JP2014069000A - 生体内摺動部材及びその表面処理方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】 人工関節など、生体組織内の湿潤環境下で樹脂and/or金属からなる部材同士を摺動させる場合の、摺動性を向上させるまでには至らない。したがって、本発明は上記不具合を解消することができる湿潤環境下での摺動性を向上する人工関節用インプラント及びその製造方法を提供することを目的とする。
【解決手段】 ダイヤモンドライクカーボン(DLC)は低摩擦係数を示す薄膜だが、表面が疎水性のため水潤滑下では、空気雰囲気下と同じ程度の摩擦係数しか示さない。そこで空気プラズマ処理を行い、表面を親水性に改質することにより、水潤滑下で超低摩擦係数化が可能になる。これを、人工関節等の生体内摺動部材の表面処理に応用する。
【選択図】 図1
【解決手段】 ダイヤモンドライクカーボン(DLC)は低摩擦係数を示す薄膜だが、表面が疎水性のため水潤滑下では、空気雰囲気下と同じ程度の摩擦係数しか示さない。そこで空気プラズマ処理を行い、表面を親水性に改質することにより、水潤滑下で超低摩擦係数化が可能になる。これを、人工関節等の生体内摺動部材の表面処理に応用する。
【選択図】 図1
Description
本発明は、湿潤時潤滑性を有し、水潤滑下における摩擦係数の低い生体内摺動部材及びその表面処理方法に関する。
医療分野において、気管、消化管、尿管、血管、その他の体腔、又は、組織に挿入されるカテーテル、イントロデューサー等、又は、これらに挿入されるガイドワイヤーなどの医療用具は、挿入時に目的部位にアクセスするための操作性を向上し、血管内壁や粘膜などへの組織損傷を最小限にするために、潤滑性を有する表面が必要である。これらの医療用具の、樹脂、金属あるいは無機材料からなる部材の表面にダイヤモンドライクカーボン(DLC)膜を形成し、その膜表面に親水性などの機能性を発揮する表面活性化処理を行った医療用具及びその製造方法が開示されている。(特許文献1参照)。しかし、人工関節など、生体組織内の湿潤環境中で樹脂、金属、又は無機物からなる部材同士を摺動させる場合の、摺動性を向上する技術についての言及はない。
また、炭化水素および有機シリコンの混合ガスを原料に用い、イオン注入とCVD(Chemical Vapor Deposition)法を組み合わせた方法によりDLCを形成することにより、人工関節の摺動面に用いるDLC膜の密着性を向上させるインプラント部材が開示されている。(特許文献2参照)。
特開2009−82257号
特開2006−219号
しかし、上記のいずれの方法によっても人工関節など、生体組織内の湿潤環境下で樹脂and/or金属からなる部材同士を摺動させる場合の、摺動性を向上させる技術についての言及はない。すなわち、本発明は上記不具合を解消することができる湿潤環境下での摺動性を向上する人工関節用インプラントなどに用いられる生体内摺動部材及びその表面処理方法を提供することを目的とする。
本発明者は、鋭意検討した結果、上記目的は、下記により達成されることを見出し、本発明に至った。
上記課題を解決するため、請求項1に係る発明は、生体内摺動部材において、該生体内摺動部材を構成する基材の表面にDLC層を有し、該DLC層の表面が親水性を有している、ことを特徴とする生体内摺動部材を用いることが好ましい。
請求項2に係る発明として、該DLC層の表面は、OH基を含む水和層を有することが好ましい。
請求項3に係る発明として、前記請求項1に係る発明における生体内摺動部材を構成する基材が、樹脂もしくは金属であることがより好ましい。
更に、請求項4に係る発明として、前記生体内摺動部材を構成する基材が、ポリエチレン樹脂もしくはチタンであることが特に好ましい。
更に、請求項4に係る発明として、前記生体内摺動部材を構成する基材が、ポリエチレン樹脂もしくはチタンであることが特に好ましい。
更に、請求項5に係る発明として、請求項1乃至3に係る発明は、前記生体内摺動部材が、人工関節であることが特に好ましい。
また、請求項6に係る発明として、生体内摺動部材の表面処理方法において、該生体内摺動部材を構成する基材の表面にDLC層を形成し、次に該DLCの表面を親水化処理する生体内摺動部材の表面処理方法が好ましい。
さらに、請求項7に係る発明として、請求項6に記載のDLCの形成方法が、プラズマイオン注入法であり、親水化処理方法が、酸素を含むガスから形成されたプラズマに暴露する方法により、該DLCの表面にOH基を含む水和層が形成されることを特徴とする生体内摺動部材の表面処理方法が、より好ましい。
本発明の目的は、人工関節などの生体内摺動部材を構成する基材の表面にDLC層が存在し、湿潤環境である生体内で、関節を構成する異物質同士が優れた摺動性を有する生体内摺動部材およびその表面処理方法を提供することにある。この目的は、DLC表面を空気プラズマ処理により親水化することによって達成されることを見出した。本発明に係る生体内摺動部材及びその表面方法により、生体内湿潤時において、摩擦係数が低く優れた潤滑性を有することから、長期にわたり摺動性能が低下することのない耐久性に優れた人工関節などの生体内摺動部材が実現できる。
本発明は人工関節などの生体内摺動部材を構成する基材の表面に、DLC薄膜を形成し、その表面をプラズマなどによる表面活性化処理を行うことによって、湿潤時に高度な潤滑性を有し、かつ潤滑耐久性に優れた各種医療用具を実現したものである。
本発明の生体内摺動部材を構成する基材としては、樹脂や金属が用いられ、樹脂ではポリアミド系樹脂、ナイロン系樹脂、ポリアミドおよびポリフェニレンエーテルのポリマーアロイ、PEEK系樹脂、ポリエチレン系樹脂が好ましく、また金属ではチタンが好ましい。
上記基材の表面に形成されたDLC膜はダイヤモンドに類似したカーボンからなる薄膜であり、非常に緻密でかつ強固な膜である。DLC膜は、プラズマイオン注入法(PBIID法)、スパッタ法、DCマグネトロンスパッタ法、RFマグネトロンスパッタ法、化学気相堆積法(CVD法)、プラズマCVD法、重畳型RFプラズマイオン注入法、イオンプレーティング法、アークイオンプレーティング法、イオンビーム蒸着法またはレーザーアブレーション法などの公知の方法により基材の表面に形成することができる。その中でもPBIID法がより好ましい。
PBIID法はプラズマCVD法の一種で、図1に示すように、真空チャンバー1内のアンテナ(試料ホルダ)2に試料3を取り付け、該アンテナにパルス高周波をかけることで、試料の周囲にプラズマを発生させ、次に高電圧パルスをかけることで試料表面にイオン注入を行うことを特徴とするDLC製膜方法である。
DLC膜の膜厚は本発明の効果が得られる範囲ならば、性能に大きく影響しないが、好ましい膜厚の範囲は1μm程度である。
DLC膜の表面は平滑で不活性であるため、一般的に親水性に乏しい。しかし、その表面にプラズマなどの照射による表面活性化処理を行うことで、表面の炭素−炭素結合の一部を開裂させて、DLC膜の表面に水酸基などの官能基親水性の官能基を結合させることができる。DLC膜の炭素−炭素結合の開裂は、空気などのガスにより発生させたプラズマにDLC膜を曝すことにより行えばよい。前記プラズマとしては、減圧下でのプラズマや大気圧でのプラズマなどを用いることができる。
DLC膜形成後の基材を真空可にて1分程度の空気プラズマ処理を行う。この処理によって、DLC膜の表面に親水性官能基が導入され、潤滑耐久性が大きく向上する。
本発明は、上記の方法に従って導入されたDLC表面親水基によって水潤滑下における摩擦係数および摩耗量の低い医療用具および人工関節表面の機能化の可能性を見出したものである。
基材に対するPBII法を用いたDLC膜の成膜方法は以下のとおりである。基材としてポリアミド(PA)およびポリフェニレンエーテル(PPE)よりなるポリマーアロイのディスク(直径70mm、厚さ5mm)を用い、これをアンテナ(試料ホルダ)に取り付けた後、真空チャンバー内を真空度3×10-3Paまで排気した後、原料ガスとして、ヘキサメチルジシロキサンを15(cc/min)、続いてアセチレンを100(cc/min)、最後にアセチレン+トルエンを90+20(cc/min)、真空チャンバーに導入する。外部の高周波発信器4より前記アンテナにパルス高周波として300Wを印加、同時に高圧パルス電源5より、電圧-5kV、パルス幅5μ sec、繰り返し周波数2 kHzの高電圧パルスを印加し、厚さ1μmのDLC膜を形成した。
形成したDLC膜に対して、下記のごとく、プラズマ処理を行い表面に親水基(OH基)を導入し、OH基を含む水和層を形成し親水化した。DLC膜を形成したPA/PPEポリマーアロイディスクをプラズマ処理装置の真空チャンバー内に入れ減圧し、残留している空気に対し高周波電力を印加しプラズマ化し、そのプラズマにPA/PPEポリマーアロイディスクを60sec暴露した。
上記方法で形成したDLC膜を形成したPA/PPEポリマーアロイディスクは、以下のような方法で、摩擦係数を測定した。図2に示すボール/円板型摩擦試験機(自作)を用い、PA/PPEポリマーアロイディスク6に直径3mmの超高分子量ポリエチレン樹脂(UHMWPE)製半球ピンを相手材7として加重1.96N、摺動速度19.1cm/sで摺動させ、摩擦係数を測定した。ここで本実施例では、摺動面に水滴を垂らし続け、水潤滑下で摩擦係数を測定した。結果0.07であった。
実施例1と同様にPA/PPEポリマーアロイディスク表面にPBIID法を用いてDLCを成膜し、本比較例では親水化処理を行うことなく、実施例1と同様に水潤滑下での摩擦係数を測定した。結果、0.13であった。
実施例1と同様にPA/PPEポリマーアロイディスク表面にPBIID法を用いてDLCを成膜し、本比較例では親水化処理を行うことなく、また水潤滑下を行うことなく雰囲気の空気中での摩擦係数を測定した。結果、0.12であった。
実施例1と同様にPA/PPEポリマーアロイディスク表面にPBIID法を用いてDLCを成膜し、本比較例では親水化処理を行うことなく、また相手材としてSUJ2鋼球を用い、且つ水潤滑下を行うことなく雰囲気の空気中での摩擦係数を測定した。結果、0.14であった。
以上の実施例、比較例から分かるとおり、本発明に係る生体内摺動部材及びその表面処理方法により極めて低い摩擦係数、すなわち極めて良好な摺動特性を実現する事ができる。
本発明は、人工関節などの産業に利用可能である。
1 真空チャンバー
2 アンテナ(試料ホルダ)
3 試料
4 高周波発信器
5 高圧パルス電源
6 摩擦係数を測定する試料
7 相手材
2 アンテナ(試料ホルダ)
3 試料
4 高周波発信器
5 高圧パルス電源
6 摩擦係数を測定する試料
7 相手材
Claims (7)
- 生体内摺動部材において、該生体内摺動部材を構成する基材の表面にダイヤモンドライクカーボン層を有し、該ダイヤモンドライクカーボン層の表面が親水性を有していることを特徴とする生体内摺動部材。
- 請求項1に記載のダイヤモンドライクカーボン層の表面が、OH基を含む水和層を含むことを特徴とする請求範囲1記載の生体内摺動部材。
- 請求項1および2に記載の生体内摺動部材を構成する基材が、樹脂もしくは金属であることを特徴とする請求範囲1記載の生体内摺動部材。
- 請求項1乃至3に記載の生体内摺動部材を構成する基材が、ポリエチレン樹脂もしくはチタンであることを特徴とする請求範囲1記載の生体内摺動部材。
- 請求項1乃至4に記載の生体内摺動部材が、人工関節であることを特徴とする生体内摺動部材。
- 生体内摺動部材の表面処理方法において、該生体内摺動部材を構成する基材の表面にダイヤモンドライクカーボン層を形成し、次に該ダイヤモンドライクカーボンの表面にOH基を含む水和層が形成されることにより、親水化処理することを特徴とする生体内摺動部材の表面処理方法。
- 請求項6に記載のダイヤモンドライクカーボンの形成方法が、プラズマイオン注入法であり、親水化処理方法が、酸素を含むガスから形成されたプラズマに暴露する方法であることを特徴とする生体内摺動部材の表面処理方法。
Priority Applications (1)
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---|---|---|---|
JP2012219733A JP2014069000A (ja) | 2012-10-01 | 2012-10-01 | 生体内摺動部材及びその表面処理方法 |
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2017174586A (ja) * | 2016-03-23 | 2017-09-28 | 株式会社栗田製作所 | プラズマ処理方法及びプラズマ処理装置 |
JP2018519873A (ja) * | 2015-05-11 | 2018-07-26 | ノバ プラズマ リミテッド | インプラントを操作するための装置および方法 |
WO2023279663A1 (zh) * | 2021-07-08 | 2023-01-12 | 深圳先进技术研究院 | 用于植入式医疗器械的表面亲水层修饰方法和应用 |
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2012
- 2012-10-01 JP JP2012219733A patent/JP2014069000A/ja active Pending
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