘着偏光板及び液晶表示装置 - Google Patents

多官能エポキシ基含有有機ケイ素化合物を含む粘着剤組成物、粘着偏光板及び液晶表示装置 Download PDF

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Abstract

【解決手段】式(1)
Figure 2014074097

[Rは水素原子、グリシジル基、及び式(2)
Figure 2014074097

(R’はアルキル基、Xは水素原子又はアルキル基、nは1〜3、mは1〜10の数である。)で示される基から選ばれ、Rの少なくとも1つは式(2)の基、少なくとも2つはグリシジル基であり、1≦a≦100である。]で表される多官能エポキシ基含有有機ケイ素化合物を含む粘着剤組成物。
【効果】分子中に存在するアルコキシシリル基又はシラノール基1個に対して2個以上のエポキシ基を有し、有機基の連結鎖としてポリエーテル構造基が含まれるシランカップリング剤を配合することにより、初期リワーク性と高接着力とを両立可能である。
【選択図】なし

Description

本発明は、多官能エポキシ基含有有機ケイ素化合物を含む粘着剤組成物に関し、より詳しくは、エポキシ基を複数有し、更には構造中にポリエーテル構造を含むシランカップリング剤を使用することによって、既存技術にて使用されるシランカップリング剤、ポリエーテル化合物と比較して、水酸基を有するマトリックス樹脂との結合力、相互作用に優れるため、マトリックス樹脂を含む粘着剤と基材との接着性、リワーク性を飛躍的に向上させることができる有機ケイ素化合物を含む粘着剤組成物、この粘着剤組成物から形成される粘着剤層を有する粘着偏光板及びこの粘着偏光板を含む液晶表示装置に関する。
シランカップリング剤は、分子中に2つ以上の異なる官能基を有し、通常では結合させにくい有機質材料と無機質材料とを連結させる仲介役として作用している。官能基の一方は加水分解性シリル基であり、水の存在によりシラノール基を生成し、このシラノール基が無機材質表面の水酸基と反応することで、無機材質表面と化学結合を形成する。また、他の官能基は、各種合成樹脂のような有機質材料と化学結合を形成するビニル基、エポキシ基、アミノ基、(メタ)アクリル基、メルカプト基等の有機反応基である。このような特性を用いて、有機・無機樹脂の改質剤、接着助剤、各種添加剤等として幅広く用いられている。
シランカップリング剤の用途の中でも、粘着剤としての用途はその代表的なものであり、例えば、液晶セルと光学フィルムを貼り付ける際の粘着剤は、液晶表示装置(LCD)のサイズの大型化、ワイド化に伴い、求められている接着性能が高度なものとなっている。
LCDの場合、20インチ以上の大型化が困難であるといった当初の予想とは異なり、急速な大型化が進んでいる。主要メーカーは、これまで20インチ以下の小型パネルの生産を主力としてきたが、近年の流れを受けて最新技術を積極的に導入し、製品範囲を20インチ以上の大型サイズへと展開している。
このように、諸般の光学フィルムにおいて、液晶表示板の製造時に使用されるガラスは大型化される趨勢である。ところが、初期貼り付け時に不良製品が発生して、液晶セルから光学用フィルムを除去し、液晶セルを洗浄した後に再使用する場合、従来の高粘着力を有する粘着剤を使用していたならば、光学フィルムの再剥離の際に強い接着力によって光学フィルムを除去することが困難であるだけでなく、高価な液晶セルを破壊する可能性が大きいため、結果的に生産コストを大幅に上げてしまうこととなっている。
従って、LCDの大型化に伴い、接着性、リワーク性等の諸粘着性能を両立する高機能性の粘着剤を開発しようとする試みが継続している。例えば、特許第3022993号公報(特許文献1)には、高温多湿の環境下における耐久性に優れた偏光板を提供する目的で、エポキシシランを含有するアクリル系粘着剤組成物が提案されている。
また、特開平8−104855号公報(特許文献2)には、基板表面に偏光板を良好な接着強度で接着できるのみならず、必要に応じて、基板に損傷を与えたり、粘着剤を残留させることなく基板の表面から偏光板を剥離するために、アクリル系ポリマーと、β−ケトエステル基及び加水分解シリル基を有する化合物とを含む粘着剤組成物が提案されている。
このようなシラン化合物を含有することによって、基板と偏光板は、実際使用される環境で要求される程度の適切な接着強度を保持することができ、接着強度は加熱等によって過度に高くならず、液晶素子に損傷を与えることなく、容易に偏光板を剥離することができるとされている。
しかし、LCDの大型傾向を支えるために粘着剤に求められる性能は、ガラスに貼り付ける際の初期接着力が低く、リワーク性に優れるのみならず、高温多湿下で高接着力が発現される必要があり、そうでない場合は、気泡や剥離現象等が生じて耐久性が脆弱になるおそれがある。
特開平8−199144号公報(特許文献3)には、高温多湿下においても凝集力及び接着力の経時変化が小さく、曲面接着力にも優れる粘着剤組成物を提供するために、シラン系化合物の存在下でアクリル系モノマーを重合して得られるアクリル系樹脂に硬化剤を配合する技術が提案されている。
このシラン化合物を配合することによって、基板と偏光板は、実際使用される環境で要求される程度の適切な接着強度を保持することができ、接着強度は、加熱等によって過度に高くならず、液晶素子に損傷を与えることもなく、容易に偏光板を剥離することが可能であると記載されている。
しかし、高温多湿下で凝集力及び接着力の経時変化が小さいことよりも、接着力が高く、気泡や剥離現象が無く、且つ耐久性に優れるものが好ましいといえる。即ち、ガラスに貼り付けた初期には再剥離ができるほどの適正な初期接着力を示すが、時間が過ぎるにつれて剥離する必要性がなくなるため、強化され、安定化された接着力を保持することが必要であるといえる。
特表2008−506028号公報(特許文献4)には、初期接着力は低く、リワーク性に優れ、貼り付け後は高温多湿下で接着力が増強され、長期的に耐久性に優れる粘着剤として、ウレタン官能基とピリジン官能基を有するシランカップリング剤を含むアクリル系粘着剤が提案されている。
しかしながら、上記シランカップリング剤は、イソシアネートシランと2−ピリジノールを触媒存在下で反応させて得られるものであり、2−ピリジノールの水酸基が、シランのイソシアネート基と加水分解性シリル基の両方で非選択的に反応してしまうため、開示したシランのような単一構造でないことから、諸粘着物性の向上も不十分なものとなっている。
特開2011−219765号公報(特許文献5)、特許第4840888号公報(特許文献6)、国際公開第2010/26995号(特許文献7)には、初期接着力は低く、リワーク性に優れ、貼り付け後は高温多湿下で接着力が増強され、長期的に耐久性に優れる粘着剤として、ポリエーテル末端にアルコキシシリル基を持った有機ケイ素化合物を含むアクリル系粘着剤が提案されている。
しかしながら、上記有機ケイ素化合物で改良できるリワーク特性、貼り付け後の耐湿特性、接着力等は十分なものとは言えず、改良の余地が残されている。
なお、特開2009−275015号公報(特許文献8)において分子中に複数のエポキシ基を有するシランカップリング剤が開示されているが、該材料の応用はコーティング剤に留まるのみであり粘着剤の添加剤としての記載はない。
以上のことから、初期のリワーク性及び高温多湿下における高い接着強度を保持する粘着剤の開発が望まれていた。
特許第3022993号公報 特開平8−104855号公報 特開平8−199144号公報 特表2008−506028号公報 特開2011−219765号公報 特許第4840888号公報 国際公開第2010/26995号 特開2009−275015号公報
本発明は、上記事情に鑑みなされたものであり、ガラス等の被接着体に貼り付ける際には初期接着力が低くてリワーク性に優れ、貼り付けた後に、高温又は高温多湿の条件下でガラス等の被接着体との接着力が増加し、長期的耐久性に優れた粘着剤層を形成できる粘着剤組成物、この粘着剤組成物から形成された粘着剤層を有する粘着偏光板及びこの粘着偏光板を有する液晶表示装置を提供することを目的とする。
本発明者は、上記目的を達成するため鋭意検討を重ねた結果、分子中に存在するアルコキシシリル基又はシラノール基1個に対して2個以上のエポキシ基を有し、更には有機基の連結鎖としてポリエーテル構造基が含まれるようなシランカップリング剤を必須成分として粘着剤組成物に配合することにより、初期リワーク性と、高温又は高温多湿下での高接着力とを両立可能であることを見出し、本発明をなすに至った。
従って、本発明は、下記の粘着剤組成物、粘着偏光板及び液晶表示装置を提供する。
[1]
下記一般式(1)
Figure 2014074097

[式中、Rは水素原子、グリシジル基、及び下記式(2)
Figure 2014074097

(式中、R’は炭素数1〜6のアルキル基を示し、Xは水素原子又は炭素数1〜4のアルキル基を示し、nは1〜3の整数、mは1〜10の整数である。)
で示される基から選ばれ、Rの少なくとも1つは前記式(2)の基であって、Rの少なくとも2つはグリシジル基であり、aは1≦a≦100の数である。]
で表される多官能エポキシ基含有有機ケイ素化合物を含むことを特徴とする粘着剤組成物。
[2]
下記一般式(3)
Figure 2014074097

[式中、Rは水素原子、グリシジル基、及び下記式(2)
Figure 2014074097

(式中、R’は炭素数1〜6のアルキル基を示し、Xは水素原子又は炭素数1〜4のアルキル基を示し、nは1〜3の整数、mは1〜10の整数である。)
で示される基から選ばれ、Rの少なくとも1つは前記式(2)の基であって、Rの少なくとも2つはグリシジル基であり、AOは炭素数2〜6のアルキレンオキシド構造基であり、b、c、d、eはそれぞれ4≦b≦10、0≦c≦10、0≦d≦10、0≦e≦10の数である。]
で表される多官能エポキシ基含有有機ケイ素化合物を含むことを特徴とする粘着剤組成物。
[3]
下記一般式(1)
Figure 2014074097

[式中、Rは水素原子、グリシジル基、及び下記式(2)
Figure 2014074097

(式中、R’は炭素数1〜6のアルキル基を示し、Xは水素原子又は炭素数1〜4のアルキル基を示し、nは1〜3の整数、mは1〜10の整数である。)
で示される基から選ばれ、Rの少なくとも1つは前記式(2)の基であって、Rの少なくとも2つはグリシジル基であり、aは1≦a≦100の数である。]
で表される多官能エポキシ基含有有機ケイ素化合物、及び下記一般式(3)
Figure 2014074097

[式中、Rは水素原子、グリシジル基、及び下記式(2)
Figure 2014074097

(式中、R’は炭素数1〜6のアルキル基を示し、Xは水素原子又は炭素数1〜4のアルキル基を示し、nは1〜3の整数、mは1〜10の整数である。)
で示される基から選ばれ、Rの少なくとも1つは前記式(2)の基であって、Rの少なくとも2つはグリシジル基であり、AOは炭素数2〜6のアルキレンオキシド構造基であり、b、c、d、eはそれぞれ4≦b≦10、0≦c≦10、0≦d≦10、0≦e≦10の数である。]
で表される多官能エポキシ基含有有機ケイ素化合物を含むことを特徴とする粘着剤組成物。
[4]
(A)(a)炭素数1〜12のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸エステルモノマー90〜99.9質量部と、(b)架橋可能な官能基を含むビニル系モノマー及び/又は(メタ)アクリル系モノマー0.1〜10質量部とを共重合して得られる(メタ)アクリル系共重合体: 100質量部、
(B)多官能性架橋剤: 0.01〜10質量部、
(C)[1]〜[3]のいずれかに記載の多官能エポキシ基含有有機ケイ素化合物:
0.01〜9質量部
を含むことを特徴とする[1]〜[3]のいずれかに記載の粘着剤組成物。
[5]
(b)架橋可能な官能基を含むビニル系モノマー又は(メタ)アクリル系モノマーが、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、(メタ)アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、(メタ)アクリロキシプロピルトリエトキシシラン、(メタ)アクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、(メタ)アクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、(メタ)アクリロキシメチルトリメトキシシラン、(メタ)アクリロキシメチルトリエトキシシラン、(メタ)アクリロキシメチルメチルジメトキシシラン、(メタ)アクリロキシメチルメチルジエトキシシラン、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸二量体、イタコン酸、マレイン酸及びマレイン酸無水物からなる群より選ばれる1種以上のモノマーである[4]記載の粘着剤組成物。
[6]
(B)多官能性架橋剤が、イソシアネート系化合物、エポキシ系化合物、アジリジン系化合物及び金属キレート系化合物からなる群より選ばれる1種以上の架橋剤である[4]又は[5]記載の粘着剤組成物。
[7]
硬化物の架橋密度が5〜95質量%である[1]〜[6]のいずれかに記載の粘着剤組成物。
[8]
偏光フィルムと、この偏光フィルムの片面又は両面に[1]〜[7]のいずれかに記載の粘着剤組成物から形成される粘着剤層とを有することを特徴とする粘着偏光板。
[9]
更に、保護層、反射層、位相差板、光視野角補償フィルム及び輝度向上フィルムからなる群より選択される1種以上の層を有する[8]記載の粘着偏光板。
[10]
一対のガラス基板間に液晶が封入された液晶セルと、この液晶セルの片面又は両面に貼着された[8]又は[9]記載の粘着偏光板とを有する液晶パネルを含むことを特徴とする液晶表示装置。
本発明の粘着剤組成物は、分子中に存在するアルコキシシリル基又はシラノール基1個に対して2個以上のエポキシ基を有し、更には有機基の連結鎖としてポリエーテル構造基が含まれるようなシランカップリング剤を必須成分として配合することにより、初期リワーク性と、高温又は高温多湿下での高接着力とを両立可能である。
合成例1の反応前のIRスペクトルを示す図である。 合成例1の反応途中のIRスペクトルを示す図である。 合成例1の反応終了後のIRスペクトルを示す図である。
以下、本発明について具体的に説明する。なお、本発明において「シランカップリング剤」は「有機ケイ素化合物」に含まれる。
[有機ケイ素化合物(シランカップリング剤)]
本発明の多官能エポキシ基含有有機ケイ素化合物は、下記一般式(1)
Figure 2014074097

[式中、Rは水素原子、グリシジル基、及び下記式(2)
Figure 2014074097

(式中、R’は炭素数1〜6のアルキル基を示し、Xは水素原子又は炭素数1〜4のアルキル基を示し、nは1〜3の整数、mは1〜10の整数である。)
で示される基から選ばれ、Rの少なくとも1つは前記式(2)の基であって、Rの少なくとも2つはグリシジル基であり、aは1≦a≦100の数である。]、及び下記一般式(3)
Figure 2014074097

[式中、Rは水素原子、グリシジル基、及び下記式(2)
Figure 2014074097

(式中、R’は炭素数1〜6のアルキル基を示し、Xは水素原子又は炭素数1〜4のアルキル基を示し、nは1〜3の整数、mは1〜10の整数である。)
で示される基から選ばれ、Rの少なくとも1つは前記式(2)の基であって、Rの少なくとも2つはグリシジル基であり、AOは炭素数2〜6のアルキレンオキシド構造基であり、b、c、d、eはそれぞれ4≦b≦10、0≦c≦10、0≦d≦10、0≦e≦10の数である。]
で表される。
この場合、a〜eはそれぞれ独立に、好ましくは1≦a≦40、4≦b≦8、0≦c≦8、0≦d≦8、0≦e≦8であり、更に好ましくは1≦a≦30、4≦b≦5、0≦c≦5、0≦d≦5、0≦e≦5の数である。
なお、aは上記の通り1以上の数であり、1の場合はグリセリンの誘導体であるが、反応点の増加の点からa=2のジグリセリンの誘導体、a=3のトリグリセリンの誘導体等、aが2以上、より好ましくは3以上、更に好ましくは4以上のポリグリセリン誘導体であることが好適である。また、c〜eについては、それぞれ0以上の数であるが、いずれも1以上であることが好ましく、c+d+eは好ましくは0〜24、より好ましくは3〜24、更に好ましくは3〜21の数である。
式(3)のAOは炭素数2〜6のアルキレンオキシド構造基であり、より具体的にはエチレンオキサイド構造基(EO)、プロピレンオキサイド構造基(PO)、ブチレンオキサイド構造基(BO)等が挙げられる。また、c〜eが2以上である場合、アルキレンオキサイド構造基からなる連結鎖は、それぞれEO、PO、BO単独からなるポリアルキレンオキサイド構造基であってもよく、また2種類以上のアルキレンオキサイド構造基の組み合わせであってもよい。更に、c〜eが3以上、且つ2種類以上のアルキレンオキサイド構造基からなる場合、形成されるポリマー鎖はランダムポリマーであってもよいし、ブロックポリマーであってもよい。
式(2)中のR’の具体例としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ヘプチル基、ヘキシル基等が挙げられ、Xのアルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基等が挙げられる。
また、上記式(1)の化合物においては、(i)グリシジル基、(ii)アルコキシシリル基又はシラノール基の官能基比率が、モル比として0.02≦(i)/(ii)≦100の範囲であることが好ましく、より好ましくは0.05≦(i)/(ii)≦50であり、特に好ましくは0.1≦(i)/(ii)≦10である。0.02より小さい場合はアルコキシシリル基又はシラノール基が過剰であり、設計構造上、合成が困難である他、得られた生成物の安定性に問題が生じる場合がある。100よりも大きい場合は、アルコキシシリル基又はシラノール基がほとんど含まれないため、アルコキシシリル基又はシラノール基導入効果が発現されにくい場合がある。
上記式(3)の化合物においては、(iii)グリシジル基、(iv)アルコキシシリル基又はシラノール基の官能基比率が、モル比として0.1≦(iii)/(iv)≦9の範囲であることが好ましく、より好ましくは0.2≦(iii)/(iv)≦5である。
これらの多官能エポキシ基含有有機ケイ素化合物は、エポキシ基を複数有するポリグリシジルエーテル系化合物の構造中における一部の水酸基とシランカップリング剤とが反応して結合を形成している。シランカップリング剤として、具体的には、イソシアネート基を有するシランカップリング剤(以下、イソシアネートシランという)を用いることにより、水酸基とイソシアネート基の間でウレタン結合が形成される。
更に詳述すると、本発明に係る多官能エポキシ基含有有機ケイ素化合物は、例えば、1分子中に少なくとも2個のエポキシ基と少なくとも1個の水酸基とを有するポリグリシジルエーテル化合物の上記水酸基に、イソシアネート基と少なくとも1個のアルコキシ基又はシラノール基とを有するシランカップリング剤のイソシアネート基を反応させることにより、1分子中に少なくとも2個のエポキシ基と少なくとも1個のアルコキシシリル基とシラノール基を有する多官能エポキシ基含有有機ケイ素化合物として得ることができる。
この場合、1分子中に少なくとも2個のエポキシ基と少なくとも1個の水酸基とを有するポリグリシジルエーテル化合物として、(ポリ)グリセリンポリグリシジルエーテルを用いた場合、上記式(1)の有機ケイ素化合物が得られる。また、1分子中に少なくとも2個のエポキシ基と少なくとも1個の水酸基とを有するポリグリシジルエーテル化合物として、ソルビトール系ポリグリシジルエーテルを用いた場合、上記式(3)の有機ケイ素化合物が得られる。
ここで、(ポリ)グリセリンポリグリシジルエーテルとしては、下記式(4)
Figure 2014074097
(式中、R1は水素原子又はグリシジル基を示し、少なくとも1つは水素原子、少なくとも2つはグリシジル基であり、aは上述した通りの意味を示す。)
で示されるものが挙げられる。なお、(v)グリシジル基、(vi)水酸基のモル比率(v)/(vi)は0.01〜100が好ましく、より好ましくは0.02〜50、更に好ましくは0.1〜40である。また、そのエポキシ当量は好ましくは100〜500、より好ましくは100〜400、更に好ましくは100〜300である。エポキシ当量が小さすぎると製造が難しくなることがあり、大きすぎるとエポキシ含有率が低くなり、得られる多官能エポキシ基含有有機ケイ素化合物の特性が不十分となることがある。
また、ソルビトール系ポリグリシジルエーテルとしては、下記式(5)
Figure 2014074097
(式中、R1は水素原子又はグリシジル基を示し、少なくとも1つは水素原子、少なくとも2つはグリシジル基であり、AOは炭素数2〜6のアルキレンオキシド構造基であり、b、c、d、eはそれぞれ4≦b≦10、0≦c≦10、0≦d≦10、0≦e≦10の数である。)
で示されるものが挙げられる。なお、(vii)グリシジル基、(viii)水酸基のモル比率(vii)/(viii)は好ましくは0.1〜9、より好ましくは0.2〜5である。また、そのエポキシ当量は100〜500が好ましく、より好ましくは100〜400、更に好ましくは100〜300である。エポキシ当量が小さすぎると製造が難しくなることがあり、大きすぎるとエポキシ含有率が低くなり、得られる多官能エポキシ基含有有機ケイ素化合物の特性が不十分となることがある。
上記ポリグリシジルエーテル化合物としての、(ポリ)グリセリンポリグリシジルエーテル、ソルビトール系のポリグリシジルエーテルとしては、市販品を使用し得、例えば阪本薬品工業社製SR−4GL、ナガセケムテックス社製デナコールEX−1310、デナコールEX−1410、デナコールEX−1610、EX−610U等を用いることができる。
一方、上記ポリグリシジルエーテル化合物と反応させ、これに加水分解性シリル基を導入するためのシランカップリング剤としては、エポキシ基と反応せず、水酸基と選択的に反応する官能基を有するものであればよく、その中でもイソシアネートシランが好ましい。
イソシアネートシランの具体的な構造としては、3−イソシアネートプロピルトリメトキシシラン、3−イソシアネートプロピルメチルジメトキシシラン、3−イソシアネートプロピルジメチルメトキシシラン、3−イソシアネートプロピルトリエトキシシラン、3−イソシアネートプロピルメチルジエトキシシラン、3−イソシアネートプロピルジメチルエトキシシラン、イソシアネートメチルトリメトキシシラン、イソシアネートメチルメチルジメトキシシラン、イソシアネートメチルジメチルメトキシシラン、イソシアネートメチルトリエトキシシラン、イソシアネートメチルメチルジエトキシシラン、イソシアネートメチルジメチルエトキシシラン等が挙げられる、これらの中でも3−イソシアネートプロピルトリエトキシシラン、3−イソシアネートプロピルトリメトキシシランが好ましい。
上記ポリグリシジルエーテル化合物とイソシアネートシランとの反応割合は、ポリグリシジルエーテル化合物の水酸基1モルに対し、イソシアネートシランのイソシアネート基が0.01〜1モル、特に0.1〜1モルとなるように反応させることが好ましい。
本発明の多官能エポキシ基含有有機ケイ素化合物は、ポリグリシジルエーテル化合物とイソシアネートシランを反応させることで得られるが、その際の反応温度は25〜90℃が好ましく、より好ましくは40〜80℃である。25℃より低温だと反応速度が低くなる場合があり、90℃よりも高いと、ポリグリシジルエーテルの水酸基とイソシアネートシランのアルコキシシリル部位でエステル交換が起こり、アルコールの発生が起こる等の副反応が生じる可能性がある。なお、反応時間は特に制限されないが、通常10分〜24時間である。
ポリグリシジルエーテル化合物とイソシアネートシランを反応させる際に用いる溶媒としては、イソシアネート基と反応しない溶媒であればいずれを使用してもよい。具体的には炭化水素系溶媒、芳香族系溶媒、ケトン系溶媒、アミド系溶媒、エステル系溶媒、エーテル系溶媒等が挙げられ、より具体的には炭化水素系溶媒としてペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、デカン、シクロヘキサン等、芳香族系溶媒としてベンゼン、トルエン、キシレン等、ケトン系溶媒としてアセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等、アミド系溶媒としてホルムアミド、ジメチルホルムアミド、ピロリドン、N−メチルピロリドン等、エステル系溶媒として酢酸エチル、酢酸ブチル、ラクトン等、エーテル系溶媒としてジエチルエーテル、ジブチルエーテル、シクロペンチルメチルエーテル、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン等が挙げられる。
ポリグリシジルエーテル化合物とイソシアネートシランを反応させる際に、反応速度向上のため触媒を使用してもよい。触媒としては、一般的にウレタン反応で使用されているものでよく、具体的には、3級アミン化合物、ジブチルスズオキシド、ジオクチルスズオキシド、スズ(II)ビス(2−エチルヘキサノエート)等が挙げられる。
なお、触媒の使用量は、触媒量であるが、通常ポリグリシジルエーテル化合物とイソシアネートシランの合計量に対して0.001〜1質量%である。
ここで、得られる多官能エポキシ基含有有機ケイ素化合物は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)によるポリスチレン換算重量平均分子量が200〜10000、特に300〜8000であることが好ましい。分子量が小さすぎると製造が難しくなることがあり、大きすぎると作業性が悪くなることがある。
多官能エポキシ基含有有機ケイ素化合物の具体例としては、例えば下記のものが挙げられる。
式(1)において、n=3、m=3、a(平均)=9であり、(i)グリシジル基/(ii)エトキシシリル基=3(モル比)のもの、
式(1)において、n=3、m=3、a(平均)=9であり、(i)グリシジル基/(ii)エトキシシリル基=6(モル比)のもの、
式(1)において、n=3、m=3、a(平均)=9であり、(i)グリシジル基/(ii)エトキシシリル基=0.3(モル比)のもの、
式(1)において、n=3、m=3、a(平均)=7であり、(i)グリシジル基/(ii)エトキシシリル基=3(モル比)のもの、
式(3)において、n=3、m=3、b=4、c=d=e=2、アルキレンオキサイドはエチレンオキサイド構造基、(iii)グリシジル基/(iv)エトキシシリル基=3(モル比)のもの、
式(3)において、n=3、m=3、b=4、c=d=e=2、アルキレンオキサイドはプロピレンオキサイド構造基、(iii)グリシジル基/(iv)エトキシシリル基=3(モル比)のもの、
式(3)において、n=3、m=3、b=4、c=d=e=2、アルキレンオキサイドはブチレンオキサイド構造基、(iii)グリシジル基/(iv)エトキシシリル基=3(モル比)のもの、
式(3)において、n=3、m=3、b=4、c=d=e=2、アルキレンオキサイドはエチレンオキサイド構造基とプロピレンオキサイド構造基の混合、(iii)グリシジル基/(iv)エトキシシリル基=3(モル比)のもの、
式(3)において、n=3、m=3、b=4、c=d=e=4、アルキレンオキサイドはエチレンオキサイド構造基とプロピレンオキサイド構造基の混合且つ各構造基のランダムポリマー、(iii)グリシジル基/(iv)エトキシシリル基=3(モル比)のもの、
式(3)において、n=3、m=3、b=4、c=d=e=4、アルキレンオキサイドはエチレンオキサイド構造基とプロピレンオキサイド構造基の混合且つ各構造基のブロックポリマー、(iii)グリシジル基/(iv)エトキシシリル基=3(モル比)のもの。
[粘着剤組成物]
次に、上記多官能エポキシ基含有シランカップリング剤を含む粘着剤組成物について説明する。
本発明の粘着剤組成物は、
(A)(a)炭素数1〜12のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸エステルモノマー90〜99.9質量部;(b)架橋可能な官能基を含むビニル系モノマー及び/又は(メタ)アクリル系モノマー0.1〜10質量部を共重合して得られる(メタ)アクリル系共重合体: 100質量部、
(B)多官能性架橋剤: 0.01〜10質量部、
(C)多官能エポキシ基含有有機ケイ素化合物: 0.01〜9質量部
を含有することを特徴とする。
ここで、本発明の組成物に使用される(a)炭素数1〜12のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸エステルモノマーは、共重合させるモノマー100質量部のうち、90〜99.9質量部、特に91〜99質量部で含まれるものが望ましく、その含量が90質量部未満であると初期接着力が低下する場合があり、99.9質量部を超えると凝集力の低下により耐久性に問題が生じる場合がある。
また、(a)成分の炭素数1〜12のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸エステルモノマーは、(b)成分の架橋可能な官能基を含む(メタ)アクリル系モノマー以外のものであって、(メタ)アクリル酸の炭素数が1〜12であるアルキルエステルを使用することができ、より好ましくは炭素数が2〜8であるアルキルエステルを使用する方がよい。つまり、前記アルキル(メタ)アクリレートは、アルキル基が長鎖形態であれば粘着剤の凝集力が低下する場合があるため、高温下で凝集力を保持するためにはアルキル基の炭素数は1〜12の範囲が好ましく、より好ましくは2〜8の範囲である。
このような(メタ)アクリル酸エステルモノマーとしては、ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、メチル(メタ)アクリレート、n−プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、ペンチル(メタ)アクリレート、n−オクチル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、イソノニル(メタ)アクリレート等が挙げられ、これらは1種単独で又は2種以上を混合して使用してもよい。
(b)成分の架橋可能な官能基を含むビニル系モノマー及び(メタ)アクリル系モノマーは、架橋剤と反応して高温又は高温多湿の条件下で粘着剤の凝集力の破壊が生じないように化学結合による凝集力又は接着強度を与える。(b)成分のモノマーの配合量は、共重合させるモノマー100質量部のうち0.1〜10質量部、特に1〜9質量部で使用するのが好ましく、0.1質量部未満であると、高温多湿下での凝集破壊が生じやすくなる場合があり、10質量部を超えると適合性が著しく減少し、表面移行が起こる原因となり、流動性が減少する一方で凝集力が上昇して応力緩和能力が低下してしまう場合がある。
(b)成分の架橋可能な官能基を含むビニル系モノマー又は(メタ)アクリル系モノマーの例としては、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート等の水酸基を含むモノマー、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸二量体、イタコン酸、マレイン酸及びマレイン酸無水物等のカルボキシル基を含むモノマー、(メタ)アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、(メタ)アクリロキシプロピルトリエトキシシラン、(メタ)アクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、(メタ)アクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、(メタ)アクリロキシメチルトリメトキシシラン、(メタ)アクリロキシメチルトリエトキシシラン、(メタ)アクリロキシメチルメチルジメトキシシラン、(メタ)アクリロキシメチルメチルジエトキシシラン等の加水分解性シリル基を含むモノマー等が挙げられるが、これらに限られるものではない。上記モノマーは1種単独で又は2種以上を混合して使用することができる。
なお、本発明においては、アクリル系共重合体の製造時、粘着剤組成物のガラス転移温度を調節し、且つその他の機能性を付与するために、その他の共重合性モノマーをさらに使用することができる。具体的には、アクリロニトリル、スチレン、グリシジル(メタ)アクリレート、ビニルアセテート等の共重合性モノマーを使用することができる。これらの共重合性モノマーの配合割合は、共重合させるモノマー100質量部のうち、0.1〜9.9質量部が好ましく、より好ましくは0.5〜8質量部である。
粘着剤組成物の粘弾性特性は、主に高分子鎖の分子量、分子量分布、又は分子構造の存在量に基づき、特に分子量によって決定されるため、本発明に使用される(メタ)アクリル系共重合体の分子量(重量平均分子量:Mw)は、80万〜200万であるのが好ましく、より好ましくは90万〜190万である。なお、重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により測定した標準ポリスチレン換算値である。分子量が小さすぎると所望の粘弾性特性が得られないおそれがあり、大きすぎるとポリマーの粘度が非常に高くなり、ハンドリングが困難となるため生産性が低下する場合がある。
このような共重合体は、通常のラジカル共重合過程を経て製造することができる。本発明において重合体の重合方法は特に限定されず、溶液重合法、光重合法、バルク重合法、懸濁重合法、乳化重合法等の一般的な方法で製造することができる。これらの中でも溶液重合法が生産性の観点より好ましい。この場合、重合温度は50〜140℃、反応時間は1〜24時間が好ましい。モノマーが均一に混合された状態で開始剤を添加するのが好ましい。
本発明の粘着剤組成物において、(B)成分の多官能性架橋剤は、カルボキシル基や、水酸基等と反応することで粘着剤の凝集力を高める役割をする。架橋剤の含量は、(A)成分の共重合体100質量部に対して0.01〜10質量部で使用されるのが好ましく、より好ましくは0.05〜5質量部である。多すぎると凝集がひどく、粘着剤シート等への成形が困難となる場合があり、少なすぎると所望の凝集力向上効果が得られない場合がある。
多官能性架橋剤は、イソシアネート系、エポキシ系、アジリジン系、金属キレート系架橋剤等を使用でき、その中でもイソシアネート系架橋剤が使用上容易である。イソシアネート系架橋剤としては、トリレンジイソシアネート、キシレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソフォルムジイソシアネート、テトラメチルキシレンジイソシアネート、ナフタレンジイソシアネート、これらとトリメチロールプロパン等のポリオールとの反応物(トリメチロールプロパントリレンジイソシアネート付加物等)等が挙げられる。
エポキシ系架橋剤としては、エチレングリコールジグリシジルエーテル、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル、N,N,N’,N’−テトラグリシジルエチレンジアミン、グリセリンジグリシジルエーテル、グリセリントリグリシジルエーテル、ポリグリセリンポリグリシジルーテル、ソルビトール系ポリグリシジルエーテル等が挙げられる。
アジリジン系架橋剤としては、N,N’−トルエン−2,4−ビス(1−アジリジンカルボキサイド)、N,N’−ジフェニルメタン−4,4’−ビス(1−アジリジンカルボキサイド)、トリエチレンメラミン、ビスイソプロタロイル−1−(2−メチルアジリジン)、トリ−1−アジリジニルホスフィンオキサイド等が挙げられる。
金属キレート系架橋剤としては、アルミニウム、鉄、亜鉛、スズ、チタン、アンチモン、マグネシウム、バナジウム等の多価金属がアセチルアセトン又はアセト酢酸エチルに配位した化合物等が挙げられる。
(C)成分の多官能エポキシ基含有有機ケイ素化合物としては、上記一般式(1)、(3)で示されるものであり、このシランカップリング剤を粘着剤組成物に配合することにより、初期のリワーク性と、高温多湿下での接着力が飛躍的に向上する。シランカップリング剤の具体的な構造は前述の通りであり、これらは1種単独で又は2種以上を混合して使用することができる。その配合量は(A)(メタ)アクリル系共重合体100質量部に対して0.01〜9質量部で含まれるのが好ましく、より好ましくは0.1〜5質量部、特に好ましくは0.1〜3質量部である。含有量が0.01質量部未満であるとシラン添加効果が十分に発揮されない場合があり、9質量部を超えると過剰量使用により気泡や剥離が生じて耐久性が低下するおそれがある。
一般式(1)及び(3)で示される有機ケイ素化合物を併用する場合、その配合割合は、両成分が均一相溶すれば特に限定されないが、具体的には質量比で、式(1)で示される有機ケイ素化合物:式(3)で示される有機ケイ素化合物が1:100〜100:1が好ましく、より好ましくは20:80〜80:20である。
また、本発明は粘着性能を調節するために、粘着性付与樹脂をさらに添加することができる。その含量は(A)(メタ)アクリル系共重合体100質量部に対して1〜100質量部、特に5〜90質量部の範囲で使用することができる。この際に、1質量部未満であると調節効果が不十分な場合があり、100質量部を超えると粘着剤の常用性又は凝集性を低下させるおそれがある。
粘着性付与樹脂の例としては、(水添)炭化水素系樹脂、(水添)ロジン樹脂、(水添)ロジンエステル樹脂、(水添)テルペン樹脂、(水添)テルペンフェノール樹脂、重合ロジン樹脂、重合ロジンエステル樹脂等を使用することができ、これらは1種単独で又は2種以上を混合して使用することができる。
上記成分以外にも、本発明の目的を損なわない範囲で、可塑剤、レベリング剤等の低分子量体、エポキシ樹脂及び硬化剤等を必要に応じて追加成分として混合使用することができ、紫外線安定剤、酸化防止剤、除色剤、補強剤、充填剤、消泡剤、界面活性剤等を一般の目的に応じて適切に添加して使用することができる。
本発明の粘着剤組成物の製造方法は特に限定されず、前記した(A)(メタ)アクリル系共重合体、(B)多官能性架橋剤及び(C)シランカップリング剤(多官能エポキシ基含有有機ケイ素化合物)を通常の方法で混合して得られる。混合条件は、10〜150℃で10分〜10時間とすることが好ましい。この場合、上記多官能エポキシ基含有有機ケイ素化合物は、(メタ)アクリル系共重合体の重合の後、配合工程で添加して使用することができ、(メタ)アクリル系共重合体の製造工程中に添加しても同一な効果を示す。また、多官能性架橋剤は、粘着剤組成物を硬化させて得られる粘着剤層形成のために実施する配合過程において、架橋剤の官能基架橋反応が殆ど生じない場合に均一なコーティングが可能となる。コーティングした後に乾燥及び熟成過程を経ると架橋構造が形成されて、弾性があり、凝集力の強い粘着剤層が得られる。
このようにして得られた本発明の粘着剤組成物は、ガラス板、プラスチックフィルム、紙等の被接着体に塗布し、25〜150℃、20〜90%RHで5分〜5時間、特に40〜80℃、25〜60%RHで10分〜3時間硬化させることで粘着剤層を形成することができる。
本発明の粘着剤組成物は、内部に揮発成分、反応残留物等の気泡を誘発させる成分を十分に除去した後に使用することが望ましい。架橋密度や分子量が過度に低く、粘着剤層の弾性率が過度に低い場合には、高温状態でガラス板等の被接着体と粘着剤層との間に存在する小さい気泡が大きくなって、粘着剤層の内部に散乱体を形成するようになる。また、弾性率が過度に大きい粘着剤層を長期間使用する場合には、過度な架橋反応によって粘着剤層(シート)の末端部位に剥離現象が生じるようになる。
また、最適の物理的均衡を考慮した場合、粘着剤層の架橋密度は5〜95質量%、特に7〜93質量%の範囲が適当である。架橋密度は、一般に知られた粘着剤のゲル含量測定法により、溶媒に溶解されない架橋構造を形成した部分の量を質量%で得た値を指す。この際、粘着剤層の架橋密度が5質量%未満である場合には粘着剤層の凝集力が低くなり、気泡又は剥離のような粘着耐久性の問題が生じるおそれがあり、95質量%を超える場合にはぴったり付かずに耐久性が弱くなる場合がある。
[粘着偏光板]
次に、前記粘着剤組成物を偏光フィルム等の片面又は両面に塗布・硬化させた粘着剤層を含む粘着偏光板について説明する。
本発明の粘着偏光板は、偏光フィルム又は偏光素子と、この偏光フィルム又は偏光素子の片面又は両面に上記粘着剤組成物から形成される粘着剤層とを有するものである。偏光板を構成する偏光フィルム又は偏光素子については特に限定されない。偏光フィルムの例を挙げると、ポリビニルアルコール系樹脂からなるフィルムにヨウ素又は異色性染料等の偏光成分を含有させて延伸することによって得られるフィルム等があり、これらの偏光フィルムの厚さも限定されず、通常の厚さに成形することができる。
ポリビニルアルコール系樹脂としては、ポリビニルアルコール、ポリビニルフォルマール、ポリビニルアセタール及びエチレン・酢酸ビニル共重合体の鹸化物等が使用される。
また、粘着剤層を有する偏光フィルムの両面に、トリアセチルセルロース等のセルロース系フィルム、ポリカーボネートフィルム、ポリエチレンテレフタレートフィルム等のポリエステル系フィルム、ポリエーテルスルホン系フィルム、ポリエチレン、ポリプロピレン、これらの共重合体のようなポリオレフィン系フィルム等の保護フィルムが積層された多層フィルム等を形成することができる。この際、これら保護フィルムの厚さも特に限定されず通常の厚さに成形することができる。
本発明において、偏光フィルムに粘着剤層を形成する方法には特に制限はなく、この偏光フィルムの表面に直接バーコーター等を使用して粘着剤組成物を塗布して、乾燥させる方法、粘着剤組成物を一旦剥離性基材表面に塗布して乾燥させた後、この剥離性基材表面に形成された粘着剤層を偏光フィルム表面に転写し、次いで熟成させる方法等を採用することができる。この場合、乾燥は25〜150℃、20〜90%RHで5分〜5時間が好ましく、熟成は25〜150℃、20〜90%RHで5分〜5時間が好ましい。
また、粘着剤層の厚さは特に制限されないが、通常0.01〜100μmであることが好ましく、より好ましくは0.1〜50μmである。粘着剤層の厚さが上記範囲より小さいと粘着剤層としての効果が不十分となる場合があり、上記範囲より大きいと粘着剤層の効果が飽和し、コストが大きくなる場合がある。
なお、このようにして得られた本発明の粘着剤層を有する偏光フィルム(粘着偏光板)には、保護層、反射層、位相差板、光視野角補償フィルム、輝度向上フィルム等の追加機能を提供する層を1種以上積層することができる。
[液晶表示装置]
本発明の粘着偏光板は、特に、通常の液晶表示装置全般に応用可能であり、その液晶パネルの種類は特に限られない。特に、本発明の粘着偏光板を、一対のガラス基板間に液晶が封入された液晶セルの片面又は両面に貼合した液晶パネルを含めて液晶表示装置を構成することが好ましい。
本発明の粘着剤組成物は、上記した偏光フィルム以外に、産業用シート、特に反射シート、構造用粘着シート、写真用粘着シート、車線表示用粘着シート、光学用粘着製品、電子部品用等、用途に限らず使用できる。また、多層構造のラミネート製品、つまり一般商業用粘着シート製品、医療用パッチ、加熱活性用等、作用概念が同一である応用分野にも適用することができる。
本発明の粘着剤組成物は、配位性官能基を有するシランカップリング剤を含む(メタ)アクリル系粘着剤であって、ガラス等に貼り付け時に初期接着力は低いため、リワーク性に優れ、貼り付け後の湿熱処理後の接着力が十分に高いものとなり長期耐久性に優れる。
以下、合成例、実施例及び比較例を示して本発明をより詳しく説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。なお、下記例中、粘度、比重、屈折率は、25℃において測定した値である。また、NMRは核磁気共鳴分光法、IRは赤外分光法、GPCはゲルパーミエーションクロマトグラフィーの略である。粘度は毛細管式動粘度計による25℃における測定に基づく。
[合成例1]
撹拌機、還流冷却器、滴下ロート及び温度計を備えた1Lセパラブルフラスコに、エポキシ当量168のポリグリセリンポリグリシジルエーテル(SR−4GL、阪本薬品工業社製)100gを仕込み、80℃に加熱した。その中に3−イソシアネートプロピルトリエトキシシラン49.0gを滴下投入し、80℃にて4時間加熱撹拌した。その後、IR測定により原料のイソシアネート基由来の吸収ピークが完全に消失し、代わりにウレタン結合由来の吸収ピークが生成したことを確認し、反応終了とした。得られた反応生成物は淡黄色液体であり、重量平均分子量1800、粘度1074mPa・s、エポキシ当量265であった。なお、式(1)において、nは3であり、mは3であり、aは平均で9であり、官能基モル比率(i)グリシジル基/(ii)エトキシシリル基=3であった。この化合物について反応前のIRスペクトルを図1に、反応途中のIRスペクトルを図2に、反応終了後のIRスペクトルを図3に示す。
[合成例2]
撹拌機、還流冷却器、滴下ロート及び温度計を備えた1Lセパラブルフラスコに、エポキシ当量168のポリグリセリンポリグリシジルエーテル(SR−4GL、阪本薬品工業社製)100g、ジオクチルスズオキシド0.6gを仕込み、80℃に加熱した。その中に3−イソシアネートプロピルトリエトキシシラン49.0gを滴下投入し、80℃にて2時間加熱撹拌した。その後、IR測定により原料のイソシアネート基由来の吸収ピークが完全に消失し、代わりにウレタン結合由来の吸収ピークが生成したことを確認し、反応終了とした。得られた反応生成物は淡黄色液体であり、重量平均分子量1800、粘度1014mPa・s、エポキシ当量267であった。また、式(1)において、nは3であり、mは3であり、aは平均で9であり、官能基モル比率(i)グリシジル基/(ii)エトキシシリル基=3であった。
[合成例3]
撹拌機、還流冷却器、滴下ロート及び温度計を備えた1Lセパラブルフラスコに、エポキシ当量168のポリグリセリンポリグリシジルエーテル(SR−4GL、阪本薬品工業社製)100gを仕込み、80℃に加熱した。その中に3−イソシアネートプロピルトリエトキシシラン24.5gを滴下投入し、80℃にて4時間加熱撹拌した。その後、IR測定により原料のイソシアネート基由来の吸収ピークが完全に消失し、代わりにウレタン結合由来の吸収ピークが生成したことを確認し、反応終了とした。得られた反応生成物は淡黄色液体であり、重量平均分子量1700、粘度1184mPa・s、エポキシ当量219であった。また、式(1)において、nは3であり、mは3であり、aは平均で9であり、官能基モル比率(i)グリシジル基/(ii)エトキシシリル基=6であった。
[合成例4]
撹拌機、還流冷却器、滴下ロート及び温度計を備えた1Lセパラブルフラスコに、エポキシ当量168のポリグリセリンポリグリシジルエーテル(SR−4GL、阪本薬品工業社製)100gを仕込み、80℃に加熱した。その中に3−イソシアネートプロピルトリエトキシシラン441.0gを滴下投入し、80℃にて4時間加熱撹拌した。その後、IR測定により原料のイソシアネート基由来の吸収ピークが完全に消失し、代わりにウレタン結合由来の吸収ピークが生成したことを確認し、反応終了とした。得られた反応生成物は淡黄色液体であり、重量平均分子量2500、粘度1374mPa・s、エポキシ当量910であった。また、式(1)において、nは3であり、mは3であり、aは平均で9であり、官能基モル比率(i)グリシジル基/(ii)エトキシシリル基=0.3であった。
[合成例5]
撹拌機、還流冷却器、滴下ロート及び温度計を備えた1Lセパラブルフラスコに、エポキシ当量172のポリグリセリンポリグリシジルエーテル(デナコールEX−1310、ナガセケムテックス社製)100gを仕込み、80℃に加熱した。その中に3−イソシアネートプロピルトリエトキシシラン49.7gを滴下投入し、80℃にて4時間加熱撹拌した。その後、IR測定により原料のイソシアネート基由来の吸収ピークが完全に消失し、代わりにウレタン結合由来の吸収ピークが生成したことを確認し、反応終了とした。得られた反応生成物は淡黄色液体であり、重量平均分子量1870、粘度108mPa・s、エポキシ当量259であった。また、式(1)において、nは3であり、mは3であり、aは平均で7であり、官能基モル比率(i)グリシジル基/(ii)エトキシシリル基=3であった。
[合成例6]
撹拌機、還流冷却器、滴下ロート及び温度計を備えた1Lセパラブルフラスコに、エポキシ当量172のポリグリセリンポリグリシジルエーテル(デナコールEX−1410、ナガセケムテックス社製)100gを仕込み、80℃に加熱した。その中に3−イソシアネートプロピルトリエトキシシラン52.2gを滴下投入し、80℃にて4時間加熱撹拌した。その後、IR測定により原料のイソシアネート基由来の吸収ピークが完全に消失し、代わりにウレタン結合由来の吸収ピークが生成したことを確認し、反応終了とした。得られた反応生成物は淡黄色液体であり、重量平均分子量1700、粘度200mPa・s、エポキシ当量247であった。また、式(1)において、nは3であり、mは3であり、aは平均で7であり、官能基モル比率(i)グリシジル基/(ii)エトキシシリル基=3であった。
[合成例7]
撹拌機、還流冷却器、滴下ロート及び温度計を備えた1Lセパラブルフラスコに、エポキシ当量172のソルビトール系ポリグリシジルエーテル(デナコールEX−1610、ナガセケムテックス社製)100gを仕込み、80℃に加熱した。その中に3−イソシアネートプロピルトリエトキシシラン49.9gを滴下投入し、80℃にて4時間加熱撹拌した。その後、IR測定により原料のイソシアネート基由来の吸収ピークが完全に消失し、代わりにウレタン結合由来の吸収ピークが生成したことを確認し、反応終了とした。得られた反応生成物は淡黄色液体であり、重量平均分子量3800、粘度1421mPa・s、エポキシ当量261であった。また、式(3)において、nは3であり、mは3であり、bは4であり、AOはエチレンオキサイド基、c、d、eは2であり、官能基モル比率(iii)グリシジル基/(iv)エトキシシリル基=3であった。
[合成例8]
撹拌機、還流冷却器、滴下ロート及び温度計を備えた1Lセパラブルフラスコに、エポキシ当量220のソルビトール系ポリグリシジルエーテル(デナコールEX−610U、ナガセケムテックス社製)100gを仕込み、80℃に加熱した。その中に3−イソシアネートプロピルトリエトキシシラン39.8gを滴下投入し、80℃にて4時間加熱撹拌した。その後、IR測定により原料のイソシアネート基由来の吸収ピークが完全に消失し、代わりにウレタン結合由来の吸収ピークが生成したことを確認し、反応終了とした。得られた反応生成物は淡黄濁色液体であり、重量平均分子量3600、粘度1114mPa・s、エポキシ当量315であった。また、式(3)において、nは3であり、mは3であり、bは4であり、AOはプロピレンオキサイド基、c、d、eは2であり、官能基モル比率(iii)グリシジル基/(iv)エトキシシリル基=3であった。
[合成例9]
撹拌機、還流冷却器、滴下ロート及び温度計を備えた1Lセパラブルフラスコに、n−ブチルアクリレート(BA)98.1g、アクリル酸(AA)0.6g、2−ヒドロキシエチルメタクリレート(2−HEMA)1.3gを納め、溶剤として酢酸エチル100gを仕込み、溶解させた。その後、酸素を除去するために窒素ガスバブリングを1時間行い、反応系中を窒素置換して62℃に保持した。この中に、撹拌しながら重合開始剤としてアゾビスイソブチロニトリルを0.03g投入し、62℃で8時間反応させることでベースポリマーである、(メタ)アクリル系共重合体を得た。
[実施例1〜8]
合成例9で得られた(メタ)アクリル系共重合体100質量部に対して、架橋剤としてトリメチロールプロパントリレンジイソシアネート付加物(TDI)、合成例1〜8で得られたシランカップリング剤を表1に示す配合組成でそれぞれ混合し、粘着剤組成物とした。
得られた粘着剤組成物を離型紙にコーティングして乾燥した後、25μmの均一な粘着剤層を得た。このように製造された粘着剤層を、厚さ185μmのヨード系偏光板に粘着加工した後、得られた偏光板を適切な大きさに切断し、各評価に使用した。
製造した偏光板のテストピースについては、以下に示す評価試験方法を通じて耐久性、ガラス接着性、リワーク性、耐熱又は耐湿熱条件での接着力の変化について評価し、その結果を表2〜4に示した。
[比較例1〜5]
本発明のシランカップリング剤の代わりに表1に示したシランカップリング剤A−1〜A−4を使用する点、及びシランカップリング剤を添加しない点を除き、前記実施例と同様の方法で粘着剤を配合・製造し、ラミネート加工工程を実施した。また、得られたテストピースについても実施例と同様の評価を行い、その結果を表2〜4に示した。
なお、表1中、略語は以下の通りである。
TDI:架橋剤,トリメチロールプロパンのトリレンジイソシアネート付加物
シランA−1:
Figure 2014074097
シランA−2:γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン(信越化学工業(株)製 KBM−403)
シランA−3:γ−イソシアネートプロピルトリエトキシシラン(信越化学工業(株)製 KBE−9007)
シランA−4:両末端アルコキシシリル変性PO型ポリエーテル化合物(カネカ(株)製サイリルSAT10)
Figure 2014074097
評価試験
〈耐久性〉
粘着剤がコーティングされた偏光板(90mm×170mm)をガラス基板(110mm×190mm×0.7mm)に両面で光学吸収軸がクロスされた状態で貼り付けた。この際、加えた圧力は約5kgf/cm3であり、気泡や異物が生じないようにクリーンルームにて作業を行った。
この試験片の耐湿耐熱特性を評価するために、60℃/90%相対湿度の条件下で1000時間放置した後、気泡や剥離の生成の有無を確認した。耐熱特性は、80℃/30%相対湿度で1000時間放置した後、気泡や剥離の様子を観察した。なお、試験片の状態を評価する前に、室温(25℃)で24時間静置している。結果を表2に示す。
耐久性評価についての評価基準は以下の通りである。
○:気泡や剥離現象無し
△:気泡や剥離現象僅かにあり
×:気泡や剥離現象多数有り
〈ガラス接着力,高温・高温多湿条件での接着力変化〉
粘着剤がコーティングされた偏光板を、常温(23℃/60%RH)において7日間熟成させた後、該偏光板をそれぞれ1インチ×6インチサイズに切断し、2kgのゴムローラーを使用して0.7mm厚の無アルカリガラスに貼り付けた。常温で保管した後、1時間後に初期接着力を測定し、次いで50℃で4時間エージングさせ、その後常温で1時間保管後、接着力を測定した。結果を表2に示す。
また、高温及び高温多湿の条件で接着力上昇の程度を見るために、それぞれ60℃/30%RHと60℃/90%RHの条件で時間に応じてエージング後、常温で1時間放冷し、接着力を測定した。結果を表3,4に示す。
この際、接着力の測定には引っ張り試験機を用い、300mm/分の速度、180°の角度で剥離強度を測定した。
〈リワーク性〉
粘着剤がコーティングされた偏光板(90mm×170mm)をガラス基板(110mm×190mm×0.7mm)に貼り付けた後、常温で1時間経過(初期接着力)及び50℃×4時間エージングし、常温で1時間放冷した後、偏光板をガラスから剥離した。結果を表2に示す。
リワーク性に対する評価基準は以下の通りである。
○:容易に再剥離可能
△:再剥離は若干困難
×:剥離不能、ガラス破損
実施例及び比較例の粘着剤が適用された偏光板に関して、前期の評価方法を通じて得られた耐久性、ガラス接着力、リワーク性、高温及び高温多湿下での接着力の変化についての評価結果を下記の表2〜4に示した。
Figure 2014074097
Figure 2014074097
Figure 2014074097
以上の結果は、本発明の組成物が初期リワーク性に優れ、高温及び高温多湿処理することで十分なガラスとの接着力を発現し、長期的耐久性に優れた粘着剤組成物であることを証明するものである。

Claims (10)

  1. 下記一般式(1)
    Figure 2014074097

    [式中、Rは水素原子、グリシジル基、及び下記式(2)
    Figure 2014074097

    (式中、R’は炭素数1〜6のアルキル基を示し、Xは水素原子又は炭素数1〜4のアルキル基を示し、nは1〜3の整数、mは1〜10の整数である。)
    で示される基から選ばれ、Rの少なくとも1つは前記式(2)の基であって、Rの少なくとも2つはグリシジル基であり、aは1≦a≦100の数である。]
    で表される多官能エポキシ基含有有機ケイ素化合物を含むことを特徴とする粘着剤組成物。
  2. 下記一般式(3)
    Figure 2014074097

    [式中、Rは水素原子、グリシジル基、及び下記式(2)
    Figure 2014074097

    (式中、R’は炭素数1〜6のアルキル基を示し、Xは水素原子又は炭素数1〜4のアルキル基を示し、nは1〜3の整数、mは1〜10の整数である。)
    で示される基から選ばれ、Rの少なくとも1つは前記式(2)の基であって、Rの少なくとも2つはグリシジル基であり、AOは炭素数2〜6のアルキレンオキシド構造基であり、b、c、d、eはそれぞれ4≦b≦10、0≦c≦10、0≦d≦10、0≦e≦10の数である。]
    で表される多官能エポキシ基含有有機ケイ素化合物を含むことを特徴とする粘着剤組成物。
  3. 下記一般式(1)
    Figure 2014074097

    [式中、Rは水素原子、グリシジル基、及び下記式(2)
    Figure 2014074097

    (式中、R’は炭素数1〜6のアルキル基を示し、Xは水素原子又は炭素数1〜4のアルキル基を示し、nは1〜3の整数、mは1〜10の整数である。)
    で示される基から選ばれ、Rの少なくとも1つは前記式(2)の基であって、Rの少なくとも2つはグリシジル基であり、aは1≦a≦100の数である。]
    で表される多官能エポキシ基含有有機ケイ素化合物、及び下記一般式(3)
    Figure 2014074097

    [式中、Rは水素原子、グリシジル基、及び下記式(2)
    Figure 2014074097

    (式中、R’は炭素数1〜6のアルキル基を示し、Xは水素原子又は炭素数1〜4のアルキル基を示し、nは1〜3の整数、mは1〜10の整数である。)
    で示される基から選ばれ、Rの少なくとも1つは前記式(2)の基であって、Rの少なくとも2つはグリシジル基であり、AOは炭素数2〜6のアルキレンオキシド構造基であり、b、c、d、eはそれぞれ4≦b≦10、0≦c≦10、0≦d≦10、0≦e≦10の数である。]
    で表される多官能エポキシ基含有有機ケイ素化合物を含むことを特徴とする粘着剤組成物。
  4. (A)(a)炭素数1〜12のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸エステルモノマー90〜99.9質量部と、(b)架橋可能な官能基を含むビニル系モノマー及び/又は(メタ)アクリル系モノマー0.1〜10質量部とを共重合して得られる(メタ)アクリル系共重合体: 100質量部、
    (B)多官能性架橋剤: 0.01〜10質量部、
    (C)請求項1〜3のいずれか1項記載の多官能エポキシ基含有有機ケイ素化合物:
    0.01〜9質量部
    を含むことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項記載の粘着剤組成物。
  5. (b)架橋可能な官能基を含むビニル系モノマー又は(メタ)アクリル系モノマーが、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、(メタ)アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、(メタ)アクリロキシプロピルトリエトキシシラン、(メタ)アクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、(メタ)アクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、(メタ)アクリロキシメチルトリメトキシシラン、(メタ)アクリロキシメチルトリエトキシシラン、(メタ)アクリロキシメチルメチルジメトキシシラン、(メタ)アクリロキシメチルメチルジエトキシシラン、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸二量体、イタコン酸、マレイン酸及びマレイン酸無水物からなる群より選ばれる1種以上のモノマーである請求項4記載の粘着剤組成物。
  6. (B)多官能性架橋剤が、イソシアネート系化合物、エポキシ系化合物、アジリジン系化合物及び金属キレート系化合物からなる群より選ばれる1種以上の架橋剤である請求項4又は5記載の粘着剤組成物。
  7. 硬化物の架橋密度が5〜95質量%である請求項1〜6のいずれか1項記載の粘着剤組成物。
  8. 偏光フィルムと、この偏光フィルムの片面又は両面に請求項1〜7のいずれか1項記載の粘着剤組成物から形成される粘着剤層とを有することを特徴とする粘着偏光板。
  9. 更に、保護層、反射層、位相差板、光視野角補償フィルム及び輝度向上フィルムからなる群より選択される1種以上の層を有する請求項8記載の粘着偏光板。
  10. 一対のガラス基板間に液晶が封入された液晶セルと、この液晶セルの片面又は両面に貼着された請求項8又は9記載の粘着偏光板とを有する液晶パネルを含むことを特徴とする液晶表示装置。
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